説明

粘着性ハイドロゲル、並びに、それを用いた粘着性ゲルシート及び電極パッド

【課題】加工性及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲル、並びに、それを用いた粘着性ゲルシート及び電極パッドを提供する。
【解決手段】粘着性ハイドロゲルは、厚み0.75mmの粘着性ゲルシートに成形し裁断して2枚の25mm×40mmの試験体シートを作製し、該試験体シートをそれぞれ上側冶具1および下側冶具2の互いに対向する曲率半径R=7.5mmの円柱面1a及び2a上に各試験体シートの長さ方向の中心線が水平となるように固定し、2Nの荷重で30秒間試験体シート同士を押し付けた後、50μm/secの速度で上側冶具1を鉛直方向上向きに移動させることによって試験体シート同士を引き剥がしたときの剥離荷重を測定して剥離荷重の時間変化曲線を作成し、該剥離荷重の時間変化曲線と時間軸との間に挟まれた部分の面積値を加工性評価値として算出する加工性評価方法により得られた加工性評価値が、4.0〜20.0[N・sec]の範囲内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な粘着性ハイドロゲルの加工性の評価方法により得られる加工性評価値が所定の数値範囲にあり、加工性(特にカス取り適性)及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲル、並びに、それを用いた粘着性ゲルシート及び電極パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粘着性ハイドロゲルは、生体用電極、工業計測用電極等の電極を構成する粘着性導電部位に用いる導電性の粘着性ゲルシート(シート状の粘着性ハイドロゲル)として、また、生体を初めとする各種の被着体に貼付される経皮吸収製剤や化粧品パック材等を構成する粘着性ゲルシートとして、用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
このような粘着性ゲルシートは、一般に、製造時に、それが貼付けられる被着体の形状、被着体の貼付け部位の形状などに応じて、実使用時に適した形状へと打ち抜き加工または裁断加工が行われ、製品として販売されている。
【0004】
このような粘着性ゲルシートは、一般に、基材層上に粘着性ハイドロゲルからなるゲル層が形成され、ゲル層上にPETフィルム等の保護フィルムが形成された構成となっている。
【0005】
このような構成を有する粘着性ゲルシートの打ち抜き加工工程では、まず、保護フィルム表面から基材層とゲル層との界面まで切削刃(例えばトムソン刃)を入れて(基材層を切断することなく)保護フィルム及びゲル層のみを切断する処理、いわゆる“ハーフカット”により、粘着性ゲルシートの内部領域の保護フィルム及びゲル層を所望の形状に打ち抜く(以下、この処理を「打ち抜き」という)。次いで、この打ち抜きにより生じる、打ち抜かれた粘着性ゲルシート(製品となる部分)を囲む、枠部分(余白部分)の不要な保護フィルム及びゲル層(以下、「カス部分」という)を剥ぎ取る(以下、この処理を「カス取り」という)。
【0006】
また、上記構成を有する粘着性ゲルシートの裁断加工工程では、まず、最初に製造された粘着性ゲルシート(原反)を切削刃によって裁断することによって所望の形状に加工する。例えば、広幅の粘着性ゲルシートを幅の狭い製品にスリット加工する。次いで、この裁断により生じる、裁断された所望形状の粘着性ゲルシート(製品となる部分)以外の、不要な粘着性ゲルシート(以下、「カス部分」という)を取り除く(以下、この処理も「カス取り」という)。
【0007】
しかしながら、上記した従来の打ち抜き加工や裁断加工を行うときには、次のような問題が発生することがある。
【0008】
まず、粘着性ゲルシートを打ち抜き加工して製品を製造する際には、打ち抜かれた粘着性ゲルシートの側面とカス部分の側面とが再接着してしまって、カス部分を剥ぎ取ったときに、打ち抜かれた粘着性ゲルシートがカス部分と一緒に剥ぎ取られてしまう不都合な現象が発生することがある。同様に、粘着性ゲルシートを裁断加工して製品を製造する際には、裁断された粘着性ゲルシートの側面とカス部分の側面とが再接着してしまって、カス部分の除去に失敗する現象が発生することがある。
【0009】
また、粘着性ゲルシートを打ち抜き加工又は裁断加工して製品を製造する際、切削刃に粘着性ゲル片が付着してしまう不都合な現象が発生することがある。このような現象が発生すると、粘着性ゲルシートの側面が荒れた表面になったり、打ち抜き加工又は裁断加工により得られる製品(打ち抜かれた粘着性ゲルシート又は裁断された粘着性ゲルシート)の側面がギザギザ状に荒れたり、著しく外観品質が損なわれるという問題を発生させる結果となる。
【0010】
そのため、粘着性ゲルシートの打ち抜き加工段階にあっては、粘着性ゲルシートを打ち抜く際の(1)打ち抜き適性(打ち抜きの際に、切削刃に粘着性ゲル片が付着する現象が発生しにくい特性)と、打ち抜いた粘着性ゲルシートからカス部分を取り除く際の(2)カス取り適性(カス取りの際に、打ち抜かれた粘着性ゲルシートの側面同士が再接着しにくい特性)、の2つの加工性が粘着性ゲルシートに要望される。同様に、粘着性ゲルシートの裁断加工段階にあっては、粘着性ゲルシートを裁断する際の(1)裁断適性(裁断の際に、切削刃に粘着性ゲル片が付着する現象が発生しにくい特性)と、裁断された粘着性ゲルシートからカス部分を取り除く際の(2)カス取り適性(カス取りの際に、裁断された粘着性ゲルシートの側面同士が再接着しにくい特性)、の2つの加工性が粘着性ゲルシートに要望される。本明細書では、これら2種類の加工性を併せて加工性と称する。
【0011】
従来より、粘着性ゲルシートの物性を評価する方法として、JIS Z 0237の試験方法が知られている。従来、JIS Z 0237の試験方法により測定される粘着性ゲルシートの粘着力を低く調整することで、カス取りの際に、分断された粘着性ゲルシート(必要な貼付け部位)がカス部分と一緒に剥がれてしまうことを防いでいた。しかしながら、この試験方法のみでは、粘着性ゲルシートのカス取り適性の良し悪しを適切に評価するのは困難であった。すなわち、カス取りの際に、分断された粘着性ゲルシート(必要な貼付け部位)がカス部分と一緒に剥がれてしまう現象の起こり易さは、JIS Z 0237の試験方法により測定される粘着性ゲルシートの粘着力からは予測できない。
【0012】
そのため、実際の打ち抜き加工又は裁断加工の現場では、加工ラインに、試作した粘着性ゲルシートを投入して打ち抜き加工又は裁断加工を行い、その打ち抜き適性又は裁断適正とカス取り適性との良し悪しを評価していた。なお、この評価方法は、出願人が過去に実施したものであり、文献公知発明ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−081816号公報
【特許文献2】特開2010−163398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、粘着性ハイドロゲルを成形してなる粘着性ゲルシートを実際の加工ラインに投入して、加工性を評価する上記従来の評価方法では、稼動中の加工ラインをわざわざ停止して試験をしなくてはならない。そのため、上記従来の評価方法は、(1)手間が掛かる、(2)評価のために使用され廃棄される試験用の粘着性ハイドロゲルの量が多いので、材料のロスが大きい、(3)粘着性ハイドロゲルのロットごとの差(ロットぶれ)を事前に評価し管理することが難しいため、使用するロットが変わる度に手間の掛かる評価を繰り返す必要がある、という問題があり、簡便でなかった。
【0015】
そのため、カス取り適性等の加工性に優れた粘着性ハイドロゲルが望まれている。加工性(特にカス取り適性)に優れた粘着性ハイドロゲルを実現する上で、その加工性をどのような方法で評価するかが非常に重要であり、粘着性ゲルの加工性(特にカス取り適性)を定量的かつ簡便に評価できる方法を確立することが求められている。
【0016】
また、上述したように、上記従来の評価方法では、加工性(特にカス取り適性)を定量的かつ簡便に評価することができなかったために、従来、加工性(特にカス取り適性)及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲルを実現することができなかった。
【0017】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、加工性(特にカス取り適性)及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲル、並びに、それを用いた粘着性ゲルシート及び電極パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粘着性ハイドロゲルを成形してなる粘着性ゲルシートを実際の加工ラインに投入して加工性(特にカス取り適性)を評価しなくとも、粘着性ハイドロゲルの加工性(特にカス取り適性)を定量的かつ簡便に評価でき、加工ライン等における粘着性ゲルシートの加工性(特にカス取り適性)の優劣を予測できる新規な粘着性ゲルシートの加工性の評価方法を見出し、さらに、この評価方法による評価結果を利用して、加工性(特にカス取り適性)及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲルを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明の粘着性ハイドロゲルは、上記の課題を解決するために、粘着性ハイドロゲルを厚み0.75mmの粘着性ゲルシートに成形し、該粘着性ゲルシートを裁断して2枚の25mm×40mmの試験体シートを作製し、得られた2枚の試験体シートをそれぞれ、曲率半径が7.5mmである互いに対向する円柱面を有する上側冶具および下側冶具のそれぞれの円柱面上に各試験体シートの長さ方向に沿った中心線が水平となるように固定し、2Nの荷重で30秒間試験体シート同士を押し付けた後、50μm/secの速度で上側冶具を鉛直方向上向きに移動させることによって試験体シート同士を引き剥がしたときの剥離荷重を引き剥がし開始時点から引き剥がし終了時点まで測定して剥離荷重の時間変化曲線を作成し、該剥離荷重の時間変化曲線と時間軸との間に挟まれた部分の面積値を加工性評価値として算出する加工性評価方法により得られた加工性評価値が、4.0〜20.0[N・sec]の範囲内であることを特徴としている。
