説明

精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法

【課題】酸性領域においても濁りの発生が抑制されたクロロゲン酸類含有飲料の製造に有用な精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法を提供すること。
【解決手段】原料クロロゲン酸類含有組成物を、酸性白土又は活性白土の存在下に有機溶媒及び水の混合溶媒に分散又は溶解する第1の工程と、該第1の工程により得られた分散液又は溶解液中の析出物を除去する第2の工程と、該第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類の濃度を1.5〜10質量%、かつpHを2〜4に調整する第3の工程と、該第3の工程により得られた濃度調整液中に発生した析出物を分離する第4の工程を含む、精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生理活性機能を有する素材として様々な素材が提案されているが、抗酸化作用、血圧降下作用、肝機能改善作用等の生理活性機能を有するものとしてポリフェノール類がある(特許文献1)。
ポリフェノール類のひとつであるクロロゲン酸類は、血圧降下作用が高いという報告がなされており(特許文献2)、サプリメントや飲食物への広い応用が期待されている。
【0003】
このため、クロロゲン酸類の純度や安定性を高める開発が行われてきた。例えば、安定な精製クロロゲン酸抽出物の製造方法として、コーヒー抽出物を特定の固形分濃度に調整した後、酸性白土及び/又は活性白土と接触させる方法(特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−128560号公報
【特許文献2】特開2004−194515号公報
【特許文献3】特開2008−266144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、クロロゲン酸類をより広い用途に応用すべく、クロロゲン酸類含有組成物を用いて広いpH範囲とクロロゲン酸類濃度の飲料について検討を行った。その結果、クロロゲン酸類含有飲料は、飲料として適した濃度に希釈した場合、酸性領域において濁りを生じる場合があることがわかった。
したがって、本発明の課題は、酸性領域においても濁りの発生が抑制されたクロロゲン酸類含有飲料、とりわけクロロゲン酸含有酸性飲料の製造に有用な精製クロロゲン酸類含有製剤、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、種々検討した結果、クロロゲン酸類含有組成物を有機溶媒及び水の混合溶媒に分散又は溶解させた状態で特定の吸着剤と接触させ、析出物を除去した後、クロロゲン酸類濃度及びpHを特定範囲内に制御して更に析出物を発生させ、固液分離することで、酸性領域においても濁りの発生が抑制された精製クロロゲン酸類含有製剤が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記の[1]〜[11]のとおりである。
[1]原料クロロゲン酸類含有組成物を、酸性白土又は活性白土の存在下に有機溶媒及び水の混合溶媒に分散又は溶解する第1の工程と、
該第1の工程により得られた分散液又は溶解液中の析出物を除去する第2の工程と、
該第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類の濃度を1.5〜10質量%、かつpHを2〜4に調整する第3の工程と、
該第3の工程により得られた濃度調整液中に発生した析出物を分離する第4の工程
を含む、精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
[2]第1の工程において、第1の工程により得られた分散液又は溶解液のpHを4.6〜7に調整する工程を有する、前記[1]記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
[3]第2の工程後、第3の工程完了までに、第2の工程により得られた前記溶液中の有機溶媒濃度を5質量%以下に調整する工程を有する、前記[1]又は[2]記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
[4]第3の工程におけるpH調整を、クロロゲン酸を類含有する溶液に酸を添加する方法、クロロゲン酸類を含有する溶液を酸性水溶液へ溶解する方法、及びクロロゲン酸類を含有する溶液をカチオン交換樹脂に接触させる方法から選択される少なくとも1種により行う、前記[1]〜[3]のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
[5]第3の工程におけるpH調整を、クロロゲン酸類を含有する溶液をカチオン交換樹脂に接触させる方法により行う、前記[1]〜[4]のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
[6]原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類濃度が20〜70質量%である、前記[1]〜[5]のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
[7]クロロゲン酸類の濃度を0.6質量%、かつpHを2〜4に調整したときの水溶液の濁度が65NTU以下である、精製クロロゲン酸類含有製剤。
[8]クロロゲン酸類の濃度を0.6質量%、かつpHを3に調整したときの水溶液の濁度が65NTU以下である、精製クロロゲン酸類含有製剤。
[9]カリウムとナトリウムの和とクロロゲン酸類との質量比((K+Na)/クロロゲン酸類)が0.18以下である、前記[7]又は[8]記載の精製クロロゲン酸類含有製剤。
[10]クロロゲン酸類の濃度が11質量%以上である、前記[7]〜[9]のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤。
[11]クロロゲン酸類の濃度が13〜30質量%である、前記[7]〜[9]のいずれか一に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クロロゲン酸類濃度を飲料の至適濃度に希釈して酸性飲料とした場合にも、清澄度が高く、雑味の点においてに優れるクロロゲン酸類含有飲料の製造に有用な精製クロロゲン酸類含有製剤、及びその製造方法を提供することができる。
したがって、本発明の精製クロロゲン酸類製剤は、クロロゲン酸類含有酸性飲料の原料として特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法について説明する。
本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法は、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程と、第4の工程を含むことを特徴とする。以下、各工程について詳細に説明する。
【0010】
(第1の工程)
本発明に係る第1の工程は、原料となるクロロゲン酸類含有組成物を、酸性白土又は活性白土の存在下に有機溶媒及び水の混合溶媒(以下、「有機溶媒水溶液」ともいう)に分散又は溶解する工程である。
【0011】
