説明

糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法

【課題】反応生成物のエステル化の位置選択性が高く、反応の触媒である酵素の変性を抑制し、該酵素の再利用を可能とする、糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法の提供。
【解決手段】糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物とカルボン酸とを、エステル結合を切断し得る酵素を用いて有機溶媒中で反応させる糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法であって、該有機溶媒がアセトン、2−ブタノン、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒であることを特徴とする糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法に関する。詳しくは、有機溶媒中における酵素の触媒作用を用いた、食品添加物等に好適な糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸エステルを製造する従来の化学合成法では、カルボン酸が糖及び/又は糖アルコールに結合する位置の選択性が低いために、エステル化度の異なる種々の位置異性体の混合物が生成してしまう問題があった。また、エステル結合を切断し得る酵素(リパーゼ等)を利用した従来の合成法においても、同様の問題がある。
【0003】
例えば、食品添加物等の用途で使用されるショ糖脂肪酸エステルなどを製造する方法として、糖と脂肪酸とをエステル化する際にリパーゼ等を用いて、当該酵素の最適pH水溶液中でエステル化反応を行う方法が開示されているが(特許文献1参照)、エステル結合の位置選択性に欠け、モノエステル体と同時にポリエステル体も生成するため、目的の位置に脂肪酸が結合した生成物を得るためには、カラム精製など数多くの精製工程が必要となる。
【0004】
また、エステル化の位置選択性を高めるために、ショ糖のケタール化誘導体と脂肪酸とをリパーゼによってエステル化反応させて、ショ糖脂肪酸エステルを製造する方法が開示されているが(特許文献2参照)、当該リパーゼが安定に酵素活性を発揮する至適温度よりも高い反応温度(75℃)で当該エステル化反応を行うことが問題である。すなわち、反応温度が高温のため、反応終了後には当該酵素が熱で変性・失活して酵素活性が損なわれ、反応溶液から当該酵素を回収して再利用することが困難である。このような高温の反応温度にせざるを得ない理由は、エステル化反応を進行させるためには基質である比較的長鎖の脂肪酸、及びショ糖のケタール化誘導体を均一に溶解させて混合する必要があり、反応温度を該脂肪酸、及びショ糖のケタール化誘導体の融点よりも十分に高くする必要があるからである。該脂肪酸の溶解度を高めるために、トルエン等の有機溶媒を添加する方法も示されているが、反応温度を下げることはできていない。
したがって、反応の触媒である酵素の変性・失活を抑える穏やかな反応温度で、当該エステル化反応を効率よく行うことができる方法が求められている。
【0005】
さらに、食品添加物等の用途で使用されるショ糖脂肪酸エステルなどではHLB値の高いモノエステル含量の高いものが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−70094号公報
【特許文献2】特開平8−217783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、反応生成物のエステル化の位置選択性が高く、反応の触媒である酵素の変性を抑制し、該酵素の再利用を可能とする、糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明は、(1)糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物とカルボン酸とを、エステル結合を切断し得る酵素を用いて有機溶媒中で反応させる糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法であって、該有機溶媒がアセトン、t−ブタノール、アセトニトリル、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒であることを特徴とする糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法、(2)前記有機溶媒がアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒であり、該混合溶媒の混合比(体積比)がアセトン:t−ブタノール=99:1〜25:75であることを特徴とする(1)に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法、(3)糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物とカルボン酸とを、エステル結合を切断し得る酵素を用いて有機溶媒中で反応させる糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法であって、該有機溶媒が2−ブタノン、ブチロニトリル、又はプロピオニトリルであることを特徴とする糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法、(4)前記糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