説明

粘接着剤用ポリマー組成物及び粘接着剤組成物

【課題】粘接着剤特性の性能バランスに優れ、溶解性、加工性に優れている粘接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(1):ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有する、所定のジブロック共重合体成分(a)と、所定のブロック共重合体(成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分)との混合物であるブロック共重合体:95〜99質量%と、
(2):所定のピーク分子量、分子量分布を有するポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する粘接着剤用ポリマー組成物、及び当該粘接着剤用ポリマー組成物と粘着付与剤と軟化剤とを組み合わせた粘接着剤組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘接着剤用ポリマー組成物及び粘接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、溶液型、ホットメルト型の接着剤や粘着剤のベースポリマーとして、ビニル芳香族単量体−共役ジエン単量体系ブロック共重合体(SBS:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、SIS:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)が広く使用されている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、SBSを用いた接着剤組成物又は粘着剤組成物が開示されている。
しかしながら、SBSやSISは、加工性と保持力等の粘接着剤特性とのバランスにおいて未だ十分な特性が得られておらず、溶融粘度が高く、溶解性、塗工性の面においても不十分である。
【0003】
従って、これらの性能面での改良が望まれおり、これらの改良方法として、特許文献3や非特許文献1には、トリブロック共重合体とジブロック共重合体を含有する接着剤組成物が開示されている。
また、特許文献4には、特定の2官能性カップリング剤(脂肪族系モノエステル、特定のジハロゲン化合物)でカップリングさせて得られるブロック共重合体よりなる粘着剤組成物が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記に開示されたいずれの組成物においても、上記各種性能面の改良効果は不十分である。
このような改善要求に対して、特許文献5には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン系化合物とのブロック共重合体を特定水添したブロック共重合体に粘着付与剤を付与した組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭44−17037号公報
【特許文献2】特公昭56−49958号公報
【特許文献3】特開昭61−278578号公報
【特許文献4】特開昭61−261310号公報
【特許文献5】特公平5−69874号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】石井逸朗、「SISベース粘着剤の品質設計」、接着、高分子刊行会、1988年(昭和63年)1月25日、第32巻、第1号、27頁〜28頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献5に開示されている組成物も、保持力と粘着性とのバランス性能に加えて、溶解性、塗工性の点においては、なお一層の改善が要望されている。
【0008】
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、粘・接着力等の粘接着剤特性バランスに優れ、色調が良好で、かつ優れた溶解性、塗工性を有する粘接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の構造と分子量のブロック共重合体組成物に、特定の分子量及び分子量分布を有するポリスチレンを主体とする樹脂を混合した粘接着剤用ポリマー組成物が、上記課題を効果的に解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕
(1)ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体 単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有する、下記成分(a)と、下記成 分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分との混合物であるブロック共重合 体:95〜99質量%と、
(a)一般式(A−B)によって表される、20,000〜200,000の数平均 分子量を有するジブロック共重合体:10〜80質量%
(b)nが2以上の整数であり、(A−B)nによって表される、50,000〜 400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体:20〜90質量%
(c)pが1以上の整数であり、(A−B)pAによって表される、50,000〜 400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体:20〜90質量%
(d)mが2、3、4のいずれかであり、一般式(A−B)mXによって表される、 50,000〜600,000の数平均分子量を有する分岐ブロック共重合 体:20〜90質量%
なお、Xは、カップリング剤の残基又は重合開始剤の残基を示す。
(2)ピーク分子量が10,000〜50,000、分子量分布が1.05〜2.00 であるポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する粘接着剤用ポリマー組成物。
【0011】
〔2〕
(1´)ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量 体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有する、下記成分(b)又は (c)の構造であるブロック共重合体:95〜99質量%と、
(2)ピーク分子量が10,000〜50,000、分子量分布が1.05〜2.00 であるポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する粘接着剤用ポリマー組成物。
(b)nが2以上の整数であり、(A−B)nによって表される、50,000〜 400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
(c)pが1以上の整数であり、(A−B)pAによって表される、50,000〜 400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
【0012】
〔3〕
前記ビニル芳香族化合物がスチレンであり、前記共役ジエンがブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくともいずれかである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の粘接着剤用ポリマー組成物。
【0013】
〔4〕
前記成分(a)が、数平均分子量100,000〜200,000のジブロック共重合体であり、当該成分(a)を、前記(1)のブロック共重合体中、10〜30質量%含有し、
