説明

精子の運動亢進のモジュレーター及びその利用

この発明は、CatSperチャンネル活性を阻害し、精子の活動亢進を、精子の運動性を越えて優先的に阻害し、又はこれらの両方の性質を有する新規な組成物及び化合物を提供する。この発明の化合物は、男性、女性、又はセックスパートナーの両方に同時に投与することのできる避妊薬として有用である。この発明は、更に、薬物を発見する事業及び生殖医学事業を実施する方法を提供する。この発明は又、精子の活動亢進を変調する化合物を同定する方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2005年6月15日出願の米国特許出願第60/691339号(表題「CatSperチャンネル機能のモジュレーター及びその利用」)の出願日の優先権を主張するものである。該出願の開示をそっくりそのまま本明細書中に援用する。
【0002】
発明の分野
この発明の分野は、哺乳動物の生殖の分野である。
【背景技術】
【0003】
現在、不妊手術、禁欲、妊娠中絶及び避妊法を含む幾つかの家族計画ストラテジーが、米国で広く行きわたっている。これらの4つの受胎調節方法のうち、避妊法が、最も広く利用されている。経口避妊薬及び障害式避妊法が、ポピュラーであり、有効であるが、重大な欠点を有している。現在、利用可能な経口避妊薬は、ホルモンレベルを変調させ、吐き気、頭痛、乳房圧痛、体重増加、異常出血、気分の変化、及び特に35歳より高齢の女性における心臓血管病及び乳癌の増大した危険を含む一層重大な副作用と関係することが文献に記載されている。現在、利用可能な経口避妊薬は又、シクロスポリン、ダントロレン及びワルファリンを含む他の薬物との有害な交差反応へも導きうる。その上、現在利用可能な経口避妊薬は、抗生物質と合せると効力を失う。障害式避妊法は、安全であるが、20%に近い失敗率を有している。他の一層一般的でない避妊法例えば女性の、精子ポリペプチドに対する免疫化(米国特許第5,935,578号参照)は、精子に対する不可逆的な免疫及び生殖の永久的減力を生じうる。一層優れた安全性、有効性、利便性、許容性、値ごろであること及び可逆性を提供する、避妊薬の増大した利用可能性及び避妊薬の改良に対する明確な要求がある。
【0004】
Ca2+チャンネルのCatSper1が、最近、クローン化された(米国特許出願公開第2004/0157292号参照)。CatSper1は、自然において、専ら精巣で発現され、他の組織例えば脳、心臓、腎臓又は免疫系などでは発現されない。その遺伝子の狙いを定めた破壊は、他の点では正常なマウスの雄の不妊性を生じる。精子の活動亢進は、CatSper1−/−(ノックアウト)マウスにおいて劇的に減少し、サイクリックAMP誘導されるCa2+インフラックスは、変異体マウスの精子において完全に廃止されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、精子の活動亢進を阻止する新規な薬剤を提供する。一具体例において、これらの新規な薬剤は、精子の活動亢進を特異的に阻害するCatSper1チャンネルのアンタゴニストである。CatSper1の限定された発現及びその生殖における必須の役割は、CatSper1チャンネルのアンタゴニストを、高い潜在能力と減少した副作用を有する有望な避妊薬とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一つの面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)優先的に精子の活動亢進を、精子の運動性/生存能力を超えて阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。この発明の他の面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSperチャンネル活性を阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。この発明の他の面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1含有チャンネルの活性を阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。この発明の他の面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1含有チャンネルの活性を阻害し且つ精子の活動亢進を、精子の運動性/生存能力を超えて優先的に阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。一具体例において、これらの組成物は、医薬組成物である。
【0007】
ここに提供する組成物の一具体例において、この化合物は、下記式により表され:
【化1】

(式中、Wは、CR’又はNであり、ここに、R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、又は製薬上許容しうるこれらの塩である。
【0008】
ある具体例において、Wは、Nである。ある具体例において、Xは、Oである。ある具体例において、Yは、C=Oである。ある具体例において、R’は、Hである。ある具体例において、2つのY−R置換基は、同一である。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す。
【0009】
ある具体例において、この化合物は、
【化2】

