説明

粘膜分配用組成物と方法

【課題】新しい投薬ユニット及びその製造法と使用法の提供。
【解決手段】水溶性の親水コロイドと粘膜の表面被覆形成フィルムを含む投薬ユニットであって、このフィルムは有効剤の有効投与量を含有する。投薬ユニット中には、クエン酸シルデナフィル、ニコチン、ヒドロモルホン、オキシブチニンあるいはエストラジオールが有効剤として使用される。水溶性の親水コロイドは天然、半天然及び合成の生体ポリマーから成る群から選択されているポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、溶解性フィルム構造中に薬剤を付与する機器及び方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
多くの場合、医薬の剤形は、錠剤、丸薬、カプレット、適度の圧力下で形態を保持できるカプセル等の固体の経口投与の形態で投与されている。一般的に、これらの剤形は、そのまま飲み込むか又は噛み砕き、医薬品が十分な量の液体と一緒に供給されるように設計されている。患者の中には、特に小児及び老人の場合は、固体の剤形では飲み込む又は噛み砕くことが困難な者が居る。子供や動物が患者の場合、医薬品を飲むことを拒否して、後で吐き出すために固体の丸薬を隠そうとする。その上、小児及び老人の患者の多くは、有効成分が飲み込みにくい、又は投薬ユニットと一緒に液体が消費されても咽頭あるいは食道に留まるので、固体の剤形を望まない。更に、投薬の際に液体を使用することが制限される患者や、使用が禁止される病気及び/又は治療があるかもしれない。噛み砕ける錠剤は、従来型の錠剤に対して有利な点がある。しかし、これらは、歯列矯正用のブリッジを着けた子供達には不向きで、又医薬品の味が不快で噛み砕ける錠剤中に隠すことが困難かもしれない。同時に、噛み砕ける錠剤の投与においても、なお水が必要かもしれない。
【0003】
その上、錠剤、丸薬、カプレット及びカプセルのような標準的な経口剤形では、口の中の滞留時間が短いように設計されている。このような剤形からの薬剤の吸収は、薬剤が剤形から分離され胃液に溶かされた後、消化管で起こる。幾つかの有効剤について、治療効果の始まりを促進するために、口の粘膜の組織から吸収させるのが望ましいである。
【0004】
有効剤の多くは、胃液に対する溶解度が低いかあるいは溶解速度が遅いため、胃の中で分散された後でもなお、僅かしか吸収されない。錠剤を素早く溶けるように処方することは可能かもしれない。これらの錠剤は、普通舌の上に置かれて、口腔中で速やかに崩壊する。けれども、これらの投薬ユニットは粘膜表面に固定はされず、口の中を動きまわるかもしれない。結果として、これらは、嚥下反射の制御に限界がある対象に生じる窒息あるいは喉詰まりに伴う危険を解消していない。けれども、一旦口の中に置かれると、これらの錠剤は唾液中に速やかに溶けて液体の処方となり、ついでこれが嚥下される。溶解が早い錠剤は、治療薬剤を含む、粒状の支持基質から形成されうる。ここで、粒状の支持基質は蛋白である(US 5,807,576、US5,635,210、US5,595,761)。あるいは又、このような錠剤は複数の層の積層体と外側の被覆から形成されうる(日本100535518)。錠剤は、結晶性砂糖を熱と剪断に晒したときに形成される実質的に非晶質の砂糖である剪断型基質によっても製造されている(WO 95/07194、WO 95/35293)。溶解の早い錠剤を形成する他の方法では、湿式造粒法(EP 0627218)及び乾式造粒法(EP 0124027A1)、及び凍結乾燥技術(EP 0084705A2)によるものを含んでいる。一般的に、溶解の早い錠剤は、複雑な多段製造工程を経て形成される。その上、これらの錠剤は機械的強度が低い場合があり、脆くて砕け易く、かつ有効成分を保持する容量が不十分であり(US 5,720,974)、保存と取り扱いが難しいであろう。
【0005】
治療用化合物は、粉末あるいは顆粒で提供される場合もあるが、これらは嚥下が困難であろうし、口の中の不快な感覚の原因となる。更に、溶解の早い錠剤の多くは微粒子(>25μm)を含み、これらは口の中に「ザラザラする」かつ不快な風味を残す。高齢者の場合は、粉末は窒息及び義歯の中に顆粒が挟まることによる不快感の原因となりうる。粉末と顆粒は小さな袋に封入されるのが一般的であり、これは使用前に破く必要がある。これは、高齢の患者や指の関節炎で苦しんでいる患者または子供に同様の問題をもたらす。結果的に、これらの患者達の場合、内容物をこぼす問題が生じる。更に、これらの経口用製剤は水と共に飲まねばならないが、これが不便な患者も居り、薬剤服用遵守が低下する場合がある。
【0006】
液体、シロップ剤あるいは懸濁液は、固体の剤形に代わる選択肢であり、錠剤の嚥下に問題のある小児や高齢の患者には望ましいと考えられる。けれども、これらの剤形は正確に計測しかつ簡易に投与するのが難しいことが多い。液体の処方は熱や大気に晒すと速やかに劣化し、従って保存寿命が比較的短い。更に、液体の処方は比較的体積が大きくなり、貯蔵するのに嵩張る。
【0007】
固体及び液体の剤形に加えて、溶解の速い口腔/経口分配系が開発されている。これらの系は、普通、凍結乾燥製剤であり、錠剤に較べて製造経費が高い(US 5,648,093)。更に、凍結乾燥製剤は脆く、扱う際に壊れやすく、かつ崩壊を避けるために乾燥状態に保たなければならない。凍結乾燥製剤の不安定性は、マンニトールの添加によって幾分かは減少している(US 4,946,684)。WO 9820862は、凍結乾燥を利用しない方法で形成され、この技術分野で記載された、フイルムの硬さ、軟化の遅れ、口中での溶解性の乏しさのような問題(US 4,876,092、EP 0200508、EP0381194、CA−PS 1−26331、DE 2449865.5、DE 3630603、EP 0452446及びEP 0219762)を避けたフイルムについて述べている。けれども、WO 9820862に記載されたフイルムは、即時の濡れ性を達成するために、少なくとも二種の異なる非イオン性界面活性剤の使用に依存している。
【0008】
投薬ユニットは、目的の箇所に有効剤を分配するために、非侵襲性で、効果的でかつ経済的な方法を提供することが望ましい。目的の箇所が血漿の場合には、バイオアベイラビリティ(bioavailability)で測定したその箇所への有効剤の分配速度に関して更なる問題点が浮上する。有効剤の多くの型について、治療効果が早く始まることが望ましい。錠剤のような従来の経口投与は、胃腸路中の吸収速度によって開始時間が制限される。口の中に適用された時に、口の粘膜を的にすることで、従来の経口投与より早く開始する処方が開発されている。これらの処方は、口中の体温で融けるポリエチレン・グリコールを75%−95%含む投薬ユニットを含んでいる(US 5,004,601、US5,135,752)。別の処方は、舌下にあるいは棒上の甘味をつけた基質によって投与する液体形態、薬用ドロップ(lozenge)、あるいは錠剤を含んでいる(US 5,770,606.Stretsand et al.及びZhang et al.、Christie et al.、Sasaki et al)。上記引例は分配経路に取り組んでいるが、僅かな溶解性あるいは低い溶解速度のために浮上するバイオアベイラビリティの問題には取り組んでいない。
【0009】
上記限界に取り組む分配装置は、現に存在する分配系に望ましい改良を顕わすであろう。
