説明

粘着テープの貼着装置及び貼着方法

【課題】この発明はTCPに貼着された粘着テープから離型テープを確実に剥離できるようにした粘着テープの貼着装置を提供することにある。
【解決手段】TCP3を保持する吸着ヘッド18と、吸着ヘッドに保持されたTCPに対向するよう離型テープ20を所定方向に沿って間欠的に送る供給リール及び巻き取りリールと、離型テープが送られて所定長さに切断された粘着テープがTCPに対向したときに、離型テープの他方の面から粘着テープ19をTCPに加圧貼着する押圧ブロック34と、TCPに貼着された粘着テープから離型テープを剥離する剥離棒41と、剥離ローラによって離型テープを剥離するときにTCPに貼着された粘着テープを冷却するノズル体47を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は部品としてのTCP(Tape Carrier Package)を基板に実装する前に、このTCPに所定長さに切断された粘着テープを貼着する粘着テープの貼着装置及び貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶表示装置を製造する場合、基板としてのパネルに、部品としての上記TCPを実装するということが行われる。上記基板に対して上記TCPを実装する場合、熱硬化性の樹脂によって作られたテープ状の粘着テープ(ACF)が用いられる。
【0003】
従来は、上記TCPが実装される上記基板の側辺部の全長にわたって上記粘着テープを貼着し、上記基板の側辺部に複数のTCPを所定間隔で仮圧着するようにしていた。上記粘着テープは離型テープに貼着されているため、粘着テープを基板に貼着したならば、上記離型テープを剥離するということが行われる。
【0004】
離型テープを剥離したならば、加圧ツールによって上記TCPを加熱加圧し、粘着テープを溶融させて硬化させることで、上記TCPを上記基板に本圧着するということが行われる。
【0005】
ところで、最近では粘着テープの使用量を減少させて無駄をなくすため、上記離型テープに貼着された粘着テープを予め上記TCPの幅寸法に対応する長さ寸法に切断しておき、切断された粘着テープを上記TCPに貼着して離型テープを剥離してから、そのTCPを基板に仮圧着した後、本圧着するということが行われるようになってきている。
【0006】
TCPに所定長さに切断された貼着テープを貼着する場合や基板に粘着テープを貼着する場合のいずれであっても、粘着テープをTCPや基板(これらを纏めて部品という)に貼着したならば、上述したように粘着テープから離型テープを剥離するということが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−147089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記部品に上記粘着テープを貼着する場合、その粘着性を高めるために上記粘着テープを溶融硬化する温度よりも低い温度で加熱するようにしている。それによって、粘着テープが軟化するから、粘着性を高めることができる。
【0009】
ところで、所定長さに切断された粘着テープを加熱しながら上記部品に貼着した後、粘着テープが十分に冷却される前に、その粘着テープから離型テープを剥離すると、粘着テープは部品だけでなく、離型テープに対しても高い粘着性で貼着されている。
【0010】
離型テープは部品に比べて粘着テープが貼着し難い材料で作られているものの、部品に貼着された粘着テープから離型テープを剥離すると、粘着テープの粘着性が高い状態にあるために、離型テープによって粘着テープが引張られ、その端部が上記部品から剥がれて捲れ上がり、貼着不良を招くということがある。
【0011】
離型テープの剥離時に粘着テープの端部が捲れるのを防止するためには、部品に貼着された粘着テープの温度が十分に低下するまで待機してから、剥離作業を行なうようにすればよい。
【0012】
しかしながら、粘着テープの温度が十分に低下するまで離型テープの剥離作業を見合わせるようにしたのでは、剥離作業が終了するまでに時間が掛かることになるから、生産性の低下を招くということになる。
【0013】
この発明は、部品に貼着された粘着テープから離型テープを剥離するとき、貼着後に直ちに剥離するようにしても、粘着テープが離型テープに引張られてその端部が捲れ上がるのを防止できるようにした粘着テープの貼着装置及び貼着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、離型テープの一方の面に貼着されて所定長さに切断された粘着テープを部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記部品を保持する保持手段と、
この保持手段に保持された上記部品に対向するよう上記離型テープを所定方向に沿って間欠的に送るテープ送り手段と、
