説明

精製用内部マーカーを含むグルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)および化合物のスクリーニングのためのその使用

本発明は、GFAT配列と精製マーカーの少なくとも一つの配列とを含む、酵素活性を有するタンパク質に関するものであって、精製マーカーの配列は、GFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素活性を修飾する化合物のスクリーニングに十分な量で迅速に精製できる修飾されたグルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼに関するものである。
【背景技術】
【0002】
グルコサミン−6−リン酸シンターゼまたは2−デオキシグルコース−6−リン酸ケトールイソメラーゼとも呼ばれるグルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)EC2.6.1.16は、ヘキソサミンの生合成経路に関与する。GFATは、L−グルタミンからフルクトース−6−リン酸のケトン官能基にアミド性窒素を転移させることによって、反応:
L−グルタミン+フルクトース−6−リン酸→L−グルタミン酸+グルコサミン−6−リン酸
に従い生合成経路の最初の律速段階を触媒する。 したがってGFATは、フルクトース−6−リン酸を介してヘキソサミン経路におけるグルコースの流れと、結果として産生するヘキソサミンの形成とを調節している。
【0003】
組換え細菌形のGFATである大腸菌(Escherichia coli)のグルコサミン−6−リン酸シンターゼが均質に精製され、徹底的に研究された。アミド転移の性質および酵素メカニズムが特に広く記載された(Teplyakovら、Nat. Prod. Rep. (2002) 19:60の論文)。特に、結晶構造が解明されたこの酵素(Teplyakovら、J. Mol. Biol. (2001) 313:1093)は、一つがヒドロラーゼ(グルタミナーゼ)活性を有し、もう一つがイソメラーゼ活性を有する二つのドメインにより形成されている。
【0004】
さらに、特にラット肝のGFAT(Huynhら、Arch. Biochem. Biophys. (2000) 379:307)および酵母カンジダアルビカンス(Candida albicans)のGFAT(Milewskyら、J. Biol. Chem. (1999) 274:4000)を含めた真核生物GFATがキャラクタリゼーションされた。
【0005】
ヒトにおいて予備研究は、肝臓にGFAT活性が存在することを示した(Ghoshら、J. Biol. Chem. (1960) 235:1265)。いくつかのGFATが現在公知である。主要な形であるGFAT1、中枢神経系に選択的に発現するGFAT2、および横紋筋に本質的に発現するGFAT1のアイソフォームである GFAT1Altである。GFAT1およびGFAT2のペプチド配列は、互いに75%の配列同一性を有し、GFAT1およびGFAT1Altのペプチド配列は、GFAT1Altの配列に18個のアミノ酸が挿入されていることを除き同一である。よってGFATの配列は、ヒトにおいてよく保存されており、またヒトGFAT1と、大腸菌GFATまたはマウスGFAT1とのペプチド配列がそれぞれ35%および99%の同一性を有することから、種間でもよく保存されている。
【0006】
ヒトGFAT1遺伝子は、1992年にクローニングされた(McKnightら、J. Biol. Chem. (1992) 267:25208)。この酵素は、二つの別個のドメインによって形成される77kDaのタンパク質をコードする(Teplyakovら、Nat. Prod. Rep. (2002) 19:60)。
【0007】
ヘキソサミンの生合成経路の最終産物であるUDP−NAc−GlcNHの産生の増加および組織へのその蓄積は、最近インスリン抵抗性の発現に関与していた(Marshallら、FASEB J. (1991) 5:3031、Yki-Jarvinenら、Diabetes (1996) 45:302、Thompsonら、J. Biol. Chem. (1997) 272: 7759、Hawkinsら、J Clin. Invest. (1997) 99:2173、Robinsonら、Diabetes (1993) 42: 1333、Danielsら、J. Clin. Invest. (1995) 96:1235、Baronら、J. Clin. Invest. (1995) 96:2792)。
【0008】
このように、GFAT1の僅かな過剰発現または外因性グルコサミンの供給によるUDP−NAc−GlcNHの細胞レベルにおける増加は、インビボおよび培養脂肪細胞の両方においてインスリン抵抗性を誘導しうることが示された(Robinsonら、Diabetes (1993) 42:1333;Danielsら、J. Clin. Invest. (1995) 96:1235;Baronら、J. Clin. Invest. (1995) 96:2792;Hebertら、J. Clin. Invest. (1996) 98:930)。
【0009】
