説明

粘着テープ

【課題】充分なタック性及び高い粘着力を有し、且つ糊残りの少ない粘着テープを提供する。
【解決手段】基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープであって、前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)カルボキシル基含有単量体、(c)炭素数1〜4のアルキル基及びビニル基又はイソプロペニル基を有する特定のエステル化合物、及び必要に応じて(d)その他重合可能な単量体を特定の割合で含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体、(B)粘着付与樹脂、並びに、(C)イミン又はイソシアネート系化合物を特定の割合で含有する粘着剤組成物を塗工してなるものであり、該単量体混合物における該(c)成分の配合割合が、該(a)成分1重量部に対して、0.15重量部未満である、粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充分なタック性及び高い粘着力を有し、且つ糊残りの少ない粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは、作業性に優れることから、家電製品、自動車、OA機器等の広い範囲で日常的に用いられている。粘着テープには一般に高い粘着力が求められるが、粘着テープの粘着力を向上させる方法として、粘着付与剤を添加することが行われる(例えば、特許文献1)。しかしながら、粘着力を共に向上させようとして大量の粘着付与剤を添加すると、タック性が著しく低下して、粘着テープとしての役割を果たせなくなるという問題があった。また、塗装作業の際の養生テープ、荷物運搬作業時に壁等にビニールシートを固定するためのテープ等、一旦張り付けたテープを剥がすような用途に用いる場合、粘着力が高いだけでなく、テープを剥がしたあとが残らないことが重要である。しかし、粘着力を高めると、テープの貼付対象物に糊が残ってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−2212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、充分なタック性及び高い粘着力を有し、且つ糊残りの少ない粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような状況の下、本発明者らは、前記粘着剤層に、(A)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有単量体、炭素数1〜4のアルキル基を有するエステル化合物、及び必要に応じてその他重合可能な単量体を一定の割合で含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体、(B)粘着付与樹脂、並びに、(C)エチレンイミン又はトリレンジイソシアネートを一定量含有する粘着剤組成物を用いることにより、充分なタック性及び高い粘着力を両立した粘着テープが得られることを見出した。本発明者らは、さらに、炭素数1〜4のアルキル基を有するエステル化合物とアルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを配合割合を特定の範囲とすることにより、充分なタック性及び高い粘着力に加えてさらに糊残りが低減されることを見出した。本発明は、上記新規の知見に基づくものである。
【0006】
従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープであって、
前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%、(b)カルボキシル基含有単量体0.1〜8重量%、(c)下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R及びRの一方は、一般式(2)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物2〜20重量%、及び(d)その他重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B)粘着付与樹脂0.5〜10重量部、並びに、(C)硬化剤としてイミン又はイソシアネート系化合物0.05〜3.0重量部を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものであり、
該単量体混合物における該(c)一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合割合が、該(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル1重量部に対して、0.15重量部未満である、粘着テープ。
【0009】
項2.前記(d)その他重合可能な単量体が、アミド基含有単量体である項1に記載の粘着テープ。
【0010】
項3.前記(c)一般式(1)で表わされるエステル化合物が、酢酸ビニルである、項1又は2に記載の粘着テープ。
【0011】
項4.前記粘着付与樹脂が、テルペン系樹脂である項1〜3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【0012】
項5.(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、炭化水素系オイル、ポリブテン、又は可塑剤が0.5〜10重量部添加された、項1記載の粘着テープ。
【0013】
項6.前記基材が、ポリエステル糸をタテ糸及びヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材である項1〜5のいずれか一項に記載の粘着
テープ。
【0014】
項7.前記基材が、ポリエステル糸をタテ糸、フラットヤーンをヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材である項1〜5のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、充分なタック性及び高い粘着力を有し、且つ糊残りの少ない粘着テープを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を詳述する。
【0017】
本発明の粘着テープは、基材と該基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる。
【0018】
上記粘着剤層は(A)(メタ)アクリル系共重合体、(B)粘着付与樹脂、及び(C)硬化剤を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものである。
【0019】
上記(メタ)アクリル系共重合体は、(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(b)カルボキシル基含有単量体、及び(c)下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R及びRの一方は、一般式(2)
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜3のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物2〜20重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られるものである。
【0022】
上記アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは特に限定されず、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシルアクリレート等が好適である。
【0023】
本明細書において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を示し、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを示す。
【0024】
上記単量体混合物における上記炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量の下限は65重量%、上限は99.8重量%である。上記炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量が65重量%未満であると、凝集力が過剰に大きくなるためタックが低下し、99.8重量%を超えると、凝集力が過剰に低下するため粘着力が低下する。上記炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合量の好ましい下限は70重量%、好ましい上限は98重量%であり、より好ましい下限は75重量%、より好ましい上限は95重量%である。
【0025】
上記カルボキシル基含有単量体は特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、等が挙げられる。これらのカルボキシル基含有単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アクリル酸、メタクリル酸が好適である。
【0026】
上記単量体混合物における上記カルボキシル基含有単量体の配合量の下限は0.1重量%、上限は27重量%である。上記カルボキシル基含有単量体の配合量が0.1重量%未満であると、硬化剤との反応点が消失し粘着力が著しく低下し、27重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記カルボキシル基含有単量体の配合量の好ましい下限は0.5重量%、好ましい上限は25重量%であり、より好ましい下限は0.8重量%、より好ましい上限は22重量%である。
【0027】
下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R及びRの一方は、一般式(2)
【0028】
【化3】

