説明

糖タンパク質VI(GPVI)阻害剤の使用

本発明は、血小板GPVIの阻害剤を用いることによる、再潅流傷害及び/又は梗塞を低減するための方法を記載するものである。この方法は、心臓発作又は待機的心臓手術の間又は後に、患者を処置するために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全文が参照によって組み入れられる、2007年10月31日出願の、米国出願第60/984,334号「糖タンパク質VI(GPVI)阻害剤の使用(Uses of a Glycoprotein VI(GPVI) Inhibitor)」の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、抗体、タンパク質フラグメント、及び小分子化合物を含む、血小板膜糖タンパク質VI(GPVI)の阻害剤を用いて、再潅流傷害及び/又は梗塞を阻害する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
血液を心臓に供給する冠状動脈が閉塞されるようになると、心臓発作が生じる。閉塞は、通常、アテローム性動脈硬化及び血栓形成の結果として動脈が狭窄及び閉鎖することによって生じる。血液供給の欠乏は虚血と呼ばれる。心筋は短期間の酸素の窮乏にしか耐えることができず、20〜120分未満で梗塞形成する。心筋細胞は大部分が最終に分化しているので、心臓が再生する能力は非常に限られている。心臓発作を起こした患者は、人生の残りを梗塞形成した組織を有する心臓を保有することになる。梗塞形成した心筋は血液を押し出す能力が低下しているので、これらの患者は身体への血液供給を維持する能力が低下している。心臓発作後、うっ血性心不全が続くことがあり、患者は再発性心臓発作を経験することもある。心不全を起こした患者は運動性が低下し、生活の質が低下し、寿命が短縮する。
【0004】
米国心臓協会からの最近の統計によると、米国だけで年間120万の心臓発作が存在する(Thomら、Circulation、113巻、e85〜151頁、2006年)。米国において心不全を有する者は現在500万人おり、新しい症例は毎年550,000存在する(Thomら、Circulation、113巻、e85〜151頁、2006年)。
【0005】
遮断された冠状動脈は、血管形成術及び/又は血栓溶解療法で再開することができ、以前に虚血した筋肉の再潅流がもたらされる。再潅流は虚血した筋肉を救出するのに不可欠である一方、再潅流自体は、逆説的に、筋肉に対してさらなる損傷をもたらすことがある。理想的には、心臓発作に対する処置は、発作の間の心筋梗塞を最小にすることを伴う。しかし、心臓発作の発生を予想するのは通常困難であるので、予防的処置は見込みがない。したがって、再潅流傷害を低減する処置と併用した血管形成術及び/又は血栓溶解療法(例えば、救急車又は救急治療室において施すもの)が、より実際的であり得る。再潅流傷害を低減する処置は、心臓発作/虚血からの回復を改善し、心不全を発生する可能性を制限する可能性がある。心筋梗塞を低減する処置は救命的であることが期待でき、高リスク患者の入院期間を短縮し、生活の質を高め、医療費全体を低減することができる。
【0006】
残念なことに、そのような処置は現在利用可能ではない。様々な処置が試みられ、全て失敗していると思われる(Downey及びCohen、Prog Cardiovasc Dis、48巻、363〜371頁、2006年による総説を参照されたい)。アスピリン、クロピドグレル、及びReoPro(登録商標)などの抗血栓剤の介入が、冠状動脈の閉塞/再閉塞を防ぐのに、現在推奨されている。しかし、これらは再潅流傷害に対する直接的な保護を提供するものではない。アスピリンは、実際、いくつかの内因性の心保護的な経路を妨害することがあり、梗塞を増大することがある(Grossら、J Pharmacol Exp Ther、310巻、185〜191頁、2004年)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、血小板表面上に存在する主要なコラーゲン受容体である血小板糖タンパク質VI(GPVI)の阻害剤を投与することによって、患者における再潅流傷害及び/又は梗塞を阻害するための方法を提供する。本発明は、再潅流傷害及び/又は梗塞を処置するための薬物を製造するためのこのような阻害剤の使用も提供する。
【0008】
GPVIは血小板及び巨核球上にのみ発現され、血管内皮下の、多くの血栓形成マトリックスタンパク質の1つであるコラーゲンに結合する。動脈硬化性プラークの破裂、虚血、及び再潅流傷害により、コラーゲンが血小板を含む血液成分に曝されることがある。血小板GPVIのコラーゲンに対する結合は、脈管構造の損傷部位における血小板の付着、並びにその後の血小板の活性化及び凝集において中心的役割を果たす。血小板GPVIの阻害剤は、血管壁での血小板GPVIとコラーゲンとの間の相互作用を遮断する。GPVI阻害は血小板の活性化を低下させることが先に示されているが、本発明は、GPVI阻害も意外なことに直接的な心保護効果をもたらし、再潅流傷害及び/又は梗塞を阻害するのに有用であることを示すものである。