実際にインスリンは、その受容体に結合することによって形質導入経路を活性化し、その経路は細胞に貯蔵されたGLUT4受容体のようなグルコース輸送体の膜への移行を誘導し、グルコースの流入を増加させる。このようにグルコースは解糖系に入り、グルコース−6−リン酸に転換されてからフルクトース−6−リン酸に変換される。グルコースの流入が過剰のとき、フルクトース−6−リン酸がヘキソサミンの生合成経路に入り、GFATによってグルコサミン−6−リン酸に変換される。いくつかの観察から、グルコサミン−6−リン酸の代謝物が細胞膜へのグルコース受容体の移行を妨害し、それによって細胞へのグルコースの流入を低減させることが示された(Marshallら、FASEB J. (1991) 5:3031、Giacarriら、Diabetologia (1995) 38:518、Marshallら、J. Biol. Chem. (1991) 266:4706、Patersonら、Endocrinology (1995) 136:2809)。
【0010】
グルコサミン−6−リン酸の代謝物がその生理学的効果を及ぼすメカニズムは明らかではない。しかし、高サイトゾル濃度のUDP−NAc−GlcNHは、SerまたはThrのリン酸化部位の高グリコシル化を誘導することによって、インスリンシグナル伝達経路の停止を誘導するという一つの仮説が提唱された(Comerら、J. Biol. Chem. (2000) 275:29179)。
【0011】
したがってGFAT活性は、高レベルの血液グルコースの原因の一つとしてみなされており、さらに非インスリン依存型糖尿病またはII型糖尿病を患う患者において高いことが公知である(Yki-Jarvinenら、Diabetes (1996) 45:302)。
【0012】
GFAT阻害剤を得ることは、特に例えばII型糖尿病、アシドーシスおよび/または糖尿病性ケトーシスのような高血糖症につながる病理を患う個体における血糖症を軽減することを可能にするであろう。
【0013】
真菌または植物GFATの阻害剤は、それぞれ殺真菌剤および除草剤を得ることも可能にしうるであろう。
【0014】
しかし、組換え形のGFATを得たにもかかわらず、得られた酵素調製物が不安定であること、それらが少量であること、およびそれらの精製レベルが不十分であることは、効果的なGFAT阻害剤を得ることを可能にしていない。
【0015】
したがって本発明の主題は、活性が安定であり、大量に得ることができ、高レベルの精製度および活性を有する修飾GFATを提供することである。
【0016】
本発明は、以下:
− GFAT配列、およびGFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されている精製タグ配列の少なくとも一つ、または
− 該タンパク質が酵素活性を有するならば、少なくとも一つのアミノ酸の抑制、挿入または突然変異によって該GFAT配列から誘導される配列、または
− 該タンパク質が酵素活性を有するならば、該GFAT配列の一つと少なくとも35%、特に少なくとも90%の配列同一性および/もしくは少なくとも44%、特に少なくとも95%の配列類似性を有する配列
を含む、酵素的に活性なタンパク質に関する。
【0017】
GFATという用語は、特に以下の実施例またはBroschatら、J. Biol. Chem. (2002) 277:14764に記載されている実験条件で、以下の反応を触媒するE.C.2.6.1.16酵素のクラスのことを呼ぶ:
L−グルタミン+フルクトース−6−リン酸→L−グルタミン酸+グルコサミン−6−リン酸
【0018】
GFATは、グルタミン:フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼの名で、またグルコサミン−6−リン酸シンターゼもしくは2−デオキシグルコース−6−リン酸ケトールイソメラーゼの名でも呼ばれる。
【0019】
「酵素的に活性なタンパク質」という用語は、触媒作用を有するタンパク質のことを呼ぶ。
【0020】
好都合には酵素的に活性なタンパク質は、GFAT活性を有する。
【0021】
「精製タグ」という用語は、所定のリガンドに特異的に結合できるペプチド配列のことを呼ぶ。好都合には精製タグへの該リガンドの結合は、精製タグを有するタンパク質と該リガンドとの間で複合体を形成することを可能にし、該複合体を特異的に単離できるようにする。
【0022】
好都合には、本発明による精製タグは、ペプチド鎖の末端に、すなわちN末端にもC末端にも配置されず、ペプチド鎖内部に配置される。
【0023】
「配列同一性」という用語は、特に例えばAltschulら、Nucleic Acids Res. (1997) 25:3389によって定義されるアルゴリズムを用いた、2つの整列された配列間の同一のアミノ酸のパーセントのことを呼ぶ。
【0024】
「配列類似性」という用語は、特に例えばAltschulら、Nucleic Acids Res. (1997) 25:3389によって定義されるアルゴリズムを用いた、2つの整列された配列間の類似したアミノ酸の、すなわち側鎖が類似した物理化学特性を有するアミノ酸のパーセントのことを呼ぶ。
【0025】
本発明は、GFAT配列が細菌、あるいは真核生物;特に植物、真菌、または動物;特に昆虫もしくは哺乳動物;さらに詳しくはヒトのGFAT配列に対応する、上に定義されるタンパク質に特に関する。
【0026】
本発明はさらに詳しくは、GFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に精製タグ配列が挿入されている上に定義されるタンパク質に関するものであって、該アミノ酸は、
− 大腸菌GFATのβ2シートとβ3シートとの間に伸長する配列に対応し、かつ/もしくは相同であるGFAT配列の部分、または
− 大腸菌GFATのβ13シートとβ14シートとの間に伸長する配列に対応し、かつ/もしくは相同であるGFAT配列の部分、または
− 大腸菌GFATのβ15シートとα6ヘリックスとの間に伸長する配列に対応し、かつ/もしくは相同であるGFAT配列の部分
