説明

粘着シート

【課題】ポリエステル系粘着剤層を備え、耐熱性と粘着力とを高レベルで両立可能な粘着シートを提供する。
【解決手段】本発明により提供される粘着シートは、ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤層21を備える。その粘着剤層21は、Mw4×10〜12×10のポリエステル樹脂Eが架橋されてなる層LAを一つ以上(ここでは二つ;符号214,216)含み、かつ、Mw0.2×10〜1×10のポリエステル樹脂Eが架橋されてなる層LBを一つ以上(ここでは一つ;符号212)含む積層構造を有する。粘着剤層21の少なくとも一方の表面は、層LA(符号214または216)により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤層を備えた粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルをベースポリマーとする粘着剤(以下、ポリエステル系粘着剤ともいう。)は、一般的なアクリル系粘着剤(アクリル系ポリマーをベースポリマーとする粘着剤)に比べて、より高い耐熱性を実現しやすいという特長を有する。ポリエステル系粘着剤に関する技術文献として特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−145633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、粘着剤に求められる性能はますます高度化しており、ポリエステル系粘着剤においても、その良好な耐熱性を活かしつつ更に粘着力を向上させることが望まれている。しかし、一般に、粘着剤の耐熱性(後述する耐熱保持性等により評価され得る。)と粘着力とは相反する特性であり、これらの特性を高レベルで両立させることは困難であった。
【0005】
本発明は、ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤層を備えた粘着シートであって、耐熱性と粘着力とを高レベルでバランスよく実現可能な粘着シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤層を備えた粘着シートが提供される。その粘着剤層は、重量平均分子量(Mw)4×10〜12×10のポリエステル樹脂Eが架橋されてなる層LAと、Mw0.2×10〜1×10のポリエステル樹脂Eが架橋されてなる層LBと、をそれぞれ一つ以上含む積層構造を有する。ここで、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面は前記層LAにより構成されている。このように、互いにMwの異なるポリエステル樹脂を架橋させて形成された層LA,LBを含む積層構造の粘着剤層を備えた粘着シートによると、耐熱性と粘着力とが同時に高レベルで実現され得る。
【0007】
ここに開示される技術の一態様では、前記粘着剤層が前記層LAを少なくとも二つ含む。そして、前記粘着剤層の一方の表面および他方の表面は、それぞれ、第一の層LAおよび第二の層LAにより構成されている。かかる構成の粘着シートは、例えば、粘着剤層の両表面を粘着面(被着体に圧着される面)として利用可能な粘着シート(両面接着性粘着シート)として好適である。
【0008】
前記層LAのゲル分率GLAは、例えば30〜65%であり得る。また、前記層LBのゲル分率GLBは、例えば70〜90%であり得る。GLAおよびGLBのうち一方または両方が上記範囲よりも低すぎると、粘着シートの耐熱性(例えば耐熱保持性)が低下傾向となる場合がある。GLAおよびGLBのうち一方または両方が上記範囲よりも高すぎると、粘着力が低下しやすくなる場合がある。GLAおよびGLBのうち一方または両方(好ましくは両方)が上記範囲にある粘着シートによると、耐熱性と粘着力とをより高いレベルでバランスよく実現し得る。
【0009】
前記粘着剤層の少なくとも一方の表面を構成する層LAの厚みTLAは、例えば5μm〜100μmであり得る。ここに開示される技術の一態様では、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面を構成する層LAの背面には、厚みTLBが10μm〜2000μmの層LBが積層されている。かかる構成の粘着シートは、耐熱性および粘着力を、より高レベルでバランスよく実現するものであり得る。
【0010】
ここに開示される技術の一態様では、前記粘着剤層の少なくとも一方の表面(粘着面)は、厚みTLAの層LAにより構成されている。その層LAの背面には、厚みTLBの層LBが積層されている。そして、前記TLAと前記TLBとの関係が次式:1<TLB/TLA≦50;を満たす。かかる粘着シートは、耐熱性および粘着力を、より高レベルでバランスよく実現するものであり得る。
【0011】
ここに開示される技術の一態様では、前記ポリエステル樹脂Eおよび前記ポリエステル樹脂Eの少なくとも一方は、3官能以上の多官能イソシアネート(すなわち、一分子当たり平均3個以上のイソシアネート基(−N=C=O基)を有する化合物)により架橋されている。なかでも好ましい架橋剤として、2官能以上の多官能イソシアネートのイソシアヌレート体(三量体付加物)である、3官能以上の多官能イソシアネートが例示される。
【0012】
好ましい一態様では、前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の組み合わせが、前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の組み合わせと同一である。かかる関係にあるポリエステル樹脂E,Eが架橋されてなる層LA,LBは、これらの層間の密着性(層間接着強度)に優れたものとなり得る。したがって、かかるポリエステル樹脂E,Eによると、より均一で安定した粘着特性(耐熱保持性、粘着力等)を示す粘着シートが実現され得る。また、より透明性に優れた粘着剤層を備える粘着シートが形成され得る。
【0013】
前記ポリエステル樹脂E,Eの一方または両方の合成に用いられる多価カルボン酸成分としては、不飽和脂肪酸が二量体化した構造の脂肪族ジカルボン酸を好ましく採用し得る。また、前記ポリエステル樹脂E,Eの一方または両方の合成に用いられる多価アルコール成分としては、不飽和脂肪酸が二量体化してなる脂肪族ジカルボン酸に水素を添加(水添)した構造の脂肪族ジオールを好ましく採用し得る。かかるポリエステル樹脂E,Eによると、より高性能な粘着シートが実現され得る。また、上記不飽和脂肪酸(例えば、炭素原子数18の不飽和脂肪酸類)は植物から得ることが可能であり、かかる植物由来の原料(不飽和脂肪酸)から合成された脂肪族ジカルボン酸および/または脂肪族ジオールを原料として利用し得ることは環境負荷軽減の観点から好ましい。
【0014】
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記ポリエステル樹脂E,Eが、いずれも、ダイマー酸とダイマージオールとの重縮合物である。上記ダイマー酸およびダイマージオールは、典型的には植物に由来して得られたものである(換言すれば、植物由来の材料である)。かかるポリエステル樹脂E,Eを用いてなる粘着シートは、環境負荷軽減の観点から好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る粘着シートの一構成例を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明に係る粘着シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
【図7】一実施形態に係る粘着剤層の構成を模式的に例示する断面図である。
【図8】他の一実施形態に係る粘着剤層の構成を模式的に例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0017】
ここに開示される技術は、ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤層(ポリエステル系粘着剤層)を備えた各種の粘着シートに適用され得る。ここで「ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤層」とは、該粘着剤層全体の質量のうち、ポリエステル樹脂の質量が50%以上を占めることをいう。かかる粘着剤層をシート状基材(支持体)の片面に有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、上記粘着剤層を基材の両面に有する形態の基材付き粘着シート(両面粘着シート、典型的には両面粘着テープ)であってもよく、また上記粘着剤層が剥離ライナー(剥離面を備えるシート状基材としても把握され得る。)に保持された形態等の基材レスの粘着シート(すなわち、支持体をもたない両面粘着シート)であってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。
【0018】