【0009】
血小板GPVIの阻害薬は、抗体、タンパク質フラグメント、又は小分子化合物であってよい。抗体には、それだけには限定されないが、モノクローナル抗GPVI抗体が含まれる。モノクローナル抗体には、活性な抗体フラグメントが含まれる。活性な抗体フラグメントは、化学的に、酵素的に、又は組換えで生成されたFabフラグメント、F(ab)フラグメント、又は、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的な相補性決定領域(CDR)を少なくとも1つ含むペプチドであってよい。例えば抗体には、マウスモノクローナル抗体であるOM1、OM2、OM3、及びOM4、並びにこれらのヒト化バージョン、又はこれらの活性なフラグメントが含まれる。ペプチドフラグメントには、それだけには限定されないが、GPVIのコラーゲン結合性ドメイン及び可溶性GPVIが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】野生型マウス及びGPVIノックアウトマウスにおける心筋梗塞サイズの比較を示す図である。30分の虚血及び24時間の再潅流後、GPVIノックアウトマウスにおける心筋梗塞は、野生型マウスに比べて有意に小さかった。白丸はそれぞれ個々のマウスからの梗塞サイズを表し、黒丸はグループ平均値±SDを表す。データはt検定で分析した。p<0.05を統計上有意とみなす。
【図2a】虚血及び再潅流後、野生型マウス及びGPVIノックアウトマウスの心筋層におけるPセレクチン発現の比較を示す図である。心内膜及び中層心筋からの代表的な蛍光画像を示す。明緑色(又は白黒バージョンの図では白っぽい明色)において示すようにPセレクチン発現は、GPVIノックアウトマウスからの心筋層において低減された(うす暗い背景の蛍光は、心筋層の自己蛍光によるものであった)。野生型マウスからの心臓5個、及びGPVIノックアウトマウスからの心臓5個それぞれにおいて、同様の結果が得られた。
【図2b】Pセレクチン発現の高いエリアの定量化を示す図である。GPVIノックアウト(KO)マウスは、野生型(WT)マウス(n=5)よりもPセレクチンのレベルが有意に低く、GPVIは心筋層における血小板の活性化及び凝集を誘発する上で重要な役割を果たすことを示唆している。
【図3】虚血後の再潅流による、野生型マウスの心臓におけるコラーゲンの曝露を実証する図である。左側のパネルは、30分虚血に曝し、その後15分再潅流した心臓からの代表的な切片を示す。明緑色(又は白黒バージョンの図では白っぽい明色)は、曝露されたコラーゲンを表す(うす暗い背景の蛍光は、心筋層の自己蛍光によるものであった)。3匹のさらなる動物から同様の結果が得られた。右側のパネルは、30分虚血に曝したがその後の再潅流なしの心臓からの代表的な切片を示す。緑色蛍光(又は白黒バージョンの図では白っぽい明色)は明らかではなく、コラーゲンが曝露されなかったことを示している。2匹のさらなる動物から同様の結果が得られた。これらのデータはともに、再潅流の間に内皮損傷が生じることを示している。
【図4a】サルにおける抗GPVI抗体OM2の梗塞低下効果を実証する図である。図は、示した処置を施した各群におけるリスクゾーン対梗塞エリアの分布図を回帰直線とともに示す。対照群における梗塞は、リスクゾーンのサイズと線形関係にあった。データ点は全て対照群の回帰直線の下にあることから、OM2での単回投与又は2回投与いずれかで処置したサルの心筋梗塞は低下している(p<0.05)。さらに、この低下は、単回投与又は2回投与で処置したサルにおいて同様であり、OM2による保護が再潅流期間中に生じたことを示唆している。梗塞のデータを分散分析(ANOVA)によって分析した。
【図4b】OM2によるサルの血中の血小板凝集の阻害を実証する図である。OM2(2mg/kg)投与前(投薬前)及び投与後(投薬4時間後)、血液試料をサルから採取した。コラーゲン誘発血小板凝集を、全血の血小板凝集計を用いてex vivoアッセイにおいて測定した。図4bは、コラーゲン誘発血小板凝集の代表的な測定結果を示す。コラーゲン誘発血小板凝集は、OM2を投与した動物の全血において完全に阻害された。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「梗塞」とは一般的に、組織の上流の動脈の血液供給の閉塞による、組織の壊死を意味する。酸素供給された血液が欠乏すると、細胞は衰弱して死滅する。梗塞はあらゆる器官に影響を及ぼし得るが、心臓のようなエネルギー需要及び代謝活性の高い組織において、より頻繁且つより急速に(<20〜120分)生じる。
【0012】
