説明

糖ペプチド誘導体及びその製造方法

【課題】医療及び医薬品開発の分野又はウイルス感染診断の分野において有効なリサーチツールを提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される糖ペプチドのLys(リジン)残基の遊離アミノ基のうち、少なくとも一つの遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合する糖ペプチド誘導体。
式(1):

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合する糖ペプチド誘導体及びその製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
近年、生命分子として、DNAなどの核酸及びタンパク質に加え、糖鎖が注目されている。膜タンパク質や細胞外などに存在する糖鎖は、細胞間の認識及び相互作用に関わる働きを有すると考えられている。そして、細胞間の認識や相互作用における変化が癌、慢性疾患、感染症、及び老化などを引き起こす原因であると考えられている。例えば、癌化した細胞においては、糖鎖に構造変化が起こっていることが知られている。また、インフルエンザウイルスなどの病原性ウイルスなどは、ある特定の糖鎖を認識し結合することにより、細胞に侵入し感染することが知られている。そこで、疾患時における生体中の糖鎖の構造変化を検出することができれば慢性疾患や感染症の有用な診断につながるものと考えられる。
【0003】
ところで、ウイルスが感染と脱出に糖鎖を利用することは公知であり、特にインフルエンザウイルス感染は、ウイルス表面に存在するヘマグルチニンが喉や肺表面にある糖鎖受容体に結合することで開始される。そこで、ウイルス表面のヘマグルチニンと粘膜細胞上皮に存在するシアル酸糖鎖との結合認識機構を利用することでウイルス感染防止又は感染の迅速診断が可能になると考えられる。
【0004】
ウイルスと糖鎖との特異的相互作用に加え、糖鎖をナノ粒子に固定することで、ナノ粒子の特徴もまた利用することができる。また、このバイオデバイスをウイルスの濃縮に用いることで、感染初期における低濃度のインフルエンザウイルス液であっても高感度分析を可能にすることが期待される。
特許文献1及び2には「硫黄原子(S)−金(Au)結合」を活用することで、表面に金を有する支持体とオリゴ糖とを結合するための芳香族アミノ基を有するチオクト酸誘導体がリンカーとして開示されている。しかし、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドのペプチド部分のアミノ基に対してジスルフィド基又はチオール基を含有したリンカーが導入された構造のものは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−157108号公報
【特許文献2】特開2009−256261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、医療及び医薬品開発の分野又はウイルス感染診断の分野において有効なリサーチツールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
下記式(1)で表される糖ペプチドのLys(リジン)残基の遊離アミノ基のうち、少なくとも一つの遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合する糖ペプチド誘導体。
式(1):
【化1】

〔2〕
前記ジスルフィド基含有リンカーが下記式(2)で表されるリンカーであり、前記チオール基含有リンカーが下記式(3)で表されるリンカーである、〔1〕に記載の糖ペプチド誘導体。
式(2):
【化2】

(式中、Rは、炭素数1〜8の2価のアルキル基を表す。)
式(3):
【化3】

(式中、Rは、ハロゲンで置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、若しくは炭素数2〜5のアルカノイル基、又は水素原子を表し、Rは炭素数1〜8の2価のアルキル基を表す。)
〔3〕
前記遊離アミノ基のすべてに前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーが結合する、〔1〕又は〔2〕に記載の糖ペプチド誘導体。
〔4〕
前記糖ペプチドが、下記式(4)で表される構造である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の糖ペプチド誘導体。
式(4):
【化4】

〔5〕
前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーを前記遊離アミノ基に導入して糖ペプチド誘導体を得る導入工程を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の糖ペプチド誘導体の製造方法。
〔6〕
鳥類卵脱脂卵黄を水又は塩溶液で抽出して糖ペプチドを含む抽出液を得る抽出工程、前記抽出液からアルコール沈殿させて、糖ペプチドを含む沈殿物を得る沈澱工程、前記沈殿物を脱塩して、糖ペプチドを得る脱塩工程、前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーを前記遊離アミノ基に導入して糖ペプチド誘導体を得る導入工程を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の糖ペプチド誘導体の製造方法。
〔7〕
前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーの導入後、糖ペプチド誘導体を含む反応液を水溶性有機溶媒に添加して糖ペプチド誘導体を沈殿させる工程をさらに含む、〔5〕又は〔6〕に記載の製造方法。
〔8〕
前記水溶性有機溶媒が、炭素数1〜5のアルコール、エーテル、アセトニトリル及びアセトンからなる群から選択される少なくとも一種以上の溶媒である、〔7〕に記載の製造方法。
〔9〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の糖ペプチド誘導体が、金表面に保持されている担体。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る糖ペプチド誘導体はジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを有するので表面に金を有する支持体と接触させることで固定化することが容易であり、シアル酸含有糖鎖を固定化した金粒子を容易に製造することができる。本発明に係る糖ペプチド誘導体は1分子あたり最大3分子のジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを結合することができるので表面に金を有する支持体と接触させることで固定化することがより容易である。また、本発明に係る糖ペプチド誘導体の製造方法によれば、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーの導入された糖ペプチド誘導体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】製造例1において製造された糖ペプチドのHPLCチャートを示す。
【図2】製造例1において製造された糖ペプチドのH−NMRチャートを示す。
【図3】製造例1において再度ODS樹脂で精製された糖ペプチドのHPLCチャートを示す。
【図4】製造例2において製造された糖ペプチドのHPLCチャートを示す。
【図5】実施例1において製造された、ジスルフィド基含有リンカーを導入した糖ペプチド誘導体のHPLCチャートを示す。
【図6】実施例2において製造された、ジスルフィド基含有リンカーを導入した糖ペプチド誘導体のHPLCチャートを示す。
【図7】実施例3において製造された、アセチルチオ基含有リンカーを導入した糖ペプチド誘導体のHPLCチャートを示す。
【図8】実施例4において490nmにおける吸光度を測定した結果を示す。
【図9】実施例5において490nmにおける吸光度を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
(糖ペプチド誘導体)
本実施の形態の糖ペプチド誘導体は、下記式(1)で表される糖ペプチドのLys(リジン)残基の遊離アミノ基のうち、少なくとも一つの遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合する糖ペプチド誘導体である(以下、単に、「糖ペプチド誘導体」と記載する場合がある。)。
式(1):
【化5】