ここに開示される技術における粘着シートは、例えば、図1〜図6に模式的に示される断面構造を有するものであり得る。このうち図1,図2は、両面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図1に示す粘着シート1は、基材10の両面(いずれも非剥離性)に粘着剤層21,22が設けられ、それらの粘着剤層21,22の表面(被着体に圧着可能な面、すなわち粘着面)21A,22Aが、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有している。図2に示す粘着シート2は、基材10の両面(いずれも非剥離性)に粘着剤層21,22が設けられ、それらのうち一方の粘着剤層21の表面(粘着面)21Aが、両面が剥離面となっている剥離ライナー31により保護された構成を有している。この種の粘着シート2は、該粘着シートを巻回して他方の粘着剤層22の表面(粘着面)22Aを剥離ライナー31の裏面に当接させることにより、粘着面22Aもまた剥離ライナー31によって保護された構成とすることができる。
【0019】
図3,図4は、基材レスの両面粘着シートの構成例である。図3に示す粘着シート3は、基材レスの粘着剤層21の両面(粘着面)21A1,21A2が、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有する。図4に示す粘着シート4は、基材レスの粘着剤層21の一面(粘着面)21A1が、両面が剥離面となっている剥離ライナー31により保護された構成を有し、これを巻回すると、粘着剤層21の他面(粘着面)21A2が剥離ライナー31の背面に当接することにより、粘着面21A2もまた剥離ライナー31で保護された構成とできるようになっている。
【0020】
図5,図6は、片面粘着タイプの基材付き粘着シートの構成例である。図5に示す粘着シート5は、基材10の一面10A(非剥離性)に粘着剤層21が設けられ、その粘着剤層21の表面(粘着面)21Aが、少なくとも該粘着剤層側が剥離面となっている剥離ライナー31で保護された構成を有する。図6に示す粘着シート6は、基材10の一面10A(非剥離性)に粘着剤層21が設けられた構成を有する。基材10の他面10Bは剥離面となっており、粘着シート6を巻回すると、粘着剤層21の表面(粘着面)21Aが基材10の他面10Bに当接して、該粘着面21Aが基材の他面10Bで保護されるようになっている。
【0021】
ここに開示される技術における粘着剤層は、互いにMwの異なるポリエステル樹脂E,Eを用いて形成された層LA,LBをそれぞれ一層以上含む積層構造を有する。これらの層LA,LBは、典型的には、それぞれポリエステル樹脂E,Eを主成分とする層(ポリエステル樹脂層)である。粘着剤層に含まれる層の数(層LAの数と層LBの数との合計)は特に限定されず、例えば2〜10層とすることができる。生産性等の観点から、通常は、2〜5層とすることが適当である。粘着剤層に含まれる層LAの数は、例えば1〜3層であり得る。粘着剤層に含まれる層LBの数は、例えば1〜2層であり得る。
【0022】
層LAは、Mw4×10〜12×10(好ましくは5×10〜8×10)のポリエステル樹脂Eを架橋させたものであり、典型的には、該ポリエステル樹脂Eと架橋剤とを含むポリエステル樹脂組成物CAを適当な表面に塗布し、その塗布物を架橋(硬化)させることにより形成される。ポリエステル樹脂EのMwが上記範囲よりも小さすぎると、粘着力が低下傾向となる場合がある。ポリエステル樹脂EのMwが上記範囲よりも大きすぎると、架橋間距離(架橋点の間隔)が長くなりすぎて、粘着剤の耐熱保持性が低下傾向となる場合がある。また、ポリエステル樹脂EAの溶液または加熱溶融物の粘度が高めとなる等、取扱性が低下しやすくなる場合がある。
【0023】
層LBは、Mw0.2×10〜1×10(好ましくは0.3×10〜0.7×10)のポリエステル樹脂Eを架橋させたものであり、典型的には、該ポリエステル樹脂Eと架橋剤とを含むポリエステル樹脂組成物CBを適当な表面に塗布し、その塗布物を架橋(硬化)させることにより形成される。ポリエステル樹脂EのMwが上記範囲よりも大きすぎると、架橋間距離(架橋点の間隔)が長くなりすぎて、粘着剤の耐熱保持性が低下傾向となる場合がある。ポリエステル樹脂EのMwが上記範囲よりも小さすぎると、粘着剤層の構成によっては、粘着力が低下傾向となる場合がある。
【0024】
ポリエステル樹脂EのMwは、ポリエステル樹脂EのMwよりも5倍以上大きいことが好ましく、7倍以上大きいことがより好ましく、9倍以上大きくてもよい。Mwがこのような関係にあるポリエステル樹脂E,Eによると、層LAと層LBとが積層された構造の粘着剤層とすることの効果(典型的には、耐熱性と粘着力とを高レベルで両立させる効果)がよりよく発揮され得る。特に限定するものではないが、通常は、ポリエステル樹脂EのMwを、ポリエステル樹脂EBのMwの50倍以下(典型的には40倍以下、例えば25倍以下)とすることが適当である。
【0025】
なお、ここでいうポリエステル樹脂のMwとは、当該ポリエステル樹脂を適当な溶媒(例えばテトラヒドロフラン)に溶かして調製したサンプルにつきゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行って求められる、ポリスチレン換算の値をいう。具体的には、後述する実施例に記載の条件でGPC測定を行うことにより、ポリエステル樹脂のMwを求めることができる。
【0026】
ここに開示される技術における粘着剤層は、その少なくとも一方の表面が層LAによって構成されている。換言すれば、上記積層構造の少なくとも一方の端には層LAが配置されている。上記層LAにより構成された表面(すなわち、層LAが露出した表面)を粘着面として利用可能な粘着シートが好ましい。ポリエステル樹脂Eは、ポリエステル樹脂Eに比べてMwが高く、架橋間距離の長い硬化物を形成するのに適している。したがって、かかるポリエステル樹脂Eを架橋してなる層LAが粘着面に露出した構成の粘着シートによると、良好な粘着力が発揮され得る。
【0027】
粘着剤層の両面を粘着面として利用可能な粘着シート(例えば、基材レスの両面粘着シート)の場合、それら両粘着面が第一の層LAおよび第二の層LAにより構成されていてもよく、いずれか一方の粘着面が層LAにより構成され、他方の粘着面は他の層(例えば層LB)により構成されていてもよい。好ましい一態様では、両粘着面がいずれも層LA(第一の層LAおよび第二の層LA)により構成されている。かかる構成の粘着シートによると、いずれの粘着面においても良好な粘着力が発揮され得る。なお、両粘着面を構成する層LAの組成やゲル分率は、同一であってもよく、異なってもよい。
【0028】
ここに開示される技術の一態様では、粘着剤層の表面を構成する層LAの背面に、層LBが配置されている。ポリエステル樹脂Eは、ポリエステル樹脂Eに比べてMwが高く、架橋間距離の短い硬化物を形成するのに適している。したがって、かかるポリエステル樹脂Eを架橋してなる層LBを、粘着力に優れた層LAの背面に配置することにより、粘着力と耐熱性とを高レベルで両立させた粘着シートが実現され得る。
【0029】
ここに開示される粘着シートの一態様では、図3,4に示すような基材レスの両面粘着シート3,4において、その粘着剤層21の粘着面21A1,21A2が、図7に示すように、それぞれ第一の層LA214および第二の層LA216によって構成されている。そして、これらの層LA214,216の背面には層LB212が配置されている。換言すれば、図7に示す粘着剤層21は、層LB212の両面に層LA214,216が積層された三層構造となっている。
【0030】
ここに開示される粘着シートの他の一態様では、図1,2,5,6に示すような基材付きの粘着シート1,2,5,6において、図8に示すように、その粘着剤層21の粘着面21Aが層LA214によって構成され、その背面に層LB212が配置されている。換言すれば、図8に示す粘着剤層21は、基材10の非剥離性表面に層LB212が設けられ、その層LB212の上に層LA214が積層された二層構造となっている。
【0031】
ここに開示される技術の好ましい一態様では、層LAの厚みTLAが5μm〜100μmである。少なくとも粘着面を構成する層の厚みTLAが上記範囲にあることが好ましい。TLAが上記範囲よりも小さすぎると、粘着力が低下しやすくなることがあり得る。TLAが上記範囲よりも大きすぎると、耐熱性(例えば耐熱保持性)が低下傾向となる場合があり得る。粘着剤層が複数の層LAを含む場合には、少なくとも粘着面を構成する層LAの厚みTLAが上記範囲にあることが好ましい。例えば、図7に示す三層構造の粘着剤層21では、第一の層LA214および第二の層LA216の厚みTLAがいずれも上記範囲にあることが好ましい。耐熱保持性等の観点から、TLAを例えば10μm〜50μm(典型的には15μm〜30μm)としてもよい。
【0032】
一方、層LBの厚みTLBは、例えば10μm〜2000μmとすることができ、通常は50μm〜500μm程度とすることが適当である。TLBが上記範囲よりも小さすぎると、粘着シートの耐熱性(例えば耐熱保持性)が低下傾向となる場合があり得る。TLBが上記範囲よりも大きすぎると、粘着剤層の構成によっては(例えば、粘着面を構成する層LAの厚みTLAが比較的小さい場合等)、粘着力が低下しやすくなることがあり得る。
【0033】
