説明

粘着型光学フィルム及び画像表示装置

【課題】 外観が良好であり、かつ、高熱、高湿度環境下においても光学特性の変化を小さく抑えることができる高耐久性を有する粘着型光学フィルムを提供すること。
【解決手段】 光学フィルムの少なくとも片面に、アンカー層を介して粘着剤層が積層されている粘着型光学フィルムにおいて、アンカー層は5〜300nm、粘着剤層は5〜50μmであり、アンカー層および粘着剤層のいずれか少なくとも一つの層は、アンモニアを含有する水分散型材料により形成されており、かつ、アンモニアを含有する水分散型材料により形成されている前記層は、当該層に起因して測定される、粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれるアンモニア量が10ng以上であり、粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれる全アンモニア量が2000ng以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの少なくとも片面にアンカー層を介して粘着剤層が積層されている粘着型光学フィルムに関する。また本発明は、前記粘着型光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。前記光学フィルムとしては、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、さらにはこれらが積層されているものなどがあげられる。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等は、その画像形成方式から液晶セルの両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有する偏光板が貼着されている。また液晶パネルには偏光板の他に、ディスプレイの表示品位を向上させるために様々な光学素子が用いられるようになってきている。例えば、着色防止としての位相差板、液晶ディスプレイの視野角を改善するための視野角拡大フィルム、さらにはディスプレイのコントラストを高めるための輝度向上フィルム等が用いられる。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼ばれる。
【0003】
前記光学フィルムを液晶セルに貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィルムと液晶セル、または光学フィルム間の接着は、通常、光の損失を低減するため、それぞれの材料は粘着剤を用いて密着されている。このような場合に、光学フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、光学フィルムの片側に予め粘着剤層として設けられた粘着型光学フィルムが一般的に用いられる。また、粘着型光学フィルムとしては、粘着剤層の光学フィルムへの投錨性を向上させるために、アンカー層を介して粘着剤層を設けた粘着型光学フィルムが用いられている(特許文献1)。
【0004】
前記粘着型光学フィルムは、テレビ、モニター、カーナビゲーション、携帯電話等の画像表示装置の用途が拡大するにつれて、種々の環境条件での高耐久性、例えば、高熱、高湿度環境下に長時間放置されて使用されて場合であっても、光学特性が変化しないこと(偏光板では透明保護フィルムが分解劣化しないこと、偏光特性が変化しないこと)や、粘着剤層の発泡や剥離等の外観欠点が発生しないことが求められている。特に、液晶ディスプレイの大型化、高輝度化、高精細化により、従来の粘着型光学フィルムよりも、外観向上への要求はますます大きくなっている。
【0005】
前記保護フィルムの分解劣化を防ぐために、粘着剤のアクリル酸量を少なくする方法(特許文献2)や、粘着剤に3級アミンを添加する方法(特許文献3)が知られている。しかし、これらの方法では、偏光板の偏光特性の変化や粘着剤層の発泡、剥離を抑制できていなかった。
【0006】
また、前記粘着剤層、アンカー層は、従来、溶剤型の材料を用いて形成されていたが、環境面の問題から、最近では、水分散型の材料を用いて形成されることが多くなってきている。
【特許文献1】特開平10−20118号公報
【特許文献2】特開昭59−111114号公報
【特許文献3】特開平4−254803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、光学フィルムの少なくとも片面に、アンカー層を介して粘着剤層が積層されており、かつアンカー層および粘着剤層のいずれか少なくとも一つの層が水分散型材料により形成されている粘着型光学フィルムであって、外観が良好であり、かつ、高熱、高湿度環境下においても光学特性の変化を小さく抑えることができる高耐久性を有する粘着型光学フィルムを提供することを目的とする。さらに、前記粘着型光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の粘着型光学フィルムにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、光学フィルムの少なくとも片面に、アンカー層を介して粘着剤層が積層されている粘着型光学フィルムにおいて、
アンカー層は5〜300nm、粘着剤層は5〜50μmであり、
アンカー層および粘着剤層のいずれか少なくとも一つの層は、アンモニアを含有する水分散型材料により形成されており、かつ、
アンモニアを含有する水分散型材料により形成されている前記層は、当該層に起因して測定される、粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれるアンモニア量が10ng以上であり、
粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれる全アンモニア量が2000ng以下であることを特徴とする粘着型光学フィルム、に関する。
【0010】
前記粘着型光学フィルムは、粘着剤層が、アンモニアを含有する水分散型アクリル系粘着剤により形成されたものである場合に好適である。
【0011】
前記粘着型光学フィルムは、アンカー層が、アンモニアを含有し、かつ水分散型ポリマーを含有するアンカー剤により形成されたものである場合に好適である。
【0012】
前記粘着型光学フィルムにおいて、アンカー剤は、さらに帯電防止剤を含有することができる。アンカー剤に、帯電防止剤を含有させることで、アンカー層に帯電防止機能を付与することができる。
【0013】
