説明

糖尿病の治療のための置換二環式アミン

置換二環式アミンが記載される。特に、SSTR5のアンタゴニストとして有効であり、並びに2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、アテローム動脈硬化症、メタボリックシンドローム、鬱病及び不安神経症のようなSSTR5の拮抗作用に応答する障害の治療、抑制又は予防に有用な置換二環式アミンが記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
置換二環式アミンが本明細書で記載される。特に、ソマトスタチン受容体サブタイプ5(SSTR5)のアンタゴニストとして有効であり、並びに2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、アテローム動脈硬化症、メタボリックシンドローム、鬱病及び不安神経症のような、SSTR5の拮抗作用に応答する障害の治療、抑制又は予防に有用な置換二環式アミンが本明細書で記載される。
【背景技術】
【0002】
真性糖尿病は、複数の原因因子に由来する疾患であり、そして空腹の状態、食後の状態における又は経口耐糖試験の間のグルコースの投与後の、血漿グルコースの上昇された値(高血糖症)によって特徴付けられる。糖尿病の2つの一般的に認識される形態がある。1型糖尿病或いはインスリン依存性真性糖尿病(IDDM)において、患者は、グルコースの利用を調節するホルモンであるインスリンを殆ど産生しないか又は全く産生しない。2型糖尿病或いはインスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)において、インスリンは、膵臓における島細胞においてなお産生される。2型糖尿病を有する患者は、筋肉組織、肝臓組織及び脂肪組織を含む主なインスリン感受性組織において、グルコース及び脂質の代謝を刺激するインスリンの効果に対する耐性を有する。これらの患者はしばしば、正常なレベルのインスリンを有し、そして増加された量のインスリンを分泌することにより、それらが低減されたインスリンの有効性を補うので、高インスリン血症(上昇された血漿インスリン値)を有し得る(Polonsky、Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.24 増刊 2:S29−31(2000))。膵島内のβ細胞は、最初に、インスリン生産を増加することによりインスリン抵抗性を補う。インスリン抵抗性は、減少された数のインスリン受容体によって主に引き起こされるのではなく、むしろ、未だ完全には理解されていないインスリン受容体結合後欠陥によって引き起こされる。インスリンに対する応答性のこの欠陥は、筋肉におけるグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵の、不十分なインスリン媒介性の活性化を生じ、そして脂肪組織における脂肪分解並びに肝臓におけるグルコースの産生及び分泌の、不十分なインスリン媒介性の抑制を生じる。最終的に、患者は、インスリン抵抗性に対する正確な補償ができないことに起因して糖尿病患者になる。ヒトにおいて、β細胞集団の不十分な増加(又は実際上の減少)に起因する2型糖尿病の発症は、非糖尿病のインスリン抵抗性個体に比べて明らかに増加されたβ細胞アポトーシスに起因する(Butlerら、Diabetes、52、102−110(2003))。
【0003】
糖尿病を伴って生じる持続性の又はコントロール不能の高血糖症は、増加される及び早期の罹患率及び死亡率と関連する。しばしば異常なグルコースの恒常性は、肥満、高血圧、そして脂質、リポタンパク質、アポリポタンパク質の代謝の変化並びに他の代謝及び血行動態の疾患と直接的及び間接的の両方で関連する。真性2型糖尿病を伴う患者は、アテローム動脈硬化症、冠動脈性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害及び網膜症を含む、大血管及び微小血管の合併症の有意に増加された危険性を有する。それゆえ、グルコース恒常性、脂質代謝、肥満及び高血圧の有効な治療的抑制が、真性糖尿病の臨床的な管理及び治療において非常に重要である。
【0004】
インスリン抵抗性を有する患者は、しばしば、いくつかのX症候群又はメタボリックシンドロームといわれる兆候を併せて示す。1つの広範に使用される定義によれば、メタボリックシンドロームを有する患者は、以下の群の5つの症候群:(1)腹部肥満、(2)高トリグリセリド血症、(3)低レベルの高比重リポタンパク質コレステロール(HDL)、(4)高血圧、及び(5)上昇された空腹時血糖から選択される3つ以上の兆候を有するとして特徴付けられ、これは患者がまた糖尿病である場合、2型糖尿病に特徴的な範囲にあり得る。これらの症状のそれぞれは、成人における高血中コレステロールの検出、評価及び治療に対する全米コレステロール教育プログラム専門家委員会の第3の報告(成人治療専門委員会III或いはATP−III)、米国立衛生研究所、2001、NIH刊行物 第01−3670号において臨床的に定義される。メタボリックシンドロームを伴う患者は、真性糖尿病を有していようが又は明白に発症していようが、2型糖尿病を伴って生じる大血管及び微小血管の合併症、例えば、アテローム動脈硬化症及び冠動脈性心疾患の発症の増加された危険性を有する。
【0005】
2型糖尿病についていくつかの利用可能な治療があり、これらのそれぞれが、それ自身の限界及び潜在的な危険性を有する。身体運動及び食事によるカロリー摂取量の低減は、しばしば、劇的に糖尿病の症状を改善し、そして2型糖尿病の及びインスリン抵抗性と関連する前糖尿病症状の、通常推奨される第一選択の治療である。この治療を用いるコンプライアンスは、十分に定着した座りがちな生活習慣及び過剰の食品、特に高脂肪及び炭水化物を含む食品の消費のために、非常に不十分である。薬理学的な治療は、以下の病理生態学の領域に主に重点をおいて取り組まれた:(1)肝臓におけるグルコース産生(ビグアニド類)、(2)インスリン抵抗性(PPARアゴニスト)、(3)インスリン分泌剤(スルホニル尿素);(4)インクレチンホルモン模倣剤(GLP−1誘導体及びアナログ、例えばエクセナチド及びリラグルチド、並びに(5)インクレチンホルモン分解の阻害剤(DPP−4阻害剤)。各治療は、それ自身の長所及び短所を有する。
【0006】
さらなる研究は、グルコース依存性のインスリン分泌によって抑制される膵島ベースのインスリン分泌に重点を置いて取り組まれた。このアプローチは、β細胞機能の安定化及び修復に対して可能性を有する。これに関して、研究は、1つ以上のソマトスタチン受容体を拮抗する影響に対して行われた。ソマトスタチン(SST)は、身体を通して広範に分布され、並びに、機能、例えば成長ホルモン、膵臓のインスリン、グルカゴン及びガストリンの放出において殆ど阻害性の複数の生物学的機能を示す、環状のテトラデカペプチドホルモンである。
【0007】
SSTホルモン活性は、5つの異なるSST受容体サブタイプ(SSTR1−5)に異なって結合するSST−14及びSST−28イソ型を介して媒介される。ヒトにおいて、SSTR1及びSSTR2は、下垂体、小腸、心臓及び脾臓において見出され、SSTR2は、主に、膵臓、下垂体及び胃において見出される。SSTR3及びSSTR4は、下垂体、心臓、肝臓、脾臓、胃、小腸及び腎臓において見出される。SSTR5は、下垂体において高濃度で、また膵臓においても見出される。S−28及びS−14は、類似の親和性を伴って、SSTR1、SSTR2、SSTR3及びSSTR4と結合する。受容体SSTR5は、S−28についてのその優先的な親和性によって特徴付けられ得る(Chisholmら、Am.J.Physiol Endocrinol Metab.283:E311−E317(2002))。
【0008】
SSTR5は、インスリン及びアミリンの産生を担うヒト島β細胞によって発現される。従って、SSTR5への結合は、インスリン分泌を影響し得る。例えば、3カ月齢のマウスから単離されたかん流膵臓製剤をインビトロで使用することにより、SSTR5グローバルノックアウトマウスの膵臓は、低い基底のインスリン産生を有するが、グルコース刺激に対して正常に近い応答を有することが実証された。SSTR5とともに、SSTR1はまた、島β細胞において発現されるので、上流制御されたSSTR1は、若いノックアウトマウスにおいてSSTR5の欠失を補うことが仮説された。しかし、マウスが加齢するにつれて、SSTR1発現はノックアウトマウス及び加齢したコントロール野生型マウスの両方において減少した。インビボでのより低いSSTR1発現を伴って、SSTR5ノックアウトマウスは、ノックアウトマウス島β細胞における殆ど完全なSSTRの欠失、その後のSST阻害性応答の欠失に起因して、増加された基底のインスリン分泌及びグルコース刺激性インスリン分泌を有した(Wangら、Journal of Surgical Research、129、64−72(2005))。
【0009】
回腸におけるS−28を産生するD細胞及びGLP−1を含有するL−細胞の近接は、SSTR5を介するS−28の作用がさらに、GLP−1分泌の直接的な調節に関与するかもしれないことを示唆する。SSTR5を介するS−28の作用がGLP−1分泌の直接的な調節に関与することを決定するために、胎児ラットの腸細胞培養物が、SSTR2−5について比較的高い特性を備えるソマトスタチンアナログで処理された。GLP−1分泌は、SSTR5選択的アナログによって、S−14よりも強力に、そしてS−28と殆ど同じくらい効果的に阻害された(Chisholmら、Am.J.Physiol Endocrinol Metab.283:E311−E317、2002)。SSTR5の選択的なアンタゴニストは、内因性ソマトスタチンペプチドによってGLP−1分泌の抑制をブロックし、それによって循環するGLP−1値を上昇することが理解される。上昇された内因性GLP−1値は、2型糖尿病の治療における有益な効果と関連する(Arulmozhiら、European Journal of Pharmaceutical Sciences、28、96−108(2006))。
【0010】
従って、選択的で、直接的に作用するSSTR5アンタゴニストが記載され、これはSSTR5の調節と関連する疾患の治療及び/又は予防のための治療的に活性な薬剤として有用である。SSTR5アンタゴニストで治療又は予防されてもよいこのような疾患には、真性糖尿病、耐糖能障害及び上昇された空腹時血糖などを包含する。
【発明の概要】
【0011】
発明の要旨
構造式I:
【0012】
【化1】

