説明

精算処理システム

【課題】一の売買取引あたりの商品の個数を上昇させることができる精算処理システムを提供する。
【解決手段】POSシステムでは、精算処理において、一の売買取引あたりの商品の個数を計数し(ステップS6)、その個数が基準個数である20個を超える場合に(ステップS7にてYes)、値引き処理がなされる(ステップS8)。このため、20個を超える商品を購入しようとする動機付けを顧客に与えることができる。その結果、一の売買取引あたりの商品の個数の上昇、すなわち、一の顧客あたりに販売する商品の個数の上昇が期待でき、ひいては、客単価の向上に繋がることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が購入を希望する商品の精算処理を行う精算処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの各種店舗においては、POSシステムやキャッシュレジスタなどと呼ばれる、顧客が購入を希望する商品の精算処理を行う精算処理システムが使用されている。
【0003】
また、このような精算処理システムが導入される店舗では、顧客の商品の購入意欲を高めるため、商品の価格の値引きを行うことが頻繁になされている。このような値引きは、精算処理システムにより商品の精算処理を行う際に行われるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第2566849号公報
【特許文献2】特許第2552378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような値引きは特定の商品に関してなされることが一般的である。このため、値引対象の商品以外の他の商品については顧客の購入意欲を高めるという効果は必ずしも発揮されず、一の売買取引あたりの商品の個数を直接的に上昇させるものではなかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、一の売買取引あたりの商品の個数を上昇させることができる精算処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、顧客が購入を希望する商品の精算処理を行う精算処理システムであって、一の売買取引に係る商品の価格の合計である合計販売価格を導出する導出手段と、前記一の売買取引に係る商品の個数を計数する計数手段と、前記商品の個数が所定の基準個数を超える場合は、前記合計販売価格の値引きを行う値引手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の精算処理システムにおいて、前記値引手段は、前記一の売買取引に係る商品のうち、価格が高い順に所定の割引個数の商品を割引対象商品とし、前記割引対象商品の価格を所定の割引率で割引する。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の精算処理システムにおいて、前記値引手段は、前記割引対象商品の合計価格と前記割引率とを乗算した結果を合計値引額とし、前記合計値引額が一定の制限金額を超えるときは、前記合計販売価格から前記制限金額の値引きを行う。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載の精算処理システムにおいて、前記値引手段は、前記割引対象商品の合計価格と前記割引率とを乗算した結果を合計値引額とし、前記合計販売価格と所定の制限率とを乗算した結果を制限金額とし、前記合計値引額が前記制限金額を超えるときは、前記合計販売価格から前記制限金額の値引きを行う。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項2に記載の精算処理システムにおいて、前記値引手段は、価格が所定の制限価格を超えない商品のみを前記割引対象商品とする。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項2に記載の精算処理システムにおいて、前記計数手段は、価格が所定の基準価格を超える商品のみの個数を計数する。
【0013】
また、請求項7の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、前記合計販売価格の値引きを優遇するための優遇情報を入力する入力手段と、前記優遇情報の入力に応答して、前記基準個数を低下させる手段と、を備えている。
【0014】
また、請求項8の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、前記合計販売価格の値引きを優遇するための優遇情報を入力する入力手段と、前記優遇情報の入力に応答して、前記割引個数を上昇させる手段と、を備えている。