物が、糖及び/又は糖アルコールをケトン又はアセタールと反応させるアセタール化により得られるものであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法、(5)前記糖及び/又は糖アルコールが、グルコース、ショ糖、又はトレハロースであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法、(6)前記カルボン酸が炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸、又は芳香族カルボン酸であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法、(7)前記エステル結合を切断し得る酵素がカンジダ・アンタークティカ由来(Candidia antarctica由来)のリパーゼであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法、(8)前記有機溶媒中での反応温度が5〜60℃で行われることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一項に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法によれば、触媒である酵素を熱変性させることなく、エステル化の位置選択性の高い糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルを効率よく得ることができ、また、該エステル化に用いた酵素を反応溶液から回収して再利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0011】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法は、糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物とカルボン酸とを、エステル結合を切断し得る酵素を用いて有機溶媒中で反応させる糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法であって、該有機溶媒がアセトン、2−ブタノン、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒である。
【0012】
前記糖としては、特に制限されず、例えば単糖類、二糖類等が好ましいものとして挙げられる。
前記単糖類としては、例えば、グリセルアルデヒド等の三炭糖(トリオース)、エリトロース、トレオース等の四炭糖(テトラオース)、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース等の五炭糖(ペントース)、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース等の六炭糖(ヘキソース)などが好ましいものとして挙げられる。これらの中でも、グルコースがより好ましい。前記単糖類がグルコースであると、本発明の効果をより高めることができる。
【0013】
また、前記二糖類等としては、例えば、ショ糖(スクロース)、マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)、セロビオース、トレハロース、ラフィノース等が好ましいものとして挙げられる。これらのなかでも、ショ糖及びトレハロースは非還元糖であるため、アセタール化して得られる化合物の副生成物が少なく、エステル化反応の際の副生成物も少なく抑えることができるので有利である。したがって、本発明の効果がより向上するので、前記二糖類としては、ショ糖又はトレハロースがより好ましい。
【0014】
また、前記糖アルコールとしては、特に制限されず、例えば、イノシトール、マルチトール、ラクチトール、マルトトイトール等が、本発明の効果を向上させる観点から、好ましいものとして挙げられる。
【0015】
本発明における糖および糖アルコールの分子中における糖は、D糖であっても、L糖であっても、D糖とL糖の両方が混ざったものであってもよい。
【0016】
本発明における糖および糖アルコールは、本発明の効果を損なわない限り、置換基を有していてもよい。
前記置換基としては、ベンジル基、メトキシベンジル基、ベンゾイルメチル基、t−ブトキシメチル基などエステル化反応後に容易な方法(例えば、酸性条件下における加水分解等)によって除去できる置換基が好ましい。
また、本発明において、糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物のアセタール置換基としては、公知の置換基を用いることができ、その中でもイソプロピリデン基、ベンジリデン基、シクロヘキシリデン基が好ましく、容易な方法(例えば、酸性条件下における加水分解等)で除去できる観点から、イソプロピリデン基、またはベンジリデン基がより好ましい。
【0017】
本発明において、前記糖及び/又は糖アルコールが、グルコースである場合、これらの糖がアセタール化された化合物としては、当該糖の1位及び2位の水酸基の酸素原子が同一の炭素原子に結合したアセタール化合物であることが好ましく、当該糖の1位及び2位の水酸基の酸素原子が同一の炭素原子に結合し、且つ当該糖の6位の水酸基の水素原子が置換されないアセタール化合物であることがより好ましい。また、前記糖及び/又は糖アルコールが、スクロース又はトレハロースである場合、これらの糖がアセタール化された化合物としては、当該糖の6位の水酸基の水素原子が置換されないアセタール化合物であることがより好ましい。これらのアセタール化合物を本発明である糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法に用いることにより、当該酵素が当該糖の6位の水酸基をエステル化する効率が高まり、エステル化反応の位置選択性をより向上させることができる。
