説明

粘着性感熱ラベル、その処理方法及び装置

【課題】 2以上のミシン目等により切り離し・剥離可能に形成された3片以上の小片を1セットとするラベルをサーマルプリンタで印刷しても印刷する際に折れ・シワ・詰まりの発生等の支障がなく、かつ、剥離後にはベタベタしない粘着性感熱ラベル及びその印刷装置の提供を目的とすること。
【解決手段】 粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする粘着性感熱ラベルであって、少なくとも両端の小片はラベル支持体上に感熱記録層を有するものであり、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、粘着剤層の表面が、反転した文字情報または目視により識別不能なコード情報の印刷で該粘着層領域面のうちの75%〜95%が弱粘着加工層で覆われたものであることにより、該少なくとも1片の中片は平坦なSUS表面に対する粘着力が38mN/25mm〜195mN/25mmに粘着力調節されたものであることを特徴とする粘着性感熱ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性感熱ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
加工工場で包装、もしくは小売店で小分けされ再包装されて販売されることが多い食料品等の商品類のPOSラベルは、小売店もしくは加工工場などのプリンタで印刷されるのが一般的である。このPOSラベルには商品情報(商品名、量、価格、商品コード(光学読取りバーコード)、製造者名、製造年月日など)が印刷される。
【0003】
このPOSラベルに、切り離し可能なラベル片を付加し、該ラベル片にクーポンのような販売促進情報を前記商品情報と一緒に印刷し、該ラベルを貼付した商品(被着体)を手にした 顧客の衝動買いを期待できるラベルの印刷方法が特許文献1(特許第3296621号公報)に開示されている。
【0004】
この印刷方法は、POSラベルの貼付対象商品とクーポン対象商品(販売促進商品) の情報を印刷するものではあるが、しかし、切り離し可能なラベル片が非粘着加工、または弱粘着加工されている場合にはプリンタで印刷する際に折れ・シワ・詰まりの恐れがあるものであった。
【0005】
特許文献2(US2005/0154641A1)には、小売店で顧客の特定商品購入申出を受ける段階、該商品により与えられる関連他商品群の中から選ばれた他商品入手のためのインセンティブを自動的に選択する段階、付随するプリンタから前記インセンティブのクーポンをラベルに印刷する段階、該クーポンを購入商品のラベルに固着し顧客に該商品を渡す段階を含む、裏面に接着層を有する貼り付け片と弱粘着加工された切り離し・剥離可能なラベル片とを有し、切り離し可能なラベル片の両側を前記貼り付け片で固定し、2以上のミシン目等により切り離し可能に形成された3片の小片を1セットとするラベルを用いた、他商品入手のためのインセンティブを小売店で提供する方法が開示されている。
【0006】
しかし、この切り離し・剥離可能なラベル片の弱粘着加工は、本発明者らが調査・検討したところ、透明インクを粘着層の全面に網点印刷等により弱粘着加工し、さらにその上から文字・画像を印刷しているため、裏面だけで2工程の印刷が必要で印刷設備が複雑になって製造コストがかかってしまうものであり、また、クーポン等の販売促進情報が印刷された切り離し・剥離可能なラベル片は、サイズが約53mm×57mmと大きく、またその裏面は、周辺部も粘着力を有するため、商品に接着して剥がし難く、また弱粘着化されていても粘着層面の粘着力がほぼ均一な粘着力を有し、財布や紙幣等にくっついてしまい使いにくいものであった。
そこで、プリンタで印刷する際に折れ・シワ・詰まりの発生がの恐れが少なく、かつ、商品(被着体)から剥がしやすく、かつ剥がされた後には、ベタベタしない小片の販売促進ラベルが要求される。
【0007】
一方、粘着層の弱粘着加工については、表面基材の裏面に設けた粘着剤層の露出面に印刷用インキを以って模様刷りの印刷を施し、模様の存在密度状態によって粘着剤層表面の露出部分と隠蔽部分の配置構造と面積を調整して被着体への粘着力を随意に弱粘着化することが特許文献3(特開平6−332381号公報)に開示されている。
しかし、この粘着ラベルは秘密保持と情報内容の保護を目的とするもので、剥離部分は四辺がミシン目で押さえられているため剥離の問題はなく、またサーマルプリンタ印刷するものでもない。
【0008】
また、特許文献4(特開平3−266697号公報)には、感圧接着性シートを部分的に圧力が異なるように加圧処理し、エッジ部分を非エッジ部分よりも強粘着性にし、意図せぬ剥離や剥離するときの紙破れの危険性がないとされる葉書が開示されている。
しかし、感圧接着性シートでは、商品に接着する際に圧力を加える必要があるため、ラップ包装の商品にも貼付するラベルには不向きである。ラベルは省資源やプリンタの小型化の観点からも、包装内部の商品見極め容易性の観点からも、あまり大きなものでないことが無論望ましいが、サーマルプリンタ等の処理装置内搬送性(台紙への接着強度)と、印刷後にミシン目で切り取ったラベル小片の手持ち時の感触(ベタツキ感を与えない)とは、殆ど二律相反の関係にあり、この関係は、一般的に、ラベルが小片になればなるほど、より著しくなる。ラベルの表裏両面の塗工層の違いによるカール発生傾向は、サイズが小片になれば著しくなることも主因の1つである。さらに、小サイズのラベルにおいては、弱粘着加工用インクの印刷であっても、有用情報の表示印刷を兼ねる方が効率的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、2以上のミシン目等により切り離し・剥離可能に形成された3片以上の小片を1セットとするラベルをサーマルプリンタで印刷しても印刷する際に折れ・シワ・詰まりの発生等の支障がなく、かつ、剥離後にはベタベタしない粘着性感熱ラベル、その処理方法及び装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記(1)〜(6)によって解決される。
(1)粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする粘着性感熱ラベルであって、少なくとも両端の小片はラベル支持体上に感熱記録層を有するものであり、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、粘着剤層の表面が、反転した文字情報及び/または目視により識別不能なコード情報の印刷で該粘着層領域面のうちの75%〜95%が弱粘着加工層で覆われたものであることにより、該少なくとも1片の中片は平坦なSUS表面に対する粘着力が38mN/25mm〜195mN/25mmに粘着力調節されたものであることを特徴とする粘着性感熱ラベル。
(2)前記弱粘着加工は、前記少なくとも1片の中片の表面の周囲領域部が0.5mm以上5mm未満の幅でベタ印刷したものであることを特徴とする前記(1)に記載の粘着性感熱ラベル。
(3)前記印刷による弱粘着加工部は、前記粘着層と異なる色調の着色料を含む硬化性樹脂ビヒクルのインク付着部であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の粘着性感熱ラベル。
(4)弱粘着加工されていない粘着剤層の粘着力が、4N/25mm以上25N/25mm未満であることを特徴とする前記(1)乃至(3)いずれかに記載の粘着性感熱ラベル。
(5)粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする請求項1乃至4いずれかに記載の粘着性感熱ラベルの印刷装置であって、ラベル印刷情報を入力可能なプリンタ、データベース、データ入力可能なコントローラとを有し、前記プリンタ、データベース、及びコントローラはネットワークを介して接続されており、前記データベースは、商品情報、クーポン、販促情報とを有するものであり、前記コントローラは、プリンタからの商品情報に関連するクーポンの有無、及び販促情報を入手し、印刷データを生成しプリンタへ出力するものであり、前記プリンタは、前記クーポンが印刷された粘着性感熱ラベルの両端の一方の小片に貼付対象商品情報を印刷し、他方の小片に販促情報を印刷するものであることを特徴とする印刷装置。
(6)複数の専門店若しくは専門売場に配置され、それぞれの各端末がコントローラと、これに接続しラベルプリンタ入力装置を具備するラベルプリンタと、コントローラ用入力装置と、コントローラが具備するデータ記憶手段に呼出可能及び演算可能に格納されたデータベースと、各端末間を接続する通信ネットワーク手段とを有するクーポン付きラベルを印刷発行するための装置であって、該クーポン付きラベルが、粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする粘着性感熱ラベルであり、少なくとも両端の小片はラベル支持体上に感熱記録層を有するものであり、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、粘着剤層の表面が、反転した文字情報及び/または目視により識別不能なコード情報の印刷で該粘着層領域面のうちの75%〜95%が弱粘着加工層で覆われたものであることにより、該少なくとも1片の中片は平坦なSUS表面に対する粘着力が38mN/25mm〜195mN/25mmに粘着力調節されたものであることを特徴とするクーポン付きラベルを印刷発行するための装置。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明により、2以上のミシン目等により切り離し・剥離可能に形成された3片以上の小片を1セットとするラベルをサーマルプリンタで印刷しても、印刷する際に折れ・シワ・詰まりの発生がなく、かつ、剥離後にはベタベタせず、弱粘着加工面に記載された情報の視認性に優れた粘着性感熱ラベル、及びその好適な処理方法と装置が提供できるという極めて優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ラベル印刷システム全体の概略図である。
