説明

粘着テープ

【課題】使用時の剥がれ難さと、剥離時の剥がし易さという相反する特性を同時に具備する粘着テープを提供する。
【解決手段】織布又は不織布の支持体と吸水性粘着剤層とからなる粘着テープであって、前記支持体は、前記支持体の一方の面側からのみ撥水処理が施されており、前記支持体の他方の面側に前記吸水性粘着剤層が積層されていることを特徴とする粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医療分野、スポーツ分野等においては、肌に直接貼付する粘着テープが頻繁に使用されている。
肌に直接貼付する粘着テープは、一般に、紙、布、プラスチックフィルム等を素材とする基材の片面に粘着剤層が形成された構成を有している。例えば、医療用粘着テープは脱脂綿、ガーゼ、包帯、シップ剤等のヒトの皮膚への固定用等に使用されており、スポーツ用テープは主に患部の固定、圧迫、保護用に使用されている。また近年、血液・リンパ液循環の改善、筋肉や関節の動きのサポート、表皮の緊張緩和等が可能なキネシオロジーテープと称される粘着テープも使用されている。
【0003】
このような粘着テープは、使用時の剥がれ難さと、使用終了時又は交換時の剥がれ易さとが相反する特性となっており、使用後に粘着テープを剥がすときに、皮膚への痛みや刺激、角質層の剥離等の皮膚へのダメージが生じることとなる。そして、この皮膚へのダメージは、使用時の剥がれ難さを確保した粘着テープにおいて大きくなる。
特に、近年は、このような粘着テープを老人や乳幼児等の肌の弱い人にも使用する機会が増大しており、上述したような皮膚へのダメージの問題を解決することへの要望が高まっている。
【0004】
剥離時に容易に剥がすことができる治療用粘着シートとして、例えば、水に対する転移温度が4〜34℃で、この転移温度以下で吸水性を示す水不溶性の温度応答性高分子化合物を含有する皮膚用粘着剤組成物を基材に塗布した医療用粘着シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に開示された医療用粘着シートは、4〜34℃の水で容易に剥がすことができるように構成されているため、日常生活での被水、例えば、手洗い時等に粘着シートが被水した場合には、粘着性が維持されず、使用者の意に反して剥がれてしまうとの問題があった。
【0005】
また粘着テープは、ヒトの皮膚(肌)に貼付して使用されるため、安全性の配慮も必要である。特に最近、老人や乳幼児等の肌の弱い人にも使用されるようになってきたこと、長期間にわたって貼付される場合もあること等の理由により、アレルギー、皮膚呼吸の阻害、皮膚のムレやカブレに対する対策も重要となってきた。このため、粘着テープに通気性を具備することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−184657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記現状に鑑み、使用時に剥がれ難く、剥離時には剥がれやすいという相反する特性を備えた粘着テープを提供すべく鋭意検討を行い、支持体に所定の撥水処理を施すとともに、この支持体に吸水性粘着剤層を積層することで、皮膚等の被着体に対する粘着力を状況に応じて制御することができることを見出し本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、織布又は不織布の支持体と吸水性粘着剤層とからなる粘着テープであって、
上記支持体は、上記支持体の一方の面側からのみ撥水処理が施されており、
上記支持体の他方の面側に上記吸水性粘着剤層が積層されていることを特徴とする粘着テープである。
【0009】
本発明の粘着テープは、ベークライト板に張り付けて1時間経過した後の粘着力を初期粘着力とし、ベークライト板に張り付けて1時間経過した後、この状態で37℃の水に1時間浸漬した後の粘着力を浸水後粘着力とすると、初期粘着力に対する浸水後粘着力の比率(%)が50%以下であることが望ましい。
上記初期粘着力は、6N/25mm幅以上であることが望ましく、上記浸水後粘着力は、4N/25mm幅以下であることが望ましい。
【0010】
本発明の粘着テープにおいて、上記支持体は、上記一方の面のJIS L 1092に基づく撥水度が4級以上であり、上記他方の面の上記撥水度が2級以下であることが望ましい。
また、上記撥水処理は、パラフィンワックスにより施されていることが望ましい。
【0011】
本発明の粘着テープは、ガーレ形通気性試験機で測定した通気性が60秒/100mL以下であることが望ましい。
【0012】
本発明の粘着テープにおいて、上記吸水性粘着剤層は、粘着剤組成物の塗工量が38〜68g/m(乾燥重量)であることが望ましい。
また、上記吸水性粘着剤層は、吸水性高分子化合物が分散したアクリル系粘着剤であることが望ましい。ここで、上記吸水性高分子化合物の添加量は、上記アクリル系粘着剤の固形分100重量部に対して0.1〜20重量部であることが望ましい。
また、上記吸水性高分子化合物は、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム化合物、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールのうちの少なくとも1種であることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着テープは、支持体の吸水性粘着剤層が形成される側と反対側の面(使用時に表面側となる面)に撥水処理が施されているため、日常生活において、手洗いやシャワー等の水作業を行う際や、水上、雪上又は雨中でスポーツを行う際等に被水しても、支持体の内部及び吸水性粘着剤層に水が浸透することがなく、水濡れによる粘着力の低下が生じないため、充分な粘着力を維持することができる。以下、本明細書においては、上述したような日常生活の被水を生活被水ともいうこととする。
一方、本発明の粘着テープを剥がす際には、撥水処理が施された側に付着した水分を加圧して支持体内部に浸透させる、具体的には、例えば、水やお湯を流しながら粘着テープの表面を指先等で擦ることにより水分を支持体に浸透させることで、織布又は不織布からなる支持体の内部が容易に濡れ、さらに支持体の吸水性粘着剤層が積層された側には実質的に撥水加工が施されておらず、かつ、吸水性粘着剤層自体が水を取り込む作用を備えているため、吸水性粘着剤層が速やかに吸水し、その結果、粘着テープの粘着力が著しく低下することとなる。そのため、痛みや刺激を感じず、皮膚にダメージを与えず、容易に粘着テープを剥がすことができる。
