説明

粘着性基材及びその製造方法

【課題】本発明は、生体内において安全で、生理的条件下において体温付近の温度下において短時間で実用的な粘着性を発現する粘着性基材を提供することを課題とする。
【解決手段】ポリリンゴ酸とゼラチンが共有結合架橋されたポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと、尿素とを有する粘着性基材11を用いることによって前記課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性基材及びその製造方法に関する。
特に、本発明は、生体組織に対して安全で、生理的条件下において生体組織に対する粘着性に優れた新規な医療用の粘着性基材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、生体組織に付着させて用いる医療用接着材料が種々提案されている。例えば、口内炎用添付剤や生体組織用接合用材料等がある。
【0003】
医療用接着材料としては、シアノアクリレート系の合成高分子、フィブリンのり及びGRFがあり、これらは実際に臨床現場で用いられている(非特許文献1参照)。
しかし、これらはいずれも人工的に化学合成された非天然物系のものなので、生体内での毒性が懸念されている。また、フィブリンのりについては生物感染が懸念されている。
【0004】
また、医療用接着材料として、粘着成分としてセルロース誘導体を含有する口腔貼付用錠剤(特許文献1)が提案されている。
しかし、前記セルロース誘導体は生体内非分解性ポリマーであり、生体内で分解されず、崩壊により徐々に体外に放出され、長期に生体内に残存することが懸念されている。
【0005】
また、医療用接着材料として、ポリグルタル酸のカルボキシル基を修飾して活性化した架橋剤を用いて、ポリグルタル酸でゼラチンを架橋した材料(特許文献2,特許文献3,非特許文献2)が提案されている。
しかし、前記架橋剤は生体内の分解酵素によって分解され、その分解速度・量は生体内での分解酵素の分布量に依存するので、用途に応じて前記架橋剤の分解速度・量を制御するための精密な設計が必要となる。
【0006】
更にまた、医療用接着材料として、タンパク質を架橋する酵素であるグルタミネーゼを用いてゼラチンを尿素存在下で架橋反応して得られた材料が提案されている(特許文献4参照)。前記材料は、生体由来の材料であるため、生体組織にとって安全性が高い。
しかし、酵素は、一般に、温度によって失活しやすく、取扱いが困難である。
【0007】
以上の事情を鑑みて、本発明者は、医療用接着材料として、活性化ポリリンゴ酸誘導体とゼラチンが反応することによって架橋されたポリリンゴ酸―アルカリ可溶化コラーゲン架橋体を見出した(特許文献5参照)。前記活性化ポリリンゴ酸誘導体は、生体組織の接着のための生体適合性医用材料への応用において有用であり、生体内安全性が高い材料であった。
しかし、粘着性、接着安定性等の点で、生体組織用の粘着性基材としては十分に満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−322088号公報
【特許文献2】特開平9−103479号公報
【特許文献3】特開平9−296039号公報
【特許文献4】特表2010−521994号公報
【特許文献5】特開2005−187670号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Smith C.D.Soft−Tissue Adhesives In: Ratner BD,Hoffman AS,Schoen FJ,Lemons JE,editors.Biomaterials Science,An Introduction to Materials in Medicine.San Diego:Elsevier Academic Press,2004.pp.576−579.
【非特許文献2】Hiroo Iwata,Shojiro Matsuda,Kenji Mitsuhashi,Eiji Itoh,Yoshito Ikada,A novel surgical glue composed of gelatin and N−hydroxysuccinimide activated poly(L−glutamic acid)::Part 1.Synthesis of activated poly(L−glutamic acid) and its gelation with gelatin,Biomaterials,19,1869−1876(1998).
【非特許文献3】日本接着学会編、「初心者のための接着技術読本」、4.10.1接着と粘着、日刊工業新聞社、2007年発行、p.102〜104.
【非特許文献4】長倉三郎、井口洋夫、江口洋、岩村秀、佐藤文隆、久保亮五編集、「岩波理化学辞典第5版」、岩波書店、1998年発行、p.225
【非特許文献5】八杉龍一、小関治男、古谷雅樹、日高敏隆編集、「岩波生物学辞典第4版」、岩波書店、1996年発行、p.784〜785
【非特許文献6】Tetsuto Kajiyama,Hisatoshi Kobayashi,Tetsushi Taguchi,Yu Komatsu,Kazunori Kataoka,Junzo Tanaka,Study on the hydrolytic degradation of poly(α,β−malic acid) by direct polycondensation, Materials,Science and Engineering:C,24,821−825(2004).