原料クロロゲン酸類含有組成物としては、クロロゲン酸類が含まれていれば特に限定されないが、クロロゲン酸類を含む植物の抽出物を使用することができる。このような植物抽出物としては、例えば、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、コーヒー豆、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻、サトウキビ南天の葉、ゴボウ、ナスの皮、ウメの果実、フキタンポポ、ブドウ科植物等から抽出されたものが挙げられる。なお、抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、公知の方法及び条件を採用することができる。
これらの中でも、原料クロロゲン酸類含有組成物としては、クロロゲン酸類含量等の点から、コーヒー豆の抽出物が好ましい。また、抽出に使用するコーヒー豆は、クロロゲン酸類の含量等の点から、生コーヒー豆、浅焙煎コーヒー豆が好ましい。浅焙煎コーヒー豆のL値は、クロロゲン酸類の含量の点から27以上、更に29以上が好ましく、他方L値の上限は風味の点から62未満、更に60以下、更に55以下が好ましい。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。
コーヒーの木の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種のいずれでもよい。抽出方法及び抽出条件は特に限定されないが、例えば、特開昭58−138347号公報、特開昭59−51763号公報、特開昭62−111671号公報、特開平5−236918号公報等に記載の方法を採用することができる。
また、原料クロロゲン酸類含有組成物として市販のクロロゲン酸類含有製剤を使用してもよく、例えば、フレーバーホルダーRC(長谷川香料株式会社製)が挙げられる。
なお、原料クロロゲン酸類含有組成物の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体等の種々のものが挙げられる。
【0012】
ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称であり、クロロゲン酸類の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。
【0013】
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類の濃度は、作業効率や溶解性の点から、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜45質量%が更に好ましい。
また、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類の含有量は、20〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。ここで、本明細書において「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
【0014】
酸性白土又は活性白土としては、ともに一般的な化学成分として、SiO2、Al23、Fe23、CaO、MgO等を含有するものであれば特に限定されないが、SiO2/Al23質量比が3〜12、更に4〜9であるものが好ましい。また、Fe23を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有する組成のものが好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性を変化させることができる。
【0015】
酸性白土及び活性白土の比表面積は、酸処理の程度等により異なるが、50〜350m2/gであることが好ましい。また、pH(5%サスペンジョン、20℃)は、2.5〜8、更に3.6〜7であることが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
本工程においては、酸性白土及び活性白土のうち、酸性白土が好適に使用される。
【0016】
酸性白土又は活性白土の使用量は、濁りの抑制の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましく、30〜120質量部が更に好ましい。
【0017】
また、酸性白土又は活性白土の使用量は、攪拌効率及び分散効率の観点から、有機溶媒水溶液100質量部に対して、2.5〜60質量部、更に3〜40質量部、更に5〜25質量部であることが好ましい。
【0018】
有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、酢酸エチル等のエステルが挙げられる。これらの中でも、アルコール、ケトンの親水性有機溶媒が好ましく、食品への使用を考慮すると、アルコールがより好ましく、エタノールが更に好ましい。
【0019】
有機溶媒水溶液中の有機溶媒濃度は、濁りの抑制、風味改善の観点から、10〜95質量%、更に20〜80質量%、更に30〜70質量%、殊更に50〜60質量%であることが好ましい。
有機溶媒水溶液の濃度調整方法としては、例えば、有機溶媒濃度が上記範囲内となるように有機溶媒と水を混合する方法、原料クロロゲン酸類含有組成物を水に溶解後、有機溶媒を添加して有機溶媒濃度を上記範囲内に調整する方法、原料クロロゲン酸類含有組成物を有機溶媒に懸濁後、徐々に水を添加して有機溶媒濃度を上記範囲内に調整する方法等が挙げられ、特に限定されない。
【0020】
有機溶媒水溶液の使用量は、濁りの抑制、風味改善の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分に対して1〜40質量倍、更に2〜30質量倍、更に3〜20質量倍であることが好ましい。
【0021】
本工程においては、原料クロロゲン酸類含有組成物を有機溶媒水溶液と混合する際に酸性白土又は活性白土を投入して分散液又は混合液としても、あるいはこれらを同時に投入して分散液又は混合液としてもよい。
【0022】
原料クロロゲン酸類含有組成物と有機溶媒水溶液とを混合した分散液又は溶解液のpHは、濁りの抑制、風味改善の観点から、弱酸性から中性が好ましく、具体的には、4.6〜7、更に4.8〜6.8、更に5〜6.6、殊更に5.2〜6.4の範囲が好ましい。
【0023】
(第2の工程)
本発明に係る第2の工程は、第1の工程により得られた分散液又は溶解液中の析出物を除去する工程である。これにより、最終的に得られる精製クロロゲン酸類含有製剤中の濁り発生を効果的に低減することができる。
【0024】
析出物の除去方法としては、食品工業で通常使用されている方法を適用することが可能であるが、例えば、濾紙ろ過、遠心分離、膜ろ過、珪藻土ろ過等の固液分離手段が挙げられる。これらは、2以上を組み合わせて行ってもよい。
【0025】
遠心分離に用いる遠心分離機としては、分離板型、円筒型、デカンター型等の一般的な機器を使用することができる。遠心分離条件としては、濁り成分の除去の観点から、温度が5〜70℃、更に10〜40℃であることが好ましい。回転数と時間は、例えば、分離板型の場合、2000〜10000r/min、更に2500〜9000r/min、更に3000〜8000r/minで、0.2〜75分、更に0.5〜60分、更に1〜30分であることが好ましい。
【0026】