前記成分(b)又は成分(c)が、数平均分子量300,000〜400,000であるブロック共重合体であり、成分(d)が、数平均分子量300,000〜500,000であるブロック共重合体であり、当該成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分を、前記(1)のブロック共重合体中、70〜90質量%含有する、前記(1)のブロック共重合体:95〜99質量%と、
前記(2)のポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する前記〔1〕に記載の粘接着剤用ポリマー組成物100質量部と、
粘着付与剤:20〜300質量部と、
軟化剤:0〜100質量部と、
を、含有する接着剤として使用する粘接着剤組成物。
【0014】
〔5〕
前記成分(a)が、数平均分子量30,000〜80,000のジブロック共重合体であり、当該成分(a)を、前記(1)のブロック共重合体中、50〜80質量%含有し、
前記成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分が、数平均分子量が100,000〜150,000であるブロック共重合体であり、当該成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分を、前記(1)のブロック共重合体中、20〜50質量%含有する、前記(1)のブロック共重合体:95〜99質量%と、
ピーク分子量10,000〜30,000、分子量分布が1.05〜1.50である前記(2)のポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する前記〔1〕に記載の粘接着剤用ポリマー組成物:100質量部と、
粘着付与剤:200〜400質量部と、
軟化剤:50〜150:質量部と、
を、含有する粘接着剤組成物。
【0015】
〔6〕
前記〔2〕に記載の粘接着剤用ポリマー組成物と、粘着付与剤と、軟化剤とを、含有する粘接着剤組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、粘・接着力等の粘接着剤特性の性能バランスに優れ、色調が良好で、優れた溶解性、加工性を有する粘接着剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0018】
〔粘接着剤用ポリマー組成物〕
(構成)
本実施形態の粘接着剤用ポリマー組成物は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)を含むブロック共重合体(下記(1)又は(1´))、及び所定のポリスチレンを主体とする樹脂(下記(2))を含有する。
本実施形態の粘接着剤用ポリマー組成物を構成する前記ブロック共重合体は、後述する成分(a)と、後述する成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分との混合物である「(1)ブロック共重合体」あるいは、後述する成分(b)又は成分(c)である「(1´)ブロック共重合体」のいずれかである。
すなわち(1)ブロック共重合体の態様は、後述する成分(a)+成分(b)、成分(a)+成分(c)、成分(a)+成分(d)のいずれかであり、(1´)ブロック共重合体の態様は、後述する成分(b)又は成分(c)である。
【0019】
<(1)ブロック共重合体>
上述したように、(1)ブロック共重合体は、下記成分(a)と、成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分との混合物である。
成分(a):一般式(A−B)によって表される、20,000〜200,000の数平均分子量を有するジブロック共重合体。
成分(b):nが2以上の整数であり、(A−B)nによって表される、50,000〜400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
成分(c):pが2以上の整数であり、(A−B)pAによって表される、50,000〜400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
成分(d):mが2、3、4のいずれかであり、一般式(A−B)mXによって表される、50,000〜600,000の数平均分子量を有する分岐ブロック共重合体。
Xは、各カップリング剤の残基又は各官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
前記成分(a)〜(d)の数平均分子量は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。
【0020】
前記(1)ブロック共重合体を構成するビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有するブロック共重合体(成分(a)〜(d))について説明する。
前記成分(a)〜(d)を構成する重合体ブロック(A)のビニル芳香族炭化水素としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びp−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。ビニル芳香族炭化水素としては、スチレンが好ましい。
【0021】
前記成分(a)〜(d)を構成する重合体ブロック(B)の、共役ジエン化合物は、共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物として、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。共役ジエン化合物は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0022】
前記成分(a)〜(d)のブロック共重合体の重合方法としては、特に限定されないが、配位重合、アニオン重合またはカチオン重合等の重合方法が挙げられる。構造の制御の容易さの点で、アニオン重合が好ましい。
アニオン重合によるブロック共重合体成分の製造方法としては、公知の方法でよく、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36975号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
【0023】
上述した方法により、ブロック共重合体(a):一般式:(A−B)を重合できる。
上記のように、Aは、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
【0024】
また、上述した方法により、ブロック共重合体(b):一般式:(A−B)nを重合できる。
上記のように、Aはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは2以上の整数である。
【0025】
さらに上述した方法により、ブロック共重合体(c):一般式:(A−B)pAを重合できる。
上記のように、Aはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。pは1以上の整数である。
【0026】
さらにまた上述した方法により、ブロック共重合体(d):一般式:(A−B)mXを重合できる。
上記のように、Aはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
