説明

粘着テープ

【課題】曲面に貼り付ける場合でも、貼り付け作業の作業性が良く且つ良好な外観となるように貼り付けることが容易であることに加えて、基材の層間割れが生じにくい粘着テープを提供する。
【解決手段】アルミ粘着テープは、強化紙を基材1としている。この基材1の一方の片面には、樹脂層2、アルミニウムからなる金属層3、プライマー処理層4、剥離処理層5が、この順序で積層されている。また、基材1の他方の片面には、粘着剤からなる粘着層6が設けられている。基材1を構成する強化紙は、紙力増強剤を含浸させることにより紙力を強化した紙である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
基材が紙からなる粘着テープ(以降は「紙粘着テープ」と記すこともある)においては、従来はクラフト紙を基材とする場合が多かった。しかしながら、クラフト紙は硬くコシがあるので、紙粘着テープを平面に貼り付ける場合は大きな問題は生じにくいが、曲面や凹凸のある面に貼り付ける場合は、貼り付け作業の作業性が悪く且つ良好な外観となるように貼り付けることは容易ではなかった。
【0003】
すなわち、粘着テープの表面が平坦状となるように曲面に貼り付けることは容易ではなく、貼り付けられた粘着テープの表面が波状となったり、凹凸が形成されたりすることが多かった。また、凹凸のある面に貼り付けた場合は、粘着テープの端面が浮いたりすることが多かった。特に、アルミニウム等の金属からなる金属層が積層された紙粘着テープ(以降は、金属層を構成する金属がアルミニウムである場合の紙粘着テープを「アルミ粘着テープ」と記すこともある)においては、上記のような問題が生じやすかった。例えば、保温・断熱を目的として水蒸気送気用のダクトをグラスウール製の断熱材で覆う際に、グラスウールの上からダクトにアルミ粘着テープを巻き付ける場合、あるいはパイプカバーの上からや継ぎ目にアルミ粘着テープを巻き付けて固定する場合には、上記のような問題が生じやすかった。
【0004】
このようなダクトや壁面などにグラスウールなどの断熱材を固定、被覆する際に使用される粘着テープとしては、例えば、紙の一面にアルミ箔を貼り合わせたアルミ箔紙を基材として使用し、そのアルミ箔側の面に下塗り層としてシェラック背面処理剤塗布層を設け、さらにその上にシリコーン系剥離剤塗布層を設け、アルミ箔紙の紙側の面に粘着剤を塗布してなるアルミ箔紙粘着テープが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−220562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近では、アルミ粘着テープにおいては、前記したようなダクト工事作業時に発生する不具合を解消するために、粘着テープ自体により柔軟性を持たせることが要求されるようになってきた。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されている、クラフト紙などを基材として使用した粘着テープの場合は、柔軟性は十分というレベルではなかった。また、クラフト紙に柔軟性を付与するために、例えばクラフト紙の坪量を極めて小さく(厚さを薄く)すると、上記のような問題は生じにくくなるものの、クラフト紙は層間強さや引張り強さが十分ではないので、紙粘着テープ又はアルミ粘着テープを巻芯に複数巻重ねて巻き付けたロール状物から紙粘着テープ又はアルミ粘着テープを引き剥がして使用する際に、クラフト紙に層間割れが生じたり、引っ張られた際にクラフト紙が破断するおそれがあった。
【0008】
このように、従来技術では、柔軟性があり、且つ粘着テープの引き出し時に基材の紙が層間割れしない粘着テープを提供することは困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、曲面や凹凸のある面に貼り付ける場合でも、貼り付け作業の作業性が良く且つ良好な外観となるように貼り付けることが容易であることに加えて、基材の層間割れが生じにくい粘着テープを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決するため、鋭意検討した結果、基材として強化紙を使用すれば、粘着テープの柔軟性と基材の層間強さを同時に付与出来ることを見出し、本発明をなすに至った。本発明、すなわち、本発明に係る粘着テープは、強化紙からなる基材と、粘着剤からなる粘着層と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このような本発明に係る粘着テープにおいては、金属からなる金属層をさらに備えてもよい。この金属としては、アルミニウムを用いることができる。
【0012】
また、前記強化紙からなる基材の層間強さは0.70N/10mm以上であることが好ましい。さらに、前記強化紙の繊維の平均径は2μm以上10μm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粘着テープは、柔軟で層間強さが高い強化紙を基材として用いたので、曲面や凹凸のある面に貼り付ける場合でも、貼り付け作業の作業性が良く且つ良好な外観となるように貼り付けることが容易であることに加えて、基材の層間割れが生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の粘着テープの一実施形態であるアルミ粘着テープの構造を示す断面図である。
【図2】層間強さを評価するための試料を模式的に示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る粘着テープの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の粘着テープの一実施形態であるアルミ粘着テープの構造を示す断面図(アルミ粘着テープの長手方向に直交する平面で切断した断面図)である。
【0016】