【0018】
本発明において、糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物は、前記糖及び/又は糖アルコールをケトン又はアセタールと反応させるアセタール化により得られるものであることが好ましい。該アセタール化であると、糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物を効率よく調製することができ、また副反応を抑えることができる。
【0019】
本発明において、前記糖及び/又は糖アルコールをアセタール化する方法(より詳しくは、糖の水酸基又は糖アルコールの水酸基をアセタール化する方法)としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限されず、公知の方法が適用できる。例えば、糖及び/又は糖アルコールを酸触媒下でケトン又はアセタールと反応させる方法が好ましいものとして挙げられる。より具体的には、例えばグルコースとアセトンとを酸触媒下で反応させる、下記反応式(1)で表されるアセタール化が挙げられる。この場合、下記反応式(1)で表されるように、さらに酸性下で加水分解して、グルコースの5位及び6位を水酸基に戻し、1,2−O−イソプロピリデン−α−D−グルコフラノースとすることが、後述の脂肪酸とのエステル化反応を行う観点から、好ましい。また、該エステル化反応後に得られる6−O−アシル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースの1位及び2位に結合したイソプロピリデン基は、必要に応じて、酸性条件下における加水分解で除くことができ、6−O−アシル−グルコフラノースを得ることができる。
【0020】
【化1】

【0021】
前記糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物は、前記反応式(1)で表されるアセタール化の方法に限らず、その他の公知のアセタール化の方法によっても得ることができる。また、必要に応じて、該アセタール化して得られる化合物は公知の方法で精製することができる。本発明においては、該アセタール化して得られる化合物は精製されたものを用いることが好ましい。また、当該化合物は市販されているものも多いので、それらを用いてもよい。
【0022】
これらの糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物の有機溶媒中の濃度としては、反応効率の観点から、1〜600mmol/Lが好ましく、5〜300mmol/Lがより好ましく、10〜150mmol/Lがさらに好ましく、30〜100mmol/Lが最も好ましい。当該濃度が1mmol/L以上であると、当該エステル化反応を効率よく行うことができ、当該濃度が600mmol/L以下であると、反応溶液の固化による当該エステル化反応の効率低下を抑制することができる。
【0023】
前記エステル結合を切断し得る酵素としては、アセトン、2−ブタノン、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒中で、前記糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物の水酸基に対して脂肪酸をエステル結合する触媒活性をもつ酵素であれば特に制限されず、例えばリパーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼ等の加水分解酵素が好ましいものとして挙げられ、リパーゼがより好ましいものとして挙げられる。当該リパーゼとしては、本発明の効果を損なわないものでなければ特に制限されず、動物由来、微生物由来、又は植物物由来のいずれであってもよい。例えば、豚膵臓(Porcine pancreas)由来、カンジダ・アンタークティカ由来(Candida antarctica)由来、カンジダ・シリンドラセア(Candida cylindracea)由来、シュードモナス・sp.(Pseudomonas species)由来、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来、ムコール・ジャバニカス(Mucor javanicus)由来、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa)由来、リゾパス・sp.(Rhizopus species)由来、リゾパス・ジャポニカス(Rhizopus japonicus)由来、又は小麦胚芽(Wheat Germ)由来のリパーゼを好ましいものとして挙げることができる。これらの中でも、カンジダ・アンタークティカ由来のリパーゼB(CAL−B)が好ましいものとして挙げられる。当該酵素がCAL−Bであると、当該エステル化反応を位置特異的により効率よく行うことができる。
本発明のエステル結合を切断し得る酵素としては、1種の酵素を単独で用いてもよく、2種以上の酵素を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のエステル結合を切断し得る酵素としては、凍結乾燥等によって粉末状にされた酵素を用いてもよい。
【0024】