【非特許文献7】Tetsushi Taguchi,Hirofumi Saito,Yoshiyuki Uchida,Masataka Sakane,Hisatoshi Kobayashi,Kazunori Kataoka,Junzo Tanaka,Bonding of soft tissues using a novel tissue adhesive consisting of a citric acid derivative and collagen,Materials Science and Engineering:C,24,775−780(2004).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、生体内において安全で、生理的条件(pH6〜pH8)下、体温(30℃〜45℃)付近の温度下において短時間(10分以内)で実用的な粘着性を発現する粘着性基材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の構成を有する。
(1)ポリリンゴ酸とゼラチンが共有結合架橋されたポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと、尿素とを有することを特徴とする粘着性基材。
(2)前記ポリリンゴ酸のカルボキシル基が前記ゼラチンのアミノ基と共有結合していることを特徴とする(1)に記載の粘着性基材。
(3)前記ゼラチンが酸処理またはアルカリ処理ゼラチンであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の粘着性基材。
(4)前記ゼラチンの濃度が25wt/wt%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着性基材。
(5)有機溶媒中で、ポリリンゴ酸と、電子吸引性基を有する化合物とを混合して、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を生成する工程と、ゼラチンを分散させた緩衝溶液に尿素を混合して、尿素とゼラチンを含む水溶液を生成する工程と、前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を混合してから、加熱して、尿素存在下、ポリリンゴ酸とゼラチンを共有結合架橋して粘着性基材を生成する工程と、を有することを特徴とする粘着性基材の製造方法。
(6)前記電子吸引性基が、スクシンイミジル基、スルホスクシンイミジル基、ベンゾトリアゾールイル基、フタルイミジル基、イミダゾールイル基又はニトロフェニル基の群から選択される一の官能基であることを特徴とする(5)に記載の粘着性基材の製造方法。
(7)前記尿素とゼラチンを含む水溶液において、ゼラチンの濃度を25wt/wt%以上とすることを特徴とする(5)又は(6)に記載の粘着性基材の製造方法。
(8)前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を、加熱しながら混合することを特徴とする(5)〜(7)のいずれかに記載の粘着性基材の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粘着性基材は、ポリリンゴ酸とゼラチンが共有結合架橋されたポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと、尿素とを有する構成なので、毒性の懸念のほとんどない化合物からなる架橋ゲルと安全性に優れた尿素を主成分としているため、生体組織に対して安全である。また、生理的条件下、使用時には、基材を体温付近の温度下におくことにより、短時間で実用的な粘着性を発現させることができる。
【0013】
本発明の粘着性基材の製造方法は、有機溶媒中で、ポリリンゴ酸と、電子吸引性基を有する化合物とを混合して、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を生成する工程と、ゼラチンを分散させた緩衝溶液に尿素を混合して、尿素とゼラチンを含む水溶液を生成する工程と、前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を混合してから、加熱して、尿素存在下、ポリリンゴ酸とゼラチンを共有結合架橋して粘着性基材を生成する工程と、を有する構成なので、毒性の懸念のほとんどない化合物からなる架橋ゲルと安全性に優れた尿素を主成分としているため、生体組織に対して安全であり、使用時には基材を生理的条件下、体温付近の温度下におくことにより、短時間で実用的な粘着性を発現させることが可能な粘着性基材を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の粘着性基材の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の粘着性基材の拡大模式図である。
