説明

精製水の製造方法

【課題】RO装置の運転再開後においても、短時間で精製水の採水ができるようになる精製水の製造方法を提供する。
【解決手段】水道水をRO装置10にて膜分離した透過水は、貯水タンク20内に貯水される。RO装置(RO膜モジュール)10の運転停止中は、透過水返送ライン35、集水管16、透過水ライン34からなる循環ラインを利用して、貯水タンク20内の透過水を循環させる。このようにRO装置10の運転停止中に透過水を循環させるため、集水管16内等に滞留水が生じることが防止され、菌の増殖が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工透析用水等の医療用精製水の製造方法として適した精製水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工透析用水に使用する精製水や超純水の製造装置として、逆浸透膜装置(RO装置)が使用されている(特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1には、逆浸透膜分離装置と、前記装置からなる人工透析用精製水製造装置の発明が開示されている。
図1で示される逆浸透膜分離装置11は、両端がエンドプレート13、13’で閉塞された円筒状の耐圧容器12内に、透過水集水管24と、その周囲に配置された分離素子20(半透膜20)を有するものである。透過水集水管24の管端部24bは有効濾過端21aで封止されており、透過水は反対側の管端部24a側に流れることが記載されている(段落0026)。
【0004】
特許文献2には、スパイラル型膜エレメントを用いた処理システム及び処理方法の発明が開示されている。
図5に示されたスパイラル型膜エレメント1は、筒型ケース11内にスパイラル型膜エレメント1が収容されており、集水管2の一端は透過水出口14に嵌合され、他端はエンドキャップ16で封止されている。
図5に示されたスパイラル型膜エレメント1の運転時には、原水入口13から原水が供給され、膜エレメント1(図3、図4に示された、封筒状膜3の集合体であるスパイラル状膜要素1a)にて濾過された透過水は集水管2内に流入し、透過水出口14から取り出される。このとき、膜透過圧力は逆浸透膜の外側から内側(封筒状膜3外側から集水管2側)に向かって加えられている。なお、平膜(スパイラル膜)では、前記の圧力の向きが逆(内側から外側)になると、封筒状膜3は接着部から容易に破壊されてしまうことが当業者における技術常識である。
【0005】
特許文献3には、精製水製造装置の発明が開示されている。図3に示された逆浸透膜モジュール12の集水管52の両端部の状態については明記がないが、段落番号0006、0007の記載内容から、一端が開放され、他端が封止されたものであることは自明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−109020号公報
【特許文献2】特開平10−230143号公報
【特許文献3】特開2004−33947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RO装置を人工透析用水の製造装置として用いたとき、夜間や休日等の透析治療時間外には運転を停止し、翌朝や休日開けの朝の治療時間になると運転を再開する。なお、RO装置で処理された透過水は、透析液供給装置が要求する供給水量の変動に対応できるよう貯水タンクに貯水したものを使用する方法が通常である。
【0008】
RO装置の運転を停止したとき、RO膜モジュールの集水管内や透過水ライン内には排出されなかった透過水が滞留水として残ることになる。透過水が滞留した状態でRO装置の停止時間が長くなると、透過水ライン末端から菌が逆汚染することが起こり得る。一旦、逆汚染を受けると最初は低レベルであっても滞留した水の中で菌は増殖し、運転停止時間が長くなればなるほど、前記滞留水中にて菌の増殖度が増し、水質が著しく低下することが避けられない。