【図2】プリンタのブロック図である。
【図3】データベース入力画面の一例を示す図である。
【図4】データベース登録時のフロー図である。
【図5】データベースに登録されるテーブルの一例を示す図である。
【図6】プリンタ入力装置の入力画面の一例を示す図である。
【図7】プリンタの印刷フローを示す図である。
【図8】印刷出力の一例を示す図である。
【図9】販売促進メッセージを記録したラベルの一例を示す図である
【図10】ラベルを商品に貼付した一例を示す図である。
【図11】クーポン裏面の弱粘着加工の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<粘着ラベル>
本発明の粘着性感熱ラベルは、2以上のミシン目等により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとするラベルであり、粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、少なくとも両端の小片は、後述する感熱記録層をさらに有し、更に必要に応じてその他の層を有してなり、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、粘着層が弱粘着加工されたものであり、本発明は前記粘着性感熱ラベルに関して、プリンタで印刷する際に折れ・シワ・詰まりの発生がなく、かつ、剥離後のベタツキを防止するため、弱粘着加工の粘着力を鋭意検討した結果得られたものである。
なお、前記ミシン目は表面から裏面方向に入っていることが好ましい。粘着剤層側からミシン目を入れるとサーマルプリンタ故障の原因となる。
【0014】
<粘着層>
前記粘着層は、前記粘着性感熱ラベルの支持体の裏面、または弱粘着加工印刷を施した粘着ラベル用剥離紙における剥離層上に粘着剤を塗布し形成される。前記粘着剤としては、特に制限はなく、公知の粘着剤の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系、スチレン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、エポキシ系、シリコーン系などが挙げられ、これらの中でも、アクリル系感圧粘着剤が好適である。
また、粘着剤のエマルジョンは乳化剤フリーであると耐水性が向上し好ましい。
なお、本発明において、乳化剤フリーとはエマルジョン重合後に乳化剤が存在していないことを意味する。
このような粘着剤としては、東洋インキ社製BPW6111、東洋インキ社製BPW6241等を例示することができ、弱粘着加工がされていない粘着剤のSUS平滑表面に対する粘着力は、4N/25mm以上25N/25mm未満、好ましくは、6N/25mm以上12N/25mm未満、より好ましくは10N/25mm以上12N/25mm未満の粘着剤であると、弱粘着加工面積が75%〜95%であっても剥離紙に対しては、点−点で接着可能であり、かつベタツキ感を低減でき、好ましい。
【0015】
<弱粘着加工>
本発明における弱粘着加工は、商品等の被着体への貼付後、剥離した後には粘着層のベタツキ感を抑え、かつサーマルプリンタでの搬送時に浮き上がり、折れ・シワ・詰まりや搬送不良等が発生しないよう充分な接着力を有する必要がある。
粘着力を小さくすると剥離後のベタツキを抑えることができるが、サーマルプリンタ内では、複数のロールの間を何度もS字状に屈曲し、テンションをかけて搬送される。本発明の粘着性感熱ラベルは、搬送方向に対して直交する方向にミシン目が入っており、弱粘着化された小片の前後が押さえられているが、左右は押さえがないため、弱粘着加工面の粘着力が弱いと剥離する場合もある。
【0016】
弱粘着加工は、図11にその1例が示されるように、周囲を0.5mm以上5mm未満の幅でベタ印刷し、かつ弱粘着加工後の小片のSUSに対する粘着力の平均が38mN/25mm以上195mN/25mm以下になるよう、弱粘着加工面積が75%以上95%以下になるよう内側領域(情報掲載部)に文字情報及び/または目視により識別不能なコード情報の反転印刷で行う。
ここで、反転印刷とは、表示させたい文字情報及び/または目視により識別不能なコード部分の周辺領域を粘着層または下地の色とは異なる色で塗りつぶし、文字情報及び/または目視により識別不能なコード部分を中抜きで形成し、文字情報及び/また目視により識別不能なコード情報を、粘着層の色または下地の色で表すことをいう。
また、目視により識別不能なコード情報とは、バーコード等のコンピュータにより読取り可能、したがって演算可能な情報をいう。
前記ベタ印刷幅が0.5mm未満であると被着体から剥離する際に取っ掛かりが小さすぎて剥がし難く、5mm以上であると周辺部が浮きあがりやすく、折れ・シワ・詰まりの原因となり、また情報を掲げる面積が少なくなる。
また、SUSに対する前記粘着力が38mN/25mm未満であると剥離紙に充分接着せず、サーマルプリンタでの搬送時にスティッキング・ジャム等が生じ、粘着力が195mN/25mmより大きいと商品等の被着体への貼付後に剥離させることが困難になり、また前記被着体から剥離した後にも再度接着しやすくなる。
また、弱粘着加工面積が、75%未満であると充分な弱粘着化が困難であり、95%より大きいと情報の視認性が低下する。
【0017】
本発明においては、感熱記録用粘着ラベルを25mm×60mmの長方形にカットし、ついで被着体(SUS板)に加圧2Kgのゴムローラで長手方向に貼り付けて、30分後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。そのときの粘着力をフォースゲージで測定し、0.1秒間隔で読み取り平均化した。
なお、単位はmN/25mmであり、常温環境下(23℃50%)で実施した。
【0018】
また、本発明においては弱粘着加工部分の面積を以下の方法により測定した。
インクにより弱粘着加工を行ったラベルの画像をスキャナー(Canon製Canoscsn440F)で600dpiの解像度で取り込み、グレースケール(256階調)のBitmapデータに変換する。
前記Bitmapデータから各画素の階調に対して規定の階調値で超えた画素の数を求める。上記規定の階調値は、下地の色とインクの色を区別できるよう適宜調節する。
本発明においては階調が135〜145の緑インクで、階調が180程度の白地に弱粘着加工を行なったため、規定の階調値を150以上として白地部分の面積を求めた。
【0019】
前記インクとしては、光重合乾燥(紫外線硬化型)インクが用いられる。前記インクを用いてスクリーン印刷やオフセット印刷等の各種印刷方式によってベタ印刷される。前記特許公報により公知の網点印刷であると粘着層面全体の粘着力に偏りが生じ難く、ベタツキ感を低減できない。但し、これは、本発明の塗工層形成が、シルクスクリーン等の孔版印刷法によるベタ印刷を排除することを意味するものではない。またインクは有色インクのいずれであってもよいが、有色インクであると弱粘着加工と画像形成とを一回の工程で行えるため、好ましい。
前記両端の小片はサーマルプリンタでの印刷時に前記中片を抑える機能を有するため弱粘着加工は行なわない。
【0020】
前記ラベル支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、布、フイルム、合成紙の他、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のPETフイルム、セルロース誘導体フイルム、ポリオレフィンフイルム、ポリスチレンフイルム、又はこれらを貼り合せた透明フイルム、などが挙げられる。
【0021】
前記感熱記録層は、発色剤、顕色剤、及びバインダー樹脂を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
【0022】
前記発色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロイコ染料、などが挙げられる。
前記ロイコ染料としては、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好適に用いられる。
