説明

粘着剤組成物ペレットおよびその製造方法、粘着テープおよびその製造方法

【課題】押出機への材料供給装置内部におけるブロッキングを防止でき、供給装置から押出機への供給を安定的に実施することが可能な粘着剤ペレットおよびその製造方法を提供すること。さらには、当該粘着剤ペレットにより粘着剤層を形成した粘着テープおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤からなる芯部と、非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有する鞘部よりなる芯鞘構造を有することを特徴とする粘着剤組成物ペレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物ペレットおよびその製造方法に関する。また、当該記粘着剤組成物ペレットにより粘着剤層を形成した粘着テープおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープの製造方法の一例として、例えば、図1に示すように、粘着剤供給装置(ホッパ)1から供給される常温で固形状の粘着剤を押出機2、次いで塗工ダイ3を経由させて加熱溶融させ、基材aの表面に塗布して粘着テープAを製造する方法がある。上記製造方法において使用される粘着剤組成物は、所謂ホットメルト型粘着剤(またはホットメルト型接着剤)と言われるものであり、常温で固形状であり、粒状、角状、ひも状、棒状、粉末状等の所謂ペレット状に加工されたものが使用される。これらホットメルト型粘着剤は、熱可塑性樹脂を主成分とし、必要に応じて粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤、フィラー等が配合されたものである。ホットメルト型粘着剤の製造方法としては、例えば特開平10−130604号公報等に記載されている。
【0003】
しかし、上記ペレット状のホットメルト型粘着剤は、表面にタックを有する場合がある。この場合に、押出機へ粘着剤を連続的に供給するために粘着剤を貯留しておく供給装置内部において、当初はペレット状で分散していた粘着剤同士が自身の持つ粘着性や自重によりブロッキングしてしまい、供給装置から押出機へ粘着剤が安定供給されないという問題が発生することがあった。このように供給装置から押出機へ粘着剤が安定供給されないと、最終的に得られる粘着テープ製品の粘着剤層の厚さがばらつき、安定した品質の粘着テープ製品を得ることができないという問題がある。さらには、粘着テープ製品の生産性を低下させてしまうといった問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、押出機への材料供給装置内部におけるブロッキングを防止でき、供給装置から押出機への供給を安定的に実施することが可能な粘着剤ペレットおよびその製造方法を提供することを目的とする。さらには、当該粘着剤ペレットにより粘着剤層を形成した粘着テープおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に示す粘着剤組成物ペレットにより、上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤からなる芯部と、非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有する鞘部よりなる芯鞘構造を有することを特徴とする粘着剤組成物ペレット、に関する。
【0007】
上記本発明の粘着剤組成物ペレットは、粘着剤を芯部とし、その芯部成分に対して非ブロッキング性の熱可塑性樹脂を鞘部に有するような芯鞘構造であるため、鞘部の作用により押出機への材料供給装置内部においてブロッキングが防止され、粘着剤組成物ペレットは供給装置から押出機へ安定的に供給される。
【0008】
前記粘着剤組成物ペレットにおいて、芯部の粘着剤に用いる熱可塑性エラストマーは、スチレン系ブロック共重合体、オレフィン結晶系ブロック共重合体、スチレン系ランダム共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレンプロピレン系共重合体ゴムから選ばれるいずれか少なくとも1種であることが好ましい。
【0009】
前記粘着剤組成物ペレットにおいて、芯部の粘着剤が、粘着付与剤および/または軟化剤を含有していることが好ましい。
【0010】
前記粘着剤組成物ペレットにおいて、鞘部に用いる非ブロッキング性熱可塑性樹脂が、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、ポリスチレン、ポリエステル、オレフィン系ポリマー、ならびにJIS K−6301における硬度(JIS−A)が40以上のスチレン系ブロック共重合体、オレフィン結晶系ブロック共重合体、スチレン系ランダム共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレンプロピレン系共重合体ポリマーから選ばれるいずれか少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