【図3】粘着性基材の接着試験の一例を示す工程図である。
【図4】図3(b)の加熱後の状態を示す模式図であって、図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C’線における断面図である。
【図5】本発明の粘着性基材の製造方法を示すフローチャートである。
【図6】α、β−PMA(a)及び生成したsuc−PMA(b)のメチンプロトンの1H−NMRスペクトルである。
【図7】実施例1試料(a)、比較例1試料(b)、比較例2試料(c)の外観を示す写真である。
【図8】実施例1試料(a)、比較例1試料(b)、比較例2試料(c)の保温前後の外観を示す写真である。
【図9】実施例1試料(a)、比較例1試料(b)、比較例2試料(c)の接着試験の結果を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態である粘着性基材及びその製造方法について説明する。
【0016】
(本発明の実施形態)
図1は、本発明の実施形態である粘着性基材の一例を示す模式図であって、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線における断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態である粘着性基材11は、平面視略円形状のシート状基材である。
しかし、平面視形状はこれに限られるものではなく、矩形状、多角形状としてもよい。また、厚さは、粘着性基材として用いるのに適当な厚さであればよく、限定される訳ではない。
更に、定形に限定される訳ではなく、不定形の流体であってもよい。
いずれの形状であっても、生体組織に接触させた場合に、生体組織に強く接着させたり、生体組織同士を強く接着することができる。
【0017】
粘着剤は、被接着材に濡れていくための液体の性質である濡れ易さ(流動性)と、剥離に抵抗する個体の性質(凝集力)との相反する特性が要求されている(非特許文献3参照)。そのため、粘着剤は、流動性と凝集力(強度)の2つの特性を要する。
【0018】
図2は、図1のB部の拡大模式図である。
図2に示すように、粘着性基材11は、ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと尿素とを有する尿素含有ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルである。なお、ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと尿素が主成分とされていればよく、他の成分が副成分として包含されていてもよい。
粘着性基材11は、ゼラチンが、水溶性のポリリンゴ酸により共有結合架橋されたヒドロゲルである。
なお、反応副生成物として、N−ヒドロキシスクシンイミド等が残留していてもよい。
図2では、2つゼラチンに1つのポリリンゴ酸が架橋しているが、これに限られるものではなく、3以上のゼラチンに1つのポリリンゴ酸が架橋していてもよい。また、ポリリンゴ酸において、ゼラチンと架橋しない官能基が残されていてもよく、更に、それがカルボン酸基に変換されていてもよい。
【0019】
<ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲル>
ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルは、尿素の存在下、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸とゼラチンが反応した結果、ポリリンゴ酸とゼラチンが共有結合により架橋されてなる。ここで、ポリリンゴ酸誘導体は、電子吸引性基により修飾されたカルボキシル基を有するポリリンゴ酸であり、ゼラチンを架橋するための架橋剤である。
【0020】
ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルは、親水性の高いポリリンゴ酸を有するので、体温近傍の温度範囲(30℃〜45℃)に加温すると、短時間でゲルの流動性(濡れ易さ)が上昇し実用的な粘着性を発現する。しかし、共有結合架橋構造を有するので、完全なゾル化(融解)はおこらずゲル強度を有し、粘着強度を維持でき、粘着性基材としての適正な粘着性を有する。これにより、安定性の高いゲルとすることができる。
【0021】
<ゼラチン>
ゼラチンはコラーゲン等を含む巨大分子であり、ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲル11の主構成物である。ゼラチンを高濃度で包含することにより、高密度のゲルとなり強度が増加するため、粘着性及び粘弾性を向上させることができ、生体組織への粘着性を向上させることができる。
【0022】
ゼラチンとしては、酸処理またはアルカリ処理ゼラチンを用いることができる。これにより、不純物を低減することができ、粘着性及び粘弾性のバラつきを低減させることができる。
