説明

粘着テープ、及び粘着テープ巻取体とその製造方法

【課題】コブが生じ難い粘着テープ及びその巻取体の提供。
【解決手段】基材と、該基材の一面に形成された粘着剤層と、を含んでなり、前記基材のMD方向の応力緩和率が70%以上であり、TD方向に対するMD方向の1%モジュラスの比(MD/TD)が0.55以上である粘着テープを提供する。この粘着テープは、基材に上記の応力緩和率と弾性率比が付与されていることで、紙巻への巻きつけ時に生じた応力集中が巻きつけ後に迅速に緩和されるため、巻取体とされた際にコブを発生し難い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、粘着テープ、及び粘着テープ巻取体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙、あるいはポリ塩化ビニル及びポリオレフィン等の樹脂などからなる基材上に、ゴム及びアクリル樹脂などからなる粘着剤層を形成した粘着テープが、包装、保護、マスキング及び固定・結束などの用途で用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらの粘着テープは、一般に、紙巻に巻き取った巻取体として製造され、保管及び流通されている。巻取体の保管、流通時の問題として、「コブ」と称される巻取体の変形がある。コブは、紙巻に巻き取られた粘着テープの一部が巻取体の外側方向に突出し、巻取体の外周面に凸を生じる現象をいう。コブは、気温が高くなる夏季に頻発し、特に巻取体への粘着テープの巻き取り開始位置で発生し易いことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−307237
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
巻取体にコブが生じると、粘着テープの外観が大きく損なわれ、品質上問題となる。そこで、本発明は、コブが生じ難い粘着テープ及びその巻取体を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、紙巻への巻きつけ時あるいは巻きつけ後に粘着テープに生じる応力集中がコブを生じさせる要因となっているものと推定し、このような応力集中を生じ難い粘着テープ巻取体の材料を種々検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、基材と、該基材の一面に形成された粘着剤層と、を含んでなり、前記基材のMD方向の応力緩和率が70%以上であり、TD方向に対するMD方向の1%モジュラスの比(MD/TD)が0.55以上である粘着テープを提供する。この粘着テープにおいて、前記基材は、ポリオレフィン系フィルムにより形成されたものとできる。
この粘着テープは、基材に上記の応力緩和率と弾性率比が付与されていることで、紙巻への巻きつけ時に生じた応力集中が巻きつけ後に迅速に緩和されるため、巻取体とされた際にコブを発生し難い。
【0007】
また、本発明は、上記の粘着テープを、緩衝材層を有する紙巻に巻きつけてなる粘着テープ巻取体を提供する。前記緩衝材層は、秤量100〜150g/mの発泡体からなるものが好適である。
緩衝材層を有する紙巻に巻きつけを行うことにより、巻きつけ時及び巻きつけ後の粘着テープの応力集中を一層抑制できる。
【0008】
さらに、本発明は、MD方向の応力緩和率が70%以上であり、TD方向に対するMD方向の1%モジュラスの比(MD/TD)が0.55以上である基材と、該基材の一面に形成された粘着剤層と、を含んでなる粘着テープを、緩衝材層を有する紙巻に巻きつける工程を含む、粘着テープ巻取体の製造方法をも提供する。
この製造方法においては、前記粘着テープを前記紙巻に巻き取り張力11〜24kg/mで巻きつけることが好適となる。
【0009】
本発明において、基材のMD方向(Machine Direction:縦方向)の応力緩和率は、以下のように測定される。まず、温度25℃、相対湿度50%の室内にて、縦100mm、横25mmの基材を島津製作所製オートグラフ(AGS−5kNX、引っ張り速度*10mm/min.)で引き伸ばし2kgの荷重が掛かった時点で止め、30秒間維持して、停止から900秒経過後の残存応力(フリー収縮強度)を測定する。応力2kgを初期応力(初期収縮強度)とし、下記式によって応力緩和率を算出する。
応力緩和率(%)=残存応力(MPa)/初期応力(MPa)×100
【0010】
また、MD方向及びTD方向(Transverse Direction:横方向)の1%モジュラスは、以下のように測定される。基材を島津製作所製オートグラフ(AGS−5kNX、引っ張り速度*10mm/min.)で引き伸ばし、基材が1%伸びた時の引っ張り強度を1%モジュラス値とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、コブが生じ難い粘着テープ及びその巻取体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0013】
1.基材
本発明に係る粘着テープは、基材と、該基材の一面に形成された粘着剤層を含んでなる。基材は、MD方向の応力緩和率が70%以上であり、TD方向に対するMD方向の1%モジュラスの比(MD/TD)が0.55以上である。
【0014】