膜ろ過による処理条件としては、濁り成分の除去の観点から、一般的なろ過条件で処理することができ、膜孔径は、ろ過効率及び濁り成分の除去の観点から、0.1〜10μm、更に0.2〜5μm、更に0.25〜2μmであることが好ましい。膜孔径の測定方法としては、水銀圧入法、バブルポイント試験、細菌ろ過法等を用いた一般的な測定方法が例示されるが、バブルポイント試験で求めた値を用いることが好ましい。膜ろ過で使用する膜の材質としては、高分子膜、セラミック膜、ステンレス膜等が例示される。
【0027】
珪藻土ろ過による処理方法としては、濁り成分の除去の観点から、一珪藻土、セルロース及びこれらを組み合わせた一般的なろ過助剤及びろ過条件で処理することができる。
【0028】
(第3の工程)
本発明に係る第3の工程は、第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類の濃度を1.5〜10質量%、かつpHを2〜4に調整する工程である。本工程により、濃度調整液が得られる。かかるクロロゲン酸類の濃度及びpHに調整することにより、濃度調整液に析出物を発生させることができる。
本工程においては、第2の工程により得られたクロロゲン酸類を含有する溶液中のクロロゲン酸類の濃度を1.5〜10質量%に調整するが、濁りの抑制、風味の観点から、2.5〜9.5質量%、更に3〜9質量%、更に3.5〜8.5質量%、殊更に4〜8質量%に調整することが好ましい。
クロロゲン酸類の濃度の調整方法としては、例えば、水の添加による希釈によって上記範囲内に調整する方法が挙げられる。
【0029】
また、本工程においては、クロロゲン酸類を含有する溶液のpH(20℃)を2〜4に調整するが、濁りの抑制、風味の観点から、強酸性から弱酸性が好ましく、2.2〜3.8、更に2.5〜3.5に調整することが好ましい。
また、本工程でのpHは、第1工程終了時のpHに対して0.6〜5.0、更に1.0〜4.5、更に1.5〜4.0、殊更に2.0〜3.5の範囲内で低くなるように調整することが好ましい。
【0030】
pH調整方法としては、クロロゲン酸を類含有する溶液に酸を添加する方法、クロロゲン酸類を含有する溶液を酸性水溶液へ溶解する方法、あるいはクロロゲン酸類を含有する溶液をカチオン交換樹脂に接触させる方法等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて行うことができる。
pH調整に使用する酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等の有機酸、燐酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。なお、酸性水溶液の酸濃度は、所望のpHとなるように適宜選択することが可能である。また、重曹等と併用して所望の濃度に調整することも可能である。
また、カチオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等を有するカチオン交換樹脂が挙げられ、中でもスルホン酸基を有するカチオン交換樹脂が好ましい。具体的には、オルガノ社(供給元:米国ローム&ハース社)のアンバーライト200CT、IR120B、IR124、IR118、三菱化学社製のダイヤイオンSK1B、SK1BH、SK102、PK208、PK212等を用いることができる。
中でも、pH調整方法としては、H形に交換されたカチオン交換樹脂に接触させる方法が好ましい。
【0031】
カチオン交換樹脂の使用量は、クロロゲン酸類含有組成物の質量に対し0.05〜10(mL/g)、更に0.1〜10(mL/g)、更に0.3〜8(mL/g)、更に0.5〜4(mL/g)が、クロロゲン酸類含有組成物の固形分質量に対し0.1〜10(mL/g)、更に0.2〜5(mL/g)、更に0.3〜2(mL/g)が、クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類の質量に対し0.1〜10(mL/g)、更に0.2〜5(mL/g)、更に0.3〜2(mL/g)が、風味改善、精製効率の観点から好ましい。
【0032】
カチオン交換樹脂との接触方法としては、バッチ式、連続式等が挙げられるが、中でも、精製効率の観点から、カラムにカチオン交換樹脂を充填して連続的に通過させる連続式が好ましい。連続式の場合、通液させる溶液の空塔速度は1〜30h-1、更に1.5〜20h-1、更に2〜15h-1であることが好ましい。
【0033】
また、カチオン交換樹脂にクロロゲン酸類含有組成物を接触させる際には、クロロゲン酸類含有組成物が水又は有機溶媒水溶液を含有するものであることが好ましく、風味改善、精製効率の観点から、有機溶媒水溶液を含有するものであることが好ましい。
有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール等のアルコール、アセトン等のケトン、酢酸エチル等のエステルが挙げられる。これらの中でも、アルコール、ケトンの親水性有機溶媒が好ましく、食品への使用を考慮すると、アルコールがより好ましく、エタノールが更に好ましい。
【0034】
また、本工程においては、クロロゲン酸類を含有する溶液をさらに活性炭で処理してもよい。
活性炭処理は、pH調整と別個に又は同時に行うことも可能であるが、活性炭処理後にイオン交換樹脂との接触を行うことが好ましい。
活性炭処理は、バッチ式、連続式のいずれでも行うことが可能であるが、例えば、活性炭とカチオン交換樹脂とを別個のカラムに充填し連続式で処理しても、また活性炭とカチオン交換樹脂とを同一カラム内に充填し連続式で処理することもできる。
【0035】
本発明で使用する活性炭としては、一般に工業用に使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C、白鷺WH2C(日本エンバイロケミカルズ社製)等の市販品を用いることができる。
【0036】
活性炭の細孔容積は、0.05〜1.6mL/g、更に0.1〜1.2mL/gが好ましい。また、比表面積は、700〜1800m2/g、更に900〜1600m2/gが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
【0037】
活性炭の使用量は、濁りの除去、風味改善の観点から、原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対して0〜3.0質量倍、更に0〜1.8質量倍、更に0〜1.5質量倍、更に0.1〜1.2質量倍、更に0.2〜1.0質量倍であることが好ましい。
また、活性炭との接触は、0〜60℃、更に10〜50℃、更に15〜40℃で行うことが好ましい。
【0038】
また、濃度又はpHの調整前に、活性炭処理後に、ろ過処理を行ってもよい。ろ過処理方法としては、食品工業で通常使用されている方法を適用することが可能であるが、例えば、濾紙ろ過、遠心分離、膜ろ過、珪藻土ろ過等の固液分離手段が挙げられる。これらは、2以上を組み合わせて行ってもよい。
【0039】
第2の工程の後、第3の工程の完了時までに、クロロゲン酸類を含有する溶液中の有機溶媒濃度を、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下となるように調整する、有機溶媒濃度調製工程を有してもよい。
