説明

粘着テープ用フィルムおよび粘着テープ

【課題】非粘着層が基材フィルム上に設けられた粘着テープ用フィルムであって、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制でき、また、非粘着層を基材フィルム上に設けることでロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制され、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることがなく、該非粘着層と該基材フィルムとの馴染みが良く、延伸等の変形に対する追随性が良好である、粘着テープ用フィルムを提供する。また、このような粘着テープ用フィルムを含む粘着テープを提供する。
【解決手段】本発明の粘着テープ用フィルムは、JIS−K−7127に従って測定される最大伸びが100%以上であるプラスチックフィルムの片方の面に非粘着層を備える粘着テープ用フィルムであって、該非粘着層の算術平均表面粗さRaが0.1μm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ用フィルムおよび粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のダイシングで用いられる粘着テープは、ダイシング時にウェハを固定するために、ウェハ密着面と反対の面を台座に固定する必要がある。一般に、このような固定は、真空吸着等の負圧によって行われている。
【0003】
このような負圧による固定を行う際、過度に負圧がかかってしまう状態や、ダイシング時の発熱による粘着テープの溶融によって、粘着テープが台座と過密着することがある。このような過密着が起こると、台座との固定を解放する際のハンドリング性が悪くなり、例えば、ダイシングを含めた半導体製造工程がスムーズに流れていかないという問題が生じる。
【0004】
このような過密着の問題を解消するために、基材フィルムと粘着剤層の2層からなるウェハ表面保護テープにおいて、基材フィルムの粘着剤層と反対の表面の中心線表面粗さRaを所定の大きさに制御する技術が報告されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、半導体のダイシングで用いられる粘着テープの基材フィルムには、半導体製造プロセス特有のエキスパンド(延伸)特性および段差追随特性が要求される。すなわち、半導体のダイシングで用いられる粘着テープの基材フィルムは、エキスパンド工程において良好に延伸できる必要があり、また、半導体の段差に良好に追随する必要がある。そのような要求に応えられる基材フィルムとしては、伸び率の大きい材料からなる基材フィルムが選択される。ところが、このような基材フィルムは、表面状態が温度による影響を受けやすい。このため、特許文献1で報告されているように基材フィルムの表面の中心線表面粗さRaを所定の大きさに制御したとしても、気温やプロセス装置の温度変化によって、所定の大きさに制御された中心線表面粗さRaが大きく変化してしまい、特許文献1に記載の発明の効果が発現できないという問題がある。
【0006】
半導体のダイシングの中でも、特に、LEDダイシングにおいては、用いられる半導体ウェハが窒化ガリウム、ガリウムヒ素、炭化ケイ素などの非常に脆弱な材料で構成されているため、該半導体ウェハの破損を防止するために、粘着テープの基材フィルムには一層のエキスパンド(延伸)特性および段差追随特性が要求される。このため、LEDダイシングに用いる粘着テープにおいては、上記問題は顕著なものとなる。
【0007】
一般に、フィルム表面は平滑であり、このようなフィルムをロール状に加工すると、フィルム同士が接触して密着する現象、すなわちブロッキングが発生する。ブロッキングを起こしたロールでは、フィルムを巻き戻す作業が困難になるなど、不具合を発生することがある。特に、伸び率の大きいフィルムには、一般に、可塑剤が加えられている。このようなフィルムでは、フィルム表面に可塑剤が析出することによってフィルム間のわずかな空隙が埋められるため、ブロッキングによる悪影響は顕著になる。フィルム表面に粘着剤による粘着加工を施した場合には、該粘着剤自身が密着性を有しているため、ブロッキングの悪影響はますます大きいものとなる。
【0008】
ブロッキングしたロール状のフィルムを巻き戻す際には、フィルム同士の密着を解放するための余分な力が必要となる。このような余分な力がかかることによって、フィルムが伸びて変形してしまったり、フィルムが変形しない場合であっても応力ひずみとして蓄積されたりする。上記のような原因にて変形したフィルムを粘着テープに適用すると、被着体に追従して貼り合わせることが困難となる。また、上記のような原因にて応力ひずみが蓄積したフィルムを粘着テープに適用すると、被着体に貼り合わせた後に該応力ひずみの自然解放が生じることによって、被着体が破損するおそれがある。
【0009】
半導体加工において粘着テープを用いる場合、被着体である半導体ウェハは脆弱な材料で構成されているために脆かったり欠け易かったりする。このため、上記のような原因にて変形したフィルムを粘着テープに適用すると、半導体ウェハの微細精緻な回路パターンに追従して貼り合わせることが困難となる。また、上記のような原因にて応力ひずみが蓄積したフィルムを粘着テープに適用すると、半導体ウェハに貼り合わせた後に該応力ひずみの自然解放が生じることによって、半導体ウェハが容易に破損してしまう。
【0010】
特に、LEDに用いられるウェハは、窒化ガリウム、ガリウムヒ素、炭化ケイ素などの非常に脆弱な材料で構成されている。このため、LEDダイシングなどに用いられる粘着テープにおけるブロッキング防止は殊更に重要なものとなる。
【0011】
ブロッキング防止の従来技術としては、大きく2つの技術が挙げられる。
【0012】
1つの従来技術は、フィルムの背面にエンボス加工などの物理処理を施すことが挙げられる(特許文献2)。しかし、この技術においては、フィルムの背面に形成した凹凸が応力集中構造となるため、ロール状の形態から巻き戻す際に、巻き戻しの力で該凹凸を起点に、フィルムが裂けたり破れたりするという問題がある。
【0013】
もう1つの従来技術は、フィルムの背面にシリコーン離型剤を塗布することが挙げられる(特許文献3)。しかし、この技術においては、シリコーン離型剤がその表面張力によってフィルム背面との化学的親和性が低く、フィルム背面に馴染みにくいという問題がある。また、背面にシリコーン離型剤を塗布したフィルムを粘着テープに適用する場合、エキスパンドなどの粘着テープ延伸を行うと、シリコーン離型剤による処理層が延伸に追随できない場合があり、該処理層が破砕されて汚染の原因となるという問題が生じ得る。なお、シリコーン離型剤のフィルム背面との化学的親和性を上げるために、架橋型シリコーン離型剤を塗布する技術もあるが、架橋型シリコーンは一般に伸び率が非常に小さいため、背面に架橋型シリコーン離型剤を塗布したフィルムを粘着テープに適用する場合、エキスパンドなどの粘着テープ延伸を行うと、架橋型シリコーン離型剤による処理層が延伸に追随できず、投錨性が維持できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−239124号公報
【特許文献2】国際公開第2009/028069号パンフレット
【特許文献3】特開2010−201836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、非粘着層が基材フィルム上に設けられた粘着テープ用フィルムであって、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制でき、また、非粘着層を基材フィルム上に設けることでロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制され、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることがなく、該非粘着層と該基材フィルムとの馴染みが良く、延伸等の変形に対する追随性が良好である、粘着テープ用フィルムを提供することにある。また、このような粘着テープ用フィルムを含む粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の粘着テープ用フィルムは、JIS−K−7127に従って測定される最大伸びが100%以上であるプラスチックフィルムの片方の面に非粘着層を備える粘着テープ用フィルムであって、該非粘着層の算術平均表面粗さRaが0.1μm以上である。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記非粘着層の非粘着試験剥離力が1.0N/20mm未満である。