の化合物及び薬学的に許容されるその塩が記載される。本明細書で記載される置換二環性アミンは、ソマトスタチン受容体サブタイプ5(SSTR5)の有効なアンタゴニストであり、そしてSSTR5の拮抗作用に応答性する障害、例えば2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、アテローム動脈硬化症、メタボリックシンドローム、鬱病及び不安神経症の治療、抑制又は予防に有用である。
【0013】
本明細書で記載される化合物及び薬学的に許容される担体を含む組成物がまた、本明細書で記載される。
【0014】
必要のある患者において、SSTR5の拮抗作用に応答する障害、疾患又は症状の治療、抑制又は予防のための本明細書で記載される化合物を含む組成物がまた、本明細書で記載される。
【0015】
2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム動脈硬化症及びメタボリックシンドロームの治療、抑制又は予防のための、本明細書で記載される化合物を含む組成物がまた、本明細書で記載される。
【0016】
GLP−1分泌の増強のための、本明細書で記載される化合物を含む組成物がまた、本明細書で記載される。
【0017】
糖尿病の治療のための、本明細書で記載される化合物及び治療上有効な量の他の薬剤を含む組成物がまた、本明細書で記載される。
【0018】
本明細書で記載される化合物及び薬学的組成物を投与することによる、必要のある患者において、SSTR5の拮抗作用に応答する障害、疾患又は症状の治療、抑制又は予防のための方法がまた、本明細書で記載される。
【0019】
本明細書で記載される化合物及び薬学的組成物を、哺乳動物に投与することによる、2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム動脈硬化症及びメタボリックシンドロームの治療、抑制又は予防のための方法がまた、本明細書で記載される。
【0020】
本明細書で記載される化合物及び薬学的組成物を哺乳動物に投与することによる、哺乳動物においてGLP−1分泌を増強する方法がまた、本明細書で記載される。
【0021】
本明細書で記載される化合物を、症状を治療するのに有用であることが知られる治療上有効な量の別の薬剤と組み合わせて投与することによる、糖尿病の治療、抑制又は予防のための方法がまた、本明細書で記載される。
【0022】
本明細書に記載される化合物を、2型糖尿病を治療するのに有用であることが知られる治療上有効な量の別の薬剤と組み合わせて投与することによる、2型糖尿病の治療、抑制又は予防のための方法がまた、本明細書で記載される。
【0023】
SSTR5の拮抗作用に応答性の障害、疾患又は症状の治療、抑制又は予防のための医薬の製造における、本明細書で記載される化合物の使用がまた、本明細書で記載される。
【0024】
2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム動脈硬化症及びメタボリックシンドロームの治療、抑制又は予防のための医薬の製造における、本明細書で記載される化合物の使用がまた、本明細書で記載される。
【0025】
哺乳動物におけるGLP−1分泌の抑制のための医薬の製造における、本明細書で記載される化合物の使用がまた、本明細書で記載される。
【0026】
治療上有効な量の糖尿病の治療のための別の薬剤を含む医薬の製造における、本明細書で記載される化合物の使用がまた、本明細書で記載される。
【0027】
発明の詳細な記載
化合物
構造式I:
【0028】
【化2】

【0029】
[式中:
Arは、アリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール又はヘテロアリールは:
(1)−OC1−10アルキル、
(2)−OC3−6シクロアルキル、
(3)−O−ヘテロアリール、
(4)−O−アリール、
(5)アリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(8)ヘテロアリール、
(9)1個ないし3個のハロゲンで置換されたヘテロアリール、
(10)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたヘテロアリール、
(11)ハロゲン、
(12)オキソ、
(13)−COH、
(14)−C1−10アルコキシカルボニル、
(15)−CN、
(16)−CF
(17)NH
(18)ピロリドン、
(19)シクロヘテロアルキル、
(20)C1−10アルキル、
(21)C3−6シクロアルキル、及び
(22)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたC3−6シクロアルキル、
からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、NH又はOCHであり;
は、SOH、CONH、CONHC1−10アルキル、−C1−10アルコキシカルボニル、アロイル、ヘテロアロイル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルであり、ここで、CONH、CONHC1−10アルキル、−C1−10アルコキシカルボニル、アロイル、ヘテロアロイル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルは:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−O−ヘテロアリール、
(5)−O−アリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール
(7)アリール、
(8)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(9)ヘテロアリール、
(10)ハロゲン、
(11)−SO1−10アルキル、
(12)−SO−アリール、
(13)−SO−アリール−C1−10アルキル、
(14)−NSO1−10アルキル、
(15)−NSO−アリール、
(16)−NSO−アリール−C1−10アルキル、
(17)−C(O)H、
(18)−C(O)C1−10アルキル、
(19)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(20)−C(O)シクロアルキル、
(21)−C(O)ヘテロアリール、
(22)−C(O)アリール、
(23)−OC(O)H、
(24)−OC(O)C1−10アルキル、
(25)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(26)−OC(O)シクロアルキル、
(27)−OC(O)ヘテロアリール、
(28)−OC(O)アリール、
(29)オキソ、
(30)−NH
(31)−CONH−C1−10アルキル−アリール、
(32)−CONH
(33)−NOH、
(34)−COH、
(35)−C1−10アルコキシカルボニル、
(36)−CO1−10アルキルアリール、
(37)−CN、
(38)−CF
(39)−OCF
(40)−OCHF
(41)シクロヘテロアルキル、
(42)C1−10アルキル−OH、
(43)C1−10アルキル、及び
(44)C3−6シクロアルキル、
からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい]
の化合物又は薬学的に許容されるその塩が本明細書で記載される。
【0030】
本明細書で記載される一実施態様において、Arは未置換のアリール又はヘテロアリールである。本明細書で記載される別の実施態様において、Arは置換されたアリール又はヘテロアリールである。本明細書で記載されるなお別の実施態様において、Arは未置換のアリールである。本明細書で記載される他の実施態様において、Arは置換されたアリールである。本明細書で記載される更なる他の実施態様において、Arは未置換のヘテロアリールである。本明細書で記載される他の実施態様において、Arは置換されたヘテロアリールである。例えば、いくつかの実施態様において、Arは、フェニル、ピロール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ピリジン、オキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、フラン、トリアジン、チエン、ピリミジン、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ジヒドロベンゾフラン、インドリン、ピリダジン、インダゾール、イソインドール、ジヒドロベンゾチエン、インドリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、ナフチリジン、カルバゾール、ベンゾジオキソール、キノキサリン、プリン、フラザン、イソベンジルフラン、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチエン、キノール、インドール、イソキノール又はジベンゾフランである。ある実施態様において、Arはフェニルである。
【0031】
本明細書で記載される一実施態様において、Arは置換されたアリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール又はヘテロアリールは、
(1)−OC1−10アルキル、
(2)−OC3−6シクロアルキル、
(3)−O−ヘテロアリール、
(4)−O−アリール、
(5)アリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(8)ヘテロアリール、
(9)ハロゲン、
(10)オキソ、
(11)−COH、
(12)−C1−10アルコキシカルボニル、
(13)−CN、
(14)−CF
(15)ピロリドン、
(16)シクロヘテロアルキル、
(17)C1−10アルキル、
(18)C3−6シクロアルキル、及び
(19)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたC3−6シクロアルキル、
からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換される。
【0032】
本明細書で記載される一実施態様において、Arは置換された又は未置換のアリールであり、ここでアリールは、
(1)−OC1−10アルキル、
(2)−OC3−6シクロアルキル、
(3)−Oヘテロアリール、
(4)−Oアリール、
(5)アリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(8)ヘテロアリール、
(9)ハロゲン、
(10)オキソ、
(11)−COH、
(12)−C1−10アルコキシカルボニル、
(13)−CN、
(14)−CF
(15)ピロリドン、
(16)シクロヘテロアルキル、
(17)C1−10アルキル、
(18)C3−6シクロアルキル、及び
(19)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたC3−6シクロアルキル、
からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0033】
本明細書で記載される一実施態様において、Arは置換された又は未置換のアリールであり、ここでアリールは、
(1)COH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(4)ヘテロアリール、
(5)アリール、
(6)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(7)C1−10アルキル、及び
(8)C3−6シクロアルキル、
からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0034】
本明細書で記載される一実施態様において、Xは、O、NH又はOCHである。本明細書で記載される他の実施態様において、Xは、O又はNHである。本明細書で記載される更なる他の実施態様において、XはNHである。本明細書で記載される更なる他の実施態様において、XはOである。
【0035】
本明細書で記載される一実施態様において、Rは、SOH、CONH、CONHC1−10アルキル、C1−10アルコキシカルボニル、アロイル、ヘテロアロイル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルである。本明細書で記載される他の実施態様において、Rは、アロイル、ヘテロアロイル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルである。本明細書で記載される更なる他の実施態様において、Rは、アロイル又はヘテロアロイルである。さらに、ある実施態様において、Rは、置換されるか又は未置換である。
【0036】
本明細書で記載される更なる他の実施態様において、Rは:
【0037】
【化3】

からなる群より選択される。
【0038】
本明細書で記載される更なる他の実施態様において、Rは:
【0039】
【化4】

からなる群より選択される。
【0040】
本明細書で記載される一実施態様において、Rは:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−O−ヘテロアリール、
(5)−O−アリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)アリール、
(8)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(9)ヘテロアリール、
(10)ハロゲン、
(11)−SO1−10アルキル、
(12)−SO−アリール、
(13)−SO−アリール−C1−10アルキル、
(14)−NSO1−10アルキル、
(15)−NSO−アリール、
(16)−NSO−アリール−C1−10アルキル、
(17)−C(O)H、
(18)−C(O)C1−10アルキル、
(19)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(20)−C(O)シクロアルキル、
(21)−C(O)ヘテロアリール、
(22)−C(O)アリール、
(23)−OC(O)H、
(24)−OC(O)C1−10アルキル、
(25)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(26)−OC(O)シクロアルキル、
(27)−OC(O)ヘテロアリール、
(28)−OC(O)アリール、
(29)オキソ、
(30)−NH
(31)−CONH−C1−10アルキル−アリール、
(32)−CONH
(33)−NOH、
(34)−COH、
(35)−C1−10アルコキシカルボニル、
(36)−CO1−10アルキルアリール、
(37)−CN、
(38)−CF
(39)−OCF
(40)−OCHF
(41)シクロヘテロアルキル、
(42)C1−10アルキル−OH、
(43)C1−10アルキル、及び
(44)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換される。
【0041】
本明細書で記載される一実施態様において、Rは:
(1)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(2)ヘテロアリール、
(3)C3−6シクロアルキル、
(4)シクロヘテロアルキル、
(5)−OC1−10アルキル、
(6)ハロゲン、
(7)−SO1−10アルキル、
(8)−NSO−アリール、
(9)−NSO−アリール−C1−10アルキル、
(10)−NH
(11)−CONH
(12)−NOH、
(13)−COH、
(14)−C1−10アルコキシカルボニル、
(15)−CO1−10アルキルアリール、
(16)−CF
(17)−OCHF
(18)C1−10アルキル−OH、及び
(19)C1−10アルキル、
からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換される。
【0042】
本明細書で記載される一実施態様において、Rは:
(1)−OC1−10アルキル
(2)ハロゲン、
(3)−SO1−10アルキル、
(4)−NSO−アリール、
(5)−NSO−アリール−C1−10アルキル、
(6)−NH
(7)−CONH
(8)−NOH、
(9)−COH、
(10)−C1−10アルコキシカルボニル、
(11)−CO1−10アルキルアリール、
(12)−CF
(13)−OCHF
(14)C1−10アルキル−OH、及び
(15)C1−10アルキル、
からなる群より選択される1つ以上の置換基で置換される。
【0043】
構造式Ia:
【0044】
【化5】