に含まれる。
【0027】
大腸菌GFATの構造は、特にTeplyakovら、J. Mol. Biol. (2001) 313:1093(総タンパク質)、Isupovら、Structure (1996) 4:801(グルタミナーゼドメイン)およびTeplyakovら、Structure (1998) 6:1047(イソメラーゼドメイン)に記載されている。完全タンパク質の構造は、Protein Data Bankのファイルを有する1JXA原子座標ファイル(http://www.pdb.org)を用いて特に調べることができる。
【0028】
配列番号:13に大腸菌GFATのペプチド配列を定義する。
【0029】
β2シートとβ3シートとの間に伸長する配列は、グルタミナーゼドメインに位置する、大腸菌GFATのアミノ酸約30〜80の間に伸長する配列に対応する。
【0030】
β13シートとβ14シートとの間に伸長する配列は、グルタミナーゼドメインに位置する、大腸菌GFATのアミノ酸約220〜230の間に伸長する配列に対応する。
【0031】
β15シートとα6ヘリックスとの間に伸長する配列は、イソメラーゼドメインに位置する、大腸菌GFATのアミノ酸約235〜250の間に伸長する配列に対応する。
【0032】
したがって特定の態様によれば、本発明は、精製タグ配列がGFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されている上に定義されるタンパク質に関するものであって、該アミノ酸は、
− 大腸菌GFATのアミノ酸約30〜80の間に伸長する配列に対応し、かつ/もしくは相同であるGFAT配列の部分、または
− 大腸菌GFATのアミノ酸約220〜230の間に伸長する配列に対応し、かつ/もしくは相同であるGFAT配列の部分、または
− 大腸菌GFATのアミノ酸約235〜250の間に伸長する配列に対応し、かつ/もしくは相同であるGFAT配列の部分
に含まれる。
【0033】
特に例えばAltschulら、Nucleic Acids Res. (1997) 25:3389によって定義されるアルゴリズムを用いて、または当業者に周知でありThompsonら、Nucleic Acids Res. (1994) 22: 4673-4680に記載されたClustal Wソフトウェアを用いて、該GFATの配列を大腸菌GFATの配列と整列させることによって、大腸菌GFATの二次構造に対応し、かつ/もしくは相同であるGFAT配列の部分の確認を得られる。
【0034】
特に、二つの配列もしくは配列の部分の間の同一性のパーセントが約35%を超え、かつ/またはこれら二つの配列もしくは配列部分の間の類似性のパーセントが約44%を超えるならば、これらの二つの配列もしくは配列部分は相同であると呼ぶ。
【0035】
さらに詳しくは二つの配列または配列部分が、以下の条件のようなストリンジェントな条件でハイブリダイズできるならば、それらは相同であると呼ぶ:ホルムアミド:50%、NaCl:0.75mol/l、クエン酸ナトリウム:0.75mmol/l、ドデシル硫酸ナトリウム:1%、pH7、42℃。
【0036】
別の好ましい態様によれば、本発明は、精製タグ配列がヒトGFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されている、上に定義されるタンパク質に関するものであって、該アミノ酸は、該ヒトGFAT配列のアミノ酸40〜50、290〜330、および/または340〜370の間に含まれる。
【0037】
該ヒトGFAT配列のアミノ酸40〜50は、β2シートとβ3シートとの間に伸長する、大腸菌GFAT配列の部分に、すなわち大腸菌GFATのアミノ酸約30〜80の間に伸長する配列に対応し、かつ/または相同である。
【0038】
該ヒトGFAT配列のアミノ酸290〜330は、β13シートとβ14シートとの間に伸長する、大腸菌GFAT配列の部分に、すなわち大腸菌GFATのアミノ酸約220〜230の間に伸長する配列に対応し、かつ/または相同である。
【0039】
該ヒトGFAT配列のアミノ酸340〜370は、β15シートとα6ヘリックスとの間に伸長する、大腸菌GFAT配列の部分に、すなわち大腸菌GFATのアミノ酸約235〜250の間に伸長する配列に対応し、かつ/または相同である。
【0040】
本発明は、特に上に定義されるタンパク質に関するものであって、そのタンパク質におけるGFAT配列は、
− ヒトGFAT1配列に対応する配列番号:2、
− ヒトGFAT2配列に対応する配列番号:4、
− ヒトGFAT1Alt配列に対応する配列番号:6
に対応する。
【0041】
ヒトGFAT1配列は、特にMcKnightら、J. Biol. Chem. (1992) 267:25208に記載され、配列番号:1のヌクレオチド配列に対応する。
【0042】
ヒトGFAT2配列は、特にOkiら、Genomics (1999) 57:227に記載され、配列番号:3のヌクレオチド配列に対応する。
【0043】
ヒトGFAT1Alt配列は、特にDeHavenら、Diabetes (2001) 50:2419に記載され、配列番号:5のヌクレオチド配列に対応する。
【0044】
本発明は、特に精製タグ配列が二つの連続するアミノ酸の間に挿入されている、上に定義されるタンパク質に関するものであって、該アミノ酸は以下のアミノ酸の間:
− 配列番号:2の43〜47、298〜306、および/または342〜347、
− 配列番号:4の42〜45、299〜307、および/または343〜348、
− 配列番号:6の43〜47、316〜324、および/または360〜365
に含まれる。
