説明

粘着テープ掃除具

【課題】ゴミが付着して汚れた粘着テープを剥ぎ取る作業を不要にし、新たな粘着テープをその都度巻き取れるようにし、ゴミを取る掃除面が局所的の場合には、手軽に狙ったゴミを付着させ、広い範囲の場合には、掃除面全体を転がして掃除が出来るようにする。
【解決手段】粘着テープロール1を有する粘着テープホルダー3と、巻取り芯ホルダー4と、支持筐体15と、テープガイド5と、制動器6とを備えている。掃除面を転がして掃除を可能にするために、2セット用意し、該2セットの支持筐体同士を対称位置に形成し、外周部の粘着テープが円周に近似することを特徴とする粘着テープ掃除具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着面を外側にしてロール状に巻いた粘着テープロールをカーペット等の上で転がし、カーペット等のゴミ・毛髪を粘着テープの粘着面に付着させて除去する粘着テープ掃除具に関するものである。詳しくは、使用中にゴミ・毛髪等の付着により粘着力が低下した場合、使用済み粘着テープを直接触ることなく、その都度巻き取って、新しい粘着テープ面を出すことが出来る粘着テープ掃除具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粘着テープ掃除具は、一般に販売されている商品で、粘着テープロールを把手に有する回転軸部に取付けたものである。粘着テープはゴミが付着して粘着力が低下すると、粘着テープを1回転分ずつ切れ目で切り離して剥がし、新しい粘着面を出しては使用している。粘着テープを剥がす際、粘着テープの先端がしっかりと次の層のロールに貼り付いており、さらに粘着テープの先端を隠すようにゴミ・毛髪等が付着したりするので、剥がすのが容易ではなく、汚い粘着面に手で直接触れるのことがあるので非衛生的でもある。
【0003】
特許文献1は、ゴミが付着した粘着テープを剥ぎ取る作業を不要にする為に、把手を持って前方に動かしたときは、前側のローラが掃除面に接触して回転して粘着テープを巻き取り、把手を持って後方に動かしたときは、後側のローラが掃除面に接触して回転して粘着テープを巻き取ることを特徴としている。この技術は粘着テープ掃除具を前後に動かすごとに粘着テープが巻き取りまたは巻き戻されてゴミが除去される。粘着力が無くなったら該掃除具を前方向のみに動かして新たな粘着テープ面を出し、再度前後に動かして掃除を行う。しかし、この技術の問題は、掃除面にあるゴミの分布が一様でなく部分的に偏在しているとき、該掃除具を動かすたびにゴミの付着量が異なることになり、既に使用済みの巻取りロールの積層内のゴミの付着密度はバラツキを生じ、全体としてのゴミ収集量が小さくなることである。
【0004】
また特許文献2には、同様な構成で粘着テープを掃除面に接する円筒外周を経由して巻き取る方式である。粘着テープの行程が長いため粘着テープを巻き取る際の力と円筒外周部にある粘着テープの弛みを防ぐために複雑で高価なギヤボックスを有している。この技術の問題は、粘着テープの行程が長いために巻き取りに強い張力を必要とし、粘着テープが切れることが心配される。また、初めに粘着テープを装着する時、粘着テープが予定外のところに付着して装着を困難にすることが考えられる。また、複雑なギヤボックス等を用いているので、保守が難しくなり、簡単に使用できる掃除具に適わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2008−168107号公報
【特許文献2】特開平2002−78664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、ゴミが付着して汚れた粘着テープを剥ぎ取る作業を不要にし、新たな粘着テープをその都度巻き取れるようにしたことと、ゴミを取る掃除面が局所的の場合は、手軽に狙ったゴミを付着させて取ることと広い範囲の場合は、掃除面全体を転がして付着させてとることとに分けて効果的に使える粘着テープ掃除具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による粘着テープ掃除具は、その都度、粘着テープを巻き取るために、粘着テープロールを装着する粘着テープホルダーと、粘着テープの粘着面を外側にして巻き取る巻取り芯を装着する巻取り芯ホルダーと、粘着テープを粘着テープホルダーから巻取り芯ホルダーへ粘着テープを案内するテープガイドと、粘着テープホルダーと巻取り芯ホルダーとを装着するための平行配置された軸を有する支持筐体と、粘着テープの送りを制御する為の制動器と、支持筐体を動かすための把手とを備え、粘着テープロールから巻取り芯ホルダーに巻き取るには、制動器を緩めて巻取り芯ホルダーの端部を手で回して巻き取り、必要量だけ巻き取ったら制動器の制動を強めて粘着テープを動かないように固定することを特徴としている。