本有機溶媒濃度調整工程は、第3の工程のpH調整前に行ってもよいが、第3の工程におけるカチオン交換樹脂によるpH調整後に行うことが好ましい。その場合、有機溶媒濃度調整工程後に、さらに他のpH調整を行っても差し支えない。
また、本溶媒濃度調整工程は、第3の工程のクロロゲン酸類の濃度調整の前後のいずれに行っても差し支えないが、クロロゲン酸類の濃度調整前に行うことが好ましい。
これにより、濁り成分の除去効率が高められ、より一層清澄度の高い精製クロロゲン酸類含有製剤を得ることができる。なお、クロロゲン酸類を含有する溶液中の有機溶媒濃度は、0質量%であってもよい。
有機溶媒濃度の調整方法としては、例えば、減圧又は常圧における留去、抽出、膜分離等の有機溶媒濃度の低減、並びに水の添加による有機溶媒濃度の低減が挙げられる。
【0040】
(第4の工程)
本発明に係る第4の工程は、第3の工程により得られた濃度調整液中に発生した析出物を分離する工程である。これにより、飲料にした場合の濁りの発生を抑制することができる。
析出物を分離する方法としては、析出物の除去方法として上述した固液分離手段を採用することが可能であるが、中でも遠心分離が好ましい。これにより、クロロゲン酸類含有組成物から濁りを発生させる成分が除去され、清澄度が高く、しかも風味の良好な精製クロロゲン酸類含有製剤を得ることができる。
【0041】
このようにして本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤を得ることができるが、精製クロロゲン酸類含有製剤の形態としては、例えば、液体、スラリー、半固体、固体等の種々のものが挙げられる。
精製クロロゲン酸類含有製剤の製品形態として、液体、スラリー、半固体の場合は、流通等の観点から、その中に含まれるクロロゲン酸類濃度が1質量%以上、更に5質量%以上、更に10質量%以上、殊更に22質量%以上であることが好ましい。
また、精製クロロゲン酸類含有製剤においては、品質低下防止の観点より、液体を凍結させて流通させることができる。凍結させる場合、解凍後の精製クロロゲン酸類含有製剤の清澄度を維持できるという観点より、クロロゲン酸類の濃度は11質量%以上が好ましく、13〜30質量%がより好ましく、15〜26質量%が更に好ましい。
【0042】
前記のクロロゲン酸類濃度に調整する方法としては、濃縮法が好ましい。濃縮法としては、常圧にて溶媒の蒸発を行う常圧濃縮法、減圧にて溶媒の蒸発を行う減圧濃縮法、膜分離により溶媒を除去する膜濃縮法等が挙げられるが、減圧濃縮法が作業効率と品質向上の点で好ましい。濃縮時の温度は、20〜70℃が好ましく、25〜65℃がより好ましく、30〜60℃が更に好ましい。
また、精製クロロゲン酸類含有製剤の製品形態として固体の場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の公知の方法により粉体化することができる。
【0043】
本発明の製造方法により得られた精製クロロゲン酸類含有製剤は、下記の特性(i)〜(iv)を具備することができる。
(i)精製クロロゲン酸類含有製剤は、外観及び安定性の観点から、クロロゲン酸類濃度を0.6質量%、pHを2〜4に調整したときの水溶液の濁度が、65NTU以下、更に60NTU以下、更に50NTU以下、殊更に30NTU以下であることが好ましい。ここで、本明細書において「濁度」とは、実施例に記載の方法により測定したものをいう。また、「NTU」とは、ホルマジン濁度標準を使用したホルマジン濁度の測定単位である。
(ii)精製クロロゲン酸類含有製剤は、風味の観点から、固形分中にクロロゲン酸類を10〜80質量%、更に20〜70質量%、更に30〜60質量%含有することが好ましい。
(iii)精製クロロゲン酸類含有製剤は、カフェインとクロロゲン酸類との質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)が、風味の観点から、0.05以下、更に0.03以下、更に0.02以下であることが好ましい。なお、カフェイン/クロロゲン酸類の比の下限は特に限定されず、0であってもよい。
(iv)精製クロロゲン酸類含有製剤は、カリウム(K)とナトリウム(Na)の和とクロロゲン酸類との質量比〔(K+Na)/クロロゲン酸類〕が、風味の観点から、0.18以下、更に0.14以下、更に0.1以下、殊更に0.06以下が好ましい。なお、質量比((K+Na)/クロロゲン酸類)の下限は特に限定されず、0であってもよいが、生産効率の観点から、0.0001、更に0.001が好ましい。
【0044】
本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤は、清澄度が高いだけでなく、風味も良好であるため幅広い用途展開が可能である。例えば、本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤をそのまま、又は希釈若しくは濃縮して食品又は飲料に配合することができるが、とりわけ容器詰飲料とすることが好ましい。
本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤を用いた容器詰飲料は、中性飲料でも、酸性飲料でもよいが、風味の観点から、酸性飲料とすることが好ましい。本発明の容器詰飲料のpH(20℃)は、安定性及び風味の観点から、2〜4、更に2.2〜3.8、更に2.5〜3.5であることが好ましい。
【0045】
本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤を用いた容器詰飲料は、必要により、甘味料、苦味抑制剤、酸化防止剤、香料、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、品質安定剤等の添加剤の1種又は2種以上を配合してもよい。なお、これら添加剤の配合量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜決定することが可能である。
【0046】
本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤を用いた飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
また、本発明の精製クロロゲン酸類含有製剤を用いた飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。
【実施例】
【0047】
1.精製クロロゲン酸類含有製剤の評価
[評価方法]
各実施例及び比較例で得られた製剤を蒸留水でクロロゲン酸類濃度0.6質量%に希釈し、必要に応じて燐酸又は重曹を添加してpH3に調整して飲料を調製した。この飲料を「評価液」とし、濁り及び風味について評価を行った。評価結果を表2〜3に示す。
【0048】
(1)濁りの評価
「評価液」を濁度計(Turbidimeter/TN-100 EUTECH INSTRUMENTS社製)を用いて、20℃にて測定した。
【0049】
(2)風味の評価
「評価液」をパネラー5名が試飲して、雑味及びエグ味について下記の基準にて評価し、その後協議により最終スコアを決定した。
【0050】
(雑味の評価基準)
1:雑味が少ない
2:雑味がやや少ない
3:雑味がやや多い
4:雑味が多い
【0051】
(エグ味の評価基準)
1:エグ味が少ない
2:エグ味がやや少ない
3:エグ味がやや多い
4:エグ味が多い
【0052】
2.クロロゲン酸類、カフェインの測定法