このテープ送り手段によって送られて所定長さに切断された上記粘着テープが上記部品に対向したときに、上記離型テープの他方の面から上記粘着テープを上記部品に加圧貼着する加圧手段と、
上記部品に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離する剥離手段と、
この剥離手段によって上記離型テープを剥離するときに上記部品に貼着された粘着テープを冷却する冷却手段と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【0015】
上記剥離手段は、上記離型テープに係合し上記粘着テープが貼着された上記部品に沿って駆動される剥離部材を有し、
上記冷却手段は、上記剥離部材と一体的に往復動するように設けられていることが好ましい。
【0016】
上記冷却手段は、上記部品に貼着された粘着テープに向かって気体を噴射するノズル体であって、
上記ノズル体からは、上記加圧手段によって上記部品に上記粘着テープが貼着され終わってから気体の噴射が開始されることが好ましい。
【0017】
上記保持手段と上記加圧手段の少なくとも一方には、上記部品を加熱するヒータが設けられていて、上記ノズル体から上記部品に貼着された粘着テープに向かって気体が噴射されるときに上記ヒータへの通電が遮断されることが好ましい。
【0018】
上記冷却手段は、上記部品に貼着された粘着テープに生じた静電気を除去するために、上記粘着テープに向かって除電気体を噴射する除電ノズル体であることが好ましい。
【0019】
この発明は、離型テープの一方の面に貼着されて所定長さに切断された粘着テープを部品に貼着する粘着テープの貼着方法であって、
上記離型テープを所定方向に沿って間欠的に送る工程と、
上記離型テープが送られて所定長さに切断された上記粘着テープが上記部品に対向したときに、上記離型テープの他方の面から上記粘着テープを上記部品に加圧貼着する工程と、
上記部品に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離する工程と、
上記部品に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離するときに上記部品に貼着された粘着テープを冷却する工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法にある。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、部品に貼着された粘着テープから離型テープを剥離するとき、粘着テープを冷却しながら剥離するようにしたから、貼着時に加熱されることで高くなった粘着テープの粘着性を低下させながら上記離型テープを剥離することができる。
【0021】
そのため、部品に貼着された粘着テープから離型テープを剥離するとき、粘着テープが離型テープによって引張られる度合を低減することができるから、粘着テープの端部が部品から捲れ上がるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の概略を示す構成図。
【図2】インデックステーブルとパネルテーブルを示す平面図。
【図3】貼着剥離ポジションの構成を示す側面図。
【図4】(a)は貼着剥離ポジションでTCPに粘着テープを貼着するときの説明図、(b)はTCPに貼着された粘着テープから離型テープを剥離するときの説明図。
【図5】図1に示す実装装置に用いられる貼着装置の平面図。
【図6】図5に示す貼着装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1乃至図6はこの発明の一実施の形態を示し、図1は電子部品の実装装置の全体構成を示す構成図である。この実装装置はたとえば液晶表示装置用のパネルなどの基板1を搬送する第1の搬送手段であるパネルテーブル2と、部品としてのTCP3を搬送する第2の搬送手段としてのインデックステーブル4を有する。
【0025】
上記パネルテーブル2はベース5上にX方向(図1の紙面に直交する方向)に沿って移動可能に設けられたXテーブル6を有する。このXテーブル6は上記ベース5に設けられた第1のX駆動源7によって上記ベース5上をX方向に沿って駆動されるようになっている。
【0026】
上記Xテーブル6にはX方向と直交するY方向(矢印で示す)に沿って移動可能なYテーブル8が設けられている。このYテーブル8は上記Xテーブル6に設けられた第1のY駆動源9によって図に矢印で示すY方向に沿って駆動されるようになっている。上記Yテーブル8にはθテーブル10が回転方向に移動可能に設けられ、上記Yテーブル8に設けられた第1のθ駆動源10aによって回転方向に駆動されるようになっている。
【0027】
そして、このθテーブル10の上面に上記基板1が供給され、たとえば真空吸着などの手段によって移動不能に保持される。それによって、上記基板1は上記パネルテーブル2によってXY及びθ方向に対して位置決め可能となっている。なお、θテーブル10は、基板1の周辺部がθテーブル10の周辺部から突出するよう、基板1よりも小さく形成されている。
