精子採取装置、及びローションバッグ

【課題】プラスチック容器内にゲル状樹脂製コア部材を収容してキャップで封止したタイプの精子採取装置であって、ローション専用容器を使用しながらもローション充填手数を最小限で済ませ、しかも手に付着することがない精子採取装置及びローションバッグを提供する。
【解決手段】容器本体3内に収容され、且つ一端面に設けた挿入口11から内部に延びる挿入空所12を有したゲル状樹脂製のコア部材10と、コア部材の挿入空所内に充填するローションを密封した細長い袋体51、該袋体の一端部に設けられた摘み部52及び該袋体の適所に設けた破断が容易な破断容易部53を有したローションバッグ50と、を備えた精子採取装置であって、キャップの頂面には摘み部を挿通する抜取り穴5Aを備え、コア部材の挿入空所内に袋体を収容すると共に、該挿入口から外側に突出させた摘み部を、容器本体開口部に装着したキャップの抜取り穴から外部に引き出して保持した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精子採取装置に関し、特に医学的な研究、治療のための要請や、性犯罪防止、買春防止、及び性感染症の蔓延防止等の社会的な要請に基づいて従来から使用されてきた精子採取装置の取扱い性、品質安定性を高めるための改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医学的な研究や治療上の必要から、男性の精子を採取するための精子採取装置が種々提案されている。例えば、夫婦間の不妊の原因を究明するために採取した精子から夫の性機能を検査したり、性機能障害を治療したり、人工授精のために精子を確保する等の医学的な必要性のために精子採取装置が使用される。更に、個人的な性的欲求を解消させることによる性犯罪の予防、買春防止、性感染症感染者数の減少等の種々の社会的なニーズを満たすためにも、従来から低廉に入手することができ、しかも使い捨てタイプであるために衛生上、健康上の問題も惹起しない簡易な精子採取装置が知られている。
また、最近では健常者のみならず、各種養・介護施設における高齢者や障害者の性的欲求処理の必要性が着目されており、このような要請を満たすことができる簡易な精子採取装置の開発が求められている。
【0003】
例えば、実用新案登録第3076627号には、円筒状の容器本体内に、内部に深い凹部空間を有するゲル状の合成樹脂製(スチレン系熱可塑性エラストマー)の内装材を設け、当該内装材の内面には凹部空間へ突出した複数の小突起、及び、襞状部を設けると共に、上記内装材の周囲を覆うようにウレタン樹脂からなる外装材を設けた精子採取器が提案されている。この精子採取器は、所要の硬度、肉厚を有したプラスチック製の円筒体から成る容器本体内に収納されたゲル状合成樹脂の内装材の凹部空間内にペニスを挿入した状態で容器本体を把持してペニス摺擦のための往復操作を行うように構成されている。
また、本出願人は、特許文献2乃至5において、容器本体内にゲル状樹脂製のコア部材を収容した精子採取装置を提案した。
【0004】
ところで従来の精子採取装置は、コア部材の凹部空間内壁とペニスとの間の潤滑性を高めるために潤滑剤としてのローションを充填して使用するのが一般である。従来は、コア部材の凹部空間内に予めローションを充填した状態でプラスチック容器内に収容して密封して販売したり、或いはローションを充填した別個の専用容器を精子採取装置に付属して販売し使用時に手作業により充填させる方法が採られている。
【0005】
しかし、ローションを予め充填しておくタイプでは、運搬や保管時のローション漏れ、乾燥によるローションの枯渇、ローションの酸化による変質、劣化等の虞があり、長時間の運搬、保管に適さないという問題を有している。また、ローションはコア部材凹部の内部のみならず入口部にも十分に塗布しておくことが重要であるが、製造段階において奥部と入口部に対して一括してローションを塗布することができないために、奥部と入口部に対して個別にローションを塗布する作業を行う必要があった。このため、製造工程数が増大して生産性が低下するという問題があった。
また、専用容器タイプでは専用容器内におけるローションの気密性、保存性さえ維持すれば、前者のタイプが有する欠点は有しないが、開封後にコア部材の凹部空間入口から容器を差し込んでローションを充填する手数がかかるために面倒であり、手にローションが付着し易く、更に凹部空間内壁には凹凸部が多数形成されているため内奥部にまでローションを充填しきれないという問題がある。
