説明

粘着層を有する補強布

【課題】塗膜防水工法においてモルタル等を塗布する際に、壁面等への密着性が高い補強布を提供することを提供すること。
【解決手段】モルタル、樹脂モルタル又は塗料によって防水層を形成する際に用いられる、織布と粘着層を有する補強布であって、該織布が、複数本の縦糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて縦糸列を構成しており、かつ、複数本の横糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて横糸列を構成しており、該縦糸列と該横糸列の交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸が、横糸に対し上下反対側を通過するように織られているものであり、該粘着層が、該織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように設けられているものであることを特徴とする補強布、補強布の製造方法、並びに、それを用いた塗膜防水工法及び塗膜防水層。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布と粘着層とを有する補強布に関し、更に詳しくは、複数本の縦糸と複数本の横糸を用いて特殊な織り方をした織布と、該織布の特定の部分にのみ設けられた粘着層とを有する補強布に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋上等の防水には、シ−ト防水工法と、防水用塗料等を塗布形成する塗膜防水工法が知られている(特許文献1)。このうち、塗膜防水工法は、強度や表面硬度が高く強靭であり、耐疲労性、寸法安定性等に優れているため、屋根、塀、住宅ベランダ、屋上、バルコニー、駐車場等の床面、壁面、天井面等の防水に多用されている。
【0003】
塗膜防水工法においては、形成される防水層の機械的強度を増加させるために、補強布の使用が推奨されている。すなわち、まず補強布を敷き、その上から防水用塗料等を付与することによって、防水層のひび割れ等を補強布が阻止することが知られている(特許文献2、3)。
【0004】
しかしながら、壁面等の垂直面や天井面等の下面を防水加工する場合は、重力等で補強布が落下するので、一人が補強布を所定の面に押し付けている間に、他の一人がモルタル、樹脂モルタル、塗料等を補強布の上から塗布せざるを得ず、防水加工作業に二人が必要で人件費が高くなる等という問題点があった。また、風が吹くと補強布が動き、塗布が難しくなるという問題点もあった。
【0005】
かかる問題点を解決するために、補強布に粘着層を設け、その粘着層を防水加工する壁面や天井面等に貼り付け、補強布をかかる面に固定してから、モルタル等を補強布の上から塗布する方法が考え出された。この方法ならば、一人で作業することも不可能ではない。
【0006】
しかしながら、補強布は、補強布の裏側(下側)にまで、モルタル等を行き渡らせる必要があるため(そうしないと、塗布されたモルタル等が壁面等に接触しないので防水層が壁面に固定できない)、補強布の網目ホール(「バスケットホール」ともいう)は、一定面積以上が必要であり、必然的に補強布の織布の織り方は疎にならざるを得ず、従って、粘着層は疎に織られた糸の上にしか形成できず、その結果、壁面等への密着性に欠け、例えば強い風が吹いた場合等、補強布が動いてしまい、塗布が難しくなるという問題点は依然として解決できていなかった。
【0007】
それを解決するために、一旦、離型紙の上に形成された粘着剤層を、織布の表面に転写することによって、粘着剤層を有する補強布を作る方法が知られている。確かにこうすれば、密着性にとっては十分な面積の粘着剤層が確保できる。
【0008】
しかしながら、織布の全面に粘着剤層があると、補強布の裏側(下側)にまで、モルタル等が行き渡らず、塗布されたモルタル等が壁面等に接触せず防水層が壁面に固定できないことになる。そこで、粘着剤層には、モルタル等が通過できる部分を必要となるが、かかるモルタル等が通過できる部分の面積が大きくなると、十分な粘着剤層の面積が確保できなくなり、一方、モルタル等が通過できる部分の面積が小さくなると、補強布の裏側(下側)にまで、モルタル等が行き渡らなくなってしまうという問題点があった。また、この方法でも、壁面等への密着性に欠け、例えば強い風が吹いた場合等、補強布が動いてしまい、塗布が難しくなるという問題点は依然として解決できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭60−065858号公報
【特許文献2】特開2006−316613号公報