【0015】
また、請求項9の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、前記合計販売価格の値引きを優遇するための優遇情報を入力する入力手段と、前記優遇情報の入力に応答して、前記割引率を上昇させる手段と、を備えている。
【0016】
また、請求項10の発明は、請求項7ないし9のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、前記一の売買取引に係る商品のうち前記割引対象商品を除く商品の合計価格を導出する手段と、前記割引対象商品を除く商品の合計価格が所定の基準金額を超えるとき、前記優遇情報を示すクーポンを発行する手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし10の発明によれば、商品の個数が所定の基準個数を超える場合は合計販売価格の値引きを行うため、基準個数を超える商品を購入しようとする動機付けを顧客に与えることができ、一の売買取引あたりの商品の個数を上昇させることができる。
【0018】
また、特に請求項2の発明によれば、価格が高い順に所定の割引個数の商品のみを割引対象商品とするため、商品全部を割引対象とする場合と比較して、見かけの割引率を上昇することができる。
【0019】
また、特に請求項3の発明によれば、一定の制限金額に実際の値引額が制限されることから、値引額が過大となることが防止される。
【0020】
また、特に請求項4の発明によれば、合計販売価格応じた制限金額に実際の値引額が制限されることから、値引額が過大となることが防止される。
【0021】
また、特に請求項5の発明によれば、所定の制限価格を超えない商品のみが割引対象商品となるため、値引額が過大となることが防止される。
【0022】
また、特に請求項6の発明によれば、所定の基準価格を超える商品のみが計数対象とされるため、少量の高額商品と多量の少額商品とを組合わせて値引きが過大となることを防止できる。
【0023】
また、特に請求項7の発明によれば、優遇情報の入力により基準個数を低下させて値引きの発生条件を緩和することができるため、顧客に応じた優遇サービスを提供できる。
【0024】
また、特に請求項8の発明によれば、優遇情報の入力により割引個数を上昇させて値引き条件を良くすることができるため、顧客に応じた優遇サービスを提供できる。
【0025】
また、特に請求項9の発明によれば、優遇情報の入力により割引率を上昇させて値引き条件を良くすることができるため、顧客に応じた優遇サービスを提供できる。
【0026】
また、特に請求項10の発明によれば、割引対象商品を除く商品の合計価格が所定の基準金額を超えるときに優遇情報を示すクーポンを発行するため、割引対象商品を除く商品についても高額の商品を購入する動機付けを顧客に与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
<1.構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る精算処理システムであるPOSシステム100の構成を示す図である。このPOSシステム100は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗において採用されるものであり、POSサーバ1と複数のPOSターミナル2とを備えている。POSサーバ1及びPOSターミナル2はそれぞれLAN3に接続され、相互に通信可能とされている。
【0029】
POSサーバ1は、POSシステム100の全体を統括的に制御するものであり、通常は店舗の販売エリアとは別の管理事務所等に配置される。一方、POSターミナル2は、店舗の販売エリアに配置され、商品の売買取引の際に、販売者たる店舗の販売スタッフによって実際に操作される。具体的には、POSターミナル2は、商品の取引価格の演算や売買取引の決済などを行う精算処理に用いられる。
【0030】
図2は、POSサーバ1の構成を機能ブロックにて示す図である。POSサーバ1は、ハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、POSサーバ1は、演算処理を行うCPU11と、基本プログラムを記憶するROM12と、演算処理の作業領域となるRAM13と、各種データを記憶するハードディスク14とをバスライン10に接続した構成となっている。さらに、POSサーバ1は、各種情報の表示を行うディスプレイ15と、キーボード及びマウス等の入力部16と、LAN3を介して通信を行う通信部17とを備え、これらはそれぞれバスライン10に接続される。
【0031】