【特許文献1】実用新案登録第3076627号
【特許文献2】WO2006/132125A1
【特許文献3】特開2006−334176公報
【特許文献4】特開2006−340870公報
【特許文献5】特開2006−340871公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のようにゲル状樹脂から成るコア部材をプラスチック容器内に収容してキャップにより封止したタイプの精子採取装置にあっては、ローションを予めコア部材内に充填した場合にはローション漏れ、枯渇、変質、劣化などの虞がある。また、ローションを専用容器に充填しておき、使用時にコア部材内に充填するようにしたタイプにあっては充填してからローションをコア部材の内奥部まで浸透させる作業が面倒であり、手にローションが付着し易い等という問題があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、プラスチック容器内にゲル状樹脂製コア部材を収容してキャップにより封止したタイプの精子採取装置であって、ローション専用容器を使用しながらもローション充填手数を最小限で済ませ、しかも手に付着することがなく、品質安定性が高い精子採取装置、及びローションバッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明に係る精子採取装置は、一端に開口部を有した容器本体と、該開口部に脱着して開閉するキャップと、から成る容器と、前記開口部側に一端面を配置した状態で前記容器本体内に収容され、且つ該一端面に設けた挿入口から内部に延びる挿入空所を有したゲル状樹脂製のコア部材と、軟質シート材から成り、前記コア部材の挿入空所内に充填するローションを密封した細長い袋体、該袋体の一端部に設けられた摘み部、及び該袋体の適所に設けた破断が容易な破断容易部を有したローションバッグと、を備えた精子採取装置であって、前記キャップの頂面には前記ローションバッグの摘み部を挿通する抜取り穴を備え、前記容器本体内に収容された前記コア部材の挿入空所内に前記袋体を収容すると共に、該挿入口から外側に突出させた前記摘み部を、前記容器本体開口部に装着した前記キャップの前記抜取り穴から外部に引き出して保持したことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は請求項1において、前記キャップの抜取り穴から外部に引き出された前記摘み部に引抜き力を加えることにより前記袋体を前記抜取り穴を経由して外部に引き抜く際に該袋体内の内圧が上昇することにより、前記袋体に設けた前記破断容易部が破断し、破断した破断容易部からローションを前記挿入空所内の長手方向に沿って順次散布するように構成したことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記ローションバッグの袋体部の底部と、該底部よりも前記摘み部寄りの部位に夫々前記破断容易部が設けられ、底部に設けた破断容易部の方が、他の破断容易部よりも破断し難く構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は2において、前記ローションバッグの袋体の底部と、該底部よりも前記摘み部寄りの部位に夫々前記破断容易部が設けられ、底部に設けた破断容易部の合計破断面積の方が、他の破断容易部の合計破断面積よりも小さく構成されていることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか一項において、前記袋体底部の破断容易部は、破断時に横方向へローションを吐出するように構成されていることを特徴とする。
