糊流し染色製造方法
【課題】 糊流し染色において、一回の柄創りで何枚も布帛に写し取る方法を見出すことが課題である。
【課題を解決するための手段】 課題を解決するには、色糊を布帛に必要以上付着させないことである。そのための手段として、色糊で柄創りを行った後、紗などの空間の多い薄い布帛で覆い、布帛に写すことで一度の柄創りで、何枚も布帛に写すことを見出した。
【課題を解決するための手段】 課題を解決するには、色糊を布帛に必要以上付着させないことである。そのための手段として、色糊で柄創りを行った後、紗などの空間の多い薄い布帛で覆い、布帛に写すことで一度の柄創りで、何枚も布帛に写すことを見出した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は染色に関する。
【背景技術】
【0002】
マーブル柄などを染色する方法として、「墨流し」や「糊流し」の染色方法がある。
墨流し染色は水の上に墨、染料や顔料を浮かべ、櫛などで柄を創り、布帛に写し取る方法である。糊流し染色は色糊を台上に拡げ、柄を創り、布帛に写し取る。墨流しと比較し、柄が自由になり具象的な柄も可能であり、染色濃度も上がるなどメリットが大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、一度布帛に写し取ると柄が崩れるため、1回の柄に対し製造される染色物は1枚が原則となる。毎回新たに作り直すため、手間が多くかかり色糊の使用量も多い。また、布帛に多量の色糊が付着するため、扱い難くトラブル起き易い。
一回の柄創りで何枚も布帛に写し取る方法を見出すことが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決するには、色糊を布帛に必要以上付着させないことである。
そのための手段として、色糊で柄創りを行った後、紗などの空間の多い薄い布帛で覆い、布帛に写すことで一度の柄創りで、何枚も布帛に写すことを見出した。
【発明の効果】
【0005】
従来の方法では一度の柄創りで1枚の染色物しか出来ないため、材料費と手間賃で極めて高価なものとなり、一般商品に利用し難い技術であった。本発明では一回の柄創りで数十枚も写しが可能となるため、一枚あたりのコストは一気に数十分の1になる。
また、必要以上の色糊が布帛に付着しないため、後の固着や水洗などの作業性が極めて向上する。
【発明の基本的原理】
【0006】
従来の糊流し技法で布帛に色糊を写し取ると柄が崩れる。その原因は必要以上の色糊が布帛に付着するためである。紗を間に入れることで、表面ににじみ出た色糊だけが布に付着するため、布帛に付着する量をコントロール出来、多くの枚数を写し取ることが可能となる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0008】
具体的には以下の方法による。
1.色糊で柄を創作する
2.柄の表面を空間の多い薄い布帛で覆う
3.布帛に柄を写し取る
4.3の作業を繰り返す
5.固着処理を行う
6.不要物を除去する。
以上の工程で糊流し染色布帛が多枚数得られた。
【色糊の調整】
【0009】
この技術では布帛に付着する色糊と残留する色糊とが速やかに分離することが重要である。その点で最も良いのが顔料プリントなどに使用するレジューサーである。従って、本発明に使用する糊はレジューサーを基本とする。他の糊は捺染時と同様に染料の種類に合わせて使用する。主な糊剤の種類はでんぷん系糊剤、海草系糊剤、セルロース系糊剤、加工でんぷん系糊剤、植物ガム系糊剤、合成糊剤などである。いずれも濃度を低くしたり、ハーフエマルジョン(レジューサーと捺染糊の混合糊)とする。
【柄の創作】
【0010】
柄の創作は従来どおりの色流しの手法と同様である。
すなわち、各色の色糊を台上にたらし、様々な用具で柄を創作する。櫛などで十字に混合したものが典型的なマーブル柄となる。
使用する用具で様々な柄となる。
【空間の多い薄い布帛で覆う】
【0011】
創作した柄を空間の多い薄い布帛で覆う。
本発明で使用する空間の多い薄い布帛は織物、ニット地、不織布などである。
中でも最も適するのがスクリーンプリント用の紗である。メッシュの種類も多く、色糊および写し取る布帛により、自由に選定できる。
60〜200メッシュのスクリーンが特に適する。
【布帛に柄を写し取る】
【0012】
空間の多い薄い布帛の上から染色したい布帛を載せ表面ににじみ出た柄を写し取り、乾燥させる。この作業を必要枚数まで繰り返す。
従来法では写し取った布帛には余分な色糊が多量に付着するので、乾燥が極めて困難であった。
本発明では表面ににじみ出た色糊だけが布帛に付着するため、乾燥も容易にできる。
【固着処理と不要物の除去】
【0013】
染料を固着させる方法は従来の捺染技術である。すなわち、蒸熱処理、アルカリ処理、乾熱処理である。
圧倒的に利用されるのが蒸熱処理であるが、本発明においてもほとんど蒸熱処理で行える。反応染料使用ではアルカリショック法を行えば蒸熱処理機を使用しなくてもできる。顔料の固着には乾熱処理を行う。
その後、必要に応じ水洗やソーピングを行い、不要物を除去する。
【柄入りスクリーンで覆う】
【0014】
スクリーン紗で柄を覆う際、柄入りのスクリーンで覆うと柄の部分だけの色糊が移し取れるので、目的の柄の糊流し染色が出来る。
【実施例1】
【0015】