【0045】
配列番号:2のアミノ酸43〜47、配列番号:4のアミノ酸42〜45、および配列番号:6のアミノ酸43〜47は、β2シートとβ3シートとの間に伸長する大腸菌GFAT配列の部分、すなわち大腸菌GFATのアミノ酸約30〜80の間に伸長する配列に対応し、すなわちそれに相同である。
【0046】
配列番号:2のアミノ酸298〜306、配列番号:4のアミノ酸299〜307、および配列番号:6のアミノ酸325〜330は、β13シートとβ14シートとの間に伸長する大腸菌GFAT配列の部分、すなわち大腸菌GFATのアミノ酸約220〜230の間に伸長する配列に対応し、すなわちそれに相同である。
【0047】
配列番号:2のアミノ酸342〜347、配列番号:4のアミノ酸343〜348、および配列番号:6のアミノ酸360〜365は、β15シートとα6ヘリックスとの間に伸長する大腸菌GFAT配列の部分、すなわち大腸菌GFATのアミノ酸約235〜250の間に伸長する配列に対応し、すなわちそれに相同である。
【0048】
別の特定の実施形態によれば、本発明は、さらに詳しくは精製タグ配列がGFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されている、上に定義されるタンパク質に関するものであって、該アミノ酸は、
− ヒトGFAT1のアミノ酸約43〜47の間に伸長する配列に対応し、かつ/またはそれに相同であるGFAT配列の部分、
− ヒトGFAT1のアミノ酸約298〜306の間、特に299〜300の間に伸長する配列に対応し、かつ/またはそれに相同であるGFAT配列の部分、
− ヒトGFAT1のアミノ酸約342〜347の間に伸長する配列に対応し、かつ/またはそれに相同であるGFAT配列の部分
に含まれる。
【0049】
本発明は、さらに詳しくは精製タグ配列が以下のアミノ酸の間:
− 配列番号:2の299および300、
− 配列番号:4の300および301、
− 配列番号:6の317および318
に挿入されている上記のタンパク質に関する。
【0050】
本発明は、精製タグがアミノ酸約2〜約10個、特にアミノ酸約4〜約8個の配列に対応する上記のタンパク質に関する。
【0051】
本発明による好ましい精製タグは、特にいわゆるFLAGタグ(Sigma-Aldrich、フランス)に関する。これらのタグは、所定のパラトープに特異的に結合し、該パラトープは、例えば抗体または抗体断片に属することが可能である。FLAGタグの特定の例は、例えばペプチド配列Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys(配列番号:18)によって構成される。
【0052】
本発明による他の好ましいタグは、数個のヒスチジンによって形成されるタグである。これらのタグは、例えばNi2+またはCo2+のような二価金属陽イオンと複合体を形成しうる。
【0053】
本発明は、精製タグがヘキサヒスチジンである上に定義されるタンパク質に特に関する。
【0054】
配列His−His−His−His−His−His(配列番号:19)は、ヘキサヒスチジンと呼ばれる。
【0055】
本発明は、さらに詳しくは以下の配列:
− ヘキサヒスチジンがアミノ酸299と300との間に挿入されている配列番号:2に対応する配列番号:8、
− ヘキサヒスチジンがアミノ酸300と301との間に挿入されている配列番号:4に対応する配列番号:10、および
− ヘキサヒスチジンがアミノ酸317と318との間に挿入されている配列番号:6に対応する配列番号:12
に対応する上に定義されるタンパク質に関する。
【0056】
本発明は、上に定義されるタンパク質をコードする配列を含むか、またはそれによって構成される核酸にも関する。
【0057】
本発明は、さらに詳しくは以下のヌクレオチド配列:
− 配列番号:8のタンパク質をコードする配列番号:7、もしくは
− 配列番号:10のタンパク質をコードする配列番号:9、もしくは
− 配列番号:12のタンパク質をコードする配列番号:11
もしくはその相補的配列を含むか、またはそれによって構成される核酸、あるいは該ヌクレオチド配列が酵素的に活性なタンパク質をコードするならば、少なくとも一つのヌクレオチドの突然変異、挿入または欠失によって該配列から得られる核酸に関する。
【0058】
別の態様によれば、本発明は、上に定義される核酸を含む真核生物または原核生物ベクターにも関する。
【0059】
これらのベクターは、真核生物または原核生物において本発明によるタンパク質を特に合成することを可能にする。
【0060】
好都合には本発明は、昆虫細胞において本発明によるタンパク質の合成を可能にするバキュロウイルス型発現ベクターに関する。
【0061】
本発明は、該タンパク質を含む溶液から上に定義されるタンパク質を精製するための方法にも関し、その方法は、該タンパク質の精製タグに特異的に結合する化合物の存在下に該溶液を置く工程、および該化合物への該タンパク質の結合によって形成した複合体を溶液の他の構成要素から分離する工程を含む。
【0062】
化合物を固体支持体に固定して、該化合物と該タンパク質との間に形成した複合体を遠心分離またはろ過によって回収できるようにできる。場合により支持体に固定された該化合物をカラムに配置して、該溶液がカラムを通過して溶出するようにできる。
【0063】
好都合には上記の方法は、精製タンパク質を回収するために該化合物に対する該タンパク質の結合によって形成する複合体を解離させる工程も含みうる。
【0064】