ここに開示される技術は、粘着面を構成する層LAの厚みTLAよりも、その背面に積層された層LBの厚みTLBのほうが大きい態様(すなわち、TLA<TLB)で好ましく実施され得る。例えば、図7に示す三層構造の粘着剤層21では、第一の層LA214および第二の層LA216の厚みTLAが、いずれも層LB212の厚みTLBよりも小さいことが好ましい。かかる態様によると、層LAと層LBとが積層された構造の粘着剤層とすることの効果(典型的には、耐熱性と粘着力とを高レベルで両立させる効果)がよりよく発揮され得る。TLAとTLBとの比(TLB/TLA)は、例えば1<TLB/TLA≦400を満たすことが好ましく、通常は1<TLB/TLA≦50を満たすことがより好ましい。TLB/TLAが上記範囲よりも大きすぎるか、あるいは小さすぎる場合には、耐熱性と粘着力とのバランスが損なわれやすくなる場合がある。
【0034】
ここに開示される技術の好ましい一態様では、層LAのゲル分率GLAが30〜65%(好ましくは40〜60%)である。GLAが上記範囲よりも大きすぎると、粘着力が低下しやすくなることがある。GLAが上記範囲よりも小さすぎると、凝集力が不足して耐熱性(例えば耐熱保持性)が低下傾向となる場合がある。粘着剤層が複数の層LAを含む場合には、少なくとも粘着面を構成する層LAのゲル分率GLAが上記範囲にあることが好ましい。例えば、図7に示す三層構造の粘着剤層21では、第一の層LA214および第二の層LA216のゲル分率GLAがいずれも上記範囲にあることが好ましい。
【0035】
一方、層LBのゲル分率GLBは、層LAのゲル分率GLAよりも高い(すなわちGLB/GLA>1、例えばGLB/GLA≧1.2)ことが好ましく、通常はGLBを70〜90%(例えば75〜90%)とすることが適当である。GLBが上記範囲よりも小さすぎると、凝集力が不足して耐熱性(例えば耐熱保持性)が低下傾向となる場合がある。GLBが上記範囲よりも大きすぎると、粘着剤層の構成によっては、粘着力が低下しやすくなることがあり得る。
なお、ゲル分率の測定は、後述する実施例に記載の方法により行うことができる。測定に使用する多孔質シートとしては、日東電工株式会社製の商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」またはその相当品を採用することが好ましい。
【0036】
ここに開示される技術におけるポリエステル樹脂E,Eは、典型的には、それぞれ、一分子中に二個以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸およびその誘導体から選択される一種または二種以上の化合物(多価カルボン酸成分)と、一分子中に二個以上の水酸基を有する多価アルコールから選択される一種または二種以上の化合物(多価アルコール成分)とが縮合した構造を有する。上記多価カルボン酸誘導体としては、当該カルボン酸の無水物、アルキルエステル(モノエステル、ジエステル等であり得る。炭素原子数1〜3のモノアルコールとのエステルが好ましい。)等を用いることができる。
【0037】
上記多価カルボン酸成分の構成要素としては、一般にポリエステルの合成に使用し得るものとして知られている各種の多価カルボン酸およびその誘導体から選択される一種または二種以上を用いることができる。好ましく使用し得る多価カルボン酸として、脂肪族または脂環式の二塩基酸およびその誘導体(以下、「脂肪族または脂環式ジカルボン酸類」ということもある。)が挙げられる。具体例としては、アジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデセニル無水コハク酸、フマル酸、コハク酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸等、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられる。
【0038】
環境負荷が少ないという観点から、多価カルボン酸成分の構成要素としては、石油に依存しない材料(すなわち、非石油系の材料)、特に植物由来の材料を好ましく採用することができる。このことは、バイオマス度向上の点からも有利である。かかる植物由来の材料として、ダイマー酸およびセバシン酸が例示される。なお、ここで「ダイマー酸」とは、不飽和脂肪酸が二量体化した構造のジカルボン酸をいう。炭素原子数18の不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)が二量体化した構造を有する炭素原子数36のジカルボン酸は、上記ダイマー酸に包含される一典型例である。
【0039】
上記多価カルボン酸成分の構成要素として使用し得る化合物の他の例として、芳香族二塩基酸およびその誘導体(無水物、アルキルエステル等。以下、「芳香族ジカルボン酸類」ということもある。)が挙げられる。芳香族二塩基酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボンル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。
【0040】
ここに開示される技術における多価カルボン酸成分は、例えば、脂肪族または脂環式ジカルボン酸類に属する一種または二種以上の化合物のみを含むものであってもよく、芳香族ジカルボン酸類に属する一種または二種以上の化合物のみを含むものであってもよく、脂肪族または脂環式ジカルボン酸類と芳香族ジカルボン酸類との両方を含んでもよい。ここに開示される技術では、多価カルボン酸成分として脂肪族または脂環式ジカルボン酸類のみ(例えば、脂肪族ジカルボン酸類のみ)を用いることにより、好適な結果が実現され得る。あるいは、脂肪族または脂環式ジカルボン酸類を主成分(多価カルボン酸成分のうち50質量%以上を占める成分)とし、特性を大きく損なわない程度の芳香族ジカルボン酸を併用してもよい。
【0041】
また、上記多価アルコール成分の構成要素としては、一般にポリエステルの合成に使用し得るものとして知られている各種の多価アルコールから選択される一種または二種以上を用いることができる。好ましく使用し得る多価アルコールとして、脂肪族または脂環式のジオール類が挙げられる。具体例としては、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。
【0042】
環境負荷が少ないという観点から、多価アルコール成分の構成要素としては、非石油系の材料、特に植物由来の材料を好ましく採用することができる。かかる植物由来の材料として、ダイマージオールおよび1,4−ブタンジオールが例示される。なお、ここで「ダイマージオール」とは、不飽和脂肪酸が二量体化したジカルボン酸におけるカルボキシル基を水酸基に変換した構造のジオールをいう。炭素原子数18の不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)の二量体に対応する炭素原子数36のジオールは、上記ダイマージオールに包含される一典型例である。
【0043】
また、ポリエステル樹脂E,Eとしては、両末端の官能基(典型的には、それぞれ水酸基およびカルボキシル基のいずれかである。)以外には架橋性官能基を有しないものを好ましく用いることができる。ダイマー酸とダイマージオールとの重縮合により得られるポリエステル樹脂は、かかる構造を有するポリエステル樹脂に包含される一好適例である。このような構造のポリエステル樹脂E,Eは、該ポリエステル樹脂のMw(より好ましくはさらに酸価)等に基づいて架橋後のゲル分率を制御しやすいので好ましい。
【0044】
好ましい一態様では、ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の組み合わせ(化合物の種類の組み合わせをいい、各化合物の量比を問わない。)が、ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の組み合わせと同一である。かかる関係にあるポリエステル樹脂E,Eによると、層LAと層LBとの密着性(層間接着強度)に優れた粘着剤層が形成されやすい。したがって、より均一で安定した粘着特性(耐熱保持性、粘着力等)を示す粘着シートや、より透明性に優れた粘着剤層を有する粘着シートが実現され得る。
【0045】
好ましい他の一態様では、ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分または多価アルコール成分の50質量%以上(より好ましくは75質量%以上、例えば90質量%以上)が、ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分または多価アルコールと同じ化合物である。ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分または多価アルコール成分の実質的に全部(すなわち、実質的に100質量%)が、ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分または多価アルコールと同じ化合物であってもよい。また、ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分のそれぞれ50質量%以上(より好ましくは75質量%以上、例えば90質量%以上であり、100質量%であってもよい。)が、ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコールのそれぞれと同じ化合物である。かかる関係にあるポリエステル樹脂E,Eによると、層LAと層LBとの密着性に優れた粘着剤層が形成されやすい。したがって、より均一で安定した粘着特性(耐熱保持性、粘着力等)を示す粘着シートや、より透明性に優れた粘着剤層を有する粘着シートが実現され得る。
【0046】