前記ロイコ化合物としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミンフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−〔N−(3’−トリフルオルメチルフェニル)アミノ〕−6−ジエチルアミノフルオラン、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミン)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム〕、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−m−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3‐ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記顕色剤としては、前記発色剤としてのロイコ染料に熱、溶媒下等で接触し、該発色剤を発色させる電子受容性の種々の化合物又は酸化剤等が好適に挙げられ、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリ−ブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5−トリス(4−ターシャリーブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−(3,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4−〔β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ〕サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−5−オキサペンタン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム酸、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2’−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリーブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−ターシヤリブチルー2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、2,2’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
前記顕色剤の前記感熱記録層における添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記発色剤1質量部に対し1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
【0025】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のバインダー樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、分子内に水酸基又はカルボキシル基を有する樹脂等が好適であり、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール等のポリビニルアセタール類;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体;エポキシ樹脂、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記感熱記録層には、前記発色剤としてのロイコ染料、顕色剤、及びバインダー樹脂と共に、更に必要に応じて感熱記録用シートに慣用される添加成分、例えば、熱可融性物質、填料、界面活性剤、滑剤、圧力発色防止剤、等を感熱記録層の透明性を損なわない範囲で併用することができる。
【0027】
前記熱可融性物質としては、例えば、50〜200℃程度の融点を有する、高級脂肪酸又はそのエステル、アミド又は金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、その他の熱可融性有機化合物等が挙げられる。 前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機系の微粉末が挙げられる。
前記滑剤としては、例えば、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類等が挙げられる。
【0028】
前記感熱記録層は、前記発色剤、顕色剤、バインダー樹脂、及びその他の成分を溶剤中に均一に分散又は溶解してなる感熱記録層塗布液を前記ラベル支持体上に塗布、乾燥して作製されるが、前記塗工方式としては従来公知の各種の方法が使用できる。
【0029】
前記感熱記録層塗布液中の粒子の分散粒径は、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。
前記感熱記録層の膜厚は、前記感熱記録層の組成や熱粘着性ラベルの用途等により異なり一概には規定できないが、1〜50μmが好ましく、3〜20μmがより好ましい。
【0030】
前記感熱記録層上には、該感熱記録層の透明性、耐薬品性、耐水性、耐摩擦性、耐光性及びサーマルヘッドに対する耐久性、耐腐蝕性、滑性等のいわゆるヘッドマッチング性向上のため、必要に応じて保護層が設けられる。
【0031】
前記保護層には、水溶性樹脂、水性エマルジョン、又は疎水性樹脂を主成分として形成された膜、紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂を主成分として形成された膜等が使用される。
前記水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシセルロース等)、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、等が挙げられる。
【0032】
前記水性エマルジョン用の樹脂又は疎水性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、メチルセルロース、エチルセルロース、エチレン/酢酸ビニル共重合体、又はこれらの樹脂とシリコーンセグメントとの共重合体、などが挙げられる。これらは1種単独で又は混合して使用され、さらに必要に応じて硬化剤を添加して樹脂を硬化させてもよい。
【0033】
前記紫外線硬化樹脂としては、紫外線照射によって重合反応を起こし、硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマー又はプレポリマーであれば、その種類は特に限定されず、従来公知の種々のものが使用できる。
前記電子線硬化型樹脂としては、電子線照射によって重合反応を起こし、硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマー又はプレポリマーであれば、その種類は特に限定されず、従来公知の種々のものが使用できるが、ポリエステルを骨格とする5官能以上の分枝状分子構造を有する電子線硬化樹脂、シリコーン変性電子線硬化樹脂を主成分としたものが好ましい。
前記保護層には、表面平滑性を低下さない範囲内で、ヘッドマッチングの向上のために無機フィラー、有機フィラー、滑剤、などを添加することができる。
【0034】
前記無機フィラー及び有機フィラーの少なくともいずれかとしては、感熱記録分野で慣用される顔料中の1種又は2種以上を使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機顔料の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
前記フィラーの粒径としては、0.3μm以下が好ましい。また、前記フィラーとしては、給油量30ml/100g以上が好ましく、80ml/100g以上がより好ましい。
なお、前記滑剤としては、感熱記録層に使用される上記のものが使用できる。
【0035】
前記保護層の塗工方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法が使用できる。
前記保護層の厚さは、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましい。前記保護層の厚さが0.1μm未満であると、熱粘着性ラベルの保存性やヘッドマッチング等の保護層としての機能が不充分となることがあり、20μmを超えると、感熱記録層の熱感度が低下し、コスト的にも不利となることがある。
【0036】
前記ラベル支持体と粘着剤層との間、及び前記ラベル支持体と感熱記録層との間には、サーマルヘッドの熱エネルギー効率を向上させて熱活性化温度を下げるため、又は粘着剤層の熱活性化の際に反体面の感熱記録層の発色をブロックするため、更に必要に応じて、断熱層(アンダー層)を設けることが好ましい。
【0037】
前記断熱層(アンダー層)には、微小中空粒子及びバインダーと共に、更に必要に応じて、顔料、この種の感熱記録材料に慣用される補助添加成分、例えば、熱可融性物質、フィラー、界面活性剤、等を含有させることができる。
【0038】
前記熱可融性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記感熱記録層に使用される上記同様の熱可融性物質が挙げられる。
前記断熱層としては、熱可塑性樹脂を殻としてなる中空度30%以上の微小中空粒子又はポーラスな顔料を含有する非発泡性断熱層、発泡性フィラーを含有する発泡性断熱層が挙げられるが、非発泡性断熱層が好ましい。
前記非発泡性断熱層における樹脂としては、水溶性高分子樹脂が好適に用いられる。該水溶性高分子樹脂としては、例えば、SBR、MBR、NBR等のラテックス;ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉又はその誘導体;カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその誘導体、スチレン/アクリル酸共重合体又はその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、スチレン/アクリル酸/アクリルアミド共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体又はその誘導体、等が挙げられる。
前記フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末が挙げられる。
【0039】
前記熱可塑性樹脂を殻としてなる微小中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、既に発泡状態になっている微小中空粒子であり、その個数平均粒子径(粒子外径)は、2〜20μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。