本発明は、さらに詳しくは上に定義される精製方法に関し、その方法は、上に定義されるタンパク質を含む溶液をNi2+またはCo2+、特にNi2+のような二価金属陽イオンを含む化合物の存在下に置く工程、および該化合物へのタンパク質の結合によって形成する複合体を溶液の他の構成要素から分離する工程を含む。
【0065】
好都合には上記の方法は、精製タンパク質を回収するために、二価金属陽イオンを含む該化合物への該タンパク質の結合によって形成する複合体を、特にイミダゾールを使用して解離する工程も含みうる。
【0066】
別の態様によれば、本発明は、酵素的に活性な形態の上に定義されるタンパク質を特に−80℃または4℃で保存するための方法に関し、その方法は、以下:
− 約1mM〜約10mMの、特に約1mMのフルクトース−6−リン酸、
− 約1mM〜約5mMの、特に約1mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン
− 約5〜約20%、特に約10%のグリセロール
を含む溶液に該タンパク質を添加することを含む。
【0067】
フルクトース−6−リン酸は、該タンパク質の基質である。
【0068】
トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンは、Ni2+またはCo2+イオンを担持する樹脂の性質を維持することを都合よく可能にする還元化合物である。
【0069】
グリセロールは、好都合には凍結保護剤である。
【0070】
したがって本発明は、適切ならば上に定義されるタンパク質のような精製タグに結合した活性GFATタンパク質を含む組成物にも関するものであって、該タンパク質は、酵素的に活性な形態で温度2〜10℃、特に約4℃で少なくとも8日間、および温度−100〜−20℃、特に約−80℃で少なくとも12か月間保存されうるものであり、該タンパク質は以下のもの:
− 約1mM〜約10mMの、特に約1mMのフルクトース−6−リン酸、
− 約1mM〜約5mMの、特に約1mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン
− 約5〜約20%、特に約10%のグリセロール
と組み合わされる。
【0071】
本発明は、該タンパク質の活性を修飾する化合物のスクリーニング、特に該タンパク質の阻害剤のスクリーニングのための、上に定義されるタンパク質の使用にも関する。
【0072】
以下の方法:
− Broschatら、Analytical Biochem. (2002) 305:10-15に記載される放射分析法、
− Nakataら、J. Antibio. (2001) 54:737-743に記載されたいわゆるニトロブルーテトラゾリウム法、
− Ghoshら、Method. Enzymol. (1960) 5:414に記載され、下記の実施例に詳細に記載されるモーガンエルソン法、
− Badetら、Biochemistry (1987) 26:1940に記載され、下記の実施例に詳細に記載されるAPAD法
を用いて本発明によるタンパク質の活性を特に測定できる。
【0073】
好都合にはこれらの方法は、本発明によるタンパク質の活性を修飾する化合物の、特に高流速でのスクリーニングに使用できる。
【0074】
本発明は、糖尿病、特にII形糖尿病、肥満、アシドーシス、ケトーシスもしく、癌、または骨粗鬆症の治療または予防の枠内で有用な化合物のスクリーニングのための上に定義される使用に特に関する。
【0075】
実施例1
1.gfat1−His6遺伝子の合成およびクローニング
プラスミドpCRII−gfat1を形成させるために、ヒトgfat1遺伝子に対応するcDNAのEcoRI断片をpCRIIベクター(Invitrogen)のEcoRI部位にクローニングした。プラチナpfxポリメラーゼ(Roche)および以下の適当なプライマー対を用いたPCRによって、pCRIIにクローニングされたgfat1遺伝子配列の位置898に、ヒスチジン残基6個からなる内部精製タグのヌクレオチド配列を導入した:
− 開始AatII−His6:
【0076】
【表1】

【0077】
− 終了HincII:
【0078】
【表2】

【0079】
PCRは、以下のプロトコルによる:94℃、2分間の後、30サイクル(94℃45秒間、55℃1分間、72℃5分間)、その後に72℃での重合を5分間、4℃に戻る。
【0080】
AatIIおよびHincIIによる消化の次に1.5%Seaplaqueアガロースゲル(Tebu)で精製した後に、対応する制限部位のレベルでアンプリコン(170bp)をpCRII−gfat1構築体に挿入した。T4 DNAリガーゼ(Nebs)の存在下でこの170bpの挿入体をこの構築体に3:1の比率で16℃で一晩ライゲーションによって導入した。このように得られたライゲーション混合物(20μl)は、大腸菌JM109株の形質転換を可能にした。次に、組換えプラスミドpCRII−gfat1−His6のXbaI−HindIII断片をドナープラスミドpFastBac1(Life Technologies Ltd)にクローニングした。このように発生させたプラスミドpFastBac−gfat−His6(図1)を複数消化(SmaI、AccI/DraI、PstEI/XbaI)および配列決定によって検証した。構築体を改良する目的で、gfat1遺伝子上流の二つのオープンリーディングフレームを除去するために以下のプライマー対を用いたPCRによって開始コドン上流の配列を二つの位置で突然変異させた:
− 開始XbaI
【0081】
【表3】

【0082】
− 終了AfeI
【0083】
【表4】

【0084】
PCRは、以下のプロトコルによる:94℃、2分間の後、30サイクル(94℃15秒間、55℃30秒間、68℃1分間)、その後に68℃での重合を1分間、4℃に戻る。