又はこれらの製薬上許容しうる塩である。
【0010】
幾つかの具体例において、この組成物は、医薬組成物である。幾つかの具体例において、この組成物は、少なくとも一つの追加の避妊薬を含む。避妊薬には、ノルゲスチメート(NGM)、エチニルエストラジオール(EE)及び17−βエストラジオール(E2)、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、酢酸クロルマジノン、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲスコル、リネストレノール、キンゲスコン、酢酸エチノジオール、及びジメチステロンが含まれるが、これらに限られない。幾つかの具体例において、この組成物は、抗勃起機能障害剤を含む。抗勃起機能障害剤には、血管平滑筋弛緩剤、α−アドレノセプターアンタゴニスト及び男性ホルモンが含まれるが、これらに限られない。幾つかの具体例において、この組成物は、注射薬、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー又はスポンジとして配合される。
【0011】
この発明の他の面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1チャンネルへの結合につき式(I)又は式(II)〜(VI)の何れか一つで表されるCatSper1チャンネルモジュレーターと競合する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。
【0012】
この発明の他の面は、細胞例えば精子におけるCatSper1チャンネルの活性を低下させる方法であって、該細胞を式(I)又は式(II)〜(VI)の何れか一つで表される化合物と接触させることを含む当該方法を提供する。
【0013】
この発明の関係する面は、細胞例えば精子内へのCa2+インフラックスを低下させる方法であって、該細胞を式(I)又は式(II)〜(VI)の何れか一つで表される化合物と接触させることを含む当該方法を提供する。
【0014】
この発明の他の面は、精子の活動亢進を選択的に低下させる方法であって、精子を式(I)又は式(II)〜(VI)の何れか一つで表される化合物と接触させることを含む当該方法を提供する。
【0015】
この発明の他の面は、男性患者の生殖能力を低下させる方法であって、その男性に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)優先的に精子の活動亢進を、精子の運動性/生存能力を超えて阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物を投与することを含む当該方法を提供する。この発明の関連する面は、男性患者における可逆的不妊を引き起こす方法であって、該男性に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)優先的に精子の活動亢進を、精子の運動性/生存能力を超えて阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物投与することを含む当該方法を提供する。この発明の他の関連する面は、避妊の方法であって、男性患者に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)優先的に精子の活動亢進を、精子の運動性/生存能力を超えて阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物を投与することを含む当該方法を提供する。この発明の更に別の関連する面は、避妊の方法であって、女性患者に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)優先的に精子の活動亢進を、精子の運動性/生存能力を超えて阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物投与することを含む当該方法を提供する。
【0016】
一具体例において、CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物は、(i)式(I)〜(VI)の何れか一つにより表され;又は(ii)CatSper1チャンネルへの結合につき式(I)〜(VI)により表された化合物と競合する。幾つかの具体例において、この化合物は、注射薬、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー及びスポンジから選択する配合物中にある。一具体例において、この化合物は、前記の女性の膣、子宮及び卵管の少なくとも一つに投与される。
【0017】
この発明の他の面は、男女患者間の接合生殖能力を低下させる方法であって、該男性及び女性に、精子の活動亢進を阻害する化合物を投与することを含む当該方法を提供する。一具体例において、この化合物は、式(I)又は式(II)〜(VI)の何れか一つにより表される。一具体例において、この化合物は、CatSperチャンネルのインヒビターである。他の具体例において、このCatSperチャンネルは、CatSper1チャンネルである。
【0018】
一具体例において、この化合物は、抗体又はその抗原結合性断片でない。他の具体例において、この化合物は、(i)抗体又はその抗原結合性断片、(ii)CatSperチャンネルに特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片;又は(i)CatSper1チャンネルに特異的に結合する抗体又はその抗原結合性断片でない。他の具体例において、この化合物は、ポリペプチドでない。他の具体例において、この化合物は、如何なるペプチド及び/又は糖結合をも欠いている。他の具体例において、この化合物は、4、3又は2個より少ないペプチド及び/又は糖結合を有する。
【0019】
一具体例において、この化合物は、核酸例えばsiRNA、ヘアピンRNA又は二本鎖RNAでない。一具体例において、この化合物は、アンチセンス核酸又はCatSper遺伝子又はCatSper1遺伝子の発現をRNA干渉により阻止することのできる核酸でない。他の具体例において、この化合物は、(i)核酸、(ii)CatSper核酸に高い又は低いハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることのできる核酸;又は(iii) CatSper1核酸に高い又は低いハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることのできる核酸でない。一具体例において、この化合物は、この化合物と接触した精子において、CatSper遺伝子又はCatSper1遺伝子のmRNAレベルを低下させない。
【0020】
この発明の他の面は、CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、男性患者の生殖能力を低下させる医薬の製造における利用を提供する。この発明の他の面は、CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、男性患者に可逆的な不妊性を引き起こす医薬の製造における利用を提供する。この発明の他の面は、CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、男性患者における避妊のための医薬の製造における利用を提供する。この発明の他の面は、CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、女性患者に可逆的な不妊性を引き起こす医薬の製造における利用を提供する。一具体例において、この化合物は、式(I)又は式(II)〜(VI)の何れか一つにより表される。一具体例において、この化合物は、注射薬、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー及びスポンジよりなる群から選択する配合物中にある。一具体例において、該化合物は、精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害する。他の具体例において、この化合物は、該女性の膣、子宮及び卵管の少なくとも一つへの投与に適している。
【0021】
この発明の他の面は、過剰の精子の活動亢進を有する男性患者の生殖能力を増大させる利用方法であって、該男性患者に治療上有効な量のここに記載の何れかの組成物を投与することを含む当該方法を提供する。この発明の関係する面は、過剰の活動亢進を有する精子を注入された女性における生殖能力を増大させる利用方法であって、該女性患者に治療上有効な量のここに与えた組成物を投与することを含む当該方法を提供する。この組成物は、精液注入の前に、精液注入と同時に、又は精液注入後に、女性患者に投与することができる。
【0022】
この発明の他の面は、薬物を発見する事業を実施する方法であって、(a)CatSper1チャンネル活性と拮抗する少なくとも一つの薬剤を同定し;(b)ステップ(a)で同定された薬剤又はその類似体が精子の活動亢進を阻害するかどうかを測定し;(c)活動亢進のインヒビターとして同定された薬剤(b)を、少なくとも一つの動物モデルにおける効力及び毒性についての治療プロファイリングを行ない;そして(d)ステップ(c)で許容しうる治療プロフィルを有するとして同定された少なくとも一つの薬剤を含む医薬製剤を配合することを含む当該方法を提供する。ある具体例は、更に、この医薬製剤を販売のために配給するシステムを樹立するステップを含み、適宜、この医薬製剤のマーケティングのための販売グループを樹立することを含む。
【0023】
この発明の他の面は、生殖医学事業を実施する方法であって、(a)生殖能力の問題を有する男性患者からの精子試料を検査し;(b)該精子が過剰な活動亢進により特徴付けられるかどうかを測定し;(c)イン・ビトロ分析を行なって、過剰な活動亢進の低下におけるCatSper1チャンネルアンタゴニストの効力を測定し;そして(d)該男性における過剰な活動亢進を低下させるのに有効な量のCatSper1チャンネルアンタゴニストを投与することを含む治療養生法を樹立することを含む当該方法を提供する。ある具体例は、更に、該男性を、内科医が監視して生殖能力の改善を評価するステップを含む。ある具体例は、更に、患者又は患者の健康管理プロバイダーに請求書を送るステップを含む。
【0024】
この発明の他の面は、精子の活動亢進を阻止する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を阻害する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を阻害するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。この発明の関連する面は、精子の活動亢進を促進する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を阻害する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定した化合物が精子の活動亢進を促進するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。この発明の他の関連する面は、精子の活動亢進を阻止する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を活性化する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。この発明の他の関連する面は、精子の活動亢進を促進する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を阻止する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を促進するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。一具体例において、この化合物は、小型分子である。他の具体例において、CatSperチャンネル活性は、CatSper1チャンネル活性である。更に別の具体例において、ステップ(b)は、ステップ(a)で同定された化合物が、精子の運動性の阻止と比較して又は精子の生存力の阻止と比較して精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することを含む。
【0025】
図面の簡単な説明
図1は、正常な運動性即ち「前方直進性」の運動(上段パネル)を、活動亢進(活動亢進され又は活動亢進された運動;下段パネル)と比較して図式表示を示している。この図は、Mortimer及びMortimer, (1990)「Kinematics of human spermatozoa incubated under capacitating conditions」Journal of Andrology, 第11巻、第3刷、195-203 の図1から改作したものである。下段パネルは、一つの典型的な型の活動亢進精子の運動(スタースピンと呼ばれる)を描いている。しかしながら、スタースピンは、活動亢進精子運動の単なる一つの非制限的な例である。更なる典型的な活動亢進精子の運動、特性表示、及び行動の例は、Mortimer及びMortimer, (1990)に記載されており、本明細書中にそっくりそのまま援用する。
図2は、CatSperチャンネル活性のモジュレーター並びに精子の運動性及び活動亢進のモジュレーターの同定のための一般的ストラテジーを示している。
図3は、化合物の、精子の運動性及び活動亢進に対する効果(エキス・ビボ)についての試験(二連)を示している。
図4は、89の化合物の、精子の運動性及び活動亢進に対する効果(エキス・ビボ)についての試験(二連)の実験結果を示している。
図5は、化合物738を用いた精子の活動亢進の選択的阻止を示している。それは、化合物738による精子の活動亢進の濃度依存性の阻止を示している。
図6は、精子の活動亢進の化合物738への応答における投与量応答を示している。
図7は、化合物354に対する精子の活動亢進の投与量応答を示している。
図8は、化合物738(上段パネル)及び354(下段パネル)の構造を示している。
図9A〜9Jは、精子の活動亢進の特異的阻止について試験した更なる化合物の構造を示している。
図10は、化合物の、精子の活動亢進の特異的阻止についての代表的な試験を示している。
図11は、精子の活動亢進を特異的に阻止することが見出された3種類の化合物を示している。
図12は、精子の活動亢進の阻止に重要であることが見出された構造エレメントの図解を示している。
図13は、精子の活動亢進の特異的阻止に対する平面(チオフェン/フェニル)部分の重要性を示している。
図14は、精子の活動亢進の特異的阻止に対するカルボニル酸素の重要性を示している。
図15は、精子の活動亢進の特異的阻止に対する対称性の重要性を示している。
図16は、精子の活動亢進の特異的阻止に対する帯電したN+−O−部分の重要性を示している(上段パネル)。図16は、更に、精子の活動亢進を特異的に阻止しなかった他の化合物を与える(下段パネル)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
I.概観
この発明は、部分的に、精子の活動亢進の新規なモジュレーター及びカチオンチャンネルSperm−Associated1(CatSper1)チャンネル活性の新規なモジュレーター(インヒビターを含む)を提供する。この発明は、更に、これらの新規なインヒビターを含む組成物、特に医薬組成物を提供する。この発明は又、これらの組成物の利用をも提供する。この発明の組成物は、適宜、それらの意図する用途によって、避妊、生殖能力、又は勃起機能不全用医薬を含む。この発明は更に、CatSper1チャンネル機能のインヒビターとCatSper1チャンネルへの結合につき競合する化合物を含む組成物を提供する。かかる化合物は、CatSper1チャンネル機能のモジュレーターとして、精子の活動亢進のモジュレーターとして、及び/又は男女両方における生殖能力のモジュレーターとして有用でありうる。これらの化合物は又、精子が運動亢進性である場合又は過剰のCatSper1活性を有する精子において、イン・ビトロ受精において又は人工授精において利用することもできる。
【0027】
この発明は、部分的に、出願人の、ヒトの精子の活動亢進をも阻止するCatSper1チャンネル活性の新規なモジュレーターの発見に基づいている。活動亢進は、この発明の化合物を魅力的な避妊薬にする受精過程における必須のステップである。これは、CatSper1−/−変異体精子が卵子を受精させることができないという発見に支持されている。その上、CatSper1の成熟精子に限定された局在性は、特異的ブロッカーが、男性に投与した場合に他の組織に影響を及ぼさず、それ故、副作用が少ないか又は存在しないことを示唆している。同様に、女性は、CatSper1−/−の特異的インヒビターから、直接女性に投与されるインヒビターであっても又はそれらを含む男性の体液への接触からであっても、殆ど又は全く副作用を受けないことが予想される。
【0028】
この発明は、更に、ここに記載した方法の利用によって、細胞におけるCatSper1チャンネル活性を低下させる方法、細胞例えば精子へのCa2+インフラックスを低下させる方法を提供する。これらの組成物を、精子の活動亢進を選択的に低下させるために利用する方法も又、提供する。細胞又は精子は、哺乳動物例えばヒトにおけるものであってよい。ヒトは、男性又は女性であってよい。
【0029】
この発明は、更に、男性又は女性において、生殖能力を変調する方法、及び可逆的不妊性を引き起こす方法を提供する。幾つかの方法は、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)精子の活動亢進を、精子の運動性及び/又は生存力を超えて優先的に阻止する化合物を投与すること;又は(iii)両方を含む。これらの化合物は、注射用組成物、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー、スポンジ、女性用コンドーム(女性への投与時)などに配合することができ、又はコンドーム、移植可能デバイス又はペニスキャップに配合することができる(男性への投与時)。この発明の化合物は又、セックスパートナーの両方に共同で投与することもできる。かかる投与は、精子の、射精前(男性内)及び射精後(女性内)の両方における、この化合物への絶え間ない接触を生じることが期待される。
【0030】
この発明は又、化合物をスクリーニングして精子活動亢進のモジュレーターを同定する方法をも提供する。一つのかかる方法は、(a)CatSperチャンネル活性を変調する化合物を同定すること;及び(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を変調するかどうかを測定すること、及び、適宜、それが精子の運動性及び/又は生存力を変調するかどうかを測定することを含む。好適具体例において、このCatSperチャンネルは、CatSper1チャンネルである。
【0031】
この発明は又、事業を実施する方法をも提供する。一つの面は、薬物発見事業を実施する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性好ましくはCatSper1活性を変調する少なくとも一つの薬剤を同定すること;及び(b)ステップ(a)で同定された薬剤又はその類似体が精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。この発明は又、生殖医学事業を実施する方法であって、(a)生殖能力の問題を有する男性患者からの精子試料を検査すること;(b)該精子が変化した活動亢進により特徴付けられるかどうかを測定すること;(c)イン・ビトロ分析を行なって、正常な活動亢進におけるCatSper1チャンネルモジュレーターの効力を測定すること;及び(d)該男性精子における正常な活動亢進を回復するのに有効な量のCatSper1チャンネルモジュレーターを投与することを含む治療養生法を樹立することを含む当該方法をも提供する。
【0032】
II.定義
用語「CatSper1タンパク質」は、精子特異的なカチオンチャンネル例えば、米国特許公開第2004/0157292号に配列番号2として開示されたヒトのCatSper1タンパク質、この開示されたCatSper1タンパク質のヒト対立遺伝子変異体、これらのヒトCatSper1タンパク質の哺乳動物の同族体、及びこれらの機能的同等物を意味する。CatSper1は又、カチオンチャンネルSperm−Associated1としても知られている。CatSper1のcDNA配列は、米国特許公開第2004/0157292号に開示されており、該開示をそっくりそのまま本明細書中に援用する。ヒトCatSper1配列は又、公開された配列データベース例えばGenbankの受入れ番号NP_444282及びAF407332(ポリペプチド)及びNM_053054(mRNA)、及び科学刊行物(例えば、Ren等、(2001) Nature 413:603-609)にも記載されている。一具体例において、CatSper1タンパク質の対立遺伝子変異体は、2004/0157292の配列番号2に示したアミノ酸配列から10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1アミノ酸未満の変化を有している。
【0033】
用語CatSper1タンパク質は、精子から単離された天然のタンパク質、CatSper1遺伝子でトランスフォームされた細胞から組換えにより生成されたタンパク質、及びCatSper1配列がN末端又はC末端ポリペプチドに融合された融合タンパク質を指す。用語「断片」は、少なくとも6アミノ酸残基を含むCatSper1タンパク質の断片を指す。
【0034】
「CatSper1チャンネル」は、CatSper1タンパク質を含むチャンネルを指す。その上、CatSper1チャンネルは、他のチャンネル形成サブユニット又は調節/補助サブユニットを含む他のポリペプチド化合物を含む。幾つかの具体例において、CatSper1チャンネルは、CatSper1サブユニットのホモテトラマーよりなる。ある具体例において、このCatSper1チャンネルは、一つのCatSper1サブユニットと、CatSper2、CatSper3及びCatSper4から独立に選択する3つの更なるサブユニットよりなる。他の具体例において、このCatSper1チャンネルは、2つのCatSper1サブユニットと、CatSper2、CatSper3及びCatSper4から独立に選択する2つの更なるサブユニットよりなる。他の具体例において、このCatSper1チャンネルは、3つのCatSper1サブユニットと、CatSper2、CatSper3及びCatSper4から独立に選択する一つの更なるサブユニットよりなる。CatSper2の哺乳類の配列は、WO03/054141に、CatSper3配列は、WO04/015067に、そしてCatSper4は、WO04/015066に記載されている。
【0035】
ここで用いる場合、「CatSper Channel」又は「CatSperチャンネル」は、少なくとも一つのCatSperタンパク質(例えば、CatSper1、CatSper2、CatSper3、CatSper4)を指すために交換可能に用いられる。このCatSperチャンネルは、更に、他のチャンネル形成サブユニット又は調節/補助サブユニットを含む他のポリペプチド成分をも含むことができる。幾つかの具体例において、CatSperチャンネルは、CatSperサブユニットのホモテトラマーよりなる(例えば、CatSper1、CatSper2、CatSper3、又はCatSper4サブユニット)。ある具体例において、このCatSperチャンネルは、CatSper1、CatSper2、CatSper3、又はCatSper4から独立に選択する4つのサブユニットよりなる。ある具体例において、このCatSperチャンネルは、CatSper1サブユニットを含まない。
【0036】
ここで用いる場合、「CatSper1活性」は、野生型CatSper1タンパク質の、CatSper1が正常に発現される細胞又は細胞型において発現された場合の及びCatSper1が正常に発現される条件下での、任意の正常な生物学的活性を意味する。かかる活性は、イオンの流れの誘導;cAMP誘導性のCaインフラックスの媒介;CatSper1−/−精子において発現された場合の精子運動性の回復;及び/又はCatSper1−/−精子において発現された場合の卵へ貫入する能力の回復を含むことができる。CatSper1チャンネル活性は、精子細胞又は精母細胞において、又は任意の必要な付帯的因子が存在する他の細胞において測定することができる。ある具体例において、CatSper1チャンネル活性は、非精子細胞例えば細菌細胞又は精子細胞以外の哺乳動物細胞において異所的に発現された場合に、イオンフラックスを媒介する能力を含む。
【0037】
ここで用いる場合、「CatSper活性」は、野生型CatSperタンパク質の、CatSperが正常に発現される細胞又は細胞型において発現された場合の及びCatSperが正常に発現される条件下での、任意の正常な生物学的活性を意味する。かかる活性は、イオンの流れの誘導;cAMP誘導性のCaインフラックスの媒介;CatSper−/−精子において発現された場合の精子運動性の回復;及び/又はCatSper−/−精子において発現された場合の卵へ貫入する能力の回復を含むことができる。CatSper活性は、精子細胞又は精母細胞において、又は任意の必要な付帯的因子が存在する他の細胞において測定することができる。ある具体例において、CatSper活性は、非精子細胞例えば細菌細胞又は精子細胞以外の哺乳動物細胞において異所的に発現された場合に、イオンフラックスを媒介する能力を含む。
【0038】
ここで用いる場合、用語アゴニスト又はアンタゴニストの、又はエンハンサー又はリプレッサーの「有効量」は、生化学的又は表現型の特徴において統計的に有意の変化を引き起こすのに十分である組成物の活性成分の総量を意味する。単独で投与される個々の活性成分に適用する場合には、この用語は、その成分だけを指す。組合わせに適用する場合には、この用語は、組合わせて、順次的に又は同時に投与しても、効果を生じる活性成分の合わせた量を指す。
【0039】
ここで用いる場合、用語「精子の運動性」は、液体媒質中での精子の変位速度を指す。
【0040】
ここで用いる場合、用語「精子の活動亢進」は、精子の受精能獲得中に自然に起き、典型的には速い速度(VCL)、低い直線性(LIN)及び頭部の過度の横方向運動(ALH)を特徴とする精子の行動状態を指す。精子の活動亢進は、自動化された方法を利用して測定することができる(Schmidt H等 (2004) Reproduction; 128(2): 171-9参照)。図1は、活動亢進してない精子の行動(上段パネル)と比較しての、活動亢進された精子で認められる行動の一つの型(下段パネル)の典型的略図である。活動亢進精子の行動の、この特定の非制限的例は、スタースピンと呼ばれる。活動亢進精子の他のパターン及び特徴は、Mortimer及びMortimer (1990) Journal of Andrology, 第11巻、第3刷、第195〜203頁(本明細書中に、参考としてそっくりそのまま援用する)に与えられている。
【0041】
語句「治療上有効な量」は、ここで用いる場合、ある所望の治療効果を生成するのに有効な薬剤又は組成物の量を意味する。適宜、この治療上有効な量は、ある所望の治療効果を、任意の医療に適用できる妥当な利益/リスク比で生成するのに有効な薬剤又は組成物の量である。
【0042】
語句「製薬上許容しうる」は、ここで用いる場合、ヒト及び動物の組織に、妥当な利益/リスク比で、毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題又は合併症を伴わずに、接触して用いるのに適した健全な医療判断の範囲内にある化合物、物質、組成物、及び/又は投薬形態を指す。
【0043】
語句「製薬上許容しうるキャリアー」は、ここで用いる場合、主題のアンタゴニストの、一の臓器又は身体の部分から他の臓器又は身体の部分への搬送又は輸送に関与する製薬上許容しうる物質、組成物又はビヒクル例えば液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤又はカプセル封入材を意味する。各キャリアーは、この配合物の他の成分と適合性であって且つ患者に対して無害であるという意味において「許容しうる」ものでなければならない。製薬上許容しうるキャリアーとして役立ちうる物質の幾つかの例には、(1)糖類例えばラクトース、グルコース及びスクロース;(2)澱粉例えばトウモロコシ澱粉及びジャガイモ澱粉;(3)セルロース及びその誘導体例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤例えばカカオ脂及び坐薬ワックス;(9)油例えば落花生油、綿実油、紅花油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油;(10)グリコール例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(12)エステル例えばエチルオレエート及びエチルラウレート;(13)寒天;(14)緩衝剤例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)発熱物質を含まない水;(17)等張塩溶液;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;及び(21)他の医薬配合物において用いられる非毒性の適合性の物質が含まれる。ある具体例において、この医薬製剤は、非発熱性である(即ち、患者の体温を上昇させない)。
【0044】
用語「製薬上許容しうる塩」は、この面において、本発明の化合物の、比較的非毒性の、無機及び有機付加塩を指す。これらの塩は、この発明の化合物の最終的な単離・精製時に、現場で調製することができ、又は遊離塩基形態のこの発明の精製された化合物を適当な有機又は無機酸と別々に反応させ、そうして形成された塩を単離することにより調製することもできる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオネート、及びラウリルスルホン酸塩などが含まれる。(例えば、Berge等(1977), J.Pharm.Sci. 66:1-19参照)。
【0045】
用語「アンタゴニスト」及び「インヒビター」は、生物学的活性を阻止し又は抑制する、例えばCatSper1チャンネル又はCatSperチャンネルなどのイオンチャンネルの活性を抑制する薬剤を指すために、交換可能に用いられる。
【0046】
用語「阻止する」は、当分野で認められており、受精又は妊娠などの状況、癌などの病気、心不全などの複合症候群又は任意の他の医学的状態に関して用いる場合には、当分野で十分理解されており、患者における医療状況を、組成物を投与されていない患者と比較して、統計的及び/又は臨床的に有意の量で軽減させる該組成物の投与を含む。
【0047】
用語「プロドラッグ」は、生理的条件下で治療上活性な本発明の薬剤に変換される化合物を包含することを意図している。プロドラッグを作成する一般的方法は、生理的条件下で加水分解されて所望の分子を現わす選択された部分を含有させることである。他の具体例において、このプロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。
【0048】
用語「化合物」及び「薬剤」は、この発明のインヒビター/アンタゴニストを指すために交換可能に用いられる。ある具体例において、これらの化合物は、小型の有機又は無機の、例えば7500amu未満の好ましくは5000amu未満の、更に一層好ましくは2000、1500、1000若しくは500amu未満の分子量を有する分子である。小型の有機又は無機の分子の一つのクラスは、例えば2、1のペプチド及び/又糖結合を含むか又は含まない非ぺプチド性のものである。
【0049】
用語「アシルアミノ」は、当分野で認められ且つ下記の一般式により表され得る部分をいう:
【化3】