【0010】
(発明の概要)
新しい投薬ユニット及びその製造法と使用法を提供する。一態様では、投薬ユニットは水溶性の親水コロイド、粘膜表面被覆形成フイルムを含み、このようなフイルムは有効剤の有効な投与量を含んでいる。
【0011】
本発明の一態様において、親水コロイドは、ポリサッカライドやポリペプチドによって例示される天然、半天然及び合成生体ポリマーから成る群から選ばれたポリマーを含んでいる。親水コロイドに加えて、フイルムは、一以上の乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、水溶性の不活性充填剤、保存剤、緩衝剤、着色剤、浸透促進剤、及び安定化剤を含んでいてもよい。フイルムは、更に、治療薬、食物補助品、及び衛生補助物質から成る群から選ばれた有効剤を含んでもよい。本発明の複数の態様では、投薬ユニットの中に、有効剤として有効量のクエン酸シルデナフィル、ニコチン、ヒドロモルホン、オキシブチニン、あるいはエストラジオールを用いる。有効剤は、親水コロイドとは溶解特性が異なる第二のポリマーの内部にカプセル化されてもよい。一以上の有効剤がフイルム内に含有されてよい。本発明の一態様では、乳化剤の濃度は0.1−10重量%でよい。水溶性の不活性充填剤は濃度範囲が0.5−50%で、保存剤は0.01−10%の濃度範囲でよい。投薬ユニットは、澱粉グラフト共重合体のような粘膜付着促進剤を含有してもよい。
【0012】
本発明の態様において、投薬ユニットは更に以下の特徴のどれでも有していてもよい:1−20milの範囲の、より好ましくは10mil未満の乾燥膜厚、3.5g未満の、より好ましくは2g未満の乾燥粘着値、35gを超える湿時粘着値、1500psiを超える引っ張り強度、35,000−300,000psiの範囲のモジュラス、0.001N−1Nの範囲の引裂伝播抵抗、1−300sの範囲の崩壊時間、10−600sの範囲の溶解時間、及び20%未満の伸び百分率。
【0013】
本発明の態様において、投薬ユニットを作成する方法が提供される。一態様では、溶媒中に親水コロイドを溶かして実質的に均一な製剤を形成する工程;この親水コロイドの製剤の中に、有効剤と、乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、水溶性の不活性充填剤、着色剤、保存剤、浸透促進剤、安定化剤及び緩衝剤から成る群から選ばれる少なくとも一の試薬を添加して、塗布可能な混合物を形成する工程;及びこの混合物から粘膜の表面被覆形成性フイルムを形成して投薬ユニットとして包装する工程、を含んでいる。この方法は、更に、上記混合物を基材上に塗布する工程を含んでもよい。更に別の態様では、親水コロイドと、有効剤と、乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、水溶性の不活性充填剤、着色剤、保存剤、浸透促進剤、安定化剤及び緩衝剤から成る群からえらばれた少なくとも一の試薬とを含む試薬を、任意の順で、加熱源と機械的攪拌装置を備えた容器内にコンバインして、コンバインされた成分は容器内に成分が添加される間及び添加された後攪拌され、混合物の相当な部分を融かすために有効量の熱がかけられる。混合物は、次いで乾燥押し出し工程でフイルムに形成されうる。
【0014】
本発明の一態様においては、対象に有効剤を投与する方法が提供される。この方法は、水溶性の親水コロイド、有効量の有効剤を含有している粘膜の表面被覆形成性のフイルムを得るステップと、対象物中の粘膜の表面被覆形成性フイルム上に前記フイルムを置くステップと、このようにして有効剤を放出するステップを含む。
【0015】
本発明のもう一つの態様では、粘膜表面接触フイルム中に水溶性の親水コロイドと有効量のクエン酸シルデナフィルを含有する投薬ユニットが提供される。特に、有効量のクエン酸シルデナフィルは、キシリトールとの固体分散物として形成され、勃起不全の治療に適応する。シルデナフィル/キシリトール分散物は、乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、着色剤、保存剤、浸透促進剤、安定化剤及び緩衝剤から成る群から選択された少なくとも一の試薬と混合されてもよい。シルデナフィル とキシリトールの固体分散物は、キシリトール1部に対してシルデナフィル9部の比率で生じてよい。勃起不全に適した投薬ユニットと投薬ユニットを作成することを目指す本発明の複数の態様によると、固体分散物中のシルデナフィルの水溶性は少なくとも20mg/mlで、より好ましくは50mg/mlである。特に、フイルムは口内粘膜表面において10−600秒で完全に溶解することができるものがよいであろう。
【0016】
(発明の詳しい説明)
口を介して固体の有効剤を分配することは、患者が投薬ユニットでむせ返るという問題を起こしうる。この結果は少なくとも一部が投薬ユニットの口の中の移動性によってもたらされる。我々は、湿った粘膜表面との接触によってフィルムが被覆となり、これが粘膜表面に粘着して、次いで投与量の設計において制御された時間フレームで崩壊し溶解するので、口の中に移動可能ではない新しい部類の投薬ユニットを開発した。本発明の一態様では、投薬ユニットは可撓性で、非粘着性で、乾燥して簡易に包装されたフィルムの形態である。一旦包装から取り出され粘膜表面に置かれると、粘膜の表面被覆形成性フィルムが実質的に直ちに水和して粘膜の湿った表面上に皮膜を形成し、次いで崩壊及び溶解してフィルムから有効剤を放出する。
【0017】
投薬ユニットは、数多くの異なる要因によって決定される時間にわたって有効剤を放出しうる。これらの要因は、フィルムの寸法、有効剤の濃度、粘膜表面における有効剤の溶解性及び有効剤のフィルム全体にわたる分散状態を含む。フィルムの厚さは溶解速度を決める一要因である。厚いフィルムは、他が同様な薄いフィルムよりもっと遅く溶けるであろう。厚いフィルムは、高い投与量が要求される有効剤の保持容量の点で望ましいであろう。フィルムの表面積は約5cm2まで調整できるが、有効剤の有効な投与量を達成する目的には、厚さを増やすことも望ましいであろう。有効剤は、フィルムから放出されたときに薬剤の溶解性を上げて、それにより有効剤のバイオアベイラビリティを向上させる目的で、水溶性で不活性の充填剤と共に固体分散物を形成できる。ここでは、シルデナフィルを水溶性で不活性の充填剤、例えば、この薬剤のバイオアベイラビリティを向上させることが見いだされているキシリトールと一緒にフィルム中に組み込んだ場合を例示する。本技術でよく知られている可溶化剤をフィルム中に含んでもよい。粘膜表面における投薬ユニットからの有効剤の摂取限界は、フィルムの溶解速度で制御できる。溶解するフィルムは有効剤を放出し、これは、順次有効剤が嚥下され胃腸路で吸収される原因となるであろう。対照的に、粘膜表面における有効剤のゆっくりとした放出は、粘膜表面による吸収の増大をもたらすであろう。粘膜表面における有効剤の放出を支配するもう一つのパラメータは、その薬剤がフィルム中に分散されている状況である。例えば、その薬剤はコロイド粒子として、あるいはマイクロカプセルに内包されてフィルム中に分散されていてもよいし、あるいはまた、キャスティングの際に、フィルム全体にわたって一試薬として混合されてもよい。
【0018】
本発明の投薬ユニットは、広い範囲の有効剤の分配に関する媒体として使用できる。例えば、有効剤は、アンチセンス分子あるいは他の生物的または合成の分子を含む小分子、蛋白、核酸であってよい。