【特許文献3】特開2007−231519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、塗膜防水工法において、モルタル、樹脂モルタル又は塗料(以下、これらを「モルタル等」と略記する)を塗布する際に、壁面等への密着性が高い補強布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、離型紙の上に形成された粘着剤層を織布の表面に転写する方法によらなくても、すなわち、網目ホールを塞いでしまうような、織布上への粘着剤層の設け方によらなくても、織布の織り方を特定のものにすることによって、壁面等への密着性が十分に高い補強布が得られることを見出して本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明は、モルタル、樹脂モルタル又は塗料によって防水層を形成する際に用いられる、織布と粘着層を有する補強布であって、
該織布が、複数本の縦糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて縦糸列を構成しており、かつ、複数本の横糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて横糸列を構成しており、該縦糸列と該横糸列の交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸が、横糸に対し上下反対側を通過するように織られているものであり、
該粘着層が、該織布の少なくとも片面に、該織布の網目ホールを実質的に塞がないように設けられているものである
ことを特徴とする補強布、を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、上記粘着層が、上記織布の少なくとも片面に、粘着剤溶液若しくは分散液を直接塗布することにより設けられたものである上記の補強布を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、モルタル、樹脂モルタル又は塗料によって防水層を形成する際に用いられる、織布と粘着層を有する補強布の製造方法であって、
複数本の縦糸を互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列させて縦糸列を構成させ、複数本の横糸を互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列させて横糸列を構成させ、
該縦糸列と該横糸列の交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸は横糸に対し上下反対側を通過するように織り、隣接するそれぞれの横糸は縦糸に対し上下同じ側を通過するようにタンデムノズルを経由してそれぞれの横糸を飛ばすことにより織り、次いで、
該粘着層を、該織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように、粘着剤溶液若しくは分散液を直接塗布することにより設けることを特徴とする補強布の製造方法を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、上記の補強布を用いることを特徴とする塗膜防水工法を提供するものであり、かかる塗膜防水工法を使用して製造されたものであることを特徴とする塗膜防水層を提供するものである。
【0016】
また、本発明は、上記の補強布、及び、モルタル若しくは樹脂モルタルが硬化したものを有することを特徴とする塗膜防水層を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の補強布を用いれば、前記問題点を解消して上記課題を解決し、塗膜防水工法においてモルタル等を塗布する際に、壁面等への密着性が高い補強布を提供することができる。その結果、モルタル等を壁面等に塗布する際に、補強布を壁面等に押さえ付けている作業者が不要になり、一人でも塗膜防水工法を行うことが可能となる。
【0018】
また、重力によっても、また風が吹いても、補強布が動くことがなく、床面等の水平面のみならず、壁面等の垂直面、天井面等の下面の塗膜防水加工も容易にできるようになる。
【0019】
より具体的には、複数本の縦糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて縦糸列を構成しており、かつ、複数本の横糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて横糸列を構成して織布が織られているので、縦糸列と横糸列がそれぞれ扁平であって面積が広いため、粘着剤がその広い面積に塗布されて粘着層が形成されるので、補強布の密着性が向上する等の上記効果が得られる。また、離型紙を用いた転写方式のように網目ホールまでをも塞いでしまう欠点のある粘着層の設け方をしなくても、縦糸列と横糸列がそれぞれ扁平で面積が広いので、縦糸列と横糸列の略表面のみに粘着層があっても、上記効果を奏し十分に壁面等に強く密着できる補強布を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】隣接する2本の横糸が、3本の縦糸に対し上下同じ側を通過するように織られている本発明の補強布の織り方の一例を示す模式図である。
【図2】隣接する3本の横糸が、3本の縦糸に対し上下同じ側を通過するように織られている本発明の補強布の織り方の一例を示す模式図である。