【0029】
(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物は特に限定されず、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル、酪酸イソプロペニル、及び吉草酸イソプロペニルが挙げられる。これらのエステル化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル等が好ましい。
【0030】
上記単量体混合物における一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合量の下限は2重量%、上限は20重量%である。上記一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合量が2重量%未満であると、粘着剤組成物の保持力が低下し、20重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記その他重合可能な単量体の配合量の好ましい下限は0重量%、好ましい上限は15重量%であり、より好ましい下限は2重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0031】
本発明においては、その他重合可能な単量体(d)、すなわち上記成分(a)〜(c)
以外の重合可能な単量体を含んでいてもよい。
【0032】
上記その他重合可能な単量体(d)は特に限定されず、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等や、アクリルアミド、2−メチルアクリルアミド、2−エチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有単量体等が挙げられる。これらのその他重合可能な単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アミド基含有単量体が好適である。
【0033】
上記単量体混合物における上記その他重合可能な単量体(d)を配合する場合、配合量の下限は0重量%、上限は8重量%である。上記その他重合可能な単量体(d)の配合量が8重量%を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記その他重合可能な単量体を配合する場合、その配合量の好ましい下限は2重量%、好ましい上限は7重量%であり、より好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は6重量%である。
【0034】
本発明は、上記単量体混合物における上記一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合割合が、上記アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル1重量部に対して、0.15重量部未満、好ましくは0.12未満、より好ましくは0.10未満であることを特徴とする。一般式(1)で表わされるエステル化合物と上記アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの配合割合を上記範囲とすることにより、高い粘着力を有しつつ、充分なタック性を有しかつ糊残りが抑制されるという、背反する特徴を併せ持つ粘着テープを得ることができる。
【0035】
また、粘着テープの貼り付け面に対し水平方向への荷重に対する応力を高める観点から、本発明においては、上記単量体混合物における(b)カルボキシル基含有単量体の配合割合は、前記(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%に対して、下限は0.1重量%、上限は8重量%が好ましい。より好ましい下限は0.3未満、好ましい上限は6である。
【0036】
上記粘着付与樹脂は特に限定されず、ロジン類、ロジン誘導体、石油系樹脂、テルペン系樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、テルペンフェノールや水素化テルペン等のテルペン系樹脂が好適である。
【0037】
上記粘着剤組成物において上記(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対する上記粘着付与樹脂の配合量の下限は0.5重量部、上限は10重量部である。上記粘着付与樹脂の配合量が0.5重量部未満であると、粘着力が低下し、10重量部を超えると、経時での変色等の問題が発生する。上記粘着付与樹脂の配合量の好ましい下限は0.8重量部、好ましい上限は9重量部であり、より好ましい下限は1.0重量部、より好ましい上限は8重量部である。
【0038】
上記粘着剤組成物は、硬化剤としてイミン又はイソシアネート系化合物を含有する。イミン系化合物としては、例えば、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)、ペンタエリスリトール トリス(3−(1−アジリジニル)プロピオネート、N,N'−テトラメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド、トリス(1-アジリジンプロピオン酸)1,1,1-プロパントリイルトリスメチレン)等が挙げられる。イソシアネート系化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメ タンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体を挙げることができる。これらの硬化剤のうち、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)、ペンタエリスリトール トリス(3−(1−アジリジニル)プロピオネート)、トリレンジイソシアネート等が好ましい。上記(メタ)アクリル系共重合体が上記の単量体混合物からなり、かつ、硬化剤としてエチレンイミン又はトリレンジイソシアネートを用いることにより、平滑表面に対する粘着力と凹凸表面に対する粘着力とを両立することができる。これは、架橋密度が適度なレベルに保たれ、粘着剤自体の柔軟性のバランスが最適化されているためではないかと考えられる。
【0039】
上記粘着剤組成物において上記(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対する上記硬化剤の配合量の下限は0.1重量部、上限は3重量部である。上記硬化剤の配合量が0.1重量部未満であると、再剥離性が低下し、3重量部を超えると、ガラス転移点が過剰に高温になり、タックが低下する。上記硬化剤の配合量の好ましい下限は0.3重量部、好ましい上限は2.5重量部であり、より好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は2.0重量部である。
【0040】
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、可塑剤、樹脂、界面活性剤、ワックス、微粒子充填剤、熱安定剤、酸化防止剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
【0041】
本発明においては、ジッピング抑制の観点から、上記粘着剤組成物に炭化水素系オイル、ポリブテン、又は可塑剤を配合してもよい。
炭化水素系オイル、ポリブテン、及び可塑剤を配合する場合、その配合量は特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系共重合体(A)100重量部に対して、炭化水素系オイル、ポリブテン又は可塑剤を0.5〜10重量部、より好ましくは、1.5〜7重量部配合するのが好ましい。
【0042】
炭化水素系オイル、ポリブテン又は可塑剤としては、通常、ゴム、塩化ビニル樹脂等に配合されるものを適宜用いることができ、例えば、以下のものが挙げられる:
炭化水素系オイルとしては、例えば、プロセスオイル、ひまし油、トール油等が挙げられる。より具体的には、ハートールFA−1(ハリマ化成)、JCT oilB等の商品名で販売されているものを用いることができる。
【0043】
ポリブテンとしては、例えば、重量平均分子量が300〜2000、好ましくは500〜1000のものを用いることができる。より具体的には、LV−50、LV−100(日石)等の商品名で販売されているものを用いることができる。
【0044】
可塑剤としては、例えば、ポリエステル系可塑剤、フタル酸系可塑剤等が挙げられる。より具体的には、アデカサイザーRS−107、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等の商品名で販売されているものを用いることができる。
【0045】
これらの炭化水素系オイル、ポリブテン及び可塑剤は、1種単独で、又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0046】
上記基材は特に限定されず、二軸延伸ポリプロピレン等の従来公知の基材を用いることができる。なかでも、手切れ性等に優れることから、ポリエステル糸をタテ糸、ヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材、又は、ポリエステル糸をタテ糸、フラットヤーンをヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材が好適である。
【0047】
本発明の粘着テープは、上記基材の片面にのみ上記粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよく、上記基材の両面に上記粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。本発明の粘着テープは、上記基材の少なくとも片面に上記粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成することにより製造することができる。上記塗工の方法は特に限定されず、例えば、ドクターナイフやスピンコーター等を用いた従来公知の塗工方法を用いることができる。
【実施例】
【0048】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0049】
(実施例1)
(1)(メタ)アクリル系共重合体の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)92.5重量部、アクリル酸0.5重量部、メチルアクリレート5重量部、アクリルアミド2重量部、及び重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.2重量部を添加し、フラスコ中で60℃、6時間溶液重合することにより(メタ)アクリル系共重合体を得た。
【0050】
(2)粘着テープの製造
得られた(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、粘着付与剤としてテルペンフェノール7重量部と、硬化剤としてN,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)(以下、本明細書中においては、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジニルカルボキシアミド)を硬化剤Aと示すこともある)1.7重量部を加え、スパチュラを用いて常温で攪拌することにより混合して粘着剤組成物を調製した。一方、基材として厚さ100μmであるPETクロス基材を準備した。
【0051】
基材の一方の面上に粘着剤組成物を、アプリケーターを用いて粘着剤層の厚さが30μmとなるように塗工した。塗工後、100℃で3分間乾燥後、40℃で3日間養生して粘着テープを得た。
【0052】
(実施例2〜5、比較例1〜4)
(メタ)アクリル系共重合体及び粘着剤組成物を表1のようにした以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0053】
(評価1)
実施例1〜6及び比較例1〜4にて製造した粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
【0054】
(1)SP粘着力の測定
JIS Z 0237に準じる方法により、SUS 304鋼板に対する180°引きはがし粘着力を測定した。
【0055】
(2)タック性の評価
JIS Z 0237に準じる方法により、傾斜式ボールタックの値を測定した。
【0056】
(3)対サッシ粘着力
住宅部材用のアルミサッシ板を80×150mmにカットし、表面に25mm幅のテープサンプルを貼り付け180°剥離強度を測定した。
【0057】
(4)対サッシ糊残り評価
上記と同様なアルミサッシ板を80×150mmにカットし、表面に25mm幅のテープサンプルを貼り付け70℃で100hr放置後の、糊残りの有無を目視で評価した。
【0058】
(5)対吹き付けトタン粘着力
住宅部材用の吹き付けトタン板を80×150mmにカットし、表面に25mm幅のテープサンプルを貼り付け180°剥離強度を測定した。
【0059】
【表1】

