説明

粘着メモ用紙束

【課題】 本発明は、再剥離及び再貼付可能な糊が裏面に塗布された粘着メモ用紙を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束に関し、特に、トレーシングペーパーのように、糊付けすると、その糊の水分によって容易に撓んでしまう紙を粘着メモ用紙として使用しても撓むことが無く、かつ、必要に応じて粘着メモ用紙面に任意の図柄を表わすこともできる粘着メモ用紙束を提供することを目的とする。
【解決手段】 粘着メモ用紙束1は、再剥離及び再貼付可能な糊3が裏面に塗布された粘着メモ用紙2を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束であって、糊3が、粘着メモ用紙2の裏面にドット状に塗布されており、当該塗布された糊3の各ドットによって、所定の図柄が表わされていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再剥離及び再貼付可能な糊が裏面に塗布された粘着メモ用紙を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束に関し、特に、トレーシングペーパーのように、糊付けすると、その糊の水分によって容易に撓んでしまう紙を粘着メモ用紙として使用しても撓むことが無く、かつ、必要に応じて粘着メモ用紙面に任意の図柄を表わすこともできる粘着メモ用紙束に関する。
【背景技術】
【0002】
メモ用紙を複数枚重ねてなるメモ用紙束は、文房具の一つとして、広く一般的に流通・使用されている。また、近年では、いわゆる粘着糊付きの付箋紙のように、再剥離及び再貼付可能な糊がメモ用紙裏面に塗布された、粘着メモ用紙束も流通・使用されるようになってきている。
【0003】
そして、本願発明者も、以上のような粘着メモ用紙束を開発していたところ、粘着メモ用紙として、トレーシングペーパーのように透明度の高い紙を使用することによって、独創的で、非常に見栄えの良い粘着メモ用紙束を製造することができるという知見を得た。特に、この点は、トレーシングペーパーのように透明度の高い紙に、様々な色彩を与えることによって、より顕著な効果が得られることが分かった。
【0004】
そのため、本願発明者は、トレーシングペーパーを粘着メモ用紙として使用して、粘着メモ用紙束を製造してみた。ところが、実際に製造をしてみると、トレーシングペーパーは、粘着メモ用紙を複数枚重ねる際に使用する糊が含む水分によって、容易に撓んでしまうため、トレーシングペーパーを使用して粘着メモ用紙束を製造すると、波打って曲がったものとなってしまい、外観上問題があり、商品としての価値がほとんど認められないものしか得られないということが分かった。
【0005】
本願発明者は、このような実情のもと、トレーシングペーパーのように、糊付けすると、その糊の水分によって容易に撓んでしまう紙を粘着メモ用紙として使用しても、撓むことが無い粘着メモ用紙束の開発について鋭意検討を重ねた。
【0006】
その結果、本願発明者は、再剥離及び再貼付可能な糊を、粘着メモ用紙の裏面にドット状に塗布することによって、以上のような問題を解決することができるという知見を得、本発明を創作するに至った。また、本願発明者は、この発明から、粘着メモ用紙面に任意の図柄を表わすことができる、デザイン性に優れた粘着メモ用紙束を提供できるという発明についても創作するに至った。
【0007】
なお、本発明を出願するにあたって、本願発明者や出願人において過去の特許文献等を調査したところ、メモ用紙束等に関し、下記の文献を発見することができたが、本発明に係る技術的思想等を詳述した特許文献については発見することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−335140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、再剥離及び再貼付可能な糊が裏面に塗布された粘着メモ用紙を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束に関し、特に、トレーシングペーパーのように、糊付けすると、その糊の水分によって容易に撓んでしまう紙を粘着メモ用紙として使用しても撓むことが無く、かつ、必要に応じて粘着メモ用紙面に任意の図柄を表わすこともできる粘着メモ用紙束を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段として、本発明に係る粘着メモ用紙束は、再剥離及び再貼付可能な糊が裏面に塗布された粘着メモ用紙を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束であって、前記糊が、前記粘着メモ用紙の裏面にドット状に塗布されており、前記粘着メモ用紙を構成する紙が、トレーシングペーパーであることを特徴としている。
【0011】
また、以上の場合において、本発明に係る粘着メモ用紙束は、前記塗布された糊の各ドットの最大幅が1.0mm以下であることも特徴としている。
【0012】
さらに、以上の場合において、本発明に係る粘着メモ用紙束は、前記塗布された糊の各ドット同士における最小の間隔が0.1mm以上であることも特徴としている。
【0013】
