説明

糖化蛋白質の測定方法

【課題】フルクトシルリジン類の影響を軽減し、かつ簡便で効率の良い糖化蛋白質、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を測定する方法及び測定用試薬を提供する。
【解決手段】フルクトシルバリルヒスチジンに、pH4.0〜7.0でフルクトシルペプチドオキシダーゼを特異的に作用させ、得られる過酸化水素をpH4.0〜7.0にて測定することによりフルクトシルリジンの影響を軽減することを特徴とする、フルクトシルバリルヒスチジンの測定におけるフルクトシルリジンの影響の軽減方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中の糖化蛋白質、糖化ペプチド又は糖化アミノ酸の測定方法、及びその測定方法に用いられる測定用試薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
糖化蛋白質は、蛋白質が非酵素的に糖化された蛋白質で、糖側のアルデヒド基と蛋白質側のアミノ基がシッフ塩基を形成した後、アマドリ転移を経て形成されるアマドリ化合物である。糖化蛋白質は生体内に広く存在しており、このうち血液中の糖化蛋白質の濃度は、血清中に溶解しているグルコースなどの単糖の濃度に依存している。糖化蛋白質としては、蛋白質のアミノ末端のα−アミノ基が糖化されたもの(例えば、糖化ヘモグロビン)、蛋白質の内部リジン残基のε−アミノ基が糖化されたもの(例えば、糖化アルブミン)を挙げることができ、血清中の糖化アルブミンの濃度や赤血球中の糖化ヘモグロビンと非糖化ヘモグロビンとの存在比は、過去の一定期間の平均血糖値を反映することから、糖尿病の診断、病状の管理、治療効果の判定など臨床診断の指標として使用されている。
【0003】
糖化蛋白質の測定方法としては、手技が簡単で、臨床検査室で繁用される自動分析装置にも適応可能な酵素法が知られている(例えば、特許文献1参照)。酵素法は、試料中の糖化蛋白質に蛋白質分解酵素を作用させて次工程の基質となる糖化ペプチド又は糖化アミノ酸を遊離させる前処理工程、次いで、遊離した基質に糖化ペプチド特異酵素又は糖化アミノ酸特異酵素(例えば、オキシダーゼ)を作用させて検出可能な生成物(例えば、過酸化水素)を生成させ、該検出可能な生成物を測定する測定工程からなる方法である。
【0004】
しかしながら、報告されている酵素法は、前処理工程における蛋白質分解酵素及び測定工程における特異酵素が糖化蛋白質、糖化ペプチド、糖化アミノ酸(以下、総称して糖化蛋白質等ということがある)個々の分子の違いを厳密に認識することができないため、測定対象の糖化蛋白質等と測定対象外の糖化蛋白質等が共存する場合、前記特異酵素が該測定対象外の糖化蛋白質等とも反応してしまい、測定方法としての特異性が低下するという問題がある。
【0005】
前記測定工程に用いられる糖化ペプチド特異酵素又は糖化アミノ酸特異酵素としては、従来、コリネバクテリウム属菌の生産するオキシダーゼ(例えば、特許文献2参照)、アスペルギルス属菌の生産するオキシダーゼ(例えば、特許文献3参照)等が知られているが、これらの酵素は糖化アミノ酸にはよく作用するが、糖化ペプチドには作用しにくい。最近、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを改変した酵素(特許文献4)、あるいは糸状菌由来フルクトシルペプチドオキシダーゼ(特許文献5)が報告され、これらのオキシダーゼは、pH8.0の条件下で糖化ペプチド、特にフルクトシルバリルヒスチジンに対して特異的に作用するとされている。
【0006】
前記の様なフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを用いた糖化ヘモグロビンの測定では、ヘモグロビンβ−サブユニットのアミノ末端のバリンが糖化されたフルクトシルバリンや、フルクトシルバリンに更に一アミノ酸が付加しているフルクトシルバリルヒスチジンと、蛋白質中のリジン残基が糖化されたε−フルクトシルリジンに対する反応性の違いが、オキシダーゼの特異性を決定する。しかし、ヘモグロビン分子には44個のリジン残基が存在しており、ε−フルクトシルリジンに対する反応性が低くとも、その影響を無視できない。また、ヘモグロビンや他の血漿蛋白質由来(例えば、糖化アルブミンなど)又は食品、薬剤由来のフルクトシルリジンを含む化合物(以下「フルクトシルリジン類」という場合がある)による正誤差を従来の方法では回避できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−127895号公報
【特許文献2】特公平5−33997号公報
【特許文献3】特開平3−155780号公報
【特許文献4】特開2001−95598号公報