即ち、本発明の粘着テープは、使用時の剥がれ難さと、剥離時(使用終了時又は交換時)の剥がし易さという相反する特性を同時に具備しているのである。
また、本発明の粘着テープでは、支持体が織布又は不織布からなるため、支持体が通気性を備えており、例えば、本発明の粘着テープを皮膚に貼付して使用した際には、皮膚のムレやカブレを良好に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の粘着テープの一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2(a)は、本発明の粘着テープの別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0015】
以下、本発明の粘着テープについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の粘着テープの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、粘着テープ10は、織布又は不織布からなる支持体11と吸水性粘着剤層12とからなる。支持体11は、その一方の面11a側からのみ撥水処理が施されており、その他方の面11b側に吸水性粘着剤層12が積層されている。
そのため、上述したように、使用時の剥がれ難さと、剥離時の剥がし易さとを備えるのである。
【0016】
粘着テープ10は、ベークライト板に張り付けて1時間経過した後の粘着力を初期粘着力とし、ベークライト板に張り付けて1時間経過した後、この状態で37℃の水に1時間浸漬した後の粘着力を浸水後粘着力とすると、初期粘着力に対する浸水後粘着力の比率(%)が50%以下であることが望ましい。
このような特性を満足することにより、使用者は、使用時に剥がれ難く、剥離時に剥がし易いという本発明の特性を確実に体感することができる。
さらに、医療用・スポーツ用に使用される皮膚に直接貼付する粘着テープの初期粘着力が、通常、6〜30N/25mm幅程度であることを考慮すると、浸水後粘着力が上記範囲にあれば、剥離時に、痛みや刺激、皮膚へのダメージ等が発生する問題が解消されることとなるからである。
【0017】
上記初期粘着力は下記の方法により測定する。
即ち、JIS Z 0237に準じて、180度引き剥がし粘着力を測定する。
具体的には、貼合基材としてSUS304鋼板に代えて厚さ3mmのベークライト板(住友ベークライト社製、PL−PEM)を使用し、粘着テープの張り合わせ方法として2kgローラーで1往復を採用し、粘着テープを張り付けて1時間経過した後の粘着力(23±2℃、相対湿度50±5%)を測定する。
また、上記浸水後粘着力は、上記条件でベークライト板に張り付けた粘着テープを、この状態で37℃の水に1時間浸漬した後の粘着力を測定する。
【0018】
上記初期粘着力は、6N/25mm幅以上であることが望ましい。この範囲であれば、通常の使用態様においては、充分に粘着テープとして使用することができるからである。
上記初期粘着力は、15N/25mm幅以上であることがより望ましい。このような初期粘着力を有する粘着テープは、使用時の粘着力が強く、剥離時に痛みや刺激を感じやすく、皮膚へのダメージが発生しやすいため、剥離時に剥がし易いという本発明の効果を享受するメリットが特に大きくなるからである。
【0019】
上記浸水後粘着力は、4N/25mm幅以下であることが望ましい。
剥離時の粘着力をこの範囲まで低減することができれば、老人や乳幼児等の肌の弱い人であっても、確実に剥離時の痛みや刺激、皮膚へのダメージを排除することができるからである。
上記初期粘着力及び浸水後粘着力は、後述する粘着剤組成物の構成材料や組成、塗布量を適宜選択することによって調整することができる。
【0020】
粘着テープ10の通気性は、JIS L 1096のガーレ形法に準じて、ガーレ形通気性試験機を用いて測定した通気性が60秒/100mL以下であることが望ましい。
上記通気性が60秒/100mLを超えると、通気性が不充分であるため、粘着テープを皮膚に貼付した際に蒸れやすく、かぶれの原因になったり、剥がした後も皮膚刺激が発生したりすることがある。上記通気性は、10秒/100mL以下であることがより望ましい。
上記粘着テープの通気性は、例えば、織布又は不織布の目付量や、織布又は不織布を構成する繊維の番手、粘着剤組成物の塗工量、吸水性粘着剤層の構造(例えば、発泡構造の有無等)等を適宜選択することによって調整することができる。
【0021】
粘着テープ10において、支持体11は、一方の面(撥水処理が施される側の面)11aのJIS L 1092に基づく撥水度が4級以上であり、他方の面(吸水性粘着剤層が積層される側の面)11bの上記撥水度が2級以下であることが望ましい。
上記一方の面の上記撥水度が3級以下では、使用中に生活被水により、粘着テープの粘着力が低下するおそれがある。
また、上記他方の面の上記撥水度が3級以上では、剥離時に粘着テープを水で濡らして指で擦る等により支持体の内部を水で濡らしても、吸水性粘着剤層に水分が移動しにくく、粘着テープの粘着力が充分に低下しないおそれがある。
上記撥水度はJIS L 1092に規定される、はっ水度試験(スプレー試験)に準じて測定する。
【0022】
支持体11は、上述したように、支持体11の一方の面11a側からのみ撥水処理が施されている。
これにより、実質的に支持体11の一方の面11aのみに撥水処理が施されることとなるからである。
上記撥水処理の具体的な方法については後述するが、支持体11は織布又は不織布からなるため、支持体11の一方の面11a側からのみ撥水処理を施しても、撥水剤が支持体11の他方の面11b側に回り込み、他方の面11bにも若干撥水処理が施されることがある。そして、このように支持体11の他方の面11bにも若干撥水処理が施されたとしても上述した本発明の効果を享受できれば、本発明の粘着テープとして許容される。
本発明の粘着テープにおいて、最も望ましい支持体の構成は、支持体の一方の面にのみ撥水処理が施され、他方の面に撥水処理が施されていない構成である。
【0023】
