説明

粘着式清掃具用スタンド

【課題】粘着式清掃具をワンタッチで簡単に保管することできる粘着式清掃具用スタンドを提供する。
【解決手段】床面に載置されるベース板2の上面に粘着テープロール13が載置される載置面4が、清掃用粘着テープロール13のロール端部を支持するように船底状に形成され、かつ、その両端を側板3,3で保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃用粘着テープロールを有する粘着式清掃具を自立した状態で保管する粘着式清掃具用スタンドに関し、さらに詳しく言えば、上記粘着式清掃具をワンタッチで確実に着脱可能な粘着式清掃具用スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットなどに付着したゴミを除去する清掃具の1つに粘着式清掃具がある。この種の粘着式清掃具は、一方の面に粘着面が形成された粘着テープを、その粘着面が表側に向くように巻回された粘着テープロールがシャフトの一端に回転可能に軸支され、他端に把持用のグリップを有し、被清掃面の上で粘着テープロールを転がすことで、ゴミを粘着面で捕捉するようになっている。
【0003】
ところで、この種の粘着テープロールによる粘着式清掃具は、粘着面が常に露出しているため、そのまま床に置いたりすると、粘着面が床面に貼り付いてしまう。そこで、特許文献1に記載の粘着式清掃具では、清掃具本体側に上カバーを取り付け、これに合致する下カバーを被設置面上に置き、下カバーの上に上カバーを乗せることで、粘着テープロールを宙づりした状態のまま、保管できるようにした。
【0004】
これによれば、粘着面が床面に貼り付くことなく、ワンタッチで着脱することができる。しかしながら、特許文献1に記載の粘着式清掃具によると、上カバーが清掃具本体に一体的に取り付けられているため、粘着テープロールの着脱が面倒であった。さらには、上カバーと下カバーをそれぞれ用意する必要があるため、生産コストの面でも好ましくない。
【0005】
そこで、特許文献2では、清掃具本体側に所定の回転軸を中心に開閉する一つのカバー部片を設け、カバー部片を閉じた状態では、カバー部片の先端が床面に当接して粘着テープロールの粘着面を床面から持ち上げて非接触となるようにしている。
【0006】
これによれば、本体側に設けられたカバーを閉じることで、粘着テープロールの粘着面が床面から持ち上げれ、床に貼り付くことなく、長期にわたって保管することができる。しかしながら、清掃時には、各カバー部片をそれぞれ開く必要があり、その操作が面倒である。さらに、この場合もカバーが清掃具本体側に設けられているため、組み立て工数やコストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平6−85660号公報
【特許文献2】特開平9−75293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、粘着テープロールを有する粘着式清掃具を、その粘着面を非接触として自立状態で保管することができる粘着式清掃具用スタンドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。シャフトの一端側に手によって把持されるグリップを備え、上記シャフトの他端側には、一方の面に粘着面を有する粘着テープを、上記粘着面が表側を向くように巻回された清掃用粘着テープロールが回転可能に支持される粘着式清掃具を、自立した状態で保管する粘着式清掃具用スタンドにおいて、所定の被設置面上に載置されるベース板と、上記ベース板の両端から立設され、上記清掃用粘着テープロールの側端面に対向的に配置される一対の側板とを含み、少なくとも一方の上記側板には、上記シャフトの一部を支持するシャフト支持部が設けられており、上記ベース板には、上記清掃用粘着テープロールの両端の外周端縁に当接して、上記清掃用粘着テープロールを支持する支持部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
より好ましい態様として、上記支持部は、上記清掃用粘着テープロールの外周端縁に当接する一対の傾斜面からなり、上記傾斜面は、その始点が上記粘着テープロールの外周端よりも内側に配置され、その終点が上記粘着テープロールの外周端よりも外側に配置されており、上記始点から上記終点に向けて所定の上り勾配で傾斜していることを特徴としている。
【0011】
さらに好ましい態様として、上記傾斜面は所定曲率の湾曲面であることを特徴としている。
【0012】
