説明

粘膜での微生物のコロニー形成の低減

本発明は、疾患を患うヒト又は動物に治療用ペプチド又は治療用タンパク質を送達及び投与するための改変微生物の使用、又はワクチン接種目的のような抗原を送達するための改変微生物の使用の分野にある。より具体的には、本発明は、特に組換え微生物がヒト又は動物の処置又はワクチン接種の一部として消化管に存在する場合、粘膜でのコロニー形成能がその野生型祖先のものと比較して低減している組換え微生物に関する。特に、組換え微生物は消化管での微生物のコロニー形成能の低減を引き起こす不活性チミジル酸シンターゼ遺伝子を含有する。本発明には、異種又は同種のタンパク質を発現するための、また上記タンパク質を動物又はヒトに送達、特に治療的に送達するための核酸又はベクターを含む上記組換え微生物の使用も含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に組換え微生物がヒト又は動物の消化管に存在する場合、野生型祖先のものと比較して粘膜へのコロニー形成能の低減を示す組換え微生物に関する。特に本発明は、例えば治療用タンパク質及び治療用ペプチドの発現及び送達のための宿主生物としてのコロニー形成能が低減したコロニー形成微生物の改変及び使用に関する。
【0002】
本発明は人間医学及び獣医学におけるコロニー形成微生物(例えば、大腸菌、ラクトバチルス種、ストレプトコッカス種、バクテロイデス種、ビフィドバクテリウム種、酵母、真菌等)の使用の分野にある。医学的適用はこのような微生物の固有の特徴によるものであり得るか、又はこのような微生物は予防用若しくは治療用のペプチド若しくはタンパク質を、疾患を患う若しくは疾患を発症する危険性があるヒト若しくは動物に投与するために遺伝子修飾(GM)することができるか、又はこのようなGM微生物をワクチン接種目的に使用してもよい。
【0003】
より具体的には、本発明は、特にGM微生物がヒト又は動物の処置又はワクチン接種の一部としてヒト又は動物の粘膜(例えば、これらに限定されないが、消化管、口腔、鼻腔、尿生殖路等)に存在する場合、コロニー形成能の低減を示すGM微生物に関する。
【0004】
好ましい実施の形態では、GM微生物はヒト又は動物の粘膜での上記微生物のコロニー形成能の低減を引き起こす不活性チミジル酸シンターゼ遺伝子を含有する。
【0005】
より好ましい実施の形態では、GM微生物はGM微生物がヒト又は動物の粘膜でコロニー形成するのを完全に妨ぐ不活性チミジル酸シンターゼ遺伝子を含有する。
【背景技術】
【0006】
野生型微生物及びGM微生物は両方ともヒト及び動物における医学的適用において重要性が増しており、予防用微生物及び治療用微生物を使用する適用は前臨床及び臨床の場で説明されている。
【0007】
選択された微生物(機能的な微生物叢、プロバイオティクスとも呼ばれる)を病理の予防又は緩和に使用することができる。
【0008】
乳酸菌だけでなく他の種の細菌もin vitroでの異種ポリペプチドの組換え発現のため(例えば特許文献1)並びに抗原及び/又は治療的に関連のあるポリペプチドのin vivo又はin situでの発現及び送達のため(例えば特許文献2)の宿主として重要性がますます増している。
【0009】
乳酸菌、特にラクトバチルス及びラクトコッカスはGRAS微生物(すなわち実質的に安全であると見なされている(generally regarded as safe))と考えられ、このためヒト及び動物に比較的容易に投与することができる。
【0010】
乳酸連鎖球菌(Lactococcus lactis)が分子レベル及び遺伝子レベルでより詳細に特徴付けられた初めの乳酸菌種であったので、乳酸連鎖球菌は異種タンパク質の産生宿主として、及びひいては生物学的に活性のある分子に関するin situ送達系としての関心が高まっていた。乳酸連鎖球菌(L. lactis)は非病原性、非侵襲性及び非コロニー形成性である。
【0011】
しかしながら非コロニー形成微生物における発現系と比較して、コロニー形成微生物の使用が、長期滞留及び宿主組織とのより密接な接触によりin situでのタンパク質の発現及び送達を促進することができる。したがって任意の治療的適用の効力はコロニー形成微生物を使用することにより相当な利益を受けることができる。
【0012】
例えば、ラクトバチルス細菌のよりロバストな特性により、ラクトコッカス細菌よりもラクトバチルス細菌を薬剤として使用することが好まれ得る。
【0013】
しかしながら、治療用タンパク質又は治療用ペプチドをヒト又は動物に送達するための宿主株として非コロニー形成微生物の代わりにコロニー形成微生物を使用すること(例えばラクトコッカス種の代わりにラクトバチルス種を使用すること)の不利点は、予防用又は治療用の株による特に消化管の粘膜での望まれないコロニー形成であり、これにより治癒後(又は副作用がある場合)に処置を完全に止めること、又は用量応答関係を確立することがかなり困難になる。実際、非コロニー形成微生物を用いる際と比較して、コロニー形成微生物を用いる際の方が実施するタイミング及び投与量が本質的により難しい。選択的な抗生物質を使用した場合のみ処置を止める可能性があるが、抗生物質耐性の発現、他の微生物叢に対する影響、及び他の報告される副作用のためにこれは回避すべきである。さらに、コロニー形成微生物がどれくらいの期間粘膜表面に付着したままかが不明確であるので、環境的にその微生物を含有することがより難しくなり、これによりこのような生物に対する調節及びバイオセーフティー上の検討が複雑になりかねない。
【0014】
上記の不利点により、選択された非組換え微生物の使用が明らかに複雑なものとなり、今日まで臨床試験における組換えコロニー形成株の使用及び承認が妨げられてきた。これらの理由から、コロニー形成能が低減したコロニー形成微生物には、タンパク質発現のタイミング及び投与量に対するより正確な制御、並びに任意の遺伝子修飾生物(GMO)の計画的な放出に重要な因子であると考えられる、残留時間及び環境への封じ込めに対するはっきりした見解を含むさらに多くの利点を有する可能性がある。
【0015】
数人の研究者が(A few authors)細菌のコロニー形成能に対するチミジル酸シンターゼ遺伝子(ThyA)突然変異の影響を研究している(非特許文献1)(非特許文献2)。これらの研究の結果は矛盾するものであり、病原性細菌、及びThyAと残存する病原性との関係に関するものにすぎない。臨床の場では、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のチミジン栄養要求性小コロニー変異体が慢性気道感染症を患う患者で持続する可能性があり、持続性、再発性及び処置抵抗性の感染症にかかわっていることがさらに観察されている(非特許文献3)(非特許文献4)。Besier et al (2007)により、ThyA機能の欠陥が黄色ブドウ球菌のチミジン栄養要求性小コロニー変異体の形成の原因となることがさらに示されている。
【0016】
別の研究者であるHasselbring et al.(非特許文献5)は滑走(gliding)に関連するが、細胞接着には不必要な遺伝子を同定するためにマイコプラズマ肺炎菌(Mycoplasma pneumonia)変異体をスクリーニングし、結果として(ThyAを含む)多くの遺伝子が得られ、これによりThyAがマイコプラズマ肺炎菌の滑走運動性に関与することが示唆される。
【0017】
他の研究者は環境における遺伝子修飾生物の生存及び伸展を回避するための遺伝子修飾したラクトコッカス種及びラクトバチルス種の生物学的封じ込めにThyA遺伝子変異を利用している(非特許文献6、特許文献3、特許文献4)。これらの開示での実験は主に、上記組換え細菌の成長及び生存に関しており、ラクトバチルスThyA突然変異体のコロニー形成能に関する情報を全くもたらしておらず、またコロニー形成を低減又は回避するために、ラクトバチルスにおいてThyA遺伝子障害を利用することができるという方向性も全く与えていない。むしろ、これらの刊行物の幾つかがラクトバチルスThyA突然変異体のin situで治療用タンパク質を産生及び送達する能力を示していたとしても、上記細菌がコロニー形成の低減を示すことを予測する根拠は何もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,559,007号
【特許文献2】国際公開第97/14806号
【特許文献3】国際公開第2004/046346号
【特許文献4】国際公開第2005/111194号
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Bigas et al., 2006 (Int Microbiol 9(4): 297-301)
【非特許文献2】Besier et al., 2007 (Int J Med Microbiol 297(4): 217-25)
【非特許文献3】Proctor et al., 1995 (Clin Infect Dis 20(1): 95-102)
【非特許文献4】Spanu et al., 2005 (Clin Infect Dis 41(5): e48-52)
【非特許文献5】Hasselbring et al., 2006 (J Bacteriol 188(17): 6335-45)
【非特許文献6】Steidler et al., 2003 (Nat. Biotechnol.21 (785-9))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は特に消化管の粘膜での予防用微生物及び治療用微生物のコロニー形成能を低減又は回避するのに好適なシステムを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは驚くべきことに、他のコロニー形成微生物(例えばラクトバチルス種、ストレプトコッカス種又はバクテロイデス種)におけるThyA機能の欠陥により、コロニー形成能の低減及び好ましい状況下での(特に消化管の)粘膜でのこれらの株のコロニー形成の完全な阻止が引き起こされることを見出した。したがって、微生物のthyA遺伝子、例えば微生物の内因性thyA遺伝子、より具体的には染色体に局在する内因性thyA遺伝子を欠陥状態にさせることにより、後者のコロニー形成能の低減又は消失が可能になる。
【0022】
本発明の第1の実施の形態は欠陥チミジル酸シンターゼ(thyA)遺伝子を含む微生物の単離株である。好ましくは、thyA遺伝子は組換えDNA技術により(このため欠陥thyA遺伝子は組換え欠陥thyA遺伝子と称され得る)、及び組換え微生物の増殖(extension)により欠陥させてもよい。好ましくは、欠陥thyA遺伝子、特に欠陥組換えthyA遺伝子を含む微生物の単離株であって、野生型微生物、例えば単離株の野生型祖先と比較して、ヒト又は動物の粘膜(例えば1つ又は複数の粘膜遺伝子座)でのコロニー形成能が低減している、微生物の単離株が開示されている。
【0023】
好ましくは、上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えthyA遺伝子は染色体に位置しており、遺伝子破壊により不活性化されている。好ましくは上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子は不可逆(non-reverting)突然変異遺伝子である。
【0024】
さらに好ましくは、本明細書に教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株はチミジル酸シンターゼ欠損株であってもよい、すなわち該株はチミジル酸シンターゼ活性が欠損していてもよく、例えばチミジル酸シンターゼ活性の実質的な低減又はより好ましくは非存在を示していてもよい。したがって表現型的には、上記単離株はチミン及び/又はチミジン栄養要求株として現れ得ることが好ましい、すなわち生存、成長及び/又は増殖のためにチミン及び/又はチミジンが外から与えられることが要求される。したがって好ましくは、本明細書に教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株において、thyA遺伝子、及び結果としてチミジル酸シンターゼ活性の上記欠陥は別の活性のある(欠陥のない)thyA遺伝子では補完されない。
【0025】
さらに好ましくは、単離株は正常に(すなわちチミジル酸シンターゼが働いている(proficient)場合、言い換えれば活性のあるthyA遺伝子を含む場合)コロニー形成する、すなわち粘膜、例えばヒト又は動物の粘膜、好ましくは消化管の(or)粘膜でコロニー形成することが可能な微生物に由来し得る。
【0026】
本発明の別の態様において、微生物は酵母又は真菌、特に組換え酵母又は真菌、特に哺乳動物の腸で生存可能な任意の酵母又は真菌である。代替的には、上記酵母又は真菌は既知のプロバイオティクス能を有していてもよく、例としては、ケフィア、紅茶キノコ(kombucha)又は乳製品から選択される酵母又は真菌株があるが、これらに限定されない。
【0027】
特定の実施の形態において、上記酵母又は真菌、特に上記組換え酵母又は真菌は、カンジダ種、アスペルギルス種、ペニシリウム種、サッカロミセス種、ハンゼヌラ種、クリベロミセス種、シゾサッカロミセス(Schizzosaccharomyces)種、チゴサッカロミセス種、ピチア種、モナスカス種、ゲオトリクム種及びヤロウイア種からなる群から選択される。より具体的には、上記酵母はサッカロミセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)であり、さらにより具体的には上記酵母はサッカロミセス・セレヴィシエのブラウディ亜種である。
【0028】
さらなる実施の形態において、本明細書に教示のような欠陥thyA遺伝子を含む単離株は、細菌、より好ましくは非病原性及び/又は非侵襲性の細菌、さらにより好ましくはグラム陽性細菌、特にヒト又は動物の粘膜、特に消化管の粘膜で存在することが可能であるこのような細菌、例えば正常に(すなわちチミジル酸シンターゼが働いている場合)コロニー形成する細菌である微生物のものであり得る。細菌種の例としては、バクテロイデス種、クロストリジウム種、フソバクテリウム種、ユーバクテリウム種、ルミノコッカス種、ペプトコッカス種、ペプトストレプトコッカス種、ストレプトコッカス種、ビフィドバクテリウム種、エシェリキア種及びラクトバチルス種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本発明の別の実施の形態は、粘膜、特に消化管の粘膜で存在することが可能なグラム陽性細菌、例えばバクテロイデス種、クロストリジウム種、ユーバクテリウム種、ルミノコッカス種、ペプトコッカス種、ペプトストレプトコッカス種、ストレプトコッカス種、ビフィドバクテリウム種及びラクトバチルス種の単離株であり、このようなグラム陽性細菌は欠陥thyA遺伝子、特に欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子(thyA)を含む。好ましくは、上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えthyA遺伝子は染色体に位置しており、遺伝子破壊により不活性化されている。好ましくは上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子は不可逆突然変異遺伝子である。
【0030】
好ましい実施の形態において、本発明は欠陥thyA遺伝子、特に欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子(thyA)を含むラクトバチルス種の単離株である。好ましくは、上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えthyA遺伝子は染色体に位置しており、遺伝子破壊により不活性化されている。好ましくは上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子は不可逆突然変異遺伝子である。好ましくは上記ラクトバチルス種はラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)株、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillusacidophilus)株又はラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)株であり、さらにより好ましくは上記ラクトバチルス種はラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)株又はカセイ菌(Lactobacilluscasei)株、並びにその任意の亜種及び株である。
【0031】
好ましい実施の形態において、本発明は欠陥thyA遺伝子、特に欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子(thyA)を含むバクテロイデス種の単離株である。好ましくは、上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えthyA遺伝子は染色体に位置しており、遺伝子破壊により不活性化されている。好ましくは上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子は不可逆突然変異遺伝子である。バクテロイデス種はタンパク質等の予防用分子及び/又は治療用分子を被験体に送達するのに非常に好適である(例えば(Hamady et al., 2009(Gut) Epub ahead of print)を参照されたい)。好ましくは上記バクテロイデス種はバクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)株、並びにその任意の亜種及び株である。
【0032】
さらに好ましい実施の形態において、本発明は欠陥thyA遺伝子、特に欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子(thyA)を含むストレプトコッカス種の単離株である。好ましくは、上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えthyA遺伝子は染色体に位置しており、遺伝子破壊により不活性化されている。好ましくは上記欠陥thyA遺伝子、特に上記欠陥組換えチミジル酸シンターゼ遺伝子は不可逆突然変異遺伝子である。好ましくは、上記ストレプトコッカス種はストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)である。したがって、本明細書で意図される微生物、株又は宿主細胞は好ましくは欠陥thyA遺伝子を含む、ストレプトコッカス種、より好ましくはストレプトコッカス・ミュータンス、並びにその任意の亜種及び株であり得る。
【0033】
ストレプトコッカス・ミュータンスは通常歯表面でコロニー形成する乳酸菌であり、したがって(as such an)本明細書で教示のような分子を口腔粘膜に送達するための宿主生物として働くのに特に好適であり得る。
【0034】
ストレプトコッカス・ミュータンス(S. mutans)は表現型的に同種のコロニー形成群、グラム陽性ストレプトコッカスを構成する(Hamada et al., 1980 (Microb rev 44(2): 331-84)。ストレプトコッカス・ミュータンスは酸発性(acidogenic)及び尿酸分解性(acidoduric)、非運動性及び通性嫌気性である。現在のところ、ストレプトコッカス・ミュータンスは一般的に、その細胞表面のラムノース−グルコースポリマーの化学組成に基づき4つの血清型に分けられる(Hamada et al., 1980 (Microb rev 44(2): 331-84)、Maruyama et al., 2009 (BMC genomics 10(358))。これを考慮すると、血清型cはストレプトコッカス・ミュータンス臨床単離体の中で優位であり(ほぼ80%)、これより祖先の表現型であると考えられ、他の血清型は進化した株に特異的な遺伝子を有する(Maruyama et al., 2009 (BMC genomics 10(358))。ストレプトコッカス・ミュータンスの生息環境はヒトの口であり、歯の表面及び人工装具が明らかに好まれる(Hamada et al., 1980 (Microb rev 44(2): 331-84))。生物をヒト(Kilian et al., 1971 (Archives of oral biology 16(5): 553-4)、Finegold et al., 1975 (Can res 35(11 Pt. 2): 3407-17)、Liljemark et al., 1978 (J dent resh 57(2): 373-9)、Hamada et al., 1980 (J clin microbiol 11 (4): 314-8)、Unsworth, 1980 (J hyg 85(1): 153-64))及びラット(Huberet al., 1977 (J of dent res 56(12): 1614-9)、Thomson etal., 1979 (Caries res 13(1): 9-17))の排出物から単離することもできる。細菌は野生動物に広くは分布していないと考えられるが、とりわけストレプトコッカス・ミュータンスは種つかの種のサル及びコウモリ(Lehner et al., 1975 (Nature 254(5500): 517-20)、Coykendall et al., 1976 (Infection and immunity 14(3): 667-70)、Dent et al., 1978 (Journal appl bact 44(2): 249-58)、Beighton et al., 1982 (Archives of oral biology 27(4): 331-5))、ラット(Lehner et al., 1975 (Nature 254(5500): 517-20)、Coykendall et al., 1976(Infection and immunity 14(3): 667-70)、Hamada et al., 1980 (Microbio rev 44(2): 331-84))、ハムスター(Gehring et al., 1976 (Deutsche zahnarztliche Zeitschrift 31 (1):18-21)、Hamada et al., 1980 (Microb rev 44(2): 331-84))、カンガルー類(macropods)(Samuel, 1982 (Archives of oralbiology 27(2): 141-6))、及びビーグル犬(Wunder et al., 1976 (Jdent res 55(6):1097-102))の口腔表面から単離されている。
【0035】
口腔微生物叢は微生物種の複雑な生態系であり、口腔衛生が適切でなければ、大きい微生物塊及びバイオフィルム(プラーク)が歯表面上に発生する可能性がある。
【0036】
特定の口腔細菌種と虫歯との間の因果関係が多くの研究の対象となってきたが、ストレプトコッカスは通常、ヒトの齲蝕病変から回収した全生細胞数の大部分を占める(Hamada et al., 1980 (Microb rev 44(2): 331-84))。
【0037】
ストレプトコッカス・ミュータンス及び他の口腔細菌の歯表面への付着、並びに歯垢の形成は虫歯の発生において大きな意味がある。これらのプロセスは複雑であり、様々な細菌成分及び宿主成分を包含している。細菌の歯表面への付着は通常、異種の唾液糖タンパク質の薄層(ペリクル(pellicle))の形成により進行し、これによりストレプトコッカス・ミュータンスの付着が促進される。
【0038】
ストレプトコッカス・ミュータンスは様々な炭水化物を代謝(発酵)することが可能である。代謝の最終産物(すなわち乳酸)による局所環境の酸性化が多くの競合細菌種を抑制し、これによりストレプトコッカス・ミュータンスがその生態的地位(niche)を維持することが可能となり、同時に宿主において歯質脱灰(dentaldemineralization)が引き起こされる。重要なことは、任意の利用可能な炭水化物の発酵により乳酸が得られ、エナメル質への損傷が起こり得るが、スクロースは、スクロース由来のポリマーを合成する細胞外酵素に対する基質としても働くのでこのプロセスには特に重要である。これらの細胞外ポリマー(グルカン)はグルコース単位のみからなり、様々な固体表面上でデノボ合成した場合に付着を促進するという特徴的な(marked)能力を有する(Hamada et al., 1980 (Microbrev 44(2): 331-84))。
【0039】