さらに本発明は、前記粘着型光学フィルムを少なくとも1枚用いた画像表示装置、に関する。本発明の粘着型光学フィルムは、液晶表示装置等の画像表示装置の各種の使用態様に応じて、1枚または複数のものを組み合わせて用いられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粘着型光学フィルムは、環境面の点から、アンカー層および/または粘着剤層が水分散型材料により形成されている場合に係わる。前記水分散型材料は、水分散液の分散安定性を保つために、アンモニア中和されている場合が多い。アンモニア中和された分散液からなる水分散型材料は、分散安定性が良好なことから、当該水分散型材料によれば、スジ、ムラ等の外観欠点を生じることなくアンカー層や粘着剤層を形成することができる。かかる観点から、アンカー層および/または粘着剤層に含まれるアンモニアに起因して測定される、粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれるアンモニア量は10ng以上になるように制御される。前記アンモニア量が10ng未満では、得られる粘着型光学フィルムにスジ、ムラ等の外観欠点が生じるため好ましくない。前記アンモニア量は15ng以上、さらには20ng以上であるのが好ましい。なお、アンカー層および粘着剤層が、いずれの層についても、水分散型材料により形成されている場合には、いずれの層についても、その層に起因して測定される、前記アンモニア量について、10ng以上になるように制御されるのが好ましい。
【0015】
一方、前記水分散型材料の分散安定性の点から、アンモニアの割合を多くすると、アンカー層および/または粘着剤層に存在するアンモニアの割合も多くなる。アンカー層および/または粘着剤層に存在するアンモニアの割合が多くなると、高熱、高湿度環境下において、例えば、光学フィルムとして偏光板を用いる場合には、偏光板の偏光特定が変化する。これにより、光学特性に影響を及ぼし、高熱、高湿度環境下における高耐久性を満足できなくなる。また、アンカー層や粘着剤層の発泡や剥離等により、外観欠点が生じる点でも好ましくない。かかる観点から、アンカー層および/または粘着剤層に含まれるアンモニアに起因して測定される、粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれる全アンモニア量は2000ng以下になるように制御される。前記アンモニア量が2000ngを超えると、得られる粘着型光学フィルムの高耐久性等の点で好ましくない。前記アンモニア量は1800ng以下、さらには1500ng以下であるのが好ましい。なお、前記アンモニア量は、アンカー層および粘着剤層に含まれる合計量として測定されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の粘着型光学フィルムは、図1に示すように、光学フィルム1の片面に、アンカー層2を介して、粘着剤層3が積層されている。また図2に示すように、帯電防止層4を設けることができる。図2では、帯電防止層4は、アンカー層2と、粘着剤層3の間に設けられているが、帯電防止層は、光学フィルム1とアンカー層2の間、その他、各層の間に設けることができる。前記アンカー層2、粘着剤層3はいずれか少なくとも一方が、水分散性材料により形成される。なお、アンカー層2には、アンカー層の形成材料に水分散型導電性ポリマー等の帯電防止剤を含有させることで、帯電防止機能を付与することができる。
【0017】
前記粘着剤層は、粘着剤により形成される。粘着剤としては、特に制限されず、例えばアクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとしてアクリル系粘着剤が好ましく使用される。
【0018】
アクリル系粘着剤は、アルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとする。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。アクリル系ポリマーの主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数は1〜12程度のものであり、アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらは単独または組み合わせて使用できる。これらの中でもアルキル基の炭素数1〜9のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】
前記アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、1種類以上の各種モノマーが共重合により導入される。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
【0020】
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマーなども改質目的のモノマー例としてあげられる。
【0021】
さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。
【0022】
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどがあげられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどがあげられる。
【0023】
これらの中でも、光学フィルム用途として液晶セルへの接着性、接着耐久性の点から、アクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。
【0024】
アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、重量比率において、0.1〜10%程度であるのが好ましい。
【0025】
アクリル系ポリマーの平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量は、30万〜250万程度であるのが好ましい。
【0026】
前記アクリル系ポリマーの製造は、粘着剤の種類(溶剤型、水分散型)に応じて、各種公知の手法により行われる。例えば、溶剤型粘着剤に用いるアクリル系ポリマーを調製するには、溶液重合法を採用できる。溶液重合法では、ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用できる。反応温度は通常50〜80℃程度、反応時間は1〜8時間とされる。アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等が用いられる。溶液濃度は通常20〜80重量%程度とされる。
【0027】
一方、水分散型粘着剤に用いるアクリル系ポリマーを調製するには、エマルション重合法を採用できる。その他、懸濁重合法を採用することもできる。
【0028】
エマルション重合法に用いる、重合開始剤、乳化剤等は特に限定されず適宜選択して使用することができる。
【0029】