(分析機器)
HPLC(日立製作所(株)製)を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通り。
送液ユニット(デガッサ内蔵):L−2130、
オートサンプラ(クーラー付):L−2200、
カラムオーブン:L−2300、
分離カラム:Cadenza CD-C18、Size:4.6 mm i.d.×150 mm、3 μm(インタクト株式会
社)
検出器(紫外可視吸光光度計):L−2420
【0053】
(分析条件)
サンプル注入量:10μL、
流量:1.0mL/min、
紫外線吸光光度計検出波長:325nm(クロロゲン酸類)、270nm(カフェイン)、
溶離液A:0.05mol/L酢酸、0.01mol/L酢酸ナトリウム、及び0.1mmol/L HEDPOを含有する5%アセトニトリル、
溶離液B:アセトニトリル
【0054】
【表1】

【0055】
(クロロゲン酸類のリテンションタイム)
3−カフェオイルキナ酸(3−CQA):5.2min、
5−カフェオイルキナ酸(5−CQA):8.7min、
4−カフェオイルキナ酸(4−CQA):11.2min、
3−フェリルキナ酸(3−FQA):12.6min、
5−フェリルキナ酸(5−FQA):19.1min、
4−フェリルキナ酸(4−FQA):20.9min、
3,5−ジカフェイルキナ酸(3,5−diCQA):37.0min、
3,4ジカフェイルキナ酸(3,4−diCQA):37.5min、
4,5−ジカフェイルキナ酸(4,5−diCQA):44.8min
ここで求めたarea%から5−CQAを標準物質とし、質量%を求めた。
【0056】
(カフェインのリテンションタイム)
18.8min
ここで求めたarea%から試薬カフェインを標準物質とし質量%を求めた。
【0057】
3.カリウムとナトリウムの測定法
カリウム(K)とナトリウム(Na)測定は、原子吸光光度計(Z−6100形日立偏光ゼーマン原子吸光光度計)により測定した。
【0058】
実施例1
ロブスタ種のコーヒー生豆を熱水にて抽出し、得られた抽出液をスプレードライにて乾燥し、原料のクロロゲン酸類含有組成物を得た。原料クロロゲン酸類含有組成物は、クロロゲン酸類含量が40.8質量%、カフェイン含量が9.8質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン類)が0.241、質量比((K+Na)/クロロゲン酸類)が0.19であった。
原料クロロゲン酸類含有組成物189gを、エタノール濃度52.4質量%のエタノール水溶液756g、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)94.5g、ろ過助剤(ソルカフロック、新日鉱プロキュアメント社製)10.7gと混合することにより「クロロゲン酸類含有スラリー」1051gを得た。「クロロゲン酸類含有スラリー」中のpHは5.7であった。なお、原料クロロゲン酸類含有組成物はエタノール水溶液100質量部に対し25質量部である。また、原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対する酸性白土の使用量は50質量部である。
次に、「クロロゲン酸類含有スラリー」1051gと、エタノール濃度52.4質量%のエタノール水溶液189gを、プレコート剤として珪藻土を堆積させた2号濾紙にてろ過し、「ろ過液」1054gを回収した。
次に、活性炭(白鷺WH2C、日本エンバイロケミカルズ社製)を132mL充填したカラム、及びH形カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を105mL充填したカラムに、「ろ過液」1019gとエタノール濃度52.4質量%のエタノール水溶液231gをこの順に通液して「カラム処理液」1072gを回収した。
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対する活性炭の使用量は、0.81質量倍(g/g)であった。原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分含量に対するイオン交換樹脂の使用量は0.74(mL/g)であった。
次に、「カラム処理液」1038gを0.2μmメンブランフィルターにてろ過した後、ロータリーエバポレーターにてエタノールを留去してクロロゲン酸類含有組成物の溶液を225g得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」と称する。
「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類含量は22.6質量%、カフェイン含量は0.29質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.013、エタノール濃度は0質量%、pHは3.1であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて3質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.1であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0059】
実施例2
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて5質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.1であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0060】
実施例3
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.1であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0061】
実施例4
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて8質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.1であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0062】
実施例5
実施例1の「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」の調製において、H形カチオン交換樹脂を充填したカラムに通液するpH調整を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の操作によりクロロゲン酸類含有組成物の溶液を得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液B」と称する。
得られた「クロロゲン酸類含有組成物の溶液B」中のクロロゲン酸類含量は23.4質量%、カフェイン含量は0.72質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.032、エタノール濃度は0質量%、pHは5.5であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液B」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整し、当該溶液12.1gに、燐酸0.29gを添加して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.1であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0063】
