精子採取器の加温具、及び加温方法


【課題】加温具を用いた精子採取器のコア部材の加温時にコア部材内部のローションが漏れ出すことを確実に防止し、しかも洗浄できない加温具の主要部がローションにより汚損されることを防止する。
【解決手段】ベース台座51の一面に突設された凸状加温部材56、及びベース台座面に設けられた凹状の精子採取器支持面57を有した加温具本体55と、凸状加温部材を発熱させる電熱ユニット60と、凸状加温部材を一端開口から内部に嵌合して熱伝導を受ける棒状凸部71、及び棒状凸部の一端開口側から鍔状に延びて精子採取器支持面を覆う凹状のフランジ部73を有した中カバー70と、内部に凸状加温部材を嵌合させた棒状凸部を、コア部材の挿入口から挿入空所内に挿入することにより該コア部材の一端面をフランジ部の凹状部に嵌合させた状態で精子採取器を覆う外カバー80と、を備えた。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的な研究、治療のための要請や、性犯罪防止、買春防止、及び性感染症の蔓延防止等の社会的な要請に基づいて従来から使用されてきた精子採取器の加温具に関し、特に冬季、寒冷地のように外気温度が体温を大幅に下回る環境下において、精子採取器の内部温度を体温に近い温度に高めて使用感を高めることができる加温具、及び加温方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医学的な研究や治療上の必要から、男性の精子を採取するための精子採取器が種々提案されている。例えば、夫婦間の不妊の原因を究明するために採取した精子から夫の性機能を検査したり、性機能障害を治療したり、人工授精のために精子を確保する等の医学的な必要性のために精子採取器が使用される。更に、個人的な性的欲求を解消させることによる性犯罪の予防、買春防止、性感染症感染者数の減少等の種々の社会的なニーズを満たすためにも、従来から低廉に入手することができ、しかも使い捨てタイプであるために衛生上、健康上の問題も惹起しない簡易な精子採取器が知られている。
また、最近では健常者のみならず、各種養・介護施設における高齢者や障害者の性的欲求処理の必要性が着目されており、このような要請を満たすことができる簡易な精子採取器の開発が求められている。
例えば、実用新案登録第3076627号には、円筒状の容器本体内に、内部に深い凹部空間を有するゲル状の合成樹脂製(スチレン系熱可塑性エラストマー)の内装材を設け、当該内装材の内面には凹部空間へ突出した複数の小突起、及び、襞状部を設けると共に、上記内装材の周囲を覆うようにウレタン樹脂からなる外装材を設けた精子採取器が提案されている。この精子採取器は、所要の硬度、肉厚を有したプラスチック製の円筒体から成る容器本体内に収納されたゲル状合成樹脂の内装材の凹部空間内にペニスを挿入した状態で容器本体を把持してペニス摺擦のための往復操作を行うように構成されている。
また、本出願人は、WO2006/132125、特開2006−334176公報、特開2006−340870公報、特開2006−340871公報において、容器本体内にゲル状樹脂製のコア部材を収容した精子採取器を提案した。
【0003】
しかし、ゲル状樹脂製のコア部材は外気温度と同等の内部温度を有しているため、外気温度が低い場合、特に、コア部材の内部温度が使用者の体温に対して例えば15〜20℃以上低い場合には、ペニス挿入時に体温を奪われることによる違和感、不快感が強くなり、使用感が悪化したり、ペニスが萎縮するという不具合が発生する。
このような不具合を解決するためには、ヒーターを用いて精子採取器、特にコア部材を外側から加温して体温に近づければよいが、これまで最適な専用ヒータは開発されていない。使用前に湯に浸漬して加温したり、赤外線ヒーターや電子レンジで加温することも行われているが、過熱して高温状態となったり、或いは使用時には熱が低下してしまうという保温上の問題があった。
このように精子採取器は熱伝導性の低い樹脂製の容器本体内にコア部材を固定した構成を有しているため、容器本体外部からの加温によってコア部材内部を適正温度に加温することは容易でなかった。また、このような加温方法では、加温に長時間を要したり、過熱状態となることによる安全性上の問題も惹起しかねない状況にある。