ここに開示される技術におけるポリエステル樹脂E,Eは、一般的なポリエステル樹脂と同様、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合により得ることができる。より詳しくは、多価カルボン酸成分の有するカルボキシル基と多価アルコール成分の有する水酸基との縮合反応を、典型的には上記縮合反応により生成する水(縮合水)等を反応系外に除去しつつ進行させることにより、ポリエステル樹脂E,Eを製造(合成)することができる。上記縮合水を反応系外に除去する方法としては、反応系内に不活性ガスを吹き込んで該不活性ガスとともに縮合水を反応系外に取り出す方法、減圧下で反応系から縮合水を留去する方法(減圧法)、等を用いることができる。重合時間を短縮しやすく生産性の向上に適していることから、上記減圧法を好ましく採用することができる。
【0047】
上記縮合反応を行う際の反応温度や、減圧法を採用する場合における減圧度(反応系内の圧力)は、目的とする特性(Mw等)のポリエステル樹脂が効率よく得られるように適宜設定することができる。特に限定するものではないが、通常は上記反応温度を180℃〜260℃とすることが適当であり、例えば200℃〜220℃とすることができる。反応温度が上記範囲よりも低すぎると、重合速度が遅いため生産性が低下しがちである。一方、反応温度が上記範囲よりも高すぎると、生成したポリエステル樹脂が劣化する虞がある。特に限定するものではないが、通常は上記減圧度を10kPa以下(典型的には10kPa〜0.1kPa)とすることが適当であり、例えば4kPa〜1kPaとすることができる。反応系内の圧力が高すぎると、縮合反応により生成した水を系外に効率よく留去することが困難となり、重合速度が遅くなりがちである。また、反応温度が比較的高い場合には、反応系内の圧力を低くしすぎると、原料である多価カルボン酸や多価ジオールまでもが系外に留去されてしまう場合があるので注意を要する。反応系内の圧力を過剰に低く設定すると当該圧力の達成および維持が困難となるため、通常は、反応系内の圧力を0.1kPa以上とすることが好ましい。
【0048】
上記縮合反応には、一般的なポリエステル樹脂と同様、公知ないし慣用の重合触媒を用いることができる。かかる重合触媒として、例えば、チタン系、ゲルマニウム系、アンチモン系、錫系、亜鉛系等の種々の金属化合物;p−トルエンスルホン酸や硫酸等の強酸;等が挙げられる。なかでもチタン系金属化合物(チタン化合物)の使用が好ましい。かかるチタン化合物の具体例としては、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラエトキシド等のチタンテトラアルコキシドや、オクタアルキルトリチタネート、ヘキサアルキルジチタネート、アルキルチタネート、酢酸チタン等が挙げられる。
【0049】
ここに開示される技術において、粘着剤層を構成する層LA,LBは、典型的には、このようなポリエステル樹脂E,Eに加えて架橋剤を含有するポリエステル樹脂組成物CA,CBを用いて形成される。上記架橋剤の種類は特に限定されず、従来公知の各種架橋剤から適当なものを選択することができる。例えば、多官能イソシアネート(一分子当たり平均2個以上のイソシアネート基を有する化合物をいい、イソシアヌレート構造を有するものを包含する。)、多官能性メラミン化合物(メチル化メチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミン等)、多官能性エポキシ化合物(ジグリシジルアニリン、グリセリンジグリシジルエーテル等)、多官能性オキサゾリン化合物、多官能性アジリジン化合物、金属キレート化合物等を用いることができる。ここに開示される好ましいゲル分率を実現しやすいという観点から、架橋剤として、多官能イソシアネート(例えば、イソシアヌレート構造を有する多官能イソシアネート)を好ましく採用することができる。かかる多官能イソシアネートの使用は、透明性の高い粘着剤が得られやすいという点でも好ましい。
【0050】
多官能イソシアネートとしては、一分子中に二個以上のイソシアネート基を有する各種のイソシアネート化合物(ポリイソシアネート)から選択される一種または二種以上を用いることができる。かかる多官能イソシアネートの例として、脂肪族ポリイソシアネート類、脂環族ポリイソシアネート類、芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。
【0051】
脂肪族ポリイソシアネート類の具体例としては、1,2−エチレンジイソシアネート;1,2−テトラメチレンジイソシアネート、1,3−テトラメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート等のテトラメチレンジイソシアネート;1,2−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,5−ヘキサメチレンジイソシアネート等のヘキサメチレンジイソシアネート;2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、等が挙げられる。
【0052】
脂環族ポリイソシアネート類の具体例としては、イソホロンジイソシアネート;1,2−シクロヘキシルジイソシアネート、1,3−シクロヘキシルジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート等のシクロヘキシルジイソシアネート;1,2−シクロペンチルジイソシアネート、1,3−シクロペンチルジイソシアネート等のシクロペンチルジイソシアネート;水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクヘキシルメタンジイソシアネート、等が挙げられる。
【0053】
芳香族ポリイソシアネート類の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、等が挙げられる。
【0054】
本発明にとり好ましい架橋剤として、一分子当たり平均して3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネートが例示される。かかる3官能以上のイソシアネートは、2官能または3官能以上のイソシアネートの多量体(典型的には二量体または三量体)、誘導体(例えば、多価アルコールと二分子以上の多官能イソシアネートとの付加反応生成物)、重合物等であり得る。例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの二量体や三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(イソシアヌレート構造の三量体付加物)、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物。ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、等の多官能性イソシアネートが挙げられる。このような3官能以上のイソシアネートを架橋剤に用いることにより、ここに開示される好ましいゲル分率をより的確に(例えば、ゲル分率が不足する事態を防止して安定的に)実現することができる。かかる多官能イソシアネートの使用は、透明性の高い粘着剤が得られやすいという点でも好ましい。2官能以上のイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート)のイソシアヌレート体が特に好ましい。
【0055】
ここに開示される技術における架橋剤として利用可能な多官能イソシアネートの市販品としては、旭化成ケミカルズ社製の商品名「デュラネートTPA−100」、日本ポリウレタン工業社製の商品名「コロネートL」、同「コロネートHL」、同「コロネートHK」、同「コロネートHX」、同「コロネート2096」等が挙げられる。
【0056】
このような架橋剤は、一種を単独で、あるいは二種以上を適宜組み合わせて使用することができる。ポリエステル樹脂100質量部に対する架橋剤の使用量(複数の架橋剤を併用する場合にはそれらの合計量)は、通常、20質量部以下(典型的には0.001〜20質量部)とすることが適当であり、15質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下とすることがより好ましい。架橋剤の使用量が多すぎると、架橋後において得られる粘着剤の粘着力が低下しやすくなる。また、通常は、ポリエステル樹脂100質量部に対する架橋剤の使用量を0.01質量部以上とすることが適当であり、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。架橋剤の使用量が少なすぎると、粘着剤の凝集力が不足して、耐熱保持性が低下しやすくなることがある。架橋剤として多官能イソシアネート(典型的には3官能以上のイソシアネート)を用いる場合には、上記使用量が特に好ましく適用され得る。なお、ポリエステル樹脂E,Eの架橋に用いられる架橋剤の種類および使用量は、同一であってもよく、異なってもよい。
【0057】