【特許文献5】特開2003−235585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、フルクトシルリジン類の影響を軽減して種々の自動分析装置に適用できる簡便で効率の良い、糖化蛋白質、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を測定する方法及びその測定用試薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意研究を行った結果、pH4.0〜7.0でフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素を特異的に作用させることにより、糖化蛋白質、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定において、反応液中に存在するフルクトシルリジン類の影響を軽減できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に、pH4.0〜7.0でフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素を特異的に作用させ、得られる生成物をpH4.0〜7.0にて測定することを特徴とする、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定におけるフルクトシルリジン類の影響の軽減方法を提供するものである。
【0011】
本発明はまた、糖化蛋白質含有試料を蛋白質分解酵素で処理し、遊離するフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に、pH4.0〜7.0でフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素を特異的に作用させ、得られる生成物をpH4.0〜7.0にて測定することを特徴とする、試料中の糖化蛋白質の測定におけるフルクトシルリジン類の影響の軽減方法を提供するものである。
【0012】
本発明はまた、少なくとも、(A)蛋白質分解酵素、(B)pH4.0〜7.0でフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に特異的に作用して過酸化水素を生成するオキシダーゼ及び(C)過酸化水素を測定するための試薬を含むフルクトシルリジン類の影響を軽減した糖化蛋白質測定用試薬を提供するものである。
【0013】
本発明はまた、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に、pH4.0〜7.0で、少なくとも(A)フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素、(B)過酸化水素を測定するための試薬及び(C)糖酸化分解酵素を作用させることを特徴とする、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定におけるフルクトシルリジン類の影響の軽減方法を提供するものである。
【0014】
本発明は更に、糖化蛋白質含有試料を蛋白質分解酵素で処理して得られるフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に、pH4.0〜7.0で、少なくとも(A)フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素、(B)過酸化水素を測定するための試薬及び(C)糖酸化分解酵素を作用させることを特徴とする、糖化蛋白質の測定におけるフルクトシルリジン類の影響の軽減方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フルクトシルリジン類の影響を軽減して正確に糖化蛋白質、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を測定することができる。本発明の測定方法は、簡便な操作で測定が可能であるため、種々の分析方法に適用でき、臨床検査の領域においても極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の方法によるヘモグロビンA1c値(%)(実施例5)及び比較例5によるヘモグロビンA1c値(%)と参照例との相関関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
糖化蛋白質は、蛋白質がグルコース等のアルドースと非酵素的に結合し、生成したものであれば如何なるものでもよい。例えば、糖化ヘモグロビン、糖化アルブミン等が挙げられ、このうち糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンAlc(HbAlc)が測定対象として好適に用いられる。
【0018】
糖化蛋白質を含有する試料としては、生体試料として、全血、血球、血清、血漿、髄液、汗、尿、涙液、唾液、皮膚、粘膜、毛髪が挙げられる。また、糖化蛋白質は、ジュース、調味料等の食品一般にも含有されている。これらのうち試料としては、全血、血球、血清、血漿が好ましい。これらの試料は、そのまま測定に供することはもちろん、ろ過や透析処理の後に測定に供してもよく、また測定すべき糖化蛋白質を適宜、濃縮、抽出、更には水もしくは後記する緩衝液で希釈してもよい。
【0019】