【図3】隣接する2本の横糸が、5本の縦糸に対し上下同じ側を通過するように織られている本発明の補強布の織り方の一例を示す模式図である。
【図4】隣接する2本の横糸が、3本の縦糸に対し交互に上下違う側を通過するように織られている本発明の補強布の織り方の一例を示す模式図である。
【図5】織布と粘着層とを有する本発明の補強布における粘着層の形態を示す1列の糸列の模式断面図である。 (a)一の糸列の糸が1本の場合 (b)一の糸列の糸が3本で互いに実質的に撚れることなく密接して隣接して並行して配列されて糸列を形成している場合 (c)一の糸列の糸が3本で互いに実質的に撚れることなくやや離れて隣接して並行して配列されて糸列を形成している場合
【図6】縦糸列と横糸列のアスペクト比の定義を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
【0022】
本発明の補強布は、塗料によって防水層を形成する塗膜防水工法に用いられる。かかる塗膜防水工法は、塗膜によって防水層を形成するものでありさえすれば以下に限定されるわけではないが、具体的には例えば、まず常法に従って下地調整処理を行い、プライマーをローラー、刷毛等を用いて、例えば約0.2kg/m塗布し、次いで塗膜形成用の塗料を、もし2液タイプのものであるならば2液混合して調製し、それを例えば約0.4kg/m塗布し(これを、「下塗り」と略記する)、次いで補強布を張り付け、次いで塗膜形成用の塗料を例えば約1.5kg/m塗布し(これを、「1層目塗布」と略記する)、その後塗布面をチェックし、ピンホールやクラックがあった場合には要すればそれらを所定の材料で充填し、次いで塗膜形成用の塗料を、例えば約1.4kg/m塗布し(これを、「2層目塗布」と略記する)、次いで要すればトップコートを、例えば約0.2kg/m塗布して完成させる。
【0023】
本発明の補強布は、かかる塗膜防水工法に用いられるものであって、少なくとも以下の要件を全て満たすものである。
(A)織布と粘着層を有し
(B−1)該織布が、複数本の縦糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて縦糸列を構成しており、
(B−2)複数本の横糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて横糸列を構成しており、
(B−3)該縦糸列と該横糸列の交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸が、横糸に対し上下反対側を通過するように織られているものであり、
(C)該粘着層が、該織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように設けられている
【0024】
本発明における「1本の糸」とは、中が均一に詰まった1本の糸、又は、天然繊維又は合成繊維を引き揃えて撚りをかけたり互いに分離できなくしたりした状態で1本になっているものをいう。紡績によって、原料の短繊維を撚り合わせ、長く引き伸ばして1本の紡績糸(スパンヤーン、ステープルヤーン)にしたものであっても、原料の長繊維を撚り合わせたり分離し難くしたりして製糸又は紡糸して1本の糸(フィラメントヤーン)にしたものであってもよい。なお、以下、縦糸と横糸を総称して「糸」という。
【0025】
本発明の補強布における「2本の糸」とは、容易に2本に分離する状態の糸であり、本発明の補強布を作る時に、2本並列にチーズに巻いて同時に飛ばしたとき、又は、2本別々に飛ばして織ったとき「2本の糸」という。限定はされないが、具体的には、例えば、チーズスタンドに2本の糸を立て、要すればテンサーを通し、EDP装置を用いて、タンデムノズル経由等で2本の糸を飛ばして織った場合は、2本の糸を用いた補強布である。
【0026】
従って、短繊維、長繊維又は上記「1本の糸」を2本撚り合わせたものは、1本の糸であり2本の糸ではない。また、「3本以上の糸」、「複数本の糸」も、上記「2本の糸」からの延長で定義される。逆に、複数のチーズに巻かれていたり、1本のチーズに並行に引き揃えられた状態で巻かれていて、容易に複数本に分離できたりするようなものは、「複数本の糸」であり、「1本の糸」ではない。以上のことは、縦糸に関しても横糸に関しても言える。
【0027】
図1〜図4に、本発明の補強布の織り方の模式図を示す。図1、図2及び図4では、3本の縦糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて縦糸列を構成している。また、図3では、5本の縦糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて縦糸列を構成している。1つの縦糸列を構成する縦糸の本数は特に限定はないが、3〜5本が好ましく、特に好ましくは3本である。
【0028】
1つの縦糸列を構成する縦糸の本数が多過ぎると、平面的に見て縦糸列の面積が大きくなり過ぎるので、縦糸列と横糸列が形成する四角形の穴(以下、「網目ホール」と略記する)の面積が小さくなり過ぎたり、目が細かくなり過ぎたり、網目ホール部分の全体に占める面積比率が小さくなり過ぎ、モルタル等が補強布の下に入り難くなる場合がある。