当該酵素を反応溶液に添加する量としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、通常は反応原料であるカルボン酸(脂肪酸)1gに対して、10〜10000ユニット(U)程度を添加することが好ましい。なお、前記ユニットの単位は、当該酵素の酵素活性を示す単位であり、50mlの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解された5mmolのトリブチリン(Glycerol Tributyrate)を基質として25℃の測定条件で決定される。すなわち、1ユニットのリパーゼ活性とは、前記条件で1分間に1μmolのブタン酸を生成するリパーゼ活性をいう。
【0025】
前記酵素は、公知の方法によって担体に固定化して用いてもよい。一般に、該固定化によって酵素の耐熱性を向上させることができる。また反応溶液から酵素が固定化された担体を回収することによって、当該酵素を容易に回収することができ、また当該酵素を容易に再利用することができる。
前記固定化の方法としては、セライトなどの不活性担体に物理化学的に吸着又は結合させる担体結合法、ポリアクリルアミドなどのポリマーからなるゲルの格子中に酵素を包含させる包括法などの公知の方法を適用できる。
【0026】
また、反応原料である前記カルボン酸としては、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限されず、炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸、または芳香族カルボン酸であることが好ましい。
前記炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸としては、ヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸などの直鎖飽和脂肪酸、2−エチルヘキサン酸、3,5,5−トリメチルへキサン酸、イソトリデカン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘキシルドデカン酸、2−オクチルデカン酸、イソステアリン酸、2−オクチルゴデカン酸などの分岐飽和脂肪酸、2−オクチルドデカン酸、10−ヘンデセン酸、9−テトラデセン酸、2−ヘキサデセン酸、9−ヘキサデセン酸、9−オクタデセン酸、13−ドコセン酸、9,12−オクタデカンジエン酸、6,9,12−オウタデカントリエン酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられる。なかでも、反応効率の観点から、炭素数6〜16の直鎖飽和脂肪族カルボン酸がより好ましく、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)及びオクタン酸(カプリル酸)が特に好ましい。
前記芳香族カルボン酸としては、ベンゼンカルボン酸、メトキシベンゼンカルボン酸、アビエチン酸、3−フェニル−2−プロペン酸、ヒドロキシケイ皮酸、メトキシケイ皮酸、ジヒドロキシケイ皮酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシケイ皮酸、シナピン酸などが挙げられる。
これらのカルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
これらのカルボン酸の前記有機溶媒中の濃度としては、反応効率の観点から、1〜800mmol/Lが好ましく、5〜600mmol/Lがより好ましく、10〜450mmol/Lがさらに好ましく、30〜400mmol/Lが最も好ましい。当該濃度が1mmol/L以上であると、当該エステル化反応を効率よく行うことができ、当該濃度が800mmol/L以下であると、反応溶液の固化を抑制することができる。
【0028】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応を行う有機溶媒は、アセトン、2−ブタノン、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒である。
これらの有機溶媒であると、当該エステル化反応を阻害せず、基質である前記糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物および前記カルボン酸を反応溶液に均一に溶解することができ、本発明の効果をより高めることができる。また、これらの有機溶媒と前記酵素のCAL−Bとを組合わせて用いた場合、本発明の効果を一層高めるとともに、当該エステル化反応の反応効率をより高めることができる。
【0029】
前記アセトンとt−ブタノールとの混合溶媒におけるアセトンとt−ブタノールとの混合比(体積比)としては、99:1〜1:99が好ましく、99:1〜10:90がより好ましく、99:1〜15:85がさらに好ましく、99:1〜25:75が特に好ましく、99:1〜50:50が最も好ましい。
当該混合溶媒において、アセトンが60体積%を超えると、生成物である糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの最終収量が多くなる傾向があり、一方、t−ブタノールを多く含むほど当該エステル化反応の初期反応速度が速くなる傾向がある。したがって、上記範囲の混合比をもつ混合溶媒を用いることにより、前記最終収量と初期反応速度とを適宜調節することができる。