【0020】
上記加工性評価方法により得られた加工性評価値は、粘着性ハイドロゲル同士の剥離荷重の大きさと、粘着性ハイドロゲル同士を完全に引き剥がすのに必要な剥離時間の長さとを総合的に評価できる指標であるため、粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が小さいほど加工性(特にカス取り適性)が高く、加工性評価値が高いほど皮膚等に貼り付ける際の粘着力が強い。本発明の粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が20.0[N・sec]以下であるので、加工性(特にカス取り適性)に優れており、かつ、加工性評価値が4.0[N・sec]以上であるので、皮膚等に貼り付ける際の粘着力に優れている。
【0021】
本発明の粘着性ゲルシートは、上記の課題を解決するために、上記の本発明の粘着性ハイドロゲルを用いてなることを特徴としている。
【0022】
上記構成によれば、加工性(特にカス取り適性)及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲルを用いてなるので、加工性(特にカス取り適性及び粘着性の両方に優れている。
【0023】
本発明の電極パッドは、上記の課題を解決するために、上記の本発明の粘着性ハイドロゲルを用いてなることを特徴としている。
【0024】
上記構成によれば、加工性(特にカス取り適性及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲルを用いてなるので、加工性(特にカス取り適性)及び粘着性の両方に優れている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、加工性(特にカス取り適性)及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲル、並びに、それを用いた粘着性ゲルシート及び電極パッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】加工性評価値の測定に用いる治具の一例を示す斜視図である。
【図2】剥離荷重−時間曲線の例を示すグラフである。
【図3】実施例及び比較例における加工性の評価方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の粘着性ハイドロゲルは、本願発明者等が見出した新規な加工性評価方法により得られた加工性評価値が所定の数値範囲内にあるものである。
【0028】
上記加工性評価方法は、粘着性ハイドロゲルを厚み0.75mmの粘着性ゲルシートに成形し、該粘着性ゲルシートを裁断して2枚の25mm×40mmの試験体シートを作製し、得られた2枚の試験体シートをそれぞれ、曲率半径が7.5mmである互いに対向する円柱面を有する上側冶具および下側冶具のそれぞれの円柱面上に各試験体シートの長さ方向に沿った中心線が水平となるように固定し、2Nの荷重で30秒間試験体シート同士を押し付けた後、50μm/secの速度で上側冶具を鉛直方向上向きに移動させることによって試験体シート同士を引き剥がしたときの剥離荷重を引き剥がし開始時点から引き剥がし終了時点まで測定して剥離荷重の時間変化曲線を作成し、該剥離荷重の時間変化曲線と時間軸との間に挟まれた部分の面積値を加工性評価値として算出する方法である。
【0029】
上記加工性評価方法の一例について、図1及び図2に基づいてさらに詳細に説明する。
【0030】
本例に係る加工性評価方法は、動的粘弾性測定装置(商品名「Physica MCR 301」、Anton Paar社製)を使用する。また、本例に係る加工性評価方法は、図1に示す治具を使用する。上記治具は、図1に示すように、上側治具1と下側治具2とで構成されており、上側治具1及び下側治具2は各々、半径R、長さLの半円柱部分と、高さH、幅2R、長さLの直方体部分とで構成され、半円柱部分の矩形面と直方体部分の1つの矩形面(幅2R、長さLの矩形面)とが接合された形状となっている。上側治具1及び下側治具2は、曲率半径Rの互いに対向する円柱面1a及び2aを有している。曲率半径(半径)Rは7.5mmであり、幅2Rは15mmであり、高さHは7.5mmである。長さLは、後述する試験体シートの長さ(40mm)に等しい。なお、高さHは、試験体シートの固定に不都合が生じない限り、任意に変更可能である。上側治具1及び下側治具2は、ステンレス鋼で形成されている。
【0031】
本例に係る加工性評価方法では、まず、粘着性ハイドロゲルを厚み0.75mmの粘着性ゲルシートに成形する。次いで、粘着性ゲルシートを25mm×40mmの大きさに裁断(カット)し、2枚の幅25mm×長さ40mmの試験体シートを作製する。次いで、得られた2枚の試験体シートをそれぞれ、試験体シートの幅方向両端部を上側治具1及び下側治具2の側面(高さH、長さLの平面部分)にねじ止め式の圧着治具で圧着することによって、上側冶具1および下側冶具2のそれぞれの円柱面1a及び円柱面2a上に固定させる。この固定の際、上側冶具1及び下側冶具2を、上側冶具1の矩形面(上面)及び下側冶具2の矩形面(下面)が水平となるように互いに離間させ、各試験体シートを、各試験体シートの長さ方向が上側治具1及び下側治具2の長さ方向に一致し、各試験体シートの長さ方向に沿った中心線が水平となり、上側冶具1及び下側冶具2の円柱面1a及び2aの全体が試験体シートで覆われるように、円柱面1a及び円柱面2a上に固定する。その後、上側冶具1及び下側冶具2を鉛直方向に沿って互いに接近させることによって、2Nの荷重で30秒間試験体シート同士を押し付ける。
【0032】
その後、50μm/secの速度で上側冶具1を鉛直方向上向きに移動させることによって、試験体シート同士を引き剥がしていく。そして、このときの剥離荷重(引き剥がしの際にかかる荷重)Fを、少なくとも引き剥がし開始時点(上側冶具1の移動を開始した時点)から引き剥がし終了時点(試験体シート同士が完全に引き剥がされる時点)まで連続的に(例えば1秒間隔で)測定し、図2に示すような剥離荷重Fの時間tに対する変化を表す曲線(時間変化曲線)A又はBを示すF−t(剥離荷重−時間)グラフを作成する。そして、このグラフにおける剥離荷重Fが0以下の部分の面積値、すなわち剥離荷重の時間変化曲線A又はBと時間軸(t軸)との間に挟まれた部分(図2における、時間変化曲線Aのハッチングを付した部分、及び時間変化曲線Bのドットを付した部分)の面積値(積分近似値)Sを動的粘弾性測定装置の解析ソフトにより算出し、この面積値Sを加工性評価値として用いる。なお、剥離荷重Fが0以下とは、荷重がかかっていない状態であるか、又は、鉛直方向上向きに荷重がかかっている状態を意味する。
【0033】
この加工性評価値は、粘着性ハイドロゲル同士の引き剥がしに必要な荷重(凝集力)の大きさと、粘着性ハイドロゲル同士を完全に引き剥がすのに必要な時間(剥離時間)の長さとを総合的に評価できる指標である。そのため、この加工性評価値は、粘着性ゲルシートの打ち抜き又は裁断を行った後、打ち抜き又は裁断された粘着性ゲルシートからカス部分を剥がす際に、製品となる打ち抜き又は裁断された粘着性ゲルシートがカス部分と共に剥がれてしまう不都合な現象が発生する確率の高さを示す。したがって、粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が小さいほど加工性(特にカス取り適性)が高い。また、粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が高いほど、皮膚等に貼り付ける際の粘着力が強い。
【0034】
なお、時間変化曲線Aは、加工性評価値(面積値S)が比較的小さい粘着性ハイドロゲルの剥離荷重−時間曲線の例であり、時間変化曲線Bは、加工性評価値(面積値S)が比較的小さい粘着性ハイドロゲルの剥離荷重−時間曲線の例である。また、図1のグラフにおいて、時間変化曲線の左端は、引き剥がし開始時点で粘着性ハイドロゲル同士が線で接触している状態を示し、時間変化曲線における剥離荷重Fが0より小さい部分は、粘着性ハイドロゲル同士が粘着により糸引きしている状態を示し、時間変化曲線の右側の剥離荷重が0で一定となっている部分は、試験体シート同士が完全に引き剥がされた状態を示している。
【0035】
また、本例に係る加工性評価方法では、試験体シートの長さ(40mm)に等しい長さLを持つ上側治具1及び下側治具2を用いたが、試験体シートの長さ(40mm)より長い長さLを持つ上側治具1及び下側治具2を用い、上側治具1及び下側治具2の円柱面1a及び2aの長さ方向に沿った中央部にのみに試験体シートを固定してもよい。
【0036】
本発明の粘着性ハイドロゲルは、上記加工性評価方法により得られた加工性評価値(面積値S)が4.0〜20.0[N・sec]の範囲内であるが、加工性評価値が6.0〜15.0[N・sec]であることが好ましい。粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が4.0[N・sec]未満であると、加工性(特にカス取り適性)は良好であるものの、皮膚等に貼り付ける際に必要な粘着力が得られない。また、粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が20.0[N・sec]より大きいと、粘着性ハイドロゲルを剥離する際に、糸曳きが大きくなるため、加工性(特にカス取り適性)が悪化してしまう。すなわち、例えば、粘着性ハイドロゲルを粘着性ゲルシートに成形し、粘着性ゲルシートの打ち抜き又は裁断を行った後、カス取りを行うときに、分断された粘着性ゲルシートの側面同士が再接着してしまって互いに引き剥がされにくい状態となる。そのため、打ち抜き又は裁断された粘着性ゲルシートからカス部分を剥がす際に、打ち抜き又は裁断された粘着性ゲルシート(製品)がカス部分と共に剥がれてしまう不都合な現象が高い確率で生じてしまう。