主に歯垢関連疾患に注目したストレプトコッカス・ミュータンスのコロニー形成を低減させるためのアプローチが幾つか記載されている。これらの治療的介入(interventions)は明らかな機械的な洗浄から細菌相互作用を標的とする化合物、歯に吸着する唾液ペリクル又は細菌ポリマー(すなわちグルカン)、並びに例えば特定のラクトバチルス株等のプロバイオティクスを使用した、又は例えば乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子配列の欠失(必要であれば補償(compensation))により(例えば国際公開第1996/040865号)齲蝕原性が低い若しくはさらには正常な機能が損われた(impaired)ストレプトコッカス・ミュータンス株による置換療法(replacementtherapy)を使用した口腔微生物叢の治療的操作を目的とする戦略(Liljemark et al.,1978 (J dent res 57(2): 373-9)、Allaker et al., 2009(Int J Antimicrob Agents 33(1): 8-13))まで及ぶ(Allaker etal., 2009 (Int J Antimicrob Agents 33(1): 8-13))。このようなクローンは検出可能な乳酸を産生せず、齲蝕原性が有意に低い。しかしながらこれを考慮すると、遺伝子修飾は、改変ストレプトコッカス・ミュータンス株のコロニー形成能を維持又はさらには改善して、野生型のストレプトコッカス・ミュータンス細菌を置き換えることであり、本発明の目的、すなわちコロニー形成能が低減又は消失しているストレプトコッカス・ミュータンス株等の株を得ることとは異なる。
【0040】
「不可逆突然変異体」は本明細書全体を通して使用される場合、復帰頻度が10−8未満であり、好ましくは上記復帰頻度が10−10未満であり、さらにより好ましくは上記復帰頻度が10−12未満であり、さらにより好ましくは上記復帰頻度が10−14未満であり、最も好ましくは上記復帰頻度が当業者に既知の常法を用いても検出することができないことを意味する。
【0041】
本発明の主な利点は、予防用及び/又は治療用の微生物の制御投与が可能である程度の、疾患を患う動物若しくはヒトを処置する薬剤としての選択された若しくは組換え微生物(例えばラクトバチルス種、バクテロイデス種又はストレプトコッカス種)の使用の改善、又はワクチンとしてのその使用である。これにより、処置を終わらせる場合に抗生物質の使用を回避することができる。
【0042】
予防的特質及び/又は予防的特質は欠陥ThyAを含む株(例えばプロバイオティクス微生物)に固有のものであり得る、及び/又は欠陥ThyAを含む株の遺伝子改変の結果として発現し得る。
【0043】
したがって本発明は本明細書で教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株であって、被験体、好ましくはヒト又は動物において予防効果及び/又は治療効果を誘起する、単離株も提供する。本明細書で教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株であって、発現産物、好ましくは異種発現産物、特に予防的及び/又は治療的に関連のある発現産物(例えば被験体、好ましくはヒト又は動物の被験体において予防的及び/又は治療的な応答を誘起することが可能な発現産物)、例えば(好ましくは異種)ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、より具体的には抗原及び/又は非ワクチン原性の(non-vaccinogenic)予防的及び/又は治療的に活性のあるペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をさらに発現する、単離株も提供される。上記異種発現産物(複数可)の発現を達成するために、該株は通常異種発現産物(複数可)をコードする組換え核酸を含んでいてもよい。有利には、組換え核酸は異種発現産物(複数可)をコードする1つ又は複数のオープンリーディングフレームと操作可能に連結する好適な調節配列(複数可)(例えばプロモーター)を含んでいてもよい。
【0044】
したがって本発明の別の態様は、予防用分子及び/又は治療用分子を送達するための、例えば本明細書で教示のように1つ又は複数の(好ましくは異種)発現産物を送達するためのコロニー形成が低減した株又はさらに好ましくは非コロニー形成株としての本明細書で教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株の使用、特に本発明による欠陥thyA遺伝子を含む、ラクトバチルス株、ストレプトコッカス株(例えばストレプトコッカス・ミュータンス株)又はバクテロイデス株(例えばバクテロイデス・オバタス株)の使用である。好ましくは、ストレプトコッカス株(例えばストレプトコッカス・ミュータンス)を使用する送達は口腔粘膜に対するものであり得る。予防用分子及び/又は治療用分子の送達は非限定的な例として特許文献2及び国際公開第98/31786号に開示されている。予防用分子及び/又は治療用分子としては、インスリン、成長ホルモン、プロラクチン、カルシトニン、1群サイトカイン、2群サイトカイン、3群サイトカイン、神経ペプチド及び抗体(又はその機能的断片)等のポリペプチド、並びに病原性細菌由来の多糖抗原等の多糖類が挙げられるが、これらに限定されない(not reduced to)。好ましい実施の形態では、本明細書で教示のような微生物の単離株、特にラクトバチルス種株、ストレプトコッカス種株又はバクテロイデス種株、好ましくはラクトバチルス・サリバリウス、又はカセイ菌、又はストレプトコッカス・ミュータンス、又はバクテロイデス・オバタス等のthyA遺伝子は、破壊されており、機能的なヒトインターロイキン−10発現カセットにより置き換えられ、その株をIL−10の送達に使用することができる。上記インターロイキン−10発現単位はヒトインターロイキン−10発現単位又はヒトインターロイキン−10をコードする遺伝子が好ましいが、これらに限定されない。したがって好ましい実施の形態は、ヒトインターロイキン−10を送達するための、本明細書で教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株の使用、特に本発明による欠陥thyA遺伝子株を含む、ラクトバチルス種、又はストレプトコッカス種(例えばストレプトコッカス・ミュータンス株)、又はバクテロイデス種(例えばバクテロイデス・オバタス株)の使用である。上記分子を送達する方法及び炎症性腸疾患等の疾患を処置する方法が特許文献2及び国際公開第00/23471号及びSteidler et al. 2000(Steidler et al., 2000(Science 289; 1352-5))(これらは参照により本明細書に援用されている)で詳細に説明されている。本発明は、本発明による株が驚くべきことに、非コロニー形成ラクトコッカス株とほぼ同じ速度で消化管を通過することを実証し、コロニー形成能の喪失により、最終投与後に野生型ラクトバチルス種よりもかなり迅速に消化管から除去される(clearance)ことを示している。
【0045】
別の態様は、コロニー形成が低減したプロバイオティクス株、又はさらに好ましくは非コロニー形成プロバイオティクス株としての本明細書で教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株の使用、特に本発明による欠陥thyA遺伝子を含む、ラクトバチルス株又はストレプトコッカス株(例えばストレプトコッカス・ミュータンス株)又はバクテロイデス株(例えばバクテロイデス・オバタス株)の使用である。
【0046】
本発明の別の態様は、好ましくはコロニー形成が低減した株、又はさらにより好ましくは非コロニー形成株としての、本明細書で教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株を含む、特に本発明によるラクトバチルス種又はストレプトコッカス種又はバクテロイデス種のthyA破壊突然変異体のような、欠陥thyA遺伝子を含むラクトバチルス種、又はストレプトコッカス種(例えばストレプトコッカス・ミュータンス株)、又はバクテロイデス種(例えばバクテロイデス・オバタス株)を含む医薬組成物である。該株は本明細書で教示のような(好ましくは異種)発現産物を1つ又は複数任意にさらに発現してもよく、またさらに発現することが好ましい。非限定的な例としては、腸への送達を改善するために細菌をカプセル封入してもよい。カプセル封入方法は当業者にとって既知であり、とりわけ欧州特許第0450176号に開示されている。上記医薬組成物は典型的に、好適な賦形剤を1つ又は複数含んでいてもよく、さらに任意で処置対象の特定の疾患又は状態に有利なさらなる活性成分を1つ又は複数含んでいてもよい。本明細書で教示のような欠陥thyA遺伝子を含む微生物の単離株を含むさらなる有用な組成物は、とりわけスターター培養物、接種材料(innocula)、凍結乾燥組成物、凍結液組成物、並びに食品及び食事の組成物を含んでいてもよく、そのいずれかがこのような組成物に関して当該技術分野で一般的なさらなる成分を含んでいてもよい。
【0047】
本発明のさらに別の態様は、薬剤の調製のための好ましくはコロニー形成が低減した株、又はさらに好ましくは非コロニー形成株としての本発明による株の使用である。薬剤としての使用するための好ましくはコロニー形成が低減した株、又はさらに好ましくは非コロニー形成株としての本発明による株がさらに開示されている。ワクチンを調製するための好ましくはコロニー形成が低減した株、又はさらに好ましくは非コロニー形成株としての本発明による株の使用も考慮されている。該株は本明細書で教示のような(好ましくは異種)発現産物を1つ又は複数任意にさらに発現してもよく、またさらに発現することが好ましい。したがって、1つ又は複数の(好ましくは異種)発現産物を、上記1つ又は複数の(好ましくは異種)発現産物の投与が予防効果及び/又は治療効果を誘起することが可能な疾患又は状態を処置するのに使用するために本明細書で教示のように発現する(送達することが可能な)株も考慮される。ヒト又は動物に1つ又は複数の(好ましくは異種)発現産物を送達する際に使用するための上記発現産物(複数可)を本明細書で教示のように発現する(したがって送達することが可能な)株、及びヒト又は動物に上記発現産物(複数可)を送達するための薬剤を製造するための上記株の使用も考慮される。好ましくは、上記薬剤を、クローン病又は炎症性腸疾患、口腔粘膜炎、胃腸管の病変、自己免疫病、アレルギー、肥満及び糖尿病等の代謝性障害を処置するのに使用する。
【0048】
上記微生物においてチミジル酸シンターゼ(thyA)遺伝子を欠陥状態にさせることを含む、上記微生物のコロニー形成能を低減又は消失する方法がさらに開示される。これにより、該方法は野生型微生物、例えばコロニー形成能が低減している微生物の株の野生型祖先と比較してヒト又は動物の粘膜でのコロニー形成能が低減している微生物の株を産生する。好ましい微生物のタイプ及び種は上記に列挙されるようなものであり得る。上記thyA遺伝子を欠陥状態にさせることは組換えDNA技術により行われ得るのが好ましい。好ましくは、thyA遺伝子は染色体に位置しており、遺伝子破壊により欠陥状態になり得る。好ましくは、thyA遺伝子は不可逆的に欠陥状態になり得る。
【0049】
好ましくは、thyA遺伝子を欠陥状態にさせることにより、そのように修飾した微生物においてチミジル酸シンターゼが欠損する、すなわちチミジル酸シンターゼ活性が実質的に低減するか、又はより好ましくは非存在となる、例えば特に上記微生物においてチミン及び/又はチミジン栄養要求性となる。
【0050】
さらに好ましくは、該方法に供される微生物は正常に(すなわちthyA遺伝子を欠陥状態にさせる前にチミジル酸シンターゼが働いている場合、言い換えれば活性のあるthyA遺伝子を含む場合)コロニー形成する、すなわち粘膜、例えばヒト又は動物の粘膜、好ましくは消化管の(or)粘膜でコロニー形成することができる。特定の実施の形態では、該微生物は本明細書の上記で教示されるようなものであり得る。
【0051】
好ましくは、該微生物は被験体、好ましくはヒト又は動物において予防効果及び/又は治療効果を誘起し得る。好ましくは、該微生物は発現産物、好ましくは異種発現産物、特に予防的及び/又は治療的に関連のある発現産物(例えば被験体、好ましくはヒト又は動物の被験体において予防的及び/又は治療的な応答を誘起することが可能な発現産物)、例えば(好ましくは異種)ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質、より具体的には抗原及び/又は非ワクチン原性の予防的及び/又は治療的に活性のあるペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を発現し得る。上記異種発現産物(複数可)の発現を提供するために、該微生物は通常(好ましくは異種)発現産物(複数可)をコードする組換え核酸を含んでいてもよい。有利には、組換え核酸は(好ましくは異種)発現産物(複数可)をコードする1つ又は複数のオープンリーディングフレームと操作可能に連結する好適な調節配列(複数可)(例えばプロモーター)を含んでいてもよい。したがって、(好ましくは異種)発現産物を発現する微生物のコロニー形成能を低減又は消失する方法であって、上記微生物においてチミジル酸シンターゼ(thyA)遺伝子を欠陥状態にさせることを含む、方法も開示される。
【0052】
したがって関連の態様は、微生物のコロニー形成能を低減又は消失するための上記微生物におけるチミジル酸シンターゼ欠損の使用を提供する。
【0053】
これらの及びさらなる本発明の態様、並びに本発明の好ましい実施形態を以下の項及び添付の特許請求の範囲で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】thyA− uidA+ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108株の発生を示す図である。プライマーoAGX1665、oAGX1666、oAGX2245、oAGX2248、oAGX2360及びoAGX2361の結合部位が全て示されている。プライマーoAGX2245及びoAGX2248が組換えのために標的領域の外側の染色体配列とだけ結合し、pAGX0725には結合しないことに留意されたい。PCR産物のサイズはbpで示す。パネルA:非複製プラスミドpAGX0725をエレクトロポレーションによりストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL株に導入した。エリスロマイシン及びX−gluc含有固体寒天プレート上でのプレーティングにより、thyAの上流(thyA 5’;1)又は下流(thyA 3’;2)のいずれかで細菌染色体による相同組換えを受けた青色エリスロマイシン耐性マーカー(EmR)+コロニーの選択が可能になった。両方の領域で組換えを受けたクローンを選択する。これにより、細菌染色体からthyAが除去され、uidAが細菌染色体へと挿入される。両方の相同組換えをプライマー対oAGX2245/oAGX1666(thyA 5’)又はoAGX1665/oAGX2248(thyA 3’)のいずれかを用いるPCRによりスクリーニングした。thyAの有無をプライマー対oAGX2360/oAGX2361を用いるPCRにより明らかにした。パネルB:ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108株の修飾thyA遺伝子座の最終構造を示す図である。ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108におけるuidAの存在をプライマー対oAGX2245/oAGX1666(uidAと上流の染色体との間で共直線性を示す)及びoAGX1665/oAGX2248(uidAと下流の染色体との間で共直線性を示す)を用いるPCRにより実証する。thyAの有無をプライマー対oAGX2360/oAGX2361を用いるPCRにより明らかにする。 プライマーのゲノム構造及び結合は公開された(ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL、NCBI参照配列NC_004350.1と同一であると推測される)又は予測された(ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108:NCBI参照配列NC_004350.1においてthyA遺伝子を大腸菌uidA遺伝子(GenBank:CP001396.1)で置き換え;相補位置1584343..1586154)DNA配列に基づいている。図中英語の説明E.coli:大腸菌S.mutants:ストレプトコッカス・ミュータンス
【図2】thyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108及びその親であるthyA+ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALのthyA遺伝子座のPCR分析を示す図である。パネルA:指定のプライマー(PCRプライマー)を用いてストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108由来のDNA抽出物で行われるPCR反応は、thyA 5’(thyA 5’)及びthyA 3’(thyA 3’)のクロスオーバー領域の両方に重複するおおよその大きさに分かれた(appropriately sized)産物の存在を示し、thyA遺伝子(thyA)に対応するPCR産物は検出することはできない。プライマーoAGX1665及びoAGX1666はuidA遺伝子と結合し、これによりこれらのプライマーを用いる両方のPCR反応により、uidA遺伝子の存在に対する証拠が提供される。パネルB:指定のプライマーを用いてストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL由来のDNA抽出物で行われるPCR反応は、thyA 5’及びthyA 3’のクロスオーバー領域の両方に重複する産物の非存在を示し、thyA遺伝子に対応するおおよその大きさに分かれたPCR産物を検出することができる。 サイズは指定のプライマー、及び公開された(ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL:NCBI参照配列NC_004350.1と同一であると推測される)又は予測された(ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108:NCBI参照配列NC_004350.1においてthyA遺伝子を大腸菌uidA遺伝子(GenBank:CP001396.1)で置き換えた(相補bp位置1584343..1586154))DNA配列を用いる個々のPCR産物の予測サイズを示す。分子量マーカー(MWM)は以下の別々のバンドを含有する(塩基対単位で):75、134、154、201、220、298、344、396、506、517(△)、1018、1636(▲)、2036、3054、4072、5090、6108、7126、8144、9162、10180、11198、12216。図中英語の説明S.mutants:ストレプトコッカス・ミュータンスSizes:サイズPrimers:プライマー
【図3】600nm(A600)での吸光度の自動測定によりモニタリングされるWTストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL及びthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108の成長を示す図である。培養物をチミジン無含有ブレインハートインフュージョンブイヨン(TF−BHI)中で成長させた。ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALが完全に飽和するまでの成長を示しているが、チミジン非存在下ではストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108では成長を観察することができなかった。チミジン(+T)のストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108のTF−BHI培養物への添加により成長不全が補償され、飽和まで成長が支持される。提示されたデータは全て、Bioscreen製のC MBR自動濁度計で成長させた3つの個々の培養物で行った測定の平均である。0時間での吸光度の値はTF−BHIのA600を反映している。図中英語の説明Time(hours):時間(時間)S.mutants:ストレプトコッカス・ミュータンス
【図4】ハムスターの口腔におけるthyA+(ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL;白色のバー)及びthyA−(ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108;黒色のバー)ストレプトコッカス・ミュータンスの相対的コロニー形成を示す図である。ハムスターの歯表面全体をストレプトコッカス・ミュータンスによる接種の直前に綿棒を用いてきれいにした。ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108の飽和させた一晩培養物をBAM9Tで50倍に濃縮した。両方の株で濃度を決定し、接種材料当たりの#CFU(接種材料)として提示した。濃縮懸濁液を50:50で混合し、ハムスターを50μlの細菌懸濁液を用いて左側頬袋で接種した。綿棒を使用して、試料を左側頬袋(頬)及び歯表面全体(歯)から接種後2時間(d0(2h))、1日目(d1)、3日目(d3)、7日目(d7)及び10日目(d10)で採取した。8匹のハムスターをこの実験で使用した。ハムスターは1つの時点のみで頬袋及び歯表面をサンプリングするのに使用した。2時間、1日目及び3日目で、試料を2匹のハムスターから採取し、平均を算出した。7日目及び10日目で、試料を1匹のハムスターから採取した。試料を捕らえた綿棒の先っぽをシャフトから切り取り、1mlの1×M9中に沈め、十分に混合した。綿棒上に存在するストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108の濃度を決定するために、試料懸濁液を1×M9で適切に希釈し、エリスロマイシンを含有するBHI固体寒天プレート、並びにX−gluc及びチミジンを含有するBHI固体寒天プレート上でそれぞれ2連でプレーティングした。 パネルAは接種材料における(接種材料当たりのCFU)及び異なる時点で採取された左側頬袋由来の試料における(綿棒当たりで回収されたCFU)両方の株の#CFUを示す。パネルBは接種材料における、及び異なる時点で採取された頬袋由来の試料におけるthyA+ストレプトコッカス・ミュータンス(1とする)に対するthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスの相対的な存在量を示す。パネルCは接種材料における(接種材料当たりのCFU)及び異なる時点で採取された歯表面全体由来の試料における(綿棒当たりで回収されたCFU)両方の株の#CFUを示す。パネルDは接種材料における、及び異なる時点で採取された歯表面由来の試料におけるthyA+ストレプトコッカス・ミュータンス(1とする、thyA+が回収されなかった場合を除く)に対するthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスの相対的な存在量を示す。全てのパネルで、挿入図において正確な値を示す。図中英語の説明Cheek pouch:頬袋CFU per inoculums:接種材料当たりのCFUCFU recoveredper swab:綿棒当たりで回収したCFUInoculum:接種材料Time:時間Sample:試料thyA-relativethyA+thyAに対するthyATeeth:歯
【図5】ハムスターの口腔におけるthyA+(ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+;白色のバー)及びthyA−(ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+;黒色のバー)ストレプトコッカス・ミュータンスの相対的コロニー形成を示す図である。ハムスターの歯表面全体をストレプトコッカス・ミュータンスによる接種の直前に綿棒を用いてきれいにした。ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+の飽和させた一晩培養物をBAM9Tで50倍に濃縮した。両方の株で濃度を決定し、接種材料当たりの#CFU(接種材料)として提示した。濃縮懸濁液を50:50で混合し、ハムスターを50μlの細菌懸濁液を用いて左側頬袋で接種した。綿棒を使用して、試料を左側頬袋(頬)及び歯表面全体(歯)から接種後2時間(d0(2h))、1日目(d1)、3日目(d3)、5日目(d5)及び7日目(d7)で採取した。8匹のハムスターをこの実験で使用した。ハムスターは1つの時点のみで頬袋及び歯表面をサンプリングするのに使用した。2時間、1日目及び3日目で、試料を2匹のハムスターから採取し、平均を算出した。5日目及び7日目で、試料を1匹のハムスターから採取した。試料を捕らえた綿棒の先っぽをシャフトから切り取り、1mlの1×M9中に沈め、十分に混合した。綿棒上に存在するストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+の濃度を決定するために、試料懸濁液を1×M9で適切に希釈し、エリスロマイシンを含有するBHI固体寒天プレート、並びにX−gluc及びチミジンを含有するBHI固体寒天プレート上でそれぞれプレーティングした。 パネルAは接種材料における(接種材料当たりのCFU)及び異なる時点で採取された左側頬袋由来の試料における(綿棒当たりで回収されたCFU)両方の株の#CFUを示す。パネルBは接種材料における、及び異なる時点で採取された頬袋由来の試料におけるthyA+ストレプトコッカス・ミュータンス(1とする)に対するthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスの相対的な存在量を示す。パネルCは接種材料における(接種材料当たりのCFU)及び異なる時点で採取された歯表面全体由来の試料における(綿棒当たりで回収されたCFU)両方の株の#CFUを示す。パネルDは接種材料における、及び異なる時点で採取された歯表面由来の試料におけるthyA+ストレプトコッカス・ミュータンス(1とする、thyA+が回収されなかった場合を除く)に対するthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスの相対的な存在量を示す。全てのパネルで、挿入図において正確な値を示す。図中英語の説明Cheek pouch:頬袋CFU per inoculums:接種材料当たりのCFUCFU recoveredper swab:綿棒当たりで回収したCFUInoculum:接種材料Time:時間Sample:試料thyA-relativethyA+thyAに対するthyATeeth:歯