上記撥水処理を施す方法としては、例えば、撥水剤の水溶液を支持体の一方の面側からのみスプレー塗布する方法、撥水剤の水溶液が入ったバス(浴)に一部含浸状態に配置されたローラーを回転させつつ、上記ローラーの上に支持体の一方の面のみ接触させながら移動させるローラーコーティング法等を用いることができる。
【0024】
上記撥水剤としては、撥水性を付与することが可能なものであれば特に限定されず、フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤、ワックス系撥水剤、ジルコニウム系撥水剤、エチレン尿素系撥水剤、メチロールアミド系撥水剤、ピリジニウム塩系撥水剤等が挙げられる。
【0025】
上記フッ素系撥水剤としては、例えば、ポリペンタデカフルオロオクチルアクリレート、ポリトリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン等を主成分として含むもの等が挙げられる。
【0026】
上記シリコン系撥水剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、その末端又は側鎖に水酸基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基等の導入した変性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0027】
上記ワックス系撥水剤としては、例えば、石油ワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックスを挙げることができる。上記石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックスを挙げることができる。上記パラフィンワックスは、石油の精製工程によって製造される常温で固体のワックスである。通常、炭素数20〜40の直鎖状パラフィン系炭化水素を主成分とし、少量の分枝鎖状パラフィンを含むものである。通常、40〜100℃の温度で溶融する性質を有している。上記パラフィンワックスの分子量は300〜550であることが望ましい。
【0028】
また、上記ジルコニウム系撥水剤としては、ジルコニウム脂肪酸塩を、上記エチレン尿素系撥水剤としては、オクタデシルエチレン尿素を、上記メチロールアミド系撥水剤としては、N−メチロールステアリン酸アミドを、上記ピリジニウム塩系撥水剤としては、ステアラミドメチルピリジニウムクロライドを挙げることができる。
【0029】
上記撥水剤のなかでは、ワックス系撥水剤を使用することが望ましく、パラフィンワックスを使用することが特に望ましい。この理由は、フッ素系撥水剤と異なりハロゲンを含有しない点、シリコン系撥水剤と異なり硬化剤を必要としない点で、人体に対する安全性が高く、また、経済的にも有利であるからである。
【0030】
また、ワックス系撥水剤の水溶液を用いる場合、その濃度は、2〜15重量%が望ましい。
なお、上述した撥水剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
上述した方法等によって撥水剤の水溶液が塗布された支持体は、その後、乾燥されることが望ましい。その際の乾燥温度としては特に限定されないが、撥水性、耐水性を高めるために60〜160℃であることが望ましく、70〜150℃がより望ましい。また、乾燥時間は、乾燥性、撥水性、生産性の点から、1〜600秒が望ましい。
【0032】
上記撥水剤の付着量(乾燥後)は、0.1〜5g/mであることが望ましい。
0.1g/m未満であると、撥水性、耐水性が不充分になるおそれがある。5g/mを超える量を付着させようとすると、支持体の他方の面にも撥水剤が付着するおそれが高くなり、また、支持体の通気性が低下するおそれが生じ、さらには経済的にも不利である。
【0033】
支持体11は、織布又は不織布からなる。そのため、支持体は、通気性を備えることとなり、皮膚呼吸の阻害や皮膚のムレ、カブレを良好に防止することができる。
また、支持体が通気性を備えると支持体の透水性も増加する傾向にあり、粘着テープの剥がし易さを確保しやすくなる。
上記通気性は、例えば、織布又は不織布の目付量や、織布又は不織布を構成する繊維の番手等を適宜選択することによって調整することができる。
【0034】
上記織布、不織布の素材としては特に限定されず、例えば、合成繊維、半合成繊維、天然繊維のいずれであってもよい。具体的には、ポリウレタン、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリイミド、酢酸セルロース、エチルセルロース、レーヨン、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン系繊維、フッ素系繊維、アクリル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、炭素繊維、綿、麻、羊毛等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのなかでは、皮膚への刺激が少なく、生産性に優れ、安価である点から天然素材である綿が望ましい。
また、伸縮性、耐熱性、寸法安定性に優れ、比較的安価である点から、ポリウレタンが望ましい。また、ポリウレタンを芯線に用いた化学繊維は、伸縮柔軟性に優れる点で望ましい。
【0035】
上記織布は、織布の織り方、密度、繊維デニール・番手は特に限定されない。また、いずれの製法で製造されたものでも使用することができる。上記不織布の製造方法は特に限定されず、例えば、スパンボンド、エアレイパルプ、湿式、スパンレース、メルトブロー等の製法で製造されたものを使用することができる。
【0036】
上記織布、不織布の目付量は、10〜500g/mであることが望ましく、20〜200g/mであることがより望ましい。10g/m未満であると、目が粗くなり、支持体に吸水性粘着剤層を積層する際に、粘着剤組成物が裏抜けしやすくなるおそれがある。500g/mを超えると、目が密になりすぎるため、透水性が低下し、粘着テープを剥がす際に剥がしにくくなることがあり、また、目が密になりすぎることにより粘着剤を充分に浸透させることができないおそれがある。
【0037】