このような状態で治療時間になって運転を再開したとき、増殖した菌を含む滞留水が透過水ラインを通って貯水タンク内に流入して水質を著しく悪化させるため、そのままでは使用できない。このため、貯水タンク内の透過水を全部排出するか、貯水タンク内の透過水を再度RO装置で処理する必要があり、精製水が採水できるようになるまで長時間を要することになる。
またRO装置から貯水タンクに至るまでのラインの途中にて抜水する場合でも、RO装置を運転しながら多量の透過水を抜水する必要があるため、同様に精製水の採水まで長時間を要することになる。
上記した特許文献1〜3では、RO膜モジュールの集水管の一端側が封止されているため、集水管内を洗浄しようとすれば、RO膜モジュール自体を分解洗浄するしかない。
【0009】
本発明は、平膜型の分離膜モジュールを備えたRO装置を使用して医療用の精製水等を製造するとき、RO装置の運転停止中における水の滞留を防止することにより、RO装置の運転再開後においても短時間で精製水の採水ができるようになる精製水の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、RO装置の運転停止中における水の滞留を防止する手段について研究の結果、当業者の技術常識に反して、敢えて集水管からその周囲に配置された平膜に向かって圧力が加えられるような状態にすることで、即ち、集水管内に透過水を循環させることで、上記課題を解決できることを見出して本発明を完成したものである。
【0011】
本発明は、課題の第1の解決手段として、
少なくともRO膜モジュールとROポンプを含むRO装置と、RO装置で処理された透過水を貯めるための貯水タンクとを備えた精製水の製造装置を用いた精製水の製造方法であって、
前記精製水の製造装置が、
RO膜モジュールが、両端が閉塞された筒状ケースハウジングと、筒状ケースハウジングの閉塞両端部を貫通して取り付けられた集水管と、集水管の周囲に配置された平膜型の分離膜とを備えたものであり、
貯水タンクが水位計と紫外線殺菌灯を備えたものであり、
RO膜モジュールが原水ラインと濃縮水の排水ラインに接続され、
RO膜モジュールの集水管の一端側と貯水タンクが透過水ラインで接続され、貯水タンクとRO膜モジュールの集水管の他端側が透過水返送ラインで接続され、前記透過水ライン、前記集水管及び前記透過水返送ラインにより循環洗浄ラインが形成されており、
貯水タンクが精製水の採水ラインと接続されたものであり、
精製水の製造装置の運転中において、
貯水タンク内の水位計により透過水の水量を検知することで、透過水が満水になったときにRO装置の運転を停止し、貯水タンクから透過水が採水されて水位が低下したとき、RO装置の運転を再開し、透過水が満水になるまで運転を継続し、その後、RO装置の運転を停止する運転サイクルを繰り返し、
RO装置の運転を停止しているとき、前記循環洗浄ラインを利用してRO膜モジュールの集水管と貯水タンクの間で透過水を循環させる、精製水の製造方法を提供する。
【0012】
本発明は、課題の第2の解決手段として、
少なくともRO膜モジュールとROポンプを含むRO装置と、RO装置で処理された透過水を貯めるための貯水タンクとを備えた精製水の製造装置を用いた精製水の製造方法であって、
前記精製水の製造装置が、
RO膜モジュールが、両端が閉塞された筒状ケースハウジングと、筒状ケースハウジングの閉塞両端部を貫通して取り付けられた集水管と、集水管の周囲に配置された平膜型の分離膜とを備えたものであり、
貯水タンクが水位計と紫外線殺菌灯を備えたものであり、
RO膜モジュールが原水ラインと濃縮水の排水ラインに接続され、
RO膜モジュールの集水管の一端側と貯水タンクが透過水ラインで接続され、貯水タンクとRO膜モジュールの集水管の他端側が透過水返送ラインで接続され、前記透過水ライン、前記集水管及び前記透過水返送ラインにより循環洗浄ラインが形成されており、
貯水タンクが精製水の採水ラインと接続されたものであり、
前記精製水の製造方法が、
RO装置の運転を長時間停止するとき、RO装置の運転の停止から再開するまでの間、貯水タンク内の紫外線殺菌灯を点灯させた状態にて、前記循環洗浄ラインを利用してRO膜モジュールの集水管と貯水タンクの間で透過水を循環させる、精製水の製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、課題の第3の解決手段として、