【0023】
<ポリリンゴ酸>
ポリリンゴ酸は、下記構造式(1a,1b,1c)のうち少なくとも1つで表されるリンゴ酸構造単位を2個以上有するオリゴマー又はポリマーである。前記ポリマーは、ヒドロキシカルボン酸との共重合ポリマーを用いてもよい。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
ポリリンゴ酸は、例えば、下記一般式(2)で表されるα、β型ポリリンゴ酸(poly(α、β−malic acid):α、β−PMAと略称する)である。ここで、n、mは任意の自然数である。
【0028】
【化4】

【0029】
ポリリンゴ酸の分子量は、純度、安定性等の点から、1000〜100000が好ましく、2000〜10000がより好ましく、3000〜8000が更に好ましい。なお、前記分子量は、最終的な高分子架橋ゲルの所要の物性や用途に応じて適切に設定することが好ましい。
【0030】
ポリリンゴ酸は、水溶性の化合物であり、自然加水分解によりリンゴ酸にまで速やかに加水分解される(非特許文献6参照)。分解生成物であるリンゴ酸は、生体内のクエン酸サイクルによって代謝される。よって、ポリリンゴ酸は人体に対して無害な化合物である。
【0031】
ポリリンゴ酸は水溶性であるため、共有結合することによって、ゲルの親水性を増加させ、加温により流動性を発現しやすくする。
【0032】
<電子吸引性基>
ポリリンゴ酸は、リンゴ酸構造単位のカルボキシル基の1個以上が電子吸引性基により修飾されたポリリンゴ酸である。
ポリリンゴ酸のCOOH基の活性エステル化反応により、電子吸引性基の修飾ができる。
【0033】
電子吸引性基は、スクシンイミジル基、スルホスクシンイミジル基、ベンゾトリアゾールイル、フタルイミジル基、イミダゾールイル基又はニトロフェニル基の群から選択される一の官能基である。いずれの官能基を用いるかは、粘着性材料を用いる生体組織の種類及び環境等を考慮して、適切に選択することが好ましい。これらの官能基は一種類のみを用いていても、二種類以上を用いていてもよい。
【0034】
電子吸引性基は、下記化学式(3)で表されるスクシンイミジル基が好ましい。スクシンイミジル基は、架橋反応の際に放出されるN−ヒドロキシスクシンイミドが、極めて低毒性であるため(非特許文献7)、安全性が高く好適であるためである。
【0035】
【化5】

【0036】
スクシンイミジル基との下記化学反応式(4)で表される反応によって、ポリリンゴ酸はそのカルボキシル基において−CO−O−N結合を形成し、スクシンイミド修飾ポリリンゴ酸を生成する。
【0037】
【化6】

【0038】
スクシンイミド修飾ポリリンゴ酸は、下記一般式(5)で表される化合物(α、β−succimidyl PMA:suc−PMAと略称する)を生成する。
【0039】
【化7】

【0040】
<尿素>
尿素は人体内でタンパク質が分解する際に生じるものであるため、生体組織に対して安全である。安全性については、第十五改正日本薬局方収載品で認可された医薬品であることから証明されている。
【0041】
尿素は、一般にタンパク質を変性して可溶化するための変性剤として用いることができ、ゼラチンを変性できる。尿素をゼラチン溶液に添加すると35℃〜40℃付近でも粘度を低下させ、撹拌や秤量などの操作や取り扱いを容易にする。また、最終的にゼラチンの濃度を高めた粘着性基材を生成することができ、高濃度のゲルが形成し、強度の高い粘着性基材とすることができる。
【0042】
<粘着性基材の粘着性評価について>
図3は、粘着性基材の接着試験の一例を示す工程図である。
図3に示すように、粘着性基材の接着試験は、生体組織31の一面に粘着性基材11を配置してから、粘着性基材11を挟み込むように生体組織31を折りたたむ工程(a)と、粘着性基材11を挟み込んだ生体組織31を密封用袋41に密封してから、加熱をする工程(b)と、生体組織31を密封用袋41から取り出し、接着性の評価を行う工程(c)からなる。
図4は、図3(b)の状態を示す模式図であって、図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C’線における断面図である。
図4に示すように、粘着性基材11は、平面視略矩形状の生体組織31に挟持されるように配置されている。そして、粘着性基材11及び生体組織31は密封用袋41に密封されている。密封用袋41としては、例えば、チャックつきビニール袋を用いる。
【0043】
次に、オーブン等で、所定時間、所定温度で加熱する。所定時間は10秒以上〜3時間とする。また、所定温度は30℃〜45℃とする。その後、オーブンから取出し、接着状態を観察し、粘着性評価を行う。
【0044】
本発明の実施形態である粘着性基材11は、例えば、37℃で5分間保温することにより、一面11a及び他面11bで生体組織31に強固に接着される。
【0045】
<粘着性基材の製造方法>
次に、本発明の実施形態である粘着性基材の製造方法について説明する。