【0019】
フィルムに適用される「粘膜の表面被覆形成性」とは、本発明の詳細な説明と特許請求の範囲において、他に特定がない限り、接触した際に粘膜表面を被覆して、その後はマニュアルで回収あるいは接触部位から移動できず、かつ引き続いて崩壊及び溶解して有効剤を放出するフィルムを意味する。発明と特許請求の範囲の説明のために、「粘膜表面」は、体の任意の湿った表面を指すことに注目すべきである。これは、図1で示した表面を含む。更にリンパ液が組織表面を浸している傷ついた表面を含む。
【0020】
本発明の複数の態様は、対象の粘膜表面への、医薬物質の部分的及び全身的な分配を目的とする、素早く溶けるフィルムの使用のためのプロセス、組成物及び法を含む。以下の文脈において、例示の為に口腔に対し特別に引用する。しかしながら、発明の技術的範囲を口腔に限定する意図ではない。本発明に係る投薬ユニットは、膣、直腸、及び眼球表面を含む、有効剤の全身的あるいは部分的分配に適すると判断される任意の粘膜表面に適用されよう。経口分配の目的に対しては、本フィルムは、舌、舌下腺、頬、歯肉、及び口蓋表面に適用できよう(図1)。
【0021】
ノノキシノールを含む避妊薬として、あるいは抗真菌剤、抗菌剤及び抗ウイルス薬を含む抗感染症薬として、あるいは芳香剤又は衛生用品として、このような薬剤を膣に分配する場合は、フィルムは包装から剥がしたときはベタつきがなく、膣内に適用したときは粘膜付着性の特性を有するべきである。有効剤を含有する膣用のフィルムは現在も使用されているが、これらは、最も顕著には粘膜表面における接着特性が不足するという明白な欠点を持っているように思われる。これは、これらのフィルムの投与を非実用的にしている(US 5,380,529、US5,595,980、US5,529,782)。
【0022】
本発明の複数の態様は、全ての年齢層に適当で、医師、両親、患者及び家族が容易に投与できる、有効剤を分配する改良された剤形を提供する。これらの剤形は、経済的に作成できて、かつ長期の保存寿命を有する。取り扱いが容易で、かつ使用前の崩壊を避けるよう投与前は非粘着性であり、また保存寿命、保存の容易性及び配布に対して簡易な包装である。本剤形はフィルムを粘膜表面に置くことで対象に投与され、そのときにフィルムは、最早独立の形態として存在せず、かつ引き続き溶液中に分散されるという特性で特徴付けられる、粘膜付着性の被膜となる。
【0023】
本発明の複数の態様は、溶解してかつ完全にその内容物を湿った粘膜表面、例えば口腔内に放出する、有効剤及び他の活性物質の分配システムを提供する。有効剤の放出は、咀嚼あるいは水の摂取無しで起きる。口腔について特に触れると、本発明の一態様は、治療あるいは口の環境の改善、例えば歯周部の治療あるいは口臭の制御のために口腔内に残留する有効剤を提供する。更に、本発明の態様では、官能的性質(嗅覚と味覚)及び口腔内に置かれることを意図した剤形の風合い及び感触の改良、口の中で「溶けて」溶解後に滑らかな心地よい後味を残す剤形、及び易溶解性の剤形の溶解に続いて口の中に有効剤が長期に保持されて、唾の生成と引き続く嚥下によって口から除去される有効剤の残留時間を伸ばす、ということを含む一層の改良を提供する。本発明の特定の用途に最適のプログラムに依存して、崩壊時間及び溶解時間は、処方とフィルムの膜厚の調整によって、所定の範囲に制御できる。ときには、有効剤の放出がフィルムの溶解後に生じることが望ましい。これらの用途には、有効剤を、親水コロイドと溶解特性の異なるマイクロカプセル内に納めてよい。有効剤のマイクロカプセル化は、苦い有効剤の味を隠すためにも利用しうる。場合によっては、フィルム中に二以上の異なる有効剤が含有されてもよい。多重有効剤が頻繁に投与される一例は感冒薬であり、これらは屡々数種の有効剤を含む。
【0024】
「塗布溶液」とは、詳細な説明及び特許請求の範囲において、溶媒中の親水コロイド、有効剤及び他の添加物の粘稠なかつ均一な混合物として定義される。塗布溶液は、本発明の方法に従って処理されて、フィルムを形成する。
【0025】
「対象」とは、詳細な説明及び特許請求の範囲において、ヒトあるいは動物種として定義される。
【0026】
「厚さ」とは、詳細な説明及び特許請求の範囲において、フィルムを顕微鏡用スライド2枚の間に置いたときに決定され、mil(1mil=1000分の1インチ)で測定した値として定義される。
【0027】
「浸透促進剤」とは、詳細な説明及び特許請求の範囲において、粘膜表面を通って有効剤の吸収を容易にする、天然あるいは合成分子として定義される。
【0028】
「酵素阻害剤」とは、詳細な説明及び特許請求の範囲において、唾液中あるいは粘膜組織中で有効剤の酵素的代謝を阻害する、合成あるいは天然分子として定義される。
【0029】
「水分含量」とは、詳細な説明及び特許請求の範囲において、カール・フィシャー法で測定され、フィルムの乾燥重量の百分率で表記された、ユニット投薬量当たりの%残留水分含量として定義される。
【0030】
「水和速度」とは、詳細な説明及び特許請求の範囲において、25℃及び75%相対湿度において、24時間に水を吸収するスピードとして定義される。
【0031】
「膨潤百分率」とは、ここでは溶解の前に増加した、初期体積の百分率として定義される。本発明の一態様では、膨潤百分率は60秒で10%未満である。
【0032】
味覚調整剤は香料、甘味剤及び味覚遮蔽剤を含み、メントール、冬緑油、ペパーミント、スイートミント、スペアミント、バニリン、チェリー、チョコレート、シナモン、クローブ、レモン、オレンジ、ラズベリー、ローズ、スパイス、スミレ、ハーブ、フルーツ、イチゴ、ブドウ、パイナップル、モモ、キウイ、パパイヤ、マンゴー、ココナッツ、アップル、コーヒー、プラム、スイカ、ナッツ、ドリアン、緑茶、グレープフルーツ、バナナ、バター、カモミール、砂糖、デキストロース、ラクトース、マンニトール、スクロース、キシリトール、マリトール、アセスルファメポタジウム、タリン、グリチルリジン、サクラロ−ズ、アスパルテーム、サッカリン、ナトリウムサッカリン、ナトリウムシクラメート及びハニーの芳香油溶性あるいは水溶性抽出物が例示される。
【0033】
乳化剤は、可溶化剤と湿潤剤を含み、例としては、ポリビニル・アルコール、ソルビタン・エステル、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポロキサマ−、ポリオキシエチレン・キャスター・オイル誘導体、水素化植物性油脂、胆汁酸塩、ポリソルベート及びエタノールがある。
【0034】
可塑剤は、グリセリン、ソルビトール、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチル・トリエチル(ATEC)及び他のクエン酸エステルを含んでよい。
【0035】