本実施形態のアルミ粘着テープは、強化紙を基材1としている。この基材1の一方の片面(図1においては上側の面)には、樹脂層2、アルミニウムからなる金属層3、プライマー処理層4、剥離処理層5が、この記載順序で積層されている。また、基材1の他方の片面(図1においては下側の面)には、粘着剤からなる粘着層6が設けられている。
【0017】
基材1を構成する強化紙は、紙力増強剤を含浸させることにより紙力を強化した紙である。含浸した紙力増強剤によって紙の繊維同士が強固に接着されているので、紙力が強化される。そのため、強化紙は、柔軟性を有しているにもかかわらず層間強さが高い。なお、柔軟性と層間強さの条件を満たしていれば、強化紙の代わりに上質紙や不織布を基材1として使用することも可能である。
【0018】
基材1が柔軟性を有しているので、本実施形態のアルミ粘着テープは、曲面や凹凸のある面に貼り付ける場合であっても、貼り付け作業の作業性が良く且つ良好な外観となるように貼り付けることが容易である。例えば、保温・断熱を目的として水蒸気送気用のダクトをグラスウールで覆う際に、グラスウールの上からダクトにアルミ粘着テープを巻き付ける場合でも、貼り付けられた粘着テープの表面が波状となったり、凹凸が形成されたりすることがなく、平坦状となるように貼り付けることが容易である。
【0019】
また、基材1の層間強さが高いので、基材1の層間割れが生じにくい。例えば、アルミ粘着テープを巻芯に複数巻重ねて巻き付けたロール状物からアルミ粘着テープを引き剥がして使用する際に、基材1の層間割れが生じにくい。
【0020】
樹脂で紙の層間を強化する方法としては、具体的には、抄紙工程で紙力増強樹脂を混抄する方法(樹脂混抄紙)や紙力増強樹脂の溶液中に紙を浸漬して樹脂を含浸させる方法(樹脂含浸紙)などがあり、本発明ではこれらいずれの方法による強化紙も使用することができる。
【0021】
紙力増強(層間強化)に用いる樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、スチレンアクリル系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ケトン樹脂等の合成樹脂や、デンプン、グアーガム等の天然高分子があげられる。また、カチオン変性デンプン、アセチル化デンプン、尿素リン酸エステル化デンプン等の変性デンプンや、CMC等のセルロース系高分子があげられる。さらに、デンプン糖、セロビオース、マルトース等のオリゴ糖や、ジルコニウム化合物、珪酸化合物、多価アルコール/カルボニル化合物、環状アミド化合物、グリオキサール等の架橋剤などが挙げられる。これらの中では、特にポリアクリルアミド樹脂やポリエステル系樹脂が好ましい。
【0022】
また、紙に混抄あるいは含浸させる紙力増強剤の量も特に限定されるものではなく、層間割れが生じにくい層間強さを基材1に付与できる程度の量を混抄あるいは含浸させればよい。
【0023】
基材1の層間強さは、0.70N/10mm以上であることが好ましい。0.70N/10mm以上であれば基材1の層間割れが生じにくいが、基材1の層間割れをより生じにくくするためには、0.93N/10mm以上とすることがより好ましく、1.00N/10mm以上とすることがさらに好ましい。なお、クラフト紙からなる従来の基材の層間強さは、0.58N/10mm程度である。
【0024】
また、基材1の厚さは特に限定されるものではないが、20〜80μm程度が好ましく、50μm程度がより好ましい。従来、基材として使用されていたクラフト紙の厚さは、55〜75μm程度である。
【0025】
基材1として使用した強化紙の坪量は、特に限定されるものではないが、18〜72g/m2が好ましく、45g/m2 程度がより好ましい。従来、基材として使用されていたクラフト紙の坪量は、53g/m2 程度である。
【0026】
さらに、基材1として使用した強化紙の繊維の平均径(直径)としては、柔軟性を付与するという観点から、2〜10μm程度が好ましく、5μm程度がより好ましい。繊維の平均径が2μm未満であると基材の引張り強さが不十分となるおそれがあり、10μmを超えると柔軟性が損なわれるおそれがある。従来、基材として使用されていたクラフト紙の繊維の平均径は、15μm程度である。
【0027】
次に、基材1の直上に設けられた樹脂層2について説明する。樹脂層2は、基材1と金属層3との接合を強化するために設けられた層である。その種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレン等の樹脂や、ドライラミネートできるポリエステル系接着剤やポリウレタン系接着剤が好ましい。樹脂層2の厚さは特に限定されるものではないが、ポリエチレンならば坪量10〜20g/m2 程度が好ましく、坪量15g/m2 程度がより好ましい。また、上記の接着剤ならば坪量3〜7g/m2 程度が好ましく、坪量5g/m2程度がより好ましい。
【0028】
さらに、アルミニウムからなる金属層3について説明する。金属層3の厚さは特に限定されるものではないが、5〜10μm程度が好ましく、7μm程度がより好ましい。なお、金属層3を構成する金属は、アルミニウムに限定されるものではなく、他種の金属を採用することもできる。例えば、銅やステンレス鋼があげられる。また、この金属層3は、備えていてもよいし、備えていなくてもよい。金属層3を備えていない場合には、紙粘着テープとなる。
【0029】
さらに、最外層である剥離処理層5について説明する。剥離処理層5は、金属層3と粘着層6との粘着を弱めて剥離しやすくするために金属層3の上に設けられた層である。その種類は特に限定されるものではないが、粘着層6を構成する粘着剤と相性が悪く、粘着しにくいものが好ましい。剥離処理剤の具体例としては、東レ・ダウコーニング株式会社製のSRX211、信越化学工業株式会社製のKS−776A、米国モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTPR6700等のシリコーン系の剥離処理剤や、一方社油脂工業株式会社製のピーロイル1050、ピーロイル1200等の非シリコーン系の剥離処理剤などがあげられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0030】