[式中、
、R、R及びRは、独立して:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−O−ヘテロアリール、
(5)−O−アリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)ヘテロアリール、
(8)ハロゲン、
(9)−C(O)H、
(10)−C(O)C1−10アルキル、
(11)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(12)−C(O)シクロアルキル、
(13)−C(O)ヘテロアリール、
(14)−C(O)アリール、
(15)−OC(O)H、
(16)−OC(O)C1−10アルキル、
(17)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(18)−OC(O)シクロアルキル、
(19)−OC(O)ヘテロアリール、
(20)−OC(O)アリール、
(21)オキソ、
(22)−COH、
(23)−C1−10アルコキシカルボニル、
(24)−CN、
(25)−CF
(26)−OCF
(27)−OCHF
(28)シクロヘテロアルキル、
(29)C1−10アルキル、及び
(30)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択される]
の化合物又は薬学的に許容されるその塩がまた記載される。
【0045】
構造式Ib:
【0046】
【化6】

[式中、
、R、R及びRは、独立して:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−Oヘテロアリール、
(5)−Oアリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)ヘテロアリール、
(8)ハロゲン、
(9)−C(O)H、
(10)−C(O)C1−10アルキル、
(11)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(12)−C(O)シクロアルキル、
(13)−C(O)ヘテロアリール、
(14)−C(O)アリール、
(15)−OC(O)H、
(16)−OC(O)C1−10アルキル、
(17)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(18)−OC(O)シクロアルキル、
(19)−OC(O)ヘテロアリール、
(20)−OC(O)アリール、
(21)オキソ、
(22)−COH、
(23)−C1−10アルコキシカルボニル、
(24)−CN、
(25)−CF
(26)−OCF
(27)−OCHF
(28)シクロヘテロアルキル、
(29)C1−10アルキル、及び
(30)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択され;そしてここでYは、O、S又はNである]
の化合物又は薬学的に許容されるその塩がまた記載される。
【0047】
一実施態様において、R、R、R及びRは、独立して:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−Oヘテロアリール、
(5)−Oアリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)ヘテロアリール、及び
(8)ハロゲン、
からなる群より選択される。
【0048】
一実施態様において、R、R及びRは、独立して:
(1)−OC1−10アルキル、及び
(2)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
からなる群より選択される。
【0049】
一実施態様において、Rは、独立して:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−Oヘテロアリール、
(5)−Oアリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール
(7)ヘテロアリール、
(8)ハロゲン、
(9)−C(O)H、
(10)−C(O)C1−10アルキル、
(11)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(12)−C(O)シクロアルキル、
(13)−C(O)ヘテロアリール、
(14)−C(O)アリール、
(15)−OC(O)H、
(16)−OC(O)C1−10アルキル、
(17)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(18)−OC(O)シクロアルキル、
(19)−OC(O)ヘテロアリール、
(20)−OC(O)アリール、
(21)オキソ、
(22)−COH、
(23)−C1−10アルコキシカルボニル、
(24)−CN、
(25)−CF
(26)−OCF
(27)−OCHF
(28)シクロヘテロアルキル、
(29)C1−10アルキル、及び
(30)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択される。
【0050】
本明細書で記載される化合物の例は表1に列挙され、包含される。
【0051】
【表1−1】

【0052】
【表1−2】

【0053】
【表1−3】

【0054】
【表1−4】

【0055】
【表1−5】

【0056】
【表1−6】

【0057】
【表1−7】

【0058】
【表1−8】

【0059】
【表1−9】

【0060】
【表1−10】

【0061】
【表1−11】

【0062】
【表1−12】

【0063】
【表1−13】

【0064】
【表1−14】

【0065】
【表1−15】

【0066】
【表1−16】

【0067】
【表1−17】

【0068】
【表1−18】

【0069】
ある実施態様において、本明細書で記載される化合物は、
【0070】
【化7】

を包含する。
【0071】
定義
「アルキル」及び接頭辞「alk」、例えば、アルコキシ及びアルカノイルを有する他の基は、炭素鎖が別に定義されない限り、直鎖又は分枝及びそれらの組み合わせてあってもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを包含する。炭素原子の数が何ら特定されない場合、C1−6が意図される。
【0072】
用語「アルケニル」は、特定の数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルケンをいう。アルケニルの例は、ビニル、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどを包含する。
【0073】
用語「アルキニル」は、特定の数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキンをいう。アルキニルの例は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルなどを包含する。
【0074】
用語「アルコキシ」は、特定の炭素原子の数(例えば、C1−6アルコキシ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分枝鎖のアルコキシドをいう(すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど)。
【0075】
用語「アルキルオキシカルボニル」は、特定の炭素原子の数(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はこの範囲内の任意の数のカルボン酸誘導体の直鎖又は分枝鎖のエステルをいう(すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル)。
【0076】
「アロイル」は、ラジカル−OCRを意味し、ここでRはアリール(ベンゾイル、ナフトイル)基である。アロイル基の例は、限定されないが、以下を包含する。
【0077】
【化8】

【0078】
「アリール」は、炭素環原子を含む単環式又は多環式の芳香族環系を意味する。好ましいアリール基は、単環式又は二環式の6員環ないし10員環の芳香族環系である。フェニル及びナフチルは好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0079】
「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどを包含する。シクロアルキル基は、別に定められない限り、一般的に単環式である。シクロアルキル基は、別に規定されない限り飽和される。
【0080】
「ヘテロアロイル」は、ラジカル−OCRを意味し、ここでRはヘテロアリール基である。アロイル基の例は、限定されないが、以下を包含する。
【0081】
【化9】

【0082】
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む芳香族又は部分芳香族の複素環を意味する。従ってヘテロアリールは、他の種類の環、例えば、アリール、シクロアルキル及び芳香族でない複素環に縮合されるヘテロアリールを包含する。ヘテロアリール基の例は、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなどを包含する。ヘテロシクリル基及びヘテロアリール基について、3個ないし15個の原子を含む環及び環系が包含され、1個ないし3個の環を形成する。
【0083】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素をいう。塩素及びフッ素が一般に好ましい。ハロゲンがアルキル基又はアルコキシ基で置換される場合、フッ素が最も好ましい(例えば、CFO及びCFCHO)。
【0084】
「オキソ」は、官能基「=O」、例えば、(1)カルボニル基である「C=(O)」、(2)「S=(O)」、すなわち、スルホキシド基である;及び(3)「N=(O)」、すなわち、N−オキシド基、例えば、ピリジル−N−オキシドを意味する。
【0085】
本明細書で記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物並びに個々のジアステレオマーとして存在してもよい。本明細書で記載される化合物は、本明細書で記載される化合物の全てのこのような異性体を包含する。
【0086】
本明細書で記載される化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール若しくは酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶化によって、又は光学的に活性な固定相を使用するキラルクロマトグラフィーを介して、個々のジアステレオ異性体に分離されてもよい。絶対立体化学が、結晶性生成物、又は必要であれば、公知の絶対配座の不斉中心を含む試薬で誘導体化された結晶性中間体のX線結晶学によって決定されてもよい。
【0087】
或いは、本明細書で記載される化合物の任意の立体異性体は、光学的に純粋な出発原料又は既知の絶対配置の試薬を使用する立体特異的合成によって得られてもよい。
【0088】
所望される場合、化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが単離されるように分離されてもよい。分離は、当該分野において周知の方法、例えば、ジアステレオマー混合物を形成するためのエナンチオマー的に純粋な化合物への、化合物のラセミ混合物のカップリング、その後の標準的な方法、例えば、分別結晶化又はクロマトグラフィーによる個々のジアステレオマーの分離によって行われてもよい。カップリング反応はしばしば、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を使用する塩の形成である。次いで、ジアステレオマー誘導体は、添加されたキラル残基の切断によって純粋なエナンチオマーに転換されてもよい。化合物のラセミ混合物はまた、キラル固定相を利用するクロマトグラフィー法によって直接的に分離されてもよく、この方法は当該分野において周知である。
【0089】
本明細書で記載される化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含み、そして別に特定されない限り、E及びZ幾何異性体の両方を含むことが意図される。
【0090】
本明細書で記載されるいくつかの化合物は、互変異性体として存在してもよく、これは1つ以上の二重結合シフトをともなう水素の結合の異なる点を有する。例えば、ケトン及びそのエノール形態は、ケト−エノール互変異性体を形成する。個々の互変異性体及びそれらの混合物が、本明細書で記載される化合物とともに包含される。
【0091】
本明細書で記載される場合、本明細書で記載される化合物に関してまた、薬学的に許容される塩、及びまたそれらが遊離化合物若しくはそれらの薬学的に許容される塩に対する前駆体として又は他の合成手順において使用される場合は、薬学的に許容されない塩を包含することが意図される。
【0092】
本明細書で記載される化合物は、薬学的に許容される塩の形態において投与されてもよい。用語「薬学的に許容される塩」は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩をいう。用語「薬学的に許容される塩」の範囲内に包含される塩基性化合物の塩は、本明細書で記載される化合物の非毒性の塩をいい、これは一般的に、遊離塩基と、適切な有機酸又は無機酸とを反応することによって調製される。本明細書で記載される塩基性化合物の代表的な塩は、以下:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート、トリエチオジド及び吉草酸塩を包含するが、これらに限定されない。さらに、本明細書で記載される化合物が酸性部分を保有する場合、適切な薬学的に許容されるその塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄2鉄、第1鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む、無機塩基に由来する塩を包含し、これらに限定されない。特に好ましいのは、アンモニア、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される非毒性の有機塩基は、第1級、第2級及び第3級のアミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
【0093】
また、カルボン酸(−COOH)又はアルコール基が本明細書で記載される化合物中に存在する場合において、カルボン酸誘導体、例えばメチル、エチル又はピバロイルオキシメチル、又はアルコールのアシル誘導体、例えばアセチル、ピバロイル、ベンゾイル及びアミノアシルの薬学的に許容されるエステルが用いられてもよい。持続性放出又はプロドラッグ製剤としての使用のための、溶解度及び加水分解の特性を改変するための当該技術分野において公知のそれらのエステル及びアシル基が包含される。
【0094】
本明細書で記載される化合物の溶媒和物、特に水和物が同様に包含される。
【0095】
製造の方法
本明細書において使用される略語は以下の意味を有する(ここで示されない略語は、別に特別に定められない限り一般に使用されるそれらの意味を有する):Ac(アセチル)、Bn(ベンジル)、Boc(第3−ブトキシカルボニル)、Bop試薬(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホソニウムヘキサフルオロリン酸、CAMP(環状アデノシン−3’,5’−一リン酸)、DAST((ジエチルアミノ)三フッ化硫黄)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DCM(ジクロロメタン)、DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム)、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン)、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DPPF(1,1’−ビスジフェニルホスフィノフェロセン)、EDC(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩)、EtN(トリエチルアミン)、GST(グルタチオントランスフェラーゼ)、HoBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、LAH(水素化リチウムアルミニウム)、Ms(メタンスルホニル;メシル;又はSOMe)、MsO(メタンスルホナート又はメシラート)、MCPBA(メタ−クロロ過安息香酸)、NaHMDS(ヘキサメチルジシラザンナトリウム)、NBS(N−ブロモスクシンイミド)、NCS(N−クロロスクシンイミド)、NSAID(非−ステロイド性抗炎症剤)、PDE(ホスホジエステラーゼ)、Ph(フェニル)、r.t.又はRT(室温)、Rac(ラセミ)、SAM(アミノスルホニル;スルホンアミド又はSONH)、SPA(シンチレーション近似アッセイ)、Th(2−又は3−チエニル)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、Thi(チオフェンジイル)、TLC(薄層クロマトグラフィー)、TMEDA(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)、TMSI(ヨウ化トリメチルシリル)、Tr又はtrityl(N−トリフェニルメチル)、C(アリル)、Me(メチル)、Et(エチル)、EtOAc(酢酸エチル)、n−Pr(ノルマルプロピル)、i−Pr(イソプロピル)、n−Bu(ノルマルブチル)、i−ブチル(イソブチル)、s−Bu(セカンダリーブチル)、t−Bu(ターシャルブチル)、c−Pr(シクロプロピル)、c−Bu(シクロブチル)、c−Pen(シクロペンチル)、c−Hex(シクロヘキシル)。
【0096】
本発明の化合物は、以下に提供される一般的なスキーム及び実施例において提供される手順に従って調製されてもよい。以下のスキーム及び実施例はさらに、本発明の範囲を記載するが、その範囲に限定されない。
【0097】
別に特に定めない限り、実験手順を以下の条件下で行った:全ての操作を室温又は周囲の温度にて;すなわち、18℃ないし25℃における温度にて行った。試薬又は中間体が空気及び湿度に感受性である場合、不活性ガス保護を使用した。溶媒の蒸発を、減圧下(600パスカルないし4000パスカル:4.5mmHgないし30mmHg)で、60℃までの溶液槽温度を伴って、回転式エバポレーターを使用して行った。反応の経過後、薄層クロマトグラフィー(TLC)又は高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(HPLC−MS)を行い、そして反応時間を説明のためのみに提示する。全ての最終生成物の構造及び純度を、少なくとも以下の1つの技術:TLC、質量分析、核磁気共鳴(NMR)分析又は微量分析データによって確認した。提示する場合、収率は説明のためのみである。提示する場合、NMRデータは、主要な診断陽子についてのデルタ(δ)値の形態にあり、示した溶媒を使用して300MHz、400MHz又は500MHzにて測定し、内部標準としてのテトラメチルシラン(TMS)に比較した、百万分の1(ppm)において提示される。シグナル形状について使用される従来の略語は:s.シングレット;d.ダブレット;T.トリプレット;m.マルチプレット;br.ブロードなどである。さらに、「Ar」は芳香族シグナルを意味する。化学記号はそれらの通常の意味を有する;以下の略語が使用される:v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0098】
上記の化合物を製造する方法がまた本明細書で記載される。
【0099】
【化10】