有効剤(ヒト及び家畜用)は、治療薬、栄養補給剤、衛生補助剤を含む。治療薬の例は、アナイジェシックス、αアドレナリン受容体ブロッカー、アンチ・アルツハイマー疾病薬剤、抗狭心症薬、抗不安薬、抗不整脈薬、抗関節炎薬、抗生物質、抗凝血薬/血栓溶解薬、抗痙攣薬/抗パーキンソン薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、抗下痢薬、抗癲癇薬、抗菌薬、抗痛風薬、犬用の抗心臓寄生虫薬剤、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗炎症薬、抗感染症薬、抗片頭痛薬、嘔吐抑制薬/抗嘔吐薬、抗新生物/抗癌性有効剤、アンチプルイテックス、抗精神病薬、抗発熱薬、抗痙攣薬、抗ウイルス薬、気管支拡張薬/抗喘息薬、カルシウム拮抗薬、心臓用薬、強心薬、中枢神経系活性薬、避妊薬、冠血管拡張薬、咳/風邪治療薬、ビタミン及びミネラルを含む食物補助品、利尿薬、受精活性薬、動物のノミ類制御薬(イベルメクチン)、H受容体拮抗薬、薬草、ホルモン、血糖降下薬、抗高脂血症薬、筋弛緩薬、排卵促進薬、ペプチド有効剤、ポリペプチド有効剤、インスリンやカルシトニン及びLHRH(黄体形成ホルモン放出ホルモン)等の蛋白、鎮静薬及び睡眠薬、性機能障害有効剤、睡眠補助薬、禁煙補助薬、ステロイド及びステロイド性薬、精神安定薬、緩下薬、点眼薬、栄養補給剤、呼気新鮮化薬、呼気脱臭薬、唾液置換剤、抗歯肉炎薬、抗虫歯薬、抗歯垢薬、診断用指示薬、及び局部麻酔薬である。骨粗鬆症の治療、ホルモン交換、歯周病の治療、消毒薬、副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、抗ウイルス薬及びワクチン用の有効剤も含まれる。
【0036】
水溶性の不活性充填剤は、マンニトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、マルトデキストリン、デキストラン、デキストリン、変性澱粉、デキストロース、ソルビトール、及びデキサトレ−トを含む。本発明の複数の態様において、水溶性の不活性充填剤は、有効剤と共に高水溶性分散物を形成するための不活性の担体として使用できよう。
【0037】
緩衝剤は、弱酸性物質及びアルカリ化剤を含み、例としては、クエン酸、フマール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、これらと共にクエン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム又は燐酸カリウム及び酸化マグネシウムが挙げられる。
【0038】
着色剤は、FD&C着色剤、天然着色剤、天然分泌液濃縮物、酸化チタンや二酸化珪素、酸化亜鉛等の顔料を含んでよい。
【0039】
詳細な説明及び特許請求の範囲に用いられる安定化剤は、用法では、抗酸化剤、キレート剤及び酵素阻害剤を含み、例としては、アスコルビン酸、ビタミンE、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ジラウリル・チオジプロピオネート、チオジプロピオン酸、グアヤクガム、クエン酸、エデト酸及びこれらの塩、及びグルタチオンがある。
【0040】
保存剤は、ここでは抗細菌薬及び非有機化合物を含み、例としては安息香酸ナトリウム、パラベン及びその誘導体、ソルビン酸及びその塩、プロピオン酸及びその塩、二酸化硫黄及び亜硫酸塩、酢酸及び酢酸塩、亜硝酸塩及び硝酸塩がある。
【0041】
フィルムの機械的特性は、引張り強度係数、伸長百分率(ASTM D882、薄膜プラスチックシートの引っ張り特性に関する標準試験法)、及び引裂伝播抵抗(ASTM D1938、一回引裂法によるプラスティックフィルム及び薄板の引裂伝播抵抗に関する標準試験法)で決定される。ここでは、機械的特性は「アニュアル ブック オブ エイエステーエム スタンダード、アメリカンナショナル スタンダード インスティテュート、エヌワイ 1995 (AnnualBook of ASTM Standards. American National Standards Institute, NY 1995)」に記載された標準プロトコルを用いて測定されている。
【0042】
「引張り強度」(psi)は、フィルムの加重変形破壊の原因となる加重を要求するフィルムの特性である。
【0043】
「%伸長」は、弾性限界を超えて十分な力をかけて、いつフィルムが切れるかにより測定される。
【0044】
「放出の検討」は、特定の温度及びpHの下、適当な溶解容器及び媒体中で、時間の関数としてフィルムから放出される有効剤の百分率である。
【0045】
「乾燥粘着値」は、乾燥フィルムの粘着性の定量値(グラム)であり、テクスチャー テクノロジーズ コーポレーション(Texture Technologies Corp.)が販売しているテクスチャー アナライザ(Texture Analyzers)(モデルTA、XT2iで、直径6mmのステンレススチール製円筒プローブを備える)による。同じ表面積に水10mlを加えた後の粘着性を湿時粘着値(グラム)と定義し、フィルムが湿った粘膜表面に接触したときの接着をシミュレートする。本発明の一態様では、乾燥粘着値は0.2−3.5グラム、好ましくは0.4−2.0グラムの範囲であり、湿時粘着値は35−150グラム、好ましくは40−100グラムの範囲である。
【0046】
「引裂伝播抵抗」は、詳細な説明及び特許請求の範囲において、特定の伸長速度の下、ASTM D1938に規定されている様に、フィルムあるいはシートを横切って引裂きが伝播するのに必要な平均の力(N)として定義され、また、加重時間チャートから説明される。本発明の好ましい一態様において、引裂抵抗は0.001N−1N、好ましくは0.01N−1Nの範囲である。
【0047】
「崩壊時間」は、詳細な説明及び特許請求の範囲において、水あるいは唾液と接触したときにフィルムが壊れる時間(秒)として定義される。本発明の一態様では、崩壊時間は1−300秒の範囲である。
【0048】
「溶解時間」は、詳細な説明及び特許請求の範囲において、テストフィルムの80%以上が水性媒体又は唾液に溶けた時間(秒または分)として定義される。本発明の一態様では、溶解時間は10−600秒の範囲である。
【0049】
「モジュラス」はフィルムの剛性の尺度である。
【0050】
粘膜の表面被覆形成性組成物の特性を決定する重要な因子の一つは親水コロイドの粘度である。親水コロイドの粘度は、分子の大きさ、由来、疎水性と親水性、及び処方中の他の添加物の存在に依存する。親水コロイドである、異なる粘度値を持つヒドロキシメチルセルロースから形成したフィルムの特性比較を表9aと9bに示す。
【0051】
本発明の複数の態様においては、親水コロイドの濃度が、乾燥フィルムの乾燥重量の5−99%の範囲で、より好ましくは10%を超える範囲で提供される。これらのフィルムは、取扱いと使用を改善した乾燥及び湿時粘着性を持つ。フィルムの乾燥粘着値が低いと物理的に好ましく取扱いが容易なフィルムとなる。これは脆くも粘着性でもなくて、包装から容易に取り出すことができ、かつ粘膜表面に容易に置くことができる。フィルムの湿時粘着特性は、フィルムが粘膜上に置かれたときに、溶けるまでその場に残るというような、湿ったフィルムの粘着度の優位性をもたらす。逆に、もし湿時粘着性が低すぎると、フィルムは口の中で動くことができて、溶解する前に呑み込まれて窒息を引き起こす可能性がある。更に、フィルムの低い水分含量と低い乾燥粘着性はフィルムの保存寿命と剤形の柔軟性を向上させる。これらの特性は、フィルムを容易な製造、包装、取扱い及び適用に適合せしめる。
【0052】