【0085】
DH10Bac細胞への転位のために使用するドナープラスミドpFastBac−gfat−His6−2orfを製造するためにpFastBac−gfat−His6におけるホモログと交換するために、二つの突然変異を含む得られたPCR断片を0.7%TSeaPlaqueゲル(Tebu)で精製してから、XbaIおよびAfeIで消化した。
【0086】
DH10Bac細胞に転位させた後で組換えバクミド(bacmid)を単離し、リポフェクチン(Life Technologies Ltd)の存在下でSf9昆虫細胞にトランスフェクトするために使用した。得られたバキュロウイルスをSf9細胞中で増幅させ、5・10pfu/mlのウイルス力価が測定された。
【0087】
2.GFAT1−His6タンパク質の製造
用量5lのフラスコに入ったSF900II培地(Life Technologies Ltd)の存在下で100rpmで撹拌しながらSf9昆虫細胞を28℃で培養した。2・10細胞/mlの密度の細胞に上で得られた組換えバキュロウイルスを感染多重度2(pfu/細胞)で感染させ、72時間培養した。
【0088】
細胞および上清を遠心分離(2500g、4℃で10分間)によって分離した。細胞を20mMトリス塩酸緩衝液(pH7)の存在下で洗浄し、遠心分離(4000g、4℃で45分間)し、ー80℃で凍結させた。
【0089】
GFAT1−His6タンパク質の精製
細胞ペレット(20g)を溶解緩衝液(50mMのNaPO、pH7.5、300mMのNaCl、10mMイミダゾール、1mMフルクトース−6−リン酸(フルクトース−6P)、1mMのTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)、1mMのPMSF(フェニルメチルスフホニルフルオリド)、10%グリセロール、およびEDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche Applied Sciences)1個)50mlに入れ、直径0.2mmのマイクロビーズ40gの存在下で4500rpm(30秒間4サイクル)でダイノミル(DynoMill)を用いた粉砕に供した。−15℃に調整したエチレングリコール/水を循環させることによって混合物を冷却した。得られた粗抽出物(100ml、総タンパク質445mg)を4℃で20分間、12000rpmで遠心分離した。上清を4℃で超遠心分離(350000rpm、1時間)に供した。このように得られた上清を50%Ni−NTAマトリックス(Qiagen)5mlと共に4℃で2時間混合した。混合物を空のカラムに注いでから、洗浄用緩衝液(50mMのNaPO4(pH7.5)、300mMのNaCl、40mMイミダゾール、1mMフルクトース−6P、1mMのTCEP、1mMのPMSFおよEDTAを含まないプロテアーゼ阻害剤カクテル錠(Roche Applied Sciences)1個)40mlで洗った。前と同じ緩衝液に溶かした125および500mMイミダゾールによる連続段階によって溶出を実施した。このようにして、12mgの機能的GFAT1−His6(ブラッドフォード法によるタンパク質アッセイ)が得られた。
【0090】
4.GFAT1−His6酵素の保存
次に、1mMフルクトース−6P、1mMのTCEPおよび10%グリセロールの存在下の100μl分画にして酵素を−80℃で貯蔵した。酵素の安定性は、−80℃で数か月間であり、4℃で8日間を超える。
【0091】
5.GFAT1−His6酵素活性のアッセイ
GFAT1−His6の酵素活性の種々のアッセイテストを使用した。GFAT1−His6の活性を修飾する、特に阻害する化合物をスクリーニングするためにもこれらのテストを使用できる。高流速でのスクリーニングにもこれらを容易に適合させることができる。
【0092】
モーガンエルソンアッセイ:
この場合、以下の原理の比色テストによって酵素活性をモニターする:酵素によって放出されるD−グルコサミン−6Pは、アルカリ性媒質中で無水酢酸によってN−アセチル化され(Ghoshら、Method. Enzymol. (1962) 5:414)、次に濃厚酸性媒質中でエールリッヒ試薬(パラ−ジメチルアミノベンズアルデヒド;PDAB)で溶液を処理する。形成したピンク色の化合物は585nmで吸収を示す。
【0093】
以下の化合物の存在下で37℃で30分間酵素反応を行う:
− 100mMのフルクトース−6P、0.2ml
− 60mMのL−グルタミン、0.25ml
− 150mMのKPO(pH7)、0.25ml
− 25mMのEDTA(エチレンジアミン四酢酸)(pH7)、0.1ml
− 試料200μl(必要ならばHOで仕上げる)
【0094】
温度100℃の湯浴に4分間浸すことによって反応を停止させてから、遠心分離する。上清0.8mlを以下のプロトコルによるグルコサミン−6Pのアッセイのためにサンプリングする:
− 飽和NaHCO、0.1mlの添加、
− 即時調製した5%無水酢酸溶液0.1mlの添加、
− 周囲温度での5分間の撹拌およびインキュベーション、
− 100℃の浴中で5分間インキュベーション、
− 0.8Mホウ酸カリウム、pH9.1(10NのKOHで調整)0.2mlの添加、
− 100℃の浴中で7分間の撹拌およびインキュベーション、
− エールリッヒ試薬を酢酸で10倍希釈したものを即時調製し、その3mlを氷冷した溶液に添加、
− 37℃で20分間インキュベーション。
【0095】