請求項6の発明に係るローションバッグは、内部にローションを収容する袋体と、該袋体の一端部に設けられた摘み部と、前記袋体の内圧が所定値を越えた時に破断する破断容易部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項7の発明に係るローションバッグは、内部にローションを収容し且つ長手方向へ伸縮する蛇腹状袋体と、前記袋体の内圧が所定値を越えた時に破断する破断容易部と、該蛇腹状袋体内に収容されて一端部を蛇腹状袋体内部に固定されると共に他端に設けた摘み部を該蛇腹状袋体の他端部から外部に突出させた引出し部材と、を備え、該蛇腹状袋体の一端部を固定した状態で前記摘み部を引き抜くことにより前記蛇腹状袋体が収縮して内圧上昇によって前記破断容易部を破断させることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6又は7において、前記破断容易部は、前記袋体、或いは蛇腹状袋体の底部に設けた穴と、該穴を閉止する軟質樹脂キャップとから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造時にはコア部材内にローションを直接充填しない一方で、ローションを気密的に収容したインサイド・ローションバッグをコア部材の挿入空所内に収納しておき、キャップに設けた抜取り穴からローションバッグを引き抜き可能に構成した。そして、ローションバッグは抜取り穴から引き抜かれる過程で加圧されることによりローションを収容した袋体が膨張して袋体に設けた破断容易部が開口してローションを挿入空所内に散布する。破断容易部の形成位置、分布、径寸法を種々選定することにより、挿入空所内や、挿入口近傍へのローションの偏在を解消することができる。
【0012】
なお、コア部材内部にローションを散布した場合、採取した精液にローションが混入した状態となるため、医学上、医療上の利用が妨げられる旨の懸念も想定されるが、性感染症検査、その他の用途においては、ローションが混入した精液であっても十分に検査目的を達成し得る場合が多い。特に、検査目的で精液を採取する際に、ペニスにコンドームを装着した状態で本発明の精子採取装置を違和感なく使用することが可能であり、この場合にはコンドーム内に射出された精液中にローションが混入する虞が全くないため、上記の懸念は杞憂に過ぎない。また、非検査目的で精子採取装置を使用する場合であってもコンドームを併用することにより、コア部材内部に精液が存在しない状態を維持できるので、コア部材内部の衛生状態を維持することができ、繰り返し使用が可能となり、経済的である。
【0013】
本発明に係る精子採取装置は、確かに医学的な目的以外にも、個人的な性欲を解消するための手段として使用されることはあるが、この様な用途に供されることのある精子採取装置だからといって公序良俗を乱す商品であると断定するのは、早計であり、偏見である。この種の商品が性犯罪防止、性感染症の拡散防止等に如何に役立つか、という広い視野に立って特許権を付与する価値があるか否かをご判断頂きたい。
因みに以下の3つの事例は事実に基づいており、これらの社会的要請を満たす手段として精子採取装置が役立つことは疑いのない事実である。なお、当然のことながら、本発明に係る精子採取装置自体は未公開、未公知の状態にある。
【0014】
まず、本出願人からの要請により、タイ赤十字エイズ研究センター(The Thai Red Cross AIDS Research Center: http://www.redcross.or.th/english/aboutus/aids.php4)
及びPDA(Population and Community Development Association http://www.pda.or.th/eng/)が、本出願人の開発に係る各種精子採取装置を使用した男性の性行動調査を行うべく準備中である。本調査内容は、精子採取装置を使用することで、男性(HIV感染者、非感染者、ゲイ、バイセクシュアル、ノーマル含む)の性欲の高まりを鎮めたり、性的リスク行動を抑制したりする効果が認められるか否かを調査するものである。現在同センターで調査の準備を進めている。
【0015】
また、本出願人は、自ら開発した精子採取装置を、神奈川県相模原市にある特別養護老人ホームに無償提供しており、高齢者の性的欲求の解消のための試行を行っている。即ち、高齢者のQOL(クオリティオブライフ)にとって「性」の部分の重要性は昨今指摘されている通りであり、こういった施設で起こるトラブルの8割方が男女問題、言うなれば色恋事と密接に絡んでいると言われる。本出願人が過去に製造、販売してきた精子採取装置は、高齢男性が「性」を楽しむ補助となっており「生きがい」や「生きる喜び・愉しみ」を提供することを通じ、QOLの向上に貢献していることが明かとなっている。
【0016】