本発明の一態様では、水溶性ポリマー(2%ポリマー溶液)はゲル化温度が70℃を超えるものから選択される。これらの特徴を持つ親水コロイドの水和速度ははやく、室温及び湿度75%において、ポリマーの水分吸収百分率は5−20%の範囲である。水和速度は、界面活性剤を使用しない場合のフィルムの所望の濡れ性に従って選択される。水和したフィルムの湿時粘着値は35−150グラム、より好ましくは40−100グラムである。膨潤百分率は、60秒で10%未満でよい。フィルムは、厚さが1−20milであるように成形される。フィルムの含水量は0.5−10%、好ましくは1−5%である。本発明の複数の態様においては、フィルムは、分子量及び/又は置換度だけが異なる同種の二以上のポリマーの混合物を使用して形成してもよい。フィルムの溶解時間は10−600秒(図4参照)であり、崩壊時間は1−300秒でよい。フィルム中の有効剤は、フィルムの親水コロイドとは化学的あるいは物理的特性が異なり、かつ親水コロイドとは溶解特性が異なるポリマー中にカプセル化してもよい。本発明に従って形成され、上記の範囲内の特性を持つフィルムの例を表1、3、6及び7に示す。
【0053】
取扱いの容易性はフィルムの乾燥粘着値で特徴付けられ、可撓性はフィルムの引張り強度、モデュラス、伸長百分率及び引裂抵抗が反映される。例えば、乾燥粘着値は0.2−3.5グラム、より好ましくは0.4−2.0グラムの範囲である。厚さが2milのフィルムの場合、引張り強度は1500−10000psi、より好ましくは2000−8000psi、更に好ましくは2000psiを超える値であり、モデュラスは35000−300000の範囲であり、伸長百分率は20%未満、より好ましくは1−10%であろう。
【0054】
本発明の複数の態様において、親水コロイドは、水溶性で非ゲル化(室温で)性の天然ポリサッカライドあるいは誘導体でよい。これには、ペクチンと誘導体、グアールアラビアゴム、トラガカントゴム、キサンタンガム、ゲランナトリウム塩、プロピレングリコール・アルギン酸塩、澱粉(アミロース、アミロペクチン)、変性澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、プルラン、カルボキシメチル澱粉、ガムガッティ、オクラガム、カラヤゴム、デキストラン、デキストリン及びマルトデキストリン、コンニャク、アロエからのアセマンナン、ローカストビーンガム、タラガム、マルメロの種ガム、コロハの種ガム、シクログルカン、アラビアゴム、オオバコの種ガム、タマリンドガム、オートガム、マルメロの種ガム、カラゲナン、カラゲナン、シクログルカン、サクシノグルカン、ラルヒアラビアノガラクタン、アマニガム、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、カードラン、キトサン、ジアセチル化コンニャク、及びリゾビウムガムが含まれる。
【0055】
本発明の複数の態様において、親水コロイドは、水溶性で非ゲル化のポリペプチドあるいは蛋白でよい。例としては、ゼラチン、アルブミン、乳蛋白、大豆蛋白、乳漿蛋白がある。親水コロイドは更に、合成親水コロイドから選択されてもよい。例としては、ポリエチレン・イミン、ヒドロキシエチル・セルロース、ナトリウム・カルボキシメチル・セルロース、カルボキシメチル・セルロース、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース、メチル・セルロース、エチル・セルロース、ポリアクリル酸、低分子量ポリアクリルアミド及びそれらのナトリウム塩(カルボマー)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・オキサイド、ポリビニルアルコール、プルロニクス、テトロニクス、及び他のブロック・コポリマー、カルボキシビニル・ポリマー、及びコロイダルシリカの中の、任意のものがある。本発明の好ましい一態様では、メトキシの含量が約19−30%で、ヒドロキシプロピルの含量が7−12%で、分子量がおよそ50000−250000ダルトンである、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロースが使用される(表9)。
【0056】
親水コロイドと有効剤に加えて、本フィルムは、乳化剤、可溶化剤、湿潤剤、味覚調整剤、可塑剤、有効剤、水溶性の不活性充填剤、保存剤、緩衝剤、着色剤、及び安定化剤の内任意のあるいは全ての成分を含んでもよい。好ましい一態様においては、以下の各領域においてフィルムに組み入れられた少なくとも一の成分の乾燥重量百分率は、以下の通りである。乳化剤(0.1−10%)、可塑剤(0.5−20%)、活性剤(0.01−75%)、味覚調整剤(0.1−10%)、着色剤(0.01−5%)、水溶性の不活性増量剤(0.5−50%)、保存剤(0.01−10%)、緩衝剤(0.1−10%)、及び安定化剤(0.01−5%)。
【0057】
本発明に係る投薬ユニットを製造する方法は、図2に示した溶媒成形法、あるいは実施例11に例示した押出し法を含む。押出し法は、機械的力と適度の熱を加えながら成分を混ぜ合わせてフィルムを形成することを含む。意味深いことは、上記工程は凍結乾燥工程に依らない。上記工程は、製造の間、過剰の熱あるいは冷却にも依らない。
【0058】
本発明の一態様において、溶媒成形法は、均一の処方を形成するために、混合の際水あるいは水性アルコール溶液に完全に溶解又は分散する天然あるいは合成の親水コロイドを含む。有効剤と親水コロイドに加えて、上に記載した成分の任意のものを加えて、親水コロイド中に均一に分散または溶解してもよい。有効成分及び香料をフィルムの形成前又は後に組み入れることができる。固体成分が5−50%で粘度が500−15000cpsのこの均一な混合系(塗布液)は脱気され(8)、ポリエステルフィルの非シリコン化面(10)に湿時膜厚5−50mil(9)、更に好ましくは5−20milで塗布され、処方中に含まれた薬剤の不安定化を避ける為、40−100℃で通気して乾燥した(11)。投薬ユニットを形成する製造工程を図2に示す。本工程で形成された乾燥フィルムは、光沢、自立性、自己支持性があり、非粘着性でかつ可撓性のフィルムである(12)。この乾燥フィルムは、次いで好ましい場所に有効剤を分配するために適当な形状(13)及び表面積に裁断される。例えば、成形フィルムは回転ダイスを使用して、異なる形状及び大きさに裁断できる。フィルムは、例えば一個の投薬ユニットを含む大きさに裁断されてよい。例えば、投薬ユニットは、表面積が5cm2で有効剤の量が20−250mgであるフィルムを含んでよい(14)。フィルムの大きさは、要求される投与量に従って変わってよい。各1cm2に含まれる量は、有効剤に従って選択される。フィルムは、次いで一個の小袋、マルチユニットのブリスターカードあるいはマルチユニットの調剤パックに包装される(図3)。
【0059】
上記方法とは対照的に、乾燥押出し法は親水コロイドを溶媒中に置くことに依らない。代わりに、投薬ユニットの成分は乾燥状態で混合され加熱される。加熱された混和物は、次いで押出しダイスを通って押され、選択した膜厚のフィルムが形成される。このフィルムは次いで裁断及び包装ができる。
【0060】
この乾燥押出し法はいくつもの優位性を持つ。第一に、経済的な工程である。第二に、乾燥炉が無いので、フィルムの押し出しは溶媒塗布よりも早い。第三に、乾燥押し出しは残留溶媒の除去工程を回避している。一般的に溶媒塗布工程では幾分かの残留溶媒があり、フィルムの安全性及び安定性に影響しうる。フィルムが水ではなく有機溶媒を要求する場合には、フィルムからの溶媒の除去は、環境規制から要求されるかもしれない。押し出し工程は、いかなる溶媒の回収をも回避し、かつフィルム中の残留溶媒を回避している。
【0061】
