説明

粘液性シリコーン流体

分岐状オルガノポリシロキサンと、50〜99.9質量%の担体流体とを含む流体組成物が開示されている。前記分岐状オルガノポリシロキサンは、オルガノ水素シクロシロキサンとアルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンとの反応によって得られる。前記開示された流体組成物は、レオロジー特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年9月3日に出願された、米国特許出願第61/239529号明細書及び米国特許出願第61/239533号明細書にかかる優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、分岐状オルガノポリシロキサンと担体流体とを含む流体組成物に関する。前記分岐状オルガノポリシロキサンは、オルガノ水素シクロシロキサンとアルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンとの反応によって得られる。前記開示された流体組成物は、レオロジー特性を有する。
【背景技術】
【0003】
いくらかの機能的な利点に加え、シリコーンは、それらに内在する美的効果用のパーソナルケア製品に取り入れられる。特に、考案者らは、ある種類及び量のシリコーンを選択することで、パーソナルケア製品の総合的な審美性を最適化するであろう。このように、改良された製品美学、知覚又は機能的な改良をもたらす新たなシリコーン組成物を発見するため、この産業では、継続的な必要性が存在している。本発明者らは、そのような改良をもたらす特定のシリコーン流体を見出した。
【発明の概要】
【0004】
この開示は、
A)a)式[(CH3HSiO]g(ここで、gは3〜8である)をもつオルガノ水素シクロシロキサンと、
b)式(R2R2SiO1/2)v(R2SiO2/2)x(ここで、v≧2、x≧50であり、Rは1〜6の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は2〜12の炭素原子を含むアルケニル基であり、ヒドロシリル化触媒の存在下において、反応中のSiHに対するアルケニル基のモル比が0.9〜2.2の間である)のシロキシ単位を有するアルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンと
の反応によって得られた、0.1〜50質量%の分岐状オルガノポリシロキサンと、
B)50〜99.9質量%の担体流体と、を含み、
23℃で少なくとも100mPa・sの粘度を有し、粘液性レオロジー特性を示す流体組成物に関する。
【0005】
粘液性流体は、レオロジー作用の特定のタイプを示す流体である。最も容易に認識されている粘液性流体のレオロジー作用は、それらの「糸引き」作用であり、少量の粘液性流体が該流体の塊から離れた際、細い繊維状又は糸状を形成する。粘液性流体によって示された他のレオロジー特性としては、剪断応力にさらされた際に法線力を発現することである。粘液性流体がx−yの面でせん断力を受けた際、力がz方向に発現する(直角、又は、せん断の面に「垂直」)。この作用は、ワイセンベルグ効果として知られている現象に関連し、そこでは、せん断力の存在下で、攪拌された溶液中のポリマーが成長したポリマー鎖同士の絡み合いに起因して攪拌器を登る傾向を示す。制御された応力レオメータを用いることで、前記法線力が測定される。
【0006】
この開示における粘液性シリコーン流体は、さらに表面の非常に持続性のある被膜から、多くの場合高い潤滑性を発揮する。前記粘液性流体がせん断を受けたとき、発現した法線力は、該流体の細線化に抵抗し、可動面間の太い潤滑層の維持を行う。われわれは、ある分岐状で、高分子量のシリコーン流体が新たな感覚及び被膜形成特性を示し、これらの特性は粘液性レオロジー作用に関連があることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本実施例におけるシリコーン流体組成物の垂直せん断速度(sec-1)に対する法線力(Pa)のプロットを示す。
【図2】図2は、本実施例におけるシリコーン流体組成物の垂直せん断速度(sec-1)に対する法線力(Pa)のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
この開示は、
A)a)式[(CH3HSiO]g(ここで、gは3〜8である)をもつオルガノ水素シクロシロキサンと、
b)式(R2R2SiO1/2)v(R2SiO2/2)x(ここで、v≧2、x≧50であり、Rは1〜6の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は2〜12の炭素原子を含むアルケニル基であり、ヒドロシリル化触媒の存在下において、反応中のSiHに対するアルケニル基のモル比が0.9〜2.2の間である)のシロキシ単位を有するアルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンと
の反応によって得られた、0.1〜50質量%の分岐状オルガノポリシロキサンと、
B)50〜99.9質量%の担体流体と、を含み、
23℃で少なくとも100mPa・sの粘度を有し、粘液性レオロジー特性を示す流体組成物に関する。