(式中、R9は、上で定義した通りであり、R'11は、水素、アルキル、アルケニル又は−(CH2)m−R8であり、R8は、上で定義した通りである)。
【0050】
ここに、用語「脂肪族基」は、直鎖、分枝鎖又は環状脂肪族炭化水素基をいい、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基等の飽和及び不飽和の脂肪族基を包含する。
【0051】
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、上記のアルキルと長さ及び可能な置換において類似しているが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を含む不飽和脂肪族基をいう。
【0052】
用語「アルコキシル」又は「アルコキシ」は、ここで用いる場合、酸素ラジカルを自身に結合させて有する上で定義したアルキル基をいう。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、t−ブトキシ等が含まれる。「エーテル」は、酸素により共有結合された2つの炭化水素である。従って、アルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH2)m−R8(式中m及びR8は、上記の通りである)の1つにより表され得るようなアルコキシルであり、又はそれに似ている。
【0053】
用語「アルキル」は、飽和脂肪族の基であり、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基、及びシクロアルキル置換されたアルキル基を含む。好適具体例において、直鎖又は分枝鎖アルキルは、その主鎖中に30炭素原子以下を有し(例えば、C1〜C30の直鎖、C3〜C30の分枝鎖)、一層好ましくは、20炭素原子以下を有する。同様に、好適なシクロアルキルは、それらの環構造中に3〜10炭素原子を有し、一層好ましくは、5、6又は7炭素を有する。
【0054】
その上、用語「アルキル」(又は「低級アルキル」)は、この明細書、実施例及び請求の範囲内で用いる場合、「置換されてないアルキル」と「置換されたアルキル」の両方を含むことを意図しており、後者は、炭化水素主鎖の少なくとも1つの炭素上の水素を置換した置換基を有するアルキル部分をいう。かかる置換基には、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えばカルボニル、アルコキシカルボニル、ホルミル又はアシル)、チオカルボニル(例えばチオエステル、チオアセテート又はチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アルアルキル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族部分が含まれ得る。炭化水素鎖上の置換された部分は、それら自身、適宜、置換され得るということは、当業者には、理解されよう。例えば、置換されたアルキルの置換基は、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)、スルホニル(サルフェート、スルホンアミド、スルファモイル及びスルホネートを含む)及びシリル基並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート及びエステルを含む)、−CF3、−CN等の置換された形態及び未置換の形態を含むことができる。典型的な置換されたアルキルを下記に示す。シクロアルキルは、更に、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換されたアルキル、−CF3、−CN等によって置換され得る。
【0055】
類似の置換をアルケニル及びアルキニル基に行なって、例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換されたアルケニル又はアルキニルを生成することができる。
【0056】
炭素数を特定しない限り、「低級アルキル」は、ここで用いる場合、上記のアルキル基を意味するが、その主鎖構造中に1〜10炭素を有し、一層好ましくは1〜6炭素原子を有する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、類似の鎖長を有する。この出願中で、好適なアルキル基は、低級アルキルである。好適な具体例において、アルキルとしてここに示した置換基は、低級アルキルである。
【0057】
用語「アルキルチオ」は、硫黄ラジカルを自身に付着させて有する上で定義したアルキル基をいう。好適具体例において、「アルキルチオ」部位は、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル及び−S−(CH2)m−R8(式中、m及びR8は、上で規定)の1つにより表される。代表的アルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオ等が含まれる。
【0058】
用語「アミン」及び「アミノ」は、当分野で認められており、未置換の及び置換されたアミンの両方例えば下記の一般式で表されるものをいう:
【化4】

(式中、R9、R10及びR'10は、各々独立に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R8を表し又はR9とR10は、一緒に、それらが付着しているN原子と共に4〜8原子を環構造中に有するヘテロ環を完成し;R8は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環又は多環を表し;そしてmは、0又は1〜8の範囲内の整数である)。好適具体例において、R9又はR10の一方だけは、カルボニルであってよく、例えば、R9、R10及び窒素は、一緒に、イミドを形成しない。あるこのような具体例において、R9及びR10の何れも、カルボニルによってNに結合せず、例えばアミンはアミド又はイミドでなく且つアミンは好ましくは塩基性であり、例えばその共役酸は、7より大きいpKaを有する。更に一層好適な具体例において、R9とR10(及び、適宜、R'10)は、各々、独立に、水素、アルキル、アルケニル、又は−(CH2)m−R8を表す。従って、用語「アルキルアミン」は、ここで用いる場合、置換された又は未置換のアルキルを自身に付着させて有する上で規定したアミン基を意味する(即ち、R9とR10の少なくとも1つは、アルキル基である)。
【0059】
用語「アミド」は、当分野でアミノ置換されたカルボニルとして認められており、下記の一般式により表され得る部分を含む:
【化5】

(式中、R9、R10は、上で規定した通りである)。アミドの好適な具体例には、不安定であり得るイミドは、含まれない。
【0060】
用語「アルアルキル」は、ここで用いる場合、アリール基(例えば、芳香族基又はヘテロ芳香族基)で置換されたアルキル基をいう。
【0061】
用語「アリール」は、ここで用いる場合、0〜4つのヘテロ原子を含むことのできる5、6及び7員の単環の芳香族基例えばベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジン等を含む。環構造中にヘテロ原子を有するアリール基も、「アリールヘテロ環」又は「ヘテロ芳香族」と呼ぶことができる。この芳香族環は、少なくとも一の環内位置で上記のような置換基例えばハロゲン、アジド、アルキル、アルアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN等で置換することができる。用語「アリール」は又、少なくとも2つの炭素が2つの隣接環で共有される少なくとも2つの環(これらの環は、「縮合環」である)を有する多環式環システムをも包含する(ここに、これらの環の少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリルであってよい)。
【0062】
用語「炭素環」は、ここで用いる場合、環の各原子が炭素である芳香族又は非芳香族環をいう。
【0063】
用語「カルボニル」は、当分野で認められ且つ下記の一般式により表され得るような部分を含む:
【化6】

(式中、Xは、結合であるか又は酸素若しくは硫黄を表し、R11は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2)m−R8又は製薬上許容し得る塩を表し、R'11は、水素、アルキル、アルケニル又は−(CH2)m−R8(式中、m及びR8は、上で規定した通り)を表す)。Xが酸素であり且つR11又はR'11が水素でない場合には、この式は、「エステル」を表す。Xが酸素であり且つR11が上記の通りである場合には、その部位を、ここでは、カルボニル基といい、特にR11が水素である場合には、この式は、「カルボン酸」を表す。Xが酸素であり且つR'11が水素である場合には、この式は、「ホルメート」を表す。一般に、上式の酸素原子が硫黄で置換された場合には、この式は、「チオカルボニル」基を表す。Xが硫黄であり且つR11又はR'11が水素でない場合には、この式は、「チオエステル」を表す。Xが硫黄であり且つR11が水素である場合には、この式は、「チオカルボン酸」を表す。Xが硫黄であり且つR11’が水素である場合には、この式は、「チオホルメート」を表す。他方、Xが結合であり且つR11が水素でない場合には、上式は、「ケトン」基を表す。Xが結合であり且つR11が水素である場合には、上式は、「アルデヒド」基を表す。
【0064】
用語「ヘテロ原子」は、ここで用いる場合、炭素又は水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄及びセレンである。
【0065】
用語「ヘテロシクリル」又は「ヘテロ環式基」は、1〜4個のヘテロ原子を含む3〜10員環構造をいい、一層好ましくは3〜7員環をいう。ヘテロ環は、多環式であってもよい。ヘテロシクリル基には、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサンチン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、ラクトン、ラクタム例えばアゼチジノン及びピロリジノン、スルタム、スルトン等が含まれる。ヘテロ環は、少なくとも1つの位置で、上記のような置換基例えばハロゲン、アルキル、アルアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族若しくはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN等で置換することができる。
【0066】
ここで用いる場合、用語「ニトロ」は、−NO2を意味し;用語「ハロゲン」は、−F、−Cl、−Br又は−Iを指し;用語「スルフヒドリル」は、−SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は、−OHを意味し;そして用語「スルホニル」は、−SO2−を意味する。
【0067】
用語「ポリシクリル」又は「多環式基」は、2つ以上の炭素が、2つの隣接する環に共有される(例えば、これらの環は、「縮合環」である)2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリル)をいう。非隣接原子間により繋がれた環は、「橋かけ」環と呼ばれる。多環式環の各々は、上記のような置換基例えばハロゲン、アルキル、アルアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN等によって置換され得る。
【0068】
句「保護基」は、ここで用いる場合、潜在的に反応性の官能基を望ましくない化学的変換から保護する一時的な置換基を意味する。かかる保護基の例には、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエステル並びにアルデヒド及びケトンのアセタール及びケタールが、それぞれ含まれる。保護基化学の分野は、総説されている(Greene, T.W.;Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 第二版; Wiley: New York, 1991)。
【0069】
「セレノアルキル」は、置換セレノ基を自身に付着させて有するアルキル基をいう。アルキル上に置換され得る典型的な「セレノエーテル」は、−Se−アルキル、−Se−アルケニル、−Se−アルキニル、及び−Se−(CH2)m−R8(m及びR8は、上で規定)の1つから選択される。
【0070】
ここで用いる場合、用語「置換された」は、有機化合物のすべての許される置換基を包含することを意図している。広い面において、許される置換基には、非環式及び環式の、分枝した及び分枝してない、炭素環及びヘテロ環の、芳香族及び非芳香族の有機化合物の置換基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルアルキル、又はヘテロアルアルキル、これらの何れも、それ自体が更に置換されていてよい)、並びにハロゲン、カルボニル(例えば、エステル、カルボキシル、又はホルミル)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオカルボキシレート、又はチオホルメート)、ケトン、アルデヒド、アミノ、アシルアミノ、アミド、アミジノ、シアノ、ニトロ、アジド、スルフォニル、スルホキシド、サルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、及びホスホリルが含まれる。説明のための置換基には、例えば、上で記載したものが含まれる。これらの許される置換基は、適当な有機化合物につき、1つであっても2つ以上であってもよく且つ同じであっても異なってもよい。この発明の目的につき、窒素等のヘテロ原子は、水素置換基及び/又はここに記載の有機化合物の任意の許される置換基(ヘテロ原子の原子価を満たすもの)を有することができる。この発明は、如何なる方法においても、有機化合物の許される置換基によって制限されることを意図していない。
【0071】
「置換」又は「で置換された」は、かかる置換が、置換される原子と置換基の許された原子価に従うこと及びこの置換が安定な化合物を生じる(例えば、それは、転移、環化、脱離等による変換を自然に受けることはない)という暗黙の条件を含んでいるということは理解されよう。
【0072】
用語「スルファモイル」は、当分野で認められており且つ下記の一般式により表され得る部分を含む:
【化7】

(式中、R9及びR10は、上で規定した通りである)。
【0073】
用語「サルフェート」は、当分野で認められており且つ下記の一般式により表され得る部分を含む:
【化8】

(式中、R41は、上で規定した通りである)。
【0074】
用語「スルホンアミド」は、当分野で認められており且つ下記の一般式で表され得る部分を含む:
【化9】

(式中、R9及びR’11は、上で規定した通りである)。
【0075】
用語「スルホネート」は、当分野で認められており且つ下記の一般式で表され得る部分を含む:
【化10】

(式中、R41は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールである)。
【0076】
用語「スルホキシド」又は「スルフィニル」は、ここで用いる場合、下記の一般式により表され得る部分をいう:
【化11】

(式中、R44は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルアルキル又はアリールよりなる群から選択する)。
【0077】
ここで用いる場合、各表現の定義、例えばアルキル、m、n等は、任意の構造中に2回以上現れる場合には、同じ構造中の別の場所での定義とは独立していることが意図されている。
【0078】
用語トリフリル、トシル、メシル及びノナフリルは、当分野で認められており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル及びノナフルオロブタンスルホニル基をいう。用語トリフレート、トシレート、メシレート及びノナフレートは、当分野で認められており、トリフルオロメタンスルホネートエステル、p−トルエンスルホネートエステル、メタンスルホネートエステル及びノナフルオロブタンスルホネートエステル官能基並びに当該基をそれぞれ含む分子をいう。
【0079】
略号Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル及びメタンスルホニルを表す。当業者の有機化学により利用されるこれらの略号の一層包括的なリストは、Journal of Organic Chemistryの初版の各巻に見られる(このリストは、典型的に、Standard List of Abbreviationsと題する表に与えられている)。該リストに含まれる略号及び当業者の有機化学によって利用されるすべての略号を、本明細書中に参考として援用する。
【0080】
本発明のある化合物は、特定の幾何又は立体異性体型で存在し得る。本発明は、シス及びトランス異性体、R及びSエナンチオマー、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、それらのラセミ混合物及びそれらの他の混合物を含む、この発明の範囲内に入るすべてのかかる化合物を企図する。アルキル基等の置換基には、更なる不斉炭素原子が、存在してよい。すべてのかかる異性体並びにそれらの混合物を、この発明に包含することを意図している。
【0081】
例えば、もし本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましいならば、それを、不斉合成により、又はキラル補助を用いる導出により製造することができる(生成したジアステレオマー混合物を分離し、補助基を開裂させて、純粋な所望のエナンチオマーを与える)。或は、分子が、塩基性官能基例えばアミノ基又は酸性官能基例えばカルボキシル基を含む場合には、ジアステレオマー塩を、適当な光学的に活性な酸又は塩基を用いて形成し、その後、こうして形成したジアステレオマーを当分野で周知の分別晶出又はクロマトグラフィー手段により分割し、続いて、純粋なエナンチオマーを回収することができる。
【0082】
上記の化合物の企図される同等物には、別の方法でこれらに対応する化合物及び同じ一般的特性(例えば、CatSperチャンネル活性を阻止する能力)を有する化合物が含まれ、化合物の効力に悪影響を及ぼさない置換基の少なくとも一の単純な変更が為される。一般に、本発明の化合物は、例えば下記の一般的反応スキームに説明した方法又はその変法により、容易に入手できる出発材料、試薬及び慣用の合成手順を用いて製造することができる。これらの反応において、公知の変法を利用することも可能であるが、ここでは言及しない。
【0083】
この発明の目的につき、化学元素を、元素の周期表(CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics, 67版、1986-87, 表紙の内側)によって同定する。やはり、この発明の目的につき、用語「炭化水素」は、少なくとも一つの水素と一つの炭素原子を有するすべての許される化合物を包含することを企図する。広い面において、許される炭化水素には、非環式及び環式の、分枝した及びしてない、炭素環及びヘテロ環の、芳香族及び非芳香族の有機化合物(置換されていてもいなくてもよい)が含まれる。
【0084】
III.組成物
この発明の一つの面は、新規な組成物を提供する。一具体例において、これらの組成物は、医薬組成物である。この発明の一つの面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。精子の運動性を超える活動亢進の優先的阻害とは、活動亢進の阻害についてのIC50が、精子の運動性の阻害についてのIC50よりも少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、500、1000、2000、5000又は10000倍低いことを意味する。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の運動性の阻害についてのIC50より少なくとも10倍低い。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の運動性の阻害についてのIC50より少なくとも100倍低い。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の運動性の阻害についてのIC50より少なくとも1000倍低い。
【0085】
この発明の一つの面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)精子の活動亢進を、精子の生存能力を超えて優先的に阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。精子の生存能力を超える活動亢進の優先的阻害とは、活動亢進の阻害についてのIC50が、アポトーシスを含む精子の生存能力の阻害についてのIC50よりも少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、500、1000、2000、5000又は10000倍低いことを意味する。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の生存能力の阻害についての又はアポトーシスの誘導についてのIC50より少なくとも10倍低い。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の生存能力の阻害/アポトーシスの誘導についてのIC50より少なくとも100倍低い。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の生存能力の阻害/アポトーシスの誘導についてのIC50より少なくとも1000倍低い。
【0086】
この発明の他の面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)精子の運動性及び生存能力の両方の活動亢進を優先的に阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。優先的阻害とは、活動亢進の阻害についてのIC50が、精子の運動性及び生存能力の阻害/アポトーシスの誘導についてのIC50よりも少なくとも1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、500、1000、2000、5000又は10000倍低いことを意味する。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の運動性及び生存能力の阻害についてのIC50より少なくとも10倍低い。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の運動性及び生存能力の阻害/アポトーシスの誘導についてのIC50より少なくとも100倍低い。特定の具体例において、活動亢進の阻害についてのIC50は、精子の運動性及び生存能力の阻害/アポトーシスの誘導についてのIC50より少なくとも1000倍低い。この発明のこの面の前述の具体例の何れかにおいては、たとえこれらの化合物が精子の活動亢進を、精子の運動性と生存能力の両方を超えて優先的に阻害しても、精子の運動性及び生存能力についてのIC50は必ずしも同じではないということが認められる。
【0087】
この発明の他の面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1チャンネル活性を阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。この発明の関連する面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1含有チャンネルの活性を阻害し且つ精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物を提供する。特定の具体例において、この化合物は、CatSper1チャンネル活性に対して、他のCa2+チャンネルの活性に対するよりも一層選択的、例えば10倍選択的であり、一層好ましくは哺乳動物の電圧ゲート制御されるCa2+チャンネル例えばCa(V)3.2又はヒトのHERGチャンネルに対するよりも少なくとも100倍選択的であり又は1000倍選択的でさえある。
【0088】
他の具体例において、この差は、一層小さく、それは、例えば、CatSper1チャンネル活性を、哺乳動物の電圧ゲート制御されるCa2+チャンネル例えばCa(V)3.2又はヒトのHERGチャンネルのそれよりも一層強く、好ましくは少なくとも2倍、3倍、5倍、又は10倍以上強くさえ阻害する。かかる比較は、例えば、IC50値を比較することにより行なうことができる。
【0089】
ある具体例において、CatSper1チャンネル活性のアンタゴニストである化合物は、他のイオンチャンネル活性よりもCatSper1チャンネル活性と選択的に拮抗し、例えば、その化合物は、CatSper1チャンネルの活性を少なくとも、Ca(V)3.2又はヒトのHERGチャンネルの活性を変調するよりも強い等級で、好ましくは少なくとも2等級、尚一層好ましくは少なくとも3等級強く変調する。かかる比較は、例えば、IC50値を比較することにより行なうことができる。
【0090】
同様に、特定の具体例において、この化合物は、一のCatSperチャンネル以外の一つ以上の標的に対する有意の活性を欠く。例えば、この化合物は、Ca(V)3.2及びヒトのHERGチャンネルの少なくとも一つの阻害についての100nMより大きい、1μMより大きい、10μMより大きいIC50を有し、100μMより大きいIC50さえ有する。
【0091】
この発明の更に別の面は、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)下記式により表される化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む化合物を提供する:
【化12】