【0037】
〔粘着性ハイドロゲル〕
本発明の粘着性ハイドロゲルは、高分子マトリックス形成材が重合されてなる高分子マトリックスと、水と、多価アルコールとを含み、前記高分子マトリックス形成材は、(a)炭素数が3〜4のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、及び、炭素数が4〜5のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種(以下、適宜、「(a)成分」と称する)と、(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体(以下、適宜、「(b)成分」と称する)と、(c)ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン誘導体、N−ビニル−2−カプロラクタム、及び、N−ビニル−2−バレロラクタムからなる群より選択される少なくとも1種(以下、適宜、「(c)成分」と称する)と、(d)架橋性単量体(以下、適宜、「(d)成分」と称する)とを含み、前記粘着性ハイドロゲルにおける前記(b)成分に由来する構造単位の含有量が、2〜20重量%の範囲内である構成であることが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、(a)成分を(b)成分および(c)成分と組み合わせて使用することによって、粘着性ハイドロゲルの加工性評価値が20.0[N・sec]以下となり易くなる。また、上記構成によれば、(b)成分を、粘着性ハイドロゲル中における(b)成分に由来する構造単位の含有量が2〜20重量%の範囲内となるように(a)成分および(c)成分と組み合わせて使用することによって、粘着性ハイドロゲルの加工性評価値が20.0[N・sec]以下となり易くなる。また、上記構成によれば、(c)成分を(a)成分および(b)成分と組み合わせて使用することによって、粘着性ハイドロゲルの加工性評価値が4.0[N・sec]以上となり易くなる。したがって、上記構成によれば、加工性評価値が4.0〜20.0[N・sec]の範囲内にあり、加工性(特にカス取り適性)および粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲルを容易に実現できる。
【0039】
また、上記構成の粘着性ハイドロゲルは、優れた繰返し粘着力を有するため、このハイドロゲルを用いて得られた粘着性ゲルシートや電極パッド等の製品は、従来の製品にはみられないような優れた繰返し粘着力を有し、製品寿命を延ばすことができる。そのため、経済的であり、また、使い捨ての頻度を減らすことにより、省資源化の一助になることが期待される。また、上記構成の粘着性ハイドロゲルは、皮膚からの剥離の際にも皮膚に赤みを帯びることが少なく、皮膚に対する刺激の少ないものである。
【0040】
上記高分子マトリックス形成材は、重合することによって高分子マトリックスを形成する材料である。上記高分子マトリックス形成材は、上記(a)成分、(b)成分、(c)成分、及び(d)成分を含んでいる。
【0041】
上記(a)炭素数が3〜4のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、及び、炭素数が4〜5のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種は、粘着性ハイドロゲルの骨格を形成する役割を有するものである。また、これらの化合物は、他の単量体(上記(b)成分、(c)成分、及び(d)成分)との親和性に優れるとともに、重合反応性が良好であるため、残存モノマーを低減することができる。
【0042】
上記(a)成分としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の炭素数3〜4のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の炭素数4〜5のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸;(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。上記(a)成分は、これらの化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記(a)成分は、特にこれらの化合物からなる群より選択される少なくとも1種である場合に、粘着性ハイドロゲルの骨格を形成する役割を有するものであり、他のモノマーとの親和性に優れるとともに、重合安定性が良好であり、残存モノマーを低減することができる。上記(a)成分としては、水溶解性が高く、製造を簡単にすることができる点で、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。なお、これらの化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、本明細書において、「(ポリ)エチレン」は、エチレン又はポリエチレンを意味し、「ポリエチレン」とは、エチレン単位を2〜10個備えた構造を意味する。また、本明細書において、「(ポリ)プロピレン」は、プロピレン又はポリプロピレンを意味し、「ポリプロピレン」とは、プロピレン単位を2〜10個備えた構造を意味する。また、本明細書において、「(ポリ)グリセリン」は、グリセリン又はポリグリセリンを意味し、「ポリグリセリン」とは、グリセリン単位を2〜10個備えた構造を意味する。
【0044】
本発明の粘着性ハイドロゲルにおける上記(a)成分に由来する構造単位の含有率は、特に限定されないが、2重量%以上であることが好ましく、また、20重量%以下であることが好ましい。上記(a)成分に由来する構造単位の含有率が2重量%以上である場合、粘着性ハイドロゲルの加工性評価値がさらに小さくなって、粘着性ハイドロゲルの加工性(特にカス取り適性)がさらに向上する。上記(a)成分に由来する構造単位の含有率が20重量%を超えると、上記高分子マトリックス形成材の重合時に未反応物が発生するため、後処理工程が煩雑となったり、粘着性ハイドロゲルの品質が劣化したりすることがある。上記(a)成分に由来する構造単位の含有率は、8重量%以上であることがより好ましく、また、15重量%以下であることがより好ましい。
【0045】
上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体は、得られる粘着性ハイドロゲルに対して、特に皮膚に対して充分に固定可能な粘着力を付与するとともに、粘着性ハイドロゲルを皮膚から剥離する際には角質層を剥離させるのを抑制することで、皮膚が荒れるのを低減させる役割を有するものである。また、上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体は、粘着性ハイドロゲルを皮膚から剥離する際に角質層を剥離させないため、粘着性ハイドロゲルの繰返し粘着性を保つ役割も有する。
【0046】
上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体としては、架橋性単量体でないものであれば特に限定されず、例えば、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAA)塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)塩酸塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、及び、アクリロイルモルホリン等の、非電解質系の(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体等が挙げられる。上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体は、これらの化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記(b)成分は、特にこれらの化合物からなる群より選択される少なくとも1種である場合に、特に皮膚に対して充分に固定可能な粘着力を付与するとともに、粘着性ハイドロゲルを皮膚から剥離する際には角質層を剥離させるのを抑制することで、皮膚が荒れるのを低減させる役割を有するものである。上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体としては、特に、水及び多価アルコールへの溶解性が高いこと、および他の単量体(上記(a)、(c)、及び(d)の成分)と重合しやすいこと等の理由から、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)が好ましい。なお、これらの化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0047】