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書中で用いる場合、単数形「(singular forms "a", "an", and "the")」は、文脈によってはっきりと別記されない限り、単数及び複数の指示対象を含める。例えば「細胞("a cell")」は1つ又は複数の細胞を指す。
【0056】
"comprising"、"comprises"及び"comprisedof"という用語は、本明細書中で用いる場合、"including"、"includes"又は"containing"、"contains"と同義であり、そして包括的であるか又は制限がなく、付加的な非列挙成員、素子又は方法工程を排除しない。この用語は"consisting of"という用語も包含する。
【0057】
終点による数的範囲の列挙は、その範囲内に含まれる全ての数及び分数、並びに列挙終点を包含する。
【0058】
「約」という用語は、本明細書中で用いる場合、パラメータ、量、継続時間等のような測定可能な値に言及するときは、変動が開示された本発明において実施されるのが適切である限りにおいて、特定値からの変動、特に特定値から±20%以下、好ましくは±10%以下、さらに好ましくは±5%以下、さらに好ましくは±1%以下、さらに好ましくは±0.1%以下の変動を包含するよう意図される。また「約」という修飾語が示す値自体は特に好ましいものが開示されていると理解されたい。
【0059】
引用される文献は全て、全体として参照により本明細書中で援用される。特に、本明細書中で具体的に言及される全ての文献の教示は、参照により援用される。
【0060】
別記しない限り、本発明を開示するに際して用いられる用語は全て、技術的用語及び科学的用語を含めて、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるような意味を有する。さらなるガイダンスにより、次に続く定義は、本発明の教示をより良好に理解するために包含される。
【0061】
「核酸」という用語は、本明細書中で用いる場合、本質的にヌクレオチド、例えばデオキシリボヌクレオチド及び/又はリボヌクレオチドからなる任意長のポリマーを意味する。核酸は、プリン塩基及び/又はピリミジン塩基及び/又は他の天然(例えば、キサンチン、イノシン、ヒポキサンチン)、化学的又は生化学的に修飾された(例えば、メチル化)、非天然又は誘導化したヌクレオチド塩基を含み得る。核酸の主鎖は、RNA又はDNAに典型的に見出され得るような糖及びリン酸基、及び/又は1つ又は複数の修飾糖又は置換糖及び/又は1つ又は複数の修飾リン酸基又は置換リン酸基を含み得る。「核酸」という用語は、さらに好ましくは、DNA、RNA及びDNA/RNAハイブリッド分子、具体的には例えばhnRNA、pre−mRNA、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、増幅産物、オリゴヌクレオチド、並びに合成(例えば、化学合成)DNA、RNA又はDNA/RNAハイブリッドを包含する。「核酸」は、二本鎖、部分二本鎖又は一本鎖であり得る。一本鎖である場合、核酸はセンス鎖又はアンチセンス鎖であり得る。さらに、核酸は環状又は線状であり得る。
【0062】
好ましい一実施形態では、核酸は、DNA又はRNA、さらに好ましくはDNAであり得る。
【0063】
「組換え核酸」という用語は、組換えDNA技術を用いて一緒に結合されるセグメントからなる核酸を一般的に指す。組換え核酸が宿主生物中で複製する場合、子孫核酸も「組換え核酸」という用語内に包含される。
【0064】
組換えDNA技術の一般原理を記述している標準的な参照文献としては、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1-3, ed.Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,1989、Current Protocols in Molecular Biology, ed.Ausubel et al., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York, 1992(定期的に更新)、Innis et al., PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications,Academic Press: San Diego, 1990が挙げられる。微生物学の一般原理は、例えばDavis,B.D. et al., Microbiology, 3rd edition, Harper & Row, publishers, Philadelphia,Pa.(1980)に記述されている。
【0065】
ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質の発現は、例えば本明細書で教示のような微生物及び/又は株において核酸又はオープンリーディングフレーム(複数可)(ORF)の発現を可能にする調節配列に、上記産物をコードする核酸配列又はORFを操作可能に連結することにより達成することができる。このような発現は、例えば好適な(培養)条件下で、又は誘導因子を付加する際に(例えば誘導性調節配列が使用される場合に)達成することができる。
【0066】
「操作可能な連結」は調節配列及び発現されようとしている配列が上記発現を可能にするように結び付く連結である。例えば配列、例えばプロモーター及びORFは、上記配列間の連結の性質が(1)フレームシフト突然変異の導入をもたらさない、(2)プロモーターのORFを転写させる能力に干渉しない、(3)ORFのプロモーター配列から転写される能力に干渉しない場合に操作可能に連結しているといえる。
【0067】
発現に要求される調節配列又は調節要素の正確な性質は発現環境によって異なり得るが、典型的にはプロモーター及び転写ターミネーター、及び任意でエンハンサーを含む。
【0068】
「プロモーター」又は「エンハンサー」に対する言及はその最も広い文脈で解釈されるものとし、正確な転写開始、及び該当する場合遺伝子発現又は例えば内部若しくは外部(例えば外からの)刺激に対するその応答の正確な空間的及び/又は一時的制御に要求される転写調節配列を含む。「プロモーター」とは一般的に、RNAポリメラーゼが結合し転写を開始する、核酸分子、好ましくはDNA分子上の領域を意味する。プロモーターは、該プロモーターが転写を制御する配列の上流に、すなわち5’側に位置するのが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。プロモーターは任意でプロモーターからの転写を制御するように構成されたオペレーターを含んでいてもよい。本明細書で使用する場合、「オペレーター」という用語はヌクレオチド配列、好ましくはDNA配列を表し、プロモーターからの配列の転写の開始及び/又は維持を制御する。
【0069】
「微生物(microbes)」という用語は一般的に微生物(microorganisms)を表し、特に細菌、酵母、真菌を表す。「コロニー形成微生物」という用語は動物又はヒトの被験体の粘膜、特に消化管の粘膜に存在することが可能な細菌、酵母及び真菌を表す。したがって、「コロニー形成微生物」という用語は当業者により容易に理解され、特に長期間粘膜等の所与の部位で生存、成長及び残存することが可能な微生物を包含する。微生物のコロニー形成性又はコロニー形成能は当該技術分野で利用可能な手段、例えば生検試料若しくは粘膜試料における微生物の持続を決定するために上記試料を分析すること、又は微生物の排出を評価するために排出試料を回収することにより決定することができる。
【0070】
それ自体にはっきりとした明示的意味があるが、コロニー形成能に対する「低減(reducing)」という用語は特に、微生物のコロニー形成性を減少又は縮小するあらゆる定性的及び/又は定量的な変更、変化又は変異を表し得る。例示的であるが非限定的に、コロニー形成能の低減の兆候(manifestations)には、所与の部位で持続する微生物の相対的に(comparably)より低い力価、及び/又は所与の部位からの微生物の相対的により迅速な除去等が含まれ得る。
【0071】
この用語はあらゆる程度のこのような低減を包含する。上記低減を定量可能な変数(例えば1つ又は複数の時点での例えば所与の部位由来の試料における微生物の力価)に関してモニタリングすることができる場合、「低減」は特に参照微生物と比較した、少なくとも約10%、例えば少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、例えば少なくとも約95%、例えば少なくとも約96%、97%、98%、99%又はさらには100%の上記変数値の低減を包含し得る。
【0072】
さらには、一般的な意味に従って、「消失する(abolish)」という用語は本明細書で使用される場合特に、そのように修飾した微生物がコロニー形成しなくなるような微生物のコロニー形成能の除去又は排除を包含する。
【0073】
このようなコロニー形成微生物の例としては、カンジダ種、アスペルギルス種、ペニシリウム種、サッカロミセス種、ハンゼヌラ種、クリベロミセス種、シゾサッカロミセス種、チゴサッカロミセス、ピチア種、モナスカス種、ゲオトリクム種、ヤロウイア種、バクテロイデス種、クロストリジウム種、フソバクテリウム種、ユーバクテリウム種、ルミノコッカス種、ペプトコッカス種、ペプトストレプトコッカス種、ストレプトコッカス種、ビフィドバクテリウム種、エシェリキア種及びラクトバチルス種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
「ビフィドバクテリウム」又は「ビフィドバクテリウム種」という用語は一般的にビフィドバクテリウム属を表し、当該技術分野でビフィドバクテリウム属に属するとして分類される任意の分類群(taxon)(例えば種、亜種、株)を包含する。例として、ビフィドバクテリウム又はビフィドバクテリウム種としては、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(B. adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラタム(B.angulatum)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(B. animalis)、ビフィドバクテリウム・アステロイデス(B. asteroides)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(B. bifidum)、ビフィドバクテリウム・ボーン(B. boum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(B. breve)、ビフィドバクテリウム・カテヌラタム(B. catenulatum)、ビフィドバクテリウム・コエリナム(B.choerinum)、ビフィドバクテリウム・コリネホルメ(B. coryneforme)、ビフィドバクテリウム・クニクリ(B. cuniculi)、ビフィドバクテリウム・デンティコレンス(B.denticolens)、ビフィドバクテリウム・デンチウム(B. dentium)、ビフィドバクテリウム・ガリカム(B. gallicum)、ビフィドバクテリウム・ガリナラム(B. gallinarum)、ビフィドバクテリウム・インディカム(B. indicum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B. infantis)、ビフィドバクテリウム・イノピナータム(B. inopinatum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum)、ビフィドバクテリウム・マグナム(B. magnum)、ビフィドバクテリウム・メリシカム(B. merycicum)、ビフィドバクテリウム・ミニマム(B. minimum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラタム(B. pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(B.pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・プロラム(B. pullorum)、ビフィドバクテリウム・ルミナンチウム(B. ruminantium)、ビフィドバクテリウム・サエクラレ(B.saeculare)、ビフィドバクテリウム・サブチル(B. subtile)、ビフィドバクテリウム・スイス(B. suis)、ビフィドバクテリウム・サーマシドフィラム(B.thermacidophilum)及びビフィドバクテリウム・サーモフィラム(B. thermophilum)の種が挙げられる。
【0075】
「ラクトバチルス」又は「ラクトバチルス種」という用語は一般的に、ラクトバチルス属を表し、当該技術分野でラクトバチルス属に属するとして分類される任意の分類群(例えば種、亜種、株)を包含する。例として、ラクトバチルス又はラクトバチルス種としては、ラクトバチルス・アセトトレランス(L. acetotolerans)、ラクトバチルス・アシジファリネ(L.acidifarinae)、ラクトバチルス・アシジピシス(L. acidipiscis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(L. acidophilus)、ラクトバチルス・アギリス(L. agilis)、ラクトバチルス・アルギダス(L. algidus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(L. alimentarius)、ラクトバチルス・アミロリティカス(L. amylolyticus)、ラクトバチルス・アミロフィルス(L.amylophilus)、ラクトバチルス・アミロトロフィカス(L. amylotrophicus)、ラクトバチルス・アミロボラス(L. amylovorus)、ラクトバチルス・アニマリス(L. animalis)、ラクトバチルス・アントリ(L. antri)、ラクトバチルス・アポデミ(L. apodemi)、ラクトバチルス・アビアリウス(L. aviarius)、ラクトバチルス・ビフェルメンタンス(L.bifermentans)、ラクトバチルス・ブレビス(L. brevis)、ラクトバチルス・ブチネリ(L. buchneri)、ラクトバチルス・カメリエ(L. camelliae)、カセイ菌(L. casei)、ラクトバチルス・カテナホルミス(L. catenaformis)、ラクトバチルス・セティ(L. ceti)、ラクトバチルス・コレオホミニス(L. coleohominis)、ラクトバチルス・コリノイデス(L. collinoides)、ラクトバチルス・コムポスチ(L. composti)、ラクトバチルス・コンカバス(L. concavus)、ラクトバチルス・コリニホルミス(L. coryniformis)、ラクトバチルス・クリスパトス(L. crispatus)、ラクトバチルス・クルストラム(L. crustorum)、ラクトバチルス・クルバトス(L. curvatus)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ(L. delbrueckii)、ラクトバチルス・デルブリュッキイのブルガリクス亜種、ラクトバチルス・デルブリュッキイのラクティス亜種、ラクトバチルス・ジオリボランス(L. diolivorans)、ラクトバチルス・エキ(L. equi)、ラクトバチルス・エキゲネロシ(L. equigenerosi)、ラクトバチルス・ファラギニス(L.farraginis)、ラクトバチルス・ファルシミニス(L. farciminis)、ラクトバチルス・フェルメンタム(L. fermentum)、ラクトバチルス・ホルニカリス(L. fornicalis)、ラクトバチルス・フルクチボランス(L. fructivorans)、ラクトバチルス・フルメンティ(L. frumenti)、ラクトバチルス・フクエンシス(L. fuchuensis)、ラクトバチルス・ガリナラム(L. gallinarum)、ラクトバチルス・ガッセリ(L. gasseri)、ラクトバチルス・ガストリクス(L. gastricus)、ラクトバチルス・ガネンシス(L. ghanensis)、ラクトバチルス・グラミニス(L. graminis)、ラクトバチルス・ハッメシ(L. hammesii)、ラクトバチルス・ハムステリ(L. hamsteri)、ラクトバチルス・ハルビネンシス(L. harbinensis)、ラクトバチルス・ハヤキテンシス(L.hayakitensis)、ラクトバチルス・ヘルヴェティクス(L. helveticus)、ラクトバチルス・ヒルガルディ(L. hilgardii)、ラクトバチルス・ホモヒオチ(L. homohiochii)、ラクトバチルス・イニエルス(L. iners)、ラクトバチルス・イングルビエイ(L. ingluviei)、ラクトバチルス・インテスティナリス(L. intestinalis)、ラクトバチルス・ジェンセニ(L. jensenii)、ラクトバチルス・ジョンソニ(L. johnsonii)、ラクトバチルス・カリキセンシス(L. kalixensis)、ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス(L. kefiranofaciens)、ラクトバチルス・ケフィリ(L. kefiri)、ラクトバチルス・キムチ(L. kimchii)、ラクトバチルス・キタサトニス(L. kitasatonis)、ラクトバチルス・クンケイ(L. kunkeei)、ラクトバチルス・ライヒマニ(L. leichmannii)、ラクトバチルス・リンドネリ(L. lindneri)、ラクトバチルス・マレフェルメンタンス(L.malefermentans)、ラクトバチルス・マリ(L. mali)、ラクトバチルス・マニホチボランス(L. manihotivorans)、ラクトバチルス・ミンデンシス(L.mindensis)、ラクトバチルス・ムコセ(L. mucosae)、ラクトバチルス・ムリナス(L. murinus)、ラクトバチルス・ナゲリ(L. nagelii)、ラクトバチルス・ナムレンシス(L. namurensis)、ラクトバチルス・ナンテンシス(L. nantensis)、ラクトバチルス・オリゴフェルメンタンス(L. oligofermentans)、ラクトバチルス・オリス(L. oris)、ラクトバチルス・パニス(L. panis)、ラクトバチルス・パンテリス(L. pantheris)、ラクトバチルス・パラブレビス(L. parabrevis)、ラクトバチルス・パラブクネリ(L. parabuchneri)、ラクトバチルス・パラコリノイデス(L. paracollinoides)、ラクトバチルス・パラファラギニス(L.parafarraginis)、ラクトバチルス・パラケフィリ(L. parakefiri)、ラクトバチルス・パラリメンタリウス(L. paralimentarius)、ラクトバチルス・パラプランタラム(L.paraplantarum)、ラクトバチルス・ペントサス(L. pentosus)、ラクトバチルス・ペロレンス(L. perolens)、ラクトバチルス・プランタラム(L. plantarum)、ラクトバチルス・ポンティス(L. pontis)、ラクトバチルス・シタッシ(L. psittaci)、ラクトバチルス・レニニ(L. rennini)、ラクトバチルス・ロイテリ(L. reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(L. rhamnosus)、ラクトバチルス・リメ(L. rimae)、ラクトバチルス・ロゴセ(L. rogosae)、ラクトバチルス・ロッシエ(L. rossiae)、ラクトバチルス・ルミニス(L. ruminis)、ラクトバチルス・セリムネリ(L. saerimneri)、ラクトバチルス・サケイ(L. sakei)、ラクトバチルス・サリバリウス(L. salivarius)、ラクトバチルス・サンフランシセンシス(L. sanfranciscensis)、ラクトバチルス・サツメンシス(L.satsumensis)、ラクトバチルス・セカリフィラス(L. secaliphilus)、ラクトバチルス・シャルペ(L. sharpeae)、ラクトバチルス・シリギニス(L. siliginis)、ラクトバチルス・スピチェリー(L. spicheri)、ラクトバチルス・セビカス(L. suebicus)、ラクトバチルス・ハイランデンシス(L. hailandensis)、ラクトバチルス・ウルツネンシス(L.ultunensis)、ラクトバチルス・ワクシノステルカス(L. vaccinostercus)、ラクトバチルス・ヴァギナリス(L. vaginalis)、ラクトバチルス・ベルスモルデンシス(L.versmoldensis)、ラクトバチルス・ヴィニ(L. vini)、ラクトバチルス・ヴィツリナス(L. vitulinus)、ラクトバチルス・ゼエ(L. zeae)、ラクトバチルス・ジマエ(L. zymae)株の種、及びその任意の亜種が挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、ラクトバチルスはカセイ菌又はラクトバチルス・プランタラム又はラクトバチルス・ラムノサスである。本発明のさらに好ましい実施形態では、ラクトバチルスはラクトバチルス・サリバリウスである。
【0076】
「バクテロイデス」又は「バクテロイデス種」という用語は一般的に、バクテロイデス属を表し、当該技術分野でバクテロイデス属に属するとして分類される任意の分類群(例えば種、亜種、株)を包含する。例として、バクテロイデス又はバクテロイデス種としては、バクテロイデス・アシジファシエンス(B. acidifaciens)、バクテロイデス・ジスタソニス(B.distasonis)、バクテロイデス・グラシリス(B. gracilis)、バクテロイデス・エゲルチ(B. eggerthii)、バクテロイデス・フラギリス(B. fragilis)、バクテロイデス・オリス(B. oris)、バクテロイデス・オバタス(B. ovatus)、バクテロイデス・プトレジニス(B. putredinis)、バクテロイデス・ピオゲネス(B. pyogenes)、バクテロイデス・ステルコリス(B. stercoris)、バクテロイデス・スイス(B. suis)、バクテロイデス・テクタス(B. tectus)、バクテロイデス・テタイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)、バクテロイデス・ユニフォルミス(B. uniformis)、バクテロイデス・ブルガタス(B. vulgatus)株の種、及びその任意の亜種が挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、バクテロイデスはバクテロイデス・オバタスである。
【0077】
「ストレプトコッカス」又は「ストレプトコッカス種」という用語は一般的に、ストレプトコッカス属を表し、当該技術分野でストレプトコッカス属に属するとして分類される任意の分類群(例えば種、亜種、株)を包含する。例として、ストレプトコッカス又はストレプトコッカス種としては、ストレプトコッカス・アガラクチア(S. agalactiae)、ストレプトコッカス・アンギノサス(S. anginosus)、ストレプトコッカス・ボビス(S. bovis)、ストレプトコッカス・カニス(S. canis)、ストレプトコッカス・エキ(S. equi)、ストレプトコッカス・イニエ(S. iniae)、ストレプトコッカス・ミティス(S. mitis)、ストレプトコッカス・ミュータンス、ストレプトコッカス・オラリス(S.oralis)、ストレプトコッカス・パラサングイニス(S. parasanguinis)、ストレプトコッカス・ペロリス(S. peroris)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(S. pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(S. pyogenes)、ストレプトコッカス・ラッティ(S. ratti)、ストレプトコッカス・サリバリウス(S. salivarius)、ストレプトコッカス・サリバリウスのサーモフィラス亜種(S.salivarius ssp. thermophilus)、ストレプトコッカス・サングイニス(S.sanguinis)、ストレプトコッカス・ソブリナス(S. sobrinus)、ストレプトコッカス・スイス(S. suis)、ストレプトコッカス・ウベリス(S. uberis)、ストレプトコッカス・ベスチブラリス(S. vestibularis)、ストレプトコッカス・ビリダンス(S. viridans)の種、並びにその任意の亜種及び株が挙げられる。好ましくはストレプトコッカスはストレプトコッカス・ミュータンスである。