【0029】
一方、1つの縦糸列を構成する縦糸の本数が少な過ぎると、補強布が全体として平たくなり難くなり、補強布の表面における縦糸列の占める面積が狭くなるため、粘着剤が狭い面積にしか乗らなくなり、すなわち粘着層の面積が小さくなり、補強布の壁面等への密着性が低くなる場合がある。その結果、補強布を壁面等に押さえ付けている作業者が必要になったり、重力によって又は風が吹いたとき、補強布が所定の場所から落ちたり、ずれてしまったりする場合がある。
【0030】
図1〜図4においては、模式的に隣接する縦糸同士を離して描画してあるが、縦糸同士は部分的に接していてもいなくてもよく、交差部分以外では殆ど常に接していることが好ましい。また、実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されていることが必須であるが、部分的には隣接する縦糸同士が交叉してまた元に戻っていてもよい。この場合も、「撚れることなく」といえる(に含まれる)。
【0031】
一方、横糸に関しては、図1、図3及び図4では、2本の横糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて横糸列を構成している。また、図2では、3本の横糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて横糸列を構成している。1つの横糸列を構成する横糸の本数は特に限定はないが、2〜4本が好ましく、特に好ましくは2本である。なお、以下、縦糸列と横糸列を総称して「糸列」という場合がある。
【0032】
「1つの横糸列を構成する横糸の本数」が多過ぎる場合の問題点は、上記した縦糸の場合と同様である。また、「1つの横糸列を構成する横糸の本数」が少な過ぎる場合(すなわち横糸が1本の場合)の問題点も、上記した縦糸の場合と同様である。すなわち、1つの横糸列を構成する横糸の本数が1本だと、平たくなり難くなるので、粘着剤が狭い面積にしか乗らないことになり、粘着性に欠けて前記効果が得られない場合がある。
【0033】
本発明の補強布は、離型紙を用いた転写方式のように網目ホールの一部を塞いでしまうような粘着層の設け方をしないことが特徴でもあるので、粘着剤をなるべく広い面積に乗せ、粘着層の面積を大きくすることが重要である。その点、本発明の補強布は、縦糸列と横糸列がそれぞれ扁平で十分面積が広いので、縦糸列と横糸列の上にのみ粘着層があっても、上記効果を奏し十分に壁面等に強く密着できる補強布を提供することができる。
【0034】
本発明の補強布は、交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸は、横糸に対し上下反対側を通過するように織られていることが必須である。
【0035】
本発明の補強布は、図4に示したように、交差部分において、隣接するそれぞれの横糸が、縦糸に対し上下反対側を通過するように織られていても、図1〜図3に示したように、交差部分において、隣接するそれぞれの横糸が、縦糸に対し上下同じ側を通過するように織られていてもよい。
【0036】
図1〜図3のように、1つの横糸列の横糸が全て、交差部分において縦糸に対し上下同じ側を通過するように織られている場合は、図1〜図3のような形態で「1つの横糸列を構成する横糸の本数」を2本以上にした場合(複数本にした場合)、より扁平になり前記した効果が得られる。
【0037】
図5は、織布と粘着層とを有する補強布における粘着層の形成の態様を示す図であり、1列の縦糸列又は1列の横糸列の横断面図である。図5(a)のように、糸が1本の場合には、粘着剤が1本の糸の真下にしか付かず、粘着層の面積が小さくなる。しかし、本発明の一例である図5(b)のように、例えば糸が3本で互いに実質的に撚れることなく密接して隣接して並行して配列されて糸列を形成している場合は、粘着剤が3本分付くのみならず、糸と糸の隙間にも付くので、粘着層の面積が大きくなり、壁面等への密着性が上がる。更に、本発明の一例である図5(c)のように、例えば糸が3本で互いに実質的に撚れることなくやや離れて隣接して並行して配列されて糸列を形成している場合には、離れた糸と糸の隙間にも粘着剤が表面張力によって付くので、更に粘着層の面積が大きくなり、更に壁面等への密着性が上がる。
【0038】
本発明の補強布のうち、図1〜図3のように、交差部分において、1つの横糸列の横糸が全て、縦糸の上下同じ側を通過するように織られている補強布を製造する場合の横糸の導入方法は、特に限定はされないが、具体的には以下の方法が挙げられる。例えば、1つの横糸列がn(2≦n)本の横糸で構成されている場合、チーズスタンドにn本の横糸を立て、要すればテンサーを通してn本並列させ、横糸を容易に飛ばせるようにEDP装置を用い、次いでタンデムノズルを経由して、メインノズルからn本同時に横糸を飛ばして織る。このとき、特に必要ではないが、EDP装置の前後(具体的には、テンサー入口、タンデムノズル出入口)に、横糸同士が絡まないように、横糸の分離ワイヤーを設置することもできる。図1又は図3のように、nが2の場合は、チーズスタンドに2本の横糸を立て、テンサーで2本並列させて、EDP装置を通してノズルから2本同時に横糸を飛ばせばよい。