【0028】
上記インデックステーブル4は、中心に回転軸11が設けられ、この回転軸11は第2のθ駆動源12によって図2に矢印Rで示す時計方向に所定角度ずつ間欠的に回転駆動されるようになっている。この実施の形態では、上記インデックステーブル4は90度の回転角度で間欠駆動されるようになっている。
【0029】
上記インデックステーブル4の上面には、保持手段を構成する4つの支持体13が周方向に90度間隔で設けられている。図1では2つの支持体13だけを図示し、他の支持体13を省略している。この支持体13は側面形状がL字状をなしていて、その垂直面には上下可動体14がリニアガイド15によって垂直方向に移動可能に支持されている。
【0030】
図1に示すように、上記支持体13の上端にはブラケット16が設けられ、このブラケット16には実装シリンダ17が軸線を垂直にし、かつロッド17aの先端を上記上下可動体14の上端に連結して設けられている。なお、図2においては上記実装シリンダ17の図示を省略している。
【0031】
各上下可動体14の下端面には上記保持手段を構成する実装手段として側面形状がL字状の吸着ヘッド18が設けられている。この吸着ヘッド18は、図2にAで示す受け取りポジションで後述する部品供給部21から供給されたTCP3を吸着保持し、上記基板1に実装(仮圧着)するようになっている。なお、インデックステーブル4は上述した受け取りポジションAの他に、B〜Dで示す3つのポジション、つまり合計で4つのポジションを有する。
【0032】
Bは受け取りポジションAで吸着ヘッド18に供給されたTCP3の端子部をブラシ(ともに図示せず)で洗浄する洗浄ポジション、Cは洗浄されたTCP3の端子部に図3に示すように離型テープ20に貼着された状態で所定長さに切断された異方性導電部材からなる粘着テープ19を後述するように貼着してから、その粘着テープ19から離型テープ20を剥離する貼着剥離ポジション、Dは端子部に粘着テープ19が貼着されたTCP3を基板1の側辺部の上面に上記粘着テープ19によって実装するための実装ポジションである。上記粘着テープ19は、熱硬化性の粘着性を有する樹脂によって作られている。
【0033】
上記部品供給部21は、図1に示すようにキヤリアテープ22から上記TCP3を打ち抜く金型23を有する。この金型23は上下方向に駆動される上型23aと、この上型23aに対向して固定的に配置された下型23bとを有し、上型23aにはポンチ24が設けられ、下型23bには上型23aが下降したときに上記ポンチ24が入り込む貫通孔25が設けられている。
【0034】
上記キヤリアテープ22は上型23aと下型23bとの間に通され、上型23aが下降することで上記TCP3が打ち抜かれ、上昇したときに+Yで示す矢印方向に所定ピッチで送られて新たにTCP3が打ち抜き可能な状態となる。
【0035】
上記下型23bの下方には受け具26が配置されている。この受け具26はXテーブル27に設けられたZ・θ駆動源28によって上下方向となるZ方向及び回転方向となるθ方向に駆動されるようになっている。上記Xテーブル27はYテーブル29に上記Y方向と直交するX方向に沿って移動可能に設けられている。このYテーブル29には上記Xテーブル27をX方向に沿って駆動する第2のX駆動源31が設けられている。
【0036】
上記Yテーブル29は図1に矢印で示すY方向に沿って配置されたベース32にY方向に沿って移動可能に設けられている。このベース32の一端には上記Yテーブル29をY方向に沿って駆動する第2のY駆動源33が設けられている。上記ベース32の他端は上記インデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置している。
【0037】
上記金型23によってキヤリアテープ22から打ち抜かれたTCP3を受け具26が受けて下降すると、Yテーブル29がY駆動源33によってベース32の一端から他端へ駆動される。それによって、TCP3を保持した受け具26が図1に鎖線で示すようにインデックステーブル4の受け取りポジションAの下方に位置決めされる。
【0038】
受け具26が受け取りポジションAの下方に位置決めされると、上記受け具26が上昇方向に駆動され、上下可動体14の下端に設けられた吸着ヘッド18によって上記受け具26に保持されたTCP3の端子部が設けられた一端部の上面を吸着する。
【0039】
吸着ヘッド18が受け取りポジションAでTCP3を吸着すると、インデックステーブル4が90度回転駆動され、その吸着ヘッド18が洗浄ポジションBに位置決めされる。洗浄ポジションBでは図示しないブラシによって吸着ヘッド18に吸着保持されたTCP3の端子部がブラッシングされる。それによって、端子部に付着した汚れが除去される。
【0040】
洗浄ポジションBでTCP3の汚れが除去されると、インデックステーブル4は90度回転駆動されて上記TCP3は貼着剥離ポジションCに位置決めされる。貼着剥離ポジションCでは、上記TCP3の端子部に所定長さに切断された粘着テープ19が貼着される。
