説明

糖化タンパク質の分析装置及び分析方法

【課題】糖化ヘモグロビン比率を高精度で算出する装置を提供する。
【解決手段】フルクトシルL-バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体又はフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体とフルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドの酸化反応による増減する電気化学的活性物質を検知する機構と、全ヘモグロビンを検知する機構と、糖化ヘモグロビンを含む検体をタンパク質分解酵素で処理する機構と、検体をタンパク質分解酵素で処理する前と後でのフルクトシルL-バリン又はフルクトシルバリルヒスチジンと全ヘモグロビンの検知結果に基づきブランクを排除したHbA1cを得るための演算機構とを備えた糖化ヘモグロビンの分析装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速且つ高精度に糖化ヘモグロビン量を測定する分析装置に関し、健康管理、臨床診断等に資するものである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の診断ならびに治療を目的とした診断項目として血糖値と糖化ヘモグロビン比率が広く用いられている。糖尿病の発症により、血糖値が上昇する。但し、血糖値は食事等の摂取により上昇し、変動の激しい測定項目である。従って、空腹時血糖値は糖尿病の一次スクリーニング、日常の治療成果の確認には適しているが、血糖値のみで糖尿病の正確な病態を把握することは困難である。そのため、数多くの診断指標が提案されている。中でもヘモグロビンの糖化率は有力な指標である。糖化ヘモグロビンとはヘモグロビンに糖が非酵素的に結合した糖化タンパク質の一種である。糖化ヘモグロビンの中でも特に、HbA1cと呼ばれる画分はヘモグロビンAのβ鎖N末端のバリン残基にグルコースがシッフ塩基を形成してアルジミン(不安定型)となり、更にアマドリ転位を受けてケトアミン化合物を生成したものである。尚、アルジミン構造をとるものを不安定糖化ヘモグロビン、ケトアミン構造をとる場合を安定糖化ヘモグロビンと呼ぶ。アマドリ転位後の前記β鎖のN末端はフルクトシルバリン残基となる。
【0003】
この反応過程に酵素の関与はなく、血漿中のグルコース濃度に応じてその量が増加し、いわゆる血漿中の血糖値が平均的に長期間高い値を示すとHbA1cは高値となる。安定型糖化ヘモグロビンはその赤血球の寿命が尽きるまで消滅しない。一般にヘモグロビン分子の生体内での寿命は2ヶ月程度とされており、その結果、HbA1cの値は過去1〜2ヶ月間の平均血糖値を反映するとされている。そのため、HbA1cは長期間の血糖値の平均値の指標として用いられる。HbA1cは長期間の平均値であるため、糖尿病の確定診断、治療のための判断材料として用いるのに適しているとされている。
【0004】
そのため、既に糖化ヘモグロビンについて多種多様な測定方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0005】
特許文献1には、フルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体と、フルクトシルペプチドオキシダーゼの触媒する反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構を用いて、フルクトシルバリルヒスチジン濃度を電気化学的に検知し、フルクトシルバリルヒスチジン量から糖化ヘモグロビンを算出するにあたり、フルクトシルペプチドオキシダーゼ固体化体と検体が接触する前に、糖化ヘモグロビンを含む検体をバチルス属由来のタンパク質分解酵素で処理することを特徴とする方法が記載されている。この方法によりHbA1cの定義であるヘモグロビンβ鎖の糖化物の正確な定量が可能になることが報告されている。
【0006】
特許文献2には、グルコースの酸化反応を触媒する酵素を固定化した固定化体とグルコース酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構と、フルクトシルL−バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体またはフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体とフルクトシルアミノ酸またはフルクトシルペプチドの酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構と、全ヘモグロビンを検知する機構を備えた分析装置が記載されている。この装置により、血液検体中の血漿グルコース濃度と糖化ヘモグロビン比率(HbA1c)を簡便且つ高精度で定量することができることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4622820号公報