本発明の粘着性ハイドロゲルにおける上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位の含有率は、2重量%以上であることが好ましく、また、20重量%以下であることが好ましい。上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位の含有率が2重量%未満であると、粘着性ハイドロゲルの加工性評価値が20.0[N・sec]を超えて、粘着性ハイドロゲルの加工性(特にカス取り適性)が悪くなり易い。また、上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位の含有率が2重量%未満であると、理由については明らかではないが、粘着性ハイドロゲルを皮膚から剥離したときに、皮膚が荒れるとともに粘着力の低下が著しい。また、上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位の含有率が2重量%未満であると、上記高分子マトリックス形成材の重合時に他成分の未反応物が発生するため、後処理工程が煩雑となったり、粘着性ハイドロゲルの品質が劣化したりする。上記(b)に由来する構造単位の含有率が20重量%を超えると、粘着性ハイドロゲルの加工性評価値が20.0[N・sec]を超えて、粘着性ハイドロゲルの加工性(特にカス取り適性)が悪くなり易い。また、上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位の含有率が20重量%を超えると、粘着性ハイドロゲルを皮膚から剥離する際に角質層を剥離させるため、皮膚が荒れるとともに粘着力の低下が著しい。上記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位の含有率は、3重量%以上であることがより好ましく、また、10重量%以下であることがより好ましい。
【0048】
上記(c)ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン誘導体、N−ビニル−2−カプロラクタム、及び、N−ビニル−2−バレロラクタムからなる群より選択される少なくとも1種は、粘着性ハイドロゲルの粘着力及び弾性を向上させる役割を有するものである。上記ポリビニルピロリドン誘導体としては、特に限定されず、例えば、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、ビニルピロリドンとビニルアルコール(PVA)との共重合体、ビニルピロリドンとN−ビニル−2−カプロラクタムとの共重合体、ビニルピロリドンとN−ビニル−2−バレロラクタムとの共重合体、ビニルピロリドンとアクリル酸との共重合体(これら共重合体は、ランダム共重合体及びブロック共重合体の何れであってもよい)等が挙げられる。上記(c)成分としては、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン誘導体の少なくとも一方と、N−ビニル−2−カプロラクタム及びN−ビニル−2−バレロラクタムの少なくとも一方とを組み合わせて用いることがより好ましい。上記(c)成分としてN−ビニル−2−カプロラクタム及び/又はN−ビニル−2−バレロラクタムを用いると、得られる粘着性ハイドロゲルの粘度、粘着力を調整するとともに、粘着性ハイドロゲルを皮膚から剥離する際に角質層を剥離させるのを抑制することで、皮膚が荒れるのを低減させ、かつ、粘着性ハイドロゲルの繰返し粘着性を保つことができる。
【0049】
本発明の粘着性ハイドロゲルにおける上記(c)成分に由来する構造単位の含有率は、特に限定されないが、0.1重量%以上であることが好ましく、また、20重量%以下であることが好ましい。上記(c)成分に由来する構造単位の含有率が0.1重量%未満であると、粘着性ハイドロゲルの粘着力及び弾性を向上させる効果が充分に得られない。上記(c)成分に由来する構造単位の含有率が20重量%を超えると、粘着性ハイドロゲル用組成物を用いて粘着性ハイドロゲルを製造する場合に粘着性ハイドロゲル用組成物が不均一となって粘着性ハイドロゲルを作製することができなかったり、粘着性ハイドロゲルの粘着性にムラが生じたりすることがある。上記(c)成分に由来する構造単位の含有率は、0.2重量%以上であることがより好ましく、また、15重量%以下であることがより好ましい。
【0050】
本発明の粘着性ハイドロゲルにおいて、上記(a)成分に由来する構造単位の含有量を2〜20重量%の範囲内とし、かつ、上記(c)成分に由来する構造単位の含有量を0.1〜20重量%の範囲内とした場合、重合時の未反応物の発生に起因する粘着性ハイドロゲルの品質の劣化を回避すると共に粘着性ハイドロゲルの粘着性にムラが生じることを回避しながら、粘着性ハイドロゲルの加工性(特にカス取り適性)、粘着力及び弾性をさらに向上させることができる。
【0051】
上記(d)架橋性単量体としては、特に限定されないが、分子内に重合性を有する二重結合を2つ以上有するものが好ましく、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、ジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記(d)架橋性単量体は、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、及び、ジアリルアンモニウムクロライドからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これにより、より高い粘着性及び加工性が得られる。
【0053】
また、上記(d)架橋性単量体としては、重合性の二重結合を少なくとも1つ有し、かつ、脱離反応や開環反応による架橋性反応性を有する官能基を少なくとも1つ有する化合物も好適に用いられる。上記架橋性反応性を有する官能基としては、エポキシ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。上記重合性の二重結合と上記架橋性反応性を有する官能基とを有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0054】
本発明の粘着性ハイドロゲルにおける上記(d)架橋性単量体に由来する構造単位の含有率は、特に限定されないが、0.01重量%以上であることが好ましく、また、0.5重量%以下であることが好ましい。上記架橋性単量体に由来する構造単位の含有率が0.01重量%未満であると、粘着性ハイドロゲルの架橋密度が低くなり、粘着性ハイドロゲルの形状安定性が低下するため、粘着性ハイドロゲルを作製することができなかったり、皮膚に貼付した粘着性ハイドロゲルを剥離する際に破断したりすることがある。また、本発明の粘着性ハイドロゲルを電気測定に使用する場合は、厚みの変動により測定値に変動が生じやすくなることがある。上記(d)架橋性単量体に由来する構造単位の含有率が0.5重量%を超えると、粘着性ハイドロゲルの粘着性が不充分となり、皮膚に固定させることが困難となったり、粘着性ハイドロゲルが、可塑性がなく脆いものとなったりすることがある。上記(d)架橋性単量体に由来する構造単位の含有率は、0.04重量%以上であることがより好ましく、また、0.1重量%以下であることがより好ましい。
【0055】
上記粘着性ハイドロゲルにおける上記高分子マトリックスの含有率は、特に限定されないが、50重量%以下であることが好ましい。上記粘着性ハイドロゲルにおける上記高分子マトリックスの含有率が50重量%を超えると、後述する粘着性ハイドロゲル用組成物を用いた製造方法によって上記粘着性ハイドロゲルを製造する場合に、重合時の発熱が大きくなりすぎるため、反応が暴走して、溶媒の沸点を超えて沸騰することがある。また、沸騰した場合には、粘着性ハイドロゲルに気泡が混入してしまうことがある。上記粘着性ハイドロゲルにおける上記高分子マトリックスの含有率は、40重量%以下であることがより好ましい。なお、上記粘着性ハイドロゲルにおける上記高分子マトリックスの含有率の好ましい範囲の下限は、特に限定されず、上記粘着性ハイドロゲルにおける上記高分子マトリックスの含有率は、上述した各組成の含有率が好ましい範囲となるように適宜調整すればよい。
【0056】
本発明の粘着性ハイドロゲルは、多価アルコールを含有する。上記多価アルコールとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル等が挙げられる。上記多価アルコールは、これらの化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記多価アルコールは、これらの化合物からなる群より選択される少なくとも1種である場合、上記(a)〜(d)成分に対して良好な溶解性を示すので、得られる粘着性ハイドロゲルは、相分離等がなく、より均一なものとなり、粘着性・加工性の悪化を抑制できる。これら多価アルコールは、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0057】
多価アルコールの中でも、粘着性ハイドロゲルの使用温度領域(例えば室内で使用する場合は20℃前後)で液状である多価アルコールを用いることが好ましく、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びポリグリセリンが好適である。
【0058】
上記粘着性ハイドロゲルにおける上記多価アルコールの含有率は、特に限定されないが、10重量%以上であることが好ましく、また、80重量%以下であることが好ましい。上記多価アルコールの含有率が10重量%未満であると、得られる粘着性ハイドロゲルの保湿力が乏しく、水分の蒸散が著しくなり、粘着性ハイドロゲルの経時安定性に欠けるとともに、柔軟性に欠けるため、充分な粘着性が得られないことがある。上記多価アルコールの含有率が80重量%を超えると、粘着性ハイドロゲルの表面から多価アルコールがブリードアウトし、粘着性ハイドロゲルの粘着力が低下することがある。また、粘着性ハイドロゲルの作製時に気泡が混入しやすくなる。上記粘着性ハイドロゲルにおける上記多価アルコールの含有率は、20重量%以上であることがより好ましく、また、70重量%以下であることがより好ましい。