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
前記重合開始剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
【0031】
また、前記エマルション重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、アクリル系ポリマーの分子量を適宜調整することができる。
【0032】
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。
【0033】
これらの連鎖移動剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.01〜0.5重量部程度である。
【0034】
また、乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0035】
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー100重量部に対して、0.3〜10重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜5重量部がより好ましい。
【0036】
重合操作例としては、例えば、まず上記したモノマーや共重合モノマーを混合し、これに乳化剤及び水を配合した後、乳化してエマルションを調製する。このときのモノマーは使用する全体量の全部あるいは一部配合し、残りは重合途中に滴下することも可能である。次いで、このエマルションに重合開始剤及び必要により水を加えて、エマルション重合する。
【0037】
なお、水は、エマルションの調製時にのみ配合してもよく、あるいは、その後に、さらに配合してもよく、後述する重合方法に応じて適宜選択することができる。また、水の配合量は、特に限定されるものではないが、エマルション重合後のアクリル系ポリマーの固形分濃度が、30〜75重量%、好ましくは35〜70重量%になるように調製するのが好ましい。
【0038】
エマルション重合の方法は、特に限定されず、一括重合法、全量滴下法、これらを組み合わせた二段重合法などから適宜選択することができる。
【0039】
一括重合法では、例えば、反応容器にモノマー混合物、乳化剤、及び水を仕込み、撹拌混合により乳化させてエマルションを調製した後、さらにこの反応容器に重合開始剤及び必要により水を加えてエマルション重合する。
【0040】
また、全量滴下法では、まずモノマー混合物、乳化剤及び水を加えて、撹拌混合により乳化させて滴下液を調製するとともに、反応容器に重合開始剤及び水を仕込んでおき、次いで滴下液を反応容器内に滴下して、エマルション重合する。
【0041】
また前記粘着剤(溶剤型、水分散型のいずれの場合にも)は、前記ベースポリマーに、架橋剤を配合した粘着剤組成物とするのができる。粘着剤に配合できる架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートがあげられる。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤などがあげられる。有機系架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤が好ましい。なお、水分散型の粘着剤の場合には、イソシアネート系架橋剤は、保護基をつけたブロックイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
【0042】
アクリル系ポリマー等のベースポリマーと架橋剤の配合割合は特に限定されないが、通常、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、架橋剤(固形分)0.01〜10重量部程度が好ましく、さらには0.1〜5重量部程度が好ましい。
【0043】
さらには、前記粘着剤には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などとしても良い。
【0044】
前記粘着剤として、水分散型粘着剤(特に水分散型アクリル系粘着剤)を用いる場合には、当該水分散型粘着剤は、アンモニア水により中和して用いる。アンモニア水は、通常、濃度1〜20%の水溶液として用いられる。アンモニア水の配合は、光学フィルム上に形成される粘着剤層中に含まれる前記アンモニア量が10ng以上であり、かつ、粘着型光学フィルムに含まれる前記前記アンモニア量が2000ng以下になるように制御される。粘着剤層に含まれるアンモニア量の制御は、アンカー層に含まれるアンモニア量、粘着剤層の厚さ等により適宜に調製される。
【0045】
前記アンモニア水の配合量は、通常は、前記水分散型粘着剤に含まれる固形分100重量部に対して、アンモニア水に含まれるアンモニアが0.05〜5重量部程度になるように、さらには0.1〜1重量部になるように配合するのが好ましい。
【0046】
なお、アンモニア水で中和された水分散型粘着剤には、上記添加剤の他に、例えば、pH緩衝剤、発泡防止剤、安定剤など公知のものを適宜用いることができる。
【0047】
アンカー層を形成する材料は特に限定されないが、例えば、各種ポリマー類、金属酸化物のゾル、シリカゾル等が挙げられる。これらのなかでも特にポリマー類が好ましく用いられる。前記ポリマー類の使用形態は溶剤可溶型、水分散型、水溶解型のいずれでもよい。
【0048】
前記ポリマー類としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン系樹脂などがあげられる。これらのなかもでも、特にポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。これら樹脂には適宜に架橋剤を配合することができる。これら他のバインダー成分は1種または2種以上を適宜その用途に合わせて用いることができる。
【0049】
上記の他、ポリマー類としては、分子中にアミノ基を含むポリマー類があげられる。分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、前述のアクリル系粘着剤の共重合モノマーで示したジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有モノマーの重合体などが挙げられる。これらのなかでもポリエチレンイミンが好ましい。
【0050】
アンカー層を、水分散型材料により形成する場合には、水分散型ポリマーを用いる。水分散型ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリエステル等の各種の樹脂を、乳化剤を用いてエマルジョン化したものや、前記樹脂中に、水分散性のアニオン基、カチオン基またはノニオン基を導入して自己乳化したもの等が挙げられる。
【0051】