本発明の実施形態である粘着性基材の製造方法は、図5に示すように、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸生成工程S1と、尿素、ゼラチン水溶液生成工程S2と、粘着性基材生成工程S3と、を有する。
【0046】
(電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸生成工程)
電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸生成工程S1は、有機溶媒中で、ポリリンゴ酸と、電子吸引性基を有する化合物とを混合して、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を生成する工程である。
【0047】
電子吸引性基を有する化合物としては、N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物を挙げることができる。
ポリリンゴ酸のカルボキシル基は、N−ヒドロキシアミン系活性エステル誘導性化合物と反応して、−CO−O−N結合を形成する。
【0048】
この工程により、ゼラチンを架橋するための架橋剤である電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を生成できる。ポリリンゴ酸の分子量および電子吸引性基の導入率を変えることにより、多様な反応性、溶解性を有する多官能性架橋剤とすることができる。
【0049】
なお、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸は、精製することが好ましい。精製には、過剰の酢酸エチル、DMSO−アセトン−ヘキサン、DMSO−エーテルを用いることができる。
【0050】
(尿素、ゼラチン水溶液生成工程)
尿素、ゼラチン水溶液生成工程S2は、ゼラチンを分散させた緩衝溶液に尿素を混合して、尿素とゼラチンを含む水溶液を生成する工程である。
【0051】
緩衝溶液としては、リン酸緩衝溶液を用いることができる。
混合後、加熱することが好ましい。加熱温度は45℃〜80℃とし、加熱時間は1分〜1時間とする。なお、加熱後、次の工程まで、30℃〜45℃の温度範囲で保温することが好ましい。
【0052】
ゼラチンは、冷水には膨潤するだけであるが,温水には溶けてゾル(流動性の高い状態)になり,2〜3%または、それ以上の濃度では室温で弾性のあるゲル(流動性の低い状態)になる(非特許文献4参照)。
温めるとふたたび溶け,可逆的にゾル−ゲル変換が行われる。ゲル化の温度は,濃度によっても変化する(非特許文献5参照)。
【0053】
「ゾルーゲル変換温度」とは、ゲル状態から融解してゾル状態に、又はゾル状態から硬化してゲル状態に変換する温度である。
そして、ゼラチンをゾルーゲル変換温度より低い温度から高い温度に上昇させると、ゲル状態から融解してゾル状態に変化する。
また、ゼラチンをゾルーゲル変換温度より高い温度から低い温度に低下すると、ゾル状態から硬化してゲル状態に変化する。
架橋反応時に、高濃度のゼラチン水溶液を使用する場合においては、ゾルーゲル変換温度は低下し、体温付近の35℃〜40℃では粘度が非常に高く取り扱うことは困難である。
【0054】
通常、ゼラチンを高濃度とした場合には、ゼラチン同士の相互作用により、適切なゲルを形成することができない。しかし、尿素を分散させることにより、ゼラチンを変性し、前記相互作用を抑制し、高濃度でゼラチンを分散させ、ゼラチンの濃度を高めた水溶液を生成することができる。
【0055】
ゼラチンの濃度を25wt/wt%以上とすることが好ましく、28wt/wt%以上とすることが更に好ましい。これにより、最終的にゼラチンの濃度を高めた粘着性基材を生成することができ、高濃度のゲルが形成し、強度の高い粘着性基材とすることができる。
【0056】
ゼラチンとしては、豚の皮あるいは牛骨などを酸処理あるいはアルカリ処理して得られる酸処理ゼラチン(Aゼラチン)あるいはアルカリ処理ゼラチン(Bゼラチン)を用いることができる。
【0057】
尿素の濃度は、ゼラチン水溶液の調整に用いる溶質に対し、0.01M〜10.00Mとする。尿素の濃度は、0.20M〜1.00Mとすることが好ましく、0.30M〜0.80Mとすることがより好ましい。これにより、用途に応じて適正な物性に制御することができる。
【0058】
(粘着性基材生成工程)
粘着性基材生成工程S3は、前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を混合してから、加熱して、ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと尿素とを有する粘着性基材を生成する工程である。
活性エステル化合物を架橋剤としてゼラチンのゲル化(架橋)を行う。その際、ゼラチンのNH基と活性エステルとの反応となる。
