説明

粘着式テープパット

【課題】粘着面が他のものに付着しないように保護した粘着テープを有する小型扁平な携帯式ごみ取り器具を提供する。
【解決手段】一本のテープ5を使用し、テープ5の外側はゴム系などの粘着物を塗布した粘着面11とし、内側は弗素樹脂などの非粘着物を塗布した剥離面とする。このテープ5を一枚の板4に粘着面11を外側にして巻きつけ、もうひとつの板2を粘着面11を内側にして巻き取り用に使用し、2枚の板は重ねて使用する。それによって全体を薄い扁平の形状にまとめ、ハンドバックに入れるなど収納しやすい形状にまとめることが出来る。巻取るときはごみを付着したままのテープを巻き取るが、ごみはテープの内側に保持されているので外からは触れなく清潔である。また、粘着面を保護するカバーシートを取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着テープでごみを吸着して取り除く装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コロコロの名称で広く知られる粘着テープ式のごみ取り機が普及している。これは粘着性のロール紙を転がしてごみを取り粘着力がなくなると紙を一枚めくって新しくするものである。しかし携帯用を考えたときロール方式では嵩張るのでもっと薄い小型の物が求められる。従来このような目的の装置としてたとえば登録実用新案登録第3065576号のようなものが知られている。粘着剤を塗布したシートを複数枚重ねたパットで衣類などを軽くたたきごみを吸着して取り除き、使用済みのシートは一枚めくって捨てるのである。薄型にまとめられるので持ち歩きの携帯ごみ取りとして便利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この欠点は使用済み後のシートをその都度捨てるので、近くにゴミ箱がないときなどはシートの処置に困る。また、ハンドバックなどに入れて持ち歩いたり、自動車の中に保管するときなどに粘着面が他のものに引っ付かないように保護する必要があることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明ではシートではなく一本のテープを使用する。テープの外側はゴム系などの粘着物を塗布した粘着面とし、内側はテフロンなどの非粘着物を塗布した剥離面とするものであるが、一般に掃除用粘着テープとして市販されているのと同じ粘着テープである。このテープを短冊状の一枚の板(供給板と呼ぶ)に巻きつけて扁平なロール紙(供給テープと呼ぶ)とし、もうひとつの同形状の板(巻取板と呼ぶ)を使用済みテープの巻取用に使用して同じように扁平なロール紙(巻取テープと呼ぶ)とする。供給テープと巻取りテープは重ねると本発明の粘着テープパットとなり、それによって全体を薄い扁平の形状にまとめ、ハンドバックに入れるなど収納しやすい形状にまとめることが出来る。
当然供給板はテープの粘着面を外側にして巻き、巻取板はテープの粘着面を内側にして巻き、両者を重ね合わせる。すると一番下にはテープの粘着面があり、一番上には剥離面がくる。中間は粘着面と剥離面が相対して接しているが、両者は完全な無接着性かというとそうではなく、かなりの粘着力でくっついている。したがってこの状態で両者はほぼくっついて一体のパットとして使用可能である。また、供給板、巻取板ともに180度づつ回転するとテープを半巻き分巻き取ってゆくことが出来る。
【0005】
これを用いて衣服などのごみの付着したところを粘着面で軽くたたくと、ごみを粘着面に付着させて取り除くことが出来る。ごみが吸着不能になって吸着面を交換するには巻取板を180度回転してごみ付のテープを巻き取る。供給テープには新しい粘着面が現れ、巻取テープにはごみ付のテープが巻きとられる。ごみは巻き取られたテープの内側に付着している。従って外観からは見えないだけでなく、手で触ることもできないようになって清潔である。
【0006】
又、テープの剥離面に何か美しいものまたは広告宣伝などを印刷しておくと巻き取られたときにこの面が表に現れるのでテープパットの装飾になる。