【特許文献1】実用新案登録第3076627号
【特許文献2】WO2006/132125
【特許文献3】特開2006−334176公報
【特許文献4】特開2006−340870公報
【特許文献5】特開2006−340871公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のようにゲル状樹脂から成るコア部材をプラスチック容器内に収容してキャップにより封止したタイプの精子採取器にあっては、外気温度の低下に伴ってコア部材内部温度が低下して使用者の体温との間に大幅な温度差がもたらされるため、ペニス挿入時に体温を奪われることによる違和感が強くなり、使用感が悪化したり、ペニスが萎縮するという不具合があった。外部から加温することも可能ではあるが、過熱、保温不良等の問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、プラスチック容器内にゲル状樹脂製コア部材を収容してキャップにより封止したタイプの精子採取器において、コア部材を内部から集中的に、且つ適正温度に加温することにより、短時間で、しかも安全に体温に近い温度に昇温させて使用感を常に良好に維持することができる精子採取器の加温具、及び加温方法を提供することを目的としている。
また、加温具を用いたコア部材の加温時にコア部材内部のローションが漏れ出すことを確実に防止し、しかも洗浄できない加温具の主要部がローションにより汚損されることを防止することを他の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る精子採取器の加温具は、軸方向一端面に挿入口を備えた中空のコア部材を少なくとも備えた精子採取器の挿入口内部を加温する加温具であって、ベース台座、該ベース台座の一面に突設された凸状加温部材、及び該ベース台座面に設けられた精子採取器支持面を有した加温具本体と、前記加温具本体に配置されて前記凸状加温部材を発熱させる電熱ユニットと、前記凸状加温部材を一端開口から内部に嵌合して熱伝導を受ける棒状凸部、及び該棒状凸部の一端開口側から鍔状に延びて前記精子採取器支持面を覆う凹状のフランジ部を有した中カバーと、を備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係る精子採取器の加温方法は、ベース台座、該ベース台座の一面に突設された凸状加温部材、及び該ベース台座面に設けられた精子採取器支持面を有した加温具本体と、前記加温具本体に配置されて前記凸状加温部材を発熱させる電熱ユニットと、前記凸状加温部材を一端開口から内部に嵌合して熱伝導を受ける棒状凸部、及び該棒状凸部の一端開口側から鍔状に延びて前記精子採取器支持面を覆う凹状のフランジ部を有した中カバーと、を備えた加温具を用いて、軸方向一端面に挿入口を備えた中空のゲル状樹脂製のコア部材を備えた前記精子採取器の挿入口内部を加温する方法であって、前記挿入口を上向きに支持した前記コア部材の挿入口から前記中カバーの棒状凸部を挿入して前記フランジ部の凹状部を該コア部材挿入口周縁に圧接させる中カバー連結工程と、前記中カバーと連結された前記精子採取器の上下を反転させて前記ベース台座の凸状加温部材に、前記中カバーの一端開口を挿入して前記フランジ部を前記精子採取器支持面に着座させる着座工程と、前記電熱ユニットに電力を供給して前記凸状加温部材を発熱させる発熱工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、安全、且つ効果的に精子採取器を構成するコア部材内部を加温して使用感を高めることができる。従来のように湯やヒーターを用いて精子採取器の外側から加温する場合には、内部のコア部材を適正温度にまで昇温させることが容易ではない。即ち、高温、短時間でコア部材を適正温度に昇温させようとすれば、精子採取器の外側容器全体が高温になるため、火傷の原因となる。また、比較的低温でコア部材を適正温度に昇温させようとすれば長時間を要するという問題が生じる。本発明の加温具は、コア部材内部に挿入される加熱手段によりコア内部の最適温度への昇温を短時間で行い、更にサーモスタットにより最適温度の保温、温度過昇防止を行っているので、精子採取器の外側が過熱状態になることもなく、安全性に優れる。
