説明

粘着テープ

【課題】粘着テープの艶消し性を向上させ、粘着テープ背面の映り込みやギラツキを低減させる。
【解決手段】粘着テープ10は、基材層20、着色層30および粘着剤層40を備える。基材層20は、ポリエチレンテレフタレートなどプラスチック材料で形成されている。着色層30は基材層20の一方の主表面に積層されている。着色層30は、たとえば黒色インクを印刷することで形成される黒色印刷層である。粘着剤層40は基材層20の他方の主表面に積層されている。粘着剤層40としてアクリル系ポリマーが好適に用いられる。粘着テープ10では、着色層30の側における可視光正反射率が2.0%以内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着テープに関する。特に、本発明は粘着テープ背面の光反射が抑制された粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な粘着テープとして、プラスチック材料からなる基材の片面に粘着剤層を積層した形態が知られている。粘着テープは、家電製品、自動車、建材などの各種産業分野における接合材料として幅広く使用されている。粘着テープの使用範囲が広がることにより、視認される場所に粘着テープが用いられる場合が多くなっている。このため、粘着テープに要求される特性として、粘着力、凝集力等の粘着特性の他に、表面の艶消し性が挙げられる。例えば、粘着剤層側表面の艶消性を考慮した粘着テープが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−155504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プラスチック材料(プラスチックフィルム)を基材とした粘着テープにおいては、粘着テープ背面(粘着剤層非形成面側)の艶消し性が十分でないため、粘着テープ表面に生じる映り込みやギラツキの度合いが大きい。このため、粘着テープが接着される被着体の意匠性が損なわれるという課題があった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、粘着テープの艶消し性を向上させ、特に粘着テープ背面の映り込みやギラツキを低減させる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、粘着テープである。当該粘着テープは、プラスチック材料からなる基材層と、前記基材層の一方の主表面に積層されている着色層と、前記基材層の他方の主表面に積層されている粘着剤層と、を備え、前記着色層の側における可視光正反射率が2.0%以内であることを特徴とする。
【0007】
上記態様の粘着テープによれば、目視される側となる着色層側の艶消し性を向上させ、テープ表面の映り込みやギラツキを低減させることができる。
【0008】
上記態様の粘着テープにおいて、前記プラスチック材料がポリエチレンテレフタレート(PET)であってもよい。前記基材層に黒色顔料が添加されていてもよい。前記黒色顔料がカーボンブラックであってもよい。前記着色層が黒色印刷層であってもよい。前記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを含有していてもよい。
【0009】
なお、上述した各要素を適宜組み合わせたものも、本件特許出願によって特許による保護を求める発明の範囲に含まれうる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粘着テープの艶消し性を向上させ、特に粘着テープ背面の映り込みやギラツキを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る粘着テープ10の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、実施の形態に係る粘着テープ10の構成を示す概略断面図である。粘着テープ10は、基材層20、着色層30および粘着剤層40を備える。実施の形態に係る粘着テープ10では、着色層30の側における可視光正反射率が2.0%以内である。
【0014】
本実施の形態において、着色層の側における可視光正反射率は2.0%以下、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.7%以下である。可視光正反射率を2.0%以下とすることで、粘着テープ背面への映り込みやギラツキを低減させることができ、粘着テープの存在が目立ちにくくなり、粘着テープが貼付される物品の意匠性を向上できる。
本発明において、可視光正反射率は、以下の如く測定される値である。
装置:U−4100 Spectrophotometer(日立社製)
波長領域:380nm〜780nm
光入射角度:5°
波長走査速度(スキャンスピード):300nm/分
380nm〜780nmの波長領域における正反射率の平均値を算出し、可視光正反射率とした。
【0015】
基材層20としては、プラスチック材料が用いられる。当該プラスチック材料としては、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート等が挙げられる。基材層20は、上記プラスチック材料をフィルム状やシート状に成形したものである。基材層20自体は、透明でも不透明でも良いが、可視光正反射率をより低減化させる観点から、基材層20にカーボンブラックなどの黒色顔料が添加されていてもよい。すなわち、プラスチック材料にカーボーンブラック等の黒色顔料を添加してフィルム状やシート状に成形したものが好ましい。基材層20の厚さは特に限定されないが、たとえば、5〜500μm、好ましくは10〜100μmである。
【0016】
着色層30は基材層20の一方の主表面に積層されている。本実施の形態において、着色層30は、可視光正反射率を2.0%以下とするための層であり、たとえば黒色インクを基材層20に印刷することで形成される黒色印刷層である。この他、着色層30は、グラビア印刷、スクリーン印刷などの方法で形成されうる。着色層30の厚さは、特に限定されないが、たとえば、1μm〜10μmである。
【0017】
粘着剤層40は基材層20の他方の主表面に積層されている。粘着剤層40としては、特に限定するものではなく、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シーコーン系粘着剤等の各種粘着剤を使用することができる。中でも、アクリル系ポリマー(A)を主成分とするアクリル系粘着剤が好適に用いられる。当該アクリル系ポリマー(A)は、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマー単位として50質量%以上含有する。前記アクリル系ポリマー(A)は、炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。アクリル系ポリマー(A)は、重合開始剤とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを重合(たとえば、溶液重合、エマルション重合、UV重合)させることにより得ることができる。
【0018】
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合は、アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して50質量%以上99.9質量%以下、好ましくは、60質量%以上95質量%以下、さらに70質量%以上93質量%以下であることが好ましい。
【0019】
炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキルエステル、好ましくは(メタ)アクリル酸C2−14アルキルエステル、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸C2−10アルキルエステル等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、「(メタ)・・・」は全て同様の意味である。
【0020】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルや、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0021】
なお、アクリル系ポリマー(A)は、凝集力、耐熱性、架橋性等の改質を目的として、必要に応じて、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な、他のモノマー成分(共重合性モノマー)を含んでいてもよい。従って、アクリル系ポリマー(A)は、主成分としての、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に、共重合性モノマーを含んでいてもよい。共重合性モノマーとしては、極性基を有するモノマーを好適に使用することができる。
【0022】