【0078】
「チミジル酸シンターゼ」という用語は当該技術分野で一般的であり、一般的にはEC2.1.1.45の酵素を表し、また同義の明示的意味では、dTMPシンターゼ、チミジル酸シンセターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸:dUMP C−メチルトランスフェラーゼ及びTMPシンセターゼが知られている。チミジル酸シンターゼ活性は特に、5,10−メチレンテトラヒドロ葉酸+dUMPのジヒドロ葉酸+dTMPへの反応を触媒することを含む。チミジル酸シンターゼは一般的に「thyA」遺伝子と略されるチミジル酸シンターゼ遺伝子によりコードされ、そこから発現され得る。例として、「ラクトバチルスのチミジル酸シンターゼ(thyA)遺伝子」という用語はラクトバチルスにおいて上記酵素をコードする遺伝子を指す。幾つかのラクトバチルス分類群、例えばラクトバチルス・デルブリュッキイのブルガリカス亜種(Sasaki et al., 2004 (Appl Environ Microbiol 70(3): 1858-64))、カセイ菌(Genbank遺伝子番号4419806)由来のthyA遺伝子の配列が説明されている。当業者はラクトバチルスのさらなる分類群からthyA遺伝子ホモログを同定及び単離することが可能である。
【0079】
本発明の開示において、チミジル酸シンターゼ(thyA)遺伝子を微生物において欠陥状態に又は不活性状態にさせることができる。thyA遺伝子を欠陥状態又は不活性状態にさせることは特に、thyA遺伝子から微生物において発現するチミジル酸シンターゼ活性が低減又は好ましくは消失するように、上記thyA遺伝子を修飾又は変更することを含み得る。
【0080】
本明細書で意図されるthyA遺伝子の欠陥により、上記thyA遺伝子から微生物において発現するチミジル酸シンターゼ活性のあらゆる程度の低減がもたらされるが、特に有用なのは非欠陥(活性のある)thyA遺伝子と比較した、微生物におけるチミジル酸シンターゼ活性の例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、好ましくは少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約90%、例えば少なくとも約95%、例えば少なくとも約96%、97%、98%、99%又はさらには100%の実質的な低減であり得る。好ましくは、thyA遺伝子の欠陥により、上記thyA遺伝子からはチミジル酸シンターゼ活性のない状態が生じる。すなわち上記活性が消失され得る。チミジル酸シンターゼの活性は、確立された酵素アッセイ、又は微生物のチミン及び/又はチミジン栄養要求性の程度を評価することにより測定することができるが、それらに限定されない。
【0081】
微生物におけるthyA遺伝子を例えばthyA発現を制御する調節配列を好適に変更すること、及び/又はチミジル酸シンターゼをコードする配列(ORF)を好適に変更することにより欠陥状態にさせることができる。
【0082】
好ましくは、変更は遺伝子破壊を含み得る。「遺伝子破壊」という用語は一般的にコードされる遺伝子産物活性を低減又は好ましくは消失する遺伝子変更を包含し、特に本明細書全体を通して使用される遺伝子破壊は、DNA断片の挿入による破壊、遺伝子又はその一部の欠失、及び遺伝子又はその一部の別のDNA断片への交換による破壊を含み、上記破壊は自然突然変異ではなく組換えDNA技法により誘導される。好ましくは、破壊は遺伝子又はその一部の別の機能的な遺伝子への交換である。
【0083】
一実施形態において、本明細書で開示される微生物は固有の予防的特質及び/又は治療的特質を有し得る、例えば該微生物はプロバイオティクスであると考えられ得る。「プロバイオティクス」という用語は当該技術分野で既知であり、特に主要目的がヒト又は動物等の被験体の健康状態(health and/or well-being)を維持及び/又は改善することである微生物の食品又は食事サプリメントを包含し得る。プロバイオティクスの有益な効果は特に、粘膜の細菌バランス、例えば消化管又はその一部における細菌バランスの改善によるものであり得る。
【0084】
さらなる実施形態において、微生物は異種発現産物を発現してもよい。発現産物と微生物との間の関係について言及する場合の「異種」という用語は、上記発現産物が自然状態において上記微生物によって通常発現されないことを意味する。特に、微生物による上記発現産物の発現は、組換えDNA技法を使用して、より具体的には上記微生物において上記発現産物をコードし、その発現をもたらす組換え核酸を微生物に導入することにより生じ得る(created)。
【0085】
本明細書で使用される場合、「抗原」という用語は一般的に、身体(特に抗原を投与するヒト又は動物の被験体の身体)にとって異質である物質を表し、体液性免疫及び/又は細胞性免疫の応答を含む免疫応答を引き起こすと共に、免疫応答の産物、例えば抗体又はT細胞との結合が可能である。したがって好ましい例としては、抗原には投与対象の被験体からの生理学的応答を誘起するためにこのような被験体の機能的な免疫系が必要となる。
【0086】
本発明による抗原は、ヒト又は動物の被験体における免疫応答が治療的に有用である任意のポリペプチドに、例えば病原体に、例えばウイルス、原核生物(例えば細菌)又は真核生物病原体に、非生理学的タンパク質(例えば癌組織由来のタンパク質)に、アレルゲン(例えば免疫寛容を誘起するための)等に由来し得る。
【0087】
したがって好ましい実施形態において、抗原はヒト又は動物等の被験体において免疫寛容応答を誘起することが可能である。
【0088】
「消化管」という用語は当該技術分野で既知であり、特に口、食道、胃、小腸(特に十二指腸、空腸及び回腸を含む)及び大腸(結腸)、直腸及び肛門を包含し得る。「消化管の粘膜」という語句は文脈から明らかであり得るように、消化管のいずれか1つ又は複数又は全ての部位の粘膜を表し得る。
【0089】
「非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチド」という用語は、一般的に、投与対象のヒト又は動物の被験体において、それ自体に対する免疫応答を誘起せず、治療効果を達成し得るポリペプチドを表す。それゆえ、このようなポリペプチドの治療効果は、それ自体の天然生物学的機能に直接関連すると予測され、それにより、被験体において免疫原性及び/又は免疫防御性抗原として作用することにより治療効果を生じるのではなく、被験体の身体中で特定作用を達成し得る。それゆえ、非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドはその発現形態で生物学的に活性のあるものとするか、又は少なくとも、発現中の宿主細胞から一旦放出されたら生物学的に活性のある形態に転換されなければならない。好ましくは上記ポリペプチドのこのような生物学的に活性のある形態は、その天然立体配置と同一であるか又は酷似する二次立体配座、好ましくは三次立体配座をも示し得る。
【0090】
好ましくは、非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドは非毒性及び非病原性でもある。
【0091】
好ましい一実施形態では、非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドはヒト又は動物由来であってもよく、好ましくは投与対象のヒト又は動物の被験体と同一分類群に対応し得る。
【0092】
好適な非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドの非限定な例としては、局所的又は全身的に機能し得るものが挙げられ、例えば局所的又は全身的代謝に影響を及ぼす内分泌活性を示し得るポリペプチドであり、及び/又は生物学的に活性のあるポリペプチド(複数可)は免疫造血系に属する細胞の活性の調節が可能であるもの(複数可)であり、及び/又は1つ又は複数の生物学的に活性のあるポリペプチドは、身体中の種々の正常細胞若しくは新生物細胞の成育可能性、成長及び分化に影響を及ぼし得るか、又は損傷及び感染に対する急性期炎症応答の免疫調節若しくは誘導に影響を及ぼし得るもの(複数可)であり、及び/又は1つ又は複数の生物学的に活性のあるポリペプチドは、それらの標的細胞受容体上で作用するケモカインにより媒介される細胞及び組織の感染に対する耐性、又は上皮細胞の増殖若しくは創傷治癒の促進を増強又は誘導し得るもの(複数可)であり、及び/又は1つ又は複数の生物学的に活性のあるポリペプチドは、身体中の細胞による物質の発現又は産生を調整する。
【0093】
このようなポリペプチドの具体例としては、インスリン、成長ホルモン、プロラクチン、カルシトニン、黄体形成ホルモン、上皮小体ホルモン、ソマトスタチン、甲状腺刺激ホルモン、血管活性小腸ポリペプチド、サイトカイン(例えばIL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−17、IL−14〜IL−35のいずれかのインターロイキンを含むが、これらに限定されない)、GM−CSF、M−CSF、SCF、IFN、EPO、G−CSF、LIF、OSM、CNTF、GH、PRL、サイトカインのTNFファミリー、例えばTNFα、TNFβ、CD40、CD27又はFASリガンド、サイトカインのIL−1ファミリー、繊維芽細胞成長因子ファミリー、血小板由来成長因子、形質転換成長因子及び神経成長因子、サイトカインの表皮成長因子ファミリー、インスリン関連サイトカイン等が挙げられるが、これらに限定されない。代替的には、治療的に活性のあるポリペプチドは、上記で規定のような治療的に活性のあるポリペプチドに対する受容体又はアンタゴニストであり得る。このような好適なポリペプチドのさらなる具体例は、例えば国際公開第96/11277号(14頁1〜30行目)(参照により本明細書中で援用される);特許文献2(12頁1行目〜13頁27行目)(参照により本明細書中で援用される);又は特許文献1(第8欄の31行目〜第9欄の9行目)(参照により本明細書中で援用される)に列挙されている。一実施形態では、上記非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドはhIL−10、GLP−2、GLP−1、TFF又はhPYYであり得る。
【0094】
したがって、一実施形態では、本明細書で教示される微生物は抗原及び/又は非ワクチン原性の予防的及び/又は治療的に活性のあるポリペプチドをコードする組換え核酸を含んでもよく、この場合、上記抗原はヒト又は動物の被験体において免疫応答、好ましくは防御的免疫応答又は免疫寛容応答を誘起することができ、及び/又は上記非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドはヒト又は動物の被験体において予防効果及び/又は治療効果を生じ得る。
【0095】
特許文献2は、細菌による免疫応答刺激分子、例えばインターロイキン、例えばIL−2又はIL−6との抗原の同時発現をさらに具体的に開示する。したがって本明細書で教示される微生物における2つ以上の抗原及び/又は非ワクチン原性の予防的及び/又は治療的に活性のあるポリペプチドのこのような同時発現も意図される。
【0096】
さらなる好ましい一実施形態では、(好ましくは異種)発現産物をコードするオープンリーディングフレームはさらに、ORFによりコードされるポリペプチドと同調して分泌シグナルをコードする配列を含む。これは、有益には、宿主細胞からの発現ポリペプチドの分泌を可能にし、それにより例えば単離又は送達を促進し得る。
【0097】
典型的には、分泌シグナル配列は、通常は、脂質二重膜中に包埋されるようになる疎水性アミノ酸を含有し、それにより宿主細胞からの随伴タンパク質又はペプチド配列の分泌を可能にする約16〜約35アミノ酸セグメントを表すが、これは通常はそのタンパク質又はペプチドから切断される。好ましくは分泌シグナル配列は、上記シグナル配列を含む核酸とともに用いるように意図された宿主細胞、例えば細菌宿主細胞、好ましくは乳酸菌、より好ましくはラクトバチルス中でそのように活性であり得る。
【0098】
好適な宿主細胞中で活性のある分泌シグナル配列は、当該技術分野で既知である。例示的なラクトバチルスのシグナル配列としては、usp45(特許文献1を参照されたい)の配列、usp45N4(国際公開第2008/084115号を参照されたい)、並びに他の配列(例えばPerez-Martinez et al., 1992(Mol Gen Genet 234(3):401-11)、Sibakov et al.,1991(Appl Environ Microbiol 57(2):341-8)を参照されたい)が挙げられる。好ましくはシグナル配列は、プロモーター配列及びORF間に位置し、すなわちシグナル配列はプロモーター配列から3’側に位置し、対象のポリペプチドのORFに先行する。好ましい一実施形態では、シグナル配列はアミノ酸配列MKKKIISAIL MSTVILSAAA PLSGVYA(usp45)(配列番号9)をコードする。
【0099】
組換え核酸は、(好ましくは異種)発現産物をコードする1つ又は複数のオープンリーディングフレームと操作可能に連結する、微生物(例えばラクトバチルス種、ストレプトコッカス種、バクテロイデス種又はラクトコッカス種)由来の天然プロモーター、又はその機能的変異体若しくは機能的断片であるプロモーターを含んでいてもよい。
【0100】
プロモーターは、1)DNA指向性RNAポリメラーゼ、β’サブユニット/160kDサブユニット(rpoC)、2)DNA指向性RNAポリメラーゼ、βサブユニット/140kDサブユニット(rpoB)、3)非ヘム鉄結合フェリチン(dpsA)、4)ピルビン酸キナーゼ(pyk)、5)グルタミル−tRNAシンセターゼ(gltX)、6)ホスホピルビン酸ヒドラターゼ(eno)、7)グルタミンシンセターゼ(glnA)、8)グルタミンシンセターゼリプレッサー(glnR)、9)ジペプチダーゼPepV(pepV)、10)F0F1型ATPシンターゼβサブユニット(ATPシンターゼF1βサブユニット)(atpD)、11)3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(pgk)、12)グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(gapB)、13)酢酸キナーゼ(ackA)、14)3−オキソアシル−(アシル−キャリア−タンパク質)シンターゼII(fabF)、15)3−ケトアシル−(アシル−キャリア−タンパク質)レダクターゼ(fabG又はfabG1)、16)DNA指向性RNAポリメラーゼ、αサブユニット/40kDサブユニット(rpoA)、17)プロリンジペプチダーゼ(pepQ)、18)フルクトース−ビスホスフェートアルドラーゼ(fbaA)、19)リボソームタンパク質S4(rpsD)、20)スーパーオキシドジスムターゼ(sodA)、21)リボソームタンパク質S12(rpsL)及びリボソームタンパク質S7(rpsG)、22)リボソームタンパク質L18(rplR)及びリボソームタンパク質S5(rpsE)及びリボソームタンパク質L30/L7E(rpmD)、23)S−リボシルホモシステイナーゼ(luxS)、24)リボソームタンパク質L19(rplS)、25)リボソームタンパク質S11(rpsK又はinfA)、26)リボソームタンパク質L10(rplJ)、27)リボソームタンパク質L7/L12(rplL)、28)HU様DNA結合タンパク質(hllA)、29)50Sリボソームタンパク質L28(rpmB)、30)ホスホトランスフェラーゼシステムIIB成分(ptcB)、31)F0F1型ATPシンターゼαサブユニット(atpA)、32)複合糖結合輸送ATP結合タンパク質(multiple sugar-binding transport ATP-binding protein)(msmK)、33)ピルビン酸デヒドロゲナーゼE1成分αサブユニット(pdhA)、34)細胞分裂タンパク質(diflVA又はftsA)、35)UDP−ガラクトピラノースムターゼ(glf1)、36)グルタミルアミノペプチダーゼ(pepA)、37)予測デヒドロゲナーゼ関連タンパク質(llmg_0272)、38)リボソームタンパク質S2(rpsB)、39)翻訳開始因子3(IF−3)(infC)、40)リボソームタンパク質L4(rplD)及びリボソームタンパク質L23(rplW)及びリボソームタンパク質L2(rplB)、41)フェニルアラニル−tRNAシンセターゼβ鎖(pheT)、42)転写延長因子GreA(greA)、43)ATP依存性Clpプロテアーゼタンパク質分解サブユニット(clpP)、44)リボソームタンパク質L15(rplO)、45)リボソームタンパク質L11(rplK)、46)リボソームタンパク質S8(rpsH)、47)リボソームタンパク質L21(rplU)、48)リボソームタンパク質S13(rpsM)、49)リボソームタンパク質S19(rpsS)及びリボソームタンパク質L22(rplV)及びリボソームタンパク質L16(rplP)及びリボソームタンパク質L14(rplN)、50)リボソームタンパク質S10(rpsJ)、51)コ−シャペロニンGroES(Hsp10)(groES)、52)リボソームタンパク質L24(rplX)、及び53)推定ホリデイジャンクションリゾルバーゼ(llmg_0151)(例えば国際公開第2008/084115号を参照されたい)に関するラクトコッカスの遺伝子の天然プロモーター、並びに上記天然プロモーターの機能的変異体及び機能的断片を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。
【0101】
プロモーターは28)細菌ヌクレオイドDNA結合タンパク質/HU様DNA結合タンパク質(hlla又はhup)であり得る。さらに好ましくは上記プロモーターはPhIIAプロモーターであり得る。
【0102】
プロモーターはそれぞれ、3)非ヘム鉄結合フェリチン(dpsA又はLACR_2311)、プロモーター9)ジペプチダーゼPepV(pepV又はLACR_0908)、又はプロモーター20)スーパーオキシドジスムターゼ(sodA又はLACR_0458)であり得る。さらにより好ましくは上記プロモーターはPdpsA、PpepV又はPsodAプロモーターであり得る。
【0103】
実施形態では、組換え核酸は、
(a)PdpsA、usp45及びhIL−10;PdpsA、usp45N4及びhIL−10;
PpepV、usp45及びhIL−10;PpepV、usp45N4及びhIL−10;
PsodA、usp45及びhIL−10;PsodA、usp45N4及びhIL−10;
PhIIA、usp45及びhIL−10;PhIIA、usp45N4及びhIL−10;
(b)PdpsA、usp45N4及びhTFF1;PdpsA、usp45及びhTFF1;
PpepV、usp45N4及びhTFF1;PpepV、usp45及びhTFF1;
PsodA、usp45N4及びhTFF1;PsodA、usp45及びhTFF1;
PhIIA、usp45N4及びhTFF1;PhIIA、usp45及びhTFF1;
(c)PdpsA、usp45N4及びhTFF3;PdpsA、usp45及びhTFF3;
PpepV、usp45N4及びhTFF3;PpepV、usp45及びhTFF3;
PsodA、usp45N4及びhTFF3;PsodA、usp45及びhTFF3;
PhIIA、usp45N4及びhTFF3;PhIIA、usp45及びhTFF3;
(d)PdpsA、usp45N4及びhPYY;PdpsA、usp45及びhPYY;
PpepV、usp45N4及びhPYY;PpepV、usp45及びhPYY;
PsodA、usp45N4及びhPYY;PsodA、usp45及びhPYY;
PhIIA、usp45N4及びhPYY;PhIIA、usp45及びhPYY;PhIIA、usp45及びhPYY G9(3−36);
(e)PdpsA、usp45N4及びGLP−1;PdpsA、usp45及びGLP−1;
PpepV、usp45N4及びGLP−1;PpepV、usp45及びGLP−1;
PsodA、usp45N4及びGLP−1;PsodA、usp45及びGLP−1;
PhIIA、usp45N4及びGLP−1;PhIIA、usp45及びGLP−1;
(f)PdpsA、usp45N4及びGLP−2;PdpsA、usp45及びGLP−2;
PpepV、usp45N4及びGLP−2;PpepV、usp45及びGLP−2;
PsodA、usp45N4及びGLP−2;PsodA、usp45及びGLP−2;
PhIIA、usp45N4及びGLP−2;又はPhIIA、usp45及びGLP−2を含み得る。
【0104】
別の方法ではプロモーターは、1)リボソームタンパク質S14及びリボソームタンパク質S17及びリボソームタンパク質L15及びリボソームタンパク質S3(rpsJ)、2)ヌクレオイドDNA結合タンパク質(dnabp)、3)リボソームタンパク質S21(rpS21)、4)50Sリボソームタンパク質L19(rplS)、5)50Sリボソームタンパク質L17(rnap40)、6)50Sリボソームタンパク質L13(rplM)、7)ホスホグリセリン酸ムターゼ1(pgm1)、8)リボソームタンパク質S4(rpS4)、9)グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(cggr)に関するラクトバチルス(ラクトバチルス・ラムノサスが好ましいが、これに限定されない)の遺伝子の天然プロモーター、並びに上記天然プロモーターの機能的変異体及び機能的断片を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。上記プロモーターは対象の分子の特に強い発現を確実にすることができる。上記プロモーターはラクトバチルス種、例えばラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・サリバリウス又はカセイ菌、並びにその任意の亜種及び株における対象の分子の発現に対して特定の使用が見出され得る。
【0105】
別の方法ではプロモーターは、1)30Sリボソームタンパク質S10、2)50Sリボソームタンパク質L27、3)30Sリボソームタンパク質S15、4)30Sリボソームタンパク質S16、5)50Sリボソームタンパク質L19、6)30Sリボソームタンパク質S8、7)50Sリボソームタンパク質L18及び30Sリボソームタンパク質S5、8)30Sリボソームタンパク質S9、9)50Sリボソームタンパク質L17、10)30Sリボソームタンパク質S13、11)30Sリボソームタンパク質S7、12)50Sリボソームタンパク質L15、13)30Sリボソームタンパク質S4、14)50Sリボソームタンパク質L6、15)30Sリボソームタンパク質S3及び50Sリボソームタンパク質L3、16)ホスホグリセロムターゼに関するストレプトコッカス(ストレプトコッカス・ミュータンスが好ましいが、これに限定されない)の遺伝子の天然プロモーター、並びに上記天然プロモーターの機能的変異体及び機能的断片を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。上記プロモーターは対象の分子の特に強い発現を確実にすることができる。上記プロモーターはストレプトコッカス種、例えばストレプトコッカス・ミュータンス、並びにその任意の亜種及び株における対象の分子の発現に対して特定の使用が見出され得る。
【0106】
例示として、上記プロモーターは以下の表1及び表2に記載の核酸、並びに上記天然プロモーターの機能的変異体及び機能的断片を含むか又はそれらからなる群から選択され得る。上記表において、遺伝子番号はMaglott et al. 2005.(Entrez Gene: gene-centeredinformation at NCBI. Nucleic Acids Res. 33: D54-D58)に記載のようなNCBIの「Entrez Gene」データベース(www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=gene)において上記遺伝子を一意的に特定している。上記表におけるNCBI参照配列アクセッション番号は特定の核酸配列情報を提供する。表1及び表2は各々のプロモーター領域と考えられ得る核酸の領域をさらに特定している。
【0107】
表1.ラクトバチルス・ラムノサス(特にラクトバチルス・ラムノサスHN001)において特定された遺伝子及びプロモーター領域の選択。
1.GI番号
2.遺伝子/タンパク質名
3.略称
4.遺伝子座
5.NCBI参照配列における遺伝子位置
6.プロモーター領域

