説明

精油所供給原料を評価する方法

精油所供給原料を評価する方法につき開示し、この方法は(i)精油所供給原料を供給し、(ii)前記精油所供給原料を処理して種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションからなるアレイ(array)を生成させ、各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表であり、(iii)前記複数のフラクションのそれぞれを分析して各フラクションの1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性を決定し、前記分析は少なくとも部分的に並列で行うことからなっている。好適実施態様においては複数の精油所供給原料を評価し、それぞれ各フラクションの分析に先立ち分画する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、精油所供給原料および他の多成分流体を高処理実験の使用により評価する方法に関するものである。
【0002】
組合せ化学または高処理化学は、薬物発見の方法を開発した[たとえば29Acc.ケミカル・リサーチ、1−170頁(1996);97ケミカル・レビュー、349−509頁(1997);S.ボーマン、ケミカル・エンジニアリング・ニュース、43−62頁(1997年2月24日);A.M.セイヤー、ケミカル・エンジニアリング・ニュース、57−64頁(1996年2月12日);N.テレット、1ドラッグ・ディスカバリー・ツデー、402頁(1996)参照]。近年、多くの高処理実験技術が開発されて、有用な性質につき触媒材料および他の材料を合成および試験する能力の顕著な増進を可能にした。一般に、この種の技術は、実験を設計すると共に触媒および材料製造および試験を自動化させるロボットおよびコンピュータの使用増加を含め装置および方法論の開発に集中し、迅速且つ再現可能な試験結果を比較的小規模の試料につき達成しうるようにした。たとえば多くの努力が多くの種類の材料および材料特性(たとえば米国特許第5,776,359号明細書に記載)につき並びに興味ある化学反応(たとえば米国特許第5,959,297号明細書、米国特許第6,063,633号明細書および米国特許第6,306,658号明細書に記載)につき製作および試験装置の開発に払われている。
【0003】
更に、高処理技術が、たとえばクロマトグラフィー(たとえば米国特許第6,866,786号明細書に記載)のような分離技術を含め多くの異なる分析技術に適用されている。更に各部品のコストが、ライブラリーもしくはアレイ(array)(たとえば米国特許第6,421,612号明細書に記載)の設計にて因子として用いられている。
【0004】
高処理技術は一般に現存プロセスに対する新たな触媒および材料の発見に集中している。今回、精油所プロセスのスクリーニングおよび最適化に適用しうる高処理方法論を開発した。
【0005】
未配合の原油は各種の純粋でない炭化水素不純物または「スペシース(species)」、たとえば酸、硫黄化合物および窒素化合物を含有する。種々異なるスペシースは、精油所にて広範囲の異なる問題を引き起こす。実質的に全ての近代的精油所は純粋原油でなく種々異なる原油のブレンドである供給原料を使用するので、原油におけるスペシースの変化の作用は予測および管理が困難である。これは、供給原料を配合すれば特定スペシースが異なるフラクション(すなわち格別の沸点範囲を有する供給原料の特定「カット」)に移行することがあるからである。種々のスペシースの分布を理解すれば、精油所に関する極めて有用な操作情報が得られる。しかしながら、この種の情報(一般に「スペシエーション」として知られる)は、伝統的方法により得ることが極めて困難かつ時間の無駄であり、従って実際には分析は未配合原油の分析に制限される傾向がある。このデータから特定供給原料を使用する結果を予測するため努力がなされる。しかしながら、この種の予測は限定された品質に不可欠である。
【0006】
今回、多量のスペシエーションデータが短時間で得られると共に取り扱われて、精油所条件のずっと良好な制御を可能にする方法が見出された。
【0007】
伝統的に原油は蒸留により分画されており、特定のスペシースが個々のフラクションおよび全体的原油の両者にて分析されている。得られる測定値は、測定されるスペシースの全量を推定させる;たとえば酸スペシースにつき、全酸度の測定値が得られる。所望ならば、次いで更なる測定を1つもしくはそれ以上のサブフラクションにつき行うことができる。しかしながら、伝統的測定は長時間を要し、複雑な装置を使用する。本発明は、複数のフラクションもしくはサブフラクションにつき分析を行うことを可能にする。典型的には全ての適切なフラクションもしくはサブフラクションにつき可能にする。
【0008】
従って本発明の第一面によれば精油所供給原料の評価方法が提供され、前記方法は:
(i)精油所供給原料を供給し;
(ii)前記精油所供給原料を処理して種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションからなるアレイを生成させ(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表である);
(iii)前記複数のフラクションのそれぞれを分析して各フラクションの1つもしくはそれ以上の化学および物理特性を決定し、前記分析を少なくとも部分的に並列で行う
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の好適実施態様においては複数の精油所供給原料を評価し、それぞれを各フラクションの分析に先立ち分画する。すなわち本発明の好適実施態様は複数の精油所供給原料を評価する方法であって前記方法は:
(i)精油所供給原料のアレイを供給し、ここで前記アレイは少なくとも複数の異なる精油所供給原料からなり;
(ii)前記アレイにおける前記精油所供給原料のそれぞれを分画して、種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションからなる更なるアレイを生成させ(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表である);
(iii)前記複数のフラクションのそれぞれを分析して各フラクションの1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性を決定し、前記分析を少なくとも部分的に並列で行う