また、我が国ではこれまで障害者の「性」に関してはなぜか長らく語られてこなかった。人間の根源的な欲求の一つであるはずの「性欲」を、障害者には無いものとし、蓋をし続けてきた。本出願人は、「誰もが性を楽しめる社会づくり」という理念実現の一環として、障害者の性に対してもアプローチを続けている。障害児を持つ親への商品提供、中等養護学校教諭から、自閉症児へのマスターベーション指導に関する相談への対応等を行っている。また、現在、北海道にある知的障害者施設でのマスターベーション介助のために、本出願人が開発した各種の精子採取装置の使用を進めている最中である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示した実施形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る精子採取装置の外観斜視図、図2(a)及び(b)は当該精子採取装置の正面図、及び底面図、図3は精子採取装置の分解斜視図、図4(a)乃至(d)、及び図5(e)は精子採取装置の構成及び操作手順を示す縦断面図、図6は本発明に係るインサイド・ローションバッグの構成説明図である。
精子採取装置1は、適度な肉厚と硬度を有した樹脂材料から構成され長手方向一端面が開口した筒状の容器本体3、及び容器本体3の開口部4に脱着してこれを開閉するキャップ5から成る容器2と、容器本体3内に収容され、長手方向一端面の挿入口11から内部に延びる挿入空所12を有したゲル状樹脂製のコア部材10と、コア部材10と容器本体内壁との間に介在するスポンジ層20と、を備えている。コア部材10は挿入口11を形成した一端面が開口部4側に位置するように組み付けられる。なお、スポンジ層20は必須ではないが、本実施形態ではスポンジ層を使用した構成例を中心として説明する。
【0018】
容器本体の他端部3aには必要に応じて抜気用の小孔3bを形成しておき、未使用時には図示しないシールにより封止しておく。使用時には、シールを除去し、使用中に指で小孔3bを閉じたり開放することにより、コア部材内壁とペニスとの間の密着度、密着感を調整することができる。即ち、小孔3bを塞いだ状態ではペニスがコア部材内壁に密着するため締め付け力が強くなり、小孔を開放した状態では締め付け力が弱くなる。このように小孔を開閉するだけの簡単な操作によって、締め付け力を変化させて刺激を変化させることが可能となる。また、ペニスに対する刺激が過剰と感じる場合には、小孔を開けばよい。
【0019】
コア部材10は、エラストマーのような粘性を有したゲル状の樹脂、或いはゲル状のゴム等から構成された袋状体であり、その挿入側端面には大径、厚肉のフランジ部13を備えると共に、小径の挿入口11の内部には挿入口よりも大径の挿入空所12が連通して形成されている。挿入空所12内には任意の配置にて突起、襞等が形成されている。
コア部材10の長手方向一端部には、その端面に挿入口11を有した中空のフランジ部13を有し、フランジ部13の内部には挿入口11及び挿入空所12よりも大径の空所13aを有している。更に、フランジ部13は、フランジ部の天面から径方向に張り出した張出し部13bと、張出し部13bの下方から外径方向へ突出した環状薄肉の環状薄板部13cを有している。
【0020】
容器本体の開口部近傍の内壁にはコア部材のフランジ部13の外周部を支持するフランジ部支持部)3cを備え、コア部材の大径空所13a内にスポンジ部材40を嵌合配置した状態で、フランジ部13の外周部をフランジ部支持部3cの内周面により支持する。一方、フランジ部の環状薄板部13cを下方に折り曲げてフランジ部支持部3cの外側面に添設させた状態で、環状薄板部13cとフランジ部支持部3cの外面に跨ってリング部材35を固定する。
【0021】
本発明の精子採取装置1の特徴的な点は、インサイド・ローションバッグ(以下、ローションバッグ、という)50をコア部材の挿入空所12内に予め収容した状態で容器本体3の開口部をキャップ5により閉止し、更にキャップに設けた抜取り穴からローションバッグを容器外部に引き出す過程でローションバッグの一部を破断させてバッグ内部に収容したローションを挿入空所内全体に散布させるようにした構成にある。
