糖尿病患者の関連データの表示装置
本発明は、グラフィック、テキスト、及び/又はこれらの組み合わせを表示するディスプレイと、前記ディスプレイにインターフェース接続されるプロセッサとを備える装置に関し、プロセッサは、ディスプレイに図形式で表示を行なわせ、この図は、糖尿病患者の習慣的食事に関する時間を示す時間軸、血糖値の単位を示す第2の軸、及び以下の項目、即ち、a)習慣的食事の時点の指標、b)食前血糖値の平均値又は中央値、及び/又はd)一組の食前血糖測定値、c)食後血糖値の平均値又は中央値、及び/又はe)一組の食後血糖測定値を含む。前記表示項目は、糖尿病患者とヘルスケア担当者との間の問診ツールとして使用することができるという利点がある。更に、装置の前記表示項目は、糖尿病を自己管理するための支援手段として使用することができる。前記装置は薬剤投与装置又は血糖測定装置とすることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
技術分野
本発明は健康管理、特に自己治療及び処置の分野に関する。詳細には、本発明は糖尿病患者に関連するデータを表示する機能を備えた装置に関する。
【0002】
発明の技術
ヒトの健康上の問題は大まかに2つのカテゴリー、すなわち急性症及び慢性症に分類することができる。急性症は身体に急激に生じる疾患であり、この種類の疾患の治療方法は確立されており、治療後には患者は元の正常な生活を送ることができる。
これとは異なり、慢性病は、代謝機能不全に起因してヒトが体験する疾患である。これらの種類の問題は治療が難しく、或る種類のコントロールを必要とする。定期的な薬物治療及び他のヘルスケア療法とは別のこのコントロールは、患者によるライフスタイル管理も必要とする。
【0003】
糖尿病はこのような種類の慢性病の一つであり、継続的な医療ケア及び患者による自己管理の教育を行なって合併症を起こさないようにする必要がある。糖尿病も慢性病に分類される。体内のインスリン(膵臓が分泌する)が欠乏すると、血糖値が上昇し、すると過度の喉の渇き、頻尿、血液中のケトン体の衰弱及び過剰等の種々の影響が現れる。
1型糖尿病患者、及び多くの2型糖尿病患者又は妊娠性糖尿病患者(妊娠性糖尿病は、女性の体が妊娠中に必要な量のインスリンを分泌できない場合に発症する)が、糖尿病治療計画の一部としてインスリンを投与される。
【0004】
糖尿病治療に使用される2つの主要なインスリン投与法は、インスリンの大量瞬時投与及びバックグラウンド投与であり、後者は基礎インスリン投与とも呼ばれる。インスリンの大量瞬時投与ではインスリンが大量に供給され、これは普通食事の前に、又は食事に関連して行われる。インスリンの大量瞬時投与には、速効型及び短時間作用型の2種類がある。速効型大量瞬時投与は迅速に作用し、すぐに身体から抜ける。短時間作用型大量瞬時投与は、それよりも体内に留まる時間が長い。
基礎インスリン投与又はバックグラウンド投与は、日中及び夜間に渡って少量のインスリンを供給し続ける。3種類のバックグラウンドインスリン投与には、中間型、持続型、及び長期持続型がある。3つの異なるバックグラウンドインスリン投与の内、長期持続型インスリンは、体内に留まる時間が最も長い。
【0005】
血糖値を抑制するために、糖尿病患者は定期的にインスリンを投与される。しかしながら、これは治療ではなく、治療の一部に過ぎない。糖尿病健康管理プログラムは通常、規則的な運動、食物摂取モニタリングなどの他の要素を含む。食物摂取と運動などとの間のバランスを維持して、正常な体に出来るだけ近い状態で体を機能させる必要がある。
糖尿病の分野に対する関心が高まったことにより、薬剤が改良され、優れた方法が開発されてインスリンの自己投与が容易になった。健康管理の重要性が認識され、共同チーム及びピアグループネットワークが構築された。患者がどのように快適に生活を営み、快適且つ健康な生活を送るのに役立つ種々のパラメータをどのように制御しているかについて追跡を続けるために、普通、患者はログブック又は糖尿病日記をいわゆる日記データを使用してつけ続ける。このログブックには、食物摂取(すなわち、体内で糖をつくる炭水化物)、運動、血糖値、注入インスリンなどの種々のパラメータが記録される。これらのパラメータを、患者及び患者のヘルスケアチームが維持及び分析することにより、好ましくない習慣、又は生体データの望ましくない変化の全てを検出する。
【0006】
技術の進歩により、これらの日記はコンピュータ化され、患者はパーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯型機器などのコンピューティングデバイスにデータを保存し始めた。高性能のソフトウェア及びコンピューティングデバイスの導入により、患者は、自分自身のデータの分析、レポートの作成、及び種々の行動の備忘録作成を自動で行うこともできるようになっている。
通信技術の進歩と技術の融合により、これらの機器を全て相互接続できる。その結果、今や患者が自身のデータ及び備忘録システムにいつでもアクセスすることができるという非常に便利な状況になっている。患者のデータには、患者の担当医師及び健康管理チームも容易にアクセスすることができる。
【0007】
特に糖尿病における疾患の自己管理に関する飛躍的な進歩は、携帯型自己操作式薬剤投与装置の導入によりもたらされたものである。これらの装置は使い易いだけでなく、安全でもある。例えば、インスリン注入用(糖尿病患者用)装置の場合、吸入器(喘息患者に使用される、又は糖尿病患者にも使用される)、血液試料採取装置、例えば血糖測定器などは市場から広く調達することができる。これらの装置は、患者薬剤投与を行うだけでなく、患者のデータを記録して日記データを作成し、患者のための備忘録をつけるといった高性能機能を内蔵するという二重の目的を有する。この装置は、アラームシステム、並びに記録データを分析する表示手段を備えることができるか、又は何らかの通信チャネルを介して処理機能の高い外部コンピューティングデバイス及び/又は大型表示手段にデータを転送することができる。国際公開番号WO 00/32088、国際公開番号WO 03/005891、及び国際公開番号WO 03/015838は全て、このような医療装置、ネットワーク、及び装置の操作方法について、この分野において使用可能な手段の内の幾つかと一緒に記載している。これらの文献は、参照のため、その文献の内容全体を本明細書に包含する。