また、洗浄できない加温部材に中カバーを被せているので、精子採取器内のローションが加温部材に付着することもなく、清潔な状態を維持することができる。加温部材を洗浄することによる故障も防止できる。
また、中カバーによってコア部材の挿入口を閉止してから、加温部材にセットすることになるので、ローション漏れを確実に防止できる。
【0007】
本発明に係る加温具による加温対象となる精子採取器は、確かに医学的な目的以外にも、個人的な性欲を解消するための手段として使用されることはあるが、この様な用途に供されることのある精子採取器だからといって公序良俗を乱す商品であると断定するのは、早計であり、偏見である。この種の商品が性犯罪防止、性感染症の拡散防止等に如何に役立つか、という広い視野に立って特許権を付与する価値があるか否かをご判断頂きたい。
因みに以下の3つの事例は事実に基づいており、これらの社会的要請を満たす手段として精子採取器が役立つことは疑いのない事実である。なお、当然のことながら、本発明に係る精子採取器自体は未公開、未公知の状態にある。
まず、本出願人からの要請により、タイ赤十字エイズ研究センター(The Thai Red Cross AIDS Research Center: http://www.redcross.or.th/english/aboutus/aids.php4)
及びPDA(Population and Community Development Association http://www.pda.or.th/eng/)が、本出願人の開発に係る各種精子採取器を使用した男性の性行動調査を行うべく準備中である。本調査内容は、精子採取器を使用することで、男性(HIV感染者、非感染者、ゲイ、バイセクシュアル、ノーマル含む)の性欲の高まりを鎮めたり、性的リスク行動を抑制したりする効果が認められるか否かを調査するものである。現在同センターで調査の準備を進めている。
【0008】
また、本出願人は、自ら開発した精子採取器を、神奈川県相模原市にある特別養護老人ホームに無償提供しており、高齢者の性的欲求の解消のための試行を行っている。即ち、高齢者のQOL(クオリティオブライフ)にとって「性」の部分の重要性は昨今指摘されている通りであり、こういった施設で起こるトラブルの8割方が男女問題、言うなれば色恋事と密接に絡んでいると言われる。本出願人が過去に製造、販売してきた精子採取器は、高齢男性が「性」を楽しむ補助となっており「生きがい」や「生きる喜び・愉しみ」を提供することを通じ、QOLの向上に貢献していることが明かとなっている。
また、我が国ではこれまで障害者の「性」に関してはなぜか長らく語られてこなかった。人間の根源的な欲求の一つであるはずの「性欲」を、障害者には無いものとし、蓋をし続けてきた。本出願人は、「誰もが性を楽しめる社会づくり」という理念実現の一環として、障害者の性に対してもアプローチを続けている。障害児を持つ親への商品提供、中等養護学校教諭から、自閉症児へのマスターベーション指導に関する相談への対応等を行っている。また、現在、北海道にある知的障害者施設でのマスターベーション介助のために、本出願人が開発した各種の精子採取器、及び加温具の使用を進めている最中である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る精子採取器の外観斜視図、図2(a)及び(b)は当該精子採取器の正面図、及び底面図、図3は精子採取器の分解斜視図、図5は精子採取器の構成を示す縦断面図である。
本発明に係る加温具による加温対象物としての精子採取器1は、適度な肉厚と硬度を有した樹脂材料から構成され長手方向一端面が開口した筒状の容器本体3、及び容器本体3の開口部4に脱着してこれを開閉するキャップ5から成る容器2と、容器本体3内に収容され、長手方向一端面の挿入口11から内部に延びる挿入空所12を有したゲル状樹脂製のコア部材10と、コア部材10と容器本体内壁との間に介在するスポンジ層20と、を備えている。コア部材10は挿入口11を形成した一端面が開口部4側に位置するように組み付けられる。