またアンカー層を形成する材料としては、上記の他、架橋反応型水溶性化合物を用いることができる。架橋反応型水溶性化合物は、架橋反応前は水に可溶であるモノマー、オリゴマー、又はポリマーであって、かつ架橋反応後は3次元網目構造を形成して水に不溶になる化合物であり、例えば、2液反応型の水溶性エポキシ樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、及び尿素−ホルマリン樹脂などが挙げられる。
【0052】
2液反応型の水溶性エポキシ樹脂は、主剤として水溶性の多官能エポキシ樹脂と水溶性の硬化剤とからなり、両者を混合することにより付加型の架橋反応が生じ、3次元のポリマー網目構造を形成するものである。水溶性の多官能エポキシ樹脂としては、トリグリシジルイソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、及び(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテルなどの脂肪族グリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテルなどの脂環族グリシジルエーテルなどが挙げられる。一方、水溶性の硬化剤としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びポリアミドアミンなどの脂肪族多価アミン類、2−メチルイミダゾール、及び2−エチル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、ベンジルジメチルアミンなどの3級アミン類、メチルハイミック酸無水物、及びフタル酸無水物などの酸無水物類、3フッ化ホウ素などのルイス酸類などが挙げられる。
【0053】
尿素−ホルマリン樹脂又はメラミン−ホルマリン樹脂は、尿素とホルムアルデヒド又はメラミンとホルムアルデヒドを付加反応させた初期プレポリマーを脱水縮合反応させることにより得られる。前記初期プレポリマーは、フェノール類やベンゾグアナミンなどで変性されていてもよい。前記初期プレポリマーの市販品の例としては、ユーラミンシリーズ(三井化学株式会社製)、ニカラックシリーズ(三和ケミカル株式会社)などが挙げられる。
【0054】
前記アンカー剤として、水分散型ポリマーを用いる場合には、当該アンカー剤は、アンモニア水により中和して用いる。アンモニア水は、通常、濃度1〜20%の水溶液として用いられる。アンモニア水の配合は、光学フィルム上に形成されるアンカー層中に含まれる前記アンモニア量が10ng以上であり、かつ、粘着型光学フィルムに含まれる前記前記アンモニア量が2000ng以下になるように制御される。アンカー層に含まれるアンモニア量の制御は、粘着剤層に含まれるアンモニア量、アンカー層の厚さ等により適宜に調製される。
【0055】
前記アンモニア水の配合量は、通常は、前記水分散型ポリマー中に含まれる固形分100重量部に対して、アンモニア水に含まれるアンモニアが0.05〜5重量部程度になるように、さらには0.1〜1重量部になるように配合するのが好ましい。
【0056】
前記アンカー剤には、帯電防止剤を含有させることができる。帯電防止剤は、導電性を付与できる材料であれば特に制限されず、例えば、イオン性界面活性剤、導電性ポリマー、金属酸化物、カーボンブラック、及びカーボンナノ材料などが挙げられる。
【0057】
イオン性界面活性剤としては、例えば、カチオン系(4級アンモニウム塩型、ホスホニウム塩型、スルホニウム塩型など)、アニオン系(カルボン酸型、スルホネート型、サルフェート型、ホスフェート型、ホスファイト型など)、両性イオン系(スルホベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリウムベタイン型など)、ノニオン系(多価アルコール誘導体、β−シクロデキストリン包接化合物、ソルビタン脂肪酸モノエステル、ソルビタン脂肪酸ジエステル、ポリアルキレンオキシド誘導体、アミンオキシドなど)のものが挙げられる。
【0058】
導電性ポリマーとしては、光学特性、外観、帯電防止効果および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性が良好なものを使用する。そのような導電性ポリマーとしては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリキノキサリン等のポリマーがあげられる。これらのなかでも、紫外線硬化型導電性ポリマー、水溶性導電性ポリマー又は水分散性導電性ポリマーになりやすい、ポリアニリン、ポリチオフェンなどが好ましく使用される。
【0059】
水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーを用いることにより、帯電防止層を形成する際の塗布液を水溶液または水分散液として調製でき、塗布液に有機溶剤を用いる必要がない。そのため、有機溶剤による光学フィルム基材の変質や劣化を抑制することができる。水溶液または水分散液は、溶媒を水のみとするのが密着性の点から好ましいが、親水性溶媒を含有していてもよい。親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、及びシクロヘキサノール等のアルコール類があげられる。
【0060】
前記水溶性または水分散性のポリアニリンのポリスチレン換算による重量平均分子量は500000以下であることが好ましく、さらに好ましくは300000以下である。水溶性または水分散性のポリチオフェンのポリスチレン換算による重量平均分子量は400000以下であることが好ましく、さらに好ましくは300000以下である。重量平均分子量が前記値を超える場合には前記水溶性または水分散性を満たさなくなる傾向にあり、そのようなポリマーを用いて塗布液(水溶液または水分散液)を調製した場合には、当該塗布液中にポリマーの固形分が残存し、あるいは高粘度化して膜厚の均一な帯電防止層を形成することが困難になる傾向にある。
【0061】
水溶性導電ポリマーの水溶性とは、水100gに対する溶解度が5g以上の場合をいう。前記水溶性導電ポリマーの水100gに対する溶解度は20〜30gであることが好ましい。水分散性導電性ポリマーとは、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーが微粒子状で水中に分散しているものであり、水分散液は液粘度が小さく薄膜塗工が容易であるばかりか、塗布層の均一性に優れている。ここで微粒子のサイズとしては1μm以下のものが帯電防止層の均一性という点から好ましい。
【0062】
