説明

精油所金属学に対する精油所供給原料の腐食作用を模倣する方法

1つもしくはそれ以上の精油所プロセスの金属学に対する精油所供給原料の腐食作用を評価する方法につき開示し、前記方法は:(i)複数の精油所供給原料および1つもしくはそれ以上の精油所供給原料の複数のフラクションを供給し、(ii)精油所に存在する金属学の代表である複数の金属試料からなるアレイを供給し、(iii)複数の金属試料のそれぞれを前記精油所供給原料もしくはフラクションの1つもしくはそれ以上と非静電気条件下で接触させ、(iv)金属試料に対する前記供給原料および/またはフラクションの腐食作用を決定することからなっている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、高処理実験を用いる精油所プロセスに対する精油所供給原料の作用の評価方法に関するものである。
【0002】
腐食は石油精油所における主たる操作上の問題であると共に入手性および安全性を暗示し、更に或る場合には処理しうる原油の量を制限する。精油所腐食は原油自身により或いはその特定フラクションにより引き起こされ、高度に供給原料依存性およびブレンド依存性である。供給原料の腐食作用を評価する現存の方法は低速度であって必ずしも信頼しえない。本発明は、高ブレンドを公知方法よりも効率的に開発しうると共に、公知方法と比較してより時間的に多くの情報を提供する。プロセスから得られる結果は、どのように特定原料を作成すべきかの判定を可能にする。何故なら、ブレンド構造を処理前に開発しうるのに対し、現存方法は従前の知識からの推察を必要とするからである。
【0003】
組合せ或いは高処理の化学は薬物発見のプロセスを開発した[たとえば29Acc.Chem.Res.1−170(1996);97Chem.Rev.349−509(1997);S.ボールマン、Chem.Eng.News43−62(1997年2月24日);A.M.セイヤー、Chem.Eng.News57−64(1996年2月12日);N.テレット、1Drug Discovery Today402(1996)]。近年、多くの高処理実験技術が開発されて、有用な性質につき触媒および他の材料を合成および試験する能力における顕著な増進を可能にした。一般に、この種の技術は実験を設計すると共に触媒および材料の作成および試験を自動化するロボットおよびコンピュータの使用増大を含め装置および方法論の開発に焦点を当て、迅速かつ再現性のある試験結果を比較的小規模試料にて達成することを可能にした。たとえば多くの種類の材料および材料特性(たとえば米国特許第5,776,359号明細書に記載)のため、および興味ある化学反応(たとえば米国特許第5,959,297号明細書、米国特許第6,063,633号明細書および米国特許第6,306,658号明細書に記載)の作成および試験装置を開発するため多くの努力が払われている。
【0004】
更に高処理技術は、たとえばクロマトグラフィー(たとえば米国特許第6,866,786号明細書に記載)のような分離技術を含め多くの異なる分析技術に適用されている。更に、各部品のコストがライブラリーもしくはアレイの設計にファクタとして使用されている(たとえば米国特許第6,421,612号明細書に記載)。
【0005】
一般に高処理技術は現存するプロセスのための新規な触媒および材料の発見に焦点を当てられるが、バーバー等、サイエンス、第283巻、第8頁(1999年1月)は薄い銅フィルムにおける種々異なる条件のグリッドを作成することにより腐食を試験する技術を記載している。プレートにおける酸化銅被覆の厚さは1次元で増大するが多くの欠点が他の次元にも増大した。次いでフォイルを硫化水素でスパイクされた空気に露出して、得られる腐食を検討した。しかしながら、この種のシステムは単独では制約された情報のみを与え、たとえば精油所で経験されるような動的流動条件の効果を正確に予想することはできない。今回、精油所プロセスの金属学に対する精油所供給原料の腐食作用の評価に適用しうる高処理方法論を開発した。
【0006】
従って本発明によれば1つもしくはそれ以上の精油所プロセスの金属学に対する精油所供給原料の腐食作用を評価する方法が提供され、この方法は:
(i)複数の精油所供給原料および1つもしくはそれ以上の精油所供給原料の複数のフラクションを供給し、
(ii)精油所に存在する金属学の代表である複数の金属試料からなるアレイを供給し、
(iii)複数の金属試料のそれぞれを前記精油所供給原料もしくはフラクションの1つもしくはそれ以上と非静電気条件下で接触させ、
(iv)金属試料に対する前記供給原料および/またはフラクションの腐食作用を決定することを特徴とする。
【0007】