【0018】
好ましい実施形態においては、上記非粘着層がシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層である。
【0019】
好ましい実施形態においては、上記非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比が、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50〜50:1である。
【0020】
好ましい実施形態においては、上記非粘着層が、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含む。
【0021】
好ましい実施形態においては、上記プラスチックフィルムの厚みが20μm〜200μmである。
【0022】
好ましい実施形態においては、上記非粘着層の厚みが0.01μm〜10μmである。
【0023】
好ましい実施形態においては、上記プラスチックフィルムがポリ塩化ビニルを含む。
【0024】
本発明の別の実施形態においては、粘着テープが提供される。本発明の粘着テープは、本発明の粘着テープ用フィルムにおける上記プラスチックフィルムの上記非粘着層と反対の面に粘着剤層を備える。
【0025】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む。
【0026】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層のSP値が9.0(cal/cm0.5〜12.0(cal/cm0.5である。
【0027】
好ましい実施形態においては、上記粘着剤層の表面に剥離ライナーを備える。
【0028】
好ましい実施形態においては、本発明の粘着テープは、半導体加工に用いられる。
【0029】
好ましい実施形態においては、上記半導体加工がLEDダイシングである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、非粘着層が基材フィルム上に設けられた粘着テープ用フィルムであって、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制でき、また、非粘着層を基材フィルム上に設けることでロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制され、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることがなく、該非粘着層と該基材フィルムとの馴染みが良く、延伸等の変形に対する追随性が良好である、粘着テープ用フィルムを提供することができる。また、このような粘着テープ用フィルムを含む粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の粘着テープ用フィルムにおける非粘着層の状態を示す、TEMの写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
≪1.粘着テープ用フィルム≫
本発明の粘着テープ用フィルムは、プラスチックフィルムの片方の面に非粘着層を備える。
【0033】
<1−1.プラスチックフィルム>
プラスチックフィルムは、JIS−K−7127に従って測定される最大伸び(MD)が100%以上であり、好ましくは200%以上であり、最も好ましくは300%以上である。上記最大伸び(MD)の上限値としては、好ましくは1000%以下である。このようなプラスチックフィルムは、任意の適切な樹脂材料を含み得る。このような樹脂材料としては、好ましくは、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられ、より好ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンが挙げられ、さらに好ましくは、ポリ塩化ビニルが挙げられる。ポリ塩化ビニルは応力緩和性に優れるため、特に、LEDダイシングなどの半導体加工に用いる粘着テープに用いることができる粘着テープ用フィルムに好適に用いることができる。
【0034】
プラスチックフィルム中の上記樹脂材料の含有割合としては、目的・用途に応じて、任意の適切な含有割合を設定し得る。このような含有割合としては、例えば、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは60重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは70重量%〜100重量%である。
【0035】
プラスチックフィルム中には、可塑剤が含まれていても良い。プラスチックフィルム中の可塑剤の含有割合は、該プラスチックフィルム中の上記樹脂材料に対して、好ましくは0.5重量%〜50重量%であり、より好ましくは1.0重量%〜40重量%である。プラスチックフィルム中に上記含有割合にて可塑剤を含ませることによって、延伸等の変形に対する追随性が一層良好なものとなる。
【0036】
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系(大日本インキ(株)製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系((株)ジェイプラス製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系(リン酸トリクレシル等)、アジピン酸系エステル、クエン酸エステル(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。本発明においては、エステル系可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0037】
プラスチックフィルム中には、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の適切なその他の成分を含んでいても良い。
【0038】
プラスチックフィルムの厚みは、好ましくは20μm〜200μmであり、より好ましくは40μm〜150μmであり、さらに好ましくは50μm〜100μmである。プラスチックフィルムの厚みが20μm未満の場合、取扱性が悪くなるおそれがあり、特に、粘着テープを構成したときに貼り合わせ作業が難しくなるおそれがある。プラスチックフィルムの厚みが200μmより大きいと、延伸等の変形に対する追随性が悪くなるおそれがある。
【0039】
<1−2.非粘着層>
非粘着層は、その算術平均表面粗さRaが0.1μm以上であり、好ましくは0.1μm〜3.0μmであり、より好ましくは0.2μm〜2.0μmである。非粘着層の算術平均表面粗さRaが上記範囲内に収まることにより、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制できる。本発明において、非粘着層の算術平均表面粗さRaは、後述の方法に基づき測定される。
【0040】
非粘着層は、その非粘着試験剥離力が、好ましくは1.0N/20mm未満であり、より好ましくは0.5N/20mm未満であり、さらに好ましくは0.2N/20mm未満である。非粘着層の非粘着試験剥離力が上記範囲内に収まることにより、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを一層抑制できる。本発明において、非粘着層の非粘着試験剥離力は、後述の方法に基づき測定される。
【0041】
