説明

粘着剤組成物及び粘着シート

【課題】凹凸部や厚い印刷層に塗布した時、端面に空隙が発生せず、充分な耐久性と接着性を有し、膨れや発泡がない粘着剤組成物であって、透明性、および段差への追随性を有し、厚膜が支障なく形成できる粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含むアクリル系共重合体、カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含むアクリル系共重合体オリゴマー及び粘着剤組成物と反応可能な官能基を分子中に有する架橋剤を混合してなる粘着剤組成物であって、アクリル系共重合体とアクリル系共重合体オリゴマーとの混合比が100/20〜100/60(重量比)である粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物及び該粘着剤組成物からなる粘着シートに関するものであり、さらに詳しくは、透明性、段差追随性に優れた粘着剤組成物及び粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などのモバイル端末、パーソナルコンピューター、家電製品等の入力部位となるタッチパネル、液晶やPDP等を使用した画像表示装置、その他光学用フィルムなどの分野において、プラスチックフィルムを積層して高機能を発揮させることが行われている。該積層フィルムは、種々の特性を有するフィルムが粘着剤を介して積層されるのであるが、各層に使用される粘着剤組成物も積層フィルムの高機能化に対応した諸機能が要求されている。
【0003】
タッチパネル用途においては、ポリカーボネート等の透明プラスチック基板と導電性のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムという)との貼り合わせや導電性PETフィルムとハードコートフィルムとの貼りあわせに粘着剤組成物が両面テープの形態で使用されている。
【0004】
たとえば、特開2005−255877号(特許文献1)、特開2005−15524号(特許文献2)には特定の構造を有するアクリル系ポリマーとオリゴマーとをブレンドした粘着剤組成物、および該粘着剤組成物層を透明基材の両面に形成した両面テープが開示されている。前記粘着剤組成物層はタッチパネル用に使用され、高温下の使用においても、ポリカーボネート板からの発生ガスによる粘着剤の発泡や膨れを抑えることができるものである。
【0005】
このようなアクリル系ポリマーとオリゴマーとをブレンドした粘着剤組成物は、他に偏光板等の光学部材の貼りあわせ等の用途にも使用されておりたとえば、特開2001−335767号(特許文献3)には被着体との密着性に優れ、応力緩和性に優れた粘着剤組成物が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−255877号公報
【特許文献2】特開2005−15524号公報
【特許文献3】特開2001−335767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、タッチパネル用途における印刷層を挟んで粘着剤層を設ける層構成が必要な態様、光学用途における複雑な凹凸形状の反射面に粘着剤層を設ける構成が必要な態様等において、従来の粘着剤組成物は、段差への追随性が不十分であり、凹凸部や印刷層の端面に空隙が発生するという不都合が発生した。
また、粘着剤層の厚膜化の要請もあり50μm以上もの厚膜が支障なく形成できる粘着剤組成物も求められていた。
【0008】
本発明の目的は、表示装置等の光学部材やタッチパネル用途等に使用された際に充分な耐久性と接着性を有し、膨れや発泡がない粘着剤組成物であって、透明性、および段差への追随性を有し、塗工性もよい粘着剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成することに鋭意検討した結果、特定の(メタ)アクリル系共重合体と特定の(メタ)アクリル系共重合体オリゴマーと架橋剤とを混合してなる粘着剤組成物が、耐久性、接着性、段差追随性、透明性等の必要物性をバランス良く有する粘着剤組成物であることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、
アルキル基の炭素数2〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含み、重量平均分子量(Mw)50万以上90万未満かつガラス転移温度(Tg)−60℃〜−40℃のアクリル系共重合体(A)、カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含み、重量平均分子量(Mw)3000以上10000未満かつガラス転移温度(Tg)10℃〜110℃のアクリル系共重合体オリゴマー(B)、粘着剤組成物と反応可能な官能基を分子中に有する架橋剤(C)を混合してなる粘着剤組成物であって、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体オリゴマー(B)との混合比が100/20〜100/60(重量比)である粘着剤組成物を提供するものである。
【0011】
前記粘着剤組成物において、アクリル系共重合体(A)が、アルキル基の炭素数2〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体100重量部に対してカルボキシル基を含有する単量体1〜10重量部を共重合成分として含むアクリル系共重合体であることが好ましく、オリゴマー(B)はt-ブチルメタクリレートを50重量%以上含むアクリル系単量体100重量部に対してカルボキシル基を含有する単量体1〜10重量部を共重合成分として含むアクリル系共重合体オリゴマーであることが好ましく、架橋剤(C)は粘着剤組成物と反応可能な官能基を分子中に2〜5個有する架橋剤であることが好ましく、カルボキシル基を含有する単量体がいずれもアクリル酸であることが好ましい。
【0012】
本発明はまた、前記粘着剤組成物の架橋体からなる粘着剤層を有する両面粘着テープ、光学用積層シートを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の粘着剤組成物は特定の組成のアクリル系共重合体(A)、特定のアクリル系共重合体オリゴマー(B)及び特定の架橋剤(C)の混合物である。
【0014】
[アクリル系重合体(A)]
上記アクリル系共重合体(A)は、アルキル基の炭素数2〜6のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに由来する共重合成分を主共重合成分として(例えば、アクリル系共重合体(A)に基づいて合計50重量%以上)含有するものであり、且つカルボキシル基含有単量体を共重合成分として含むものである。
【0015】
本発明に特に好適に用いられるアクリル系共重合体(A)は、具体的には、必須成分として、下記単量体(a−1)及び(a−2)、
(a−1)下記一般式(1)、
H2C=C(R2)COOR1 (1)
(ここでR1は、炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖アルキル基を示し、R2は水素原子またはメチル基を表す)
で示される(メタ)アクリル酸エステル〔以下、(メタ)アクリル酸エステル又は単に単量体(a−1)ということがある〕、及び
【0016】
(a−2)分子内にカルボキシル基を有する単量体〔以下、カルボキシル基含有単量体(a−2)ということがある〕を共重合してなり、さらに必要に応じてこれら単量体(a−1)及び(a−2)と共に、下記単量体(a−3)、
【0017】
(a−3)上記単量体(a−1)及び(a−2)と共重合可能で、該単量体(a−1)及び(a−2)以外の共単量体〔以下、単に共単量体又は単量体(a−3)ということがある〕を共重合してなるものであることが好ましい。