Xは、各カップリング剤の残基又は各官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
mは2、3、4のいずれかであり、各数値は官能数を示す。
2官能カップリング剤としては、公知のものいずれでもよく、特に限定されない。例えば、エポキシ化合物、ジクロルジメチルシラン、フェニルメチルジクロロシランのようなハロゲン化ケイ素化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランのようなアルコキシケイ素化合物、ジクロルジメチルスズのようなスズ化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類のようなエステル化合物、ジビニルベンゼンなどのようなビニルアレン類等が挙げられる。
3官能カップリング剤としては、公知のものいずれでもよく、特に限定されない。例えば、メチル三塩化スズ、トリブチルクロロスズのようなスズ化合物、トリメトキシシラン、トリエトキシシランのようなシラン化合物、メチル三塩化ケイ素、トリメチルクロロケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物等が挙げられる。
4官能カップリング剤としては、公知のものいずれでもよく、特に限定されない。例えば、四塩化スズのようなハロゲン化スズ化合物、テトラアリルスズ、テトラ(2−オクテニル)スズのようなアリルスズ化合物、テトラフェニルスズ、テトラベンジルスズのようなスズ化合物、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物、テトラフェノキシケイ素、テトラエトキシケイ素のようなアルコキシケイ素化合物等が挙げられる。
【0027】
(1)ブロック共重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を重合開始剤としてスチレンを重合させ、次いで、ブタジエンを重合させ、さらに場合によりこれらの操作を繰り返す方法や、スチレンブタジエンブロック共重合体:成分(a)〜(d)を別々に重合しておき、混合し、カップリング反応する方法等により作製できる。
その際、成分(a)〜(d)の分子量は、有機リチウム化合物量を制御することにより調整できる。
重合反応終了後混合し、水、アルコール、酸等を添加して活性種を失活し、溶液を例えばスチームストリッピング等を行って重合溶媒を分離した後、乾燥することにより得られる。
各ブロック共重合体(a)〜(d)の混合方法は、重合終了後の溶液を混合する方法、あるいは、乾燥して得られた各ブロック共重合体成分をロール等でブレンドする方法が挙げられる。
また、ブロック共重合体(d)は、カップリング率を制御することにより、ブロック共重合体(a)との任意の割合の混合物を得ることができる。
【0028】
成分(a)〜(d)の重合工程において使用する不活性炭化水素溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素溶媒が挙げられる。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、成分(a)〜(d)の重合工程において使用する有機リチウム化合物としては、公知の化合物、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、プロペニルリチウム、ヘキシルリチウム等が挙げられる。特に、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。有機リチウム化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
【0029】
なお、上記成分(a)〜(d)を構成する、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)は、ビニル芳香族単量体単位を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有するものであり、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエン化合物との共重合体ブロック及び/又はビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロックである。
また、共役ジエン単量体を主体とする重合体ブロック(B)とは、共役ジエン単量体単位を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有するものであり、共役ジエン化合物とビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロック及び/又は共役ジエン単独重合体ブロックである。
【0030】
また、ブロック共重合体成分(a)〜(d)は、共役ジエンに由来する不飽和二重結合の一部又は全てを水素添加されていてもよい。その水素化方法は特に限定されるものではなく、公知の技術を用いて行われる。
【0031】
本実施形態において、ブロック共重合体(1)のビニル芳香族単量体単位の含有量は、特に限定されないが、粘着性、接着力、及び保持力の各粘接着剤特性のバランスから10〜60質量%が好ましい。さらに、好ましくは20〜50質量%である。ビニル芳香族単量体単位の含有量が10質量%以下では、接着力、保持力が劣り、ビニル芳香族単量体単位の含有量が60質量%以下では、粘着性が劣る。
【0032】
また、本実施形態において、ブロック共重合体(1)中の共役ジエン化合物のビニル結合量は、20%未満が好ましい。
ブロック共重合体中の共役ジエン化合物のビニル結合量を調整するために、例えば、エーテル類や第三級アミン類等、具体的には、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、α−メトキシテトラヒドロフラン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン等から選ばれる1種又は2種以上の混合物が使用される。
これにより、高度な熱安定性が得られる。
本実施形態において、必要に応じ、重合開始剤等に由来する金属類を脱灰する工程を採用することができる。また、必要に応じ、反応停止剤、酸化防止剤、中和剤、界面活性剤等を用いてもよい。
本実施形態で使用するブロック共重合体(1)は、窒素、酸素、ケイ素、リン、硫黄、スズから選ばれる極性基含有官能基が重合体に結合した変性重合体やブロック共重合体成分を無水マレイン酸等の変性剤で変性した変性ブロック共重合体も含まれる。
【0033】
前記(1)ブロック共重合体における各成分の混合割合は、成分(a)が10〜80質量%、成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分が20〜90質量%の割合である。
これにより、後述する本実施形態の粘接着剤組成物において、優れた粘・接着力、保持力、溶解性、塗工性が得られる。特に、ブロック共重合体の溶解性が劣る場合には、加熱混合時間が長くなり、粘着剤組成物が熱劣化により、色調が黄色あるいは茶色に変色するという問題が発生する。
好ましい各ブロック共重合体の混合割合は成分(a)が15〜75質量%、成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分が25〜85質量%である。
【0034】
<(2)ポリスチレンを主体とする樹脂>
本実施形態の粘接着剤用ポリマー組成物を構成する(2)ポリスチレンを主体とする樹脂成分とは、スチレン又は芳香族ビニル化合物を主成分とする重合体であり、好ましくはスチレン又はスチレンとα−メチルスチレンとの合計が80質量%以上の重合体であり、一部共役ジエン化合物が共重合されたものであってもよい。