【0100】
エチル4−ブロモ−3,5−ジエトキシベンゾアート(化合物1)
【0101】
【化11】

ヨードエタン(17.3mL、215mmol)を、4−ブロモ−3,5−ジヒドロキシ安息香酸(10g、42.9mmol)及びカルボン酸カリウム(26.7g、193mmol)のDMF(100mL)中の撹拌混合物に添加し、そして混合物を室温にて18時間撹拌し、次いでEtOAcと水との間で分配した。水層をEtOAcで溶出した。合わせた有機層を水(2×)、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして濃縮して化合物1を得た。H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.4(t,3H)、1.5(t,6H)、4.2(q,4H)、4.4(q,2H)、7.2(s,2H)。
【0102】
エチル2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−カルボキシラート(化合物2)
【0103】
【化12】

【0104】
ジオキサン(120mL)をトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボラート(0.73g、2.5mmol)、4−フルオロフェニルボロン酸(11.8g、84mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.77g、0.84mmol)、CsF(23.7g、156mmol)及び化合物1(13.4g、42mmol)の脱気混合物に添加した。混合物を、20時間、窒素下で90℃にて撹拌し、次いでEtOAcと水との間で分配した。水層を濾過し、そしてEtOAcで抽出した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上でクロマトグラフし、EtOAc/ヘキサンで溶出した。生成物画分を合わせ、そして濃縮して、化合物2を得た。LC−MS,M+1=333.1;H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.3(t,6H)、1.45(t,3H)、4.1(q,4H)、4.4(q,2H)、7.1(m,2H)、7.2(s,2H)、7.4(m,2H)。
【0105】
(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メタノール(化合物3)
【0106】
【化13】

【0107】
THF中の水素化リチウムアルミニウムの溶液(34ml、34mmol)を、室温にて、化合物2(14g、42mmol)のTHF(120mL)中の撹拌溶液に30分間にわたって滴下して添加した。2時間後、TLCは出発原料が何ら残っていないことを示した。反応混合物を冷蔵庫で一晩保存し、そして水(4mL)、NaOH水溶液(0.5M、4mL)及び水(4mL)の連続的な添加によりクエンチした。混合物を、セライト(珪藻土)を介して濾過し、EtOAcで徹底的に洗浄し、そして濾液を濃縮して化合物3を白色固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.3(t,6H)、1.8(t,1H)、4.0(q,4H)、4.7(d,2H)、6.7(s,2H)、7.1(m,2H)、7.4(m,2H)。
【0108】
4−(クロロメチル)−2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル(中間体A)
【0109】
【化14】

【0110】
塩化メタンスルホニル(1.6mL、20.7mmol)を、化合物3(5g、17.2mmol)及びトリエチルアミン(3.6mL、25.8mmol)のジクロロメタン(40mL)中の撹拌溶液に滴下して添加し、そして混合物を室温にて18時間撹拌した。混合物をEtOAcと水との間で分配した。水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして濃縮した。残渣をシリカゲルカラム上でクロマトグラフし、EtOAc/ヘキサンで溶出した。生成物画分を合わせ、そして濃縮して、中間体Aを得た。H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):1.3(t,6H)、4.0(q,4H)、4.6(s,2H)、6.7(s,2H)、7.1(m,2H)、7.4(m,2H).LC−MS,m+1=309.1。
【0111】
【化15】

【0112】
メチル2−メルカプト−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボキシラート(化合物4)
【0113】
【化16】

【0114】
室温にて、メチル4−アミノ−3−ヒドロキシベンゾアート(4.45g、26.6mmol)のTHF(250ml)中の撹拌溶液に、チオホスゲン(2.4mL、32mmol)を1時間の間にわたって、シリンジポンプを介してゆっくりと添加した。4時間の撹拌後、過剰のチオホスゲンを、NHCl(100mL)の飽和溶液の添加によってクエンチし、そしてTHFを減圧下で蒸発により除去した。さらなる水を添加し、そして水性混合物をEtOAcで抽出した(3×)。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、そして真空下で濃縮して、化合物4を黄褐色の固体として得た。LC−MS,M+1=210。
【0115】
メチル2−クロロ−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボキシラート(中間体B)
【0116】
【化17】

【0117】
化合物4(2g、9.5mmol)に、SOCl(9.8ml、134mmol)及びDMF(0.8mL、10mmol)を室温にて添加した。反応混合物を15分間加熱して還流した。溶媒を減圧下で除去した。粗油をキシレンで2回共沸した。残渣を最小量のDCM/MeOH中に溶解し、次いでシリカゲルカラム上に付加し、EtOAc/イソヘキサンで溶出して、中間体Bを白色の固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl3,ppm):4.0(s,3H)、7.8(d,1H)、8.1(d,1H)、8.3(s,1H).LC−MS,M+1=212.1。
【0118】
【化18】

【0119】
tert−ブチル4−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−1(2H)−カルボキシラート(化合物5、シス、ラセミ)
【0120】
【化19】

【0121】
tert−ブチル4−アミノヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−1(2H)−カルボキシラート(シス−異性体、ラセミ、>95%の1つのジアステレオマー、1.4g、6.2mmol)及びトリエチルアミン(3.5mL、24.7mmol)のジクロロメタン中の撹拌及び冷却(0℃)混合液に、クロロギ酸ベンジル(1.76mL、12.3mmol)を滴下して添加し、そして得られた混合物を室温にて一晩撹拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、そして飽和NaHCO水溶液、水及び食塩水で洗浄した。混合物を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、EtOAc/イソヘキサンで溶出して、化合物5を無色の油として得た。LC−MS,M+1−Boc=261.3。
【0122】
ベンジルオクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−イルカルバマート(化合物6、シス、ラセミ)
【0123】
【化20】

【0124】
ジオキサン8mL中の化合物5(1.18g、3.3mmol)の溶液に、室温にてジオキサン中のHCl(4M、16ml、64mmol)を添加した。2時間後、LC−MSは出発原料が何らないことを示し、そして生成物ピークを示した。溶媒を減圧下で除去し、次いで生成物を高真空を使用して乾燥して、化合物6を得た。LC−MS,m+1=261.3。
【0125】
ベンジル{1−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−イル}カルバマート(化合物7、シス、)
【0126】
【化21】

【0127】
反応物、中間体A(379mg、1.2mmol)、化合物6(364mg、1.2mmol)及び炭酸セシウム(1.2g、3.3mmol)をDMF 10mL中で混合し、そして室温にて一晩撹拌した。得られた混合物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を減圧下で蒸発した。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、EtOAc/ヘキサンで溶出して、ラセミ化合物7を無色の油として得た。LC−MS,M+1=533.5。微量のジアステレオマー(約2%)をこの工程において分離した。ラセミ化合物をキラルODカラム(5% iPrOH/ヘプタン、9ml/分流速)で分離して、化合物7の第1のエナンチオマーA及び化合物7の第2のエナンチオマーBを得た。
【0128】
1−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−アミン(化合物8、単一のエナンチオマー)
【0129】
【化22】