【0018】
上記一般式(1)の(メタ)アクリル酸エステル(a−1)は、炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであるが、これらのアクリル酸エステルは、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの中でもn−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で使用してもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0019】
前記のアクリル酸エステル(a−1)の共重合量は、アクリル酸共重合体(A)を構成する前記単量体成分(a−1)〜(a−3)の合計100重量%に基づいて、一般に50〜99重量%、好ましくは70〜99重量%の範囲であるのがよい。アクリル酸エステル(a−1)の共重合量が該下限値以上であれば、接着性・耐久性・段差面への追従性のバランスが良いので好ましい。
【0020】
前記カルボンキシル基含有単量体(a−2)の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基もしくはその無水物基含有単量体を挙げることができる。これらのうち、アクリル酸エステル(a−1)との共重合性・アクリル系共重合体オリゴマー(B)との相溶性からアクリル酸の使用が特に好ましい。
【0021】
カルボンキシル基含有単量体(a−2)の共重合量は、前記単量体成分(a−1)〜(a−3)の合計100重量%に基づいて、一般に1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%の範囲であるのがよい。単量体(a−2)の共重合量が該上限値以下であれば、凹凸面・段差面への追従性が高いので好ましく、一方該下限値以上用いることによって、接着性・凝集力が高いので好ましい。
【0022】
本発明においてこれら単量体(a−1)及び(a−2)と共に、必要に応じて用いられる、前記共単量体(a−3)の具体例としては、前記(a−1)以外の(メタ)アクリル酸エステル、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート等(好ましくはメチルアクリレ−ト);メタクリル酸エステル等(好ましくはメチルメタリレート);飽和脂肪酸ビニルエステル、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商品名)等;芳香族ビニル単量体、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等;及びシアン化ビニル単量体、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等;を挙げることができる。
【0023】
また共単量体(a−3)としては、例えば、ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジ−2−エチルヘキシルマレート、ジ−n−オクチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジ−2−エチルヘキシルフマレート、ジ−n−オクチルフマレート等のマレイン酸もしくはフマル酸のジエステル;も使用可能である。
【0024】
さらにまた共単量体(a−3)としては、必要に応じて、分子内に1個のラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能基を有する単量体であって、上記単量体(a−2)以外の単量体(以下、官能性共単量体ということがある)を共重合することもできる。
【0025】
このような官能性共単量体としては、官能基として、例えば、アミド基もしくは置換アミド基、アミノ基もしくは置換アミノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシル基、エポキシ基、メルカプト基又は珪素含有基等を有する単量体を挙げることができ、また、分子内にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する単量体も接着性・耐久性・段差面への追従性のバランスに影響しない範囲で使用できる。
【0026】
これら官能性共単量体の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−i−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアミド基もしくは置換アミド基含有単量体;例えば、アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体;
【0027】
例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコール、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のヒドロキシル基含有単量体;例えば、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエチルアクリレート、2−メトキシエトキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、2−メトキシエトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエトキシエチルメタクリレート、2−n−ブトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート等の低級アルコキシル基含有単量体;
【0028】
例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル等のエポキシ基含有単量体;アリルメルカプタン等のメルカプト基含有単量体;
【0029】
例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリブロモシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリス(2−ヒドロキシメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジエトキシシラノール、ビニルエトキシシラジオール、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、2−アクリルアミドエチルトリエトキシシラン等の珪素含有基を有する単量体;等の単量体群を挙げることができる。
【0030】
これら共単量体(a−3)の共重合量は、前記単量体成分(a−1)〜(a−3)の合計100重量%に基づいて、一般に0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%の範囲であるのがよい。単量体(a−3)の共重合量が該上限値以下であれば、接着性・耐久性・段差面への追従性のバランスが良いので好ましい。
【0031】
さらにまた共単量体(a−3)としては、必要に応じて、分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体を共重合することも可能である。このような共単量体(a−3)には、例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどが含まれる。このような分子内に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体の使用量は、例えば0.5重量%以下など、本発明の優れた効果を損なわない範囲において使用することができる。