ことを特徴とする評価方法である。
【0010】
好ましくは、分画工程(ii)は並列にて或いは迅速な直列方式にて1週間当たり少なくとも50個(たとえば、少なくとも250個、好ましくは少なくとも2000個)の精油所供給原料の処理量にて行われる。この分画は、1分画当たり少なくとも2つ、たとえば少なくとも7つもしくは8つのフラクションをもたらす。
【0011】
ここで使用したアレイとは、互いに幾つかの関係を有する各試料の集合体を意味する。たとえば、この関係は異なる硫黄含有量もしくは異なるオレフィン含有量を有する原油の選択とすることができ、或いは特定供給原料から得られる一連のフラクションとすることもできる。アレイは、たとえばそのアレイの各メンバーが存在する一連の領域を持った基質の形態で存在することができる。基質とは、硬質もしくは半硬質の表面を有する物質を意味する:多くの具体例において、基質の少なくとも1つの表面は実質的に扁平であって、種々異なる材料につき所望数の物理的個々の領域を有する。たとえば窪み、穴部、持上がり領域、腐食トレンチなどを有する各基質の例はミクロタイタープレートまたはガラスバイアルライニングされたミクロタイタープレートを包含する。幾つかの具体例において基質自身は穴部、持上がり領域、腐食トレンチなどを有し、これらの形態は各領域の全部または1部を形成する。
【0012】
本発明の方法は、高処理実験技術を用いて行われる。分析は複数のフラクションもしくはサブフラクション、典型的には全ての該当するフラクションもしくはサブフラクションにつき行われる。典型的には、多数の試料を含有する複数の穴部(たとえば96種の試料を含有する8x12個のアレイ)をマルチプレート上に設ける。これら試料のそれぞれは同一でも異なってもよい。所望に応じ、更なる分画を行うことができる。次いで各フラクションもしくはサブフラクションをたとえば分子の寸法および種類につき分析する。次いでデータをデータセット(たとえば分子形/分子寸法/アバンダンスの三次元データセット)に変換することができ、またデータマップを発生させることもできる。これらマップの使用は種々異なる供給原料を比較すると共に、精油所条件を最適化することができる。この種のマッピングは、精油所供給原料につき従来は決して行われなかった。作用上正確かつ迅速なデータ測定が衝撃に対し情報を与えるべく拘束されつつある際、特定の供給原料が精油所の操作に対し有する。
【0013】
精油所供給原料は原油、合成原油、バイオ成分、中間流、たとえば残油、ガス油、減圧ガス油、ナフサもしくは熱分解原料、および前記各成分の1つもしくはそれ以上のブレンドなどを包含する任意適する精油所供給原料とすることができる(たとえば1種もしくはそれ以上の原油のブレンドまたは1種もしくはそれ以上の原油と1種もしくはそれ以上の合成原油とのブレンド)。
【0014】
典型的精油所においては多くの異なる精油所供給原料を処理し、たとえば多くの種々異なる原油を処理する。供給原料の価値は蒸留フラクションの収率、組成および性質に依存し、これはその後の精油所プロセス流および生成物ブレンド成分につき所定の精油所にて生成する。更に精油所供給原料は一般に入手しうる供給物のブレンドであり、従って詳細な生成物品質および収率を含め全精油所プロセスにおける供給原料の価値を予測するのは極めて困難である。典型的には多くの推定が従前の操作経験に基づいてなされるが、これらは一般に大凡の推定のみを与えることができる。従って相乗的、拮抗的および/または非直線的な精油所供給原料を配合する作用(殆どモデル化に成功することは不可能である)が存在する。
【0015】
本発明はその使用前およびその購入の前でさえ、精油所供給原料の潜在的価値を評価しうる精油所供給原料の評価方法を提供する。この評価の1部として、本発明は、精油所供給原料と1種もしくはそれ以上の他の精油所供給原料との精油所プロセスにおける配合により得られる相乗的、拮抗的および/または非直線的な作用の評価方法を提供することができる。精油所供給原料は典型的には精油所にて入手しうる上記したような2種もしくはそれ以上の精油所供給原料のブレンドであるので、配合の効果はモデル化するのが困難であり、これは異なる比率で配合する効果を評価することを可能にする。
【0016】
更に本発明は全体的精油所プロセスを精油所供給原料につき最適化することを可能にし、これは種々のプロセスパラメータの最適化を包含し、1つより多い選択が可能である場合は供給原料を処理すべき最も適切な精油所の選択を可能にさえする。
【0017】
本発明の方法は、たとえばハンドブック・オブ・ペトリアム・リファイニング・プロセシス(第2版)ロバート・A.マイヤース編集およびマックグロー−ヒル出版のような任意適する精油所プロセス流に適用することができる。
【0018】
本発明の工程(ii)においては、精油所供給原料を種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクション(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表である)を生成させるべく処理する。
【0019】
「代表」と言う用語は、精油所プロセスにつき典型的なプロセス流(供給原料)として少なくとも幾つかの同様な化学的および/または物理的性質を有することを意味する。すなわち、各フラクションは精油所プロセスに対する供給原料として精油所に存在しうるプロセス流の代表である。
【0020】
たとえば複数のフラクションは、精油所における同等なプロセスに対するプロセス流につき典型的な全範囲内の複数の異なる沸点範囲を有することができる。所望の沸点範囲を有するフラクションは、適する分離手段、たとえば蒸留(たとえば大気圧または減圧蒸留)のような適する分離手段の使用により得ることができる。
【0021】
特別の精油所プロセスに対するプロセス流(供給原料)の所望の化学および物理特性は個々の精油所配置に依存するが、典型的性質はたとえばハンドブック・オブ・ペトロリアン・リファイニング・プロセシス(第2版)に記載(ロバート A.マイヤース編集およびマックグロー・ヒル出版)されている。
【0022】
1例において、精油所供給原料はその後に所望される複数のフラクションのそれぞれにつき1部を生成するよう分割することができ、ここで各部分は所望の性質を有する(たとえば所望の沸点範囲を有する)フラクションを生成すべく処理される。
【0023】