【0041】
上記貼着剥離ポジションCにはテープの貼着装置が設けられている。この貼着装置は、図3と図4に示すように貼着剥離ポジションCに位置決めされた吸着ヘッド18の下方に対向して設けられた加圧手段としての押圧ブロック34を有する。この押圧ブロック34にはヒータ34aが内蔵されているとともに、その平面形状は上記吸着ヘッド18とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0042】
なお、図示しないが、上記吸着ヘッド18にもヒータを設けるようにしてもよく、吸着ヘッド18にヒータを設けた場合には、押圧ブロック34にはヒータ34aを設けなくともよい。
【0043】
上記押圧ブロック34は軸線を垂直にして配置された駆動シリンダ35のロッド35aに取付けられ、図3に矢印で示す上下方向に駆動可能となっている。それによって、上記駆動シリンダ35が作動して上記ロッド35aが突出方向に駆動されると、上記押圧ブロック34が上記吸着ヘッド18に向かって上昇する。
【0044】
上記押圧ブロック34の上面には、一方の面に上記粘着テープ19が貼着された上記離型テープ20が上記粘着テープ19を貼着した一方の面を上に向けて一対のガイドローラ37によってガイドされて図3に矢印で示す方向に走行駆動されるようになっている。
【0045】
上記粘着テープ19が貼着された離型テープ20は供給リール38から繰り出され、図示せぬ駆動源によって回転駆動される巻き取りリール39に巻き取られるようになっている。上記供給リール38と巻き取りリール39とでテープ送り手段を構成している。
【0046】
上記粘着テープ19は、上記押圧ブロック34の上面に対向する位置に搬送されてくる前に、図示しない切断機構によって所定長さに切断され、かつ所定長さに切断された粘着テープ19の隣り合う端部間に隙間19aができるよう、その端部間の部分が除去(中抜き)される。
【0047】
粘着テープ19の所定長さに切断された部分がTCP3の一端部を吸着保持した吸着ヘッド18の下方に位置決めされると、上記駆動シリンダ35が作動してそのロッド35aが突出方向に駆動される。
【0048】
上記ロッド35aが駆動されると、このロッド35aに設けられた押圧ブロック34が離型テープ20の上面の所定長さに切断された粘着テープ19に対応する部分の下面を押圧し、その部分を押し上げながら上昇する。
【0049】
それによって、図4(a)に示すように、所定長さに切断された上記粘着テープ19が上記押圧ブロック34に内蔵されたヒータ34aによって加熱されながら、吸着ヘッド18に吸着保持されたTCP3の一端部に貼着される。
【0050】
上記粘着テープ19が上記ヒータ34aによって加熱されると、粘着テープ19が軟化して粘着性が増大するから、粘着テープ19はTCP3に貼着され易くなる。
【0051】
そして、図4(b)に示すように、粘着テープ19をTCP3に貼着して押圧ブロック34が元の位置まで下降すると、剥離手段を構成する剥離部材としての剥離棒41が−Z方向に下降した後、+Y方向に駆動されて粘着テープ19に貼着された離型テープ20が剥離される。
【0052】
図5に示すように、上記剥離棒41は可動体42の上面にシリンダなどのZ駆動源43によって上下方向に駆動可能に設けられている。上記可動体42は、粘着テープ19が貼着された離型テープ20の走行方向と平行に配置されたガイド部材44の側面に沿って移動可能に設けられている。このガイド部材44の長手方向の一方の端部には剥離駆動源45が設けられている。この剥離駆動源45は上記可動体42を上記ガイド部材44の側面に沿って駆動する。
【0053】
上記可動体42に設けられた剥離棒41は図5に実線で示すように、記押圧ブロック34よりも、上記離型テープ20の走行方向の下流側で待機していて、上記吸着ヘッド18に保持されたTCP3に上記粘着テープ19が貼着されると、上記Z駆動源43によって同図に鎖線で示すように下方に駆動されて離型テープ20を押圧した後、上記可動体42が上記剥離駆動源45によって駆動されることで、図5に矢印Fで示す上記離型テープ20の走行方向上流側に向かって移動する。
【0054】
それによって、上記剥離棒41は上記離型テープ20を下方に押圧しながら走行するから、上記TCP3に貼着された粘着テープ19から上記離型テープ20が剥離されることになる。
【0055】
図5と図6に示すように、上記可動体42の上面には上記剥離棒41が上記離型テープ20を上記粘着テープ19から剥離するとき、上記押圧ブロック34のヒータ34aによって加熱されて上記TCP3に貼着された上記粘着テープ19を冷却するための、冷却用の気体を噴射する冷却手段としてのノズル体47が設けられている。
【0056】
上記ノズル体47は、上記剥離棒41よりも上記可動体42の走行方向前方に、しかも図5に矢印Gで示すように走行方向の前方に向かって気体を噴射するよう設けられている。つまり、上記ノズル体47から噴射される気体は、上記粘着テープ19の上記離型テープ20が剥離される直前の部分を冷却するようになっている。