前記個数平均粒子径が2μm未満であると、任意の中空度にするのが難しくて製造コストが高くなることがあり、20μmを超えると、塗布乾燥後の層表面の平滑性が低下してサーマルヘッドとの密着性が低下し、ドット再現性が悪くなると共に感度向上効果が低下することがある。
なお、前記微小中空粒子の粒子分布としては、バラツキが少なく分布スペクトラムの均一なものが望ましい。
【0040】
前記微小中空粒子の中空度は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。前記中空度が30%未満であると、断熱性が不十分となりサーマルヘッドからの熱エネルギーがラベル支持体を通じて熱粘着性ラベルの外へ放出され、発色感度向上が低下することがある。また、光照射による熱変換の熱エネルギーの断熱効果が少なく、感圧粘着剤の活性化効果が低下し、粘着性の発現が弱まることがある。
ここで、前記中空度とは、中空粒子の外径と内径の比であり、下記の数式で表される。
【0041】
【数1】

【0042】
前記微小中空粒子は、上記のように熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、この熱可塑性樹脂としては、塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主成分とする共重合体樹脂が好ましい。
前記断熱層に用いられる他のポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料等が使用できる。
【0043】
前記ラベル支持体と感熱記録層との間及びラベル支持体と感圧粘着剤層との間の少なくともいずれかに非発泡性断熱層を設ける方法としては、前記微小中空粒子と公知の水溶性高分子、水性高分子エマルジョン等のバインダーとを水に分散し、これをラベル支持体の表面に塗布、乾燥する方法が使用できる。
前記微小中空粒子の塗布量は、前記ラベル支持体1m当たり1g以上が好ましく、2〜15gがより好ましい。また、前記バインダー樹脂の塗布量は、非発泡性断熱層をラベル支持体に強く結合できる量であればよく、微小中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して2〜50質量%が好ましい。
【0044】
前記非発泡性断熱層を形成するためのバインダーとしては、特に制限はなく、従来公知の水溶性高分子及び水性高分子エマルジョンの少なくともいずれかが使用できる。
前記水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉又はその誘導体;メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルイン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン、等が挙げられる。
前記水性高分子エマルジョンとしては、例えば、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂、等が挙げられる。
【0045】
<剥離紙>
(粘着ラベル用剥離紙)
本発明の粘着ラベル用剥離紙は、剥離紙支持体と、該剥離紙支持体の少なくとも片面に剥離層を有し、更に、必要に応じて1層のアクリル樹脂含有層、バリアー層、その他の層を有してなる。
【0046】
−剥離紙支持体−
前記剥離紙支持体としては、少なくとも原紙を含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、上質紙、片ツヤ紙、クラフト紙等の普通紙が好適に用いられる。
【0047】
前記原紙としては、フリーネス350〜500mlCSFの木材パルプを原料とする普通紙を使用することが好ましい。前記木材パルプとしては、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)、などが挙げられる。
前記パルプの叩解には、例えば、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
【0048】
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物、等が挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
【0049】
前記原紙の灰分は5.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以下がより好ましい。また、原紙の不透明度は75.5%以下が好ましく、74.5%以下がより好ましい。このような普通紙を使用しないと剥離紙としての940〜960nmにおける光透過率を10%以上とすることが困難である。
【0050】
前記原紙の坪量は、45〜75g/mが好ましく、55〜65g/mがより好ましい。前記原紙の厚みは、40〜80μmが好ましく、55〜65μmがより好ましい。前記原紙の坪量又は厚みが、上記範囲を外れると、得られる剥離紙の光透過率及び緊度を好適な範囲に調節することができなくなることがある。
【0051】
前記剥離紙支持体には、前記原紙内部での光の吸収、屈折を防止して紙を透明にする目的及びクラーク剛度を向上させる目的で原紙のおもて面及び裏面の両方の面に熱可塑性樹脂層を設けることが好ましい。該熱可塑性樹脂層における熱可塑性樹脂としては、例えば、原紙の繊維構造の空隙に十分に浸透して空気を排除し得るもの、また、セルロース繊維の屈折率(約1.49)にできるだけ近い屈折率を有するものが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、後述するアクリル樹脂が好適である。
【0052】
−アクリル樹脂含有層−
前記アクリル樹脂含有層は、前記剥離紙支持体のおもて面及び裏面の両方の面に形成され、少なくともアクリル樹脂を含み、アクリル樹脂以外の他の樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0053】
前記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、適宜合成したものであってよく、市販品であってもよい。前者の場合、前記アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単量体と、これらと共重合可能なモノマーとを共重合してなる樹脂であり、その重合形成の際、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量が、全単量体に対し、50質量%以上のものが好ましい。
前記共重合可能なモノマーとしては、例えば、カルボン酸基を有する不飽和単量体、水酸基を有する不飽和単量体、その他のエチレン性不飽和単量体、などが挙げられる。
【0054】
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一般に、紫外線硬化用樹脂又は電子線硬化用樹脂などに用いられるモノマー乃至オリゴマーなどが好適に挙げられる。これらの中でも、柔軟な構造を有するものが好ましく、脂肪族化合物が好ましく、芳香族化合物では鎖式構造を有するものが好ましく、また、3官能性以上の多官能性モノマーよりも単官能性モノマー乃至2官能性モノマーが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基を有するアミノ(メタ)アクリル酸エステル、グリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、アリル(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリベン(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
前記アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜18のものが好ましく、炭素数3〜15のものがより好ましく、具体的には、メチル(メタ))アクリル酸エステル、エチル(メタ)アクリル酸エステル、n−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、i−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、2−エチルヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、ラウリル(メタ)アクリル酸エステル、ステアリル(メタ)アクリル酸エステル、などが挙げられる。
前記アルキル基の炭素数が、短すぎると、該アクリル樹脂の柔軟性に欠けることがあり、長すぎると、側鎖のメチレン鎖同士が規則的に並び該アクリル樹脂の柔軟性に欠けることがある。
【0056】
前記アルキル基を有するアミノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜5のものが好ましく、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
前記グリコールジ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、などが挙げられる。
【0057】