【0035】
(2)ポリスチレンを主体とする樹脂成分のピーク分子量は10,000〜50,000である。これにより、後述する本実施形態の粘接着剤組成物において、優れた粘・接着力、保持力、溶解性、塗工性が得られる。
好ましい(2)ポリスチレンを主体とする樹脂成分のピーク分子量は12,000〜40,000であり、より好ましいポリスチレンを主体とする樹脂成分のピーク分子量は15,000〜30,000である。
更に前記ポリスチレンを主体とする樹脂の分子量分布は1.05〜2.00である。これにより、後述する粘接着剤組成物において、優れた粘・接着力、保持力、溶解性が得られる。好ましい前記ポリスチレンの分子量分布は1.05〜1.50であり、より好ましい前記ポリスチレンの分子量分布が1.05〜1.20である。
前記(2)ポリスチレンを主体とする樹脂のピーク分子量、及び分子量分布は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。
【0036】
(2)ポリスチレンを主体とする樹脂の重合法は、特に限定はされず、ラジカル開始剤を用いた、又は用いない、熱によるラジカル重合、有機リチウム化合物等を用いたアニオン重合、メタロセン化合物を用いた配位重合等、公知の重合法が用いられる。
重合形態についても特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合等何れの方法であってもよい。
特に、好ましい重合法は、有機リチウム化合物を用いたアニオン重合法である。
アニオン重合法により、本願の規定する重合体の分子量分布、すなわち重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mnが1.05〜2.00の範囲のスチレン系樹脂が得られやすく、スチレン系樹脂中の、残留スチレンモノマー、スチレンダイマー、トリマーの量の削減が容易となり好ましい。
【0037】
また、ポリスチレンは、上記製法により単独で調製してもよいが、リビングアニオン重合法における(1)又は後述する(1´)のブロック共重合体の製造時に調製してもよい。
例えば、(1)又は後述する(1´)のブロック共重合体の製造時に、ビニル芳香族炭化水素化合物を重合させブロック部を調製するが、その最中に、活性リビングアニオン種の一部をメタノール等の活性水素化合物を添加して失活せることにより、ポリスチレンを生成させる。その後、活性のあるリビングアニオン種は、さらに共役ジエン化合物のブロック部を作り、A−Bタイプ等のブロック共重合体組成物が調製される。
この製法により生成したポリスチレンは、ブロック共重合体組成物の分子量を測定する際に、低分子成分として検出されるので、そのピーク分子量及びその分子量分布が評価される。
【0038】
<(1´)ブロック共重合体>
上述したように、(1´)ブロック共重合体は、成分(b)又は成分(c)である。
成分(b):nが2以上の整数であり、(A−B)nによって表される、50,000〜400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
成分(c):pが2以上の整数であり、(A−B)pAによって表される、50,000〜400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
【0039】
(1´)ブロック共重合体を構成する前記各ブロック共重合体(b)、(c)の数平均分子量が上記範囲であると、後述する本実施形態の粘接着剤組成物において、優れた粘・接着力、保持力、溶解性、塗工性が得られる。
好ましい数平均分子量の範囲は、上記(b)及び(c)のブロック共重合体において100,000〜350,000である。
【0040】
なお、(1´)ブロック共重合体は、成分(b)又は成分(c)のいずれかを構成成分とする点においてのみ上記(1)ブロック共重合体と異なるものであり、その他重合体ブロックA、Bの各構成、重合方法、各種特性については、上記(1)ブロック共重合体と同様とする。
【0041】
(粘接着剤用ポリマー組成物における(1)又は(1´)ブロック共重合体と、(2)ポリスチレンを主体とする樹脂との配合量)
本実施形態の粘接着性ポリマー組成物における前記(1)又は(1´)のブロック共重合体の含有量は95〜99質量%であり、前記(2)ポリスチレンを主体とする樹脂の含有量は1〜5質量%である。これにより、後述する本実施形態の粘接着剤組成物において、優れた粘・接着力、保持力、溶解性、塗工性が得られる。
好ましい前記ブロック共重合体と前記ポリスチレンを主体とする樹脂の配合量は、ブロック共重合体96〜98.8質量%と前記ポリスチレンを主体とする樹脂1.2〜4質量%であり、より好ましくは、ブロック共重合体96.5〜98.5質量%と前記ポリスチレンを主体とする樹脂1.5〜3.5質量%である。
【0042】
〔粘接着剤用ポリマー組成物の製造方法〕
本実施形態の粘接着剤用ポリマー組成物は、(1)又は(1´)のブロック共重合体成分と、(2)ポリスチレン系樹脂成分とを混合することにより製造できる。
混合方法は、それぞれを重合したポリマーを混合する方法、ブロック共重合体を重合中にポリスチレン系樹脂成分を生成させて添加する方法等いずれの方法でもよい。
【0043】
〔粘接着剤用組成物〕
(構成)
本実施形態の粘接着剤用組成物は、上述した((1)又は(1´)ブロック共重合体)と、後述する(粘着付与剤)、及び後述する(軟化剤)とを含有するものであり、必要に応じて後述する(その他の成分)を含有するものである。
なお、用途に応じて、ブロック共重合体中の成分(a)〜(d)の数平均分子量を選択し、粘着付与剤、軟化剤の配合量を調製することが好ましい。
【0044】
特に、前記成分(a)が、数平均分子量100,000〜200,000のジブロック共重合体であり、当該成分(a)を、前記(1)のブロック共重合体中、10〜30質量%含有し、前記成分(b)又は成分(c)が、数平均分子量300,000〜400,000であるブロック共重合体であり、成分(d)が、数平均分子量300,000〜500,000であるブロック共重合体であり、当該成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分を、前記(1)のブロック共重合体中、70〜90質量%含有する、前記(1)のブロック共重合体:95〜99質量%と、
前記(2)のポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する粘接着剤用ポリマー組成物100質量部と、
後述する粘着付与剤:20〜300質量部と、
後述する軟化剤:0〜100質量部と、
を、含有する粘接着剤組成物が、接着剤の用途として、好ましいものとして挙げられる。
【0045】
前記(1)のブロック共重合体、当該(1)ブロック共重合体中の成分(a)〜(d)、前記(2)のポリスチレンを主体とする樹脂、粘着付与剤及び軟化剤の割合が、上記範囲であると、本実施形態の粘接着剤組成物において、優れた接着力、溶解性、塗工性が得られる。すなわち、接着剤としての用途に好適である。
より好ましい(1)ブロック共重合体と(2)ポリスチレンを主体とする樹脂の割合は、成分(a)のブロック共重合体10〜20質量%、成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分よりなるブロック共重合体80〜90質量%からなる(1)ブロック共重合体96〜98.8質量%、(2)ポリスチレンを主体とする樹脂1.2〜4質量%である。
より好ましい粘着付与剤の配合量は、30〜250質量%であり、さらに好ましい粘着付与剤の配合量は、50〜200質量%である。