【特許文献2】特許第4622836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、糖化ヘモグロビン比率を高精度で算出する装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フルクトシルL-バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体又はフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体とフルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドの酸化反応による増減する電気化学的活性物質を検知する機構と、全ヘモグロビンを検知する機構と、糖化ヘモグロビンを含む検体をタンパク質分解酵素で処理する機構と、検体をタンパク質分解酵素で処理する前と後でのフルクトシルL-バリン又はフルクトシルバリルヒスチジンと全ヘモグロビンの検知結果に基づきブランクを排除したHbA1cを得るための演算機構とを備えた糖化ヘモグロビンの分析装置を開示する。
【0010】
更に好適な構成として、前記の機構を備えた分析装置に、グルコースの酸化反応を触媒する酵素を固定化した固定化体とグルコース酸化反応により増減する電気化学活性物質を検知する機構とを更に備えた糖化ヘモグロビンの分析装置を開示する。
【0011】
糖化ヘモグロビンを含む検体をタンパク質分解酵素で処理する機構の好適な例としては、糖化ヘモグロビンを含む検体とタンパク質分解酵素と任意の時間接触させ、その一部を注入する機構である。
【0012】
演算機構とはより詳細には、検体をタンパク質分解酵素で処理した後の電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知結果の比に対して、タンパク質分解酵素で処理する前の電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知結果の比をブランクとして補正する演算機構である。
【0013】
また、本発明では、以下の工程を含む、検体中の糖化ヘモグロビンの分析方法を開示する:
フルクトシルL-バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体又はフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体と、フルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドの酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構を用いてタンパク質分解酵素処理前の検体中の電気化学的活性物質を検知する工程;
全ヘモグロビンを検知する機構を用いて、タンパク質分解酵素処理前の検体中の全ヘモグロビンを検知する工程;
糖化ヘモグロビンを含む検体をタンパク質分解酵素で処理する工程;
フルクトシルL-バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体又はフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体と、フルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドの酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構を用いてタンパク質分解酵素処理後の検体中の電気化学的活性物質を検知する工程;
全ヘモグロビンを検知する機構を用いて、タンパク質分解酵素処理後の検体中の全ヘモグロビンを検知する工程;
検体をタンパク質分解酵素で処理する前と後での電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知結果に基づき演算機構によりブランクを排除したHbA1cを得る工程。
【0014】
好適な構成として、前記の分析方法において、タンパク質分解酵素処理前の検体中の電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知を、界面活性剤溶液での検体の希釈から少なくとも1分経過した後に行い、且つタンパク質分解酵素処理後の検体中の電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知を、タンパク質分解酵素処理の開始から少なくとも2分経過した後に行うことを特徴とする検体中の糖化ヘモグロビンの分析方法を開示する。
【0015】
更に好適な構成として、前記の分析方法において、グルコースの酸化反応を触媒する酵素を固定化した固定化体と、グルコース酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構を用いてタンパク質分解酵素処理前の検体中のグルコース濃度を電気化学的に検知する工程を更に含むことを特徴とする検体中の糖化ヘモグロビンの分析方法を開示する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の装置及び方法によれば、演算機構を用いてブランクを排除したHbA1cを算出できるため、HbA1cを効率的且つ精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術と新規技術(本発明)の技術概要を示す図である。