【0032】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)は、その重量平均分子量(Mw)が50万以上90万未満の範囲であることが必要であり、好ましくは60万以上80万未満の範囲であるのがよい。該重量平均分子量(Mw)が該下限値未満と低すぎては、凝集力不足などに伴って気泡が発生するので好ましくない。一方該上限値を超えて高すぎては、凹凸面・段差面への追従性が低いので好ましくない。
【0033】
また本発明に好適に用いられるアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnは、一般に20以下、好ましくは5〜15の範囲であるのがよい。Mw/Mnの値が該上限値以下であれば、凝集力不足などに伴う不都合が生じにくいので好ましい。
【0034】
なお、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、下記の方法により測定された値である。
【0035】
平均分子量(Mw及びMn)の測定方法:
下記(1)〜(3)に従って測定する。
(1)アクリル系共重合体溶液を剥離紙に塗布し、100℃で2分間乾燥し、フィルム状のアクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状のアクリル系共重合体をテトラヒドロフランにて固形分0.2%になるように溶解させる。
(3)下記条件にて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定する。
【0036】
(条件)
GPC :HLC−8220 GPC〔東ソー(株)製〕
カラム :TSK−GEL GMHXL 4本使用
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速 :0.6ml/min
カラム温度:40℃
【0037】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)はまた、そのガラス転移温度(TgA)が−40℃以下であることが必要であり、好ましくは−50℃以下であるのがよい。TgAが該温度を超えて高すぎては、支持基板に対する接着力が高くなりすぎるため、リワーク性が低下するので好ましくない。
【0038】
なお本明細書におけるアクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)とは、以下の計算により求められるモル平均ガラス転移温度をいう。
【0039】
ガラス転移温度(Tg)の計算:
【数1】

ここでTg1、Tg2・・・・・・及びTgnは、成分1、成分2・・・・・・及び成分nそれぞれの単独重合体のガラス転移温度であり、絶対温度(゜K)に換算し計算する。m1、m2・・・・・・及びmnはそれぞれの成分のモル分率である。
【0040】
なお、ここでいう「単独重合体のガラス転移温度(Tg)」には、L. E.ニールセン著、小野木宣治訳「高分子の力学的性質」第11〜35頁に記載されている単量体のガラス転移温度が適用される。
【0041】
[アクリル系共重合体オリゴマー(B)]
【0042】
本発明のタッチパネル用粘着剤組成物は、以上述べたアクリル系共重合体(A)と共に、アクリル系共重合体オリゴマー(B)を含有してなるものである。
【0043】
上記のアクリル系共重合体オリゴマー(B)は、前記アクリル系共重合体(A)と同様、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を主成分量、例えば、アクリル系共重合体オリゴマー(B)に基づいて合計50重量%以上含有してなるものであって、下記単量体(b−1)および(b−2)の単量体を共重合成分として含み、そのガラス転移温度(TgB)が10〜110℃の範囲のものである。
【0044】
本発明に特に好適に用いられるアクリル系共重合体オリゴマー(B)は、具体的には、必須成分として、下記単量体(b−1)及び(b−2)、
(b−1)下記一般式(1)、
H2C=C(R2)COOR1 (1)
(ここでR1は、炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖アルキル基を示し、R2は水素原子またはメチル基を表す)
で示される(メタ)アクリル酸エステル〔以下、(メタ)アクリル酸エステル又は単に単量体(b−1)ということがある〕、及び
【0045】
(b−2)分子内にカルボキシル基を有する単量体〔以下、カルボキシル基含有単量体(b−2)ということがある〕を共重合成分として含むものである。
【0046】
本発明の(B)成分であるアクリル系共重合体オリゴマーのガラス転移温度(TgB)は
10〜110℃の範囲であることが必要であり、50〜90℃の範囲であることが好ましい。TgBが該上限温度以下であれば高温での耐久性が高いので好ましく、一方、該下限温度以上であれば、接着性が高いので好ましい。
【0047】
アクリル系共重合体オリゴマー(B)を構成する必須単量体である前記単量体(b−1)は、具体的には前記(A)成分であるアクリル系共重合体(A)における単量体(a−1)で用いられるものを使用することができるが、接着性・耐久性・透明性の観点からt-ブチルメタアクリレート(tBMA)、i-ブチルメタアクリレート(iBMA)、n-ブチルメタアクリレート(nBMA)、の使用が好ましく、接着性・高温での耐久性の観点からt-ブチルメタアクリレート(tBMA)の使用が最も好ましい。
【0048】
単量体(b−1)の使用量は、前記該単量体(b−1)それ自体の種類並びに、後記する単量体(b−2)の種類により、前記ガラス転移温度範囲およびSP値を満足するように適宜選択されることができるが、一般には、アクリル系共重合体オリゴマー(B)を構成する単量体(b−1)(b−2)の合計100重量%に基づいて、50〜99重量%、さらには70〜90重量%であることが好ましい。該使用量が該下限値以上であれば、接着性・高温での耐久性・アクリル系共重合体(A)との相溶性が高いので好ましく、一方、該上限値以下であれば、凹凸面・段差面への追従性・被着体への濡れ性・アクリル系共重合体(A)との相溶性が高いので好ましい。
【0049】
単量体(b−2)の使用量は、該単量体(b−2)の種類並びに、前記単量体(b−1)及の種類により適宜選択されることができるが、一般には、アクリル系共重合体オリゴマー(B)を構成する単量体(b−1)、(b−2)の合計100重量%に基づいて、1〜10重量%、さらには3〜8重量%であることが好ましい。該使用量が該下限値以上であれば、接着性が高いので好ましく、一方、該上限値以下であれば、耐久試験後の透明性(HAZE)が高く、凝集力の低下が少ないので好ましい。
前記カルボンキシル基含有単量体(b−2)の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基もしくはその無水物基含有単量体を挙げることができる。これらのうち、アクリル酸エステル(b−1)との共重合性・アクリル系共重合体(A)との相溶性からアクリル酸の使用が特に好ましい。
【0050】
本発明に用いられるアクリル系共重合体オリゴマー(B)は、前記「重量平均分子量の測定方法」に従って測定したその重量平均分子量(Mw)が3000〜10000の範囲であることが必要であり、好ましくは4000〜6000の範囲であるのがよい。該分子量が該下限値以上であれば、接着性が高く、低分子成分によるリワーク性・凝集力の低下が少ないので好ましく、一方、該上限値以下であれば、凹凸面・段差面への追従性が良好であり、被着体への濡れ性が高いので好ましい。
【0051】
本発明に用いられるアクリル系共重合体オリゴマー(B)の溶解性パラメーター(SPB)と、前記アクリル系共重合体(A)の溶解性パラメーター(SPA)との差ΔSP(=SPB−SPA)は、1.0以下、さらには0.5以下であることが好ましい。該溶解性パラメータの差ΔSPが該上限値以下であれば、アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体オリゴマー(B)との相溶性が低下しないので 透明性を保持できるため好ましい。