非粘着層は、好ましくは、シリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層である。非粘着層をシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層とすることにより、非粘着層とプラスチックフィルムとの馴染みが良くなり、本発明の粘着テープ用フィルムおよびそれを含む粘着テープは、延伸等の変形に対する追随性が良好なものとなる。
【0042】
非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50〜50:1であり、より好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:30〜30:1であり、さらに好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:10〜10:1であり、特に好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:5〜5:1であり、最も好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:3〜5:1である。非粘着層中のシリコーンの含有割合が大きすぎると、プラスチックフィルム背面との化学的親和性が低くなり、プラスチックフィルム背面に馴染みにくいおそれがある。また、非粘着層中のシリコーンの含有割合が大きすぎると、粘着テープ用フィルムあるいはそれを含む粘着テープとした場合、延伸等の変形に対する追随性が悪くなり、非粘着層が破砕されて汚染の原因となるおそれがある。非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合が大きすぎると、非粘着層がアクリル系粘着剤として作用してしまうおそれがあり、ブロッキングが生じやすいおそれがある。
【0043】
非粘着層は、好ましくは、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含む。非粘着層は、より具体的には、好ましくは、上記シリコーンリッチ相と上記(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相とが互いに独立した相分離構造で含み、より好ましくは、上記シリコーンリッチ相が空気界面側(プラスチックフィルムの反対側)に存在し、上記(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相がプラスチックフィルム側に存在する。このような相分離構造を有することにより、空気界面側に存在するシリコーンリッチ相によってブロッキングが効果的に抑制され、プラスチックフィルム側に存在する(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相によって非粘着層とプラスチックフィルムとの馴染みが良くなって変形追随性が良好になる。非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比を上記のように調整することによって、このような相分離構造を形成し得る。
【0044】
非粘着層が上記のような相分離構造を有することにより、好ましくは、該非粘着層の表面が、算術平均表面粗さRaが0.1μm以上という微小な凹凸構造を形成できるようになる。おそらくは、相分離構造生成時のシリコーン、(メタ)アクリル系ポリマーの物質移動性の差異によって凸凹が生成するものと推測される。この凹凸構造の形成によって、本発明の粘着テープ用フィルムにおいて、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制し得るとともに、ロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制でき、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることを抑制し得る。
【0045】
非粘着層が、上記のような、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含むことは、任意の適切な方法によって観察し得る。このような観察方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、電解放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)などの電子顕微鏡を用いて非粘着層断面を形態観察する方法が挙げられる。2層分離構造は、形態観察像の濃淡により判読することが可能である。また、全反射法による赤外吸収分光によって、非粘着層空気界面側から内部へとプローブ光深度を変えながら、組成中に含まれるケイ素や炭素などの含有量の変化を観測することによって観察する方法も挙げられる。この他、X線マイクロアナライザーやX線光電子分光によって観察する方法も挙げられる。また、適宜これらの方法を組み合わせて観察しても良い。
【0046】
シリコーンとしては、任意の適切なシリコーンを採用し得る。このようなシリコーンとしては、例えば、白金系化合物を触媒としてアルケニル基含有ポリジアルキルシロキサンとポリジアルキルハイドロジェンポリシロキサンを付加反応により硬化させて剥離性皮膜を形成して得られる付加型シリコーン、スズ系触媒を用いたメチロール基含有ポリジアルキルシロキサンとポリジアルキルハイドロジェンポリシロキサンを反応させて得られる縮合型シリコーンなどが挙げられる。付加型シリコーンの例としては、例えば、信越シリコーン製の「KS−776A」、「KS−839L」などが挙げられる。縮合型シリコーンの例としては、例えば、信越シリコーン製の「KS723A/B」などが挙げられる。なお、シリコーンを製造する際には、白金系触媒やスズ系触媒の他に、適宜、その他の架橋剤、架橋促進剤などを使用しても良い。また、シリコーンの性状としては、トルエン等の有機溶剤に溶解したタイプ、これらをエマルジョン化したエマルジョンタイプ、シリコーンのみからなる無溶剤タイプなどに分類される。また、付加型シリコーンや縮合型シリコーンの他に、シリコーン/アクリルグラフトポリマー、シリコーン/アクリルブロックポリマーなどを使用することができる。シリコーン/アクリルグラフトポリマーとしては、例えば、サイマックGS−30、GS101、US−270、US−350、US−380(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。シリコーン/アクリルブロックポリマーとしては、例えば、モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770(以上、日油(株)製)などが挙げられる。
【0047】
(メタ)アクリル系ポリマーとしては、任意の適切な(メタ)アクリル系ポリマーを採用し得る。なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。
【0048】
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを主モノマーとして含むモノマー成分から構成されるポリマーである。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量〜100重量%、特に好ましくは95重量%〜100重量%である。上記モノマー成分中のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0049】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0050】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0051】
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0052】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。特に、本発明では、剥離層を構成する(メタ)アクリル系ポリマーとして、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを共重合させたポリマーであることが好ましい。