種々の統計手段を用いることにより、患者データを分かり易く表示し、データを正確且つ有用に分析できる。例えば、1日の様々な時間における患者の血糖値を表示し、望ましくない値の高低の全てを示すレポートを作成することができる。同様に、患者の食物摂取に関するレポートを作成することができる。これらのレポートはテキスト表示、又は棒グラフ、円グラフ、ヒストグラムなど種々のグラフィカル表示とすることができ、これらの表示を使用して結果を一層判り易く示すことができる。
【0008】
このような有用なレポートの1つは、モダルデイ(modal day)レポートである。この種類の表示では、数日間のデータを1日の時間に対して表示して、複数の日のデータを重ねて表示することができ、これによってユーザはデータの中にパターンを見付け出すことができる。モダルデイについては、本出願人による同時係属中のデンマーク国特許出願PA 2004 01040に説明されている。
モダルデイビューは、以下に挙げるような複数の種類の日記データについて表示することができる。
1.血糖(濃度、ミリモル/リットル又はmM)
2.インスリンの大量瞬時投与(IU又はインスリン単位)
3.食事(グルコース量/食事量)
4.運動(強度及び継続時間)
【0009】
この毎日のトレンドをプロットすることによって、患者の日々の活動と関連付けながら血糖をコントロールすることが容易になる。モダルデイプロットでは、ユーザ(患者/分析者/医師)は期間の範囲、すなわち日、週、月、4半期、年などを分析対象のデータポイントとして選択することができる。目標/所望の範囲を決定し、これらのポイントを考慮しながらデータポイントの分析を行なうことができる。このソフトウェアは統計的要約レポートを生成することもできる。
これに類似のソフトウェアは本技術分野で公知であり、広く調達することができる。DIABASS mobil for Palmtop, MiniMed’s MMT−7311, SAS Insightを、記録、分析、アラーム生成などに関する前述の機能を備えたパッケージの例として挙げることができる。
しかしながら、これらの装置/ソフトウェアによって提供されるデータ表示は、特に、食事の摂取が行われる時点が毎日様々に異なるために、血糖値がどのように食事に関連しているかをユーザが見ることができないという不具合を有する。
【0010】
本発明は、前記装置が、
グラフィック、テキスト、及び/又はこれらの組み合わせを表示するディスプレイ、及び
前記ディスプレイにインターフェース接続されるプロセッサ
を備え、前記プロセッサはディスプレイに図の形式で表示を行なわせ、この図は、糖尿病患者の習慣的食事時間を基準とした時間を示す時間軸、血糖値の単位を示す第2の軸、及び次の項目、即ち:
a)習慣的食事の時間ポイントを示す表示であって、例えばライン、垂直ライン、記号、又はナイフ及びフォーク、カップ又はグラスなどの絵文字で示される表示、
b)通常[mmol/l]で表示される、食前血糖値の平均値又は中央値、及び/又はd)一組の食前血糖測定値、並びに
c)やはり通常[mmol/l]で表示される、食後血糖値の平均値又は中央値、及び/又はe)一組の食後血糖測定値
を含む。
【0011】
項目a)の表示とは別に、前記装置は、項目a)の表示を含む前記項目を、本発明の次の9つの実施形態において表示することができる。
1)d)及びc)、すなわち一組の食前血糖測定値、及び食後血糖値の平均値又は中央値、
2)b)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値、
3)b)及びc)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、及び食後血糖値の平均値又は中央値、
4)d)及びe)、すなわち一組の食前血糖測定値、及び一組の食後血糖測定値、
5)b)、d)及びc)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、一組の食前血糖測定値、及び食後血糖値の平均値又は中央値、
6)b)、d)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、一組の食前血糖測定値、及び一組の食後血糖測定値、
7)b)、d)、c)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、一組の食前血糖測定値、食後血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値、
8)b)、c)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、食後血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値、及び
9)d)、c)及びe)、すなわち一組の食前血糖測定値、食後血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値。
【0012】
糖尿病患者は、前記実施形態の内のどの実施形態をディスプレイに表示すべきか、どの食事に関して表示すべきかを決定することができる。
一実施例として、実施形態3)では、糖尿病患者は、食前血糖値及び食後血糖値の平均値又は中央値を見ることができるので、食事の前後に自身の血糖平均値又は中央値を確認することができる。次に、ヘルスケア担当者(医師又は看護師など)は、食事前後のこれらの値に基づいて、将来時点におけるインスリンの大量瞬時投与による治療に関して患者にアドバイスすることができる。例えば、血糖値が非常に高い場合には、インスリンの量を増やすように処方し、逆の場合には大量瞬時投与するインスリンの量を減らすように処方する必要がある。
【0013】