さらに、金属層3と剥離処理層5との間に設けられたプライマー処理層4について説明する。プライマー処理層4は、金属層3と剥離処理層5との接合を強化するために設けられた層である。その種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレン等の樹脂や、付加型シリコーンプライマー剤等のAC処理剤が好ましい。プライマー処理層4の厚さは特に限定されるものではないが、ポリエチレンならば坪量10〜20g/m2 程度が好ましく、坪量15g/m2 程度がより好ましい。また、付加型シリコーンプライマー剤等のAC処理剤ならば、坪量1g/m2程度が好ましい。なお、プライマー処理層4を設ける代わりに、コロナ処理等の表面処理を施してもよい。
【0031】
さらに、粘着剤からなる粘着層6について説明する。粘着層6を構成する粘着剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系,シリコーン系,ゴム系の粘着剤があげられる。ホットメルトタイプの粘着剤を用いても差し支えない。
【0032】
なお、アルミ粘着テープの長さは特に限定されるものではなく、帯状の長尺物でもよいし、用途に応じた長さ,形状の短尺物でもよい。
【0033】
アクリル系粘着剤としては、通常のアクリル系重合体を主剤とするものを使用することができる。これらアクリル系粘着剤は、溶剤型の場合は粘着剤中の溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)を、また、エマルジョン型の場合は水を乾燥させ、粘着層6として基材上に形成する。
【0034】
アクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体と極性基含有単量体との共重合体が挙げられ、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸との共重合体、アクリル酸イソオクチルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの共重合体、アクリル酸ブチルとアクリル酸とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの三元共重合体等が使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0035】
上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基などで代表される通常、炭素数が20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステル等が挙げられる。なお、上記した(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独もしくは2種以上で使用される。
【0036】
また、上記した極性基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、アクリル酸−β−カルボキシエチル(β−CEA)、メタクリロニトリル、N−ビニル−2−ピロリドン等で代表される、分子中にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の極性基を有する重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0037】
さらに、上記以外のアクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、極性基含有単量体及び多官能アクリレートに光重合開始剤(例えば、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のイルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア369、イルガキュア1800、中国チャイテック社製のChivacure TPO、Chivacure 107、Chivacure 173、Chivacure 1256等)を添加した紫外線(UV)重合型の粘着剤を使用することもできる。
【0038】
上記、アクリル系重合体には、必要に応じて、粘着付与剤、架橋剤、その他添加剤が添加される。
【0039】
アクリル系粘着剤層の粘着付与剤としては、耐候性の高い水素化ロジン樹脂(完全水素化ロジン樹脂)、脂肪族完全飽和炭化水素樹脂、水素化テルペン樹脂(完全水素化テルペン樹脂)またはシランカップリング剤などが挙げられる。具体的には、荒川化学工業株式会社製のパインクリスタルKE−100、パインクリスタルKE−311、パインクリスタルKE−359、パインクリスタルKE−604、アルコンP−70、アルコンP−100、アルコンP−115、アルコンP−125、アルコンP−140、ヤスハラケミカル製クリアロンP−85、クリアロンP−105、クリアロンP−115、クリアロンP−125、クリアロンM−105、クリアロンK−100、クリアロンK−110や、東レ・ダウコーニング社製のシランカップリング剤Z−6011、シランカップリング剤Z−6020、シランカップリング剤Z−6050、シランカップリング剤Z−6041、シランカップリング剤Z−6044、シランカップリング剤Z−6920、シランカップリング剤Z−6075、シランカップリング剤Z−6300、シランカップリング剤Z−6825、シランカップリング剤Z−6033、シランカップリング剤Z−6062、シランカップリング剤Z−6860等が使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0040】