【0030】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応を行う反応温度は、本発明の効果を損なわず、当該酵素の触媒活性が損なわれない温度であることが好ましい。該反応温度としては、5〜60℃が好ましく、15〜60℃がより好ましく、20〜50℃がさらに好ましく、20〜45℃が特に好ましく、20〜40℃が最も好ましい。
上記範囲の下限値以上の反応温度であると、当該酵素活性が高まり効率よくエステル化反応させることができ、また、反応溶液中の当該カルボン酸が固化することをより抑制することができる。一方、上記範囲の上限値以下であると、当該酵素が失活することをより抑制することができ、また、当該エステル化反応の位置特異性をより高めることができる。
【0031】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応を行う反応時間は、生成物である糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルが得られる反応時間であれば特に制限されない。当該反応温度、酵素量、基質量にもよるが、通常は2〜120時間程度で、充分に当該エステル化反応を行うことができる。
【0032】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応を行う圧力は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、常圧で反応させても、加圧して反応させてもよい。通常は、特別な反応容器を必要としない常圧で行うことができる。
【0033】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応が十分に行われた結果、当該有機溶媒の溶解度を超える量の生成物が生成され、当該反応溶液が固化することがある。この場合、固化した反応溶液に、当該溶媒を適宜の量で添加することによって、再び溶解させ、溶液状態に戻すことができる。このように再溶解した反応溶液中の基質、酵素および生成物は、固化しなかった場合と同様の状態であり、固化および再溶解の過程で損なわれることはないので、本発明の効果を損なうことにはならない。
【0034】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応を行った後の反応溶液中の酵素は、反応温度が穏やか(60℃以下)である場合、熱による変性・失活が一層抑制される。したがって、当該酵素を反応溶液から回収することによって、再び使用することが可能である。
酵素を反応溶液から回収する方法としては、当該酵素を失活させることなく回収して再利用できる方法であれば特に制限されず、塩析による沈殿、水系溶媒への液−液抽出、及び/又はカラムクロマトグラフィー等の公知の方法で行うことができる。また、当該エステル化反応に用いた酵素が担体に固定された固定化酵素である場合には、当該反応溶液をろ過して担体を回収する等の公知の方法で、より容易に当該酵素を回収して再利用することができる。
【0035】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応を行った後、当該反応溶液から有機溶媒を除去し、生成物である糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルを得る方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、公知の方法で行うことができる。例えば、減圧及び/又は加熱処理によって有機溶媒を留去する方法が好ましいものとして挙げられる。前記加熱処理における加熱温度としては、30〜80℃が好ましく、30〜70℃がより好ましく、30〜60℃がさらに好ましく、30〜50℃が特に好ましい。
上記温度範囲の下限値以上に加熱処理すると、効率よく溶媒留去することができ、上記温度範囲の上限値以下で加熱処理して溶媒留去することにより、生成物である糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルにおけるエステル結合の位置転移を十分に抑制することができる。
【0036】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法において、当該エステル化反応を行う有機溶媒は、前述の通り、アセトン、2−ブタノン、t−ブタノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒である。これらの溶媒を用いた場合、当該エステル化反応を阻害することなく、効率よく生成物を得ることができる。さらに、これらの溶媒を用いることによって、原料である糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物と脂肪酸とを溶解して均一な溶液状態でエステル化反応を行うことが可能となる。その結果、酵素の失活を抑制した穏やかな温度でのエステル化反応が可能となり、また、酵素の再利用も可能となるので産業上有利である。
また、本発明における前記溶媒としては、アセトン、2−ブタノン、t−ブタノール、アセトニトリル、及びプロピオニトリルが好ましく、これらを混合した溶媒(例えばアセトンとt−ブタノールとの混合溶剤)も好ましい。その理由は、沸点が比較的低いアセトン(沸点:約56℃)、2−ブタノン(沸点:約80℃)、t−ブタノール(沸点:約82℃)、アセトニトリル(沸点:約82℃)、又はプロピオニトリル(沸点:約97℃)をエステル化反応の溶媒として用いていると、該エステル化反応によって生成した水(沸点:100℃)及び前記溶媒を加熱処理によって除去することがより容易だからである。沸点が比較的高いブチロニトリル(沸点:約116℃)を用いる場合、水分及び溶媒を留去するためには、比較的低い温度で加熱(例えば60℃程度)しながら減圧する方法が好ましい。