上記織布において、経糸又は緯糸の少なくとも1つは、伸縮性を有する糸であることが望ましい。これにより、基材の伸縮性を高められるため、皮膚に対する追従性を向上させることができる。よって、より良好に皮膚に貼付することができる。上記伸縮性を有する糸としては、公知のものを好適に使用することができ、例えば、ポリエステル仮撚糸のように仮撚法等によって捲縮が与えられたテクスチャード加工糸(ストレッチヤーン)、ポリウレタン繊維(スパンデックス)のように素材自体が伸縮性を有するもの、ポリウレタン繊維を芯糸にし外側を他の糸で巻いたカバードヤーン、短繊維の紡績工程でポリウレタン糸を芯に入れて紡績糸にしたもの等が挙げられる。
【0038】
また、上記支持体は、織布又は不織布に抗菌加工が施されていても良い。上記抗菌加工は、例えば、無機系抗菌剤、有機系抗菌剤等を用いて行えばよい。
【0039】
無機系抗菌剤としては、例えば、銀、亜鉛、銅、チタン、モリブデン等の金属;これらの金属イオンをシリカ、ゼオライト、合成ゼオライト、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛カルシウム、セラミック、アルミナシリコン、チタンゼオライト、アパタイト、炭酸カルシウム等の無機質微粒子に担持させたもの;ゾル−ゲル法により無機化合物粒子の表面を他の無機酸化物、複合酸化物等により積層又は被覆等したもの等が挙げられる。
【0040】
上記有機系抗菌剤としては、例えば、キチン、キトサン、ワサビやカラシの抽出物、ヒノキチオール、茶抽出物等の天然物、イソチオシアン酸アリル、ポリオキシアルキレントリアルキルアンモニウム、塩化べンザルコニウム、へキサメチレンビグアニド塩酸塩、有機シリコン第4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩類、フェニルアミド系化合物、ビグアニド系化合物、スルホイソフタル酸テトラアルキルホスホニウム塩又はそのジエステル、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、安息香酸、安息香酸塩類、サリチル酸、サリチル酸塩類、フェノール、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸及びその塩類、パラオキシ安息香酸エステル(パラベン)、ポリリジン又はポリリジン塩、アンモニウム塩基、ホスホニウム塩基、スルホニウム塩基、フェニルアミド基、ビグアニド基等の抗菌活性基を主鎖又は側鎖に有する高分子化合物等が挙げられる。
これらのなかでは、加工性、抗菌性に優れ、比較的安価である点から第4級アンモニウム塩類が望ましい。
【0041】
上記抗菌加工を施す方法としては、支持体中に上記抗菌剤を含ませることが可能な方法であれば特に限定されず、例えば、上述した方法で撥水加工を施す際に、撥水剤の水溶液中に抗菌剤を添加しておく方法等が挙げられる。また、撥水剤の水溶液とは別に、抗菌剤を含有する溶液を調製し、支持体にこの溶液をスプレー等で塗布したり、この溶液中に支持体を浸漬したりする方法により、支持体に抗菌加工を施してもよい。
【0042】
上記吸水性粘着剤層は、少なくとも粘着剤と吸水性高分子化合物とを含み、必要に応じて溶媒を含む粘着剤組成物により形成されている。
上記粘着剤としては、感圧接着性を有するものであれば特に限定されないが、疎水性有機溶剤で希釈することが可能であるものを良好に使用することができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられる。
これらのなかでは、粘着性、加工性、耐熱老化性、耐湿老化性、耐候性に優れるとともに、浸水した際に粘着性の低下の度合いが大きく、また、比較的安価である点から、アクリル系粘着剤が望ましい。
【0043】
上記アクリル系粘着剤は、アクリル系重合体を含む粘着剤である。
上記アクリル系重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられる。
【0044】
上記アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを40重量%以上の割合で重合した重合体が望ましい。特に、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜98重量%と、1種又は2種以上の共重合性単量体2〜50重量%を共重合して得られる共重合体が望ましい。
【0045】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキル基の炭素数が2〜18、好ましくは4〜12の第一級〜第三級アルコールと、アクリル酸又はメタクリル酸とから得られるエステル等が挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
上記共重合性単量体としては、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも1個有すると共に、カルボキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等〕やヒドロキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等〕、スルホキシル基〔例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホプロピルエステル、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等〕、アミノ基〔例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステル等〕、アミド基〔例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド等〕、アルコキシル基〔例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル等〕等の官能基を側鎖に有する単量体を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
これら以外に共重合できる単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記吸水性高分子化合物としては、自重の倍から数百倍近い水を吸収して膨潤し、しかも溶解することなく、かつ、膨潤物に圧力を加えても吸水した水を離脱しないものであれば特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロースエステル、ポリアミド、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらのなかでは、ポリアクリル酸ナトリウム化合物、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが望ましい。優れた加工性、通気性、安全性を得ることができ、比較的安価であるからである。