別の実施例として、実施形態5)では、糖尿病患者は、共に食前の、血糖値の平均値又は中央値、及び一組の血糖測定値を共に値を見ることができ、更に食後血糖値の平均値又は中央値を見ることができる。一組の血糖測定値と比較して、食前又は食後の平均値又は中央値を表示することにより、前記一組の測定値は、平均値又は中央値を基準として値がどのようにばらつくかを示す。このとき、ヘルスケア担当者は糖尿病患者を問診して、患者の血糖値が何故このようにばらつくのかを問いただし、次に当該患者に対し、(当該患者に適する血糖値と比較して)血糖値を下げるか又は上げるように、或いは単に安定させるように努力するようアドバイスすることができる。更に、問診において、食後血糖値の平均値又は中央値について患者と話し合うことができ、再度、患者が食後に示すべき適切な血糖値と平均値又は中央値を比較することができる。従って、ヘルスケア担当者からのアドバイスを得ることができ、患者は確実に治療計画に従った処置を採ることができる。
別の実施例として、実施形態7)では、糖尿病患者は、特定の食事に関するb)、d)、c)、及びe)を同時に見ることを選択できる。従って、本発明のこの実施形態では、糖尿病患者は更に多くのデータ項目、すなわち前記食事の前後の、平均値又は中央値、及び一組の食事関連血糖測定値を見ることができるので、選択した食事の時間ポイントにデータ項目を関連付けることができる。前記食事の前と後両方の一組の血糖測定値と比較して平均値又は中央値を表示することにより、この場合も前記セットは、特定の食事の前後で、特定の食事の前後それぞれの平均値又は中央値を基準として値がどのようにばらつくかを示すことができる。次に、ヘルスケア担当者はこの場合も、糖尿病患者を問診して、患者の血糖値が何故このようにばらつき、事実とすれば何故食事前後にこのような高い値になったのかを問いただし、次に当該患者に対し、血糖値を下げ、且つ更に安定させるように努力するようアドバイスすることができる。例えば、患者に対し、大量瞬時投与すべきインスリンの量をどのくらいにするか、前記特定の食事に対していつ投与するか、例えば食事の前及び後に投与すべきかについて提案することができる。
【0014】
本発明の利点は、装置を使用する糖尿病患者とヘルスケア担当者との間の問診ツールとして使用可能なことである。更に、糖尿病患者は、表示データを患者の疾患を自己管理する手段として使用することができる。
前述のように、先行技術においては、患者が摂取する食事に関連付けた血糖の評価を助ける方法が無い。血糖値及び患者に投与すべきインスリンの量は、患者が摂取する食事の時間及び種類に直接依存するので、患者のデータを表示する際にこの要素を考慮することが非常に重要である。食事摂取の時間ポイントと血糖値に対応する時間ポイントとの間の相関が求まると、この相関を使用して投与すべき適切なインスリン量を決定することができる。
【0015】
一般的に、これらの実施形態のいずれかを、糖尿病患者と患者の医師又は看護師との間の問診として使用することができ、更に患者自身が、例えば将来時点におけるインスリンの大量瞬時投の時期及び量を考慮するなどして、例示の実施形態に基づいて措置を講じることができる。
インスリン投与を行うに当たって、考慮すべき最も重要な要素の一つは、インスリン投与の時間ポイント近くの食事摂取である。インスリン投与の結果であるグルコース値の減少量は、摂取した食事/摂取する予定の食事、前の食事の時間、次の食事、及び他の関連要素を考慮に入れて注意深く計算する必要がある。柔軟且つ効果的な糖尿病治療計画では、正しいグルコース値が得られるように、大量瞬時投与されるインスリンの適正量に適合するように食物摂取を注意深く行う必要がある。
【0016】
上述のように、血糖値の平均値又は中央値を一組の血糖測定値とともに各食事の前後で表示することができる。従って、本発明の利点は、本発明を使用して患者の血糖値を患者の食事摂取に関連させて表示することができることである。これを次の実施例に示す。実施例:午後1時に高い血糖値が測定される場合、生じる疑問は、この高血糖値が昼食前の値か、又は昼食後の値かである。これが昼食前の値である場合、この高血糖値は朝食に関連付けられるので、朝食に関連するインスリンを調節する(増やす)必要があり、一方昼食後の値である場合、調節する必要があるのは昼食に関連するインスリンである。このことから分かるように、高血糖値が朝食に関連する場合、朝食に関連するインスリンを調節する必要があり、逆に前記高血糖値が朝食ではなく昼食時の食物摂取に関連する場合、昼食の近くで投与されるインスリンを調節する必要がある。
従って、1日の時間及び血糖値は必ずしも食事に関連付けることができないのであるから、糖尿病患者の血糖値を、1日の時間ではなく、食事摂取の時間ポイントを基準として考察すると有利である。
【0017】
本発明の別の利点は、1日3回の様々な食事の時間ポイントに対応するように患者の血糖値を表示できること、並びに、前記データを使用することにより、食事摂取に関連する血糖値、すなわち3回の食事の各々の前及び後に関連するグルコース値に基づき、ユーザによる修正措置の実行を支援及びガイドできることである。修正措置は、インスリン投与又は運動とすることができる。
このように、本発明は、血糖測定値が1日の3回の食事摂取に対して表示される日記データの高機能表示を可能にする。この種類の表示は、ユーザの習慣を自動的に検出し易くするか、又はデータにパターンを見出し、修正措置を採るための助けとなる。例えば、食事の2時間後のグルコース値は、糖尿病治療計画の有用な指標となる。
【0018】
装置の一実施形態では、プロセッサは更に、習慣的食事の際に大量瞬時投与されるインスリンの用量平均値又は用量中央値をディスプレイに表示させることができ、例えば、該当する2回の食事に関して6、7、及び8.4を表示することができる。
装置の一実施形態では、プロセッサは更に、習慣的食事の時間ポイント、及び任意で食事の性質を示す情報、例えば3回の食事に対応する7:30、12:30、及び18:45という時間ポイント、及び食事の性質として朝食、昼食、及び夕食をそれぞれ表示することができる。
【0019】
糖尿病患者は、2回又は3回の異なる食事に関して前記項目を表示させることを選択することができ、また糖尿病患者はどの食事(複数回の食事)について項目を表示させるかを決定することができる。