ローションバッグ50は、例えば樹脂シートにアルミ箔を積層した軟質シート材から成り、図6に示したようにコア部材の挿入空所12内に充填するローションを密封した細長い袋体51と、袋体51の一端部に設けられた摘み部52、及び袋体51の適所に設けた破断が容易な破断容易部53を有している。
【0022】
キャップ5の頂面にはローションバッグの摘み部を挿通するスリット状の抜取り穴5Aを設ける。ローションバッグ50の袋体51をコア部材の挿入空所12内に収容すると共に、挿入口11から外側に突出させた摘み部52を、容器本体開口部に装着したキャップの抜取り穴5Aから外部に引き出して保持する。この摘み部52をキャップ頂面に折り倒した状態で、キャップ外面にブリスターキャップ55を被せ、その上から容器全体をシュリンクフィルムにより気密的に包装する。なお、必要に応じて、キャップ5とブリスターキャップ55との間に取扱い説明書56や、折り畳んだゴミ袋等々、任意のシート状物を介在させてもよい。
【0023】
使用時には、図4(a)(b)に示すようにブリスターキャップ55を取り外してキャップ5を露出させてから、図4(c)(d)、図5(e)に示すように抜取り穴5Aから外部に引き出された摘み部52を指で摘んで引抜き力を加えることにより袋体51を抜取り穴5Aを経由して外部に引き抜く。この抜取り過程で、袋体はスリット状の抜取り穴によって絞られながら抜き取られてゆく。また、この過程でキャップ5よりも内側に位置する袋体部分内の内圧が上昇することにより、袋体に設けた破断容易部53が破断して穴が形成され、穴からローションが挿入空所内の長手方向に沿って順次散布される。破断容易部53は袋体の長手方向、及び周面に沿って均等に分布させることにより挿入空所内におけるローションの偏在を防止することができる。
なお、この例では破断容易部53を丸穴状の小孔とし、小孔の周縁に沿って薄肉部を形成することにより小孔の内側部分が破断して開口し易く構成している。小孔の形状は円形以外であっても良い。或いは、破断容易部は非環状の単なる切り込み線状であってもよい。
【0024】
また、破断容易部53を袋体全体に均等に配分し、全ての破断容易部がほぼ同時に開口するように構成してもよいが、同時に開口した全ての破断容易部から同時にローションが排出されると、袋体が抜取り穴5Aから抜き取られる直前にコア部材の挿入口やコア部材の天面に対する塗布量が激減する虞がある。そこで、袋体底部の破断容易部の合計面積を、袋体底部よりも上側部分の破断容易部の合計面積よりも少なくしておくことにより、底部破断容易部からのローション排出量を少なくしておき、袋体を抜取り穴から抜き終わる直前に袋体底部から挿入口やコア部材天面に排出されるローション量を増量することができる。或いは袋体底部の破断容易部を袋体上部の破断容易部よりも破断し難く構成しておくことにより、袋体を抜取り穴から抜き取る過程で袋体底部に溜まるローション量を増量し、抜き取りを終了する直前に底部破断容易部を破断させて挿入口やコア部材の天面に必要十分な量を供給することができる。このように構成することにより、袋体を抜取り穴から抜き終わる直前に袋体底部に溜まった多量のローションを挿入口内、及びコア部材天面に対して十分に散布することができ、ペニス挿入をスムーズ化することができる。
或いは、袋体底部に設けた破断容易部の方を、それよりも上部に設けた他の破断容易部よりも破断し難く構成するために、袋体底部側の小孔のサイズを小さくしたり、小孔周縁の薄肉部を破断し難く構成してもよい。或いは、破断容易部を袋体底部のみに設けることにより、袋体が挿入口へ向かって移動する過程でコア部材の挿入空所底部から挿入口、天面に向けて順次ローションを塗布するように構成してもよい。
【0025】
なお、袋体底部の破断容易部の破断時にローションが横方向へ吐出されて挿入口内部やコア部材天面に塗布され易くなるように構成してもよい。
また、ローションバッグがキャップの抜取り穴から抜けきらないように袋体の底部を大径、或いは厚肉に構成しても良い。このように構成することにより、キャップを外したときにローションバッグも一体として取り外し、廃棄処理することが可能となる。
また、製造工程において容器本体3内のコア部材10の挿入口11内にローションバッグ50を差し込む際には、予め摘み部52をキャップの抜取り穴5A内に差し込んだ状態で、袋体を挿入口から挿入空所内に差込み、その後キャップを容器本体3に取り付けて閉止する。この際、袋体が捻られた状態で挿入空所内に収容されるように工夫することにより、ローションバッグを引き抜く際に袋体が回転させながらローションをまんべんなく散布することができる。