1.199598845
2.リボソームタンパク質 S14
3.rpsJ
4.LRH_03200
5.NZ_ABWJ01000023.1:25789..25974
6.19083〜19412

1.199598701
2.ヌクレオイドDNA結合タンパク質
3.dnabp
4.LRH_04048
5.相補体(NZ_ABWJ01000020.1:15543..15818)
6.c(15819〜16051)

1.199599325
2.リボソームタンパク質 S21
3.rpS21
4.LRH_09358
5.相補体(NZ_ABWJ01000036.1:5953..6129)
6.c(6130〜6401)

1.199598841
2.リボソームタンパク質 S17
3.rpsJ
4.LRH_03180
5.NZ_ABWJ01000023.1:24203..24466
6.19083〜19412

1.199597121
2.50S リボソームタンパク質 L19
3.rplS
4.LRH_07296
5.相補体(NZ_ABWJ01000002.1:62543..62890)
6.c(62891〜63094)

1.199598859
2.50S リボソームタンパク質 L17
3.map40
4.LRH_03270
5.NZ_ABWJ01000023.1:33024..33404
6.31990〜32063

1.199598851
2.リボソームタンパク質 L15
3.rpsJ
4.LRH_03230
5.NZ_ABWJ01000023.1:28112..28552
6.19083〜19412

1.199598872
2.50S リボソームタンパク質 L13
3.rplM
4.LRH_03335
5.NZ_ABWJ01000023.1:42964..43410
6.42698〜42963

1.199597445
2.ホスホグリセリン酸ムターゼ 1
3.pgm1
4.LRH_13389
5.NZ_ABWJ01000004.1:98387..09076
6.98118〜98386

1.199598838
2.リボソームタンパク質 S3
3.rpsJ
4.LRH_03165
5.NZ_ABWJ01000023.1:22898..23560
6.19083〜19412

1.199597503
2.リボソームタンパク質 S4
3.rpS4
4.LRH_06231
5.NZ_ABWJ01000005.1:20167..20778
6.19992〜20166

1.199597272
2.グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ
3.cggr
4.LRH_05289
5.NZ_ABWJ01000003.1:50087..51109
6.48208〜49012

同一オペロン
【0108】
表2.ストレプトコッカス・ミュータンス(特にストレプトコッカス・ミュータンスUA159)において特定された遺伝子及びプロモーター領域の選択。
1.GI番号
2.遺伝子/タンパク質名
3.遺伝子座
4.NCBI参照配列NC_004350(バージョン1)における遺伝子位置
5.プロモーター領域

1.1350920
2.30S リボソームタンパク質 S10
3.SMU.2026c
4.相補体(1893020..1893130)
5.c1893131〜1893647

1.24379304
2.50S リボソームタンパク質 L27
3.SMU.849
4.797718..798011
5.796862〜797035

1.24378669
2.30S リボソームタンパク質 S15
3.SMU.154
4.156212..156481
5.155470〜156212

1.24378669
2.30S リボソームタンパク質 S16
3.SMU.865
4.814687..814962
5.814285〜814686

1.24379704
2.50S リボソームタンパク質 L19
3.SMU.1288
4.相補体(1214632..1214979)
5.c1214980〜1215169

1.24380355
2.30S リボソームタンパク質 S8
3.SMU.2012
4.相補体(1887696..1888094)
5.c1888095〜1888350

1.24380353
2.50S リボソームタンパク質 L18
3.SMU.2010
4.相補体(1886301..1886657)
5.c1886658〜1886746

1.24378685
2.30S リボソームタンパク質 S9
3.SMU.170
4.170269..170661
5.169406〜169798

1.24380352
2.30S リボソームタンパク質 S5
3.SMU.2009
4.相補体(1885788..1886282)
5.c1886658〜1886746