共重合性モノマーの具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン等の窒素含有複素環系モノマー;N−ビニルカルボン酸アミド類;N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー、チオグリコール酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらの共重合性モノマーは1種又は2種以上使用できる。
【0023】
アクリル系ポリマー(A)が、主成分としての(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共に共重合性モノマーを含有する場合、カルボキシル基含有モノマーを好適に使用することができる。その中でも、アクリル酸を好適に使用することができる。共重合性モノマーの使用量としては、特に制限されないが、通常、前記アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して、共重合性モノマーを0.1〜30質量%、好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%含有することができる。
【0024】
共重合性モノマーを0.1質量%以上含有することで、粘着テープの凝集力の低下を防ぎ、高いせん断力を得ることができる。また、共重合性モノマーの含有量を30質量%以下とすることで、凝集力が高くなり過ぎることを防ぎ、常温(25℃)でのタック感を向上させることができる。
【0025】
また、アクリル系ポリマー(A)には、形成する粘着剤層の凝集力を調整するために必要に応じて多官能性モノマーを含有してもよい。
【0026】
多官能性モノマーとしては、たとえば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。多官能(メタ)アクリレートは、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
多官能性モノマーの使用量としては、その分子量や官能基数等により異なるが、アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して、0.01〜3.0質量%、好ましくは0.02〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.03〜1.0質量%となるように添加する。
【0028】
多官能性モノマーの使用量が、アクリル系ポリマー(A)を調製するためのモノマー成分全量に対して3.0質量%を超えると、たとえば、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、接着力が低下したりする場合等がある。一方、0.01質量%未満であると、たとえば、粘着剤層の凝集力が低下する場合等がある。
【0029】
<重合開始剤>
アクリル系ポリマー(A)の調製に際して、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)等の重合開始剤を用いた熱や紫外線による硬化反応を利用して、アクリル系ポリマー(A)を容易に形成することができる。特に、重合時間を短くすることができる利点等から、光重合開始剤を好適に用いることができる。重合開始剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0030】
熱重合開始剤としては、たとえば、アゾ系重合開始剤[たとえば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライド等]、過酸化物系重合開始剤(たとえば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエート、過酸化ラウロイル等)、レドックス系重合開始剤等が挙げられる。
【0031】
熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、従来、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0032】
光重合開始剤としては、特に制限されず、たとえば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等を用いることができる。
【0033】
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン[チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア651]、アニソールメチルエーテル等が挙げられる。;アセトフェノン系光重合開始剤としては、たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184]、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン[チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア2959]、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン[チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名:ダロキュアー1173]、メトキシアセトフェノン等が挙げられる。;α−ケトール系光重合開始剤としては、たとえば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等が挙げられる。;芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、たとえば、2−ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。;光活性オキシム系光重合開始剤としては、たとえば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等が挙げられる。
【0034】
また、ベンゾイン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾイン等が含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、たとえば、ベンジル等が含まれる。;ベンゾフェノン系光重合開始剤には、たとえば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が含まれる。;ケタール系光重合開始剤には、たとえば、ベンジルジメチルケタール等が含まれる。;チオキサントン系光重合開始剤には、たとえば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントン等が含まれる。
【0035】
アシルフォスフィン系光重合開始剤としては、たとえば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)オクチルホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2−メトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエトキシベンゾイル)(1−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジブトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)(2−メチルプロパン−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)(2,4−ジペントキシフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルエチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)ベンジルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2−フェニルプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)一2一フェニルエチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルベンジルオクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジイソプロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−4−メチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,5−ジエチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,3,5,6−テトラメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソブチルホスフィンオキシド、2,6−ジメチトキシベンゾイル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−n一ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジブトキシフェニルホスフィンオキシド、1,10−ビス[ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]デカン、トリ(2−メチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、などが挙げられる。