【0026】
次に、図7(a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る蛇腹状ローションバッグの構成説明図であり、このローションバッグ60は、内部にローションを収容し且つ長手方向へ伸縮する蛇腹状袋体61と、蛇腹状袋体61内に収容されて一端部66を蛇腹状袋体内部に固定されると共に他端に設けた摘み部67を蛇腹状袋体の他端部から外部に突出させた引出し部材65と、蛇腹状袋体の適所に設けた破断容易部70と、を備え、蛇腹状袋体の一端部を固定した状態で摘み部67を引き抜くことにより蛇腹状袋体が収縮して内圧上昇によって蛇腹状袋体に設けた破断容易部70を破断させるように構成されている。
破断容易部70は、蛇腹状袋体61の底部に設けたノズル状の穴71と、穴71を閉止する軟質樹脂キャップ(エラストマー等)72とから構成されている。常時においてはボール状の軟質樹脂キャップ72は、穴71内に嵌着してこれを封止しているが、蛇腹状袋体61内の内圧が所定以上に上昇した場合には穴71から押し出されて穴を開口させる。
【0027】
この実施形態に係る引出し部材65は可撓性を有した樹脂シート(或いは、紐、棒でもよい)であり、一端部66を蛇腹状袋体内部の底部に固定されると共に、上端部は蛇腹状袋体61の上端部に設けた挿通穴61aを経由して外側に突出している。未使用状態においては蛇腹状袋体61の挿入穴61aと引出し部材65の上部とは接着、或いは溶着等により一体化されているため、蛇腹状袋体内部は気密化されている。一方、蛇腹状袋体の上端部を固定した状態で引出し部材65のみを上方に引き抜く力を加えると、挿入穴61aとの接合が解除されて引出し部材65が上方へ移動する。この際、引出し部材65の下端部が蛇腹状袋体61の下端部を引き上げてゆくので、蛇腹状袋体61は収縮して行き、内圧の上昇によって破断容易部70が開口して内部のローションが排出される。
【0028】
図8(a)乃至(e)はこのローションバッグ60を精子採取装置に適用した場合の操作手順を示している。
使用時には、図8(a)(b)に示すようにブリスターキャップ60を取り外してキャップ5を露出させてから、図8(c)(d)、(e)に示すように抜取り穴5Aから外部に引き出された摘み部67を指で摘んで引抜き力を加えることにより引出し部材65を抜取り穴5Aを経由して外部に引き抜く。この抜取り過程で、蛇腹状袋体はスリット状の抜取り穴によって絞られながら抜き取られてゆく。また、この過程でキャップ5よりも内側に位置する蛇腹状袋体部分内の内圧が上昇することにより、蛇腹状袋体に設けた破断容易部70を構成する軟質樹脂キャップ72が離脱して穴71が開口され、穴71からローションが挿入空所内に沿って順次散布される。破断容易部70は袋体の長手方向、及び周面に沿って均等に分布させることにより挿入空所内におけるローションの偏在を防止することができる。
この破断容易部70は、単一である必要はなく、周方向位置、軸方向位置を異ならせて複数個設けても良い。
【0029】
なお、破断容易部70をノズル状に突出させたことによりローションの散布方向、散布範囲を特定することができる。従って、図7(a)中に破線で示すようにノズル部を上方に屈曲させることにより、図8(e)の状態において大径空所13a内やフランジ部13の天面に対して適量のローションを塗布することが可能となる。
なお、図9のように軸方向長の長いキャップ5を用いることにより、フランジ部天面とキャップ天井面との間の空間容積を拡大し、破断容易部70をフランジ部天面の上方まで引き上げられるように構成することで、フランジ部天面のローション塗布量をより多くすることもできる。
【0030】
以上のように本発明によれば、精子採取装置の製造、組立て時にはコア部材10内にローションを直接充填、散布しない一方で、ローションを気密的に収容したインサイド・ローションバッグ50、60をコア部材の挿入空所12内に収納しておき、キャップ5に設けた抜取り穴5Aからローションバッグを引き抜き可能に構成した。そして、ローションバッグは抜取り穴から引き抜かれる過程で加圧されることによりローションを収容した袋体51、61が膨張して内圧が高まるため、袋体に設けた破断容易部53、70が開口してローションを挿入空所内に散布する。破断容易部の形成位置、分布、径寸法を種々選定することにより、挿入空所内や、挿入口近傍へのローションの塗布不良や、偏在を解消することができる。