【0052】
ここでいう溶解性パラメーター(SP値)とは、物質の溶解性の傾向を表わす指標である。SP値は種々の方法で測定又は計算されるものであり、例えば、「SP値基礎・応用と計算方法」山本秀樹著:(2005年)に詳述されている。
【0053】
なお重合体のSP値は、凝集エネルギー密度Eとモル分子容Vに基づき計算した下式のFedorの推算法により算出した。
SP=[ΣEcoh/ΣV]1/2
【0054】
共重合体のSP値については、その構成単量体の各々のSP値に、その各々の構成モル分率を乗じたものを合算して溶解性パラメータとした。
【0055】
本発明の粘着剤組成物においては、前記のアクリル系共重合体(A)100重量部に対して、以上述べたアクリル系共重合体オリゴマー(B)を20〜60重量部、好ましくは30〜40重量部を含有してなるものである。該成分(B)の使用量が該上限値未満であれば、凝集力及び相溶性の低下が少ないので好ましく、一方、該下限値を以上であると、凹凸面・段差面への追従性・接着性・耐熱性が高いので好ましい。
【0056】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体オリゴマー(B)は、その重合方法に特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの公知の方法により重合できるが、重合により得られた共重合体の混合物を用いて本発明の粘着剤組成物を製造するに当り、処理工程が比較的簡単で且つ短時間で行えることから溶液重合により重合することが好ましい。
【0057】
溶液重合は、一般に、重合槽内に所定の有機溶媒、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させることにより行われる。この場合に有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
【0058】
上記の重合用有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、芳香族ナフサなどの芳香族炭化水素類;例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、テレピン油などの脂肪系もしくは脂環族系炭化水素類;例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸2−ヒドロキシエチル、酢酸2−ブトキシエチル、酢酸3−メトキシブチル、安息香酸メチルなどのエステル類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類;
【0059】
例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル類;例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類;などを挙げることができる。これらの有機溶媒はそれぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0060】
これら重合用有機溶媒のうち、前記アクリル系共重合体(A)の重合に際しては、重合反応中に連鎖移動を生じにくい有機溶媒、例えば、エステル類、ケトン類を使用することが好ましく、特に、アクリル系共重合体(A)の溶解性、重合反応の容易さなどの点から、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンなどの使用が好ましい。また、アクリル系共重合体オリゴマー(B)を製造する場合には、連鎖移動を生じやすい有機溶媒、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類を使用することが好ましい。特に、重合反応の容易さなどから、トルエン、メチルエチルケトンなどが好ましい。
【0061】
前記の重合開始剤としては、通常の溶液重合で使用できる有機過酸化物、アゾ化合物などを使用することが可能である。
【0062】
このような有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ−i−プロピルペルオキシジカルボナト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカルボナト、t−ブチルペルオキシビバラト、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−α−クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンなどが挙げられ、アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどを挙げることができる。
【0063】
これら有機過酸化物のうち、前記アクリル系共重合体(A)の重合に際しては、重合反応中にグラフト反応を起こさない重合開始剤の使用が好ましく、特にアゾビス系の使用が好ましい。その使用量は、通常、単量体合計100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。また、前記アクリル系共重合体オリゴマー(B)を製造する場合は、反応温度により異なるが、10時間半減期温度の低い重合開始剤が好ましく、例えば、10時間半減期温度が80℃以下、好ましくは70℃以下の重合開始剤がより好ましい。その使用量は、通常、単量体合計100重量部に対して0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部であり、さらに好ましくは1重量部〜5重量部である。
【0064】
また、本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)の製造に際しては、連鎖移動剤は使用しないのが普通であるが、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、必要に応じて使用することは可能である。一方アクリル系共重合体オリゴマー(B)を製造する場合には、しばしば連鎖移動剤の存在下に重合が行われる。
【0065】
このような連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;シアノ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;ブロモ酢酸;ブロモ酢酸の炭素数1〜8のアルキルエステル類;α-メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;
【0066】
四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類:炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ビネン、ターピノレンなどのテルペン類;などを挙げることができる。
【0067】
本発明に用いられるアクリル系共重合体(A)を製造する場合には、連鎖移動剤を使用しない方が好ましく、また、アクリル系共重合体オリゴマー(B)を製造する場合には、上記連鎖移動剤のうち、好ましくはメルカプタン類、ハロゲン化炭化水素を、単量体の合計100重量部に対して0.005〜10.0重量部使用することができる。
【0068】
重合温度としては、一般に約30〜180℃、好ましくは50〜150℃の範囲がよいが、アクリル系共重合体(A)を製造する場合には、好ましくは50〜90℃、より好ましくは50〜80℃であり、アクリル系共重合体オリゴマー(B)を製造する場合には、好ましくは70〜110℃、より好ましくは80〜100℃である。