任意適する精油所供給原料を使用することができ、原油、合成原油、バイオ成分、中間流、たとえば残油、ガス油、減圧ガス油、ナフサもしくは分解ストックおよび前記各成分の1種もしくはそれ以上のブレンド(たとえば1種もしくはそれ以上の原油のブレンドまたは1種もしくはそれ以上の原油と1種もしくはそれ以上の合成原油とのブレンド)を包含する。
【0008】
典型的な精油所においては、たとえば多くの異なる原油のような多くの異なる精油所供給原料を処理する。更に精油所供給原料は一般に入手しうる供給物のブレンドであり、従って全精油所プロセスに対する供給原料の作用を予測するのは極めて困難である。現存する方法は低速度であると共に高価であるため、全てのブレンドの全てのフラクションにつき腐食性を探求するのは容易でない。典型的には、従前の操作経験に基づき多くの推量がなされているが、これらは一般に品質の予測のみを与えることができる。
【0009】
本発明は1つもしくはそれ以上の精油所プロセスの金属学に対する精油所供給原料の作用を評価する方法を提供し、精油所供給原料を使用する潜在的プロセス問題をその使用前に評価することを可能にし、しかもその購入の前でさえ可能にする。本発明は、更に供給原料を2つ以上の選択が可能である場合に処理すべき最も適切な精油所の選択を支援することもできる。従来の知見方法とは異なり、高処理技術を用いる本発明は、複数の供給原料および/またはフラクション(典型的には全ての適切な供給原料および/またはフラクションのそれぞれは選択された金属試料に対し試験することができる)を用いて試験を行うことを可能にする。作用上、供給原料および/またはフラクションのアレイを金属試料のアレイに対し試験して、腐食「マップ」を与えるべく処理しうる多量のデータを与えることができる。全作業の処理量が重要であると共に工程(a)における精油所供給原料および/またはフラクションの供給速度は好ましくは毎週少なくとも50、たとえば毎週少なくとも250、特に少なくとも毎週2000であり、工程(d)の腐食作用の測定速度は好ましくは毎週少なくとも250、たとえば少なくとも毎週1250、特に毎週少なくとも10,000である。
【0010】
本発明の方法により評価しうる「腐食作用」は、たとえば硫化水素、メルカプタンおよび有機スルフィド(一般に「反応性硫黄化合物」と呼ばれる)のようなスルフィド物質により引き起こされる腐食、たとえばアルキル鎖カルボン酸、シクロアルキル(1−5リング)カルボン酸、芳香族カルボン酸(一般に「ナフテン酸」と呼ばれる)により引き起こされる腐食、および無機酸たとえば塩化水素(一般に「鉱酸」と呼ばれる)により引き起こされる腐食を包含する。
【0011】
常に、スルフィド(反応性)硫黄、ナフテン酸、鉱酸の存在および種類に基づく精油所供給原料における上記3種の腐食メカニズム(スルフィド、ナフテン、鉱酸)は競合性である。これらメカニズムは相乗的に作用し、各成分の作用と比較して減少した腐食をもたらし、或いは拮抗的に作用して増進した腐食をもたらす。たとえば低/中レベルにて存在するスルフィド(反応性)硫黄は金属表面に不動層(硫化鉄、FeS)を形成してナフテン酸腐食の速度を低下させる。かくして、精油所はしばしば高い硫黄原油を含むナフテン酸原油を処理して、腐食リスクを減少させると共に、処理しうる低いコストの酸原油の部分を増大させる。しかしながら高スルフィド硫黄レベルにて、スルフィド硫黄はナフテン酸腐食の速度を増進する。更に、この関係は流速および温度により複雑となる。すなわち、従来のモデルはこれを予測することができない。1試験当たりに毎週測定する現在の腐食測定方法は速度、温度、スルフィド硫黄およびナフテン酸に基づく腐食関係をマッピングするのに必要な条件のマトリックスの発生を可能にしない。かくして精油所供は保守的にならねばならず、且つ酸原油の低いレベルを処理せねばならない。高処理技術の使用は、精油所が広範囲の条件下にブレンドを測定し、真腐食速度表面をマッピングすると共に相乗的利点にアクセスし且つ低コストの原油処理を増進し、精油所マージンを支援することができる。
【0012】
精油所に存在する金属学の代表である複数の金属試料は好適には、腐食に好ましいもしくは潜在的に好ましい精油所における精油所プロセスにて存在しうる金属学を示す。典型的金属学は炭素鋼(CS)、クロム鋼(たとえば5Cr、9Cr、)ステンレス鋼(たとえば410、316)(2.5%未満のMoを有する)317、321、825))を包含する。
【0013】
典型的には、腐食に適するまたは潜在的に適する精油所における精油所プロセスは、精油所供給原料の加熱が生ずるプロセス、流体が高速度もしくは剪断にて移動するプロセス、および/または高濃度の腐食材料が存在しうるプロセスであり、たとえば原油蒸留カラム(CDU)、レボイラ、熱交換器およびファーネスチューブ、減圧カラム、頭上凝縮システム、移動経路、コーキングユニットのためのヒータ、水添処理プロセス、および水添熱分解プロセスがある。
【0014】