後者の場合、市販品としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製ダイヤナールSE−5437、SE−5102、SE−5377、SE−5649、SE−5466、SE−5482、HR−169、124、HR−1127、HR−116、HR−113、HR−148、HR−131、HR−470、HR−634、HR−606、HR−607、LR−1065、574、143、396、637、162、469、216、BR−50、BR−52、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117;積水化学工業株式会社製エスレックP SE−0020、SE−0040、SE−0070、SE−0100、SE−1010、SE−1035;三洋化成工業株式会社製ハイマーST95、ST120;三井化学株式会社製FM601、等が挙げられる。
これらのアクリル樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
前記アクリル樹脂におけるガラス転移温度(Tg)は、20〜110℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が20℃未満であると、目的とするクラーク剛度が得られないことがあり、110℃を超えると、透過性及び離解性が悪くなることがある。
前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜300,000が好ましい。
【0059】
前記アクリル樹脂以外の他の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水溶性又は水分散性の高分子化合物が好適であり、例えば、カチオン性デンプン、エステル化デンプン、両性デンプン、酸化デンプン、酵素変性デンプン、エーテル化デンプン等のデンプン類;カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)等のセルロース誘導体;ゼラチン、カゼイン、天然ゴム等の天然又は半合成高分子;ポリビニルアルコール(PVA)、イソプレン、ネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類;ポリブデン、ポリシソブチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリアルケン類;ビニルハライド、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、メチルビニルエーテル等のビニル系重合体や共重合体類;スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の合成ゴムラテックス;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、各種添加剤、などが挙げられる。
【0061】
前記アクリル樹脂含有層は、アクリル樹脂含有塗布液を剥離紙支持体のおもて面及び裏面の両方の面に塗布し形成される。
前記剥離紙支持体のおもて面(粘着ラベルを設ける側)に形成されるアクリル樹脂含有層(以下、「おもてアクリル樹脂含有層」と称することがある)におけるアクリル樹脂含有塗布液の付着量は0.5〜8.0g/mが好ましく、2.0〜6.0g/mがより好ましい。前記アクリル樹脂含有層の付着量が0.5g/m未満であると、十分なクラーク剛度及び透明性の向上が得られないことがあり、8.0g/mを超えると、再生時の離解性が低下することがある。
【0062】
前記剥離紙支持体の裏面(粘着ラベルを設けない側)に形成されるアクリル樹脂含有層(以下、「バック層」と称することがある)におけるアクリル樹脂含有塗布液の付着量は0.5〜8.0g/mが好ましく、2.0〜5.0g/mがより好ましい。前記アクリル樹脂含有層の付着量が0.5g/m2未満であると、裏面印刷性への効果が得られないことがあり、8.0g/m2を超えると、再生時の離解性が低下することがある。
前記バック層の平滑度は、王研式平滑度で200秒以上が好ましく、300秒以上がより好ましい。前記王研式平滑度が200秒未満であると、裏面印刷性への効果が少なることがある。前記平滑度を200秒以上とする手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、キャレンダー処理、等が挙げられる。
【0063】
前記剥離紙支持体のおもて面及び裏面の両方の面におけるアクリル樹脂含有塗布液の合計付着量は、2.0〜16.0g/mが好ましく、6.0〜12.0g/mがより好ましい。前記合計付着量が2.0g/m未満であると、紙力強度(クラーク剛度)への効果が少なくなることがあり、16.0g/mを超えると、再生時の離解性が低下することがある。
【0064】
−剥離層−
前記剥離層は、少なくとも剥離剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記剥離剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エマルジョン型、溶剤型、又は無溶剤型のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、剥離力、安全性、公害面及びコスト等の観点から、無溶剤型の付加反応型シリコーンが好適である。
【0065】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、硬化触媒、各種添加剤などが挙げられる。
【0066】
前記剥離層は、前記おもてアクリル樹脂含有層上に剥離層用塗布液を塗布し形成される。
前記剥離層用塗布液の付着量としては、固形分で0.4〜3.0g/mが好ましく、0.5〜2.0g/mがより好ましい。前記剥離層の付着量が0.4g/m未満であると、十分な剥離性が得られないことがあり、3.0g/mを超えると、剥離性が軽くなりすぎてプリンター等マシン搬送時のラベルハガレが生じることがある。
【0067】
−バリアー層−
前記バリアー層は、前記おもてアクリル樹脂含有層と前記剥離層との間に形成され、目止め剤を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。なお、目止め剤は、おもてアクリル樹脂含有層に含ませることもできる。
【0068】
前記目止め剤としては、おもてアクリル樹脂含有層への剥離剤の浸透を防ぎ、剥離層を均一で薄い層として形成できる機能を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の水溶性高分子、SBR等の水不溶性樹脂等が使用できる。
【0069】
前記その他の成分としては、無機フィラー又は有機フィラー、各種添加剤、などを適宜配合することができる。
前記無機フィラー又は有機フィラーとしては、光透過性を著しく低下させない範囲で配合することができ、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機顔料の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機顔料が挙げられる。
【0070】
前記バリアー層用塗布液の付着量は、剥離紙支持体、該剥離紙支持体上におもてアクリル樹脂含有層が及びバリアー層が積層された積層体に施すキャレンダー処理条件によって異なるが、1.0〜4.0g/mが好ましい。前記付着量が1.0g/m未満であると、均一で薄い剥離層が形成し難くなることがあり、4.0g/mを超えると、再生時の離解性、及び透過性が低下することがあり好ましくない。
【0071】
前記粘着ラベル用剥離紙は、透過式の位置検出機を有するラベルプリンターでのラベル位置検出を支障なく行うには、940〜960nmにおける光透過率が10%以上であることが好ましい。
前記粘着ラベル用剥離紙は、剥離紙支持体と剥離紙との粘着加工品を打ち抜き加工してカス上げを行う際に、剥離紙への打ち抜き刃の傷や跡が強い場合には、(i)刃傷(跡)への接着糊の浸入、刃傷(跡)に沿っての剥離紙折れ等によるプリンタ−でのラベル分離不良が生じる。(ii)プリンタ−での搬送時の打ち抜き刃の傷や跡の部分での剥離紙切れが発生する。
従って、粘着ラベルの打抜き加工性を向上させるために、前記剥離紙の緊度は、0.90〜1.20が好ましく、0.95〜1.15がより好ましい。
前記剥離紙の緊度が0.90未満であると、打抜き加工時の打抜き刃の傷、刃の跡が強くなることがあり、1.20を超えると、キャレンダー処理における生産性が低下して製造コストが上昇することがある。また、クラーク剛度も低下するので好ましくない。
前記剥離紙の緊度を上記範囲に制御する方法としては、一般的には、キャレンダー処理による方法が挙げられる。
ここで、前記緊度は、例えば、緊度=総量(坪量、g/m)/総紙厚(μm)により測定することができる。
【0072】
前記粘着ラベル用剥離紙における縦方向のクラーク剛度は20以上が好ましく、25〜60がより好ましい。また、横方向のクラーク剛度は10以上が好ましく、15〜45がより好ましい。
ここで、前記クラーク剛度は、例えば、JIS P8143に基づいて測定することができる。
【0073】
本発明の粘着ラベル用剥離紙は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ラベル、シール、ステッカー、ワッペン等の形態の一般的な粘着ラベル用剥離紙として使用できる。
【0074】
(粘着ラベル用剥離紙の製造方法)
本発明の粘着ラベル用剥離紙の製造方法は、剥離層形成工程を有し、必要に応じてアクリル樹脂含有層形成工程を含むものであり、アクリル樹脂含有層形成後前記剥離層形成工程の前にキャレンダー処理を行い、更に必要に応じてその他の工程を有する。
【0075】
−アクリル樹脂含有層形成工程−
前記アクリル樹脂含有層形成工程は、剥離紙支持体のおもて面及び裏面の両方の面にアクリル樹脂含有塗布液を塗布しアクリル樹脂含有層を形成する工程である。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ブレードコート法、などが挙げられる。これらの中でも、塗布効率等の点で、スピンコート法、ディップコート法等が好ましい。