ハードディスク14には処理プログラムが記憶されており、CPU11がこの処理プログラムに従って演算処理を行うことで、POSサーバ1としての各種機能が実現される。また、ハードディスク14には、さらに、商品マスタなどの精算処理に必要なデータが記憶される。商品マスタは、当該店舗で扱われる各商品についての種々の情報(商品データ)を示すテーブル形式のデータである。商品マスタには、複数のレコードが含まれており、各レコードでは商品を識別する識別コードである「商品コード」に対して、「商品名」及び「価格」などの商品データが関連付けられている。なお、本実施の形態において単に「価格」という場合は、割引や値引がなされていない通常価格を意味する。
【0032】
図3は、POSターミナル2の構成を機能ブロックにて示す図である。POSターミナル2は、装置全体を制御する制御部21と、各種情報の表示を行う2つのディスプレイ22,23と、オペレータの操作や入力を受け付ける入力部24と、商品に付されたバーコードなどを読み取るバーコードリーダ25と、レシートを印刷して発行する印刷発行部26と、LAN3を介して通信を行う通信部27とを備えて構成され、これらはそれぞれバスライン20に接続される。入力部24には、精算処理において小計処理を指示するための小計キーや、テンキーなどの各種のボタンが含まれている。
【0033】
制御部21は、各種演算処理を行うCPU201と、制御用プログラム等を記憶するROM202と、演算処理の作業領域となるRAM203と、各種データを記憶する不揮発性メモリであるバッテリーバックアップされたSRAM204と、計時機能を有するタイマ205とを備えている。装置各部の制御機能や精算処理のためのデータ処理機能は、CPU201がROM202内の制御用プログラムに従って演算処理を行なうことで実現される。
【0034】
また、2つのディスプレイ22,23のうち、一方のディスプレイ22は、操作を行うオペレータたる販売スタッフの側に示すべき情報を表示する販売側ディスプレイ22であり、他方のディスプレイ23は、顧客の側に示すべき情報を表示する顧客側ディスプレイ23である。
【0035】
販売側ディスプレイ22の画面は、ドットマトリクス式の液晶で構成されており、文字、図形及び画像などの各種の情報をカラー表示することが可能となっている。一方、顧客側ディスプレイ23の画面は、比較的簡易なVFD(蛍光表示管)で構成されており、2行の文字列の単色表示のみが可能となっている。この顧客側ディスプレイ23の画面は、精算処理において顧客が視認しやすいように、その向きが調整される。
【0036】
<2.精算処理>
このPOSシステム100では、精算処理において一の売買取引に係る商品の個数が所定の基準個数である20個を超える場合には、それら商品の価格の合計から値引きがなされるようになっている。以下、このようなPOSシステム100の精算処理について説明する。
【0037】
図4は、精算処理の流れを示す図である。この図4に示す一連の処理は、一の売買取引ごと(一の顧客が購入を希望する商品群ごと)になされるものである。
【0038】
まず、顧客が購入を希望する商品群のうちの一の商品に付されたバーコードが、POSターミナル2のバーコードリーダ25によって読み取られ、これにより当該商品の「商品コード」がPOSターミナル2に取得される(ステップS1)。
【0039】
取得された「商品コード」は、POSターミナル2からPOSサーバ1に送信される。POSサーバ1では、これに応答して商品マスタのうちから当該「商品コード」を含むレコードが検索され、該当したレコードの内容がPOSターミナル2に返信される。これにより、当該商品の「商品名」及び「価格」などの商品データがPOSターミナル2に取得される。取得された商品データは、RAM203に記憶される。これにより、当該商品の商品登録がなされることになる(ステップS2)。
【0040】
続いて、次の商品に係る商品コードが取得されると(ステップS3にてYes)、再びステップS2の処理がなされ、同様にして当該商品の商品登録がなされる。このような処理が、顧客が購入を希望する全ての商品に関して同様に繰り返されることにより、全ての商品に関しての商品登録がなされる。つまり、全ての商品に係る「商品名」及び「価格」などの商品データがRAM203に記憶されることになる。
【0041】
このようにして全ての商品の商品登録がなされると、販売スタッフにより入力部24の小計キーが押下される。この小計キーが押下されると(ステップS4にてYes)、取得された全ての商品についての「価格」の合計である「合計販売価格」がCPU201により導出される(ステップS5)。
【0042】
