説明

糖尿病併発疾病予防剤

【課題】糖尿病併発疾病を予防できる糖尿病併発疾病予防剤、ならびに糖尿病併発疾病予防飲食品の提供。
【解決手段】松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを含有する、糖尿病併発疾病予防剤。該松樹皮抽出物は、カテキン類を5重量%以上、及びオリゴメリック・プロアントシアニジンを20重量%以上含有する抽出物が好ましい。該アスタキサンチンとしては、アスタキサンチンの遊離体、モノエステル体、ジエステル体のいずれも用いることができ、天然物由来のヘマトコッカス藻抽出物が好ましい。該糖尿病併発疾病予防剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤又は液状の形態であることができ、さらに、該糖尿病併発疾病予防剤を含有する固形食品、ゲル状食品又は飲料であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを含有する、糖尿病患者のために有用な糖尿病併発疾病予防剤、及び糖尿病併発疾病予防飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎臓及び糖尿病性網膜症などの合併症だけでなく、動脈硬化等の糖尿病によって併発される疾病(以下、「糖尿病併発疾病」と言う。)を引き起こす危険が懸念されている。このような糖尿病併発疾病を予防するために、脂溶の過酸化を予防する目的で抗酸化剤の摂取が望まれている。抗酸化剤には水溶性物質と脂溶性物質がある。
【0003】
水溶性物質の一つとして松樹皮抽出物のプロアントシアニジンがある。プロアントシアニジンは植物中に含有される水溶性ポリフェノールの一種で、抗酸化作用などの種々の活性を有することが知られている(特許文献1)。プロアントシアニジンは、その作用として、スーパーオキシドラジカル消去活性も知られ、抗酸化作用をもつビタミンCとの相乗作用が報告されている(非特許文献1)。
【0004】
また、脂溶性物質の一つとして藻類中のアスタキサンチンがある。アスタキサンチンは脂溶性カロテノイドの一種であり、エビ、カニ等の甲殻類、サケ、タイ等の魚類、緑藻ヘマトコッカス等の藻類、赤色酵母ファフィア等の酵母類等、天然、特に海洋に広く分布し、赤色色素として用いられ、ビタミンEの約1000倍、β−カロテンの約40倍の抗酸化作用を有することが見いだされている。アスタキサンチンは、その作用として、糖尿病における白内障の抑制(特許文献2)、インスリン依存真性糖尿病の治療効果(特許文献3)、メタボリックシンドロームの改善効果(特許文献4)が知られている。
【0005】
一方、プロアントシアニジンは水溶性物質のため、遷移金属イオンなどの介在によって脂肪酸から生じるアルコキシラジカルなどに対しては、他のラジカルに比べてラジカル消去活性が低いという問題点がある。また、アスタキサンチンは脂溶性であるため、一重項酸素などの親油性の活性酸素種の消去効果や脂質の過酸化抑制効果は特に優れてはいるが、親水溶性の活性酸素種の消去効果は優れてはいない。本出願人は、天然物から得られる、水溶性抗酸化物質であるプロアントシアニジンを含有する松樹皮と脂溶性抗酸化物質であるアスタキサンチンを組み合わせて、安全性の観点からも利用価値が極めて高く相乗効果を得た抗酸化増強食品を特許出願している(特許文献5)。しかし、糖尿病併発疾病の予防に対する水溶性物質と脂溶性物質との相乗効果は知られてはいない。
【特許文献1】日本国特公平3−7232号公報
【特許文献2】日本国特開平10−276721号公報
【特許文献3】日本国特表2004−534800号公報
【特許文献4】国際公開WO2006/59730号パンフレット
【特許文献5】日本国特開2005−21098号公報
【非特許文献1】バグチ・ディー(Bagchi D.)ら、トキシコロジー(Toxicology)、2000年,第148巻
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、水溶性物質と脂溶性物質との相乗効果が得られた、糖尿病併発疾病を予防できる糖尿病併発疾病予防剤、及び糖尿病併発疾病予防飲食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、松樹皮抽出物とアスタキサンチンとの相乗効果により、糖尿病併発疾病を予防する効果を見出した。
すなわち、本発明は、
[1] 松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを含有する、糖尿病併発疾病予防剤、
[2] 松樹皮抽出物が、カテキン類を5重量%以上、及びOPCを20重量%以上含有する、前記[1]に記載の糖尿病併発疾病予防剤、
[3] アスタキサンチンが、ヘマトコッカス藻由来の抽出物に含まれる、前記[1]〜[2]のいずれかに記載の糖尿病併発疾病予防剤。
[4] 錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤又は液状の形態である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の糖尿病併発疾病予防剤、
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の糖尿病併発疾病予防剤を含有することを特徴とする飲食品、
[6] 固形食品、ゲル状食品又は飲料である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の飲食品、及び