一方、例えばトルエン(沸点:約111℃)を反応系の溶媒として使用して、反応後に溶媒留去する際の加熱処理温度を沸点程度にすると、生成物におけるエステル結合の位置転移がより起こりやすくなるので好ましくない。
【0037】
本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法によって得られた生成物は、分別結晶、液−液抽出、蒸留、クロマトグラフィー等の公知の方法によって、必要に応じて精製することができる。
【実施例】
【0038】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
[実施例1:グルコースアセタールのパルミチン酸モノエステルの製造]
1,2−O−イソプロピリデングルコフラノース(ALDRICH社製)55mg(0.25mmol)、パルミチン酸(和光純薬工業株式会社製)128mg(0.25mmol)、及びCandida antarctica由来リパーゼfraction B(CAL−B){製品名:CHIRAZYME L−2, cf c2(Roche Diagnostics社製)}50mgを、あらかじめモレキュラーシーブペレット4Aで脱水したアセトン5mL中に溶解して、40℃で20時間インキュベートした。
【0040】
<エステル化反応率の測定法>
反応後、当該反応溶液をサンプリングし、HPLC分析によって、エステル化反応率を確認した。該エステル化反応率は、医薬部外品原料規格2006 一般試験法 8.液体クロマトグラフ法 第1法の絶対検量線法に従い、あらかじめカラム精製により得た6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースを標準被検成分とすることで反応液中における被検成分である6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースの量を求め、1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースから6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースへの転化率を計算した。
前記HPLC分析の具体的な条件としては、以下の通りである。
・カラム:YMC J’sphere ODS−M80(3×150mm、内径:4μm)
・移動相:メタノール:水=90:10(体積%);流速:0.4ml/min
・検出方法:紫外線検出器(波長220nm)
【0041】
前記HPLC分析の結果、当該エステル化反応が充分に進行し、後述のNMR分析と合わせて、6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースが生成していることが確認できた。そのエステル化反応率(収率)を表1に示す。
【0042】
<反応生成物の精製および同定>
つづいて、サンプリング後の当該反応溶液中の溶媒であるアセトンをエバポレーター(温度:45℃、減圧度:50hPa)によって溶媒留去し、得られた残渣の一部をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。該シリカゲルクロマトグラフィーでは、ワコーゲルC200(和光純薬工業株式会社製)を使用し、移動相溶媒としてヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒を用い、ヘキサン:酢酸エチル=90:10〜30:70の濃度勾配で混合比を変化させて行った。
前記シリカゲルクロマトグラフィーにおいて、ヘキサン:酢酸エチル=30:70の溶媒で溶出された画分をさらにHPLCで精製し、主生成物である6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースについて、NMR測定を行った。
【0043】
前記HPLCの具体的な条件は以下の通りである。
・カラム:YMC J’sphere ODS−M80(10×250mm、内径:4μm)
・移動相:メタノール:水=85:15(体積%);流速:2.0ml/min
・検出方法:紫外線検出器(波長220nm)
【0044】
前記NMR測定の結果を以下に示す。
H NMR δ(ppm、500MHz、TMS、300K、CDCL3): 0.87(3H, t, J=7.1 Hz), 1.24(26H, m), 1.32(3H, s), 1.49(3H, s), 2.35(2H, m), 3.14(1H, m, OH−5), 3.27(1H, m, OH−3), 4.17(1H, m, C−4), 4.21(2H, m, C−6), 4.35(1H, d, J=1.8 Hz, C−3), 4.42(1H, m, C−5), 4.53(1H, d, J=3.5 Hz, C−2), 5.91(1H, d, J=3.7 Hz, C−1)
【0045】
上記の結果から、本発明の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法によって、目的生成物である6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースが得られることが確認された。
また、当該エステル化反応は40℃という穏やかな反応温度で行ったので、反応溶液中の酵素が熱によって失活および変性していないことは明らかである。したがって、公知の方法によって回収し再利用することができる。
【0046】
[実施例2、比較例1〜6]