(式中、Wは、CR’又はNであり;R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。一具体例において、Wは、Nである。他の具体例において、Xは、Oである。他の具体例において、Yは、C=Oである。他の具体例において、R’は、Hである。他の具体例において、2つのY−R置換基は、同一である。幾つかの具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す。
【0092】
一つの特定の具体例において、この化合物は、下記式により表され:
【化13】

又は製薬上許容しうるその塩である。
【0093】
他の具体例において、この化合物は、下記式により表され:
【化14】

又は製薬上許容しうるその塩である。
【0094】
他の具体例において、この化合物は、下記式により表され:
【化15】

又は製薬上許容しうるその塩である。
【0095】
他の具体例において、この化合物は、下記式により表され:
【化16】

又は製薬上許容しうるその塩である。
【0096】
他の具体例において、この化合物は、下記式により表され:
【化17】

又は製薬上許容しうるその塩である。
【0097】
この発明は又、(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)下記式により表されるCatSper1モジュレーターとCatSper1チャンネルへの結合について競合する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物をも提供する:
【化18】

(式中、Wは、CR’又はNであり;R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。一具体例において、Wは、Nである。他の具体例において、Xは、Oである。他の具体例において、Yは、C=Oである。他の具体例において、R’は、Hである。他の具体例において、2つのY−R置換基は、同一である。幾つかの具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す。
【0098】
幾つかの具体例において、この発明の組成物は、更に、少なくとも一種の更なる避妊薬を含む。幾つかの具体例において、この更なる避妊薬は、経口避妊薬例えばホルモンベースの経口避妊薬である。幾つかの具体例において、この組成物は、更なる経口避妊薬の組合せ例えばエストロゲン及びプロゲスチンを含む。一具体例において、この更なる避妊薬は、ノルゲスチメート(NGM)、エチニルエストラジオール(EE)、17−βエストラジオール(E2)、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート、クロルマジオンアセテート、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲスコールアセテート、リネストレノール、キンゲスコン、ゲストジン、デソゲストレル、エチノジオールアセテート、及びジメチステロンから選択される。幾つかの具体例において、この発明の組成物は、更に、少なくとも一種の抗勃起機能不全薬を含む。一具体例において、この抗勃起機能不全薬は、血管平滑筋弛緩剤、α−アドレノセプターアンタゴニスト及び男性ホルモンから選択される。幾つかの具体例において、この発明の組成物は、注射薬、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー、又はスポンジとして配合される。
【0099】
この発明は、上記の化合物を、少なくとも一種の製薬上許容しうるキャリアー(添加剤)及び/又は希釈剤と一緒に配合して含む製薬上許容しうる製剤を提供する。以下に詳述するように、本発明の医薬組成物は、特に、固体又は液体形態での投与のために配合することができ、(1)経口投与(例えば水薬(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、錠剤、巨丸剤、粉末、顆粒、ペースト(舌への投与用));(2)非経口投与(例えば、皮下、筋肉若しくは静脈注射による、例えば無菌の溶液又は懸濁液);(3)局所投与(例えば、皮膚に塗布されるクリーム、軟膏若しくはスプレー);又は(4)膣若しくは直腸投与(例えば、ペッサリー、クリーム若しくは発泡剤)に適合されたものを含む。しかしながら、ある具体例においては、主題の化合物は、単純に、無菌水に溶解又は懸濁されうる。
【0100】
主題の薬剤の製薬上許容しうる塩には、これらの化合物の、慣用の無毒性塩又は第四アンモニウム塩(例えば、無毒性の有機又は無機酸由来)が含まれる。例えば、かかる慣用の無毒性塩には、無機酸に由来するもの例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、硝酸塩など;及び有機酸例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などから生成される塩が含まれる。
【0101】
湿潤剤、乳化剤及び潤滑剤例えばラウリル流酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム並びに着色剤、剥離剤、被覆剤、甘味料、調味料及び香料、防腐剤及び抗酸化剤も又、これらの組成物中に存在してよい。製薬上許容しうる抗酸化剤の例には、(1)水溶性の抗酸化剤例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤例えばアスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど;及び(3)金属キレート剤例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが含まれる。
【0102】
本発明の配合物には、経口投与、鼻投与、局所投与(口内及び舌下を含む)、直腸投与、膣投与及び/又は非経口投与に適したものが含まれる。これらの配合物は、都合よく、単位投薬形態で与えることができ且つ製薬分野で周知の任意の方法により製造することができる。単一投薬形態を生成するためにキャリアー物質と合せることのできる活性成分の量は、治療される宿主、特定の投与様式によって変化する。単一投薬形態を生成するためにキャリアー物質と合せることのできる活性成分の量は、一般に、治療効果を生じる化合物の量である。一般に、100パーセントの内で、この量は、約1〜99%の活性成分に及び、好ましくは、約5〜70%、最も好ましくは、約10〜30%に及ぶ。
【0103】
これらの配合物又は組成物を製造する方法は、本発明の少なくとも一種の薬剤をキャリアー及び、適宜、少なくとも一種の補助的成分と合せる工程を含む。一般に、これらの配合物は、本発明の少なくとも一種の薬剤を、液体キャリアー若しくは微粉固体キャリアーと又は両者と一様に且つ完全に合せてから、必要であれば生成物を整形することにより製造される。
【0104】
経口投与に適したこの発明の配合物は、カプセル、カシェ剤、丸薬、錠剤、菓子錠剤(味付きベース(通常、スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントゴム)を使用)、粉末、顆粒、又は水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液の形態、又は水中油若しくは油中水エマルジョン、又はエリキシル若しくはシロップ、又は香錠(不活性ベース例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴム使用)及び/又は口内洗浄剤などであってよく、各々は、予め決めた量の本発明の化合物を活性成分として含んでいる。本発明の薬剤は又、巨丸剤、舐剤又はペーストとして投与することもできる。
【0105】
この発明の経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、ドラジェー、粉末、顆粒など)において、活性成分は、少なくとも一種の製薬上許容しうるキャリアー例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム、及び/又は次の何れかと混合される:(1)充填剤又は増量剤例えば澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又はケイ酸;(2)結合剤例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアラビアゴム;(3)湿潤剤例えばグリセロール;(4)崩壊剤例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のシリケート及び炭酸ナトリウム;(5)分解遅延剤例えばパラフィン;(6)吸収促進剤例えば第四アンモニウム化合物;(7)湿潤剤例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアレート;(8)吸収剤例えばカオリン及びベントナイトクレイ;(9)潤滑剤例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル流酸ナトリウム、及びこれらの混合物;及び(10)着色剤。カプセル、錠剤及び丸薬の場合に、これらの医薬組成物は又、緩衝剤をも含むことができる。類似の型の固体組成物も又、ラクトース即ち乳糖などの賦形剤並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを利用するソフト及びハードフィルドゼラチンカプセルにおいて充填剤として用いることができる。
【0106】
錠剤は、随意の補助的成分と共に、加圧又は型成形によって作成することができる。加圧錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、ナトリウム澱粉グリコレート又は架橋したナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤又は分散剤を利用して製造することができる。型成形錠剤は、適当な機械において、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を型成形することにより作成することができる。
【0107】
本発明の医薬組成物の錠剤及び他の固体投薬形態例えばドラジェー、カプセル、丸薬及び顆粒は、適宜、コーティング及びシェル(例えば、腸溶コーティング及び他の製薬配合分野で周知のコーティング)を付けて製造することができる。それらは又、その中の活性成分のゆっくりした又は制御された放出を与えるように、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(所望の放出プロフィルを与えるように割合を変化させる)、他のポリマーマトリクス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを利用して配合することもできる。それらは、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過により、又は使用直前に無菌水若しくは幾つかの他の無菌の注射用媒質に溶解させることのできる無菌の固体組成物の形態の殺菌剤を混ぜることによって滅菌することができる。これらの組成物は又、適宜、不透明剤を含むことができ、胃腸管のある部分でのみ(又は、ある部分で優先的に)活性成分を適宜遅延した様式で放出する組成物であってもよい。用いることのできる包埋組成物の例には、高分子物質及びワックスが含まれる。この活性成分は又、適宜少なくとも一種の上記の賦形剤を伴うマイクロカプセル化形態であってもよい。
【0108】
この発明の化合物の経口投与のための液体投薬形態には、製薬上許容しうるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが含まれる。活性成分に加えて、これらの液体投薬形態は、当分野で普通に用いられる不活性な希釈剤例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及び胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0109】
不活性な希釈剤以外に、これらの経口投与用組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味料、調味料、着色料、香料及び防腐剤などの補助剤をも含むことができる。
【0110】
これらの活性化合物に加えて、懸濁液は、懸濁化剤例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天及びトラガカントゴム、及びこれらの混合物を含むことができる。
【0111】
直腸又は膣投与のためのこの発明の医薬組成物の配合物は、坐薬として与えることができ、それは、この発明の少なくとも一種の薬剤を、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、坐薬ワックス又はサリチレートを含み室温で固体であるが体温で液体であり、それ故直腸又は膣腔で溶融して活性化合物を放出する、少なくとも一種の適当な非刺激性の賦形剤又はキャリアーと混合することによって製造することができる。
【0112】
膣投与に適した本発明の配合物には、適当であることが知られたキャリアーを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡剤又はスプレー配合物も含まれる。
【0113】
この発明の少なくとも一種の薬剤の局所投与又は経皮投与のための投薬形態には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ及び吸入薬が含まれる。これらの活性な薬剤は、無菌条件下で、製薬上許容しうるキャリアー及び任意の防腐剤、緩衝剤、又は噴射剤(必要とされうる)と混合することができる。
【0114】
これらの軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、この発明の活性な化合物に加えて、賦形剤例えば動物及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含むことができる。粉末及びスプレーは、この発明の化合物に加えて、賦形剤例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末又はこれらの物質の混合物を含むことができる。スプレーは、更に、慣用の噴射剤例えばクロロフルオロ炭化水素及び揮発性の不飽和炭化水素例えばブタン及びプロパンを含むことができる。
【0115】
経皮パッチは、本発明の薬剤の身体への制御された送達を与えるという更なる利点を有している。かかる投薬形態は、主題の化合物を適当な媒質に溶解又は分散させることにより作成することができる。吸収促進剤も又、主題の薬剤の皮膚を横切るフラックスを増大させるために利用することができる。かかるフラックスの流量は、流量制御膜を与えるか又はこの化合物をポリマーマトリクス若しくはゲル中に分散させることによって制御することができる。
【0116】
非経口投与に適したこの発明の医薬組成物は、この発明の少なくとも一種の化合物を、少なくとも一種の製薬上許容しうる無菌の等張水溶液若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液若しくはエマルジョン、又は使用直前に無菌の注射用溶液若しくは分散液中に再構成することのできる無菌の粉末と共に含むことができ、それは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、配合物を意図したレシピエントの血液と等張にする溶質又は懸濁化剤若しくは増粘剤を含むことができる。
【0117】
この発明の医薬組成物で用いることのできる適当な水性及び非水性キャリアーの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びこれらの適当な混合物、植物油例えばオリーブ油、及び注射可能な有機エステル例えばエチルオレエートが含まれる。適当な流動性を、例えば被覆材料(例えば、レシチン)の利用により、必要な粒度の維持(分散液の場合)により、及び界面活性剤の利用によって維持することができる。
【0118】
これらの組成物は又、補助剤例えば防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤をも含むことができる。微生物の活動の予防は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含有させることにより確実にすることができる。等張剤例えば糖類、塩化ナトリウムなどをこれらの組成物に含有させることも望ましいであろう。加えて、注射用医薬形態の長引かせた吸収を、アルミニウムモノステアレート及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤を含有させることによりもたらすことができる。
【0119】
本発明の化合物が人及び動物に医薬として投与されるときは、それらは、それ自体で又は例えば0.1〜99.5%(更に好ましくは0.5〜90%)の活性成分を製薬上許容できるキャリアーと組み合わせて含有する医薬組成物として与えることができる。
【0120】
一具体例において、この発明の化合物は、経口投与用組成物に配合され、他のこの発明の活性化合物を欠く経口投与用組成物を有するキットに混ぜられる。かかるキットは、少なくとも18〜35日にわたる一つの養生法サイクルの施与に十分な投薬単位を含むことができる。説明のための具体例において、一のキットは、一月経サイクルに十分な投薬単位例えば毎日一錠を含むことができ、これらの錠剤の幾つかは活性成分としての化合物を含み他の錠剤はプラシーボである。これらの化合物を含む錠剤は、性的活性、排卵及び/又は受精率がピークであると予想される月経サイクルの一部に対して投与することができ、プラシーボ丸薬は、他の時点で投与される。かかる投薬養生法は、これらの化合物への曝露の累積量を減じ、それにより望ましくない効果を最小にするという利点を有している(同時に、日々の投薬養生法に従順であることを促進する)。かかる投与養生法は、女性に投与される組成物に限られない。男性への投与を意図した組成物については、投薬のタイミングは、女性の月経サイクルに同様に同期させることができる。幾つかの具体例において、これらのプラシーボ組成物は、この発明の活性なCatSper阻害性化合物を欠き又は運動亢進を阻止する化合物を欠いているが、他のホルモン又は避妊薬又はCatSper活性若しくは運動亢進を変調しない活性成分を含むことができる。
【0121】
幾つかの具体例において、この発明の化合物は、移植可能なデバイス例えば薬物の皮下送達のためのデバイス中に配合される。例えば、シリコーンエラストマーを利用するNorplant(登録商標)システムを、この発明の化合物の、例えば女性への送達のために適合させることができる(米国特許第4,957,119号及び5,088,505号並びにHaukkamaa等 (1992) Contraception 45, 1, p49-55参照)。同様に、米国特許5,733,565号は、この発明の化合物を例えば男性に投与するために利用することのできる移植可能なデバイスを記載している。加えて、この発明の化合物は、避妊器具と一緒に投与(施与)することができる。これらには、例えば、男性のためのコンドーム及びペニスキャップ(米国特許第5,458,114号参照)、及び女性のためのスポンジ、ペッサリー、殺精子ジェル及び発泡剤、及び女性用コンドームが含まれる。これらの化合物は又、潤滑剤と一緒に投与することもできる。
【0122】
この発明の一つの面は、避妊又は受胎を調節するデバイス例えばコンドームを提供する。この発明の一つの面は、この発明の化合物を含むコンドームを提供する。一具体例において、これらの避妊器具は、CatSperインヒビター又は精子の運動亢進のインヒビターを含むコンドーム及び組成物を包含する。かかるデバイスは、最終ユーザーがこの化合物をコンドームに使用前に塗布するのに適している。用いることのできるコンドームの種類には、米国特許出願第2006−0048784号、2004−0118408号、2005−0076916号及び2004−01636529号に記載されたものが含まれる。
【0123】
一具体例において、この避妊器具は、(i)コンドーム;及び(ii)下記式により表される構造式により表される化合物
【化19】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、又は製薬上許容しうる該化合物の塩を含む。一具体例において、Wは、Nである。別の具体例において、Xは、Oである。別の具体例において、Yは、C=Oである。別の具体例において、R’は、Hである。別の具体例において、2つのY−R置換基は、同一である。幾つかの具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す。他の具体例において、この化合物は、構造式(II)〜(VI)の何れか一つにより表される。
【0124】
一具体例において、このコンドームは、少なくとも一種の潤滑剤、加温用組成物、殺精子剤、減感剤又は誘勃起用組成物を含む。減感剤潤滑剤は、米国特許公開第2002010344号に記載されている。殺精子剤には、ノンオキシノール-9及び誘導体が含まれる(米国特許公開第20010036965号参照)。米国特許公開第2005−0042249号は、加温剤を記載している。誘勃起用組成物を有するコンドームは、米国特許公開第20020103414号に記載されている。誘勃起用組成物には、血管拡張剤(硝酸塩、遠距離及び近距離作用性アルファ−アドレノレセプターブロッカー、麦角アルカロイド、抗過敏症剤及びプロスタグランジンを含む)を含むものが含まれる。
【0125】
これらの発明の組成物は又、精子を用いるイン・ビトロアッセイ用の制御剤として利用することもできる。例えば、この発明の組成物を、正の制御として用いて、精子がそれらの活動亢進挙動をダウンレギュレートする能力があることを示すことができる。これは、CatSper1活性をダウンレギュレートすることができると疑われる試験化合物がイン・ビトロアッセイにおいて精子の運動亢進を阻止できない場合、及びこれが、試験化合物の特性に起因すると考えられるか又は任意の種類の活動亢進の阻止を妨げる実験条件に起因すると考えられるかを測定することが必要である場合に、有用でありうる。
【0126】
IV.CatSper1/精子機能の変調
この発明は、更に、CatSperチャンネル例えばCatSper1チャンネルの活性を低下させる方法を提供する。一具体例において、このCatSper1チャンネルは、細胞例えば精子中にある。幾つかの具体例において、CatSper1チャンネルの活性を低下させる方法は、CatSper1を発現する細胞例えば精子を下記式により表される化合物又はその塩と接触させることを含む:
【化20】