[7] 清涼飲料である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の飲食品、に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、糖尿病併発疾病予防に有用である、糖尿病併発疾病予防剤、及び糖尿病併発疾病予防飲食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0010】
(松樹皮抽出物)
本発明の松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus
Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダ等の樹皮抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松の樹皮抽出物が好ましく用いられる。
【0011】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、フラボノイド類であるプロアントシアニジン(proanthocyanidin)を主要成分として含有する他に、有機酸並びにその他の生理活性成分等を含有している。この主要成分であるプロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
松樹皮抽出物は、上記松の樹皮を水又は有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には温水、又は熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン等の食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコール等が好ましく用いられる。
【0012】
松樹皮からの抽出方法は特に制限はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0013】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0014】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0015】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2〜20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類などの目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0016】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能でるため、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0017】
また、松樹皮からの抽出は、上記の抽出法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等により行ってもよい。
【0018】
松樹皮のからの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0019】
上記抽出により得られた松樹皮抽出物は、限外濾過、あるいは吸着性担体(ダイヤイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチンなど)を用いたカラム法又はバッチ法により精製を行うことが安全性の面から好ましい。
【0020】
本発明の糖尿病併発疾病予防剤に用いられる松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法により調製されるが、これは例示であり、この方法に限定されない。
【0021】
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和水溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mLで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液を合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
【0022】
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回繰り返す。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過して回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して洗浄するため沈殿させる工程を2回繰り返す。この方法により、例えば、重合度が2〜4のプロアントシアニジンを20質量%以上含有し、かつカテキン類を5質量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。ここで、抽出物中の特定成分の含有量は、抽出物の乾燥質量を基準とした値である。以下、同様である。
【0023】
(松樹皮抽出物の組成)
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、主な有効成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン−3−オール及び/又はフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果実の皮及び種に集中的に含まれている。このプロアントシアニジンは、ヒトの体内では生成することができない物質である。
【0024】
このプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物を摂取した場合に、優れた脂質代謝改善効果が得られる。松樹皮抽出物には、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有され、さらにカテキンなどが含有される。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましく用いられる。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)のプロアントシアニジンは、特に体内に吸収されやすい。本明細書では、上記の重合度が2〜4の重合体を、オリゴメリック・プロアントシアニジン(oligomeric proanthocyanidin、以下「OPC」という)という。
【0025】
また、松樹皮抽出物としては、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体;すなわち、OPC)を15質量%、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%の割合で含有し、5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上、好ましくは15質量%以上の割合で含有する抽出物が好ましい。
【0026】
上記松樹皮抽出物には、さらにカテキン(catechin)類が含有され得、このカテキン類は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上の割合で含有される。カテキン類は、上記抽出方法によって、プロアントシアニジン(OPC)とともに抽出され得る。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンといわれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、及びアフゼレキンなどが知られている。上記松樹皮抽出物からは、上記の(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキン又はガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、及び抗酸化作用などがあることが知られている。また、カテキン類には、血糖の上昇を抑制する抗糖尿病効果があることが知られている。カテキン類は、単独では水溶性が乏しく、その生理活性が低いが、OPCの存在下では、水溶性が増すと同時に活性化する性質がある。従って、カテキン類はOPCとともに摂取することで効果的に作用する。
【0027】
カテキン類は、上記松樹皮抽出物に、5質量%以上含有されていることが好ましい。より好ましくは、OPCを20質量%以上、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上含有する松樹皮抽出物に、カテキン類が5質量%以上含有されるのが好ましい。例えば、松樹皮抽出物のカテキン類含有量が5質量%未満の場合、含有量が5質量%以上となるようにカテキン類を添加してもよい。カテキン類を5質量%以上含有し、OPCを20質量%以上、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上含有する松樹皮抽出物を用いることが最も好ましい。
【0028】
(アスタキサンチン)
本発明に用いられるアスタキサンチンは、特に記載がない限り、アスタキサンチン及び/又はそのエステル体を含む。さらに、アスタキサンチンのエステルにはモノエステル体及び/又はジエステル体を含む。また、アスタキサンチンを含有する天然物を含む。
【0029】
本発明のアスタキサンチンとしては、アスタキサンチンの遊離体、モノエステル体、ジエステル体の少なくとも一種を用いることができる。ジエステル体は2つの水酸基がエステル結合により保護されているため化学的及び物理的に遊離体やモノエステル体よりも安定性が高く本発明の組成物中で酸化分解されにくい。しかし、腸内で酵素により又は、生体中に取り込まれると生体内酵素により速やかにアスタキサンチンに加水分解され、効果を示すものと考えられている。
【0030】
アスタキサンチンのモノエステルとしては、低級又は高級飽和脂肪酸、あるいは低級又は高級不飽和脂肪酸によりエステル化されたエステル類をあげることができる。前記低級又は高級飽和脂肪酸、あるいは低級又は高級不飽和脂肪酸の具体例としては、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、へブタデカン酸、エライジン酸、リシノール酸、ベトロセリン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、プニシン酸、リカン酸、パリナリン酸、ガドール酸、5−エイコセン酸、5−ドコセン酸、セトール酸、エルシン酸、5,13−ドコサジエン酸、セラコール酸、デセン酸、ステリング酸、ドデセン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エイコサオペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などをあげることができる。また、カロテノイドのジエステルとしては前記脂肪酸からなる群から選択される同一又は異種の脂肪酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。
【0031】