アクリル系粘着剤層の架橋剤としては、例えば、分子中にイソシアネート基、エポキシ基等の官能基を2個以上持つ化合物、または、金属キレート化合物があげられる。また、紫外線(UV)重合型粘着剤用架橋剤としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレートなどの多官能アクリレートが使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0041】
シリコーン系粘着剤としては、通常の付加重合型変成シリコーン系粘着剤や過酸化物硬化型変成シリコーン系粘着剤などを使用することが出来るが、硬化反応温度や硬化時間の観点から、付加重合型変成シリコーン系粘着剤が好ましく使用される。
【0042】
なお、通常、シリコーン重合体、触媒及び架橋剤を含有する粘着剤組成物により形成された付加重合型変性シリコーン系粘着剤は、基材の易接着処理剤(プライマー)層の上に塗工する。シリコーン系粘着剤層を塗工する前に基材に塗布するプライマー層は、縮合反応型または付加重合型シリコーン共重合体と触媒からなり、プライマー溶液の溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)または水を乾燥させ、プライマー層を形成する。縮合反応型及び付加重合型シリコーン共重合体としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のSRX290、BY24−712、Syl−off23、信越化学株式会社製のX−40−3501が使用され、触媒としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のNC−25、SRX242AC、SRX242AD、SRX212キャタリストが使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0043】
シリコーン重合体、触媒及び架橋剤を含有する粘着剤組成物により形成された付加重合型変性シリコーン系粘着剤のシリコーン共重合体は、主にビニルシリル基(Si−CH=CH基)やハイドロシリル基(Si−H基)などを有する付加重合型シリコーン共重合体と触媒と架橋剤からなり、溶剤型の場合は、粘着剤中の溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)を、また、エマルジョン型の場合は、水を乾燥させ、プラーマー層を塗工した基材上に粘着層として形成する。付加重合型変性シリコーン系粘着剤層のシリコーン共重合体としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のSD4560、SD4570、SD4580、SD4584、SD4585、SD4585、SD4592、BY24−740や、信越化学株式会社製のX−40−3068、X−40−3102、X−40−3103、X−40−3104が使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0044】
付加重合型変性シリコーン系粘着剤層の触媒としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のSRX212キャタリストや、信越化学株式会社製のCAT−PL−50T等が使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0045】
付加重合型変性シリコーン系粘着剤層の架橋剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のBY24−741、RD−1、RD−2等が使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0046】
ゴム系粘着剤(天然ゴム及び合成ゴム粘着剤)としては、主にエラストマー、粘着付与剤、軟和剤、老化防止剤などが添加配合された組成物を使用することが出来る。これらゴム系粘着剤は、溶剤型の場合は、ゴム系粘着剤中の溶剤(例えば、トルエン、酢酸エチル、キシレン、n−ヘキサン等)を、また、エマルジョン型の場合は水を乾燥させ、基材上に粘着層として形成する。天然ゴム及び合成ゴム粘着剤層のエラストマーとしては、天然ゴム、イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体エラストマーなどが使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0047】
また、天然ゴム及び合成ゴム粘着剤層の粘着付与剤としては、エラストマーと相溶性の良いものが使用される。具体的には、ロジンエステル系樹脂、水素化ロジンエステル系樹脂、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂、水素化石油系樹脂、テルペン系樹脂、水素化テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、石炭酸系樹脂などがあるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0048】
天然ゴム及び合成ゴム粘着剤層の軟和剤としては、ナフテン系鉱物油、パラフィン系鉱物油、芳香族系鉱物油、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンなどがあるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0049】
天然ゴム及び合成ゴム粘着剤層の老化防止剤としては、フェノール系では、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、スチレン化フェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートなどが挙げられ、アミン系としては、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられ、ベンズイミダゾール系としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、などが使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0050】