【0069】
なお、溶液重合法などで得られた重合物中に未反応の単量体が含まれる場合は、該単量体を除くために、メタノールなどによる再沈澱法で精製することも可能である。
【0070】
本発明の偏光フィルム用粘着剤組成物は、必須成分として、アクリル系共重合体(A)及びアクリル系共重合体オリゴマー(B)と共に、該アクリル系共重合体(A)と反応して架橋構造を形成しうる官能基を2つ以上、好ましくは2〜5個有する架橋剤(C)を含んでなるものである。
【0071】
上記の架橋剤(C)は、アクリル系共重合体(A)と反応して架橋構造を形成するものである限り、特に限定されるものではなく、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物、メラミンホルムアルデヒド縮合物、金属塩、金属キレート化合物などを挙げることができる。これら架橋剤のうち、偏光フィルムとの密着性、アクリル系共重合体(A)と配合した後の安定性等の観点から、ポリイソシアネート系化合物、ポリアジリジン化合物及び/又はポリエポキシ化合物の使用が好ましい。これら架橋剤(C)はそれぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0072】
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、該芳香族ポリイソシアネート化合物の水素添加物等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート;それらポリイソシアネートの2量体もしくは3量体、又はそれらポリイソシアネートとトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体などの各種ポリイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
【0073】
これらのポリイソシアネート化合物の中では、ヘキサメチレンジイソシアネートの2量体もしくは3量体、又は、ヘキサメチレンジイソシアネートもしくはキシリレンジイソシアネートと、トリメチロールプロパン等のポリオールとのアダクト体など、ヘキサメチレンジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートに由来するポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0074】
これらのポリイソシアネート化合物は、例えば「コロネートHX」、「コロネートHL−S」、「コロネート2234」〔以上日本ポリウレタン(株)製〕、「デスモジュールN3400」〔住友バイエルウレタン(株)製〕、「デュラネートE−405−80T」、「デュラネートTSE−100」〔旭化成工業(株)製〕、「タケネートD−110N」、「タケネートD−120N」、「タケネートM−631N」〔以上三井武田ケミカル(株)製〕などの商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0075】
ポリアジリジン化合物としては、ポリイソシアネート化合物とエチレンイミンとの反応生成物が使用でき、ポリイソシアネート化合物としては、上記で例示したものを用いることができる。またトリメチロールプロパンやペンタエリトリトールなどのポリオールと(メタ)アクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸との多価エステルにエチレンイミンを付加させた化合物も知られており、本発明の架橋剤(C)として使用することができる。
【0076】
このようなポリアジリジン化合物としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−アジリジンカルボアミド)、メチレンビス[N−(1−アジリジニルカルボニル)−4−アニリン]、テトラメチロールメタントリス(β−アジリジニルプロピオナト)、トリメチロールプロパントリス(β−アジリジニルプロピオナト)などを挙げることができ、これらのうち、例えば「TAZO」、「TAZM」〔以上相互薬工(株)製〕、「ケミタイトPZ−33」〔(株)日本触媒製〕などの商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0077】
前記のポリエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどを挙げることができる。
【0078】
これらのポリエポキシ化合物のうち、3つ以上のエポキシ基を含有するポリエポキシ化合物が好ましく、中でもトリス(グリシジル)イソシアヌラト、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌラト、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンなどのポリエポキシ化合物の使用がさらに好ましく、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンの使用が特に好ましい。
【0079】
これらのポリエポキシ化合物は、例えば「TETRAD−C」、「TETRAD−X」〔三菱瓦斯化学(株)製〕などの商品名により市販されているものを好適に使用することができる。
【0080】
これらの架橋剤(C)の使用量は、前記アクリル系共重合体(A)100重量部に基づいて、通常0.001〜10重量部、好ましくは0.005〜5重量部の範囲である。架橋剤(C)の使用量が該下限値未満と少なすぎては、凝集力不足などに伴う気泡が生じやすく、被着体表面の汚染性が低下するので好ましくなく、一方、該上限値を超えて多すぎては、凝集力過多などに伴う凹凸面・段差面への追従性及び被着体への濡れ性の低下が生じるので好ましくない。
【0081】
特に架橋剤(C)としてポリイソシアネート化合物を用いるときの使用量は、前記アクリル系共重合体(A)100重量部に基づいて、ポリイソシアネート化合物の有効成分として0.15〜3重量部、特には0.5〜2重量部の範囲であることが好ましい。またポリアジリジン化合物を用いるときの使用量は、前記アクリル系共重合体(A)100重量部に基づいて、ポリアジリジン化合物の有効成分として0.001〜0.1重量部、特には0.001〜0.05重量部の範囲であることが好ましい。さらにポリエポキシ化合物を用いるときの使用量は、アクリル系共重合体(A)100重量部に基づいて、ポリエポキシ化合物の有効成分として0.005〜0.3重量部、特には0.01〜0.2重量部の範囲であることが好ましい。架橋剤(C)の反応性官能基の種類により、アクリル共重合体の反応性官能基に対する好適使用量が定まる。
【0082】
また架橋剤(C)は、前記のとおり2種以上組み合わせて使用することができ、前記のポリイソシアネート化合物とポリアジリジン化合物、又はポリイソシアネート化合物とポリエポキシ化合物を組み合わせてもよい。その場合、ポリイソシアネート化合物、ポリアジリジン化合物及びポリエポキシ化合物は、それぞれ前記の使用量範囲において、適宜選択することができるが、好ましくは、何れも有効成分重量比で、ポリイソシアネート化合物:ポリアジリジン化合物=1〜500:1、特には10〜300:1又は、ポリイソシアネート化合物:ポリエポキシ化合物=1〜300:1、特には10〜100:1の範囲となるように使用するのがよい。
【0083】
本発明の粘着剤組成物には、以上述べたアクリル系共重合体(A)、アクリル系共重合体オリゴマー(B)、架橋剤(C)の他に、必要に応じて、粘着剤組成物に通常配合される配合物、例えば、耐候性安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機充填剤などを 配合割合はヘイズ値を上昇させない範囲であることが好ましく、必要特性を満足する範囲で適宜配合することができる。