【0130】
MeOH(2.5mL)中の化合物7のエナンチオマーA(137mg、0.25mmol)の溶液に、炭素上のPd(OH)(50重量%、29mg、0.1mmol)を室温にて添加した。反応容器を窒素で3回パージした。次いで反応混合物を水素バルーン下で1時間撹拌した。反応混合物を、セライト(珪藻土)を介して濾過し、そして濃縮して化合物8を無色のゴムとして得た。LC−MS,M+1=399.2。
【0131】
メチル2−({1−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−イル}アミノ)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボキシラート(実施例55、単一のエナンチオマー)
【0132】
【化23】

【0133】
化合物8(98mg、0.25mmol)のアセトニトリル(1.5mL)中の溶液に、中間体B(62.4mg、0.3mmol)及びトリエチルアミン(0.07ml、0.5mmol)を添加した。反応混合物を密閉したチューブ中で80℃にて1時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、そして残渣を分取用薄層クロマトグラフ(5%MeOH/DCM)によって精製して、化合物9を白色の泡として得た。LC−MS,M+1=574.3。
【0134】
2−({1−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−イル}アミノ)−1,3−ベンゾオキサゾール−6−カルボン酸(実施例1、単一のエナンチオマー)
【0135】
【化24】

【0136】
化合物9(95mg、0.17mmol)のTHF/MeOH/HO(1/0.5/0.5mL)中の撹拌溶液に、水酸化リチウム水和物(104mg、2.5mmol)を添加した。反応混合物を50℃に2.5時間加温した。反応混合物を50%ギ酸/CH3CNで酸性化し、次いで逆相HPLC(C18)によって精製した後、凍結乾燥して実施例1を白色の固体として得た。H NMR(400MHz,CDCl3,ppm):1.2(t,6H)、1.6(m,1H)、2.0(m,3H)、2.2(m,2H)、3.0(m,1H)、3.2(m,1H)、3.6(m,1H)、3.8(m,1H)、4.0(m,5H)、4.5(m,1H)、4.8(m,1H)、7.0(s,2H)、7.1(m,2H)、7.4(m,3H)、7.7(ブロード,1H)、8.0(m,1H)、8.8(s,1H).LC−MS,M+1=560.44。
【0137】
【化25】

【0138】
N−{1−[(2,6−ジエトキシ−4’−フルオロビフェニル−4−イル)メチル]オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−イル}−2−メチルイソニコチンアミド(実施例2)
【0139】
【化26】

【0140】
化合物8(40mg、0.1mmol)、EDC(0.15mmol)、HOBT(0.15mmol)、トリエチルアミン(0.2mmol)及び5−メチル3−ピリジンカルボン酸(0.12mmol)を、アセトニトリル(1mL)中で室温にて一晩撹拌した。生成物を質量分析カラムクロマトグラフィーによって精製した。LC−MS,M+1=518.3。
【0141】
表2は、適切な置換基を使用して類似のプロセスにより製造されてもよい他の化合物を示す。
【0142】
【化27】

【0143】
【表2−1】

【0144】
【表2−2】

【0145】
【表2−3】

【0146】
【表2−4】

【0147】
【表2−5】

【0148】
【化28】

【0149】
tert−ブチル4−{[(5−メチルピリジン−3−イル)カルボニル]アミノ}ヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−1(2H)−カルボキシラート(化合物12)
【0150】
【化29】

【0151】
100mL丸底フラスコを、磁気撹拌子、EDC(3.8g、19.9mmol)、HOBT(4.1g、26.5mmol)、5−メチル、3−ピリジンカルボン酸(2.2g、15.9mmol)及び塩化メチレン(35mL)で充填した。tert−ブチル4−(アミノメチル)ヘキサヒドロシクロペンタ[b]ピロール−1(2H)−カルボキシラート(シス−異性体、ラセミ>95%の1つのジアステレオマー、3g、13.3mmol)を10分間にわたって添加し、そして反応混合物を9時間室温にて撹拌させた。溶媒を真空下で除去し、そして生成物をクロロホルム中に溶解し、そして水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして溶媒を真空下で除去した。最終化合物を逆相HPLCを使用して精製して、化合物12を得た。LC−MS,M+1=346.0。
【0152】
5−メチル−N−(オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−イル)ニコチンアミド(化合物13)
【0153】
【化30】

【0154】
50mL丸底フラスコを、磁気撹拌子、化合物12(1.5g、6.11mmol)及びジクロロメタン(25mL)で充填した。トリフルオロ酢酸(2.1g、18.3mmol)を添加し、そして反応混合物を室温にて4時間撹拌させた。溶媒及び揮発性物質を減圧下で一晩除去して、化合物13をそのTFA塩として得た。
【0155】
N−[1−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)オクタヒドロシクロペンタ[b]ピロール−4−イル]−5−メチルニコチンアミド(実施例5)
【0156】
【化31】

【0157】
5mL容器を、磁気撹拌子、芳香族アルデヒド(0.1mmol)、ジメチルホルムアミド(1.5mL)及びトリエチルアミン(0.3mmol)で充填した。混合物を10分間、室温にて撹拌させた。次いで、酢酸(0.75mmol)及び水素化ホウ素ナトリウム(0.15mmol)を添加し、そして化合物13(0.1mmol)の添加の前に5分間撹拌させた。生成物を質量分析カラムクロマトグラフィーによって精製した。LC−MS,M+1=368.3。
【0158】
表3は、適切な置換を使用して類似のプロセスにより製造されてもよい他の化合物を示す。
【0159】
【化32】

