説明

糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形およびそれらの使用

本発明は経口固体投薬剤形に関する。固体投薬剤形は糖を含まず、そして薬剤および適当な製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる。好ましくは、本発明の固体投薬剤形は糖を含有する固体投薬剤形と生物学的同等性である。イオン化剤を、より好ましくは緩衝剤系の形態で、固体投薬剤形の中に該組成物の唾液中への溶解時に薬剤の一部をイオン化された状態に保つのに充分な量で導入することにより、生物学的同等性が好ましく得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経口薬物送達調剤に関する。特に、本発明は製薬学的に活性な物質の経口経粘膜(oral transmucosal)送達用の糖を含まない固体の製薬学的投薬剤形に関する。
【背景技術】
【0002】
固体の製薬学的投薬剤形は当該技術で既知である。他の投薬剤形と比べて、経口固体投薬剤形は最も好ましい投薬剤形でありそして市場では全ての製薬学的製品の80%を占めている。固体投薬剤形は、患者または患者管理者が確認し、取り扱いそして投与するのが容易である。それらは非侵襲性(non−invasive)でもありそして高い患者コンプライアンスを有する。
【0003】
固体投薬剤形は、例えば、胃腸(GI)管送達、坐薬(直腸、膣および尿道)送達並びに経口経粘膜送達を包含する薬品を送達する経路に基づき、数群にさらに分割されうる。市場にある固体投薬剤形の大多数は胃腸送達用に設計されている。GI送達はしばしばわかりやすく「経口送達」と称され、その理由は錠剤またはカプセル剤は最初に経口的に導入されそして飲み込まれるからである。しかしながら、このタイプの固体送達形態はGI管中に溶解するように設計され、そこで薬品の吸収が起きる。固体は一般的には坐薬、例えば弛緩剤、避妊剤および痔薬品、としても送達される。比較的少ない薬品調剤は、薬品を口粘膜を通して送達させることを意図する固体投薬剤形として設計される。
【0004】
他の送達方法の総合的評判にもかかわらず、経口経粘膜(OT)送達は特に有利な送達方式である。OT送達の利点の1つは、それが非侵襲性であることである。さらに、OT送達は一般的に例えば注射および移植の如き侵襲性工程より良好なコンプライアンス、より少ない感染危険性およびより低い価格を有する。それはまた、経口送達よりはるかに短い開始時間、すなわち治療効果までの時間、も有する。口粘膜を通して吸収される薬品は、薬品がCI管および肝臓中で代謝される初回通過代謝も回避するであろう。経口経粘膜送達は簡単でありそして患者管理者または患者により最少の不快感で投与することができる。
【0005】
粘膜組織を越える薬品の吸収はフィックの拡散の法則:
【0006】
【数1】