本明細書における「心筋梗塞」の語は、心筋セグメントへの冠状動脈血流量における急激な低減に通常起因する、心筋の壊死を意味する。心筋は、ほんの短期間の虚血(<5分)しか損傷を被らずに持ちこたえることができない。血流が再開しなければ、一般的に、5分から20分の間に可逆性の損傷が生じる。より長期間の虚血により、永久的な損傷、即ち細胞死/壊死/梗塞が通常もたらされる。心筋の再生する能力は非常に限られているので、筋肉の喪失は永久的であり得る。「内皮機能不全」は、内皮の壊死、又は虚血及び再潅流に起因する正常機能の喪失を意味する。
【0013】
「再潅流傷害」は、虚血期間の後、組織への血液の供給が戻った場合にもたらされる組織に対する損傷を意味する。血液から酸素及び栄養分が欠如すると、循環の回復によって、通常機能の回復ではなく、酸化ストレスの誘発による炎症及び酸化損傷がもたらされる状態が作り出される。「心筋再潅流傷害」は心筋において生じる再潅流障害を意味し、「内皮再潅流傷害」は内皮において生じる再潅流障害を意味する。
【0014】
本明細書における「患者」は、梗塞及び/又は再潅流傷害の出現率、可能性、又は程度を低減する処置を必要とする、あらゆる人間又は非ヒトの動物を意味する。「患者」は、それだけには限定されないが、冠状動脈疾患(CAD)、全身性高血圧、二尖大動脈弁、肥大型心筋症、又は僧帽弁逸脱症などの心臓血管障害と診断された者;心臓発作及び/又は心不全(うっ血性心不全(CHF)を含む)を経験しているか、又は経験した者;並びに、例えば心臓のバイパス手術中に冠状動脈血流の一時的な遮断を必要とする待機的心臓手術を受ける者を含む、心臓発作を起こしたことがあるか、起こす危険性のある対象も含む。処置すべき非ヒトの動物には、それだけには限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、サカナ、トリ、ハムスター、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、及び非ヒトの霊長動物を含む、全ての家畜及び野生の脊椎動物が含まれる。
【0015】
「阻害する」の語は、あらゆる表現型の特徴の低減若しくは休止、又はその特徴の発生率、程度、若しくは可能性における低減若しくは休止を意味する。したがって「再潅流傷害及び/又は梗塞を阻害する」は、再潅流傷害及び/又は梗塞における測定可能な低減又は休止を意味する。
【0016】
「血小板GPVIの阻害薬」は、血小板GPVIの機能を阻害することができるあらゆる抗体、タンパク質フラグメント、又は小分子化合物を意味する。血小板GPVIの機能には、例えば、血管壁などにおいて見出されるコラーゲンとの、血小板GPVIの相互作用が含まれる。他の機能には、コラーゲン誘発血小板凝集、固定化したコラーゲンに対する血小板の接着、コラーゲン誘発ATP分泌、及びコラーゲン誘発トロンボキサンA形成が含まれる。
【0017】
「抗体」の語は、当技術分野ではよく知られており、モノクローナル抗体を含む。本発明のモノクローナル抗体には、化学的に、酵素的に、又は組換えで生成されたFabフラグメント、F(ab)フラグメント、又は、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的な相補性決定領域(CDR)を少なくとも1つ含むペプチドフラグメントなどの活性な抗体フラグメントが含まれる。抗GPVI抗体が「特異的に結合する」とは、これらがGPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に、10−7M以下の解離定数(Kd)で結合する場合である。本発明の別の一実施形態において、抗GPVI抗体は、10−8M以下のKdで、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的に結合する。さらなる一実施形態において、本発明の抗GPVI抗体は、10−9M以下のKdで、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的に結合する。結合パートナー又は抗体の親和性は、通常の技術を用いて、例えば、125I標識したIgG若しくはそのフラグメントの飽和結合等温線を測定することによって、又はMotulskyによって、「GraphPad Prismでのデータ分析(Analyzing Data with GraphPad Prism)」(1999年)、GraphPad Software Inc.、San Diego、CAに記載されている非線形回帰分析を用いて、非標識IgGによる125I標識IgGの相同置換によって容易に測定することができる。他の技術は、例えばScatchardら、Ann. NY Acad.Sci.、51巻、660頁(1949年)によって記載されているものなど、当技術分野では知られている。
【0018】