1.酸性染料とレジューサーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を100メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.絹布やナイロン布に柄を写し取る。
5.4の作業をそれぞれの布に15回繰り返す
6.乾燥後、蒸熱処理を行い、染料を固着させる。
7.水洗を行う。
以上の工程で糊流し染色絹布およびナイロン布が各々15枚得られた。
【実施例2】
【0016】
1.反応染料とレジューサーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を120メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.綿布に柄を写し取る。
5.4の作業を20回繰り返す。
6.乾燥後、アルカリ液で引き染めを行い、染料を固着させる。
7.ソーピングを行う。
以上の工程で糊流し染色綿布が20枚得られた。
【実施例3】
【0017】
1.顔料とレジューサーおよびバインダーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を80メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.ポリエステル/綿の布に柄を写し取る。
5.4の作業を20回繰り返す
6.乾燥後、140度で5分熱処理を行い固着させる。
以上の工程で糊流し染色綿布が20枚得られた。
【実施例4】
【0018】
1.分散染料とアルギン酸ナトリウムとレジューサーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を100メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.ポリエステル布に柄を写し取る。
5.4の作業を数十回繰り返す
6.乾燥後、130℃で蒸熱処理を行い染料を固着させる。
7.還元洗浄処理を行う。
以上の工程で糊流し染色ポリエステル布が数十枚得られた。
【実施例5】
【0019】
1.実施例1から4において、スクリーン紗を水玉の柄入りスクリーンを用いた。
2.其々の布に柄を写し取る。
3.2.の作業を20回繰り返す
4.固着処理を行う。
5.後処理を行う。
以上の工程で各々水玉模様の糊流し染色布が20枚得られた。
【技術分野】
【0001】
本発明は染色に関する。
【背景技術】
【0002】
マーブル柄などを染色する方法として、「墨流し」や「糊流し」の染色方法がある。
墨流し染色は水の上に墨、染料や顔料を浮かべ、櫛などで柄を創り、布帛に写し取る方法である。糊流し染色は色糊を台上に拡げ、柄を創り、布帛に写し取る。墨流しと比較し、柄が自由になり具象的な柄も可能であり、染色濃度も上がるなどメリットが大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、一度布帛に写し取ると柄が崩れるため、1回の柄に対し製造される染色物は1枚が原則となる。毎回新たに作り直すため、手間が多くかかり色糊の使用量も多い。また、布帛に多量の色糊が付着するため、扱い難くトラブル起き易い。
一回の柄創りで何枚も布帛に写し取る方法を見出すことが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決するには、色糊を布帛に必要以上付着させないことである。
そのための手段として、色糊で柄創りを行った後、紗などの空間の多い薄い布帛で覆い、布帛に写すことで一度の柄創りで、何枚も布帛に写すことを見出した。
【発明の効果】
【0005】
従来の方法では一度の柄創りで1枚の染色物しか出来ないため、材料費と手間賃で極めて高価なものとなり、一般商品に利用し難い技術であった。本発明では一回の柄創りで数十枚も写しが可能となるため、一枚あたりのコストは一気に数十分の1になる。
また、必要以上の色糊が布帛に付着しないため、後の固着や水洗などの作業性が極めて向上する。
【発明の基本的原理】
【0006】
従来の糊流し技法で布帛に色糊を写し取ると柄が崩れる。その原因は必要以上の色糊が布帛に付着するためである。紗を間に入れることで、表面ににじみ出た色糊だけが布に付着するため、布帛に付着する量をコントロール出来、多くの枚数を写し取ることが可能となる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0008】
具体的には以下の方法による。
1.色糊で柄を創作する
2.柄の表面を空間の多い薄い布帛で覆う
3.布帛に柄を写し取る
4.3の作業を繰り返す
5.固着処理を行う
6.不要物を除去する。
以上の工程で糊流し染色布帛が多枚数得られた。
【色糊の調整】
【0009】
この技術では布帛に付着する色糊と残留する色糊とが速やかに分離することが重要である。その点で最も良いのが顔料プリントなどに使用するレジューサーである。従って、本発明に使用する糊はレジューサーを基本とする。他の糊は捺染時と同様に染料の種類に合わせて使用する。主な糊剤の種類はでんぷん系糊剤、海草系糊剤、セルロース系糊剤、加工でんぷん系糊剤、植物ガム系糊剤、合成糊剤などである。いずれも濃度を低くしたり、ハーフエマルジョン(レジューサーと捺染糊の混合糊)とする。
【柄の創作】
【0010】
柄の創作は従来どおりの色流しの手法と同様である。
すなわち、各色の色糊を台上にたらし、様々な用具で柄を創作する。櫛などで十字に混合したものが典型的なマーブル柄となる。
使用する用具で様々な柄となる。