次に、RAM203に記憶された商品データの数に基づいて、当該売買取引に係る商品の個数が「商品個数」としてCPU201により計数される(ステップS6)。そして、この「商品個数」が所定の「基準個数」を超えるかどうかが判断される(ステップS7)。本実施の形態では、この「基準個数」は20個とされており、予めRAM203などに記憶される。
【0043】
「商品個数」が「基準個数」(20個)を超える場合は(ステップS7にてYes)、「合計販売価格」の値引きを行う「値引き処理」がなされ(ステップS8)、その「値引き処理」の結果が、実際に顧客が支払うべき金額となる「取引価格」とされる。一方、「商品個数」が「基準個数」(20個)を超えない場合は(ステップS7にてNo)、「値引き処理」はなされず、「合計販売価格」がそのまま「取引価格」とされる。
【0044】
このようにして求められた「取引価格」は、販売側ディスプレイ22とともに、顧客側ディスプレイ23にも表示されて顧客に対して示される(ステップS9)。なお、この際、「商品個数」が基準個数を超えない場合は、基準個数を超えるために必要な商品の個数を、顧客側ディスプレイ23に表示するなどして顧客に報知するようにしてもよい。
【0045】
また、この時点では、追加的に商品コードを取得して商品登録を行うことも可能である。この時点で追加で商品コードが取得された場合は(ステップS10にてYes)、小計キーが押下された以降になされた「値引き処理」を含む小計処理がリセットされてなされなかったこととみなされ(ステップS11)、再びステップS2に戻り、当該商品の商品登録が追加的になされることになる。
【0046】
追加的な商品登録がなされない場合は、「取引価格」についての決済処理がなされる。すなわち、顧客から受け渡された決済用の現金等の金額が「預り金額」として入力部24を介して入力され、「預り金額」から「取引価格」が差し引かれた結果が「釣銭金額」として導出され、その「釣銭金額」がディスプレイ22,23に表示される。これにより、この売買取引の決済処理が完了する(ステップS12)。次に、この売買取引の内容を示すレシートが印刷発行部26により発行され(ステップS13)、これにより一連の精算処理が終了することになる。
【0047】
このようにPOSシステム100では、「商品個数」が「基準個数」である20個を超える場合に「値引き処理」がなされるため、20個を超える商品を購入しようとする動機付けを顧客に与えることができる。したがって、一の売買取引あたりの商品の個数の上昇、すなわち、一の顧客あたりに販売する商品の個数の上昇が期待でき、ひいては、客単価の向上に繋がることになる。
【0048】
<3.値引き処理>
次に、「値引き処理」(ステップS8)の詳細について説明する。図5は、「値引き処理」の詳細な流れを示す図である。
【0049】
「値引き処理」においては、まず、商品登録によりRAM203に記憶された商品データが、「価格」の高い順にソートされる(ステップS21)。そして、その順で上位となる2つの商品データに係る商品、すなわち、「価格」の上位2個の商品が、割引対象となる商品(以下、「割引対象商品」という。)として選択される(ステップS22)。なお、割引対象商品となる商品の個数(2個)は「割引個数」といい、予めRAM203などに記憶されている。
【0050】
次に、2つの割引対象商品の価格が合計されて「合計価格」とされる。そして、この「合計価格」に所定の「割引率」である10%がCPU201により乗算され、その結果が「合計値引額」とされる(ステップS23)。そして、得られた「合計値引額」が「合計販売価格」から値引きされ、その結果が「取引価格」とされることになる(ステップS24)。この処理は、2つの割引対象商品の価格をそれぞれ、所定の割引率(10%)で割引することと実質的に同等の処理である。
【0051】
このようにPOSシステム100では、価格が高い順に所定の「割引個数」の商品のみを割引対象商品とする。このため、限りある販促用の原資内で割引を行う場合であっても、一の売買取引に係る商品の全てを割引対象とするときと比較して、見かけの割引率を上昇することができる。また、「価格」の高い商品を買えば、それだけ値引額が大きくなることから、「価格」のより高い商品を購入しようとする動機付けを顧客に与えることができることになる。
【0052】
<4.他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態(以下、「第1形態」という。)に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような他の実施の形態について説明する。
【0053】
<4−1.第2形態>
第1形態では、「価格」の上位2個の商品を割引対象商品にするようにしているが、例えば、顧客が少量(2個)の高額商品と多量(19個)の少額商品とを組合わせて購入することにより、当該売買取引の「合計販売価格」に比して値引額が過大となってしまうことが想定される。このため、値引額に一定の制限を加えるようにしてもよい。