反応溶液の有機溶媒を、t−ブタノール(実施例2)、ヘキサン(比較例1)、ジイソプロピルエーテル(比較例2)、トルエン(比較例3)、t−アミルアルコール(比較例4)、リナロール(比較例5)、又はα−テルピネオール(比較6)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、当該エステル化反応を行った。
当該20時間の反応後にサンプリングした各反応液を実施例1と同様の方法でHPLC分析し、エステル化反応率(収率)を確認した。その結果を表1に併記する。
また、実施例1と同様に、生成物のHPLCによる精製およびNMR分析を行い、主生成物が6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースであることを確認した。
【0047】
【表1】

【0048】
上記表1の結果から、本発明にかかる実施例1および2は比較例1〜6と比べて、目的生成物である6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースが効率よく得られることが確認された。
また、当該エステル化反応は40℃という穏やかな反応温度で行ったので、反応溶液中の酵素が熱によって失活および変性していないことは明らかである。したがって、公知の方法によって回収し再利用することができる。
【0049】
[実施例3〜10]
反応溶液の有機溶媒として、アセトン、t−ブタノール、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒を用い、有機溶媒の種類以外の条件は以下に示す<アセトンとt−ブタノールとの混合溶媒を用いたエステル化反応の実験方法>の条件に従い当該エステル化反応を行った。該アセトンとt−ブタノールとの混合溶媒としては、表2に示す混合比(体積比)のものをそれぞれ用いた。
<アセトンとt−ブタノールとの混合溶媒を用いたエステル化反応の実験方法>
1,2−O−イソプロピリデングルコフラノース(ALDRICH社製)55mg(0.25mmol)、パルミチン酸(和光純薬工業株式会社製)384mg(0.75mmol)、及びCandida antarctica由来リパーゼfraction B(CAL−B){製品名:CHIRAZYME L−2, cf c2(Roche Diagnostics社製)}50mgを、表2に示す混合比(体積比)の混合溶媒5mL中に溶解して、40℃で80時間インキュベートした。
反応開始後、2時間および80時間の各反応溶液をサンプリングし、実施例1と同様の方法でHPLC分析し、エステル化反応率(収率)を確認した。その結果を表2に併記する。
また、実施例1と同様に、生成物のHPLCによる精製およびNMR分析を行い、主生成物が6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースであることを確認した。
【0050】
【表2】

【0051】
上記表2の結果から、本発明にかかる実施例3〜10のエステル化反応によって、目的生成物である6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースが効率よく得られることが確認された。
また、当該反応溶液の有機溶媒において、アセトンが60体積%を超えると、生成物である糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの最終収量が多くなる傾向があり、一方、t−ブタノールを多く含むほど当該エステル化反応の初期反応速度が速くなる傾向が確認された。
また、当該エステル化反応は40℃という穏やかな反応温度で行ったので、反応溶液中の酵素が熱によって失活および変性していないことは明らかである。したがって、公知の方法によって回収し再利用することができる。
【0052】
[実施例11]
反応溶液の有機溶媒として、アセトニトリルを用い、有機溶媒の種類以外の条件は実施例1と同様の条件で当該エステル化反応を行った。反応開始後、20時間の時点で当該反応溶液をサンプリングし、実施例1と同様にHPLC分析を行い、エステル化反応率(収率)を確認した。その結果を表3に示す。
また、実施例1と同様に、生成物のHPLCによる精製およびNMR分析を行い、主生成物が6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースであることを確認した。
なお、反応開始後10時間では反応溶液は液体であったが、反応開始後20時間では反応溶液が固化していた。これは、溶媒であるアセトニトリル(40℃)の溶解度以上に生成物である6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースが生成されたことを示している。固化した反応溶液には、アセトニトリルを5ml添加することによって再び溶解することができた。それを、HPLC分析、HPLC精製およびNMR分析に用いた。
【0053】
【表3】

【0054】
上記表3の結果から、本発明にかかる実施例11のエステル化反応によって、目的生成物である6−O−ヘキサデカノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースが効率よく得られることが確認された。
また、当該エステル化反応は40℃という穏やかな反応温度で行ったので、反応溶液中の酵素が熱によって失活および変性していないことは明らかである。したがって、公知の方法によって回収し再利用することができる。
【0055】
[実施例12〜17:グルコースアセタールのオクタン酸モノエステルの製造]
