説明

精白された無浸漬丸米(小米)の間接式連続液化装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は清酒の製造において、精白された丸米中の澱粉を加水分解し、それを掛米として使用することができ、加水分解して連続して仕込みを得ることのできる精白された無浸漬丸米(小米)の間接式連続液化装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、米中の澱粉を加水分解し液状化して掛米とする液化装置は、原料米と仕込水を加熱機能を持ったタンク内に回分的に投入していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来の装置では、タンクの内壁または攪拌用の翼からしか原料米に伝熱できないから、酵素剤の活性の高い品温70℃以上に昇温するのに通常1〜2時間要する。そして、タンクの径が大きくなればなるほどこの傾向は顕著である。また、液化の終了した液を冷却するときも同様に長時間を必要とする問題があった。
【0004】さらに、それぞれの工程は、前工程の終了の後開始されるため、一回の最適仕込量は加熱タンクの大きさに制約されている。またそれぞれの設備は一回の最大仕込量に合わせてつくられているため、その半分以下の仕込量を必要とした場合には、新たな設備を要する等の難点があった。本発明の目的は、上記のような従来の難点を解消し、無浸漬丸米(小米)を粉砕することなくそのまま仕込水に投入して循環し、酵素を加えて、混合粉砕して澱粉及び粒米が沈殿しないよう均一分散して液化原料を得る液化原料調合装置と、さらに液化装置により加熱して原料の熱履歴の均一性をもたせ、加水分解して液化原料の液状化を促進し一定時間一定温度に保持した後、冷却することにより、掛米から仕込みを連続して得ることのできる精白された無浸漬丸米(小米)の間接式連続液化装置を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため本発明は、定量供給される仕込水中に精白された無浸漬丸米または小米を投入して混合する調合タンクと、前記仕込水と米との混合液に澱粉液化酵素を投入して循環ポンプで循環し、酵素を均一分散しながら米の水浸漬を行う循環路と、この循環路中で前記米を流動可能な粒径に破砕する破砕ポンプとから成る液化原料調合装置と、この液化原料調合装置により調整された液化原料を原液タンクに貯蔵し、液化原料の澱粉及び粒米が均一分散して沈殿しないよう循環させる循環ポンプと、前記液化原料を原液ポンプを用いて定量供給して間接加熱し、糊化し、酵素剤により液状化して米加水分解液とする熱交換器と、前記米加水分解液の温度を一定時間保持し液化を促進するホールドパイプと、このホールドパイプからの液を仕込タンクに直接投入できるように加水分解液を冷却する冷却器とから成る液化装置と、を備えた精白された無浸漬丸米(小米)の間接式連続液化装置とした。
【0006】(作用)本発明では、液化原料調合装置と液化装置とを設けた精白された無浸漬丸米(小米)の間接式連続液化装置とした。先ず、液化原料調合装置では調合タンクに定量供給された仕込水中に精白米を粉砕することなくそのまま定量供給して循環路を循環させる。循環路では、投入された精白米が順次破砕ポンプによって沈澱しない粒径に粉砕される。この時粒径は、破砕ポンプの調整によって液種毎に変更可能である。破砕された米は、循環して水浸漬を行いながら、澱粉液化酵素剤の添加により液中に酵素剤を均一分散して調合液となる。
【0007】次いで、液化装置により、調合液は原液タンクに貯蔵され、循環ポンプで循環し、原液ポンプによって熱交換器へ送液される。ここでは蒸気を用いて間接的に均一加熱されながら、短時間で90℃以上に昇温する。熱交換器により糊化及び一部液化をし、液温保持のホールドパイプに送られる。ホールドパイプにより、90℃以上に一定時間保持し、澱粉の加水分解を促進させる。所定の液化を完了された液は、冷却器により仕込温度に冷却して仕込タンクに送られる。このようにして丸米又は小米は連続して仕込みとなる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、先ず液化原料調合装置により、米タンクから定量供給される丸米又は小米を、そのまま水タンクから定量供給される仕込水中に投入して、循環路で循環する内に、沈殿しない程度に破砕ポンプにより破砕され、酵素を加えられ、水浸漬をしつつ均一分散した調合液となる。次いで、液化装置により、調合液は原液タンクに貯蔵される。この調合液は循環ポンプにより均一分散を保持しながら原液ポンプによって熱交換器へ定量送液される。そして、熱交換器では蒸気を用いて間接的に均一加熱され短時間で90℃以上に昇温する。このようにして熱交換器により調合液は糊化及び一部液化をし、一定温度(90℃以上)で一定時間液温保持をするホールドパイプに送られ、澱粉の加水分解を促進させる。所定の液化を完了された液は、冷却器により仕込温度に冷却して仕込タンクに送られる。このようにして丸米又は小米は連続して仕込みとなる。
【0009】