実施例6
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整し、当該溶液12.0gに、燐酸0.12g、重曹0.017gを添加して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは2.5であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0064】
実施例7
実施例1の「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」の調製において、原料のクロロゲン酸類含有組成物を、焙煎度(L値)35の焙煎コーヒー豆から抽出したクロロゲン酸類含有組成物に変更したこと以外は、実施例1と同様にエタノール留去までの操作を行い、クロロゲン酸類含有組成物の溶液を得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液D」と称する。
使用した原料のクロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量は12.0質量%、カフェイン含量は3.91質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.327、固形分濃度37.8重量%、質量比((K+Na)/クロロゲン酸類)は0.27、pHは5.8であった。
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対する活性炭の使用量は、1.08質量倍(g/g)であった。原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分含量に対するイオン交換樹脂の使用量は0.73(mL/g)であった。
得られた「クロロゲン酸類含有組成物の溶液D」中のクロロゲン酸類含量は15.9質量%、カフェイン含量は0.53質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.034、エタノール濃度は0質量%、pHは3.0であった。なお、「クロロゲン酸類含有スラリー」中のpHは5.8であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液D」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて3質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.0であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0065】
比較例1
実施例1で使用した「原料クロロゲン酸類含有組成物」について[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0066】
比較例2
「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0067】
比較例3
実施例1の「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」の調製において、「クロロゲン酸類含有組成物」を52.4質量%のエタノール水溶液に接触させる際に酸性白土(ミズカエース#600)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作にてクロロゲン酸類含有組成物の溶液を得た。なお、「クロロゲン酸類含有スラリー」中のpHは5.7であった。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液C」と称する。
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対する活性炭の使用量は、0.82倍量(g/g)であった。原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分含量に対するイオン交換樹脂の使用量は0.66(mL/g)であった。
得られた「クロロゲン酸類含有組成物の溶液C」中のクロロゲン酸類含量は17.9質量%、カフェイン含量は0.36質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.020、エタノール濃度は0質量%、pHは3.2であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液C」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.2であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0068】
比較例4
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて1質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.1であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0069】
比較例5
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて11質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.1であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0070】
比較例6
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」の濃度調製を行わず、クロロゲン酸類の濃度22.6質量%のまま、10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0071】
比較例7
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6重量%に調整し、当該溶液12.0gに、重曹0.121gを添加して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは4.1であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0072】
比較例8
実施例1と同様の操作により、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を得た。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整し、当該溶液12.0gに、重曹0.29gを添加して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは5.5であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0073】