濃度範囲0〜200nmolの標準としてD−グルコサミンを用いて確立した標準曲線と比較することによってGFATの活性を決定した。このように得られたGFAT1−His6の比活性は、1.7U/mgと測定された。これは、組換えヒトGFAT1の精製物についてBroschatら、J Biol. Chem. (2002) 277:14764によって得られた値0.4U/mgよりも大きい。これは、GFAT1−His6の方が活性が高く、かつ/または本発明による酵素調製物の方が純度が高いことを反映している。
【0096】
GFAT1−His6の反応速度パラメータは、APADテストによるグルタミン酸デヒドロゲナーゼと連結した分光光度アッセイによってグルタミン(KGln=0.2mM)およびフルクトース−6P(F6P)(KF6P=0.006mM)に関してキャラクタリゼーションされた。これは、従来技術において引用された値に従う(Broschatら、J. Biol. Chem. (2002) 277:14764に対してKGln=0.26mMおよびKF6P=0.007mM)。
【0097】
APADアッセイ
これは、GFAT活性の紫外部分光光度アッセイである。これは、以下の(グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)によって触媒される)反応に従って、GFATと、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)のアナログであるAPAD(3−アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド)とを用いて形成するL−グルタミン酸塩の量を連続測定することに基づく:
【0098】
【化1】

【0099】
測定は37℃で、365nmで実施される。これらの条件で1吸光単位は形成したAPADH0.11μmolに対応する。
【0100】
このテストは、以下のものを含む:
− 3mMのAPAD(2mg/ml)100μl、
− 2MのKCl、25μl、
− 1MのKPO緩衝液(pH7.2)100μl、
− 100mMフルクトース−6P(30.41mg/ml)100μl、
− 60mM精製L−グルタミン(8.77mg/ml)100μl
− HO適量で1mlとする(以後に加える体積を考慮)、
− GDH、50μl、
− アッセイする試料0.5μg。
【0101】
Broschatら、Analytical Biochem. (2002) 305:10-15に記載される放射アッセイまたはNakataら、J. Antibio. (2001) 54:737-743に記載されるいわゆるニトロブルーテトラゾリウムアッセイのような他のアッセイ法も使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】分子量6.89kbを有するプラスミドpFastBac−gfat−His6を示す図である。カセット「Ampr」は、アンピシリン耐性遺伝子を表し、カセット「ori」は、細菌複製起点を表し、カセット「Gmr」は、ゲンタマイシン耐性遺伝子を表し、カセット「Polh Pr」は、ポリヘドリンプロモーターを表し、カセットgfat−his6は、ヘキサヒスチジンタグをコードする配列の挿入によって修飾されたgfat1遺伝子を表す。位置4.11kbのXbaI制限部位および位置4.56kbおよび6.60kbのEcoRIも示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GFAT配列および該GFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されている少なくとも一つの精製タグ配列、または
該タンパク質が酵素活性を有するならば、少なくとも一つのアミノ酸の抑制、挿入、または突然変異によって該GFAT配列から得られる配列、または
該タンパク質が酵素活性を有するならば、該GFAT配列の一つと少なくとも35%の配列同一性および/または少なくとも44%の配列類似性を有する配列
を含む、酵素的に活性なタンパク質。
【請求項2】
GFAT配列が、細菌あるいは真核生物;特に植物、真菌、または動物;特に昆虫もしくは哺乳動物;さらに詳しくはヒトのGFAT配列に対応する、請求項1記載のタンパク質。
【請求項3】
精製タグ配列が、GFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されており、該アミノ酸が、
大腸菌(Escherichia coli)GFATのアミノ酸約30〜80の間に伸長する配列に対応し、かつ/またはそれに相同なGFAT配列の部分、または
大腸菌GFATのアミノ酸約220〜230の間に伸長する配列に対応し、かつ/またはそれに相同なGFAT配列の部分、または
大腸菌GFATのアミノ酸約235〜250の間に伸長する配列に対応し、かつ/またはそれに相同なGFAT配列の部分
に含まれる、請求項1または2記載のタンパク質。
【請求項4】
精製タグ配列が、ヒトGFAT配列の二つの連続するアミノ酸の間に挿入されており、該アミノ酸が、該ヒトGFAT配列のアミノ酸40〜50、290〜330、および/または340〜370の間に含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項5】
GFAT配列が、
ヒトGFAT1の配列に対応する配列番号:2、
ヒトGFAT2の配列に対応する配列番号:4、
ヒトGFAT1Altの配列に対応する配列番号:6
に対応する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項6】
精製タグ配列が二つの連続するアミノ酸の間に挿入されており、該アミノ酸が以下のアミノ酸の間:
配列番号:2の43〜47、298〜306、および/または342〜347、