また本発明は、熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤からなる芯部材料と、非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有する鞘部材料を、溶融状態で芯鞘型ダイにより押し出した後に、ペレット化することを特徴とする前記粘着剤組成物ペレットの製造方法、に関する。
【0012】
上記本発明の粘着剤組成物ペレットは、芯部材料と鞘部材料を芯鞘型ダイにより同時に押し出して製造できるので、芯部となる粘着剤がペレット化し難いような物性の粘着剤であっても、鞘部となる熱可塑性樹脂によるサポートによってペレット形状とすることができ、粘着剤組成物ペレットにおいて使用できる粘着剤の適用範囲が広がった。
【0013】
また本発明は、基材上に、前記粘着剤組成物ペレットを用いた粘着剤層が形成されている粘着テープ、に関する。さらに本発明は、前記粘着剤組成物ペレットを単独または混合系にて押出機へ供給し、粘着剤組成物を押出機・ダイにより押出成形することで基材表面に粘着剤層を形成することを特徴とする粘着テープの製造方法、に関する。
【0014】
従来、粘着剤ペレットを押出機への材料供給装置内部へ安定供給するためには、粘着剤ペレットの表面にタルク等の粉末をまぶしたり、供給装置内部に粘着剤ペレットのブロッキングを粉砕する機構を取り付ける等の工夫が必要であったが、上記本発明の粘着剤組成物ペレットを用いることにより、前記工夫等は特に設ける必要がなく、粘着テープの製造コストダウンを図ることができ、粘着テープ製品の生産性を向上させることが可能となる。また、押出機への材料供給内部への粘着剤組成物ペレットの安定供給が可能となり、粘着剤層の厚さがばらつかなくなり安定した品質の粘着テープ製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】粘着テープの製造方法の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤からなる芯部と、非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有する鞘部よりなる芯鞘構造を有する、本発明の粘着剤組成物ペレットを説明する。
【0017】
前記芯部となる粘着剤が含有する熱可塑性エラストマーは、特に制限されず、ホットメルト接着剤として使用できる各種の熱可塑性エラストマーを使用することができる。かかる熱可塑性エラストマーとしては、たとえば、スチレン系ブロック共重合体、オレフィン結晶系ブロック共重合体、スチレン系ランダム共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンプロピレン系共重合体ゴム等があげられる。
【0018】
スチレン系ブロック共重合体としては、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレンブロック共重合体(SI)、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SB)、スチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレンプロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン・エチレンブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン・イソブチレン・スチレンブロック共重合体(SIBS)等があげられ、オレフィン結晶系ブロック共重合体としては、スチレン・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)、オレフィン結晶・エチレンブチレン・オレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC)等があげられ、スチレン系ランダム共重合体としては、スチレン・ブタジエンランダム共重合体(SBR)、水添スチレン・ブタジエンランダム共重合体(HSBR)等があげられる。また、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)があげられ、エチレンプロピレン系共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレンゴム(EPR)、エチレン・プロピレンターポリマー(EPDM)、エチレン・プロピレン・αオレフィンゴム等があげられる。これら熱可塑性エラストマーは水素化したものを使用してもよい。前記熱可塑性エラストマーの具体例としては、クレイトンG(シェル化学社製)、セプトン(クラレ社製)、ダイナロン(JSR社製)、ウルトラセン(東ソー社製)、タフマーP(三井化学社製)、エスプレン(住友化学社製)等が入手可能である。
【0019】
芯部となる粘着剤は、前記熱可塑性エラストマーに加えて、必要に応じて粘着付与剤や軟化剤を加えて粘着性を付与することができる。これら粘着付与剤、軟化剤の配合量は粘着剤のマスターバッジ化等を考慮して適宜に決定されるが、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、粘着付与剤および/または軟化剤を0〜300重量部程度、さらには10〜250重量部、特に50〜200重量部とするのが好ましい。
【0020】
粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系石油系樹脂、芳香族系石油系樹脂、脂肪族・芳香族共重合体系石油系樹脂、脂環式系石油系樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルぺン系樹脂、テルぺンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、ロジン系樹脂、重合ロジン系樹脂、キシレン系樹脂、およびこれらの水素化物等の粘着剤で用いられているものの1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
【0021】
軟化剤としては、例えば低分子量のポリイソブチレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン及びこれらの片末端または両末端にOH基、COOH基、エポキシ基等の反応基を持った誘導体、プロセス油、ナフテン油、ひまし油、アマニ油、大豆油、フタル酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、液状脂肪族系石油樹脂等の粘着剤で用いられているものの1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
【0022】
さらに、芯部となる粘着剤には、酸化チタン、カーボンブラック、酸化カルシウム、シリカ等の顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、脂肪酸アミドや脂肪酸エステル等の滑剤、リン酸エステル等の界面活性剤等の各種添加剤を適宜に配合することができる。
【0023】
鞘部に使用する非ブロッキング性熱可塑性樹脂は、当該熱可塑性樹脂を粘着剤組成物ペレットの鞘部に用いたものを、押出機への材料供給装置内部のような環境下においた場合にブロッキングが発生しないような熱可塑性樹脂であり、このような熱可塑性樹脂を特に制限なく使用できる。具体的には、40℃に設定された恒温室に、粘着剤組成物ペレット10kgをステンレス容器内(直径φ400mm×高さ600mm)に保管し、そこに1時間置いた後に取り出し、粘着剤組成物ペレット同士が互着した状態にならないものである。一般的には、鞘部に用いる熱可塑性樹脂ペレットが、上記条件下で互着した状態にならないものを用いる。
【0024】
かかる非ブロッキング性熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリプロピレン、プロピレン成分とエチレン成分からなるブロック系、ランダム系等のプロピレン系ポリマー、低密度、高密度、リニア低密度ポリエチレン等のエチレン系ポリマー、ポリスチレン、ポリエステル、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン成分と他のモノマー成分からなるオレフィン系ポリマー等があげられる。また、非ブロッキング性熱可塑性樹脂としては、前記例示の熱可塑性エラストマーのなかで非ブロッキング性を示すものを用いることができる。一般的には、JIS K−6301における硬度(JIS−A)が40以上のものが好ましい。JIS K−6301における硬度(JIS−A)は42以上、さらには45以上のものが好ましい。
【0025】
なお、前記非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有してなる鞘部には、鞘部におけるブロッキング性を損なわない範囲内で、芯部と同様の添加剤を使用することができる。
【0026】
前記芯部と鞘部の比率は特に限定されないが、芯部となる粘着剤の含有量が多い方が好ましい。芯部と鞘部の重量比率は、芯部/鞘部=50/50〜99/1の範囲であることが好ましく、93/7〜99/1の範囲であることがより好ましい。前記芯部と鞘部の重量比率における芯部の下限値は粘着剤組成物ペレットの使用時において芯部の粘着特性を十分に発揮できること、また鞘部の下限値は鞘部のサポートによる粘着剤組成物ペレットのブロッキング効果を十分に発揮できることを考慮したものである。なお、粘着剤組成物ペレットの芯部と鞘部の材料は、いずれも粘着剤層を形成するためその選択は粘着剤層の最終的な性能を考慮して適宜に決定される。芯部と鞘部の材料として同質材料のものを用いれば、相溶性がよい粘着剤層が得られる。
【0027】
本発明の芯鞘構造の粘着剤組成物ペレットの形状は、特に限定されず粒状、角状、ひも状、棒状、粉末状等の各種形状のものを使用できるが、鞘部に覆われていないペレット断面は小さいほど押出機材料供給装置内でのペレットの互着が少なくなる傾向があるので、ペレット直径はφ0.3〜φ2mm程度が好ましく、φ1〜φ1.5mmがより好ましい。またペレットの長さも特に限定されるものではないが、鞘に覆われている部分の面積が大きいほど押出機材料供給装置内でのペレットの互着が少なくなる傾向があるので、ペレット長さは1〜3mm程度が好ましい。
【0028】
本発明の芯鞘構造の粘着剤組成物ペレットの製造方法は特に制限されないが、たとえば、2台の押出機を用いて、熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤からなる芯部材料と、非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有する鞘部材料を、それぞれ芯側と鞘側に溶融状態で供給し、芯鞘型ダイによりストランド状に押し出し、さらに水槽で冷却したのちにペレタイザーでペレット状にカッティングすることにより行うことができる。上記製造方法によれば、鞘部となる熱可塑性樹脂と芯部となる粘着剤が、同時に芯鞘型ダイから押し出して芯鞘構造となるので、ペレット化が容易である。