【0160】
【表3−1】

【0161】
【表3−2】

【0162】
【表3−3】

【0163】
【表3−4】

【0164】
【表3−5】

【0165】
治療の方法
本明細書においてまた記載されるのは、SSTR5の拮抗作用に応答する疾患の治療、抑制又は予防のための方法である。本明細書で記載される化合物は、SSTR5の有力な及び選択的なアンタゴニストである。化合物は、SSTR5リガンドによって調節される疾患の治療において有効であり、これは、一般的にアンタゴニストである。このような疾患は、糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを包含するが、これらに限定されない。
【0166】
それゆえ、本明細書で記載されるのは、本明細書で記載される化合物及び薬学的組成物を、哺乳動物に投与することによる、糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム動脈硬化症及びメタボリックシンドロームの治療、抑制又は予防のための方法である。
【0167】
本明細書において用いる場合、用語「糖尿病」は、インスリン依存性糖尿病(これは、IDDM、1型糖尿病としてまた知られる)及びインスリン非依存性糖尿病(これは、NIDDM、2型糖尿病としてまた知られる)の両方を包含する。
【0168】
糖尿病は、126mg/dlを超えるか又はこれに等しい空腹時血漿グルコース値によって特徴付けられる。糖尿病患者は、126mg/dlを超えるか又はこれに等しい空腹時血漿グルコースを有する。前糖尿病は、110mg/dlを超えるか又はこれに等しい及び126mg/dl未満の空腹時血漿グルコース(FPG)値障害:又は耐糖能障害又はインスリン抵抗性によって特徴付けられる。前糖尿病患者は、空腹時グルコース障害(110mg/dlを超えるか又はこれに等しい及び126mg/dl未満の空腹時血漿グルコース(FPG)値)又は耐糖能障害(140mg/dl以上及び200mg/dl未満の2時間血漿グルコース値)又はインスリン抵抗性を伴う患者であり、糖尿病を発症する危険性が増加する。
【0169】
本明細書で記載される化合物及び組成物は、1型糖尿病及び2型糖尿病の両方の治療に有用である。化合物及び組成物は、2型糖尿病の治療に特に有用である。本明細書で記載される化合物及び組成物は、前糖尿病の治療及び/又は予防に特に有用である。また、本明細書で記載される化合物及び組成物は、妊娠性糖尿病の治療及び/又は予防に特に有用である。
【0170】
真性糖尿病の治療は、糖尿病患者を治療するための、本明細書で記載される化合物又は組み合わせの投与に言及する。糖尿病の治療の1つの成果は、増加された血漿グルコース濃度を低減することである。糖尿病の治療の別の成果は、増加されたインスリン濃度を低減することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、増加された血中トリグリセリド濃度を低減することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、インスリン感受性を増加することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、グルコース耐糖能障害を伴う患者において耐糖能を増強することであってもよい。糖尿病の治療のなお別の成果は、インスリン抵抗性を低減することである。糖尿病の治療の別の成果は、血漿インスリンレベルを低下することである。糖尿病の治療のなお別の成果は、特に、2型糖尿病において、血糖管理における改善である。治療のなお別の成果は、肝臓のインスリン感受性を増加することである。
【0171】
真性糖尿病、特に、肥満と関連する糖尿病の予防は、かかる必要のある患者における、糖尿病の発症を予防又は治療するための、本明細書で記載される化合物又は組み合わせの投与に言及する。糖尿病を予防する必要がある患者は、前糖尿病患者である。ある実施態様において、本明細書で記載される化合物は、2型糖尿病の治療、抑制又は予防において、及びメタボリックシンドロームX、反応性低血糖及び糖尿病脂質異常症を含む、2型糖尿病にしばしば付随して起こる複数の症状の治療、抑制及び予防において、有用であってもよい。以下に考察される肥満は、本明細書で記載される化合物での治療に応答する2型糖尿病と共にしばしば見出される別の症状である。
【0172】
以下の疾患、障害及び症状は、2型糖尿病に関連し、並びにそれゆえ、本明細書で記載される化合物での治療により、治療、抑制、又はある場合において、予防されてもよい:(1)高血糖症、(2)低い耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性腸症候群、(15)クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)膵炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣高アンドロゲン血症(多嚢胞性卵巣症候群)及びインスリン抵抗性が構成要素である他の障害。
【0173】
脂質異常症又は脂質代謝の障害は、1つ以上の脂質(すなわち、コレステロール及びトリグリセリド)及び/又はアポリポタンパク質(すなわち、アポリポタンパク質A、B、C及びE)及び/又はリポタンパク質(すなわち、脂質及び脂質が血中を循環することを許容するアポリポタンパク質、例えば、LDL、VLDL及びIDLによって形成される高分子複合体)の異常な濃度によって特徴付けられる種々の症状を包含する。脂質異常症は、動脈硬化性脂質異常症を包含する。高脂血症は、脂質、LDL及びVLDLコレステロール並びに/又はトリグリセリドの異常に高い値と関連する。高脂血症を含む脂質異常症の治療の成果は、増加されたLDLコレステロール濃度を低減することである。治療の別の成果は、HDLコレステロールの低い濃度を増加することである。治療の別の成果は、超低比重リポタンパク質(VLDL)及び/又は小型LDLを低減することである。
【0174】
シンドロームXとしても知られる、用語「メタボリックシンドローム」は、成人における高血中コレステロールの検出、評価及び治療に対する全米コレステロール教育プログラム専門家委員会の第3の報告(ATP−III)において定義される。E.S.Fordら、JAMA、第287(3)巻、2002年1月16日、第356ないし359頁。簡潔には、ヒトが、以下の兆候の3つ以上を有する場合、そのヒトはメタボリックシンドロームを有するとして定義される:腹部肥満、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール、高血圧及び高い空腹時血漿グルコース。これらについての基準は、ATP−IIIにおいて規定される。
【0175】
本明細書において用いる場合、用語「肥満」は、過剰の体脂肪がある状態であり、及び内蔵型肥満を含む。肥満の使用可能な定義は、体格指数(BMI)に基づき、これは身長(メートル)の二乗当たりの体重(kg/m)として算定される。「肥満」は、他の点では健常な患者が、30kg/mを超えるか若しくはこれに等しい体格指数(BMI)を有する状態又は少なくとも1つの共存疾患を伴う患者が27kg/mを超えるか若しくはこれに等しいBMIを有する状態をいう。「肥満の患者」は、30kg/mを超えるか若しくはこれに等しい体格指数(BMI)を有し、他の点では健常な患者、又は27kg/mを超えるか若しくはこれに等しいBMIを有する少なくとも1つの共存疾患を伴う患者である。「肥満の危険性がある患者」は、25kg/mないし30kg/m未満のBMIを伴い他の点では健常な患者、又は25kg/mないし27kg/m未満のBMIを伴い、少なくとも1つの共存疾患を伴う患者である。
【0176】
肥満と関連する危険性の増加は、アジア人において、ヨーロッパ人及びアメリカ人におけるよりも低い体格指数(BMI)にて生じる。日本を含むアジア諸国において、「肥満」は、体重の減少を必要とする、又は体重の減少によって改善される少なくとも1つの肥満誘導性の、又は肥満関連性の共存疾患を伴う患者が、25kg/mを超えるか若しくはこれに等しいBMIを有する状態を言う。アジア太平洋において、「肥満の危険性がある患者」は、23kg/mないし25kg/m未満のBMIを伴う患者である。
【0177】
本明細書において使用する場合、用語「肥満」は、上述の肥満の定義の全てを含むことが意味される。
【0178】
肥満誘導性の又は肥満関連性の共存疾患は、糖尿病、耐糖性障害、インスリン抵抗性症候群、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症、痛風、冠動脈疾患、心筋梗塞、狭心症、睡眠時無呼吸症候群、ピックウィック症候群、脂肪肝;脳梗塞、脳血栓症、一過性虚血発作、整形外科的障害、変形性関節炎、ルンボジニア、月経障害及び不妊症を包含するが、これらに限定されない。特に、共存疾患は:高血圧、高脂血症、脂質異常症、耐糖性障害、心血管疾患、睡眠時無呼吸、真性糖尿病及び他の肥満関連性の症状を包含する。
【0179】
肥満及び肥満関連性の障害の治療は、肥満患者の体重を減少又は維持するための、本明細書で記載される化合物又は組み合わせの投与を言う。治療の1つの成果は、本明細書で記載される化合物又は組み合わせの投与の直前の肥満患者の体重に比べて、その患者の体重を減少することであってもよい。治療の別の成果は、内蔵型体脂肪を含む体脂肪を減少することであってもよい。治療の別の成果は、体重増加を防ぐことであってもよい。治療の別の成果は、食事療法、運動又は薬物療法の結果として以前に失った体重の再増加を防ぐことであってもよい。治療の別の成果は、肥満関連性の疾患の発症及び/又は重篤度を低減することであってもよい。治療は、食品総摂取量の減少、又は炭水化物若しくは脂肪のような食事の特定の成分の摂取の減少を含む、患者による食品又はカロリーの摂取の減少;及び/又は栄養分吸収の阻害;及び/又は代謝速度の低下の阻害を適切に生じてもよい。治療はまた、代謝速度の低下の阻害よりも若しくはそれに加えて、代謝速度の上昇のような代謝速度の変化を生じてもよく;及び/又は体重喪失から通常生じる代謝抵抗の最小化を生じてもよい。
【0180】
肥満及び肥満関連性の障害の予防は、肥満の危険性がある患者の体重を減少又は維持するための、本明細書で記載される化合物又は組み合わせの投与を言う。予防の1つの成果は、本明細書で記載される化合物又は組み合わせの投与の直前の肥満の危険性がある患者の体重に比べて、その患者の体重を減少することであってもよい。予防の別の成果は、食事療法、運動又は薬物療法の成果として以前に失った体重の再増加を防ぐことであってもよい。予防の別の成果は、肥満の危険性がある患者において肥満の発症の前に治療が行われる場合の、肥満を予防することであってもよい。予防の別の成果は、肥満の危険性がある患者において肥満の発症の前に治療が行われる場合に、脂肪関連性の疾患の発症及び/又は重篤度を低減することであってもよい。さらに治療がすでに肥満の患者において開始される場合、このような治療は、肥満関連性の障害、例えば、これらに限定されないが、アテローム動脈硬化症、2型糖尿病、多嚢胞性卵巣疾患、心血管疾患、変形性関節症、皮膚科的障害、高血圧、インスリン抵抗性、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び胆石症の発症、進行又は重篤度を防いでもよい。
【0181】
ある実施態様において、本明細書で記載される薬学的製剤は、肥満及び肥満と関連する症状の治療、抑制又は予防に有用である。肥満は、遺伝性又は環境性のいずれもの、任意の原因に起因してもよい。肥満と関連する他の症状は、例えば、上昇された血漿インスリン濃度、耐糖能障害、空腹時グルコース障害及びインスリン抵抗性症候群などの妊娠性糖尿病及び前糖尿病状態を包含する。前糖尿病は、110mg/dlを超えるか若しくはこれに等しく及び126mg/dl未満の、空腹時血漿グルコース(FPG)値障害:又は耐糖能障害;又はインスリン抵抗性によって特徴付けられる。前糖尿病患者は、空腹時グルコース障害(110mg/dlを超えるか若しくはこれに等しく及び126mg/dl未満の空腹時血漿グルコース(FPG)値);又は耐糖能障害(140mg/dlを超え及び200mg/dl未満の2時間血漿グルコース値);又はインスリン抵抗性を伴う患者であり、糖尿病を発症する危険性が増加する。
【0182】
本明細書においてまた記載されるのは、本明細書で記載される化合物及び薬学的組成物を、哺乳動物に投与することにより、哺乳動物におけるGLP−1分泌を増強する方法である。インクレチンホルモンGLP−1は、真性糖尿病及び肥満の治療に対していくつかの有益な効果を有すると考えられる。GLP−1は、グルコース依存性の生合成及びインスリンの分泌を刺激し、グルカゴン分泌を抑制し、そして胃内容排出を遅延する。グルカゴンは、肝臓糖新生のその阻害において、インスリンの影響を弱める主な調節ホルモンとして作用し、そして通常、血中グルコースレベルの低下に応答して、膵島におけるα細胞により分泌される。ホルモンは、肝細胞における特定の受容体に結合して、グリコーゲン分解、そしてcAMP媒介性の事象を介する糖新生の増加を誘発する。これらの応答は、グルコース(例えば、肝臓のグルコース産生)を生じ、血糖値を有意な低下から防ぐことにより、正常血糖値を維持することを補助する。循環インスリンの上昇されたレベルに加えて、2型糖尿病は、血漿グルカゴンの上昇されたレベル及び肝臓グルコース産生の上昇された速度を有する。GLP−1分泌を増強することができる化合物は、肝臓におけるインスリン応答性を改善するにおいて有用であり、糖新生及びグリコーゲン分解の速度を低下し、そして肝臓のグルコース産生の速度を低下させて、血漿グルコースの値の減少を生じる。
【0183】
投与
任意の適切な投与の経路が、哺乳動物、特にヒトに、本明細書で記載される化合物の有効な用量を提供するために用いられてもよい。例えば、経口、直腸内、局所、非経口、経眼、経肺、経鼻などが用いられてもよい。投薬の形態は、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどを包含する。好ましくは、本明細書で記載される化合物は、経口的に投与される。
【0184】
用いられる有効成分の有効な用量は、用いられる特定の化合物、投与の態様、治療される症状及び治療される症状の重篤度に依存して変化してもよい。このような用量は、当業者によって容易に確認されてもよい。
【0185】
本明細書で記載される化合物が示される真性糖尿病及び/又は高血糖若しくは高トリグリセリド血症若しくは他の疾患を治療又は抑制する場合、本明細書で記載される化合物が動物の体重1kg当たり1日あたり約0.1ミリグラムないし約100ミリグラムの用量にて、好ましくは、毎日の単回の用量として、若しくは1日、2回ないし6回の分割された用量において、又は持続性放出の形態において投与される場合に、一般的に満足のいく結果が得られる。最も大きな哺乳動物について、1日の総用量は、約1.0ミリグラムないし、約1000ミリグラムである。70kgの成人ヒトにおいて、1日の総用量は一般に、約1ミリグラムないし約500ミリグラムである。特に強力な化合物について、成人ヒトについての用量は、0.1mg程の低さであってもよい。いくつかの場合において、1日の用量は1グラム程の高さであってもよい。投薬レジメは、至適な治療応答を提供するために、この範囲内において、又はさらにこの範囲外で調節されてもよい。
【0186】
経口投与は通常、錠剤又はカプセルを使用して行われる。錠剤及びカプセルにおける用量の例は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、100mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg及び750mgである。他の経口形態はまた、同じか又は類似の用量を有してもよい。
【0187】
組成物
本明細書で記載される化合物及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物がまた、本明細書で記載される。本明細書で記載される薬学的組成物は、有効成分として、本明細書で記載される化合物又は薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含み、そして他の治療成分を含んでいてもよい。薬学的組成物はまた、プロドラッグが投与される場合、プロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を含んでもよい。
【0188】
任意の所与の場合における最も適切な経路は、治療される症状の性質及び重篤度に並びに有効成分の性質に依存するが、組成物は、経口、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、眼性(眼内)、肺性(鼻腔又は口腔吸入)、又は経鼻投与に適切な組成物を包含する。それらは、単位投薬形態において簡便に提供されてもよく及び薬学の分野において周知の任意の方法によって調製されてもよい。
【0189】
実際の使用において、本明細書で記載される化合物は、従来の薬学的な配合技術に従って、薬学的担体と密接に混合して、有効成分として組み合わされてもよい。担体は、投与に所望される製剤の形態、例えば、経口又は非経口(静脈内を含む)に依存して、広範に多様な形態をとってもよい。経口投薬形態として組成物を調製する際、任意の通常の薬学的媒体、例えば、経口液体製剤例えば、懸濁剤、エレキシル及び溶液の場合は、水、グリコール、油、アルコール、香料、保存剤、着色剤などが用いられ;又は経口固体製剤、例えば、粉末、硬質及び軟質カプセル並びに錠剤の場合には、担体、例えば、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒剤、潤滑剤、結合剤、分解剤などが用いられてもよく、固体経口製剤は液体製剤よりも好ましい。
【0190】
それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは、最も有利な経口投薬単位形態を表わし、この場合、固体の薬学的担体が用いられる。所望される場合、錠剤は、標準的な、水性又は非水性の技術によってコートされてもよい。このような組成物及び製剤は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含むべきである。これらの組成物中の活性化合物のパーセンテージは、もちろん、変化してもよく、及び簡便には、約2パーセントないし約60パーセントの単位重量の間にあってもよい。このような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、有効な用量が得られるような量である。活性化合物はまた、鼻腔内に、例えば、液滴又は噴霧液として投与されてもよい。
【0191】
錠剤、ピル、カプセルなどはまた、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤及びスクロース、ラクトース又はサッカリンのような甘味剤を含んでもよい。投薬単位形態がカプセルである場合、これは、上述のタイプの原料に加えて、脂肪油のような液体担体を含んでもよい。
【0192】