代案として、精油所供給原料は最初に2もしくはそれ以上の部分を生成するよう分割することができ、各部分は所望の性質を有する部分を生成するよう処理される。これら個々の部分の1つもしくはそれ以上をその後に更に分割すると共に化学的および/または物理的に処理して、所望の(異なる)性質を有する必要数のフラクションを生成させることができる。すなわち、150〜250℃の範囲の可変沸点範囲を有するプロセス流を用いてプロセスを操作する場合、第1部分は沸点範囲150℃〜250℃のフラクションを生成させるよう処理することができ、第2部分は沸点範囲160℃〜230℃のフラクションを生成させるよう処理することができる。
【0024】
異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクション(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表である)を生成させる精油所供給原料の他の処理に加え或いは必要に応じその代案として、評価すべき精油所供給原料の処理は前記精油所供給原料を1つもしくはそれ以上の他の精油所供給原料と配合する工程を含み、特に種々異なる他の精油所供給原料および/または他の精油所供給原料と初期精油所供給原料の部分とを異なる比で配合することにより種々異なる性質の複数のフラクションを生成させることを含む。配合される精油所供給原料は、典型的には3〜20種の異なる成分(たとえば原油)のブレンドから構成することができる。
【0025】
一般に任意適する物理的もしくは化学的処理方法を用いて、種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクション(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表である)を得ることができる。工程(ii)にて種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションを得るため使用する適する物理的もしくは化学的処理方法は、一般に慣用の精油所プロセスにて生じうる同等なプロセス工程の代表である。
【0026】
たとえばミクロ蒸留カラムもしくはミクロフラクショネータ(精油所における原油蒸留ユニットを示す)を各部分につき用いて、規定の沸点範囲を有するフラクションを得ることができる。他の技術は溶剤抽出、膜処理、吸着処理および適する化学反応を包含する。適するならば触媒を含む化学反応が一般に選択され、これらは従来の精油所プロセスにて生じうる化学反応の代表である。
【0027】
各技術の組合せは、たとえばミクロ蒸留に続く化学反応を必要として、原油蒸留に続く精油所プロセスにて生じる前記フラクションの従来の処理を示す。たとえば、1つもしくはそれ以上の部分を分画により生成させ次いで水添処理(必要に応じ各部分につき異なるプロセス条件を用いる)し、精油所におけるヒドロトリーターから得られる流れを示すことができる(および典型的には次いで触媒リフォーミングプロセスに供給することもできる)。
【0028】
精油所供給原料の化学処理は更に添加処理(たとえば脱塩添加物の添加、腐食不働化添加物(典型的には蒸留カラムにて使用)、汚染防止剤(各種の精油所プロセスにて使用)をも含む。
【0029】
工程(ii)における処理条件は一般に依存性プロセスであり、このプロセスが触媒プロセスである場合は更に触媒依存性とすることもできる。プロセス条件はたとえば温度、接触時間/空間速度および/または特定反応体の全圧力もしくは分圧を包含し、たとえば水素分圧は水添処理にて可変である。
【0030】
工程(ii)における処理は、精油所供給原料を複数の部分に分割し次いで各部分を処理して、精油所にて原油蒸留ユニットから常法で得られる適するフラクションにつき典型的な沸点範囲を有するフラクションを生成させる。たとえば工程(ii)のおける処理は精油所供給原料を複数の部分に分割し次いで各部分を処理して150〜250℃の範囲(この範囲は原油のケロシンフラクションにつき典型的な範囲である)または200℃〜350℃の範囲(これは原油のガス油フラクションの典型的範囲である)における沸点範囲を有するフラクションを生成させることからなっている。
【0031】
これら範囲は重なることに注目すべきである。これはフラクションの沸点範囲を特定のその後のプロセスにつき全ての可能な範囲内で変化させる有用性の1例である。
【0032】
分割は任意適する手段により達成することができる。たとえば分割は、1つもしくはそれ以上の自動化された注射器を用いて複数の部分を与えることにより、バッチ方式で行うことができる。代案として、一連のマイクロフローコントローラもしくはマイクロバルブを用いることもでき、ここで各部分につき流動は一般に連続的であるが、弁もしくはコントローラを用いて開始および停止させ、かつ必要に応じ変化させることもできる。更なる代案として、複数の邪魔板もしくは他の流動調節手段(たとえばプレートにおけるオリフィス)を用いることもでき、ここで流動は各部分につき独立して遮断もしくは変化し得ないが、複数の部分にわたり均一な流動分布を与えることができる。
【0033】
1具体例において1つの部分を加熱装置に戴置し、次いで熱を加えて試料温度を高めると共に所望範囲の間で沸騰するフラクションを集め、これにはたとえば適する弁を使用して正確な沸騰範囲のフラクションを集め、次いでこれを冷却して前記フラクションを凝縮させる。加熱装置は加熱ミクロオシレータとすることができる(米国特許第5661233号明細書に記載)。
【0034】
他の具体例においては各部分を少なくとも3つのセクションからなる包封チャンネルに戴置することができ、各セクシヨンは液体試料を通過させ得ないがガス試料を通過させうる弁または他の適するバリヤにより分離することができる。かくして、各部分をチャンネルの第1セクションに戴置すると共に第1セクションを所望の沸点範囲の上限沸点までたとえば局部加熱を与える加熱レーザーを用いて加熱し、第2部分は周囲温度(またはそれ以下)に維持して、上限沸点より低い沸点を有する全ての物質を蒸発させると共に第1セクションから第2セクションまで移動させ、ここで凝縮させることができる。
【0035】
次いで第2セクションを所望範囲の下限沸点までたとえば局部加熱を与える加熱レーザーを使用して加熱すると共に、第3セクションを周囲温度(またはそれ以下)に維持し、下限沸点より低い沸点を有する材料の全てを蒸発させ、第2セクションから第3セクションまで移動させ、第2セクションには所望の沸点範囲を有するフラクションを残す。
【0036】