【図2】測定装置の概略図である。
【図3】溶血後の経過時間(分)に対する過酸化水素電極の検出電流値(pA)を示すグラフである。
【図4】4種の検体について溶血後の経過時間(分)に対する過酸化水素電極の検出電流値(pA)を示すグラフである。
【図5】タンパク質分解酵素の作用時間(分)と過酸化水素電極の検出電流値(pA)を示すグラフである。
【図6】ブランク測定を行わずにタンパク質分解酵素を作用させた後のみ測定して演算を行った場合の測定値(HbA1c/%)と参照例(HbA1c/%)の関係を示すグラフである。
【図7】ブランク測定をして差演算を行った場合の測定値(HbA1c/%)と参照例(HbA1c/%)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の構成及び好ましい形態について更に詳しく説明する。
【0019】
糖化アミノ酸の測定は、糖化アミノ酸を酸化して過酸化水素を生成するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化して使用する。糖化ヘモグロビンN末端の糖化アミノ酸であるフルクトシルバリンの検出の際にフルクトシルアミノ酸オキシダーゼに要求される特性は、ε-アミノ基が糖化されたフルクトシルリジンには実質的に作用せず、フルクトシルバリンに特異的に作用することが好ましい。これは、血清中に含まれるアルブミンが糖化されたものからε-アミノ基が糖化されたリジンが遊離してくる場合や、ヘモグロビンに含まれるリジン糖化物が測定結果に正の誤差を生じる可能性があるためである。このような特性を有するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼとしては、コリネバクテリウム(Corynebacterium)由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼが例示できる。
【0020】
糖化ペプチドの測定は、糖化ペプチドを酸化して過酸化水素を生成するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化して使用する。糖化ヘモグロビンN末端の糖化ジペプチドであるフルクトシルバリルヒスチジンの検出の際に、フルクトシルペプチドオキシダーゼに要求される特性は、糖化ヘモグロビンα鎖N末端の糖化ジペプチドであるフルクトシルバリルロイシンやε-アミノ基が糖化されたε−フルクトシルリジンには実質的に作用せず、糖化ヘモグロビンβ鎖N末端の糖化ジペプチドであるフルクトシルバリルヒスチジンに特異的に作用する酵素が好ましい。
【0021】
本発明におけるグルコースの測定は、グルコースの酸化反応を触媒する酵素を固定化して用いる。該当する酵素としては、グルコースオキシダーゼ(EC1.1.3.4)、ピラノースオキシダーゼ(EC1.1.3.10)、グルコース脱水素酵素(EC1.1.99.10)などがある。中でもグルコースオキシダーゼは耐久性が高く、基質選択性に優れるため望ましい。
【0022】
グルコースオキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ等の酵素固定化方法としては、物理吸着法、イオン結合法、包括法、共有結合法などタンパク質の固定化方法として公知の方法を利用できるが、中でも共有結合法が長期安定性に優れ望ましい。タンパク質を共有結合させる方法としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド基を有する化合物を用いるか、多官能基性アシル化剤を利用する方法、スルフヒドリル基を架橋させる方法など各種の方法を利用できる。酵素固定化体の形状としては、膜状に固定化し白金、金、カーボンなどからなる電極上にのせることもできるし、不溶性担体に固定化し担体をカラムリアクターに充填して用いることもできる。
【0023】
さらに固定化の際に他種の酵素又はゼラチンや血清アルブミンなどのタンパク質、ポリアリルアミンやポリリジンなどの合成高分子を共存させ、酵素固定化体の特性、すなわち膜強度、基質透過特性などを変更することもできる。酵素を不溶性担体に固定化する場合の担体としては、粘土鉱物、ケイソウ土、活性炭、アルミナセラミックス、酸化チタン、シリカゲル、架橋処理デンプン粒子、セルロール系高分子、キチン及びキトサン誘導体などの公知の担体を利用できる。
【0024】