(式中、Wは、CR’又はNであり;R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。一具体例において、Wは、Nである。別の具体例において、Xは、Oである。別の具体例において、Yは、C=Oである。別の具体例において、R’は、Hである。別の具体例において、2つのY−R置換基は、同一である。幾つかの具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す。ある具体例において、この化合物は、式(II)〜(VI)の何れか一つにより表される。
【0127】
幾つかの具体例において、CatSper1チャンネルを発現する細胞は、哺乳動物例えばヒトの中にある。一具体例において、この哺乳動物は、非ヒト哺乳動物である。この哺乳動物は、雌であっても雄であってもよい。これらの化合物をこれらの哺乳動物に投与するのに適した組成物は、上記したものである。
【0128】
この発明は又、細胞内へCa2+インフラックスを低下させる方法をも提供する。好適具体例において、この細胞は、精子である。幾つかの具体例において、この細胞内へCa2+インフラックスを低下させる方法は、その細胞例えば精子を下記式により表される化合物又はその塩と接触させることを含む:
【化21】

(式中、Wは、CR’又はNであり;R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。一具体例において、Wは、Nである。別の具体例において、Xは、Oである。別の具体例において、Yは、C=Oである。別の具体例において、R’は、Hである。別の具体例において、2つのY−R置換基は、同一である。幾つかの具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す。ある具体例において、この化合物は、式(II)〜(VI)の何れか一つにより表される。
【0129】
この発明は又、精子の活動亢進を選択的に低下させる方法をも提供する。幾つかの具体例において、この精子の活動亢進を少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、95、96、97、98又は99%低下させる。幾つかの具体例において、この精子の活動亢進を、その精子の運動性を阻害することなく又は実質的にその精子の運動性を阻害することなく低下させる。精子の運動性を実質的に阻害しないとは、精子の運動性を約15、20又は25%を超えて低下させないことを意味する。幾つかの具体例において、この精子の活動亢進を、その生存能力を阻害することなく又は実質的にその精子の生存能力を阻害することなく低下させる。精子の生存能力を実質的に阻害しないとは、その精子の生存能力を15、20又は25%を超えて低下させないことを意味する。幾つかの具体例において、この精子の活動亢進は、典型的具体例の実施例2におけるように、エキス・ビボで阻害される。他の具体例において、精子の活動亢進は、イン・ビボで、例えば精子を注入された雌において阻害される。
【0130】
幾つかの具体例において、精子の活動亢進を低下させる方法は、その精子を、下記式により表される化合物又はその塩と接触させることを含む:
【化22】

(式中、Wは、CR’又はNであり;R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。一具体例において、Wは、Nである。別の具体例において、Xは、Oである。別の具体例において、Yは、C=Oである。別の具体例において、R’は、Hである。別の具体例において、2つのY−R置換基は、同一である。幾つかの具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す。ある具体例において、Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す。ある具体例において、この化合物は、式(II)〜(VI)の何れか一つにより表される。
【0131】
V.男性又は女性における受精能力の低下
この発明の他の面は、受精能力を低下させる方法を提供する。これらの方法は、部分的に、この発明により提供される新規なクラスの化合物の投与に基づいている。これらの化合物は、それらの化合物が精子とそれが未だ男性内にいるときに接触するように男性に投与することができる。これらの化合物は又、男性用の受胎調節用器具例えばコンドーム又はペニスキャップに、精子が射精後短時間でこれらの化合物と接触するように投与することもできる。これらの化合物は又、精子が一度女性内に入ったならばそれらの化合物と接触するように、女性に投与することもできる。この化合物を女性に投与する場合には、この化合物を、全身投与例えば経口投与、経皮投与又は注射することができ、又は局所例えば膣、子宮又は卵管などに投与することもできる。これらの化合物は又、女性用の受胎調節用器具例えばペッサリー又はスポンジなどの部分として投与することもできる。経口投与する場合には、これらの化合物を、他の経口避妊薬と共に投与することができる(この化合物と避妊薬とを含む一の組成物として又は各々活性化合物を含む2つの組成物として)。
【0132】
この発明は、男性患者の受精能力を、CatSperチャンネル活性、例えばCatSper1チャンネル活性を低下させる化合物;精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻止する化合物;又は両者を該患者に投与することによって低下させる方法を提供する。他の面において、この発明は、男性患者における可逆的な不妊を、CatSperチャンネル活性例えばCatSper1チャンネル活性を低下させる化合物;精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻止する化合物;又は両者を該患者に投与することによって引き起こす方法を提供する。他の面において、この発明は、避妊の方法であって、CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物、精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻止する化合物、又は両者を男性又は女性患者に投与する当該方法を提供する。前述の具体例の各々において、この化合物を、注射薬、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー、又はスポンジに配合することができる。この患者が女性であるならば、この化合物を、膣、子宮又は卵管の少なくとも一つに投与することができる。
【0133】
殆どのCatSper1チャンネルの発現又は活性のアンタゴニストは、可逆的であり又は成熟精子にのみ影響を与えるので、かかる化合物の受精能力に対する効果は、可逆的であり、それは、これらの分子が経時的に身体から排除されて新たな精子が絶えず生成されているからである。従って、CatSper1チャンネルの発現又は活性のアンタゴニストは、可逆的な不妊を引き起こすことができるので、ヒト用の避妊薬として利用することができる。かかる避妊薬は、CatSper1チャンネルの活性を効果的に阻止しそれにより精子の活動亢進及び透明帯(ZP)を貫通する能力を低下させるのに十分な濃度を膣、子宮又は卵管において達成することができるならば、女性が経口又は非経口的に(例えば、注射、経皮パッチ、又は生物侵食性インプラントにより)摂取することができる。同様に、かかる避妊薬は、CatSper1チャンネルの発現又は活性を効果的に阻止しそれにより精子の活動亢進及び透明帯(ZP)を貫通する能力を低下させるのに十分な濃度を精巣又は精液において達成することができるならば、男性が経口又は非経口摂取することができる。或は、かかる化合物は、予防器具、子宮頸キャップ又は避妊のための膣用スポンジ、発泡剤若しくはジェリーを用いる用途のための潤滑剤、湿潤剤、発泡剤又はジェリーに配合することができる。
【0134】
他の一連の具体例において、ここに記載の化合物を、避妊薬として利用して、非ヒト動物を処理することができる。これらの具体例は、ヒトの避妊について上記したものと同様である。かかる避妊薬は、ペットとして維持されている家畜化動物について、他の商業的に価値のある家畜化動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ウマ)について、又は有害動物(例えば、マウス、ラット、アライグマ、ジリス)について利用することができる。幾つかの具体例において、これらの避妊薬は、経口で利用することができ、これらの動物の食糧源に混合することができる。他の具体例において、これらの避妊薬は、非経口的に(例えば、注射、経皮パッチ、又は生物侵食性インプラントによって)投与することができる。
【0135】
幾つかの具体例において、受精能力を低下させ又は一時的な不妊を引き起こすために利用される化合物は、下記の構造:
【化23】

(式中、Wは、CR’又はNであり;R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)により表され、又は製薬上許容しうるその塩である。他の具体例において、この化合物は、構造式(II)〜(VI)の何れか一つによって表される。
【0136】
他の具体例において、受精能力を低下させ又は一時的な不妊を引き起こすために利用されるこれらの化合物は、下記の構造により表されるCatSper1チャンネル結合性薬剤:
【化24】