代案として、第2セクションを全体にわたり下限沸点に維持して所望範囲より高い範囲の沸点を有する材料を第1セクションに残し、所望範囲の沸点を有する材料をセクション2にて集めると共に、所望の範囲の沸点より低い沸点を有する材料をセクション3にて集める。
【0037】
それぞれ少なくとも3つのセクションを有する複数のチャンネルを回転円盤型の分離装置に設けることもできる(たとえば国際公開第01/87485号パンフレットもしくは国際公開第2004/58406号パンフレットに記載)。
【0038】
一般、に工程(ii)で生成される複数のフラクションは少なくとも7つのこの種のフラクション、たとえば少なくとも20のこの種のフラクションで構成される。複数のフラクションを生成させる精油所供給原料の処理は所望ならば少なくとも部分的に(たとえば主として、好ましくは全体的に)並列で行いうることが本発明の特徴であり、ここで並列とは複数のフラクションを並行して生成させ、従って任意特定の場合に分析すべく入手しうることを意味する。生成される種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションに加え、再現性を確保/点検する目的で幾つかの「同一」のフラクションを生成させることもできる(次いで分析することができる)。
【0039】
工程(iii)においては複数のフラクションのそれぞれを分析(特性化)して、各フラクションの1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性を決定する。本発明の方法の工程(iii)にて分析することが望ましい各フラクションの化学および/または物理特性は一般に流れ依存性であり、密度、比重、全酸価(TAN)、全塩基数(TBN)、低温流動特性(たとえば注入点、凍結点および濁り点)、粘度、炭水化物スペシエーション(たとえば芳香族含有量)、硫黄含有量、硫黄化合物スペシエーション、窒素含有量、ニッケル化合物含有量、酸スペシエーション(たとえばスルフィド酸、ナフテン酸およびそのサブジビジョン)、アスファルト含有量、炭素含有量、金属含有量(たとえばニッケル、バナジウム、鉄、カルシウム)、ミクロ炭素残渣、塩化物(含有量および種類有機/無機)およびその組合せを包含する。
【0040】
任意適する分析技術を用いることができる。各分析は任意適する方法により、たとえば急速GC、2DGCもしくは質量スペクトロスコピーのような迅速分析用具を用いて行うことができる。少なくとも1つの化学的もしくは物理的性質の分析は好適には主として並列で、たとえば種々異なるフラクションにつき操作する2つもしくはそれ以上の分析装置を使用して行われる。好ましくは各フラクションを全並列方式で少なくとも1つの性質につき分析し、全並列式とは各フラクションをその性質につき同時に分析することを意味する。たとえば別途の分析装置(たとえばミクロ−GC)を各フラクションの分析につき設けることができる。使用しうる他の種類の並列分析はマルチチャンネルもしくはプレート系液体クロマトグラフィーおよび/またはプレート系電気泳動を包含し、多数試料を単一プレートにて並列で分析することができる。化学物質をプレートにて同定することができ、これには構造的または機能的に特異的な化学染料または化学肉眼化(たとえば照射)剤を使用する。更にミクロ流動技術を用いて処理量を増大させることもできる。異なる性質につきフラクションの複数分析は迅速な直列方式で行いうることが了解されよう。すなわち第1特性については一連の並列分析を行い、次いで第2特性については並列分析のセットを行う。代案として、種々異なる性質の分析を含め、全ての分析を全体的に並列で行うこともできる。工程(iii)の分析はこの方法の工程(i)および(ii)からの試料の処理量にマッチしうるような速度で行うべきである。好ましくは、分析されるフラクションの性質は1つもしくはそれ以上の化学特性を包含する。化学特性はフラクションの 価値に顕著な影響を及ぼし、かつたとえばその後に触媒されおよび触媒されない精油所プロセスを含め供給しうるその後のプロセスに対しおよび精油所のプロセス操作性(腐食もしくは汚染)に対し潜在的な衝撃を及ぼしうる。
【0041】
典型的な触媒精油所プロセスはたとえば水添処理、選択的水添処理、異性化、芳香族飽和、水添異性化、ヒドロクラッキング、水素化、触媒熱分解、コンビ熱分解、リフォーミング、イソ脱蝋、スイートニング(たとえばメロックス・プロセス)、脱アルキル化、アルキル交換、エーテル化、OATS、接触脱水素化(たとえばオレフレックス・プロセス)、CもしくはCオレフィン二量化(たとえばジメルソール・プロセス)、MTBE、Isal、アルキル化およびオクトゲインを包含する。
【0042】
精油所における典型的な非触媒型プロセスはたとえば原油脱塩、原油蒸留、減圧蒸留、膜抽出、溶剤抽出、熱分解(たとえばビスブレーキング)、コーキング、コークス焼成、ビチューメン吹込み、およびガス化を包含する。
【0043】
1具体例において、本発明の方法における工程(ii)および(iii)の処理および分析は複数のフラクションを与えるのに適する処理工程のアレイ、たとえばブレンダーのアレイおよび/またはミクロフラクショネータのアレイ、並びに適する分析装置のアレイを各フラクションのそれぞれの分析につき用いて行われる。アレイは、たとえばシリコンウェファー上のミクロ加工アレイとすることができる。
【0044】
本発明の方法による評価は、本発明の工程(ii)および(iii)を反復する更なる実験を行うことにより増進することができる。すなわち、一方の複数のフラクションにつき精油所供給原料を評価すると共に、同じ初期供給原料(ただし僅かに異なる方式で処理されている)の1つもしくはそれ以上の更なる複数のフラクションにつき工程(ii)および(iii)を反復することにより全体的評価を増進させることができる。たとえば第1の複数のフラクションはそれぞれ種々異なる各成分の比にて配合されているが各フラクションを処理して同じ沸点範囲を有するような複数のブレンドとすることができ、第2の複数のフラクションは同じ各配合比を有するが異なる沸点範囲を有するよう処理されている各フラクションから構成することができる。更なる例として、工程(ii)にて各フラクションを生成した任意の化学反応のプロセス条件も経時的に変化させることができる。これは多くの変数を急速かつ制御してスクリーニングすることを可能にし、更に精油所プロセスにおける各フラクションにつき最適プロセス条件を決定することを可能にする。
【0045】
精油所はたとえば蒸留カラムのような操作を所定範囲内で変化させて供給原料の特定カットにつき種々異なる温度範囲を選択する能力を有するので、これは本発明の方法により精油所における蒸留カラムのための最高操作条件につき情報を他の供給原料処理(たとえば配合比)の関数として与えることを可能にする。このようにして相乗性を確認することができる。