検体中のグルコース、タンパク質分解酵素の作用によって糖化ヘモグロビンから生成した糖化ペプチド及び糖化アミノ酸は、グルコースオキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ及びフルクトシルアミノ酸オキシダーゼで過酸化水素に変換し、各々のオキシダーゼにより生成した過酸化水素を検出することで、各物質濃度が測定できる。しかしながら、天然に存在するヘモグロビン糖化物の糖化率は約5%と低く、タンパク質分解酵素の処理によって生じたフルクトシルバリン又はフルクトシルバリルヒスチジン由来の過酸化水素量が通常よりも少ないことが十分に予想されるため、糖化ペプチド及び糖化アミノ酸を測定する場合には、過酸化水素を高感度で検出する。過酸化水素は公知の方法により直接、間接的に測定することができるが、ヘモグロビン自身が400〜600 nm付近に吸収帯を有しているため、公知の方法の中でもこれらの波長領域での過酸化水素の吸光度検出はヘモグロビンの吸収による妨害が大きく、実際の糖化ヘモグロビン測定には適用できない可能性が高い。これらのことから過酸化水素の高感度計測には、アンペロメトリ等の電気化学的な手法を用いるのがより好ましい。また、過酸化水素の電気化学的な検知には、種々のメディエータを組み合わせた公知の方法も使用することができる。更に、酵素の酸化還元反応を電気化学的に直接又は間接的に検知することで過酸化水素の検知に代えることもできる。
【0025】
糖化ヘモグロビンをタンパク質分解酵素で処理する方法は、まず糖化ヘモグロビンを含む検体を界面活性剤溶液と混合し、次にタンパク質分解酵素を添加して所定時間反応させる、又は、糖化ヘモグロビンを含む検体を界面活性剤溶液と混合した試料をタンパク質分解酵素が固定化された担体と所定時間接触させる等の方法が挙げられ、何れの方法を用いても良い。
【0026】
糖化ヘモグロビンを含む検体を処理する際に使用する界面活性剤には、溶血作用とヘモグロビンの分子構造を変化させる2つの作用が必要である。ヘモグロビンは赤血球内に大部分が存在し、適切な濃度の界面活性剤存在下ではヘモグロビンが赤血球外に放出される。また、ヘモグロビンは通常折りたたまれた状態で存在するが、適切な濃度の界面活性剤中では緩んだ状態で存在し、この作用によりタンパク質分解酵素による分解が容易になると推測される。界面活性剤としては、非イオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテル類[例えばポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(トリトンX-100)、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル等]やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類[例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ツイーン20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(ツイーン40)等]、陰イオン系のポリオキシエチレンアルキルエーテル類やアルキル硫酸塩[ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等)]、陽イオン系、両性イオン系があるが、陰イオン系界面活性剤が先に述べた2つの効果が高く、望ましい。その濃度は0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%で、界面活性剤との反応時間は数秒〜10分程度である。
【0027】
界面活性剤溶液としては界面活性剤を含む水溶液や緩衝液が挙げられる。緩衝液としては、ヘモグロビンが溶解できるpH範囲の緩衝液であれば特に限定されず、リン酸緩衝液やトリス緩衝液等の公知の緩衝液及びその塩を使用すれば良い。緩衝液には塩化ナトリウムや塩化カリウム等の塩を適宜添加しても良い。
【0028】
使用し得るタンパク質分解酵素は、糖化ヘモグロビンのβ鎖N末端に作用しフルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドを遊離させることができるものであれば特に限定されないが、ヘモグロビンが十分に溶解できるpH範囲に至適を有するタンパク質分解酵素が好ましく使用できる。タンパク質分解酵素は、微生物、動物、及び植物の何れに由来するものであっても良い。具体的には、カルボキシペプチダーゼ、パパイン、ペプシン、アミノペプチダーゼ、プロテイナーゼK、トリプシンなどの研究用の市販品、モルシン、AOプロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、ペプチダーゼ(以上、キッコーマン社製)、スミチームLP50D、スミチームCP、スミチームTP(以上、新日本化学工業社製)、プロナーゼE(以上、ロシュ社製)、プロテアーゼS「アマノ」G、プロテアーゼA「アマノ」G、プロテアーゼP「アマノ」3G、ウマミザイム(以上、アマノエンザイム社製)、プロチンPC、プロチンPC10F、プロチンPS10、プロチンNY10、プロチンNL10、プロチンNC25、サモアーゼPC10F(以上、大和化成社製)、アクチナーゼAS(以上、科研製薬社製)、トヨチームNEP、ニュートラルプロテイナーゼ(以上、東洋紡績社製)などの工業用の市販品が挙げられる。この中で好ましいものは、バチルス属、アスペルギルス属若しくはストレプトマイシス属の微生物由来、又は中性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼ、塩基性プロテアーゼ若しくはメタロプロテイナーゼに属するものである。バチルス属由来のプロテアーゼとしては、トヨチームNEP(以上、東洋紡績社製)、プロチンPC10F、プロチンNC25(以上、大和化成社製)など、アスペルギルス属由来のプロテアーゼとしては、モルシン(以上、キッコーマン社製)、ストレプトマシシス属由来のプロテアーゼとしては、アクチナーゼAF、アクチナーゼE、アクチナーゼAS(以上、科研製薬社製)、プロテアーゼType-XIV(以上、シグマ社製)などが挙げられる。