【0039】
このように、図4のような形態より、図1〜図3のような形態の方が織り方は特殊ではあるが、このようにすることによって、交差部分では縦糸が少なくとも2本の横糸の間に交差しない(挿入されない)ので、交差部分の横糸に縦糸の交差による隙間ができない。従って、図1〜図3のような形態の方が、塗布時に生じた気泡が補強布でブロックされて表面に出難くなる。
【0040】
縦糸の太さには特に限定はなく、補強布の従来の目的である、塗膜内に埋め込まれて主に塗膜に発生するひび割れを軽度に留める等のために最適な太さであればよい。例えば、0.1〜1mmの範囲が好ましく、0.13〜0.7mmの範囲がより好ましく、0.2〜0.5mmの範囲が特に好ましい。
【0041】
横糸の太さには特に限定はなく、上記と同様の効果を奏するために最適な太さであればよい。0.1〜1mmの範囲が好ましく、0.13〜0.7mmの範囲がより好ましく、0.2〜0.5mmの範囲が特に好ましい。
【0042】
1つの縦糸列の横断面のアスペクト比は、特に限定はないが、2以上が好ましく、2.5〜7がより好ましく、3〜5が特に好ましい。また、1つの横糸列の横断面のアスペクト比も特に限定はないが、1.5以上であることが好ましく、1.7〜5がより好ましく、2〜3が特に好ましい。ここで、「横断面のアスペクト比」は、交差部分から十分離れた場所で、縦糸列又は横糸列の横断面に外接するような長方形を想定し、その平面方向の長さ(幅)(b)を厚さ方向の長さ(厚さ)(a)で割った値であり、図6における「b/a」で定義される。アスペクト比が小さ過ぎると扁平でなくなり、前記した効果が得られなくなる場合がある。
【0043】
縦糸列の密度と横糸列の密度は、補強布の従来の目的を達成するようになっていれば特に限定はないが、2列/インチ(12.7mmに1本の密度)〜30列/インチ(0.85mmに1本の密度)の間隔であることが好ましい。より好ましくは4〜20列/インチの間隔であり、特に好ましくは6〜15列/インチの間隔である。密度が高過ぎると、1つの網目ホールの面積が小さくなり、塗料が下に流れ込まなくなる場合がある。
【0044】
縦糸と横糸の材質は特に限定はなく、通常、補強布に用いられているものが用いられる。例えば、ガラス繊維等の無機物;ポリエステル、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリプロピレン等の合成有機ポリマー繊維;絹糸、綿糸、毛糸等の天然繊維等が挙げられる。このうち、ポリエステル、ポリビニルアセタール等が好ましい。
【0045】
本発明の補強布は、上記した要件(C)該粘着層が、該織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように設けられていることが必須である。このような形態に粘着層を設けるためには、上記織布の少なくとも片面に、粘着剤溶液若しくは分散液を直接塗布することにより粘着層を設けることが好ましい。
【0046】
粘着層は、できるだけ粘着性を向上させるために、糸列の全面に設けられていることが好ましい。図5(b)と図5(c)に示したように、糸列の糸と糸の間にも粘着剤が塗布されていることが粘着剤層の面積を大きくできる点で好ましい。「粘着層」は、糸列の面上だけに格子状に設けられているので、広義の意味での「層」であり、広くて閉じた平面を全て埋めるような層ではない。
【0047】
粘着層の形成方法には、直接塗布ではない方法として、一旦、離型紙の上に形成された粘着剤層を織布の表面に転写することによって、粘着剤層を有する補強布を作る方法があるが、この方法では、密着性にとっては十分な面積の粘着剤層が確保できるので良い方向には行くが、網目ホールを塞ぐので、補強布の裏側(下側)にまで、モルタル等が行き渡らず、塗布されたモルタル等が壁面等に接触せず防水層が壁面に固定できない場合がある。かかる方法では、粘着剤層にモルタル等が通過できる部分を設けても、モルタル等が通過できる部分の面積が大きくなると、十分な粘着剤層の面積が確保できなくなり、一方、モルタル等が通過できる部分の面積が小さくなると、補強布の裏側(下側)にまで、モルタル等が行き渡らなくなってしまう。
【0048】
前記したように、本発明の補強布は扁平の糸列を有し、例えば、図5(b)と図5(c)に示したように、粘着剤が乗っている面積を大きくでき、網目ホールまでをも粘着層で塞がなくとも、十分な壁面等への密着性が得られる。
【0049】
上記織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように粘着層を設けるためには、上記織布の少なくとも片面に、粘着剤溶液若しくは分散液を直接塗布することが好ましい。十分粘度の低い粘着剤溶液若しくは分散液を織布に直接塗布すれば、全ての網目ホールを実質的に塞がないように粘着層を設けられる。かかる直接塗布の方法としては特に限定はないが、ロールコーター、カーテンコーター、刷毛塗り、スプレーコーター、浸漬等を用いた塗布方法が好ましい。粘着剤溶液若しくは分散液を適当な粘度に調整することによって、網目ホールを実質的に塞がないようにしつつ、糸列の上又は下に表面張力等で粘着層を形成することが可能である。