典型的には、複数の金属試料は少なくとも5種の金属試料、たとえば少なくとも10種の金属試料、たとえば少なくとも20種の金属試料からなっている。
【0015】
本発明の方法は、ミクロ加工された金属試料のアレイを用いて行うことができる。
【0016】
金属試料は特定の個々の精油所に存在する金属学、または2つもしくはそれ以上の精油所に存在する多数の異なる金属学の代表とすることができる。
【0017】
他の金属学の代表である金属試料も存在しうるが、典型的には存在する金属の大半は1つもしくはそれ以上の精油所に既に存在する金属学の代表である。
【0018】
1具体例において、複数の金属試料は精油所に存在する金属試料のスペクトルを網羅するよう選択された複数の異なる金属試料とすることができ、多くの金属試料を並列で評価することができる。代案として、複数の金属試料は全て金属試料の1つの種類とすることができ、または僅か2,3の異なる金属試料(たとえば2〜3種のみの異なる金属試料)とすることもでき、本発明の方法は主としてプロセス条件下に相違点の作用を評価すべく使用することができ、および/または下記に詳細に説明するように典型的供給原料の代表である各フラクションの性質における相違点を評価すべく使用することができる。
【0019】
本発明の工程(iii)において、複数の金属試料のそれぞれを精油所供給原料またはそのフラクションと接触させる。好ましくは、それぞれ接触は並列でなされ、すなわち各接触は同時に行われる。
【0020】
精油所供給原料またはそのフラクションは、精油所プロセスにて各金属学と典型的に接触するような精油所流の代表とすべきである。「代表」という用語は、精油所プロセスに典型的な精油所流と少なくとも同様な幾種かの化学および/または物理特性を有することを意味する。たとえば、複数のフラクションは精油所における同等なプロセスに対する供給原料に典型的な沸点範囲を有することができる。所望の沸点範囲を有するフラクションは、たとえば蒸留のような適する分離手段の使用により得ることができる。
【0021】
特定精油所プロセスに対する供給原料の化学および物理特性は個々の精油所配置に依存するが、典型的性質はたとえばハンドブック・オブ・ペトリアム・リファイニグ・プロセシス(第2版)、ロバート・A.マイヤース編およびマックグロー・ヒル出版に記載されている。
【0022】
たとえば精油所において、原油蒸留カラムの加熱セクションにおける金属学は典型的には全精油所供給原料に晒される。従って本発明においては、これら金属学の代表である試料を全精油所供給原料の試料と接触させる。これに対し、原油蒸留ユニット(CDU)もしくは減圧蒸留ユニット(VDU)の特定領域、および蒸留タワーおよび下流のプロセスユニットに接続する配管または或る種のプロセスユニットの前の加熱における金属学は典型的には前記精油所供給原料のフラクションのみに露出され、従って本発明においては精油所供給原料を処理して代表的金属試料と接触させる代表的フラクションを生成させる。
【0023】
任意適する物理もしくは化学処理方法を用いて、前記精油所プロセスにつき典型的な供給原料の代表であるフラクションを得ることができる。たとえば、ミクロ蒸留カラムもしくはミクロフラクショネータを各部分につき用いて、規定の沸点範囲を有するフラクションを得ることができる。他の技術は溶剤抽出、膜処理、吸着処理および適する化学反応を包含する。各技術の組合せ、たとえばミクロ蒸留に続く原油蒸留を示す化学反応の後に前記フラクションの慣用の処理(これは精油所における興味あるプロセスの前に行われる)を必要とする。たとえば接触リフォーミングプロセスへの供給原料は典型的には前記リフォーミングプロセスの前に水添処理される。
【0024】
代表的フラクションは典型的には限定沸点範囲内のフラクションである。
【0025】
すなわち好適具体例において精油所供給原料は複数の部分(複数の金属試料のそれぞれにつき1つである)を生成させるべく分割され、ここで各部分は必要に応じ処理されて金属試料との接触に必要な範囲の沸点範囲を有するフラクションを生成させる。
【0026】
分割は任意適する手段により達成することができる。たとえば分割は、1つもしくはそれ以上の自動化注射器を使用して複数の部分を与えることによりバッチ方式で行うことができる。代案として一連のミクロフローコントローラもしくはミクロバルブを用い、各部分のための流動を一般に連続的とするが、弁もしくはコントローラを用いて始動および停止、並びに必要に応じ変化されることもできる。更なる代案として、複数の邪魔板または他の流動調節手段(たとえばプレートにおけるオリフィス)を用いることができ、ここで流動は各部分とは独立して遮断もしくは変化させうるが、複数の部分にわたり均一な流れ分布を与えることができる。
【0027】