【0012】
式(1)で表される糖ペプチド(以下、単に、「糖ペプチド」と記載する場合がある。)の糖鎖の還元末端には、アミノ酸6残基からなるペプチド鎖がAsnを介して結合している。Lys、Val、Ala、Asn、及びThrは、アミノ酸の3文字表記であり、それぞれ、リジン、バリン、アラニン、アスパラギン、及びスレオニンを意味する。
アミノ酸は、L−アミノ酸であっても、D−アミノ酸であってもよく、ラセミ体などを含め、L−アミノ酸とD−アミノ酸の任意の比率の混合物であってもよいが、L−アミノ酸であることが好ましい。また、各アミノ酸は、各アミノ酸と等価な誘導体であってもよい。
【0013】
上記式(1)で表される糖ペプチドは、N末端がLys残基であることが好ましいが、ペプチド配列中に、2つのLys残基を有する。N末端のLys残基は、2つの遊離したアミノ基を有し、アスパラギン(Asn)とスレオニン(Thr)に結合するLys残基は、1つの遊離アミノ基を有する。
すなわち、式(1)で表される糖ペプチドにおいて、Lys残基の遊離アミノ基は、下記構造における−NHのいずれかとして存在している。
【化6】

【0014】
したがって、本実施の形態の糖ペプチド誘導体においては、Lys残基に由来する合計3個の遊離アミノ基のうち少なくとも一つの遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合し、合計3個の遊離アミノ基の残りの遊離アミノ基は、そのまま遊離のアミノ基(−NH)として存在している。糖ペプチド誘導体としては、3個の遊離アミノ基のうち、全ての、すなわち、3個の遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合していてもよい。
【0015】
式(1)で表される糖ペプチドとしては、下記式(4)で表される構造であることが好ましい。
式(4):
【化7】

【0016】
本実施の形態の糖ペプチド誘導体においては、下記式(5)で表される糖ペプチド誘導体として、少なくとも一つのRがジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーであってもよい。
式(5):
【化8】

【0017】
式(5)で表される構造において、Rが全てH(水素原子)である場合には、本実施の形態における好適な形態としての糖ペプチドを意味する。
上記式で示されているように、糖ペプチド誘導体の糖鎖は、11個の糖残基からなる2分岐複合型糖鎖であり、2ヶ所の非還元末端にシアル酸を有する。
【0018】
本実施の形態において、「ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合する」とは、糖ペプチド誘導体におけるリジン残基中の3ヶ所の遊離アミノ基に、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合していることを意味する。
ジスフフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーとしては、遊離アミノ基と結合し得る部分を有し、且つ、ジスルフィド基又はチオール基を有するリンカーであり得る。遊離アミノ基と結合し得る部分と、ジスルフィド基又はチオール基とが、リンカー内に存在していれば特に限定されるものでもないが、原子数として、1〜20個の原子分離れて存在していることが好適である。
ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーは、リンカー全体として、炭素数2〜20、好ましくは、炭素数12以下のリンカーであることが好適である。
また、ジスルフィド基含有リンカーとチオール基含有リンカーは、遊離アミノ基と、特に限定されないが、アミド結合、C−N結合、カーバメート結合などのNの公知の共有結合により結合していることが好ましく、アミド結合であることが好ましい。アミド結合の場合、遊離アミノ基と結合し得る部分とは、C=O基が該当する。
【0019】
ジスルフィド基含有リンカーとしては、ジスルフィド結合(−S−S−)を有するリンカーであり、下記式(2)で表されるリンカーであることが好ましい。
式(2):
【化9】

(式中、Rは、炭素数1〜8の2価のアルキル基を表す。)
【0020】
炭素数1〜8の2価のアルキル基とは、2個の結合手を有するアルキル基を意味し、特に限定されるものではないが、一般式として、−C2n−、より具体的には、−(CH−として表すこともできる基である。アルキル基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖を有していてもよい。
【0021】
チオール基含有リンカーとしては、チオール基(−SH)が保護又は無保護のリンカーであり、実質として、−S−構造を有するリンカーを意味し、無保護チオール基含有リンカーとしては、−SH構造を有するリンカーを意味する。
チオール基含有リンカーとしては、下記式(3)で表されるリンカーであることが好ましい。
式(3):
【化10】

(式中、Rは、ハロゲンで置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、若しくは炭素数2〜5のアルカノイル基、又は水素原子を表し、Rは炭素数1〜8の2価のアルキル基を表す。)
【0022】
チオール基含有リンカーとしては、式(3)において、Rが水素原子である場合には、無保護チオール基含有リンカーを意味する。
また、式(3)において、Rが炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、若しくは炭素数2〜5のアルカノイル基である場合には、保護チオール基含有リンカーを意味する。炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、若しくは炭素数2〜5のアルカノイル基は、ハロゲンで置換されていてもよい。Rとしては、チオールに対する保護基である公知の基であってよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、アセチル基、ピバロイル基、トリクロロアセチル基が挙げられる。
【0023】
ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーは、3ヶ所の遊離アミノ基の少なくとも1つ、好ましくは2つ、さらに好ましくは3ヶ所に結合している。2ヶ所以上の遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合している場合、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーは同一のものでも異なるものでもよい。
【0024】
本実施の形態の糖ペプチド誘導体としては、N末端Lys残基の構造として下記構造のいずれかであり得る。
【化11】

上記構造中、Rはリジン残基の遊離アミノ基と結合するジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを表し、Rが、下記式(2)又は式(3)で表される構造であることが好ましい。
式(2):
【化12】

式(3):
【化13】

(式中、R、R、及びRについては、明細書中の上記記載と同様である。)
【0025】
本実施の形態の糖ペプチド誘導体としては、ペプチド鎖中で、Asn残基とThr残基に結合するLys残基の構造として下記構造のいずれかであり得る。
【化14】