【0053】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、本発明の効果を十分に発現させるために、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含んでいても良い。
【0054】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、アリルアルコールなどが挙げられる。水酸基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0055】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0056】
(メタ)アクリル系ポリマーは、任意の適切な重合方法によって製造し得る。
【0057】
非粘着層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、触媒、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0058】
非粘着層の厚みは、好ましくは0.01μm〜10μmであり、より好ましくは0.1μm〜5μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜2μmである。非粘着層の厚みが0.01μm未満の場合、ブロッキングが生じやすくなる。非粘着層の厚みが10μmより大きいと、延伸等の変形に対する追随性が悪くなるおそれがある。非粘着層の厚みが0.01μmより小さいと、本発明の効果が発現し難くなるおそれや、製造がし難くなるおそれがある。
【0059】
プラスチックフィルムの片方の面に非粘着層を形成する方法としては、例えば、プラスチックフィルムの片方の面に非粘着層の材料を塗布して乾燥することによって非粘着層を形成する方法が挙げられる。上記塗布の方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、スピンコーター、ロールコーター、ナイフコーター、アプリケーター等を用いる方法が挙げられる。
【0060】
≪2.粘着テープ≫
本発明の粘着テープは、本発明の粘着テープ用フィルムにおける上記プラスチックフィルムの上記非粘着層と反対の面に粘着剤層を備える。
【0061】
粘着剤層の厚みは、好ましくは1.0μm〜30μmであり、より好ましくは1.0μm〜20μmであり、さらに好ましくは3.0μm〜15μmである。粘着剤層の厚みが1.0μm未満の場合、十分な粘着力を発現できないおそれがある。粘着剤層の厚みが30μmより大きい場合、用途によっては粘着力が大きくなりすぎて、剥離等の際に被着体を破砕するおそれがある。
【0062】
上記粘着剤層の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤を採用し得る。
【0063】
粘着剤層の材料としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー;天然ゴム;メタクリル酸メチルなどのモノマーをグラフトした特殊天然ゴム;SBS、SBR、SEPS、SIS、SEBS、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなどの合成ゴム;などが挙げられる。これらの中でも、剥離後の被着体への糊残りが少なく、高凝集性を有し、透明性に優れる点で、(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。
【0064】
粘着剤層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、粘着剤層中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、目的に応じて適宜設定し得る。
【0065】
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを主モノマーとして含むモノマー成分から構成される樹脂である。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量%〜100重量%、特に好ましくは95重量%〜100重量%である。上記モノマー成分中のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0066】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0067】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0068】
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0069】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0070】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、粘着剤としての効果を十分に発現させるために、好ましくは、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含む。より好ましくは、カルボキシル基含有モノマーである。また、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、粘着剤としての効果を十分に発現させるために、アクリロニトリルを含有し得る。
【0071】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリルアルコールなどが挙げられる。水酸基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0072】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0073】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が水酸基含有モノマーを含む場合、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合は、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%である。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分がカルボキシル基含有モノマーを含む場合、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合は、好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは0.1重量%〜10重量%である。このように、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含むことにより、架橋剤を用いた場合に、該架橋剤との架橋反応を効率的に生じさせることが可能となり、粘着剤としての効果を十分に発現させることができる。さらに、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合や、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合を、上記の範囲内に収まるように調整することによって、剥離操作の際の被着体の破砕を効果的に防止できる。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有モノマーの含有割合や、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中のカルボキシル基含有モノマーの含有割合が、上記の範囲よりも多すぎる場合には、粘着力が大きくなりすぎてしまい、ブロッキングが生じやすくなるおそれがあり、また、剥離操作の際に被着体の破砕が発生しやすくなるおそれがある。