より好ましい軟化剤の配合量は、80質量%未満であり、さらに好ましい粘着付与剤の配合量は、50質量%未満である。
【0046】
また、前記(1)ブロック共重合体中の、成分(a)が、数平均分子量30,000〜80,000のジブロック共重合体であり、当該成分(a)の含有量が50〜80質量%、前記(1)ブロック共重合体中の、成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分が、数平均分子量が100,000〜150,000であるブロック共重合体であり、当該成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分の含有量が20〜50質量%である前記(1)ブロック共重合体:95〜99質量%と、
ピーク分子量10,000〜30,000、分子量分布が1.05〜2.00であるポリスチレンを主体とする前記(2)の樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する粘接剤用ポリマー組成物:100質量部と、
粘着付与剤:200〜400質量部と、
軟化剤:50〜150質量部と、
を、含有する粘接着剤組成物も、他の好ましい例として挙げられる。
【0047】
前記(1)ブロック共重合体、当該(1)ブロック共重合体中の成分(a)〜(d)、前記(2)ポリスチレンを主体とする樹脂、粘着付与剤及び軟化剤の割合が、上記範囲であると、本実施形態の粘接着剤組成物において、優れた粘着力、保持力、溶解性、塗工性が得られる。
上述した他の好ましい例である粘接着剤組成物において、より好ましい粘着付与剤の量は、150〜450質量部、さらに好ましくは200〜400質量部である。
より好ましい軟化剤の量は、50〜150質量部である。
【0048】
また、前記(1´)ブロック共重合体と、(2)ポリスチレンを主体とする樹脂とを含有する粘接着剤用ポリマー組成物と、粘着付与剤と、軟化剤とを含有する粘接着剤組成物も、他の好ましい例として挙げられる。
なお、(1´)ブロック共重合体、(2)ポリスチレンを主体とする樹脂とを含有する粘接着剤用ポリマー組成物と、粘着付与剤、軟化剤の配合量については、上述した(1)ブロック共重合体を用いた粘接着剤組成物と同様とすることができる。
【0049】
(粘着付与剤)
本実施形態の粘接着剤用組成物を構成する粘着付与剤は、得られる粘着剤組成物の用途、要求性能によって、多種多様に選択することができる。
例えば、クマロン系樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、フェノール系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、水添テルペン系樹脂、水添ロジン系樹脂等の公知の粘着付与剤樹脂が挙げられる。
これらの粘着付与剤樹脂は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
【0050】
(軟化剤)
本実施形態の粘接着剤用組成物を構成する軟化剤は、特に制限されるものではなく、公知のパラフィン系やナフテン系のプロセスオイル及びこれらの混合オイルを使用することができる。
【0051】
(その他の成分)
本実施形態の粘接着剤組成物には、必要により、酸化防止剤、光安定剤等の安定剤、及びその他の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−0−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ぺンチルフェニル)]アクリレート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロビオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトールーテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート)等のイオウ系酸化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は任意であるが、好ましくは接着剤組成物100質量部に対して5質量部以下である。
光安定剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、あるいはヒンダードアミン系光安定剤等を挙げることができる。
【0052】
前記安定剤以外に、本実施形態の粘接着剤組成物には、必要により、ベンガラ、二酸化チタン等の顔料;パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、低分子量ポリエチレンワックス等のワックス類;無定形ポリオレフィン、エチレンーエチルアクリレート共重合体等のポリオレフィン系又は低分子量のビニル芳香族系熱可塑性樹脂;天然ゴム;ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、ポリペンテナマ−ゴム、及び、本実施形態の粘接着剤用ポリマー組成物を構成するブロック共重合体以外の、所定のスチレン−イソプレン系ブロック共重合体等の合成ゴムを添加してもよい。
【0053】
〔粘接着剤組成物の製造方法〕
本実施形態の粘接着剤組成物は、公知の方法により、上述したブロック共重合体組成物と粘着付与剤、さらに軟化剤とを混合して製造することができる。
例えば、ブロック共重合体組成物と粘着付与剤、軟化剤とを、混合機、ニーダー等で、加熱条件下で均一混合することにより製造することができる。
【0054】
〔用途〕
本実施形態の粘接着性組成物は、良好な溶解性、加工性及び接着力を示し、粘接着特性において優れたバランス性能を有する。
これらの特徴を生かして、各種粘着テープ・ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤等に利用でき、特に粘着性テープ用、粘着性シート・フィルム用、粘着性ラベル用、表面保護シート・フィルム用、衛材用の粘接着剤用として有用である。
【実施例】
【0055】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
なお、以下の実施例において、重合体の特性や物性の測定は、下記のようにして行った。
〔(I)ブロック共重合体の特性〕
(I−1)スチレン含有量
紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
【0057】
(I−2)分子量
ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC:装置は、ウォーターズ製)で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。
分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた数量平均分子量である。
なお、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。
【0058】
(I−3)ブタジエン部のビニル結合含有量
赤外線分光光度計(パーキンエルマー製モデル1710)を用いて測定し、ハンプトン法(「Analytical Chem.、21、943('43)」に記載)により測定した。
【0059】
〔(II)ポリスチレン系樹脂の特性〕
(II−1)分子量及び分子量分布
GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。
分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めたピーク分子量である。