【0009】
ここで用いられる「流体」とは、重力のように力が加えられた際、その構成粒子が互いに通過する(流れる)液体を意味する。ここで用いられる「流体」は、流れのない「ゲル」を含まない。
【0010】
本発明の流体組成物は、23℃で少なくとも100mPa・s、選択的には23℃で少なくとも200mPa・s、又は、選択的には23℃で少なくとも300mPa・sの粘度を有する。
【0011】
この開示は、粘液性レオロジー特性を有する特定のシリコーン流体組成物を提供する。ここで用いられる「粘液性」とは、持続して増加するせん断が該流体の被膜又は層に適用された際に、垂直方向に観察される法線力(一般的にパスカルで測定される)を増加させるレオロジー特性のことを言う。言い換えれば、粘液性流体がx−yの面でせん断力を受けた際、力がz方向に発現する(直角、又は、せん断の面に「垂直」)。本発明によるシリコーン流体の粘液性レオロジーは、制御された応力レオメータを用いて測定される。このようなレオメータは、TA Instruments AR 1000−N(19720 デラウェア州 ニューカッスル、ルーケンズドライブ 109)のように、商業的に利用可能である。前記流体は、平坦なディスク(前記レオメータを装着)と、ロードセルの装備された固定プレートとの間に固定する。制御された量の力(トルク)を、前記ディスクに装着したシャフトに加え、サンプルにせん断応力を与える。一般的に、前記トルクは実験の間増加し、前記ディスクはせん断率として記録された増加速度で回転する。前記流体のサンプルは、せん断応力を受けたものである場合、ロードセルによって前記法線力が記録される。このような手段を用いた前記シリコーン流体レオロジー特性の評価結果は、垂直せん断速度(sec-1)に対する法線力(Pa)のプロットとして記録される。
【0012】
本発明の開示による流体組成物は、レオロジー特性を有し、垂直せん断速度(sec-1)に対する法線力(Pa)のプロットを、上述のように制御した応力レオメータを用いて測定した際、該プロットが3.6より大きい平均勾配を有する
【0013】
A)分岐状オルガノポリシロキサン
前記分岐状オルガノポリシロキサンは、
a)式[(CH3HSiO]g
(ここで、gは3〜8である)
をもつオルガノ水素シクロシロキサンと、
b)式(R2R2SiO1/2)v(R2SiO2/2)x
(ここで、v≧2、x≧50であり、Rは1〜6の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は2〜12の炭素原子を含むアルケニル基であり、ヒドロシリル化触媒の存在下において、反応中のSiHに対するアルケニル基のモル比が0.9〜2.2の間である)
のシロキシ単位を有するアルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンと
の反応によって得られる。
【0014】
前記オルガノ水素シクロシロキサンは、a)式[(CH3HSiO]g(ここで、gは3〜8である)、これらの混合物の成分として有用である。選択的には、オルガノ水素シクロシロキサンのa)式のgは4〜6であり、又は、選択的にはgは4である。
【0015】
構成成分b)は、アルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンである。構成成分b)は、どのオルガノポリシロキサン又はオルガノポリシロキサンの混合物から選択されができ、該オルガノポリシロキサンは、下式のシロキシ単位を有し、
(R2R2SiO1/2)v(R2SiO2/2)x
ここで、v≧2で、x≧50選択的にはx≧50であり、Rは、1〜20の炭素原子を含むアルキル基、選択的には1〜12の炭素原子を含むアルキル基であり、選択的には1〜6の炭素原子を含むアルキル基、若しくは選択的にはメチル基、を含む炭化水素又はハロゲン置換された炭化水素である。1〜20の炭素原子を有する一価の炭化水素基Rは:メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、及びデシル基;シクロヘキシル基のような脂環式基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;並びに、ベンジル基及びフェニルエチル基のようなアラルキル基が例示される。R2は2〜12の炭素原子を含むアルケニル基である。構成成分b)のR2アルケニル基は、ビニル基、アリル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、4,7−オクタジエニル基、5,8−ノナジエニル基、5,9−デカジエニル基、6,11−ドデカジエニル基、及び4,8−ノナジエニル基、が例示される。
【0016】
前記ポリジオルガノシロキサンは、単独重合体、共重合体又は上記有機基を含有する三元重合体でも良い。数ある中でも、例えば、ジメチルシロキシ単位及びフェニルメチルシロキシ単位を含む共重合体、ジメチルシロキシ単位及び3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキシ単位を含む共重合体、ジメチルシロキシ単位及びジフェニルシロキシ単位の共重合体、並びに、ジメチルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位及びフェニルメチルシロキシ単位の三元重合体が挙げられる。前記分子構造も重要ではなく、例えば、直鎖構造、部分的に分岐した直鎖構造、最も典型的な鎖システムが挙げられる。