【0007】
に基づく表示を用いて記載することができ、ここでdAは時間dtにわたり送達される薬品の量であり、Dは経口経粘膜組織内の薬品の拡散係数であり、Kpは口粘膜組織と薬品溶解との間の薬品の送達係数であり、Sは口腔の表面積であり、hは口粘膜組織の厚さであり、そしてC1およびC2はそれぞれ吸収部位および血液中の薬品濃度である。
【0008】
経口経粘膜送達能力は大部分は薬品吸収用に利用できる表面積により限定される。口腔内の表面積は約200cm2であり、それは例えばGI管(350,000cm2)および皮膚(20,000cm2)の如き他の薬品送達経路の表面積と比べて比較的小さい。
【0009】
薬品と吸収表面との間の接触時間は主として固体単位の溶解速度により調節される。即時放出性固体単位が溶解すると、まだ吸収されていない薬品溶液は一般にその後の短時間にわたり飲み込まれ、それによりそれ以上のOT薬品吸収を終わらせる。そのような即時放出性の溶解可能な投薬剤形は一般的に「開放」送達系と指定される。固体薬用量単位は口腔内に種々の期間にわたり保たれるように設計することができる。一般的に、効果の急速開始のためには、指定された通りに使用される場合には、固体単位は口腔内に約10〜15分間にわたり保たれるように設計される。
【0010】
口腔独自の環境により代表される困難さの他に、薬品の物理化学的性質が経口経粘膜薬品送達に影響する課題や複雑さを示すことがありうる。主として、溶解度、溶解速度、および送達係数が口粘膜組織を介して薬品が送達されうる程度を決める。薬品および/または充填剤の溶解度が速度限定段階でありうる。溶解度および溶解速度が、薬品送達のための駆動力である濃度勾配を形成する際の重要な特徴である。他方で、送達係数は増強剤のように作用するため、ある点になるまで薬品送達速度は送達係数に正比例する。
【0011】
薬品を口粘膜組織を通して送達させるために種々の固体投薬剤形が使用されてきた。Reiner,et al.に対する特許文献1は薬品送達用のチューイングガムを開示している。Reinerのチューイングガム送達投薬剤形は主として、他のあまり普遍的でない投薬剤形とは反対に薬品をチューイングガム形態で自己投与するのにより向いている患者に指定される。ガムは種々の薬品成分の味を遮蔽するためにも使用することができる。Reinerはまた、薬品送達期間を延長するためのガムマトリックスの使用も開示している。
【0012】
薬品の経粘膜送達は、生物−接着剤により口粘膜に付着されるパッチの使用により行うこともできる。頬パッチ剤を用いる経口経粘膜送達はFlockhart,et al.に対する特許文献2に開示されている。頬パッチ剤は一般的に「閉鎖」送達系として設計され、すなわちパッチ剤中の環境条件は主として調剤により調節される。閉鎖送達系の使用は薬品送達を促進させて、例えばそうでなければ実用的ないかもしれない調剤中での増強剤または他の透過促進剤の使用を可能にする。
【0013】
例えばロゼンジ剤および錠剤の如き固体投薬剤形を薬剤の経口経粘膜送達用に使用することもできる。例えば、ニトログリセリン舌下錠は長年にわたり市販されていた。舌下錠は少量の有効なニトログリセリンを送達させ、それはほとんど即座に溶解しそして吸収されるように設計される。他方で、ほとんどのロゼンジ剤または錠剤は典型的には口内で少なくとも数分間にわたり溶解し、それがロゼンジ剤の延長溶解および薬品の吸収を可能にするように設計される。
【0014】
ロゼンジ剤または舌下錠の投与は一般的に「開放」送達系を利用し、そこでは薬品送達条件は周囲環境、例えば唾液分泌速度、唾液のpH、または調剤の調節の及ばない他の条件、により影響を受ける。
【0015】
経粘膜薬品送達のハンドル上ロゼンジ剤(lozenge−on−a−handle)投薬剤形はStanley et al.に対する特許文献3に開示されており、その開示は引用することにより全ての目的のために本発明の内容となる。非侵襲性であり且つ特に容易な送達方法を提供することの他に、ハンドル上ロゼンジ剤(または一体化された経口経粘膜アプリケーターを有するロゼンジ剤)投薬剤形は患者または患者管理者が投薬剤形を口の内外に動かして投与量を滴定することを可能にする。この実施法は有効投与と称され、そこでは患者または患者管理者は予期した治療効果が得られるまで投与量を調節する。これは、例えば疼痛、吐き気、動揺病、および麻酔前の準備投薬の如きある種の徴候にとって特に重要であり、その理由は各々の患者はこれらの徴候を処置するために異なる量の投薬を必要とするからである。これらのタイプの処置のためには、患者はどの程度の投薬で充分であるかを知る唯一の人間である。適量の薬品が送達されると、患者または患者管理者はハンドル上ロゼンジ剤を除去し、その結果として、薬品の送達を停止することができる。この特徴は特に有効な薬品にとっては特に重要であり、そのことにより所望する効果が得られたら薬品投与を終結させるという有意な利点ともなる。
【0016】
他の経口経粘膜固体投薬剤形はStanley e al.の特許文献4、特許文献5、特許文献6、および特許文献7、並びに特許文献8に記載されており、それらの開示は引用することにより全ての目的のために本発明の内容となる。これらの文献は、とりわけ、薬品を溶解可能な糖をベースとしたマトリックス中に含有する固体投薬剤形を製造するための方法を記載している。固体投薬剤形は、例えば、薬品を溶融糖ベースの中に混合し、そしてベースを硬いキャンディーに固化させることにより、または例えば薬品が内部に分散された圧縮可能な糖の如き粉末を圧縮することにより、製造することができる。これらの製品は大量の糖を含有するため、薬品の苦味または他の不快な味が遮蔽される。別の香味増強剤または他の甘味剤を加えて口当たりのよい製品を提供することもできる。
【0017】
ハンドル上ロゼンジ剤タイプの経口経粘膜固体投薬剤形の特に成功を収めた例は、米国および外国で数年間にわたり市販されているクエン酸フェンタニル(fetanyl)のアクチック(ACTIQ)(R)商標である。1つのアクチック(R)商標製品では、活性成分であるクエン酸フェンタニルが糖をベースとした賦形剤であるエムデックス(EMDEX)(R)(噴霧−結晶化されたマルトース−デキストロースステアリン酸マグネシウム多孔性球)に混入され、そして圧縮されてハンドルが固定された(a handle has been affixed)本質的に薬品を含有するロゼンジ剤である製品にする。この製品は破過疼痛(break−through pain)の調節用に認可されている。アクチック(R)は数種の強度で入手可能であり、そして製品を口粘膜表面上にこすりつける程度および投与期間を変えることにより患者は投与される薬品の量を調節できる。繰り返し使用により、患者は製品がそれらの疼痛を管理するためにどの位必要であるかを理解する。フェンタニルは非常に強力な麻酔薬であるため、アクチック(R)製品の製造業者はフェンタニルの濃度および各薬用量単位の溶解速度における均一性の一貫性を確実にすることが避けられない。
【0018】
しかしながら、アクチック(R)製品および多くの他の経口経粘膜固体投薬剤形の1つの特徴は、薬品が分散されるマトリックスを製造するために使用される賦形剤が糖をベースとすることである。糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形を提供することが望ましい。好ましくは、そのような投薬剤形は製品が糖を含まない(すなわち、1回の投与当たり0.5グラムより少ない糖)として分類されるFDA標識条件内に入るため、消費者は製品が糖尿病患者による使用に適しており、食事の糖を回避することが求められる人間および齲蝕性投薬剤形を避けることが求められる人間による使用に適することを認識しうるであろう。しかしながら、そのような投薬剤形は以上で論じたように患者により調節できる溶解速度、薬品安定性、および経口経粘膜送達への適合性により調節できる満足のいく溶解速度を示さなければならない。さらに、糖をベースとした製品に依存しておりそして所望する効果を得るために必要な患者が調節する予期可能な送達速度になれてきた使用者の集団がすでに存在する場合には、そのような糖を含まない製品が同様な生物学的利用率および/または生物学的同等性の特徴を示すことが重要である。本発明はこれらの特質を具体化する固体薬用量単位に関する。
【特許文献1】米国特許第5,711,961号明細書
【特許文献2】米国特許第5,298,256号明細書
【特許文献3】米国特許第4,671,953号明細書
【特許文献4】米国特許第5,132,114号明細書
【特許文献5】米国特許第5,288,497号明細書
【特許文献6】米国特許第5,855,908号明細書
【特許文献7】米国特許第5,785,989号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2002−0160043号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
1)より良好な患者の許容性のために全体的な甘味を下げ、2)虫歯の発生および/または可能性を減少させ、3)患者、特にタイプII糖尿病または減じられたグルコース抵抗性のある患者、に関する糖血応答を下げ、4)1日当たり複数の薬用量を摂取する患者に関するカロリー量を下げ、および/または5)オピオイド処置の悪影響としてしばしば経験される便秘症に対する利点としての有効な機能弛緩効果を与えるクエン酸フェンタニルの糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形に関する確たる要望がある。本発明はこれらの特質を具体化する固体薬用量単位に関する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の要旨
前記事項を考察すると、本発明は糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形に関する。1つの態様では、薬剤、イオン化剤、および製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる経口経粘膜固体形態を含んでなる製薬学的組成物であって、該組成物が実質的に糖を含まず且つ糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性でありそして唾液中への該投薬剤形の溶解時に該イオン化剤が該薬剤の一部をイオン化された状態に保つのに充分な量で存在する製薬学的組成物が提供される。
【0021】
本発明の別の態様は、薬剤、緩衝剤、および製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる経口経粘膜固体形態を含んでなる製薬学的組成物であって、該組成物が実質的に糖を含まず且つ糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性でありそして唾液中への該投薬剤形の溶解時に該緩衝剤が該薬剤の一部をイオン化された状態に保つのに充分な量で存在する製薬学的組成物に関する。
【0022】
本発明の別の態様は、イオン化可能な薬剤、緩衝剤、および製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる経口経粘膜固体形態を含んでなる製薬学的組成物であって、該組成物が実質的に糖を含まず且つ糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性(bioequivalent)でありそして唾液中への該投薬剤形の溶解時に該緩衝剤が該薬剤の一部をイオン化された状態に保つのに充分な量で存在する製薬学的組成物に関する。
【0023】
本発明の別の態様は、フェンタニル、またはその製薬学的に許容可能な塩形態、および製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなるフェンタニルの経口経粘膜送達用の糖を含まない製薬学的組成物であって、該糖を含まない組成物が経口経粘膜固体投薬剤形の形状であり、そして該経口経粘膜固体投薬剤形がフェンタニルを含有する糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性である製薬学的組成物に関する。
【0024】
本発明の別の態様は、クエン酸フェンタニルおよび製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなるクエン酸フェンタニルの経口経粘膜送達用の糖を含まない製薬学的組成物であって、該糖を含まない組成物が経口経粘膜固体投薬剤形の形状であり、そして該経口経粘膜固体投薬剤形がクエン酸フェンタニルを含有する糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性である製薬学的組成物に関する。
【0025】
本発明の別の態様は、本発明の経口経粘膜固体投薬剤形を含んでなる組成物を準備し、有効量の組成物を患者の口粘膜に投与し、そして該薬剤を患者の口粘膜組織を通す吸収により送達させることを含んでなる、患者に対する糖を含まない投薬剤形中の薬剤の経口経粘膜送達方法を提供する。
【0026】
本発明の別の態様は、イオン化可能な薬剤がフェンタニルまたはその製薬学的に許容可能な塩形態である治療的に有効な量の本発明に従う糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形を患者の口腔内に導入することを含んでなる疼痛の処置方法を提供する。好ましい態様では、疼痛は破過疼痛(breakthrough pain)、慢性疼痛、または片頭痛である。
【0027】
本発明のこれらのおよび他の目的並びに特徴は、以下の詳細な記述および添付された請求項でさらに完全に明らかになるであろう。
説明態様の詳細な記述
本出願は、組成物および経口経粘膜送達によるそれらの投与方法に関する。「経口経粘膜送達」は、口腔、咽頭腔または食道中の粘膜を越える薬剤の送達をさし、そして例えば薬品の吸収が腸内で起きる伝統的な経口送達と対比することができる。従って、薬剤が頬、舌下、歯肉、咽頭、および/または食道粘膜を通って吸収される投与方式は全て、その用語がここで使用される際には、「経口経粘膜送達」の中に包括される。好ましくは、経口経粘膜送達は患者の口腔に対する経口経粘膜固体投薬剤形の投与を含み、それは口腔内に保持されそして溶解し、それにより経口経粘膜送達用の薬剤を放出する。もちろん、固体投薬剤形は口腔内に溶解するので、薬剤を含有する唾液の一部は飲み込まれるかもしれず、そして薬品の一部は最終的には腸から吸収されるかもしれない。
【0028】
ここで使用される用語「経口経粘膜固体投薬剤形」は広義には、パッチ剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、パスチル剤、サシェ剤、舌下錠、ハンドル上ロゼンジ剤(ロリポップ剤とも称する)などを包含する経口経粘膜送達による薬剤の投与に適するいずれかの固体送達形態をさす。好ましい形態はパッチ剤、ロゼンジ剤、舌下錠、およびハンドル上ロゼンジ剤を包含する。特に好ましい形態はハンドル上ロゼンジ剤であり、そこでは固体投薬剤形はそれに固定されたハンドルを有する。固体投薬剤形は頬とゴムとの間に保たれるかまたは舌の上もしくは下に置かれ、或いはそれは患者もしくは患者管理者により口粘膜を越えて活発に舐められ、吸われ、またはこすられうる。好ましくは、破壊された片が次に実質的に溶解されるまで口内に保たれる限り、固体投薬剤形は砕かれたりまたは噛まれたりしない。
【0029】
頬の製薬学的組成物を使用すると、薬剤は患者の血液流内に注射によるものとほとんど同じほど急速にそして経口投与経路を用いるよりはるかに急速に導入させうるが、これらの送達方法の負の特徴を回避する。本発明は薬品を溶解可能なマトリックス物質の中に導入することによりこれらの利点を得る。本発明の範囲内の固体投薬剤形を使用して薬品を有効量方法(dose−to−effect manner)でまたは正確な所望する効果が得られるまで投与することができる。好ましい態様では、投薬剤形は所望する効果が得られたら患者の口からの容易な除去を可能にするためのそれに付着された適用具またはハンドルを有する。
【0030】
先行技術の経口経粘膜固体投薬剤形とは異なり、本発明の固体投薬剤形は糖を含まない。糖を含有する固体投薬剤形は一般的に大量の、例えば約50%より多い、または約90%より多い、糖または糖の混合物を含有する。ここで使用される用語「糖」は、当該技術で実験式(CH2O)nの水素化されない炭水化物としても知られる単糖類、二糖類、およびオリゴ糖類をさし、それらの例はグルコース、マンノース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、スクロース、レブロース、およびラクトースを包含する。用語「糖」はとりわけ、経口経粘膜送達により投与される時に齲蝕性であることもできおよび/または(例えば、加水分解もしくは発酵により)代謝されて齲蝕性である化合物になることもできる糖類である。本出願の目的のためには、用語「グルコース」および「デキストロース」は交換可能に使用することができる。用語「糖」は多価アルコール(時には「糖アルコール」または水素化された糖類と称する)、例えばソルビトール、マンニトール、キシリトール、およびエリトリトール、または多価アルコールの糖誘導体、例えばマルチトール、ラクチトール、イソマルト、およびポリアルジトールを包含しない。用語「糖」は、デンプンおよびセルロースを包含する複合炭水化物、例えばゴムおよび多糖類、またはそれらの誘導体、例えばヒドロキシエチルデンプンおよびカルボキシメチルセルロース、を包含しない。好ましくは、用語「糖」は非齲蝕性である単糖、二糖、およびオリゴ糖類を包含しない。
【0031】
用語「糖を含まない」は、以上で定義された「糖」をほとんど含まない組成物をさす。「ほとんど含まない」は、組成物が約40.0重量%より少ない糖を含有することを意味し、その用語は以上で定義されている。好ましくは、組成物は、乾燥重量基準で、約25重量%より少ない、より好ましくは約10重量%より少ない、糖を含有する。より好ましい態様では、用語「糖を含まない」は、以上で定義された「糖」を実質的に含まない組成物をさす。「実質的に含まない」は組成物が約5.0重量%より少ない糖を含有することを意味し、糖の用語は以上で定義された通りである。好ましくは、組成物は乾燥基準で約3重量%より少ない、より好ましくは約2重量%より少ない、そしてさらにより好ましくは約1重量%より少ない、糖を含有する。本発明の糖を含まない組成物は、固体投薬剤形が患者に経口経粘膜送達のために投与される時に、口腔内で糖に容易に転化されうる複合炭水化物および/または多糖類も(以上で定義されたように)実質的に含まない。
【0032】
しかしながら、前記のように、経口経粘膜固体投薬剤形は満足のいく患者が調節する溶解速度、薬品安定性、およびその他の経口経粘膜送達に適する事象を示すことが重要である。これらの基準に合致するために、薬剤を塊を与え且つ溶解速度の調節を助ける製薬学的に許容可能な賦形剤の中に分散させることが一般的に必要である。ここで使用される用語「製薬学的に許容可能な」は、組成物をここに記載された方法に従い経口経粘膜経路により投与する場合を包含する本発明の組成物中での使用時に一般的に患者に対して無毒であるかまたは無害である物質をさす。ここで使用される用語「患者」は哺乳動物を包含する動物、好ましくは人間、をさす。
【0033】
好ましくは、賦形剤は患者が製品を経口経粘膜送達用に使用するのを妨げるため固体投薬剤形に不快な味を与えないものである。この条件に合致するという理由のために、本発明の組成物中での使用に特に適する1つのタイプの製薬学的に許容可能な賦形剤は多価アルコールとして知られる種類の賦形剤である。特に、糖を含まないキャンディーの製造で普遍的に使用される多価アルコールが好ましい。例示多価アルコールは、例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、およびポリアルジトールを包含するが、それらに限定されず、そしてそのような多価アルコールの光学異性体および結晶形態のいずれも適切な糖を含まない代替品として使用することができる。好ましい多価アルコールはキシリトール、イソマルト、およびポリアルジトールを包含する。これらの多価アルコールを含有する種々の賦形剤は市販されており、そして当業者に広く知られている。それらの天然の甘味の他に、これらの賦形剤は非齲蝕性であるため、それらは特に適する。さらに、本発明の方法に従い摂取される場合には、それらは好ましくは例えば糖尿病患者において禁忌でありうる血液グルコースにおける増加をもたらさない。これらの多価アルコールは好ましくはカロリー減少代替品としても作用する。さらに、糖を含まないキャンディー、ロゼンジ剤、および他の固体投薬剤形の製造のためのこれらの多価アルコールの使用は既知であるため、当業者は本発明の経口経粘膜固体投薬剤形を製造するためにそのような賦形剤を使用することができる。
【0034】
以上で論じた多価アルコール賦形剤の他に、本発明の製薬学的組成物は重合体状化合物、複合炭水化物およびそれらの誘導体、並びに当業者に既知である他の物質を包含する他の充填剤および/または結合剤を、経口経粘膜固体投薬剤形が以上で示された「糖を含まない」の定義に依然として合致する限り、含有することができる。他の充填剤および/または結合剤の例はポリデキストロース、セルロース系エーテル、およびポリエチレングリコール(PEG)を包含するが、それらに限定されない。セルロース系エーテルの好ましい例はヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにそれらの誘導体および/または塩形態を包含するが、それらに限定されない。ポリエチレングリコールは平均分子量の等級によって市販されており、ポリエチレングリコールの好ましい例はPEG3350〜PEG20,000、より好ましくはPEG4000〜PEG8,000、具体的にはPEG3350、PEG4000およびPEG8000である。しばしば、市販の賦形剤は充填剤の混合物を含有する。例えば、市販の賦形剤は、例えばキシリトールおよび1.5%の充填剤であるカルボキシメチルセルロースよりなるキシリタブ(XYLITAB)(R)200、を賦形剤として使用することができる。
【0035】
本発明における使用に適する賦形剤は非齲蝕性の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、または多糖類も包含する。用語「非齲蝕性の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、または多糖類」は、経口経粘膜送達により投与される時に代謝されないかまたは最少にのみ代謝されて虫歯の発生をもたらす酸を口内で生成しない(すなわち、非齲蝕性である)糖化合物をさす。用語「最少に代謝されて口内で酸を生成する」は、非齲蝕性糖化合物の約10%より少ない、そしてより好ましくは約5%より少ない、量が経口経粘膜送達により投与される時に代謝されて虫歯の発生をもたらす酸を生成することを意味する。非齲蝕性多糖の例はポリデキストロースである。
【0036】
本発明の製薬学的組成物は薬剤も含有する。「薬剤」は、例えば患者における疾病の存在もしくは不存在の診断方法および/または患者における疾病の処置方法におけるような治療または診断性質である用途に関連して使用することができる物質をさす。ここで使用される「薬剤」は、インビボで生物学的効果を与えうる物質もさす。薬剤は中性であってもよくまたは正もしくは負に荷電されてもよい。適する薬剤の例は、とりわけ、診断剤、薬剤、薬品、合成有機分子、蛋白質、ペプチド、ビタミン、およびステロイドを包含する。
【0037】
好ましくは、薬剤は少なくとも1個のイオン化可能な官能基を含有する点で「イオン化可能」である。イオン化可能な官能基は酸性基または塩基性基であることができ、「酸性」および「塩基性」はブロンステッド−ローリーまたはルイス酸/塩基の意味で酸性または塩基性の性能をさす。酸性官能基は、適当な塩基により脱プロトン化されて対応するアニオン基(共役塩基)を生成する基、または電子対を受容可能な基である。塩基性官能基は、適当な酸によりプロトン化されて対応するアニオン基(共役酸)を生成する基、または電子対を供与可能な基である。もちろん、多くの適する薬剤は複数のイオン化可能な官能基を含有し、そして単一薬剤は1つもしくはそれ以上の酸性官能基並びに1つもしくはそれ以上の塩基性官能基を含有できる(例えば、両性イオン)。そのような薬剤も本発明の範囲内である。
【0038】
酸性官能基はカルボキシ酸類、イミドゾリジンジオン類、チアゾリジンジオン類、ピリミジントリオン類、ヒドロキシへテロ芳香族類、フェノール類、燐酸類、硫酸類、スルホン酸類、スルホンアミド類、アミノスルホン類、スルホニルウレア類、テトラゾール類およびチオール類を包含するが、それらに限定されない。特に扱いにくい専門用語を回避するために、酸性または塩基性であっても官能基は対応する遊離化合物を命名することにより照合される。例えば、官能基に関すると、技術的にはより正確な用語である「アミノスルホニル」よりむしろ用語「アミノスルホン」が使用される。この使用法は当該技術で普遍的であり、そして当業者により良く理解されている。
【0039】
塩基性官能基は、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、C−置換された芳香族アミン類、N−置換された芳香族アミン類、複素環式アミン類、C−置換された複素環式アミン類およびN−置換された複素環式アミン類を包含するが、それらに限定されない。芳香族アミン類および置換された芳香族アミンルイの例はアミン、N−メチルアニリンおよびp−トルイジンを包含するが、それらに限定されない。複素環式および置換された複素環式アミン類の例はピロール、ピラゾール、イミダゾール、インドール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、キノリン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、チアゾール、プリンおよびトリアゾールを包含するが、それらに限定されない。
【0040】