前記塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
【0076】
前記剥離紙支持体のおもて面及び裏面の両方の面におけるアクリル樹脂含有塗布液の塗布量がそれぞれ、固形分で0.5〜8.0g/mが好ましく、2.0〜6.0g/mがより好ましい。
また、剥離紙支持体の両面におけるアクリル樹脂含有塗布液の合計付着量が、固形分で2.0〜16.0g/mが好ましく、6.0〜12.0g/mがより好ましい。
【0077】
−剥離層形成工程−
前記剥離層形成工程は、粘着ラベルを設ける側のアクリル樹脂含有層(おもてアクリル樹脂含有層)上に剥離剤含有塗布液を塗布し剥離層を形成する工程である。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ブレードコート法、などが挙げられる。これらの中でも、塗布効率等の点で、スピンコート法、ディップコート法等が好ましい。
前記剥離層用塗布液の塗布量は、固形分で0.4〜3.0g/mが好ましく、0.5〜2.0g/mがより好ましい。
【0078】
−バリアー層形成工程−
前記バリアー層形成工程は、粘着ラベルを設ける側のアクリル樹脂含有層(おもてアクリル樹脂層)上にバリアー層用塗布液を塗布しバリアー層を形成する工程である。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ブレードコート法、などが挙げられる。これらの中でも、塗布効率等の点で、スピンコート法、ディップコート法等が好ましい。
前記バリアー層用塗布液の塗布量は、固形分で1.0〜4.0g/mが好ましい。
【0079】
−キャレンダー処理−
前記キャレンダー処理は、剥離紙支持体、樹脂層形成工程により形成された積層体、及びバリアー層形成工程により形成された積層体のいずれかに対し行うことが好ましい。即ち、剥離紙支持体にあらかじめキャレンダー処理を施して緊度を高くすることができる。また、剥離紙支持体上におもてアクリル樹脂含有層を積層し得られた積層体にキャレンダー処理を施す方法、剥離紙支持体上におもてアクリル樹脂層、バリアー層を順次積層し得られた積層体にキャレンダー処理を施す方法、等が挙げられる。
【0080】
前記キャレンダー処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法、装置等を用いて行うことができ、例えば、マシーンキャレンダー、スーパーキャレンダー、オンマシーンキャレンダー及びオフマシーンキャレンダーから選択される少なくともいずれかが好適である。
前記キャレンダー処理の条件は、特に制限はなく、所望とする紙厚、光透過性等に応じて適宜選択することができ、例えば、圧力2.0〜3.0MPaで1回以上行うことが好ましい。
【0081】
<粘着性感熱ラベル及びその処理方法・使用方法>
本発明粘着性感熱ラベルの処理方法、及び使用方法について説明する。
本発明の感熱ラベルは、前記のように、ミシン目等により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとし、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、反転した文字情報及び/または目視により識別不能なコード情報の印刷で該粘着層領域面のうちの75%〜95%が弱粘着加工層で覆われたものであることにより、商品等の被着体から剥離可能に、粘着層が前記調節された粘着力に弱粘着加工されたものである。
そして、前記弱粘着加工されていない小片を従来のPOSラベルとし、弱粘着加工された小片には予めクーポン情報を印刷し、ミシン目加工等、POSラベルから容易に切取可能な加工を施す。切り取られたクーポン券片は、例えば、顧客の欲するプレミアム商品を後程獲得するための有価ポイントとして、今回購入商品とは別に顧客が保存していることもできる。また、該クーポン情報に関する販売促進情報等を弱粘着加工されていない他端の小片に印刷することもできる。
【0082】
この粘着性感熱ラベルは、商品の販売促進の手段として非常に高い有効性を発揮する。むろん、商品販売業者は、デパートやスーパーマーケット等の大規模小売業における専門売り場や、独立の八百屋、魚屋、薬局、酒店等の専門店、さらには本店と各支店とからなる専門チエーン店等種々の小売態様や現場があり、かつ商品の種類、販売単価、仕入れ量や在庫量(販売予定量)、販売残商品の取扱いの決定等、種々の販売ポリシーの決定が、販売すべき商品の小分けと包装及びラベル貼着現場や、経営者の在する本社(本店)を含む種々の段階で行われ得るし、また、各情報処理用機能資源をラベルプリンタとコントローラがどのようにシェアするか等にもよるが、本発明の前記粘着性感熱ラベルは、これら種々の場、状態の各責任者の意向を同時に反映した表示を印刷することができ、したがって、ラベル印刷されるべき情報内容のラベル印刷機への取込み、印刷態様等の作成、使用形態は多岐に亘っており、一概に断定することはできないが、以下、本発明についての理解を容易にするため、典型的な作製、使用例の幾つかについて、説明する。
本発明は、前記のように、複数の専門店若しくは専門売場に配置され、それぞれの各端末がコントローラと、これに接続しラベルプリンタ入力装置を具備するラベルプリンタと、コントローラ用入力装置と、コントローラが具備するデータ記憶手段に呼出可能及び演算可能に格納されたデータベースと、各端末間を接続する通信ネットワーク手段とを有するクーポン付きラベルを印刷発行するための装置であって、該クーポン付きラベルが、粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする粘着性感熱ラベルであり、少なくとも両端の小片はラベル支持体上に感熱記録層を有するものであり、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、粘着剤層の表面が、反転した文字情報及び/または目視により識別不能なコード情報の印刷で該粘着層領域面のうちの75%〜95%が弱粘着加工層で覆われたものであることにより、該少なくとも1片の中片は平坦なSUS表面に対する粘着力が38mN/25mm〜195mN/25mmに粘着力調節されたものであることを特徴とするクーポン付きラベルを印刷発行するための装置、を提供するものでもある。
【0083】
図1は、このような粘着性感熱ラベル上に情報を印刷するための印刷システムを示す。プリンタ(10)は、サーマルヘッドを搭載し、上記粘着性感熱ラベルを加熱発色させ、該ラベル上に情報を印刷するサーマルプリンタである。入力装置(11)は、プリンタ(10)に接続されるか、またはプリンタと一体的に設けられ、ラベル上に印刷する情報を入力するための入力画面(図6:後述する)を表示する。PC(コントローラ)(12)は、データベース(14)および入力装置(13)とに接続され、入力装置(13)で入力されたデータをデータベース(14)に蓄積するための制御を行う。入力装置(13)は、データベース(14)にデータを登録するための入力画面(図3:後述する)を備える。なお、図1では、プリンタ(10)、PC(コントローラ)(12)およびデータベース(14)とは、ネットワークを介して接続されているが、全てが一体的に構成されてもよい。ただし、好ましくは、プリンタ(10)は店舗での売場担当者が印刷操作を行い、PC(コントローラ)(12)は店舗の管理者がデータベースの登録操作を行う構成がよく、プリンタ(10)とPC(コントローラ)(12)がネットワークを介して接続される構成がよい。
また、このユニットシステム(1a)は、図中点線で示された各手段を有していてもよく、これらはパソコンの通常のコード入力用キーボード、通常のパソコンにおけるモニタ(15)、ラベル印刷用サーマルプリンタの以外の第2のプリンタ(16)、データベースII(17)であり得る。この第2のデータベースII(17)は、例えば商品名及び品位と単価とクーポン種類に基くインバーテッドデータファイルのような過去の実績記録のテンタティブデータファイルを作成するためのプログラム等各種プログラムを格納するROM手段や、呼出自在及び演算自在に格納された商品名、生産地、品位、生産年月日、小売パック重量、パック製造責任者、販売単価、ロット数、賞味期日、使用ラベル種類等の、関連情報データを格納するRAMのデータベースであり得る。このように、クーポン処理プロセス以外の小売現場特有の機能を遂行するための小売現場特有の機構をさらに有していても当然よい。またの第3のデータベースIIIは、販売戦略立案等に利用可能な各小売現場からの情報を集約した組織全体の動向を把握するデータ等を有してもよい。
そして、このユニットシステム(1a)は、LAN手段を介して大規模小売業店舗内の他の専門売り場間、叉は、商用の通信ネットワークシステムを介してチェーンストア群のうちの各支店間と接続されていてもよく、かつその場合、例えばハブシステム(1z)としての本社(本店)や経営者室の端末、を介して接続されていてもよい。
このようなシステムによれば、クーポンを使用した顧客の好み商品選択情報データを得ることができ、かつ、特定の商品選択情報と、特定のクーポン使用によるプレミアム品との関係を統計的に把握することができ、クーポンの選択的使用結果を、提示されるプレミアム商品の種類に反映することができ、その場合、個人情報保護のため、暗号化された顧客リストのデータ、顧客の利用可能なインセンテイブのデータ記載、前記顧客の商品選択に関する情報のデータ、日時及び小売現場のアドレス情報のデータを得ることができる。
そして、このような本発明のラベルにより、小売者は提供されたクーポンの商品に係る1叉は複数の生産者に、該クーポンの数に応じ該生産者の得た利益から、第1の報酬の支払いを請求ができるようになり、また逆に、クーポンの商品に係る1叉は複数の生産者はインセンテイブクーポンによる取引拡大による第2の報酬を該小売者に請求することができるようになる。