【0049】
上記吸水性高分子化合物は、乾燥時には粘着物性に与える影響が少なく、粘着テープの粘着性を殆ど低下させることがなく、一方、粘着シートを剥離する際には、支持体側から容易に水を吸収して膨潤することで、粘着テープの粘着力を速やかに大きく低下させることができる。
【0050】
上記吸水性高分子化合物の添加量(乾燥時重量換算)は、上記粘着剤の固形分100重量部に対して、0.1〜20重量部が望ましい。
0.1重量部未満では、吸水性粘着剤層の吸水力が不充分となり、粘着テープを剥離する際に粘着力の低下の度合いが小さく、剥離時に痛みや刺激が発生したり、皮膚へのダメージが発生したりすることを充分に回避することができない場合があり、一方、20重量部を超えると、吸水性粘着剤層中に占める粘着剤の割合が相対的に少なくなり、使用時に充分な粘着力を確保できなくなるおそれがある。また、20重量部を超えても剥離時の粘着力の低下の度合いは大きくならず、経済的にも不利である。
上記吸水性高分子化合物の添加量は、通気性を確保しやすく、コスト面でも有利となるため、0.1〜10重量部がより望ましい。
そして、上記粘着剤組成物は、粘着剤がアクリル系粘着剤であり、上記吸水性高分子化合物の添加量(乾燥時重量換算)が上記アクリル系粘着剤の固形分100重量部に対して0.1〜20重量部であるものが望ましい。
【0051】
本発明の粘着テープにおいて、上記粘着剤組成物の塗工量は38〜68g/m(乾燥重量)であることが望ましい。
上記粘着剤組成物の塗工量が38g/m(乾燥重量)未満では、使用時の粘着力が不充分となる場合があり、一方、68g/m(乾燥重量)を超えると、使用時の粘着力が医療用・スポーツ用の粘着テープに要求される粘着力を超えることとなるとともに、剥離時に痛みや刺激、皮膚へのダメージが発生しない程度まで、粘着力を低下させることが困難となる場合があるからである。
【0052】
上記溶媒としては、例えば、水や疎水性有機溶剤等が挙げられ、上記疎水性有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、鉱油、石油エーテル等が挙げられる。
上記粘着剤組成物では、吸水性高分子化合物として、予め水を使用して膨潤させた吸水性高分子化合物を使用するとともに、溶媒として、疎水性有機溶剤を使用することが望ましい。
この場合、粘着剤組成物を調製した際には、吸水性高分子化合物が水を吸水したまま疎水性有機溶剤を含む系に分散することとなる。そして、この状態で粘着剤組成物を支持体等に塗布した後、乾燥処理を行うと、吸水性高分子化合物に吸収されていた水分が粘着剤の溶媒である有機溶剤よりも遅れて蒸発することにより、泡が発生して吸水性粘着剤層は、多数の微細な発泡孔を有する発泡構造を備えることとなるからである。
【0053】
特に、この方法で発泡構造を形成する場合、吸水性高分子化合物に吸水させてあらかじめ均一に分散させておくことにより、孔も均一に形成され、かつ、互いに連通する傾向にあるため、吸水性粘着剤層の透水性、通気性をより向上させることができる。
そして、このような発泡構造を備える吸水性粘着剤層は、透水性に優れるため、剥離時により速やかに粘着力が低下することとなる。また、発泡構造を備える吸水性粘着剤層は、通気性にも優れるため、粘着テープの使用時のムレやカブレを防止するのに適している。
即ち、上記吸水性粘着剤層は、発泡構造を有することが望ましいのである。
【0054】
上記粘着剤組成物は、硬化剤を含有するものであることが望ましい。上記硬化剤としては、公知のものを使用することができるが、イソシアネート系硬化剤を使用することが望ましい。
また、上記粘着剤組成物には、必要に応じて、公知の可塑剤、軟化剤、充填剤、粘着付与剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
【0055】
上記吸水性粘着剤層は、抗菌加工が施されていてもよい。この場合、上記粘着剤組成物中に抗菌剤を配合すればよい。
上記抗菌剤としては、上記支持体に抗菌加工を施す際に使用するものと同様のものを用いることができる。
そして、吸水性粘着剤層に使用する抗菌剤としては、安全性、耐熱性、加工性、抗菌性に優れる点から、銀、銀イオンを無機質微粒子に担持させたもの等の銀系の抗菌剤が望ましい。
【0056】
上記粘着テープは、製造、運搬、保存中に吸水性粘着剤層が、器具、容器等に接着することを防止すること、テープの劣化を防止することを目的として、皮膚等の被着体への貼付の直前までは粘着剤層の露出面が、セパレーター層にて被覆、保護されていてもよい。
図2(a)は、本発明の粘着テープの別の一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図2に示すように、セパレーター層を備えた粘着テープ20は、支持体21、吸水性粘着剤層22、及び、セパレーター層23がこの順に積層された構造を備えている。
粘着テープ20は、使用時において、セパレーター層23を剥離して吸水性粘着剤層22を露出させ、皮膚等の被着体に貼付して使用する。
【0057】
上記セパレーター層としては、使用時に吸水性粘着剤層から容易に剥離されるものであれば特に限定されず、例えば、吸水性粘着剤層と接触する面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理が施されたポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム、上質紙、グラシン紙等の紙、上質紙又はグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が挙げられる。
上記セパレーター層の厚さは、12〜200μmであることが望ましく、50〜100μmであることがより望ましい。
【0058】
このような構成からなる本発明の粘着テープは、医療分野、スポーツ用分野において、皮膚に直接貼付する通気性粘着テープとして好適に使用することができる。