少なくとも1個のイオン化可能な酸性官能基を有するイオン化可能な薬剤の具体例は下記のものを包含するが、それらに限定されない:アセタゾールアミド(asetazolamide)、アセトヘキサミド(acetohexamide)、アクリバスチン(acrivastine)、アラトロフロキサシン(alatrofloxacin)、アルブテロール(albuterol)、アルクロフェナック(alclofenac)、アロキシプリン(aloxiprin)、アルプロスタジル(alprostadil)、アモジアクイン(amodiaquine)、アンフォテリシン(amphotericin)、アミロバルビタール(amylobarbital)、アスピリン(aspirin)、アトルバスタチン(atorvastatin)、アトバクオン(atovaquone)、バクロフェン(baclofen)、バルビタール(barbital)、ベナゼプリル(benazepril)、ベザフィブレート(bezafibrate)、ブロムフェナック(bromfenac)、ブメタニド(bumetanide)、ブトバルビタール(butobarbital)、カンデサルタン(candesartan)、カプサイシン(capsaicin)、カプトプリル(captopril)、セファゾリン(cefazolin)、セレコキシブ(celecoxib)、セファドリン(cephadrine)、セファレキシン(cephalexin)、セリバスタチン(cerivastatin)、セトリジン(cetrizine)、クロランブシル(chlorambucil)、クロロチアジド(chlorothiazide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、クロルタリドン(chlorthalidone)、シノキサシン(cinoxacin)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、クリノフィブレート(clinofibrate)、クロキサシリン(cloxacillin)、クロモグリケート(cromoglicate)、クロモリン(cromolyn)、ダントロレン(dantrolene)、ジクロロフェン(dichlorophen)、ジクロフェナク(diclofenac)、ジシクロキサシリン(dicloxacillin)、ジクマロール(dicumarol)、ジフルニサル(diflunisal)、ジメンヒドリネート(dimenhydrinate)、ジバルプロエックス(divalproex)、ドクセート(docusate)、ドロナビノール(dronabinol)、エノキシモン(enoximone)、エナラプリル(enalapril)、エノキサシン(enoxacin)、エンロフロキサシン(enrofloxacin)、エパルレスタット(epalrestat)、エポサルタン(eposartan)、必須脂肪酸(essential fatty acids)、エストラムスチン(estramustine)、エタクリン酸(ethacrynic acid)、エトトイン(ethotoin)、エトドラック(etodolac)、エトポシド(etoposide)、フェンブフェン(fenbufen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、フルコナゾール(fluconazole)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、フルバスタチン(fluvastatin)、フォシノプリル(fosinopril)、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、フマギリン(fumagillin)、フロセミド(furosemide)、ガバペンチン(gabapentin)、ゲンフィブロジル(gemfibrozil)、グリクラジド(gliclazide)、グリピジド(glipizide)、グリベンクラミド(glybenclamide)、グリブリド(glyburide)、グリメピリド(glimepiride)、グレパフォキサシン(grepafloxacin)、イブフェナック(ibufenac)、イブプロフェン(ibuprofen)、イミペネム(imipenem)、インドメタシン(indomethacin)、イルベサルタン(irbesartan)、イソトレチノイン(isotretinoin)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ケトロラック(ketorolac)、ラモトリギン(lamotrigine)、レボフロキサシン(levofloxacin)、リシノプリル(lisinopril)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、ロサルタン(losartan)、ロバスタチン(lovastatin)、メクロフェナミン酸(meclofenamic acid)、メフェナミン酸(mefenamic acid)、メサラミン(mesalamine)、メトトレキセート(methotrexate)、メトラゾン(metolazone)、モンテルカスト(montelukast)、ナリジキシン酸(nalidixic acid)、ナプロキセン(naproxen)、ナタマイシン(natamycin)、ニメスリド(nimesulide)、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)、非必須脂肪酸(non−essential fatty acids)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、ニスタチン(nystatin)、オフロキサシン(ofloxacin)、オキサシリン(oxacillin)、オキサプロジン(oxaprozin)、オキシフェンブタゾン(oxyphenbutazone)、ペニシリン類(penicillins)、ペントバルビタール(pentobarbital)、ペルフロキサシン(perfloxacin)、フェノバルビタール(phenobarbital)、フェニトイン(phenytoin)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ピロキシカム(piroxicam)、プラミペキソール(pramipexol)、プランルカスト(pranlukast)、プルラバスタチン(pravastatin)、プロベネシド(probenecid)、プロブコル(probucol)、プロポフォル(propofol)、プロピルチオウラシル(propylthiouracil)、キナプリル(quinapril)、ラベプラゾール(rabeprazole)、レパグリイド(repaglinide)、リファンピン(rifampin)、リファペンチン(rifapentine)、スパルフロキサシン(sparfloxacin)、スルファベンザミド(sulfabenzamide)、スルファセタミド(sulfacetamide)、スルファジアジン(sulfadiazine)、スルファドキシン(sulfadoxine)、スルファメラジン(sulfamerazine)、スルファメトキサゾール(sulfamethoxazole)、スルファフラゾール(sulfafurazole)、スルファピリジン(sulfapyridine)、スルファサラジン(sulfasalazine)、スリンダック(sulindac)、スルファサラジン(sulphasalazine)、スルチアメ(sulthiame)、テルミサルタン(telmisartan)、テニポシド(teniposide)、テルブタリン(terbutaline)、テトラヒドロカンアビノール(tetrahydrocannabinol)、チロフィバン(tirofiban)、トラザミド(tolazamide)、トルブタミド(tolbutamide)、トルカポン(tolcapone)、トルメチン(tolmetin)、トレチノイン(tretinoin)、トログリタゾン(troglitazone)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、ウンデセン酸(undecenoic acid)、ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid)、バルプロン酸(valproic acid)、バルサルタン(valsartan)、バンコマイシン(vancomycin)、ベルテポルフィン(verteporfin)、ビガバトリン(vigabatrin)、ビタミンK−S(II)およびザフィルルカスト(zafirlukast)。
【0041】
少なくとも1個のイオン化可能な塩基性官能基を有する適するイオン化可能な薬剤の具体例は下記のものを包含するが、それらに限定されない:アバカビル(abacavir)、アセブトロール(acebutolol)、アクリバスチン(acrivastine)、アラトロフロキサシン(alatrofloxacin)、アルブテロール(albuterol)、アルベンダゾール(albendazole)、アルフェタニル(alfentanil)、アルプラゾラム(alprazolam)、アルプレノロール(alprenolol)、アマンタジン(amantadine)、アミロリド(amiloride)、アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、アミオダロン(amiodarone)、アミトリプチリン(amitriptyline)、アンロジピン(amlodipine)、アモジアキン(amodiaquine)、アモキサピン(amoxapine)、アンフェタミン(amphetamine)、アンフォテリシン(amphotericin)、アンプレナビル(amprenavir)、アンリノン(amrinone)、アンサクリン(amsacrine)、アポモルフィン(apomorphine)、アステミゾール(astemizole)、アテノロール(atenolol)、アトロピン(atropine)、アザチオプリン(azathioprine)、アゼラスチン(azelastine)、アジスロマイシン(azithromycin)、バクロフェン(baclofen)、ベネタミン(benethamine)、ベニジピン(benidipine)、ベンズヘキソール(benzhexol)、ベンズニダゾール(benznidazole)、ベンズトロピン(benztropine)、ビペリデン(biperiden)、ビサコジル(bisacodyl)、ビサンスレン(bisanthrene)、ブロマゼパム(bromazepam)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ブロンペリドール(bromperidol)、ブロンフェニラミン(brompheniramine)、ブロチゾラム(brotizolam)、ブプロピオン(bupropion)、ブテナフィン(butenafine)、ブトコナゾール(butoconazole)、カンベンダゾール(cambendazole)、カンプトテシン(camptothecin)、カルビノキサミン(carbinoxamine)、セファドリン(cephadrine)、セファレキシン(cephalexin)、セトリジン(cetrizine)、シンナリジン(cinnarizine)、クロランブシル(chlorambucil)、クロルフェニラミン(chlorpheniramine)、クロルプログアニル(chlorproguanil)、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、クロルプロチキセン(chlorprothixene)、クロロキン(chloroquine)、シメチジン(cimetidine)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、シサプリド(cisapride)、シタロプラム(citalopram)、クラリスロマイシン(clarithromycin)、クレマスチン(clemastine)、クレミゾール(clemizole)、クレンブテロール(clenbuterol)、クロファジミン(clofazimine)、クロミフェン(clomiphene)、クロナゼパム(clonazepam)、クロピドグレル(clopidogrel)、クロザピン(clozapine)、クロチアゼパム(clotiazepam)、クロトリマゾール(clotrimazole)、コデイン(codeine)、シクリジン(cyclizine)、シプロヘプタジン(cyproheptadine)、ダカルバジン(dacarbazine)、ダロジピン(darodipine)、デコキネート(decoquinate)、デラビルジン(delavirdine)、デメクロ−シクリン(demeclo−cycline)、デキサンフェタミン(dexamphetamine)、デキスクロルフェニラミン(dexchlorpheniramine)、デキスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、ジアモルフィン(diamorphine)、ジアゼパム(diazepam)、ジエチルプロピオン(diethylpropion)、ジヒドロコデイン(dihydrocodeine)、ジヒドロエルゴタミン(dihydroergotamine)、ジルチアゼム(diltazem)、ジメンヒドリネート(dimenhydrinate)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、ジフェノキシレート(diphenoxylate)、ジフェニル−イミダゾール(diphenyl−imidazole)、ジフェニルピラリン(diphenylpyraline)、ジピリダモール(dipyridamole)、ジリスロマイシン(dirithromycin)、ジソピラミド(disopyramide)、ドラセトロン(dolasetron)、ドンペリドン(domperidone)、ドネペジル(donepezil)、ドキサゾシン(doxazosin)、ドキシシクリン(doxycycline)、ドロペリドール(droperidol)、エコナゾール(econazole)、エファビレンズ(efavirenz)、エリプチシン(ellipticine)、エナラプリル(enalapril)、エノキサシン(enoxacin)、エンロフロキサシン(enrofloxacin)、エペリソン(eperisone)、エフェドリン(ephedrine)、エルゴタミン(ergotamine)、エリスロマイシン(erythromycin)、エタンブトール(ethambutol)、エチオナイド(ethionamide)、エトプロパジン(ethopropazine)、エトペリドン(etoperidone)、ファモチジン(famotidine)、フェロジピン(felodipine)、フェンベンダゾール(fenbendazole)、フェンフルラミン(fenfluramine)、フェノルドパム(fenoldopam)、フェンタニル(fentanyl)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、フレカイニド(flecainide)、フルシトシン(flucytosine)、フルナリジン(flunarizine)、フルニトラゼパム(flunitrazepam)、フルオプロマジン(fluopromazine)、フルオキセチン(fluoxetine)、フルフェンチキソール(fluphenthixol)、デカン酸フルフェンチキソール(fluphenthixol decanoate)、フルフェナジン(fluphenazine)、デカン酸フルフェナジン(fluphenazine decanoate)、フルラゼパム(flurazepam)、フルリスロマイシン(flurithromycin)、フロバトリプタン(frovatriptan)、ガバペンチン(gabapentin)、グラニセトロン(granisetron)、グレパフロキサシン(grepafloxacin)、グアナベンズ(guanabenz)、ハロファントリン(halofantrine)、ハロペリドール(haloperidol)、ヒオスシアミン(hyoscyamine)、イミペネム(imipenem)、インジナビル(indinavir)、イリノテカン(irinotecan)、イソキサゾール(isoxazole)、イスラジピン(isradipine)、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール(ketoconazole)、ケトチフェン(ketotifen)、ラベタロール(labetalol)、ラミブジン(lamivudine)、ラモスプラゾール(lanosprazole)、レフルノイド(leflunomide)、レボフロキサシン(levofloxacin)、リシノプリル(lisinopril)、ロメフロキサシン(lomefloxacin)、ロペラミド(loperamide)、ロラタジン(loratadine)、ロラゼパム(lorazepam)、ロルメタゼパム(lormetazepam)、リスリド(lysuride)、メパクリン(mepacrine)、マプロチリン(maprotiline)、マジンドール(mazindol)、メベンダゾール(mebendazole)、メクリジン(meclizine)、メダゼパム(medazepam)、メフロキン(mefloquine)、メロニカム(melonicam)、メプタジノール(meptazinol)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、メサラミン(mesalamine)、メソリダジン(mesoridazine)、メトフォルミン(metformin)、メタドン(methadone)、メタクアロン(methaqualone)、メチルフェニデート(methylphenidate)、メチルフェノバルビタール(methylphenobarbital)、メチセルギド(methysergide)、メトクロプラミド(metoclopramide)、メトプロロール(metoprolol)、メトロニダゾール(metronidazole)、ミアンセリン(mianserin)、ミコナゾール(miconazole)、ミダゾラム(midazolam)、ミグリトール(miglitol)、ミノキシジル(minoxidil)、ミトマイシン類(mitomycins)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、モアフィニル(modafinil)、モリンドン(molindone)、モンテルカスト(montelukast)、モルフィン(morphine)、モキシフロキサシン(moxifloxacin)、ナドロール(nadolol)、ナルブフィン(nalbuphine)、ナラトリプタン(naratriptan)、ナタマイシン(natamycin)、ネファゾドン(nefazodone)、ネルフィナビル(nelfinavir)、ネビラピン(nevirapine)、ニカルジピン(nicardipine)、ニコチン(nicotine)、ニフェジピン(nifedipine)、ニモジピン(nimodipine)、ニモラゾール(nimorazole)、ニソルジピン(nisoldipine)、ニトラゼパム(nitrazepam)、ニトロフラゾン(nitrofurazone)、ニザチジン(nizatidine)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、ニスタチン(nystatin)、オフロキサシン(ofloxacin)、オランザピン(olanzapine)、オメプラゾール(omeprazole)、オンダンセトロン(ondansetron)、オミダゾール(omidazole)、オキサムニキン(oxamniquine)、オキサンテル(osantel)、オキサトミド(oxatomide)、オキサゼパム(oxazepam)、オキシフェンダゾール(oxfendazole)、オキシコナゾール(oxiconazole)、オキシプレノロール(oxprenolol)、オキシブチニン(oxybutynin)、オキシフェンシクリミン(oxyphencyclimine)、パロキセチン(paroxetine)、ペンタゾシン(pentazocine)、ペントキシフィリン(pentoxifylline)、ペルクロルペラジン(perchlorperazine)、ペルフォキサシン(perfloxacin)、ペルフェナジン(perphenazine)、フェンベンザミン(phenbenzamine)、フェニラミン(pheniramine)、フェノキシベンザミン(phenoxyben
zamine)、フェンテリミン(phentermine)、フィソスチグミン(physostigmine)、ピモジド(pimozide)、ピンドロール(pindolol)、ピゾチフェン(pizotifen)、プラミペキソール(pramipexol)、プランルカスト(pranlukast)、プラジクアンテル(praziquantel)、プラゾシン(prazosin)、プロカルバジン(procarbazine)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、プログアニル(proguanil)、プロプラノロール(propranolol)、プソイドエフェドリン(pseudophedrine)、ピランテル(pyrantel)、ピリメンタミン(pyrimethamine)、クエチアピン(quetiapine)、キニジン(quinidine)、キニン(quinine)、ラロキシフェン(raloxifene)、ラニチジン(ranitidine)、レミフェンタニル(remifentanil)、レパグリニド(repaglinide)、レセルピン(reserpine)、リコベンダゾール(ricobendazole)、リファブチン(rifabutin)、リファンピン(rifampin)、リファペンチン(rifapentine)、リマンタジン(rimantadine)、リスペリドン(risperidone)、リトナビル(ritonavir)、リザトリプタン(rizatriptan)、ロピニロール(ropinirole)、ロシグリタゾ(rosiglitazone)、ロキサチジン(roxatidine)、ロキシスロマイシン(roxithromycin)、サルブタモル(salbutamol)、サキナビル(saquinavir)、セレギリン(selegiline)、セルトラリン(sertraline)、シブトラミン(sibutramine)、シルデナフィル(sildenafil)、スパルフォキサシン(sparfloxacin)、スピラマイシン類(spiramycins)、スタブジン(stavudine)、スフェンタニル(sufentanil)、スルコナゾール(sulconazole)、スルファサラジン(sulphasalazine)、スルピリド(sulpiride)、スマトリプタン(sumatriptan)、タクリン(tacrine)、タモキシフェン(tamoxifen)、タンスロシン(tamsulosin)、テマゼパム(temazepam)、テラゾシン(tetrazosin)、テルビナフィン(terbinafine)、テルブタリン(terbutaline)、テルコナゾール(terconazole)、テルフェナジン(terfenadine)、テトラミソール(tetramisole)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チオグアニン(thioguanine)、チオリダジン(thioridazine)、チアガビン(tiagabine)、チクロピジン(ticlopidine)、チモロール(timolol)、チニダゾール(tinidazole)、チオコナゾール(tioconazole)、チロフィバン(tirofiban)、チザニジン(tizanidine)、トルテロジン(tolterodine)、トポテカン(topotecan)、トレミフェン(toremifene)、トラマドール(tramadol)、トラゾドン(trazodone)、トリアンテレン(triamterene)、トリアゾラム(triazolam)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、トリメトプリム(trimethoprim)、トリミプラミン(trimipramine)、トロメタミン(tromethamine)、トロピカミド(tropicamide)、トロバフロキサシン(trovafloxacin)、バンコマイシン(vancomycin)、ベンラファキシン(venlafaxine)、ビガバトリン(vigabatrin)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビノレルビン(vinorelbine)、ビタミンK5(vitamin K5)、ビタミンK6(vitamin K6)、ビタミンK7(vitamin K7)、ザフィルルカスト(zafirlukast)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、ゾルピデム(zolpidem)およびゾピクロン(zopiclone)。
【0042】
本発明は中枢神経系に影響を与える種々の薬品に対する特別な用途を有する。例えば、本発明はオピオイド作用物質(例えばフェンタニル、アルフェンタニル(alfentanil)、スフェンタニル(sufentanil)、ロフェンタニル(lofentanil)、およびカルフェンタニル(carfentanil))、オピオイド拮抗物質(例えばナロキソン(naloxone)およびナルブフィン(nalbuphine))、ブチロフェノン類(例えば、ドロペリドール(droperidol)およびハロペリドール(haloperidol))、ベンゾジアゼピン類(例えば、バリウム(valium)、ミダゾラム(midazolam)、トリアゾラム(triazolam)、オキサゾラム(oxazolam)、およびロラゼパム(lorazepam))、GABA刺激剤(例えば、エトミデート(etomidate))、バルビツレート類(例えば、チオペンタル(Thiopental)、メトヘキシタル(methohexital)、チアマゾール(thiamazol)、ペントバルビツール(pentobarbital)、およびヘキサバルビツール(hexabarbital))、ジ−イソプロピルフェノール薬品(例えば、ジプリバン(diprivan))、並びに他の中枢神経系−作用薬品、例えばレボドーパ(levodopa)、の投与において容易に利用することができる。他の薬品を本発明の範囲内で単独にまたは組み合わせて使用できることも認識されるであろう。表1は、本発明の投薬剤形中への導入に適するCNS−作用薬品の一部並びにこれらの薬品の特性の一部を挙げている。