1具体例においては1部分を加熱装置に戴置し、次いで熱を加えて試料温度を上昇させ、更に所望範囲内で沸騰するフラクションを集め、たとえばこれには適する弁を用いて正確な沸点範囲のフラクションを集め、次いでこれを冷却して前記フラクションを凝縮させる。加熱装置は加熱ミクロオシレータとすることができ、たとえば米国特許第5,661,233号明細書に記載されている
【0028】
他の具体例においては各部分を少なくとも3つのセクションからなる密閉チャンネルに戴置することができ、各セクションを弁または他の適するバリヤ((バリヤは液体試料を通過させ得ない)ガス試料を通過させうる)により分離する。すなわち各部分をチャンネルの第1セクションに戴置し、この第1セクションを所望沸点範囲の上限沸点までたとえば加熱レーザーを用いて局部加熱することにより加熱し、第2セクシヨンを周囲温度(またはそれ以下)に維持して、上限沸点より低い沸点を有する全ての物質を蒸発させると共に第1セクションから第2セクションまで移送して、ここで凝縮させる。
【0029】
次いで第2セクションを所望範囲の下限沸点までたとえば局部加熱を与える加熱レーザーを用いて加熱し、第3セクションを周囲温度(またはそれ以下)に維持し、ここで下限沸点以下の沸点を有する全ての材料を蒸発させると共に第2セクションから第3セクションまで移動させ、第2セクションには所望の沸点範囲を有するフラクションを残す。
【0030】
代案として、第2セクションを全体にわたり下限亜沸点に維持して所望範囲より高い沸点を有する材料をセクション1に残し、所望範囲における沸点を有する材料をセクション2で集め、更に所望範囲より低い沸点を有する材料をセクション3に集める。
【0031】
それぞれ少なくとも3つのセクションを有する複数のチャンネルを回転円盤型分離装置に設ける(国際公開第01/87485号パンフレットもしくは国際公開第2004/58406号パンフレットに記載)。更なる具体例においては、複数の金属試料の1つを含む更なるセクションを更に回転円盤における各チャンネルにつき設けることができ、精油所供給原料もしくはそのフラクションとの金属試料の接触を回転円盤上にて行うこともできる。
【0032】
精油所供給原料またはそのフラクションとの複数の金属試料のそれぞれの接触は、非静電気条件下(すなわち異なる条件下)で行うべきであり、典型的には同等な金属学が精油所に晒されるものの代表である条件とすべきである。変化させうる条件は温度、流速、剪断、浸漬、凝縮および/または乱流を包含する。1具体例において、これら条件はたとえば同じ温度および/または流速のような精油所におけるものと同等である。代案具体例として、同等な金属学が精油所にて露呈されるよりも過酷な条件(たとえばより高い温度、増大した流動、剪断または乱流)を用いて、腐食速度を増進させうると共に異なる供給原料につき相対的結果をより迅速に得ることを可能にする。典型的には、これらの結果は流動、剪断、温度、圧力、供給原料および/またはフラクションの関数として腐食速度を示す。
【0033】
必要ならば精油所供給原料フラクションの沸点範囲における変動を含め温度および他の操作条件の範囲は必要に応じ並列で評価して、プロセス制御により潜在的問題を緩和するためのオプションにつき情報を与えることができる。
【0034】
典型的に非静電条件はたとえば精油所供給原料またはそのフラクションにより金属試料を適する反応において「流動条件」下に覆うことを包含し、これにはたとえば精油所供給原料もしくはそのフラクションを金属試料にわたり連続的に流動させ、或いは剪断(流体における金属試料の移動もしくは回転)もしくは乱流の下で或いは可変の温度もしくは圧力条件の下で流動させる。
【0035】
工程(iv)においては金属に対する前記供給原料の腐食作用を決定する。これは、たとえば肉眼分析(たとえば顕微鏡または腐食生成物形成につき色監視を用いる)または適する分析技術を用いる表面分析のような任意適する手段とすることができる。好適方法は、溶液における腐食金属の濃度を測定することを含む。
【0036】
本発明の1具体例において金属試料は無視し得ない抵抗を有する形態、たとえばワイヤ、薄いシートもしくはメッシュである。この種の試料は、その抵抗およびその任意の変化を容易に測定しうると言う利点を有する。すなわち金属試料の任意の腐食は試料の抵抗変化により測定することができる。この種の試料を加熱すると共にその温度を正確に制御し、かつ抵抗加熱により監視することができる。この種の試料は任意公知の方法により作成することができる。
【0037】
すなわち、本発明による方法の1具体例は、精油所供給原料もしくはそのフラクションを複数の抵抗加熱金属ワイヤまたはメッシュ試料にわたり流動させると共に、経時的な抵抗変化を測定して前記金属試料の腐食速度を決定することからなっている。
【0038】