【0029】
本明細書において、微生物、動物及び植物由来のプロテアーゼとは、当該微生物、動物及び植物が産生するプロテアーゼ自体であっても良く、更に該プロテアーゼのアミノ酸配列において、1又はそれ以上のアミノ酸を置換、付加、欠失、挿入させることで得られる改変体であって、フルクトシルバリン又はフルクトシルバリルヒスチジンを遊離することができる改変体は広く包含される。
【0030】
ヘモグロビン濃度を測定する方法としては、シアンメトヘモグロビン法、メトヘモグロビン法、アザイドヘモグロビン法、SLS-ヘモグロビン法等の公知の方法を用いれば良いが、中でも種々の酵素に阻害や失活等の影響が少なく、試薬廃棄時に環境に対する負荷が小さいSLS-ヘモグロビン法が好ましい。SLS-ヘモグロビン法は、血液試料を陰イオン系界面活性剤であるアルキル硫酸塩溶液(以後、ヘモグロビン測定試薬と表記する)で処理した後、540 nmでの試料の吸光度変化から算出するものである。アルキル硫酸塩はラウリル硫酸ナトリウム(SLS)やポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム等を適宜選択して使用し、ヘモグロビン測定試薬中には緩衝液や各種塩類を含んでいても良い。アルキル硫酸塩の濃度は、反応溶液中の血球濃度0.25〜20体積%に対して0.05〜10重量%、好ましくは反応溶液中の血球濃度0.5〜10体積%に対して0.1〜5重量%である。血液試料とヘモグロビン測定試薬の反応は数秒〜数分程度で完了する。
【0031】
また、アルキル硫酸塩を含むヘモグロビン測定試薬中に、タンパク質分解酵素を作用させる際に使用する界面活性剤含有溶液を同時に共存させて、溶血、ヘモグロビンの変性、SLS-ヘモグロビンの形成反応を同時に行っても良く、検体のヘモグロビン測定試薬との反応後にタンパク質分解酵素処理用の界面活性剤含有溶液を加えても良く、逆の順序でも良い。
【0032】
ヘモグロビン測定試薬中の界面活性剤とタンパク質分解酵素処理用の界面活性剤は、上記の条件を満たすものであれば、異なっていても良く、同一であっても良い。
【0033】
タンパク質分解酵素処理前のヘモグロビン濃度の測定は、検体とヘモグロビン濃度測定試薬の反応終了後で反応液の吸光度が安定である時間の範囲内であれば如何なる時間に測定しても良く、好ましくは界面活性剤溶液での検体の希釈から少なくとも1分経過した後である。また、該測定は、グルコース、フルクトシルバリン及びフルクトシルバリルヒスチジンの検出の前後のいずれでも良い。
【0034】
タンパク質分解酵素処理後のヘモグロビン濃度の測定は、反応液の吸光度が安定である時間の範囲内であれば如何なる時間に測定しても良く、好ましくはタンパク質分解酵素処理の開始から少なくとも2分、望ましくは3分経過した後である。また、該測定は、フルクトシルバリン及びフルクトシルバリルヒスチジンの検出の前後のいずれでも良い。
【0035】
ヘモグロビン測定試薬で処理した検体の吸光度を測定する方法としては、キュベットに該試料を分注して特定の波長の吸光度を測定するバッチ法、又はテフロン(登録商標)管をセルとして試料がテフロン(登録商標)管を通過する際の特定の波長の吸光度変化を測定するフロー法を用いれば良く、操作が簡単であることからフロー法がより望ましい。固定化された酵素に試料を一定時間接触させて反応を進行させるには、試料液を一定時間撹拌しながら反応を起こさせるバッチ方式でも可能であるが、より高精度の測定を実施するためにフロー方式の測定を用いることが望ましい。本発明ではより高精度の測定を行えるフロー方式の装置を開示する。
【0036】
本発明者らは、ブランク値が検体毎に異なることを発見し、タンパク質分解酵素処理前にブランク測定を行うことでより安定的且つ正確な高精度でHbA1cが得られることを発見した。本発明の技術と従来技術を図1に示す。従来技術では、タンパク質分解酵素処理後にヘモグロビン量、フルクトシルバリルヒスチジン及びグルコースの検知を行っていた(図1上)。しかしながら、本発明では、タンパク質分解酵素処理前にヘモグロビン量及びフルクトシルバリルヒスチジンの検知を行い、これとタンパク質分解酵素処理後に検知したヘモグロビン量及びフルクトシルバリルヒスチジンとで差演算を行うことによりブランクを排除したHbA1cを求める(図1下)。すなわち、本発明では、タンパク質分解酵素処理前と後で、全ヘモグロビンとフルクトシルL-バリン又はフルクトシルバリルヒスチジンを検知し、ブランクを演算機構により差演算する。