【0046】
好ましくは本発明の方法は連続方式で行われ、連続方式とは工程(ii)における前記精油所プロセスの典型的プロセス流の代表である複数のフラクションを生成する処理、および工程(iii)における前記フラクションの分析を、バッチ式でなく一体的かつ連続的に行うことを意味する。すなわち、工程(ii)の処理は精油所供給原料を各処理工程に連続供給して連続プロセス流として複数のフラクションを生成させ、これらをその後に工程(iii)にて分析することからなっている。これは、一般に精油所にて極く近隣にて生ずる各プロセスを示し、一般にバッチ試験で行われる典型的原油分析試験とは異なる。本発明を連続式で行う場合、複数のフラクションにつき或る種の性質を連続的または半連続的に変化させ、たとえば種々異なる配合比または工程(ii)における分画温度範囲の作用を見出すことも可能である。
【0047】
本発明の方法は、種々異なる精油所供給原料およびそのブレンドにつき必要に応じ反復することができる。
【0048】
本発明の方法は、各フラクションの種々異なる物理および/または化学特性の分析につき必要に応じ反復することができる。すなわち、各フラクションを分析してたとえば金属含有量を測定することができ、その後にプロセスを反復し(または「連続し」)、分析を変化させてたとえば各フラクションの硫黄含有量の測定を可能にする。代案として或いは追加的に、種々異なる技術および/または異なる性質に関する分析は前記各フラクション(またはその各部分)につき並列で行うことができる。
【0049】
本発明の方法は、多くの異なる精油所プロセス流に別々に適用することができる。すなわち原油蒸留ユニットからのものの代表であるプロセス流を生成かつ分析するため、並びにその後に(ガス油フラクション)および処理および分析工程のための1つもしくはそれ以上のアレイをヒドロファイニングするための処理および分析工程の1つもしくはそれ以上のアレイを生成および分析する分析工程およびその後の接触リフォーミングおよび/または異性化など所要に応じ得るための処理および分析工程を有することが適している。
【0050】
代案として、プロセス流の評価は「結合」させることができる。すなわち、更なる具体例において本発明の方法は、2つもしくはそれ以上の複数の異なるプロセス流の分析により精油所供給原料を評価すべく適用することができる。
【0051】
本発明のこの実施態様の第一面において精油所供給原料は、精油所にて「直列」で生成されるプロセス流の生成および分析により評価することもできる。すなわち、本発明の方法による工程(iii)にて複数のフラクションを分析した後、複数のフラクションの1つもしくはそれ以上(典型的には全部)を更に処理して、それぞれ精油所に存在しうる異なる(すなわちその後の)プロセス流の代表である1つもしくはそれ以上の更なる流れを生成させることができる。たとえば本発明の方法の工程(ii)においては、ヒドロトリーターへの供給のための原油蒸留ユニットより得られるものに典型的な性質(たとえばナフサ範囲における沸点範囲)を有するフラクションを生成させることができ、これら流れを工程(iii)にて分析することができる。これに続き各フラクションを更に処理し、たとえば実際に水添処理してヒドロトリーターから得られるものに典型的な性質を有する流れを生成させて、接触リフォーミングおよび/または異性化プロセスに供給し、次いで再分析することができる。
【0052】
本発明のこの具体例の第二面において、精油所供給原料は精油所にて「並列」に生成されるプロセス流の生成および分析により評価することができる。たとえば、精油所供給原料を処理してそれぞれ第1プロセス流の代表である複数のフラクションおよびそれぞれ第2プロセス流の代表である複数のフラクションを生成させることができる。この局面の1例は、精油所供給原料をケロシンフラクションの代表である第1の複数フラクションに原油蒸留ユニットから分離し(これはその後にスイートニングプロセスに移送される)および原油蒸留ユニットからのガス油フラクションの代表である第2の複数のフラクションに分離し(これはその後にヒドロファイニングプロセスに移送される)、これらのそれぞれを分析することからなっている。
【0053】
これら第一および第二の各面の組合せを用いて、精油所における多くのプロセスを同時に評価することができる。この具体例は、1つの変数(処理工程)における第1複数のフラクションの1つにおける性質を変化させる変化の効果を、第2の複数のフラクションにおける1つの性質の変化に対し同時に評価しうると言う利点を有する。たとえば少なくとも5個のプロセス流(たとえば10個もしくはそれ以上)のような顕著な個数をこの「結合」方式で評価して、特定供給原料につき最適精油所供配置の情報を与えることができる。これは、適するマイクロ加工アレイにおける任意所要の処理工程を設けて達成することができる。
【0054】
本発明の好適具体例において、工程(iii)の分析が行われた後、適する精油所プロセスモデルを適用してフラクション/プロセス流のその後の処理に対する或いは精油所供給原料の全体的処理に対する各フラクションの化学および/または物理特性の衝撃を決定する。適する精油所モデルは当業者に知られており、たとえば供給原料および生成物の評価のための線状プログラム、たとえば個々のプロセスユニット最適化および精油所ワイドな最適化のようなプロセス最適化モデルおよび/またはリスク系モデルを包含して、プロセス流もしくは精油所供給原料の処理衝撃を一般に評価することができる。
【0055】
本発明の方法は、精油所プロセス流に対する精油所供給原料の作用につき多量のデータを発生する。更なる具体例において、このデータを用いて1つもしくはそれ以上の精油所プロセス(個々の或いは「結合した」プロセス)につきプロセスモデルを展開し、更新し、維持しかつ/または証明することができる。たとえば、多量のデータをパイロットプラントのパラメータ試験からよりも広範なパラメータセットで迅速に生成させることができ、更なる発生データを用いて広範なパラメータスペースにつきプロセスモデルの連続更新および再生を与えることができる(たとえば種々異なる触媒および種々異なる組成を添加する)。
【0056】