表1

一般名 薬品種 投与量範囲
メトヘキシタル バルビツレート 10−500mg
ペントバルビタール バルビツレート 50−200mg
チアミラル バルビツレート 10−500mg
チオペンタル バルビツレート 50−500mg
フェンタニル オピオイド作用物質 0.05−5mg
アルフェンタニル オピオイド作用物質 0.5−50mg
スフェンタニル オピオイド作用物質 5−500μg
ロフェンタニル オピオイド作用物質 0.1−100μg
カルフェンタニル オピオイド作用物質 0.2−100μg
ナルブフィン オピオイド作用物質 1−50mg
ナロキソン オピオイド拮抗物質 0.05−5mg
ジアゼパム ベンゾジアゼピン 1−40mg
ロラゼパム ベンゾジアゼピン 1−4mg
ミダゾラム ベンゾジアゼピン 0.5−25mg
オキサゼパム ベンゾジアゼピン 5−40mg
トリアゾラム ベンゾジアゼピン 250−1000mg
ドロペリドール ブチロフェノン 1−20mg
ハロペリドール ブチロフェノン 0.5−10mg
プロパニジド 置換されたオイゲノール麻酔薬 1−10mg
エトミデート GABA刺激剤 5−60mg
プロポフォル 置換されたフェノール 3−50mg
ケタミン フェンシクリジン 5−300mg

心臓血管および腎臓血管系に対する効果を有する薬品を本発明の投薬剤形を使用して投与することもできる。そのような薬品の数例を表2に同定する。

表2

一般名 薬品種 投与量範囲
ブレチリウム 抗不整脈剤 50−500mg
カプトプリル ACE抑制剤 25−75mg
クロニジン 血圧降下剤 0.1−0.5mg
ドーパミン 腎臓血管 0.5−5mg
エナラプリル ACE抑制剤 5−15mg
エスモロール 血圧降下剤/狭心症 100−250mg
フロセミド 利尿剤 20−100mg
イソソルビド 狭心症 2.5−40mg
ラベトロール 血圧降下剤 100−400mg
リドカイン 抗不整脈剤 50−250mg
メトラゾン 利尿剤 5−50mg
メトプロロール 血圧降下剤 25−100mg
ナドロール 血圧降下剤 40−160mg
ニフェジピン 血圧降下剤/狭心症/血管拡張剤 10−40mg
ニトログリセリン 血圧降下剤/狭心症 0.4−1.0mg
ニトロプルッシド 血圧降下剤 10−50mg
プロプラノロール 血圧降下剤/狭心症 0.1−50mg

前記のものの他に、本発明の投薬剤形を使用して投与できる多くの他の薬品がある。そのような薬品の例は表3に同定されるものである。

表3

一般名 薬品種 投与量範囲
ベンズキナミド 鎮吐剤 25−100mg
メクリジン 鎮吐剤 25−100mg
メトクロプラミド 鎮吐剤 5−20mg
プロクロルペラジン 鎮吐剤 5−25mg
トリメトベンズアミド 鎮吐剤 100−2500mg
クロトリマゾール 抗真菌剤 10−20mg
ニスタチン 抗真菌剤 1−5×106単位
カルビドーパ レボドーパと共に抗パーキンソン剤 10−50mg
レボドーパ 抗パーキンソン剤 100−750mg
スクラルフェート gi保護剤 1−2グラム
アルブテロール 気管支拡張剤 0.8−1.6mg
アミノフィリン 気管支拡張剤 100−500mg
ベクロメタソン 気管支拡張剤 20−50μg
ジフィリン 気管支拡張剤 100−400mg
エピンフリン 気管支拡張剤 200−500μg
フルニソリド 気管支拡張剤 25−50μg
イソエタリン 気管支拡張剤 170−680μg
イソプロテレノールhcl 気管支拡張剤 60−260μg
メタプロテレノール 気管支拡張剤 0.65−10mg
オキシトリフィリン 気管支拡張剤 50−400mg
テルブタリン 気管支拡張剤 2.5−10mg
テオフィリン 気管支拡張剤 50−400mg
エルゴタミン 抗片頭痛剤 2−4mg
メチセルギド 抗片頭痛剤 2−4mg
プロプラノロール 抗片頭痛剤 80−160mg
スロクチジル 抗片頭痛剤 200−300mg
エルゴノビン 子宮収縮剤 0.2−0.6mg
オキシトシン 子宮収縮剤 5−20単位
酢酸デスモプレッシン 抗利尿剤 10−50μg
リプレッシン 抗利尿剤 7−14μg
バソプレッシン 抗利尿剤 2.5−60単位
インスリン 抗高血糖症剤 1−100単位

上記の薬品の他に、ある種の高分子量薬品(例えば、β−エンドルフィン、エンケファリン類、ブダジキニン、アンギオテンシンI、性腺刺激ホルモン類、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、カルシトニン、甲状腺旁ホルモン、および成長ホルモン)、多糖類(例えばヘパリンおよび低分子量ヘパリン)、抗原、抗体、並びに酵素を本発明の範囲内の経粘膜投与に採用することができる。
【0043】
薬品を本発明の範囲内の溶解可能なマトリックスの中に導入する場合には、薬品の使用量はより伝統的な注射および経口投与技術で使用される量とは一般的に異なる。薬品の性質、その効力、溶解度、透過増強剤の使用、および薬品の最終用途によって、典型的な投薬剤形中の薬品の濃度は注射で典型的に使用される薬品の量の50倍までを含有できるが、それは経口的に使用される量より有意に少ない量を含有することもでき、そしてそれはある種の筋肉内注射で使用される量より少ない量を含有することもできる。例示目的のために、表1、2、および3は典型的に使用できるある種の薬品の薬用量のここに意図する範囲を示す。
【0044】
しかしながら、上記のように、先行技術の糖をベースとした経口経粘膜固体投薬剤形を用いる患者はすでにそのような製品から得られうる開始速度および薬品効力に慣らされている。薬品が中枢神経系に有効な影響を与える場合には、例えば、過剰薬用量を生じさせないように、糖を含まない固体投薬剤形が慣れてきた糖を含有する固体投薬剤形と同様な生物学的利用率および/または生物学的同等性プロフィルを糖を含まない投薬剤形が有することが重要でありうる。それ故、本発明の糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形が糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性であることが好ましい。ここで使用される「生物学的同等性」は本発明の販売許可を求めている国々における個別の国内規制省庁により適用される標準をさす。例えば、本発明の組成物が米国において生物学的同等性であるためには、本発明の組成物は米国食品医薬品局により21CFR320.1で定義された生物学的同等性の定義に合致しなければならない。同様に、2種の患者または対象動物に対して同様な実験条件下で同一モル投与量で投与される時に投薬剤形中に存在する薬剤吸収の速度および程度が有意に異ならない場合には、固体投薬剤形は生物学的同等性であると考えられる。
【0045】
薬品作用部位における薬剤の有効性を包含する薬剤吸収の速度および程度を評価する方法は当業者に既知である。代表的な方法は、薬品投与後の種々の時点において血液中の薬品濃度を測定しそして次に得られた値を時間経過にわたり積分して薬品濃度対時間曲線下の合計領域(AUC)を生ずることを含む。AUC測定は薬品のバイオアビリティーの直接測定である。この評価は投与後の血液中で得られる最大薬品濃度(すなわち、Cmax)およびその最大濃度を得るための平均時間(すなわち、tmax)も測定可能にする。薬物動力学的パラメーターであるCmaxおよびAUCを2種の製品に関して、そしてより好ましくはCmax、AUC、およびtmaxを2種の製品に関して比較する平均比が、90%信頼区間(CI)で、それぞれ0.8および1.25に入る場合には、2種の固体投薬剤形中の薬剤吸収の速度および程度は「有意に異ならない」と考えられそして2種の形態は生物学的同等性であると考えられる。
【0046】
本発明の製薬学的組成物が糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性であるかどうかを測定する1つの方法は、本発明の製薬学的組成物の薬物動力学的パラメーターであるCmax、AUC、およびtmaxを製品パッケージに挿入されている公表データである糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形の認可市販製品のCmax、AUC、およびtmaxと比較することである。例えば、アクチック(R)(クエン酸フェンタニルの糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形)用のパッケージ挿入物は4種の治療単位薬用量に関する薬物動力学的パラメーターであるCmax、AUC、およびtmaxを開示している。認可された薬用量のリストは、それらの薬物動力学的パラメーターであるCmax、AUC、およびtmaxと一緒に、以下の表4に示される。

表4

薬物動力学的パラメーター 200μg 400μg 800μg 1600μg
max(ng/ml) 0.39 0.75 1.55 2.51
AUC(ng/ml 分) 102 243 573 1026
max(分) 40 25 25 20