【0029】
粘着テープの製造方法は、例えば、粘着剤層となる粘着剤組成物ペレットを支持となるテープ基材上に押出成形塗布する方法、前記支持基材層と粘着剤層となる粘着剤組成物ペレットを二層または多層にて共押出しする方法などの公知の粘着テープの製造方法に準じて行うことができる。また、粘着剤層には、粘着剤組成物ペレットをマスターバッチとして用い、これと熱可塑性エラストマーとの混合系を用いることもできる。粘着テープの製造方法としては、基材層と粘着剤層の多層押出等が生産性やコストの点から好ましい。
【0030】
テープ基材の材質は、特に限定されず粘着テープの用いられる用途に応じて適宜に決定できる。基材としては、たとえば、ポリエステル、ポリアミド、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、エチレン・プロピレン共重合体などのオレフィン系ポリマー等の各種プラスチックフィルム、紙、金属フィルム、不織布等があがられるる。基材にプラスチックフィルムを使用する場合には、劣化防止等を目的に、例えば酸化防止剤や紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤等の光安定剤や帯電防止剤、その他、例えばカーボンブラック、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタンの如き充填剤や顔料等の適宜な添加剤も配合することができる。
【0031】
粘着剤層の厚さは、通常、0.1〜100μm程度、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは1〜20μmであり、テープ基材の厚さは15〜250μm程度、好ましくは20〜200μm、より好ましくは25〜150μmである。
【実施例】
【0032】
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
実施例1
(粘着剤組成物ペレットの製造)
SEBS(旭化成製,タフテックH1053)100重量部に粘着付与剤(荒川化学社製,アルコンP100)50重量部をドライブレンドしたものを、芯部用二軸押出機(φ37mm,L/D=51.5)に供給した。一方、SEBS(旭化成製,タフテックH1053)100重量部を鞘部用単軸押出機(φ40mm,L/D=28)に供給した。それぞれの押出機から温度240℃で芯鞘型ダイ(口金4個)に芯部と鞘部の重量比率が、芯部/鞘部=80/20で供給した。押し出された4本のストランドを水槽に通し冷却後、ぺレタイザーにてカッティングし、ペレット径φ1.5mm、長さ2mm、鞘厚み0.12mmの芯鞘構造の粘着剤組成物ペレットを得た。なお、SEBS(旭化成製,タフテックH1053)のJIS K−6301における硬度(JIS−A)は79である。
【0034】
実施例2
実施例1において、芯部と鞘部の重量比率を、芯部/鞘部=90/10としたこと以外は実施例1と同様にして、ペレット径φ1.5mm、長さ2mm、鞘厚み0.08mmの芯鞘構造の粘着剤組成物ペレットを得た。
【0035】
実施例1、2で得られた粘着剤組成物ペレットの評価を行った。評価方法は以下の通りである。
【0036】
(耐ブロッキング性の評価)
40℃に設定された恒温室に、上記粘着剤組成物ペレット10kgをステンレス容器内(直径φ400mm×高さ600mm)に保管し、1時間置いた後に取り出し、粘着剤組成物ペレット同士が互着しているか否かを目視にて観察した。実施例1、2のいずれの場合も粘着剤組成物ペレット同士の互着はなく、耐ブロッキングを有していた。
【0037】
(粘着テープの製造)
上記粘着剤組成物ペレット25kgを紙袋内に保管し、40℃に設定された恒温室に1時間放置した後に取り出し、押出機上部に取り付けられた材料供給装置に投入し、単軸押出機(スクリュー径φ30mm、L/D=28)を経由し、200℃に加熱溶融させ、基材(厚さ100μmの低密度ポリエチレンフィルム)表面に塗布して粘着テープの製造を行った。実施例1、2のいずれの場合も、粘着テープ製造中に材料供給装置内の粘着剤組成物ペレットの観察を行ったが、粘着剤組成物ペレットのブロッキングはなく、押出機内部への安定供給ができていることを確認した。また、得られた粘着テープの基材表面に塗布された粘着剤層は厚みが安定していることを確認した。粘着剤層の厚みが安定していることはダイヤルゲージによる測定により確認した。
【0038】
比較例1
実施例1において、芯部用の粘着剤組成物を未加工のまま、芯用二軸押出機に供給し、鞘部を付けないでそのまま押し出し、カッティングして粘着剤組成物ペレットを得た。
【0039】
比較例で得られた粘着剤組成物ペレットについて、実施例1、2と同様の評価を行った。その結果、耐ブロッキング性評価では、粘着剤組成物ペレットの互着がありブロッキングが認められた。また粘着テープの製造では、押出機内部で粘着剤組成物ペレットのブロッキングがあり、安定供給できなかった。また、得られた粘着テープの基材表面に塗布された粘着剤層の厚さにばらつきがあることが確認された。