配列番号:4の42〜45、299〜307、および/または343〜348、
配列番号:6の43〜47、316〜324、および/または360〜365
に含まれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項7】
精製タグ配列が以下のアミノ酸の間:
配列番号:2の299および300、
配列番号:4の300および301、
配列番号:6の317および318
に挿入されている、請求項6記載のタンパク質。
【請求項8】
精製タグが、約2〜約10個のアミノ酸、特に約4〜約8個のアミノ酸の配列に対応する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項9】
精製タグがヘキサヒスチジンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項10】
以下の配列:
ヘキサヒスチジンがアミノ酸299と300との間に挿入されている、配列番号:2の配列に対応する配列番号:8、
ヘキサヒスチジンがアミノ酸300と301との間に挿入されている、配列番号:4の配列に対応する配列番号:10、および
ヘキサヒスチジンがアミノ酸317と318との間に挿入されている、配列番号:6の配列に対応する配列番号:12
に対応する、請求項7および9記載のタンパク質。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする配列を含むか、またはそれによって構成される核酸。
【請求項12】
以下のヌクレオチド配列:
配列番号:8のタンパク質をコードする配列番号:7、もしくは
配列番号:10のタンパク質をコードする配列番号:9、もしくは
配列番号:12のタンパク質をコードする配列番号:11
もしくはその相補的配列を含むか、またはそれによって構成されるか、あるいは該ヌクレオチド配列が酵素的に活性なタンパク質をコードするならば少なくとも一つのヌクレオチドの突然変異、挿入、または欠失によって該配列から得られる核酸。
【請求項13】
請求項11または12に記載の核酸を含む真核生物または原核生物ベクター。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質を含む溶液からの該タンパク質のための精製方法であって、該タンパク質の精製タグに特異的に結合する化合物の存在下に該溶液を置く工程、および該化合物への該タンパク質の結合によって形成された複合体を該溶液の他の構成要素から分離する工程を含む方法。
【請求項15】
Ni2+またはCo2+、特にNi2+のような二価金属陽イオンを含む化合物の存在下に請求項10記載のタンパク質を含む溶液を置く工程、および該化合物への該タンパク質の結合によって形成された複合体を該溶液の他の構成要素から分離する工程を含む、請求項14記載の精製方法。
【請求項16】
酵素的に活性な形態の請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質のための、特に−80℃または4℃での精製方法であって、
約1mM〜約10mMの、特に約1mMのフルクトース−6−リン酸、
約1mM〜約5mMの、特に約1mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、
約5%〜約20%の、特に約10%のグリセロール
を含む溶液に該タンパク質を添加することを含む方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質のような、適切ならば精製タグに結合した活性GFATタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、2℃〜10℃の温度で、特に約4℃で少なくとも8日間、および−100℃〜−20℃の温度で、特に約−80℃で少なくとも12か月間酵素的に活性な形態で保存されうるものであり、該タンパク質が、
約1mM〜約10mMの、特に約1mMのフルクトース−6−リン酸、
約1mM〜約5mMの、特に約1mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン、
約5%〜約20%の、特に約10%のグリセロール
と組み合わされている組成物。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のタンパク質の活性を修飾する化合物のスクリーニングのための、特に該タンパク質の阻害剤のスクリーニングのための該タンパク質の使用。
【請求項19】
糖尿病、特にII型糖尿病、肥満、アシドーシス、ケトーシス、関節炎、癌、もしくは骨粗鬆症の治療または予防の枠内で有用な化合物のスクリーニングのための、請求項18記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−515931(P2007−515931A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518301(P2006−518301)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001800
【国際公開番号】WO2005/005628
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(595040744)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク (88)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】