層LA,LBの形成に用いられるポリエステル樹脂組成物CA,CBは、上記架橋剤(例えば、多官能イソシアネート)に加えて、該架橋剤の架橋反応を促進可能な架橋触媒を含み得る。かかる架橋触媒としては、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、等の有機金属化合物、;ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、等の塩基性化合物;p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸、β−ヒドロキシエチルアクリレートの燐酸エステル、モノアルキル亜燐酸、ジアルキル亜燐酸、等の酸性化合物;等が挙げられる。このような架橋触媒は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。ポリエステル樹脂E,Eの架橋に用いられる架橋助剤の種類および使用量は、同一であってもよく、異なってもよい。また、層LA,LBのうち一方のみに架橋助剤を用いてもよく、両方に用いてもよい。
【0058】
ポリエステル樹脂Eの酸価は、7mgKOH/g以下(典型的には、0〜7mgKOH/g)であることが好ましく、より好ましくは3mgKOH/g以下、特に好ましくは1mgKOH/g以下(例えば0.5mgKOH/g以下)である。ポリエステル樹脂Eの酸価は、3mgKOH/g以下(典型的には、0〜3mgKOH/g)であることが好ましく、より好ましくは1mgKOH/g以下、特に好ましくは0.5mgKOH/g以下(例えば0.2KmgOH/g以下)である。ポリエステル樹脂E,Eのいずれかの酸価が上記範囲よりも大きすぎると、ここに開示される好ましいゲル分率を有する層LA,LBが形成され難くなる場合がある。イソシアネート基の架橋反応を利用するタイプの架橋剤を含む粘着剤組成物では、上記酸価を満たすポリエステル樹脂E,Eを用いることが特に効果的である。ここに開示される技術の好ましい一態様では、ポリエステル樹脂E,Eの酸価がいずれも1mgKOH/g以下(好ましくは0.5mgKOH/g以下、例えば0.2mgKOH/g以下)である。かかる構成の粘着剤層は、酸性基の含有量が少ないので金属腐食性が低い。このような粘着剤層を備える粘着シートは、例えば、金属面に直接貼り付けられる用途向けの粘着シート(例えば、電子部品の接合に用いられる粘着シート)として好適である。
【0059】
なお、酸価の測定は、水を含む適当な溶媒(測定対象たるポリエステル樹脂の良溶媒が好ましく、通常は水と有機溶媒との混合溶媒が用いられる。)に測定対象のポリエステル樹脂を0.5〜2質量%程度の濃度で溶解した滴定用サンプル溶液を調整し、この溶液を0.05〜0.5規定程度のKOH溶液(溶媒としては、水、または水と有機溶媒との混合溶媒が用いられる。)により中和滴定することにより行うことができる。
【0060】
上記層LAは、本発明の効果を大きく損なわない限りにおいて、ポリエステル樹脂Eに属さないポリエステル樹脂E(ポリエステル樹脂Eに属するポリエステル樹脂であってもよく、ポリエステル樹脂E,Eのいずれにも属さないポリエステル樹脂であってもよい。)を含有し得る。通常は、層LAに含まれるポリエステル樹脂の総量を100質量%として、そのうちポリエステル樹脂Eの含有量(二種以上を含む場合にはそれらの合計量)を25質量%以下とすることが適当であり、10質量%以下とすることが好ましい。ポリエステル樹脂Eの含有量が5質量%であってもよく、ポリエステル樹脂Eを実質的に含有しない(すなわち、ポリエステル樹脂が実質的にポリエステルEのみからなる)層LAであってもよい。
【0061】
上記層LBは、本発明の効果を大きく損なわない限りにおいて、ポリエステル樹脂Eに属さないポリエステル樹脂E(ポリエステル樹脂Eに属するポリエステル樹脂であってもよく、ポリエステル樹脂E,Eのいずれにも属さないポリエステル樹脂であってもよい。)を含有し得る。通常は、層LBに含まれるポリエステル樹脂の総量を100質量%として、そのうちポリエステル樹脂Eの含有量(二種以上を含む場合にはそれらの合計量)を25質量%以下とすることが適当であり、10質量%以下とすることが好ましい。ポリエステル樹脂Eの含有量が5質量%であってもよく、ポリエステル樹脂Eを実質的に含有しない(すなわち、ポリエステル樹脂が実質的にポリエステルEのみからなる)層LBであってもよい。
【0062】
ここに開示される技術における粘着剤層は、本発明の効果を大きく損なわない限りにおいて、ポリエステル樹脂以外のポリマー成分(ポリマーP)を含み得る。かかるポリマー成分は、例えば、アクリル系ポリマー、天然ゴム系ポリマー、合成ゴム系ポリマー、シリコーン系ポリマー等であり得る。ポリエステル樹脂との相溶性に優れたポリマー成分を選択することが好ましい。このようなポリマー成分は、層LA,LBのいずれかに含まれていてもよく、層LA,LBとは別の層として粘着剤層に含まれてもよい。すなわち、ここに開示される技術における粘着剤層は、層LA,層LBに加えて、これら以外の層をさらに含む積層構造であり得る。通常は、層LA,層LBのみからなる積層構造の粘着剤層が好ましい。通常は、粘着剤層全体に含まれるポリマー成分の量(ポリエステル樹脂とポリマーPとの合計量)を100質量%として、ポリマーPの使用量を25質量%以下とすることが適当であり、10質量%以下とすることが好ましい。ポリマーPの量が5質量%であってもよく、ポリマーPを実質的に使用しない(すなわち、ポリマー成分が実質的にポリエステル樹脂のみからなる)粘着剤層であってもよい。
【0063】
ここに開示される技術における粘着剤層は、必要に応じて、粘着付与樹脂を含有することができる。かかる粘着付与樹脂は、層LA,LBの一方に含有されてもよく、両方に含有されてもよい。例えば、層LA(特に、粘着面を構成する層LA)が粘着付与樹脂を含有し、他の層は粘着付与剤を含有しない態様を好ましく採用し得る。
【0064】
粘着付与樹脂としては、従来公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、等が挙げられる。このような粘着付与樹脂は、一種を単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。バイオマス度向上の観点から、植物由来の原料より製造される粘着付与樹脂(例えば、植物由来のロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂等)を用いることが特に好ましい。
【0065】
層LA,LBの一方または両方(典型的には層LAのみ)に粘着付与樹脂を含有させる場合、その使用量(含有量)は、当該層に含まれるポリエステル樹脂100質量部に対して100質量部以下(典型的には0.1〜100質量部)とすることが適当であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。この使用量が10質量部以下であってもよく、5質量部以下であってもよい。粘着付与樹脂の使用量の下限は特に限定されないが、通常は、当該層に含まれるポリエステル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上(好ましくは1質量部以上)を用いることが適当である。この使用量が少なすぎると、粘着付与樹脂の使用効果が十分に得られ難くなる場合がある。粘着付与樹脂の使用量が多すぎると、架橋反応が阻害されて所望のゲル分率が実現され難くなったり、ポリエステル樹脂との相溶性が不足して粘着力が低下傾向となったりすることがあり得る。
【0066】
粘着付与樹脂を用いる態様において、より耐熱保持性のよい粘着剤を得るという観点からは、軟化点が40℃以上(より好ましくは60℃以上、特に好ましくは80℃以上)の粘着付与樹脂を用いることが好ましい。粘着付与樹脂の軟化点の上限は特に限定されないが、入手容易性やポリエステル樹脂との相溶性の観点から、通常は、軟化点が130℃以下の粘着付与樹脂の使用が好ましい。あるいは、粘着付与樹脂を使用しなくてもよい。ここに開示される技術の好ましい一態様は、粘着付与樹脂を実質的に含まない粘着剤層を備えた粘着シートである。
【0067】
ここに開示される粘着剤層を構成する各層には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、老化防止剤、界面活性剤等の一般的な添加剤を、本発明の効果を大きく損なわない限度において含有させることができる。
【0068】
粘着剤層の厚さ(層LA,LBを含む積層構造の粘着剤全体の厚さ)は特に限定されず、粘着シートの用途等に応じて適宜設定することができる。例えば、粘着剤層の厚さを15μm〜1000μm程度とすることができ、通常は20μm〜500μm程度が好ましく、さらに好ましくは50μm〜200μm程度である。
【0069】