このようにすることによってテープを供給板から巻取板に順次巻き取りながらごみ取り作業を続けることが出来る。テープが終了すると全てを一括してゴミ箱に捨てる。途中では使用済みのテープの切れ端は発生しないのでたびたび捨てる手間はなくなり最後に一括して捨てられるので便利である。
【0007】
供給テープが半周回転で供給する長さと巻取テープが半回転で巻き取る長さはだんだん変化して行くのでいつも等しいとは限らない。巻取り量が供給量より少ない場合はたるみが出来てくるが、この部分にひだをつくってたるみを吸収して補正することができる。しかし巻取り量が供給量より多いい場合にはテープが短くなって供給テープと巻取テープを重ね合わせることができずずれてくる。さらに巻きとってゆくと巻取りテープの径はだんだん大きくなるので巻取り量はさらに増えて、ついには両方のテープを重ねることが出来なくなり機能しなくなる。これは補正の方法がない。したがってこのようにならないように巻取り量は供給量より常に少ないことが必要である。そのためには巻取り板の幅は供給板の幅より狭いことが必要である。
【0008】
又、供給板の下側に同じ大きさのカバーシートを柔軟性の布またはフィルムで連結しておくと、装置を使用しないときにはこのカバーシートを使ってテープの粘着面を覆う事が出来る。したがってハンドバックなどに収納するときに、中でテープの粘着面が他の物に引っ付かないように保護することが出来る。
カバーシートはこのように別部品で構成することもできるが、適当な柔軟な材料を選べば供給板と一体にしてコストを下げることも可能である。
【0009】
供給板、巻取板、カバーシートは使い捨てにするのが便利であるが、そのためにこれらの材料は廃棄しやすいもので作るのが環境に優しいものとなる。
したがって紙、布,木などが理想的であるが、性能面からはプラスチックなども使える。
また、カバーシートを供給板に取り付ける変わりに巻取り板に取り付けてもテープの粘着面を保護すると言う機能は変わりないことは明白である。
【発明を実施するための最良の形態】
【00010】
図1はテープパットの外観図である。また図2はその構造を示す断面図である。
テープは一面を粘着面とし、他面を剥離面とする。図1に示すように全体は上下2つの巻きテープより構成されており、上面の巻取テープ1は巻取板2の周辺にテープの剥離面を外側にして粘着面は内側にしてテープを巻いてある。一方、下面の供給テープ3は供給板4の周辺にテープの粘着面を外側にして剥離面を内側にして巻いてある。
【0011】
図2において、テープは供給テープ、巻取りテープともにテープは最外周と最内周の一周しか図示してないが、供給板4にテープ5の一端6を接着固定し、粘着面を外になるようにしてテープ全長を巻き取る。巻き数は用途によって異なるが10巻きから30巻き程度が普通である。テープの最後の一端7は巻取板2に粘着面を内側にして接着固定する。
図2は巻取りテープを何巻きか巻き取った後の図を示しているが、供給テープ3と巻取テープ1は図2のように重ね合わせる。すると、最上面の巻取テープ8は剥離面を上にしており、最下面の供給テープ9は粘着面を下にしている。中間の面のテープ10は下のテープの粘着面11と上のテープの剥離面12に挟まれて接触しているが粘着面11はまだ新しいので剥離面との間にはかなりの接着力があり、ほぼ一体のようにくっついている。この状態で供給テープ3と巻取テープ1の両方を重ねたまま掌で握り下面の粘着面9で衣類,絨毯など被掃除物を軽くたたいてごみを取ることが出来る。
【0012】
ごみが付着しないほどにテープ粘着面9の粘着力がなくなると、図2に於いて巻取テープ1を半回転させて汚れた粘着面をカバーする。すなわち図2において巻取テープ1を供給テープの左端13を中心にして反時計方向に180度回転させる。すると巻取テープは供給テープの下に来て上面にテープの粘着面11が現れ、下面にはテープ10の剥離面が現れる。結果的にテープは供給巻きテープから巻取テープに半回転分巻き取られたことになる。そして丁度最初の状態を裏返したのと同じ状態になっているので今度は上面を使ってごみ取りをする、すなわち新しい粘着面が現れてごみ取りを再開することが出来る。