投薬ユニットは、有効な投与量を分配できるフィルムを選択し、口の粘膜(図1)のような粘膜表面に置くことでそのフィルムを患者に投与することによる使用のために調製される。その場所でフィルムは体液、例えば唾液中に溶解して(0.5−10分)、溶液の形態で嚥下される。図4は、フィルムの種々の膜厚に関して、崩壊速度と溶解速度を表した図である。図5は、実施例5−8に従ったフィルムから4種の有効剤が放出される特性を描いた図である。粘膜組織を通って吸収される投与量の割合は、フィルム中に浸透促進剤を使用して亢進することができる。
【0062】
粘膜で局所的に、及び胃腸管系で系統的に、両方で吸収される有効剤の全体としての生物利用率は、従来の経口錠剤あるいはカプセルの投与形態で与えられる有効剤の同じ投与量と比較して、改善されている。これは、図6及び表11に例示されており、バイアグラに対してシルデナフィルのフィルムの生物利用率が改善されていることが判る。フィルムの口内滞留特性、口の感触特性、香り及び味は、フィルム及び薬剤の調製に使用される親水コロイド及び他の賦形剤に基づいて調整できる。
【0063】
本発明は、以下に用意した実施例によって例証されるが、実施例に限定されることを意味しない。実施例1−8では、親水コロイドは激しく混合して水に溶解され、均一のかつ粘稠な溶液を形成した。次いで、ペパーミント、アスパルテーム、プロピルグリコール、安息香酸、及びクエン酸等の追加の成分を、順次粘稠溶液に添加して、親水コロイド中に均一に分散又は溶解するまで激しく混合した。得られた混合物を、真空チャンバ内で、捕捉された空気の泡が除去されるまで脱気した。粘度、pH及び比重を測定した。この処方を次いでポリエステルフィルムの非シリコン化面に湿時膜厚10milで塗布し、熱空気循環炉中で50℃で9分間乾燥した。乾燥後、光沢のある、実質的に透明で、自立性で、自己支持性の、非粘着性で可撓性のフィルムが得られた。乾燥フィルムを、乾燥粘着値、湿時粘着値、引っ張り強さ係数、伸長、引裂き抵抗、残留水分量、崩壊及び溶解を測定するため、種々の形態に裁断した。剤形は、種々の形態、大きさ及び膜厚において、25−250mgであった。
【0064】
実施例9は、異なるヒドロキシメチルセルロース・ポリマーを使用したとき、投薬ユニットの特性がどの様に変わるかを示している。実施例10は、促進剤の例として澱粉グラフト・コポリマーを用いて、粘膜接着性を少なくとも84%まで増加せしめうる様子を示している。本投薬ユニットの生体研究は、患者に十分に許容されていること(実施例12)、及びバイオアベイラビリティが向上していること(実施例13)を示している。
【0065】
(実施例)
実施例1−3:溶解の速いフィルム、組成物及び付随する特性
以下に従ってフィルムを調製した。塗布液中に、表1に示した量で、成分の均一混合物を調製した。量は、塗布液の重量百分率である。この混合物を真空チャンバー内で脱気して、ポリエステルフィルムの非シリコン化面上に塗布し、熱空気循環炉内で乾燥して、自己支持性、非粘着性及び可撓性のフィルムを形成した。次いで、フィルムを包装に備えて投薬ユニットに裁断した。
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】

【0066】
実施例4−8 治療薬を含有する溶解のはやい口腔用水性プロピル・メチル・セルロース系フィルム
実施例1−3と同様にしてフィルムを用意した。治療薬は、フィルムの形成前に均一な混合物(塗布液)に添加した。
【表5】


【表6】


【表7】


【表8】

【0067】
実施例9 異なるヒドロキシプロピルメチルセルロース・ポリマーを使用した投与剤の特性の比較
本発明に係る投薬ユニットの諸特性は、個々の成分を変えることにより調整ができるであろう。例えば、フィルムの溶解は、下の表9に示したように、分子量がより高いヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を使用することにより、長くすることができるであろう。
【表9a】


【表9b】

【0068】
実施例10 粘膜接着性の向上
粘膜接着性の向上も、種々の膜厚のフィルムに対して同様に適用できた。表10の処方を調製した。
【表10】

【0069】
実施例11 乾燥押出し技術を使用したフィルムの調製
ポリエチレン・オキサイド(Polyox WSR N−10)77.8gを機械力を用いて混合し、以下の添加成分を混合中に加えた。5.5gエストラジオール、3.7gペパーミント、3.7gプロピレン・グリコール、3.0gアスパルテーム、2.6gクエン酸、3.7gクレムフォア EL40、及び0.05g安息香酸。温度を約70℃に保持した。
【0070】
調合物は均一になるまで、70℃で混合した。次いで、調合物を押出しダイスを通して押し出し、膜厚5milのフィルムを形成した。次いで包装のため、このフィルムを投薬形態に裁断した。
【0071】
実施例12 ヒトの急性刺激の医学的研究
実施例1に従って処方した偽薬の、初期の医学的刺激の研究を実施した。6種のHPMC使用のフィルムを、一時間以内に各12対象に施用した。施用した場所と口粘膜に、どのような急性刺激が発生するかを、各施用の前、各施用の直後、最後の施用から1時間及び24時間後に評価した。紅斑、浮腫、水疱、解離及び排出の兆候を、0−4の目盛で採点した。検査した場所のいずれにも、計測可能な刺激は無く、また、各施用の間あるいは最後の施用1時間及び24時間後に、各兆候について計測可能な刺激は無かった。
【0072】
各対象に、各施用に関して、口の感触、製品の味、興奮及び溶解速度について評価を求めた。12対象全員が、各いかなる施用においても、いかなる興奮も経験しなかった。対象全員が、フィルムが非常に滑らかな口の感触を与えたと説明し、そして各施用においてフィルムが口腔に分配されたときに新鮮な味覚であったと表明した。対象全員が、フィルムの溶解時間が大変に短い(<2分)と感じた。
【0073】
対象の多数は、錠剤あるいはカプセルに較べて、フィルムの好ましさに目を見張っていた。対象全員が溶液あるいはシロップよりフィルムを好むと表明した。
【0074】
実施例13 フィルム形態の投薬ユニットによって分配された有効剤のバイオアベイラビリティの増加を示すヒト薬物動力学の研究
口粘膜からの投与に適した、有効剤、クエン酸シルデナフィルを含む溶解性フィルムを、表7に従って処方した。投薬ユニットの諸特性を表8に示す。
【0075】
舌下腺に施用した経口シルデナフィルと市販の錠剤(バイアグラ)を等量投与して、二回路の交叉研究を実施した。平均血漿レベルと薬物動力学を図6及び表11に示す。図6と表11から、溶解フィルムからの等しい投与量のバイオアベイラビリティは、錠剤のバイオアベイラビリティより約25%高いことが判る。
【表11】

【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、口腔内で本発明に係る投薬ユニットの適用が可能な位置を示す。
【図2】図2は、投薬ユニットの一つの製造工程の図解である。
【図3】図3は、口腔内分配系に係る包装及び調剤装置の例示である。
【図4】図4は、口腔内分配系の崩壊及び溶解時間を厚さの関数として示す。−●−は崩壊時間であり、−○−は溶解時間である。
【図5】図5は、ニコチン(−▼−)、オキシブチニン(−▽−)、ヒドロモルホン(−●−)、エストラジオール(−○−)の放出特性である。
【図6】図6は、溶解性のフイルムシルデナフィル処方を投与した後、及びシルデナフィルを同様の投与量含む市販の錠剤を投与した後の、6対象における薬学的速度論を示す。−○−はシルデナフィルフイルムで、−▽−はバイアグラである。