【0084】
本発明の粘着剤組成物は、前記アクリル系共重合体(A)アクリル系共重合体オリゴマー(B)、架橋剤(C)との間で架橋構造が形成された後におけるゲル分が、30〜70重量%、であることが必要であり、特に40〜60重量%であることが好ましい。ゲル分が該下限値以上であれば、凝集力不足などに伴う気泡が生じにくく、リワーク性が高いので好ましく、また該上限値以下であれば、凹凸面・段差面への追従性が高いので好ましい。なお、上記ゲル分とは、下記方法により測定したものである。
【0085】
粘着剤組成物のゲル分の測定:
下記(1)〜(7)に従って測定する。
(1)粘着剤組成物の溶液を剥離紙上に塗布し、室温で風乾30分後、100℃で5分間本乾燥し、フィルム状の感圧接着剤層を形成する。
(2)上記感圧接着剤層を23℃,相対湿度65%で10日間養生する。
(3)精秤したガラス棒(直径5mm×30mm)に上記フィルム状感圧接着剤層を約1g貼付し、デシケーター内で1時間乾燥させる。その後、精密天秤にて重量を正確に測定して試料を作成する。
(4)円筒濾紙(No.84)の中に(3)で得られた試料を入れる。
(5)100ml程度の溶剤(酢酸エチル)をソックスレー抽出器の精秤した200ml丸底フラスコに入れ、ソックスレー抽出を4時間実施する。
(6)冷却後、ロータリーエバポレーターにて丸底フラスコ内の溶剤(酢酸エチル)を揮発させた後、上記抽出分を含む丸底フラスコを100℃で3時間及びデシケーター内で1時間乾燥させる。その後、精密天秤にて重量を正確に測定する。
(7)下式によりゲル分を計算する。
ゲル分(重量%)=100−[(A−B)/(C−D)]×100
但し、Aは抽出後の丸底フラスコの重量(g)、Bは丸底フラスコの重量(g)、Cは試料の重量(g)、Dはガラス棒の重量(g)である。
【0086】
本発明はまた、前記粘着剤組成物層の架橋体からなる粘着剤層を有する両面粘着テープを提供するものである。本発明の両面粘着テープは、前記粘着剤組成物の架橋体からなる粘着剤溶液を剥離紙上に塗工し、乾燥することにより製造することができる。
【0087】
本発明の粘着剤組成物層の架橋体からなる粘着剤層を有する両面粘着テープは、透明基材の両面に粘着剤層を有する基材ありタイプ、および基材のないタイプを含む。
該基材ありタイプの両面粘着テープは、透明基材の一方の面に、粘着剤層を形成するための粘着剤を塗布して乾燥し、他方の面に反対側の粘着剤層を形成するための粘着剤を塗布して乾燥する方法。 剥離ライナー上に形成されている透明粘着剤層を、透明基材に転写する方法などにより作製することができる。
【0088】
透明基材の厚さは、特に限定されないが耐久性の点から、例えば、5〜100μm程度の範囲であるのが良い。
【0089】
粘着剤層の厚さは、特に制限されないが凹凸面・段差面への追従性の点から、例えば、50〜175μm程度の範囲であるのが良い。
【0090】
両面粘着テープは、透明であることが必要であり、例えば、可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361)は85%以上、好ましくは90%以上であるのが良い。
【0091】
また、両面粘着テープのヘイズ(JIS K 7136)は、1.0%以下、好ましくは0.5%以下であるのが良い。
【0092】
基材や剥離シートへの粘着剤組成物の塗布は、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどの通常の方法で行うことができる。
【0093】
本発明の粘着剤組成物の架橋体は、その透明性、耐久性、段差追随性から、粘着剤層を有するシート状光学部材等の光学用積層シートに用いることもできる。
該積層シートは、基材シートの少なくとも片面に、前述の粘着剤組成物の架橋体からなる層(粘着剤層)を設けたものであり、基材シートとしては、例えばグラシン紙、コート紙、キャストコート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリメチルペンテンなどのポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、酢酸セルロース系フィルムなどのプラスチックフィルムや、これらを含む積層シートなどが挙げられる。
【0094】
基材シートの厚さとしては特に制限はないが、通常20〜150μm程度であり、その用途に応じて適当なものが選定される。また、この場合、粘着剤層の上に、必要に応じて、剥離シートが設けられる。
【0095】
本発明の光学用積層シートとしては、特に制限はないが、例えば偏光板を始め、位相差板、反射防止板、視野角拡大フィルム等があるが、これらの中で、特に段差のある構造面に積層する必要のあるシートに好適である。
【0096】
以下本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。なお各例における諸特性は以下に示す方法に従って評価した。
【0097】
(1)試験用フィルムの作成
片面に離型処理が施されているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが約50μmとなるように流延塗布し、100℃で2分間加熱乾燥し、もう一方の片面に離型処理(重剥離)が施されているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)を加圧ニップロ−ルを通して圧着して貼り合わせた後、23℃、50%相対湿度の条件下で7日間養生を行い、両面に粘着剤層を有する基材のない両面粘着フィルムを得た。
【0098】
(2)接着力測定
前(1)項により作成した試料フィルムの一方のフィルムを剥離し、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm)〔商品名;A4100;東洋紡績(株)製〕を加圧ニップロ−ルを通して圧着して貼り合わせた後、25mm×150mmにカットし、このフィルム片を、卓上ラミネート機を用いて厚さ2mmのガラス板に圧着して試験サンプルとする。該サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、180゜剥離における接着力(剥離速度:300mm/min)を測定する。評価基準は次の通りである。
○:接着力 30N/25mm以上
△:接着力 25N/25mm以上30N/25mm未満
×:接着力 25N/25mm未満
【0099】
(3)HAZE
カットした80mm×150mm(長辺)のフィルム片を用いる以外は前(2)項と同様にして、試験サンプルを作成し、このフィルム片を、卓上ラミネート機を用いて厚さ2mmのガラス板に圧着して試験サンプルとする。該サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、このサンプルを100℃及び60℃、95%RHの条件下に1ヶ月放置し、東京電色工業(株)製:ヘイズメーターを用いて試料のHAZEを測定した。(HAZEはガラス板単独の値を引いた値。)評価基準は次の通りである。
○:HAZE 0.5未満
△:HAZE 0.5以上1.0未満
×:HAZE 1.0以上
【0100】
(4)保持力
前(2)項と同様にして、試験サンプルを作成し、このフィルム片を、卓上ラミネ−ト機を用いて、ステンレス板(#360研磨)に25mm×25mmの粘着面積で粘着シートを圧着して試験サンプルとした。該サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、80℃雰囲気下で1kgの静荷重をかけ、24時間後の試験サンプルのステンレス板からのズレの距離を測定した。評価基準は次の通りである。
○:0.5mm未満のズレ
△:0.5mm以上1.5mm未満のズレ
×:1.5mm以上のズレ
【0101】
(5)耐久性