また、前記ポリアニリン、ポリチオフェン等の水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーは、分子中に親水性官能基を有することが好ましい。親水性官能基としては、例えばスルホン基、アミノ基、アミド基、イミノ基、四級アンモニウム塩基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、またはそれらの塩などがあげられる。分子内に親水性官能基を有することにより水に溶けやすくなったり、水に微粒子状で分散しやすくなり、前記水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーを容易に調製することができる。
【0063】
水溶性導電性ポリマーの市販品の例としては、ポリアニリンスルホン酸(三菱レーヨン社製,ポリスチレン換算による重量平均分子量150000)などがあげられる。水分散性導電ポリマーの市販品の例としては、ポリチオフェン系導電性ポリマー(ナガセケムテック社製、デナトロンシリーズ)などがあげられる。
【0064】
金属酸化物としては、酸化スズ系、酸化アンチモン系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系などがあげられる。これらのなかでも酸化スズ系が好ましい。酸化スズ系のものとしては、例えば、酸化スズの他、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体等があげられる。金属酸化物は、通常、微粒子でその形状は、粒子状または針状のものが好ましく用いられる。微粒子の平均粒径は1〜100nm程度、好ましくは2〜50nmである。
【0065】
前記以外の材料としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、チタンブラック、カーボンナノ材料、カチオン型(4級アンモニウム塩等)、両性イオン型(ベタイン化合物等)、アニオン型(スルホン酸塩等)またはノニオン型(グリセリン等)のイオン導電性基を有する単量体の単独重合体又は共重合体、4級アンモニウム塩基を有するアクリレート又はメタクリレート由来の構造単位を有する重合体などのイオン導電性重合体、ポリエチレンメタクリレート共重合体などの親水性ポリマーをアクリル系樹脂などにアロイ化させた材料が挙げられる。カーボンナノ材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノウォール及びフラーレンなどが挙げられ、このなかでもカーボンナノチューブを用いることが好ましい。
【0066】
前記帯電防止剤の配合量は、例えば、アンカー剤に用いる前記ポリマー類100重量部に対して、70重量部以下、好ましくは50重量部以下である。帯電防止効果の点からは、10重量部以上、さらには20重量部以上とするのが好ましい。
【0067】
なお、前記帯電防止剤を用いて、図2に示すように、帯電防止層を形成することもできる。帯電防止層の形成にあたっては適宜に、バインダー成分を併用してもよい。バインダー成分は特に制限されず、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂など各種の樹脂を用いることができる。バインダー成分としては、前記アンカー層の形成に用いたポリマー類を用いることができる。
【0068】
本発明の粘着型光学フィルムに使用される光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。例えば、光学フィルムとしては偏光板があげられる。偏光板は偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0069】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
【0070】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0071】
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0072】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0073】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄膜性などの点より1〜500μm程度である。特に、5〜200μmが好ましい。
【0074】
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。従って、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)はほぼ解消することができる。厚み方向位相差(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0075】
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いても良く、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いても良い。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系接着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
【0076】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであっても良い。
【0077】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は他の部材の隣接層との密着防止を目的に施される。
【0078】
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性の場合もある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子(ビーズを含む)などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであっても良い。
【0079】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0080】
また光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0081】
特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0082】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0083】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また、前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0084】