【符号の説明】
【0077】
1 上唇
2 歯肉
3 硬口蓋
4 頬
5 舌
6 舌下腺
7 下唇
8 混合及び脱泡タンク
9 膜厚制御器付き塗布溝スロット
10 ポリエステル製支持ベルト
11 給気制御器付き乾燥炉
12 溶解のはやい口腔内用フィルム
13 ダイカット
14 溶解のはやい口腔内用ユニット投与剤
15 ヒートシールした一個の小袋
16 ブリスターカード
17 マルチフィルム
17(a) 容器用噛み合わせ
17(b) リッドクロージャー
17(c) 容器本体
18 ロール型の円筒
19 穿孔処理したフイルム片
20 一回の投与量のフィルム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効投与量の有効剤(active agent)を含有する、水溶性親水コロイドの粘膜表面被覆形成フィルムを含む投薬ユニット。
【請求項2】
前記フィルムの乾燥粘着値が3.5g未満である請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項3】
前記フィルムの乾燥粘着値が2.0g未満である請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項4】
前記フィルムの含水量が0.1%−10%である請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項5】
前記フィルムの含水量が5%未満である請求項4に記載の投薬ユニット。
【請求項6】
前記フィルムの湿時粘着値が35gを超える請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項7】
前記フィルムの湿時粘着値が35gを超える請求項2に記載の投薬ユニット。
【請求項8】
前記親水コロイドのゲル化温度が、2%のポリマー溶液において70℃を超える請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項9】
前記親水コロイドの水和速度が、室温で湿度75%において、24時間で5−20%である請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項10】
前記親水コロイドが5%−99%の範囲内の濃度で存在する請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項11】
前記親水コロイドが天然、半天然及び合成の生体ポリマーから成る群から選択されているポリマーである請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項12】
前記親水コロイドがポリサッカライド及びポリペプチドから成る群から選択されている請求項11に記載の投薬ユニット。
【請求項13】
前記親水コロイドがヒドロキシプロピルメチルセルロース・ポリマーである請求項11に記載の投薬ユニット。
【請求項14】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース・ポリマーの分子量が200000未満である請求項11に記載の投薬ユニット。
【請求項15】
前記フィルムが、乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、水溶性の不活性充填剤、保存剤、着色剤及び安定化剤の中の一以上を更に含む請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項16】
前記乳化剤が0.1−10重量%の範囲の濃度である請求項15に記載の投薬ユニット。
【請求項17】
前記味覚調整剤が甘味剤、香料及び味覚遮蔽剤の一以上からなる請求項15に記載の投薬ユニット。
【請求項18】
前記フィルムが水溶性の不活性充填剤を0.5−50%の濃度範囲で含有する請求項15に記載の投薬ユニット。
【請求項19】
前記保存剤が0.01−10%の範囲の濃度である請求項15に記載の投薬ユニット。
【請求項20】
前記有効剤が0.01−75%の範囲内の濃度で存在する請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項21】
前記有効剤が治療薬、食物補助品及び衛生補助剤から成る群から選択されている請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項22】
前記治療薬がクエン酸シルデナフィル(sildenafil citrate)である請求項21に記載の投薬ユニット。
【請求項23】
前記治療薬がニコチン、ヒドロモルホン、オキシブチニン及びエストラジオールから成る群から選択されている請求項21に記載の投薬ユニット。
【請求項24】
前記フィルムの乾燥膜厚が1−20milの範囲にある請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項25】
前記フィルムの乾燥膜厚が10mil未満である請求項24に記載の投薬ユニット。
【請求項26】
前記フィルムの引張り強度が1500psiを超える請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項27】
前記フィルムの伸長百分率が20%未満である請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項28】
前記フィルムが1−300秒の範囲で崩壊する請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項29】
前記フィルムのモデュラスが35000−300000psiの範囲である請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項30】
前記フィルムの溶解時間が10−600秒の範囲である請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項31】
前記フィルムが1500psiを超える引張り強度と、20%未満の伸長百分率と、1−300秒の範囲の崩壊時間と、10−600秒の範囲の溶解時間とを持つ請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項32】
前記フィルムが二種の非イオン性界面活性剤の混合物の無い状態で有効な湿潤特性を有する請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項33】
前記有効剤が、前記親水コロイドと化学的又は物理的に区別できるポリマーのカプセルに内包されており、カプセル化された薬剤が前記フィルム内に分散されている請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項34】
前記投薬ユニットが二以上の有効剤を含んでいる請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項35】
前記投薬ユニットが更に前記フィルムの中に粘膜接着促進剤を含む請求項1に記載の投薬ユニット。
【請求項36】
前記粘膜接着促進剤が澱粉グラフトコポリマーである請求項35に記載の投薬ユニット。
【請求項37】
前記粘膜接着促進剤が0%−50重量%で存在する請求項35に記載の投薬ユニット。
【請求項38】