米国特許出願公開第2007/0207155号は、モノクローナル抗体の生成及びそのヒト化を詳しく記載している。米国特許出願公開第2007/0207155号は、上記に記載した結合特性を有するモノクローナル抗体OM1、OM2、OM3、及びOM4、並びにGPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的な相補性決定領域(CDR)を少なくとも1つ含むペプチドフラグメントも記載している。さらに、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体は、両方ともその全文が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,998,469号、及び米国特許出願公開第2007/0207155号において記載されている。
【0019】
「小分子化合物」は、サイズ1500Daまでの、非タンパク質有機化合物を意味する。小分子化合物は、合成でもよく、又は天然物の抽出物に由来してもよい。重要な構造上の特徴はしばしば、小分子の、タンパク質に対する結合に費やされるエントロピー消費を低減する、硬い多重環コア構造である。本発明の小分子化合物は、それだけには限定されないが、コラーゲンとの血小板GPVIの相互作用を含めた血小板GPVIの機能を阻害する。
【0020】
上記で論じたように、「ペプチドフラグメント」は、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的なCDRを少なくとも1つ含むペプチドフラグメントを含み、それらの例は、米国特許出願公開第2007/0207155号に開示されている。他のペプチドフラグメントは、GPVIのコラーゲン結合性ドメインを含むことがある。GPVIの完全な配列は、Clemetsonら、J.Biol.Chem.、274巻、29019〜24頁(1999年);WO 00/68377;Jandrot−Perrusら、Blood、96巻、1798〜807頁(2000年);及びEzumiら、Biochem Biophys Res Commun.、277巻、27〜36頁(2000年)に公開されており、GPVI上の第一コラーゲン結合性表面はマッピングされている。O’Connorら、J.Biol.Chem.、281巻(44)、33505〜10頁(2006年);Dumontら、J.Mol.Biol.、361巻(5)、877〜87頁(2006年);Horiiら、Blood、108巻(3)、936〜42頁(2006年);O’Connorら、J Thromb Haemost.、4巻(4)、869〜73頁(2006年)。さらに、GPVIの細胞外ドメインを含んでいる可溶性GPVI(sGPVI)は、コラーゲンに対するGPVIの結合を阻害し、それによってコラーゲン誘発血小板凝集を阻害することが示されている。Jandrot−Perrusら、Blood、96巻、1798〜807頁(2000年)。
【0021】
患者の処置は、薬学的に有効な量の血小板GPVIの阻害剤の投与を含む。当業者であれば、これらの阻害剤を投与するための、最適な投与量及び投与計画を経験的に決定することができる。それでも、薬学的に有効な量は、患者における再潅流傷害、梗塞、又は虚血の事象の阻害をもたらす量である。
【0022】
薬学的に有効な量を、処置を通して、単回投与量として投与してもよく、又は多回投与量として投与してもよい。本発明の阻害剤は、ボーラス注射による静脈内(IV)投与、持続的注入、又は間欠的注入など、当業者には馴染みのあるあらゆる方法によって投与することができる。代替の実施形態において、阻害剤は、腹腔内(IP)に、体内に、関節内に、脳室内に、くも膜下腔内に、筋肉内(IM)に、皮下に、局所に、扁桃に、粘膜に、鼻腔内に、経皮で、膣内に、経口で、又は吸入によって投与することができる。
【0023】
本発明を、以下の実施例によって説明するが、決してこれらに限定されるものではない。
【0024】
(例1)
GPVIの欠失はマウスにおいて心保護的である
年齢をマッチさせた野生型マウス及びGPVIノックアウトマウスを、1〜1.5%イソフルランで麻酔し、気管内チューブによって挿管し、圧力コントロールした呼吸器に取り付けた。動物を、100%酸素で補った室内空気(体積比4:1)で換気した。手術を開始する前に、マウスにゲンタマイシン(0.7mg/kg、IM)を投与した。体温を、デジタル体温計に接続した直腸プローブで注意深くモニターし、ヒーティングパッド及び加熱ランプを用いて実験を通して37℃から37.5℃の間に維持した。予備試験において、血圧測定用及び血液ガス分析用に、カテーテルを頸動脈中に挿入した。これは、マウスが、これらの実験手順を用いて確実に生理学的な血行動態を維持できるようにするためであった。
【0025】