【0074】
粘着剤層は、好ましくは、架橋剤を含む。粘着剤層が架橋剤を含む場合、粘着剤層中の架橋剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、好ましくは、主たる樹脂成分(好ましくは、(メタ)アクリル系ポリマー)に対して、0.1重量%〜20重量%である。粘着剤層中の架橋剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、適度な架橋反応を生じさせることができ、剥離操作の際の被着体の破砕を効果的に防止できる。
【0075】
架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。これらの架橋剤の中でも、本発明の効果を十分に発現できる点で、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。また、架橋剤は必要に応じて適宜選択でき、1種のみであっても良いし、2種以上の混合系であっても良い。
【0076】
粘着剤層は、可塑剤を含んでいても良い。粘着剤層が可塑剤を含む場合、粘着剤層中の可塑剤の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、好ましくは、0.1重量%〜50重量%である。粘着剤層中の可塑剤の含有割合を上記範囲内に収めることによって、本発明の効果をより一層効果的に発現することが可能となる。粘着剤層中の可塑剤の含有割合が50重量%より大きいと、粘着剤層が柔軟になりすぎてしまい、糊残りや被着体汚染が発生しやすくなるおそれがある。
【0077】
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系(大日本インキ(株)製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系((株)ジェイプラス製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系(リン酸トリクレシル等)、アジピン酸系エステル、クエン酸エステル(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。本発明においては、エステル系可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0078】
粘着剤層は、架橋反応等を促進させるために、任意の適切な触媒を含んでいても良い。粘着剤層が触媒を含む場合、粘着剤層中の触媒の含有割合は、目的に応じて適宜設定し得るが、好ましくは、0.01重量%〜10重量%である。粘着剤層中の触媒の含有割合を上記範囲内に収めることによって、本発明の効果をより一層効果的に発現することが可能となる。
【0079】
このような触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート等の有機金属化合物;ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物;p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸、β−ヒドロキシエチルアクリレートの燐酸エステル、モノアルキル亜燐酸、ジアルキル亜燐酸等の酸性化合物;などが挙げられる。触媒は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0080】
粘着剤層は、本発明の効果をより一層発現させるためには、そのSP値が、好ましくは9.0(cal/cm0.5〜12.0(cal/cm0.5であり、より好ましくは9.5(cal/cm0.5〜11.0(cal/cm0.5である。SP値は、Smallの式によって算出される溶解度パラメータである。SP値の計算は、公知の文献(例えば、Journal of Applied Chemistry,3,71,1953.など)に記載された方法で行うことができる。
【0081】
粘着剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0082】
本発明の粘着テープは、粘着剤層の表面に剥離ライナーを備えていても良い。
【0083】
剥離ライナーとしては、任意の適切なセパレータを採用し得る。このような剥離ライナーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材;などが挙げられる。
【0084】
本発明の粘着テープは、任意の適切な用途に用い得る。本発明の粘着テープは、本発明の粘着テープ用フィルムを有するので、上述の通り、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制でき、また、ロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制され、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることがなく、該非粘着層と該プラスチックフィルムとの馴染みが良く、延伸等の変形に対する追随性が良好である。したがって、脆弱な材料で構成されて微細精緻な回路パターンを有し得る半導体ウェハを被着体とする半導体加工に好適に用い得る。本発明の粘着テープを半導体加工に用いると、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制でき、したがって、ダイシングを含めた半導体製造工程をスムーズに進めることができる。また、本発明の粘着テープを半導体加工に用いると、従来ブロッキングに起因して生じているフィルム変形や応力ひずみの蓄積が生じないので、半導体ウェハの微細精緻な回路パターンに的確に追従して貼り合わせることが可能となり、また、半導体ウェハに貼り合わせた後の応力ひずみの自然解放が起こらないために、半導体ウェハが破砕することを効果的に防止できる。特に、LEDに用いられるウェハは、窒化ガリウム、ガリウムヒ素、炭化ケイ素などの非常に脆弱な材料で構成されているため、本発明の粘着テープは、LEDダイシングなどに非常に好適である。
【実施例】
【0085】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。部は重量部を意味する。また、溶液で供給されている試薬の量は、溶液を揮発させて残る固形分の量(固形分換算量)によって表される。
【0086】
<最大伸び>
最大伸びは、JIS−K−7127に従って、インストロン型引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)によって測定した。具体的には幅20mm×長さ100mmのサンプルをチャック間距離50mmで設置した後、0.3m/min引っ張り速度で引っ張りを行い、破断した際の値を測定した。
【0087】
<弾性率>
弾性率は、JIS−K−7127に従って測定した。
【0088】
<非粘着層の観察>
(TEMによる観察)
非粘着層断面が観察できるよう加工した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で形態観察を行った。
(全反射法による赤外分光測定(ATR−IR)による観察)
赤外分光スペクトルメーター(Perkinermer製、Spectrum One)を用い、全反射測定法を選択し、プローブ光の分析深さを変えるため、2種類の全反射測定用プリズム(ZnSe45°、Ge45°)を用いて、非粘着層のATR−IR測定を行った。
【0089】
<算術平均表面粗さRa>
OLYMPUS製の共焦点レーザー顕微鏡「LEXT3000」を使用して、対物レンズ20倍で3Dモードにて測定した。3Dモードの観察範囲の決定は、レンズを上下動させた際にCF画像(共焦点画像)が真っ暗になる位置をそれぞれ観察範囲のTopとBottomに設定することで行った。
3Dモードでの画像取り込み方法は、Step方式で0.2μmピッチにて画像取り込みを行った。