【0037】
ブランクを排除するための演算方法について説明する。具体的には、タンパク質分解酵素処理の前と後での、全ヘモグロビンと電気化学的活性物質の検知結果を使用して、以下の式から測定演算値を得る。
【0038】
測定演算値 = [分解後の過酸化水素電極電流値] / [分解後の比色計測定値]
− A × [分解前の過酸化水素電極電流値] / [分解前の比色計測定値]
ここでAは、サンプルの種類、タンパク質分解酵素の種類、反応条件などにより決定される係数であり、実施する実験条件に応じて適宜設定される値である。Aの値としては、0.1〜2.0が好ましい。
【0039】
上記式から得られる測定演算値を使用して、予め求めておいた検量線からHbA1cを算出する。このように、演算機構では、ブランクの差演算及びHbA1cの算出が行われる。
【0040】
本発明の1つの好ましい実施形態を図2に示す。緩衝液の流れを形成する機構(12、13)と検体を注入する機構(5、7)、ヘモグロビン濃度検出用フロー型比色計(6)と電気化学的活性物質濃度を検知できる電極(18、19)を配置し、ヘモグロビン濃度検出系(6)、糖化アミノ酸または糖化ペプチド検出用電極系(17、18)とグルコース検出用電極系(19)で構成される。
【0041】
具体的には、緩衝液槽(12)より緩衝液をポンプ(13)により送液し、エアトラップダンパ(14)で緩衝液中の空気をトラップする。試料(8)にノズル(7)を挿入し、バルブ(2)を閉じ、バルブ(4)を開けて、シリンジポンプ(3)を引くことにより検体を一定量採取して反応恒温槽(9)へ処理液と共に注ぎ入れて希釈する。反応恒温槽内の希釈検体を、一定時間経過後あるいはプロテアーゼを添加して一定時間反応後にノズル(7)で計量バルブ(5)に一定量引き込む。次に計量バルブ(5)を切り替え、緩衝液により計量バルブ内の試料を押し出して緩衝液ラインへと注入する。注入された試料は、緩衝液の流れに従って、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ固定化体又はフルクトシルペプチドオキシダーゼ固定化体(17)を通り、そこで生成した過酸化水素が下流の過酸化水素電極(18)で検知される。続いてグルコース電極(19)で生成した過酸化水素が検知される。廃液は背圧コイル(20)を通り、廃液ボトル(21)に溜まる。
【0042】
フロー型比色計(6)の一定波長での吸光度変化からヘモグロビン濃度を定量し、過酸化水素電極(18)及び(19)の電流値の変化を検知することによりグルコース及びブランクを排除した糖化アミノ酸又は糖化ペプチド濃度を定量することができる。
【0043】
これらの装置に流す緩衝液は特に限定されないが、固定化酵素(17、19)の活性が高くなるようなpH(例えばpH7〜9)になるように選択すればよい。また固定化酵素(17、19)と過酸化水素電極(18、19)に負の影響を与えない種類や濃度範囲の制菌剤や界面活性剤を含んでいても良く、過酸化水素電極(18、19)に妨害を与えない固定化酵素(17、19)の賦活剤を含んでいても良い。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
・使用した電極について
固定化酵素リアクタ(17)は、担体充填部の内径3 mm、長さ15 mmのカラム状リアクタで、平均粒子径250μmの多孔質シリカゲルを担体とし、フルクトシルペプチドオキシダーゼ(キッコーマン社製)を固定化して用いた。固定化には、シリカゲル表面をシランカップリング剤であるγ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製)を修飾してアミノ基を導入し、グルタルアルデヒド(キシダ化学社製)を架橋剤として、シリカゲル1 mg当たりフルクトシルペプチドオキシダーゼが0.25U固定化できるように化学的に結合した。
【0046】
過酸化水素電極(18)は、作用極として白金、対極として白金、参照極として銀/塩化銀がそれぞれ同一基板平面上に配置した3電極方式を使用した。この電極表面上に過酸化水素以外の被酸化性物質の透過を抑制するためのアセチルセルロース膜を被覆してフローセル内へ配置し、参照極に対し+0.65Vの電位を作用極へ印加することで過酸化水素を選択的に酸化し、その酸化電流値を得ることができる。
【0047】
グルコース電極(19)は過酸化水素電極のアセチルセルロース膜上に、さらにグルコースオキシダーゼ固定化膜を被覆したもので、グルコースオキシダーゼがグルコースを酸化分解する際に生成する過酸化水素を酸化電流値として検出する。グルコースオキシダーゼ固定化膜は、グルコースオキシダーゼ(シグマ社製、TypeII)50 mg/ml、牛血清アルブミン10 mg/ml、グルタルアルデヒド1(w/v)%を含む水溶液をアセチルセルロース膜状に塗布し、40℃で15分間乾燥硬化させることで調製した。この電極をフローセル内へ配置しグルコースオキシダーゼ電極とした。
【0048】
・緩衝液ライン(センサ系)について