それ故、クエン酸フェンタニルを含有する本発明の製薬学的組成物は、患者または対象動物に対して同様な実験条件下で投与される時にそれぞれの薬物動力学的パラメーターが、90%信頼区間(CI)で、0.8〜1.25内にある場合には、アクチック(R)の単一投薬剤形と生物学的同等性であると考えられるであろう。
【0047】
しかしながら、糖を含まない経口経粘膜投薬剤形は糖を含有する経口経粘膜投薬剤形と生物学的同等性でないことが見出された。これは異なる調剤中に存在する種々の物理的および化学的要素から生じうる。例えば、同等強度のスクロース−グルコース経口経粘膜クエン酸フェンタニル固体投薬剤形をソルビトールをベースとした(すなわち、糖を含まない)経口経粘膜クエン酸フェンタニル固体投薬剤形と比べる試験では、CmaxおよびAUCは糖を含まない固体投薬剤形に関してははるかに高くそしてtmaxは糖を含まない調剤に関して有意に短いと測定された。Lind,GH,et al.の“フェンタニル吸収は経口経粘膜クエン酸フェンタニルの糖マトリックス調剤により影響される”,Anesthesiology,38,September,1995(Abstract 299)参照。それ故、2種の調剤は生物学的同等性でなく、そして糖を含まない固体投薬剤形による糖を含有するものの代替には過剰薬用量の危険性が伴われるであろう。
【0048】
以上で論じたように、経口経粘膜固体投薬剤形からの薬剤の吸収速度およびその結果としてバイオアビリディーに対して種々の要素が影響を与える。従って、調剤を調節して2種の製品間で生物学的同等性を得るために種々の方法を使用することができる。本発明で使用される糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形に対する生物学的同等性を得るための好ましい方法は、イオン化剤を糖を含まない組成物中に導入することを含む。ほとんどの薬品は弱酸または弱塩基でありそして溶液中にイオン化されなかったおよびイオン化された形態の両者であることは既知である。薬品のイオン化されなかった部分は普通は脂質可溶性がより大きく且つ細胞膜を越えてより容易に拡散することが見出された。薬品の一部のイオン化は、イオン化された分子上の正または負の電荷の結果として、その脂質溶解度を減じ、そして薬品が細胞の脂質膜に浸透するかまたは細胞膜を越える能力を減少させる。
【0049】
イオン化されたまたはイオン化されなかった(非イオン化された)形態中に薬品が存在するかどうかは、そのpKaに、そして対応してそれが分散される溶液のpHに、大きく依存する。pKaは解離定数(Ka)の負の対数(基準10)として定義される。pKaは一定の酸または塩基が50%イオン化されそして50%非イオン化されるpHとしても定義される。pKaおよびpHが既知である場合には、既知のヘンダーソン−ハッセルバルク(Henderson−Hasselbalch)式を用いて、薬品の荷電されたおよび荷電されなかった種の濃度を容易に計算することができる。この式から、より酸性度の大きいpHを保つイオン化剤の添加がイオン化された形態中に存在する塩基性薬品の部分を増加させ、それが経口経粘膜吸収におけるそしてその結果として生物学的利用率における減少をもたらしうることは明らかである。逆に、より塩基性度の大きいpHを保つイオン化剤の添加は酸性薬品のイオン化された部分を増加させるであろう。
【0050】
イオン化剤はブロンステッド−ローリーの意味ではイオン化可能な薬剤のイオン化可能な官能基をプロトン化もしくは脱プロトン化可能なまたはルイスの意味では電子対を受容もしくは供与可能な製薬学的に許容可能な酸または塩基でありうるが、ルイス酸および塩基も適するイオン化剤である。
【0051】
薬剤の酸性官能基を脱プロトン化するイオン化剤は製薬学的に許容可能な有機または無機塩基を包含する。そのような塩基の例は、アミノ酸類、アミノ酸エステル類、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、珪酸マグネシウムアルミニウム、合成珪酸アルミニウム、合成ヒドロタルク石、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、などを包含する。製薬学的に許容可能な酸、例えば酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸類、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸類、蟻酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸など、の塩である塩基も適する。ポリプロトン酸の塩類、例えば燐酸ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、および燐酸二水素ナトリウム、を使用することもできる。塩基が塩である場合には、カチオンはいずれかの簡便で且つ製薬学的に許容可能なカチオン、例えばアンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属などでありうる。好ましいカチオンはナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウムおよびアンモニウムを包含する。
【0052】
薬剤の塩基性官能基をプロトン化するイオン化剤は製薬学的に許容可能な無機または有機酸類である。適する無機酸類は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、燐酸、などを包含する。適する有機酸類の例は、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸類、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸類、蟻酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラ−ブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、尿酸などを包含する。もちろん、無機および有機酸類の間の区別は特に重要でないが、酸類を分類するための簡便且つ普遍的な方法として単に提供される。
【0053】
例えば以上で論じたようなpHにおける変化は好ましくは、特定の緩衝系を糖を含まない組成物の中に経口経粘膜固体投薬剤形の溶解時に薬剤の一部をイオン化された状態に保つのに充分な量で導入することにより、行われる。この方法で、固体投薬剤形は周囲環境の条件、例えば唾液分泌速度、唾液のpH、および他の要素、の影響をある程度まで克服することができる。適する緩衝系は、所望する緩衝能力およびpH範囲を有する緩衝剤を製造するために異なる割合で組み合わせうる生理学的に許容可能な有機および無機の酸類および塩基類を含んでなることができる。最適な系およびpH範囲は薬品の性質(酸または塩基)および他の調剤成分との相容性に依存するであろう。緩衝剤は、それらが調剤中のある種の感覚刺激性、例えば味(すなわち、塩味、甘味、すっぱ味、中性など)、を付与、増強または遮蔽する能力に基づいて選択することができる。例示緩衝剤のリストを、それらの適するpH範囲と一緒に、以下の表5に示す。

表5

緩衝剤成分 pH範囲
クエン酸−水酸化ナトリウム 2.5−6.5
クエン酸−燐酸水素二ナトリウム 2.5−7
クエン酸−クエン酸ナトリウム 3−6.5
酢酸ナトリウム−酢酸 3.5−5.5
琥珀酸−水酸化ナトリウム 3.5−6
燐酸二水素カリウム−燐酸水素二ナトリウム 5−8
マレイン酸二ナトリウム塩−塩酸 5.5−6.7
燐酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム 5.8−8
燐酸二水素ナトリウム−燐酸水素二ナトリウム 5.8−8
イミダゾール−塩酸 6.5−7.5
マレイン酸トリス酸−水酸化ナトリウム 5−9

しかしながら、イオン化可能な薬剤の溶解度もpH依存性である。イオン化された部分の増加は薬剤が細胞膜を越えるのをより容易にするが、それはしばしば水溶液中の薬品の溶解度も増加させる。例えば、約8.4のpKaを有するイオン化可能な薬剤であるフェンタニルの水溶解度が6より高いpHに急に低下して、約8における経口経粘膜送達に関する機能低点に達する。経口経粘膜送達されるフェンタニルの生物学的利用率はpH6.5と比べてpH5では、そのpHにおける薬品の広範囲のイオン化の結果として、15%程度の低い値に低下することも示された。それ故、特定pHにおけるフェンタニル調剤の実際の生物学的利用率はこれらの2つの効果であるイオン化状態および水溶解度に依存する。
【0054】
薬剤、賦形剤、およびイオン化用化合物、例えば緩衝剤、の他に、本発明の糖を含まない組成物は随意成分、例えば香味剤、甘味剤、香味増強剤、放出剤または潤滑剤、および透過増強剤、も含有できる。これらの不活性成分の全ては好ましくは、それらが確実に製薬学的に許容可能となるように、GRASリスト(「一般的に安全であるとみなされる」)にあるものであるべきである。或いは、不活性成分は自己宣言されたGRASであるかまたは少なくとも食品中で許容可能であるべきである。
【0055】
pHの変化も薬品の味を変えうることは認識されるであろう。pHが非常に高い薬品は典型的には非常に苦味がある。pHが低下するにつれて、味は苦くなくなるが、すると塩味となり、そして実際にはすっぱくなりうる。香味剤はより低いpH範囲内の薬品の味特性をさらに適切に改良しうる。その結果、生物学的利用率を与える他に、pHの緩衝は組成物の味特性にも影響を与えうる。
【0056】
それにもかかわらず、香味剤を本発明の組成物に加えることが望まれることがある。広範囲の香料を本発明の範囲内の良好な味のそして望ましい薬品を製造するために利用可能である。これらは薬品の不快な味を遮蔽するために必要でありうる。香味剤は、所望するなら、特定の薬品と相容性である特定の香料混合物を製造するために、組み合わせることができる。本発明の文脈で使用できる菓子香味剤の一部は、人工バニラ、バニラクリーム、ミント、ベリー、チェリー、スペアミント、グレープ、ココナツ、チョコレート、メントール、甘草、レモン、およびバタースコッチを包含する。これらの香味剤の各々は濃縮粉末形態で得られうる。噴霧乾燥により製造される香味剤が最も好ましい。菓子業界で既知である他の香味剤も、本発明の成分と組み合わせる容易さのために、許容可能である。いずれの香味剤でもいずれかの所望する比で組み合わせて特定用途に必要な具体的な所望する味特性を生じうる。例えば、特定薬品の香料特性と相容性にするために、香料の組み合わせを変えることができる。
【0057】
最終製品に所望する色を与えるために、人工着色剤を組成物に加えることもできる。上記の香味剤は、他の主成分がそうであるように、一般的に白色粉末である。従って、着色された最終製品が望まれる場合には、追加の着色が必要である。特定のハンドル上ロゼンジ剤の中に含有される薬品のタイプおよび濃度を指定するコードとして着色を行うこともできる。「一般的に安全とみなされる」(「GRAS」)であるとして知られており、そしてそのために菓子業界で一般的に使用されるか、または製薬学的調剤中での使用のために適切な規制権威により認可されたタイプの色を使用して製品を着色することができる。
【0058】
良い味の薬品を与えるためには、追加の甘味剤を組成物に加えることが必要でありうる。組成物は糖を含まないため、人工甘味剤、例えばアスパラターメ(aspartame)、アセスルファーメK(acesulfame K)、サッカリン、スクラロース(sucralose)、アルチターメ(altitame)、シクラミン酸およびその塩類、グリセルリジネート(glycerrhizinate)、ジヒドロチャルコン類(dihydrochalcones)、タウマチン(thaumatin)、モネリン(monellin)、または他の非齲蝕性の糖を含まない甘味剤を、単独でまたは組み合わせて、使用することができる。糖アルコールをベースとした賦形剤を含有する組成物に関しては、これらの多価アルコールの天然の甘味のために、追加の甘味剤は必要でないことがある。また、良い味の固体投薬剤形を製造するために薬剤および他の成分と相容性である甘味剤または甘味剤の組み合わせを得ることが望ましい。
【0059】
一部の用途のためには、香料増強剤を組成物に加えて良い味の製品を得ることが望ましい。香料増強剤は経口経粘膜投与中に患者の口内でより快い感覚を与える。本発明の範囲内の香料増強剤は、例えばリボタイド(ヌクレオチド)およびグルタミン酸一ナトリウム(「msg」)の如き物質を包含する。他の香料増強剤は当業者に既知である。
【0060】
ある種の用途では、潤滑剤を加えて製造工程を促進させることも望ましい。そのような剤はある程度の防水性も与える。患者の口内での固体投薬剤形の溶解速度は化学的に並びに物理的に、例えば、(製品が圧縮粉末状の固体投薬剤形である場合には)組成物の圧縮度により、調節することができる。これらの潤滑剤または放出剤は、例えばコンプリトール(compritol)888、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸ナトリウムの如き物質を包含しうる。これらの剤は溶解を増強することができ、またはそれらは必要に応じて溶解を抑制することができる。
【0061】
以上で論じたように、ほとんどの薬品はイオン化されなかったおよびイオン化された形態の両者で溶液中に存在する。一般的に、脂質可溶性または親脂質性薬品は粘膜を越えて容易に拡散する。しかしながら、粘膜が透過増強剤で処理される場合には非親脂質性薬品が粘膜を越えて拡散しうることが見出された。ある種の透過増強剤は親脂質性および非親脂質性薬品の透過性を有意に増強させうる。
【0062】
代表的な透過増強剤は、胆汁塩類、例えばコール酸ナトリウム、グルコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコレート、デオキシコール酸ナトリウム、ケノコール酸リトコール酸ナトリウム、ケノデオキシコレート、ウルソコレート、ウルソデオキシコレート、ヒドロデオキシコレート、デヒドロコレート、グリコケノコレート、タウロケノコレート、およびタウロケノデオキシコレート、を包含しうる。他の透過増強剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(「SDS」)、ジメチルスルヒキシド(「SMSO」)、ラウリル硫酸ナトリウム、飽和および不飽和脂肪酸の塩および他の誘導体、界面活性剤、胆汁塩同族体、胆汁塩の誘導体、または引用することによりその内容が本発明の内容となる米国特許第4,746,508号明細書に記載されているような合成透過増強剤、を使用することもできる。胆汁塩は親水性薬品用の良好な増強剤であり、そして長鎖脂肪酸、それらの塩、誘導体および同族体が親脂質性薬品用により適すると一般的に信じられている。DMSO、SDS、中鎖脂肪酸(約C−8〜約C−14)、それらの塩、誘導体および同族体は、親水性および親脂質性薬品用に作用しうる。
【0063】
溶解可能なマトリックス物質内の透過増強剤濃度は、増強剤の効力および溶解可能なマトリックスの溶解速度に依存して変動しうる。増強剤濃度を決めるための他の基準は薬品の効力および所望する遅延時間を包含する。増強剤濃度に関する上限は毒性影響または粘膜の刺激限度により設定される。
【0064】
以下のものが代表的な増強剤のリストおよび各増強剤に関する例示濃度範囲である:

表6

増強剤 操作濃度 好ましい範囲
コール酸ナトリウム 0.02%−50% 0.1%−16%
ドデシル硫酸ナトリウム 0.02%−50% 0.1%−2%
デオキシコール酸ナトリウム 0.02%−50% 0.1%−16%
タウロデオキシコレート 0.02%−溶解度 0.1%−16%
グリコール酸ナトリウム 0.02%−溶解度 0.1%−16%
タウロコール酸ナトリウム 0.02%−溶解度 0.1%−16%
DMSO 0.02%−溶解度 5%−50%