供給原料および/またはフラクションの腐食作用をどのような決定方法で選択するにせよ、各金属試料のための決定は並列(すなわち各分析を同時に行う)で或いは直列(たとえば急速な直列分析を用い)で行うことができる。
【0039】
本発明の方法を使用して、特定精油所供給原料からの精油所プロセスの各種部品における腐食問題の潜在性を迅速に評価することができる。
【0040】
本発明の方法を用いてたとえば慎重なプロセス制御および/または腐食阻止剤(これは特に必要に応じ精油所プロセスに添加することができる)の添加のような緩和工程を評価することかできる。すなわち公知または新規な腐食阻止薬物を異なるレベルで供給原料もしくはフラクションに添加することができ、次いで処理供給原料もしくはそのフラクションを複数の異なる金属試料と接触させ、或いは僅か1つもしくは2つの異なる金属試料と流動および温度の条件の範囲下で接触させ、金属試料の腐食速度を決定し、かくして精油所プロセスの特定部分または特定の金属学に対する添加物の適性を決定することができる。
【0041】
本発明の方法は更に他の供給原料との評価すべき精油所供給原料のブレンドにも適用することができ、従って精油所プロセスの種々の部分における腐食問題に対するブレンド供給原料の作用を評価すべく用いることができる。
【0042】
本発明の方法は、多くの異なる有力な精油所供給原料につき反復することができる。
【0043】
評価すべき種々異なる精油所供給原料は別々(独立した)供給原料とすることができ、或いはたとえば2種もしくはそれ以上の他の精油所供給原料の種々異なる比における配合物とすることもできる。
【0044】
代案として、多くの異なる有力な精油所供給原料を同時に評価することができ、そのそれぞれまたはフラクションを上記精油所に存在する金属の代表である複数の金属試料に供給することができる。
【0045】
以下、本発明の特定具体例を腐食の評価に関する実施例により以下説明する。
【0046】
実施例
1つもしくはそれ以上の精油所プロセスの金属学に対する精油所供給原料の腐食作用の評価方法は、平行な96チャンネルの往復シャトル腐食反応器からなるシステムにて実施することができる。腐食反応器は8個の12−セル金属ブロックに配置された96個の試験セルを包含する。各ブロックは円盤の形状にて収容する2つの部分を包含し、この円盤は試験セルのそれぞれにつきインデンテーションを有する下部を含み、更にユニットにおける全て12個のセルにつき均一な熱環境を与える。試験セルをインデンテーション内に設定すると共に、ハウジングの上部を下部に対し押圧して試験セルインデンテーションのそれぞれの周囲にシールを形成する。
【0047】
各試験セルをセラミックまたはセラミック被覆ステンレス鋼から加工する。試験セルは中空シリンダの形状であると共に、1インチ長さx1/16インチ直径の金属腐食クーポンを試験セルの中心軸線に沿って収容するインデンテーションを有する。環状磁気シャトルを試験セルシリンダの内部および金属クーポンの周囲に適合させて、所定の空間がクーポンとシャトルとの間に存在するようにする。磁気結合をハウジングの直ぐ下に位置する回転4極磁気アセンブリにより形成させる。
【0048】
操作に際し、ロボット液体試料作成および充填システムを用いて既知量(約450ml)の試験液体を消費し、この試験試料はたとえば複数の異なる原油蒸留フラクションの1つを反応器における各セルに示す。充填の後、各試験セルを12セル反応器フロックの1つにおけるインデンテーションに戴置する。金属腐食クーポンおよび磁気シャトルを各セルに添加する。8個までのこの種のブロックを充填し(96個までの異なる液体/金属対を試験することができる)、かつ各ブロックを不活性雰囲気下で封止する。
【0049】
各ブロックを所定温度まで加熱すると共に、各ブロックに関連した磁石を回転させてシャトルを各セルにて駆動させる。磁力は各シャトルを交互に反発もしくは吸引させて、各試験セル内に垂直往復運動を発生させる。磁気シャトルを試験セルの1端部から他端部まで駆動させる際、これはセル内に含有された液体を排除して液体を狭い環状空間からシャトルとピンとの間に移動させ、交互の高い速度の流動を発生させる。この運動は腐食クーポンの表面に制御された円筒壁部の剪断応力を発生させ、配管または他の工業流体装置にて経験される剪断応力を模倣する。この往復シャトル運動を設定温度にて約1〜48時間にわたり持続させる。
【0050】