請求項1記載の精製水の製造方法において、
精製水の製造装置の運転を長時間停止するとき、RO装置の運転の停止から再開するまでの間、貯水タンク内の紫外線殺菌灯を点灯させた状態にて、前記循環洗浄ラインを利用してRO膜モジュールの集水管と貯水タンクの間で透過水を循環させる、精製水の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の精製水の製造方法を適用することにより、特別な殺菌装置を併設することなく、得られる精製水中の生菌数やエンドトキシン濃度が減少された精製水を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の精製水の製造方法を説明するための製造フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<精製水の製造装置>
まず、図1により本願発明の精製水の製造方法を実施するために適した製造装置について説明する。
本発明におけるRO装置は、RO膜モジュール10を含み、さらにRO膜モジュール10を運転するために必要なROポンプ25と所要本数のラインや開閉弁等を含むものである。
以下において、RO膜モジュール10の運転及び停止は、RO装置の運転及び停止と同じ意味で使用するものとする。
【0017】
RO膜モジュール10は、筒状ケースハウジング11内に集水管16と平膜型の分離膜17が収容されている。
筒状ケースハウジング11は、両端がエンドプレート12、13で閉塞されている。
エンドプレート12には、原水ライン31に接続された原水供給口14が設けられ、エンドプレート13には、濃縮水排出ライン32に接続された濃縮水排出口15が設けられている。
濃縮水排出ライン32は、濃縮水返送ライン33を経て、原水ライン31と接続されている。
【0018】
集水管16は、周面に多孔を有する管であり、筒状ケースハウジング11の軸方向中心部に配置され、エンドプレート12、13を貫通して設けられている。集水管16のエンドプレート13側は透過水ライン34と接続され、エンドプレート12側は透過水返送ライン35と接続されている。
【0019】
平膜型の分離膜は公知のものを用いることができ、例えば、特許文献2の図2に示されているようなスパイラル膜を用いることができる。
【0020】
貯水タンク20は、紫外線殺菌灯21と水位計(レベルセンサー)22を備えており、さらにエアフィルター23を備えていることが望ましい。
水位計22は、複数段階にて水位を検知できるもの(図1では5段階)が好ましい。
【0021】
貯水タンク20は、透過水ライン34と接続され、さらに透過水返送ライン35と接続されており、透過水ライン34、集水管16及び透過水返送ライン35により循環洗浄ラインが形成されている。
さらに貯水タンク20には採水ライン36が接続されており、例えば人工透析水の製造用水として採水される。
【0022】
原水ライン31には、図示していない原水ポンプと、ROポンプ(ブースターポンプ)25が設置されている。
透過水返送ライン35には、循環ポンプ26が設置されている。
なお、各ラインには、液流れを制御するための開閉弁(電磁弁等)を適宜設置することができる。
【0023】
<精製水の製造方法>
次に、図1の製造フローにより精製水を製造する方法を説明する。なお、以下においては、貯水タンク20が空の状態から運転を開始するものとする。
原水ポンプとROポンプ25を作動させ、原水を原水ライン31からRO膜モジュール10に供給する。原水は水道水又は地下水を用いる。
【0024】
RO膜モジュール10にて、分離膜17により膜分離処理された透過水は、集水管16内を通して集水して、透過水ライン34から貯水タンク20に送って貯水する。なお、貯水タンク20内に透過水があるときには、紫外線殺菌灯21は常に作動状態にある。
分離膜17により膜分離処理されなかった原水は、一部は濃縮水排水ライン32から排水し、残部は濃縮水返送ライン33から原水ライン31に返送して再処理する。