容器本体の他端部3aには必要に応じて抜気用の小孔3bを形成しておき、未使用時には図示しないシールにより封止しておく。
【0010】
コア部材10は、エラストマーのような粘性を有したゲル状の樹脂、或いはゲル状のゴム等から構成された袋状体であり、その挿入側端面には大径、厚肉のフランジ部13を備えると共に、小径の挿入口11の内部には挿入口よりも大径の挿入空所12が連通して形成されている。挿入空所12内には任意の配置にて突起、襞等が形成されている。
コア部材10の長手方向一端部には、その端面に挿入口11を有した中空のフランジ部13を有し、挿入口11の内部には挿入空所12が設けられている。
挿入口11の外周、即ちフランジ部13の外側面は曲面状に膨出しており、後述する加温具の凹状の支持面と密着できるように構成されている。
挿入空所12内には、予め、或いは使用直前に図示しないローション容器内に収容されたローションを充填して使用時における人体側と挿入空所内壁との潤滑性を高めておく。
この精子採取器の使用に関しては、コア部材の挿入口11からペニスを挿入する。この状態で、容器本体を使用者が手に把持して、コア部材内壁とペニスとの摺擦動作を繰り返すことにより、射精を促進する。
【0011】
次に、図5(a)(b)(c)及び(d)は本発明の一実施形態に係る加温具の外観構成を示す正面図、側面図、縦断面図、及び底面図であり、図6は加温具の分解斜視図であり、図7はベース台座、及び電熱ユニットの分解斜視図であり、図8は中カバーと外カバーの正面図であり、図9は電熱ユニットの回路図であり、図10、及び図11は加温具の操作手順を示す説明図であり、図12は加温具の断面図である。
本発明の特徴をなす加温具50は、この精子採取器の使用に先立ってコア部材内部を加温するために、発熱させた加温具の一部(凸状加温部材)を中カバーを装着した状態で挿入口11からコア部材内部に挿入することにより、挿入空所12内部を体温に近い温度にまで昇温させ、保温する手段である。
加温具50は、軸方向一端面に挿入口11を備えた中空のゲル状樹脂製のコア部材10を備えた精子採取器の挿入空所12を加温する手段であって、ベース台座51、ベース台座51の上面(一面)に突設された略棒状の凸状加温部材(加温部材)56、及び凸状加温部材56を中心部に有したベース台座上面に設けられた凹状の精子採取器支持面57を有した加温具本体55と、加温具本体55内外に配置された電熱ユニット60と、凸状加温部材56を一端開口72から内部に嵌合して熱伝導を受ける棒状凸部71、及び棒状凸部の一端開口72側端部から鍔状に延びて精子採取器支持面57を覆う凹状のフランジ部73を有した中カバー(カートリッジ)70と、中カバー外面を覆って汚れを防ぐための外カバー80と、を備えている。
なお、外カバー80は、内部に凸状加温部材56を嵌合させた棒状凸部71を、コア部材の挿入口11から挿入空所12内に挿入することによりコア部材の一端面をフランジ部の凹状部74に嵌合させた状態で精子採取器を覆う保温手段としてもよい。
ポリプロピレン等の樹脂材料から成るベース台座51と凸状加温部材56は一体成形され、ベース台座51の底面の開口は蓋板52とビス53によって閉止される。
【0012】
図7、及び図9の回路図に示すように、電熱ユニット60は、通電されることにより発熱するヒーター線61,ヒーター線等を支持する内部部材61A、スイッチ部品62a及びLED62bを搭載したプリント基板62、ベース台座51の側面に設けた開口51a内に外面を露出すると共にスイッチ部品62aと対応した位置にあることによって使用者により押圧された際にスイッチ部品をオンさせるスイッチカバー(スイッチ)63、ヒーター線押え64、アルミ板65、PCシート66、サーモスタット67、電源コード68、サーモスタット短絡時にヒーター線への通電を遮断させる温度ヒューズ69などを備えている。
内部部材61Aは、凸状加温部材56の下部開口から内部に差し込まれる凸部を有し、この凸部61aの外面にはその軸方向に沿って4本の長溝61bが形成されており、各長溝61b内に夫々折り返された一本のヒーター線61の各部位が嵌合して図示しないテープなどにより凸部61aの外面に固定されている。ヒーター線61の端部は電源コード68に接続され、スイッチ部品62aがオンされたときに通電して発熱する。