また、同様の方法で重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、その比Mw/Mnから分子量分布を求めた。
【0060】
〔(III)粘接着剤組成物の物性の測定〕
(III−1)粘接着剤組成物の溶解性
混合装置として用いた加圧式ニーダーのトルク変化を読み取り、変化率が1%以内になったところを溶解した時間とした。
溶解性の判断は、溶解時間が20分以内を○、20〜40分を△、40分以上を×と表記した。
【0061】
(III−2)粘接着剤組成物の色調
粘接着剤組成物の色調については、無色透明〜淡黄色を○、黄色を△、茶色を×と表記した。また、白濁した場合は、白濁と注記した。
【0062】
(III−3)粘接着剤組成物の溶融粘度
粘接着剤組成物の溶融粘度は、温度180℃でブルックフィールド型粘度計により測定した。
【0063】
(III−4)粘接着剤組成物の軟化点
粘接着剤組成物の軟化点は、JIS−K2207に準じ、規定の環に試料を充填し、水中で水平に支え、試料の中央に3.5gの球を置き、液温を5℃/minの速さで上昇させたとき、球の重さで試料が環台の底板に触れたときの温度を測定した。
【0064】
(III−5)塗工性
溶融させた粘接着剤組成物を160℃に加熱したホットプレート上に垂らし、160℃に加熱したアプリケーターで塗工した後の粘接着剤塗工面を目視観察した。
全くムラのない状態を○、ムラが20%未満の状態を△〜○、ムラが20%以上50%未満を△、ムラが50%以上を×とした。
【0065】
(III−6)接着力
粘接着剤組成物を160℃の熱プレス成形機で厚み50μmのフィルムを作製し、このフィルムを2cm×2cmの大きさに切り出し、測定に用いるフィルムとした。
次に、幅25mmの2枚のステンレス板に、前記フィルムを挟み、150℃のプレスで1kg荷重/cm2の圧力で5分間予熱、5分間加圧の条件でステンレンス板同士を貼り合わせた。
冷却後、引張速度200mm/minの剥離速度でせん断剥離強度を測定し、接着力とした。
【0066】
粘接着剤組成物を溶融状態で取り出し、アプリケーターでポリエステルフィルムに厚さ50μmになるようにコーティングし、粘着テープサンプルを作製し、粘接着剤組成物のループタック、粘着力、保持力を、以下の方法で測定した。
(III−7)ループタック
250mm長×15mm幅のループ状の試料を用い、PE(ポリエチレン)板への接触面積:15mm×50mm、接着時間3sec、接着及び引き剥がし速度:500mm/minで測定した。
(III−8)粘着力
25mm幅の試料をポリエチレン板に貼り付け、引き剥がし速度300mm/minで180℃剥離力を測定し、粘着力とした。
(III−9)保持力
保持力は、ステンレス板及びPE板に25mm×25mmの面積が接するように前記粘着テープサンプルを貼り付け、60℃において1kgの荷重を与えて粘着テープがずれ落ちるまでの時間を測定した。
【0067】
〔(IV)ブロック共重合体成分の調製〕
<ポリマーA:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン120gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.4g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合した後、10分後に、ブタジエン(1,3ブタジエン)560gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合し、最高温度(95℃)に達してから15分後に、再度、スチレンを120g添加して重合を継続し、スチレンがほぼ完全に重合してから、更に15分間保持して重合を完結させた。
その後、水0.5g加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後、溶媒を加熱除去した(得られた共重合体をポリマーAとする)。
ポリマーAは、スチレンの含有量が30質量%、数平均分子量が13万であった。
ポリマーAは、成分(c):((A−B)pA)の、p=1である。
【0068】
<ポリマーB:スチレン−ブタジエンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン280gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.2g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)520gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合し最高温度(95℃)に達してから、更に15分間保持して重合を完結させた。
その後、水0.5g加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後、溶媒を加熱除去した(得られた共重合体をポリマーBとする)。
ポリマーBは、スチレンの含有量が35質量%、数平均分子量が25万であった。
ポリマーBは、成分(a):(A−B)である。
【0069】
<ポリマーC:4官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン240gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.0g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)560gを添加し重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(95℃)に達してから5分後に、カップリング剤として四塩化ケイ素を添加し、カップリングさせた。
カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後溶媒を加熱除去した(得られたブロック共重合体をポリマーCとする。)。
ポリマーCは、スチレンの含有量が30質量%、数平均分子量が40万であった。
また、スチレン−ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体が18質量%含有していた。
ポリマーCは、成分(d):((A−B)mX)のm=4と、成分(a):(A−B)の混合物である。
【0070】
<ポリマーD:3官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン280gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.8g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)520gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(95℃)に達してから5分後に、カップリング剤としてトリエトキシシランを添加し、カップリングさせた。
カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後溶媒を加熱除去した(得られたブロック共重合体をポリマーDとする。)。
ポリマーDは、スチレンの含有量が35質量%、数平均分子量が3万であった。
また、スチレン−ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体を35質量%含有していた。
ポリマー(D)は、成分(d):((A−B)mX)のm=3と、成分(a):(A−B)の混合物である。
【0071】