本発明においては、先ず、蛋白質分解酵素を用い、糖化蛋白質よりフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を遊離させる。蛋白質分解酵素は、蛋白質分解活性、ペプチド分解活性を有していれば特に制限されないが、短時間で効率よくフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸、好ましくはフルクトシルバリルペプチド又はフルクトシルバリンを遊離させるものが良い。該蛋白質分解酵素の起源は、微生物由来、動物由来、植物由来など何れでもよく、特に限定はされない。具体的には、プロテイナーゼK、トリプシン、ブロメライン、カルボキシペプチダーゼ、パパイン、ペプシン、アミノペプチダーゼなど研究用途の市販品として容易に入手できるもの、ニュートラルプロテイナーゼ、トヨチームNEP(以上、東洋紡社製)、酸性プロテアーゼ、アルカリプロテアーゼ、モルシン、AOプロテアーゼ、ペプチダーゼ(以上、キッコーマン社製)、スミチームCP、スミチームTP、スミチームLP50D(以上、新日本化学工業社製)、サモアーゼPC10F、プロチンPC、プロチンPC10F、プロチンPS10、プロチンNY10、プロチンNL10、プロチンNC25(以上、大和化成社製)、アクチナーゼAS(科研製薬社製)、プロナーゼE(ロシュ社製)、ウマミザイム、プロテアーゼS「アマノ」G、プロテアーゼA「アマノ」G、プロテアーゼP「アマノ」3G(以上、アマノエンザイム社製)など工業用として市販されているものが挙げられる。これら蛋白質分解酵素は、フルクトシルペプチド等に作用させ、作用の前後の試料をキャピラリー電気泳動を用いて分析、比較することにより効果を確認できる。上記蛋白質分解酵素は、単独で用いても、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかで、バチルス属、アスペルギルス属もしくはストレプトマイシス属の微生物由来、あるいはその遺伝子により産生されるもの、又はメタロプロテイナーゼ、中性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼもしくは塩基性プロテアーゼに属するものが好ましい。バチルス属由来の酵素としては、プロチンPC10F、プロチンNC25(大和化成社製)、トヨチームNEP(東洋紡社製)など、アスペルギルス属由来の酵素としては、モルシン(キッコーマン社製)、ストレプトマシシス属由来の酵素としては、アクチナーゼAS、アクチナーゼAF、アクチナーゼE(科研製薬)、プロテアーゼType−XIV(シグマ社製)などが挙げられる。これらは単独で使用できるほか、トヨチームNEPなどはプロテイナーゼKと混合して併用することもできる。
【0020】
蛋白質分解酵素の使用濃度は、目的とするフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を効率よく遊離できる濃度であれば特に制限はない。使用する酵素の比活性などを考慮し、実験的に使用濃度を適宜設定することができる。例えば、アスペルギルス属菌由来の蛋白質分解酵素(例えば、モルシン、キッコーマン社製)を0.0001〜50mg/mL、好ましくは0.001〜20mg/mL加える。蛋白質分解酵素で処理するときのpHは、特に調整しなくてもよいが、使用する酵素の作用に至適なpHとなるように、適当なpH調整剤、例えば後記の緩衝液によってpH3.0〜11.0に調整してもよい。処理温度は、10〜40℃が好ましい。
【0021】
緩衝液としては特に制限はなく、リン酸、フタル酸、クエン酸、トリス、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、酢酸、グッド(MES、PIPES、ADAなど)の緩衝液等が使用できる。緩衝液の濃度も特に制限はないが、0.00001〜2mol/L、より好ましくは0.001〜1mol/Lである。
【0022】
試料を蛋白質分解酵素で処理して得られる遊離したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸としては、フルクトシルバリルヒスチジン、フルクトシルバリン等が挙げられる。また、生体試料や食品中には、蛋白質分解酵素を作用させる前に既に、糖化蛋白質が分解されて遊離したペプチドやアミノ酸にグルコースが結合した後、アマドリ転移を経て生成したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸も含まれており、これらも遊離したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に含まれる。
【0023】
遊離したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸は、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素を作用させ、その作用による生成物を測定することにより測定できる。
【0024】