MD方向の応力緩和率は70%以上が好ましく、75%以上がさらに好ましい。応力緩和率を70%以上とすることで、紙巻への巻きつけ時に粘着テープに生じた応力集中が巻きつけ後に迅速に緩和されるため、応力集中による巻取体のコブの発生を抑制できる。また、基材の応力緩和率が70%以上であることで、紙巻への巻きつけ後の粘着テープの伸びを抑制でき、巻取体のコブを一層生じ難くできる。
【0015】
また、1%モジュラス比(MD/TD)は、0.55以上が好ましく、0.60以上がさらに好ましい。基材の1%モジュラス比(MD/TD)を0.55以上とし、MD方向における弾性率をTD方向における弾性率に比して大きくすることで、MD方向の応力緩和をより生じ易くできる。1%モジュラス比(MD/TD)は、大き過ぎると粘着テープの縦切れが発生する場合がある。
【0016】
基材の材質は、上記の応力緩和率と弾性率比を付与可能な限りにおいて特に限定されず、紙、不織布及び各種樹脂などとできる。樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン(単独重合体、ランダム重合体、ブロック重合体を包含する)、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた少なくとも1種類以上のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデンまたはその共重合体、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂とPMMA樹脂の混合物、セロハンなどが挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これらの樹脂の中でも、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリプロピレンが特に好適に用いられる。
【0017】
基材には、物性を損なわない範囲で、各種添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、抗菌剤、着色剤、酸化防止剤、充填剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、滑剤、光安定剤、顔料などが挙げられる。
【0018】
基材の形成方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば基材の材料に上述の樹脂を用いる場合、Tダイから押出した樹脂を延伸してシート状に成形する方法を採用できる。この他、カレンダー法、キャスト法、インフレーション法、溶液流延法などの成形方法も採用できる。
【0019】
基材は、ポリオレフィン樹脂を縦横二軸延伸してフィルム状に形成したものが好ましく、特に二軸延伸ポリプロプレン(Oriented Polypropylene)フィルムが好ましい。
【0020】
基材の厚さは、上述の応力緩和率と弾性率比を付与可能な限りにおいて特に限定されないが、例えば20〜100μmとされる。
【0021】
2.粘着剤層
粘着剤層は、一般的に用いられる粘着剤を特に限定されることなく用いて形成できる。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などを用いることができる。粘着剤には、粘着付与剤、老化防止剤及び硬化剤などの各種添加剤を配合してもよい。
【0022】
一般に、ホットメルト接着剤を用いて粘着剤層を形成した場合、粘着剤層が柔らかくなるために、粘着テープ巻取体にコブが発生し易くなる傾向がある。これに対して、本発明に係る粘着テープでは、基材に所定の応力緩和率と弾性率比を付与することで、紙巻への巻きつけ時及び巻きつけ後の粘着テープの応力集中を緩和しているため、ホットメルト接着剤を用いて粘着剤層を形成した場合にも、巻取体のコブの発生を効果的に抑制できる。ホットメルト接着剤は、従来公知のものを採用でき、例えばスチレンーイソプレンースチレン共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−アクリル酸エチル共重合体などを主成分とするものを用いることができる。
【0023】
粘着剤層の形成方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えばグラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターを用いる方法を採用できる。
【0024】
粘着剤層の厚さは、15〜50μmが好ましく、20〜35μmがより好ましい。15μm未満では、粘着テープの粘着力が低くなる場合がある。一方、50μmを超えると、粘着剤を必要以上に厚塗りすることになりコストがかかる。
【0025】
本発明に係る粘着テープは、基材と粘着剤層に加えて他の層を含んでいてもよい。例えば、基材と粘着剤層との間には、両者の密着性を高めるための下塗り層(プライマー層)が積層されていてよい。また、基材の粘着剤層と反対側の面には、巻取体とされた粘着テープを展開し易くするための剥離剤層が積層されていてもよい。さらに、粘着剤層の基材と反対側の面には、セパレータを積層してもよい。下塗り層、剥離剤層及びセパレータは従来公知の材料により形成できる。
【0026】
3.巻取体
本発明に係る粘着テープを紙巻に巻きつけ巻取体とする場合、紙巻には緩衝材層を有するものを用いることが好ましい。緩衝材層を有する紙巻としては、例えば、板紙や厚ろ紙などの紙製あるいはプラスチック製の芯に、木材パルプに熱膨張性マイクロカプセルを配合して抄紙した発泡体シート及びポリエチレン発泡体シートなどを巻装したものを用いることができる。