具体的には、例えば、キネシオロジーテープ、絆創膏、サージカルテープ、伸縮性包帯、筋肉・関節サポートテープ、血行促進テープ等として使用することができる。これらのなかでは、特にキネシオロジーテープとして好適である。キネシオロジーテープは、一般に、使用時に高い粘着力が要求され、そのため、剥離時に痛みや刺激が発生しやすく、本発明の粘着テープが備える特性が特に要求されるからである。
【0059】
なお、上記キネシオロジーテープとは、キネシオロジー(医学を基礎にした身体の運動に関する筋肉の運動機能を専門的に研究する学問)に基づく自然療法「キネシオテーピング法」に使用するテープであり、筋肉に対して貼付するテープである。上記キネシオロジーテープには一定の伸縮性と、体にフィットする粘着性があり、痛いところや凝っているところ等に貼ることによって、人間の自然治癒力を促進させ、障害を和らげたり治したりするものである。
【0060】
具体的には、キネシオロジーテープには以下(1)〜(3)のような効果がある。
(1)血液・リンパ液循環の改善(テープで皮膚が持ち上げられ、血液・リンパ液の循環が良くなることにより、新陳代謝を活発にする、疲労の回復を早める、筋肉疲労を軽減させる。)
(2)筋肉や関節の動きをサポート(テープが皮膚を持ち上げ、筋肉の動きをスムーズにする。また伸縮性で、筋肉の動きをサポート、関節の動きを円滑にする。)
(3)表皮の緊張を緩和(伸縮性によって皮膚に適度の刺激を与え、表皮の緊張を緩和させる。)
【0061】
本発明の粘着テープは、例えば、以下の方法により製造することができる。
先ず、支持体となる織布又は不織布を用意し、この織布等の片面側からのみ上述した方法で撥水処理を施し、支持体を製造する。
一方、これとは別に、セパレーター層の片面に上記粘着剤組成物を塗布、乾燥して吸水性粘着剤層を形成する。
その後、セパレーター層上に形成された吸水性粘着剤層と支持体とを貼り合わせ、その後必要に応じて、裁断、ロール状に巻き取る等の工程を行うことにより本発明の粘着テープが完成する。
また、上記粘着剤組成物を上記撥水処理を施した支持体に直接塗布した後、乾燥させることにより吸水性粘着剤層を形成し、粘着テープを完成してもよい。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
(実施例1)
(1)織布として伸縮性を有する経糸と伸縮性を持たない緯糸とを平織加工した伸縮性織布を用意した。
経糸はポリウレタン製の40デニールのスパン糸の外側を20番手綿糸で覆ったもので、緯糸は16番手綿糸を使用した。支持体の目付量は130g/mであった。
次に、パラフィン系撥水剤(日華化学社製、TH−44)の3重量%水溶液を、上記伸縮性織布の片面側からのみスプレー塗布し、その後、110℃、30秒間の条件で乾燥させた。ここで、撥水剤の付着量は、0.1g/m(乾燥後)である。
これにより、撥水剤塗布面の撥水度が3級、反対面の撥水度が1級の支持体を得た。
【0064】
(2)アクリル系粘着剤(サイデン化学社製、サイビノールAT−1104)100.0重量部、イソシアネート系硬化剤(三井武田ケミカル社製、タケネートB−830)3.0重量部、及び、アクリル系粘着剤の乾燥重量に対し0.01重量%の吸水性高分子化合物(ポリアクリル酸ナトリウム:日本純薬社製、アロンビスS)にイオン交換水20重量部を吸水させたものを、均一に攪拌して粘着剤組成物を得た。
次に、この粘着剤組成物をコンマコーターで片面にポリエチレンフィルムがラミネートされた剥離紙(片面ポリラミ剥離紙/セパレーター層)のシリコン面に塗工し、温度勾配50〜140℃で溶剤乾燥し、剥離紙上に、連続発泡により微細な孔が厚さ方向に均一に形成された吸水性粘着剤層を設けた。
【0065】
(3)吸水性粘着剤層が形成された剥離紙と、撥水処理が施された伸縮性織布とを貼り合わせて粘着テープを製造した。
なお、吸水性粘着剤層の塗工量は、38g/mとした。
【0066】
(実施例2)
(1)パラフィン系撥水剤水溶液の濃度を5重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、支持体を得た。この支持体は、撥水剤の付着量が、0.8g/m(乾燥後)であり、撥水剤塗布面の撥水度が4級、反対面の撥水度が2級であった。
(2)粘着剤組成物を、アクリル系粘着剤(サイビノールAT−1104)100.0重量部、イソシアネート系硬化剤(タケネートB−830)3.0重量部、及び、アクリル系粘着剤の乾燥重量に対し5重量%の吸水性高分子化合物(アロンビスS)にイオン交換水20重量部を吸水させたものを、均一に攪拌して得た粘着剤組成物に変更するとともに、粘着剤組成物の剥離紙上への塗布量を変更した以外は、実施例1と同様にして、剥離紙上に吸水性粘着剤層を形成した。
(3)吸水性粘着剤層が形成された剥離紙と、撥水処理が施された伸縮性織布とを貼り合わせて粘着テープを製造した。
なお、吸水性粘着剤層の塗工量は、50g/mとした。
【0067】
(実施例3)
(1)パラフィン系撥水剤水溶液の濃度を10重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、支持体を得た。この支持体は、撥水剤の付着量が、4.0g/m(乾燥後)であり、撥水剤塗布面の撥水度が5級、反対面の撥水度が2級であった。
(2)粘着剤組成物を、アクリル系粘着剤(サイビノールAT−1104)100.0重量部、イソシアネート系硬化剤(タケネートB−830)3.0重量部、及び、アクリル系粘着剤の乾燥重量に対し20重量%の吸水性高分子化合物(アロンビスS)にイオン交換水20重量部を吸水させたものを、均一に攪拌して得た粘着剤組成物に変更するとともに、粘着剤組成物の剥離紙上への塗布量を変更した以外は、実施例1と同様にして、剥離紙上に吸水性粘着剤層を形成した。
(3)吸水性粘着剤層が形成された剥離紙と、撥水処理が施された伸縮性織布とを貼り合わせて粘着テープを製造した。
なお、吸水性粘着剤層の塗工量は、68g/mとした。
【0068】
(実施例4)
実施例2において、粘着剤組成物を、アクリル系粘着剤(サイビノールAT−1104)100.0重量部、イソシアネート系硬化剤(タケネートB−830)3.0重量部、及び、アクリル系粘着剤の乾燥重量に対し0.1重量%の吸水性高分子化合物(アロンビスS)にイオン交換水20重量部を吸水させたものを、均一に攪拌して得た粘着剤組成物に変更した以外は、実施例2と同様にして、粘着テープを製造した。
【0069】
(実施例5)