【0084】
図2は、プリンタ(10)の機能ブロック図である。印刷部(21)は、サーマルヘッドを搭載し、上記粘着性感熱ラベルを加熱発色させ、該ラベル上に情報を印刷する。ラベルセット部(24)は、上述した粘着性感熱ラベルを装着する。入力部(25)は、前記入力装置(11)から入力される情報を処理し、印刷部(21)に転送する。ネットワーク部(26)は、PC(コントローラ)(12)とネットワークを介して接続し、データベース(14)から情報を取得する。制御部(22)は、上述した印刷部(21)、ラベルセット部(24)、入力部(25)、ネットワーク部(26)の制御を行い、ラベルセット部(24)に装着された粘着性感熱ラベルを順次サーマルヘッドに給紙し、入力部(25)で入力された情報を当該粘着性感熱ラベル上に印刷する制御を行う。なお、プリンタ(10)に、商品の重量を計量する計量部(23)を設け、計量した重量を印刷部(21)から印刷するよう構成してもよい。
【0085】
図3は、データベース(14)にデータを登録するための入力画面である。入力画面からは、「新規商品」、「商品カテゴリ」、「クーポン種類」、「クーポンカテゴリ」、「販促No.」の情報が入力できる。また、図3に示すように、データベースの登録内容を示す一覧を表示するようにしてもよい。
新規商品:商品情報(例.レタス(1)、レタス(2))
商品カテゴリ:商品が属するカテゴリ(例.青果、精肉)
クーポン種類:クーポンの内容(例.ドレッシング、ハム)
クーポンカテゴリ:クーポンの種類(例.ドレッシング、ハム・ソーセージ)
販促情報:クーポンと同時に印刷する販促情報の種類(例.A、B)
なお、クーポン種類(クーポン情報)および販促情報の利用方法は、ラベルのサンプル例を用いて後述する。
【0086】
図4は、PC(コントローラ)(12)で実施されるデータベース登録時の制御フローチャートである。ステップS1にて、入力画面からデータが入力されたことが検知されると、ステップS2にて、既に同じ内容が登録されているか否かをチェックし、重複がなければ、ステップS3にてデータベース(14)に入力されたデータを登録する処理を行う。重複があれば、ステップS4にてエラーを表示する。本実施例では、新規登録のみの説明しかしないが、データベース(14)に登録された内容を修正したり、削除したりするような制御を行うようにしてもよい。
【0087】
図5は、データベース(14)に登録されるテーブルである。当該テーブルには、上述した「商品情報」、「商品カテゴリ」、「クーポン種類」、「クーポンカテゴリ」、「販促No.」が登録され、さらに、当該データが登録された「登録日」が登録されるようになっている。
【0088】
図6は、入力装置(11)の入力画面である。入力画面からは、「商品名」、「個数」、「価格」および「販促情報有無」が入力可能である。
商品名:商品情報(例.レタス(1)、レタス(2))
個数:商品の個数(例.1個、2個)
価格:商品の価格(例.258円、400円)
販促情報の有無
【0089】
図7は、プリンタ(10)で印刷するための制御フローチャートである。ステップS11で、入力装置(11)から、少なくとも「商品情報」が入力され、さらにステップS12で販促情報が「有」であると判断されると、入力された「商品情報」をキーにデータベース(14)を検索し、当該「商品情報」に対応する販促情報を入手する(ステップS13)。そして、入力された「商品情報」、「個数」、「価格」と「販促情報」とから、印刷データを生成し、印刷部(21)から印刷を行う(ステップS14)。
【0090】
粘着性感熱ラベルの印刷システムによって印刷されたラベルの一例を図8、図9に示す。本発明においては、図8の中位にあるクーポンラベルの幅は、台紙であるリール状感熱記録紙の幅と同じであることが好ましく、また、搬送方向長さは、20mmと短くても支障なくプリンタ処理することができる。
【0091】
小売店は、貼付対象商品に関連するクーポン情報が印刷された感熱ラベルを選択し、該感熱ラベルに貼付対象商品の商品情報をオンデマンド印刷し、該商品に貼付することにより、該商品の他にクーポン券に記載される商品のついで買いの需要を創造でき、さらに、前記クーポン券に記載されるクーポン対象商品が陳列された棚の位置、レシピ、イベントセール情報、懸賞情報、お客様の声等、クーポン対象商品や貼付対象商品に関する顧客への販売促進情報を、両端の小片のうち一方にオンデマンド印刷することにより、ついで買いを確実に誘引でき、1人あたりの購入点数、客単価、売上増が図れ、クーポン券に記載される商品のメーカーより販売奨励金を受け取ることなども可能となる。
【0092】
他方、メーカーは自社の商品のクーポンを印刷した感熱ラベルを小売店に提供することにより、新たな広告媒体として、少ない費用負担で自社の商品の認知度・売上増を図ることができ、クーポン券にバーコードを印刷すれば使用されたクーポンをオンライン処理でき、販売情報など新たな商品開発に有益な情報等を入手可能になり、また自社商品の小売価格形成に間接的に関与することができる。
また顧客は、クーポンの利用により商品を安く購入できる。
【0093】
より具体的には、例えば、貼付対象商品が「さんま」の場合、プリンタ入力装置の入力画面にしたがって商品情報を入力するとクーポン情報の有無が表示され、クーポン対象商品が「ぽん酢」である場合は、鮮魚売場担当者は、店舗内の加工場所でさんまを加工・包装する際に、当ラベル(図8(a))とその裏面の粘着面を保護する剥離紙がロール状に巻かれた「ぽん酢のクーポン」が印刷された粘着性感熱ラベルをサーマルプリンタにセットする。
データベースに格納された前記「さんま」と「ぽん酢」の組合せを選択すると、それに対応する「さんまからぽん酢陳列位置までの地図」等の販売促進情報が同時に入手され、弱粘着加工されていない小片に「さんま」及び「その価格」等の商品情報と、前記販売促進情報が感熱記録(図8(b))される。
売場担当者は、プリンタから出力されたラベルを取り、商品(さんま)に貼り付ける。
その時の被着体となる商品(さんま)は、例えば一般的な発泡トレーに入っており、上からラップをかぶせたものであってもよい。売場担当者は、商品(さんま)表面のラップの上に、当ラベルを貼る(図10)。感熱記録された小片は通常ラベルと同様の粘着力でラップに貼付され、クーポンが印刷された小片は弱粘着加工が施されているため、ラップに対する粘着力が前記感熱記録された小片よりも弱い。
さんまを購入しようと鮮魚売場にやってきた顧客は、当然表面に貼付された当ラベルのクーポン情報(ぽん酢50円引き)を目にする。
当ラベルを見て、さんまのついでにぽん酢を購入したい顧客は、その場でクーポンをミシン目に沿って切り取る。クーポンの接着面は弱粘着加工なので、被着体から容易に剥がすことができる。
顧客は、商品(さんま)に貼付された販売促進情報の地図を見ながら、ぽん酢売場へ容易に移動できる。
顧客は、さんま・ぽん酢両商品と、クーポンを持ってレジへ行き、レジ担当者に渡す。
レジ担当者は、ぽん酢の情報読取の際にクーポン情報に基づいて割引操作を行い、顧客はぽん酢を割引価格で購入することができる。
使用済みクーポンは店舗にて保管する。同一クーポンの複数回利用を防ぐために、レジで自動的に判別するシステムを利用してもよい。
【0094】
また、クーポンの有効期限が当日でない場合、顧客は後日クーポンを使用することもできる。
その場合、さんまの購入前でも、購入後に家に持ち帰った後でも、顧客はいつでもクーポンを被着体から切り取り剥がすことができる。
剥がしたクーポンは、財布の中などで保管して、次回来店時にぽん酢と一緒にレジへ持っていき使用することができる。
クーポンの裏面は弱粘着加工されているので、財布の中での保管時にも、他のカードなどにくっついて紛失するなどの恐れが少ない。
上記では、剥離紙を有する感熱記録用粘着ラベルについて説明したが、本発明においては剥離紙を有さないライナーレスの感熱記録用粘着ラベルであってもよい。
【実施例】
【0095】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下における部および%はいずれも重量基準である。
【0096】
−剥離紙の作製−
支持体として、フリーネス400mlCSFの木材パルプを原料とした原紙(上質紙、坪量=47g/m、厚み=60μm、灰分=3.5質量%、不透明度=74.0%)を用意した。
前記原紙のおもて面側(粘着ラベルを設ける側)に下記組成のおもてアクリル樹脂含有層用塗布液を乾燥後質量が6g/mとなるように塗工し、おもてアクリル樹脂含有層を形成した。
次に、おもてアクリル樹脂含有層上に下記組成のバリアー層用塗布液を乾燥後質量が2g/mとなるように塗工し、バリアー層を形成した。
次に、原紙の裏面側(粘着ラベルを設けない側)に下記組成のバック層用塗布液を乾燥後質量が6g/mとなるように塗工し、バック層を形成した。
得られた積層体について、キャレンダー加工(圧力=55kgf/cm×3回、速度=15m/min)を施した後、おもてアクリル樹脂含有層上に下記の剥離層用塗布液を乾燥後質量が1g/mとなるように塗工し、剥離層を形成した。
【0097】
<おもてアクリル樹脂含有層用塗布液の組成>
水溶性アクリル樹脂・・・54質量部
(ジョンソンポリマー社製、Joncryl57、固形分=45質量%、Tg=67℃)
水・・・56質量部
<バック層用塗布液の組成>
水溶性アクリル樹脂・・・54質量部
(ジョンソンポリマー社製、Joncryl57、固形分=45質量%、Tg=67℃)
水・・・56質量部
<バリアー層用塗布液の組成>
クレー・・・5質量部
ポリビニルアルコール水溶液・・・50質量部
(クラレ社製、KL−318、固形分=10質量%)
水・・・45質量部