モデル化または他の実験設計技術を用いて、1つもしくはそれ以上の精油所供給原料(ブレンドを含む)につき可変プロセス条件のセットを発生させることができ、これは1つもしくはそれ以上のプロセスモデルの展開、更新もしくは証明につき評価することが望ましく、更に本発明のプロセスを特定的に用いてたとえば精油所供給原料から規定のプロセス条件の下で生成物の収率および品質のような所要のプロセスモデルの所要のデータを発生させることができる。
【0057】
本発明の更なる実施態様においては多成分流体の価値を決定する方法が提供され、この方法は
(i)複数の多成分流体からなるライブラリーを提供し;
(ii)前記多成分流体のそれぞれを、1週間当たり少なくとも50個のマルチ成分流体という速度にて、少なくとも2つの成分に分離し;
(iii)前記少なくとも2つの成分のそれぞれを1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性につき分析し;
(iv)前記ライブラリーにおける前記複数の多成分流体のそれぞれにつき価値を決定することを特徴とする。
【0058】
マルチ成分流体の価値は多数の種々異なる項目の1つもしくはそれ以上とすることができ、これらは(i)特定工業での多成分流体における各成分の価格、(ii)多成分流体の最適処理性、(iii)多成分流体を収容するタイプもしくは特定処理ユニットもしくは施設、(iv)多成分流体を処理する装置の型もしくは特定配置、(v)多成分流体を処理する処理工程の型もしくは特定配置、および/または(vi)多成分流体(たとえば他の多成分流体)の型もしくは特定配合材料を包含する。
【0059】
多成分流体のアレイもしくはライブラリーを設けることができる。流体の2つもしくはそれ以上の成分を高処理システムまたは方法で分離して、2つもしくはそれ以上の成分のアレイもしくはライブラリーを形成させる。これら成分のアレイもしくはライブラリーを次いで高処理システムもしくは方法で試験して組成、特徴もしくは性質を決定する。これら決定を使用して、工業における多成分流体の価値を決定する。
【0060】
高処理分離および試験は並列で、或いは同時的におよび/または急速な直列式に行うことができる。全体的作業流の処理量が重要であり、価値が決定される工業に依存して変化する単位時間当たりの多成分流体の速度もしくは試料で行うことが重要である。たとえば石油工業において原油分離および成分分析は少なくとも50種、たとえば少なくとも250種、好ましくは2000種の異なる原油マルチ成分試料を7日間の速度にて行うことができる。多成分流体はたとえば原油、他の精油所供給原料、医薬などの材料を包含する。
【0061】
価値決定は、マルチ成分流体の非試料量の購入前もしくは後に行いうると共に価値決定は価値抽出を最適化することを支援する。
【0062】
好適具体例において、一般に試料における酸のスペシースを決定する酸スベシエーションの測定については、本発明の方法は4工程からなっている:(1)試料作成:酸を多成分試料から液−液抽出における他の極性物質と一緒に有機および/または無機塩基と有機溶剤と水とのブレンドを用いて抽出する。代案として、シリカ充填96穴ミクロタイタープレートに基づく簡単な固相抽出プロセスを極性物質の抽出につきフラッシュもしくは正常相のクロマトグラフィーの条件下で使用することができ;(2)一次元分離および第1性質決定;酸強度分離は酸のための選択性を有するイオン交換樹脂で満たされた96穴固相抽出プレートの選択的保持により行い、次いで多工程溶出を増加酸度(水性混合物における種々異なる酸の濃度)の数種のバッファーを用いて行い、これは酸強度により多成分試料における酸成分を分離すると共に、反復多工程溶出は酸強度につき情報を与え(たとえば溶出の程度もしくは溶出の時間)、これを処理システムに入力してマッピングもしくはレイアウトし;(3)二次元分離および第2性質決定:次いで一次元からの各溶出液(すなわち成分)を急速な直列もしくは並列の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC) UV−Vis検出(たとえば200〜380nm吸光度)を有する疎水性により分離し、その際移動相(たとえば水/テトラヒドロフラン/シクロヘキサン)として用いられる各溶液の混合物での逆相カラムを使用;(4)配置もしくはマッピングおよび試料特性化:バックグランドを引算した後、多成分試料につき個々の成分(たとえば固相抽出溶出物)に対応するHPLC追跡を2つの酸分布マップ(レイアウト)まで再び組み合わせ、ここでx−y−zの縦軸はHPLC保持時間で作成し、固相抽出溶出程度およびHPLC検出信号、並びに必要に応じHPLC追跡は数種の帯域に一体化され、各ピーク面積を帯域特異性の応答因子で掛算することにより酸豊富値(mgKOH/g当量)まで変換する。
【0063】
以下、本発明のこの具体例の例を示す。
【0064】
実施例
この実施例は原油(これは任意の原油とすることができる)のフラクションを使用する。96個の原油分画試料のアレイを、96穴のガラスライニングされたガラス瓶を有する基体に設ける。
【0065】
液−液抽出(LLE)
各試料をそれぞれ約500mgを標的とし、それぞれ手動秤量またはボーハン自動化秤量ステーションを用いて秤量する。500mg当たり1mlの炭化水素溶剤の試料を各ウェルに添加すると共に、アレイをシェカープレート上で充分混合する。このアレイを加熱して、固体試料が流動性となるよう確保することができる。4mlの抽出溶液を各瓶に添加すると共に、抽出溶液を80部のイソプロパノールと20部の水における100Mトリエチルアミンとで構成する。これら瓶を少なくとも1時間にわたり激しく振とうし、次いで少なくとも5分間にわたり遠心分離する。各瓶の所定量を抽出溶液の水性部分から採取する。
【0066】
一次元分離