本発明の糖を含まない固体投薬剤形は、当業者に既知である、投薬されるロゼンジ剤、トローチ剤、錠剤、咳止めドロップ剤などを製造するための方法を包含する広範囲の方法により製造することができる。そのような方法は以下のものを包含する。
【0065】
乾燥粉末配合:(潤滑剤以外の)乾燥成分を一緒にしそして適当な低剪断拡散タイプミキサーを用いて充分な時間にわたり混合する。潤滑剤を加え、引き続き短時間にわたり再混合し、そして最終的粉末配合物を錠剤プレスを用いて圧縮して固体薬用量単位にする。
【0066】
或いは、(潤滑剤以外の)乾燥成分を一緒にしそして最終配合物中への成分の均一な分散液を得るのに充分な時間にわたり連続的に混合し、引き続きプレスを用いて圧縮して固体薬用量単位にする。連続的混合の例は数列的希釈である。
【0067】
或いは、混合の順序は全成分を一緒にする段階と数列的希釈との間のどこかである。例えば、活性成分を一緒にしそして(潤滑剤以外の)乾燥成分を粉末配合物中の活性成分の均一な分散を得るのに充分な時間にわたり互いに一緒にし、引き続き残りの成分の一部または全てを一度にまたは連続的方法で加える。それ故、活性成分は全ての残りの成分の添加前に1種の不活性成分の中に予備配合される。最終的粉末配合物を次にプレスを用いて固体薬用量単位に圧縮する。
【0068】
湿潤製粒:薬品、充填剤および他の成分、並びに液体媒体を高剪断混合で一緒にして、均一ペーストを生成する。ペーストを乾燥し、そして粉砕し且つ寸法分類して造粒体を形成し、それを次に当業者に既知である方法および装置を用いて固体投薬剤形に形成する。
【0069】
共溶融物または固体分散液:熱安定性調剤用に、適当な融点を有する成分を一緒にしそして加熱して、液体媒体中の固体の溶液または微細分散液を生じ、それは冷却時に均一な固体を形成する。生じた固体はしばしば共溶融物、固溶体および固体分散液と称される。これらの中間生成物を次に、適当な寸法の粒子に切断、粉砕または固めそして圧縮するか、或いは使用する成分によっては例えば引用することによりその開示が全ての目的のために本発明の内容となるSnipesの米国特許第4,629,621号明細書に記載されているように射出成形により成型して固体薬用量単位にすることができる。
【0070】
乾燥粉末配合物の直接圧縮以外の錠剤製造方法は糖を含まない製薬学的組成物の製造用に使用することができる。それらは1)乾式顆粒圧縮もしくはローラー固めまたは当業者に既知である同様な方法により行われる乾燥製粒、2)流動床処理装置を用いる低水分補充また湿潤製粒および乾燥、その後の当業者に既知であるユニット方法を用いる寸法分類および圧縮、並びに3)流動床方法を用いる担体成分上の活性成分の粒子コーティング、その後の他の調剤成分の配合および錠剤プレスまたは他の適当な手段を用いる固体投薬剤形の製造を包含するが、それらに限定されない。
【0071】
固体経口経粘膜投薬剤形の好ましい製造方法は、引用することによりその開示が全ての目的のために本発明の内容となる両者ともStanley,et al.,に対する米国特許第4,863,737号明細書および第5,132,114号明細書に記載されている。
【0072】
上記のStanleyの特許は、圧縮粉末状の経口経粘膜固体投薬剤形の製造方法を記載している。ここで使用される用語「圧縮粉末状の経口経粘膜固体投薬剤形」は、例えば薬剤、賦形剤、イオン化用化合物または緩衝剤の如き成分、並びに他の成分を乾燥形態で一緒に混合して粉末状配合物を製造し、それを引き続き圧縮して患者に対する経口経粘膜送達に適する固体投薬剤形を形成するような固体投薬剤形をさす。これは薬剤が例えばその融点より高い温度に加熱されているかまたはそうでなくて溶解されている液体形態である賦形剤の中に分散されておりそして液体配合物が引き続き自然に硬化して固体投薬剤形になる他の固体投薬剤形と区別すべきである。この後者の方法に従い製造される固体投薬剤形は硬いキャンディー状の経口経粘膜固体投薬剤形としてここでは好ましい。
【0073】
糖を含有する硬いキャンディー状の経口経粘膜投薬剤形用の代表的な製造方法は下記の段階よりなる:
1.加熱された容器中で固体スクロースを液体デキストロースの中に溶解させる。
2.熱安定性薬品を固体状または溶液状で加え、そして液化された糖の中に分散させる。
3.混合物を撹拌しそして加熱して過剰の水を追い出し、そして混合物を約150℃にする。
4.真空を熱い粘着性混合物に適用して追加の水を除去しそしてそれを硬質−破砕段階に戻す(加熱処理された混合物は急速に冷却される時に硬いガラス状の固体になる)。
5.追加成分、例えば緩衝剤、香料および着色剤、を溶融物体の中に加えそして混合する。
6.熱い溶融物質を分散させそして適当な形状および寸法の薬用量単位に成型する。ハンドルが望まれる場合には、それは一般的にはこの物質の中にこの段階で挿入される。
7.成型された薬用量単位を放冷しそして次に包装する。
この方法は、劣化なしに方法を完了させるのに必要な長さの時間にわたる高温に対する露出に耐えうる成分に適しており、従って熱変性薬品または賦形剤を用いる用途には適さない。
【0074】
固体投薬剤形を製造するためにどの製造方法が使用されるかにかかわらず、特定バッチ中で製造される個々の固体投薬剤形間では変動が最少になるように、薬剤を賦形剤中に均一に分散させることが重要である。それ故、同一バッチからの2種の固体投薬剤形中に存在する薬剤の実際の量が統計学的に異ならないことが好ましい。換言すると、同一バッチからの2種の固体投薬剤形中に存在する薬剤の比が約0.8〜約1.25、より好ましくは約0.85〜約1.15、さらに好ましくは約0.9〜約1.1、そしてさらにより好ましくは0.95〜約1.05であることが好ましい。同一バッチからの2種の固体投薬剤形間の変動度が固体経口投薬剤形に関する公式一覧許容基準に合致することも好ましい。
【0075】
本発明の好ましい固体投薬剤形では、薬剤は乾燥基準で好ましくは約0.0005〜約50重量%の量で、より好ましくは約0.005〜約10重量%の量で、そしてさらに好ましくは約0.005〜約1重量%の量で、存在する。少量の薬剤を(相対基準で)非常に大量の賦形剤の中に分散させる場合には、満足のいく均一性水準を確保することは難しいかもしれない。これは圧縮粉末状の固体投薬剤形の製造時に特に関連する。この問題の1つの解決法は、種々の成分の混合時に数列的希釈を使用することである。この方法を用いると、(最終製品の割合として)重量が最も少ない2種の成分を最初に一緒に充分に混合する。これらの2種の成分間の完全な混合が得られた時に、次に最も少ない成分または前の成分の重量に等しい1種もしくは複数の成分を加えそして存在する混合物と充分に混合する。この工程は、成分の全てが混合物に加えられそして全ての他の成分と充分に混合されるまで、繰り返される。数列的希釈は全ての成分の完全で且つ充分な混合を与える。この方法を用いると、不完全な混合および混合物中の成分の不均一な分布の機会がほとんどなく、物質の分離または非混合がないことを確保する。
【0076】
それ故、本発明によると、先行技術で記載されているような1種もしくはそれ以上の糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性である糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形が提供される。好ましい態様では、例えば、実質的に糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形を含んでなる製薬学的組成物は多価アルコールを含んでなる賦形剤を使用して製造される。好ましくは、糖を含まない固体投薬剤形は、同様な方法でそして同様な条件下で製造されるが全てStanleyに対する米国特許第4,671,953号明細書、米国特許第4,863,737号明細書、米国特許第5,132,114号明細書、米国特許第5,288,497号明細書、米国特許第5,785,989号明細書および米国特許第5,855,908号明細書に記載されているような糖を含有する固体投薬剤形と生物学的同等性であるが、Stanley et al.の特許に記載された糖をベースとした充填剤の代わりに糖を含まない賦形剤を使用し、且つ生物学的利用率を調節するイオン化用化合物を包含する。
【0077】
本発明の好ましい糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形は、フェンタニル、緩衝剤、および多価アルコールまたはそれらの組み合わせを含んでなる賦形剤を含んでなる。以上で論じた他の随意成分も存在しうる。フェンタニルは好ましくはクエン酸塩として約50μg〜約20000μgのフェンタニル遊離塩基、好ましくは約50μg〜約10000μgのフェンタニル遊離塩基、好ましくは約50μg〜約10000μgのフェンタニル遊離塩基、好ましくは約50μg〜約5000μgのフェンタニル遊離塩基、好ましくは約50μg〜約3200μgのフェンタニル遊離塩基、より好ましくは約100μg〜約2400μgのフェンタニル遊離塩基、より好ましくは約200μg、約400μg、約600μg、約800μg、約1200μg、および/または約1600μgのフェンタニル遊離塩基、に相当する量で含まれる。好ましくは、緩衝剤はフェンタニルの一部を、唾液中への組成物の溶解時に、イオン化された状態に保つのに充分な量で存在する。それ故、緩衝剤はフェンタニルの経粘膜吸収速度を調節するために有利に作用し、そして糖を含まないフェンタニル固体投薬剤形が糖を含有する固体投薬剤形と生物学的同等性であることを確保するのを助ける。
【0078】
薬剤の適当な製薬学的に許容可能な形態を本発明の組成物中で使用できることは理解すべきである。例えば、遊離塩基として使用されない場合にはフェンタニルはフェンタニルクエン酸塩、フェンタニル塩酸塩、または当業者に既知である追加の製薬学的に許容可能な塩として使用することもできる。クエン酸フェンタニルが好ましい。薬剤の許容可能な物理的形態に関すると、薬剤の適当な製薬学的に許容可能な物理的形態、例えば粉末化された、粉砕された、ふるいにかけられた、結晶性の、噴霧乾燥された、凍結乾燥された、または液体などの形態、を本発明の組成物中で使用することができる。
【0079】
ここで意図する糖を含まないクエン酸フェンタニルの固体経口経粘膜送達形態に関する定性的組成物および成分範囲を表7に示す。表7の組成の製薬学的に許容可能な製薬学的に許容可能な賦形剤は1種もしくはそれ以上の製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる。

表7

成分 含有量範囲(%w/w)
クエン酸フェンタニル 0.016−0.126
賦形剤 90.88−97.98
緩衝系 1−5
香味剤 0.5−2
潤滑剤 0.5−2

好ましい緩衝系は、クエン酸−燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素カリウム−燐酸水素二ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム塩−塩酸、燐酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム−燐酸水素二ナトリウム、およびマレイン酸トリス酸−水酸化ナトリウムを包含する。最も好ましい緩衝剤は燐酸のナトリウムもしくはカリウム塩の組み合わせ、または燐酸およびクエン酸の一もしくは二塩の組み合わせである。好ましくは、緩衝剤は組成物のpHを唾液中への溶解時に約5〜約8の水準に保つ。より好ましくは、緩衝剤は組成物のpHを唾液中への溶解時に約6〜約7.4の水準に、もっと好ましくは約6.1〜約7.0の水準に、そしてさらにより好ましくは約6.3〜約6.6の水準に保つ。より好ましくは、緩衝剤は組成物のpHを約6.3、約6.4、約6.5または約6.6に保つ。糖を含有する固体経口経粘膜投薬剤形との生物学的同等性を設定するために必要な正確なpHは使用される賦形剤並びに調剤中の他の成分に依存するであろうし、そして当業者に既知である実験によってのみ決めることができる。
【0080】
本発明のある種の調剤はより好ましい。より好ましい調剤では、製薬学的調剤中のクエン酸フェンタニルの重量百分率基準の量は好ましくは約0.004〜約0.16%(w/w)、より好ましくは約0.008〜約0.126%(w/w)、より好ましくは約0.016〜約0.126%(w/w)、より好ましくは約0.016、約0.032、約0.048、約0.064、約0.096、および/または約0.126%(w/w)である。製薬学的調剤中の賦形剤の重量百分率基準の量は好ましくは約75〜約99%(w/w)、より好ましくは約85〜約99%(w/w)、より好ましくは約90〜約99%(w/w)である。製薬学的調剤中の緩衝剤の重量百分率基準の量は好ましくは約1〜約5%(w/w)、より好ましくは約1.2〜約4%(w/w)、より好ましくは約2〜約3%(w/w)である。製薬学的調剤中の随意成分の重量百分率基準の量は好ましくは約0.0〜約25%(w/w)である。
【0081】
好ましくは、フェンタニルの糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形は圧縮粉末状の経口経粘膜固体投薬剤形であるが、それは硬いキャンディー状の経口経粘膜固体投薬剤形であることもできる。好ましくは、固体投薬剤形は当業者に既知である製薬学的に許容可能な手段によりそれに固定されたハンドルを有する。
【0082】
本発明は患者に対する薬剤の経口経粘膜送達方法にも関する。これらの方法は、前記の本発明の糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形を含んでなる組成物を準備しそして組成物を患者の口粘膜に投与する段階を含んでなる。特定の薬剤に関する具体的な薬用量は日常的な実験により当業者により過度な労力または創意に富む助力なしに容易に決めることができる。
【実施例】
【0083】
本発明は以下の実施例でさらに示される。実施例は説明目的のためでありそして本発明の範囲を限定する意図はない。
【0084】
本発明の実質的に糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形の製造に有用な適する製薬学的に許容可能な賦形剤であると考えられる糖を含まない物質の例示リストが表8に示される。適する糖を含まない物質は糖を含まない賦形剤または圧縮可能な糖を含まない賦形剤、充填剤および結合剤の組み合わせとして表示される。圧縮錠剤の製造においては、圧縮可能な糖を含まない賦形剤が好ましい。

表8

成分/組み合わせ 組成物
ラクチトール フィンラックTM
ポリデキストロース リテッセ(R)ウルトラTM
マンニトール マンノゲムTM
マンニトール マンニトール(粉末)
マンニトール パーリトール(R)
ソルビトール ソルビデックス
ソルビトール ソルビトール
ソルビトール ソルボゲムTM
キシリトール キシリタブ−200
ポリアルジトール インノバトール
イソマルト イソマルト(圧縮可能)
マンニトールおよびポリアルジトール マンノゲムTMおよびインノバトール
(4%、w/w)
マンニトールおよびポリアルジトール マンノゲムTMおよびインノバトール
(8%、w/w)
マンニトールおよびポリアルジトール マンノゲムTMおよびインノバトール
(16%、w/w)
マンニトールおよびソルビトール マンノゲムTMおよびソルビトール
(4%、w/w)
マンニトールおよびソルビトール マンノゲムTMおよびソルビトール
(8%、w/w)
マンニトールおよびソルビトール マンノゲムTMおよびソルビトール
(16%、w/w)
キシリトールおよびソルビトール キシリタブ−200およびソルビトール
(16%、w/w)
キシリトールおよびソルビトール キシリタブ−200およびソルビトール
(32%、w/w)
キシリトールおよびポリアルジトール キシリタブ−200およびインノバトール
(16%、w/w)
キシリトールおよびポリアルジトール キシリタブ−200およびインノバトール
(32%、w/w)
キシリトールおよびポリアルジトール キシリタブ−200およびインノバトール
(84%、w/w)
キシリトールおよびポリアルジトール キシリタブ−100およびインノバトール
(84%、w/w)
イソマルトおよびポリアルジトール イソマルト(圧縮可能)および
インノバトール(16%、w/w)
イソマルトおよびHPC イソマルト(圧縮可能)および
(ヒドロキシプロピルセルロース) HPC95kDa(2%、w/w)
イソマルトおよびポリエチレン イソマルト(圧縮可能)および
グリコール4000 PEG4000(80/20)
イソマルトおよびPEG8000 イソマルト(圧縮可能)および
PEG8000(80/20)
イソマルトおよびソルビトール イソマルト(圧縮可能)および
ソルビデックス(90/10)
イソマルトおよびポリデキストロース イソマルト(圧縮可能)および
リテッセ(R)ウルトラTM(90/10)

糖を含まないクエン酸フェンタニル調剤用の一般的組成
実施例中の糖を含まないフェンタニル調剤は、意図する疼痛症状および患者集団を処置するために安全に且つ効果的に使用できる所望するフェンタニル薬用量強度を有するように製造できる。開示された具体的な実施例の場合には、調剤は1薬用量単位当たり200mcg〜1600mcgの範囲のフェンタニル(塩基)薬用量を有するように製造できる。具体的な実施例はここに記載された工程に従い表9に挙げられた成分および範囲を用いて製造され、そして生物学的同等性に関して市販の800mcgのアクチック(R)商標のクエン酸フェンタニル(0.063%、w/wクエン酸フェンタニル)を用いて試験された。