ここで粘着テープホルダーとは粘着テープロールを容易に着脱することが出来るが、装着後は粘着テープロールが空回りしないことが望ましい。また同様に、芯ホルダーとは巻取り芯を容易に着脱することが出来るが、装着後は巻取り芯と一体となって動く。また、二つの該ホルダーは端面部分に回転トルクを与える滑り止め付きの手巻き部分を有している。また、制動器は該ホルダーの端面に接触しており、その接触している面の圧力により回転の摩擦力が変り、該ホルダーの回転又は停止を可能にすることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明による粘着テープ掃除具は、掃除面を転がして掃除を可能にするために、請求項1記載の粘着テープ掃除具を2セット用意し、該2セットの支持筐体同士を対称位置に形成し、外周部の粘着テープが円周に近似することを特徴とする粘着テープ掃除具。
【発明の効果】
【0009】
粘着テープロールおよび巻取りロールは各々のホルダーにきつく嵌合されて一体化し、支持筐体の各々の軸に挿入され、回転が可能である。制動器は支持筐体の2個の軸に挿入され、粘着テープホルダーと巻取り芯ホルダーとの端面に接して置かれる。その端面に掛かる圧力を変えることにより制動器とホルダーとの摩擦抵抗が変えられる。制動器を軸方向に締め付けると接触圧力が大きくなり、粘着テープロールおよび巻取りロールは回転が出来なくなり、また、制動器の締め付けを緩めると圧力が小さくなり、粘着テープロールおよび巻取りロールは自由に回転が出来る。粘着テープの粘着力がなくなったとき、制動器を緩め、巻取りホルダーの端部の円周部を指で回して使用済みテープを巻き取り、その結果、粘着テープロールから新たな粘着テープが必要量だけ引出すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の粘着テープ掃除具の基本形の正面図である。
【図2】図2は図1の平面図である。
【図3】図3は粘着テープホルダーおよび巻取り芯ホルダーの部分断面図である。
【図4】図4は請求項2記載の実施例の正面図である。
【図5】図5は図4の平面図である。
【図6】図6は請求項2記載の実施例の正面図である。
【図7】図7は図6の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1、図2は、本発明の粘着テープ掃除具の基本的な部分の一実施形態を示す正面図と平面図である。粘着テープ掃除具の基本的な部分は、粘着テープロール1を有する粘着テープホルダー3と、巻取り芯ホルダー4と、支持筐体15と、テープガイド5と、制動器6とを備えている。粘着テープホルダー3および巻取り芯ホルダー4は、図3に示すように、各々の中空芯の両端に挿入したホルダーa9とホルダーb10とを備えている。図1、図2の支持筐体15には、回転軸a19、b20を固設する指示部材16と、支柱23およびフレーム17を固設するアーム18とを備えている。制動器6は、板部材7と、蝶ナット8とを備えている。図4、図5は、請求項1に属し、前記の基本的な部分に加えて、接続子11と、把手a12を備えている。図6、図7は、請求項2に属し、基本的な部分の2セットと、接続子11と、把手b13とを備えている。
【0012】
粘着テープホルダー3は、図3に示すように、中空の芯を有した粘着テープロール1の両端にホルダーa9とホルダーb10とが圧入される。同様にして、巻取り芯ホルダー4は、粘着テープ2を巻き取る円筒中空の芯、例えば粘着テープロール1を使い切って残った芯、の両端に圧入したホルダーa9とホルダーb10とを備えている。それらのホルダーa9、b10の圧入部分には、円筒外周部に複数個のスリットを有し、圧入時、内側にバネ効果にて歪んで挿入され、ホルダーa9に与えられるトルクがスリップせずに芯に伝達することを可能にしている。また、ホルダーa9には、指による巻取りがし易いように、圧入部の反対側の外周部に滑り止め、例えばローレット処理、を有している。
【0013】
支持筐体15は、図1、図2に示すように、支持部材16を有し、支持部材16の両端に回転軸a9、b10が固設される。回転軸a9、b10は、支持部材と固設された反対側の先端付近部分に蝶ナット8と嵌め合うネジ部を有する。回転軸a9には粘着テープホルダー3が挿入され、回転軸b10には巻取り芯ホルダー4が挿入される。支持部材16の中間位置に回転軸a9、b10方向にアーム18があり、そのアーム18には、掃除面方向にテープガイド5を固設するフレーム17と、掃除面と反対方向に接続子とワンタッチで着脱する2本の支柱23がある。回転軸a9、b10およびテープガイド5は、お互いに平行度を有している。