実施例8
ロブスタ種のコーヒー生豆を熱水にて抽出し、得られた抽出液をロータリーエバポレーターにて濃縮し、エタノールを添加して原料のクロロゲン酸類含有組成物を得た。原料クロロゲン酸類含有組成物は、固形分濃度59.8重量%、クロロゲン酸類含量30.8質量%、カフェイン含量5.6質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン類)は0.183、質量比((K+Na)/クロロゲン酸類)は0.18、pHが5.8、エタノール濃度4.5質量%であった。
原料クロロゲン酸類含有組成物151gを、エタノール濃度69.9質量%のエタノール水溶液300g、酸性白土(ミズカエース#600、、水澤化学社製)45.0g、ろ過助剤(ソルカフロック、新日鉱プロキュアメント社製)5.1gと混合することにより「クロロゲン酸類含有スラリー」500gを得た。「クロロゲン酸類含有スラリー」中のpHは5.7であった。なお、クロロゲン酸類含有組成物は有機溶媒水溶液100質量部に対し25質量部である。また、クロロゲン酸類含有組成物の固形分100質量部に対する酸性白土の使用量は50質量部である。また、「クロロゲン酸類含有スラリー」中のエタノール濃度は60質量%である。
次に、「クロロゲン酸類含有スラリー」478gと、エタノール濃度60質量%のエタノール水溶液90gを、プレコート剤として珪藻土を堆積させた2号濾紙にてろ過し、「ろ過液」486gを回収した。
次に、活性炭(白鷺WH2C、日本エンバイロケミカルズ社製)を34mL充填したカラム、及びH形カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を31mL充填したカラムに、「ろ過液」464gとエタノール濃度60質量%の有機溶媒水溶液116gを通液して「カラム処理液」481gを回収した。
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対する活性炭の使用量は、0.70質量倍(g/g)であった。原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分含量に対するイオン交換樹脂の使用量は0.85(mL/g)であった。
次に、「カラム処理液」464gを0.2μmメンブランフィルターにてろ過した後、ロータリーエバポレーターにてエタノールを留去してクロロゲン酸類含有組成物の溶液を118g得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液E」と称する。
「クロロゲン酸類含有組成物の溶液E」中のクロロゲン酸類含量は26.3質量%、カフェイン含量は0.34質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.013、エタノール濃度は0質量%、pHは2.0であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液E」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは2.0であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「精製クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0074】
実施例9
実施例8の「クロロゲン酸類含有組成物の溶液E」の調製において、カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)の充填量を24mLに変更したこと以外は、実施例8と同様の操作にてクロロゲン酸類含有組成物の溶液を得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液F」と称する。
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対する活性炭の使用量は、0.70質量倍(g/g)であった。原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分含量に対するイオン交換樹脂の使用量は0.64(mL/g)であった。
得られた「クロロゲン酸類含有組成物の溶液F」中のクロロゲン酸類含量は26.3質量%、カフェイン含量は0.34質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.013、エタノール濃度は0質量%、pHは2.8であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液F」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは2.8であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0075】
実施例10
実施例8の「クロロゲン酸類含有組成物の溶液E」の調製において、H形カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)の充填量を16mLに変更したこと以外は、実施例8と同様の操作にてクロロゲン酸類含有組成物の溶液を得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液G」と称する。
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対する活性炭の使用量は、0.70質量倍(g/g)であった。原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分含量に対するイオン交換樹脂の使用量は0.42(mL/g)であった。
得られた「クロロゲン酸類含有組成物の溶液G」中のクロロゲン酸類含量は26.3質量%、カフェイン含量は0.34質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.013、エタノール濃度は0質量%、pHは3.4であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液G」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.4であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法1]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0076】
実施例11
実施例10の「クロロゲン酸類含有組成物の溶液G」の調製において、原料のクロロゲン酸類含有組成物を変更したこと以外は、実施例10と同様の操作にてクロロゲン酸類含有組成物の溶液を得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液H」と称する。
原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含量に対する活性炭の使用量は、0.86質量倍(g/g)であった。原料クロロゲン酸類含有組成物中の固形分含量に対するイオン交換の使用量は0.53(mL/g)であった。