1.15902260
2.50S リボソームタンパク質 L17
3.SMU.2000
4.相補体(1880033..1880419)
5.c1881377〜1881421

1.24380345
2.30S リボソームタンパク質 S13
3.SMU.2003
4.相補体(1881823..1882188)
5.c1882569〜1882686

1.24378855
2.30S リボソームタンパク質 S7
3.SMU.358
4.334526..334996
5.334997〜335164

1.24380350
2.50S リボソームタンパク質 L15
3.SMU.2007
4.相補体(1884859..1885299)
5.c1885300〜1885591

1.24380465
2.30S リボソームタンパク質 S4
3.SMU.2135c
4.相補体(1999236..1999847)
5.c1999848〜1999950
1.24380354
2.50S リボソームタンパク質 L6
3.SMU.2011
4.相補体(1886747..1887283)
5.c1887284〜1887695

1.161486819
2.30S リボソームタンパク質 S3**
3.SMU.2021
4.相補体(1890900..1891553)
5.c1892786〜1893019

1.24379074
2.ホスホグリセロムターゼ
3.SMU.74
4.74927..75637
5.74855〜74926

1.24380367
2.50S リボソームタンパク質 L3**
3.SMU.2025
4.相補体(1892159..1892785)
5.c1892786〜1893019

同一オペロン
**同一オペロン
【0109】
本明細書で教示のような組換え核酸、例えば(好ましくは異種)発現産物をコードする組換え核酸がベクターに含まれていてもよい。
【0110】
本明細書中で用いる場合、「ベクター」は、核酸断片が挿入及びクローン化、すなわち増殖され得る核酸分子、典型的にはDNAを表す。それゆえ、ベクターは典型的には1つ又は複数の特有の制限部位を含有し、クローン化配列が再生可能であるように、規定の宿主又はビヒクル生物中での自律的複製を可能にし得る。ベクターとしては、プラスミド、ファージミド、バクテリオファージ、バクテリオファージ由来ベクター、PAC、BAC、線状核酸、例えば線状DNA等(用途に応じて)が挙げられるが、これらに限定されない(例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed.,vol. 1-3, ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,1989);(Ausubel et al., Current Protocols in MolecularBiology, ed. Ausubel et al., Greene Publishing and Wiley-Interscience, NewYork, 1992を参照されたい)。
【0111】
特定のベクター、例えばプラスミドを選択するに際して重要な因子としては、特に、以下のものが挙げられる:ベクターを含有するレシピエント細胞がベクターを含有しないレシピエント細胞から識別及び選択され得る容易さ;特定の宿主中に所望されるベクターのコピーの数;並びに異なる種の宿主細胞間でベクターを「シャトル(shuttle)」し得ることが望ましいか否か。好ましい原核生物ベクターとしては、プラスミド、例えば大腸菌中での複製が可能なもの(例えばpBR322、ColE1、pSC101、pUC19等)が挙げられる。このようなプラスミドは、例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed.,vol. 1-3, ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.,1989、Ausubel et al., Current Protocols in MolecularBiology, ed. Asubel et al., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York,1992に記載されている。特に好ましいベクターは、大腸菌(又は他のグラム陰性細菌)、並びに別の対象の宿主細胞中、例えばグラム陽性細菌、乳酸菌、好ましくはラクトバチルス属中で複製し得るものであり得る。他の好ましいベクターは、1つ又は複数のグラム陽性細菌間で複製及び/又はシャトルし得るが、グラム陰性細菌ではそうでないものであり得る。好ましい一実施形態では、ベクターは、Steidler et al., 1998(Infect Immun66(7):3183-9)”Mucosaldelivery of murine interleukin-2(IL-2) and IL-6 by recombinant strains ofLactococcus lactis coexpressing antigen and cytokine”(参照により本明細書中で具体的に援用される)により記載されたようなpT1NXである。
【0112】
関連の一態様では、本発明は、(好ましくは異種)発現産物、例えば本発明の組換え核酸内に含まれる1つ又は複数のオープンリーディングフレームによりコードされるポリペプチドをそれを必要とするヒト又は動物に送達する方法であって、本発明の上記核酸及び/又はベクターを用いて形質転換した宿主細胞(株、微生物)を治療的有効量上記ヒト又は動物に投与することを含む、方法を提供する。
【0113】
動物は、好ましくは哺乳動物、例えば家畜、農場動物、動物園動物、スポーツ動物、ペット及び実験用動物、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、畜牛、乳牛;霊長類、例えば類人猿、サル、オランウータン及びチンパンジー;イヌ科動物、例えばイヌ及びオオカミ;ネコ科動物、例えばネコ、ライオン及びトラ;ウマ科動物、例えばウマ、ロバ及びシマウマ;食用動物、例えばウシ、ブタ及びヒツジ;有蹄類、例えばシカ及びキリン;齧歯類、例えばマウス、ラット、ハムスター及びモルモット等であり得る。一般的に「被験体」又は「患者」という用語は区別なく用いられ、特に動物、好ましくは温血動物、より好ましくは脊椎動物、さらにより好ましくは哺乳動物、さらにより好ましくは霊長類を表し、具体的にはヒトの患者及び非ヒト動物、哺乳動物及び霊長類を含む。好ましい患者はヒト被験体であり得る。
【0114】
本明細書中で用いる場合、「処置する」又は「処置」という用語は、治療的処置及び予防的又は防止的手段の両方を表し、この場合、目的は、望ましくない生理学的変化又は障害を防止するか又は遅延させる(軽減させる)ことである。「処置を必要とするヒト又は動物」は、所定の状態の処置から利益を得るものを包含する。
【0115】
「治療的有効量」という用語は、被験体、例えばヒト又は動物における疾患又は障害を処置するのに、すなわち所望の局所的又は全身的な作用及び成果を得るのに有効な治療用物質又は組成物の量を表す。例として、細菌の治療的有効量は、少なくとも1個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個の細菌、又は少なくとも10個、又は少なくとも1010個、又は少なくとも1011個、又は少なくとも1012個、又は少なくとも1013個、又は少なくとも1014個、又は少なくとも1015個以上の宿主細胞、例えば細菌を、例えば単一又は反復用量で含み得る。
【0116】
本発明の宿主細胞(株、微生物)は、単独で、あるいは1つ又は複数の活性化合物と組合せて投与してもよい。後者は、上記宿主細胞の投与の前に、後に、又は同時に投与してもよい。
【0117】
抗原及び/又は治療的に活性のあるポリペプチドの送達に関する多数の従来技術の開示が存在し、そしてこのような開示は、本明細書で教示される微生物のコロニー形成が低減した株又は非コロニー形成株を用いてさらに有益に修飾され得ると理解されるものとする。例としてこれらに限定されないが、トレフォイルペプチドの細菌送達は消化管の疾患を処置するのに用いることができ(例えば国際公開01/02570号を参照されたい)、結腸炎を処置するためのインターロイキン、特にIL−10の送達(例えば国際公開第00/23471号を参照されたい)、ワクチンとしての抗原の送達(例えば特許文献2)、GLP−2及び関連類似体の送達が、短腸性疾患、クローン病、骨粗鬆症を処置するために、及び癌化学療法中のアジュバント療法等として用いられ得る。さらなる治療的用途は、本発明のプロモーター及び宿主細胞(株、微生物)を用いて予見される。
【0118】
本発明による治療用ポリペプチドの送達によるヒト又は動物において処置可能な疾患の種類のさらなる非限定例としては、例えば炎症性腸疾患、例えばクローン病及び潰瘍性結腸炎(例えばIL−Ira又はIL−10又はトレフォイルペプチドで処置可能);自己免疫疾患、例えば乾癬、関節リウマチ、紅斑性狼瘡(これらに限定されない)(例えばIL−Ira又はIL−10で処置可能);神経学的障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病及び筋萎縮性側索硬化症(これらに限定されない)(例えば脳由来(devated)神経栄養因子及び毛様体神経栄養因子で処置可能);癌(例えばIL−1、コロニー刺激因子又はインターフェロン−Wで処置可能);骨粗鬆症(例えば形質転換成長因子f3で処置可能);糖尿病(例えばインスリンで処置可能);心臓血管性疾患(例えば組織プラスミノーゲン活性化因子で処置可能);アテローム硬化症(例えばサイトカイン及びサイトカインアンタゴニストで処置可能);血友病(例えば凝固因子で処置可能);変性肝疾患(例えば肝細胞成長因子又はインターフェロンaで処置可能);肺疾患、例えば嚢胞性繊維症(例えばαアンチトリプシンで処置可能);肥満症;病原体感染、例えばウイルス又は細菌感染(任意数の上記組成物又は抗原で処置可能)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
本明細書中で具体的に列挙された疾患は単なる例示であって、それらの列挙は如何なる点でも、これらの特定の疾患に対する本発明により提供される試薬、例えば本発明の微生物のコロニー形成が低減した株又は非コロニー形成株の使用を限定するよう意図されないと当業者は理解するものとする。その代わりに、本発明の試薬は、原則として、列挙されたものだけでなく、ヒト及び動物の種々のさらなる疾患又は症状において治療的関連性を有し得る任意の対象の発現産物、好ましくはポリペプチドを発現するために用いることができると当業者は理解する。
【0120】
その結果として、好適な発現産物、好ましくはポリペプチド、例えば抗原及び/又は非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドが所定の病気に対して一旦選択又は確定されると、当業者は本発明の試薬を用いてその発現、単離及び/又は送達を達成し得る。
【0121】
本発明は、他の動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ及びトリにおける疾患の処置も意図する。イヌにおける疾患としては、イヌジステンパー(パラミクソウイルス)、イヌ肝炎(アデノウイルスCav−1)、イヌ伝染性気管支炎(kennel cough)又は喉頭気管炎(アデノウイルスCav−2)、感染性イヌ腸炎(コロナウイルス)及び出血性腸炎(パルボウイルス)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
ネコにおける疾患としては、ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)、ネコカリシウイルス疾患(カリシウイルス)、ネコ感染性腹膜炎(パルボウイルス)及びネコ白血病(ネコ白血病ウイルス)が挙げられるが、これらに限定されない。ウマ及びトリにおける他のウイルス性疾患も、本発明の方法及び組成物を用いて治療可能であると意図される。この目的のために、組換えインターフェロンを発現する微生物の使用が、特に好ましい。
【0123】
さらなる一態様では、したがって本発明は、任意で(好ましくは異種)発現産物のために核酸及び/又はベクターを用いて形質転換した、本明細書で教示のような宿主細胞(株、微生物)を含む薬学的組成物も提供する。
【0124】
好ましくは、このような処方物は、治療的有効量の本発明の宿主細胞及び薬学的に許容可能な担体、すなわち1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体物質及び/又は添加剤、例えば緩衝剤、担体、賦形剤、安定剤等を含む。
【0125】
「薬学的に許容可能な」という用語は、本明細書中で用いる場合、当該技術分野のものと一致しており、そして薬学的組成物の他の成分と相溶性で、そのレシピエントにとって有害でないことを意味する。
【0126】
本発明の組換え宿主細胞は、処置対象の疾患を有するヒト又は動物への投与のために薬学的処方物中に懸濁され得る。このような薬学的処方物としては、生宿主細胞及び投与に適した媒質が挙げられるが、これらに限定されない。組換え宿主細胞は、一般的賦形剤、例えばラクトース、他の糖類、アルカリ及び/又はアルカリ土類ステアリン酸塩、炭酸塩及び/又は硫酸塩(例えばステアリン酸マグネシウム、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウム)、カオリン、シリカ、風味剤及び芳香剤の存在下で凍結乾燥され得る。
【0127】
そのように凍結乾燥された宿主細胞は、カプセル、錠剤、顆粒及び粉末の形態で調製することができ、その各々は経口的に投与され得る。
【0128】
代替的には、いくつかの組換え細菌は、好適な媒質中の水性懸濁液として調製され得るか、又は凍結乾燥細菌は、使用直前に好適な媒質中に懸濁され得るが、このような媒質は、本明細書中で言及される賦形剤並びに他の賦形剤、例えばグルコース、グリシン及びサッカリン酸ナトリウムを含む。
【0129】
経口投与のために、耐酸性(gastroresistant:耐胃性)経口剤形が処方されるが、この剤形は、宿主細胞の制御放出を提供して、それによりその中でコードされた所望のタンパク質の制御放出を提供する化合物も含み得る。例えば、経口剤形(例えば錠剤、ペレット、顆粒、粉末)は、胃中での溶解又は崩壊に耐性があるが、小腸中では耐性がない賦形剤(通常はポリマー、セルロース誘導体及び/又は親油性物質)の薄層で被覆されて、それにより小腸中での崩壊、溶解及び吸収に好都合であるよう胃を通過させ得る。
【0130】
経口剤形は、例えば制御放出、持続性放出、延長放出、持続性作用錠剤又はカプセルのように、宿主細胞、及びその組換えタンパク質の徐放を可能にするよう設計され得る。これらの剤形は通常は、従来のそして既知の賦形剤、例えば親油性、高分子性、セルロース性、不溶性、膨潤性賦形剤を含有する。制御放出処方物は、任意の他の送達部位、例えば小腸、結腸、生体付着又は舌下送達(すなわち、歯粘膜送達)、及び気管支送達にも用いられ得る。本発明の組成物が直腸又は膣投与されるべきものである場合、薬学的処方物としては座薬及びクリームが挙げられる。この場合、宿主細胞は、脂質も含む一般的賦形剤の混合物中に懸濁される。上記処方物の各々は当該技術分野でよく知られており、例えば以下の参考文献に記載されている:Hansel et al.(1990, Pharmaceutical dosageforms and drug delivery systems, 5th edition, William and Wilkins)、Chien 1992, Novel drug delivery system, 2nd edition, M. Dekker)、Prescott et al.(1989, Novel drug delivery,J. Wiley & Sons)、Cazzaniga et al.,(1994, Oral delayed release system for colonic specific delivery,Int. J. Pharm.i08:7')。
【0131】
好ましくは、浣腸剤処方物は、直腸投与に用いられ得る。「浣腸剤」という用語は、直腸使用を意図した液体製剤を包含するために用いられる。浣腸剤は、通常は単一用量容器で供給され、そして水、グリセロール又はマクロゴール又は他の好適な溶媒中に溶解又は分散された1つ又は複数の活性物質を含有する。
【0132】
したがって本発明によれば、好ましい一実施形態では、本明細書で教示されるような微生物のコロニー形成が低減した株又は非コロニー形成株、例えば所望の遺伝子をコードする組換え宿主細胞は特定経路に適用可能な現行の技術水準の処方物のいずれかにより、粘膜、例えば口腔、鼻、直腸、膣又は気管支経路を介して、動物又はヒトに投与され得る。投与のための宿主細胞の投与量は、任意数の因子、例えば細菌の種類及びそれによりコードされる遺伝子、処置対象の疾患の種類及び重症度、並びに用いられる投与経路によって変わる。
【0133】
したがって、正確な投与量は、本発明のありとあらゆる実施形態に関して規定され得るわけではないが、一旦本発明で準備されれば、当業者には容易に明らかになる。いずれにせよ投与量は、既知の方法、例えばELISA又はビアコアとして既知の方法を用いて、所定数の細胞の投与後に組換えタンパク質の血清レベル濃度を測定することにより、臨機応変に確定され得る(実施例を参照されたい)。送達組換えタンパク質の動態学的プロファイル及び半減期の分析は、形質転換宿主細胞に関する有効投与量範囲の確定を可能にするのに十分な情報を提供する。
【0134】
一実施形態では、宿主細胞(株、微生物)が抗原を発現する場合、本発明はしたがってワクチンも提供し得る。好ましくは、抗原はヒト又は動物において免疫応答を誘起することが可能であり、ヒト又は動物においてワクチンとして使用してもよい。
【0135】
「ワクチン」という用語は、動物又はヒト被験体に有効量で投与される場合、ワクチン中に含まれる免疫原に抗体を誘導し得る、及び/又は被験体における防御免疫を誘起する薬学的に許容可能な組成物を規定する。
【0136】
本発明のワクチンは、任意で抗原をコードする核酸又はベクターを用いて形質転換した、本明細書で教示のような宿主細胞(株、微生物)と、さらに任意に賦形剤とを含む。このようなワクチンは、アジュバント、すなわち、抗原に対する免疫応答を増強する化合物又は組成物も含み得る。アジュバントとしては、完全フロイントアジュバント、不完全フロイントアジュバント、サポニン、無機質ゲル、例えば水酸化アルミニウム、界面活性物質、例えばリソレシチン、プルロニックポリオール(pluronic polyols)、ポリアニオン、ペプチド、油又は炭化水素エマルジョン、並びに潜在的に有用な薬学的に許容可能なヒトアジュバント、例えばBCG(ウシ型弱毒結核菌ワクチン(bacille Calmetle-Guerin))及びコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacteriumparvum)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
一実施形態において、宿主細胞(株、微生物)が非ワクチン原性の予防的及び/又は治療的に活性のあるペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を発現する場合、本発明はこれを被験体へと送達するツールも提供し得る。宿主細胞を好適な医薬製剤又は組成物として投与してもよい。したがって、製剤又は組成物は典型的に、任意で非ワクチン原性の予防的及び/又は治療的に活性のあるペプチド、ポリペプチド又はタンパク質をコードする核酸又はベクターを用いて形質転換した、本明細書で教示のような宿主細胞(株、微生物)と、さらに任意に薬学的に許容可能な賦形剤とを含む。
【0138】
実施例により本発明をさらに説明するが、実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0139】
実施例1
thyA欠損突然変異株の構築
本発明者らは、ストレプトコッカス・ミュータンス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタラム及びラクトバチルス・サリバリウスWCFS1から、thyA遺伝子に隣接する1000bp領域をクローン化している。以下に記載のような方法における任意のストレプトコッカス株及びラクトバチルス株の遺伝子改変のためのDNA配列情報は公的な供給源から利用可能である(表1)。
【0140】
thyA欠損株を発生させる戦略は、thyAの5’末端の1000bp域(配列番号1〜配列番号4)、及び3’末端の1000bp域(配列番号5〜配列番号8)、すなわち「thyA標的領域」の二重相同組換えを利用する。
【0141】
本発明者らは、条件付き複製欠陥プラスミドであるpORI19の誘導体においてこれらの隣接DNA断片をクローン化した(Law et al., 1995 (J Bacteriol 177(24): 7011-8)。第1の相同組換えがthyA標的の5’末端の1000bp又は3’末端の1000bpのいずれかで起こる場合にのみ、ストレプトコッカス株及びラクトバチルス株のいずれかにおけるプラスミドの形質転換により、エリスロマイシン耐性が移る。thyA標的の3’末端の1000bp又は5’末端の1000bpでの第2の相同組換えにより、thyA遺伝子が除去され、所望の株が得られる。
【0142】
任意選択として、5’標的領域と3’標的領域との間に、さらなる遺伝子を挿入し、それによりthyA欠損株においてthyAが置き換わる。
【0143】
コロニー形成の評価
野生型のストレプトコッカス・ミュータンス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタラム及びラクトバチルス・サリバリウス細菌を、クロラムフェニコール(Cm)選択マーカーをコードするプラスミドを用いて形質転換した。それらの各々のthyA欠損突然変異体を、エリスロマイシン(Em)選択マーカーをコードするプラスミドを用いて形質転換した(上記又は順番を逆にしてもよい(vice versa))。
【0144】
Cm+野生型細菌の懸濁液とEm+thyA突然変異細菌の懸濁液とを混合し、口腔に、口腔チューブ(oral gavage)を通して胃に、又は膣に接種させた。口腔、排出物及び膣由来の毎日の試料をCm又はEm選択寒天プレートのいずれかの上にプレーティングした。
【0145】
Cm+野生型細菌及びEm+thyA突然変異細菌の相対的な存在量を生菌数により求め、その結果はCm+野生型細菌と比較したEm+thyA突然変異細菌のコロニー形成の有意な低減を示していた。
【0146】
表1.指定の生物のthyA欠損突然変異体の構築に必要な配列情報に関する公的な供給源。
1.生物
2.ゲノム配列
3.thyA遺伝子
4.5’ thyA標的
5.3’ thyA標的