【0059】
本発明の粘着性ハイドロゲルは、水を含有する。
【0060】
本発明の粘着性ハイドロゲルにおける水の含有率は、特に限定されないが、10重量%以上であることが好ましく、また、50重量%以下であることが好ましい。水の含有率が10重量%未満であると、粘着性ハイドロゲルの吸湿性が強くなり、粘着性ハイドロゲルが経時的に変質することがある。水の含有率が50重量%を超えると、乾燥による粘着性ハイドロゲルの収縮や物性変化を生じることがある。本発明の粘着性ハイドロゲルにおける水の含有率は、12重量%以上であることがより好ましく、また、30重量%以下であることがより好ましい。
【0061】
本発明の粘着性ハイドロゲルは、電解質を含有することが好ましい。電解質を含有することにより、心電図測定用電極、低周波治療器用電極、各種アース電極、EMS(Electrical muscle stimulation)用電極等の生体電極用途の電極パッドを構成する粘着剤として好適な導電性の粘着性ハイドロゲルを得ることができる。本発明の粘着性ハイドロゲルがこのような生体電極用途の電極パッドを構成する粘着剤として用いられる場合、粘着性ハイドロゲルの比抵抗は、0.1〜10kΩ・cmの範囲内であることが好ましい。
【0062】
また、上記電解質は、pHの調整剤として用いられてもよく、粘着性ハイドロゲルの保湿性能を向上させる目的で用いられてもよく、抗菌剤として用いられてもよい。
【0063】
上記電解質としては、特に限定されず、例えば、ハロゲン化ナトリウム(例えば塩化ナトリウム)、ハロゲン化カリウム等のハロゲン化アルカリ金属;ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化カルシウム等のハロゲン化アルカリ土類金属;その他の金属ハロゲン化物等が挙げられる。また、上記電解質として、各種金属の、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩も好適である。また、上記電解質として、アンモニウム塩、各種錯塩等の無機塩類;酢酸、安息香酸、乳酸等の一価有機カルボン酸の塩;酒石酸等の多価有機カルボン酸の塩;フタル酸、コハク酸、アジピン酸、クエン酸等の多価カルボン酸の一価又は二価以上の塩;スルホン酸、アミノ酸等の有機酸の金属塩;有機アンモニウム塩;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリtert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の高分子電解質の塩等も好適である。
【0064】
粘着性ハイドロゲルに適切な導電性を付与することを目的として本発明の粘着性ハイドロゲルに電解質を含有させる場合、本発明の粘着性ハイドロゲルにおける上記電解質の含有率は、0.05重量%以上であることが好ましく、また、10重量%以下であることが好ましい。水分を含んだ粘着性ハイドロゲルは、元来、誘電体としての特性を有し、粘着性ハイドロゲルを導電層と複合させて電極パッドを作製した場合は、粘着性ハイドロゲルの厚みおよび導電層の面積に応じた電気容量を有する。しかし、電極パッドのインピーダンス(Z)は、特に1kHz未満の低周波領域では、粘着性ハイドロゲル中の電解質の濃度に大きく影響される。電解質の含有率が0.05重量%未満であると、インピーダンスが高くなり、導電性用途として好適とはいえなくなる場合がある。電解質の含有率が10重量%を超えると、電解質の粘着性ハイドロゲルへの溶解が困難となり、粘着性ハイドロゲルの内部で結晶の析出が生じたり、他の成分の溶解を阻害したりする場合がある。また、電解質の含有率が10重量%を超えると、導電性能の向上が頭打ちとなり、導電性付与という観点から、これ以上の添加は有益なものとはいえなくなる。上記電解質の含有率は、0.1重量%以上であることがより好ましく、また、2重量%以下であることがより好ましい。
【0065】
本発明の粘着性ハイドロゲル用組成物には、pHを調整する目的で水酸化ナトリウム等の塩基を適宜添加してもよい。
【0066】
本発明の粘着性ハイドロゲルは、必要に応じて、更に、防腐剤、殺菌剤、防錆剤、酸化防止剤、安定剤、香料、界面活性剤、着色剤、抗炎症剤、ビタミン剤、美白剤等の添加剤を含有してもよい。
【0067】
本発明の粘着性ハイドロゲルは、厚み0.75mmの粘着性ゲルシートに成形し、粘着性ゲルシートから幅20mm×長さ100mmの短冊状のシート片を切り出し、該シート片に不織布で裏打ちしたものを試験片とし、この試験片をJIS Z 0237に準じた圧着を行いながらベークライト板(住友ベークライト株式会社製、紙ベークライト、品番:PL113)に貼り付け、テンシロン万能材料試験機(株式会社オリエンテック製)にセットし、JIS Z 0237に準じて300mm/分の速度で90°方向に試験片を剥離する際の荷重を粘着力として測定した場合の粘着力が0.9N以上であることが好ましい。粘着力が0.9N以上であることにより、本発明の粘着性ハイドロゲルを特に生体用の電極を構成する粘着性導電部位として用いた場合であっても充分な粘着力を有するものとなる。
【0068】
〔粘着性ハイドロゲルの製造方法〕
本発明の粘着性ハイドロゲルは、上記高分子マトリックス形成材と、前記水と、前記多価アルコールとを含む粘着性ハイドロゲル用組成物を用い、粘着性ハイドロゲル用組成物中の高分子マトリックス形成材を重合させる製造方法によって容易に製造することができる。上記粘着性ハイドロゲル用組成物は、必要に応じて、前記電解質、前記塩基、前記各種の添加物を含んでいる。
【0069】
この製造方法で本発明の粘着性ハイドロゲルを製造する場合、上記粘着性ハイドロゲル用組成物中における高分子マトリックス形成材以外の成分の含有率は、本発明の粘着性ハイドロゲルにおける高分子マトリックス以外の成分の含有率に等しく、上記粘着性ハイドロゲル用組成物中における(a)〜(d)成分の含有率は、本発明の粘着性ハイドロゲルにおける(a)〜(d)成分に由来する構造単位の含有率に等しい。
【0070】
上記粘着性ハイドロゲル用組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤としては、特に限定されず、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0071】
上記粘着性ハイドロゲル用組成物における上記高分子マトリックス形成材の含有率は、特に限定されないが、50重量%以下であることが好ましい。上記粘着性ハイドロゲル用組成物における上記高分子マトリックス形成材の含有率が50重量%を超えると、重合時の発熱が大きくなりすぎるため、反応が暴走して、溶媒の沸点を超えて沸騰することがある。また、沸騰した場合には、粘着性ハイドロゲルに気泡が混入してしまうことがある。上記粘着性ハイドロゲル用組成物における上記高分子マトリックス形成材の含有率は、40重量%以下であることがより好ましい。なお、上記粘着性ハイドロゲル用組成物における上記高分子マトリックス形成材の含有率の好ましい下限としては、特に限定されず、上述した各組成の含有率の範囲で適宜調整すればよい。
【0072】
上記光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、ベンジルメチルケタール、ビスアシルフォスフィンオキサイド、メタロセン等が挙げられ、より具体的には、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)2959、BASFジャパン株式会社(旧チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社)製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:ダロキュア(登録商標)1173、BASFジャパン株式会社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(製品名:イルガキュア(登録商標)184、BASFジャパン株式会社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)907、BASFジャパン株式会社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)369、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0073】
これらの光ラジカル開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0074】
上記熱ラジカル重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2、2−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩等のアゾ化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、過酸化水素やチオ硫酸ナトリウム等のレドックス開始剤を熱ラジカル重合開始剤と併用してもよい。
【0075】
本発明の粘着性ハイドロゲル用組成物における重合開始剤の含有率は、特に限定されないが、0.01重量%以上であることが好ましく、また、1重量%以下であることが好ましい。重合開始剤の含有率が0.01重量%未満であると、重合反応が充分に進まないことがある。重合開始剤の含有率が1重量%を超えると、重合反応後の重合開始剤の残物により、得られる粘着性ハイドロゲルが変色(黄変)したり、臭気を帯びたりすることがある。重合開始剤の含有率は、0.05重量%以上であることがより好ましく、また、0.5重量%以下であることがより好ましい。
【0076】
上記粘着性ハイドロゲル用組成物を用いて粘着性ハイドロゲルを製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記粘着性ハイドロゲル用組成物に対して加熱又は紫外線照射を行う方法等が挙げられる。