<剥離層用塗布液の組成>
無溶剤型付加反応型シリコーン樹脂・・・100質量部
(東レ・ダウ・コーニング社製、BY24−468C)
硬化触媒(東レ・ダウ・コーニング社製、SRX−212)・・・1.5質量部
【0098】
−粘着性感熱ラベルの作製−
<感熱記録層塗布液の調製>
[A液]
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 10部
10%イタコン酸変成ポリビニルアルコール水溶液 10部
水 30部
[B液]
4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン 30部
シュウ酸ジ−(p−メチルベンジル) 10部
10%イタコン酸変成ポリビニルアルコール水溶液 50部
シリカ 15部
水 197部
上記組成からなる[A液]および[B液]をそれぞれ平均粒径が2μm以下になるようにサンドミルを用いて分散して染料分散液[A液]、顕色剤分散液[B液]を調製した。
続いて、以下のように攪拌混合して、感熱記録層塗布液[C液]を調製した。
[C液]
染料分散液[A液] 50部
顕色剤分散液[B液] 292部
(2)保護層塗布液の調製
[D液]
水酸化アルミニウム 10部
10%イタコン酸変成ポリビニルアルコール水溶液 80部
25%ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂 16部
30%ステアリン酸亜鉛分散体 25部
水 164部
上記組成のように各薬品を攪拌混合して、保護層塗布液[D液]を調製した。
(3)バック層塗布液の調製
[E液]
塩素化ポリプロピレンエマルジョンEH−801
(固形分30%、塩素含有量16%:東洋化成工業製) 30部
ポリビニルアルコールRFM−117水溶液(固形分16%:クラレ製) 56部
水 30部
上記組成のように各薬品を攪拌混合して、バック層塗布液[E液]を調製した。
次に支持体として厚み100μmのポリプロピレンフィルム南亜製PL−100の表面に[C液]からなる感熱記録層および[D液]からなる保護層を各々乾燥後の付着量が5.0g/m、3.5g/mになるように塗布乾燥し、裏面に[E液]からなるバック層を乾燥後の付着量が1.0g/mとなるように塗布乾燥し、カレンダー掛けにより、表面の王研式平滑度が約1000秒になるように処理し、本発明の感熱記録材料を得た。
さらに、支持体の裏面のバック層上にアクリル系粘着剤BPW6111(東洋インキ社製)を乾燥後の付着量が20g/mとなるように設けた。
【0099】
次に、作製した粘着性感熱記録材料の中間部表面に、次のインク及び印刷方法を用いてクーポン情報を印刷した。
【0100】
インク:XSYS Flexocure sigma UFZ 10031−408
Yellow(UVフレキソ有色インク)
印刷条件:RK PRINT COAT INSTRUMENTS LTD製 RK
フレキシプルーフ 100−UVを用いてインク付着量が6cm/mとなるように印
刷を行った(印刷面積は約100%の全面印刷である)。
【0101】
前記クーポン情報を印刷した部分の裏面に図12に示すように、周辺から1.5mmを除く、文字情報表示部分に偏ることなく全体的に配列し、UVインク(ティーアンドケイ東華社製 UV161)により、厚さ約10μmのベタ印刷で白文字を反転印刷した。ベタ印刷の面積を70%から97%まで変えて、弱粘着加工を行ない、弱粘着加工面と上記製造した剥離紙の剥離面とを重ねた積層状態の両者をニップロール間を通過させて合体させ、次に23mm間隔のミシン目を入れて、40℃の環境下で4日間保管して、実施例1〜3、比較例1,2の感熱記録用粘着ラベルを得た。
【0102】
また、上記アクリル系粘着剤BPW6111(東洋インキ社製)をアクリル系粘着剤BPW6241(東洋インキ社製)に変えた他は同様にして、実施例4〜6、比較例3,4の感熱記録用粘着ラベルを得た。
実施例1〜6、比較例1〜4の粘着性感熱ラベルの接着性及び視認性の評価を以下に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
粘着性の評価
粘着力が1〜100mN/25mmの範囲では、財布の中などでの保管時にカードなどにくっつかないレベルでクーポン用途に適している。
粘着力が101〜200mN/25mmの範囲では、カードなどに若干くっつくことがあるがクーポン用途として問題ないレベル。
粘着力が201mN/25mm〜では、カードなどにくっつく恐れがあり、クーポン使用には問題があるレベル。
作製した実施例1〜6、比較例1〜4の粘着性感熱ラベルそれぞれにサーマルプリンタで画像形成したところ、比較例1、比較例3、実施例4では、弱粘着加工をした小片にシワが生じ、画像形成ができない場合があったが、他の実施例、比較例は良好な画像形成が可能であった。
【0105】
視認性の評価
◎: 文字が問題なく読める。クーポン用途に適している
○: 文字がほぼ問題なく読める。クーポン用途として問題ない。
×: 文字が読めない。クーポン用途には問題あり。
【0106】
実施例1〜6、比較例1〜4の粘着性感熱ラベルのPET、PVC、POに対する粘着力を併せて以下に示す。
【0107】
【表2−1】

【0108】
【表2−2】

【0109】
【表2−3】

【符号の説明】
【0110】
10 プリンタ
11 入力装置
12 PC(コントローラ)
13 入力装置
14 データベース
15 モニタ
16 第2のプリンタ
17 データベース
21 印刷部
22 制御部
23 計量部
24 ラベルセット部
25 入力部
26 ネットワーク部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特許第3296621号公報
【特許文献2】US2005/0154641A1
【特許文献3】特開平6−332381号公報
【特許文献4】特開平3−266697号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする粘着性感熱ラベルであって、少なくとも両端の小片はラベル支持体上に感熱記録層を有するものであり、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、粘着剤層の表面が、反転した文字情報または目視により識別不能なコード情報の印刷で該粘着層領域面のうちの75%〜95%が弱粘着加工層で覆われたものであることにより、該少なくとも1片の中片は平坦なSUS表面に対する粘着力が38mN/25mm〜195mN/25mmに粘着力調節されたものであることを特徴とする粘着性感熱ラベル。
【請求項2】
前記弱粘着加工は、前記少なくとも1片の中片の表面の周囲領域部が0.5mm以上5mm未満の幅でベタ印刷したものであることを特徴とする請求項1に記載の粘着性感熱ラベル。
【請求項3】
前記印刷による弱粘着加工部は、前記粘着層と異なる色調の着色料を含む硬化性樹脂ビヒクルのインク付着部であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着性感熱ラベル。
【請求項4】
弱粘着加工されていない粘着剤層の粘着力が、4N/25mm以上25N/25mm未満であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の粘着性感熱ラベル。
【請求項5】
粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする請求項1乃至4いずれかに記載の粘着性感熱ラベルの印刷装置であって、ラベル印刷情報を入力可能なプリンタ、データベース、データ入力可能なコントローラとを有し、前記プリンタ、データベース、及びコントローラはネットワークを介して接続されており、前記データベースは、商品情報、クーポン、販促情報とを有するものであり、前記コントローラは、プリンタからの商品情報に関連するクーポンの有無、及び販促情報を入手し、印刷データを生成しプリンタへ出力するものであり、前記プリンタは、前記クーポンが印刷された粘着性感熱ラベルの両端の一方の小片に貼付対象商品情報を印刷し、他方の小片に販促情報を印刷するものであることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
複数の専門店若しくは専門売場に配置され、それぞれの各端末がコントローラと、これに接続しラベルプリンタ入力装置を具備するラベルプリンタと、コントローラ用入力装置と、コントローラが具備するデータ記憶手段に呼出可能及び演算可能に格納されたデータベースと、各端末間を接続する通信ネットワーク手段とを有するクーポン付きラベルを印刷発行するための装置であって、該クーポン付きラベルが、粘着剤層とラベル支持体とをこの順に有し、2以上のミシン目により切り離し可能に形成された3片以上の小片を1セットとする粘着性感熱ラベルであり、少なくとも両端の小片はラベル支持体上に感熱記録層を有するものであり、前記両端の小片を除く中片のうち、少なくとも1片は、粘着剤層の表面が、反転した文字情報及び/または目視により識別不能なコード情報の印刷で該粘着層領域面のうちの75%〜95%が弱粘着加工層で覆われたものであることにより、該少なくとも1片の中片は平坦なSUS表面に対する粘着力が38mN/25mm〜195mN/25mmに粘着力調節されたものであることを特徴とするクーポン付きラベルを印刷発行するための装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−137962(P2011−137962A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297437(P2009−297437)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】