上記傾斜面はさらに、上記清掃用粘着テープロールの上記回転軸線を挟んで対向する谷状に形成されていることを特徴としている。
【0013】
また、上記ベース板の表面から所定深さで形成される凹部を有し、上記凹部の両端が上記各側板方向に向かって漸次浅くなるように上記傾斜面を形成していることを特徴としている。
【0014】
より好ましい態様して、上記清掃用粘着テープロールは、両端に非粘着なドライエッジ部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
シャフトの一端側に手によって把持されるグリップを備え、上記シャフトの他端側には、一方の面に粘着面を有する粘着テープを、上記粘着面が表側を向くように巻回された清掃用粘着テープロールが回転可能に支持される粘着式清掃具を、自立した状態で保管する粘着式清掃具用スタンドにおいて、所定の被設置面上に載置されるベース板と、上記ベース板の両端から立設され、上記清掃用粘着テープロールの側端面に対向的に配置される一対の側板とを含み、少なくとも一方の上記側板には、上記シャフトの一部を支持して、上記シャフトをほぼ垂直に支持するシャフト支持部が設けられており、上記ベース板には、上記清掃用粘着テープロールの両端の外周端縁に当接して、上記清掃用粘着テープロールを支持する支持部が設けられていることにより、粘着テープロールを、その両端の外周端に当接して支持するようにしたことにより、粘着面が貼り付ついてスムーズな出し入れを阻害することを防止することができる。
【0016】
上記支持部は、上記清掃用粘着テープロールの外周端縁に当接する一対の傾斜面からなり、上記傾斜面は、その始点が上記粘着テープロールの外周端よりも内側に配置され、その終点が上記粘着テープロールの外周端よりも外側に配置されており、上記始点から上記終点に向けて所定の上り勾配で傾斜していることにより、粘着テープロールの外周端縁を確実に支持することができる。
【0017】
さらに好ましい態様として、上記傾斜面は所定曲率の湾曲面であることにより、上記粘着テープロールの外周端縁の接触面積を減らすことができる。
【0018】
上記傾斜面はさらに、上記清掃用粘着テープロールの上記回転軸線を挟んで対向する谷状に形成されていることにより、上記粘着テープロールの外周端縁に対して点接触で接触するため、さらに接触面積を減らすことができ、よりスムーズな出し入れが可能となる。
【0019】
また、上記ベース板の表面から所定深さで形成される凹部を有し、上記凹部の両端が上記各側板方向に向かって漸次浅くなるように上記傾斜面を形成していることにより、粘着式清掃具を取り付けたことにより、その位置が低重心となることで、より安定性を増すことができる。
【0020】
より好ましい態様として、上記清掃用粘着テープロールは、両端に非粘着なドライエッジ部を有することにより、粘着テープロールの外周端縁が非粘着であることで、さらにスムーズな取り出しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る粘着式清掃具用スタンドの斜視図。
【図2】上記粘着式清掃具用スタンドの正面図。
【図3】上記粘着式清掃具用スタンドの平面図
【図4】上記粘着式清掃具用スタンドの底面図。
【図5】上記粘着式清掃具用スタンドの側面図。
【図6】上記粘着式清掃具用スタンドの図2のA−A線断面図。
【図7】上記粘着式清掃具用スタンドの図3のB−B線断面図。
【図8】上記粘着式清掃具用スタンドに粘着式清掃具を装着した状態の(a)A−A線断面図および(b)B−B線断面図。
【図9】(a)粘着テープロールが最大径Dmaxのときの図7のC−C線断面図,(b)粘着テープロールが最小径Dminのときの図7のC−C線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
図1〜図5に示すように、この粘着式清掃具用スタンド1(以下、単にスタンド1と称す)は、図示しない床などの被設置面に設置されるベース板2と、同ベース板2の長手方向の両端(図2では左右両端)からほぼ垂直に立設された一対の側板3,3とを備えている。
【0024】
このスタンド1は、図8に示すように、粘着式清掃具10を専用に保持するものである。粘着式清掃具10は、金属製のシャフト11の一端に手で把持されるグリップ12を有し、シャフト11の他端には、図示しない回転支持ローラを介して粘着テープロール13が回転可能に支持されている。
【0025】