なお、前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を、加熱しながら混合することが好ましい。これにより、反応をより短時間で行うことができる。
【0059】
混合加熱により、前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸の−CO−O−N結合は、ゼラチンのアミノ基と下記化学反応式(4)で表される共有結合架橋反応して、−CO−Nのアミド結合を形成して、高分子架橋体ゲルを生成する。
【0060】
【化8】

【0061】
前記共有結合架橋反応において、架橋反応しなかった、電子吸引性基とポリリンゴ酸とのエステル結合は加水分解して、ほとんど全てカルボキシル基に変換される。
【0062】
前記共有結合架橋反応の加熱温度は、30℃〜45℃とする。前記加熱温度は35〜43℃で行うことがより好ましく、37〜40℃で行うことが更に好ましい。
前記共有結合架橋反応の加熱時間は、1〜100時間とする。20〜60時間がより好ましく、20〜40時間が更に好ましい。前記共有結合架橋反応は加熱時間とともに進行するので、加熱時間を長くすることにより、架橋度を上げることができ、工程の迅速化と、粘着性特性の再現性の観点から、上記加熱時間とすることが好ましい。
【0063】
加熱後、室温まで冷却することにより、ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと尿素とを有する粘着性基材を生成できる。
【0064】
本発明の実施形態である粘着性基材11は、ポリリンゴ酸とゼラチンが共有結合架橋されたポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと、尿素とを有する構成なので、毒性の懸念のほとんどない化合物からなる架橋ゲルと安全性に優れた尿素を主成分としているため、生体内で分解や吸収、排泄が行われ、生体組織に対して安全性に優れる。また、粘着性基材を生理的条件下、体温付近の温度下におくことにより、短時間で実用的な粘着性を発現させることができる。
【0065】
また、本発明の実施形態である粘着性基材11は、前記構成を備えることにより、薬剤を含有させることが可能で、炎症部位に押し付けることにより体温によって流動性(濡れ易さ)が発現し、炎症部位に粘着することにより口内炎治療に用いることができる。
【0066】
また、本発明の実施形態である粘着性基材11は、前記構成を備えることにより、体内の損傷した部位に埋入することにより体温によって短時間で組織に粘着することができ、切開した組織に用いることで組織の接合に用いることができる。
【0067】
更にまた、本発明の実施形態である粘着性基材11は、前記構成を備えることにより、共有結合架橋反応によるゲルなので、室温では、硬く、粘着性の弱いゲルであるが、体温近傍の温度範囲(30℃〜45℃)に加温すると、ポリリンゴ酸架橋によって親水性が増加しているため、短時間で粘度が低下して流動性(濡れ易さ)が増加するが、架橋構造を有するため、完全にゾル化せず、ゲルとしての一定の強度を保ち、一定の粘着強度を発現する。これにより、医療用粘着性基材に必要な実用的な粘着性を示すことができる。
【0068】
更にまた、本発明の実施形態である粘着性基材11は、前記構成を備えることにより、粘着性基材11は、共有結合架橋反応によるゲルなので、液体窒素によって瞬時に凍結し、一定期間凍結保存した後でも、加温することによりゲルに戻すことができ、体温近傍の温度範囲(30℃〜45℃)に加温すると、再び短時間で実用的な粘着性を発現させることができる。
【0069】
本発明の実施形態である粘着性基材11は、ポリリンゴ酸のカルボキシル基が前記ゼラチンのアミノ基と共有結合している構成なので、ポリリンゴ酸とゼラチンを共有結合架橋でき、安全で、安定、かつ、粘着性の高い粘着性基材とすることができる。
【0070】
本発明の実施形態である粘着性基材11は、前記ゼラチンが酸処理またはアルカリ処理ゼラチンである構成なので、ゼラチンの純度を高め、粘着性特性のバラつきを少なくした、安全、安定、かつ、粘着性の高い粘着性基材とすることができる。
【0071】
本発明の実施形態である粘着性基材は、前記ゼラチンの濃度が25wt/wt%以上である構成なので、ゼラチンの濃度を高め、粘着強度を向上させることができる。
【0072】
本発明の実施形態である粘着性基材11の製造方法は、有機溶媒中で、ポリリンゴ酸と、電子吸引性基を有する化合物とを混合して、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を生成する工程と、ゼラチンを分散させた緩衝溶液に尿素を混合して、尿素とゼラチンを含む水溶液を生成する工程と、前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を混合してから、加熱して、尿素存在下、ポリリンゴ酸とゼラチンを共有結合架橋して粘着性基材を生成する工程と、を有する構成なので、毒性の懸念のほとんどない化合物からなる架橋ゲルと安全性に優れた尿素を主成分としているため、生体内で、生体組織に対して安全である。