上記構造中、Rはリジン残基の遊離アミノ基と結合するジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを表し、Rが、上記式(2)又は式(3)で表される構造であることが好ましい。
各構造におけるRは、同一であっても、異なっていてもよい。
【0026】
(糖ペプチド誘導体の製造方法)
本実施の形態の糖ペプチド誘導体の製造方法は、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを糖ペプチドのリジン残基の遊離アミノ基に導入する導入工程を含む。
導入工程により、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが糖ペプチドに導入され、糖ペプチド誘導体を得ることができる。
ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを導入するとは、遊離アミノ基とジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合することを意味する。
【0027】
本実施の形態の糖ペプチド誘導体の製造方法は、鳥類卵脱脂卵黄を水又は塩溶液で抽出して糖ペプチドを含む抽出液を得る抽出工程、前記抽出液からアルコール沈殿させて、糖ペプチドを含む沈殿物を得る沈殿工程、前記沈殿物を脱塩して、糖ペプチドを得る脱塩工程、及びジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを糖ペプチドのペプチド中のリジン残基のアミノ基に導入して糖ペプチド誘導体を得る導入工程を含むことが好ましい。
斯かる製造方法によれば、抽出工程、沈殿工程、及び脱塩工程により、鳥類卵脱脂卵黄より工業的規模で選択的に、安価且つ簡便に糖ペプチドを精製することができるので、これにジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを導入して、安価且つ簡便に糖ペプチド誘導体を製造することができる。
【0028】
(抽出工程)
抽出工程とは、鳥類卵脱脂卵黄を、水又は塩溶液に懸濁し、糖ペプチドの混合物などを抽出して、糖ペプチドの粗精製物である抽出液を得る工程である。なお、ここでいう糖ペプチドは、本実施の形態の11糖の2分岐複合型糖鎖以外を含む糖ペプチド以外の糖ペプチドも含む。
鳥類卵脱脂卵黄としては、市販の脱脂卵黄を用いてもよく、鳥類卵から調製した鳥類卵脱脂卵黄を用いてもよい。
鳥類卵としては、特に限定されるものではないが、例えば、ニワトリ、ウズラ、アヒル、カモ、ダチョウ、及びハトなどの卵が挙げられ、卵黄内に含まれる糖ペプチドの量が多いので、鶏卵などが好ましい。
鳥類卵としては、生の卵であってもよく、乾燥して得られる卵の乾燥粉末であってもよく、鶏卵卵黄又は鶏卵卵黄粉末などを用いることが好ましい。
【0029】
鳥類卵脱脂卵黄は、例えば、鳥類卵の全卵又は卵黄を、有機溶媒により脱脂処理することにより得ることができる。
脱脂処理する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、鳥類卵に有機溶媒を添加して、沈殿物と有機溶媒層を分離する方法などが挙げられる。
脱脂処理に用いられる有機溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、及び2−プロパノールなどが挙げられ、これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
脱脂処理において、鳥類卵に添加する有機溶媒の量としては、特に限定されるものではないが、鳥類卵に対して、質量で1〜5倍の有機溶媒を用いることにより脱脂処理を行うことができる。
また、脱脂処理を行う温度としては、特に限定されるものではないが、0〜25℃で行うことができる。
【0030】
鳥類卵に有機溶媒を添加した後、有機溶媒と鳥類卵とをよく撹拌することにより、有機溶媒により鳥類卵に含まれる脂分を除去することができる。
有機溶媒と沈殿物とを分離する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、2,000〜10,000rpmで5〜30分遠心分離してもよい。
有機溶媒を用いた脱脂処理は、2〜6回行うことが好ましい。
【0031】
鳥類卵脱脂卵黄に水又は塩溶液を添加して、鳥類卵脱脂卵黄から糖ペプチドを含む抽出液を抽出する方法は、特に限定されるものではないが、抽出工程において用いられる塩溶液としては、塩化ナトリウム水溶液及びリン酸緩衝液などが挙げられる。これらの塩溶液は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
塩溶液の濃度は、0.0001〜2.0%(w/v)であってもよく、鳥類卵脱脂卵黄に添加する水又は塩溶液の量は、特に限定されるものではないが、鳥類卵脱脂卵黄に対して、質量で、0.1〜50倍の水又は塩溶液を用いることができる。
また、糖ペプチドの抽出を行う温度は、特に限定されるものではないが、4〜25℃で行うことができる。糖ペプチドの抽出を行うpHは、特に限定されるものではないが、pH5〜pH9で行うことができる。
【0032】
鳥類卵脱脂卵黄に水又は塩溶液を添加した後、鳥類卵脱脂卵黄と水又は塩溶液とをよく撹拌することにより、糖ペプチドを含む抽出液を抽出することができる。
水又は塩溶液で抽出した糖ペプチドを含有する抽出液と鳥類卵脱脂卵黄とを分離する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、2,000〜10,000rpmで5〜30分遠心分離してもよい。
水又は塩溶液を用いた抽出処理は、2〜6回行うことが好ましい。
抽出工程は、水を用いて行うことが好ましい。
【0033】
(沈殿工程)
沈殿工程とは、抽出工程で得られた、糖ペプチドを含む抽出液を水溶性有機溶媒に添加することにより、抽出液を濃縮するだけでなく精製度の向上した糖ペプチドを沈殿物として得る工程である。沈殿工程においては、抽出液に水溶性有機溶媒を添加して粗精製物として、沈殿物を沈殿させてもよい。
本実施の形態において、水溶性有機溶媒とは、水と相溶性を有する有機溶媒であれば特に限定されないが、例えば、水と相溶性を有する炭素数1〜5の有機溶媒などが挙げられる。炭素数1〜5の有機溶媒とは、溶媒分子中の炭素数が1〜5であることを意味する。
該溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系、又はジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル系、アセトニトリル等のニトリル系、アセトン等のケトン系、ジメチルホルムアミド等のアミド系、及びジメチルスルホキシド等のスルホキシド系からなる群から選択される溶媒が挙げられる。これら低分子量溶媒は、1種で用いてもよく、2種以上の混合溶媒として用いてもよい。
水溶性有機溶媒としては、炭素数1〜5のアルコールであることが好ましく、沈殿工程において、水溶性有機溶媒がアルコールである場合、該沈殿工程は、抽出液をアルコールに添加してアルコール沈殿する工程(以下、「アルコール沈殿工程」と記載する場合がある。)であり、抽出工程で得られた、糖ペプチドを含有する抽出液をアルコールに添加することにより、抽出液を濃縮するだけでなく精製度の向上した糖ペプチドを沈殿物として得るアルコール沈殿工程である。
【0034】
以下、沈殿工程をアルコール沈殿工程として説明するが、アルコール以外の炭素数1〜5の水溶性有機溶媒を用いた沈殿工程においても同様に実施することができる。用いる水溶性有機溶媒量や沈殿させる際の溶媒温度などの条件は、溶媒ごとに適宜選択することができるが、以下に例示するアルコール沈殿工程と同様に設定することができる。
【0035】
アルコール沈殿工程に用いられるアルコールの量は、特に限定されるものではないが、抽出液に対して、質量で2〜20倍のアルコールを用いることができる。またアルコール沈殿工程に用いられるアルコールは、炭素数1〜5個のアルコールであればよく、好ましくは炭素数1〜3個のアルコールである。炭素数1〜3個のアルコールとしては具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール(イソプロパノール)を挙げることができ、中でもエタノールが好ましい。
本実施の形態において、アルコール沈殿工程において用いるアルコールは1種類であってもよいし、アルコールの混合物又は他の溶媒との混合物であってもよい。
アルコール溶媒が混合物である場合、例えば、メタノール又は2−プロパノールをエタノールに対し0.01〜50%添加した混合溶媒を用いてもよい。また、エタノールに対しアセトン、アセトニトリル又はジエチルエーテルを0.01〜50%添加した混合溶媒を用いてもよい。