解剖顕微鏡下で、左側の開胸術によって胸部を切開した。8−0ナイロン製縫合糸(Ethicon,Inc.、Johnson&Johnson Co.、Somerville、NJ)を、テーパードニードルで、左心耳先端から2〜3mmの左冠状動脈前下行枝を通過させ、縫合糸の終端を、プラスチック製チューブに通した。縫合糸をチューブに逆らって引っ張ることによって、冠状動脈閉塞を誘発した。冠状動脈閉塞及び再潅流の実施の成功は、虚血及び再潅流後の回復の間、目視検査によって(即ち、縫合糸を引っ張ったときに遠位の心筋に青白い色が発生し、収縮後に充血によって明赤色が戻ることを認めることによって)確証した。虚血を30分続けた。閉塞を開放した後、縫合糸で胸部を重ね合わせて閉じた。ケトフェン1投与量(2.5mg/kg、IM)を注射した。自発呼吸を獲得したら、マウスを人工呼吸器から取り去り、酸素富化空気を含む、温度/湿度制御したユニット中に配置した。マウスが正常の姿勢能力を獲得した後、次いで、それらを24時間ケージに戻した。
【0026】
試験完了時(第2日目)、マウスにヘパリン(1U/g、IP)を投与し、引き続きペントバルビタールナトリウム(100mg/kg、IP)で麻酔した。心臓を切除し、ランゲンドルフ装置を用いて大動脈カニューレ(23ゲージ針)を通して、Krebs−Henseleit溶液で潅流した。閉塞し、次いで再潅流した領域(リスク領域)を視覚的に示すために、冠状動脈を先の閉塞の部位で縛り、大動脈根を、1%蛍光粒子(直径1〜10μm、Duke Scientific、Palo Alto、CA)の通常食塩水中溶液で潅流した(3分かけて1mL)。この手順の結果、先に閉塞した冠状動脈によって供給された左心室(LV)の部分(リスク領域)は、UVライト下、蛍光の非存在によって同定され、残りのLVは暗青色に染色された。心臓を20分間凍結し、引き続き5〜7個の横軸の切片に切断した。生存可能な心筋からの梗塞を視覚的に示すために、心臓切片を20分間、1%塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)のリン酸バッファー(pH7.4、37℃)溶液中インキュベートした。次いで、切片を10%中性緩衝ホルムアルデヒド中で固定し、24時間後写真撮影した。梗塞し、虚血−再潅流した領域(リスクエリア)と非虚血の領域との境界を追跡した。対応するエリアを、コンピュータ化した面積測定法によって測定し、これらの測定値から梗塞サイズをリスクエリアのパーセント値として算出した。
【0027】
リスクエリアのサイズは、野生型マウス及びGPVIノックアウトマウスの間で同様であった(それぞれ、0.020±0.004cm及び0.022±0.005cm)。野生型マウスにおける梗塞エリア(梗塞サイズ)は、リスクエリアの平均45±18%であった。梗塞エリア(梗塞サイズ)は、GPVIノックアウトマウスでは有意に小さく、リスクエリアの平均22±8%であった。これらのデータを図1に概略する。
【0028】
(例2)
GPVIノックアウトマウスの心筋におけるPセレクチン発現の低減
血小板の活性化を、血小板α顆粒中に貯蔵され、活性化時に血小板表面に速やかに移動することができるPセレクチンの発現によって測定した。Pセレクチン発現は、免疫組織学を用いて検査した。
【0029】
マウスにおけるin vivoの心臓虚血/再潅流
マウスの心臓虚血及び再潅流を、例1において記載されている通りに行った。GPVIノックアウトマウス及び野生型マウスに、30分左冠状動脈前下行枝(LAD)閉塞を受けさせ、その後15分再潅流した。LADを15分再潅流した後、心臓を回収し、DPBSを用いて洗浄し、次いで2つの短軸部分に切断し、直ちに4%パラホルムアルデヒド及び0.1Mリン酸バッファー中に配置して組織を固定した。2時間後、組織を25%ショ糖に一夜移した。
【0030】
Pセレクチンの免疫蛍光検出
2日目、心臓組織を20μmの横断面に切断し、約30分間乾燥させた。各スライド上の切片をPAPペンの輪で囲み、約10分間乾燥させた。スライドを0.01M PBS−0.1%Triton(PBST)中で漱ぎ、室温で30〜60分間、正常ロバ血清(10%NDS、PBST)でインキュベートした。Pセレクチンを、ウサギ抗マウスPセレクチンポリクローナル抗体(Chemicon International)を用いて検出し、FITC−抗ウサギIgG(Jackson ImmunoResearch lab)で可視化した。
【0031】
蛍光画像
蛍光画像を、Zeiss共焦点顕微鏡(LSM510)、又は通常の蛍光顕微鏡を用いて得た。蛍光は488nmで励起し、540nmで検出した。虚血30分及び再潅流15分後、野生型マウスの心筋(心内膜及び中層心筋)中に高レベルのPセレクチンが検出された(図2a)。GPVIノックアウトマウスの心筋層では、はるかに少ないPセレクチン発現が検出された。発現のレベルを定量するために、虚血エリア内の強力な緑色蛍光を有するエリアのサイズを測定した。データは、Pセレクチン発現のエリアの合計サイズが、野生型マウスに比べてGPVIノックアウトマウスの心臓において有意に低下したことを示す(図2b)。
【0032】
(例3)
内皮再潅流傷害