当該フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素としては、遊離したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を代謝できるものであれば特に制限されず、例えば、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(特開2003−79386号公報及び国際公開第97/20039号パンフレット)、ケトアミンオキシダーゼ(特開平5−19219号公報)、フルクトシルペプチドオキシダーゼ(特開2001−95598号公報及び特開2003−235585号公報)等が挙げられる。これらのうちで、フルクトシルペプチドオキシダーゼが好ましい。これらの酵素は、微生物由来、動物由来、植物由来等のいずれでもよく、また遺伝子操作により作られたものでもよい。更に、化学修飾の有無も問わない。これらの酵素は、溶液状態でも乾燥状態でもよく、不溶性担体に保持又は結合されていてもよく、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
これらの酵素の使用量は、酵素の種類によっても異なるが、好ましくは0.001〜1000単位/mL、特に好ましくは0.1〜500単位/mLである。使用する酵素の比活性などを考慮し、実験的に使用濃度を適宜設定することができる。作用させるときのpHは、使用する酵素の至適pHを考慮しながら、本発明の効果が得られるpH4.0〜7.0、好ましくは4.0〜6.7となるように緩衝液を用いて調整する。作用温度は、例えば、10〜40℃であり、通常の酵素反応に用いられる温度を適宜選択できる。この場合の緩衝液は、前記同様、特に制限なく、リン酸、フタル酸、クエン酸、トリス、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、酢酸、グッドの緩衝液等が使用できる。これらのうち、リン酸、クエン酸、ADA(N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸)がフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素の保存安定性にもすぐれており好ましい。緩衝液の濃度も特に制限はないが、0.00001〜2mol/L、より好ましくは0.001〜1mol/Lである。
【0026】
上記測定用酵素は、必要に応じて、他の酵素、補酵素、被酸化性呈色試薬等と組み合わせて使用することができる。他の酵素としては、パーオキシダーゼ、ジアホラーゼ又はフルクトシルバリンを基質としないアミノ酸代謝酵素などが挙げられる。また、アスコルビン酸オキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ等の血液中の夾雑成分を処理するための酵素も使用できる。補酵素としてはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型リン酸(NADPH)、チオNAD、チオNADP等が挙げられる。
【0027】
被酸化性呈色試薬としては、過酸化水素と反応して呈色するものであれば如何なるものでもよい。例えば、4−アミノアンチピリンと、フェノール系、ナフトール系又はアニリン系化合物との組み合わせ、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾンとアニリン系化合物との組み合わせなどが挙げられる。4−アミノアンチピリンと組み合わせることができるフェノール系化合物としては、フェノール、p−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,4−ジブロモフェノール、2,4,6−トリクロロフェノールなどが挙げられ、アニリン系化合物としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−m−トルイジン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N’−アセチルエチレンジアミン、3−メチル−N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−エチル−N−(3−スルホプロピル)アニリン(ALPS)、N,N−ジメチル−m−アニシジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)などが挙げられる。その他、N−(カルボシキメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ジフェニルアミン・ナトリウム塩(DA−64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−フェノチアジン・ナトリウム塩(DA−67)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(MCDP)、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサ−3−スルホプロピル−4,4’,4”−トリアミノトリフェニルメタン(TPM−PS)、ジアミノベンチジン、ヒドロキシフェニルプロピオン酸、テトラメチルベンチジン、オルトフェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0028】