一次元分離は、酸につき高い親和性を持ったイオン交換樹脂を有する市販入手しうる96穴プレートを使用した固相抽出であり、特にウォータース社からのオアシスMAX(1穴部当たり60mgのイオン交換樹脂、30μmの樹脂粒子寸法)にスピーディスク(登録商標)圧力プロセッサおよび30psiのマニホールド空気圧を取り付けて使用する。LLE工程の水性フラクションから採取した試料の1部を各工程にて96穴SPEプレートの各穴部に手動で並行ピペットまたは自動化液体取扱ロボットを用いて充填する。各抽出物を殆どまたは全く圧力を施さずにゆっくりSPEプレートに通過させる。充填が完了した後、イソプロパノールに続きイソプロパノールと水との混液を徐々にSPEに同じ条件下で通過させる。溶出を並列にて全96穴につき行い、各段階では最も弱い酸性溶出液で開始すると共に最も強い酸性溶出液で終了する。この実施例においては4種の溶出液が存在する。第1溶出液においては0.5mlの0.178M蟻酸を各穴部に装填すると共に、プレートにわたり約0.1ml/minの一定流量を維持するよう調整された圧力にて通過させる。0.5mlまでの流出液を個々の96穴ミクロタイタープレートに集めて冷却する。第2溶出液においては、0.5mlの0.356M蟻酸を各穴部に装填すると共に、同じ流量に維持するよう調整された圧力にて通過させる。ここでも0.5mlまでの流出液を個々の96穴ミクロタイタープレートに集めて冷却する。第3溶出液においては、0.5mlの0.890M蟻酸を各穴部に4つの等しい部分にて装填すると共に、同じ流速に維持するよう調整された圧力にて通過させる。再び0.5mlまでの流出液を別個の96穴ミクロタイタープレートに集めて冷却する。第4溶出液においては、0.5mlの1.425M蟻酸を各穴部に4つの等しい部分にて装填すると共に、同じ流速に維持するよう調整された圧力にて通過させる。ここでも0.5mlまでの流出液を別個の96穴ミクロタイタープレートに集めて冷却する。溶出の程度を各試料に試料名をコードして記録し、溶出の程度を反映させる(たとえば演算システム解読バーコードを使用)。
【0067】
二次元分離
アニオン交換分離からの流出液を有する4枚のプレートを、並行毛細管HPLC装置と関連したロボット液体取扱ロボットのプラットフォームに乗せ、これにそれぞれ8本のカラムの端部にてUV vis吸光度検知器を装着する。特に、エクシゼント社からの8チャンネル毛細管HPLCエクスプレスLC(登録商標)−800を装着すると共に、CTCアナリチックス/リープ・テクノロジース社からのロボット自動試料採取装置HTS Palが有用である。抽入ポートおよび各カラムにつき2つの試料ループを保持する試料弁が存在すると共に、各カラムは3.5μmオクチル−シリカ粒子を充填した逆相カラムである。市販入手しうるソフトウェアーが抽入用のロボットを操作し、ポンピングすると共にデータを検出器から集める。濃度勾配溶出をモビル相−Aから出発して使用すると共にモビル相−Bまで移動させる。モビル相−Aは水およびTHFの大半、並びに少量の2種の炭化水素溶剤を含め4成分の混合物である。モビル相−Bは、少量の水およびTHFと2種の炭化水素溶剤の大半とを含む4成分の混合物である。
【0068】
流出液試料のそれぞれの所定量を毛細管HPLCカラムのモビル相に注入する。注入後、濃度勾配溶出プログラムを実行し、これはモビル相−Aの26μL/minの25当量およびモビル相−Bの1当量で出発すると共に、これを約15秒間保持し、次いでモビル相流速を変化させ、37μl/minのモビル相−Aの1当量およびモビル相−Bの35当量の組成に約90秒間変化させ、この組成を約3分間にわたり保持すると共に、次いで初期流速および組成に復帰させる。各試料には約5分間を要し、8個の試料を同時に操作して1プレート当たりに約1時間または全384試料につき4時間を必要とする。更に、ロボット自動サンプラーは注入ループを溶剤で満たし、各試料間を清浄すると共にカラムを清浄する。各HPLC分離は、200〜380nmの範囲におけるUV−Vis吸光度波長にて時間追跡時間対検出器応答を発生する。
【0069】
データ レダクションおよびマッピング
各HPLC追跡につき、10nm波長幅にて原データから抽出すると共に、50nm波長幅にて530nmにおける信号を用いてベースライン補正する。バックグランドプロフィルを上記一次元および二次元分離の両者を用いて作成し、これには分画原油を含まない試料を用いた。次いで、これらバックグランドプロフィルを個々の各試料追跡から抽出する。一次元からの溶出の程度を示す分画原油試料1個当たり4個のバックグランドプロフィル追跡を2つの次元マップに再構築し、ここではHPLC溶出時間がX軸を形成し、SPE溶出の程度がY軸を構成し、更にHPLC検出器応答がZ軸を形成する。バックグランド抽出された追跡を3つの溶出時間のタイプに組み込んで1帯域当たりのピーク面積を生成させる。次いで、これらピーク面積に帯域特異性応答ファクタを掛算して、各帯域当たりの酸度豊富値を分画原油試料1g当たりmgKOHの当量にて与える。各帯域の酸度豊富値(4SPE流出液x3HLPC溶出時間範囲)を合計して石油試料の全酸度値を与え、次いでこれをASTM標準により作成された原油試料のTANと比較することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)精油所供給原料を供給し;
(ii)前記精油所供給原料を処理して、種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションからなるアレイを生成させ、各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表であり;
(iii)前記複数のフラクションのそれぞれを分析して各フラクションの1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性を決定し、前記分析は少なくとも部分的に並列で行う
ことを特徴とする精油所供給原料を評価する方法。
【請求項2】
(i)精油所供給原料のアレイを供給し、前記アレイは少なくとも複数の種々異なる精油所供給原料からなり;
(ii)前記アレイにおける前記精油所供給原料のそれぞれを分画して、種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションからなる更なるアレイを生成させ、各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表であり;
(iii)前記複数のフラクションのそれぞれを分析して各フラクションの1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性を決定し、前記各分析は少なくとも部分的に並列で行う
ことを特徴とする複数の精油所供給原料を評価する方法。
【請求項3】
分画工程(ii)を並列で、または急速な直列方式で行う請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分画工程(ii)を1週間当たり少なくとも50の精油所供給原料の処理量にて行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(iii)にて、第1特性につき各フラクションの分析を並列にて行い、次いで第2特性につき各フラクションの分析を並列にて行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(iii)の全分析を並列にて行う請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