後述するようにヒーター線61からサーモスタット67への熱伝導を低下させるために、アルミ板65、PCシート66等を介在させてヒーター線の発熱温度制御を行っている。これにより、サーモスタットの感度が低下し、所定の最適温度(36℃以上、好ましくは40℃以上)に達するのに要する時間を短縮することができる。理想としては、40℃までに5分で達するように設定する。
【0013】
中カバー(カートリッジ)70は、棒状凸部71の内壁によって凸状加温部材56の外面に密着して嵌合するように構成されており、棒状凸部71はヒーター線61からの熱を受けて発熱する。フランジ部73は上面に環状の凹状部74を有すると共に、円筒状の外周壁の下端縁によってベース台座51の外周縁に沿って設けた着座用段差部51bに係合して安定して着座できるように構成されている。中カバー70は、精子採取器内に棒状凸部71を挿入した際に付着するローションが凸状加温部材56に付着することを防止するための手段でもある。電気部品を収容したベース台座51は水洗い等ができないため、ローションの付着を極力避ける必要がある一方で、中カバー70はベース台座から分離した状態での洗浄が容易である。
外カバー80は、下方が開口した円筒状部材であり、その下端開口外周縁を中カバー70の外周縁に設けた着座部75に着座して中カバー70とその上方の空間を封止するように構成されている。外カバー80は、主として中カバー70の汚れを防止したり、加温具全体の箱詰め等する際の収納に適した外形とするためである。ただ、フランジ部73上に精子採取器1をセットした状態で外カバー80を被せることによりヒーター線61により加温された棒状凸部71によるコア部材の加温と保温を効率化することができる。外カバー80の天井面には円筒状の押え部材81が突設されており、中カバー70の棒状凸部71の上部外面に圧接して係止されるように構成されている。
【0014】
次に、図10、図11、及び図12に基づいて本発明の加温具の使用手順について説明する。
まず、図10(a)に示すようにコンセントに電源コード68に設けたプラグを差し込み、且つ中カバー70をベース台座51から取り外してから、(b)に示すように中カバー70の棒状凸部71を精子採取器1のコア部材の挿入口11内に挿入する。
次いで、図10(c)に示すように精子採取器1に装着した状態の中カバー70の底面側の開口をベース台座の凸状加温部材56に差し込み、更に図10(d)、図12のようにコア部材の先端面をフランジ部73の凹状部74と密着させた状態とする。このようにコア部材の先端面をフランジ部73の凹状部74と密着させた状態とすることにより、挿入口11からのローションの漏出しを防止しつつ加温することができる。加温を開始するためにはスイッチ63をオンすればよい。
フランジ部73の凹状部74はR形状(断面湾曲形状)とすることにより、弾性材料から成るコア部材の先端面(挿入口11の外周であってR形状に突出している)を吸盤状に密着嵌合させてローションの漏れを防止することが可能となる。
【0015】
加温開始後、所定時間が経過した場合には、図11(e)のように精子採取器1を中カバー70から取外し、更に(d)のように精子採取器の挿入口11を上向きにしつつカバー70を抜き取る。これによりローションの漏出しを防止できる。つまり、予め上向きにセットされたベース台座の凸状加温部材56に対して中カバー70を差し込んだ状態としておき、この中カバーの棒状凸部71に対して挿入口11を下向きにした精子採取器1を装着しようとすれば、挿入口から内部のローションが漏出するが、本発明の加温具においては中カバーにより挿入口11を閉止してから精子採取器を下向きにしてベース台座にセットするので、ローションが漏れる余地が無くなる。
更に、挿入口11に指を差し込んで内部温度を確認した上で、適温であることを確認した後で使用可能な状態となる。