1.ストレプトコッカス・ミュータンス UA159
[1]
2.GenBank AE014133
参照配列 NC004350
3.遺伝子番号 1028296
4.配列番号1
5.配列番号5

1.ラクトバチルス・アシドフィルス NCFM
[2]
2.GenBank CP000033
3.参照配列 NC006841
4.遺伝子番号 3251830
5.配列番号2
6.配列番号6

1.ラクトバチルス・プランタラム WCFS1
[3]
2.GenBank AL935263
3.参照配列 NC004567
4.遺伝子番号 1064048
5.配列番号3
6.配列番号7

1.ラクトバチルス・サリバリウス UCC118
[4]
2.GenBank CP000233
3.参照配列 NC007929
4.遺伝子番号 3976937
5.配列番号4
6.配列番号8

[1](Ajdic et al., 2002(PNAS 99(22):14434-9)
[2](Altermann et al., 2005(PNAS 102(11):3906-12)
[3](Kleerebezem et al., 2003(PNAS 100(4):1990-5)
[4](Claesson et al., 2006(PNAS 103(17):6718-23)
【0147】
SEQ ID N 1
CAAAATTCACCTTAAGTTTTTCCTGCAAATCAGATGGGACTTGCTTATCCATGATTTTGTTAAAGCCTTTAAGAGCTAGTTTAGGAAAAGGAAGATGAAAGCAAAAAGCTGCAAAATCAGTTAAAGAAACATCAAAACGTTTTTGATATTCTGCCCAAGTCGTTTTCAGCATATCCAAATATTGTTTGGTAGAATACATACCATTAACATAAGGTGTTGTTGTATAATTTGGCCGCCAAAAATCCATAATATCACGTGTCTGAGCTAAGGTCTCATCATGAAGAATAAGAATACGGGGATCTTTTTTGACCAGCATGGCAATGCTGCCGGCTCCTTGAGTAGATTCTCCGGGAGTTCCAATTCCGTATTTGGCAATATCGCTAGCAAGAACAAGCACACGCGTGTCAGGATGTTTTTCAACATGCAGTTTAGCATAGTTGAGAGCTGCAGTAGCACTGTAGCATGCCTCTTTCATCTCAAAGCTGCGCGCAAAAGGCTGAATACCTAATAAGGAATGCACATAAACAGCTCCAGCCTTACTTTGATCAACGCTGGATTCGGTAGCTAAAATGACCATATCAATTTTTTCTTTATCCTCTGCAGTCAGAATTTCATTGGCTGATCCGGCTGCTAGGGTGACAACGTCGTCGGTAATAGGAGCGATGCTAAGAGCATTCAGCAAAAGTCCTTTACTGAATTTTTGGGGATCTTCGCCACGGGCCTCAGCTAAATCTTTCATATTCAGGACATATTGGCTGCTTGTAAAACCAATTTTATCAATCCCAATTCTCATAAGTCAATCCTTCTTTTCTTTTTTATCTGATTTCTTTTTTGTAAAATGTCATAGTTATTTTATCACAATTTAAACTAAAGGTAATGAATAAACTTTCAAGGATTCAATTTTTGGGAGAATCTGTCAGATCAGACGAAACCTATTTTTTCTGCTATAATATCTAAAAGAAGTTTAAATTATTTTCTTAGAATCATAGAAGGAGAAGCA

SEQ ID N 5
AAATGACGAGCCAATAATTATGGCTCTTTTTTATAAAAAACCAATATATGTCTTGACACA TGTAAAAAACGTTGTATAATGATTTCAAACATTAATTAAAAAGGTGGAGCAAAACGGTGT CTAGAAAAGCAAGCAATATCTGGGATAATTTTAAATGGCTGTGGCAAGAAGGTAAAAAAT TAGGCTTTTGGGGGATATTACAAGCGCTATGGGAGGATTTGGTTAAAAATAGGAGCCTGTCGCAGTGGCTATACCTTTTAGCTCTTAGTTTTCCAACACTGGTTTTAGAATTTATCGGTGGAACACGGCACATTGCTGGTTTTGCGGCAGCACTGACAGGAATTCTATGTGTTATCTTTGTTGCTGAGGGGCGTATCAGTAATTATTTCATCGGTTTTATTCATGAAATGCTCTATCTTT ATCTCAGTTTTGAAAATATGTATTATGGTGAAGTTTTAACAACCTTATTTTTCACTGTCA TGCAATTTGTCGGTGCTTATTATTGGTTGATTGGACATCGTGAAGGACAGGGAAAGAAAG TTGAAGTAAAGGATGTTAAATCACGAAAACTGACACCCCTAGGCTGGTTGAAATCACTTG GAATTACAATTATTGTTTGGTTAGTTTTTGGCTTTATTTATCGATCAATCGGTTCGCATC GCCCTTTTTGGGATAGTTCAACAGATGGTACCAATTGGAGCGGTCAGTTTCTTCAAACAG GCATGTACAGTGAACAATGGCTCTTTTGGATTGCGACCAATGTTCTCAGCATTTTTCTTT GGTGGGGTGCAGAACCACATGTTATGCTCATGTATATTATTTATATGATTAATAGTATTG TTGGTTGGGTAAAATGGGAACGTGATCTTAGAATAACTCAAGAACAGTTAGCTTAAATAA GGAGTTTAAATACAATAGACAAAATGCATTTGAGTTTTTTCAATGCATTTTTTTTAGAAA TTTGATAAAATAAGAAAAGTATGAACAATAAGCGAGAAAA

SEQ ID N 2
ATTTTCTTTGGTGTAGGCAACGGTGGAAAGCCAATTGGTTTTAGCAATTTATGGGCTCATGGCGGTTTCTTTACTGGCGGAGTAAAAGGCTTTTTCTTCTCGATGTCAATTATTGTTGGTTCATATGAAGGAATTGAGTTGCTAGGCATTTCGGCAGGCGAGGTGGCTAACCCGCAAAA AGCAATTGTAAAGAGTGTCAAGTCTGTTCTTTTGAGAATTTTAATTTTCTACGTTGGTGCAATTTTTGTGATTGTAACTATTTATCCGTGGAATAAGTTAAGTAGCTTAGGTTCTCCTTTT GTAACTACCTTTGCTAAGGTAGGAATCACTGCTGCTGCTTCGATTATTAACTTCGTTGTA TTAACTGCAGCATTGTCAGGAGCTAACTCGGGGATTTATTCATCAAGTAGAATGCTATTT AAATTGTCTCATGATAATGAAGCACCTAGTGTATTTAAGCATATTTCTAAGAGAATTGTG CCTGATCGCGCCATTATGGGGATTTCTGGTGGGATTTTTATTGGGTTTATTTTAAATATA ATTGCATCTCAATTTAATCATTCGGCATCAGATTTATTTGTGATTGTCTTCAGTTCATCA GTTTTACCAGGAATGATTCCATGGTTTGTAATTCTATTGGCTGAGTTAAGATTTAGAAGA CATAATCAAGATATGATGAAAGATCACCCGTTCAAATTGCCGTTATATCCATTTTCTAAT TACTTCGCATTTTTAATGCTGTTAGTAATTGTTATCTTTATGTTTATTAATCCAGATACT AGAATTTCAGTAATTACCGGAGCATTGGTATTAATTGTGGCTACAATTGTTTATTTAGTT AGACATAAAGATGAATTTAGTAAAAATAATTAATGATTAAGAAGTCTTGAAATTTCAGGG CTTTTTATTTTTACCAAATACTAAATATTGATACTTGCATTATCAAAAATACTAGATCTA TGGTATCTTAAAAAGAAATGATACTTAAAGGGTGAGATAA

SEQ ID N 3
TTCGCTCGGTCAGCAGCGTTTGGGTAAGAAAGTGATCGAGTTAAAGGACGCGAGCTTGCAGTTTGATCGGCAAACCATCCTGGATCACTTTTCGATGTTGATCCAAGCCAATGACCGCATCGGTATCACTGGAATCAACGGTGCCGGGAAATCTAGTTTATTGAATGTGATTGCGGGT CGACTGCCACTTGATAGTGGGACCGTGACGATCGGTGAGACCGTCAAGATGGCCTATTATACTCAACAGACCGAACCGATTCCGGGCGACAAGCGCATCATTAATTACTTGCAAGATGTCGGTGAGACGGTCTTGAATAAGCAGGGCGAGCATGTTTCAGTGACTGAGTTACTAGAAGAGTTTCTGTTCCCACGTTCGATGCACGGCACGCTGATTCGCAAGTTATCTGGGGGCGA ACAGCGCCGGCTATACTTACTGAAGTTGTTGATGCAACAGCCGAACGTCCTCTTATTGGACGAACCGACTAATGATTTGGATATTGGTACGTTAACGGTGTTGGAGAACTACCTCGATGATTTTGCCGGGACCGTCATCACTGTTTCCCATGACCGCTATTTTTTGGACAAGGTCGGCACGAAACTACTGATTTTTGATGGTCAGGGGCATATTGAACGCTATTCTGGCCGTTTCTCCAGTTATTTGAAGGATCAAAAAGACGCGGCCAAGCCCGCAGCCAAGGCCACTGCGACAAAAACTACGGCTAAGCCGGTCACGGATGACTCGACCGCACCATTGGCCAAGAAAGCCAAAGTCAAGCTGACTTACGCGGAACAGCTCGAATACGACAAGATCGAAGGGGTTATCGAGCAATTGGATAGCCATAAGAGTGAGATCGAAGCGGCGATGGCTGCCAATGCCAGTGATTATGGCAAGTTGGCTGATTTGCAAAAAGAATTGACTAAGACGGAACAAACGATTGATGAGAAGATGGATCGCTGGGACTACCTCAGCCAGTATGCAGAAGCCTGAAAGGATGATCGC

SEQ ID N 6
GGTGAAGTAATGATTGAATATGTTTGGGCAGAAGATAAAGAAAAAAATATTGGCTTGAATGGACATTTACCATGGTATTTGCCGGCTGATATGAAGCATTTTAAAGAAGTAACAATTAATCATCCAATAATTATGGGAAGAAAAACATTTGAAAGTTTTCCTAATTTGTTACCTAAAAGA AAACATATTGTTTTAACTCATAATGAAGAGCTAAAAAATAAATATCAAAATAATGATCAAGTGACTATTTTACCCACAGTTGAAGATTTACATAATTTTGTGGCAGAACATCAAGATGAG CGGATGTGTGCAATTGGTGGAGTGTCGATTTTTAACGCTTTAATGGACCAAGTAGAAGTATTAGAAAAAACGGAGATAGATGCGATTTTTGAAGCAGATACTAAAATGCCTGAAATTGAT TATAGCCGTTTTAATTTAGTAGCTAAGAAGCATTATGAGCCGGATGAGAAAAATAAGTATCCATATACTTTTTTAACTTATAAATTAAAGTAAAAAAAGCCCGCAATTTGCGAGCTTTTT TGAATCTTAGGTATAATATTAATAAATATTAAGTTTCTTAGGTAATAATATATGAATGAAGAAAAAACAAATTTAAATACGGGCCTGACAGCTGCACAAGTTAAGCAAAAAATTGAAGCT GGTGAAATTAATAAGGCCGTTGATGATCAATTTAAAACAAATAAACAAATTATTGCAGAAAATTTATTTACTTACTTTAACTTGATTTTCTTAGTACTATCATTACTTTTGATTTTTGTT GGCGCATATAAGGATTTAACTTTTTTGCCAGTCATTGTTTTAAATACTGTAATTGGAATTGTGCAAGAAATTCGTGCTAAAAAAATATTGAACAAGTTAAACGTAATGAATGCTACAGAT ATTGGGGCTTTGCGAGATGGAAAAGAAGTACAAGTACCAATAGAAGAGTTAGTTAAAGGCGATATTGTTTTATTAAAAACAGGCGATCAGATTCCAGCAG

SEQ ID N 7
GAGGCCGCAATGATTGCATTGATATGGGCAGAAGATCAAAATGGCCTGATTGGCAACCAGGGCCAGCTTCCCTGGCATTTACCAGCAGACATGCAGCGGTTCAAAGCGCTGACGACCGGACACCATGTCGTGATGGGGCGCAAGACTTTTGCGGGCTTTAAACGCCCGCTCCCACGGCGGACCAATTGGGTGCTCTCACGTCAGTCTGATTTAAAGTTGCCACCGGAAGTCCATCAACTAGCAGATGTGGCGGCGATCCAAACACTCGCGGCCGCCCATCCGGATGAACCGATTTTTGTCATTGGTGGTGCGGTGGTGTTTGAAGCCGTGTTACCGGTGGCCGATTATTTATATCGGACGCGTATCAACGCAAGGTTTGATGGTGATACTTGGATGCCGGCCGTGGATTAC ACGCAGTGGCAGCTGGTGAGCCAACAAATTGGGACGGTGGATGAGAAAAATCAATATCCGTACGAATTTGATGATTTCCGCCGTCGTTAATTCAGTGGCAACCGTGAAACTCAGGCAGATTTCTGCTATACTGAAAGCATTAATTTTATTGTAACGATCGTTTAAACGTTACAAGTATAAGAAAGCGTGGCAAAGTATGACGAAAATCAAGATTGTGACCGATTCTTCGGCAAATTTGACGGATGCCGAGGTAAAAAAATACGATATTACCGTGATTCCGTTGACTGTCATGATCGATGGCACCATTTACGTGGAAGATGAAACGATTACGCGTGAAGAATTTATTGACAAGATGGCAACGGCTAAATCTTTACCAAAGACGAGCCAACCGGCACTCGGAACGTTCATTGAAACGTTTGATAAGTTAGGTGCGGATGGCGCGAGTGTGATTTGTATCAATATGCTCGAAGCCATTTCAGGAACAGTGCACACGGCGGAACAAGCGGCTTCGATTACGAAGACCGATGTCACCGTGA TCGACGCTCGGACGACCGACCGTGCGATGGCCTTTCAAGTTTTGACTGCTGCT

SEQ ID N 4
TTGAT ATTAATTTAGGACAACAAAGATTGGGAAAGAAAGTATTAGAATTAAAAGATGCAA GTTTAACAATTGGAAATCATAAAATAATTGAAGATTTCAATTTGCTAATCCAAGCTGGAGACAGAATCGGTATTACAGGCGTTAATGGTGCCGGGAAATCTAGTTTTTTAAATGCTTTATCAGGTGAATTGCCATTAGATTCAGGTATTTTGACAATCGGTGAAACTGTAAAGATGGCTTATTATCGACAACAGACGGAAGAGATTCCTGAAGATAAAAGAATTATTAGTTATTTAAACGAAGTTGGTCAAAATATTGTAAATAAAGATGGTGAGCGAATTAGCACAACTCAATTATTGG AACAATTTCTATTTCCAAGATTTATGCATGGAACATTGATTCGCAAACTCTCTGGCGGTGAAAAAAGACGCTTGTATCTTTTGAAATTATTAATGTCTCAACCTAATGTTTTATTATTGG ATGAACCAACTAACGATTTAGATATAGGAACATTAACAGTTTTGGAAGATTATTTAGATAACTTTAACGGAACTGTTATTACCGTATCACATGACAGATATTTTCTTGATAAGGTAGCTG ATTCATTATATATCTTTGAAGGAAATGCAAAAATCAAGCATTATGTCGGAATGTTTACAGATTATCTGAAGAATGCTGAGAATGAAGCAGTTAAGACTAAAAAACAAGTATCTGCAACAAAAGTAGAAAAGACAGATAGTGCAGAAGACAAAGTTAAAAAGAAAACCAAGTTAACTTACGCTGAAAAGATGGAATATGAAAAATTAGAATCAGAAATCGATAAGCTTGAAAATGATAAAGCAAGTTTAGAAGAAGAAATGCAACATGTTGATGGGGCTGATTATACTAAATTAGCAAGTTTACAGCAACAAATTGATGAATTAGATGAAGATATTATGGAAAAAGTTCAACGTTGGGACG AACTTAGTCAGTATGTTGATTAATAGGAAGGAGAACACCG