【0054】
図6は、このように値引額に一定の制限を加える場合における「値引き処理」(図4:ステップS8)の流れを示す図である。まず、第1形態と同様にして「価格」の上位2個の商品が割引対象商品として選択され(ステップS31)、さらに、第1形態と同様にしてこれらの割引対象商品の合計価格と割引率とを乗算して「合計値引額」が導出される(ステップS32)。
【0055】
次に、導出された「合計値引額」が一定の「制限金額」(例えば、1,000円)を超えるか否かが判断される(ステップS33)。この「制限金額」は、予めRAM203などに記憶されている。
【0056】
「合計値引額」が「制限金額」を超えない場合は(ステップS33にてNo)、第1形態と同様に「合計販売価格」から「合計値引額」が値引きされた結果が「取引価格」とされる(ステップS34)。一方で、「合計値引額」が「制限金額」を超える場合は(ステップS33にてYes)、「合計販売価格」から「制限金額」が値引きされた結果が「取引価格」とされることになる(ステップS35)。つまり、「合計値引額」と「制限金額」とのうちで少ない額が、「合計販売価格」から値引きされることになる。
【0057】
このような処理により、値引額が必ず「制限金額」(例えば、1,000円)までに制限されることから、値引額が過大となることを防止できることになる。
【0058】
<4−2.第3形態>
第2形態では、「制限金額」を一定額(例えば、1,000円)としているが、これでは、高額の商品を購入する顧客に対しては値引額が過少となる可能性がある。このため、この「制限金額」を、「合計販売価格」に応じて決定するようにしてもよい。
【0059】
図7は、この場合における「値引き処理」(図4:ステップS8)の流れを示す図である。まず、第1形態と同様にして「価格」の上位2個の商品が割引対象商品として選択され(ステップS41)、さらに、第1形態と同様にしてこれらの割引対象商品の合計価格と割引率とを乗算して「合計値引額」が導出される(ステップS42)。
【0060】
次に、「合計販売価格」と所定の制限率(例えば、5%)とが乗算されて、その結果が「制限金額」として導出される。この制限率は、予めRAM203などに記憶されている。これにより、「合計販売価格」に基づいて、「合計販売価格」が高いほど高くなるように「制限金額」が決定されることになる(ステップS43)。
【0061】
以降は、第2形態と同様にして、「合計値引額」と「制限金額」とのうちで少ない額が「合計販売価格」から値引きされ、その結果が「取引価格」とされることになる(ステップS44〜S46)。
【0062】
このような処理により、値引額が過大となることを防止しつつ、高額の商品を購入する動機付けも顧客に与えることができることになる。
【0063】
<4−3.第4形態>
また、第1形態では、「価格」の上位2個の商品を割引対象商品にするようにしているが、この割引対象商品として選択する商品の価格に制限を設け、非常に高額の商品は割引対象商品として選択されないようにしてもよい。
【0064】
この場合は、「値引き処理」において価格の順に商品データをソートする際(図5:ステップS21)において、価格が所定の制限価格(例えば、5,000円)を超える商品の商品データについては、ソート結果から排除され、あるいは、例外的にソート順位が最後とされる。これにより、次のステップS22においては、価格が制限価格(5,000円)を超えない商品のみが、割引対象商品として選択されることになる。この制限価格は、予めRAM203などに記憶される。
【0065】
このような処理により、値引額が過大となることを防止することができることになる。
【0066】
<4−4.第5形態>
また、第1形態では、一の売買取引に係る商品全てを対象にして「商品個数」を計数しているが、計数対象とする商品の価格に制限を設け、非常に低額の商品は計数対象とされないようにしてもよい。
【0067】
この場合は、商品個数を計数する際(図4:ステップS6)において、売買取引に係る商品のうちで価格が所定の基準価格(例えば、300円)を超えない商品が計数対象から除外され、価格が基準価格を超える商品のみが計数される。この基準価格は、予めRAM203などに記憶される。
【0068】
このような処理により、価格が基準価格を超える商品が基準個数である20個を超えたときに、「値引き処理」がなされることになる(ステップS7,S8)。このため、少量の高額商品と多量の少額商品とを組合わせて値引きが過大となることを有効に防止できることになる。
【0069】
<4−5.第6形態>