このように本発明の加温具を用いた精子採取器の加温方法は、軸方向一端面に挿入口11を備えた中空のゲル状樹脂製のコア部材10を備えた精子採取器の挿入口内部を加温する際に、挿入口を上向きに支持したコア部材の挿入口から中カバーの棒状凸部を挿入してフランジ部の凹状部を該コア部材挿入口周縁に圧接させる中カバー連結工程と、中カバーと連結された精子採取器の上下を反転させてベース台座の凸状加温部材に、中カバーの一端開口を挿入してフランジ部を精子採取器支持面に着座させる着座工程と、電熱ユニットに電力を供給して凸状加温部材を発熱させる発熱工程と、を備えている。
このため、ローションの漏出を確実に防止できる。また、コア部材の挿入部近傍に位置するローションを加温することができ、使用感を更に高めることができる。
【0016】
次に、図13(a)及び(b)は所定の温度環境下における電熱ユニットの温度上昇、保温性能を試験した結果を示しており、(a)は3時間の経過時間内での温度上昇、(b)は30分間での温度上昇を示している。
前述のように本発明の電熱ユニット60では、通電により発熱したヒーター線61からサーモスタット67(オフする温度は、55℃程度)への熱伝導を低下させるために、アルミ板65、ポリカーボネートシート66等を介在させている。つまり、ヒーター線からサーモスタットへの熱伝達経路に熱伝導を阻害する部材65、66を配置することにより、サーモスタットの見かけ上の感度を低下させた上で、サーモスタットによる通電のオンオフを行い、ヒーター線の発熱温度制御を行っている(図13(a)(b))。サーモスタットの見かけ上の感度低下により、ヒーター線(凸状加温部材56)の温度が所定の最適温度(例えば、37〜42℃)に達するのに要する時間を短縮することができる。理想としては、最適温度は、40℃までに5分で達するように設定する。
仮に、アルミ板65、PCシート66を介在させない場合には、最適温度に昇温するまでにサーモスタットがオンオフを頻繁に繰り返すこととなり、最適温度に達するまでに20分以上の長時間を要することとなる。
このように最適温度に短時間で達する一方で、最適温度を維持することができる。
本出願人による実験によれば、ペニスの温度に対する感度は、他の身体部位の感度に比して鈍いため、40℃以上にコア部材を加温、保温しても、実使用に際して支障はない。
【0017】
以上のように本発明によれば、安全、且つ効果的に精子採取器を構成するコア部材内部を加温して使用感を高めることができる。従来のように湯やヒーターを用いて精子採取器の外側から加温する場合には、内部のコア部材を適正温度にまで昇温させることが容易ではない。即ち、高温、短時間でコア部材を適正温度に昇温させようとすれば、精子採取器の外側容器全体が高温になるため、火傷の原因となる。また、比較的低温でコア部材を適正温度に昇温させようとすれば長時間を要するという問題が生じる。本発明の加温具は、コア部材内部に挿入される加熱手段によりコア内部の最適温度への昇温を短時間で行い、更にサーモスタットにより最適温度の保温、温度過昇防止を行っているので、精子採取器の外側が過熱状態になることもなく、安全性に優れる。
また、洗浄できない加温部材に中カバーを被せているので、精子採取器内のローションが加温部材に付着することもなく、清潔な状態を維持することができる。加温部材を洗浄することによる故障も防止できる。
また、中カバーによってコア部材の挿入口を閉止してから、加温部材にセットすることになるので、ローション漏れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る精子採取器の外観斜視図である。
【図2】(a)及び(b)は精子採取器の正面図、及び底面図である。
【図3】精子採取器の分解斜視図である。
【図4】精子採取器の構成を示す縦断面図である。
【図5】(a)乃至(d)は本発明の一実施形態に係る加温具の外観構成を示す正面図、側面図、縦断面図、及び底面図である。
【図6】加温具の分解斜視図である。
【図7】加温具の詳細な分解斜視図である。
【図8】中カバー及び底カバーの構成を示す正面図である。
【図9】電熱ユニットの回路構成説明図である。
【図10】(a)乃至(d)は加温具の使用手順の説明図である。
【図11】(e)(f)は加温具の使用手順の説明図である。
【図12】(a)及び(b)は精子採取器の断面図、及び加温時の断面図である。