【0057】
上記ノズル体47には上記気体を供給する給気管48が接続されている。この給気管48には気体の供給を制御する開閉弁49が設けられている。この開閉弁49は、上記可動体42が上記剥離駆動源45によって駆動されて上記剥離棒41が上記離型テープ20を剥離するときに開放されるようになっている。
【0058】
つまり、上記ノズル体47からは上記剥離棒41が上記離型テープ20を剥離するときだけ、冷却用の気体がTCP3に貼着された粘着テープ19に向かって噴射されるようになっている。
【0059】
なお、上記開閉弁49は上記可動体42と一体的に設けられ、上記給気管48は上記可動体の走行に応じて伸縮するチューブが用いられている。
【0060】
このように、TCP3に貼着された粘着テープ19から離型テープ20が剥離される前に、粘着テープ19の離型テープ20が貼着された部分が上記ノズル体47からの気体によって冷却されることで、粘着テープ19の気体が噴射された部分は温度が低下して粘着性も低下することになる。つまり、粘着テープ19に対する離型テープ20の粘着強度が低下する。
【0061】
そのため、離型テープ20が上記離型棒41によって粘着テープ19から剥離される際、粘着テープ19が離型テープ20によって強く引張られるのが防止されるから、上記粘着テープ19の端部を捲り上がらせることなく、上記TCP3に貼着された粘着テープ19から離型テープ20だけを剥離することができる。
【0062】
上記TCP3に貼着された粘着テープ19から離型テープ20が剥離されると、インデックステーブル4が90度回転駆動され、粘着テープ19が貼着されたTCP3が実装ポジションDに位置決めされる。
【0063】
実装ポジションDに位置決めされたTCP3は実装シリンダ17によって下降方向に駆動される。それによって、上記TCP3は粘着テープ19によって上記実装ポジションDに位置決めされた上記基板1の側辺部の上面に実装されることになる。
【0064】
このように構成された実装装置によれば、インデックステーブル4の貼着剥離ポジションCで、吸着ヘッド18に保持されたTCP3に押圧ブロック34によって離型テープ20とともに粘着テープ19が加熱されながら押圧貼着されると、TCP3に貼着された粘着テープ19から剥離棒41によって上記離型テープ20が剥離される。
【0065】
上記剥離棒41はガイド部材44の側面に沿って駆動される可動体42に設けられている。この可動体42には、上記離型テープ20を剥離する際、ノズル体47から上記粘着テープ19の上記離型テープ20が剥離される直前の部分に対して冷却用の気体が噴射供給される。
【0066】
それによって、粘着テープ19は上記ノズル体47からの気体によって冷却されることで硬化して粘着性が低下するから、冷却された粘着テープ19から離型テープ20を剥離するとき、離型テープ20が粘着テープ19を引張る度合が低下する。そのため、離型テープ20の剥離時に、粘着テープ19の端部がTCP3から捲くれ上がる、貼着不良が発生するのを防止することができる。
【0067】
つまり、TCP3に粘着テープ19を押圧ブロック34によって加熱しながら貼着したならば、待機時間を設けることなく、TCP3に貼着された粘着テープ19から離型テープ20を剥離することができるから、離型テープ20の剥離作業を能率よく行い、生産性の向上を図ることができる。
【0068】
上記ノズル体47からは、剥離棒41が粘着テープ19から離型テープ20を剥離するときだけ、冷却用の気体を噴射するようにしている。しかも、ノズル体47が設けられた可動体42は上記剥離棒41とともに離型テープ20の剥離方向に沿って駆動される。
【0069】
そのため、ノズル体47から噴射される気体は、粘着テープ19の離型テープ20が剥離される直前の部分を順次確実に冷却することになるから、離型テープ20の剥離を円滑かつ確実に行うことができる。
【0070】
上記剥離棒41によって離型テープ20を剥離するときだけ、上記ノズル体47から気体を噴射するため、離型テープ20を剥離するとき以外は粘着テープ19を加熱するヒータ34aが設けられた押圧ブロック34が冷却されるということがない。
【0071】
そのため、上記押圧ブロック34によってTCP3に粘着テープ19を貼着するとき、押圧ブロック34の温度が低下して粘着テープ19がTCP3に貼着され難くなるということが防止される。
【0072】
しかも、TCP3に粘着テープ19を貼着するときに、ノズル体47からの気体が噴射されていないため、離型テープ20が振れることがないから、TCP3に対して粘着テープ19を位置ずれが生じることなく確実に貼着することができる。
【0073】
上記一実施の形態では部品としてTCPを例に挙げて説明したが、部品としては基板であってもよく、この基板の側辺部の上面に所定の長さに切断された粘着テープを貼着する場合にもこの発明を適用することができる。