ここに開示される粘着シートが粘着剤層を支持(裏打ち)する基材を備える場合、該基材としては、従来公知の各種のものを使用することができる。例えば、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等の紙類;綿繊維、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリオレフィン繊維(ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等)、アクリル系繊維等の繊維状物質(天然繊維、半合成繊維、合成繊維を包含する。)の、単独または混紡等による織布や不織布等の布類;ポリオレフィン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体、プロピレンのホモポリマー、プロピレンのランダムコポリマー、プロピレンのブロックコポリマー等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリウレタン、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、セロハン等の各種プラスチック材料によるプラスチックフィルム、多孔質プラスチックシート等のプラスチック基材;;天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート類;発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等の発泡体からなる発泡体シート類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体;等を用いることができる。上記プラスチックフィルムは、無延伸タイプであってもよく、延伸タイプ(一軸延伸タイプまたは二軸延伸タイプ)であってもよい。また、基材として上記多孔質プラスチックシートや不織布等を使用する場合には、その片面(典型的には、粘着剤層が形成される面とは反対の面、すなわち背面)に、プラスチックフィルムやシート等の非多孔性基材を積層することができる。
【0070】
前記基材は、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の、通常の粘着テープ用基材(支持体)に用いられる各種添加剤を含むことができる。基材の表面(特に、粘着剤層が設けられる側の表面)には、粘着剤層の基材投錨性を高めるのに役立ち得る慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよく、下塗り剤によるコーティング処理等が施されていてもよい。また、粘着剤層に対する剥離性を付与するために、例えば、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂等の剥離処理剤等によるコーティング処理(剥離処理)が施されていてもよい。
【0071】
前記基材(支持体)の厚さは、その材質や形態などに応じて適宜選択することができ、例えば1μm〜1000μm程度とすることができる。通常は、厚さ2μm〜500μmの基材が好ましく、より好ましくは3μm〜300μm、さらに好ましくは5μm〜250μm(例えば10μm〜200μm)程度である。
【0072】
ここに開示される積層構造の粘着剤層は、例えば、該粘着剤層を構成する各層を(典型的には、ポリエステル樹脂Eを含む層およびポリエステル樹脂Eを含む層を少なくとも一つづつ)予め形成した後に、それらの層を積層する(貼り合わせる)ことにより好適に作製され得る。ポリエステル樹脂E,Eを架橋させる時期は、上記積層の前であってもよく、上記積層の後であってもよく、積層前および積層後を含む時期であってもよい。したがって、この明細書により開示される事項には、層LAと層LBとが積層された構成の粘着剤層を備える粘着シートの製造方法であって、ポリエステル樹脂Eを含む組成物CAを剥離性の基材表面に付与すること;ポリエステル樹脂Eを含む組成物CBを剥離性または非剥離性の基材表面に付与すること;上記基材表面に付与された組成物CA,CBを重ね合わせること;上記基材への付与後であって上記重ね合わせの前および/または後に上記Eを架橋させて層LAを形成すること;上記基材への付与後であって上記重ね合わせの前および/または後に上記Eを架橋させて層LBを形成すること;を包含する粘着シートの製造方法が含まれる。上記組成物CA,CBは、典型的には更に架橋剤を含有する。
上記積層構造の粘着剤層を作製する他の方法としては、各層の形成に用いられる組成物を他の層の表面に直接塗布し、必要に応じて乾燥させた後に架橋させる方法が挙げられる。これらの方法を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤層を構成する各層の形成にあたっては、各層に対応する成分を適当な溶剤中に含む溶液、分散液(典型的にはエマルション)、各層に対応する成分の熱溶融液等を、剥離性または非剥離性の基材、あるいは他の層の表面に塗布するとよい。上記塗布に際しては、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等の、従来公知の塗工機を用いることができる。
【0073】
上記剥離ライナーとしては、従来公知のものを特に限定なく用いることができる。基材の表面に剥離処理が施された構成の剥離ライナーを好適に用いることができる。この種の剥離ライナーを構成する基材(剥離ライナー用基材)としては、各種のプラスチックフィルム類(例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂を原料とするプラスチックフィルム類)、紙類、布類、ゴムシート類、発泡体シート類、金属箔、これらの複合体(例えば、紙の両面にオレフィン樹脂がラミネートされた積層構造のシート)等を適宜選択して用いることができる。上記剥離処理は、公知または慣用の剥離処理剤(例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離処理剤)を用いて常法により行うことができる。また、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物)、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)等の低接着性の基材を、該基材の表面に剥離処理を施すことなく剥離ライナーとして用いてもよい。あるいは、かかる低接着性の基材にさらに剥離処理を施したものを用いてもよい。なお、剥離ライナー用基材の構造は、単層であってもよく、複数の層を備える積層構造であってもよい。上記剥離ライナー用基材の厚さは、目的に応じて適宜選択することができる。
【0074】
ここに開示される粘着シートの好ましい一態様では、後述する実施例に記載の条件で行われるSUS粘着力が10N/20mm以上(より好ましくは15N/20mm以上)であり、且つ、耐熱保持性が100℃以上(より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上)である。このように粘着力と耐熱保持性とが高レベルで両立した粘着シートは、種々の分野において好ましく利用され得る。
【0075】
本発明を実施するにあたり、上記構成により本願の目的が達成される理由を明らかにする必要はないが、例えば次のことが考えられる。すなわち、一般的な粘着剤では、該粘着剤を構成するポリマーの分子量が大きくなると、その凝集力は概して向上する傾向にある。しかし、ポリエステル系粘着剤では、通常、ポリエステルの両末端にある官能基(典型的には水酸基および/またはカルボキシル基)を架橋剤と反応させることで所望の凝集力(耐熱保持性等の耐熱性に関連する。)を発揮させる構成をとっていることから、より高分子量のポリエステル樹脂を用いると、架橋間の距離が長くなることにより耐熱性が低下傾向となる。また、より低分子量のポリエステル樹脂を用いると、架橋間の距離が短くなることにより粘着力が低下傾向となる。このように耐熱性と粘着力とが相反する関係にあるため、単純にポリエステル樹脂の分子量や架橋の程度(ゲル分率)を調節することで耐熱性と粘着力とのバランスをとろうとしても、両性能を高レベルで両立させることは困難であった。本発明に係る粘着シートは、互いにMwの異なるポリエステル樹脂E,Eをそれぞれ架橋してなる層LA,LBが積層された形態の粘着剤層を備え、しかも該粘着剤層の少なくとも一方の表面(粘着面)に層LAが露出した構成を有する。かかる構成によると、架橋間距離の長い層LA(粘着力を重視した層)と、架橋間距離の短い層LB(耐熱性(耐熱保持性)を重視した層)との組み合わせによる相乗効果、および、少なくとも一方の粘着面が層LAにより構成されていることにより、耐熱性と粘着力とを高レベルで両立する粘着シートが実現されたものと考えられる。
【0076】
以下、本発明に関連するいくつかの実験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。また、以下の説明中の各特性は、次の方法により測定または評価した。
【0077】
[重量平均分子量(Mw)]
表1に示す各ポリエステル0.01g(固形分基準)を秤量し、10gのテトラヒドロフラン(THF)に添加した後、24時間放置して溶解させた。このTHF溶液につき、東ソー(TOSOH)社製のGPC装置、型式「HLC−8120GPC」を用いて以下の条件でGPC測定を行い、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
GPC測定条件
・カラム:東ソー社製、TSKgel G6000H6
・カラムサイズ:内径7.5mm×長さ30.0cm
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流量:0.300mL/分
・カラム温度:40℃
・検出器:RI(示差屈折計)
・サンプル注入量:20μL
【0078】
[ゲル分率]
各例に係る粘着シートをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムごと5cm×5cmのサイズに切り出した。そこから粘着剤層(架橋後粘着剤サンプル)のみを採取して、テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質シート(平均孔径0.2μm、厚さ0.2mm)を適当なサイズに裁断したもの(質量Wmg)で包み、その包みの質量(Wmg)を測定した。この包みをトルエンに浸漬して23℃で7日間静置することにより、上記架橋後粘着剤サンプル中のトルエン可溶分を抽出した。その後、トルエン中から包みを引き上げて120℃で2時間乾燥し、乾燥後における包みの質量(Wmg)を測定した。各値を以下の式:
ゲル分率[%]=(W−W)/(W−W)×100;
に代入することにより、架橋後粘着剤のゲル分率を算出した。上記テトラフルオロエチレン樹脂製多孔質シートとしては、日東電工株式会社製の商品名「ニトフロン(登録商標)NTF1122」を使用した。
【0079】
[粘着力]
各例に係る粘着シートから、粘着剤層の片面を覆うPETフィルムを剥がして粘着面を露出させた。その粘着面に、表面にコロナ処理が施された厚さ25μmのPETフィルムを貼り合わせて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを、粘着剤層の他面を覆うPETフィルムごと幅20mmの帯状にカットして試料片を作製した。上記試料片から、粘着剤層の他面を覆うPETフィルムを剥がし、露出した粘着面をSUS304ステンレス板(被着体)に、2kgのローラを1往復させる方法で圧着した。この貼り付け(圧着)から30分後に、JIS C 2107に準じて、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下、引張試験機を使用して、引張速度300mm/分、引張角度180°(180度引きはがし法)の条件で、SUSに対する粘着力(N/20mm幅)を測定した。
【0080】
[耐熱保持性]
各例に係る粘着シートから、粘着剤層の片面を覆うPETフィルムを剥がして粘着面を露出させ、その粘着面に、厚さ90μmのアルミニウムシートを貼り合わせて裏打ちした。この裏打ちされた粘着シートを、粘着剤層の他面を覆うPETフィルムごと幅10mm、長さ100mmのサイズにカットして、各例につき3つの試料片を作製した(すなわちn=3)。上記試料片から、粘着剤層の他面を覆うPETフィルムを剥がし、露出した粘着面を、被着体としてのベークライト板(幅25mm、長さ125mm、厚さ2mm)に、幅10mm、長さ20mmの接着面積にて、5kgのローラを1往復させる方法で圧着した。このようにして被着体に貼り付けた試料片を所定の測定温度条件下に30分間放置した後、該試料片の自由端に500gの荷重を付与し、該荷重が付与された状態で同温度条件下に1時間放置した。測定温度を40℃から10℃刻みに高くして、各例につき3つの試料片の全てが被着体に貼り付けられた状態で1時間保持されていた最高温度を、当該例に係る粘着シートの耐熱保持温度とした。
【0081】
<ポリエステル樹脂A−1の合成>
攪拌機、温度計および流出用冷却器を備えた反応容器内に、ダイマージオール(クローダジャパン社製、商品名「プリポール(PRIPOL)2033」、Mw534)100部、ダイマー酸(クローダジャパン社製、商品名「プリポール1009」、Mw566)99.0部、および重合触媒としてのチタンテトライソプロポキシド(和光純薬製。表1中では「Ti(OiPr)」と表記する。)0.5部を仕込んだ。反応容器内を0.8kPaまで減圧しつつ200℃まで加熱し、脱水縮合反応による生成水を留去しながら同温度に6時間保持した後、反応系にトルエンを加えて冷却することにより、ポリエステル樹脂A−1のトルエン溶液(ポリエステル濃度50%)を得た。
【0082】
<ポリエステル樹脂A−2の合成>
ダイマージオール100部に対するダイマー酸の仕込み量を98.8部に変更した点以外はポリエステル樹脂A−1と同様にして、ポリエステル樹脂A−2のトルエン溶液(ポリエステル濃度50%)を得た。
【0083】
<ポリエステル樹脂A−3の合成>
ダイマージオール100部に対するダイマー酸の仕込み量を100.9部に変更した点以外はポリエステル樹脂A−1と同様にして、ポリエステル樹脂A−3のトルエン溶液(ポリエステル濃度50%)を得た。
【0084】
<ポリエステル樹脂A−4の合成>
ダイマージオール100部に対するダイマー酸の仕込み量を95.5部に変更した点以外はポリエステル樹脂A−1と同様にして、ポリエステル樹脂A−4のトルエン溶液(ポリエステル濃度50%)を得た。
【0085】
<ポリエステル樹脂B−1の合成>
ダイマージオール100部に対するダイマー酸の仕込み量を44.2部に変更した点、および加熱後に反応系にトルエンを加える操作を行わなかった点を除いてはポリエステル樹脂A−1と同様にして、ポリエステル樹脂B−1を得た。
【0086】
<ポリエステル樹脂B−2の合成>
ダイマージオール100部に対するダイマー酸の仕込み量を40.8部に変更した点を除いてはポリエステル樹脂B−1と同様にして、ポリエステル樹脂B−2を得た。
【0087】
<ポリエステル樹脂B−3の合成>
ダイマージオール100部に対するダイマー酸の仕込み量を53.0部に変更した点を除いてはポリエステル樹脂B−1と同様にして、ポリエステル樹脂B−3を得た。
【0088】
<ポリエステル樹脂B−4の合成>
ダイマージオール100部に対するダイマー酸の仕込み量を88.3部に変更した点を除いてはポリエステル樹脂B−1と同様にして、ポリエステル樹脂B−4を得た。
以上で説明した各ポリエステル樹脂のMwを、該ポリエステル樹脂の概要とともに表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
<例1>
ポリエステル樹脂A−1のトルエン溶液に、該樹脂の固形分100部に対して2.5部のポリイソシアネート系架橋剤(旭化成ケミカルズ社製、商品名「デュラネートTPA−100」、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体。以下、TPA−100と表記する。)と、架橋助剤(触媒)として0.1部のチタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)(マツモトファインケミカル社製のチタン系触媒、商品名「オルガチックスTC−750」。以下、TC−750と表記する。)とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CA−1を調製した。表面に剥離処理が施されたPETフィルムを用意し、該PETフィルムの剥離面に上記組成物CA−1を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布した。この塗布物を100℃で3分間乾燥させた後、さらに50℃の雰囲気下に3日間保持することにより、PETフィルムの剥離面上に層LA−1を形成した。この層LA−1のゲル分率を上記方法により測定したところ、42%であった。
ポリエステル樹脂B−1の固形分100部に対して、35部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CB−1を調製した。表面に剥離処理が施されたPETフィルムの剥離面に上記組成物CB−1を、乾燥後の厚みが400μmとなるように塗布した。この塗布物を100℃で3分間乾燥させた後、さらに50℃の雰囲気下に3日間保持することにより、PETフィルムの剥離面上に層LB−1を形成した。この層LB−1のゲル分率は85%であった。
層LB−1の両面に層LA−1をハンドローラーで貼り合わせた。このようにして、三層構造(すなわち、LA−1/LB−1/LA−1の積層構造)の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0091】
<例2>
例1の層LA−1形成において、PETフィルムの剥離面上に組成物CA−1を、乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布した。その他の点については例1と同様にして層LA−2を形成した。ゲル分率は42%であった。
また、例1の層LB−1形成において、PETフィルムの剥離面上に組成物CB−1を、乾燥後の厚みが200μmとなるように塗布した。その他の点については例1と同様にして層LB−2を形成した。ゲル分率は85%であった。
層LB−2の両面に層LA−2を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0092】
<例3>
例1の層LA−1形成において、PETフィルムの剥離面上に組成物CA−1を、乾燥後の厚みが80μmとなるように塗布した。その他の点については例1と同様にして層LA−3を形成した。ゲル分率は42%であった。
また、例1の層LB−1形成において、PETフィルムの剥離面上にCB−1を、乾燥後の厚みが100μmとなるように塗布した。その他の点については例1と同様にして層LB−3を形成した。ゲル分率は85%であった。
層LB−3の両面に層LA−3を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0093】
<例4>
ポリエステル樹脂A−2の固形分100部に対して、3部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CA−4を調製した。この組成物を用いた点以外は例2の層LA−2形成と同様にして、厚さ20μmの層LA−4を形成した。ゲル分率は42%であった。