【図13】(a)及び(b)は所定の温度環境下における電熱ユニットの温度上昇、保温性能を試験した結果を示した図であり、(a)は3時間の経過時間内での温度上昇、(b)は30分間での温度上昇を示している。
【符号の説明】
【0019】
1…精子採取器、2…容器、3…容器本体、3a…他端部、3b…小孔、4…開口部、
5…キャップ、10…コア部材、11…挿入口、12…挿入空所、13…フランジ部、20…スポンジ層、50…加温具、51…ベース台座、51a…開口、51b…着座用段差部52…蓋板、53…ビス、55…加温具本体、56…凸状加温部材、57…精子採取器支持面、60…電熱ユニット、61…ヒーター線、61A…内部部材、61a…凸部、61b…長溝、62…プリント基板、62a…スイッチ部品、62b…LED、63…スイッチ、65…アルミ板、66…PCシート、67…サーモスタット、68…電源コード、69…温度ヒューズ、70…中カバー(カートリッジ)、71…棒状凸部、72…一端開口、73…フランジ部、74…凹状部、75…着座部、80…外カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一端面に挿入口を備えた中空のコア部材を少なくとも備えた精子採取器の挿入口内部を加温する加温具であって、
ベース台座、該ベース台座の一面に突設された凸状加温部材、及び該ベース台座面に設けられた精子採取器支持面を有した加温具本体と、
前記加温具本体に配置されて前記凸状加温部材を発熱させる電熱ユニットと、
前記凸状加温部材を一端開口から内部に嵌合して熱伝導を受ける棒状凸部、及び該棒状凸部の一端開口側から鍔状に延びて前記精子採取器支持面を覆う凹状のフランジ部を有した中カバーと、を備えたことを特徴とする精子採取器の加温具。
【請求項2】
ベース台座、該ベース台座の一面に突設された凸状加温部材、及び該ベース台座面に設けられた精子採取器支持面を有した加温具本体と、前記加温具本体に配置されて前記凸状加温部材を発熱させる電熱ユニットと、前記凸状加温部材を一端開口から内部に嵌合して熱伝導を受ける棒状凸部、及び該棒状凸部の一端開口側から鍔状に延びて前記精子採取器支持面を覆う凹状のフランジ部を有した中カバーと、を備えた加温具を用いて、軸方向一端面に挿入口を備えた中空のゲル状樹脂製のコア部材を備えた前記精子採取器の挿入口内部を加温する方法であって、
前記挿入口を上向きに支持した前記コア部材の挿入口から前記中カバーの棒状凸部を挿入して前記フランジ部の凹状部を該コア部材挿入口周縁に圧接させる中カバー連結工程と、
前記中カバーと連結された前記精子採取器の上下を反転させて前記ベース台座の凸状加温部材に、前記中カバーの一端開口を挿入して前記フランジ部を前記精子採取器支持面に着座させる着座工程と、
前記電熱ユニットに電力を供給して前記凸状加温部材を発熱させる発熱工程と、を備えたことを特徴とする精子採取器の加温方法。


【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】


【公開番号】特開2010−142577(P2010−142577A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
生活必需品 | 医学または獣医学;衛生学 | 診断;手術;個人識別 | 他の診断法または診断機器,例.診断ワクチン接種用機器;性の決定;排卵期の決定;咽喉をたたく器具 | 細胞の標本を取るためのまたは生検のための機器
生活必需品 | 医学または獣医学;衛生学 | 血管へ埋め込み可能なフィルター;補綴;人体の管状構造を開存させるまたは虚脱を防ぐ装置,例.ステント;整形外科用具,看護用具または避妊用具;温湿布;目または耳の治療または保護;包帯;被覆用品または吸収性パッド;救急箱 | 骨または関節の手術によらない処置のための整形外科的方法または用具 | 陰茎勃起を助長させる用具
【出願番号】特願2008−326019(P2008−326019)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(505167222)株式会社典雅
【Fターム(参考)】
整形外科、看護、避妊 | 生殖又は避妊 | 男性生殖器(避妊除く) | 陰茎(亀頭を含む)に適用