次いで各反応器ブロックを開口すると共に、ロボット液体試料作成および充填装置を使用して各試験液体(約150mg)の試料をガラス瓶に移し、この液体を20(w/w)のファクタにてプレミソルブICP溶剤(コノスタン/コノコフィリップス・カンパニー)により希釈する。次いで希釈された試料を加熱すると共に混合する。次いで希釈試練液体における1つもしくはそれ以上の元素(たとえば鉄)の濃度を誘導カップリングプラズマにより測定する(セタック・オートサンプラー、テルモ・エレクトロン・コーポレーションでのICP−OES、IRISイントレピットII XSP)。腐食指数(1年当たり1mm)を腐食生成物の測定濃度から各液体/金属対につき計算し、これは金属につき長期腐食速度と相関することが予想される。4種の異なる総酸化値における減圧ガス油での炭素鋼試験試料につき270℃にて12時間にわたり得られた結果を図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】4種の異なる総酸化値における減圧ガス油での炭素鋼試験試料につき270℃にて12時間にわたり得られた結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つもしくはそれ以上の精油所プロセスの金属学に対する精油所供給原料の腐食作用を評価する方法において、
(i)複数の精油所供給原料および1つもしくはそれ以上の精油所供給原料の複数のフラクションを供給し、
(ii)精油所に存在する金属学の代表である複数の金属試料からなるアレイを供給し、
(iii)複数の金属試料のそれぞれを前記精油所供給原料もしくはフラクションの1つもしくはそれ以上と非静電気条件下で接触させ、
(iv)金属試料に対する前記供給原料および/またはフラクションの腐食作用を決定することからなる
ことを特徴とする評価方法。
【請求項2】
精油所供給原料を原油、合成原油、バイオ成分、中間流、たとえば残油、ガス油、減圧ガス油、ナフサもしくは熱分解原料、および前記成分の1つもしくはそれ以上のブレンドから選択する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
精油所に存在する金属学の代表である金属試料を炭素鋼、クロム鋼および/またはステンレス鋼から選択する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
金属試料のミクロ加工アレイを使用して行う請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
1つもしくはそれ以上の精油所供給原料の複数のフラクションを、ミクロ蒸留カラムもしくはミクロフラクショネータの使用により得る請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
精油所供給原料を分割して複数の部分(すなわち複数の金属試料のそれぞれにつき1つ)を生成させ、ここで各部分を処理して金属試料と接触させるための特定沸点範囲を有するフラクションを生成させる請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(iii)の非静電気条件が金属試料を精油所供給原料および/またはフラクションと可変流動条件、可変剪断条件および/または可変温度条件の下で接触させることを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属試料がワイヤ、薄いシートもしくはメッシュの形態である請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
金属試料の温度を抵抗加熱により調節すると共に監視する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
精油所供給原料および/またはフラクションを複数の抵抗加熱金属ワイヤもしくはメッシュの試料にわたり流動させると共に、経時的に抵抗変化を測定して前記金属試料の腐食速度を決定する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
腐食作用を、溶液における腐食金属の濃度を測定することにより測定する請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(iii)の各接触を並列で行う請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−513760(P2008−513760A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531828(P2007−531828)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003574
【国際公開番号】WO2006/030226
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(597142701)ビーピー オイル インターナショナル リミテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】BP OIL INTERNATIONAL LIMITED
【Fターム(参考)】