【0074】
また、ノズル体と剥離ローラを可動体に設けて一体的に移動させるようにしたが、ノズル体を押圧ブロックの近くに、TCPに貼着された所定長さの粘着テープを全体にわたって冷却できるよう固定的に配置してもよい。
【0075】
また、離型テープを基板から剥離する際、剥離棒との摩擦によって静電気が発生し、その静電気が基板やTCPなどの部品に貼着された粘着テープを通じて部品に流れることがある。静電気が部品に流れると、その部品に形成されたパターンを破損する虞がある。
【0076】
そこで、イオナイザーなどによって静電気を除去するための除電気体を、除電ノズル体によって部品に貼着された粘着テープ或いは粘着テープから剥離される離型テープに向かって噴射して静電気の発生を防止するようにしている。
【0077】
そこで、上記除電ノズル体から除電のために噴射される除電気体を、上記部品に貼着された粘着テープを冷却するために利用すれば、離型テープを剥離する際に生じる静電気の除去と、部品に貼着された粘着テープの冷却とに利用することができる。つまり、このような場合には、上記除電ノズル体及び除電ノズル体から噴射される除電気体が粘着テープを冷却する冷却手段となる。
【符号の説明】
【0078】
1…基板(部品)、3…TCP(部品)、18…吸着ヘッド(保持手段)、19…粘着テープ、20…離型テープ、34…押圧ブロック(加圧手段)、38…供給リール(テープ送り手段)、39…巻き取りリール(テープ送り手段)、41…剥離棒(剥離手段)、47…ノズル体(冷却手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型テープの一方の面に貼着されて所定長さに切断された粘着テープを部品に貼着する粘着テープの貼着装置であって、
上記部品を保持する保持手段と、
この保持手段に保持された上記部品に対向するよう上記離型テープを所定方向に沿って間欠的に送るテープ送り手段と、
このテープ送り手段によって送られて所定長さに切断された上記粘着テープが上記部品に対向したときに、上記離型テープの他方の面から上記粘着テープを上記部品に加圧貼着する加圧手段と、
上記部品に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離する剥離手段と、
この剥離手段によって上記離型テープを剥離するときに上記部品に貼着された粘着テープを冷却する冷却手段と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置。
【請求項2】
上記剥離手段は、上記離型テープに係合し上記粘着テープが貼着された上記部品に沿って駆動される剥離部材を有し、
上記冷却手段は、上記剥離部材と一体的に往復動するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項3】
上記冷却手段は、上記部品に貼着された粘着テープに向かって気体を噴射するノズル体であって、
上記ノズル体からは、上記加圧手段によって上記部品に上記粘着テープが貼着され終わってから気体の噴射が開始されることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項4】
上記保持手段と上記加圧手段の少なくとも一方には、上記部品を加熱するヒータが設けられていて、上記ノズル体から上記部品に貼着された粘着テープに向かって気体が噴射されるときに上記ヒータへの通電が遮断されることを特徴とする請求項3記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項5】
上記冷却手段は、上記部品に貼着された粘着テープに生じた静電気を除去するために、上記粘着テープに向かって除電気体を噴射する除電ノズル体であることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項6】
離型テープの一方の面に貼着されて所定長さに切断された粘着テープを部品に貼着する粘着テープの貼着方法であって、
上記離型テープを所定方向に沿って間欠的に送る工程と、
上記離型テープが送られて所定長さに切断された上記粘着テープが上記部品に対向したときに、上記離型テープの他方の面から上記粘着テープを上記部品に加圧貼着する工程と、
上記部品に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離する工程と、
上記部品に貼着された粘着テープから上記離型テープを剥離するときに上記部品に貼着された粘着テープを冷却する工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−193021(P2012−193021A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58393(P2011−58393)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】