<ポリマーE:4官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン320gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で0.8g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)480gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(95℃)に達してから5分後に、カップリング剤として四塩化ケイ素を添加し、カップリングさせた。
カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後、溶媒を加熱除去した(得られたブロック共重合体をポリマーEとする。)。
ポリマーEは、スチレンの含有量が30質量%、数平均分子量が70万であった。
また、スチレン−ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体を20質量%含有していた。
ポリマーEは、成分(d):((A−B)mX)のm=4と、成分(a):(A−B)の混合物である。
【0072】
<ポリマーF:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン280gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.5g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)520gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(95℃)に達してから5分後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。
カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後溶媒を加熱除去した(得られたブロック共重合体をポリマーFとする。)。
ポリマーFは、スチレンの含有量が35質量%、数平均分子量が8万であった。
また、スチレン−ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体が70質量%含有していた。
ポリマーFは、成分(d):((A−B)mX)のm=2と、成分(a):(A−B)の混合物である。
【0073】
<ポリマーG:3官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン240gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.4g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから10分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)560gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(95℃)に達してから5分後に、カップリング剤としてトリエトキシシランを添加し、カップリングさせた。
カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後、溶媒を加熱除去した(得られたブロック共重合体をポリマーGとする。)。
ポリマーGは、スチレンの含有量が30質量%、数平均分子量が12万であった。
また、スチレン−ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体が50質量%含有していた。
ポリマーGは、成分(d):((A−B)mX)のm=3と、成分(a):(A−B)の混合物である。
【0074】
<ポリマーH:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン280gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.5g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
スチレンがほぼ完全に重合してから、0.20gのメタノールを加え、ポリスチレン成分を失活させた。
その10分後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)364gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(95℃)に達してから5分後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。
カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。
得られたブロック共重合体溶液に、オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、上記ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、その後溶媒を加熱除去した(得られたブロック共重合体をポリマーFとする。)。
ポリマーHは、スチレンの含有量が43質量%、数平均分子量が7.5万であった。
また、スチレン−ブタジエンのジブロック構造のブロック共重合体が70質量%含有していた。
また、GPCで、ポリスチレン成分を評価したところ、数平均分子量は17,000、分子量分布は1.3で、ポリスチレン成分が8質量%含有されていた。
ポリマーHは、成分(d):((A−B)mX)のm=2と、成分(a):(A−B)のと、(2)ポリスチレンとの混合物である。
【0075】
〔(V)ポリスチレンの調製〕
<ポリマーQ>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン800gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約70℃に設定した。
次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で20g)を添加し、スチレンの重合を開始した。
得られたポリスチレンにオクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加し、その後、溶媒を加熱除去してポリマーを得た。
ピーク分子量Mw=25,000、分子量分布=1.1であった。
【0076】
<ポリマーP、R、S>
前記n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液の添加量を調製し、スチレンモノマーとn−ブチルリチウムとのモル比を変更した。
その他の条件は、前記ポリマーQと同様の方法で、ポリスチレンを得た。
得られた各ポリスチレンのピーク分子量と分子量分布は、それぞれ、ポリマーP:7,000、1.1、ポリマーR:40,000、1.2、ポリマーS:70,000、1.3であった。
【0077】
<ポリマーT>
ラジカル重合法で調製した市販の、数平均分子量40000、分子量分布3.0のポリスチレンをポリマーTとして用いた。
【0078】
〔実施例1〕
85質量%のブロック共重合体(ポリマーA)に対して、15質量%のポリスチレン(ポリマーQ)と、粘着付与剤としてアルコンM100(荒川化学工業(株)製)を、前記ブロック共重合体(ポリマーA)とポリスチレン(ポリマーQ)との合計量100質量部に対して、100質量部の配合比で配合し、180℃×40分間、加圧双腕型ニーダー(型式:D0.3−3、(株)森山製作所製)で溶融混練し、淡黄色の均一なホットメルト型粘接着性組成物を得た。