【0077】
本発明の粘着性ハイドロゲルを、紫外線照射により作製する場合には、紫外線の積算照射量は、1000mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲内であることが好ましく、2000mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲内であることがより好ましい。
【0078】
また、本発明の粘着性ハイドロゲルは、予め上記高分子マトリックス形成材の重合反応によって形成された高分子マトリックスに、水及び多価アルコール(並びに必要に応じて非架橋の水溶性高分子等)を含浸させる製造方法により製造することも可能である。
【0079】
また、本発明の粘着性ハイドロゲルは、上記高分子マトリックス形成材における上記(d)架橋性単量体を除く成分のみを重合させて直鎖状高分子を得た後、得られた直鎖状高分子、水、及び多価アルコール(並びに必要に応じて非架橋の水溶性高分子等)を溶解又は均一分散して得られるポリマー配合液に、上記(d)架橋性単量体を添加し、必要に応じて重合開始剤(触媒)を添加して直鎖状高分子と架橋性単量体とを反応させることにより高分子マトリックスを生成する方法により、得ることも可能である。また、本発明の粘着性ハイドロゲルは、上記(d)架橋性単量体として、重合性二重結合を1つ有し、かつ、架橋性反応性官能基を少なくとも1つ有する化合物を用い、上記高分子マトリックス形成材のみを上記(d)架橋性単量体の架橋性反応性官能基が反応しないように重合させて直鎖状高分子を得た後、得られた直鎖状高分子、水、及び多価アルコール(並びに必要に応じて非架橋の水溶性高分子等)を溶解又は均一分散して得られるポリマー配合液に、架橋性反応性官能基を反応させるための触媒を添加して直鎖状高分子と架橋性単量体とを反応させることにより高分子マトリックスを生成する方法により、得ることも可能である。
【0080】
〔粘着性ハイドロゲルの成形(粘着性ゲルシートの製造)方法及び粘着性ゲルシート〕
本発明の粘着性ハイドロゲルは、例えば液状の粘着性ハイドロゲル用組成物(配合液)を重合架橋してゲル化させたものであるため、用途に合わせて適宜成形することが可能である。
【0081】
本発明の粘着性ゲルシートは、粘着性ハイドロゲルを用いてなるものである。本発明の粘着性ゲルシートは、粘着性ハイドロゲルをシート状に成形することによって得ることができる。本発明の粘着性ハイドロゲルは、例えば、粘着剤として使用される場合等では、厚み0.01mm〜2.0mmの粘着性ゲルシートに成形されることがある。その場合、粘着性ハイドロゲルを、片面又は両面に保護フィルムを設けた粘着性ゲルシートに成形してもよい。上記保護フィルムは、セパレータ、支持体等として使用することができる。上記保護フィルムとして、公知のものを使用してもよい。
【0082】
粘着性ゲルシートの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法で粘着性ゲルシートを製造することができる。
【0083】
粘着性ゲルシートの製造方法では、例えば、樹脂フィルム等のベースフィルムの上に前記粘着性ハイドロゲル用組成物を滴下し、滴下後、滴下した粘着性ハイドロゲル用組成物の上面に樹脂フィルム等のトップフィルムをかぶせて粘着性ハイドロゲル用組成物を押し広げ、所望の厚みに制御する。この状態で光(紫外線)照射及び/又は熱により粘着性ハイドロゲル用組成物中の高分子マトリックス形成材を重合及び架橋させて、所望の厚みを有するシート状の粘着性ハイドロゲル、すなわち粘着性ゲルシートを得ることができる。
【0084】
粘着性ゲルシートの片面にベースフィルムを設け、粘着性ゲルシートにおけるベースフィルムが設けられた面の裏面にトップフィルムを設けてもよい。
【0085】
上記ベースフィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリウレタン等の樹脂からなる樹脂フィルム、紙、前記樹脂フィルムをラミネートした紙等を使用することができる。
【0086】
これらベースフィルムの粘着性ゲルシートと接する面は、シリコーンコーティング等の離型処理がなされていることが好ましい。すなわち、上記ベースフィルムを離型紙として使用する場合は、樹脂(例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン等)からなる樹脂フィルム、紙、前記樹脂フィルムをラミネートした紙等のフィルムの表面に離型処理を施したものが上記ベースフィルムとして好適に用いられる。離型処理の方法としては、シリコーンコーティングが挙げられ、特に、熱又は紫外線で架橋、硬化反応させる焼き付け型のシリコーンコーティングが好ましい。離型処理が施されるフィルムとしては、二軸延伸したPETフィルム、OPP等が特に好ましい。
【0087】
上記ベースフィルムを離型紙でなく、粘着剤のパッキング材(裏打材)として使用する場合には、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリウレタンフィルム等を離型処理しないで用いることが好ましい。これらのうち、ポリウレタンフィルムは、柔軟性があり、水蒸気透過性を有するものもあるので、特に好ましい。また、ポリウレタンフィルムは、通常単独では柔らかすぎ、製造工程での取扱が困難なため、ポリオレフィンフィルムや紙等のキャリアフィルムをラミネートして用いることが好ましい。この場合、粘着性ハイドロゲルの製造工程は、ベースフィルムにキャリアフィルムを付けた状態で行われることが好ましい。
【0088】
上記トップフィルムとしては、基本的にベースフィルムと同じ材質のものを使用することも可能であるが、光重合を妨げないために、光を遮断しない材質のフィルムを選択することが好ましい。また、パッキング材(裏打材)に用いるフィルムは、トップフィルムとして使用しない方が好ましい。特に、パッキング材に用いるフィルムが紫外線等の照射により劣化する可能性がある場合には、パッキング材に用いるフィルムをトップフィルムとして使用すると、パッキング材に用いるフィルムが直接紫外線が照射される側に位置することになるため、好ましくない。
【0089】
〔粘着性ハイドロゲルを用いた電極パッド及びその製造方法〕
粘着性ハイドロゲルは、安全に皮膚等に粘着する特性を備えている。また、必要に応じて粘着性ハイドロゲルに電解質を添加することにより、粘着性ハイドロゲルに導電性を容易に付与することができる。そのため、粘着性ハイドロゲルは、電極パッド等の製品の粘着性導電部位として好適に使用することができる。
【0090】
本発明の電極パッドは、本発明の粘着性ハイドロゲルを用いてなる。本発明の電極パッドの一例として、本発明の粘着性ハイドロゲルを電極パッドの粘着性導電部位として使用した例を以下に説明する。
【0091】
まず、導電層の片面に粘着性ハイドロゲルを積層させる。次に、導電層における粘着性ハイドロゲルが積層された面とは反対側の面に、非導電性の支持体を積層させる。この支持体には、銅線等の導電性物質が導電層と接する形で取り付けられ、それが端子となる。電極パッドは、端子を通じて外部から又は外部のモニター等の装置へ電気が流れて、導電層と粘着性ハイドロゲルとを通して貼付対象に電気を流すことができる。したがって、粘着性ハイドロゲルは、粘着性導電部位となり得る。
【0092】
上記導電層としては、ポリエステル系樹脂又はポリウレタン系樹脂等をバインダーとして含むカーボンペーストにより形成されたカーボンコート層;Ag/AgCl等の金属やカーボン等を含む導電性インクを印刷コーティングした層;金属箔(アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、銀箔等)、あるいはカーボン等の導電体を樹脂中に練りこんだ導電性フィルムを、樹脂フィルム上にラミネートした層等が使用される。上記導電層は、引っ張り等、外部から力が働いた際に、容易に切れないような強度を保持していることが好ましい。容易に切れると、電極パッドを製造する際に途中で導電層が切れたり、伸張により最終製品の電極パッドが変形したり、更に使用者の取扱い方によっては電極パッド中の導電層の断線により、火傷等を誘引する可能性がある。一方で、凹凸のある皮膚面へ貼付するため、柔軟性も必要とされる。使用に際して不具合が起こらないような物性を持った導電層の選択が必要である。
【0093】
上記端子は、支持体と導電層とがラミネートされたフィルムを用いる場合には、導電層に粘着性ハイドロゲルを積層させる際に、上記フィルムの一部に粘着性ハイドロゲルが積層されていない部分を設けることにより形成される。端子(粘着性ハイドロゲルが積層されていない部分)は、クリップ等で挟まれてリード線と接続される。
【0094】
カシメ構造を有する電極パッドの場合には、導電性を有していれば特に限定されないが、ステンレス鋼等の金属またはカーボンを練りこんだ樹脂成型品であるスナップ端子と、樹脂成型品がAg/AgCl等の金属でコーティングされたエレメントとで挟まれた構造の部分が端子となり、外部へ接続される。
【0095】
また、金属線等を使用した電極パッドの場合、金属線の一部が導電層と支持体とに挟まれた構造で、導電層と支持体との積層部からはみ出した部分は非導電性の樹脂等で覆われており、金属線の先端がリード線と接続されることで外部へ接続される。
【実施例】
【0096】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0097】
〔実施例1〕