【0031】
ローションバッグは、容器内のコア部材内に収納されているので、包装フィルムにより包装した時の形状をコンパクト化することができる。従来のように別体の専用容器を精子採取装置と一緒に販売するためには専用容器を精子採取装置の外側に組み付ける等の必要があったが、本発明では容器内部に専用容器が収納されているので、このような不利不便がなくなる。専用容器を用いてコア部材の挿入口からローションを注入しようとしてもローションの粘性により内奥部まで入れ込むことはできないが、本発明のローションでは内奥部から充填が開始される点が極めて有利である。工場でのローション充填作業が必要とされないので、生産性を高めることができる。輸送時の漏れや、ローションの変質もなくなり、品質保持期間を長期化することができる。また、ローションバッグの引抜き開始と同時に破断容易部が開口してローション塗布が開始されるように構成しても良いし、ある程度引抜きが進んで内圧が高まった時に破断容易部が開口するように構成することにより、操作性を調整することができる。引抜きを完了した時点で内部のローションが全て排出されるように抜取り穴の寸法、形状を予め適切に選定する。
【0032】
本発明のローションバッグを適用可能な精子採取装置の形状、構造は図示したものに限定される訳ではなく、コア部材を容器内に収容した構造を有したあらゆるタイプの精子採取装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る精子採取装置の外観斜視図。
【図2】(a)及び(b)は当該精子採取装置の正面図、及び底面図。
【図3】精子採取装置の分解斜視図。
【図4】(a)乃至(d)は精子採取装置の構成及び操作手順を示す縦断面図。
【図5】(e)は図4の操作手順の続きを示す縦断面図。
【図6】本発明に係るインサイド・ローションバッグの構成説明図。
【図7】(a)及び(b)は本発明の他の実施形態に係る蛇腹状ローションバッグの構成説明図。
【図8】(a)乃至(e)は蛇腹状ローションバッグを精子採取装置に適用した場合の操作手順を示した図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る精子採取装置の構成を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0034】
1…精子採取装置、2…容器、3…容器本体、3a…他端部、3b…小孔、3c…フランジ部支持部、4…開口部、5…キャップ、5A…穴、10…コア部材、11…挿入口、12…挿入空所、13…フランジ部、13a…大径空所、13b…張出し部、13c…環状薄板部、20…スポンジ層、35…リング部材、40…スポンジ部材、50…インサイド・ローションバッグ、51…袋体、52…摘み部、53…破断容易部、55…ブリスターキャップ、56…説明書、60…ローションバッグ、61…蛇腹状袋体、65…引出し部材、66…一端部、67…摘み部、70…破断容易部、71…穴、72…軟質樹脂キャップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口部を有した容器本体と、該開口部に脱着して開閉するキャップと、から成る容器と、
前記開口部側に一端面を配置した状態で前記容器本体内に収容され、且つ該一端面に設けた挿入口から内部に延びる挿入空所を有したゲル状樹脂製のコア部材と、
軟質シート材から成り、前記コア部材の挿入空所内に充填するローションを密封した細長い袋体、該袋体の一端部に設けられた摘み部、及び該袋体の適所に設けた破断が容易な破断容易部を有したローションバッグと、を備えた精子採取装置であって、
前記キャップの頂面には前記ローションバッグの摘み部を挿通する抜取り穴を備え、
前記容器本体内に収容された前記コア部材の挿入空所内に前記袋体を収容すると共に、該挿入口から外側に突出させた前記摘み部を、前記容器本体開口部に装着した前記キャップの前記抜取り穴から外部に引き出して保持したことを特徴とする精子採取装置。
【請求項2】