(式中、Wは、CR’又はNであり、ここに、R’は、低級アルキル又は水素であり;Xは、O又はSであり;Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そしてRは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、又は製薬上許容しうるその塩と競合する。他の具体例において、この化合物は、構造式(II)〜(VI)の何れか一つによって表される。
【0137】
他の具体例において、受精能力を低下させ又は一時的な不妊を引き起こすために用いられるこれらの化合物は、他の避妊薬と同時に投与される。幾つかの具体例において、これらの追加の避妊薬は、この化合物が投与されるのと同じ患者(男性又は女性)に投与される。他の具体例においては、これらの追加の避妊薬は、この化合物のレシピエントのセックスパートナーに投与され、それで、精子ドナー及び精子レシピエントの少なくとも一方が追加の避妊処理剤を受容する。
【0138】
この発明は又、一の化合物をセックスパートナーの両者、即ち精子ドナー及び精子レシピエントの両方に投与する避妊法をも提供する。幾つかの具体例において、この化合物は、(i)式(I)〜(VI)の何れか一つにより表され、又は(ii)CatSper1チャンネルへの結合について、式(I)〜(VI)の何れか一つにより表される化合物と競合する。
【0139】
この発明は、更に、男性、女性、又は両方の、生殖能力を低下させる医薬の製造のための薬剤を提供する。患者に化合物を投与することにより生殖能力を低下させるための、ここに開示した如何なる方法も、該患者の生殖能力を低下させるための医薬の製造における該化合物の利用に適用することができる。
【0140】
VI.ビジネス方法
他の面において、本発明は、薬物発見ビジネスを行なう方法であって、この発明のアッセイにより、CatSper活性と拮抗し及び/又は精子の活動亢進を阻止する少なくとも一種の化合物を同定し;かかるアッセイで同定された化合物又はかかる化合物の類似体が精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定し;アンタゴニストとして同定された化合物の、効力と毒性についての治療プロファイリングを、少なくとも一種の動物モデルにおいて行ない;そして許容しうる治療プロフィルを有するとして同定された少なくとも一つのアンタゴニスト化合物を含む医薬製剤を配合することを含む当該方法を提供する。
【0141】
一具体例において、この化合物は、CatSperチャンネル活性と拮抗する。他の具体例において、この化合物は、CatSper1チャンネル活性と拮抗する。他の具体例において、この化合物は、精子の活動亢進を阻止する。
【0142】
一具体例において、この薬物発見ビジネスは、更に、この医薬製剤を販売のために分配するシステムを確立するステップを含み、適宜、この医薬製剤のマーケティングのための販売グループを確立することを含むことができる。
【0143】
更に別の面において、本発明は、避妊医学ビジネスを行なう方法であって、これらの薬物発見ビジネスにより発見された医薬製剤を用意し、該製剤は、CatSperチャンネルの活性を阻止し及び/又は精子の活動亢進を阻止し;医師、ヘルスケアプロバイダー、及び/又は患者(例えば、ユーザー)に対する、CatSperチャンネルの活性を阻止するのに有効な量(該有効量は、妊娠を防止するのに十分なものである)の該医薬製剤の投与のための指示書を提供する当該方法を提供する。
【0144】
一具体例において、この方法は、更に、医薬製剤を販売のために分配するシステムを確立するステップを含み、適宜、この医薬製剤のマーケティングのための販売グループを確立することを含むことができる。
【0145】
一具体例において、この製剤は、女性患者への投与用である。他の具体例においては、この製剤は、男性患者への投与用である。更に別の具体例においては、この製剤は、避妊具(コンドーム、ペッサリー、スポンジ又は他の障害式受胎調節器具を含むが、これらに限られない)と共に用いるための潤滑剤又はクリームとして配合される。
【0146】
前述の何れかにおいて、CatSperチャンネル活性を阻止する化合物は、(i)ここに記載の細菌発現アッセイ又は(ii)ここに記載の精子運動性/活動亢進アッセイの少なくとも一つを利用して同定され又は特性決定されうる。
【0147】
前述の何れかにおいて、この化合物は、更に、(i)効力、(ii)安全性、(iii)副作用、(iv)精子の死を上回る精子の活動亢進に対する特異性(例えば、優先的な活性)、(v)精子の運動性を上回る精子の活動亢進に対する特異性(例えば、優先的な活性)、(vi)HERG活性を上回るCatSperチャンネル活性への拮抗についての特異性(例えば、優先的な活性)、又は(vii)CatSperチャンネルの種々のヘテロマー形態に対する特異性(例えば、優先的な活性)について調べることができる。
【0148】
前述の何れかのある具体例においては、最初に同定された精子の活動亢進を阻止するCatSperチャンネルアンタゴニスト及び/又は化合物を更に最適化へと導き(例えば、更に、リード化合物の構造を精密化し)、それで、潜在能力及び活性は維持されるが、薬物の重要な薬理学的特性(溶解度、透過性、生物利用可能性、毒性、変異原性、薬物速度論(薬物の吸収、分配、代謝、排泄)を含む)とバランスさせることができる。
【0149】
上に列記したパラメーターによる問題を扱うために、リード化合物に対する構造改変が行なわれる。しかしながら、これらの改変は、その分子の潜在能力及び活性に対して起こりうる影響を考慮しなければならない。例えば、もしリード化合物の溶解度が乏しいならば、溶解度を改善する努力においてその分子を変化させることができるが、それらの改変は、その分子の潜在能力及び活性に負の影響を与えうる。次いで、SARデータを利用して、その変化の潜在能力及び活性に対する効果を測定する。構造改変及びSARデータの反復するプロセスを利用して、これらの薬理学的パラメーターと化合物の潜在能力及び活性との間のバランスが与えられる。
【0150】
候補のアンタゴニスト又はそれらの組合せは、動物モデルにおいて、効力及び毒性について試験しなければならない。かかる治療プロファイリングは、一般に、製薬分野で採用されている。実験薬物をヒトにおいて試験する前に、大規模な治療プロファイリング(例えば、前臨床試験)を完了して、安全性及び効力についての初期パラメーターを確立しなければならない。前臨床試験は、薬物の作用機構、生物学的利用可能性、吸収、分配、代謝及び排泄を、イン・ビトロ(即ち、試験管、ビーカー、ペトリ皿など)及び動物において行われた研究により確立する。動物での研究は、薬物が所望の結果を与えるかどうかを評価するために利用される。試験薬物の投与量を変えて投与して、該薬物の効力を試験し、起こりうる有害な副作用を同定して、毒性を評価する。
【0151】
簡単には、当業者は、CatSperチャンネル活性と拮抗し及び/又は精子の活動亢進を阻止する候補の化合物の、薬物ベースのアッセイにおける同定が、避妊薬として有用な医薬製剤の開発における最初のステップであることを認めるであろう。妊娠を上首尾に防止する(即ち、有用な避妊薬として作用する)のに有効な量の該医薬製剤の投与は、安全で有効なものでなければならない。この分野で日常的に利用されている初期段階の薬物試験は、潜在的医薬の安全性及び効力の関心事を扱うのを助成する。主題のアンタゴニストの特別な事例においては、この医薬製剤の効力は、マウス又はラットモデルにおいて容易に評価することができよう。簡単には、雄のマウスに該医薬製剤の投与量を変えて、様々な時間的スケジュールで投与することができる。対照用の雄マウスには、プラシーボ(例えば、キャリアー又は賦形剤のみ)を投与することができる。次いで、これらの雄マウスを雌マウスと一緒のケージに入れることにより自由に交配させて、受胎率を経時的に測定する。受胎調節の現在利用可能な形態の効力を仮定して、有効な避妊は、妊娠の防止において、少なくとも80%有効、好ましくは85%有効、一層好ましくは90%有効、最も好ましくは95%、96%、97%、98%、99%以上有効であるべきである。
【0152】
一具体例において、治療プロファイリングのステップは、化合物の細胞培養物及び動物における毒性試験;候補の薬物の薬物速度論及び代謝の分析;及び病気の動物モデルにおける効力の測定を含む。ある事例においては、この方法は、構造−活性相関関係を分析して、リード構造を効力、安全性及び薬物速度論的プロフィルに対して最適化することを含むことができる。かかるステップのゴールは、ヒトの臨床試験前の、米国FDAの治験新薬(「IND」)申請書及び/又は類似の取締り当局への申請書の提出へと導くための前臨床研究のための薬物候補の選択である。
【0153】
リード最適化と治療プロファイリングの間において、主題の方法の一つのゴールは、副作用が最少の化合物を開発することである。アンタゴニストの場合には、これらのリード化合物は、血管拡張(即ち、めまい、低血圧、頭痛、潮紅、浮腫など)、心筋虚血、低血圧症、徐脈、一過性不全収縮期、心不全の増悪、心室機能不全、SA結節又はAV伝導障害、又は血漿ジゴキシンレベルに対する臨床的に許容しうる効果を有するであろう。
【0154】
「毒性プロファイリング」とは、有効量の医薬製剤を投与したときに起こりうる潜在的に有害な副作用の評価を意味する。副作用は、有害であってもなくてもよく、医薬製剤と関連する副作用が許容しうる副作用であるかの決定は、取締り承認プロセスにおいてなされる。この測定は、硬いルールに従わず、(a)治療すべき病気の重さ、及び(b)他の治療の利用可能性及びそれらの利用可能な治療と現在関係している副作用を含む因子によって、許容しうる副作用は変化すると考えられる。例えば、用語癌は、制御を欠いた細胞の成長、増殖及び分化と関係する病状の複雑なファミリーを包含する。多くの型の癌は、特に破壊的な病気であって、激しい痛み、影響を受けた組織の機能の喪失、及び死を引き起こす。化学療法薬は、多くの型の癌の標準的治療の重要な部分である。たとえ化学療法薬自体が脱毛、強い吐き気、体重喪失、及び生殖不能症を含む重い副作用を有しえても、かかる副作用は、治療することを目的とする病気の重さを仮定すれば許容しうるものと考えられている。
【0155】
しかしながら、対照的に、最も最近の受胎調節の利用可能な形態は、有意の副作用を有しない。従って、主題のアンタゴニストの医薬製剤が有する毒性及び副作用は、最少のものであるべきである。毒性試験は、効力試験と連携して行なうことができ、有効投与量の医薬製剤を投与された雄のマウスをその製剤に対する有害な反応につきモニターすることができる。避妊薬と関連する潜在的な有害反応には、性欲の喪失及び行動の変化が含まれうる。処理したマウスから採取した血液、尿及び糞便試料も又、免疫、腎臓又は肝臓機能における如何なる潜在的な有害な変化をも検出するためにモニターすることができる。加えて、CatSperチャンネルがカチオンチャンネルであることを仮定すると、該医薬製剤を受けたマウスは、他のカチオンチャンネルとの交差反応を示す心臓機能の如何なる変化についてもモニターすべきである。しかしながら、ここに詳細に概説するように、この発明の典型的化合物は、電圧でゲート制御されるカルシウムチャンネル又はHERGチャンネルなどのCatSperを含まないチャンネルと有意に交差反応しない。
【0156】
CatSperチャンネル活性及び/又は精子活動亢進に拮抗し且つ動物研究において安全で効果的であると判明した薬剤を、医薬製剤に配合することができる。次いで、かかる医薬製剤を、市場に出し、分配して、避妊薬として販売することができる。
【0157】
VII.精子活動亢進のインヒビターを同定する方法
この発明の一つの面は、精子の活動亢進を変調する化合物を同定する方法を提供する。一具体例において、これらの方法は、精子の活動亢進を阻止する化合物の同定を可能にし、他のものは、精子の活動亢進を促進する化合物の同定を可能にする。出願人の発明の新規なスクリーニング方法は、部分的に、2つの予想外の発見に基づいている。第一に、CatSper1活性を細菌アッセイにおいて阻止することが見出された化合物の一画分(即ち、5%未満)は、エキス・ビボでの精子の活動亢進の阻止においても有効であった(図5参照)。第二に、CatSper1活性を細菌において阻止することが見出された幾つかの化合物は、精子の活動亢進のインヒビターではなく強力なアクチベーターであることが見出された。図2及び実施例1は、精子の活動亢進のモジュレーターを同定する方法の典型的な具体例を記載している。
【0158】
この発明の一つの面は、精子の活動亢進を阻止する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を阻止する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。
【0159】
この発明の関連する面は、精子の活動亢進を促進する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を阻止する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を促進するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。
【0160】
この発明の関連する面は、精子の活動亢進を阻止する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を活性化する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。
【0161】
この発明の関連する面は、精子の活動亢進を促進する化合物を同定する方法であって、(a)CatSperチャンネル活性を阻止する化合物を同定し;そして(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を促進するかどうかを測定することを含む当該方法を提供する。
【0162】
CatSperチャンネル活性を阻止するか又は活性化する化合物を同定することは、イオンチャンネルインヒビターの同定のための標準的方法を利用して達成することができる。幾つかの具体例において、CatSperチャンネルは、細胞において発現され、細胞内へのCa2+フラックス又はCatSperを透過できる他のイオンのフラックスをCatSper活性の読出しとしてモニターする。用いる細胞は、自然に、CatSperチャンネルを発現することができる。或は、CatSperチャンネルは、通常CatSperチャンネルを発現しない細胞で発現された組換えチャンネルであってよい。幾つかの具体例において、CatSper1、CatSper2、CatSper3、CatSper4、又はこれらの組合せは、組換えにより、CatSperチャンネル活性を活性化/阻止する化合物を同定するために、細胞で発現される。一具体例において、このCatSperチャンネルは、CatSper1ホモマルチマー、CatSper2ホモマルチマー、又はCatSper1/CatSper2ヘテロマルチマーである。
【0163】
米国特許出願第2005/0101767号及び2005/0202539号は、CatSperインヒビターを同定するために利用することのできる細菌ベースのスクリーニング方法を記載している。この2005/0202539号のアプローチは、実施例2に例示する。高スループットのスクリーニングに適したスクリーニング方法が好適である。カルシウムチャンネルのモジュレーターを同定するのに有用なスクリーニング方法は、WO01/59446号、WO0133219A3及び米国特許公開第2004/0038421号に記載されている。Gill等(2003) Assay Drug Dev Technol. (5):709-17は、イオンチャンネルモジュレーターを、フラックスアッセイを利用して同定する方法を概説しており、これは、CatSper機能のモジュレーターを同定するのに利用することができる。加えて、Xia等(2004) Anal Biochem;327(1):74-81は、カルシウムチャンネルのモジュレーターを同定するための細胞ベースの高スループットアッセイを記載している。
【0164】
上記の細胞ベースのスクリーニング方法の一具体例において、細胞は、もしステップ(a)において利用するならば、精子ではない。幾つかの具体例において、この細胞は、二倍体細胞である。細胞ベースのスクリーニング方法の他の具体例において、CatSperチャンネルは、CatSper1、CatSper2、CatSper3、CatSper4から選択するチャンネルである。一具体例において、CatSperチャンネルは、CatSper1ホモマルチマー、CatSper2ホモマルチマー、又はCatSper1/CatSper2ヘテロマルチマーである。
【0165】
ある具体例において、このCatSperチャンネルは、CatSper1、CatSper2、CatSper3、又はCatSper4の少なくとも2つのヘテロマルチマーである。この発明のスクリーニング方法は、如何なる特定の種類の化合物にも限定されない。核酸、ポリペプチド、ペプチド、小型分子、天然又は合成の分子、精製した化合物又は半精製化合物、化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリーなどは、すべて、この発明のスクリーニング方法において利用することができる。
【0166】
ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することは、精子又は精子集団をステップ(a)で同定された化合物と接触させることにより達成することができる。精子の活動亢進の変調は、標準的方法を利用してモニターすることができる。実施例2は、一つの好適な方法を例示している。Mortimer及びMortimer, (1990)「Kinematics of human spermatozoa incubated under capacitating conditions」Journal of Andrology, 11巻、第3版、195-203は、精子の活動亢進を定量的に検出するためのアッセイを記載している。精子の活動亢進の程度は、例えば、活動亢進された精子の数をそうでないものの数と比較することによってアッセイすることができる。適当な対照を利用することができる(例えば、精子集団における活動亢進の程度を、候補の化合物と接触させてないものと比較して測定する)。
【0167】
典型的具体例
この発明を、今、一般的に説明したが、それは、下記の実施例を参照することにより、一層詳細に理解されよう。該実施例は、単に、本発明のある面及び具体例を説明することを目的とするものであり、制限することを意図したものではない。
【0168】
この出願の何処かで参照された任意の特許、特許出願、特許公開、又は科学論文の内容を、参考として、そっくりそのまま本明細書中に援用する。
【実施例】
【0169】
実施例1:精子の運動性/活動亢進のモジュレーターの同定
CatSperチャンネル活性及び精子の活動亢進を変調する化合物を同定するための一般的ストラテジーを、図2に図解した。化合物又は候補の化合物のライブラリーを最初に、CatSperチャンネル例えばCatSper1チャンネルを発現する細菌において試験して、CatSperチャンネル活性を変調する化合物好ましくはチャンネル活性を阻害するものを同定する。米国特許公開第2005/0101767号及び2005/0202539号は、化合物を、このチャンネルを発現する細菌を利用してスクリーニングするのための典型的な方法を記載している。チャンネル活性を変調する薬剤は、細菌内へのカルシウムフラックスを変調することが予想される。