【0036】
糖ペプチドを含む沈殿物を分離する温度は、特に限定されるものではないが、4〜25℃で行うことができる。
【0037】
アルコール沈殿工程で用いる、先の抽出工程により得られた抽出液は、ろ過することで、清澄な抽出液とすることもでき、また、減圧濃縮などにより濃縮した抽出液として用いてもよい。
【0038】
アルコール沈殿工程において、糖ペプチドを含む沈殿物を分離する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、2,000〜10,000rpmで5〜30分遠心分離してもよく、4〜25℃で静置することで分離してもよい。
得られた糖ペプチドを含む沈殿物を、水又は塩溶液に溶解し、再度アルコール沈殿工程を行うことにより、より精製された沈殿物を得ることができる。
【0039】
(脱塩工程)
脱塩工程とは、沈殿工程で得られた糖ペプチドを含有する沈殿物から塩を除去する工程である。
脱塩工程は、脱塩方法として知られた種々の公知の方法で行うことができるが、例えば、イオン交換樹脂、イオン交換膜、ゲルろ過、透析膜、限外ろ過膜又は逆浸透膜などを用いて脱塩することも可能である。脱塩工程としては、例えば、沈殿工程で得られた沈殿物を樹脂に保持させて水で洗浄することにより脱塩することもできる。
【0040】
沈殿物を樹脂に保持させる方法は、吸着、担持など公知の結合様式を利用した方法とすることができる。また、沈殿物は、水で洗浄する際に沈殿物が洗浄液と共に流出しない程度に、保持されていればよい。
また、樹脂としては、逆相分配クロマトグラフィー充填用樹脂等が挙げられ、逆相分配クロマトグラフィー充填用樹脂とは、シリカゲル系、ポリマー系を代表的とする樹脂を意味しポリ(スチレン/ジビニルベンゼン)ポリマーゲル樹脂、ポリスチレン−ジビニルベンゼン樹脂、ポリヒドロキシメタクリレート樹脂、スチレンビニルベンゼン共重合体樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、化学結合型シリカゲル樹脂などが挙げられる。
化学結合型シリカゲル樹脂とは、例えば、多孔性シリカゲルにジメチルオクタデシルクロロシランの様なシランカップリング剤を反応させて製造するODS樹脂などが挙げられ、シリカゲルに対し、同様の手法で異なるシリル化剤を用いることで、オクタデシル、ジメチルオクタデシル、メチルオクタデシル、ジメチルオクチル、オクチル、フェニル、シアノプロピル、アミノプロピル基からなる群から選択される基を化学結合させることで得られる樹脂等も挙げられる。又は炭素数22のドコシル基又は炭素数30のトリアコンチル基を結合して得られる樹脂であってもよい。
【0041】
脱塩工程は、脱塩した後に樹脂に保持されている糖ペプチドを、有機溶媒水溶液により溶出する工程を含むことが好ましい。溶出工程を行うことにより糖ペプチドの純度を向上させることができる。
溶出工程では、例えば、糖ペプチドを保持させたODS樹脂などのシリカゲル樹脂に対し、質量で1〜50倍の有機溶媒水溶液を用いて樹脂から溶出させることができる。また水洗浄の工程では、糖ペプチドができるだけ、水と共に流出せず、有機溶媒水溶液による溶出工程によって溶出することが好ましい。
溶出工程に用いる有機溶媒は、例えば、アセトニトリル、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1種を含有するものが挙げられる。有機溶媒水溶液の濃度は0.1〜20%(v/v)であり、好ましくは0.5〜20%(v/v)であり、より好ましくは10%(v/v)以下、さらに好ましくは5%(v/v)以下である。
有機溶媒水溶液により糖ペプチドを溶出する工程においては、水から徐々に濃度を上げていき、有機溶媒水溶液である溶出液にグラジエントをかけて溶出を行ってもよい。
【0042】
脱塩工程又は溶出工程を行う温度は、特に限定されるものではないが、4〜25℃で行うことができる。
【0043】
脱塩工程は、樹脂を用いた脱塩工程以外にも、分離膜を用いることにより沈殿工程で得られた沈殿物から脱塩することが可能である。
斯かる脱塩工程としては、例えば、限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いることで沈殿物の脱塩を行うことができる。
脱塩工程に用いる膜としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン、芳香族ポリアミド、酢酸セルロース、ポリビニルアルコールを構成基材とする平膜又は中空糸膜、スパイラル膜又はチューブラー膜であってもよい。さらにはイオン交換樹脂、イオン交換膜、ゲルろ過、透析膜、限外ろ過膜又は逆浸透膜で脱塩することも可能である。
【0044】
樹脂を用いた脱塩方法以外で(例えば分離膜による方法で)脱塩工程を行った後の処理液中に含まれる糖ペプチドを精製する方法としては、公知のペプチド、糖質、糖ペプチド等の精製方法を用いることができるが、例えば、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー又はサイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられる。逆相クロマトグラフィーに用いられる担体としては、例えば、シリカを基材としてオクタデシル、ジメチルオクタデシル、メチルオクタデシル、ジメチルオクチル、オクチル、フェニル、シアノプロピル、アミノプロピル、ドコシル、トリアコンチル基などを充填剤表面に固定化したものが用いられるが、その中でODS樹脂などが挙げられる。
【0045】
ODS樹脂などのシリカゲル樹脂充填剤を用いたカラムクロマトグラフィーによる精製方法においては、沈殿により得られた糖ペプチド中に含まれる塩を脱塩する工程を含んでいてもよく、有機溶媒水溶液により糖ペプチドを溶出する工程を含んでいてもよい。
糖ペプチドを添加して保持させたシリカゲル樹脂に対し、質量で、1〜50倍の水を用いて樹脂を洗浄することにより糖ペプチドの脱塩を行うことができる。
【0046】
溶出された糖ペプチドは、有機溶媒水溶液の減圧濃縮及び乾燥などにより粉末状の糖ペプチドとして得ることができる。
本実施の形態において、得られた糖ペプチドは、再度アルコール沈殿工程又は脱塩工程を行ってさらに精製してもよい。
【0047】
(導入工程)
導入工程とは、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを糖ペプチドのペプチド部分に存在する3個の遊離アミノ基のうちのいずれか1個の遊離アミノ基に導入する工程をいう。用いるジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーの量、反応液のpH、反応時間、反応温度などの反応条件を選択することにより、3個の遊離アミノ基に対しジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを遊離アミノ基の1〜3ヶ所に導入することができる。ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーの増加による金表面との反応性向上のために、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーは好ましくは2ヶ所、より好ましくは3ヶ所全ての遊離アミノ基に導入することが好ましい。
ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーは、上述した本実施の形態の糖ペプチド誘導体について挙げたものを使用することができる。
【0048】
例えば上記式(2)又は式(3)で表されるカルボキシル基を有するジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーをペプチドの遊離アミノ基に導入する方法は、特に限定されないが、通常のペプチド合成に用いる縮合方法を用いればよい。
例えば、式(2)又は式(3)で表されるリンカーのカルボン酸の、N−ヒドロキシコハク酸イミド、ニトロフェノール、又はペンタフルオロフェノールなどの活性エステルを用いて、必要に応じて、当該活性エステルを溶解できるアセトン、アセトニトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒と水との混合溶媒中で、有機アミンなどの有機塩基、炭酸水素ナトリウム、リン酸緩衝液又は炭酸緩衝液などの無機塩基の存在下、氷冷下もしくは室温下で15分〜1日、糖ペプチドと反応させてもよい。
式(2)又は式(3)で表されるリンカーのN−ヒドロキシコハク酸イミドの活性エステルを例示すると、下記式(6)で表される活性エステルであることが挙げられる。
式(6):
【化15】