装置の一実施形態では、プロセッサは更に、就寝時グルコース値の平均値又は中央値をディスプレイに表示させる。
【0020】
装置の一実施形態では、前記装置は薬剤投与装置とすることができる。
装置の一実施形態では、前記装置は血糖測定器とすることができる。
【0021】
本発明を理解するための前提条件及び背景として、前記薬剤投与装置に実施された本方法又は前記薬剤投与装置を使用する糖尿病患者は、1日の間の次の行動に基づいてインスリン投与及び血糖測定を記録する:
6:30−目覚まし時計が鳴る。
***6:32−朝食前の血糖検査。
患者が自分で血糖を検査するとき、すなわち患者の皮膚を針で刺して血糖測定用の血液試料を採取するとき、情報を薬剤投与装置に自動的に保存するか又は手動で入力することができる。
****6:35−朝食時近くのインスリンの大量瞬時投与、例えば大量瞬時注入又は吸入。
これらのデータは薬剤投与装置に自動的に保存される、すなわちインスリンの量及び種類(例えば)が保存される。
簡易型の薬剤投与装置では、データを手動で入力することができる。
【0022】
6:40−シャワー
6:50−朝食
7:15−出勤
***8:45−朝食後の血糖検査。
患者が自分で血糖を検査するとき、すなわち血糖測定値を求めるとき、情報を薬剤投与装置に自動的に保存されるか又は手動で入力することができる。
9:30−会合にて間食。
***11:45−昼食前の血糖検査。
患者が自分で血糖を検査するとき、すなわち血糖測定値を求めるとき、情報を薬剤投与装置に自動的に保存するか又は手動で入力することができる。
****11:47−昼食時近くのインスリンの大量瞬時投与、例えば大量瞬時注入又は吸入。
これらのデータは自動的に保存される、すなわちインスリンの量及び種類が保存される。
簡易型の薬剤投与装置では、データを手動で入力することができる。
【0023】
12:15−昼食
****14:50−昼食後の血糖検査。
このグルコースデータポイントは薬剤投与装置に自動的に転送されるか、又は手動で保存される。
16:00−退社
****18:30−夕食前の血糖検査。
血糖値は薬剤投与装置に自動的に保存することができる。
****18:35−夕食時近くのインスリンの大量瞬時投与、例えば大量瞬時注入又は吸入。
この場合も、これらのデータは薬剤投与装置に、自動的に又は手動で、すなわちインスリンの量及び種類として保存される。
【0024】
19:00−夕食
20:30−コーヒー
****21:30−夕食後の血糖検査。
この情報は薬剤投与装置に自動的に保存されるか、又は手動で入力することができる。
****23:30−就寝前の血糖検査。
この情報は薬剤投与装置に自動的に保存されるか、又は手動で入力することができる。
****23:35−インスリンの大量瞬時投与、例えば夜の前の長期持続型インスリンの注入又は吸入。
この場合も、これらのデータは薬剤投与装置に自動的に又は手動で、すなわちインスリンの量及び種類(長期持続型)として保存される。
グルコース値及び摂取インスリンの両方に関して、対応するタイムスタンプ(年、月、日、時間、分)がデータポイントと共に保存される。
【0025】
****のマークが付されたデータ項目は、モダルデイを使用する前に、本発明を実施するために注目する項目であり、これらの項目は何らかの方法によって入力されるか、又はデータベースが無線受信する。続いて、これらのデータ項目は、本発明による分析を行なうために前記薬剤投与装置から取り出すことができる。
***のマークが付された上記データ項目は記録され、この記録は通常複数日に渡って行なわれ、数日間に渡るユーザの日記データを構成する。
【0026】
本発明に従ってプランディールデイ(prandial day)を実施することは、モダルデイ表示の一変形例である。食事の時間は不明であり、ユーザが報告することを前提としない。インスリンの大量瞬時投与と食事の開始との間の時間が毎日ほぼ同じであると仮定し、食事時間ではなく、インスリンの大量瞬時投与の時間ポイントを使用する。ユーザが同じ種類の速効型インスリンを毎日のインスリン大量瞬時投与として使用するという仮定は、非常に妥当な仮定である。
患者は、インスリンを摂取する直前と、食事から2時間後に、血糖を測定しなければならない。患者がこれを行う場合、(実際には稀であるが)、次のスケジュールが想定される:血糖測定、インスリンの大量瞬時投与、食事、2時間経過、血糖測定、数時間経過、血糖測定、インスリンの大量瞬時投与、例えば速効型インスリンの注入、食事、2時間経過などである。実際には、上のスケジュールよりも少ない回数の血糖測定が行なわれる。少ない回数の血糖測定は本発明にとって問題とはならない。単に、分析し、続いてプロットすることができるポイントが少ないというだけのことである。
【0027】
いずれにせよ、数日間の日記データとして前記データ(3回の食事のタイムスタンプを除く)を利用して、すなわち一つの方法として本発明を実施することができ、当該方法が前記薬剤投与装置で実施されることが前提である。
薬剤投与装置は、種々の濃度でインスリンの注入を行なうためのドーサとすることができ、この装置は表示機能を備える電動式注射器のような簡易な構造とすることができる。例えば、米国特許第6540672号、同第6656114号、米国特許出願US2002/010432、及び同US2003/032868は全て、高性能薬剤投与装置を開示しており、これらの特許文献の内容全体を参照として本明細書に包含する。本発明は、本技術分野で一般に既知の、インスリンを種々の濃度で注入する機能も備えたポンプ式薬剤投与装置で実施することもできる。
【0028】
別の構成として、薬剤投与装置は吸入器とすることができる:液体エアロゾル又は乾燥エアロゾル粉末の、患者の肺への注入を助ける種々の吸入器が存在する。例えば、米国特許第5888477号(この特許文献の内容全体を参照として本明細書に包含する)は、インスリン投与に使用できる頑丈な機能を備えた吸入器を開示している。Smith等による米国特許第5785049号(この特許文献の内容全体を参照として本明細書に包含する)は、粉末製剤投与に適する装置を開示している。
