説明

精密コイル用トレイおよび収納体

【課題】精密コイルを効率よく収納するとともに、品質低下を防止することができる精密コイル用トレイおよび収納体を提供する。
【解決手段】精密コイルを収納する収納部11と、収納部を囲繞する周壁部13と、を備えた精密コイル用トレイ10であって、収納部は、精密コイルを個別に配置可能な溝状のスロット部15と、隣り合うスロット部同士の間を仕切るセパレータ部17と、が交互に並列形成され、スロット部の一端には、精密コイルが案内される導入部21が形成され、セパレータ部における導入部が形成された導入側端部が、精密コイルの案内方向に沿って先細り形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密コイルを収納する精密コイル用トレイおよびこれを備える収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療用器具を収納する技術としては、特許文献1のように容器内の内周壁に沿って医療用器具を巻き付けるようにして収容するものや、特許文献2のように医療用器具を容器内に収納した後、開口部をフィルムでシールするものなどが提案されている。なお、特許文献1の収納容器は外科手術などの処置で用いられるカテーテルやカテーテルに挿入されるガイドワイヤーなど長尺の医療用器具を収納する容器であり、特許文献2の収納容器は注射器、注射針、カテーテルなどを収納する容器である。
【0003】
本発明は、カテーテルの一種であるガイドワイヤーを製造するための一部品であるコイルワイヤーなどの精密コイルをハンドリングするためのトレイを対象としたものである。
【0004】
上述したガイドワイヤーは、カテーテル治療の際に最初に患部に到達し、その他のカテーテルを当該患部に到達させるための道筋となるため、その他のカテーテルよりも外形が細くなっており、例えば、心臓狭窄治療用の外形(直径)は0.3mm、脳疾患治療用の外形(直径)は0.2mmが一般的である。なお、公差は5μmとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−349001号公報
【特許文献2】特開平2−139373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ガイドワイヤーの一部品であるコイルワイヤーを収納するトレイについてはこれまで開示されておらず、例えば、特許文献1または特許文献2の容器を利用すると、コイルワイヤーが変形する虞があるとともに、コイルワイヤーの製造工程において容器内に収納しにくいという問題がある。また、コイルワイヤーを個別に容器内に収納して包装すると製造効率や輸送効率が低下するという問題がある。
【0007】
また、一つの容器に複数のコイルワイヤーを収納すると互いに絡み合ってしまう。特に、コイルワイヤーは、部分的に巻線密度が異なる構造のため、互いに絡み合うことにより、製品不良になってしまう虞がある。そこで、作業員がコイルワイヤーに手作業で心線を通し、コイルワイヤー同士が絡み難くすることも考えられるが、熟練を要するために作業効率が低下するとともに、製造過程で人が介在すると人の油脂などの汚れが付着して品質が低下するという問題もある。
【0008】
そこで本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、精密コイルを効率よく収納するとともに、品質低下を防止することができる精密コイル用トレイおよび収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る精密コイル用トレイは、精密コイルを収納する収納部と、該収納部を囲繞する周壁部と、を備えた精密コイル用トレイであって、前記収納部は、前記精密コイルを個別に配置可能な溝状のスロット部と、隣り合う前記スロット部同士の間を仕切るセパレータ部と、が交互に並列形成され、前記スロット部の一端には、前記精密コイルが案内される導入部が形成され、前記セパレータ部における前記導入部が形成された導入側端部が、前記精密コイルの案内方向に沿って先細り形状に形成されていることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る精密コイル用トレイにおいては、セパレータ部の導入側端部を先細り形状にすることにより、精密コイルを収納するスロット部の入口に相当する導入部を幅広に形成することができるため、精密コイルを所望の位置のスロット部に容易に収納することができる。したがって、巻線機で製造された精密コイルをそのまま所望のスロット部に人手を介さず自動的に収納することができる。結果として、精密コイルを効率よく所望のスロット部に収納することができるとともに、精密コイルの品質低下を防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る精密コイル用トレイは、前記収納部における前記導入側端部側に、前記精密コイルが前記スロット部に案内される傾斜部が、前記スロット部の底面から上方に向かって延設されていることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る精密コイル用トレイにおいては、製造された精密コイルを傾斜部に供給することにより、精密コイルは傾斜部に沿って下方へ移動し、所望の導入部からスロット部へと案内される。したがって、精密コイルをさらに効率よくスロット部に収納することができる。