なお、粘接着性組成物には、前記ブロック共重合体(ポリマーA)とポリスチレン(ポリマーQ)よりなるブロック共重合体組成物100質量部に対して、安定剤として2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルべンジル)−4−メチルフェニルアクリレートを1質量部配合した。
上述した粘接着剤組成物の物性の測定方法に従い、測定した結果、得られた粘接着性組成物の溶融粘度(cP,at.180℃)は43,000(mPa・s)であり、軟化点は145℃であった。また、塗工性は良好であり、接着強さは522N/10mmであり実用上十分に良好であった。
【0079】
〔実施例2〜7〕、〔比較例1〜10〕
下記表1、表2に示す配合に従い、実施例1と同様の方法で、それぞれ、接着剤として好適な粘接着剤組成物を作製し、特性を評価した。
なお、40分混練してもトルクが安定しない場合は、トルクが安定するまで混練した。
軟化剤を添加する例においては、ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産(株)製)を使用した。
【0080】
〔実施例8〜11〕、〔比較例11〜19〕
下記表3、表4に示す配合に従い、実施例1と同様の方法で、それぞれ、粘接着剤組成物を作製し、特性を評価した。
これらの例においては、実施例1において測定した「接着強さ」に代えて、ループタック、粘着力、保持力を評価した。
なお、40分混練してもトルクが安定しない場合は、トルクが安定するまで混練した。
軟化剤を添加する例においては、ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産(株)製)を使用した。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
実施例1〜11の粘接着剤組成物は、いずれも粘・接着力等の粘接着剤特性の性能バランスに優れ、色調が良好で、溶解性、加工性にも優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の粘接着性組成物は、各種粘着テープ・ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤等に利用でき、特に、粘着性テープ用、粘着性シート・フィルム用、粘着性ラベル用、表面保護シート・フィルム用、衛生材料用粘接着剤用として、産業上の利用可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体単 位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有する、下記成分(a)と、下記成分 (b)、(c)又は(d)のいずれか一成分との混合物であるブロック共重合体: 95〜99質量%と、
(a)一般式(A−B)によって表される、20,000〜200,000の数平 均分子量を有するジブロック共重合体:10〜80質量%
(b)nが2以上の整数であり、(A−B)nによって表される、50,000〜 400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体:20〜90質量 %
(c)pが1以上の整数であり、(A−B)pAによって表される、50,000 〜400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体:20〜90質 量%
(d)mが2、3、4のいずれかであり、一般式(A−B)mXによって表され る、50,000〜600,000の数平均分子量を有する分岐ブロック共 重合体:20〜90質量%
なお、Xは、カップリング剤の残基又は重合開始剤の残基を示す。
(2)ピーク分子量が10,000〜50,000、分子量分布が1.05〜2.00で あるポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する粘接着剤用ポリマー組成物。
【請求項2】
(1´)ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン単量体 単位を主体とする重合体ブロック(B)とを含有する、下記成分(b)又は (c)の構造であるブロック共重合体:95〜99質量%と、
(2)ピーク分子量が10,000〜50,000、分子量分布が1.05〜2.00で あるポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する粘接着剤用ポリマー組成物。
(b)nが2以上の整数であり、(A−B)nによって表される、50,000〜 400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
(c)pが1以上の整数であり、(A−B)pAによって表される、50,000〜 400,000の数平均分子量を有するブロック共重合体。
【請求項3】
前記ビニル芳香族化合物がスチレンであり、
前記共役ジエンがブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくともいずれかである、請求項1又は2に記載の粘接着剤用ポリマー組成物。
【請求項4】
前記成分(a)が、数平均分子量100,000〜200,000のジブロック共重合体であり、当該成分(a)を、前記(1)のブロック共重合体中、10〜30質量%含有し、
前記成分(b)又は成分(c)が、数平均分子量300,000〜400,000であるブロック共重合体であり、成分(d)が、数平均分子量300,000〜500,000であるブロック共重合体であり、当該成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分を、前記(1)のブロック共重合体中、70〜90質量%含有する、前記(1)のブロック共重合体:95〜99質量%と、
前記(2)のポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する請求項1に記載の粘接着剤用ポリマー組成物100質量部と、
粘着付与剤:20〜300質量部と、
軟化剤:0〜100質量部と、
を、含有する接着剤として使用する粘接着剤組成物。
【請求項5】
前記成分(a)が、数平均分子量30,000〜80,000のジブロック共重合体であり、当該成分(a)を、前記(1)のブロック共重合体中、50〜80質量%含有し、
前記成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分が、数平均分子量が100,000〜150,000であるブロック共重合体であり、当該成分(b)、(c)又は(d)のいずれか一成分を、前記(1)のブロック共重合体中、20〜50質量%含有する、前記(1)のブロック共重合体:95〜99質量%と、
ピーク分子量10,000〜30,000、分子量分布が1.05〜1.50である前記(2)のポリスチレンを主体とする樹脂:1〜5質量%と、
を、含有する請求項1に記載の粘接着剤用ポリマー組成物:100質量部と、
粘着付与剤:200〜400質量部と、
軟化剤:50〜150:質量部と、
を、含有する粘接着剤組成物。
【請求項6】
請求項2に記載の粘接着剤用ポリマー組成物と、粘着付与剤と、軟化剤とを、含有する粘接着剤組成物。

【公開番号】特開2012−21078(P2012−21078A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159719(P2010−159719)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】