従って、本文では、「薬剤投与装置」という用語は、液体薬剤(小滴の形態を採ることができる)の個別投与量を送達するための注射型装置(ペン型注射器又はジェット式注射器など)、液体薬剤の連続注入用の薬剤ポンプ、吸入器、又はスプレー、或いは、気化、「分子化(atomized)」又は粉砕された薬剤の個別投与又は連続投与を行うための同様の装置を指す。本発明は、携帯情報端末、携帯電話機、又は血糖測定器などの電子機器上で実施することもできる。
【実施例】
【0029】
次に、添付の図を参照しながら本発明について説明するが、これは本発明の技術範囲を制限するものではない。
図面の詳細な説明
前述のように、糖尿病患者は、自分の生活様式をモニタリングするために日記をつけ続け、この日記に患者の生活習慣及び現在の健康状態を把握するために重要となる種々のパラメータを記録する。例えば、血糖測定値、インスリン投与量などの明白な項目の他に、食事/炭水化物の消費量、実行した運動量/カロリー消費量なども記録することができる。これらのパラメータの内の一つ以上と、これらのパラメータの分析結果とを組み合わせることにより、健全な生活に期待されるレベルからの望ましくない逸脱を全て検出することができる。
上述のように、ユーザによる自己データの入力を助け、レポートを生成し、その後の分析を行なうための種々のツールが市販されている。各々が特定のニーズを満たす種々のタイプのレポートを生成することができる。このようなレポートの1つが、先述のモダルデイレポートである。このレポートでは、血糖、インスリンなどのデータが、1日の時間の特定期間中に対して示される。これによって、測定値のパターン(良い又は悪い)を検出し、採るべき修正措置を決定し易くなる。
【0030】
図1A及び1Bは、日記データのモダルデイビューを示す。すなわち、これらの図は、2002年2月8日〜2002年5月18日に亘る期間の血糖(mmol/l又はmM)及びインスリンの測定値を、1日の時間(時刻)を2時間間隔で表わすx軸に対して表したモダルデイグラフを示している。このようなグラフ分析法及び他の分析は通常、コンピュータを用いる方法である。
図2は、本発明によるプランディールデイを実施できる汎用コンピューティングデバイスのブロック図である。前記デバイスは、薬剤投与装置とすることができるか、又は血糖測定器とすることもできる。コンピュータを用いるこの方法は、図に示すようないずれかの汎用コンピューティングデバイス/コンピュータシステムで実行することができ、この図はデバイスの内部構造を示している。コンピュータシステム(210)、例えばデバイスは、システムバス(220)を援用して相互に接続された種々のサブシステムから構成される。マイクロプロセッサ(230)は他のサブシステムと通信し、これらのサブシステムの機能を制御する。メモリ(240)は、命令及びデータ、例えば日記データ及び食事に関して決定されるタイムスタンプ、実行中に求められる食前及び食後グルコース値を保存することにより、マイクロプロセッサ(230)が機能するのを助ける。固定ドライブ(250)を使用してこれらのデータを、例えばデータベース構造に保持し、オペレーティングシステム及び他のプログラムのような恒久的な性質の命令を保持する。ディスプレイアダプター(260)は、システムバスと、通常モニター又はディスプレイである表示装置(270)との間のインターフェースとして使用される。すなわち、ディスプレイとのインターフェース接続は前記プロセッサによって行なわれ、この場合、プロセッサはディスプレイに、種々のデータをグラフィック、数字テキスト、及びこれらのいずれかの組み合わせで表示させることができる。このディスプレイを使用して、日記データ、食事に関して決定されるタイムスタンプ、測定される食前及び食後グルコース値、及び他の注目データを表示することができる。ネットワークインターフェース(280)を使用してコンピュータをネットワーク上の他のコンピュータに有線手段又は無線手段を介して接続する。ネットワーク上のこれらのデバイスも薬剤投与装置とすることができる。先行技術文献において説明されるこれらの薬剤投与装置は、薬の用量、食事に関して決定されるタイムスタンプ、血糖値などの患者関連データを保存する機能を備える。これらの装置は、種々の通信媒体を使用してコンピューティングデバイスと通信する。通信手段は、TCP/IP、SSLなどの種々の通信プロトコルを使用するケーブル、RS232、Bluetooth、赤外線などの有線手段又は無線手段とすることができる。コンピュータシステムはサウンドカード(290)を含むこともできる。システムは、キーボード(292)及びマウス(294)のような種々の入力機器、及びプリンタ(296)のような出力機器に接続される。これらのサブシステムの種々の構成を用いることができる。ここでまた、本発明を実施するシステムが使用できるサブシステムの数が、上記より少なくても多くてもよいことに留意されたい。
【0031】
薬剤投与装置とコンピューティングシステム−これらの両方に対して本発明を実施することができる−との間のこの構成は、これらの2つの間の1対1のリンクに基づいた単純なものにすることができる。しかしながら同時に、この構成は、効率的な患者−医師−親類−ピアネットワークを構築するための必要性に応じて拡張及びカスタマイズすることができる。例えば、コンピューティングシステムは、定期的にローカルエリアネットワーク又はインターネットにログオンして、リモートデータベースサーバ上のユーザ測定値を転送することができ、これにより患者の医師、親類などの異なるコンピューティングシステムからのレポートを生成することができる。これらのコンピューティングデバイスは、汎用デスクトップ、又はラップトップ、携帯電話機、PDAなどの他の異なる機器とすることができる。本方法は、コンピュータシステムが実行するソフトウェアの命令などによって、前述のコンピューティングデバイスに取り込まれる。ここでも、ソフトウェアは、本方法のステップを実行する一つ以上のモジュールとして用いることができる。