さらに、アスタキサンチンのモノエステルとしては、グリシン、アラニンなどのアミノ酸;酢酸、クエン酸などの一価又は多価カルボン酸;リン酸、硫酸などの無機酸;グルコシドなどの糖;グリセロ糖脂肪酸、スフィンゴ糖脂肪酸などの糖脂肪酸;グリセロ脂肪酸などの脂肪酸;グリセロリン酸などによりエステル化されたモノエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記モノエステル類の塩も含む。脂肪酸の誘導体としては、上記脂肪酸のリン脂質型、アルコール型、エーテル型、ショ糖エステル型、ポリグリセリンエステル型があげられる。
【0032】
アスタキサンチンのジエステルとしては、前記低級飽和脂肪酸、高級飽和脂肪酸、低級不飽和脂肪酸、高級不飽和脂肪酸、アミノ酸、一価又は多価カルボン酸、無機酸、糖、糖脂肪酸、脂肪酸及びグリセロリン酸からなる群から選択される同一又は異種の酸によりエステル化されたジエステル類をあげることができる。なお、考えられ得る場合は前記ジエステル類の塩も含む。グリセロリン酸のジエステルとしては、グリセロリン酸の飽和脂肪酸エステル類、又は高級不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸から選択される脂肪酸類を含有するグリセロリン酸エステル類などをあげることができる。
【0033】
アスタキサンチンとは、天然物由来のもの又は合成により得られるものを意味する。天然物由来のものとしては、例えば、緑藻ヘマトコッカスなどの微細藻類、赤色酵母ファフィアなどの酵母類、エビ、オキアミ、カニなどの甲殻類の甲殻、イカ、タコなどの頭足類の内臓、種々の魚介類の皮やヒレ、ナツザキフクジュソウなどのAdonis属植物の花弁、Paracoccus
sp. N81106、Brevundimonas sp. SD212、Erythrobacter sp. PC6などのα−プロテオバクテリア類、Gordonia sp. KANMONKAZ-1129などの放線菌、Schizochytriuym sp. KH105などのラビリンチュラ類(特にヤブレツボカビ科)やアスタキサンチン産生遺伝子組み換え生物体などから得られるものをあげることができる。天然からの抽出物及び化学合成品は市販されており、入手は容易である。
【0034】
アスタキサンチンは、3,3'−ジヒドロキシ−β,β−カロテン−4,4'−ジオンであり、立体異性体を有する。具体的には、(3R,3'R)−アスタキサンチン、(3R,3'S)−アスタキサンチン及び(3S,3'S)−アスタキサンチンの3種の立体異性体が知られているが、本発明にはそのいずれも用いることができる。本発明はこれらアスタキサンチン異性体のモノエステル及びジエステルを含む。
【0035】
本発明において、アスタキサンチンの脂肪酸エステルは、天然物由来のもの又は合成により得られるもののいずれも用いることができるが、体内での吸収からアスタキサンチンエステルが各種の油脂に溶解した天然物由来が好ましい。天然物由来には、例えば、オキアミ抽出物、ファフィア酵母抽出物、ヘマトコッカス藻抽出物があるが、特に好ましいのはアスタキサンチンの安定性とアスタキサンチンのエステルの種類によりヘマトコッカス藻抽出物である。
【0036】
アスタキサンチンの脂肪酸エステルは突然変異原性が観察されず、安全性が高い化合物であることが知られて、食品添加物として広く用いられている(高橋二郎ほか:ヘマトコッカス藻アスタキサンチンの毒性試験―Ames試験、ラット単回投与毒性試験、ラット90日反復経口投与性毒性試験―,臨床医薬,20:867−881,2004)。
【0037】
ヘマトコッカス藻は、ボルボックス目クラミドモナス科に属する緑藻類であり、通常は緑藻であるためクロロフィル含量が高く緑色であり、2本の鞭毛によって水中を遊泳しているが、栄養源欠乏や温度変化等の飢餓条件では休眠胞子を形成し、アスタキサンチン含量が高くなり赤い球形となる。本発明においては、いずれの状態でのヘマトコッカスを用いることができるが、アスタキサンチンを多く含有した休眠胞子となったヘマトコッカスを用いるのが好ましい。また、ヘマトコッカス属に属する緑藻類では、例えば、ヘマトコッカス・プルビイアリス(Haematococcus pluvialis)が好ましい。
【0038】
ヘマトコッカス緑藻類の培養方法としては、異種微生物の混入・繁殖がなく、その他の夾雑物の混入が少ない密閉型の培養方法が好ましく、例えば、一部解放型のドーム形状、円錐形状又は円筒形状の培養装置と装置内で移動自在のガス吐出装置を有する培養基を用いて培養する方法(国際公開第99/50384号公報)や、密閉型の培養装置に光源を入れ内部から光を照射して培養する方法、平板状の培養槽やチューブ型の培養層を用いる方法が適している。
【0039】
本発明のヘマトコッカス藻から抽出物を得る方法としては、ヘマトコッカス藻を乾燥粉砕した後アセトンやアルコールなどの有機溶媒で抽出する方法、ヘマトコッカス藻を有機溶媒に懸濁させて粉砕し同時に抽出する方法、二酸化炭素などを用いる超臨界抽出する方法などで行うことができる。
【0040】
本発明のヘマトコッカス藻から抽出物を得る方法としては、ヘマトコッカス藻を乾燥粉砕した後アセトンやアルコールなどの有機溶媒で抽出する方法、ヘマトコッカス藻を有機溶媒に懸濁させて粉砕し同時に抽出する方法、二酸化炭素などを用いる超臨界抽出する方法などで行うことができる。
【0041】
超臨界抽出法は、常法によって行うことができ、例えば、前述松樹皮からの抽出方法、又は広瀬(Ind Eng Chem Res、2006、45(10)、3652-3657、Extraction of
Astaxanthin from Haematococcus pluvialis Using Supercritical CO2 and Ethanol as