SEQ ID N 8
TCTGTGAGGTGTGCACTATGATTTCATTTGTATGGGCAGAAGATCAAAAACATCAAATAGGATATAAAGGACATTTACCTTGGAGACTTCCAGCCGATTTGGCTCATTTTAAAGAAGTTACAATGGGTCATCCAATGGTAATGGGGAAGAAAACGTTTGATAGTTTTCCTGGTTTATTACCAAGACGTCAACATATAGTGTTAACCCATGATACTAACTTAGAAGAAAAGTATAAAGATAATCCCCAAGTAGAAATTATGAATTCTATTGATGAATTAACTTCTTGGTTAGATGAAAATCAGTTTCAAGAAGTTAGCGTTATTGGTGGAGCGATGTTATTCAACTTACTTCTTAATAAAGTAGATAAATTATATAAGACTGAAATACTAAGTGAGTTTAATGGCGATACGGTTATGCCTACTATTAATTATGATGAATTTAAACTTGTTTCAAAAAAAATCGGTAAGGTAGATGAAAAAAACAAGTATCCTTATGTATTTTTGGAATACGAAAGAAAATAATTTCTAATAAAAATAATGAAAGATGAGTAAGACAATTTTGTAGTACTCATCTTTTTTTACATTTTTAAGGCTTAAATGTTGACTTCAAGTTAACTTGAAGTTTTATTATAGATATGTAAGTTCATATAGGGTTGATATTAAAAACTCTAAATTTTTAAGAGAAGGATGTGCTAAATATGCAAAAATTATCAAGTTTAACATCGCCATTAGTTCTAGCGAATGGTGTTGAAATTCCAGGACTAGGCTATGGTACTTACCAAACTCCACCTGAAGATACATACAAAGTAGTATCAGAAGCATTATCAATCGGTTATCGCCACATTGACACAGCTGCATTATATGGCAATGAAAGTGGTGTAGGTAAGGCTGTTAAAGATAG TGGGTTGAAGCGTGAAGAAGTATTTATTACTAGTAAGTTATGGAATACTGAACGTGGATACGACAAAGCAATTGCTTCCTTTAATAAGACTTTAGAAAAT
【0148】
実施例2:ストレプトコッカス・ミュータンスのコロニー形成能に対するthyA欠損の影響
ストレプトコッカス・ミュータンスはグラム陽性の通性嫌気性乳酸産生細菌である。ストレプトコッカス・ミュータンスはヒト及びハムスターの歯表面でコロニーを形成する種である。そのようなものとして、ストレプトコッカス・ミュータンスは治療用タンパク質を口腔粘膜に送達するための宿主生物として働く興味深い候補物質である。したがって、ストレプトコッカス・ミュータンスのコロニー形成能に対するthyA欠損の影響を本明細書で調べた。本発明者らの実験では全て、野生型ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL株(LMG14558;ATCC25175;NCTC10449)を用いた。
【0149】
実施例2A:thyA−uidA+ストレプトコッカス・ミュータンスの構築
二重相同組換えにより、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL株のthyAを大腸菌β−グルクロニダーゼ(GUS)をコードするuidA遺伝子に置き換えた(図1、図2)。構築戦略では、条件付き複製プラスミド、pAGX0725を用い、これを非許容環境下でストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALに導入した。プラスミドpAGX0725はthyAの上流で(thyA 5’)又は下流で(thyA 3’)染色体DNAからクローン化した1kb領域内にuidA遺伝子を保有する。エリスロマイシン含有固体寒天プレート上でのプレーティングによって、thyA 5’領域又はthyA 3’領域のいずれかで相同組換えが起こったコロニーのみの成長が可能となる。この例では、PCRにより検証されたように、第1のコロニーの成長をもたらした世代内において両方の領域で組換えが起こっている。得られるストレプトコッカス・ミュータンス株をsAGX0108と呼んだ。遺伝子修飾領域は構造をPCRで検証し、その結果はthyA 5’及びthyA 3’での組換え事象の存在、uidA遺伝子の存在、並びにthyAの非存在を示し、それらは全てストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALにおけるこの領域の構造とは対照的である(図2)。
【0150】
遺伝子的には、ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108はthyA−uidA+である。このことにより表現型的に、成長培地へのチミジンの添加に対するストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108の厳密な成長依存性がもたらされる(図3)。
【0151】
さらに、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸、シクロヘキシルアンモニウム塩(X−Gluc)を含有する寒天プレート(BHI+T)上でプレーティングすることにより観察することができるように、ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108はβ−グルクロニダーゼ活性を示す。野生型ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALは白色のままであり、ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108コロニーは透明で強い青色の沈殿物を示す。
【0152】
実施例2B:thyA+及びthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスのコロニー形成能のin vivo評価
ハムスターにおけるthyA+及びthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスのコロニー形成能を調べた。ハムスターの頬袋でthyA+及びthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスを接種することによりこれを行った。これらのin vivoコロニー形成研究のために、接種したthyA+及びthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスをハムスター口腔に存在する微生物叢から選別する方法が要求される。thyA+及びthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスの混合物を接種させるため、この方法は、両方の株の相互選別も可能にするものでなければならない。
【0153】
エリスロマイシン耐性マーカーを保有するプラスミドpILPOLを用いて、野生型ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALを形質転換した。それより、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLはエリスロマイシン含有BHI固体寒天プレート上で成長することができる。ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108をβ−グルクロニダーゼ活性に基づきバックグラウンドから選別することができ、それにより5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸(X−gluc)及びチミジン(T)含有BHI固体寒天プレート上でのプレーティング後に青色染色をもたらす。X−glucはX−Glucを切断し、無色のグルクロン酸及びクロロ−ブロモインディゴの強い青色の沈殿物をもたらすβ−グルクロニダーゼに対する基質である。野生型ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALはエリスロマイシン含有BHI固体寒天プレート上では成長せず、コロニーはX−gluc及びチミジンを含有するBHI固体寒天プレート上でプレーティングしても白色のままである。
【0154】
したがって、各々の株をプレーティングすると、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL株及びsAGX0108株の以下の選別特性が観察された:ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLはエリスロマイシンを含有するBHI固体寒天プレート上で正常な成長を示し、ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108はX−gluc及びチミジンを含有するBHI固体寒天プレート上でプレーティングするとコロニーの強い青色の染色を示し、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALはエリスロマイシンを含有するBHI固体寒天プレート上で成長を示さず、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 ALはX−gluc及びチミジンを含有するBHI固体寒天プレート上でプレーティングしても、コロニーの青色染色を示さない。
【0155】
同様のアプローチを用いて、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108を相互選別することができる。ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108が強い青色のコロニーを示すのに対し、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLコロニーはX−gluc及びチミジン含有BHI固体寒天プレート上でプレーティングしても白色のままである。ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLとは対照的に、ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108はエリスロマイシンを含有するBHI固体寒天プレート上で成長を示さない。したがってX−gluc及びチミジン含有BHI固体寒天プレート上でプレーティングした両方の株の50:50混合物は同数の青色コロニー及び白色コロニーを示すが(それぞれストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108及びストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLを表す)、エリスロマイシンを含有するBHI固体寒天プレート上での同量のこの混合物のプレーティングにより、コロニー数が青色コロニー及び白色コロニーの上記の数の半分になる(ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLのみを表す)。このようにストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108の両方をバックグラウンド微生物叢からはっきりと選別することができる。
【0156】
このことは以下の試験で実証される。ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108を飽和するまで一晩成長させ、培養物を10倍希釈した。この希釈懸濁液から、単一株及び2つの株の50:50混合物を、指示のようにBHI+E又はBHI+T+X−Gluc固体寒天プレートのいずれかの上でプレーティングした。単一株を100μl体積でプレーティングし、混合物では100μlの50:50混合物をプレーティングした。コロニー数を以下の表2に示す。
【0157】
表2.ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108(1:ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL;2:ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108;1+2:ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL+ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108)の相互選別。

1 2 1+2
BHI+T 30コロニー 0コロニー 44コロニー
BHI+T+C-Gluc 白色:79コロニー 青色:134コロニー 白色:55コロニー
青色:44コロニー

【0158】
ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLはBHI+E固体寒天プレート上ではっきりとした成長を示すが、BHI+T+X−Gluc固体寒天プレート上では青色の染色を示さない。ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108はBHI+E固体寒天プレート上で成長を示さないが、BHI+T+X−Gluc固体寒天プレート上ではっきりとした青色の染色を示す。これにより、両方の株の混合物をはっきりと選別することが可能となる。
【0159】
ハムスターの頬袋において両方の株の混合物の接種後のthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108及びthyA+ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLの経時的な運命(fate)を記録した(図4)。接種材料が4倍を超えるthyA−株を含有していたにもかかわらず、歯表面及び頬袋由来の試料はthyA−株のコロニー形成能の低下を示した。両方の株で、頬袋及び歯表面の両方において、最初の濃度上昇は0日目〜1日目の間に観察された。その後、両方の株の濃度が低減したが(図4、パネルA及びパネルC)、この低減はthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108の方が実質的に早かった(図4、パネルB及びパネルD)。さらに、thyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108を7日目及び10日目の頬袋では検出することができなかったが、thyA+ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOLはこれらの時点でも依然として存在していた。
【0160】
上記の実験の所見は別の実験で確認された(実施例2C)。
【0161】
実施例2C:thyA+及びthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスのコロニー形成能のin vivo評価
ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108を、クロラムフェニコール耐性を運搬するプラスミドを用いて形質転換した。これによりストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+株及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+株を得た。しかしながら、クロラムフェニコール(chlorampheincol)耐性が株を33℃以上で成長させた場合に世代を超えて遺伝するかどうかが不確かであり、ハムスターでのin vivo実験には適合しないことを見出した。
【0162】
このため、両方の株の運命を追跡調査するために実施例2Bに記載されたものと同じアプローチを用いた。ここでも、ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+を相互選別することができ、このようにしてストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+及びストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+の両方をバックグラウンド微生物叢からはっきりと選別することができる。ハムスターの頬袋において両方の株の混合物の接種後のthyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+及びthyA+ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+の経時的な運命を記録した(図5)。接種材料が2倍を超えるthyA−株を含有していたにもかかわらず、歯表面及び頬袋由来の試料はthyA−株のコロニー形成能の低下を示した。
【0163】
頬袋において、両方の株は1日目を越えても安定に維持された。3日目以降は、thyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+はもはや検出することができなかったが、thyA+ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+は全ての時点で依然として存在していた(図5、パネルA及びパネルB)。
【0164】
歯表面上では、両方の株の存在が初期低減を示した。3日目以降は、thyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+は検出されなかったが、thyA+ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+はd3及びd7でも依然として存在していた(図5、パネルC及びパネルD)。
【0165】
thyA+ストレプトコッカス・ミュータンスClarke 1924 AL pILPOL Cm+に比べて、thyA−ストレプトコッカス・ミュータンスsAGX0108 Cm+の存在は頬袋及び歯表面上の両方において等しく急激な低減を示した(図5、パネルB及びパネルD)。
【0166】
以下の表3は上記の実施例で用いられた株の概要及びそれらの関連特徴を与える(GUS:β−グルクロニダーゼ;Em:エリスロマイシン;Cm:クロラムフェニコール)。
【0167】
表3
株 供給源 関連特徴
GUS Emに対する耐性 Cmに対する耐性ストレプトコッカス・
ミュータンスClarke LMG − − −
1924AL株

ストレプトコッカス・
ミュータンスClarke AGX − + −
1924AL
pILPOL株

ストレプトコッカス・
ミュータンスClarke AGX + − −
sAGX0108
【0168】
以下の表4は本明細書の上記で用いられる略称の概要を与える。
【0169】

BHI :ブレインハートインフュージョンブイヨン
TF−BHI:チミジン無含有ブレインハートインフュージョンブイヨン
E :エリスロマイシン
T :チミジン
X−Gluc:5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロン酸、シクロヘキシルアンモニウム塩
GUS :β−グルクロニダーゼ
thyA :チミジル酸シンターゼ遺伝子
uidA :大腸菌β−グルクロニダーゼ遺伝子
LMG :ヘントの微生物研究所(Laboratory of Microbiology Ghent)
AGX :ActoGeniX
BAM9T :アミノ酸及びチミジンを添加したカーボネート及びM9塩緩衝液
BM9 :カーボネート及びM9塩緩衝液
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物のコロニー形成能を低減又は消失する方法であって、前記微生物においてチミジル酸シンターゼ(thyA)遺伝子を欠陥状態にさせることを含む、方法。
【請求項2】
thyA遺伝子を欠陥状態にさせることにより、前記微生物株においてチミジル酸シンターゼ欠乏が起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微生物が被験体、又はヒト又は動物において予防効果及び/又は治療効果を誘起する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
微生物が被験体、又はヒト又は動物において予防的応答及び/又は治療的応答を誘起することが可能である異種発現産物を発現する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記異種発現産物が抗原又は非ワクチン原性の予防的に及び/又は治療的に活性のあるペプチド、ポリペプチド又はタンパク質である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
微生物が細菌、酵母又は真菌である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
微生物が粘膜、又はヒト又は動物の粘膜、又は消化管の粘膜に存在することが可能である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
微生物がカンジダ種、アスペルギルス種、ペニシリウム種、サッカロミセス種、ハンゼヌラ種、クリベロミセス種、シゾサッカロミセス種、チゴサッカロミセス種、ピチア種、モナスカス種、ゲオトリクム種、ヤロウイア種、バクテロイデス種、クロストリジウム種、フソバクテリウム種、ユーバクテリウム種、ルミノコッカス種、ペプトコッカス種、ペプトストレプトコッカス種、ストレプトコッカス種、ビフィドバクテリウム種、エシェリキア種及びラクトバチルス種のいずれかであり、又は該微生物がビフィドバクテリウム種又はラクトバチルス種であり、又は該微生物がカセイ菌、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・サリバリウス若しくはラクトバチルス・ラムノサスから選択されるラクトバチルス種、並びにその任意の亜種及び株であるか、又は該微生物がストレプトコッカス種、又はストレプトコッカス・ミュータンス、並びにその任意の亜種及び株であるか、又は該微生物がバクテロイデス種、又はバクテロイデス・オバタス、並びにその任意の亜種及び株である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
微生物のコロニー形成能を低減又は消失するための前記微生物におけるチミジル酸シンターゼ欠乏の使用。
【請求項10】
不活性チミジル酸シンターゼ遺伝子(thyA)を含む微生物であって、ヒト又は動物の粘膜でのコロニー形成能がその野生型祖先のものと比較して低減している、微生物。
【請求項11】
チミジル酸シンターゼが欠乏している、請求項10に記載の微生物。
【請求項12】
前記微生物が被験体、又はヒト又は動物において予防効果及び/又は治療効果を誘起する、請求項10又は11に記載の微生物。
【請求項13】
前記微生物が被験体、又はヒト又は動物において治療的応答又は免疫原性応答を誘起することが可能であるポリペプチドをコードする組換え核酸をさらに含む、請求項10〜12のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項14】
前記組換え核酸が抗原及び/又は非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドをコードする、請求項13に記載の微生物。
【請求項15】
前記抗原がヒト又は動物の被験体において免疫応答又は免疫寛容応答を誘起することが可能であり、及び/又は前記非ワクチン原性の治療的に活性のあるポリペプチドがヒト又は動物において治療効果を生じることが可能である、請求項14に記載の微生物。
【請求項16】
細菌、酵母又は真菌である、請求項10〜15のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項17】
粘膜、ヒトもしくは動物の被験体の粘膜、又は消化管の粘膜に存在することが可能である、請求項10〜16のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項18】
カンジダ種、アスペルギルス種、ペニシリウム種、サッカロミセス種、ハンゼヌラ種、クリベロミセス種、シゾサッカロミセス種、チゴサッカロミセス種、ピチア種、モナスカス種、ゲオトリクム種、ヤロウイア種、バクテロイデス種、クロストリジウム種、フソバクテリウム種、ユーバクテリウム種、ルミノコッカス種、ペプトコッカス種、ペプトストレプトコッカス種、ストレプトコッカス種、ビフィドバクテリウム種、エシェリキア種及びラクトバチルス種のいずれかであり、又は該微生物がビフィドバクテリウム種又はラクトバチルス種であり、又は該微生物がカセイ菌、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・サリバリウス若しくはラクトバチルス・ラムノサスから選択されるラクトバチルス種、並びにその任意の亜種及び株であるか、又は該微生物がストレプトコッカス種、又はストレプトコッカス・ミュータンス、並びにその任意の亜種及び株であるか、又は該微生物がバクテロイデス種、又はバクテロイデス・オバタス、並びにその任意の亜種及び株である、請求項10〜17のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項19】
薬剤としての使用のためのコロニー形成が低減した株又は非コロニー形成株である、請求項10〜18のいずれか一項に記載の微生物。
【請求項20】
予防用分子及び/又は治療用分子の送達のための、又は1つ又は複数の異種発現産物の送達のためのコロニー形成が低減した株又は非コロニー形成株としての、請求項10〜18のいずれか一項に記載の微生物の使用。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−504116(P2012−504116A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528366(P2011−528366)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062647
【国際公開番号】WO2010/034844
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(507055501)アクトジェニックス・エヌブイ (11)
【氏名又は名称原語表記】Actogenix NV
【Fターム(参考)】