【空間の多い薄い布帛で覆う】
【0011】
創作した柄を空間の多い薄い布帛で覆う。
本発明で使用する空間の多い薄い布帛は織物、ニット地、不織布などである。
中でも最も適するのがスクリーンプリント用の紗である。メッシュの種類も多く、色糊および写し取る布帛により、自由に選定できる。
60〜200メッシュのスクリーンが特に適する。
【布帛に柄を写し取る】
【0012】
空間の多い薄い布帛の上から染色したい布帛を載せ表面ににじみ出た柄を写し取り、乾燥させる。この作業を必要枚数まで繰り返す。
従来法では写し取った布帛には余分な色糊が多量に付着するので、乾燥が極めて困難であった。
本発明では表面ににじみ出た色糊だけが布帛に付着するため、乾燥も容易にできる。
【固着処理と不要物の除去】
【0013】
染料を固着させる方法は従来の捺染技術である。すなわち、蒸熱処理、アルカリ処理、乾熱処理である。
圧倒的に利用されるのが蒸熱処理であるが、本発明においてもほとんど蒸熱処理で行える。反応染料使用ではアルカリショック法を行えば蒸熱処理機を使用しなくてもできる。顔料の固着には乾熱処理を行う。
その後、必要に応じ水洗やソーピングを行い、不要物を除去する。
【柄入りスクリーンで覆う】
【0014】
スクリーン紗で柄を覆う際、柄入りのスクリーンで覆うと柄の部分だけの色糊が移し取れるので、目的の柄の糊流し染色が出来る。
【実施例1】
【0015】
1.酸性染料とレジューサーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を100メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.絹布やナイロン布に柄を写し取る。
5.4の作業をそれぞれの布に15回繰り返す
6.乾燥後、蒸熱処理を行い、染料を固着させる。
7.水洗を行う。
以上の工程で糊流し染色絹布およびナイロン布が各々15枚得られた。
【実施例2】
【0016】
1.反応染料とレジューサーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を120メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.綿布に柄を写し取る。
5.4の作業を20回繰り返す。
6.乾燥後、アルカリ液で引き染めを行い、染料を固着させる。
7.ソーピングを行う。
以上の工程で糊流し染色綿布が20枚得られた。
【実施例3】
【0017】
1.顔料とレジューサーおよびバインダーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を80メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.ポリエステル/綿の布に柄を写し取る。
5.4の作業を20回繰り返す
6.乾燥後、140度で5分熱処理を行い固着させる。
以上の工程で糊流し染色綿布が20枚得られた。
【実施例4】
【0018】
1.分散染料とアルギン酸ナトリウムとレジューサーで色糊を作成する。
2.1.の色糊で柄を創作する。
3.柄の表面を100メッシュのスクリーン用紗で覆う。
4.ポリエステル布に柄を写し取る。
5.4の作業を数十回繰り返す
6.乾燥後、130℃で蒸熱処理を行い染料を固着させる。
7.還元洗浄処理を行う。
以上の工程で糊流し染色ポリエステル布が数十枚得られた。
【実施例5】
【0019】
1.実施例1から4において、スクリーン紗を水玉の柄入りスクリーンを用いた。
2.其々の布に柄を写し取る。
3.2.の作業を20回繰り返す
4.固着処理を行う。
5.後処理を行う。
以上の工程で各々水玉模様の糊流し染色布が20枚得られた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.色糊で柄を創作する。
2.柄の表面を空間の多い薄い布帛で覆う。
3.布帛に柄を写し取る。
4.3の作業を繰り返す。
5.固着処理を行う。
6.不要物を除去する。
以上の工程による糊流し染色製造方法
【請求項2】
請求項1.の製造方法による糊流し染色布帛
【請求項3】
請求項1の2で柄入りのスクリーンで覆うとした柄入り糊流し染色製造方法
【請求項4】
請求項3の製造方法による柄入り糊流し染色布帛
【請求項1】
1.色糊で柄を創作する。
2.柄の表面を空間の多い薄い布帛で覆う。
3.布帛に柄を写し取る。
4.3の作業を繰り返す。
5.固着処理を行う。
6.不要物を除去する。
以上の工程による糊流し染色製造方法
【請求項2】
請求項1.の製造方法による糊流し染色布帛
【請求項3】
請求項1の2で柄入りのスクリーンで覆うとした柄入り糊流し染色製造方法
【請求項4】
請求項3の製造方法による柄入り糊流し染色布帛
【公開番号】特開2007−303052(P2007−303052A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157798(P2006−157798)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(500196537)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【出願人】(500196537)
【Fターム(参考)】
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