【0025】
貯水タンク20が透過水で満たされ、水位計22が満水状態であることを検知した時点で、RO膜モジュール10の運転を自動又は手動にて停止する。
採水ライン36から採水したことにより貯水タンク20内の水位が低下したとき、RO膜モジュール10の運転を自動又は手動で再開する。なお、どの程度まで水位が低下した時点でRO膜モジュール10の運転を再開するかは適宜設定することができる。
RO膜モジュール10の運転を再開後、水位計22が満水状態であることを検知した時点で、RO膜モジュール10の運転を自動又は手動にて停止する。
精製水の製造時には、以上のようにしてRO膜モジュール10の運転と停止の運転サイクルを繰り返す。
【0026】
本発明の製造方法では、上記のようなRO膜モジュール10の運転操作と停止操作を交互に繰り返すような運転方法を実施する場合、RO膜モジュール10の運転を停止しているとき(即ち、RO膜モジュール10の運転が短時間停止されている間)、RO膜モジュール10の集水管16と貯水タンク20の間で、循環洗浄ライン(透過水返送ライン35、集水管16及び透過水ライン34)を利用して透過水を循環させて洗浄する(以下、「短時間循環洗浄」という)。
【0027】
短時間循環洗浄をする場合には、例えば、RO装置10を10〜20分間運転した後、3〜8分間運転を停止し、運転停止の間に透過水にて循環洗浄する方法を適用することができる。
【0028】
本発明の製造方法では、例えば病院等において人工透析用水を製造するとき、治療時間の終了後、RO膜モジュール10の運転を停止したときから、翌朝又は休日開けの朝、RO膜モジュール10の運転を再開するまでの間(即ち、RO膜モジュール10の運転が長時間停止されている間)、貯水タンク20内の紫外線殺菌灯21を点灯した状態にて、RO膜モジュール10の集水管16と貯水タンク20の間で、循環洗浄ライン(透過水返送ライン35、集水管16及び透過水ライン34)を利用して透過水を循環させて洗浄する(以下「長時間循環洗浄」という)。
【0029】
短時間循環洗浄と長時間循環洗浄のそれぞれにおける時間の長さ(所要時間)は、実施形態(例えば製造する精製水の用途)により異なるものであるが、短時間循環洗浄は1時間未満、長時間循環洗浄は1時間以上とすることができる。
【0030】
短時間循環洗浄と長時間循環洗浄における透過水の循環量は、RO膜モジュールのサイズに応じて設定することができ、例えばRO膜モジュールが8インチ型の場合は、100〜600L/Hが好ましく、200〜500L/Hがより好ましく、250〜400L/Hがさらに好ましい。また、RO膜モジュールが4インチ型の場合は、30〜200L/Hが好ましく、60〜150L/Hがより好ましく、80〜120L/Hがさらに好ましい。
【0031】
上記したとおり、短時間循環洗浄と長時間循環洗浄を実施する場合には、循環洗浄ライン(透過水返送ライン35、集水管16及び透過水ライン34)を利用して透過水を循環させて洗浄する。
このときには、エンドプレート12側の集水管入口16aから集水管16内に透過水が供給され、エンドプレート13側の集水管出口16bから透過水ライン34に排出されることになる。よって、このときには集水管16側から平膜型の分離膜(スパイラル膜)表面側17に向かって(即ち、内側から外側に)圧力が加えられることになるため、循環洗浄効果を維持することと、平膜型の分離膜17の損傷を防止することとの両方の観点から、集水管入口16aにおける透過水の供給圧力は0.002〜0.02MPaが好ましく、0.005〜0.015MPaがより好ましい。
【0032】
このような短時間循環洗浄を実施することにより、又は短時間循環洗浄と長時間循環洗浄を組み合わせて実施することにより、RO膜モジュール(RO装置)10の運転時と合わせると、集水管16内の透過水の流動時間が長くなる(即ち、透過水の滞留時間が短くなる)か、又は常に透過水が流動している状態になって滞留水が生じることがないため、生菌の増殖が抑制されることになる。