表9

成分 機能 含有量(%w/w)
クエン酸フェンタニル 薬剤 0.016−0.126
USP & Ph Eur
イソマルト(圧縮可能) 糖を含まない賦形剤 76.0または86.0
ポリエチレングリコール8000 糖を含まない賦形剤/ 19.0または9.5
NF & Ph Eur 結合剤
無水クエン酸 緩衝剤 0.0、0.6または
USP & Ph Eur 0.5
無水二塩基性燐酸ナトリウム 緩衝剤 0.0、1.4または
USP & Ph Eur 1.5
香料 香味剤 0.0または1.5
ステアリン酸マグネシウム 潤滑剤 1.0
非ウシ、NF & Ph Eur
合計単位重量(mg) 2000mg

表9では、含有量(%w/w)の百分率は丸めのために正確に100とならないかもしれない。さらに、緩衝剤が加えられずおよび/または香味剤が加えられない表9の一般的組成を用いてここで製造される実施例に関しては、含有量(%w/w)の百分率は0.0である。実施例に緩衝剤または香味成分が不在である場合には、含有量(%w/w)の百分率は追加の圧縮可能なイソマルトにより補充される。市販の800mcgのアクチック(R)調剤に生物学的同等性である別の調剤を製造するために、イソマルト、PEG8000および緩衝剤成分の比は調節された。イソマルトはスクロースから酵素による転位およびその後の接触水素化の二段階工程により製造された二糖ポリオール混合物の圧縮可能等級である。
実施例の製造用の一般的工程
全ての調剤用の一般的な工程は以下の通りである:
1.個々の成分を適切なメッシュ寸法、好ましくは20−100メッシュ寸法、のスクリーンの中に通して、重量測定前に粉末の塊を崩すかまたは破砕する。
2.クエン酸フェンタニルをイソマルトの圧縮可能等級の、好ましくは20%より少ない、部分に加えそしてクエン酸フェンタニルを拡散タイプミキサーを用いて予備配合された粉末の中に分布させるのに充分な時間にわたり配合することにより、予備配合粉末を製造する。
3.予備配合物をステアリン酸マグネシウム以外の他の調剤成分を含有する主配合容器に移す。
4.一緒にした成分を拡散タイプミキサーを用いて主要粉末配合物の中で許容可能な均一性を客観的に得るのに充分な時間にわたり配合する。
5.ステアリン酸マグネシウムを主要配合物に加えそして拡散タイプミキサーを用いてさらなる時間にわたり短時間混合する。
6.潤滑化された粉末配合物を錠剤プレスを用いて薬用量単位に圧縮する。
7.ホルダーを圧縮粉末(マトリックス)単位の中に挿入しそしてそれを当業者に例が知られている食品等級の膠を用いて固定することにより塊単位を製造する。
生物学的同等性試験に関する一般的工程
糖を含まないクエン酸フェンタニル調剤の評価である生物学的同等性(BE)または相対的フェンタニル・生物学的利用率(BA)を動物で行った。試験は投与方法の理由から麻酔をかけた犬で行う必要があったが人間の試験は覚醒している志願者で行われたこと以外は、動物および人間のBE試験は基本的には同じ試験設定を用いて行われる。動物BE試験に関する基本的な処方要素は以下の通りである:
試験設定
糖を含まないクエン酸フェンタニル調剤用に使用される試験設定は非重複不規則的投与順序の複数アーム交差設定であり、そこでは1種もしくはそれ以上の糖を含まない試験調剤が対照調剤(市販の800mcgアクチック)と比較される。
動物BE試験の実施
糖を含まないクエン酸フェンタニル実施例のBEを4または6匹の麻酔をかけた純粋交配種のビーグル犬の群で評価した。各調剤を全ての動物に関して交差スケジュールの処置に従い投与した。動脈血液試料を、処置投与前、開始時、並びに処置中および処置後の特定時点で採取し、そして血清試料をフェンタニル含有量に関してLC/MS/MS分析または当業者に既知である方法を用いて分析した。血清フェンタニル濃度対時間プロフィルを各動物および試験調剤に関して表にまとめ、そして平均CmaxおよびAUCを対照製品、すなわち800mcgアクチック、に関する同じ平均値と比較した。最高血清濃度(tmax)フェンタニルCmaxおよび時間の測定値をプロフィルから同時に採用し、AUCが台形則を用いて計算した。各試験調剤対対照調剤に関する2つの測定値の数列的平均(log10転換平均値の真数)のスポット比を80−125%の規定されたBE許容性と比較した。
BEを評価するためのPK基準
人間に関するBE基準はFDAガイダンスにより設定されており、そして最大薬品濃度(Cmax)および薬品濃度下の面積対時間プロフィル(AUC)に基づく。人間に関するBEは、1種もしくは複数の調剤の平均CmaxおよびAUC対対照調剤の90%一致間隔(CI)比により統計学的に定義される。2つのパラメーターに関する許容性限度はほとんどの薬品に関して80−125%に設定されている。(Guidance for Industry Statistical Approaches to Establishing Bioequivalence, US Department of Health and Human Services, FDA(CDER), January 2001参照)。犬モデルにおいて糖を含まないクエン酸フェンタニル調剤のBEを評価するための基準は人間用に使用される基準より複雑でない。その理由は、人間におけるn=24+の典型的な試料サイズに比べて動物試験の小さい試料サイズ(典型的にはn=4または6)である。予期される個体相互関連するPK変動と組み合わされた動物試験の小さい試料サイズが一緒になって2つのPK測定値に関する比較的広い90%CIを生ずる。従って、犬の試験に関するBE評価は90%CIでなくCmaxおよびAUC比のスポット平均に基づく。tmaxは動物試験においてBEを評価するためには有用でなく、その理由はそれは実験設定において特定される薬品投与条件により制限されるからである。対照製品の80−125%の間に入るCmaxおよびAUC比を有する試験調剤が人間試験におけるさらなるBE試験用の適切な候補であるとみなされる。
実施例1
糖を含まないクエン酸フェンタニルの緩衝剤を含まない2000mg調剤をここに開示されているようにして下記の組成を用いて製造した:

成分: %(w/w) mg/2000mg
クエン酸フェンタニル 0.063 1.2568
イソマルト(圧縮可能)/PEG8000 98.9 1979
(80/20)
クエン酸 0 0
二塩基性燐酸ナトリウム 0 0
香料 0 0
ステアリン酸Mg 1 20
**純粋ガムBE
**菓子糖
**精製水(硬化時に除去される)
実験結果
製品pH(SS溶液中) 6.99
試料サイズ(n) 4
中位数tmax(分) 15
平均Cmax比 2.04
平均AUC(0-240)比 1.41

この実施例の調剤は香味剤および緩衝剤が含まれず、溶液中のpHをpH試験で使用されるpH7.0の燐酸塩で緩衝された食塩水(SS)により測定した。実施例1では、丸めのために含有量(%w/w)百分率は正確に100にならないかもしれず、そして成分の合計は正確に2000mgとならないかもしれない。純粋ガムBE、菓子糖、および精製水成分を使用して、圧縮された糖を含まないクエン酸フェンタニルマトリックスに対するホルダーを組み立てるための食品等級(食用)の膠を製造するために使用した。
実施例2
糖を含まないクエン酸フェンタニルの緩衝された2000mg調剤をここに開示されているようにして下記の組成を用いて製造した:

成分: %(w/w) mg/2000mg
クエン酸フェンタニル 0.063 1.2568
イソマルト(圧縮可能)/PEG8000 95.4 1909
(80/20)
クエン酸 0.5 10
二塩基性燐酸ナトリウム 1.5 30
ベリー香料 1.5 30
ステアリン酸Mg 1 20
**純粋ガムBE
**菓子糖
**精製水(硬化時に除去される)
実験結果
製品pH(SS溶液中) 6.6
試料サイズ(n) 6
中位数tmax(分) 15
平均Cmax比 1.04
平均AUC(0-240)比 1.10

実施例2では、丸めのために含有量(%w/w)百分率は正確に100にならないかもしれず、そして成分の合計は正確に2000mgとならないかもしれない。純粋ガムBE、菓子糖、および精製水成分を使用して、圧縮された糖を含まないクエン酸フェンタニルマトリックスに対するホルダーを組み立てるための食品等級(食用)の膠を製造するために使用した。
実施例3
糖を含まないクエン酸フェンタニルの緩衝された2000mg調剤をここに開示されているようにして下記の組成を用いて製造した:

成分: %(w/w) mg/2000mg
クエン酸フェンタニル 0.063 1.2568
イソマルト(圧縮可能)/PEG8000 95.4 1909
(80/20)
クエン酸 0.5 10
二塩基性燐酸ナトリウム 1.5 30
ペパーミント香料 1.5 30
ステアリン酸Mg 1 20
**純粋ガムBE
**菓子糖
**精製水(硬化時に除去される)
実験結果
製品pH(SS溶液中) 6.6
試料サイズ(n) 6
中位数tmax(分) 15
平均Cmax比 0.82
平均AUC(0-240)比 0.90

実施例3では、丸めのために含有量(%w/w)百分率は正確に100にならないかもしれず、そして成分の合計は正確に2000mgとならないかもしれない。純粋ガムBE、菓子糖、および精製水成分を使用して、圧縮された糖を含まないクエン酸フェンタニルマトリックスに対するホルダーを組み立てるための食品等級(食用)の膠を製造するために使用した。
実施例4
糖を含まないクエン酸フェンタニルの緩衝された2000mg調剤をここに開示されているようにして下記の組成を用いて製造した:

成分: %(w/w) mg/2000mg
クエン酸フェンタニル 0.063 1.2568
イソマルト(圧縮可能)/PEG8000 95.4 1909
(80/20)
クエン酸 0.5 10
二塩基性燐酸ナトリウム 1.5 30
チェリー香料 1.5 30
ステアリン酸Mg 1 20
**純粋ガムBE
**菓子糖
**精製水(硬化時に除去される)
実験結果
製品pH(SS溶液中) 6.5
試料サイズ(n) 6
中位数tmax(分) 15
平均Cmax比 0.83
平均AUC(0-240)比 1.03

実施例4では、丸めのために含有量(%w/w)百分率は正確に100にならないかもしれず、そして成分の合計は正確に2000mgとならないかもしれない。純粋ガムBE、菓子糖、および精製水成分を使用して、圧縮された糖を含まないクエン酸フェンタニルマトリックスに対するホルダーを組み立てるための食品等級(食用)の膠を製造するために使用した。
実施例5
糖を含まないクエン酸フェンタニルの緩衝された2000mg調剤をここに開示されているようにして下記の組成を用いて製造した:

成分: %(w/w) mg/2000mg
クエン酸フェンタニル 0.063 1.2568
イソマルト(圧縮可能)/PEG8000 95.4 1909
(90/10)
クエン酸 0.6 12
二塩基性燐酸ナトリウム 1.4 28
ベリー香料 1.5 30
ステアリン酸Mg 1 20
**純粋ガムBE
**菓子糖
**精製水(硬化時に除去される)
実験結果
製品pH(SS溶液中) 6.3
試料サイズ(n) 6
中位数tmax(分) 15
平均Cmax比 0.89
平均AUC(0-240)比 0.87

実施例5では、丸めのために含有量(%w/w)百分率は正確に100にならないかもしれず、そして成分の合計は正確に2000mgとならないかもしれない。純粋ガムBE、菓子糖、および精製水成分を使用して、圧縮された糖を含まないクエン酸フェンタニルマトリックスに対するホルダーを組み立てるための食品等級(食用)の膠を製造するために使用した。
実施例6
糖を含まないクエン酸フェンタニルの緩衝された2000mg調剤をここに開示されているようにして下記の組成を用いて製造した:

成分: %(w/w) mg/2000mg
クエン酸フェンタニル 0.063 1.2568
イソマルト(圧縮可能)/PEG8000 95.4 1909
(90/10)
クエン酸 0.5 10
二塩基性燐酸ナトリウム 1.5 30
ベリー香料 1.5 30
ステアリン酸Mg 1 20
**純粋ガムBE
**菓子糖
**精製水(硬化時に除去される)
実験結果
製品pH(SS溶液中) 6.5
試料サイズ(n) 6
中位数tmax(分) 15
平均Cmax比 1.09
平均AUC(0-240)比 1.30