前記測定用酵素を作用させて得られる生成物としては、例えば、ペプチド、過酸化水素、糖オソン等が挙げられる。遊離したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定は、これらの生成物を測定することによって行われるが、短時間で簡単に測定できるため、過酸化水素を測定することが好ましい。過酸化水素の測定方法としては、例えば、酸素電極を用いる電気的方法、パーオキシダーゼ又はジアホラーゼと上記の発色剤を用いる酵素的方法が挙げられるが、後者の酵素的方法が好ましい。
【0029】
過酸化水素の測定は、通常、前記測定用酵素を作用させて過酸化水素を発生させる工程に連続して行われるが、過酸化水素の測定溶液は、緩衝液を用いてpH4.0〜7.0、好ましくはpH4.0〜6.7に調整する。発色の程度(吸光度変化量)は、分光光度計により測定し、標準とする濃度既知のフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸等の吸光度と比較して、試料中に含まれる糖化蛋白質、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を測定することができる。
【0030】
本発明の測定方法では、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を遊離させる工程と遊離したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を測定する工程とを別々に行って糖化蛋白質を測定することもできるし、これらの工程を連続的に一段階で行って測定することもできる。
また、本発明の測定方法では、反応液又は測定液をpH4.0〜7.0、好ましくはpH4.0〜6.7に調整することにより、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素のフルクトシルリジン類に対する影響を軽減することができる。従って、遊離したフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸を測定する工程では、上記pHに調整することが必須である。
【0031】
本発明のフルクトシルリジン類の影響を軽減した糖化蛋白質測定用試薬は、少なくとも(A)蛋白質分解酵素、(B)pH4.0〜7.0でフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に特異的に作用して過酸化水素を生成するオキシダーゼ、及び(C)過酸化水素を測定するための試薬、を含む。更に、前記(B)記載のオキシダーゼをフルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸に作用させた結果生じるグルコソンにさらに糖酸化分解酵素を作用させ、過酸化水素を生成させて感度増加を図ることができる(特開2000−333696号公報)。前記糖酸化分解酵素としては、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ及びピラノースオキシダーゼからなる群から選択された少なくとも一つの酸化酵素であることが好ましい。それぞれの酵素及び試薬の具体的な説明は前記の通りである。この他に、糖化ヘモグロビン、特にヘモグロビンA1cを測定する際には赤血球からヘモグロビンを取り出して反応に供するための前処理剤などが使用でき、血液中の夾雑成分を処理する酵素、反応調整剤、試薬の安定化剤、また塩化ナトリウム、塩化カリウム、フェロシアン化カリウムなどの塩、還元性物質の影響回避のためのテトラゾリウム塩、防腐剤としての抗生物質、アジ化ナトリウムなども添加できる。
【0032】
上記の赤血球からヘモグロビンを取り出して反応に供するための前処理剤としては、ポリオキシエチレン誘導体から選ばれる非イオン系界面活性剤(例えばトリトンX−100など)、陰イオン系界面活性剤等を用いることができる。これら界面活性剤の使用量は、必要に応じて濾過、透析処理等を行った試料中、0.0001〜10%、好ましくは0.001〜1%である。
【0033】
本発明の糖化蛋白質測定用試薬は、溶液状態だけでなく、乾燥状態やゲル状態でも提供できる。また、ガラスビン、プラスチック容器等への充填の他、不溶性担体への塗布、含浸などの形態で提供できる。不溶性担体としては、例えば、ラテックス、ガラス、コロイドなどの粒子・球状担体、半導体やガラスなどの平板状担体、紙やニトロセルロースなどの膜状担体、繊維状担体が挙げられる。
【実施例】
【0034】
以下実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
[実施例1] フルクトシルアミノ酸の測定
(1)試料の調製