(a)親水コロイドを溶媒に溶かして実質的に均一な製剤を形成する工程、
(b)前記親水コロイド製剤に有効剤と、乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、水溶性の不活性充填剤、着色剤、保存剤、浸透促進剤、安定化剤及び緩衝剤から成る群から選択される少なくとも一の試薬とを添加して、塗布あるいは押出し可能な混合物を形成する工程、及び
(c)前記混合物から投薬ユニットとして包装するための粘膜の表面被覆形成性フィルムを形成する工程、
を含む粘膜投与に適した投薬ユニットの製造方法。
【請求項39】
前記工程(b)が前記混合物を支持体フィルム上に塗布する工程を更に含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
(a)熱源と機械的混合装置を備えた容器内で、親水コロイドと、有効剤と、及び乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、水溶性の不活性充填剤、着色剤、保存剤、浸透促進剤、安定化剤及び緩衝剤から成る群から選択される少なくとも一の試薬とを任意の順でコンバインする工程、
(b)前記容器に前記成分を添加する間及び添加後に前記コンバインされた成分を混合し、かつ前記混合物の相当な部分を融かすのに有効な量の熱を印加する工程、及び
(c)前記混合物をフィルムに形成する工程、
を含む粘膜投与に適した投薬ユニットの作成方法。
【請求項41】
前記工程(b)が前記混合物を支持体フィルム上に塗布又は押出しする工程を更に含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記工程(c)が、可撓性フィルムを前記支持体フィルムから剥離し、かつ前記フィルムをダイカット(die cutting)して溶解性の投薬ユニットを形成する工程を更に含む請求項40に記載の方法。
【請求項43】
(a)有効量の有効剤を含有する、水溶性親水コロイドの粘膜の表面被覆形成フィルムを得るステップ、及び(b)前記有効剤を放出するよう前記フィルムを対象の粘膜表面に置くステップ、
を含む対象に有効剤を投与する方法。
【請求項44】
前記フィルムの乾燥粘着値が3.5g未満である請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記フィルムの含水量が0.1%−10%である請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記親水コロイドの水和速度が、室温で湿度75%において、24時間で5−20%である請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記親水コロイドが5−99%の範囲内の濃度で存在する請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記親水コロイドがヒドロキシプロピルメチルセルロース・ポリマーである請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース・ポリマーの分子量が200000未満である請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記親水コロイド混合物が、乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、水溶性の不活性充填剤、保存剤、着色剤及び安定化剤の中の一以上を更に含む
請求項43に記載の方法。
【請求項51】
有効剤が0.01−75%の範囲の濃度で存在する請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記有効剤が治療薬、食物補助品及び衛生補助剤から成る群から選択されている請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記治療薬がクエン酸シルデナフィルである請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記治療薬がニコチン、ヒドロモルホン、オキシブチニン及びエストラジオールから成る群から選択されている請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記フィルムの乾燥膜厚が1−20milの範囲にある請求項43に記載の方法。
【請求項56】
粘膜表面接触性のフィルム中に水溶性親水コロイド及び有効量のクエン酸シルデナフィルを含む投薬ユニット。
【請求項57】
前記クエン酸シルデナフィルがキシリトールと固体分散物を形成している請求項56に記載の投薬ユニット。
【請求項58】
(a)水溶性コロイド中に有効量のシルデナフィルとキシリトールの固体分散物を含有するフィルムを得るステップ、及び
(b)前記フィルムを口内粘膜表面に適用するステップ、
を含む勃起不全の治療方法。
【請求項59】
前記フィルムが前記口内粘膜表面で10−600秒で実質的に完全に溶解する請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記フィルムが200秒以内で実質的に完全に溶解する請求項59に記載の方法。
【請求項61】
(a)熱源と機械的混合装置を備えた容器内で、親水コロイドと、シルデナフィルとキシリトールの固体分散物と、及び乳化剤、可塑剤、味覚調整剤、着色剤、保存剤、浸透促進剤、安定化剤及び緩衝剤から成る群から選択される少なくとも一の試薬とを任意の順でコンバインする工程、
(b)前記容器に前記成分を添加する間及び添加後に前記コンバインされた成分を混合し、かつ前記混合物の相当な部分を融かすのに効果的な量の熱を印加する工程、及び
(c)前記混合物をフィルムに形成する工程、
を含む勃起不全の治療に適した粘膜投与用の投薬ユニットを製造する方法。
【請求項62】
シルデナフィル/キシリトールが9/1である請求項61に記載の方法。
【請求項63】
シルデナフィルの水に対する溶解度が少なくとも20mg/mlである請求項61に記載の方法。
【請求項64】
シルデナフィルの水に対する溶解度が約50mg/mlである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
有効量のクエン酸シルデナフィルを含有し、前記クエン酸シルデナフィルは、水溶性の不活性充填剤と固体分散物に形成し、前記固体分散は、フィルムを形成するように、水性ポリマーを含有するフィルム形成性試薬類と混合されており、前記フィルムは、前記クエン酸シルデナフィルを放出するように粘膜表面上で溶けることができる、投薬ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−72166(P2012−72166A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−255358(P2011−255358)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【分割の表示】特願2000−594449(P2000−594449)の分割
【原出願日】平成11年12月30日(1999.12.30)
【出願人】(501291064)ラヴィファーム ラボラトリーズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】