実施例1では、丸めのために含有量(%w/w)百分率は正確に100にならないかもしれず、そして成分の合計は正確に2000mgとならないかもしれない。純粋ガムBE、菓子糖、および精製水成分を使用して、圧縮された糖を含まないクエン酸フェンタニルマトリックスに対するホルダーを組み立てるための食品等級(食用)の膠を製造するために使用した。
【0085】
ここに引用された全ての文献、特許、および特許文献は、個別に参照用に導入されているが、引用することにより本発明の内容となる。本発明は種々の具体的なそして好ましい態様および技術に関して記載してきた。しかしながら、本発明の精神および範囲内の多くの改変を行いうることは理解すべきである。用語「約」が数値を修飾するために使用される場合には、それは+/−10%を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化可能な薬剤、緩衝剤、および製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる経口経粘膜(oral transmucosal)固体投薬剤形を含んでなる製薬学的組成物であって、該組成物が実質的に糖を含まず且つ糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性であり、そして唾液中への該投薬剤形の溶解時に該緩衝剤が該薬剤の一部をイオン化された状態に保つのに充分な量で存在する、製薬学的組成物。
【請求項2】
該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形がグルコース、マンノース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラクトース、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される糖を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該製薬学的に許容可能な賦形剤が多価アルコールを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
該多価アルコールがソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される糖を含有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
該多価アルコールがソルビトールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
該多価アルコールがマンニトールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
該多価アルコールがキシリトールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
該多価アルコールがエリトリトールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
該多価アルコールがマルチトールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
該多価アルコールがラクチトールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
該多価アルコールがイソマルトである、請求項4に記載の組成物。
【請求項12】
該多価アルコールがマンニトールおよびポリアルジトール、キシリトールおよびポリアルジトール、イソマルトおよびポリアルジトール、マンニトールおよびソルビトール、キシリトールおよびソルビトール、並びにイソマルトおよびソルビトールの組み合わせである、請求項4に記載の組成物。
【請求項13】
該多価アルコールがイソマルトおよびポリアルジトールの組み合わせである、請求項4に記載の組成物。
【請求項14】
該多価アルコールがイソマルトおよびソルビトールの組み合わせである、請求項4に記載の組成物。
【請求項15】
該賦形剤が多価アルコールを含んでなり且つさらに結合剤も含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
該多価アルコールがソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択され、そして該結合剤がポリデキストロース、セルロース系エーテル、およびポリエチレングリコールよりなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
該多価アルコールがイソマルトであり、そして該結合剤がポリデキストロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポリエチレングリコールよりなる群から選択され、該ポリエチレングリコールが約3350〜20,000の平均分子量を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
該多価アルコールがイソマルトであり、そして該結合剤がポリエチレングリコールであり、該ポリエチレングリコールが4000〜8000の平均分子量を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
該賦形剤が非齲蝕性の単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖を含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
該薬剤がフェンタニルまたはその製薬学的に許容可能な塩である、請求項3−19の1項に記載の組成物。
【請求項21】
該薬剤がフェンタニルまたはその製薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約5〜約8の水準に保つ、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.0〜約7.4の水準に保つ、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.1〜約7.0の水準に保つ、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.3〜約6.6の水準に保つ、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
該緩衝剤が燐酸のナトリウムもしくはカリウム塩の組み合わせ、または燐酸の一もしくは二塩およびクエン酸の組み合わせである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
該製薬学的に許容可能な賦形剤が多価アルコールを含んでなる、請求項22−26の1項に記載の組成物。
【請求項28】
該製薬学的に許容可能な賦形剤がソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される多価アルコールを含んでなる、請求項22−26の1項に記載の組成物。
【請求項29】
該製薬学的に許容可能な賦形剤がイソマルトを含んでなる、請求項22−26の1項に記載の組成物。
【請求項30】
該緩衝剤がクエン酸−水酸化ナトリウム、クエン酸−燐酸水素二ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、琥珀酸−水酸化ナトリウム、燐酸二水素カリウム−燐酸水素二ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム塩−塩酸、燐酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム−燐酸水素二ナトリウム、およびマレイン酸トリス酸−水酸化ナトリウムよりなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
該緩衝剤がクエン酸−燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素カリウム−燐酸水素二ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム塩−塩酸、燐酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム−燐酸水素二ナトリウム、およびマレイン酸トリス酸−水酸化ナトリウムである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
該薬剤がフェンタニルまたはその製薬学的に許容可能な塩であり、該緩衝剤が唾液中への溶解時に該糖を含まない投薬剤形のpHを約6.3〜約6.6の水準に保つのの充分な量で存在し、そして該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形がスクロース、グルコース、またはそれらの組み合わせを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形が、乾燥重量基準で、約50重量%より多い糖を含有する、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形が、乾燥重量基準で、約90重量%より多い糖を含有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
該薬剤が該経口経粘膜固体投薬剤形中に、乾燥重量基準で、約0.0005〜約50重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項36】
該薬剤が該経口経粘膜固体投薬剤形中に、乾燥重量基準で、約0.005〜約10重量%の量で存在する、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
該薬剤が該経口経粘膜固体投薬剤形中に、乾燥重量基準で、約0.005〜約1重量%の量で存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
該糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形に固定されたハンドルをさらに含んでなる、請求項1−37の1項に記載の組成物。
【請求項39】
該組成物が圧縮粉末状の経口経粘膜固体投薬剤形の形状である、請求項1−37の1項に記載の組成物。
【請求項40】
該組成物が硬いキャンディー状の経口経粘膜固体投薬剤形の形状である、請求項1−37の1項に記載の組成物。
【請求項41】
該組成物が硬いキャンディー状の経口経粘膜固体投薬剤形の形状であり、該硬いキャンディー状の経口経粘膜固体投薬剤形に固定されたハンドルをさらに含んでなる、請求項1−37の1項に記載の組成物。
【請求項42】
該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形が緩衝剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項43】
該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形が緩衝剤を含有しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項44】
フェンタニルの経口経粘膜送達のための糖を含まない製薬学的組成物であって、該組成物がフェンタニルまたはその製薬学的に許容可能な塩および製薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなり、該糖を含まない組成物が経口経粘膜固体投薬剤形の形状であり、そして該経口経粘膜固体投薬剤形が糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形と生物学的同等性である、糖を含まない製薬学的組成物。
【請求項45】
該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形がスクロース、グルコース、またはそれらの組み合わせを含有する、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
該糖を含有する経口経粘膜固体投薬剤形が、乾燥重量基準で、約90重量%より多い糖を含有する、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
該糖を含まない組成物中の賦形剤が多価アルコールを含んでなる、請求項44に記載の組成物。
【請求項48】
該多価アルコールがソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
該多価アルコールがソルビトールである、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
該多価アルコールがマンニトールである、請求項48に記載の組成物。
【請求項51】
該多価アルコールがキシリトールである、請求項48に記載の組成物。
【請求項52】
該多価アルコールがエリトリトールである、請求項48に記載の組成物。
【請求項53】
該多価アルコールがマルチトールである、請求項48に記載の組成物。
【請求項54】
該多価アルコールがラクチトールである、請求項48に記載の組成物。
【請求項55】
該多価アルコールがイソマルトである、請求項48に記載の組成物。
【請求項56】
該多価アルコールがマンニトールおよびポリアルジトール、キシリトールおよびポリアルジトール、イソマルトおよびポリアルジトール、マンニトールおよびソルビトール、キシリトールおよびソルビトール、並びにイソマルトおよびソルビトールの組み合わせである、請求項48に記載の組成物。
【請求項57】
該多価アルコールがイソマルトおよびポリアルジトールの組み合わせである、請求項48に記載の組成物。
【請求項58】
該多価アルコールがイソマルトおよびソルビトールの組み合わせである、請求項48に記載の組成物。
【請求項59】
該賦形剤が多価アルコールを含んでなり且つさらに結合剤も含んでなる、請求項44に記載の組成物。
【請求項60】
該多価アルコールがソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択され、そして該結合剤がポリデキストロース、セルロース系エーテル、およびポリエチレングリコールよりなる群から選択される、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
該多価アルコールがイソマルトであり、そして該結合剤がポリデキストロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポリエチレングリコールよりなる群から選択され、該ポリエチレングリコールが約3350〜20,000の平均分子量を有する、請求項59に記載の組成物。
【請求項62】
該多価アルコールがイソマルトであり、そして該結合剤がポリエチレングリコールであり、該ポリエチレングリコールが4000〜8000の平均分子量を有する、請求項59に記載の組成物。
【請求項63】
唾液中への該固体経口経粘膜投薬剤形の溶解時に該フェンタニルまたはその製薬学的に許容可能な塩の一部をイオン化された状態に保つのに充分な量で緩衝剤をさらに含んでなる、請求項44に記載の組成物。
【請求項64】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.0〜約7.4の水準に保つ、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.1〜約7.0の水準に保つ、請求項63に記載の組成物。
【請求項66】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.3〜約6.6の水準に保つ、請求項63に記載の組成物。
【請求項67】
該緩衝剤がクエン酸−燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素カリウム−燐酸水素二ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム塩−塩酸、燐酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム−燐酸水素二ナトリウム、およびマレイン酸トリス酸−水酸化ナトリウムよりなる群から選択される、請求項63に記載の組成物。
【請求項68】
該緩衝剤が燐酸のナトリウムもしくはカリウム塩の組み合わせ、または燐酸の一もしくは二塩およびクエン酸の組み合わせである、請求項63に記載の組成物。
【請求項69】
該糖を含まない組成物中の賦形剤が多価アルコールを含んでなる、請求項64−68の1項に記載の組成物。
【請求項70】
該糖を含まない組成物中の賦形剤がソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される多価アルコールを含んでなる、請求項64−68の1項に記載の組成物。
【請求項71】
該糖を含まない組成物中の賦形剤がイソマルトである、請求項64−68の1項に記載の組成物。
【請求項72】
該賦形剤が多価アルコールを含んでなり且つさらに結合剤も含んでなる、請求項64−68の1項に記載の組成物。
【請求項73】
該多価アルコールがソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択され、そして該結合剤がポリデキストロース、セルロース系エーテル、およびポリエチレングリコールよりなる群から選択される、請求項64−68の1項に記載の組成物。
【請求項74】
該多価アルコールがイソマルトであり、そして該結合剤がポリデキストロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポリエチレングリコールよりなる群から選択され、該ポリエチレングリコールが約3350〜20,000の平均分子量を有する、請求項64−68の1項に記載の組成物。
【請求項75】
該多価アルコールがイソマルトであり、そして該結合剤がポリエチレングリコールであり、該ポリエチレングリコールが4000〜8000の平均分子量を有する、請求項64−68の1項に記載の組成物。
【請求項76】
該糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形に固定されたハンドルをさらに含んでなる、請求項44−63の1項に記載の組成物。
【請求項77】
該賦形剤が粉末の形態であり、そして該組成物が圧縮粉末状の経口経粘膜固体投薬剤形の形状である、請求項44−63の1項に記載の組成物。
【請求項78】
該組成物が硬いキャンディー状の経口経粘膜固体投薬剤形の形状である、請求項44−63の1項に記載の組成物。
【請求項79】
該経口経粘膜固体投薬剤形がフェンタニルをフェンタニル塩として約50μg〜約5000μgのフェンタニル遊離塩基に相当する量で含有する、請求項44に記載の組成物。
【請求項80】
該経口経粘膜固体投薬剤形がフェンタニルをフェンタニル塩として約50μg〜約3200μgのフェンタニル遊離塩基に相当する量で含有する、請求項44に記載の組成物。
【請求項81】
該経口経粘膜固体投薬剤形がフェンタニルをフェンタニル塩として約50μg〜約2400μgのフェンタニル遊離塩基に相当する量で含有する、請求項44に記載の組成物。
【請求項82】
該経口経粘膜固体投薬剤形がフェンタニルをフェンタニル塩として約100μg〜約1600μgのフェンタニル遊離塩基に相当する量で含有する、請求項44に記載の組成物。
【請求項83】
該フェンタニル塩がクエン酸フェンタニルである、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
該賦形剤が多価アルコールを含んでなり且つさらに緩衝剤も含んでなる、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
該賦形剤がイソマルトを含んでなる、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
該賦形剤がソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、ポリアルジトール、およびそれらの組み合わせよりなる群から選択される多価アルコールを含んでなり、そしてポリデキストロース、セルロース系エーテル、およびポリエチレングリコールよりなる群から選択される結合剤をさらに含んでなる、請求項83に記載の組成物。
【請求項87】
該賦形剤がイソマルトを含んでなり、そして結合剤がポリエチレングリコールを含んでなる、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
該ポリエチレングリコールが約3350〜20,000の平均分子量を有する、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
該ポリエチレングリコールが4000〜8000の平均分子量を有する、請求項87に記載の組成物。
【請求項90】
該緩衝剤が燐酸のナトリウムもしくはカリウム塩の組み合わせ、または燐酸の一もしくは二塩およびクエン酸の組み合わせである、請求項84−89の1項に記載の組成物。
【請求項91】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.1〜約7.0の水準に保つ、請求項84−89の1項に記載の組成物。
【請求項92】
該緩衝剤が唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.3〜約6.6の水準に保つ、請求項84−89の1項に記載の組成物。
【請求項93】
該経口経粘膜固体投薬剤形がフェンタニルをフェンタニル塩として約200μg、約400μg、約600μg、約800μg、約1200μg、または約16000μgのフェンタニル遊離塩基に相当する量で含有する、請求項92に記載の組成物。
【請求項94】
1)フェンタニルがクエン酸フェンタニルとして0.016〜0.126重量%に相当する量で存在し、
2)賦形剤が90.88〜97.98重量%に相当する量で存在し、
3)緩衝剤が1〜5重量%に相当し且つ唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.3〜約6.6の水準に保つのに充分な量で存在し、そして
4)0.5〜2重量%に相当する量で存在する潤滑剤をさらに含んでなる、
請求項63に記載の組成物。
【請求項95】
1)フェンタニルがクエン酸フェンタニルとして0.016〜0.126重量%に相当する量で存在し、
2)賦形剤が76.0〜86.0重量%に相当する量で存在し、
3)緩衝剤がクエン酸として1.4〜1.5重量%に相当する量の二塩基性燐酸ナトリウムと組み合わされて0.5〜0.6重量%に相当し且つ唾液中への溶解時に該投薬剤形のpHを約6.3〜約6.6の水準に保つのに充分な量で存在し、そして
4)9.5〜19.0重量%に相当する量でポリエチレングリコール8000として存在する結合剤をさらに含んでなり、そして
5)1.0重量%に相当する量でステアリン酸マグネシウムとして存在する潤滑剤をさらに含んでなる、
請求項63に記載の組成物。
【請求項96】
請求項1〜95のいずれか1項に記載の組成物を準備し、そして有効量の該組成物を患者の口粘膜に投与し、そして該薬剤を患者の口粘膜組織を通す吸収により送達させることを含んでなる、患者に対する糖を含まない投薬剤形中の薬剤の経口経粘膜送達方法。
【請求項97】
請求項44に記載の組成物を準備し、そして有効量の該組成物を患者の口粘膜に投与し、そして該薬剤を患者の口粘膜組織を通す吸収により送達させることを含んでなる、患者に対する糖を含まない投薬剤形中のフェンタニルの経口経粘膜送達方法。
【請求項98】
患者の口腔内に治療的に有効な量の請求項1に記載の糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形を導入することを含んでなる疼痛の処置方法であって、イオン化可能な薬剤がフェンタニルまたはその製薬学的に許容可能な塩形態である、疼痛の処置方法。
【請求項99】
疼痛が破過疼痛(breakthrough pain)である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
疼痛が慢性疼痛である、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
疼痛が片頭痛である、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
患者の口腔内に治療的に有効な量の請求項44に記載の糖を含まない経口経粘膜固体投薬剤形を導入することを含んでなる、疼痛の処置方法。
【請求項103】
疼痛が破過疼痛である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
疼痛が慢性疼痛である、請求項102に記載の方法。
【請求項105】
疼痛が片頭痛である、請求項102に記載の方法。


【公表番号】特表2006−516648(P2006−516648A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503286(P2006−503286)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/003055
【国際公開番号】WO2004/069198
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(599133646)セフアロン・インコーポレーテツド (10)
【Fターム(参考)】