【0013】
また、本発明に係る精密コイル用トレイは、前記スロット部の底面における前記精密コイルが案内される方向と直交する方向の断面形状が、曲面形状に形成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る精密コイル用トレイにおいては、精密コイルをスロット部に収納したときに、精密コイルの位置を保持することができる。したがって、輸送時などに精密コイルがスロット部内で移動することにより損傷するのを防止することができる。また、精密コイルをスロット部の最深部に保持することにより、精密コイルの使用時にピンセットなどで容易に取り出すことができる。
【0015】
また、本発明に係る精密コイル用トレイは、前記周壁部における上面および下面には、上下方向に積層したときに嵌合可能な嵌合部が形成されていることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る精密コイル用トレイにおいては、トレイを上下方向に積層しても、トレイ同士が位置ズレするのを防止することができる。したがって、輸送時などに精密コイルがスロット部内で移動することにより損傷するのを防止することができる。また、複数の精密コイルを同時に輸送することができるため、輸送効率を向上することができる。
【0017】
本発明に係る収納体は、上述のいずれかに記載の精密コイル用トレイにおける前記スロット部に前記精密コイルが収納された収納体であって、前記精密コイル用トレイを上下方向に積層したときに、上下方向に位置するスロット部同士が嵌合するとともに、前記スロット部に配された前記精密コイルが直上に位置するスロット部と接触しないように前記スロット部同士が嵌合するように構成されていることを特徴としている。
【0018】
本発明に係る収納体においては、上下方向に精密コイル用トレイを積層したときに、スロット部内に収納された精密コイルが上方に位置している精密コイル用トレイのスロット部の底部に接触して損傷するのを抑制できるとともに、輸送時などに生じる振動などによりスロット部から精密コイルが脱落するのを抑制することができる。したがって、精密コイルの品質低下を防止することができるとともに、輸送効率を向上することができる。
【0019】
また、本発明に係る収納体は、前記精密コイル用トレイを上下方向に積層したときに、前記スロット部に形成された空間部に緩衝材が配されていることを特徴としている。
【0020】
本発明に係る収納体においては、緩衝材を配することにより、輸送時などに振動が生じても精密コイルがスロット部内で移動するのを防止することができる。したがって、精密コイルの品質低下をより確実に防止することができるとともに、輸送効率をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の精密コイル用トレイによれば、セパレータ部の導入側端部を先細り形状にすることにより、精密コイルを収納するスロット部の入口に相当する導入部を幅広に形成することができるため、精密コイルを所望の位置のスロット部に容易に収納することができる。したがって、巻線機から製造された精密コイルをそのまま所望のスロット部に人手を介さず自動的に収納することができる。結果として、精密コイルを効率よく所望のスロット部に収納することができるとともに、精密コイルの品質低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における精密コイル用トレイの平面図である。
【図2】本発明の実施形態における精密コイル用トレイの側面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図5】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図6】図1のD部拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施形態における精密コイル用トレイを上下方向に積層したときのスロット部の断面図である。
【図8】本発明の実施形態における精密コイルをトレイに収納する方法を説明する図(1)である。
【図9】本発明の実施形態における精密コイルをトレイに収納する方法を説明する図(2)である。
【図10】本発明の実施形態における精密コイルをトレイに収納する方法を説明する図(3)である。