【0049】
以下、本実施の形態の製造方法の説明においては、ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーを生成する反応試薬(上記活性エステルを含む。)を含めて、「ジスルフィド基又はチオール基含有リンカー」と総称して記載する。
糖ペプチド誘導体を製造する際に、添加するジスルフィド基又はチオール基含有リンカーを糖ペプチドの遊離アミノ基(糖ペプチド1モルあたり3モルの遊離アミノ基を有する)に対して過剰量、例えば総アミノ基のモル数に対して1.1倍から5倍のモル数のジスルフィド基又はチオール基含有リンカーを添加することで、糖ペプチドの全アミノ基にジスルフィド基又はチオール基含有リンカーを導入することができる。
【0050】
本実施の形態の製造方法において、導入工程におけるジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーの導入後、糖ペプチド誘導体を含む反応液を水溶性有機溶媒に添加して糖ペプチド誘導体を沈殿させる工程をさらに含んでいてもよい。
必要に応じて炭素数1〜5のアルコール、アセトン、アセトニトリル又はジエチルエーテル(エーテル)等を添加したアルコール沈殿工程及び必要に応じて脱塩工程を組み合わせて、糖ペプチド誘導体を精製してもよい。
脱塩を行った後に、有機溶媒水溶液により溶出することにより精製された糖ペプチド誘導体を得ることができる。
【0051】
糖ペプチド誘導体を添加して、糖ペプチド誘導体を保持させたODS樹脂などのシリカゲル樹脂に対し、質量で、1〜50倍の有機溶媒水溶液を用いて樹脂から溶出させることにより高純度の糖ペプチド誘導体を得ることができる。
【0052】
有機溶媒水溶液としては、例えば、アセトニトリル、メタノール、及びエタノールからなる群から選択される少なくとも1種の有機溶媒の水溶液などが挙げられ、有機溶媒水溶液の濃度は0.1〜70%(v/v)であり、好ましくは1〜50%(v/v)である。有機溶媒水溶液により糖ペプチド誘導体を溶出する工程においては、水から徐々に濃度を上げていき、有機溶媒水溶液である溶出液にグラジエントをかけて溶出を行ってもよい。
【0053】
溶出された糖ペプチド誘導体は、有機溶媒水溶液の減圧濃縮及び乾燥などにより粉末状の糖ペプチド誘導体として得ることができる。本実施の形態において、得られた糖ペプチド誘導体は、再度アルコール沈殿工程又は脱塩工程を行ってさらに精製してもよい。
【0054】
本実施の形態においては、糖ペプチド誘導体が、金表面に保持されている担体も提供する。
該担体の一態様として、本実施の形態の糖ペプチド誘導体は、例えば、緩衝液中で表面に金を有する支持体と接触させることで固定化することが容易であり、シアル酸含有糖鎖を固定化した金粒子を容易に製造することができ、この粒子を用いてウイルス種の判別やウイルスの濃縮ができるので有用である。
【0055】
インフルエンザウイルス表面には、ヘマグルチニンとノイラミニダーゼが存在する。インフルエンザウイルスは、これらのたんぱく質の種類の違いによって鳥インフルエンザウイルスH5N1型を含む144の亜種に分類されている。インフルエンザウイルスの宿主細胞への感染は、ウイルス表面たんぱく質であるヘマグルチニンが細胞表面のシアル酸含有糖鎖を受容体として認識して結合することによって開始される。ヒトインフルエンザウイルスはN−アセチルノイラミン酸−α−2,6−ガラクトースを有する糖鎖に対し高い結合親和性を示す。このことから、本実施の形態におけるシアル酸含有糖固定化金ナノ粒子はインフルエンザウイルスとの親和性が強く、低濃度のインフルエンザウイルス液であっても濃縮効果が期待され、高感度分析を可能にすることが期待される。
【実施例】
【0056】
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法は以下のとおりである。
【0057】
[HPLC分析]
1)糖ペプチドの分析例
カラム(Cadenza CD−C18 (Imtakt、150×2mm)を備えたGLサイエンス製HPLC GL−7400システムを用いて、以下の測定条件によりHPLC分析を行った。
測定条件(製造例1):
グラジエント;2%→17%(15min)、CHCN in aqueous 0.1%TFA solution
流速;0.3mL/min
UV;214nm
測定条件(製造例2):
グラジエント;2%→17%(15min)→90%(20min)、CHCN in aqueous 0.1%TFA solution
流速;0.3mL/min
UV;214nm
【0058】
2)ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが導入された糖ペプチド誘導体の分析例
測定条件:
グラジエント;20%→100%(20min)、CHCN in aqueous 0.1%TFA solution
流速;0.3mL/min
UV;214nm
【0059】
H−NMR測定]
糖ペプチドの分析例
O 0.4mLに試料 2mgを溶解して、JEOL製JNM−600(600MHz)でH−NMRを測定した。
【0060】
[LC/MS測定]
以下の測定条件でLC/MS測定を行った。用いたLC及びMSのシステムは以下のとおりである。
ジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが導入された糖ペプチド誘導体の分析例
LC:アジレント製1100シリーズ
カラム:Cadenza CD−C18 (Imtakt、150×2mm)
カラム温度:40℃
流速;0.2mL/min
UV:214nm
グラジエント;2%→100%(30min)、CHCN in aqueous 0.05%Formic acid solution
MS:サーモエレクトロン製LCQ
イオン化:ESI
モード:Positive、Negative
【0061】
[製造例1]鶏卵卵黄からの糖ペプチドの製造
鶏卵卵黄10個にエタノール350mLを添加し、よく撹拌した。8,000rpmで20分遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去することで沈殿物を得た。得られた沈殿物にエタノール300mLを添加し、よく撹拌後、遠心分離し、上清を除去する操作を3回繰り返して、沈殿物として脱脂卵黄150gを得た。
得られた脱脂卵黄150gに水200mLを添加し、よく撹拌した。8,000rpmで20分遠心分離し、デカンテーションにより上清を得た。デカンテーションにより得られた沈殿物に水100mLを添加し、よく撹拌後、遠心分離し、上清を回収する操作を3回繰り返した。回収した上清をグラスフィルターにて濾過後、100mLまで減圧濃縮した。その後、得られた濃縮溶液をエタノール700mLに注加し、生じた沈殿物を、8,000rpmで20分遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去することで回収した。得られた沈殿物を水に溶解し、再度エタノールに注加した。この操作を3回繰り返した。ここで生じた沈殿物を回収することで粗精製糖ペプチド1.58gを得た。
ODS樹脂としてシリカゲル樹脂Wakogel(100C18)25gをガラスカラムに充填し、該樹脂をメタノールで洗浄後、水で置換した。粗精製糖ペプチド1.5gを水5mLに溶解し水で置換後の樹脂に添加した。粗精製糖ペプチドを添加した樹脂を水100mLで洗浄後、2%アセトニトリル水溶液で糖ペプチドを溶出した。溶出液を凍結乾燥することで117mgの糖ペプチドを得た。