脈管構造の健常な正常心臓において、密な内皮は、血管壁の細胞外マトリックスにおけるコラーゲンが循環血の成分と接触するのを防止する。虚血及び再潅流の間など、内皮が損傷を受けると、コラーゲンが曝露されるようになることがある。GPVIはコラーゲンに選択的に結合するので、GPVIを用いてin vivoで内皮の再潅流障害を調査した。この目的で、組換えのsGPVIを、蛍光タグであるFITCで標識し(sGPVI−FITC)、sGPVI−FITCをマウスに静脈内注射した。注射されたsGPVI−FITCは、内皮損傷により曝露されているコラーゲンに結合する。曝露されているコラーゲンに対するsGPVI−FITCの結合のレベルは蛍光顕微鏡下で組織学的に測定することができ、内皮損傷に対する尺度を提供するものである。
【0033】
sGPVI−FITC(2mg/kg)を野生型マウスに注射し、10分後、心臓虚血(30分)を開始した。何匹かの動物では虚血の後に再潅流(15分)を続けた。再潅流を経験した心臓において、脈管構造の著しい標識化が観察され(図3)、内皮の著しい損傷、及び結果として起こる循環血の成分に対するコラーゲンの曝露を示していた。これとは対照的に、再潅流を経験しなかった心臓において、sGPVI−FITCでの脈管構造の標識化は観察されなかった(図3)。これらのデータは、虚血心臓組織の再潅流が内皮損傷をもたらすことを示している。
【0034】
(例4)
抗GPVI抗体による心保護効果
体重2.0〜2.5kgの、中国からのカニクイザルを用いた。実験用に選択したサルを一夜絶食させ、ケタミンで鎮静させた(10mg/kg、IM)。さらに、アトロピン(0.05mg/kg、IM)を注射した。静脈内カテーテルを脚静脈中に挿入した。ペントバルビタールナトリウム(10〜15mg/kg、IV)で麻酔し、実験を通してさらなる投与量を投与した。正中線頸部切開により気管を曝露し、気管内チューブを導入した。動物を、小型動物用人工呼吸器、及び40% O/60% Nの混合ガスを用いて人工呼吸した。血圧測定及び動脈血試料採取用に、頸動脈にカニューレ挿入した。次いで、第4肋間に左開胸術を実施し、心臓を曝露した。左冠状動脈前下行枝は見えることがあるが、通常は重なる脂肪によって不明瞭であった。針上の2−0縫合糸を、動脈の開始点にできるだけ近い心室間溝における血管束の下を盲目的に通過させた。縫合糸の終端を、短い長さのポリエチレン製カテーテルに通してスネアを形成した。スネアを10秒間引っ張ったときにチアノーゼ及び心臓の前壁の収縮の中止が観察され、次いでスネアを開放したときに組織の充血及び収縮の再開が観察されることによって、スネアの成功を確認した。微小球を注射するために、カテーテルを左心耳中に挿入した。心拍数及びQRS波形を測定するために、ECGのリード線を取り付けた。直腸測定で38℃となるように、ヒーティングパッドを用いてサルを温めた。
【0035】
手術の準備、及び少なくとも20分間の平衡が完了した後、ベースラインの心拍数、血圧、及びECGを記録し、冠状動脈を90分間閉塞した。ECG、心拍数、及び血圧を継続的にモニターし、5分間毎分と10分、次いで閉塞終了まで10分毎に記録した。閉塞期間の終了時、スネアを開放し、冠状動脈を再潅流した。再びECG、心拍数、及び血圧を、5分間毎分と10分、次いで4時間の再潅流期間の終了まで10分毎に記録した。心室細動が生じた場合は、リズムを洞に変換するために、電気除細動器を用いた。
【0036】
再潅流4時間後、心臓を取り出し、潅流装置上に大動脈起始部によって吊るした。冠状動脈及び心臓から血液を洗浄するために食塩水を逆行性に潅流し、次いで冠状動脈を再閉塞した後、2〜9μm緑色蛍光微粒子(Microgenics Corp.、Freemont、CA)を潅流液に加えた。このようにして蛍光微粒子は、開存性の冠状動脈によって還流される心筋のみに入り、リスクエリア(又はリスクゾーン)は、蛍光微粒子を含まない心筋の領域として境界を定められた。心臓をドライアイス上に配置して凍結させ、次いでその長軸に対して垂直に2〜3mmの切片に切断した。切片を8〜10分間、37℃に温めた1%塩化トリフェニルテトラゾリウム(TTC)(GFS Chemicals、Powell、OH)中でインキュベートし、次いで組織を保存するために、及びTTCによって染色された組織と染色されなかった組織との間の色の対比を増強するために、10%ホルマリン中に入れた。TTCは、インタクトなNADH貯蔵を有する正常に還流された組織を赤れんが色に染色し、一方、この補助因子が放出され洗い流されている梗塞組織は無染色であり、白色か、心筋内の出血から、おそらく黒色となる。切片を、正確に2mm離れたプラスチック製プレート間で圧縮した。UVライト下で同定されたリスクゾーン領域、及び白色ライト下で同定された梗塞領域のサイズを、プラスチックオーバーレイ上に輪郭を描いて記録した。面積を面積測定法によって測定し、体積を、面積に2mmを乗じることによって算出した。
【0037】