測定に使用した緩衝液は100 mMのリン酸と50 mMのKClを含み、pHは7.0である。緩衝液槽(12)の緩衝液は緩衝液送液ポンプ(13)で1 mL/minの流速で送液され、エアトラップダンパ(14)で緩衝液中の空気をトラップし、ポンプの圧変動を吸収して、計量バルブ(5)へと送られる。計量バルブ(5)で一定量(4μL)の試料が注入されると、恒温槽(15)内の混合用配管で緩衝液中に拡散し、固定化酵素カラム(17)内で試料と固定化酵素が接触、反応し過酸化水素を生成し、その過酸化水素を過酸化水素電極(18)が酸化電流値として検出する。さらに試料はグルコース電極(19)へと送られ、そこで試料中のグルコースを酸化電流値として検出する。試料と緩衝液は、背圧コイル(20)を通過して、最終的に廃液ボトルへと送られる。
【0049】
・処理液ラインについて
試料の希釈やタンパク分解酵素を作用させる反応には、陰イオン界面活性剤を1%含む水溶液を用いた。処理液槽(1)の処理液をシリンジポンプ(3)とバルブ(2、4)とを組み合わせて吸排する。試料管(8)の試料(40μL)を試料吸引ノズル(7)で一定量の処理液(745μL)とともに反応恒温槽(9)へ吐出し希釈混合する。希釈混合した反応恒温槽(9)内の試料の一部を試料吸引ノズル(7)で吸引し、フロー型比色計(6)で試料の吸光度を測定したのち、さらに計量バルブ(5)まで吸引して緩衝液ラインへと注入する。反応恒温槽(9)に残った試料希釈液にタンパク質分解酵素(15μL)を添加し、一定温度(40℃)で一定時間(3分)作用させる。タンパク質分解酵素により分解した試料を試料吸引ノズル(7)で吸引し、フロー型比色計(6)で試料の吸光度を測定した後、さらに計量バルブ(5)まで吸引して緩衝液ラインへと注入する。
【0050】
・反応シーケンスについて
試料としてヒト全血40μLを処理液745μLで希釈することで、赤血球が溶血し過酸化水素が発生する。この過酸化水素が消失するまで3分間待機し、希釈液のうち200μLを分取して吸光度測定及び緩衝液ラインへと注入し、タンパク質分解酵素を作用させる前のブランクを過酸化水素電極(18)で測定し、さらに試料中のグルコース濃度をグルコース電極(19)で測定する。
【0051】
その後、タンパク質分解酵素を含む溶液15μLを添加し、全量を600μLとする。40℃で5分間赤血球中のヘモグロビンを分解することで、糖化ヘモグロビンから糖化N末端に作用してフルクトシルバリルヒスチジンが生成する。反応後の試料希釈液を分取して吸光度測定を行い、さらに緩衝液ラインへ注入すると、糖化ヘモグロビン由来のフルクトシルバリルヒスチジンはフルクトシルペプチドオキシダーゼが固定化された固定化酵素リアクタ(17)を通過する際に、その濃度に応じた過酸化水素を生成し、過酸化水素電極(18)で酸化電流値として検出することができる。
【0052】
試料を希釈して溶血した際に1分間待機するのは、正確なブランク測定を行うためで、溶血時に赤血球から生成する過酸化水素が消失するまでに少なくとも1分を要するからである。ヒト全血を希釈して溶血した直後から消失までの過酸化水素量を過酸化水素電極にて検出した様子を図3に示す。この条件では溶血直後に生成した過酸化水素が消失するまでに最低1分程度待機する必要があることがわかる。また、図4は図3と同様のデータで、他の検体についても検討した結果を示したものである。図3と同様、少なくとも1分間を待機する必要があることがわかるが、更にブランク値として落ち着く値が検体毎に異なっており、検体毎にブランク測定を行うことが重要であることがわかる。
【0053】
タンパク質分解酵素を使用し、ヘモグロビンを分解した時間と、分解生成物であるフルクトシルバリルヒスチジンをフルクトシルペプチドオキシダーゼで酸化した際に生成した過酸化水素を過酸化水素電極で検出した電流値とを図5に示す。
【0054】
この条件では反応が3分を超えると反応が終了していることがわかり、少なくとも3分を反応時間とすることが適切であることがわかる。
【0055】
・ブランク測定の有無
実際のヒト全血を用いてブランク測定を行わずにタンパク質分解酵素を作用させた後のみ測定して演算を行った場合と、ブランク測定をして差演算を行った場合の結果をそれぞれ図6及び7に示した。また、ブランク測定を行わなかった場合と行った場合の相関係数を表1に示した。これらはいずれも標準物として認証実用標準物質(検査医学標準物質機構製)を実検体と同様に測定して校正し、ヒト全血の糖化ヘモグロビン値を算出した。対照となる参照例データはHA-8160(アークレイ社製)を用いて測定した。尚、ブランク測定を行う場合の差演算は以下の式を用いて行った。

測定演算値 = [分解後の過酸化水素電極電流値] / [分解後の比色計測定値]
−0.3 × [分解前の過酸化水素電極電流値] / [分解前の比色計測定値]
【0056】
【表1】

【0057】
これらの結果から明らかなように、ブランク測定を行わない演算なしの結果と比較して、ブランク測定を行う演算ありの結果では参照例との相関性は良好であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、血液検体中の安定糖ヘモグロビンを簡便且つ正確に定量することができ、糖尿病の検査を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0059】