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0085】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵電源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵電源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0086】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0087】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0088】
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
【0089】
高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これらの高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0090】
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどをあげられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これらの液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0091】
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
【0092】
また、上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0093】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差板、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0094】
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコチック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0095】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合せた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性よっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一反反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0096】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0097】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0098】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0099】
可視光域等の広い波長で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差板と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0100】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0101】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていても良い。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであっても良い。
【0102】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などにおうじて適宜な配置角度とすることができる。
【0103】
次に、本発明の粘着型光学フィルムの製造方法について説明する。
【0104】
例えば、前述した光学フィルム上に、前記アンカー剤を塗布し、乾燥してアンカー層を形成する。アンカー剤の塗布液の固形分濃度は、0.1〜5重量%程度に調整するのが好ましい。塗工法としては、リバースコーティング、グラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法、スクリーンコーティング法、ファウンテンコーティング法、ディッピング法、スプレー法などが挙げられる。アンカー層の形成にあたり、アンカー剤として、水分散型材料を用いる場合には、乾燥温度、乾燥時間を調整することにより、アンカー層中に含まれる前記アンモニア量を制御することができる。乾燥温度は、好ましくは30〜150℃、さらには40〜120℃、乾燥時間は0.5〜10分間、さらには、1〜5分間である。
【0105】
アンカー層の厚みは、5〜300nmである。アンカー層の厚みは、10〜200nmであるのが好ましい。5nm未満では、光学フィルムと粘着剤層の投錨性の確保の点で十分でない。一方、300nmを超えると、例えば、アンカーが帯電防止剤を含有している場合に、アンカー層の強度不足からアンカー層内で破壊が起こりやすく、十分な投錨性が得られない場合がある。
【0106】
なお、アンカー層の形成にあたり、光学フィルムには活性化処理を施すことができる。活性化処理は各種方法を採用でき、例えばコロナ処理、低圧UV処理、プラズマ処理等を採用できる。活性化処理は、アンカー層として、水分散型材料(さらには帯電防止剤として水分散性導電ポリマーを含有する場合)を用いる場合に有効である。活性化処理は、光学フィルムが、特にポリオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂の場合に有効である。
【0107】
粘着剤層の形成は、前記アンカー層上に積層することにより行う。粘着剤層の形成方法は、特に制限されず、アンカー層に粘着剤溶液または水分散液を塗布し乾燥する方法、粘着剤層を設けた離型シートを転写する方法等があげられる。塗工方法は、アンカー剤の場合と同様である。粘着剤層の厚さは、5〜50μmである。さらには、10〜40μmである。粘着剤層の形成にあたり、粘着剤として、水分散型材料を用いる場合には、乾燥温度、乾燥時間を調整することにより、粘着剤層中に含まれる前記アンモニア量を制御することができる。乾燥温度は、好ましくは、80〜200℃、さらには100〜150℃、乾燥時間は0.5〜10分間、さらには、1〜5分間である。
【0108】