【0050】
従って、本発明の補強布の製造方法として特に好ましい方法は、前記織布の織り方とも組み合わせて、以下の方法である。すなわち、
複数本の縦糸を互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列させて縦糸列を構成させ、複数本の横糸を互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列させて横糸列を構成させ、
該縦糸列と該横糸列の交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸は横糸に対し上下反対側を通過するように織り、
隣接するそれぞれの横糸は縦糸に対し上下同じ側を通過するようにタンデムノズルを経由してそれぞれの横糸を飛ばすことにより織り、次いで、
該粘着層を、該織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように、粘着剤溶液若しくは分散液を直接塗布することにより設けることを特徴とする補強布の製造方法である。
【0051】
粘着層の形成に用いられる粘着剤としては特に限定はなく公知のものが用いられる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ビニルブチラール系、ポリイソブチレン系、スチレンブタジエン系、イソプレン系、クロロプレン系、塩化ゴム系等、又はこれらの共重合系等が挙げられる。水系エマルジョンとして優れている点で、(メタ)アクリル酸エステル系が特に好ましい。
【0052】
該粘着剤は、有機溶媒に溶解された粘着剤溶液の形で塗布してもよいし、粘着剤がエマルジョン等の形で分散された分散液の形で塗布してもよい。中でも、水系のエマルジョンとして塗布することが特に好ましい。
【0053】
直接塗布時の粘度は、織布の網目ホールを塞がない程度に低粘度にする。粘度が低過ぎると、十分な膜厚(付着量)の粘着層が形成されない場合がある。
【0054】
本発明の補強布における、織布と粘着層の質量割合は、補強布が壁面等に十分良く密着すれば特に限定はないが、織布1mあたり、粘着層10〜30g/mが好ましく、15〜25g/mがより好ましく、17〜23g/mが特に好ましい。粘着層の質量割合が少な過ぎると、十分な密着性が得られない場合があり、また、粘着層の質量割合が多過ぎると、網目ホールを塞いでしまったり、それ以上密着性が上がらなくなるので無駄になったりする場合がある。また、補強布と補強布との間にポリマーフィルムのような合紙がない場合には、補強布の粘着層側と補強布の粘着層がない側が強く接着するため、開反(補強布を剥いで使用する)時に剥がれ難くなり、無理矢理剥がした場合に補強布が破壊する場合がある。
【0055】
本発明における防水層は、モルタル、樹脂モルタル又は塗料によって形成される。本発明の補強布は、床面等の水平上面、壁面等の垂直面、天井面等の水平下面等の防水加工に使用される。特に限定されるものではないが、本発明の補強布の優れた粘着性を生かすためには、壁面等の略垂直面又は天井面等の略水平下面等の防水加工に使用されることが好ましい。
【0056】
モルタルや樹脂モルタルは公知のものが何れも使用可能である。また、塗料は防水用塗料として市販されているもの、例えば、ウレタン系塗料、ポリエステル系塗料等公知のものが何れも使用可能である。
【実施例】
【0057】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
製造例1
縦糸として、30番手(綿番手)のポリエステル繊維を用い、縦糸3本からなる縦糸列を8列/インチの密度で織り込み、横糸として、200dポリエステル繊維を用い、横糸2本からなる横糸列を8列/インチの密度で織り込み、模式図として図1に示したような織布を製造した。
【0059】
具体的には、チーズスタンドに2本の横糸を立て、常法に従ってテンサーを通して該横糸を2本並列させ、次いで横糸を容易に飛ばせるようにEDP装置を通し、タンデムノズルを通した後、メインノズルから2本同時に横糸を飛ばして、図1に示したように、3本の縦糸に直角に、隣接するそれぞれの縦糸が、横糸に対し上下反対側に来るように横糸を挿入した。すなわち、3本の縦糸間に2本の横糸を並列して挿入して補強布を織った。このようにして、2本の横糸は、2本のまま撚れることなく、縦糸と共に織られた。
【0060】
上記のようにして、2本の横糸が引き揃えられて縦糸に挿入し、図1に模式図を示した織布を製造した。縦糸列の幅は、0.8mmであり、横糸列の幅は0.9mmであった。また、網目ホールのサイズは、2.3mm×2.5mmであった。また、横糸列の横断面のアスペクト比(b/a)は、2であった。
【0061】
次いで、一般的なロールコーターを用いて、アクリル酸エステル共重合体水系エマルジョン(東洋インキ製造(株)社製、アクリル系粘着剤、BPW6103)を、上記の織布の上に直接塗布した。塗布量は、分散媒(主に水)留去後(乾燥後)に固形分として、織布1mに対して、20.0gであった。これを、フィルムと貼り合わせをして巻き取り補強布を製造した。