使用した原料のクロロゲン酸類含有組成物は、固形分濃度100重量%、クロロゲン酸類含量38.2質量%、カフェイン含量8.5質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン類)が0.22、質量比((K+Na)/クロロゲン酸類)が0.20であった。
得られた「クロロゲン酸類含有組成物の溶液H」中のクロロゲン酸類含量は21.6質量%、カフェイン含量は0.21質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.010、エタノール濃度は0質量%、pHは3.4であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液H」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは3.4であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0077】
比較例9
実施例8の「クロロゲン酸類含有組成物の溶液E」の調製において、H形カチオン交換樹脂(SK1BH、三菱化学社製)を使用しなかったこと以外は、実施例8と同様の操作にてクロロゲン酸類含有組成物の溶液を得た。以下、この溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液I」と称する。
得られた「クロロゲン酸類含有組成物の溶液I」中のクロロゲン酸類含量は26.3質量%、カフェイン含量は0.34質量%、質量比(カフェイン/クロロゲン酸類)は0.013、エタノール濃度は0質量%、pHは5.3であった。
次に、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液I」中のクロロゲン酸類の濃度を、蒸留水にて6質量%に調整して「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」を得た。pHは5.3であった。
次に、得られた「クロロゲン酸類含有組成物の濃度調整液」10gを遠心管にサンプリングした後、3000rpm、15℃、60分の条件にて遠心分離を行い、「クロロゲン酸類含有製剤」を得た。得られた「クロロゲン酸類含有製剤」について、[評価方法]の条件にて飲料を調製し、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0078】
【表2】

【0079】
【表3】

【0080】
表2〜3から、本願発明に係る第1〜第4の工程を必須要件とすることにより、得られる精製クロロゲン酸類含有製剤を用いた飲料は、酸性領域においても濁りの発生が抑制されるとともに、雑味も抑制されることが確認された。
また、カリウム(K)とナトリウム(Na)の合計を調整することにより、濁りの発生抑制と雑味抑制に加え、エグ味が良好になることが確認された。
【0081】
実施例12
実施例9で得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤F」をロータリーエバポレータで60℃にてクロロゲン酸類の濃度が15質量%になるまで濃縮し、「濃縮精製クロロゲン酸類含有製剤F1」を得た。
「濃縮精製クロロゲン酸類含有製剤F1」を−20℃にて凍結し、その後、解凍したところ、溶液には濁りや沈澱が認められず、良好な清澄度が維持された。
【0082】
実施例13
実施例9で得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤F」をロータリーエバポレータで60℃にてクロロゲン酸類の濃度が22質量%になるまで濃縮し、「濃縮精製クロロゲン酸類含有製剤F2」を得た。
「濃縮精製クロロゲン酸類含有製剤F2」を−20℃にて凍結し、その後、解凍したところ、溶液には濁りや沈澱が認められず、良好な清澄度が維持された。
【0083】
実施例14
実施例9で得られた「精製クロロゲン酸類含有製剤F」をロータリーエバポレータで60℃にてクロロゲン酸類の濃度が26質量%になるまで濃縮し、「濃縮精製クロロゲン酸類含有製剤F3」を得た。
「濃縮精製クロロゲン酸類含有製剤F3」を−20℃にて凍結し、その後、解凍したところ、溶液には濁りや沈澱が認められず、良好な清澄度が維持された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料クロロゲン酸類含有組成物を、酸性白土又は活性白土の存在下に有機溶媒及び水の混合溶媒に分散又は溶解する第1の工程と、
該第1の工程により得られた分散液又は溶解液中の析出物を除去する第2の工程と、
該第2の工程により得られた溶液中のクロロゲン酸類の濃度を1.5〜10質量%、かつpHを2〜4に調整する第3の工程と、
該第3の工程により得られた濃度調整液中に発生した析出物を分離する第4の工程と
を含む、精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
【請求項2】
前記第1の工程において、第1の工程により得られた分散液又は溶解液のpHを4.6〜7に調整する工程を有する、請求項1記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
【請求項3】
前記第2の工程後、前記第3の工程完了までに、前記第2の工程により得られた前記溶液中の有機溶媒濃度を5質量%以下に調整する工程を有する、請求項1又は2記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
【請求項4】
前記第3の工程におけるpH調整を、クロロゲン酸を類含有する溶液に酸を添加する方法、クロロゲン酸類を含有する溶液を酸性水溶液へ溶解する方法、及びクロロゲン酸類を含有する溶液をカチオン交換樹脂に接触させる方法から選択される少なくとも1種により行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
【請求項5】
前記第3の工程におけるpH調整を、クロロゲン酸類を含有する溶液をカチオン交換樹脂に接触させる方法により行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
【請求項6】
前記原料クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類濃度が20〜70質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の精製クロロゲン酸類含有製剤の製造方法。
【請求項7】
クロロゲン酸類の濃度を0.6質量%、かつpHを2〜4に調整したときの水溶液の濁度が65NTU以下である、精製クロロゲン酸類含有製剤。
【請求項8】
クロロゲン酸類の濃度を0.6質量%、かつpHを3に調整したときの水溶液の濁度が65NTU以下である、精製クロロゲン酸類含有製剤。
【請求項9】
カリウムとナトリウムの和とクロロゲン酸類との質量比((K+Na)/クロロゲン酸類)が0.18以下である、請求項7又は8記載の精製クロロゲン酸類含有製剤。

【公開番号】特開2012−31165(P2012−31165A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150014(P2011−150014)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】