【0036】
これらの中でも特に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド[チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア819]、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド[BASF社製、商品名:ルシリンTPO]、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドが好ましい。
【0037】
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、たとえば、アクリル系ポリマー(A)を調製するモノマー成分100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.08〜2質量部の範囲内の量で配合される。
【0038】
ここで、光重合開始剤の使用量が、0.01質量部より少ないと、重合反応が不十分になる場合がある。光重合開始剤の使用量が、5質量部を超えると、光重合開始剤が紫外線を吸収することにより、紫外線が粘着剤層内部まで届かず、重合率の低下を招くおそれがある。生成するポリマーの分子量が小さくなることによって、形成される粘着剤層の凝集力が低くなり、粘着剤層をフィルムから剥離する際に、粘着剤層の一部がフィルムに残り、フィルムの再利用ができなくなる場合がある。なお、光重合性開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
凝集力を調整するには、前記した多官能性モノマー以外に架橋剤を用いることも可能である。架橋剤は通常用いる架橋剤を使用する事ができ、たとえば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤等を挙げることができる。特に、好適には、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤を使用することができる。
【0040】
具体的には、イソシアネート系架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体を挙げることができる。
【0041】
エポキシ系架橋剤としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミンおよび1,3-ビス(N,N'-ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0042】
粘着剤には、各種添加剤が配合されていてもよい。このような添加剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤などの架橋剤;ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などの粘着付与剤;可塑剤;充填剤;老化防止剤;界面活性剤;顔料(着色剤)などが挙げられる。
【0043】
粘着剤層の形成方法は、特に制限されないが、たとえば、セパレータや基材等の適当な支持体上に粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、必要に応じて乾燥や硬化(熱や活性エネルギー線による硬化)させることにより形成される。また、活性エネルギー線による硬化(光硬化)を行う際には、光重合反応は空気中の酸素に阻害されるため、粘着剤層上にセパレータや基材等の適当な支持体を貼り合わせたり、また窒素雰囲気下で光硬化を行うこと等により、酸素を遮断することが好ましい。粘着剤層の形成の際に用いられる適当な支持体は、粘着テープを作製する際、適宜な時期に剥離されてもよいし、作製後の粘着テープを利用する際に剥離されてもよい。
【0044】
粘着剤層の厚さは、粘着テープの使用目的に応じて適宜選択されるが、例えば、1〜300μm、好ましくは10〜250μm、さらに好ましくは30〜200μm程度である。粘着剤層の厚さが薄すぎると、被着体を保持するために十分な粘着力を得られない場合がある。
【0045】
以上説明した粘着テープによれば、目視される面となる粘着テープ背面における映り込みやギラツキを顕著に抑制することができ、ひいては、粘着テープが接着される被着体の意匠性が損なわれることを抑制することができる。
【0046】
(実施例1)
厚さ38μmのPETフィルム(透明)の一方の面全体に黒色インクを用いて印刷を行い、厚さ6μmの着色層を形成した。PETフィルムの他方の面にアクリル系粘着剤層(厚さ25μm)を形成して粘着テープを作製した。
【0047】
(実施例2)
厚さ75μmのPETフィルム(透明)の一方の面全体に黒色インクを用いて印刷を行い、厚さ6μmの着色層を形成した。PETフィルムの他方の面にアクリル系粘着剤層(厚さ25μm)を形成して粘着テープを作製した。
【0048】
(実施例3)
ポリエチレンテレフタレート100質量部に対して30質量部の黒色顔料(カーボンブラック)を練り込んで製膜した厚さ38μmのPETフィルム(黒色)の一方の面全体に黒色インクを用いて印刷を行い、厚さ6μmの着色層を形成した。PETフィルムの他方の面にアクリル系粘着剤層(厚さ25μm)を形成して粘着テープを作製した。
【0049】
(比較例1)
実施例3で使用した厚さ38μmのPETフィルム(黒色)を使用し、着色層を形成しなかった意外は実施例3と同様にして粘着テープを作製した。
【0050】
(可視光正反射率の測定)
実施例1〜3及び比較例1で得られた粘着テープについて、粘着テープ背面(実施例1〜3については着色層側の面、比較例1についてはPETフィルムの表面)における可視光正反射率を測定した
<可視光正反射率測定条件>
装置:U−4100 Spectrophotometer(日立社製)
波長領域:380nm〜780nm
光入射角度:5°
波長走査速度:300nm/分
380nm〜780nmの波長領域における正反射率の平均値を算出し、可視光正反射率とした。得られた結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例1〜3の粘着テープは、粘着テープ背面側となる着色層側の可視光正反射率は2.0%以下であり、映り込みやギラツキが大幅に抑制されていた。これに対して、比較例1の粘着テープは、粘着テープ背面の可視光正反射率は2.0%を大幅に超えており、映り込みやギラツキが顕著であった。
【符号の説明】
【0053】
10 粘着テープ、20 基材層、30 着色層、40 粘着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料からなる基材層と、
前記基材層の一方の主表面に積層されている着色層と、
前記基材層の他方の主表面に積層されている粘着剤層と、
を備え、
前記着色層の側における可視光正反射率が2.0%以内であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記プラスチック材料がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記基材層に黒色顔料が添加されていることを請求項1または2に記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記黒色顔料がカーボンブラックである請求項3に記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記着色層が黒色印刷層である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とするアクリル系ポリマーを含有している請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粘着テープ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−87246(P2013−87246A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230985(P2011−230985)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】