詳細には、本ソフトウェアは、記憶装置を含むコンピュータで読み取り可能な媒体に保存することができるか、或いは、インターネット又は別のネットワークロケーション又はサイトとのインターフェース及び通信チャネルを介して離れた位置からダウンロードすることができる。コンピュータシステムは、コンピュータで読み取り可能な媒体を含み、当該媒体にソフトウェアコード又はプログラムコードが記録されていることにより、ソフトウェア又はプログラムコードの命令を実行することができる。好適には、コンピュータシステムの使用により有用な装置に作用して、コンピュータプログラムの実行時間記号のテーブルを本発明の実施形態に従って構成する。
【0032】
コンピュータシステムは例示のために設けられているのであって、本発明の技術範囲及び技術思想から逸脱することなく他の構成を用いることができる。上述は、本発明の実施形態を実施することができるコンピュータ又はコンピュータシステムの種類の単なる例示に過ぎない。通常、これら実施形態のプロセスは、コンピュータで読み取り可能な媒体としてハードディスクドライブに記録されるソフトウェア又はコンピュータで読み取り可能なプログラムコードの形で常駐し、制御モジュールを使用して読み出され、制御される。プログラムコード及び取り込まれる全てのデータは、可能であれば記憶装置と協働させてメモリを使用することにより中間保存することができる。
一部の例では、プログラムは、CD−ROM又はフロッピーディスク(両方ともに記憶装置と称する)に符号化してユーザに供給することができるか、或いはコンピュータに接続されるモデム機器を介してネットワークから読み込み可能である。更に、コンピュータシステムは、他のコンピュータで読み取り可能な媒体からソフトウェアを読み込むことができる。他のコンピュータで読み取り可能な媒体には、磁気テープ、ROM又は集積回路、光磁気ディスク、コンピュータと別のデバイスとの間の無線又は赤外線伝送チャネル、PCMCIAカードのようなコンピュータで読み取り可能なカード、及びeメール送信を含むインターネット及びイントラネット、インターネットサイトに記録される情報などが含まれる。上述は、関連するコンピュータで読み取り可能な媒体の単なる例示である。本発明の技術範囲及び技術思想から逸脱せずに、コンピュータで読み取り可能な他の媒体を用いることができる。
実行ステップは一つのコンピュータシステムに集中化して実行することができるか、又は異なる要素を複数の相互接続されたコンピュータシステムに分散させて実行することができる。本明細書におけるコンピュータプログラム手段又はコンピュータプログラムは、情報処理機能を備えるシステムに、直接に、又はa)別の言語、コード、又は表記への変換、及び/又はb)異なる形式での再生の後に、特定の機能を実行させる一組の命令の、いずれかの言語、コード又は表記によるあらゆる表現を意味する。
【0033】
図3は一つのイベント、例えば1回の食事の影響を表すガウス関数型分布を示す。プランディールデイアルゴリズムの第1ステップでは、3回の主食事、及びこれらの食事に対応し、アルゴリズムが3つの時間窓として指定する朝、昼、及び晩に行なわれるインスリン投与の形態に観察される習慣を見つけ出す。次のステップでは、投与時間がこれらの窓に含まれている事例の全てを集め、これらの事例に関して、インスリンの大量瞬時投与前1時間以内、且つ投与時間後3時間以内に行なわれた血糖測定の全て、すなわち前記食事の各々の前及び後それぞれのグルコース測定を選択する。
実際には4つのプロットが1つになっている。投与時間、すなわちインスリンの大量瞬時投与の時間を時間ゼロとする4つの時間軸を設け、これらの時間軸を使用して食事時間を推定する。ユーザは通常、インスリン投与前と食後の2時間後に血糖を測定することになっているので、時間軸は食事を中心にして−1〜+3時間に亘る。注目する期間の血糖値を、食事時間/インスリンの大量瞬時投与時間を基準にしてプロットする。このようなプロットについては図9を参照されたい。
通常の食事時間は次のようにして判明する:通常の食事時間、すなわち8:00、13:00、及び18:30は次に説明する3つの選択肢を使用して推定される。各食事に関する4時間の時間窓の範囲内で、実際の代表的な食事時間の検索を行なう。検索は、ガウス関数で平滑化の処理を行なった後、極大値を求めることにより行なう。この方法では、各イベントを、当該イベントを中心としてガウス「関数型」分布に、アルゴリズムのパラメータである幅標準偏差により関連付ける。24時以降の時間を確実に零時以降の時間に表示し直すように注意しなければならない(0時より小さい時間についても同様)。これを図に示す。図は、23時におけるイベントの影響を標準偏差=1時間で示している。
【0034】
図4は、更に多くのイベント、すなわち更に多くの回数の食事の影響を表すガウス関数型分布を示している。全てのイベントの影響を蓄積することにより、曲線が得られる。4つの極大値が観察される。最初の3つは、予測される食事時間の時間窓の範囲内に位置する。これらの3つの極大値の時間ポイントは、対応する3回の食事の最も代表的な時間と考えられる。
ここでガウスの公式を示す:
ys=exp(−(ts−t)^2/(2*標準偏差^2))/sqrt(2*pi)/標準偏差
ys:合算された寄与率をガウス関数で表わしたもの。
標準偏差:幅を制御するパラメータ−1時間に設定することができる。
【0035】
各食事の極大値は、プロットに習慣的食事の時間ポイントとして示される。これについては図9を参照されたい。この時間は、プランディールデイプロットの該当部分に対応する食事時のインスリンの大量瞬時投与が行われる最も普通の時間と考えられる。インスリンの大量瞬時投与の時間ポイントからなる所定の時間窓の範囲内の中央値を計算して習慣的食事の時間ポイントを求めることもできる。ガウス分布していないデータに関しては、中央値は標準であるものを示唆し、一つの異常に高い又は低い値は、平均値が標準から離れるように作用する。別の方法では、所定の時間窓の範囲内で計算により求められる平均値を使用して、習慣的食事の時間ポイントを求めることができる。プロットの就寝時部分は、インスリンの大量瞬時投与時間の観点から定義されるのではなく、大量の血糖として定義され、更に通常就寝時の基礎インスリン投与が行なわれる。ガウス関数で平滑化の処理を行なった後の極大値の時間は、「就寝時」の下に、この場合は22:50が表示される。別の方法として、基礎インスリン投与の就寝時インスリン時間ポイントを「就寝時」の表示手段として使用することができる。