また、以上の場合において、本発明に係る粘着メモ用紙束は、前記塗布された糊の各ドットの高さが10μm〜35μmの範囲内にあることも特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、再剥離及び再貼付可能な糊が裏面に塗布された粘着メモ用紙を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束に関し、特に、トレーシングペーパーのように、糊付けすると、その糊の水分によって容易に撓んでしまう紙を粘着メモ用紙として使用しても撓むことが無く、かつ、必要に応じて粘着メモ用紙面に任意の図柄を表わすこともできる粘着メモ用紙束を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る粘着メモ用紙束1の外観図。
【図2】糊3によって表わされた各格子模様の一つの拡大図。
【図3】粘着メモ用紙2、及び、糊3aをなす各ドットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る粘着メモ用紙束を実施するための形態について説明する。図1は、本実施形態に係る粘着メモ用紙束1を示したものである。粘着メモ用紙束1は、図示されているように、複数の粘着メモ用紙2を重ね合わせて作られている。
【0017】
粘着メモ用紙2の裏面には、再剥離及び再貼付可能な糊3が塗布されており、この糊3によって、粘着メモ用紙2には、図示されているような格子模様が表われている。そして、粘着メモ用紙束1は、粘着糊付きの付箋紙のように、最も上に存在する粘着メモ用紙2を一枚ずつ剥離し、この剥離した粘着メモ用紙2を再び貼り付けて使用するようになっている。なお、粘着メモ用紙2は、トレーシングペーパーによって構成されている。
【0018】
図2は、糊3によって粘着メモ用紙2に表われた各格子模様の一つを、拡大して示した図である。この拡大図において示されているように、各格子模様は、粘着メモ用紙2の裏面にドット状(点状)に塗布された糊3aの集合によって構成されている。そして、糊3aをなす各ドットは、その最大幅Wが0.5mm以下、また、隣り合う各ドット同士における最小の間隔Cが0.2mm以上となるように、粘着メモ用紙2に塗布されている。
【0019】
さらに、図3は、粘着メモ用紙2、及び、糊3aをなす各ドットの断面図である。そして、図示されているように、糊3aをなす各ドットは、その高さ(糊の厚さ)Hが25μm〜30μmの範囲内となるように、粘着メモ用紙2に塗布されている。
【0020】
このように、本実施形態に係る粘着メモ用紙束1は、再剥離及び再貼付可能な糊3がドット状に塗布されているので、粘着メモ用紙2の裏面に糊3を過剰に塗布することがない。そのため、トレーシングペーパーのように、糊付けすると、その糊の水分によって容易に撓んでしまう紙に広範囲にわたって糊を塗布しても、粘着メモ用紙を構成する紙を撓ませることがない。
【0021】
従って、以上の実施形態によれば、トレーシングペーパーを使用して、図示されているような格子模様を表わした粘着メモ用紙束1を製造しても、トレーシングペーパーが波打って曲がったものとはならず、撓みがなく、商品価値の高い粘着メモ用紙束を製造することができる。そして、このような格子模様が表わされた粘着メモ用紙束1は、この格子模様がメモ用紙の罫線として機能するため、これを使用する人が均整のとれた文字列等を書きやすい、という利点も有することになる。
【0022】
なお、本願発明者は、本発明を想到する以前に、糊をドット状に塗布することなく、図示されているような格子模様を、ベタ塗りした糊によって表わした粘着メモ用紙束を、トレーシングペーパーを使用して製造してみた。しかし、それによって得られた粘着メモ用紙束は、波打って曲がったものとなってしまい、外観上問題があり、商品としての価値がほとんど認められないものであった。これは、糊をドット状に塗布せず、ベタ塗りした場合には、メモ用紙の裏面に糊を過剰に塗布することとなり、この糊の水分によって、トレーシングペーパーからなる粘着メモ用紙が撓んでしまったからであると認められた。
【0023】
なお、以上の実施形態においては、ドット状に塗布された糊3aによって、格子模様が表わされているが、粘着メモ用紙2に表わされる模様は、ドット状に塗布された糊3aによって表わしたものであれば、特に、格子模様に限定されることはない。例えば、これ以外にも、単なる横線からなる罫線や、文字、矢印やNGマーク等の記号、ロゴマーク、その他、動物の図柄等、自由に表現することが可能である。ドット状であれば、過剰に糊を塗布することがないので、粘着メモ用紙が撓むことも無いからである。従って、本発明によれば、会社のロゴマークや、商品のキャラクター等を描いた粘着メモ用紙束を製造することができ、販促商品等として、利用価値の高いものを提供することができる。なお、糊3に塗料を混ぜ、色付き糊によって、これらの模様を表わすことも可能である。また、糊3aを、粘着メモ用紙2の裏面の全面にドット状に塗布することによって、粘着メモ用紙2を無模様とすることも可能である。
【0024】
また、以上の実施形態においては、糊3aをなす各ドットの最大幅Wが0.5mm以下、及び、隣り合う各ドット同士における最小の間隔Cを0.2mm以上となるようにしているが、最大幅Wについては1.0mm以下、また、隣り合う各ドット同士における最小の間隔Cについては、0.1mm以上とすることもできる。さらに、以上の実施形態においては、糊3aをなす各ドットの高さHを、25μm〜30μmの範囲内としているが、この高さHについては、10μm〜35μmの範囲とすることもできる。
【0025】
ただし、各粘着メモ用紙にトレーシングペーパーを使用して、粘着メモ用紙束を製造する場合、糊に含まれる水分を原因とする粘着メモ用紙の撓みを防止するためには、以上の実施形態の通り、糊3aをなす各ドットの最大幅Wを0.5mm以下、及び、隣り合う各ドット同士における最小の間隔Cを0.2mm以上となるようにすることが好ましい。また、糊3aをなす各ドットの高さHについても、微少なドットによる糊の強度を補完し、かつ、トレーシングペーパーへの水分の影響を最小限にするため、25μm〜30μmとすることが好ましい。