さらに集水管16だけでなく、透過水ライン34、貯水タンク20、透過水返送ライン35内でも、透過水の流動時間が長くなって滞留時間が短くなったり、常に流動状態を維持して滞留水が生じることがなくなったりするため、別に殺菌装置を増設したり、紫外線殺菌灯21の照射強度を増強したりすることなく、装置全体としても生菌の増殖が抑制されることになる。
【0033】
なお、RO膜モジュール(RO装置)10の運転を開始(停止後の再開を含む)するとき、必要に応じて、透過水ライン34から透過水を抜き取る(運転開始後の初期抜水)ことが行われている。この運転開始後の初期抜水は、集水管16や透過水ライン34内の滞留水を排出するためのものである。
本願発明の製造方法でも運転開始後の初期抜水を排除するものではないが、短時間循環洗浄を実施するか、又は短時間循環洗浄と長時間循環洗浄との組み合わせを実施すれば、初期抜水をする必要がなくなる。このため、装置全体の運転効率がより高くなるので好ましい。
【0034】
本発明の精製水の製造方法を実施することにより、人工透析用水の製造用、医薬品製造用、電子工業にて使用される洗浄用の超純水等として有用な精製水を得ることができる。
【実施例】
【0035】
実施例1
図1に示す製造フローにより、精製水を製造した。使用したRO装置10等及び運転条件の詳細は以下のとおりである。
【0036】
<RO膜モジュール10>
ケースハウジング11:外径228mm、内径202mm
集水管16:内径28.6mm、長さ1016mm
膜モジュール型式:SV08−GP−991C
【0037】
<貯水タンク20>
貯水タンク20:容量300L
紫外線殺菌灯21:GL−16KSH(三共電気(株)製)
水位計22:PFS−2−1(理光産業(株)製)
エアフィルター23:DASP−025−125(セントラルフィルター工業(株)製)
【0038】
<測定装置>
生菌数測定装置:ミリフレックスPLUS吸引ポンプ(日本ミリポア(株)製)
ET濃度測定装置(手動式):トキシノメータミニ(和光純薬(株)製)
【0039】
<1日目>
午前9時〜午後6時時まで運転した後に運転停止した。
【0040】
<2日目>
終日運転停止した(実働時における日曜日を想定)。
【0041】
<3日目>
午前9時から運転開始。運転開始時において、ライン34から初期抜水した。初期抜水したものを「サンプル水−1」(100ml×3本の計3検体)とした。
初期抜水後、午後6時まで運転を継続した後で停止した。
運転は、RO装置10の運転14分後に5分間停止し、5分間の停止時に短時間循環洗浄を行うサイクルを1サイクルとして、これを繰り返した。
運転開始後から6時間後(午後3時)に「サンプル水−2」(100ml×3本の計3検体)をライン34から採取した。
(短時間循環洗浄条件)
集水管入口16aの圧力:0.015MPa
透過水の循環水量:280L/hr
【0042】
<3日目−4日目>
3日目の午後6時から4日目の午前9時までの間、連続して長時間循環洗浄を行った。
(長時間循環洗浄条件)
集水管入口16aの圧力:0.015MPa
透過水の循環水量:300L/hr
【0043】
<4日目>
午前9時より、3日目と同じ運転サイクルにて実施した。
運転開始後から6時間後(午後3時)に「サンプル水−3」(100ml×3本の計3検体)をライン34から採取した。
サンプル水−1、2、3について、生菌水とエンドトキシン濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
サンプル水−1は、午後6時から午前9時までRO装置の運転を停止した後、開始した直後に採水したものであることから、生菌数、ET値の両方が高い値を示した。
サンプル水−2は、短時間循環洗浄を含む運転サイクルにて6時間の運転後に採水したものであることから、サンプル水−1と比べると、生菌水及びET値の両方が著しく低下していた。
サンプル水−3は、長時間循環洗浄を行った後、さらに短時間循環洗浄を含む運転サイクルにて6時間の運転後に採水したものであることから、サンプル水−2と比べても、生菌水及びET値の両方が低下していた。
【符号の説明】
【0046】
10 RO膜モジュール(RO装置)