得られた糖ペプチドのHPLC及びH−NMRによる測定結果をそれぞれ図1及び2に示す。HPLCによる純度では95%であった。得られた糖ペプチドは標品(東京化成製)との比較により上記式(4)で表される構造であることが分かった。
ODS樹脂としてシリカゲル樹脂Wakogel(100C18)25gをガラスカラムに充填し、該樹脂をメタノールで洗浄後、水で置換した。得られた糖ペプチド50mgを水1mLに溶解し水で置換後の樹脂に再度添加した。糖ペプチドを添加した樹脂を水100mLで洗浄後、2%アセトニトリル水溶液で糖ペプチドを溶出した。溶出液を凍結乾燥することで30mgの糖ペプチドを得た。
得られた糖ペプチドのHPLCによる測定結果を図3に示す。HPLCによる純度では99%であった。
【0062】
[製造例2]脱脂卵黄からの糖ペプチドの製造
脱脂卵黄粉末(キューピー製)200gに蒸留水500mLを添加し、よく撹拌した。6,000rpmで20分遠心分離し、デカンテーションにより上清を得た。デカンテーションにより得られた沈殿物に水300mLを添加し、よく撹拌後、遠心分離し、上清を回収する操作を3回繰り返した。回収した上清を更に6,000rpmで20分遠心分離し、上清を回収しその後、200mLまで減圧濃縮した。その後、得られた濃縮溶液をエタノール1.3Lに注加し、生じた沈殿物を、6,000rpmで20分遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去することで回収した。得られた沈殿物を水300mLに溶解し、再度エタノール1.5Lに注加した。この操作を3回繰り返した。ここで生じた沈殿物を回収することで粗精製糖ペプチド2.5gを得た。
ODS樹脂としてシリカゲル樹脂Wakogel(100C18)100gをガラスカラムに充填し、該樹脂をメタノールで洗浄後、水で置換した。粗精製糖ペプチド2.5gを水20mLに溶解し水で置換後の樹脂に添加した。粗精製糖ペプチドを添加した樹脂を水200mLで洗浄後、2%アセトニトリル水溶液で糖ペプチドを溶出した。溶出液を凍結乾燥することで200mgの糖ペプチドを得た。
得られた糖ペプチドのHPLCによる測定結果を図4に示す。HPLCによる純度では95%であった。得られた糖ペプチドは標品(東京化成製)との比較により上記式(4)で表される構造であることが分かった。
【0063】
[実施例1]ジスルフィド基含有リンカーが導入された糖ペプチド誘導体の製造(1)
438mgの(R)−(+)−1,2−Dithilane−3−pentanoic acid(アルドリッチ製)をジメチルホルムアミド14mLに溶解し、20mgのN,N−ジメチルアミノピリジン、406mgの水溶性カルボジイミド、293mgのN−ヒドロキシコハク酸イミドを加え室温で6時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮後、20mLの酢酸エチルを添加し、有機溶媒層を10%(w/w)クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥し、その後減圧留去することで(R)−(+)−1,2−Dithilane−3−pentanoic acidの粗精製コハク酸イミドエステル323mgを得た。
続いて、製造例2で得られた糖ペプチド12mgを水−ジメチルホルムアミド(2/1:体積比)2mLに加え、さらに0.2mLの1M重曹水を加えた。その後26mgの(R)−(+)−1,2−Dithilane−3−pentanoic acidの粗精製コハク酸イミドエステルを加え12時間反応を行った。反応溶液にエタノール−アセトン(1/1:体積比)10mLを加えジスルフィド基含有リンカーとして、(R)−(+)−1,2−Dithilane−3−pentanoic acidが導入された粗精製糖ペプチド誘導体を沈殿させた。8,000rpmで5分遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去することで沈殿を回収した。得られた沈殿物を水に溶解し、再度エタノール−アセトン(1/1:体積比)10mLに注加した。この操作を3回繰り返した。ここで生じた沈殿物を回収することで糖ペプチド誘導体10mgを得た。
得られた糖ペプチド誘導体のHPLCによる測定結果を図5に示す。反応生成物についてLC/MS測定を行った。その結果、11.4分に検出されるピークは検出イオンが1715.4([M+2H]2+)及び1713.5([M−2H]2−)であることから推定分子量3428.9であり、糖ペプチドの3個のアミノ基に3個のジスルフィド基含有リンカーが導入された化合物であることが推定された。
【0064】
[実施例2]ジスルフィド基含有リンカーが導入された糖ペプチド誘導体の製造(2)
1031mgの(±)−α−Lipoic acid(シグマ製)をジメチルホルムアミド14mLに溶解し、20mgのN,N−ジメチルアミノピリジン、958mgの水溶性カルボジイミド、690mgのN−ヒドロキシコハク酸イミドを加え室温で6時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮後、20mLの酢酸エチルを添加し、有機溶媒層を10%(w/w)クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥し、その後減圧留去することで(±)−α−Lipoic acidの粗精製コハク酸イミドエステル200mgを得た。
続いて、製造例2で得られた糖ペプチド14mgを水−ジメチルホルムアミド(2/1:体積比)3mLに加え、さらに0.1mLの1M重曹水を加えた。その後23mgの(±)−α−Lipoic acidの粗精製コハク酸イミドエステルを加え18時間反応を行い、エタノール−アセトン(1/1:体積比)10mLを加えジスルフィド基含有リンカーとして、(±)−α−Lipoic acidが導入された粗精製糖ペプチド誘導体を沈殿させた。8,000rpmで5分遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去することで沈殿を回収した。得られた沈殿物を水に溶解し、再度エタノール−アセトン(1/1:体積比)10mLに注加した。この操作を3回繰り返した。ここで生じた沈殿物を回収することで糖ペプチド誘導体12.7mgを得た。
得られた糖ペプチド誘導体のHPLCによる測定結果を図6に示す。反応生成物についてLC/MS測定を行った。その結果、12.8分に検出されるピークは検出イオンが1715.4([M+2H]2+)及び1713.5([M−2H]2−)であることから推定分子量3428.9であり、糖ペプチドの3個のアミノ基に3個のジスルフィド基含有リンカーが導入された化合物であることが推定された。
【0065】
[実施例3]アセチルチオ基含有リンカーが導入された糖ペプチド誘導体の製造
951mgの6−Acethylthiohexanoic acid(アルドリッチ製)をジメチルホルムアミド7mLに溶解し、20mgのN,N−ジメチルアミノピリジン、1150mgの水溶性カルボジイミド、575mgのN−ヒドロキシコハク酸イミドを加え室温で6時間攪拌した。反応液を減圧下で濃縮後、20mLの酢酸エチルを添加し、有機溶媒層を10%(w/w)クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和重曹水、飽和食塩水の順で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥し、その後減圧留去することで6−Acethylthiohexanoic acidの粗精製コハク酸イミドエステル1200mgを得た。