フルクトシルバリン(fV)、フルクトシルバリルヒスチジン(fVH)(以上、バイオクエスト社製)、ε−フルクトシルリジン(fK)(キッコーマン社製)を量り、それぞれ20mmol/L リン酸緩衝液(pH7.0)に溶かして0.3mmol/L濃度の試料とした。
【0036】
(2)試料の測定
日立7150形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<第一試薬>
0.1mol/L リン酸緩衝液
実施例1;pH5.5、pH6.0、pH6.5、pH7.0
比較例1;pH7.5、pH8.0
<第二試薬>
5単位/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX−CE、キッコーマン社製)
20単位/mL パーオキシダーゼ(III)(東洋紡社製)
1mmol/L N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)
1mmol/L 4−アミノアンチピリン
0.1mol/L リン酸緩衝液
実施例1;pH5.5、pH6.0、pH6.5、pH7.0
比較例1;pH7.5、pH8.0
(第一試薬と第二試薬は同一のpHの組み合わせで使用した。)
【0037】
試料20μLに第一試薬240μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度I)。次いで第二試薬80μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度II)。吸光度の測定は主波長546nm(副波長800nm)で行い、試料の代わりに生理食塩水を用いて同様に操作したもの(試薬ブランク)を対照とした。
各試料の吸光度I及び吸光度IIから式Aを用いて各試料の吸光度変化量(測定値)を算出した。
式A:吸光度変化量(測定値)=吸光度II−(吸光度I×(20+240)/(20+240+80))
得られた各測定値を用いて、フルクトシルバリンの測定値に対するε−フルクトシルリジンの測定値の比(fK/fV)、及びフルクトシルバリルヒスチジンの測定値に対するε−フルクトシルリジンの測定値の比(fK/fVH)を算出した。また、pH8.0条件におけるfK/fV及びfK/fVHそれぞれの測定値の比を100%として、各pH条件の測定値の比も比較した。結果を表1に示した。
【0038】
【表1】

【0039】
表1から明らかなように、fK/fV、fK/fVHのいずれの場合でも、実施例の測定値の比は比較例と比べて、大幅に低値であった。本発明の方法は、fV、fVHに対する特異性が高く、フルクトシルリジン類との反応性は低いことがわかった。
【0040】
[実施例2] フルクトシルアミノ酸の測定
(1)試料の調製
実施例1と同様、フルクトシルバリルヒスチジン(fVH)(バイオクエスト社製)、ε−フルクトシルリジン(fK)(キッコーマン社製)を0.02mol/Lのリン酸緩衝液(pH7.0)に溶かして0.3mmol/L濃度の試料とした。
【0041】
(2)試料の測定
日立7150形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<第一試薬>
実施例1の第一試薬を使用した。
<第二試薬>
5単位/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX−CE)を5単位/mLフルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX−EE)に代える以外は実施例1と同組成の第二試薬を使用した。
(第一試薬と第二試薬は同一のpHの組み合わせで使用した。)
【0042】
実施例1と同一の操作を行った。結果を表2に示した。
【0043】
【表2】

【0044】
表2から明らかなように、実施例1とは異なるフルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX−EE)を用いた場合においても、比較例と比べて、fK/fVHが大幅に減少しており、フルクトシルバリルヒスチジンに対する特異性が高く、フルクトシルリジン類との反応性が低いことがわかった。
【0045】
[実施例3] フルクトシルアミノ酸及びフルクトシルペプチドの測定
(1)試料の調製
フルクトシルバリン、フルクトシルバリルヒスチジン(以上、バイオクエスト社製)、ε−フルクトシルリジン(キッコーマン社製)をそれぞれ量り、0.02mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)に溶かして0.6mmol/L濃度の溶液とした。0.6mmol/Lフルクトシルバリン溶液及び0.6mmol/Lフルクトシルバリルヒスチジン溶液に等量の0.02mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)あるいは0.6mmol/Lε−フルクトシルリジン溶液を混合して、0.3mmol/Lフルクトシルバリン試料、0.3mmol/Lフルクトシルバリルヒスチジン試料、あるいはε−フルクトシルリジンとの混合試料(各基質の濃度は0.3mmol/L)とした。
【0046】
(2)試料の測定