【0062】
製造例2
横糸を3本に変更した以外は、製造例1と同様にして図2に模式図を示した織布を製造した。すなわち、チーズスタンドに3本の横糸を立て、EDP装置に3本の横糸を同時に挿入し、3本の横糸を同時に飛ばして、3本の縦糸に直角に、隣接するそれぞれの縦糸が、横糸に対し上下反対側に来るように横糸を挿入した。従って、3本の横糸は、3本のまま撚れることなく縦糸と共に織られた。具体的には、製造例1において、糸の本数を変えて製造した。
【0063】
上記のようにして、3本の横糸が引き揃えられて縦糸に挿入し、図2に模式図を示した織布を製造した。得られた織布は、縦糸列の幅は0.8mmであり、横糸列の幅は1.3mmであった。また、網目ホールのサイズは、2.3mm×2.1mmであった。また、横糸列の横断面のアスペクト比(b/a)は、3であった。
【0064】
次いで、製造例1と同一の塗布膜厚になるように塗布量を調整した以外は、製造例1と同様に粘着層を設け、補強布を製造した。
【0065】
製造例3
縦糸を5本に変更した以外は、製造例1と同様にして図3に模式図を示した織布を製造した。すなわち、製造例1と同様にして、2本の横糸が引き揃えられて縦糸に挿入し、図3に模式図を示した織布を製造した。具体的には、製造例1において、糸の本数を変えて製造した。
【0066】
得られた織布は、縦糸列の幅は1.3mmであり、横糸列の幅は0.9mmであった。また、網目ホールのサイズは1.8mm×2.5mmであった。また、横糸列の横断面のアスペクト比(b/a)は、2であった。
【0067】
次いで、製造例1と同一の塗布膜厚になるように塗布量を調整した以外は、製造例1と同様に粘着層を設け、補強布を製造した。
【0068】
製造例4
交差部分において、隣接するそれぞれの横糸を、縦糸に対し上下反対側を通過するように織った以外は、製造例1と同様にして図4に模式図を示した織布を製造した。具体的には、製造例1において、糸の本数を変えて製造した。
【0069】
得られた織布は、縦糸列の幅は0.8mmであり、横糸列の幅は1.2mmであった。また、網目ホールのサイズは、2.3mm×2.5mmであった。また、横糸列の横断面のアスペクト比(b/a)は、2.7であった。
【0070】
次いで、製造例1と同一の塗布膜厚になるように塗布量を調整した以外は、製造例1と同様に粘着層を設け、補強布を製造した。
【0071】
比較製造例1
粘着層を設けない以外は製造例1と同様にして補強布を製造した。
【0072】
比較製造例2
比較のために、横糸列を構成する横糸を1本に変更した以外は、製造例1と同様にして織布を製造し、製造例1と同一の塗布膜厚になるように塗布量を調整した以外は、製造例1と同様に粘着層を設け、補強布を製造した。
【0073】
比較製造例3
比較のために、糸列を構成する縦糸も横糸も何れも1本に変更した以外は、製造例1と同様にして織布を製造し、製造例1と同一の塗布膜厚になるように塗布量を調整した以外は、製造例1と同様に粘着層を設け、補強布を製造した。
【0074】
比較製造例4
製造例1において、ロールコーターを用いて織布の上にエマルジョンの形で粘着剤を直接塗布することに代えて、離型紙の上に、一旦、20.0g/mに形成した粘着剤の層を織布の表面に全て転写することによって粘着層を設け、補強布を製造した。
【0075】
評価例1
製造例1〜4、比較製造例1〜4で製造した補強布を、以下のように評価した。
すなわち、コンクリートの垂直の壁の約1m部分に、製造例1〜4及び比較製造例1〜4で製造した補強布をそれぞれ貼り付け、次いで、濃度を調整した樹脂モルタルを全面に付与した。
【0076】
防水層を設けている際、以下の項目を評価して判定した。
<密着性>
◎ :風が吹いても、全く補強布の剥がれがない。
○ :重力で補強布が剥がれることはないが、強風が吹いた場合、補強布が剥がれる場合がある。
× :重力で補強布が剥がれる場合がある
××:補強布が壁に貼り付かない。
【0077】
<作業性>
○:一人で作業ができる。
×:一人で作業ができず、補強布を押さえ付けている人が別途必要となる。
【0078】
評価例2
<網目ホール開口性>
補強布の網目ホールに、粘着剤が存在して粘着層が網目ホールを塞いでいるか否かを目視観察した。
○ :実質的に全ての網目ホールが塞がっていない。
× :一部の網目ホールが塞がっている。
××:殆ど全ての網目ホールが塞がっている。
【0079】
上記補強布の構成を表1にまとめ、上記評価結果を表2にまとめた。
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
表2の結果より、製造例1〜4で製造された本発明の補強布は、密着性と作業性の両方に優れていた。しかし、粘着層を有さない比較製造例1で製造された補強布と、糸の本数が少ない比較製造例2、3で製造された補強布は、密着性と作業性の何れもが劣っていた。
【0082】