(a)成分としてのアクリル酸11.5重量部と、(b)成分としてのtert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)7.68重量部と、(c)成分としてのポリビニルピロリドン(第一工業製薬株式会社製、製品名:クリージャス(登録商標)K−30、フィケンチャー式によるK値:29.2)4.8重量部と、(d)成分としてのN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)0.04重量部と、多価アルコールとしてのグリセリン48重量部と、電解質としての塩化ナトリウム(NaCl)0.5重量部と、光ラジカル重合開始剤としての1−「4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル」−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(製品名:イルガキュア(登録商標)2959、BASFジャパン株式会社)製、紫外線重合開始剤)0.2重量部とを容器に入れて攪拌し、上記(a)〜(d)の成分と電解質と重合開始剤とを多価アルコールに溶解させて、モノマー配合液を作製した。
【0098】
その後、このモノマー配合液に50重量%NaOH水溶液7.0重量部を加えて、モノマー配合液のpHを4.0〜5.0に調整した。pH調整後のモノマー配合液にイオン交換水20.28重量部を添加し、粘着性ハイドロゲル用組成物としてのモノマー配合液100重量部を得た。
【0099】
次に、得られたモノマー配合液をベースフィルム上に所望の厚みとなるように広げ、モノマー配合液に対して、メタルハライドランプを使用してエネルギー量3000mJ/cm2の紫外線を照射することにより、上記(a)〜(d)の成分を重合させて、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0100】
なお、本実施例、他の実施例及び比較例において、粘着性ハイドロゲル用組成物中における高分子マトリックス形成材以外の成分の量(重量部)の数値は、粘着性ハイドロゲルにおける高分子マトリックス以外の成分の含有率(重量%)の数値を示し、粘着性ハイドロゲル用組成物中における(a)〜(d)成分の量(重量部)の数値は、粘着性ハイドロゲルにおける(a)〜(d)成分に由来する構造単位の含有率(重量%)の数値を示す。
【0101】
〔実施例2〕
アクリル酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)、グリセリン、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更し、(c)成分としてポリビニルピロリドン4.8重量部に代えてポリビニルピロリドン3重量部及びN−ビニル−2−カプロラクタム3重量部を用いる以外は、実施例1と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0102】
〔実施例3〕
N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更し、(c)成分としてポリビニルピロリドン4.8重量部に代えてポリビニルピロリドン2.4重量部及びN−ビニル−2−カプロラクタム2.4重量部を用いる以外は、実施例1と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0103】
〔実施例4〕
N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更する以外は、実施例3と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0104】
〔実施例5〕
アクリル酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)、ポリビニルピロリドン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更する以外は、実施例1と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0105】
〔実施例6〕
(c)成分としてポリビニルピロリドン2.7重量部に代えてN−ビニル−2−カプロラクタム2.7重量部を用いる以外は、実施例5と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0106】
〔実施例7〜9〕
アクリル酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)、ポリビニルピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更する以外は、実施例4と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0107】
〔実施例10〕
アクリル酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)、ポリビニルピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、グリセリン、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更する以外は、実施例3と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0108】
〔実施例11〕
tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)7.68重量部に代えてアクリルアミド2重量部を用い、アクリル酸、ポリビニルピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、グリセリン、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更する以外は、実施例3と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0109】
〔比較例1〕
アクリル酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更し、(c)成分としてのポリビニルピロリドンを使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0110】
〔比較例2〕
アクリル酸、ポリビニルピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更し、(b)成分としてのtert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)を使用しないこと以外は、実施例3と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0111】
〔比較例3〕
アクリル酸、ポリビニルピロリドン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、グリセリン、50重量%NaOH水溶液、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更し、(b)成分としてのtert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)の量を26重量部に変更すること以外は、実施例1と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0112】
〔比較例4〕
ポリビニルピロリドン、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、グリセリン、光ラジカル重合開始剤、及びイオン交換水の量を表1に記載の量に変更し、(b)成分としてtert−ブチルアクリルアミドスルホン酸(TBAS)7.68重量部に代えてアクリルアミド18重量部を使用し、(a)成分としてのアクリル酸及び50重量%NaOH水溶液を使用しないこと以外は、実施例1と同様にして、厚み0.75mmのシート状の粘着性ハイドロゲル(粘着性ゲルシート)を得た。
【0113】
〔加工性評価値の測定〕
実施例1〜11及び比較例1〜4で作製された粘着性ハイドロゲルの加工性評価値を、前述した図1の上側治具1及び下側治具2を用いた加工性評価値の測定方法により測定した。結果を表1に示す。
【0114】
〔粘着力(ベークライト板)の測定〕
実施例1〜11及び比較例1〜4で作製された粘着性ハイドロゲルを厚み0.75mmの粘着性ゲルシートに成形し、粘着性ゲルシートから幅20mm×長さ100mmの短冊状のシート片を切り出し、該シート片に不織布(デュポン株式会社製、「スパンレース #8021」、厚み0.38mm)で裏打ちしたものを試験片とした。この試験片をJIS Z 0237に準じた圧着を行いながらベークライト板(住友ベークライト株式会社製、紙ベークライト、品番:PL113)に貼り付け、テンシロン万能材料試験機(株式会社オリエンテック製)にセットした。この後、JIS Z 0237に準じて300mm/分の速度で90°方向に試験片を剥離する際の荷重を測定し、測定された荷重を粘着力とした。粘着力が0.9N以上のものを粘着性(ベークライト板)が「○」(良好)、粘着力が0.9N未満のものを粘着性(ベークライト板)が「×」(不良)と判定した。粘着力(ベークライト板)の測定結果及び粘着性(ベークライト板)の判定結果を表1に示す。
【0115】
〔粘着力(皮膚)の測定〕
作製された粘着性ハイドロゲルを20mm×100mmの短冊状に切り出し、不織布(デュポン株式会社製「スパンレース #8021」、厚み0.38mm)で裏打ちしたものを試験片とした。この試験片を予めアルコールで軽く拭いた左腕内側の皮膚に貼付し、貼付後2分間経過後、テンシロン万能材料試験機(株式会社オリエンテック製)を用いて、試験片を1000mm/分の速度で180°方向に剥離するのに要した力の値を測定した。なお、本測定は、温度23℃、湿度60%RHの雰囲気下において被験者6人(20代男女2人、40代男女2人、50代男女2人)の左腕内側に対して行い、測定結果の平均値を粘着力とした。粘着力が0.5N以上のものを粘着性(皮膚)が「○」(良好)、粘着力が0.5N未満のものを粘着性(皮膚)が「×」(不良)と判定した。実施例1〜11及び比較例1〜4で作製された粘着性ハイドロゲルについての粘着力(皮膚)の測定結果及び粘着性(皮膚)の判定結果を表1に示す。