対照の動物を、抗GPVI抗体の投与なしで冠状動脈の閉塞(90分)及び再潅流(4時間)に曝した。抗GPVI抗体処置群の1つにおいて、動物にOM2 Fabフラグメント(モノクローナルマウス抗ヒトGPVI抗体、Matsumotoら、Thromb Res、119巻、319〜329頁、2007年、及び米国特許出願公開第2007/0207155号を参照されたい)(各2mg/kg)を2回投与し、第1回を虚血10分前に投与し、第2回を再潅流の直前に投与した。免疫蛍光のデータ(図1〜3を参照されたい)は、再潅流の間のGPVIの役割を支持するものであるので、第2の抗GPVI抗体処置群において、動物にOM2 Fabフラグメント(2mg/kg)を再潅流直前に単回投与した。心筋梗塞をANOVAによって分析し、<0.05のp値を統計的に有意とみなした。
【0038】
梗塞のサイズを、パーセント値のグラフではなくリスクゾーンのサイズに対してプロットした。これは、齧歯動物に対しても見られたように、対照動物の梗塞サイズ/リスクゾーンのサイズのプロットが原点を通らないからである(Ytrehusら、Am J Physiol、267巻、H2383〜H2390頁、1994年)。Flamengら(Basic Res Cardiol、85巻、392〜403頁、1990年)がヒヒに対して言及したように、リスクゾーンのサイズも、マカクにおける梗塞サイズの重要な決定因子である。したがって、リスクゾーンが小さい場合、梗塞サイズは、いかなる介入の非存在下においてさえ、予想通り小さい。リスクゾーンが0.6cm未満である場合、対照のサルにおいても、梗塞は予想されない。梗塞のサイズを、リスクゾーンのサイズに対してプロットした場合、OM2抗体(2回又は単回投与のいずれか)は、回帰直線が右側にシフトする著しい心保護効果を示した。このシフトは、同じリスクゾーンのサイズでは、OM2処置したサルの梗塞サイズが小さかったことを示している。保護の程度は、OM2を2回又は単回投与したサルにおいて同様であり、GPVIによる血小板−コラーゲン相互作用は再潅流障害を誘発し、このような相互作用を阻害すると心保護がもたらされるという概念と一致する。
【0039】
OM2がこれらのサルにおいて血小板活性化を阻害するか否かを調査するために、OM2投与の前及び後に血液試料を採取した。次いで、ex vivoのコラーゲン誘発血小板凝集を、全血の血小板凝集計(Chrono−log、Corporation、PA)を用いて測定した。血液を食塩水で1:1(v/v)希釈し、血小板凝集計中5〜10分間、37℃でインキュベートした後、コラーゲンによって凝集を開始した(0.5μg/mL、Horm、Nycomed、ドイツ)。凝集を10分間、血液試料中の電極のインピーダンスの上昇としてモニターした(Aggro/link v4.75、Chrono−log)。
【0040】
図4bは、OM2投与前(投薬前)及び4時間後(投薬4時間後)に採取した血液試料中の、コラーゲン誘発血小板凝集の代表的な測定結果を示す。データは、OM2(2mg/kg)を再潅流前にサルに投与すると、ex vivoアッセイにおいて測定されるようにコラーゲン誘発血小板凝集を完全に阻害したことを実証している。0.4mg/kgのOM2投与は、同様の阻害を示した(データは示さず)。
【0041】
本明細書は、本明細書内に引用される参考文献の教示に照らし合わせて最も完全に理解され、それら全ての全文を参照によって本明細書に組み入れる。本発明の他の実施形態は、本発明の明細書及び本明細書に開示される実施形態を考慮すれば、当業者には明らかである。本明細書及び実施例は例示にすぎず、本発明の真の範囲及び精神は以下の特許請求の範囲によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再潅流傷害及び/又は梗塞の阻害を必要とする患者における前記阻害のための方法であって、血小板糖タンパク質VI(GPVI)の阻害剤を投与することを含み、該阻害剤が血小板GPVIとコラーゲンの間の相互作用を阻害する、上記方法。
【請求項2】
再潅流傷害及び/又は梗塞が、心筋再潅流傷害及び/又は心筋梗塞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
再潅流傷害及び/又は梗塞が、内皮再潅流傷害及び/又は内皮機能不全である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者が心臓発作を有したことのある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者が、冠状動脈血流の一時的な遮断をもたらす待機的手術を必要とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
阻害剤が、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的な抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
抗体が、OM1、OM2、OM3、及びOM4から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