【0026】
なお、本発明において、粘着メモ用紙2に糊を塗布する手段は、以上の実施形態において説明したようなドット状に糊を塗布することができれば、特に限定はされないが、好ましい方法としては、シルクスクリーン印刷の技術を利用したものが考えられる。シルクスクリーン印刷におけるインクの代わりに、糊を使用することによって、本発明で説明しているようなドット状の塗布が容易に行うことができるからである。また、この場合、シルクスクリーンに塗布する感光液(ゾル)の厚さを、通常のシルクスクリーン印刷のおける場合よりも厚くすることで、以上の実施形態において説明したような、糊3aをなす各ドットの高さHが25μm以上となるように糊3を塗布することが可能である。
【0027】
また、以上の実施形態においては、糊3aをなす各ドットの大きさやドット同士の間隔を、長さ単位によって示しているが、これらを、シルクスクリーン印刷を含む印刷技術において慣用されている、線数と網点面積率(%)によって示すことも可能である。この場合、糊3aをなす各ドットは、線数で30線〜60線、網点面積率で20%〜80%の範囲内とされることが好ましく、また、線数で40線〜50線、網点面積率で40%〜50%の範囲内とされることが、さらに好ましい。
【0028】
なお、本発明において、「トレーシングペーパー」には、図面等の複写ができるようになっている薄い半透明の紙すべてを含むものとする。従って、トレーシングペーパーであって、透明性を付与するための製法に因んだ名称が付けられたもの、例えば、グラシン紙、硫酸紙、パーチメント紙、擬羊皮紙、パラフィン紙等も、本発明の「トレーシングペーパー」に含まれるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上に説明したように、本発明によれば、トレーシングペーパーのように、糊付けすると撓みやすい紙を使用して、粘着メモ用紙束を製造しても、用紙が撓むことが無く、撓みのない粘着メモ用紙束を得ることができる。また、本発明によれば、糊を過剰に塗布する必要がないため、非常に剥離性の良いメモ用紙束を製造することができる。そのため、メモ用紙表面に、剥離性を高めることを目的としたシリコンの塗布が不要となるため、非常に筆記特性に優れたメモ用紙束を製造することもできる。
【0030】
さらに、本発明によれば、ドット状に塗布された糊によって、自由な図柄を表現することができ、これにより、デザイン性に優れた粘着メモ用紙束を提供することもできる。この際、無色のメモ用紙に無色の糊を塗布したり、メモ用紙の色と非常に近似した色に着色した糊をメモ用紙に塗布したりすることによって、メモ用紙束の状態においては、糊部分の重なりによって図柄を視認できるが、メモ用紙束から剥がした用紙一枚を見た場合には、その図柄が視認できないほど薄くなっているといった視覚的効果のある粘着メモ用紙束を提供することもできる。
【0031】
また、シルクスクリーン印刷の技術を利用し、本発明に係る粘着メモ用紙束を作れば、糊付け工程のみによって、任意の図柄を粘着メモ用紙に表わすことができるため、別途、粘着メモ用紙毎に図柄を印刷等する工程が不要となり、製造工程の簡略化、並びに、製造コストの削減に大きく寄与することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 :粘着メモ用紙束、
2 :粘着メモ用紙、
3 :糊、
3a:糊、
W :糊3aをなす各ドットの最大幅、
C :隣り合う各ドット同士における最小の間隔、
H :糊3aをなす各ドットの高さ(糊の厚さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再剥離及び再貼付可能な糊が裏面に塗布された粘着メモ用紙を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束であって、前記糊が、前記粘着メモ用紙の裏面にドット状に塗布されており、前記粘着メモ用紙を構成する紙が、トレーシングペーパーであって、
前記塗布された糊の各ドットの最大幅が1.0mm以下であって、
前記塗布された糊の各ドット同士における最小の間隔が0.1mm以上であって、
前記塗布された糊の各ドットの高さが10μm〜35μmの範囲内にあることを特徴とする粘着メモ用紙束。
【請求項2】
再剥離及び再貼付可能な糊が裏面に塗布された粘着メモ用紙を複数枚重ねてなる粘着メモ用紙束であって、前記糊が、前記粘着メモ用紙の裏面の全面にドット状に塗布されており、前記粘着メモ用紙を構成する紙が、トレーシングペーパーであって、
前記塗布された糊の各ドットの最大幅が1.0mm以下であって、
前記塗布された糊の各ドット同士における最小の間隔が0.1mm以上であって、
前記塗布された糊の各ドットの高さが10μm〜35μmの範囲内にあることを特徴とする粘着メモ用紙束。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−52688(P2013−52688A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−275906(P2012−275906)
【出願日】平成24年12月18日(2012.12.18)
【分割の表示】特願2012−512106(P2012−512106)の分割
【原出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(399085369)株式会社ピーシーエム竹尾 (1)