【0060】
(実施例7〜10)
(メタ)アクリル系共重合体及び粘着剤組成物を表2のようにした以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0061】
(評価2)
実施例7〜10にて製造した粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示した。
【0062】
(6)SP粘着力、タック性及び対サッシ粘着力
SP粘着力、タック性及び対サッシ粘着力については、実施例7〜10の粘着テープを用いる以外、前述の(1)SP粘着力の測定、(2)タック性の評価及び(3)対サッシ粘着力に記載の方法にて測定及び評価を行った。
【0063】
(7)塗装剥がれ評価
50×150mmのサイズのPMMA板に、25mm幅のテープサンプルを貼り付け1hr放置する。その後、テープの背面に非弾性水性シリコーン塗料を塗り、
24時間放置したものを評価サンプルとする。そのサンプルのテープ端部を手で持ち高速で剥離する(環境温度は0℃)。塗装剥がれの有無を目視で評価した。塗装剥がれ無しを○、塗装剥がれ有を×とする。
【0064】
(8)対サッシ糊残り評価
上記と同様なアルミサッシ板を80×150mmにカットし、表面に25mm幅のテープサンプルを貼り付け70℃で48hr放置後の、糊残りの有無を目視で評価した。糊残り無しを○、糊残り有りを×とする。
【0065】
(9)ジッピング
50×150mmのサイズのPMMA板に、25mm幅のテープサンプルを貼り付け1hr放置する。その後環境温度0℃において、20m/minの剥離速度で剥がす。ジッピング音の有無を官能試験により評価した。ジッピング音無しを○、ジッピング音有りを×とする。
【0066】
【表2】