また、顧客からのクーポンの提示などにより、顧客に応じて値引きの条件を優遇できるようになっていてもよい。例えば、第1形態では、商品個数が一定の基準個数である20個を超えるという条件を満足することにより一律に値引きがなされていたが、この値引きを発生させる条件を緩和できるようになっていてもよい。
【0070】
この場合においては、顧客からクーポンの提示があったときには、図4に示す一連の処理がなされる前(ステップS1の前)に、顧客から提示されたクーポンの読み取りを行うためのクーポン読取処理がなされることになる。図8は、このクーポン読取処理の流れを示す図である。
【0071】
まず、クーポンに示された情報を入力する入力処理がなされる。図9は、クーポンの一例を示す図である。図に示すように、クーポン4には、合計販売価格の値引きを優遇するための優遇情報を示すバーコード41が記載されている。そして、このバーコード41がバーコードリーダ25によって読み取られることにより、優遇情報がPOSターミナル2に取得されることになる(ステップS51)。
【0072】
優遇情報がPOSターミナル2に取得されると、次に、その優遇情報が正当なものか否かがCPU201により判断される。すなわち、読み取られた優遇情報が所定の形式に従っているか否かが判断されることになる(ステップS52)。もし、優遇情報が所定の形式に従ったものでなければ(ステップS52にてNo)、そのままクーポン読取処理は終了される。これにより、不正なクーポンの利用が防止されることになる。
【0073】
一方で、優遇情報が正当であれば、基準個数である20個が変更され、例えば、18個に低下される(ステップS53)。これにより、以降の精算処理においては、商品個数が18個を超えるのみで値引き処理がなされる。このように優遇情報の入力に応答して、値引きの条件を優遇することにより、顧客に応じた優遇サービスを提供できることになる。
【0074】
<4−6.第7形態>
第6形態では、ステップS53において、値引きの発生条件を緩和するようにしていたが、値引きそのものの条件を向上させるようにしてもよい。
【0075】
例えば、優遇情報の入力に応答して、割引対象商品にする「価格」の上位から2個という「割引個数」を、例えば3個に上昇させてもよい。また、優遇情報の入力に応答して、10%の「割引率」を例えば12%に上昇させてもよい。このような処理によっても、顧客に応じた優遇サービスを提供できることになる。
【0076】
<4−7.第8形態>
またところで、第1形態では「価格」の上位2個の商品を割引対象商品にするようにしており、割引対象商品とならなかった商品の価格が高くても何の特典も付与されず、顧客に不満が残る可能性がある。このため、第6,7形態に用いられるようなクーポン4を、一定の条件下で発行するようにしてもよい。
【0077】
この場合は、図4に示す一連の処理がなされた後(ステップS13の後)に、図10に示すクーポン発行処理がなされる。まず、一の売買取引に係る商品のうち、割引対象商品とならなかった商品が注目される。そして、それらの割引対象外の商品の価格が合計されて「合計価格」として導出される(ステップS61)。
【0078】
次に、この「合計価格」が所定の基準金額(例えば、5,000円)を超えるか否かが判定される(ステップS62)。この基準金額は、予めRAM203などに記憶されている。
【0079】
そして、「合計価格」が基準金額を超える場合は(ステップS62にてYes)、図9に示すような優遇情報を記載したクーポン4が印刷発行部26により発行され、顧客に渡される(ステップS63)。
【0080】
このように、割引対象商品を除く商品の合計価格が所定の基準金額を超えるときに優遇情報を示すクーポン4を発行するため、割引対象商品を除く商品に関しても高額の商品を購入する動機付けを顧客に与えることができ、さらなる客単価の向上が期待できる。
【0081】
<4−8.その他の変形例>
第2形態から第5形態ではそれぞれ値引額が過大となることを防止するための制限手法を説明したが、これらは単独で適用されてもよく、任意の手法を組合わせて適用してもよい。
【0082】
また上記では、精算処理システムはPOSサーバ1及び複数のPOSターミナル2を備えたPOSシステム100であるとして説明を行ったが、精算処理システムが単体のキャッシュレジスタなどの単体装置として構成されていても、上記で説明した技術を好適に適用することが可能である。
【0083】
また、第6形態及び第7形態では、クーポン4のバーコード41の読み込みにより優遇情報が入力されると説明したが、オペレータによる入力部24の操作により優遇情報が入力されるようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】POSシステムの構成を示す図である。
【図2】POSサーバの構成を機能ブロックにて示す図である。