【0116】
〔加工性評価〕
長さ200mm×幅200mm×厚み0.75mmの粘着性ハイドロゲルの両主表面を、同じ長さ、同じ幅のポリエチレン系フィルムからなる保護フィルムとPETフィルムからなる基材層とで挟持して積層体とした。次いで、図3に示すように、積層体3から長さ40mm×幅40mmの試験片4を16枚作製すべく、保護フィルムの表面から基材層と粘着性ハイドロゲルとの界面までトムソン刃を入れて基材層を切断することなく保護フィルム及び粘着性ハイドロゲルのみを切断することで、保護フィルムと粘着性ハイドロゲルとからなる試験片4を打ち抜いた。試験片4同士の間隙は8mmとした。次いで、この打ち抜きにより生じる、打ち抜かれた試験片4を囲む、枠部分(余白部分)5の不要な保護フィルム及び粘着性ハイドロゲルを剥ぎ取った。余白部分5を剥ぎ取った際に16枚の試験片4のうち1枚の試験片4でも剥がれたもの、又は、トムソン刃による切断時に試験片4の切断面が荒れたものを加工性が「?」(不良)、16枚の試験片4全てがきれいな状態で残っていたものを加工性が「○」(良好)○と判定した。実施例1〜11及び比較例1〜4で作製された粘着性ハイドロゲルについての加工性評価の結果を表1に示す。
【0117】
【表1】

【0118】
実施例1〜実施例11で作製された粘着性ハイドロゲルは、加工性及び粘着性の両方に優れた粘着性ハイドロゲルであることが確認された。
【0119】
また、(c)成分を使用することなく作製された比較例1の粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が4.0[N・sec]未満であり、粘着性が劣っていたことから、(c)成分を使用した場合に、加工性評価値が4.0[N・sec]以上であり、粘着性に優れた粘着性ハイドロゲルが得られ易いことが分かった。
【0120】
また、(b)成分を使用することなく作製された比較例2の粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が20.0[N・sec]を超え、加工性が劣っていたことから、(b)成分を使用した場合に、加工性評価値が20.0[N・sec]以下であり、加工性に優れた粘着性ハイドロゲルが得られ易いことが分かった。
【0121】
また、(b)成分に由来する構造単位の含有量が20重量%より多い比較例3の粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が20.0[N・sec]を超え、加工性が劣っていたことから、(b)成分に由来する構造単位の含有量が20.0重量%以下である場合に、加工性評価値が20.0[N・sec]以下であり、加工性に優れた粘着性ハイドロゲルが得られ易いことが分かった。
【0122】
また、(a)成分を使用することなく作製された比較例4の粘着性ハイドロゲルは、加工性評価値が20.0[N・sec]を超え、加工性が劣っていたことから、(a)成分を使用した場合に、加工性評価値が20.0[N・sec]以下であり、加工性に優れた粘着性ハイドロゲルが得られ易いことが分かった。
【符号の説明】
【0123】
1 上側治具
1a 円柱面
2 下側治具
2a 円柱面
3 積層体
4 試験片
5 余白部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性ハイドロゲルを厚み0.75mmの粘着性ゲルシートに成形し、該粘着性ゲルシートを裁断して2枚の25mm×40mmの試験体シートを作製し、得られた2枚の試験体シートをそれぞれ、曲率半径が7.5mmである互いに対向する円柱面を有する上側冶具および下側冶具のそれぞれの円柱面上に各試験体シートの長さ方向に沿った中心線が水平となるように固定し、2Nの荷重で30秒間試験体シート同士を押し付けた後、50μm/secの速度で上側冶具を鉛直方向上向きに移動させることによって試験体シート同士を引き剥がしたときの剥離荷重を引き剥がし開始時点から引き剥がし終了時点まで測定して剥離荷重の時間変化曲線を作成し、該剥離荷重の時間変化曲線と時間軸との間に挟まれた部分の面積値を加工性評価値として算出する加工性評価方法により得られた加工性評価値が、4.0〜20.0[N・sec]の範囲内であることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項2】
請求項1に記載の粘着性ハイドロゲルであって、
高分子マトリックス形成材が重合されてなる高分子マトリックスと、水と、多価アルコールとを含み、
前記高分子マトリックス形成材は、
(a)炭素数が3〜4のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、及び、炭素数が4〜5のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種と、
(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体と、
(c)ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン誘導体、N−ビニル−2−カプロラクタム、及び、N−ビニル−2−バレロラクタムからなる群より選択される少なくとも1種と、
(d)架橋性単量体とを含み、
前記粘着性ハイドロゲルにおける前記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体に由来する構造単位の含有量が、2〜20重量%の範囲内であることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項3】
請求項2に記載の粘着性ハイドロゲルであって、
前記粘着性ハイドロゲルにおける前記(a)炭素数が3〜4のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、及び、炭素数が4〜5のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位の含有量が、2〜20重量%の範囲内であり、
前記粘着性ハイドロゲルにおける前記(c)ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン誘導体、N−ビニル−2−カプロラクタム、及び、N−ビニル−2−バレロラクタムからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位の含有量が、0.1〜20重量%の範囲内であることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の粘着性ハイドロゲルであって、
前記多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、及び、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の粘着性ハイドロゲルであって、
前記(a)炭素数が3〜4のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体、及び、炭素数が4〜5のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸からなる群より選択される少なくとも1種は、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、(ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、及び、(ポリ)グリセリン(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の粘着性ハイドロゲルであって、
前記(b)(メタ)アクリルアミド及び/又は(メタ)アクリルアミド誘導体は、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩酸塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、及び、アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項7】
請求項2〜6のいずれか1項に記載の粘着性ハイドロゲルであって、
前記(d)架橋性単量体は、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、及び、ジアリルアンモニウムクロライドからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の粘着性ハイドロゲルであって、
電解質をさらに含むことを特徴とする粘着性ハイドロゲル。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着性ハイドロゲルを用いてなることを特徴とする粘着性ゲルシート。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着性ハイドロゲルを用いてなることを特徴とする電極パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−75979(P2013−75979A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216418(P2011−216418)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】