ホットメルト系(熱可塑性合成ゴム)粘着剤としては、主にエラストマー、粘着付与剤、軟和剤、老化防止剤などが添加配合された組成物を使用することが出来る。これらホットメルト系粘着剤は、上記組成物を加熱し溶融した状態で混練することにより得られ、ホットメルトダイコーターやカレンダーコーターにより基材上に溶融塗工して粘着層を形成する。熱可塑性合成ゴム粘着剤層のエラストマーとしては、イソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体エラストマーなどが使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0051】
また、熱可塑性合成ゴム粘着剤層の粘着付与剤としては、エラストマーと相溶性のよいものが使用される。具体的には、ロジンエステル系樹脂、水素化ロジンエステル系樹脂、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、脂肪族/芳香族共重合系(C5/C9系)石油樹脂、水素化石油系樹脂、テルペン系樹脂、水素化テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、石炭酸系樹脂などがあるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0052】
熱可塑性合成ゴム粘着剤層の軟和剤としては、ナフテン系鉱物油、パラフィン系鉱物油、芳香族系鉱物油、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンなどがあるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0053】
熱可塑性合成ゴム粘着剤層の老化防止剤としては、フェノール系では、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、スチレン化フェノール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートなどが挙げられ、アミン系としては、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられ、ベンズイミダゾール系としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、などが使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0054】
本発明のアルミ粘着テープについて、さらに具体的に説明する。但し、本発明の粘着テープはこれに限定されるものではない。
〔層間強さの評価方法について〕
後述する試験例1〜9のアルミ粘着テープの層間強さは、以下のようにして測定した。すなわち、アルミ粘着テープから、基材(紙)、樹脂層、アルミニウムからなる金属層、及びプライマー処理層からなる基材部分12(すなわち、剥離処理層と粘着層を除いた部分)を切り出し、寸法25mm×300mmの試験片を得る。そして、図2に示すように、この基材部分12の上下両面に、幅が25mmの粘着テープ11,13を貼り合せ、上下の粘着テープ11,13を引っ張ることにより、基材部分12の一部に層間割れを生じさせる。
【0055】
次に、引張試験機(例えばアイコーエンジニアリング株式会社製のMODEL−1431V/5000)を用いて、基材部分12の一部に層間割れを生じさせた試料を引張速度0.3m/minで引っ張って、基材部分12のほぼ全体の層間を剥離させ、その際の引張強さを層間強さとする。
【0056】
層間強さの測定の際には、基材部分12の一部に層間割れを生じさせた試料の層間割れした部分の下側を引張試験機のチャックに取り付け固定し、上側を引っ張って測定を行う。また、使用する粘着テープ11,13は、破壊されにくいポリエステルフィルムを基材として使用した粘着テープが好ましく、基材部分12の層間を割るためには、粘着力が3.0N/10mm以上の粘着テープを使用することが好ましい。
【0057】
〔試験例1〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が5μm、層間強さが0.93N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面に、ポリエチレン層(坪量15g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とポリエチレン層(坪量15g/m)とをこの順で積層してラミネートした。次いで、ポリエチレン層表面側に剥離処理層を塗工・乾燥し、巻き取った。さらに、この剥離処理層上に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体エラストマー100質量部に対して粘着付与剤105質量部、軟和剤40質量部、老化防止剤3質量部を配合したホットメルト粘着剤を、厚さが50μmとなるように塗工し、巻き取ってアルミ粘着テープを作製した。
【0058】
〔試験例2〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が5μm、層間強さが0.93N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量20g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とをこの順で積層してラミネートした。次いで、アルミ層表面側に剥離処理層を塗工・乾燥し、巻き取った。さらに、強化紙面側に、試験例1と同様のホットメルト粘着剤を厚さが50μmとなるように塗工し、巻き取ってアルミ粘着テープを作製した。
【0059】