算術平均表面粗さRaの計測は、解析モードの粗さ解析にて任意の場所のRaを計測した。なお値はn=5の平均値にて求めた。
【0090】
<吸着試験>
20mm(タテ)×50mm(ヨコ)のスライドガラスにテープを背面が表になるように貼付し、50℃環境下にてテープ貼付スライドガラスと被着体となるスライドガラス(青板縁磨品、サイズ:65mm×165mm×1.35mmt)を10分間放置した後、2Kgローラーにて一往復にてスライドガラスとテープ背面を貼り合わせ、50℃環境下にて30分間放置した。放置後、インストロン式引張試験機(島津製作所製、オートグラフ)で、引張速度0.3m/分において、0°剥離を行った。その時の剥離力を測定し、下記の基準によって評価を行った。
○:剥離力5N未満。
×:剥離力5N以上。
【0091】
<非粘着試験剥離力>
JIS−Z−0237を参照し、23℃保存下において、被着体および非粘着層を含む粘着テープ用フィルムまたは粘着テープを1時間以上保持し、その後、非粘着面をSUS430BAに線圧8kg/m、圧着速度0.3m/分で圧着し、30分後の剥離力を、0.3m/分の引張速度、180°ピールで測定した。
◎:0.5N/20mm未満。
○:0.5N/20mm以上、1.0N/20mm未満。
×:1.0N/20mm以上。
【0092】
<ブロッキングテスト>
粘着テープの粘着剤層面を、同じ粘着テープの粘着剤層と反対側の最外面(背面層)に、線圧8Kg/m、圧着速度0.3m/分で圧着し、圧着後、50℃×48hrで保存した。保存後、引張速度0.3m/分にて、180°ピールの剥離試験によって剥離を行い(JIS−Z−0237準拠)、粘着剤層面と背面層のブロッキング(引き剥がし力)を測定した。
評価は引き剥がし力の測定とともに、引き剥がし時の背面層の脱落、粘着剤層の破壊(凝集破壊、投錨破壊により糊残り)などを確認し、総合評価とした。
評価は下記の基準に従った。
◎:引き剥がし力1.0N/20mm以下、目視での脱落、粘着剤層の破壊なし。
○:引き剥がし力3.0N/20mm未満、目視での脱落、粘着剤層の破壊なし。
×:引き剥がし力3.0N/20mm以上または目視での脱落、粘着剤層の破壊あり。
【0093】
<投錨性確認試験>
(投錨性確認試験A)
引張速度0.3m/分〜3m/分によって、粘着テープ用フィルムまたは粘着テープを200%まで延伸し、延伸時および延伸後の、粘着テープ用フィルムまたは粘着テープの粘着剤層と反対側の最外面(背面層)の脱落性を目視にて評価した。
(投錨性確認試験B)
投錨性確認試験Aと同様の延伸を行った後、日東電工(株)製「NO.31B」を背面処理層にして、2Kgローラー(25mm幅)にて、0.3m/分の圧着速度にて一往復させ、その後、23℃×50%RHにて1分間保管し、0.3m/分〜3m/分の剥離速度において90°剥離を行い、背面の脱落性を目視にて評価した。
(評価)
以上の評価を総合的に判断し、下記の基準に従って、投錨性を評価した。
◎:目視で確認できる背面の脱落が、投錨性確認試験Aおよび投錨性確認試験Bともに無かった。
○:目視で確認できる背面の脱落が、投錨性確認試験Aでは無く、投錨性確認試験Bではわずかに確認された(点状に確認)。
×:投錨性確認試験Aにおいて背面の脱落が確認されたか、または、投錨性確認試験Bにおいて背面の脱落が確認された。
【0094】
〔製造例1〕:プラスチックフィルムの製造
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルムをカレンダー法によって製造した。この軟質ポリ塩化ビニルフィルムの厚みは70μmであり、JIS−K−7127に従って測定される弾性率(MD)が250MPa、JIS−K−7127に従って測定される最大伸び(MD)が400%であった。また、製造直後の表面粗さ(算術平均表面粗さRa)は0.1μmであった。
【0095】
〔実施例1〕
シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)60重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)40重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)100重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)10重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)1.0重量部を、溶液状態で混合して混合溶液(1)を得た。混合溶液(1)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:1であった。
製造例1で製造した軟質ポリ塩化ビニルフィルムの片方の面に、上記混合溶液(1)を塗布して乾燥し、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.3μmの非粘着層を形成させた。
このようにして、粘着テープ用フィルム(1)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
また、非粘着層をTEMによって観察すると、図1に示すように、形態観察像の濃淡により、空気界面側とプラスチックフィルム側とで組成が異なっていることが確認でき、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含んでおり、シリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相とが互いに独立した相分離構造をなしており、シリコーンリッチ相が空気界面側(プラスチックフィルムの反対側)に存在しており、(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相がプラスチックフィルム側に存在していることが観察された。
さらに、非粘着層について全反射法による赤外分光測定(ATR−IR)を行ったところ、(メタ)アクリル系ポリマー相中のカルボニル基由来の1725cm−1付近のピークに対するSi−CH由来の800cm−1付近のピークの吸光度比を測定した結果、ZnSe45°に比べGe45°のプリズムを用いた場合に800cm−1付近のピークが大きくなることがわかった。したがって、基材側に比べ空気界面側でケイ素の含有率が高まることがわかった。
これらの観察結果、ならびに、表面自由エネルギー最小化の原理を考慮にいれると、空気界面側にシリコーンリッチ相を有する2層構造が非粘着層に形成されたことがわかった。
【0096】
〔実施例2〕
ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)=85/15/2.5(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)1重量部、DOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)60重量部からなる粘着剤のトルエン溶液を調製した。
この粘着剤溶液を、実施例1で得られた粘着テープ用フィルム(1)の非粘着層と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの感圧性粘着剤層を軟質ポリ塩化ビニルフィルムの非粘着層と反対側の面に形成した。形成した感圧性粘着剤層のSP値は10.5であった。
このようにして、粘着テープ(2)を得た。
各種評価結果を表1に示した。
【0097】
〔実施例3〕
実施例2において、非粘着層形成用のアクリル共重合ポリマーとして、エチルアクリレート(EA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=80/10/10のアクリル共重合ポリマーを100重量部用いた以外は、実施例2と同様に行い、粘着テープ(3)を得た。
非粘着層は、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.2μmであった。
各種評価結果を表1に示した。
【0098】
〔実施例4〕