1,2−O−イソプロピリデングルコフラノース(ALDRICH社製)55mg(0.25mmol)、オクタン酸(和光純薬工業株式会社製)72mg(0.50mmol)、及びCandida antarctica由来リパーゼfraction B(CAL−B){製品名:CHIRAZYME L−2, cf c2(Roche Diagnostics社製)}100mgを、表4に示す溶媒5mL中に溶解して、50℃で10時間インキュベートした。
反応10時間後の反応溶液をサンプリングし、実施例1と同様の方法でHPLC分析し、エステル化反応率(収率)を確認した。その結果を表4に併記する。
また、実施例1と同様に、生成物のHPLCによる精製およびNMR分析を行い、主生成物が6−O−オクタノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースであることを確認した。
【0056】
前記NMR測定の結果を以下に示す。
H NMR δ(ppm、500MHz、TMS、300K、CDCL3): 0.88(3H, t, J=6.9 Hz), 1.25(10H, m), 1.33(3H, s), 1.49(3H, s), 2.37(2H, m), 3.12(1H, m, OH−5), 3.34(1H, m, OH−3), 4.09(1H, m, C−4), 4.24(2H, m, C−6), 4.37(1H, d, J=3.0 Hz, C−3), 4.44(1H, m, C−5), 4.54(1H, d, J=3.7 Hz, C−2), 5.97(1H, d, J=3.7 Hz, C−1)
【0057】
【表4】

【0058】
上記表4の結果から、本発明にかかる実施例12〜17のエステル化反応によって、目的生成物である6−O−オクタノイル−1,2−O−イソプロピリデングルコフラノースが効率よく得られることが確認された。
また、実施例1〜17の結果から、少なくともアセトン、アセトニトリル、又はアセトン/t−ブタノール混合溶媒については、基質である脂肪酸の炭素数を8〜16の範囲で変更した場合であっても生成物であるカルボン酸モノエステルが充分に得られることが明らかである。
また、当該エステル化反応は50℃という穏やかな反応温度で行ったので、反応溶液中の酵素が熱によって失活および変性していないことは明らかである。したがって、公知の方法によって回収し再利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物とカルボン酸とを、エステル結合を切断し得る酵素を用いて有機溶媒中で反応させる糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法であって、該有機溶媒がアセトン、t−ブタノール、アセトニトリル、又はアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒であることを特徴とする糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。
【請求項2】
前記有機溶媒がアセトンとt−ブタノールとの混合溶媒であり、該混合溶媒の混合比(体積比)がアセトン:t−ブタノール=99:1〜25:75であることを特徴とする請求項1に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。
【請求項3】
糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物とカルボン酸とを、エステル結合を切断し得る酵素を用いて有機溶媒中で反応させる糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法であって、該有機溶媒が2−ブタノン、ブチロニトリル、又はプロピオニトリルであることを特徴とする糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。
【請求項4】
前記糖及び/又は糖アルコールをアセタール化して得られる化合物が、糖及び/又は糖アルコールをケトン又はアセタールと反応させるアセタール化により得られるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。
【請求項5】
前記糖及び/又は糖アルコールが、グルコース、ショ糖、又はトレハロースであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。
【請求項6】
前記カルボン酸が炭素数6〜22の脂肪族カルボン酸、又は芳香族カルボン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。
【請求項7】
前記エステル結合を切断し得る酵素がカンジダ・アンタークティカ由来(Candidia antarctica由来)のリパーゼであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。
【請求項8】
前記有機溶媒中での反応温度が5〜60℃で行われることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の糖及び/又は糖アルコールのカルボン酸モノエステルの製造方法。

【公開番号】特開2010−233566(P2010−233566A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49625(P2010−49625)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000227009)日清オイリオグループ株式会社 (251)
【Fターム(参考)】