【0017】
前記アルケニル基末端ポリオルガノシロキサンは、「T」単位(RSiO3/2)及び「Q」シロキシ単位(SiO4/2)のような他のシロキシ単位を含むこともできる。
【0018】
構成成分b)は、上述のオルガノポリシロキサンのどんな混合物でもよい。前記分子量、又は重合度は、下付xによって指定されているように変化することができ、規定しているxは50以上であり、別の方法では前記分子量は限定されない。しかしながら、分子量が高すぎるか、又は、前記オルガノポリシロキサンが固体であるとき、以下に記載されたいずれかの担体流体のような、適した溶媒又は低分子量流体によって構成成分b)を希釈することが望まれる。
【0019】
構成成分b)は、下記一般式を有するような、ビニル官能末端ブロックポリジメチルシロキサン(ビニルシロキサン)又はヘキセニル官能末端ブロックポリジメチルシロキサン(ヘキセニルシロキサン)から選択してもよい。
CH2=CH(Me)2SiO[Me2SiO]x'Si(Me)2CH=CH2
CH2=CH-(CH2)4-(Me)2SiO[Me2SiO]x'Si(Me)2-(CH2)4-CH=CH2
(ここで、Meはメチル基、x'≧50である。)
【0020】
ビニル又はヘキセニル官能ポリジメチルシロキサンは公知であり、多くは商業的に利用可能である。代表的には、限定しないが、SFD 128、DC4−2764、DC2−7891、DC2−7754、DC2−7891、DC2−7463、SFD−117、SFD−119、SFD−120、SFD−129、DC5−8709、LV2−7038、DC2−7892、2−7287、2−7463、及び、ジヘキセニル末端DC7692、DC7697(ミシガン州、ミッドランド、ダウコーニングコーポレーション)の、ダウコーニングの流体が挙げられる。
【0021】
一の実施形態では、前記アルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサンガムから選択される。ここで用いられるポリジオルガノシロキサンガムは、Dシロキシ単位を主に有し、前記シリコーン流体組成物に粘液性を持たせる十分な分子量のオルガノポリシロキサンである。代替的には、前記ポリオルガノシロキサンガムは、25℃で少なくとも1000000mm2/s、選択的には25℃で少なくとも2000000 mm2/sの粘度を持たせるのに十分な分子量である。代替的には、前記ジオルガノポリシロキサンガムの分子量は、前記ジオルガノポリシロキサンガムの分子量は、米国材料試験協会(ASTM)の試験926によって決定されたウィリアムス可塑度数を少なくとも40持たせるのに十分な量である。一般的には、前記ウィリアムス可塑度数は、40〜200とするべきあり、また選択的には50〜150とする。代替的には、前記ジオルガノポリシロキサンガムの分子量は、少なくとも600000ドルトン、また選択的には少なくとも1000000ドルトン、また選択的には少なくとも2000000ドルトンである。
【0022】
前記ジオルガノポリシロキサンのシリコン結合有機基は、炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基から独立して選択することもできる。前記炭化水素基は、特に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基のような1〜20の炭素原子を有するアルキル基;シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基のようなシクロアルキル基;フェニル基、トリル基及びキシリル基のような6〜12の炭素原子を有するアリール基;ベンジル基及びフェニルエチル基のような7〜20の炭素原子を有するアラルキル基によって例示される。前記炭化水素基は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、及びデセニル基、好ましくは、ビニル基又はヘキセニル基によって例示される、2〜20の炭素原子を有するアルケニル基でも良い。前記ハロゲン化アルキル基は、3,3,3−トリフルオロプロピル基及びクロロメチル基のように、1〜20の炭素原子を有することもできる。
【0023】
詳細な説明のジオルガノポリシロキサンガムは:ジメチルビニルシロキシ−末端ブロックジメチルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ−末端ブロックジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体;ジメチルビニルシロキシ−末端ブロックメチルフェニルポリシロキサン;ジメチルビニルシロキシ−末端ブロックメチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサン共重合体;及び少なくとも1つのビニル基含有の末端基を有する同様の共重合体、を含む。
【0024】