11 ケースハウジング
12、13 エンドプレート
14 原水供給口
15 濃縮水排水口
16 集水管
17 平膜型の分離膜
20 貯水タンク
21 紫外線殺菌灯
22 水位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともRO膜モジュールとROポンプを含むRO装置と、RO装置で処理された透過水を貯めるための貯水タンクとを備えた精製水の製造装置を用いた精製水の製造方法であって、
前記精製水の製造装置が、
RO膜モジュールが、両端が閉塞された筒状ケースハウジングと、筒状ケースハウジングの閉塞両端部を貫通して取り付けられた集水管と、集水管の周囲に配置された平膜型の分離膜とを備えたものであり、
貯水タンクが水位計と紫外線殺菌灯を備えたものであり、
RO膜モジュールが原水ラインと濃縮水の排水ラインに接続され、
RO膜モジュールの集水管の一端側と貯水タンクが透過水ラインで接続され、貯水タンクとRO膜モジュールの集水管の他端側が透過水返送ラインで接続され、前記透過水ライン、前記集水管及び前記透過水返送ラインにより循環洗浄ラインが形成されており、
貯水タンクが精製水の採水ラインと接続されたものであり、
精製水の製造装置の運転中において、
貯水タンク内の水位計により透過水の水量を検知することで、透過水が満水になったときにRO装置の運転を停止し、貯水タンクから透過水が採水されて水位が低下したとき、RO装置の運転を再開し、透過水が満水になるまで運転を継続し、その後、RO装置の運転を停止する運転サイクルを繰り返し、
RO装置の運転を停止しているとき、前記循環洗浄ラインを利用してRO膜モジュールの集水管と貯水タンクの間で透過水を循環させる、精製水の製造方法。
【請求項2】
少なくともRO膜モジュールとROポンプを含むRO装置と、RO装置で処理された透過水を貯めるための貯水タンクとを備えた精製水の製造装置を用いた精製水の製造方法であって、
前記精製水の製造装置が、
RO膜モジュールが、両端が閉塞された筒状ケースハウジングと、筒状ケースハウジングの閉塞両端部を貫通して取り付けられた集水管と、集水管の周囲に配置された平膜型の分離膜とを備えたものであり、
貯水タンクが水位計と紫外線殺菌灯を備えたものであり、
RO膜モジュールが原水ラインと濃縮水の排水ラインに接続され、
RO膜モジュールの集水管の一端側と貯水タンクが透過水ラインで接続され、貯水タンクとRO膜モジュールの集水管の他端側が透過水返送ラインで接続され、前記透過水ライン、前記集水管及び前記透過水返送ラインにより循環洗浄ラインが形成されており、
貯水タンクが精製水の採水ラインと接続されたものであり、
前記精製水の製造方法が、
RO装置の運転を長時間停止するとき、RO装置の運転の停止から再開するまでの間、貯水タンク内の紫外線殺菌灯を点灯させた状態にて、前記循環洗浄ラインを利用してRO膜モジュールの集水管と貯水タンクの間で透過水を循環させる、精製水の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の精製水の製造方法において、
精製水の製造装置の運転を長時間停止するとき、RO装置の運転の停止から再開するまでの間、貯水タンク内の紫外線殺菌灯を点灯させた状態にて、前記循環洗浄ラインを利用してRO膜モジュールの集水管と貯水タンクの間で透過水を循環させる、精製水の製造方法。
【請求項4】
RO装置の集水管と貯水タンクの間で透過水を循環させるときの水量が、150〜600L/Hである、請求項1〜3のいずれか1項記載の精製水の製造方法。
【請求項5】
前記精製水が医療用精製水である、請求項1〜4のいずれか1項記載の精製水の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−106188(P2012−106188A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257412(P2010−257412)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】