ガウス関数で平滑化の処理を行なった後の極大値によって、最も代表的な時間−最大値に対応する時間を選択することができる。
【0036】
プランディールデイは血糖測定データを表示するための一つの方法である。モダルデイとは異なり、プランディールデイでは、1日の絶対的な時間ではなく、習慣的食事時間を基準として測定値を表示する。
プランディールプロットルーチンの擬似コード:
・朝食、昼食、夕食、及び就寝の習慣の時間ポイントを検出するか、又は1日のこれらの時間ポイントを、初期設定値又はデフォルト値、例えば8:00、12:00、及び18:00に基づいて取得する。
・各日について:
0.食事毎に:
1.習慣的な時間を中心として±2時間の時間窓の範囲内に、インスリンの大量瞬時投与を見付け出す。複数回の投与が行われた場合、最大投与量の時間を選択する。等しい最大投与量の投与が2回行われた場合、習慣的な時間に近い方の投与を選択する。
2.その日に行われた血糖測定のうち、インスリンの大量瞬時投与の1時間前から、投与時間ポイントを含め投与時間ポイントまでに行なわれた血糖測定を見付け出す。これらの測定は、対応する食事の前(すなわち、昼食前)に行なわれたものである。
3.その日に行われた血糖測定のうち、インスリンの大量瞬時投与の時間ポイント(当該投与時間ポイントを含まない)から、インスリンの大量瞬時投与の3時間後までの血糖測定を見付け出す。これらの測定は、対応する食事の後(すなわち、昼食前)に行なわれたものである。
4.(1回の血糖測定が食事と食事の間に行なわれる場合、当該血糖測定は後の方の食事に関連付けて1回だけ使用する。)
5.その日の当該食事に関連する血糖測定と、その日のインスリンの大量瞬時投与との間の時間差を計算する。
○就寝時に関して:絶対時間を使用してプランディールデイプロットに血糖測定値をプロットする。
・7つの平均値又は中央値を計算する。
・7つの平均値又は中央値をプロットする。(図9参照)
インスリン投与、すなわち朝食時のインスリンの大量瞬時投与、昼食時のインスリンの大量瞬時投与、及び夕食時のインスリンの大量瞬時投与それぞれのインスリン投与時間ポイントに基づいて3回の食事(朝食、昼食、及び夕食)を求める。通常、これらの3回の機会には、インスリンの大量瞬時投与が行われるが、この場合、就寝時前の基礎インスリン投与が行なわれる。
【0037】
食前グルコース値の平均値を推定する方法は、以下の擬似コードステップに従って実行することができる:
過去1日又は複数日の習慣的食事について食前グルコース値を推定するステップ、
前記食前グルコース値の個数nをカウントするステップ、
食前グルコース値の和を、食前グルコース値の個数nで除することにより食前グルコース値の平均値を計算するステップ。
食前グルコース値の中央値を推定する方法は、次のステップに従って実行することができる:
前記食前グルコース値を昇順又は降順に並べるステップ、
前記食前グルコース値の個数nが奇数である場合、(n/2+1/2)番目の食前グルコース値を食前グルコース値の中央値とするステップ、及び
前記食前グルコース値の個数nが偶数である場合、食前グルコース値の中央値を、食前グルコース値の(n/2)番目と(n/2+1)番目の値の平均値とするステップ。
【0038】
同様に、食後グルコース値の平均値及び中央値の推定手順を次のステップにより実行することができる:
過去1日又は複数日の習慣的食事について食後グルコース値を推定するステップ、
前記食後グルコース値の個数mをカウントするステップ、
前記食前グルコース値の和を、食後グルコース値の個数mで除することにより、前記食後グルコース値の平均値を計算するステップ、
前記食後グルコース値を昇順又は降順に並べるステップ、
前記食後グルコース値の個数mが奇数である場合、(m/2+1/2)番目の食後グルコース値を食後グルコース値の中央値とするステップ、
前記食後グルコース値の個数mが偶数である場合、食後グルコース値の中央値を、食後グルコース値の(m/2)番目と(m/2+1)番目の値の平均値とするステップ。
例えば、グルコース値が8mM、7mM、15mM、18mM、及び19mMである場合、すなわち奇数個(5)の値である場合、前記グルコース値の中央値は、中心値又は中間値の15mMである。前記グルコース値の平均値は(8mM+7mM+15mM+18mM+19mM)/5となる。
例えば、食後グルコース値が8mM、7mM、15mM、18mM、19mM、及び20mMである場合、すなわち偶数個(6)の値である場合、前記食後グルコース値の中央値は(15mM+18mM)/2となる。前記食後グルコース値の平均値は(8mM+7mM+15mM+18mM+19mM+20mM)/6となる。
【0039】
大きなデータ集合(1人の)に基づいて、習慣的食事の時間が7:30、12:30、及び18:45と計算されている。習慣的就寝時間は23:00である。毎日のインスリン大量瞬時投与の時間ポイントに応じて、習慣的食事のこれらの時間ポイントが少しだけ変化するが、次の4つの図に示す実施例では、習慣的食事の時間ポイントは固定されている。
図5は、月曜日の糖尿病患者の行動を示している。
月曜日には、朝食時のインスリンの大量瞬時投与は7:00に行なわれ(棒グラフで示す)、昼食時のインスリンの大量瞬時投与は12:30に行なわれ、夕食時のインスリンの大量瞬時投与は19:00に行なわれる。血糖測定は6:00(10mM)、7:15(9mM)、8:00(6mM)、12:00(5mM)、14:00(9mM)、18:45(8mM)、20:00(6mM)、及び23:00(6mM)に行なわれる。
血糖測定は次のように整理される:
図6は、月曜日の糖尿病患者の行動を、食前及び食後の血糖値によって示している。
6:00(10mM)−朝食前
7:15(9mM)、8:00(6mM)−朝食後
12:00(5mM)−昼食前
14:00(9mM)−昼食後
18:45(8mM)−夕食前