1 処理液槽
2 バルブ
3 シリンジポンプ
4 バルブ
5 計量バルブ
6 フロー型比色計
7 試料吸引ノズル
8 試料管
9 反応恒温槽
10 廃棄・洗浄ポート
11 廃液ボトル
12 緩衝液槽
13 緩衝液送液ポンプ
14 エアトラップダンパ
15 恒温槽
16 混合用配管
17 固定化酵素リアクタ
18 過酸化水素電極
19 グルコース電極
20 背圧コイル
21 廃液ボトル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルクトシルL-バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体又はフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体とフルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドの酸化反応による増減する電気化学的活性物質を検知する機構と、全ヘモグロビンを検知する機構と、糖化ヘモグロビンを含む検体をタンパク質分解酵素で処理する機構と、検体をタンパク質分解酵素で処理する前と後でのフルクトシルL-バリン又はフルクトシルバリルヒスチジンと全ヘモグロビンの検知結果に基づきブランクを排除したHbA1cを得るための演算機構とを備えた糖化ヘモグロビンの分析装置。
【請求項2】
グルコースの酸化反応を触媒する酵素を固定化した固定化体とグルコース酸化反応により増減する電気化学活性物質を検知する機構とを更に備えた、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
以下の工程を含む、検体中の糖化ヘモグロビンの分析方法:
フルクトシルL-バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体又はフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体と、フルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドの酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構を用いてタンパク質分解酵素処理前の検体中の電気化学的活性物質を検知する工程;
全ヘモグロビンを検知する機構を用いて、タンパク質分解酵素処理前の検体中の全ヘモグロビンを検知する工程;
糖化ヘモグロビンを含む検体をタンパク質分解酵素で処理する工程;
フルクトシルL-バリンに作用するフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを固定化した固定化体又はフルクトシルバリルヒスチジンに作用するフルクトシルペプチドオキシダーゼを固定化した固定化体と、フルクトシルアミノ酸又はフルクトシルペプチドの酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構を用いてタンパク質分解酵素処理後の検体中の電気化学的活性物質を検知する工程;
全ヘモグロビンを検知する機構を用いて、タンパク質分解酵素処理後の検体中の全ヘモグロビンを検知する工程;
検体をタンパク質分解酵素で処理する前と後での電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知結果に基づき演算機構によりブランクを排除したHbA1cを得る工程。
【請求項4】
タンパク質分解酵素処理前の検体中の電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知を、界面活性剤溶液での検体の希釈から少なくとも1分経過した後に行い、且つタンパク質分解酵素処理後の検体中の電気化学的活性物質と全ヘモグロビンの検知を、タンパク質分解酵素処理の開始から少なくとも2分経過した後に行うことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
グルコースの酸化反応を触媒する酵素を固定化した固定化体と、グルコース酸化反応により増減する電気化学的活性物質を検知する機構を用いてタンパク質分解酵素処理前の検体中のグルコース濃度を検知する工程を更に含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−79809(P2013−79809A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218405(P2011−218405)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(398023874)王子計測機器株式会社 (11)
【出願人】(000122298)王子ホールディングス株式会社 (2,055)