これを繰り返してごみ取りをすることができるが、テープを使い終わって新しいテープがなくなると、全体を一括して廃棄する。
【0013】
図3はカバーシート20を取り付けたものである。供給板とほぼ同じ大きさのカバーシートを供給板の端の部分21に接着して固定する。カバーシートは折り曲げることができる材料、たとえば紙、布、プラスチックのシートなどで作り、テープが付着しないようにカバーシートの両面には剥離剤を塗布する。
カバーシートは少なくとも供給板の付け根のところ22、23では上下に曲げることが出来る。図3のごとく、ごみ取りの時はこのカバーシートは22A,23Aで巻取テープ1の外側に折り曲げてある。この状態ならば、ごみ取りの時には巻取りテープ1と一緒に掌の中に収められるのでごみ取りの邪魔にはならない。しかし使わないときには図4のごとく、カバーシートは22B,23Bで反対側に曲げ、供給テープ3のテープの粘着面を保護する。これによってテープパックをハンドバックに収納したときでも粘着面が他の物体に付着するのを防ぐことが出来る。カバーシートの両端に少し大きめの幅の耳を持たせ、テープの粘着面を保護した時にこの耳部も折り曲げると供給テープの側面部も保護することが出来る。
【0014】
テープの粘着力がなくなって巻取りテープを半回転回転して巻き取ったときであるが、このときカバーシートは図3とは反対方向に曲げる必要がある。即ちカバーシートはテープを半回転巻き取るごとに反対方向に曲げる必要がある。したがって少なくともカバーシートの接合部は前後に折り曲げることが出来る柔軟な材料である。たとえば薄手の紙、布,フィルムなどである。また、カバーシートは供給板と別部品である必要はなく、たとえば厚手の紙を使って供給板と一体で作ってもよく、または供給板、カバーシート、供給板の付け根のところ22を3体に分割して作ることも可能である。カバーシートの構造、材料について限定するものではない。
【0015】
本発明では携帯に便利な薄型の粘着性テープパットを提供することが出来た。全体が使い捨ての器具であるから環境に優しく処分しやすいものが良い。その点からは全てを紙製にするのが理想的である。しかし用途によっては性能、使いやすさなどからプラスチックの方がよい場合もあるのでケースバイケースの選択が良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例形態としてテープパットの外観図である。
【図2】テープパットの断面図である。
【図3】使用時のカバーシートがついた構造図である。
【図4】格納時のカバーシートの状態図である。
【符号の説明】
【0017】
1 巻取テープ
3 供給テープ
5 テープ
20 カバー板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性の表面と剥離性の裏面を有する長いテープと短冊状の供給板と短冊状の巻取板とからなり、供給板に粘着テープの一端を粘着面を外にして固定してテープ全長を巻きつけて供給テープとなし、巻取板は供給板とほぼ同じ幅であり粘着テープの他端を剥離面を外にして固定してテープを巻きつけて巻取テープとなし、供給テープと巻取テープを重ね合わせた粘着テープパット。
【請求項2】
巻取板は供給板より幅が狭いことを特徴とする請求項1の粘着テープパット。
【請求項3】
短冊状の供給板に、又は短冊状の巻取板に略同じ大きさのカバーシートを折り曲げ可能なように取り付け、供給板に巻かれたテープの粘着面を覆うようにした請求項1の粘着テープパット。
【請求項4】
供給板、巻取り板、およびカバーシートのすべて又は一部は紙製である請求項1の粘着テープパット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−168094(P2008−168094A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−28568(P2007−28568)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(597103067)有限会社エフ・アンド・エフ (18)
【Fターム(参考)】