いくつかの例において、投与される化合物又は塩の溶解度に依存して、化合物又は塩を、油、例えば、1つ以上の中鎖脂肪酸のトリグリセリド、親油性溶媒、例えば、トリアセチン、親水性溶媒(例えば、プロピレングリコール)、又はそれらのうちの2つ以上の混合物中の、溶液として製剤することが有利であってもよく、また、1つ以上のイオン性又は非イオン性界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリエトキシ化トリグリセリド、並びに1つ以上の中鎖脂肪酸のモノ及び/又はジグリセリドを含んでもよい。界面活性剤(特に、2つ以上の界面活性剤)を含む溶液は、水との接触の際に、エマルジョン又はマイクロエマルジョンを形成する。化合物はまた、水溶性ポリマー中で製剤されてもよく、この中で、これは、熱溶解成形及び噴霧乾燥のような方法によって、非晶相として分散されており、このようなポリマーは、ヒドロキシルプロピルメチルセルロースアセタート(HPMCAS)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMCS)、及びポリビニルピロリジノンを包含し、単独重合体及び共重合体を含む。
【0193】
種々の他の原料が、コーティング剤として又は投薬単位の物理的形態を改変するために、提示されてもよい。例えば、錠剤は、セラック、糖又はその両方でコートされてもよい。シロップ又はエリキシルは、有効成分に加えて、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、色素並びにチェリー又はオレンジ風味のような香味剤を含んでもよい。
【0194】
本明細書で記載される化合物はまた、非経口的に投与されてもよい。これらの活性な化合物の溶液又は懸濁液が、界面活性剤又は界面活性剤の混合物、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリソルベート80並びに中鎖及び長鎖脂肪酸のモノ及びジグリセリドと適宜混合された水中で調製されてもよい。分散剤はまた、油中のグリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中で調製されてもよい。保存及び使用の通常の条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防ぐために防腐剤を含む。
【0195】
注入可能な使用に適切な薬学的形態は、注入可能な滅菌溶液又は分散溶液の即時の調製のための滅菌水溶液又は分散剤及び滅菌粉末を包含する。全ての場合において、形態は滅菌でなくてはならず、及び注射容易性が存在する程度に流動性でなくてはならない。これは、製造及び保存の条件下で安定でなくてはならず、並びに細菌及び真菌のような微生物の汚染作用に備えて保存されなくてはならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適宜混合物並びに植物油を含む、溶媒又は分散媒体であり得る。
【0196】
組み合わせ
本明細書で記載される化合物は、本明細書で記載される化合物が有用な疾患又は症状の治療又は緩和にまた有用であってもよい他の薬物と組み合わせて使用されてもよい。このような他の薬物は、それらについて一般的に使用される経路及び量により、本明細書で記載される化合物と同時に又は連続的に投与されてもよい。2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、メタボリックシンドローム、及びこれらの疾患と付随する共存疾患を有する患者の治療において、複数の薬物が一般的に投与される。本明細書で記載される化合物は一般に、これらの症状について1つ以上の他の薬物をすでに服用している患者に投与されてもよい。しばしば、化合物は、1つ以上の抗糖尿病化合物(例えば、DPP−4阻害剤、メトホルミン、スルホニル尿素及び/又はPPARアゴニスト)ですでに治療されている患者に、患者の血糖値が治療に十分に応答しない場合に投与される。
【0197】
本明細書で記載される化合物が、1つ以上の他の薬物と同時に使用される場合、このような他の薬物と本明細書で記載される化合物とを含む単位投薬形態における薬学的組成物が好ましい。しかし、併用療法はまた、本明細書で記載される化合物及び1つ以上の他の薬物が、異なる重複スケジュールにおいて投与される治療を包含する。1つ以上の他の有効成分と組み合わせて使用される場合、本明細書で記載される化合物及び他の有効成分は、それぞれが単独で使用される場合よりも低い用量において使用されてもよいことが意図される。従って、本明細書で記載される薬学的組成物は、本明細書で記載される化合物に加えて、1つ以上の他の有効成分を含む薬学的組成物を包含する。
【0198】
本明細書で記載される化合物と組み合わせて、及び別々で、又は同じ薬学的組成物中でのいずれかで、投与されてもよい他の有効成分の例は、以下を包含するが、これらに限定されない:
(a)ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害剤;
(b)インスリン増感剤(i)PPARγアゴニスト、例えば、グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)、及びPPARα/γ二重アゴニスト、例えばKRP−297、ムラグリタザール、ナベグリタザール、Galida、TAK−559、PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)及び選択的PPARγ調節剤(SPPARγM)、例えば、WO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408及びWO2004/066963において開示される、を含む他のPPARリガンド;(ii)ビグアニド類、例えばメトホルミン及びフェノホルミン、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(c)インスリン又はインスリン模倣剤;
(d)スルホニル尿素及び他のインスリン分泌促進薬、例えば、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及びメグリチニド、例えば、ナテグリニド及びレパグリニド;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤、例えば、アカルボース及びミグリトール;
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト、例えば、WO98/04528、WO99/01423、WO00/39088及びWO00/69810において開示されるもの;
(g)GLP−1、GLP−1アナログ又は模倣剤及びGLP−1受容体アゴニスト、例えば、エキセンジン−4(エキセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO00/42026及びWO00/59887において開示されるもの;
(h)GIP及びGIP模倣剤、例えば、WO00/58360において開示されるもの、並びにGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣剤及びPACAP受容体アゴニスト、例えばWO01/23420において開示されるもの;
(j)コレステロール低下剤、例えば、(i)HMC−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン並びに他のスタチン類)、(ii)金属イオン捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋化デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はそれらの塩、(iv)PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベンザフィブラート)、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、例えば、ナベグリタザール及びムラグリタザール、(vi)コレステロール吸収の阻害剤、例えば、β−シトステロール及びエゼチミベ、(vii)アシルCoA:コレステロールアシル基転移酵素阻害剤、例えば、アバシミベ、並びに(viii)抗酸化剤、例えば、プロブコール;
(k)PPARδアゴニスト、例えば、WO97/28149において開示されるもの;
(l)抗肥満化合物、例えば、フェンフルラミン、デキスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体反アゴニスト及びアンタゴニスト、β3アドレナリン受容体アンタゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボムベシン受容体アゴニスト、例えば、ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト、及びメラニン含有ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト;
(m)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(n)炎症性の状態における使用のために意図される薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;
(o)抗高血圧剤、例えば、ACE阻害剤(エナラプリル、リジノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、β遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬;
(p)グルコキナーゼ活性剤(GKA)、例えば、WO03/015774;WO04/076420及びWO04/081001において開示されるもの;
(q)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型の阻害剤(例えば、米国特許第6,730,690号;WO03/104207及びWO04/058741において開示されるもの;
(r)コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)の阻害剤、例えば、トルセトラピブ;
(s)SSTR3アンタゴニスト。
【0199】
上述の組み合わせは、1つの他の活性化合物とのみでなく、2つ以上の他の活性化合物と、本明細書で記載される化合物との組み合わせを包含する。限定されない例は、ビグアニド類、スルホニル尿素、フルクトース1,6−ビスホスファターゼのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、米国特許第6,054,587号;同第6,110,903号;同第6,284,748号;同第6,399,782号及び同第6,489,476号において記載されるものから選択される2つ以上の活性化合物と、本明細書で記載される化合物との組み合わせを包含する;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;
(u)AMPK活性剤;並びに
(v)GPR−119アゴニスト。
【0200】
本明細書で記載される化合物と組み合わされてもよいジペプチジルペプチターゼ−IV阻害剤には、米国特許第6,699,871号;WO02/076450(2002年10月3日);WO03/004498(2003年1月16日);WO03/004496(2003年1月16日);EP 1 258 476(2002年11月20日);WO02/083128(2002年10月24日);WO02/062764(2002年8月15日);WO03/000250(2003年1月3日);WO03/002530(2003年1月9日);WO03/002531(2003年1月9日);WO03/002553(2003年1月9日);WO03/002593(2003年1月9日);WO03/000180(2003年1月3日);WO03/082817(2003年10月9日);WO03/000181(2003年1月3日);WO04/007468(2004年1月22日);WO04/032836(2004年4月24日);WO04/037169(2004年5月6日)及びWO04/043940(2004年5月27日)において記載されるものを包含する。特定のDPP−IV阻害剤化合物は、シタグリプチン(MK−0431);ビルダグリプチン(LAF 237);デナグリプチン;P93/01;サクサグリプチン(BMS 477118);RO0730699;MP513;SYR−322;ABT−279;PHX1149;GRC−8200及びTS021を包含する。
【0201】
本明細書で記載される化合物と組み合わされてもよい抗肥満化合物には、フェンフルラミン、デキスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体のアンタゴニスト又は反アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボムベシン受容体アゴニスト、及びメラニン濃縮ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストを包含する。本明細書で記載される化合物と組み合わされてもよい抗肥満化合物の概説について、S.Chakiら、「食事抑制剤における近年の進歩:肥満の治療のための可能性のある治療戦略」、Expert Opin.Ther.Patents、11:1677−1692(2001);D.Spanswick及びK.Lee、「新たな抗肥満薬物」、Expert Opin.Emerging Drugs、8:217−237(2003);並びにJ.A.Fernandez−Lopezら、「肥満の治療のための薬理学的アプローチ」、Drugs、62:915−944(2002)を参照のこと。
【0202】
本明細書で記載される化合物と組み合わされてもよい神経ペプチドY5アンタゴニストには、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及びWO01/14376(2001年3月1日)において開示されるもの;並びにGW 59884A;GW 569180A;LY366377;及びCGP−71683Aとして同定される特定の化合物を包含する。
【0203】
本明細書で記載される化合物と組み合わせて使用されてもよいカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストには、PCT公報 WO03/007887;米国特許第5,624,941号、例えば、リモナバン;PCT公報 WO02/076949、例えば、SLV−319;米国特許第6,028,084号;PCT公報 WO98/41519;PCT公報 WO00/10968;PCT公報 WO99/02499;米国特許第5,532,237号;米国特許第5,292,736号;PCT公報 WO03/086288;PCT公報 WO03/087037;PCT公報 WO04/048317;PCT公報 WO03/007887;PCT公報 WO03/063781;PCT公報 WO03/075660;PCT公報 WO03/077847;PCT公報 WO03/082190;PCT公報 WO03/082191;PCT公報 WO03/087037;PCT公報 WO03/086288;PCT公報 WO04/012671;PCT公報 WO04/029204;PCT公報 WO04/040040;PCT公報 WO01/64632;PCT公報 WO01/64633;及びPCT公報 WO01/64634において開示されるものを包含する。
【0204】
適切なメラノコルチン−4受容体(MC4R)アゴニストには、これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される米国特許第6,294,534号、米国特許第6,350,760号、同第6,376,509号、同第6,410,548号、同第6,458,790号、米国特許第6,472,398号、米国特許第5837521号、米国特許第6699873号において;これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される米国特許出願 US2002/0004512、US2002/0019523、US2002/0137664、US2003/0236262、US2003/0225060、US2003/0092732、US2003/109556、US 2002/0177151、US 2002/187932、US 2003/0113263において及びWO99/64002、WO00/74679、WO02/15909、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、WO2004/024720、WO2004/089307、WO2004/078716、WO2004/078717、WO2004/037797、WO01/58891、WO02/070511、WO02/079146、WO03/009847、WO03/057671、WO03/068738、WO03/092690、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/085925、WO03/004480、WO03/009850、WO03/013571、WO03/031410、WO03/053927、WO03/061660、WO03/066597、WO03/094918、WO03/099818、WO04/037797、WO04/048345、WO02/018327、WO02/080896、WO02/081443、WO03/066587、WO03/066597、WO03/099818、WO02/062766、WO03/000663、WO03/000666、WO03/003977、WO03/040107、WO03/040117、WO03/040118、WO03/013509、WO03/057671、WO02/079753、WO02/092566、WO03/−093234、WO03/095474及びWO03/104761において開示されるものを包含するが、これらに限定されない。
【0205】
実施例
SSTR5媒介性の環状AMP産生の阻害を評価するための機能アッセイ:
種々の親和性でヒト及びマウスのSSTR5に結合する化合物の、受容体の機能的な活性に対する効果を、SSTR5を発現するCHO細胞において、ホルスコリン(FSK)単独又はFSK+SS−28の存在下でのcAMP産生を測定することにより評価した。FSKは、これらの細胞において、アデニル酸シクラーゼを活性化することにより、cAMP産生を誘導するように作用するのに対して、SS−28は、SSTR5安定細胞において、SSTR5を結合し、続いてGTP−結合タンパク質のαサブユニット(Gαi)を介してアデニル酸シクラーゼを阻害することによりcAMP産生を抑制する。
【0206】
化合物の作動活性を測定するために、ヒト又はマウスSSTR5安定CHO細胞を、化合物と、15分間、予めインキュベートし、続いて5μM FSKと共に細胞を1時間インキュベートした(化合物の連続的な存在下で)。インキュベーションの間に産生されたcAMPの量を、製造業者の指示に従ってLance cAMPアッセイキット(PerkinElmer、CA)で定量し並びにIC50値を8点滴定によって得た。
【0207】
【化33−1】