ジオルガノポリシロキサンガムの調整方法はよく知られており、多くを商業的に入手できる。本発明のシリコーン組成物に適した代表的な製品は、ダウコーニングのSGM−36ガム及びSGM−3ガムを含む。
【0025】
構成成分a)とb)との反応はヒドロシリル化触媒の存在下で行われる。好ましくは、白金族金属含有触媒を用いる。白金族は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金、並びに、これらの複合物を意味する。本発明の組成物の調整に有用な白金族金属含有触媒は、Willingの米国特許第3419593号明細書及びBrown et alの米国特許第5175325号明細書(ここで、それらの文献について、複合物と調整方法とを参照することで併合する)によって記載されているように調整された白金複合物である。有用な白金族金属含有触媒のその他の例としては、Lee et alの米国特許第3989668号明細書、Chang et alの米国特許第5036117号明細書、Ashbyの米国特許第3159601号明細書、Lamoreauxの米国特許第3220972号明細書、Chalk et alの米国特許第3296291号明細書、Modicの米国特許第3516946号明細書、karstedkの米国特許第3814730号明細書、及びChandra et alの米国特許第3928629号明細書、を有用な白金族金属含有触媒及びそれらの調整方法の参照によって統合したものを挙げることができる。前記白金含有触媒は、白金金属、シリカゲル又は粉末状の木炭のような担体に付着させた白金金属、又は、白金族金属の化合物若しくは複合物を用いることができる。好ましい白金含有触媒は、六水和物の形態又は無水和物のヘキサクロロ白金酸、及び/又は、以下の方法によって得られた白金含有触媒である。該方法は、ヘキサクロロ白金酸と、ジビニルテトラメチルジシロキサン又は(COD)Pt(SiMeCl2)2(ここで、CODは1,5−シクロオクタジエン、Meはメチル基である。)のようにアルケン−白金−シリル複合体(米国特許出願第10/017229号明細書、2001年12月7日出願、を参照。)のような脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と、を反応させる工程を具える。これらのアルケン−白金−シリル複合体は、例えば、0.015モルの(COD)PtCl2と、0.045モルのCODと、0.0612モルのHMeCl2とを混合することによって得られる。
【0026】
前記触媒の適した量は、用いられる特定の触媒によるであろう。前記白金触媒は、組成物中に、固体(全ての非溶解材料)合計質量%に対して、白金が少なくとも2ppt、好ましくは4〜200ppmを満足する量で存在する。さらに好ましくは、前記白金は、固体合計質量%に対して、4〜150質量ppmを満足する量で存在する。前記触媒は、一種類又は二以上の異なる種類の混合物として、添加される。
【0027】
前記構成成分a)とb)との間のヒドロシリル化反応が行われ、構成要素a)中の前記SiH単位(%H)に対するヒドロシリル化反応中に存在する全てのアルケニル基のモル比は、0.9〜2.2の範囲である。
【0028】
前記構成成分a)とb)との間のヒドロシリル化反応は、適した溶媒がなくとも、適した溶媒の存在下で行われても良い。一般的には、前記ヒドロシリルカ反応溶媒は、構成要素B)として後述される一以上の担体流体から選択される。
【0029】
B)担体流体
上述のオルガノポリシロキサンを、担体流体中に分散する。適した担体流体は、鎖状及び環状のいずれものシリコーン、オーガニックオイル、有機溶媒及びこれらの混合物を含む。溶媒の詳細な例としては、米国特許第6200581号明細書で挙げられ、本目的に照らすことで具体化を行う。
【0030】
一般的には、前記分散流体は、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル−3−{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン、ヘキサメチル−3,3ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン、ペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサンの他、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンのように、25℃での粘度が1〜1000mm2/secの範囲である低粘度のシリコーン、又は、揮発性のメチルシロキサン、揮発性のエチルシロキサン若しくは揮発性のメチルエチルシロキサンである。
【0031】
有機溶媒は、限定されないが、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、アルコール、アルデヒド、ケトン、アミン、エステル、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化アルキル、及びハロゲン化芳香族によって例示される。炭化水素は、イソドデカン、イソヘキサデカン、アイソパーL(C11−C13)、アイソパーH(C11−C12)、水添ポリデセンを含む。エーテル及びエステルは、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、プロピレングリコールnブチルエステル、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエステルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、及び、オクチルパルミテートを含む。独立した化合物として又は担体流体の材料として適した、追加的な有機担体流体は、油脂、油、脂肪酸、及び脂肪アルコールを含む。