離型紙上の粘着剤の層を転写することにより粘着層を形成させた補強布(比較製造例4で製造された補強布)は、密着性と作業性には問題がなかったが、殆ど全ての網目ホールが塞がっており、網目ホール開口性に劣り、樹脂モルタルが補強布を通過せず、補強布の裏に行き渡ることがなかった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の補強布は、重力によっても、また風が吹いても、補強布が動くことがなく、床面等の水平面のみならず、壁面等の垂直面、天井面等の下面の塗膜防水加工も容易にできるようになるので、壁面等の垂直面や天井面等の下面も含め、住宅ベランダ、屋上、バルコニー、駐車場等の壁面、床面、天井面等、防水が必要な分野に広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0084】
1 縦糸
2 横糸
3 交差部分
4 網目ホール
5 粘着層
11 縦糸列
12 横糸列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モルタル、樹脂モルタル又は塗料によって防水層を形成する際に用いられる、織布と粘着層を有する補強布であって、
該織布が、複数本の縦糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて縦糸列を構成しており、かつ、複数本の横糸が互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列されて横糸列を構成しており、該縦糸列と該横糸列の交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸が、横糸に対し上下反対側を通過するように織られているものであり、
該粘着層が、該織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように設けられているものである
ことを特徴とする補強布。
【請求項2】
上記粘着層が、上記織布の少なくとも片面に、粘着剤溶液若しくは分散液を直接塗布することにより設けられたものである請求項1に記載の補強布。
【請求項3】
上記交差部分において、隣接するそれぞれの横糸が、縦糸に対し上下同じ側を通過するように織られている請求項1又は請求項2に記載の補強布。
【請求項4】
3本ないし5本の縦糸が上記縦糸列を構成している請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の補強布。
【請求項5】
2本ないし4本の横糸が上記横糸列を構成している請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の補強布。
【請求項6】
上記横糸列の横断面のアスペクト比が1.5以上である請求項1ないし請求項5の何れかの請求項に記載の補強布。
【請求項7】
上記縦糸列が、それぞれ2〜30列/インチの間隔で上記横糸列に直交して織られており、かつ上記横糸列が、それぞれ2〜30列/インチの間隔で上記縦糸列に直交して織られている請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の補強布。
【請求項8】
モルタル、樹脂モルタル又は塗料によって防水層を形成する際に用いられる、織布と粘着層を有する補強布の製造方法であって、
複数本の縦糸を互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列させて縦糸列を構成させ、複数本の横糸を互いに実質的に撚れることなく隣接して並行して配列させて横糸列を構成させ、
該縦糸列と該横糸列の交差部分において、隣接するそれぞれの縦糸は横糸に対し上下反対側を通過するように織り、隣接するそれぞれの横糸は縦糸に対し上下同じ側を通過するようにタンデムノズルを経由してそれぞれの横糸を飛ばすことにより織り、次いで、
該粘着層を、該織布の少なくとも片面に、該織布の全ての網目ホールを実質的に塞がないように、粘着剤溶液若しくは分散液を直接塗布することにより設けることを特徴とする補強布の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の補強布を用いることを特徴とする塗膜防水工法。
【請求項10】
請求項9記載の塗膜防水工法を使用して製造されたものであることを特徴とする塗膜防水層。
【請求項11】
請求項1ないし請求項7の何れかの請求項に記載の補強布、及び、モルタル若しくは樹脂モルタルが硬化したものを有する塗膜防水層。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−2041(P2012−2041A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140847(P2010−140847)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(598171508)株式会社秀カンパニー (15)
【出願人】(508179545)東洋紡スペシャルティズトレーディング株式会社 (51)
【出願人】(508079175)栗田煙草苗育布製造株式会社 (3)