抗体がOM2である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
抗体がヒト化されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
抗体が、化学的に、酵素的に、又は組換えで生成されたFabフラグメント、F(ab)フラグメント、又は、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的な相補性決定領域(CDR)を少なくとも1つ含むペプチドフラグメントから選択される活性な抗体フラグメントである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
活性な抗体フラグメントが、OM1、OM2、OM3、及びOM4から選択される抗体のフラグメントである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
抗体がOM2である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
活性な抗体フラグメントがヒト化されている、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
阻害薬がGPVIのペプチドフラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
GPVIのペプチドフラグメントが、GPVIのコラーゲン結合性ドメインである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ペプチドフラグメントが可溶性GPVI(sGPVI)である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
再潅流傷害及び/又は梗塞を処置するための薬物の製造のための血小板糖タンパク質VI(GPVI)の阻害剤の使用であって、該阻害剤が血小板GPVIとコラーゲンの間の相互作用を阻害する、上記使用。
【請求項18】
再潅流傷害及び/又は梗塞が、心筋再潅流傷害及び/又は心筋梗塞である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
再潅流傷害及び/又は梗塞が、内皮再潅流傷害及び/又は内皮機能不全である、請求項17に記載の使用。
【請求項20】
阻害剤が、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的な抗体である、請求項17に記載の使用。
【請求項21】
抗体が、OM1、OM2、OM3、及びOM4から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
抗体がOM2である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
抗体がヒト化されている、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
抗体が、化学的に、酵素的に、又は組換えで生成されたFabフラグメント、F(ab)フラグメント、又は、GPVIポリペプチド、ペプチド、又は天然に存在するそれらの変異体に特異的な相補性決定領域(CDR)を少なくとも1つ含むペプチドフラグメントから選択される活性な抗体フラグメントである、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
活性な抗体フラグメントが、OM1、OM2、OM3、及びOM4から選択される抗体のフラグメントである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
抗体がOM2である、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
活性な抗体フラグメントがヒト化されている、請求項24に記載の使用。
【請求項28】
阻害薬がGPVIのペプチドフラグメントである、請求項17に記載の使用。
【請求項29】
GPVIのペプチドフラグメントが、GPVIのコラーゲン結合性ドメインである、請求項28に記載の使用。
【請求項30】
ペプチドフラグメントが可溶性GPVI(sGPVI)である、請求項28に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate


【公表番号】特表2011−502123(P2011−502123A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531074(P2010−531074)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/012311
【国際公開番号】WO2009/058326
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】