Entrainer)らの方法で行うことができる。
【0042】
前記培養物又は前記甲殻類から有機溶媒を用いて抽出及び精製する方法については種々の方法が知られている。例えば、アスタキサンチン及びそのエステルは油溶性物質であることから、アスタキサンチンを含有する天然物からアセトン、アルコール、酢酸エチル、ベンゼン、クロロホルムなどの油溶性有機溶媒でアスタキサンチン含有成分を抽出することができる。また、二酸化炭素や水などを用い超臨界抽出を行うこともできる。抽出後、常法に従って溶媒を除去してモノエステル型のアスタキサンチンとジエステル型のアスタキサンチンの混合濃縮物を得ることができる。得られた濃縮物は、所望により分離カラムやリパーゼ分解によりさらに精製することができる。
【0043】
前記のドーム型培養装置や密閉型の培養装置で培養したヘマトコッカス藻を乾燥させ、粉砕後にアセトンで抽出又は、アセトン中で粉砕と抽出を同時に行ったのち、アセトンを除去してアスタキサンチン抽出する製法が、空気に触れることがないことからアスタキサンチンの酸化がほとんどなく、夾雑物が少なく、すなわち本発明の効果を阻害する物質が少なく、アスタキサンチンとトリグリセリドを純度良く多く含むことができ、好適である。
【0044】
本発明において、アスタキサンチンを用いる場合は、合成のアスタキサンチンや天然由来のアスタキサンチンを用いることができるが、天然物由来、特にヘマトコッカス藻類から抽出したアスタキサンチンには、アスタキサンチン以外の成分としてアスタキサンチンを包接や安定性、生体への吸収性を促進する物質が含まれることから好適である。
【0045】
本発明の糖尿病併発疾病予防剤は、糖尿病に加えて糖尿病とならないまでも血糖値が高い状態で併発する糖尿病併発疾病の予防に効果がある。また、本発明の糖尿病併発疾病予防剤を投与・摂取することによって、予防以外にも、改善、治療、抑制効果も有する。本発明の糖尿病併発疾病剤は、例えば、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎臓、糖尿病性網膜症の三大糖尿病合併症に加えて、糖尿病性腎症、糖尿病性足病変、糖尿病性壊疽、動脈硬化、高脂血症、心筋梗塞、脳梗塞、脳卒中、慢性感染症、胆石症、認知症等の併発病に効果がある。また、これらの糖尿病併発病を改善・予防することによって、症状が悪化した糖尿病自体において糖尿病を改善する効果も有する。
【0046】
本発明の糖尿病併発疾病予防剤は、水溶性の抗酸化物質と脂溶性の抗酸化物質である松樹皮抽出物とアスタキサンチンの相乗効果によって、従来にない効果を有する。生体内の活性酸素種は親水性や親油性の活性酸素種があり、これらの消去にはそれぞれの消去に有効な抗酸化剤の存在が効果的であり、これによって高血糖の血液によって血管の酸化障害を2段階で抑制する効果が顕著である。摂取して体内で両方の存在時間がほぼ同時である物質が好ましく、松樹皮抽出物とアスタキサンチンが特に効果がある。さらに、松樹皮抽出物とアスタキサンチンは長期摂取の安全性が証明されており、糖尿病の様な長期摂取が必要な薬剤に適している。本発明の糖尿病併発疾病予防剤の松樹皮抽出物とアスタキサンチンの配合には、常法に従って配合すればよく、特別の形態とする必要はない。
【0047】
本発明の糖尿病併発疾病予防剤に含有される松樹皮抽出物とアスタキサンチンは、生体内の吸収性が高く、その機能を維持した状態で飲食品に配合することが容易である。また、摂取開始後短期で効果を期待でき、少量の摂取でも十分な効果が得られる。そのため、飲食品としての摂取許容量及び摂取形態に制限のある老人や糖尿病患者等への食事素材として、利用価値が高い。本発明の飲食品は、例えば保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)等効能効果を目的として販売可能な飲食品であってもよい。
【0048】
(本発明の糖尿病疾病予防剤)
本発明の糖尿病疾病予防剤は、松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを含有し、その割合は任意である。好ましくは、松樹皮抽出物100重量部に対して、アスタキサンチンが0.1〜1000重量部、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは2〜50重量部の割合で含有される。
【0049】
本発明の製剤中の松樹皮抽出物とアスタキサンチンとの量は、特に制限はないが、松樹皮抽出物とアスタキサンチンとの優れた効果を得ることを目的とする場合は、製剤全体に対して、通常0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
【0050】
本発明の糖尿病併発疾病予防剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、軟剤、ジェル剤、液剤等の固形又は溶液の形態に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明の製剤として有用な固形製剤又は液状製剤は、松樹皮抽出物及びアスタキサンチンと、所望により添加剤とを混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。添加剤としては、例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤又は香料などが挙げられる。
【0051】
上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、β−シクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、又はメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0052】