前記キャップの抜取り穴から外部に引き出された前記摘み部に引抜き力を加えることにより前記袋体を前記抜取り穴を経由して外部に引き抜く際に該袋体内の内圧が上昇することにより、前記袋体に設けた前記破断容易部が破断し、破断した破断容易部からローションを前記挿入空所内の長手方向に沿って順次散布するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の精子採取装置。
【請求項3】
前記ローションバッグの袋体部の底部と、該底部よりも前記摘み部寄りの部位に夫々前記破断容易部が設けられ、
底部に設けた破断容易部の方が、他の破断容易部よりも破断し難く構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の精子採取装置。
【請求項4】
前記ローションバッグの袋体の底部と、該底部よりも前記摘み部寄りの部位に夫々前記破断容易部が設けられ、
底部に設けた破断容易部の合計破断面積の方が、他の破断容易部の合計破断面積よりも小さく構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の精子採取装置。
【請求項5】
前記袋体底部の破断容易部は、破断時に横方向へローションを吐出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の精子採取装置。
【請求項6】
内部にローションを収容する袋体と、該袋体の一端部に設けられた摘み部と、前記袋体の内圧が所定値を越えた時に破断する破断容易部と、を備えたことを特徴とするローションバッグ。
【請求項7】
内部にローションを収容し且つ長手方向へ伸縮する蛇腹状袋体と、前記袋体の内圧が所定値を越えた時に破断する破断容易部と、該蛇腹状袋体内に収容されて一端部を蛇腹状袋体内部に固定されると共に他端に設けた摘み部を該蛇腹状袋体の他端部から外部に突出させた引出し部材と、を備え、該蛇腹状袋体の一端部を固定した状態で前記摘み部を引き抜くことにより前記蛇腹状袋体が収縮して内圧上昇によって破断容易部を破断させることを特徴とするローションバッグ。
【請求項8】
前記破断容易部は、前記袋体、或いは蛇腹状袋体の底部に設けた穴と、該穴を閉止する軟質樹脂キャップとから構成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のローションバッグ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2008−307131(P2008−307131A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
生活必需品 | 医学または獣医学;衛生学 | 人体の中へ,または表面に媒体を導入する装置;眠りまたは無感覚を生起または終らせるための装置 | 医学用の吸引またはポンプ装置;体液を除去,処理,または導入する装置;排液システム
生活必需品 | 医学または獣医学;衛生学 | 血管へ埋め込み可能なフィルター;補綴;人体の管状構造を開存させるまたは虚脱を防ぐ装置,例.ステント;整形外科用具,看護用具または避妊用具;温湿布;目または耳の治療または保護;包帯;被覆用品または吸収性パッド;救急箱 | 骨または関節の手術によらない処置のための整形外科的方法または用具 | 尿,糞便,経血または他の排泄物を受けるために患者が身につける装置 | 生殖器収納容器 | 男性器官からの尿または他の排泄物を集めるためのもの
【出願番号】特願2007−155739(P2007−155739)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(505167222)株式会社典雅
【Fターム(参考)】
体外人工臓器 | 用途 | その他
体外人工臓器 | 方式、型(タイプ) | 特殊形状、構造型
体外人工臓器 | 調整、制御 | 因子 | 濃度
体外人工臓器 | 作用、効果 | 接触効率、拡散、均一化
体外人工臓器 | 材質 | 合成高分子
整形外科、看護、避妊 | 適用分野 | 生殖
整形外科、看護、避妊 | 材料の性状又は種類 | 発泡体又は多孔質体
整形外科、看護、避妊 | 材料の性状又は種類 | 有機物材料 | ゴム(合成ゴムを含む)
整形外科、看護、避妊 | 生殖又は避妊 | 男性生殖器(避妊除く) | 陰茎(亀頭を含む)に適用
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