【0067】
ポリブテン 品名:LV−100 分子量: 950
プロセスオイル 品名:JCT oilB 分子量:1000
ポリエステル系可塑剤 品名:RS−107 分子量:1000
フタル酸系可塑剤 品名:D−55 分子量: 900
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、充分なタック性及び高い粘着力を有し、且つ糊残りの少ない粘着テープを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と前記基材の少なくとも片面に形成された粘着剤層とからなる粘着テープであって、
前記粘着剤層は、(A)(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル65〜99.8重量%、(b)カルボキシル基含有単量体0.1〜8重量%、(c)下記一般式(1)
−(C=O)−O−R (1)
[式中、R及びRの一方は、一般式(2)
【化1】

(式中、Rは、水素又はメチル基を示す。)
で表わされる置換基を示す。
及びRのもう一方は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
で表わされるエステル化合物2〜20重量%、及び(d)その他重合可能な単量体0〜15重量%を含有する単量体混合物を重合することにより得られる(メタ)アクリル系共重合体100重量部、(B)粘着付与樹脂0.5〜10重量部、並びに、(C)硬化剤としてイミン又はイソシアネート系化合物0.05〜3.0重量部を含有する粘着剤組成物を塗工してなるものであり、
該単量体混合物における該(c)一般式(1)で表わされるエステル化合物の配合割合が、該(a)アルキル基の炭素数が5〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル1重量部に対して、0.15重量部未満である、粘着テープ。
【請求項2】
前記(d)その他重合可能な単量体が、アミド基含有単量体である請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記(c)一般式(1)で表わされるエステル化合物が、酢酸ビニルである、請求項1又は2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着付与樹脂が、テルペン系樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
(メタ)アクリル系共重合体100重量部に対して、炭化水素系オイル、ポリブテン、又は可塑剤が0.5〜10重量部添加された、請求項1記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記基材が、ポリエステル糸をタテ糸及びヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材である請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記基材が、ポリエステル糸をタテ糸、フラットヤーンをヨコ糸に使用した基布の少なくとも片方の面をポリエチレンでラミネートした基材である請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着テープ。

【公開番号】特開2012−214668(P2012−214668A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161288(P2011−161288)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】