【0014】
テープガイド5は、粘着テープホルダー3から引出された粘着テープ2がスムースに巻取り芯ホルダー4に巻き取るためにある。該テープガイド5の外周形状が部分円形を有し、狙った掃除面上を押し付け、揺することで、効果的にゴミを付着させることが出来る。また、本来の粘着テープロール1の外周面積に対して、更に該テープガイド5の面積分が加わることで、ゴミの付着する面積が大きく出来ることを特徴とする。
【0015】
制動器6は、図2に示すように、板部材7と2個の蝶ナット8から形成される。該板部材7には、粘着テープホルダー3と巻取り芯ホルダー4との間隔に合わせた孔が両端に有する。粘着テープホルダー3および巻取り芯ホルダー4がそれぞれの回転軸a(19)、回転軸b(20)に挿入された後、該板部材7が挿入され、そして、それぞれに蝶ナット8が挿入され、固定される。固定状態の蝶ナット8の締付けを強めると、粘着テープホルダー3及び巻取り芯ホルダー4の端面と板部材との接触圧力が増し、回転の摩擦抵抗が増すことになり、回転が出来なくなる。それとは逆に、粘着テープ2を巻き取る場合、蝶ナット8の締付けを緩めると、その摩擦抵抗が減り、回転が可能になり、粘着テープ2は巻取り芯ホルダー4に巻き取られる。粘着テープ掃除具の使用前準備において、新たな粘着テープロール1の装填と使用済み巻取り芯の交換時には、この制動器6を外し、粘着テープホルダー3および巻取り芯ホルダー4を回転軸から外してから新旧の粘着テープロール1の交換を行う。
【0016】
接続子11には、図4に示すように、図1の支柱23と嵌め合う2個の挿入孔21と把手を付ける2個の挿入孔21とがある。その支柱23と嵌め合う孔の内側には、支柱の先端部に設けられた溝に嵌るバネ付きの突起物22、例えばプランジャー止めネジ等、が設けられ、ある限界力を超えると支柱23の挿入又は抜きができる。その結果、容易に着脱を可能にし、使用する形態を変更することが出来る。図4、図5に示すように使用する場合には、その接続子11の挿入孔に片側から図2の基本形の支柱23が嵌り、さらに、その挿入孔21の反対側から2本の支柱23を有する把手a12の支柱23が嵌る。図6、図7に示すように使用する場合には、その接続子11の挿入孔21の両側から、図1、図2の基本形2式の支柱23が嵌り、接続子11の長手方向の両端の孔には把手b13に軸を付けて転がせるようにする。
【0017】
量産を目的として、支持筐体15を構成する部材、16、17、18、23およびテープガイド5の部材は、一つの部材、例えば材質を合成樹脂など、にすることができる。
【符号の説明】
【0018】
1 粘着テープロール
2 粘着テープ
3 粘着テープホルダー
4 巻取り芯ホルダー
5 テープガイド
6 制動器
7 板部材
8 蝶ナット
9 ホルダーa
10 ホルダーb
11 接続子a
12 把手a
13 接続子b
14 把手b
15 支持筐体
16 支持部材
17 フレーム
18 アーム
19 回転軸a
20 回転軸b
21 挿入孔
22 突起物
23 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着テープロール(1)を装着する粘着テープホルダー(3)と、粘着テープ(2)の粘着面を外側にして巻き取る巻取り芯ホルダー(4)と、粘着テープ(2)を該粘着テープホルダー(3)から該巻取り芯ホルダー(4)へ粘着テープ(2)を案内するテープガイド(5)と、粘着テープホルダー(3)と巻取り芯ホルダー(4)とを装着するための平行配置された軸を有する支持筐体(15)と、該軸の芯ブレを防ぐ為と粘着テープの送りを制御する為の制動器(6)と、支持筐体(15)と着脱可能な接続子(11)と、接続子(11)に着脱可能な把手a(12)とを備え、局所的にあるゴミに対し、該粘着テープ掃除具を半円状に動かして除去することを特徴とする粘着テープ掃除具。
【請求項2】
請求項1記載の部材の内、接続子(11)と把手a(12)とを外した部材を2式と、一つの接続子(11)と、可動な把手b(13)とを備え、該部材を円形に形成し、広い掃除面を転がして除去することを特徴とする粘着テープ掃除具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−206089(P2011−206089A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73950(P2010−73950)
【出願日】平成22年3月28日(2010.3.28)
【出願人】(710000192)
【Fターム(参考)】