実施例2において、撥水処理が施された支持体を、実施例1の(1)の工程と同様の工程を経て作製した支持体に変更した以外は、実施例2と同様にして粘着テープを製造した。
【0070】
(実施例6)
(1)撥水処理の条件を以下の条件に変更した以外は、実施例1の(1)の工程と同様にして撥水剤塗布面の撥水度が3級、反対面の撥水度が2級の支持体を得た。
即ち、パラフィン系撥水剤(TH−44)の3重量%水溶液を、上記伸縮性織布の片面側からのみスプレー塗布し、その後、110℃、30秒間の条件で乾燥させた。ここで、撥水剤の付着量は、0.6g/m(乾燥後)である。
(2)次に、実施例2の(2)及び(3)の工程と同様の工程を経て、粘着テープを製造した。
【0071】
(実施例7)
(1)撥水処理の条件を以下の条件に変更した以外は、実施例1の(1)の工程と同様にして撥水剤塗布面の撥水度が4級、反対面の撥水度が1級の支持体を得た。
即ち、パラフィン系撥水剤(TH−44)の5重量%水溶液を、上記伸縮性織布の片面側からのみスプレー塗布し、その後、110℃、30秒間の条件で乾燥させた。ここで、撥水剤の付着量は、0.8g/m(乾燥後)である。
(2)次に、実施例2の(2)及び(3)の工程と同様の工程を経て、粘着テープを製造した。
【0072】
(実施例8)
(1)撥水処理の条件を以下の条件に変更した以外は、実施例1の(1)の工程と同様にして撥水剤塗布面の撥水度が5級、反対面の撥水度が1級の支持体を得た。
即ち、パラフィン系撥水剤(TH−44)の10重量%水溶液を、上記伸縮性織布の片面側からのみスプレー塗布し、その後、110℃、30秒間の条件で乾燥させた。ここで、撥水剤の付着量は、3.0g/m(乾燥後)である。
(2)次に、実施例2の(2)及び(3)の工程と同様の工程を経て、粘着テープを製造した。
【0073】
(実施例9)
(1)撥水処理の条件を以下の条件に変更した以外は、実施例1の(1)の工程と同様にして撥水剤塗布面の撥水度が5級、反対面の撥水度が3級の支持体を得た。
即ち、パラフィン系撥水剤(TH−44)の10重量%水溶液を、上記伸縮性織布の片面側からのみスプレー塗布し、その後、110℃、30秒間の条件で乾燥させた。ここで、撥水剤の付着量は、5.0g/m(乾燥後)である。
(2)次に、実施例2の(2)及び(3)の工程と同様の工程を経て、粘着テープを製造した。
【0074】
(実施例10)
(1)撥水処理の条件を以下の条件に変更した以外は、実施例1の(1)の工程と同様にして撥水剤塗布面の撥水度が4級、反対面の撥水度が3級の支持体を得た。
即ち、パラフィン系撥水剤(TH−44)の5重量%水溶液を、上記伸縮性織布の片面側からのみスプレー塗布し、その後、110℃、30秒間の条件で乾燥させた。ここで、撥水剤の付着量は、1.0g/m(乾燥後)である。
(2)次に、実施例2の(2)及び(3)の工程と同様の工程を経て、粘着テープを製造した。
【0075】
(実施例11)
実施例2において、吸水性粘着剤層の塗工量を80g/mとした以外は、実施例2と同様にして粘着テープを製造した。
【0076】
(実施例12)
実施例1において、吸水性粘着剤層の塗工量を25g/mとした以外は、実施例1と同様にして粘着テープを製造した。
【0077】
(比較例1)
(1)実施例1で用意した伸縮性織布を、何ら撥水処理を施さず支持体とした。この支持体の撥水度は、両面とも1級であった。
(2)粘着剤組成物の剥離紙上への塗布量を変更した以外は、実施例1と同様にして剥離紙上に吸水性粘着剤層を形成した。
(3)吸水性粘着剤層が形成された剥離紙と、伸縮性織布とを貼り合わせて粘着テープを製造した。
【0078】
(比較例2)
(1)実施例2と同様にして、支持体を得た。
(2)アクリル系粘着剤(サイビノールAT−1104)100.0重量部、及び、イソシアネート系硬化剤(タケネートB−830)3.0重量部を均一に攪拌して粘着剤組成物を得た。
次に、この粘着剤組成物をコンマコーターで片面ポリラミ剥離紙(セパレーター層)のシリコン面に塗工し、温度勾配50〜140℃で溶剤乾燥し、剥離紙上に無発泡の吸水性粘着剤層を設けた。
(3)吸水性粘着剤層が形成された剥離紙と、撥水処理が施された伸縮性織布とを貼り合わせて粘着テープを製造した。
なお、吸水性粘着剤層の塗工量は、80g/mとした。
【0079】
(比較例3)
(1)実施例1と同様にして、撥水剤塗布面の撥水度が3級、反対面の撥水度が1級の支持体を得た。
(2)アクリル系粘着剤(サイビノールAT−1104)100.0重量部、及び、イソシアネート系硬化剤(タケネートB−830)3.0重量部を均一に攪拌して粘着剤組成物を得た。
次に、この粘着剤組成物をコンマコーターで片面ポリラミ剥離紙(セパレーター層)のシリコン面に塗工し、温度勾配50〜140℃で溶剤乾燥し、剥離紙上に無発泡の吸水性粘着剤層を設けた。
(3)吸水性粘着剤層が形成された剥離紙と、撥水処理が施された伸縮性織布とを貼り合わせて粘着テープを製造した。
なお、吸水性粘着剤層の塗工量は、50g/mとした。
【0080】
(比較例4)
(1)実施例1と同様の伸縮性織布を用意した。次に、パラフィン系撥水剤(TH−44)の10重量%水溶液を、上記伸縮性織布の両面にスプレー塗布し、その後、110℃、30秒間の条件で乾燥させた。ここで、撥水剤は、片面に5g/m(乾燥後)ずつ、両面に付着している。
これにより、両面に撥水度が5級の撥水剤塗布面を有する支持体を得た。
【0081】
(2)次に、実施例2の(2)及び(3)の工程と同様の工程を経て、粘着テープを製造した。
【0082】
実施例及び比較例に関して、下記の評価を行った。なお、評価結果は、表1、2に示した。
【0083】
(支持体の撥水度)
各実施例及び比較例と同様の方法で作製した支持体を試験片(200mm×200mm)として、JIS L 1092に規定のはっ水度試験(スプレー試験)に準じて測定した。なお、水の散布時間は、25秒間とした。
【0084】
(通気性)
JIS L 1096に規定のガーレ形法に準じて測定した。粘着テープを5cm×5cmに断裁後、剥離紙を剥がし、ガーレ形通気性試験機(西村製作所社製)の空気噴出口に差し込んで締めつけ、100mLの空気が粘着テープを通して噴出されるのに要する時間を測定した。
【0085】
(初期粘着力)
JIS Z 0237に準じて測定した。粘着テープを幅25mm×長さ150mmに断裁後、剥離紙を剥がし、得られた粘着テープを厚さ3mmのベークライト板(住友ベークライト社製、PL−PEM)に貼付して、温度23℃、相対湿度50%で1時間放置したものを測定試料とした。測定試料の粘着テープを引張速度300mm/分、引張角度180度の下で引き剥がした時の粘着力を測定した。