生理的条件下、体温付近の温度下におくことにより、短時間で簡便に実用的な粘着性を発現させることができる粘着性基材を、容易に製造できる。
【0073】
本発明の実施形態である粘着性基材11の製造方法は、前記電子吸引性基が、スクシンイミジル基、スルホスクシンイミジル基、ベンゾトリアゾールイル、フタルイミジル基、イミダゾールイル基又はニトロフェニル基の群から選択される一の官能基である構成なので、電子吸引性基によってポリリンゴ酸のカルボキシル基を活性化することにより、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸とゼラチンとが反応することが可能となり、ポリリンゴ酸とゼラチンを共有結合架橋でき、安全で、安定、かつ、粘着性の高い粘着性基材を容易に製造することができる。
【0074】
本発明の実施形態である粘着性基材11の製造方法は、前記尿素とゼラチンを含む水溶液において、ゼラチンの濃度を25wt/wt%以上とする構成なので、ゼラチンの濃度を高めることができ、粘着強度を向上した粘着性基材を簡便に製造することができる。
【0075】
本発明の実施形態である粘着性基材11の製造方法は、前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を、加熱しながら混合する構成なので、反応をより短時間で行うことができる。
【0076】
本発明の実施形態である粘着性基材及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
(スクシンイミド修飾ポリリンゴ酸生成工程)
分子量が4500であるポリリンゴ酸(α、β−PMA)2.00gのジメチルホルムアミド(DMF)溶液中に、室温にて、N−ヒドロキシスクシンイミド(ペプチド研究所社)1.98gと塩酸1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ペプチド研究所社)3.64gを加え、20時間攪拌した。
その後、過剰の酢酸エチル、DMSO−アセトン−ヘキサン、DMSO−エーテルを用いて精製し、ポリリンゴ酸の側鎖カルボキシル基がN−ヒドロキシスクシンイミドに修飾された誘導体(suc−PMA)1.95gを得た。
図6は、用いたα、β−PMA(a)及び生成したsuc−PMA(b)のメチンプロトンの1H−NMRスペクトルである。
【0078】
(尿素、ゼラチン水溶液生成工程)
1500mgの酸処理ゼラチン(新田ゼラチン社)を3mlのリン酸塩緩衝溶液(PBS;10mM、pH7.4、150mM NaCl含有)に加え、さらに72.1mgの尿素(和光純薬社)を添加して60℃で20分間加熱溶解し、40℃に保温した。
【0079】
(粘着性基材生成工程)
37℃で、ゼラチン生成工程で生成したゼラチン水溶液0.5ml中に、スクシンイミド修飾ポリリンゴ酸生成工程で生成したポリリンゴ酸誘導体72.9mg(エステル基が0.342mmol)を加え、37℃で攪拌した。
その後、37℃ で24時間保温した後に室温に冷却し、尿素含有ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲル基材を合成した。この架橋ゲル基材を実施例1試料と呼称する。
【0080】
(比較例1)
ゼラチン生成工程で生成したゼラチン溶液0.5mlを37℃で24時間保温した後に室温に冷却し、尿素含有ゼラチンゲル基材を得た。この架橋ゲル基材を比較例1試料と呼称する。
【0081】
(比較例2)
ゼラチン生成工程で生成したゼラチン溶液0.5ml中に、37℃で、分子量が4500であるポリリンゴ酸39.7mg(カルボキシル基が0.342mmol)を加え37℃ で攪拌した。
その後、37℃ で24時間保温した後に室温に冷却し、ポリリンゴ酸と尿素を含有したゼラチンゲル基材を合成した。この架橋ゲル基材を比較例2試料と呼称する。
【0082】
(ゲル外観)
図7は、実施例1試料(a)、比較例1試料(b)、比較例2試料(c)の外観を示す写真である。
【0083】
(ゲルの温度安定性)
各架橋ゲル基材(実施例1、比較例1、2試料)を、ガラス製サンプル管に入れて37℃で1時間保温した。
図8は、実施例1試料(a)、比較例1試料(b)、比較例2試料(c)の保温前後の外観を示す写真である。
図8に示すように、保温1時間後には、実施例1の尿素含有ポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲル基材および比較例1の尿素含有ゼラチンゲル基材では、ゲル状態のままであった。
一方、比較例2の尿素とポリリンゴ酸を含有したゲル基材は、15分後には融解しゾル化していた。
【0084】
(接着試験)