カットした80mm×150mm(長辺)のフィルム片を用いる以外は前(2)項と同様にして、試験サンプルを作成し、このフィルム片を、卓上ラミネート機を用いて厚さ2mmのガラス板に圧着して試験サンプルとする。該サンプルを23℃、50%RHの条件下で24時間放置した後、100℃の条件下に1ヶ月放置し、気泡の発生を目視観察にて評価する。評価基準は次の通りである。
○:気泡の発生が認められない。
△:気泡の発生が僅かに認められる。
×:気泡の発生が多数認められる。
【0102】
(6)段差追随性
前(1)項により作成した試料フィルム20mm×150mmにカットし、カットした部分の粘着層を棒状に丸め、40℃の雰囲気下で速度0.1m/minで引っ張り、応力-歪曲線を測定した。また、測定した応力-歪曲線よりヤング率を算出し、段差追従性の代替特性とした。評価基準は次の通りである。
○:ヤング率 4.0N/cm未満
△:ヤング率 4.0N/cm以上6.0N/cm未満
×:ヤング率 6.0N/cm以上
【0103】
アクリル系共重合体(A)の製造1
アクリル系共重合体製造例1
製造例1
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置にn−ブチルアクリレート(BA)98重量部、アクリル酸(AA)2重量部からなる単量体混合物のうち25重量%、酢酸エチル42重量部及び重合開始剤アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.0125重量部を加えて加熱し、還流温度で約20分間重合を行った。次いで還流温度条件下で単量体混合物の残量75重量%と、酢酸エチル12.0重量部及びAIBN0.0625重量部からなる重合開始剤溶液とを約130分にわたって逐次滴下し、更に90分後酢酸エチル12.0重量部及びAIBN 0.24重量部を約40分にわたって逐次滴下し、更に120分間重合反応を行った。反応終了後、メチルエチルケトン、t−ブチルアルコールにて希釈し、固形分約40%、粘度約11000mPa・sのアクリル系共重合体溶液(A−1)を得た。
【0104】
得られたアクリル系共重合体は、ガラス転移点(TgA)−53.1℃、溶解性パラメータ(SPA)20.3、重量平均分子量(Mw)約78万、重量平均分子量(Mn)と数平均分子量の比(Mw/Mn)9.93を有していた。
【0105】
アクリル系共重合体 製造例2
製造例1において、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部をn−ブチルアクリレート(BA)68重量部、t−ブチルアクリレート(tBA)30重量部を変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(A−2)の溶液を得た。
【0106】
アクリル系共重合体 製造例3
製造例1において、n−ブチルアクリレート(BA)を2−エチルヘキシルアクリレートに変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(A−3)の溶液をそれぞれ得た。
【0107】
アクリル系共重合体 製造例4
製造例1において、n−ブチルアクリレート(BA)98重量部をn−ブチルアクリレート(BA)80重量部、メチルアクリレート(MA)18重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(A−4)の溶液をそれぞれ得た。
【0108】
アクリル系共重合体 製造例5
製造例1において、酢酸エチル12.0重量部及びAIBN0.0625重量部からなる重合開始剤溶液を酢酸エチル36.0重量部及びAIBN0.125重量部からなる重合開始剤溶液に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(A−5)の溶液をそれぞれ得た。得られたアクリル系共重合体溶液(A−1)〜(A−5)の粘度並びに、該共重合体のTgA、SPA、Mw、Mw/Mnの値を表1に示す。
【0109】
アクリル系オリゴマー(B)の製造
アクリル系オリゴマーの製造例 6
攪拌機、還流冷却器、逐次滴下装置、温度計を備えた反応装置にトルエン26.1重量部、メチルエチルケトン26.1重量部、連鎖移動剤としてα-メチレンスチレンダイマー8.7重量部を加えて加熱し、還流温度で約20分間重合を行った。次いで還流温度条件下でモノマー成分としてt-ブチルメタアクリレート(tBMA):63重量部、アクリル酸(AA):3.5重量部、アクリル酸エチル(EA):9.1重量部、n−ブチルアクリレート(BA):11.3重量部と、トルエン29.0重量部、メチルエチルケトン29.0重量部及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)2.9重量部からなる重合開始剤溶液とを約180分にわたって逐次滴下し、更に120分間重合反応させて、固形分濃度40重量%のオリゴマー溶液(B−1)を得た。該オリゴマー溶液(B−1)中のオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は4587、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)は2.01、ガラス転移温度(TgB)は53.3℃ 溶解性パラメータ(SPB)19.8であった。
【0110】
アクリル系オリゴマー(B) 製造例7
製造例1において、モノマー成分をt-ブチルメタアクリレート(tBMA):75.2重量部、アクリル酸(AA):3.5重量部、アクリル酸エチル(EA):8.7重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(B−2)の溶液を得た。
【0111】
アクリル系オリゴマー(B) 製造例8
製造例1において、モノマー成分をn―ブチルメタアクリレート(nBMA):52.5重量部、アクリル酸(AA):3.5重量部、アクリル酸エチル(EA):31.5重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(B−3)の溶液を得た。
【0112】
アクリル系オリゴマー(B) 製造例9
製造例1において、モノマー成分をt-ブチルメタアクリレート(tBMA):78.8重量部、アクリル酸(AA):8.8重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(B−4)の溶液を得た。
【0113】
アクリル系オリゴマー(B) 製造例10
製造例1において、モノマー成分をメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA):75.2重量部、アクリル酸(AA):3.5重量部、アクリル酸エチル(EA):8.7重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(B−5)の溶液を得た。
【0114】
アクリル系オリゴマー(B) 製造例11
製造例1において、連鎖移動剤をn−ドデシルメルカプタン8.7重量部及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の量を0.29重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(B−6)の溶液を得た。
【0115】
アクリル系オリゴマー(B) 製造例12
製造例1において、連鎖移動剤をα-メチレンスチレンダイマー17.4重量部に変更した以外は製造例1と同様にして、アクリル系共重合体(B−7)の溶液を得た。得られたアクリル系オリゴマー(B−1)〜(B−7)の粘度並びに、該共重合体のTgB、SPB、Mw、Mw/Mnの値を表1に示す。
【0116】
実施例1
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は47.2%であった。