この例において、粘着テープロール13は、粘着面13aが表側を向くように形成された粘着テープを図示しない巻芯に沿って多重に巻回した清掃用の粘着テープロール13である。この粘着テープロール13の両端には、粘着力を有さない非粘着のドライエッジ部13b,13bが設けられている。
【0026】
この実施形態において、スタンド1は、合成樹脂の一体成型品からなるが、その材質や成形方法などについては、仕様に応じて任意に選択されてよい。すなわち、金属製であってもよいし、ベース板2と側板3,3とが別体で構成され、後から組み合わせたものであってもよい。
【0027】
ベース板2は、扁平な長方形状を呈し、その上面(図2では上面)は、粘着式清掃具10(図8参照)の載置面4が設けられている。この例において、ベース板2は、縦74mm×横205mmの長方形状で、粘着テープロール13の軸長Lは160mmで、幅は最大外径Dmaxが60mm、最小外径Dminが40mmである。
【0028】
図4に示すように、ベース板2は、軽量化や低コスト化を図るため肉抜きされており、底面には、それを補うリブ21が格子状に形成されている。この例において、ベース板2の底面は、肉抜きされた状態が剥き出しとなっているが、化粧板を用いて塞いでもよい。
【0029】
図6および7を併せて参照して、載置面4は、ベース板2の上面から下に向かって凹まされた凹部からなり、図3に示すように、載置面4は、中央の開口幅W1よりも側板3,3側の開口幅W2が漸次小さくなるように形成されている。載置面4は同様に、その深さも側板3,3方向に向かうにつれて漸次小さくなるように形成されている。
【0030】
載置面4の両端には、各側板3,3側に向かって傾斜する一対の傾斜面41,41が設けられている。図7に示すように、傾斜面41は、始点Paが粘着テープロール13の軸端131よりも内側に配置され、終点Pbが粘着テープロール13の軸端131よりも外側に配置され、それらが所定の上り勾配で形成されている。
【0031】
これによれば、粘着テープロール13の外周端縁が当接する当接点Pが、傾斜面41の始点Paと終点Pbとの間に必ず位置するようになる。したがって、粘着テープロール13の粘着面13aがベース板2の表面に貼り付くことなく、粘着テープロール13をスムーズに取り出すことができる。
【0032】
傾斜面41,41はさらに、所定曲率で湾曲された湾曲面からなり、より好ましくは、傾斜面41,41は、粘着テープロール13の軸線を中心軸として、互いに対向する谷状に形成されている。
【0033】
この例において、傾斜面41,41は、立体的な谷状、いわゆる船底状(樽型状)に形成されている。また、載置面4の開口幅は、中央部をW1、両端部をW2としたとき、W1>W2となるように形成されている。また、両端側の開口幅W2は、粘着テープロール13の清掃可能な有効最小径よりも大きく設定されている。
【0034】
これによれば、図9(a)に示すように、粘着テープロール13が最大外径Dmaxの状態では、粘着テープロール13の外周端縁131が常に載置面4の稜線上の4ヶ所の接点P1の上で点接触で支持されることになる。したがって、粘着テープロール13が重い状態では4点で支持されることで、より安定した自立状態で保持できる。また、粘着面13aのベース板2の表面に対する接触面積が減ることで、粘着式清掃具10の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0035】
また、図9(b)に示すように、粘着テープロール13が最小外径Dminの状態では、載置面4の2ヶ所の接点P2,P2上で点接触によって保持される。これによれば、最小外径Dminでは、粘着テープロール13の重さも軽いため、2点で支持しても安定して自立状態を維持できる。
【0036】
この例において、載置面4の表面には特に何も何も加工されていないが、より好ましくは、エンボス加工やフッ素加工などの易剥離加工を施して、粘着面がより剥がれやすくなるように工夫してもよい。
【0037】
次に、側板3,3について説明するが、側板3,3は左右対称形状であるため、いずれか一方のみについて説明する。側板3は、基端側がベース板4の幅とほぼ同幅であって、上端側に向かうにつれて幅が漸次小さくなる三角形状を呈し、その先端側は丸く湾曲している。
【0038】
側板3の内周面(粘着テープロール13の端面と対向する面)には、粘着式清掃具10のシャフト11の一部(図8の垂直部11a)を支持する支持溝31が設けられている。この例において、各側板3,3の間隔は、上記粘着テープロール13の軸長Lよりも若干大きく形成されている。
【0039】