【0032】
担体流体の量は、前記流体組成物中に、50〜99.9質量%、選択的には80〜99.9質量%、選択的には90〜99.9質量%存在する。
【0033】
本発明の流体組成物は、構成成分A)及びB)を単純に合わせて混合することによって得られる。しかしながら一般的に、構成成分a)とb)とのヒドロシリル化反応を行い、前記選択された担体流体(構成成分B))中に構成成分A)を形成することがより都合がよい。
【0034】
前記粘液性シリコーン流体組成物、又はこれらのエマルジョンは、パーソナルケア製品中に配合される。該パーソナルケア組成物は、クリーム、ゲル、粉、ペースト、又は自由流状液体の形態を有する。一般的に、このような組成物は、室温で組成物中に固体材料がなければ、室温で調製され、単純なプロペラミキサー、ブルックフィールドカウンター回転ミキサー、又は均質化ミキサーを用いる。造られた形態のタイプに応じて、調整方法は困難となるが、そのような方法は当技術分野で周知である。
【0035】
前記パーソナルケア組成物は、化粧品、治療、又はそれらのいくつかの組み合わせを適用した、体の部分について機能を発揮する。このような製品の従来の例としては、限定されないが:制汗剤及びデオドラント、スキンケアクリーム、スキンケアローション、モイスチュアライザー、にきび又はしわのようなフェイシャルトリートメント、パーソナル及びフェイシャル洗剤、バスオイル、香水、コロン、小分けシャンプー、サンスクリーン、プレシェーブ及びアフターシェーブローション、シェービング石鹸、及びシェービング泡、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアカラー、ヘアリラクサー、ヘアスプレー、ムース、ジェル、パーマ、脱毛剤、及びキューティクルコート、メーキャップ、カラーコスメ、ファンデーション、コンシーラ、はけ、口紅、アイライナー、マスカラ、オイルリムーバー、カラーコスメリムーバー及びパウダー、抗にきび剤を含有する薬用クリーム、ペースト又はスプレー、歯科衛生、抗菌剤、治療促進剤、栄養食品及びそのようなもので、予防又は治療するものがある。一般的なパーソナルケア製品は、限定されないが、担体とともに配合され、本発明では従来の形態のものが許容され、液体、リンス、ローション、クリーム、ペースト、ジェル、泡、ムース、軟膏、スプレー、エアロゾル、ソープ、スティック、柔らかい固体、固体ゲル、及びゲルが挙げられる。担体に適した構成要素は、当業者にとって容易にわかる。
【0036】
本発明の組成物は、パーソナル、ハウスホールド、及びヘルスケアの利用の分野に用いることもできる。特に、本発明による組成物は、米国特許第6054216号明細書、5919441号明細書、5981680号明細書に教示され、国際公開第2004−060271号、国際公開第2004−060101号に開示されているようにパーソナルケア製品に用いられ;国際公開第2004/060276号に教示されているようにサンスクリーン組成物に用いられ;国際公開第03/105801号に開示されているように被膜形成樹脂含有コスメティック組成物にも用いられ;米国特許出願公開第2003/0235553号明細書、第2003/0072730号明細書、第2003/0170188号明細書、欧州特許第1266647号明細書、欧州特許1266648号明細書、欧州特許1266653号明細書、国際公開第03/105789号明細書、国際公開第2004/000247号明細書及び国際公開第03/106614号明細書に教示され、国際公開2004/054523号に教示されたそれらの追加的な物質としているように化粧品組成物にも用いられ;国際公開2004/0180032号に教示されているように長時間使用する化粧品組成物にも用いられ;国際公開2004/054524号に述べられているように透明若しくは半透明のケア及び/又はメークアップ組成物に用いられ;ここでそれらは参照することで具体化できる。
【実施例】
【0037】
これらの実施例は本発明を当業者に示すことを意図し、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。すべての測定および実験は、とくに指示がない限り、23℃で行った。
【0038】
(実施例1)
ビニル基末端ジメチルシロキサンポリマーとメチル水素環状シロキサンとを反応させ、高度に分岐した流体を生成することにより、粘液性シリコン流体のシリーズを用意した。これらの実施例では、高度に分岐したネットワークを生成するが未だゲル点(シロキサン鎖間の相互継手の数が弾性固体を得るのに十分なほど多い点)を下回るように、反応の化学量論を制御した。反応槽に、〜4800の平均重合度、及び、〜150ppmの%ビニル量(C2H3)を有する、イソパー(登録商標)L希釈剤に分散したジメチルビニル末端ジメチルシロキサンポリマー(A)を入れた。これに、2.2%の%ビニル量(C2H3)を有するジメチルビニル末端ジメチルシロキサンに希釈された白金触媒(C)に続いて、テトラメチルシクロテトラシロキサン(B)を加えた。次に、反応混合物を85℃まで18時間加熱し、著しい粘度上昇をもたらした。その後、反応混合物を冷却させ、反応槽から取り出した。以下の表は実施例1A、B、C、D及びEに用いた反応物質及び量についてまとめたものである。