この粘着剤溶液を、片面に離型処理が施されているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:100μm)の離型処理面上に、乾燥後の厚さが約50μmとなるように流延塗布し、100℃で2分間加熱乾燥し、もう一方の片面に離型処理(重剥離)が施されているポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:38μm)を加圧ニップロ−ルを通して圧着して貼り合わせた後、23℃、50%相対湿度の条件下で7日間養生を行い、両面に粘着剤層を有する基材のない両面粘着フィルムを得た。
【0117】
実施例2
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−2):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は49.5%であった。
【0118】
実施例3
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):60重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は33.2%であった。
【0119】
実施例4
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):20重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は55.4%であった。

【0120】
実施例5
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):20重量部(固形分)、架橋剤として商品名「スミジュールN75」(住友バイエルウレタン社製;HMDI系架橋剤):0.375重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は52.0%であった。

【0121】
比較例1
アクリル系ポリマー溶液(A−2):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は45.2%であった。
【0122】
比較例2
アクリル系ポリマー溶液(A−3):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は41.9%であった。
【0123】
比較例3
アクリル系ポリマー溶液(A−4):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は65.3%であった。
【0124】
比較例4
アクリル系ポリマー溶液(A−5):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は19.9%であった。
【0125】
比較例5
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):10重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は58.5%であった。
【0126】
比較例6
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−1):70重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は28.8%であった。
【0127】
比較例7
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−3):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は44.4%であった。
【0128】
比較例8
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−4):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は22.3%であった。
【0129】
比較例9
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−5):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は47.6%であった。
【0130】
比較例10
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−6):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は48.3%であった。
【0131】
比較例11
アクリル系ポリマー溶液(A−1):100重量部(固形分)に対して、オリゴマー溶液(B−7):40重量部(固形分)、架橋剤として商品名「TETRAD−C」(三菱ガス化学社製;4官能エポキシ系架橋剤):0.05重量部(固形分)の割合で混合して、粘着剤組成物溶液を調製した。該粘着剤組成物溶液のゲル分は41.8%であった。
【0132】
【表1】

【0133】
【表2】

【0134】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)及び(C)を含む粘着剤組成物であって、
(A) アルキル基の炭素数2〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含み、重量平均分子量(Mw)50万以上90万未満、ガラス転移温度(Tg)−60℃〜−40℃のアクリル系共重合体(A)。
(B) カルボキシル基含有単量体を共重合成分として含み、重量平均分子量(Mw)3000以上10000未満かつガラス転移温度(Tg)10℃〜110℃のアクリル系共重合体オリゴマー(B)。
(C)粘着剤組成物と反応可能な官能基を分子中に有する架橋剤(C)。
アクリル系共重合体(A)とアクリル系共重合体オリゴマー(B)との混合比が100/20〜100/60(重量比)であるの粘着剤組成物。
【請求項2】
アクリル系共重合体(A)が、アルキル基の炭素数2〜6の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体100重量部に対してカルボキシル基を含有する単量体1〜10重量部を共重合成分として含むアクリル系共重合体である請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
オリゴマー(B)が t-ブチルメタクリレートを50重量%以上含むアクリル系単量体100重量部に対してカルボキシル基を含有する単量体1〜10重量部を共重合成分として含むアクリル系共重合体オリゴマーである、請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
架橋剤(C)が粘着剤組成物と反応可能な官能基を分子中に2〜5個有する架橋剤である請求項1記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
カルボキシル基を含有する単量体がいずれもアクリル酸である請求項1〜請求項4 いずれかに記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5いずれかに記載の粘着剤組成物の架橋体からなる粘着剤層を有する両面粘着テープ。
【請求項7】
請求項1〜請求項6いずれかに記載の粘着剤組成物の架橋体からなる粘着剤層を有する光学用積層シート。

【公開番号】特開2011−157458(P2011−157458A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19561(P2010−19561)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【Fターム(参考)】