【図11】本発明の実施形態における精密コイルをトレイに収納する方法を説明する図(4)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る精密コイル用トレイについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態ではカテーテル治療に用いるガイドワイヤーの一部品であるコイルワイヤー(精密コイル)を収納する場合について説明する。
【0024】
図1は本実施形態における精密コイル用トレイの平面図であり、図2は側面図である。また、図3は図1のA−A線に沿う断面図であり、図4は図1のB−B線に沿う断面図であり、図5は図1のC−C線に沿う断面図であり、図6は図1のD部拡大斜視図である。
【0025】
図1〜図6に示すように、精密コイル用トレイ(以下、トレイという。)10は、平面視略長方形の収納部11と、該収納部11を囲繞するように形成された周壁部13と、を備えている。トレイ10は、例えば、ABS樹脂に重量比5%のカーボンが混合された材料で型成形されており、厚さは約1.5mmで形成されている。つまり、カーボンを混合することで導電化を図るとともに、トレイ10の色は黒色になっている。
【0026】
収納部11は、コイルワイヤー1を収納する溝状のスロット部15と、隣り合うスロット部15,15の間を仕切るセパレータ部17と、が交互に並列形成されている。スロット部15はコイルワイヤー1が案内される方向に沿って溝部が形成されている。つまり、コイルワイヤー1が案内される方向と直交する方向の断面(図5参照)は、スロット部15とセパレータ部17とが凹凸状に交互に形成されている。なお、一つのスロット部15には一本のコイルワイヤー1を収納するように構成されている。
【0027】
スロット部15の一端にはコイルワイヤー1が案内される導入部21が形成されており、スロット部15の他端には壁部22が形成されている。導入部21は、隣り合うセパレータ部17,17の間に開口するように形成されており、巻線機(不図示)で製造されたコイルワイヤー1が導入部21を通過してスロット部15内へと案内されるように構成されている。また、スロット部15の底面16は、コイルワイヤー1が案内される方向と直交する方向の断面形状が曲面形状に形成されている。ここで、コイルワイヤー1は略円筒状に形成されているため、コイルワイヤー1をスロット部15に収納すると、コイルワイヤー1は底面16の所定の位置に配置することができる。さらに、スロット部15の底面16の下部には、下方へ突出した突起部18が形成されている。突起部18は、トレイ10を上下方向に積層したときに、直下に配されたトレイ10のスロット部15へ嵌合できる大きさで形成されている。なお、コイルワイヤー1は、例えば、外径約0.2〜0.3mmで、全長約200mmの略円筒状に巻線が巻き回された形状をしており、部分的に巻線密度が異なるように形成されている。
【0028】
図7に、トレイ10を上下方向に積層したときのスロット部15の嵌合状態を示す。図7に示すように、上方のトレイ10Aの突起部18が、下方のトレイ10Bのスロット部15へ嵌合される。このとき、スロット部15にはコイルワイヤー1が配されるが、コイルワイヤー1が突起部18に接触しないように、突起部18の形状が決められている。
【0029】
また、収納部11における導入部21側には、コイルワイヤー1がスロット部15内に確実に案内されるように傾斜部23が形成されている。傾斜部23は、スロット部15の底面16から上方に向かって延設されている。傾斜部23の上端は周壁部13の上面13aに連接されている。
【0030】
セパレータ部17は、隣り合うスロット部15,15の上端同士を連結し、かつ、水平方向と略平行になるように形成されている。なお、セパレータ部17は傾斜部23には形成されていない。また、セパレータ部17の一端部、つまり導入部21が形成された側の端部は、コイルワイヤー1が案内される方向に沿って先細り形状に形成されている(図6参照)。セパレータ部17の一端部を先細り形状にすることにより、導入部21の幅を大きくすることができる。つまり、コイルワイヤー1を所望のスロット部15内へ確実に案内することができる。なお、セパレータ部17の一端部は、平面視において曲線状に先細るように構成すると、セパレータ部17の先端に角部が無くなり、コイルワイヤー1をスロット部15へ案内する際に、コイルワイヤー1がセパレータ部17にぶつかってもコイルワイヤー1が損傷するのをより安全に防ぐことができる。
【0031】
トレイ10の周壁部13の上面13aには周方向に全周に亘って溝部31が形成されている。また、周壁部13の下面13bには周方向に全周に亘って下方に突出したスカート部32が形成されている。この溝部31とスカート部32とは、トレイ10を上下方向に積層したときに、嵌合するように構成されている。つまり、上方のトレイ10Aのスカート部32と、下方のトレイ10Bの溝部31と、が嵌合する。このように構成することで、トレイ10を複数積層しても安定して積層され、輸送時などに生じる振動によってもトレイ10の積層体が転倒してコイルワイヤー1がトレイ10から落下するのを防止することができる。
【0032】