【0039】
【表1】

a:ブルックフィールドモデルRVDV−II+粘度計で、20rpmでLVスピンドル♯2によって測定された。
【0040】
図1は、上述したように制御した応力レオメータを用いた、本実施例におけるシリコーン流体組成物の垂直せん断速度(sec-1)に対する法線力(Pa)のプロットを示す。
【0041】
(実施例2)
反応槽に、〜160の平均重合度を有するトルエン希釈剤に分散したジメチルビニル末端ジメチルシロキサンポリマー(A)を入れた。これに、テトラメチルシクロテトラシロキサン(B)及び白金触媒(C)を加えた。反応混合物を100℃まで3.5時間加熱し、著しい粘度上昇をもたらした。この原材料の比率では、前記ビニル官能性は、完全反応の結果物のSiH官能性を超えている。その後、反応混合物を冷却させ、反応槽から取り出した。以下の表は本実施例に用いた反応物質及び量についてまとめたものである。
【0042】
【表2】

a:ブルックフィールドモデルRVDV−II+粘度計で、20rpmでLVスピンドル♯2によって測定された。
【0043】
図2は、上述したように制御した応力レオメータを用いた、本実施例におけるシリコーン流体組成物の垂直せん断速度(sec-1)に対する法線力(Pa)のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)a)式[(CH3HSiO]g(ここで、gは3〜8である)をもつオルガノ水素シクロシロキサンと、b)式(R2R2SiO1/2)v(R2SiO2/2)x(ここで、v≧2、x≧50であり、Rは1〜6の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は2〜12の炭素原子を含むアルケニル基であり、ヒドロシリル化触媒の存在下において、反応中のSiHに対するアルケニル基のモル比が0.9〜2.2の間である)のシロキシ単位を有するアルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンとの反応によって得られた、0.1〜50質量%の分岐状オルガノポリシロキサンと、
B)50〜99.9質量%の担体流体と、を含み、
23℃で少なくとも100mPa・sの粘度を有し、粘液性レオロジー特性を示す流体組成物。
【請求項2】
前記流体のレオロジー特性は、垂直せん断速度(sec-1)に対する法線力(Pa)のプロットから決定され、該プロットが3.6より大きい平均勾配を有する請求項1に記載の流体組成物。
【請求項3】
前記アルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンはビニル基末端ポリジメチルシロキサである請求項1又は2に記載の流体組成物。
【請求項4】
前記ビニル基末端ポリジメチルシロキサンはガムである請求項3に記載の流体組成物。
【請求項5】
前記gが4である上記請求項のいずれかに記載の流体組成物。
【請求項6】
前記担体流体が炭化水素系溶媒である上記請求項のいずれかに記載の流体組成物。
【請求項7】
A)a)式[(CH3HSiO]g(ここで、gは3〜8である)をもつオルガノ水素シクロシロキサンと、b)式(R2R2SiO1/2)v(R2SiO2/2)x(ここで、v≧2、x≧50であり、Rは1〜6の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は2〜12の炭素原子を含むアルケニル基であり、ヒドロシリル化触媒の存在下において、反応中のSiHに対するアルケニル基のモル比が0.9〜2.2の間である)のシロキシ単位を有するアルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンとの反応によって得られた、0.1〜50質量%の分岐状オルガノポリシロキサンと、
B)50〜99.9質量%の担体流体と、からなり、
前記gが4であり、前記アルケニル基末端ポリジオルガノシロキサンはビニル基末端ポリジメチルシロキサである請求項1に記載の流体組成物の流体組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の流体組成物を含むパーソナルケア組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−503940(P2013−503940A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527999(P2012−527999)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/047479
【国際公開番号】WO2011/028770
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】