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウム又はリン酸二カリウムなどが挙げられる。
【0053】
上記清涼化剤としては、例えばl−メントール又はハッカ水などが挙げられる。
【0054】
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロース又はトラガントなどが挙げられる。
【0055】
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油又は乳化剤等が挙げられる。
【0056】
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサン又はシリコン消泡剤などが挙げられる。
【0057】
上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロース又はデキストリンなどが挙げられる。
【0058】
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステル又はマクロゴールなどが挙げられる。
【0059】
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ又は部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
【0060】
上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウム又はアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0061】
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウ又はサラシミツロウなどが挙げられる。
【0062】
上記抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)又はクエン酸などが挙げられる。
【0063】
上記コーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテート又はセラックなどが挙げられる。
【0064】
上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビン又は酸化チタンなどが挙げられる。
【0065】
上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカ又はメントールなどが挙げられる。
【0066】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類又はショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0067】
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチン又はセタノールなどが挙げられる。
【0068】
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、又は単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
【0069】
(本発明の糖尿病疾病予防飲食品)
本発明の飲食品は、飲食品製造時に松樹皮抽出物とアスタキサンチン、又は上記糖尿病疾病予防剤を飲食品材料に配合することにより製造される。例えば、パン、チューインガム、クッキー、チョコレート、シリアル等の固形食品、ジャム、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー等のジャム状、クリーム状又はゲル状食品、ジュース、コーヒー、ココア、緑茶、ウーロン茶、紅茶等の飲料等のあらゆる食品形態にすることが可能である。また、調味料、食品添加物等に配合することもできる。松樹皮抽出物とアスタキサンチン、又は上記糖尿病疾病予防剤の飲食品材料への配合量は、特に限定されないが、通常約0.00001〜80重量%、好ましくは約0.00005〜50重量%である。また、特に清涼飲料の場合は、1mg/L〜20g/L、好ましくは2mg/L〜10g/Lである。
【0070】
本発明によれば、松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを含有する糖尿病併発疾病予防剤、及び糖尿病併発疾病予防食品が得られる。この食品を糖尿病患者が摂取することによって、糖尿病併発疾病予防に対する効果が高められる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0072】
(試験1)
本発明に係る製剤の糖尿病併発疾病予防効果を評価するために、糖尿病モデルラットを用い、以下の実験を行った。
糖尿病モデルラットは、ストレプトゾトシン含有生理食塩水(STZ:和光純薬工業株式会社)を50mg/kgの割合で腹腔内投与を行い、7〜10日後に尿量が100mL/日以上になるよう作製した。
飼料には、固形飼料(CF―2:日本クレア株式会社)を使用し、各被験物質を含有させた。それらの飼料は、試験期間を通じ、糖尿病モデルラットに自由摂取させた。飼料の配合を表1に記載する。
本試験では、松樹皮抽出物(株式会社東洋新薬:カテキン類を5質量%以上、及びOPCを20質量%以上含有)を用いた。
本試験では、アスタキサンチン(富士化学工業株式会社:ヘマトコッカス藻抽出物、遊離体アスタキサンチン換算でアスタキサンチン5質量%含有)を用いた。