次に、本実施形態のトレイ10を用いて、コイルワイヤー1を収納して輸送する方法について説明する。
コイルワイヤー1は図示しない巻線機で製造されるため、巻線機のそばにトレイ10を配置する。巻線機で製造されたコイルワイヤー1は、巻線機のアームなどによりトレイ10の直近まで搬送される。そして、コイルワイヤー1は、トレイ10の傾斜部23に来たところで、巻線機のアームを離れ、トレイ10へ供給される。
【0033】
図8に示すように、トレイ10の傾斜部23に供給されたコイルワイヤー1は、傾斜部23を滑り落ちるようにして、スロット部15の導入部21へ案内される。
【0034】
また、図9に示すように、導入部21まで案内されたコイルワイヤー1の先端は、スロット部15内へと導かれる。このとき、コイルワイヤー1の先端が導入部21の両側に位置するセパレータ部17の先細りした先端部に当たっても、コイルワイヤー1はそのまま先端部の表面に沿って、スロット部15内へと導かれる。そして、コイルワイヤー1は導入部21からスロット部15内へ導かれ、スロット部15の底面16上に載置される。このとき、コイルワイヤー1は完全にスロット部15内に位置し、導入部21からコイルワイヤー1の後端部がはみ出さないように配置する。
【0035】
次に、別のコイルワイヤー1も上述と同様にスロット部15内に配置する。このとき、直前にコイルワイヤー1が収納されたスロット部15の隣のスロット部15に順次コイルワイヤー1を収納するように構成する。
【0036】
続いて、図10に示すように、全てのスロット部15にコイルワイヤー1が収納されたら、スロット部15をカバーするように緩衝材41を配置する。緩衝材41は、例えば柔らかいスポンジなどで構成されており、全てのスロット部15に対して配置する。また、緩衝材41を傾斜部23の上面にも配置する。緩衝材41を傾斜部23に配置することにより、導入部21からコイルワイヤー1が飛び出すのを防止することができる。
【0037】
緩衝材41が配置されたら、トレイ10を積層する。トレイ10を積層すると、緩衝材41が押しつぶされて、スロット部15内の空隙を埋めるように変形する。つまり、図11に示すように、上下方向に積層されるスロット部15,15の間には、コイルワイヤー1および緩衝材41が配置されるようにする。このように構成することで、緩衝材41によりコイルワイヤー1が振動などにより移動するのを確実に防止することができる。
【0038】
さらに、トレイ10を上下方向に積層すると、上下方向に積層されたトレイ10の周壁部13の溝部31とスカート部32とが嵌合することにより、トレイ10を安定して積層することができる。
【0039】
続いて、目的地まで輸送されたトレイ10に収納されたコイルワイヤー1を実際に使用する際は、トレイ10に配された緩衝材41を取り除き、スロット部15に収納されたコイルワイヤー1を取り出す。このとき、コイルワイヤー1はピンセットなどにより取り出すが、本実施形態ではスロット部15の底面16の形状を曲面形状にしたため、コイルワイヤー1をピンセットで容易に取り出すことができる。
【0040】
また、トレイ10をABS樹脂に重量比5%のカーボンが混合された材料で型成形しているため、トレイ10は導電化されている。したがって、トレイ10は静電気の発生を防止することができるため、ピンセットでコイルワイヤー1を掴んだ際に、静電気がコイルワイヤー1を伝わって放電し、コイルワイヤー1が破損してしまうのを防止することができる。さらに、トレイ10は黒色で形成されているため、銀白色のコイルワイヤー1の視認性を高めることができ、コイルワイヤー1をピンセットで取り出し易くなっている。
【0041】
そして、コイルワイヤー1に心線(カテーテル)を通すことにより、カテーテル治療に利用することができる。
【0042】
本実施形態によれば、セパレータ部17の導入側端部を先細り形状にすることにより、コイルワイヤー1を収納するスロット部15の入口に相当する導入部21を幅広に形成することができるため、コイルワイヤー1を所望の位置のスロット部15に容易に収納することができる。したがって、巻線機で製造されたコイルワイヤー1をそのまま所望のスロット部15に人手を介さず自動的に収納することができる。結果として、コイルワイヤー1を効率よく所望のスロット部15に収納することができるとともに、コイルワイヤー1の品質低下を防止することができる。
【0043】
また、製造されたコイルワイヤー1を傾斜部23に供給することにより、コイルワイヤー1は傾斜部23に沿って下方へ移動し、所望の導入部21からスロット部15へと案内される。したがって、コイルワイヤー1をさらに効率よくスロット部15に収納することができる。
【0044】
また、スロット部15の底面16を曲面形状に形成したため、コイルワイヤー1をスロット部15に収納したときに、コイルワイヤー1の位置を保持することができる。したがって、輸送時などにコイルワイヤー1がスロット部15内で移動することにより損傷するのを防止することができる。また、コイルワイヤー1をスロット部15の最深部に保持することにより、コイルワイヤー1の使用時にピンセットなどで容易に取り出すことができる。