日立7150形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<第一試薬>
実施例1の第一試薬のうち、pH5.5とpH6.5のもの、及び比較例1のうちpH8.0のものを使用した。
<第二試薬>
実施例1の第二試薬のうち、pH5.5とpH6.5のもの、及び比較例1のうちpH8.0のものを使用した。
(第一試薬と第二試薬は共通のpHの組み合わせで使用した。)
【0047】
実施例1と同様に操作を行い、フルクトシルバリン試料の測定値に対するフルクトシルバリンとε−フルクトシルリジンとの混合試料の測定値の比((fV+fK)/fV)、及びフルクトシルバリルヒスチジン試料の測定値に対するフルクトシルバリルヒスチジンとε−フルクトシルリジンとの混合試料の測定値の比((fVH+fK)/fVH)を算出し評価した。結果を表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
表3から明らかなように、実施例3では、比較例3と比べてε−フルクトシルリジンの影響が大きく軽減できていることがわかった。
【0050】
[実施例4] ヘモグロビンAlc(HbAlc)%の測定
(1)試料の調製
EDTAを抗凝固剤として含む採血管を用いて被検者15人から常法により採血した全血を、冷室に一晩静置して赤血球を沈降させた。沈降した赤血球層より10μLを採取し、これに、0.1%トリトンX−100水溶液 300μLを加え混合し、血球溶血液試料を調製した。
【0051】
(2)試料の測定
日立7150形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<第一試薬>
1単位/mL プロテイナーゼK
2mmol/L WST−3(同仁化学社製)
0.02mol/L リン酸緩衝液(pH8.0)
<第二試薬>
4単位/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX−CE、キッコーマン社製)
20単位/mL パーオキシダーゼ(III)(東洋紡社製)
80μmol/L DA−64(和光純薬工業社製)
7500単位/mL トヨチームNEP(東洋紡社製)*
37.5mmol/L NaCl
0.2mol/L リン酸緩衝液(実施例4:pH6.0、比較例4:pH8.0)
*それぞれのトヨチームNEPは、10万単位/mLを500mmol/L NaClを含む20mmol/Lのリン酸緩衝液(実施例4:pH6.0、比較例4:pH8.0)に対し、4℃で4時間透析した後用いた。
**本発明及び比較例の反応液の最終pHは、それぞれ6.7及び8.0である。
【0052】
各試料20μLに第一試薬240μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度III)、次いで第二試薬80μLを加え、37℃で5分間加温後の吸光度を測定した(吸光度IV)。尚、各々の試料の吸光度III及び吸光度IVから、式Bを用いて各試料中のフルクトシルペプチド量に基づく吸光度変化量(吸光度V)を算出した。
式B:吸光度V=吸光度IV−(吸光度III×(20+240)/(20+240+80))
上記の吸光度IIIは、総ヘモグロビン濃度に比例するので、ヘモグロビンA1c値(%)既知の血球溶血液(ヘモグロビンA1c値 8.6%)を上記と同様に操作した場合の吸光度III及びVと比較し、各試料のヘモグロビンA1c値(%)を算出した。実施例4、比較例4により求めたヘモグロビンA1c値を、ラテックス法を原理とする市販キット「ラピディアAlc」(富士レビオ社製)により測定した各試料中のヘモグロビンA1c値(%)(参照例)と比較した。結果を表4に示した。
【0053】
【表4】

【0054】
表4より明らかなように、比較例4では本来起こりえない負の値となってしまう場合があるのに対し、本発明の測定方法は、比較例に比べて参照例との相関性が良いことが判明した。よって、本発明の測定方法では、ヘモグロビン由来のε−フルクトシルリジン又はフルクシルリジルペプチドの影響を受けることなく試料中のヘモグロビンA1c値(%)を測定できる。
【0055】
[実施例5] ヘモグロビンA1c値(%)の測定(1)試料の調製
実施例4と同様にヒト血球試料35例より、血球溶血液試料を調製した。
【0056】
(2)試料の測定
日立7150形自動分析装置を用いて、以下の操作により各試料の測定を行った。
<第一試薬>
1単位/mL プロテイナーゼK
0.2% プライサーフA208B(第一工業製薬社製)
0.02mol/L リン酸緩衝液(pH8.0)
<第二試薬>
4単位/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX−CE、キッコーマン社製)
20単位/mL パーオキシダーゼ(III)(東洋紡社製)
80μmol/L TPM−PS(同仁化学社製)
7500単位/mL トヨチームNEP(東洋紡社製)*
37.5mmol/L NaCl
0.2mol/L リン酸緩衝液(pH5.5、6.0、7.0、8.0)