【0208】
【化33−2】

【0209】
【化33−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中:
Arは、アリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール又はヘテロアリールは:
(1)−OC1−10アルキル、
(2)−OC3−6シクロアルキル、
(3)−O−ヘテロアリール、
(4)−O−アリール、
(5)アリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(8)ヘテロアリール、
(9)1個ないし3個のハロゲンで置換されたヘテロアリール、
(10)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたヘテロアリール、
(11)ハロゲン、
(12)オキソ、
(13)−COH、
(14)−C1−10アルコキシカルボニル、
(15)−CN、
(16)−CF
(17)NH
(18)ピロリドン、
(19)シクロヘテロアルキル、
(20)C1−10アルキル、
(21)C3−6シクロアルキル、及び
(22)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたC3−6シクロアルキル、
からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく;
Xは、O、NH又はOCHであり;
は、SOH、CONH、CONHC1−10アルキル、−C1−10アルコキシカルボニル、アロイル、ヘテロアロイル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルであり、ここで、CONH、CONHC1−10アルキル、−C1−10アルコキシカルボニル、アロイル、ヘテロアロイル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルは:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−Oヘテロアリール、
(5)−Oアリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール
(7)アリール、
(8)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(9)ヘテロアリール、
(10)ハロゲン、
(11)SO1−10アルキル、
(12)SO−アリール、
(13)SO−アリール−C1−10アルキル、
(14)NSO1−10アルキル、
(15)NSO−アリール、
(16)NSO−アリール−C1−10アルキル、
(17)−C(O)H、
(18)−C(O)C1−10アルキル、
(19)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(20)−C(O)シクロアルキル、
(21)−C(O)ヘテロアリール、
(22)−C(O)アリール、
(23)−OC(O)H、
(24)−OC(O)C1−10アルキル、
(25)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(26)−OC(O)シクロアルキル、
(27)−OC(O)ヘテロアリール、
(28)−OC(O)アリール、
(29)オキソ、
(30)−NH
(31)CONH−C1−10アルキル−アリール、
(32)−CONH
(33)−NOH、
(34)−COH、
(35)−C1−10アルコキシカルボニル、
(36)−CO1−10アルキルアリール、
(37)−CN、
(38)−CF
(39)−OCF
(40)−OCHF
(41)シクロヘテロアルキル、
(42)ピロリドン、
(43)C1−10アルキル−OH、
(44)C1−10アルキル、及び
(45)C3−6シクロアルキル、
からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい]
の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Arが、フェニルである、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項3】
Arが:
(1)COH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(4)ヘテロアリール、
(5)アリール、
(6)1個ないし3個のC1−10アルキルで置換されたアリール、
(7)C1−10アルキル、及び
(8)C3−6シクロアルキル、
で置換される、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項4】
が、アロイル又はヘテロアロイルである、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項5】
が、ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項6】
が:
(1)−OC1−10アルキル、
(2)ハロゲン、
(3)SO1−10アルキル、
(4)NSO−アリール、
(5)NSO−アリール−C1−10アルキル、
(6)−NH
(7)−CONH2、
(8)−NOH、
(9)−COH、
(10)−C1−10アルコキシカルボニル、
(11)−CO1−10アルキルアリール、
(12)−CF
(13)−OCHF
(14)C1−10アルキル−OH、及び
(15)C1−10アルキル、
で置換される、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項7】
が、
【化2】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項8】
以下:
【化3】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項9】
薬学的に許容される担体と組み合わせた、請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物の治療量を、治療の必要のある患者に投与することを包含する、糖尿病を治療する方法。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてソマトスタチンサブタイプ受容体5(SSTR5)に拮抗する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物を哺乳動物に投与することを包む、哺乳動物においてGLP−1分泌を増強する方法。
【請求項13】
請求項1に記載の化合物を、哺乳動物に投与することによる、2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム動脈硬化症及びメタボリックシンドロームの治療、抑制又は予防の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物を、哺乳動物に投与することによる、2型糖尿病の治療、抑制又は予防の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の化合物を、哺乳動物に投与することによる、肥満の治療、抑制又は予防の方法。
【請求項16】
構造式Ia:
【化4】

[式中、
、R、R及びRは、独立して:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−Oヘテロアリール、
(5)−Oアリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)ヘテロアリール、
(8)ハロゲン、
(9)−C(O)H、
(10)−C(O)C1−10アルキル、
(11)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(12)−C(O)シクロアルキル、
(13)−C(O)ヘテロアリール、
(14)−C(O)アリール、
(15)−OC(O)H、
(16)−OC(O)C1−10アルキル、
(17)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(18)−OC(O)シクロアルキル、
(19)−OC(O)ヘテロアリール、
(20)−OC(O)アリール、
(21)オキソ、
(22)−COH、
(23)−C1−10アルコキシカルボニル、
(24)−CN、
(25)−CF
(26)−OCF
(27)−OCHF
(28)シクロヘテロアルキル、
(29)C1−10アルキル、及び
(30)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択される]
の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
構造式Ib:
【化5】

[式中、
、R、R及びRは、独立して:
(1)−OH、
(2)−OC1−10アルキル、
(3)−OC3−6シクロアルキル、
(4)−Oヘテロアリール、
(5)−Oアリール、
(6)1個ないし3個のハロゲンで置換されたアリール、
(7)ヘテロアリール、
(8)ハロゲン、
(9)−C(O)H、
(10)−C(O)C1−10アルキル、
(11)−C(O)C3−6シクロアルキル、
(12)−C(O)シクロアルキル、
(13)−C(O)ヘテロアリール、
(14)−C(O)アリール、
(15)−OC(O)H、
(16)−OC(O)C1−10アルキル、
(17)−OC(O)C3−6シクロアルキル、
(18)−OC(O)シクロアルキル、
(19)−OC(O)ヘテロアリール、
(20)−OC(O)アリール、
(21)オキソ、
(22)−COH、
(23)−C1−10アルコキシカルボニル、
(24)−CN、
(25)−CF
(26)−OCF
(27)−OCHF
(28)シクロヘテロアルキル、
(29)C1−10アルキル、
(30)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択され;そして
ここで、Yは、O、S又はNである]
の化合物又は薬学的に許容されるその塩。

【公表番号】特表2012−509266(P2012−509266A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536435(P2011−536435)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/063988
【国際公開番号】WO2010/056717
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】