【0045】
また、周壁部13における上面13aに溝部31を形成し、下面13bにスカート部32を形成したため、トレイ10を上下方向に積層しても、トレイ10,10同士が位置ズレするのを防止することができる。したがって、輸送時などにコイルワイヤー1がスロット部15内で移動することにより損傷するのを防止することができる。また、複数のコイルワイヤー1を同時に輸送することができるため、輸送効率を向上することができる。
【0046】
さらに、上下方向にトレイ10を積層したときに、スロット部15内に収納されたコイルワイヤー1が上方に位置しているトレイ10の突起部18に接触して損傷するのを抑制できるとともに、輸送時などに生じる振動などによりスロット部15からコイルワイヤー1が脱落するのを抑制することができるように構成した。したがって、コイルワイヤー1の品質低下を防止することができるとともに、輸送効率を向上することができる。
【0047】
そして、トレイ10を上下方向に積層するときに、スロット部15および傾斜部23に緩衝材41を配した状態で積層するように構成したため、輸送時などに振動が生じてもコイルワイヤー1がスロット部15内で移動するのを防止することができる。したがって、コイルワイヤー1の品質低下をより確実に防止することができるとともに、輸送効率をさらに向上することができる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態では、精密コイルとしてカテーテル治療に用いるコイルワイヤーをトレイに収納する場合の説明をしたが、精密コイルを収納するトレイとして利用することができる。なお、精密コイルのサイズに合わせてスロット部の大きさを設定すればよい。
また、本実施形態では、傾斜部にはセパレータ部を形成しない場合の説明をしたが、セパレータ部を傾斜部にも形成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…コイルワイヤー(精密コイル) 10…トレイ(精密コイル用トレイ) 11…収納部 13…周壁部 13a…上面 13b…下面 15…スロット部 16…底面 17…セパレータ部 21…導入部 23…傾斜部 31…溝部(嵌合部) 32…スカート部(嵌合部) 41…緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密コイルを収納する収納部と、
該収納部を囲繞する周壁部と、を備えた精密コイル用トレイであって、
前記収納部は、
前記精密コイルを個別に配置可能な溝状のスロット部と、
隣り合う前記スロット部同士の間を仕切るセパレータ部と、が交互に並列形成され、
前記スロット部の一端には、前記精密コイルが案内される導入部が形成され、
前記セパレータ部における前記導入部が形成された導入側端部が、前記精密コイルの案内方向に沿って先細り形状に形成されていることを特徴とする精密コイル用トレイ。
【請求項2】
前記収納部における前記導入側端部側に、前記精密コイルが前記スロット部に案内される傾斜部が、前記スロット部の底面から上方に向かって延設されていることを特徴とする請求項1に記載の精密コイル用トレイ。
【請求項3】
前記スロット部の底面における前記精密コイルが案内される方向と直交する方向の断面形状が、曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の精密コイル用トレイ。
【請求項4】
前記周壁部における上面および下面には、上下方向に積層したときに嵌合可能な嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の精密コイル用トレイ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の精密コイル用トレイにおける前記スロット部に前記精密コイルが収納された収納体であって、
前記精密コイル用トレイを上下方向に積層したときに、上下方向に位置するスロット部同士が嵌合するとともに、前記スロット部に配された前記精密コイルが直上に位置するスロット部と接触しないように前記スロット部同士が嵌合するように構成されていることを特徴とする収納体。
【請求項6】
前記精密コイル用トレイを上下方向に積層したときに、前記スロット部に形成された空間部に緩衝材が配されていることを特徴とする請求項5に記載の収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−24736(P2011−24736A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172510(P2009−172510)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(305018823)盛岡セイコー工業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】