【0170】
次いで、候補の化合物を、イン・ビボの精子運動性/活動亢進アッセイで試験してそれらを、次の2つの基準によって分類する:(i)それらは、全体的な精子の運動性を増大させ、減少させ又は何の効果も有しないか;及び(ii)それらは、精子の活動亢進を増大させ、減少させ又は何の効果も有しないか。かかる二重の分類は、これらの2つのアッセイにおいて活性化の効果、阻害の効果を有するか又は何の効果も有しないかによって、化合物の9つのクラスを生じる。更なる構造に基づく候補の化合物を、更に、この精子活動亢進アッセイにおいて試験することができる。
【0171】
実施例2:CatSper1チャンネルモジュレーターの、コンピューター補助された精子運動性アッセイによるスクリーニング
化合物のライブラリーを、実施例1で概説した方法論を利用してスクリーニングした。化合物のライブラリーをスクリーニングして、CatSper1チャンネルを発現する大腸菌においてカルシウムインフラックスを阻止する化合物を、米国特許公開第2005/0202539号に記載のように同定した。このアプローチを利用して、細菌で発現されたCatSperチャンネルの活性を変調する幾つかの化合物を同定した。
【0172】
これらの化合物を、更に、試験して、精子の活動亢進を変調するそれらの能力を評価した。精子を、新たに得られた人の精液から、不連続勾配遠心分離により単離した。その精子を、0.5%「プラスマネート」を含む受精用媒質で洗った。精子を、0.5%プラスマネートを含む受精用媒質中で、約3時間、37℃でインキュベートした。試験すべき化合物を、DMSO中に約10mMの濃度に懸濁化して、−20℃で凍結保存した。化合物を、実験の日に解凍して、希釈しないで又はDMSO中に1:50で希釈して用いた。これらの化合物の1μLを、ピペットで96ウェルPCRプレートに取った(個々のウェルの容積は約200μL)。DMSOの対照の間に、これらの化合物を散在させた。これらの化合物の典型的ローディングを図3に示した。精子を分析して、約5×106の運動性精子/mLまで希釈した。約200μLの精子をプレートの各ウェルに加えた(最終的な化合物濃度50及び1μM)。この精子を、この化合物と5分間インキュベートしてから、試料を、コンピューター補助された精子分析(CASA)にて分析した。
【0173】
この精子と化合物を、55分間より長くインキュベートしてから分析した。試料を混合するタイミングの例を、図4に示した。約6.5μLの精子を、予め暖めた20ミクロンの深さのチャンバースライドに毛管現象によって載せた。このチャンバースライドを、予め暖めたIVOSに移した。IVOS(Hamilton-Thorne)は、これらの実験で用いた特定のCASAシステムであることに注意されたい。各視野の30の順次的イメージを、0.5秒のコースにおいて、IVOSにより捕らえて、20の視野を各試料から分析した。これは、チャンバー当たり約400の分析された個々の精子を生成する。精子の計数と運動分析をビデオ顕微鏡及び対象認識/追跡用ソフトウェアを利用して行なった。図5は、精子追跡アッセイにおける多数の化合物のスクリーニングについてのデータを示している。化合物No.8は、活動亢進を増進させるが、運動性に対する増進は殆ど示さず;試料No.15は、活動亢進を減じるが、運動性に対する阻止は殆ど示さない。89の化合物についてのスクリーニング結果を、図6にまとめた。
【0174】
実施例3:化合物738は、活動亢進を大いに且つ特異的に阻止する
化合物738による精子活動亢進の阻止を一層詳細に研究した。化合物738は、精子の活動亢進を投与量依存様式で阻止する(図7)。738の精子活動亢進の阻止についてのIC50は、投与量応答曲線において40μMであると測定された(図8)。738の構造を、図10の上段パネルに示した。
【0175】
実施例4:化合物354は、活動亢進を大いに且つ特異的に阻止する
化合物354による精子活動亢進の阻止も又、測定した。投与量応答研究において、354のIC50は、30μMであると測定された(図9参照)。354の構造を、図10の下段パネルに示した。
【0176】
実施例5:化合物738及び354の構造に基づく更なる化合物のデザイン及び試験
738及び354に関係する更なる化合物を、精子の活動亢進の特異的阻止について試験した。図11は、これらの試験した化合物の式を示している。図12は、精子の活動亢進の特異的阻止について試験した化合物の代表的な結果を示している。これらの化合物は、精子の活動亢進を特異的に阻止することが見出された。それらの構造を、図13に示した。
【0177】
実施例6:精子の活動亢進の特異的阻止のための構造的特徴の解明
活性及び不活性であった化合物に基づいて、4つの特徴が、精子の活動亢進の特異的阻止に重要であると測定された。これらは、図14に示してあり、それらは、次の通りである:(a)永久に帯電したN−O基;(b)カルボニル酸素;(c)大きい平面的な基;及び(d)左右対称。更なる化合物を、これらの特徴の重要性を支持して試験し、それらを図15〜18に示した。図16の下段パネルは、不活性であることが見出された更なる化合物を示している。
【0178】
実施例7:単一精子運動性アッセイにおけるCatSper1インヒビターの試験
構造(II)〜(VI)により表された化合物を、それらの精子活動亢進に対する効果について、単一精子運動性アッセイを利用して、Carlson等、(2003) PNAS 100(25), p.14864に記載されたように試験する。精子を2回洗ってから、分散させて、1〜2×107細胞/mlで貯蔵する。カリウムにより引き起こされる応答を、K8.6媒質(mM):135KCl、5NaCl、2CaCl2、1MgSO4、30TAPS[N−トリス(ヒドロキシメチル)−メチル−3−アミノプロパンスルホン酸]、10グルコース、10乳酸、1ピルビン酸(NaOHによりpH8.6に調節)を用いて生成する。受精能を獲得させる条件下でのインキュベーションのために、貯蔵した精子を、元の容積の暖めたスウィムアウト/受精能獲得用媒質中で沈降させて再懸濁させる。37℃で5%CO2中で90分経過後、細胞を再びNa7.4媒質(添加された15mM NaHCO3を伴うか又は伴わない)に沈降させて戻した。染料の積載及び測光のために、Indo−1アセトキシメチルエステル(AM)を2mMストック(DMSO中)から分取して10〜15%プルロニック127中に分散させ、20μM(0.25mlのNa7.4媒質中)まで希釈してから、直ぐに等容の精子懸濁液と混合する。15〜20分後に、細胞を、1mlのNa7.4媒質に希釈して沈降させてから、新鮮な媒質に再懸濁して、使用前に1〜5時間インキュベートする。細胞(10μl)を、約5平方mmの00番カバースリップに加えて約5分間沈降させる。局所的潅流装置を、0.5秒未満の推定交換時間で、様々な試験溶液に適用する。測光測定を記載されたように行ない(Wennemuth等、(2000) J.Biol.Chem. 275, 21210-21217;Wennemuthet等、(2003) Development 130, 1317-1326)、Igor(Wavemetrics, オレゴン、Lake Oswego)におけるように分析する。統計分析をEXCEL(Microsoft, ワシントン、Redmond)にて行なう。すべての結果は、特記したものを除いて、平均±SEMで与えてある。
【0179】
cAMPの浸透体Ester Loadingのために、cAMP−AMを、20mMストック(DMSO中)から分取して、10〜15%プルロニック127中に分散させ、120μMまで希釈して(0.25mlのNa7.4媒質中)から直ぐに等容の精子懸濁液(indo−1AMを予備配合してあるもの又はしてないもの)と混合する。30分後に、アリコート(5〜10μL)をイメージングのために試料チャンバーに加える。細胞を、潅流の持続時間を最少にしそれにより膜透過エステルの流出を減じたプロトコール(Schultz等(1994) Mol.Pharmacol. 46, 702-728)を用いて試験する。波形分析のためのイメージを、記載されたように集める(Wennemuth等(2003) Development 130, 1317-1326)。簡単にいえば、細胞を、倍率40倍、開口数0.65の対物レンズを用いて、倒立顕微鏡(Nikon Diaphot)で調べる。特注のストロボ電源により生成される照明ライトの短いフラッシュ(1〜2m秒)の引き金を、フレーム移行電荷結合素子カメラ(TCP512;Roper Scientific, ニュージャージー、Trenton)のコントローラーモジュールからの同期化シグナルによるフレーム当たり一回、引く。イメージを、カメラチップの128_128ピクセル領域から、METAMORPH(Universal Imaging, ペンシルベニア、Downington)の管理下で、30Hzで集めて、TIFF形式で保存する。その後の分析は、うなり周波数及び振幅を与えるIGOR(Wavemetrics, オレゴン、Lake Oswego)で書かれたソフトウェアルーチンを利用して、角偏差(タンジェント角)を、追跡した鞭毛の長さ(弧長)に沿って0.5μm間隔で評価した。時間平均したタンジェント角対鞭毛に沿った長さのデータ(剪断曲線)は、鞭毛ビートの非対称(2)を与える;ポリマー機構の一般的検討については、Howard, J. (2001) Mechanics of Motor Proteins and the Cytoskeleton (Sinauer, マサチューセッツ、Sunderland), p.99-116を参照されたい。
【0180】
精子を化合物(II)〜(VI)で、それらの濃度を上げながら処理した場合、精子の活動亢進は、該化合物の投薬量を増大させるにつれて低下した。
【0181】
実施例8.CatSper1流れの阻止
構造(II)〜(VI)により表される化合物を、それらの、単一精子における、Ca2+の流れに対する効果について、Kirichok Y, Navarro B, Clapham DEの「精子の全細胞パッチクランプ測定は、アルカリ活性化されたCa2+チャンネルを示す」Nature. 2006 2月9日;439(7077):737-40に記載されたように試験する。このアッセイを利用することにより、化合物(II)〜(VI)の濃度が、野生型精子において、Ca2+の流れを低下させることが示される。しかしながら、これらの化合物は、CatSper1−/−精子からのCa2+の流れに対して殆ど効果を有しない。
【0182】
実施例9.化合物(II)〜(VI)で処理したマウスにおけるイン・ビボでの受精能力の阻止
構造(II)〜(VI)により表される化合物を、男性及び女性の受精能力に対する効果について試験する。C57BL/6マウスを、標準的な不妊症でない条件下で収容する。これらのマウスに水を自由に摂取させ、ペレット化した食事(膨張させたラット及びマウス用食事3、SDS, 英国、エセックス、Witham)を、薬物投与前に与える。これらの化合物の各々を与えるために、これらのマウスに、これらの5種類の化合物の何れか一つを含む粉末化したマウス用食事(膨張させたラット及びマウス用食事1、粉砕物、SDS)を給餌し、一組の対照用動物には化合物なしで給餌する。この食餌と化合物(両方とも乾燥した固体)は、徹底的に混ぜて、室温で貯蔵し、混合から7日以内に使用する。6週齢の雄のC57BL/6マウスを4匹の処理してない雌のC57BL/6マウスと共にケージに収容して、標準的なペレット化食事を与える。雌は、11週齢以上であり、各実験において同じ週齢とする。この雄を、7又は9日後に雌から、この実験に依って離し;雌を、膣粘液栓、妊娠、及び同腹子(居る場合)の大きさについてモニターする。雌の受精能力に対する如何なる効果をも研究するために、6週齢の雌のC57BL/6マウスを、5種類の化合物の各々で処理し、又は化合物なしで処理し(5週間)、その後、それぞれを、未処理の同じ週齢の雄と共にケージに4日間収容する。
【0183】
これらの5種類の化合物の各々で処理した雄のマウスは、濃度依存性の受精能力の、未処理マウスと比較しての低下を示す。同様に、これらの5種類の化合物の各々を摂取した雌のマウスは、受精能力における未処理の雌と比較しての統計的に有意の低下を示す。この受精能力の低下は、全妊娠数の減少並びに減少した同腹子の大きさに反映されている。これらの5種類の化合物の長期間の摂取は、生殖ホルモンレベル、血清の生化学又は動物の行動に、雌雄において、影響しない。
【0184】
実施例10.化合物(II)〜(VI)で処理したマウスにおけるイン・ビボでの受精能力の可逆的阻止
マウスを、実施例9におけるように処理するが、但し、化合物の経口投与を、2月後は止める。雌雄のマウスの両方の受精能力を、その後6月間モニターする。雌雄のマウスは、共に、時間依存様式で、正常の受精能力レベルを回復する。
【0185】
実施例11.電気生理学的記録における、化合物(II)による、マウスにおけるCatSper1の流れの阻止
化合物(II)を、精子の活動亢進に対する効果について、Kirichok Y, Navarro B, Clapham DEの「精子の全細胞パッチクランプ測定は、アルカリ活性化されたCa2+チャンネルを示す」Nature. 2006;439(7077):737-40に記載されたように、単一精子運動アッセイを利用して試験した。マウス精子を、Kirichokに記載されたように用意した。
【0186】
パッチピペットを、精子細胞の細胞質液滴(CD)に加入した。精巣上体体由来の精子のCDは一層虚弱でないので、かかる精子を用いた。最も成熟した精子(主部すぐ隣に位置したCDを有するもの)を実験用に選択した。Cs−メタンスルホネートベースの溶液を用いてのピペット抵抗は、6〜13MΩであった。全細胞構成におけるアクセス抵抗は、25〜120MΩであった。このピペット溶液(mM)は、次の通りであった:140Cs−メタンスルホネート、5NaCl、10HEPES、10EGTA、pH7.2(CsOHでpH調節)。
【0187】
このパッチピペットと細胞質液滴との間のシールは、HS浴溶液(Kirichok Y, Navarro B, Clapham DEの「精子の全細胞パッチクランプ測定は、アルカリ活性化されたCa2+チャンネルを示す」Nature. 2006 2月9日;439(7077):737-40)にて形成された。ならし運転後、浴溶液を次の記録溶液に交換した:150Naグルコネート、10HEPES、2Na3HEDTA及び2EGTA、pH7.4(NaOHでpHを調節)。CaCl2をこの溶液に、WinMAXC v2.05プログラム(C. Patton, スタンフォード大学)に従って加えて、約2マイクロモルの遊離[Ca2+]を生じた。
【0188】
化合物(II)即ち3,4−ビス(2−チエニルカルボニル)−1,2,5−オキサジアゾール−2−イウム−2−オレートの20マイクロモル溶液を、100mM DMSOストックから上記の記録溶液にて調製した。これらの溶液の浸透圧は、約303mモルkg-1であった。
【0189】
膜電位を、0mVに維持した。5秒ごとのCatSper流れを、400ミリ秒のコースにわたる−100mV〜+100mVの電圧ランプの適用によってモニターした。ならし運転後に、細胞を、CatSper流れの定常状態レベルが認められるまでモニターした(+80mVでプロット)。化合物IIを加えて、この流れを、定常状態ブロックが達成されるまでモニターした(通常、2〜3走査)。定常状態ブロックを、5〜6走査につきモニターした。この化合物の除去後、CatSper流れは、急速に非ブロックレベルに戻った。シグナルを10kHzでサンプリングして、2.9kHzでフィルターをかけた。直列抵抗を、記録の全体にわたってモニターした。
【0190】
化合物(I)及び(III)〜(VI)を、このアッセイで同様に試験する。化合物(I)及び(III)〜(VI)は、CatSper流れにおける定常状態ブロックを濃度依存的様式で引き起こすことが予想される。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】正常な運動性即ち「前方直進性」の運動(上段パネル)を、活動亢進(活動亢進され又は活動亢進された運動;下段パネル)と比較して図式表示を示している図である。
【図2】CatSperチャンネル活性のモジュレーター並びに精子の運動性及び活動亢進のモジュレーターの同定のための一般的ストラテジーを示している図である。
【図3】化合物の、精子の運動性及び活動亢進に対する効果(エキス・ビボ)についての試験(二連)を示している図である。
【図4】89の化合物の、精子の運動性及び活動亢進に対する効果(エキス・ビボ)についての試験(二連)の実験結果を示している図である。
【図5】化合物738を用いた精子の活動亢進の選択的阻止を示している図である。
【図6】精子の活動亢進の化合物738への応答における投与量応答を示している図である。
【図7】化合物354に対する精子の活動亢進の投与量応答を示している図である。
【図8】化合物738(上段パネル)及び354(下段パネル)の構造を示している図である。
【図9】A〜Jは、精子の活動亢進の特異的阻止について試験した更なる化合物の構造を示している図である。
【図10】化合物の、精子の活動亢進の特異的阻止についての代表的な試験を示している図である。
【図11】精子の活動亢進を特異的に阻止することが見出された3種類の化合物を示している
【図12】精子の活動亢進の阻止に重要であることが見出された構造エレメントの図解を示している図である。
【図13】精子の活動亢進の特異的阻止に対する平面(チオフェン/フェニル)部分の重要性を示している図である。
【図14】精子の活動亢進の特異的阻止に対するカルボニル酸素の重要性を示している図である。
【図15】精子の活動亢進の特異的阻止に対する対称性の重要性を示しているである。
【図16】精子の活動亢進の特異的阻止に対する帯電したN+−O−部分の重要性を示し(上段パネル)、更に、精子の活動亢進を特異的に阻止しなかった他の化合物を与える(下段パネル)図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻止する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物。
【請求項2】
(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSperチャンネル活性を阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物。
【請求項3】
(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1含有チャンネルの活性を阻害する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物。
【請求項4】
(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1含有チャンネルの活性を阻害し且つ精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻止する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一つに記載の組成物であって、化合物が下記式により表され:
【化1】