各架橋ゲル基材(実施例1、比較例1、2試料)を、リン酸塩緩衝溶液(PBS;10mM、pH7.4、150mM NaCl含有)に浸漬して濡らした後に余分な水分を除去した脱脂コラーゲンケーシングで折りたたんで挟み、チャック付ビニール袋に入れて密封した。なお、この脱脂コラーゲンケーシングは、1晩エタノールに浸漬して脱脂したコラーゲンケーシングである。
そして、37℃で5分間保温した。
【0085】
その後、37℃において、取出し、折りたたんだケーシングを開けて観察した。
図9は、実施例1試料(a)、比較例1試料(b)、比較例2試料(c)の接着試験の結果を示す写真である。
図9に示すように、実施例1の架橋ゲル基材はケーシング両面に強く付着していた。
一方、比較例1の尿素含有ゼラチンゲル基材はケーシングの片面のみに付着し、もう一方の面はゲルから容易にはく離した。
更に、比較例2のポリリンゴ酸と尿素を含有したゲル基材ではケーシングの間で融解しゾル化していた。
【0086】
(保存試験)
架橋ゲル基材(実施例1試料)を液体窒素により瞬時に凍結させ、チューブ内に入れて密閉しフリーザー中(−20℃)で保存した。
凍結したゲル基材をビニール袋に入れて密封し、37℃の温水中で加温し、凍結前のゲル状態に戻した。
そのゲルを、リン酸塩緩衝溶液(PBS;10mM、pH7.4、150mM NaCl含有)に浸漬して濡らした後に余分な水分を除去した上記の脱脂コラーゲンケーシングで折りたたんで挟み、チャック付ビニール袋に入れて密封した。
そして37℃で5分間保温した。
【0087】
その後、37℃において、取出し、折りたたんだケーシングを開けて観察したところ、架橋ゲル基材(実施例1試料)は、ゾル化することなしにケーシング両面に強く付着していた。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、生体組織に対して安全で、生理的条件下において生体組織に対する粘着性に優れた新規な粘着性基材及びその製造方法に関するものであり、生体組織に粘着させて、損傷組織の治癒や創傷組織を安全にかつ容易に接合することに用いることができ、粘着性基材の製造産業、特に、医療用粘着性基材の産業等において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0089】
11…粘着性基材、11a…一面、11b…他面、31…生体組織、41…密封用袋。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリリンゴ酸とゼラチンが共有結合架橋されたポリリンゴ酸架橋ゼラチンゲルと、尿素とを有することを特徴とする粘着性基材。
【請求項2】
前記ポリリンゴ酸のカルボキシル基が前記ゼラチンのアミノ基と共有結合していることを特徴とする請求項1に記載の粘着性基材。
【請求項3】
前記ゼラチンが酸処理またはアルカリ処理ゼラチンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粘着性基材。
【請求項4】
前記ゼラチンの濃度が25wt/wt%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着性基材。
【請求項5】
有機溶媒中で、ポリリンゴ酸と、電子吸引性基を有する化合物とを混合して、電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を生成する工程と、
ゼラチンを分散させた緩衝溶液に尿素を混合して、尿素とゼラチンを含む水溶液を生成する工程と、
前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を混合してから、加熱して、尿素存在下、ポリリンゴ酸とゼラチンを共有結合架橋して粘着性基材を生成する工程と、を有することを特徴とする粘着性基材の製造方法。
【請求項6】
前記電子吸引性基が、スクシンイミジル基、スルホスクシンイミジル基、ベンゾトリアゾールイル基、フタルイミジル基、イミダゾールイル基又はニトロフェニル基の群から選択される一の官能基であることを特徴とする請求項5に記載の粘着性基材の製造方法。
【請求項7】
前記尿素とゼラチンを含む水溶液において、ゼラチンの濃度を25wt/wt%以上とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の粘着性基材の製造方法。
【請求項8】
前記尿素とゼラチンを含む水溶液に前記電子吸引性基修飾ポリリンゴ酸を、加熱しながら混合することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の粘着性基材の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−232070(P2012−232070A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104571(P2011−104571)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【Fターム(参考)】