【実施例】以下図面に示した実施例を説明する。1は調合タンクで、米と仕込水を混合し、水浸漬及び酵素液混合を行う。2は米タンクで、原料米を貯蔵し、ロータリーバルブ3で、丸米を調合タンク1へ定量供給する。4は酵素液タンクで、液化酵素を貯蔵し、酵素供給ポンプ5で、液化酵素を定量供給するようになっている。6は循環路で、循環ポンプ7により仕込水8を循環し米タンク2から投入された米を破砕ポンプ9に供給する。破砕ポンプ9は無浸漬丸米を用途に合わせた粒径に破砕することができ、掛米となる。粒径は破砕ポンプ9の破砕部ミルの隙間とポンプ回転数により任意に調整できる。10は液化原料調合装置であり、上記1〜9により構成され、液化原料11が調整される。
【0010】液化原料11は、原液タンク12へ供給され貯蔵する。13は循環ポンプで、原液タンク12内の液化原料の均一分散を行い、また、洗浄ポンプとしても使用する。14は原液ポンプで、液化原料を熱交換器15へ定量供給する。精度を上げる場合は、電磁流量計を用いて流量制御を行う。熱交換器15には熱水ポンプ16が接続され、液化原料を間接的に加熱し糊化・液化を行う。糊化時の急激な粘度変化を回避するために高性能熱交換器を使用する。17はホールドパイプで、熱交換器15によって加熱された液の液化率を上げるための液温度を一定時間保持する。このホールドパイプ17はタンク式又はパイプ式で対応し、一定時間の保持が可能であり、又時間変更が可能である。本発明では液温度が下がると液化反応速度が落ちるために保温効果を高める必要がある。18は冷却器で、ホールドパイプ17にて液化された液の液温度を下げる冷却用熱交換器である。19は仕込タンクで、冷却された液を直接投入できるようにしている。前記12〜19までにより液化装置20が構成されている。
【0011】図2は液化原料調合装置10の詳細図で、符号Eは調合液を示す。図3は液化装置20の詳細図で、Eは液化原料調合装置10からの調合液を示す。
【0012】
【発明の効果】本発明では、無浸漬丸米(小米)を粉砕することなくそのまま仕込水に投入して循環し、酵素を加えて、混合粉砕して澱粉及び粒米が沈殿しないよう均一分散した調合液を得る液化原料調合装置を設け、さらに液化装置により加熱して原料の熱履歴の均一性をもたせて液状化を促進し加水分解し、一定温度で一定時間ホールドパイプで保持した後、冷却して仕込を連続して得ることができるようになった。
【0013】従って、加熱と冷却に要する時間を短縮でき、仕込量を適宜変更することができ、装置の配置スペースも縮少することができる等優れた精白された無浸漬丸米(小米)の間接式連続液化装置を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の全体を示す系路図
【図2】液化原料調合装置の実施例を示す系路図
【図3】液化装置の実施例を示す系路図
【符号の説明】
1 調合タンク
2 米タンク
4 酵素液タンク
5 酵素供給ポンプ
6 循環路
7 循環ポンプ
8 仕込水
9 破砕ポンプ
10 液化原料調合装置
11 液化原料
12 原液タンク
13 循環ポンプ
14 原液ポンプ
15 熱交換器
16 熱水ポンプ
17 ホールドパイプ
18 冷却器
19 仕込タンク
20 液化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 定量供給される仕込水中に精白された無浸漬丸米または小米を投入して混合する調合タンクと、前記仕込水と米との混合液に澱粉液化酵素を投入して循環ポンプで循環し、酵素を均一分散しながら米の水浸漬を行う循環路と、この循環路中で前記米を流動可能な粒径に破砕する破砕ポンプとから成る液化原料調合装置と、この液化原料調合装置により調整された液化原料を原液タンクに貯蔵し、液化原料の澱粉及び粒米が均一分散して沈殿しないよう循環させる循環ポンプと、前記液化原料を原液ポンプを用いて定量供給して間接加熱し、糊化し、酵素剤により液状化して米加水分解液とする熱交換器と、前記米加水分解液の温度を一定時間保持し液化を促進するホールドパイプと、このホールドパイプからの液を仕込タンクに直接投入できるように加水分解液を冷却する冷却器とから成る液化装置と、を備えたことを特徴とする精白された無浸漬丸米(小米)の間接式連続液化装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【特許番号】第2826503号
【登録日】平成10年(1998)9月11日
【発行日】平成10年(1998)11月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−66298
【出願日】平成8年(1996)3月22日
【公開番号】特開平9−252760
【公開日】平成9年(1997)9月30日
【審査請求日】平成8年(1996)3月22日
【出願人】(000152480)株式会社日阪製作所 (60)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−260867(JP,A)
【文献】特開 昭62−138181(JP,A)
【文献】特開 平2−107180(JP,A)