【0027】
緩衝材層を有する紙巻に粘着テープの巻きつけを行うことにより、巻きつけ時及び巻きつけ後の粘着テープの応力集中を緩和でき、応力集中による巻取体のコブの発生を抑制できる。特に、緩衝材層を秤量100〜150g/mの低密度発泡体から形成することで、応力に対する紙巻の緩衝能を高めることができ、巻取体のコブの発生を効果的に抑制可能である。
【0028】
紙巻への粘着テープの巻きつけは、巻き取り張力が11〜24kg/m、好ましくは14〜24kg/mとなるように行うことが好ましい。巻き取り張力が11kg/m未満では、コブが発生し易くなる。また、巻き取り張力が24kg/mを超えると、巻き取られた粘着テープのずれ(テレスコープ)による外観不良が生じる傾向がある。
【実施例】
【0029】
<試験例1:基材の応力緩和率及び弾性率比の検討>
本試験例では、基材のMD方向の応力緩和率と、TD方向に対するMD方向の1%モジュラスの比(MD/TD)と、がコブの発生に及ぼす影響を検討した。
【0030】
[試験群1]
厚さ40μmの基材Aに、粘着剤としてSIS系のホットメルト粘着剤を厚みが25μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、粘着テープを得た。粘着テープ1000mm*100mを板紙製の紙巻に巻き取り張力12kg/mで巻き取り、巻取体を得た。巻取体を50mm幅に断裁してテープ25巻を温度40℃、相対湿度40%の雰囲気下に10日間静置後、コブが発生した巻取体数を評価した。
【0031】
基材Aは、ポリプロピレン樹脂を縦・横延伸して得たOPP(Oriented Polypropylene)フィルムである。基材AのMD方向の応力緩和率は77%であり、1%モジュラス比(MD/TD)は0.60であった。
【0032】
MD方向の応力緩和率は、以下のように測定した。まず、温度25℃、相対湿度50%の室内にて、縦100mm、横25mmの基材を島津製作所製オートグラフ(AGS−5kNX、引っ張り速度*10mm/min.)で引き伸ばし2kgの荷重が掛かった時点で止め、30秒間維持して、停止から900秒経過後の残存応力(フリー収縮強度)を測定する。応力2kgを初期応力(初期収縮強度)とし、下記式によって応力緩和率を算出する。
応力緩和率(%)=残存応力(MPa)/初期応力(MPa)×100
【0033】
また、1%モジュラス比(MD/TD)は、以下のように測定した。基材を島津製作所製オートグラフ(AGS−5kNX、引っ張り速度*10mm/min.)で引き伸ばし、基材が1%伸びた時の引っ張り強度を1%モジュラス値とした。
【0034】
[試験群2]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を16kg/mとした以外は試験群1と同様にして評価を行った。
【0035】
[試験群3]
厚さ40μmの基材Bを用いた以外は試験群1と同様にして評価を行った。
【0036】
基材Bは、ポリプロピレン樹脂を縦・横延伸して得たOPPフィルムである。基材BのMD方向の応力緩和率は66%であり、1%モジュラス比(MD/TD)は0.50であった。
【0037】
[試験群4]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を16kg/mとした以外は試験群3と同様にして評価を行った。
【0038】
[試験群5]
厚さ40μmの基材Cを用いた以外は試験群1と同様にして評価を行った。
【0039】
基材Cは、ポリプロピレン樹脂を縦・横延伸して得たOPPフィルムである。基材CのMD方向の応力緩和率は76%であり、1%モジュラス比(MD/TD)は0.51であった。
【0040】
[試験群6]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を16kg/mとした以外は試験群5と同様にして評価を行った。
【0041】
[試験群7]
厚さ40μmの基材Dを用いた以外は試験群1と同様にして評価を行った。
【0042】
基材Dは、ポリプロピレン樹脂を縦・横延伸して得たOPPフィルムである。基材CのMD方向の応力緩和率は71%であり、1%モジュラス比(MD/TD)は0.58であった。
【0043】
[試験群8]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を16kg/mとした以外は試験群5と同様にして評価を行った。
【0044】
[試験群9]
厚さ40μmの基材Eを用いた以外は試験群1と同様にして評価を行った。
【0045】
基材Eは、ポリプロピレン樹脂を縦・横延伸して得たOPPフィルムである。基材CのMD方向の応力緩和率は72%であり、1%モジュラス比(MD/TD)は0.59であった。
【0046】
[試験群10]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を16kg/mとした以外は試験群5と同様にして評価を行った。
【0047】
評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1に示されるように、試験群1,2,7〜10ではコブの発生は全くみられなかった。一方、試験群3〜6ではコブの発生が顕著であった。なお、試験群3及び試験群4では小型のコブ(高さ1mm未満)が多く発生し、試験群5及び試験群6では大型のコブ(高さ2mm以上)の発生が顕著であった。