続いて、で得られた糖ペプチド16mgを水−ジメチルホルムアミド(2/1:体積比)3mLに加え、さらに0.1mLの1M重曹水を加えた。その後11mgの6−Acethylthiohexanoic acidの粗精製コハク酸イミドエステルを加え18時間反応を行い、エタノール−アセトン(1/1:体積比)10mLを加えアセチルチオ基含有リンカーとして、6−Acethylthiohexanoic acidが導入された粗精製糖ペプチド誘導体を沈殿させた。8,000rpmで5分遠心分離し、デカンテーションにより上清を除去することで沈殿を回収した。得られた沈殿物を水に溶解し、再度エタノール−アセトン(1/1:体積比)10mLに注加した。この操作を3回繰り返した。ここで生じた沈殿物を回収することで糖ペプチド誘導体16.4mgを得た。
得られた糖ペプチド誘導体のHPLCによる測定結果を図7に示す。反応生成物についてLC/MS測定を行った。その結果、11.3分に検出されるピークは検出イオンが1691.4([M+2H]2+)及び1689.6([M−2H]2−)であることから推定分子量3381.0であり、糖ペプチドの3個のアミノ基に3個のアセチルチオ基が導入された化合物であることが推定された。
【0066】
[実施例4]
金粒子としてブリティッシュ バイオセル インターナショナル(British Biocell International, Ltd.)製のGold Colloid,20nm(EMGC20)を用いた。実施例1で得られた糖ペプチド誘導体0.63mgを630μLの水に溶解しその後EMGC20溶液630μLに加え4℃で終夜静置した。その後各サンプルの入ったチューブを12,000rpmで10分間遠心することで金粒子を沈殿させ上清を除去した。その後沈殿に500μLの水を加え撹拌し、12,000rpmで10分間遠心し、さらに上清を除去することで金粒子を洗浄した。この操作を3回繰り返した。
沈殿した金粒子に対し、PBSで希釈した生化学バイオビジネス製Biotin−SSA(Sambucus sieboldiana)の10μg/mL溶液を500μL加え4℃で終夜静置した。比較対象として水500μLを同一金粒子に加え4℃で終夜静置したものを用意した。その後各サンプルの入ったチューブを12,000rpmで10分間遠心することで糖ペプチド−Biotin−SSAが結合した金粒子を沈殿させ上清を除去した。その後沈殿に500μLのPBSを加え撹拌し、12,000rpmで10分間遠心し、さらに上清を除去することで金粒子を洗浄した。この操作を3回繰り返した。
次に生化学バイオビジネス製HRP標識ストレプトアビジンを10%グリセリン−PBS溶液により溶解し1mg/mL溶液を調製した。この溶液をPBSにて15000倍に希釈したものを金粒子に対し500μL加え撹拌しその後4℃で終夜静置した。その後各サンプルの入ったチューブを12,000rpmで10分間遠心することで金−糖ペプチド−SSA−biotin−avidin−HRPの順で結合した金粒子を沈殿させ上清を除去した。その後沈殿に500μLのPBSを加え撹拌し、12,000rpmで10分間遠心し、さらに上清を除去することで金粒子を洗浄した。この操作を3回繰り返した。
この金粒子に対しクエン酸リン酸緩衝液、オルトフェニレンジアミン(OPD)及び過酸化水素水を加えて調製した発色基質溶液200μLを加え発色させ、その後1N HClを200μL添加することで反応を停止させ、12,000rpmで3分間遠心し、上清を96穴プレートに移し、プレートリーダーにて490nmにおける吸光度を測定した。その結果を図8に示す。
その結果、実施例1で得られた糖ペプチド誘導体を金粒子と反応させた群は、比較対照群に比べて有意にSSAとの結合能が高いことが確認された。このことから糖ペプチド誘導体と結合した金粒子はその特異性がNeu5Ac(α2−6)Gal/GalNAcであると報告されているレクチンSSA(Sambucus sieboldiana)と結合している可能性が示唆された。
【0067】
[実施例5]
実施例4と同様に、金粒子としてブリティッシュバイオセルインターナショナル(British Biocell International, Ltd.)製のGold Colloid,20nm(EMGC20)を用いて、実施例4と同様の手法により、実施例1の糖ペプチド誘導体が結合した金粒子を製造した。
沈殿した金粒子に対し、PBSで希釈したアブカム(abcam)製Recombinant Influenza A virus Hemagglutinin H1 protein(HAと表記する)の5μg/mL溶液を500μL加え4℃で終夜静置した。比較対象として水500μLを同一金粒子に加え4℃で終夜静置したものを用意した。その後各サンプルの入ったチューブを12,000rpmで5分間遠心することで糖ペプチド−HAが結合した金粒子を沈殿させ上清を除去した。その後沈殿に500μLのPBSを加え撹拌し、12,000rpmで5分間遠心し、さらに上清を除去することで金粒子を洗浄した。この操作を4回繰り返した。
沈殿した金粒子に対し、アブカム(abcam)製の抗HA−マウスIgGモノクローナル抗体50μg/mL溶液を250μL加え4℃で終夜静置した。その後各サンプルの入ったチューブを12,000rpmで5分間遠心することで糖ペプチド−HA−抗HAマウス抗体が結合した金粒子を沈殿させ上清を除去した。その後沈殿に500μLのPBSを加え撹拌し、12,000rpmで5分間遠心し、さらに上清を除去することで金粒子を洗浄した。この操作を4回繰り返した。
沈殿した金粒子に対し、HRP標識抗マウスIgG−ウサギポリクローナル抗体0.25μg/mL溶液を各チューブに450μL加え4℃で終夜静置した。その後各サンプルの入ったチューブを12,000rpmで5分間遠心することで糖ペプチド−HA−抗HAマウス抗体−抗マウス抗体ウサギ抗体−HRPが結合した金粒子を沈殿させ上清を除去した。その後沈殿に500μLのPBSを加え撹拌し、12,000rpmで5分間遠心し、さらに上清を除去することで金粒子を洗浄した。この操作を4回繰り返した。
この金粒子に対しクエン酸リン酸緩衝液、オルトフェニレンジアミン(OPD)及び過酸化水素水を加えて調製した発色基質溶液200μLを加え発色させ、その後1N HClを200μL添加することで反応を停止させ、12,000rpmで3分間遠心し、上清を96穴プレートに移し、プレートリーダーにて490nmにおける吸光度を測定した。その結果を図9に示す。
その結果、実施例1で得られたジスルフィド基含有リンカー導入糖ペプチド誘導体を金粒子と反応させた群は、HAとの結合に関して、比較対照群に比べて有意に結合能が高いことが確認された。このことからジスルフィド基含有リンカー導入糖ペプチド誘導体と結合した金粒子はヒト型インフルエンザAウイルスと結合している可能性が示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の糖ペプチド誘導体は、医療及び医薬品開発の分野又はウイルス感染診断の分野において有効なリサーチツールとして産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される糖ペプチドのLys(リジン)残基の遊離アミノ基のうち、少なくとも一つの遊離アミノ基にジスルフィド基含有リンカー又はチオール基含有リンカーが結合する糖ペプチド誘導体。
式(1):
【化1】