(式中、Wは、CR’又はNであり、ここに、R’は、低級アルキル又は水素であり;
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、又は製薬上許容しうるこれらの塩である当該組成物。
【請求項6】
WがNである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
XがOである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
YがC=Oである、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
R’がHである、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
2つのY−R置換基が同じである、請求項5に記載の組成物。
【請求項11】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す、請求項5に記載の組成物。
【請求項12】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
化合物を、下記:
【化2】

又はこれらの製薬上許容しうる塩から選択する、請求項5に記載の組成物。
【請求項14】
組成物が、医薬組成物である、請求項5に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも一種の避妊薬を更に含む、請求項1〜4の何れか一つに記載の組成物。
【請求項16】
避妊薬を、ノルゲスチメート(NGM)、エチニルエストラジオール(EE)及び17−βエストラジオール(E2)、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、酢酸クロルマジノン、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲスコル、リネストレノール、キンゲスコン、酢酸エチノジオール、及びジメチステロンから選択する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
抗勃起機能障害剤を更に含む、請求項1〜4の何れか一つに記載の組成物。
【請求項18】
抗勃起機能障害剤を、血管平滑筋弛緩剤、α−アドレノセプターアンタゴニスト及び男性ホルモンから選択する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、注射薬、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー又はスポンジとして配合される、請求項1〜18の何れか一つに記載の組成物。
【請求項20】
(i)製薬上許容しうるキャリアー及び(ii)CatSper1チャンネルへの結合につき下記式により表されるCatSper1チャンネルモジュレーターと競合する化合物又は製薬上許容しうるその塩を含む組成物:
【化3】

(式中、Wは、CR’又はNであり、ここに、R’は、低級アルキル又は水素であり;
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。
【請求項21】
WがNである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
XがOである、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
YがC=Oである、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
R’がHである、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
2つのY−R置換基が、同じである、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す、請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
化合物を下記:
【化4】

又は製薬上許容しうるこれらの塩から選択する、請求項20に記載の組成物。
【請求項29】
下記を含む受胎調節用デバイス:
(i)コンドーム;及び
(ii)下記式により表される構造式により表される化合物
【化5】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、又は製薬上許容しうる該化合物の塩。
【請求項30】
少なくとも一種の潤滑剤、加温用組成物、殺精子剤、減感剤又は誘勃起用組成物を更に含む、請求項29に記載の受胎調節用デバイス。
【請求項31】
化合物を下記より選択する、請求項30に記載の組成物:
【化6】

又は製薬上許容しうるこれらの塩。
【請求項32】
細胞におけるCatSper1チャンネルの活性を低下させる方法であって、該細胞を、下記式により表される化合物:
【化7】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、又は製薬上許容しうる該化合物の塩と接触させることを含む当該方法。
【請求項33】
細胞内へのCa2+インフラックスを低下させる方法であって、その細胞を下記式により表される化合物:
【化8】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、
又は製薬上許容しうる該化合物の塩と接触させることを含む当該方法。
【請求項34】
細胞が精子である、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
精子の活動亢進を選択的に低下させる方法であって、その精子を、下記式により表される化合物又はその製薬上許容しうる塩と接触させることを含む当該方法:
【化9】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。
【請求項36】
精子が哺乳動物の精子である、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
哺乳動物が雌の哺乳動物である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
男性患者の生殖能力を低下させる方法であって、その男性に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物を投与することを含む当該方法。
【請求項39】
男性患者における可逆的不妊を引き起こす方法であって、該男性に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物投与することを含む当該方法。
【請求項40】
避妊方法であって、男性患者に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物を投与することを含む当該方法。
【請求項41】
避妊方法であって、女性患者に、(i)CatSper1チャンネル活性を低下させ;(ii)精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害し;又は(iii)これら両方の性質を有する化合物を投与することを含む当該方法。
【請求項42】
CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物が、下記の構造により表され:
【化10】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)、又はその製薬上許容しうる塩である、請求項38〜41の何れか一つに記載の方法。
【請求項43】
WがNである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
XがOである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
YがC=Oである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
R’がHである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
2つのY−R置換基が、同じである、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
化合物が下記から選択する式により表され:
【化11】

又は製薬上許容しうるその塩である、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記の化合物が、注射用配合物、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー及びスポンジから選択する配合物中に存在する、請求項38〜50の何れか一つに記載の方法。
【請求項52】
化合物を、前記の女性の膣、子宮及び卵管の少なくとも一つに投与する、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物が、CatSper1チャンネルへの結合につき、下記の構造:
【化12】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)により表されるCatSper1チャンネルモジュレーター、又はその製薬上許容しうる塩と競合する、請求項38〜41の何れか一つに記載の方法。
【請求項54】
男女患者間の接合生殖能力を低下させる方法であって、該男性及び女性に、精子の活動亢進を阻害する化合物を投与することを含む当該方法。
【請求項55】
化合物が下記の構造により表される化合物又はその製薬上許容しうる塩であり、又は下記の構造により表される第二の化合物又はその製薬上許容しうる塩とCatSper1チャンネルへの結合について競合する、請求項54に記載の方法:
【化13】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。
【請求項56】
化合物が、CatSperチャンネルのインヒビターである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
CatSperチャンネルが、CatSper1チャンネルである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
患者が、ヒト患者である、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
患者が、非ヒト哺乳動物である、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、男性患者の生殖能力を低下させる医薬の製造における利用。
【請求項61】
CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、男性患者に可逆的な不妊性を引き起こす医薬の製造における利用。
【請求項62】
CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、男性患者における避妊のための医薬の製造における利用。
【請求項63】
CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物の、女性患者に可逆的な不妊性を引き起こす医薬の製造における利用。
【請求項64】
CatSper1チャンネル活性を低下させる化合物が、下記の構造により表され、又はその製薬上許容しうる塩である、請求項60〜63の何れか一つに記載の利用:
【化14】

(式中、Wは、CR’又はNであり(ここに、R’は、低級アルキル又は水素である);
Xは、O又はSであり;
Yは、各出現につき独立に、C=O、C=S又はSO2であり;そして
Rは、各出現につき独立に、置換された又はされてないアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル又はヘテロシクリルアルキルを表す)。
【請求項65】
WがNである、請求項64に記載の利用。
【請求項66】
XがOである、請求項64に記載の利用。
【請求項67】
YがC=Oである、請求項64に記載の利用。
【請求項68】
R’がHである、請求項64に記載の利用。
【請求項69】
2つのY−R置換基が、同じである、請求項64に記載の利用。
【請求項70】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてない分枝アルキル(例えば、イソプロピル又はt−ブチル)、分枝アルケニル、分枝アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アルアルキル、ヘテロアルアルキル、カルボシクリルアルキル、又はヘテロシクリルアルキルを表す、請求項64に記載の利用。
【請求項71】
Rが、各出現につき独立に、置換された又はされてないアリール又はヘテロアリールを表す、請求項70に記載の利用。
【請求項72】
化合物が、下記より選択する式:
【化15】

により表され又は製薬上許容しうるこれらの塩である、請求項64に記載の利用。
【請求項73】
前記の化合物が、注射薬、経皮パッチ、生物侵食性インプラント、潤滑剤、湿潤剤、発泡剤、ジェリー及びスポンジよりなる群から選択する配合物中に存在する、請求項60〜72の何れか一つに記載の利用。
【請求項74】
前記の化合物が、精子の活動亢進を、精子の運動性を超えて優先的に阻害する、請求項60〜72の何れか一つに記載の利用。
【請求項75】
化合物が、前記の女性の膣、子宮及び卵管の少なくとも一つへの投与に適している、請求項60〜72の何れか一つに記載の利用。
【請求項76】
過剰の精子の活動亢進を有する男性患者の生殖能力を増大させる方法であって、該男性患者に治療上有効な量の請求項1〜14の何れか一つに記載の組成物を投与することを含む当該方法。
【請求項77】
過剰の活動亢進を有する精子を注入された女性における生殖能力を増大させる方法であって、該女性患者に治療上有効な量の請求項1〜14の何れか一つに記載の組成物を投与することを含む当該方法。
【請求項78】
組成物を、精液注入の前に、精液注入と同時に、又は精液注入後に、女性患者に投与する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
薬物を発見する事業を実施する方法であって、
(a)CatSper1チャンネル活性と拮抗する少なくとも一つの薬剤を同定し;
(b)ステップ(a)で同定された薬剤又はその類似体が精子の活動亢進及び精子の運動性を阻害するかどうかを測定し;
(c)ステップ(b)で活動亢進のインヒビターであるが運動性のインヒビターでないと同定された薬剤を、少なくとも一つの動物モデルにおける効力及び毒性についての治療プロファイリングを行ない;そして
(d)ステップ(c)で許容しうる治療プロフィルを有するとして同定された少なくとも一つの薬剤を含む医薬製剤を配合することを含む当該方法。
【請求項80】
医薬製剤を販売のために配給するシステムを樹立するステップを更に含み、適宜、医薬製剤のマーケティングのための販売グループを樹立することを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
生殖医学事業を実施する方法であって、
(a)生殖能力の問題を有する男性患者からの精子試料を検査し;
(b)該精子が過剰な活動亢進により特徴付けられるかどうかを測定し;
(c)該男性における過剰な活動亢進を低下させるのに有効な量のCatSper1チャンネルアンタゴニストを投与することを含む治療養生法を樹立することを含む当該方法。
【請求項82】
ステップ(c)の前に、過剰な活動亢進の低下におけるCatSper1チャンネルアンタゴニストの効力を測定するためのイン・ビトロ分析を行なうステップを含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記の男性を内科医が監視して生殖能力の改善を評価するステップを更に含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
患者又は患者の健康管理プロバイダーに請求書を送るステップを更に含む、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
精子の活動亢進を阻止する化合物を同定する方法であって、
(a)CatSperチャンネル活性を阻害する化合物を同定し;そして
(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を阻害するかどうかを測定することを含む当該方法。
【請求項86】
精子の活動亢進を促進する化合物を同定する方法であって、
(a)CatSperチャンネル活性を阻害する化合物を同定し;そして
(b)ステップ(a)で同定した化合物が精子の活動亢進を促進するかどうかを測定することを含む当該方法。
【請求項87】
精子の活動亢進を阻止する化合物を同定する方法であって、
(a)CatSperチャンネル活性を活性化する化合物を同定し;そして
(b)ステップ(a)で同定された化合物が精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することを含む当該方法。
【請求項88】
精子の活動亢進を促進する化合物を同定する方法であって、
(a)CatSperチャンネル活性を阻害する化合物を同定し;そして
(b)ステップ(a)で同定した化合物が精子の活動亢進を促進するかどうかを測定することを含む当該方法。
【請求項89】
化合物が、小型分子である、請求項85〜88の何れか一つに記載の方法。
【請求項90】
CatSperチャンネル活性が、CatSper1チャンネル活性である、請求項85〜88の何れか一つに記載の方法。
【請求項91】
ステップ(b)が、ステップ(a)で同定された化合物が、精子の運動性の阻止と比較して又は精子の生存力の阻止と比較して精子の活動亢進を阻止するかどうかを測定することを含む、請求項85〜88の何れか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図9I】
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【図9J】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−543863(P2008−543863A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517096(P2008−517096)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/023253
【国際公開番号】WO2006/138428
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507372475)ハイドラ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】HYDRA BIOSCIENCES,INC.
【住所又は居所原語表記】790 Memorial Drive,Suite 203,Cambridge,MA 02139 U.S.A.
【Fターム(参考)】