*それぞれのトヨチームNEPは、10万単位/mLを500mmol/LのNaClを含む20mmol/Lのリン酸緩衝液(pH5.5、6.0、7.0、8.0)に対し、4℃で4時間透析した後用いた。
【0057】
試料20μLに、第一試薬240μLを加え、波長600nmにおける吸光度(吸光度VI)を、試料の代わりに生理食塩水を用い同様に操作したもの(試薬ブランク)を対照に測定した。次いで37℃で5分間加温した後、第二試薬80μLを加え、37℃で5分間加温後の波長600nmの吸光度(吸光度VII)を試薬ブランクを対照に測定した。これら4種の反応液の最終pHは、それぞれ6.4、6.7、7.2、8.0であり、ヘモグロビンA1c値(%)は、実施例4と同様にして算出した。参照例として市販キット「ラピディアAlc」(富士レビオ社製)を用い、製造元指定の方法にて測定した。実施例5ならびに比較例5によるヘモグロビンA1c値(%)と参照例によるヘモグロビンA1c値(%)との相関関係を図1に示した。また、本発明法および比較例のそれぞれについて、参照例に対する相関係数、及び参照例の測定値との差の参照例の測定値に対するパーセント(%バイアス)の平均値を表5に示した。
【0058】
【表5】

【0059】
本発明の測定方法は、参照例とよく一致していることが判明した。本発明の測定方法では、ヘモグロビン由来のε−フルクトシルリジン又はフルクシルリジルペプチドの影響を受けることなく試料中のヘモグロビンA1c値(%)を測定できる。
【0060】
[実施例6] フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素の保存安定性の確認
(1)酵素液の調製
下記の処方で酵素液を調製した。
50mmol/L 緩衝液(pH6.0)*
*緩衝剤の種類はリン酸カリウム、クエン酸ナトリウム及びN−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)の3種類
5単位/mL パーオキシダーゼ(III)(東洋紡社製)
1単位/mL フルクトシルペプチドオキシダーゼ(FPOX−CE,キッコーマン社製)
【0061】
(2)酵素液の保存
前記の3種類の酵素液それぞれを4℃、37℃に1晩放置した。
【0062】
(3)酵素液中の酵素活性の測定
日立7170形自動分析装置を用いて、以下の操作により酵素液中の酵素活性を測定した。
<希釈酵素液>
前記の3種類の酵素液それぞれを、100mmol/L リン酸緩衝液(pH7.5)により2倍に希釈して測定に使用した。
<酵素活性測定用第一試薬>
0.5mmol/L N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)
0.5mmol/L 4−アミノアンチピリン
1単位/mL パーオキシダーゼ(III)(東洋紡社製)
100mmol/L リン酸緩衝液(pH7.5)
<酵素活性測定用第二試薬>
150mmol/L フルクトシルグリシン水溶液
【0063】
希釈酵素液6.5μLに、酵素活性測定第一試薬182μLを加え、37℃で5分間加温した。次いで酵素活性測定用第二試薬26μLを加え、酵素活性測定用第二試薬添加後2分〜3分の546nmにおける吸光度の変化量を測定した。4℃保存した酵素液の吸光度変化量を100%とし、37℃保存した酵素液の吸光度変化量を相対値で表わし、安定性を評価した。
【0064】
リン酸カリウム緩衝液では95%、クエン酸ナトリウム緩衝液では98%、ADA緩衝液では89%の相対活性が測定され、これらの緩衝剤が、フルクトシルペプチド又はフルクトシルアミノ酸の測定用酵素の保存安定性に優れていることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルクトシルバリルヒスチジンに、pH4.0〜7.0でフルクトシルペプチドオキシダーゼを特異的に作用させ、得られる過酸化水素をpH4.0〜7.0にて測定することによりフルクトシルリジンの影響を軽減することを特徴とする、フルクトシルバリルヒスチジンの測定におけるフルクトシルリジンの影響の軽減方法。
【請求項2】
フルクトシルバリルヒスチジンに、pH4.0〜7.0で、少なくとも(A)フルクトシルペプチドオキシダーゼ、(B)過酸化水素を測定するための試薬及び(C)糖酸化分解酵素を作用させることによりフルクトシルリジンの影響を軽減することを特徴とする、フルクトシルバリルヒスチジンの測定におけるフルクトシルリジンの影響の軽減方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−115179(P2011−115179A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53784(P2011−53784)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【分割の表示】特願2005−515648(P2005−515648)の分割
【原出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(390037327)積水メディカル株式会社 (111)
【Fターム(参考)】