【0086】
(浸水後粘着力)
粘着テープを幅25mm×長さ150mmに断裁後、剥離紙を剥がし、得られた粘着テープを厚さ3mmのベークライト板(住友ベークライト社製、PL−PEM)に貼付して、37℃の水中に1時間浸漬したものを測定試料とし、初期粘着力と同様の方法で、測定試料の粘着力を測定した。
【0087】
(密着性(使用時の剥がれ難さ)/剥離性(剥離時の剥がし易さ))
実施例及び比較例で製造した粘着テープ(幅25mm×長さ150mm)を、いずれの粘着テープであるかを特定せず、被験者20人に24時間日常生活の中で使用してもらい、その密着性及び剥離性を下記の基準で評価した。なお、使用箇所は、手首及び肘とした。
(1)密着性の評価基準
使用中の皮膚への密着性について、「剥がれにくい」と回答した被験者が、85%以上(17人以上)であれば「◎」、70%以上(14人以上16人以下)であれば「○」、55%以上(11人以上13人以下)であれば「△」、50%以下(10人以下)であれば「×」とした。
(2)剥離性の評価基準
使用後、水に濡らし指で軽く擦った後、剥離した際に、剥離時の痛みについて、「痛くない」と回答した被験者が、85%以上(17人以上)であれば「◎」、70%以上(14人以上16人以下)であれば「○」、55%以上(11人以上13人以下)であれば「△」、50%以下(10人以下)であれば「×」とした。
【0088】
(貼付剥離の総合評価)
上述した基準で評価した、「密着性」及び「剥離性」について、評価結果が「◎」の場合は3ポイント、「○」の場合は2ポイント、「△」の場合は1ポイント、「×」の場合は0ポイントとして、密着性及び剥離性の各ポイントを合計し、5ポイント以上であれば「◎」、3〜4ポイントであれば「○」、2ポイント以下であれば「×」とした。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
以上の結果より、実施例に係る粘着テープは、支持体の吸水性粘着剤層が形成される側と反対側の面(使用時に表面側となる面)に撥水処理が施されており、かつ、粘着剤層が吸水性を有するため、使用時には被水しても剥がれにくく、剥がす際には痛みや刺激を感じず、皮膚にダメージを与えず、容易に粘着テープを剥がすことができることが明らかとなった。
即ち、実施例に係る粘着テープは、使用時の剥がれ難さと、剥離時(使用終了時又は交換時)の剥がし易さという相反する特性を同時に具備していた。
一方、比較例に係る粘着テープは、密着性及び剥離性の少なくともいずれかで、実施例の粘着テープよりも劣るものであった。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の粘着テープは、医療用・スポーツ用粘着テープ、特にキネシオロジーテープとして好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0093】
10、20 粘着テープ
11、21 支持体
12、22 吸水性粘着剤層
23 セパレーター層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布又は不織布の支持体と吸水性粘着剤層とからなる粘着テープであって、
前記支持体は、前記支持体の一方の面側からのみ撥水処理が施されており、
前記支持体の他方の面側に前記吸水性粘着剤層が積層されていることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
ベークライト板に張り付けて1時間経過した後の粘着力を初期粘着力とし、
ベークライト板に張り付けて1時間経過した後、この状態で37℃の水に1時間浸漬した後の粘着力を浸水後粘着力とすると、
初期粘着力に対する浸水後粘着力の比率(%)が50%以下である請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記初期粘着力は、6N/25mm幅以上である請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記浸水後粘着力は、4N/25mm幅以下である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記支持体は、前記一方の面のJIS L 1092に基づく撥水度が4級以上であり、前記他方の面の前記撥水度が2級以下である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記撥水処理は、パラフィンワックスにより施されている請求項1〜5のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項7】
ガーレ形通気性試験機を用いて測定した通気性が60秒/100mL以下である請求項1〜6のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記吸水性粘着剤層は、粘着剤組成物の塗工量が38〜68g/m(乾燥重量)である請求項1〜7のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項9】
前記吸水性粘着剤層は、吸水性高分子化合物が分散したアクリル系粘着剤である請求項1〜8のいずれかに記載の粘着テープ。
【請求項10】
前記吸水性高分子化合物の添加量は、前記アクリル系粘着剤の固形分100重量部に対して0.1〜20重量部である請求項9に記載の粘着テープ。
【請求項11】
前記吸水性高分子化合物は、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム化合物、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールのうちの少なくとも1種である請求項9又は10に記載の粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−208069(P2011−208069A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78935(P2010−78935)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】