ポリエステル樹脂B−2の固形分100部に対して、35部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CB−4を調製した。この組成物を用いた点以外は例2の層LB−2形成と同様にして、厚さ200μmの層LB−4を形成した。ゲル分率は88%であった。
層LB−4の両面に層LA−4を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0094】
<例5>
ポリエステル樹脂A−3の固形分100部に対して、3.5部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CA−5を調製した。この組成物を用いた点以外は例2の層LA−2形成と同様にして、厚さ20μmの層LA−5を形成した。ゲル分率は58%であった。
ポリエステル樹脂B−3の固形分100部に対して、15部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CB−5を調製した。この組成物を用いた点以外は例2の層LB−2形成と同様にして、厚さ200μmの層LB−5を形成した。ゲル分率は81%であった。
層LB−5の両面に層LA−5を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0095】
<例6>
ポリエステル樹脂A−4の固形分100部に対して、10部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CA−6を調製した。この組成物を用いた点以外は例2の層LA−2形成と同様にして、厚さ20μmの層LA−6を形成した。ゲル分率は83%であった。
ダイマージオール(クローダジャパン社製、商品名「プリポール(PRIPOL)2033」、Mw534)100部に対して、30部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリウレタン樹脂組成物CB−6を調製した。この組成物を用いた点以外は例2の層LB−2形成と同様にして、厚さ200μmの層LB−6を形成した。ゲル分率は97%であった。
層LB−6の両面に層LA−6を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0096】
<例7>
ポリエステル樹脂B−5の固形分100部に対して、5部のTPA−100と、0.1部のTC−750とを配合して、ポリエステル樹脂組成物CB−7を調製した。この組成物を用いた点以外は例2の層LB−2形成と同様にして、厚さ200μmの層LB−7を形成した。ゲル分率は75%であった。
層LB−7の両面に、例6で作製した層LA−6を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0097】
<例8>
例6で作製した層LB−6の両面に、例2で作製した層LA−2を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0098】
<例9>
例2で作製した層LB−2の両面に、例6で作製した層LA−6を貼り合わせることにより、三層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートを得た。
【0099】
<例10>
例1で作製した層LA−1を、そのまま、単層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートとして用いた。
【0100】
<例11>
例1で作製した層LB−1を、そのまま、単層構造の粘着剤層からなる基材レスの粘着シートとして用いた。
【0101】
これらの粘着シートにつき、上述の方法を適用して、SUS粘着力および耐熱保持温度を測定した。得られた結果を表2に示す。なお、表2中のMwは、各層の形成に使用したポリエステル樹脂の重量平均分子量である。
【0102】
【表2】

【0103】
上記表に示されるように、Mwが0.2×10〜1×10のポリエステル樹脂Eを用いてなる層LBの両表面にMwが4×10〜12×10のポリエステル樹脂Eを用いてなる層LAが積層された三層構造の粘着剤層を備える例1〜5の粘着シートは、いずれも、SUS粘着力が10N/20mm以上(例1〜4では15N/20mm以上)であり、且つ耐熱保持性が100℃以上(例2〜5では140℃以上)という、粘着力および耐熱保持性という相反する特性を同時に高レベルで実現するものであった。
【0104】
これに対して、層LA,LBの少なくとも一方が本発明におけるポリエステル樹脂E,Eに該当しない材料を用いて形成された例6〜9は、例1〜5に比べて、粘着力および耐熱保持性が明らかに低かった。例1における層LA−1を単独で評価した例10は耐熱保持性が低かった。また、例1における層LB−1を単独で評価した例11は、粘着力が低く、耐熱保持性も不足していた。
【0105】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0106】
1,2,3,4,5,6:粘着シート
10:基材
21,22:粘着剤層
31,32:剥離ライナー
212:層LB
214,216:層LA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル樹脂を主成分とする粘着剤層を備えた粘着シートであって、
前記粘着剤層は、重量平均分子量4×10〜12×10のポリエステル樹脂Eが架橋されてなる層LAと、重量平均分子量0.2×10〜1×10のポリエステル樹脂Eが架橋されてなる層LBと、をそれぞれ一つ以上含む積層構造を有し、
前記粘着剤層の少なくとも一方の表面は前記層LAにより構成されている、粘着シート。
【請求項2】
前記粘着剤層は、前記層LAを少なくとも二つ含み、該粘着剤層の一方の表面および他方の表面はそれぞれ第一の層LAおよび第二の層LAにより構成されている、請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記層LAのゲル分率が30〜65%である、請求項1または2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記層LBのゲル分率が70〜90%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項5】
前記粘着剤層の少なくとも一方の表面を構成する層LAの厚みTLAが5μm〜100μmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記粘着剤層の少なくとも一方の表面を構成する層LAの背面には前記層LBが積層されており、該層LBの厚みTLBが10μm〜2000μmである、請求項1から5のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項7】
前記粘着剤層の少なくとも一方の表面は厚みTLAの層LAにより構成され、該層LAの背面には厚みTLBの層LBが積層されており、TLAとTLBとが、次式:1<TLB/TLA≦50;の関係を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項8】
前記ポリエステル樹脂Eおよび前記ポリエステル樹脂Eの少なくとも一方は、3官能以上の多官能イソシアネートにより架橋されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項9】
前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の組み合わせは、前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および多価アルコール成分の組み合わせと同一である、請求項1から8のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
【請求項10】
前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分および前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価カルボン酸成分のうち少なくとも一種の多価カルボン酸は、不飽和脂肪酸が二量体化した構造の脂肪族ジカルボン酸である、請求項1から9のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項11】
前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価アルコール成分および前記ポリエステル樹脂Eを構成する多価アルコール成分のうち少なくとも一種の多価アルコールは、不飽和脂肪酸が二量体化してなる脂肪族ジカルボン酸を水添した構造の脂肪族ジオールである、請求項1から10のいずれか一項に記載の粘着シート。
【請求項12】
前記ポリエステル樹脂E,Eは、いずれも、ダイマー酸とダイマージオールとの重縮合物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の粘着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−116858(P2011−116858A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275347(P2009−275347)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】