【図3】POSターミナルの構成を機能ブロックにて示す図である。
【図4】精算処理の流れを示す図である。
【図5】値引き処理の流れを示す図である。
【図6】値引き処理の流れを示す図である。
【図7】値引き処理の流れを示す図である。
【図8】クーポン読取処理の流れを示す図である。
【図9】クーポンの一例を示す図である。
【図10】クーポン発行処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 POSサーバ
2 POSターミナル
3 LAN
4 クーポン
41 バーコード
100 POSシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が購入を希望する商品の精算処理を行う精算処理システムであって、
一の売買取引に係る商品の価格の合計である合計販売価格を導出する導出手段と、
前記一の売買取引に係る商品の個数を計数する計数手段と、
前記商品の個数が所定の基準個数を超える場合は、前記合計販売価格の値引きを行う値引手段と、
を備えることを特徴とする精算処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の精算処理システムにおいて、
前記値引手段は、
前記一の売買取引に係る商品のうち、価格が高い順に所定の割引個数の商品を割引対象商品とし、
前記割引対象商品の価格を所定の割引率で割引することを特徴とする精算処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の精算処理システムにおいて、
前記値引手段は、
前記割引対象商品の合計価格と前記割引率とを乗算した結果を合計値引額とし、
前記合計値引額が一定の制限金額を超えるときは、前記合計販売価格から前記制限金額の値引きを行うことを特徴とする精算処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の精算処理システムにおいて、
前記値引手段は、
前記割引対象商品の合計価格と前記割引率とを乗算した結果を合計値引額とし、
前記合計販売価格と所定の制限率とを乗算した結果を制限金額とし、
前記合計値引額が前記制限金額を超えるときは、前記合計販売価格から前記制限金額の値引きを行うことを特徴とする精算処理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の精算処理システムにおいて、
前記値引手段は、価格が所定の制限価格を超えない商品のみを前記割引対象商品とすることを特徴とする精算処理システム。
【請求項6】
請求項2に記載の精算処理システムにおいて、
前記計数手段は、価格が所定の基準価格を超える商品のみの個数を計数することを特徴とする精算処理システム。
【請求項7】
請求項2ないし6のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、
前記合計販売価格の値引きを優遇するための優遇情報を入力する入力手段と、
前記優遇情報の入力に応答して、前記基準個数を低下させる手段と、
を備えることを特徴とする精算処理システム。
【請求項8】
請求項2ないし6のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、
前記合計販売価格の値引きを優遇するための優遇情報を入力する入力手段と、
前記優遇情報の入力に応答して、前記割引個数を上昇させる手段と、
を備えることを特徴とする精算処理システム。
【請求項9】
請求項2ないし6のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、
前記合計販売価格の値引きを優遇するための優遇情報を入力する入力手段と、
前記優遇情報の入力に応答して、前記割引率を上昇させる手段と、
を備えることを特徴とする精算処理システム。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の精算処理システムにおいて、
前記一の売買取引に係る商品のうち前記割引対象商品を除く商品の合計価格を導出する手段と、
前記割引対象商品を除く商品の合計価格が所定の基準金額を超えるとき、前記優遇情報を示すクーポンを発行する手段と、
を備えることを特徴とする精算処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−133548(P2007−133548A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324647(P2005−324647)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】