〔試験例3〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が5μm、層間強さが0.70N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量15g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とポリエチレン層(坪量15g/m)とをこの順で積層してラミネートした。これ以外は試験例1と同様にしてアルミ粘着テープを作製した。
【0060】
〔試験例4〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が5μm、層間強さが0.69N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量15g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とポリエチレン層(坪量15g/m)とをこの順で積層してラミネートした。これ以外は試験例1と同様にしてアルミ粘着テープを作製した。
【0061】
〔試験例5〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が10μm、層間強さが1.00N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量15g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とポリエチレン層(坪量15g/m)とをこの順で積層してラミネートした。これ以外は試験例1と同様にしてアルミ粘着テープを作製した。
【0062】
〔試験例6〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が2μm、層間強さが0.82N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量15g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とポリエチレン層(坪量15g/m)とをこの順で積層してラミネートした。これ以外は試験例1と同様にしてアルミ粘着テープを作製した。
【0063】
〔試験例7〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が11μm、層間強さが1.00N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量15g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とポリエチレン層(坪量15g/m)とをこの順で積層してラミネートした。これ以外は試験例1と同様にしてアルミ粘着テープを作製した。
【0064】
〔試験例8〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が1μm、層間強さが0.82N/10mmの強化紙(坪量45g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量15g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とポリエチレン層(坪量15g/m)とをこの順で積層してラミネートした。これ以外は試験例1と同様にしてアルミ粘着テープを作製した。
【0065】
〔試験例9〕
アルミ粘着テープの基材として、繊維の平均径が15μmのクラフト紙(坪量53g/m)を用いた。そして、この基材の片面にポリエチレン層(坪量20g/m)とアルミ層(厚さ7μm)とをこの順で積層してラミネートした。次いで、アルミ層表面側に剥離処理層を塗工・乾燥し、巻き取った。さらに、クラフト紙面側に、試験例1と同様のホットメルト粘着剤を、厚さが50μmとなるように塗工し、巻き取ってアルミ粘着テープを作製した。
【0066】
得られた各々のアルミ粘着テープについて、実際に凹凸のあるパイブカバーに貼り付けた時の作業性、すなわち、(1)基材の層間割れの有無、(2)基材切れの有無、(3)貼り付け後の外観(大きなシワが目立つか目立たないかを目視判定)について評価した。結果を表1に示す。なお、表1中の「PE」はポリエチレン層を示し、「AL」はアルミ層を示す。
【0067】
【表1】

【0068】
試験例1〜8のアルミ粘着テープは、表1に示す通り、基材の紙の層間強さが大きいため、アルミ粘着テープの引き出し時に層間割れや基材切れを起こすことはほとんどない。また、凹凸のある面に対しても大きな波状のシワや浮きも目立たなく貼り付けることが出来、外観が良好であった。
【符号の説明】
【0069】
1 基材
3 金属層
6 粘着層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化紙からなる基材と、粘着剤からなる粘着層と、を備えることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
金属からなる金属層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記金属がアルミニウムであることを特徴とする請求項2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記強化紙からなる基材の層間強さが0.70N/10mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記強化紙の繊維の平均径が2μm以上10μm以下であること特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−57112(P2012−57112A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203915(P2010−203915)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000194332)マクセルスリオンテック株式会社 (46)
【Fターム(参考)】