精油所供給原料が原油、合成原油、バイオ成分、中間流、たとえば残油、ガス油、減圧ガス油、ナフサもしくは熱分解原料、並びに前記各成分の1種もしくはそれ以上のブレンドから選択される請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
種々異なる化学および/または物理特性を有する複数のフラクションを生成させる(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表である)精油所供給原料の処理が、前記精油所供給原料を1つもしくはそれ以上の他の精油所供給原料と配合して異なる性質の複数のフラクションを生成させる工程からなり、これには初期精油所供給原料の部分を異なる他の精油所供給原料および/または他の精油所供給原料と種々異なる比にて配合する請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
種々異なる化学および/または物理的特性を有する複数のフラクションを生成させる精油所供給原料の処理(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表である)はミクロ蒸留カラムまたはミクロフラクショネータにおける処理であって規定の沸点範囲を有するフラクションを得ることからなる請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
種々異なる化学および/または物理的特性を有する複数のフラクションを生成させる精油所供給原料の処理(各フラクションは精油所に存在しうるプロセス流の代表であるが)は、溶剤抽出、膜処理、吸着処理および/または適する化学反応である請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(ii)で生成される複数のフラクションが少なくとも7種のこの種のフラクションからなる請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(iii)にて分析することが望ましいフラクションの化学および/または物理特性が密度、比重、全酸価、全塩基数、低温流動特性、粘度、炭化水素スペシエーション、硫黄含有量、硫黄化合物スペシエーション、窒素含有量、ニッケル含有量、バナジウム含有量、酸スペシエーション、アスファルト含有量、炭素含有量、金属含有量、ミクロ炭素残留物、塩化物およびその組合せから選択される請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
分析される各フラクションの特性が1つもしくはそれ以上の化学特性を包含する請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
この発明の工程(ii)および(iii)を反復する更なる実験を行うことにより、評価を増進させる請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
プロセスを連続式に行う請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
プロセスを各フラクションの種々異なる物理および/または化学特性の分析につき反復する請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
プロセス量の評価を「結合」して、精油所供給原料を2つもしくは以上の複数の異なるプロセス量の分析により評価する請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも5つのプロセス流を「結合」して評価し、特定供給原料つき最適な精油所配置の情報を与える請求項15に記載の方法。
【請求項19】
(iv)精油所プロセスモデルを用いてフラクション/プロセス流のその後の処理に対する、または精油所供給原料の全体的処理に対する各フラクションの化学および/または物理特性の衝撃を決定する
工程を更に含む請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
精油所プロセス流に対する精油所供給原料の効果につき発生したデータを用いて、1つもしくはそれ以上の精油所プロセスモデルを展開し、更新し、維持し且つ/または証明する請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
(i)複数の多成分流体からなるライブラリーを提供し、
(ii)前記多成分流体のそれぞれを1週間当たり少なくとも50の多成分流体の速度にて少なくとも2つの成分まで分割し、
(iii)前記少なくとも2つの成分のそれぞれを1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性につき分析し、
(iv)前記ライブラリーにおける前記複数の多成分流体の価値を決定する
ことを特徴とする多成分流体の価値の決定方法。
【請求項22】
決定工程が:前記1つもしくはそれ以上の化学および/または物理特性を所定の工業における1種もしくはそれ以上のこの種の性質を有する材料の価格に対し比較し;分析工程に基づき前記複数の多成分流体の少なくとも1つにつき処理施設を同定し;分析工程に基づき前記複数の多成分流体の少なくとも1つに関する処理装置の配置を同定し;かつ/または分析工程に基づき前記複数の多成分流体の少なくとも1つと配合する材料を同定することからなる請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2008−513562(P2008−513562A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531826(P2007−531826)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003560
【国際公開番号】WO2006/030218
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(597142701)ビーピー オイル インターナショナル リミテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】BP OIL INTERNATIONAL LIMITED
【Fターム(参考)】