実施例2において、混合溶液(1)の代わりに、シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)60重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)40重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)50重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)10重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)1.0重量部を、溶液状態で混合して得られた混合溶液(4)(混合溶液(4)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=2:1)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、粘着テープ(4)を得た。
非粘着層は、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmであった。
各種評価結果を表1に示した。
【0099】
〔実施例5〕
実施例4において、非粘着層の厚さが0.5μmである以外は、実施例4と同様に行い、粘着テープ(5)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.3μmであった。
各種評価結果を表1に示した。
【0100】
〔実施例6〕
実施例2で得られた粘着テープ(2)の感圧性粘着剤層側に、剥離ライナーとして、Si処理を施した厚さ38μmのPETライナーを貼付し、粘着テープ(6)を得た。
非粘着層は、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.3μmであった。
各種評価結果を表1に示した。
【0101】
〔実施例7〕
実施例2において、混合溶液(1)の代わりに、シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)1.2重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)0.8重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)100重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)0.2重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)0.02重量部を、溶液状態で混合して得られた混合溶液(7)(混合溶液(7)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、粘着テープ(7)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.1μmであった。
各種評価結果を表1に示した。
【0102】
〔実施例8〕
実施例2において、混合溶液(1)の代わりに、シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)60重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)40重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)2重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)10重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)1.0重量部を、溶液状態で混合して得られた混合溶液(8)(混合溶液(8)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=50:1)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、粘着テープ(8)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.1μmであった。
各種評価結果を表1に示した。
【0103】
〔実施例9〕
ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)=85/15/2.5(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、「スーパーベッカミンJ−820−60N」、日本ポリウレタン製)10重量部、DOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス製)60重量部からなる粘着剤のトルエン溶液を調製した。
この粘着剤溶液を、実施例1で得られた粘着テープ用フィルム(1)の非粘着層と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの感圧性粘着剤層を軟質ポリ塩化ビニルフィルムの非粘着層と反対側の面に形成した。形成した感圧性粘着剤層のSP値は10.5であった。
このようにして、粘着テープ(9)を得た。
各種評価結果を表2に示した。
【0104】
〔実施例10〕
実施例9において、非粘着層形成用のアクリル共重合ポリマーとして、エチルアクリレート(EA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=80/10/10のアクリル共重合ポリマーを100重量部用いた以外は、実施例9と同様に行い、粘着テープ(10)を得た。
非粘着層は、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.2μmであった。
各種評価結果を表2に示した。
【0105】
〔実施例11〕
実施例9において、混合溶液(1)の代わりに、シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)60重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)40重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)50重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)10重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)1.0重量部を、溶液状態で混合して得られた混合溶液(4)(混合溶液(4)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=2:1)を用いた以外は、実施例9と同様に行い、粘着テープ(11)を得た。
非粘着層は、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmであった。
各種評価結果を表2に示した。
【0106】
〔実施例12〕
実施例11において、非粘着層の厚さが0.5μmである以外は、実施例11と同様に行い、粘着テープ(12)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.3μmであった。
各種評価結果を表2に示した。
【0107】
〔実施例13〕
実施例9で得られた粘着テープ(9)の感圧性粘着剤層側に、剥離ライナーとして、Si処理を施した厚さ38μmのPETライナーを貼付し、粘着テープ(13)を得た。
非粘着層は、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.3μmであった。
各種評価結果を表2に示した。
【0108】
〔実施例14〕