離型シートの構成材料としては、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体等があげられる。離型シートの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの低接着性の剥離処理が施されていても良い。
【0109】
なお、光学フィルムや粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理することにより紫外線吸収能を付与してもよい。
【0110】
本発明の粘着型光学フィルムは液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着型光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては前記光学フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプなどの任意なタイプのものを用いうる。
【0111】
液晶セルの片側又は両側に粘着型光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、前記光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
【0112】
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。本発明の光学フィルム(偏光板等)は、有機EL表示装置においても適用できる。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組合せをもった構成が知られている。
【0113】
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0114】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
【0115】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0116】
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0117】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0118】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0119】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【実施例】
【0120】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。
【0121】
実施例1
(光学フィルムの作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを40℃のヨウ素水溶液中で5倍に延伸したのち50℃で4分間乾燥させて偏光子を得た。この偏光子の両側にトリアセチルセルロースフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて接着して偏光板を得た。
【0122】
(アンカー層の形成)
水分散型ポリチオフェン系導電性ポリマーと水分散型ポリエステル樹脂を含む溶液A(ナガセケムテックス社製,デナトロンP−502RG,固形分4%)と、濃度10%のアンモニア水から、固形分濃度4%の水分散型材料(アンカー剤)を調製した。溶液A:アンモニア水の割合(重量比)は、順に、100:0.1、とした。上記偏光板の片面に、前記アンカー剤を、ワイヤーバーにて乾燥後の厚みが100nmとなるように塗布し、100℃で1分間乾燥してアンカー層を形成した。
【0123】
(粘着剤層の形成)
ベースポリマーとして、ブチルアクリレート:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルアクリレート=100:5:0.1(重量比)の共重合体からなる重量平均分子量200万のアクリル系ポリマーを含有する溶液(固形分24%)を用いた。上記アクリル系ポリマー溶液にイソシアネート系多官能性化合物であるコロネートL(日本ポリウレタン社製)をポリマー固形分100部に対して3.2部、及び添加剤(信越シリコーン社製、KBM−403)を0.6部、粘度調整のための溶剤(酢酸エチル)を加え、粘着剤溶液(固形分11%)を調製した。当該粘着剤溶液を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(三菱化学ポリエステル社製、ダイヤホイルMRF38、ポリエチレンテレフタレート基材)上にリバースロールコート法により塗布した後、熱風循環式オーブンで、130℃で、3分間乾燥し、粘着剤層を形成した。当該粘着剤層を、上記アンカー層の表面に貼り合わせて、粘着型偏光板を作製した。
【0124】
実施例2
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
容器に、原料として、ブチルアクリレート100部、アクリル酸5部、モノ[ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート]リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度5.0)2部、および3−メタクリロイルオキシプロピル‐トリエトキシシラン(KBM‐503)0.01部を加えて混合し、モノマー混合物を調製した。次いで調製したモノマー混合物627部に、反応性乳化剤としてアクアロンHS−20(第一工業製薬社製)13部、イオン交換水360部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて、5分間、5000rpmで撹拌し、強制乳化して、モノマープレエマルションを調製した。
【0125】
次に、冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートおよび攪拌羽根を備えた反応容器に、上記で調製したモノマープレエマルションのうちの200部およびイオン交換水330部を仕込み、次いで、反応容器を窒素置換した後、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物(和光純薬社製、VA−057)0.2部を添加して、60℃で1時間重合した。次いで、残りのモノマープレエマルションのうちの800部を、反応容器に3時間かけて滴下し、その後、3時間重合した。さらに、その後、窒素置換しながら、60℃で3時間重合し、固形分濃度48%の水分散型粘着剤組成物のエマルション溶液を得た。
【0126】
次いで、上記エマルション溶液を室温まで冷却した後、濃度10%のアンモニア水を30部添加し、さらに、アクリル系増粘剤(アロンB‐500,東亜合成(株)製)3.0部を添加して、水分散型粘着剤組成物を調製した。
【0127】