支持溝31は、側板3の上端側に向けて開放された導入部32と、導入部31の下端からベース板2の上面までほぼ垂直に形成された保持部33とを備えている。導入部32は、下端が保持部33に接続され、上端側に向かうにつれて開口幅が漸次大きくなるV字状に形成されている。
【0040】
これによれば、導入部32の入口が大きく開口され、保持部33に向かうにつれて開口幅が狭くなっていることにより、より粘着式清掃具10が取り付けやすくなっている。この例において、支持溝31は、各側板3,3の両方に設けられており、いずれの方向からも粘着式清掃具10が置けるようになっている。
【0041】
このスタンド1を使用するに当たっては、至って簡単に、スタンド1を任意の床面(被設置面)に置き、粘着式清掃具10をスタンド1の上から支持溝31にシャフト11の垂直部11aを差し込むことによって、ワンタッチで設置することができる。
【0042】
この例において、スタンド1は、一般的な粘着テープロール13の長さ160mmの規格サイズを例に取って説明したが、これ以外に、ペット用や衣類用のミニタイプ(長さ100mm)や、240mmのロングタイプなどの粘着テープロール13を使用する粘着式清掃具10に用いられてもよく、その場合は、ベース板2の長さが各粘着テープロール13の長さに合わせて調節されてよい。
【0043】
さらには、ベース板2の一部を伸縮式として、粘着テープロール13のサイズに合わせて伸縮可動可能としてもよい。また、直径が100mmを超えるロングライフタイプの粘着テープロールに合わせて、ベース板2と側板3,3の幅を広幅としたタイプも本発明に含まれてよい。
【符号の説明】
【0044】
1 粘着式清掃具用スタンド
2 ベース板
3,3 側板
31 支持溝
32 導入部
33 保持部
4 載置面
10 粘着式清掃具
11 シャフト
11a 垂直部
12 グリップ
13 粘着テープロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの一端側に手によって把持されるグリップを備え、上記シャフトの他端側には、一方の面に粘着面を有する粘着テープを、上記粘着面が表側を向くように巻回された清掃用粘着テープロールが回転可能に支持される粘着式清掃具を、自立した状態で保管する粘着式清掃具用スタンドにおいて、
所定の被設置面上に載置されるベース板と、上記ベース板の両端から立設され、上記清掃用粘着テープロールの側端面に対向的に配置される一対の側板とを含み、少なくとも一方の上記側板には、上記シャフトの一部を支持して、上記シャフトをほぼ垂直に支持するシャフト支持部が設けられており、上記ベース板には、上記清掃用粘着テープロールの両端の外周端縁に当接して、上記清掃用粘着テープロールを支持する支持部が設けられていることを特徴とする粘着式清掃具用スタンド。
【請求項2】
上記支持部は、上記清掃用粘着テープロールの両端の外周端縁に当接する一対の傾斜面からなり、上記傾斜面は、その始点が上記粘着テープロールの外周端よりも内側に配置され、その終点が上記粘着テープロールの外周端よりも外側に配置されており、上記始点から上記終点に向けて所定の上り勾配で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の粘着式清掃具用スタンド。
【請求項3】
上記各傾斜面はさらに、所定曲率の湾曲面であることを特徴とする請求項2に記載の粘着式清掃具用スタンド。
【請求項4】
上記各傾斜面はさらに、上記清掃用粘着テープロールの上記回転軸線を挟んで対向する谷状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の粘着式清掃具用スタンド。
【請求項5】
上記ベース板の表面から所定深さで形成される凹部を有し、上記凹部の両端が上記各側板方向に向かって漸次浅くなるように上記傾斜面を形成していることを特徴とする請求項2または3に記載の粘着式清掃具用スタンド。
【請求項6】
上記清掃用粘着テープロールは、両端に非粘着なドライエッジ部を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粘着式清掃具用スタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106852(P2013−106852A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255348(P2011−255348)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(390003562)株式会社ニトムズ (64)
【Fターム(参考)】