【0040】
実施例3
(粘着剤組成物ペレットの製造)
SEBS(旭化成製,タフテックH1053)100重量部に粘着付与剤(荒川化学社製,アルコンP100)125重量部をドライブレンドしたものを、芯部用二軸押出機(φ37mm,L/D=51.5)に供給した。一方、低密度ポリエチレン(日本ポリケム製,ノバテックLC500)25重量部を鞘部用単軸押出機(φ40mm,L/D=28)に供給した。芯部用二軸押出機からは温度200℃で、鞘部用単軸押出機からは180℃で芯鞘型ダイ(口金4個)に芯部と鞘部の重量比率が、芯部/鞘部=90/10で供給し、粘着剤組成物中の粘着付与剤の濃度を50重量%とした。押し出された4本のストランドを水槽に通し冷却後、ぺレタイザーにてカッティングし、ペレット径φ1.5mm、長さ2mm、鞘厚み0.12mmの芯鞘構造の粘着剤組成物ペレットを得た。
【0041】
(粘着テープの製造)
上記で得られた粘着剤組成物ペレットを用いて押出機内部への安定供給の評価を行った。評価方法は以下の通りである。上記粘着剤組成物ペレット25kgを紙袋内に保管し、40℃に設定された恒温室に1時間放置した。SEBS(旭化成製,タフテックH1053)100重量部に、前記粘着剤組成物ペレット150重量部をドライブレンドし、粘着付与剤の濃度を30重量%となるように調整したものを、押出機上部に取り付けられた材料供給装置に投入し、単軸押出機(スクリュー径φ30mm、L/D=28)を経由し、加熱溶融し、ダイス温度220℃として、低密度ポリエチレン(日本ポリケム製,ノバテックLF580)とともに共押出成形し、粘着テープの製造を行った。得られた粘着テープは厚みが安定していることを確認した。粘着テープの厚みが安定していることはダイヤルゲージによる測定により確認した。また、粘着テープ製造中に材料供給装置内の粘着剤組成物ペレットの観察を行ったが、粘着剤組成物ペレットのブロッキングはなく、押出機内部への安定供給ができていることを確認した。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤からなる芯部と、非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有する鞘部よりなる芯鞘構造を有することを特徴とする粘着剤組成物ペレット。
【請求項2】
芯部の粘着剤に用いる熱可塑性エラストマーが、スチレン系ブロック共重合体、オレフィン結晶系ブロック共重合体、スチレン系ランダム共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレンプロピレン系共重合体ゴムから選ばれるいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物ペレット。
【請求項3】
芯部の粘着剤が、粘着付与剤および/または軟化剤を含有していることを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物ぺレット。
【請求項4】
鞘部に用いる非ブロッキング性熱可塑性樹脂が、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、ポリスチレン、ポリエステル、オレフィン系ポリマー、ならびにJIS K−6301における硬度(JIS−A)が40以上のスチレン系ブロック共重合体、オレフィン結晶系ブロック共重合体、スチレン系ランダム共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体およびエチレンプロピレン系共重合体ポリマーから選ばれるいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物ペレット。
【請求項5】
熱可塑性エラストマーを含有する粘着剤からなる芯部材料と、非ブロッキング性熱可塑性樹脂を含有する鞘部材料を、溶融状態で芯鞘型ダイにより押し出した後に、ペレット化することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物ペレットの製造方法。
【請求項6】
基材上に、請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物ペレットを用いた粘着剤層が形成されている粘着テープ。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物ペレットを単独または混合系にて押出機へ供給し、粘着剤組成物を押出機・ダイにより押出成形することで基材表面に粘着剤層を形成することを特徴とする粘着テープの製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2012−31432(P2012−31432A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242310(P2011−242310)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【分割の表示】特願2001−143238(P2001−143238)の分割
【原出願日】平成13年5月14日(2001.5.14)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】