(粘着剤層の形成)
上記水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(三菱化学ポリエステル社製、ダイヤホイルMRF38、ポリエチレンテレフタレート基材)上にリバースロールコート法により塗布した後、熱風循環式オーブン100℃で、3分間乾燥し、粘着剤層を形成した。当該粘着剤層を、実施例1において得られた、偏光板上に形成されたアンカー層の表面に貼り合わせて、粘着型偏光板を作製した。
【0128】
実施例3
実施例1において、アンカー層を形成する際の温度を、100℃で1分間から、50℃で1分間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作製した。
【0129】
実施例4
(アンカー層の形成)
アクリル酸エステル(ポリメントNK380,(株)日本触媒製)を、トルエンにて固形分が2%になるように調製して、溶剤型材料(アンカー剤)を調製した。当該アンカー剤を、実施例1の偏光板の片面に、ワイヤーバーにて乾燥後の厚みが100nmとなるように塗布し、40℃で2分間乾燥してアンカー層を形成した。
【0130】
(粘着剤層の形成)
実施例2で調製した水分散型粘着剤組成物を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、離型フィルム(三菱化学ポリエステル社製、ダイヤホイルMRF38、ポリエチレンテレフタレート基材)上にリバースロールコート法により塗布した後、熱風循環式オーブンで、130℃で、3分間乾燥し、粘着剤層を形成した。当該粘着剤層を、上記で得られた、偏光板上に形成されたアンカー層の表面に貼り合わせて、粘着型偏光板を作製した。
【0131】
比較例1
実施例1において、水分散型材料(アンカー剤)の調製にあたり、溶液A:アンモニア水の割合(重量比)を、順に、100:0.01、に変えたこと以外は実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作製した。
【0132】
比較例2
実施例1において、水分散型材料(アンカー剤)の調製にあたり、溶液A:アンモニア水の割合(重量比)を、順に、100:1、に変えたこと、アンカー層を形成する際の乾燥条件を、100℃で1分間から、23℃で1分間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、粘着型偏光板を作製した。
【0133】
比較例3
実施例2において、アンカー層の形成を実施例4に記載のアンカー層の形成に変えたこと、水分散型粘着剤組成物を調製にあたり、濃度10%のアンモニア水の添加量30部を3部に変えたこと、粘着剤層を形成する際の乾燥条件を、100℃で3分間から、150℃で3分間に変えたこと以外は実施例2と同様にして、粘着型偏光板を作製した。
【0134】
比較例4
実施例2において、アンカー層の形成を実施例4に記載のアンカー層の形成に変えたこと、水分散型粘着剤組成物を調製にあたり、濃度10%のアンモニア水の添加量30部を50部に変えたこと以外は実施例2と同様にして、粘着型偏光板を作製した。
【0135】
上記実施例および比較例で得られた粘着型偏光板について下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0136】
(アンモニア量の測定)
粘着型偏光板を、9cm×9cmに切断し、純粋中で、120℃で1時間の煮沸抽出を行った。この抽出液から、イオンクロマトグラム(DIONEX社製,DX‐500)によりアンモニウムイオンを定量した。5検体について測定し、その値から平均値を導き、それを1cm2あたり換算した値をアンモニア量とした。
【0137】
(外観)
作製した粘着型偏光板について、目視により、下記基準で外観を評価した。
○:不具合なし。×:不具合(スジ、ムラ)あり。
【0138】
(偏光特性)
粘着型偏光板を、15インチサイズに切断しサンプルを作製した。このサンプルをガラス板に貼り合わせて偏光度を測定した。この時の偏光度を初期偏光度(A)とする。また、前記サンプルを90℃の環境下および60℃、95%RHの環境下に、それぞれ、1000時間放置した後、前記と同様にして偏光度を測定した。この時の偏光度を処理後偏光度(B)とする。偏光度は、分光硬度系((株)村上色彩研究所製,DOT‐3C)にて測定した。初期偏光度(A)と処理後偏光度(B)から、偏光度変化量(A−B)を算出した。
【0139】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】本発明の粘着型光学フィルムの一例の断面図である。
【図2】本発明の粘着型光学フィルムの他の一例の断面図である。
【符号の説明】
【0141】
1:光学フィルム
2:アンカー層
3:粘着剤層
4:帯電防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムの少なくとも片面に、アンカー層を介して粘着剤層が積層されている粘着型光学フィルムにおいて、
アンカー層は5〜300nm、粘着剤層は5〜50μmであり、
アンカー層および粘着剤層のいずれか少なくとも一つの層は、アンモニアを含有する水分散型材料により形成されており、かつ、
アンモニアを含有する水分散型材料により形成されている前記層は、当該層に起因して測定される、粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれるアンモニア量が10ng以上であり、
粘着型光学フィルム1cm2あたりに含まれる全アンモニア量が2000ng以下であることを特徴とする粘着型光学フィルム。
【請求項2】
粘着剤層が、アンモニアを含有する水分散型アクリル系粘着剤により形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の粘着型光学フィルム。
【請求項3】
アンカー層が、アンモニアを含有し、かつ水分散型ポリマーを含有するアンカー剤により形成されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の粘着型光学フィルム。
【請求項4】
アンカー剤が、さらに帯電防止剤を含有することを特徴とする請求項3記載の粘着型光学フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の粘着型光学フィルムを少なくとも1枚用いた画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−248485(P2007−248485A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67569(P2006−67569)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】