実施例9において、混合溶液(1)の代わりに、シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)1.2重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)0.8重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)100重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)0.2重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)0.02重量部を、溶液状態で混合して得られた混合溶液(7)(混合溶液(7)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50)を用いた以外は、実施例9と同様に行い、粘着テープ(14)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.1μmであった。
各種評価結果を表2に示した。
【0109】
〔実施例15〕
実施例9において、混合溶液(1)の代わりに、シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)60重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)40重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)2重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)10重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)1.0重量部を、溶液状態で混合して得られた混合溶液(8)(混合溶液(8)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=50:1)を用いた以外は、実施例9と同様に行い、粘着テープ(15)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.1μmであった。
各種評価結果を表2に示した。
【0110】
〔比較例1〕
実施例2において、非粘着層を形成しなかった以外は、実施例2と同様に行い、粘着テープ(C1)を得た。
各種評価結果を表3に示した。
【0111】
〔比較例2〕
実施例2において、混合溶液(1)の代わりに、シリコーン樹脂(KS−723A、信越化学工業製)60重量部、シリコーン樹脂(KS−723B、信越化学工業製)40重量部、スズ系触媒(Cat−PS3、信越化学工業製)10重量部、メチルハイドロシロキサン系硬化促進剤X92−122(信越化学工業製)1.0重量部を、溶液状態で混合して得られた混合溶液(C2)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、粘着テープ(C2)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.08μmであった。
各種評価結果を表3に示した。
【0112】
〔比較例3〕
実施例2において、非粘着層が、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)である以外は、実施例2と同様に行い、粘着テープ(C3)を得た。
非粘着層は、厚さ0.5μm、算術平均表面粗さRa=0.05μmであった。
各種評価結果を表3に示した。
【0113】
【表1】

【0114】
【表2】

【0115】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の粘着テープは、本発明の粘着テープ用フィルムを有するので、上述の通り、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制でき、また、ロール状の形態におけるブロッキングが効果的に抑制され、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることがなく、該非粘着層と該プラスチックフィルムとの馴染みが良く、延伸等の変形に対する追随性が良好である。したがって、脆弱な材料で構成されて微細精緻な回路パターンを有し得る半導体ウェハを被着体とする半導体加工に好適に用い得る。本発明の粘着テープを半導体加工に用いると、負圧による吸着固定を行う場合に過密着が起こることを抑制でき、したがって、ダイシングを含めた半導体製造工程をスムーズに進めることができる。また、本発明の粘着テープを半導体加工に用いると、従来ブロッキングに起因して生じているフィルム変形や応力ひずみの蓄積が生じないので、半導体ウェハの微細精緻な回路パターンに的確に追従して貼り合わせることが可能となり、また、半導体ウェハに貼り合わせた後の応力ひずみの自然解放が起こらないために、半導体ウェハが破砕することを効果的に防止できる。特に、LEDに用いられるウェハは、窒化ガリウム、ガリウムヒ素、炭化ケイ素などの非常に脆弱な材料で構成されているため、本発明の粘着テープは、LEDダイシングなどに非常に好適である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS−K−7127に従って測定される最大伸びが100%以上であるプラスチックフィルムの片方の面に非粘着層を備える粘着テープ用フィルムであって、
該非粘着層の算術平均表面粗さRaが0.1μm以上である、
粘着テープ用フィルム。
【請求項2】
前記非粘着層の非粘着試験剥離力が1.0N/20mm未満である、請求項1に記載の粘着テープ用フィルム。
【請求項3】
前記非粘着層がシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層である、請求項1または2に記載の粘着テープ用フィルム。
【請求項4】
前記非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比が、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50〜50:1である、請求項3に記載の粘着テープ用フィルム。
【請求項5】
前記非粘着層が、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含む、請求項3または4に記載の粘着テープ用フィルム。
【請求項6】
前記プラスチックフィルムの厚みが20μm〜200μmである、請求項1から5までのいずれかに記載の粘着テープ用フィルム。
【請求項7】
前記非粘着層の厚みが0.01μm〜10μmである、請求項1から6までのいずれかに記載の粘着テープ用フィルム。
【請求項8】
前記プラスチックフィルムがポリ塩化ビニルを含む、請求項1から7までのいずれかに記載の粘着テープ用フィルム。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれかに記載の粘着テープ用フィルムにおける前記プラスチックフィルムの前記非粘着層と反対の面に粘着剤層を備える、粘着テープ。
【請求項10】
前記粘着剤層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む、請求項9に記載の粘着テープ。
【請求項11】
前記粘着剤層のSP値が9.0(cal/cm0.5〜12.0(cal/cm0.5である、請求項9または10に記載の粘着テープ。
【請求項12】
前記粘着剤層の表面に剥離ライナーを備える、請求項9から11までのいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項13】
半導体加工に用いられる、請求項9から12までのいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項14】
前記半導体加工がLEDダイシングである、請求項13に記載の粘着テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−100455(P2013−100455A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170938(P2012−170938)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】