【0050】
<試験例2:紙巻の検討>
本試験例では、通常紙巻と緩衝材層を有する紙巻とを用いて、巻取体のコブ発生頻度を検討した。
【0051】
[試験群1]
厚さ40μmの電気化学工業株式会社製多層基材F(PP(12μm)/PE(13μm)/カラリヤンYフィルム(18μm))に、粘着剤としてSIS系のホットメルト粘着剤を厚みが25μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、粘着テープを得た。粘着テープ1000mm*100mを板紙製の紙巻に巻き取り張力16kg/mで巻き取り、巻取体を得た。巻取体を50mmに断裁してテープ25巻を温度40℃、相対湿度40%の雰囲気下に10日間静置後、コブが発生した巻取体数を評価した。
【0052】
基材FのMD方向の応力緩和率は68%であり、1%モジュラス比(MD/TD)は0.52である。
【0053】
[試験群2]
紙巻を、緩衝材層を有する紙巻(立山製紙株式会社、フワットライト紙巻100、秤量100g/m)とした以外は、試験群1と同様にして評価を行った。
【0054】
[試験群3]
紙巻を、緩衝材層を有する紙巻(立山製紙株式会社、フワットライト紙巻150、秤量150g/m)とした以外は、試験群1と同様にして評価を行った。
【0055】
[試験群4]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を19kg/mとしたとした以外は、試験群1と同様にして評価を行った。
【0056】
[試験群5]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を19kg/mとしたとした以外は、試験群2と同様にして評価を行った。
【0057】
[試験群6]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力を19kg/mとしたとした以外は、試験群3と同様にして評価を行った。
【0058】
評価結果を表2に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
表2に示されるように、緩衝材層を有する紙巻を用いた巻取体(試験群2,3,5,6)では、通常紙巻を用いた巻取体(試験群1,4)に比して、顕著にコブの発生を抑制できた。
【0061】
<試験例3:巻き取り張力の検討>
本試験例では、紙巻への粘着テープの巻き取り張力が、コブの発生に及ぼす影響を検討した。
【0062】
[試験群1]
厚さ40μmの基材Aに、粘着剤としてSIS系のホットメルト粘着剤を厚みが25μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、粘着テープを得た。粘着テープ1000m*50mを巻き取り張力7.5kg/mで紙巻に巻き取り、巻取体を得た。巻取体50mm幅に断裁してテープ25巻を温度50℃、相対湿度40%の雰囲気下に10日間静置後、コブが発生した巻取体数を評価した。
【0063】
紙巻には、緩衝材層を有する紙巻(立山製紙株式会社、フワットライト紙巻100、秤量100g/m)を用いた。
【0064】
[試験群2〜6]
紙巻への粘着テープの巻き取り張力をそれぞれ10,14,16,20,24kg/mとしたとした以外は、試験群1と同様にして評価を行った。
【0065】
評価結果を表3に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
表3に示されるように、巻き取り張力が10kg/m以下(試験群1及び試験群2)ではコブが発生したが、巻き取り張力を14kg/m以上とした場合にはコブの発生はみられなかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る粘着テープは、保管時の変形による外観不良を生じず安定した品質の粘着テープとして、包装、保護、マスキング及び固定・結束などの種々用途に用いられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の一面に形成された粘着剤層と、を含んでなり、
前記基材のMD方向の応力緩和率が70%以上であり、TD方向に対するMD方向の1%モジュラスの比(MD/TD)が0.55以上である粘着テープ。
【請求項2】
前記基材が、ポリオレフィン系フィルムにより形成された請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の粘着テープを、緩衝材層を有する紙巻に巻きつけてなる粘着テープ巻取体。
【請求項4】
前記緩衝材層が、秤量100〜150g/mの発泡体からなる請求項3記載の粘着テープ巻取体。
【請求項5】
MD方向の応力緩和率が70%以上であり、TD方向に対するMD方向の1%モジュラスの比(MD/TD)が0.55以上である基材と、該基材の一面に形成された粘着剤層と、を含んでなる粘着テープを、緩衝材層を有する紙巻に巻きつける工程を含む、粘着テープ巻取体の製造方法。
【請求項6】
前記粘着テープを前記紙巻に巻き取り張力11〜24kg/mで巻きつける請求項5記載の製造方法。

【公開番号】特開2013−91731(P2013−91731A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234977(P2011−234977)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】