【0073】
【表1】

各値は質量%である。
【0074】
7週齢の雄性糖尿病モデルラットを、各群8匹ずつ(計32匹)試験に用いた。飼料投与開始日を0日目とし、飼料を16週間摂取させ、試験最終日に16時間以上絶食した糖尿病モデルラットをネンブタール(大日本製薬株式会社)麻酔下にて解剖し、血液、肝臓及びじんぞうを採取した。
【0075】
採取した血液の血糖値、動脈硬化の危険因子の一つである過酸化脂質産生量の指数として一般的に利用されている血清TBARS、肝臓ケミルミ、腎臓ケミルミ、及び動脈硬化の危険因子の一つである中性脂肪を測定した。得られた数値の平均値を算出した。試験結果を以下の表2及び図1〜5に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
表2に示すように、血糖値及び中性脂肪を比較したところ、実施例1及び比較例1は比較例3に対して有意に低い値を示した。腎臓ケミルミを比較したところ、実施例1及び比較例2は比較例3に対して有意に低い値を示した。また、肝臓ケミルミ及び血清TBARSを比較したところ、実施例1は比較例1〜3に対して有意に低い値を示した。該予防剤が過酸化脂質産生や中性脂肪の抑制において相乗効果を有することが確認された。以上の結果より、松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを併用した本発明に係る糖尿病併発疾病予防剤が、相乗的に糖尿病併発疾病予防効果を発揮することが確認された。
【0078】
[製造例1] 錠剤
常法に従って、下記成分を下記組成比で均一に混合・打錠し、1粒300mgの錠剤とした。
アスタリールパウダー20F 50重量部
松樹皮抽出物 20重量部
バレイショデンプン 20重量部
結晶セルロース 10重量部
ポリビニルアルコール 2重量部
ステアリン酸マグネシウム 1重量部
アスタリールパウダー20F〔富士化学工業株式会社性製〕はフリー体換算で2重量%のアスタキサンチンを含むヘマトコッカス藻抽出オイルから製造した粉末である。ここで使用した松樹皮抽出物はOPCとして20質量%及びカテキン5質量%を含有する〔株式会社東洋新薬製〕。
【0079】
[製造例2] カプセル剤
常法に従って、ソフトカプセル剤皮100mg(ゼラチン70重量部、グリセリン25重量部)に下記成分を下記組成比で混練して300mgを充填し、1粒400mgのソフトカプセルを得た。
内容物
アスタリールオイル50F 20重量部
松樹皮抽出物 7重量部
中鎖脂肪酸トリグリセリド 73重量部
アスタリールオイル50F〔富士化学工業株式会社性製〕はフリー体換算で5重量%のアスタキサンチンを含むヘマトコッカス藻抽出オイルである。

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、水溶性物質と脂溶性物質との相乗効果が得られる、松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを含有した、糖尿病併発疾病予防剤、及び糖尿病併発疾病予防飲食品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】雄性糖尿病モデルラットの試験終了時の血糖値を示すグラフである。
【図2】雄性糖尿病モデルラットの試験終了時の中性脂肪を示すグラフである。
【図3】雄性糖尿病モデルラットの試験終了時の肝臓ケミルミを示すグラフである。
【図4】雄性糖尿病モデルラットの試験終了時の腎臓ケミルミを示すグラフである。
【図5】雄性糖尿病モデルラットの試験終了時の血清TBARSを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮抽出物とアスタキサンチンとを含有する、糖尿病併発疾病予防剤。
【請求項2】
松樹皮抽出物が、カテキン類を5重量%以上、及びOPCを20重量%以上含有する、請求項1に記載の糖尿病併発疾病予防剤。
【請求項3】
アスタキサンチンが、ヘマトコッカス藻由来の抽出物に含まれる、請求項1又は2に記載の糖尿病併発疾病予防剤。
【請求項4】
錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤又は液状の形態である請求項1〜3のいずれかに記載の糖尿病併発疾病予防剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の糖尿病併発疾病予防剤を含有することを特徴とする飲食品。
【請求項6】
固形食品、ゲル状食品又は飲料である請求項1〜5のいずれかに記載の飲食品。
【請求項7】
清涼飲料である請求項1〜6のいずれかに記載の飲食品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−7346(P2009−7346A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−142191(P2008−142191)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年4月13日 インターネットアドレス「http://www.eishoku2007.org./index.htm」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年5月19日 社団法人 日本栄養・食糧学会主催の「第61回日本栄養・食糧学会大会」に文書をもって発表
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【出願人】(390011877)富士化学工業株式会社 (53)
【Fターム(参考)】