【請求項2】
前記ジスルフィド基含有リンカーが下記式(2)で表されるリンカーであり、前記チオール基含有リンカーが下記式(3)で表されるリンカーである、請求項1に記載の糖ペプチド誘導体。
式(2):
【化2】

(式中、Rは、炭素数1〜8の2価のアルキル基を表す。)
式(3):
【化3】

(式中、Rは、ハロゲンで置換されていてもよい、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、若しくは炭素数2〜5のアルカノイル基、又は水素原子を表し、Rは炭素数1〜8の2価のアルキル基を表す。)
【請求項3】
前記遊離アミノ基のすべてに前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーが結合する、請求項1又は請求項2に記載の糖ペプチド誘導体。
【請求項4】
前記糖ペプチドが、下記式(4)で表される構造である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の糖ペプチド誘導体。
式(4):
【化4】

【請求項5】
前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーを前記遊離アミノ基に導入して糖ペプチド誘導体を得る導入工程を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の糖ペプチド誘導体の製造方法。
【請求項6】
鳥類卵脱脂卵黄を水又は塩溶液で抽出して糖ペプチドを含む抽出液を得る抽出工程、前記抽出液からアルコール沈殿させて、糖ペプチドを含む沈殿物を得る沈澱工程、前記沈殿物を脱塩して、糖ペプチドを得る脱塩工程、前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーを前記遊離アミノ基に導入して糖ペプチド誘導体を得る導入工程を含む、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の糖ペプチド誘導体の製造方法。
【請求項7】
前記ジスルフィド基含有リンカー又は前記チオール基含有リンカーの導入後、糖ペプチド誘導体を含む反応液を水溶性有機溶媒に添加して糖ペプチド誘導体を沈殿させる工程をさらに含む、請求項5又は請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記水溶性有機溶媒が、炭素数1〜5のアルコール、エーテル、アセトニトリル及びアセトンからなる群から選択される少なくとも一種以上の溶媒である、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の糖ペプチド誘導体が、金表面に保持されている担体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−224577(P2012−224577A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93308(P2011−93308)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【出願人】(000173924)公益財団法人野口研究所 (108)
【Fターム(参考)】