20:00(6mM)−夕食後
23:00(6mM)−就寝時
【0040】
翌日は次のようである。
図7は、火曜日の糖尿病患者の行動を、食前及び食後の血糖値によって示し、これに月曜日の行動を含めて考えている。朝食時のインスリンの大量瞬時投与は8:30に行なわれるので、7:00の血糖測定はその日の朝食時間窓の範囲外で行なわれる。昼食時を中心にして、2回のインスリンの大量瞬時投与が行なわれる;これらの大量瞬時投与は、11:00に3単位、13:00に4単位行なわれる。13:00の4単位の投与が最大投与量であり、他方の単位(少ない方)の投与は無視される。12:00の血糖測定は昼食前としてカウントされる。夕食時間の近くにはインスリンの大量瞬時投与が行なわれないので、18:00及び21:00の血糖測定は分類されない。
平均値は次のようにして計算される:
朝食前:10mM/1=10mM
朝食後:(9mM+6mM+3mM)/3=6mM
昼食前:(5mM+3mM)/2=4mM
昼食後:(9+8)mM/2=8.5mM
夕食前:8mM/1=8mM
夕食後:6mM/1=6mM
就寝前:(6mM+8mM)/2=7mM
同様に、中央値を計算することができる。
【0041】
次の図は、月曜日及び火曜日のデータに基づいたプランディールデイプロットを示す:
図8は、食事を基準とする時間に対応させてグルコース値を示す。7つの平均値を水平な黒線で示す。別の方法として又は追加する形で、対応する7つの中央値を水平な黒線で示す。丸印は血糖測定値であり、ここでこれらの測定値は、インスリンの大量瞬時投与の時間ポイント対して示されており、習慣的食事の時間ポイントにほぼ対応していることが多い。例えば、月曜日6:00の10mMの血糖測定値が、朝食プロットの−1時間の時点に描かれている。月曜日の7:15(9mM)の測定値は、朝食時のインスリンの大量瞬時投与後の0.25時間経過時点に描かれる。しかしながら、この投与は習慣的朝食時、すなわち生活習慣朝食の0.25時間前に行なわれている。
これまでの図から、習慣的食事の食前グルコース値が、1日以上の過去のデータ、及び当日のデータ(すなわち、食前グルコース値)から構成されることが明らかである。
【0042】
過去1日以上の前記データは、1)食前グルコース測定の時間ポイントからなる第1組のデータとして表すことができ、各時間ポイントはインスリンの大量瞬時投与の時間ポイントを基準とし、各データは前記過去1日以上の食前グルコース測定値を有する。
これに対し、当日のデータは、2)当日の患者によるインスリンの大量瞬時投与の一又は複数の時間ポイントからなる第2組のデータから求められる。
【0043】
上述のように、a)習慣的食事の推定時間ポイントが判明していることが必須条件である。
当日の食前グルコース値を求める方法は、次のステップb)〜e)に従って実行することができる:
b)前記第2組のデータを検索して、a)当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする期間に行われたインスリンの大量瞬時投与の一又は複数の時間ポイントを求めるステップ、
c)当日に行われたインスリンの大量瞬時投与の一つの時間ポイントをb)から選択するステップであって、インスリンの大量瞬時投与が複数回行われた場合は最大投与量の投与が行なわれた時間を、等しい最大投与量で2回のインスリン大量瞬時投与が行われた場合は習慣的食事の前記時間に最も近い投与時間ポイントを、又はインスリンの大量瞬時投与が1回だけ行なわれた場合はその時間ポイントを選択するステップ、
d)当日に一組のグルコース測定を行なうステップであって、対応する一又は複数の時間ポイントにおいて1回以上のグルコース測定を行うステップ。
e)当日の習慣的食事の食前血糖値がある場合、習慣的食事の一又は複数の食前血糖値を、それぞれc)よりも前の一定期間内に行われたd)のインスリンの大量瞬時投与の時間を基準とする時間、すなわち当日におけるインスリンの大量瞬時投与の前記選択された時間ポイントと共に求め、よって当日の食前グルコース値を求めるステップ。
【0044】
e)が求まると、前記第1組のデータを更新して過去及び当日に関するデータを次のステップに従って維持することができる。
f)e)において求めた値を前記第1組のデータに加えることにより、前記第1組のデータは、前記過去1日以上並びに当日の食前グルコース測定値を含む。
【0045】
図5〜8には、データ、すなわち図5及び6の食前グルコース測定値が前記第1組のデータとして示されており、すなわち前記過去1日以上、この実施例では月曜日以降の食前グルコース測定値が示されている。従って、値を求めるステップe)は、火曜日を当日とした食前グルコース測定に関連している。
前記第1組のデータは、過去1日以上−この例では月曜日以降−の食前グルコース測定値、並びに当日、すなわち火曜日の食前グルコース測定値を含むので、平均値又は中央値を計算することができ、次にこのデータを表示することができる。この方法は全ての食事に適用することができる、すなわち3つの平均値又は中央値が得られ、各平均値又は中央値は、対応する3回の習慣的食事の前のグルコース測定値に関連付けられる。
【0046】
好適な実施形態では、当日のインスリン大量瞬時投与の前記選択時間ポイントの前の前記期間は、前記選択時間ポイントの約1時間前から前記選択時間ポイントまでの期間である。
別の好適な実施形態では、当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする前記期間は、前記習慣的食事の前記推定時間の2時間前から2時間後までの期間である。
従って、これまでの図から、習慣的食事の食後グルコース値は、過去1日以上のデータ、及び当日のデータ(すなわち、食後グルコース値)からなることも明らかである。
【0047】
過去1日以上の前記データは、1)食後グルコース測定の複数の時間ポイントからなる第1組のデータと表すことができ、各時間ポイントはインスリンの大量瞬時投与時間ポイントを基準とし、各データは前記過去1日以上の一つの食後グルコース測定値を有する。
それに対して、当日のデータは、2)当日行われた患者へのインスリン大量瞬時投与の一以上の時間ポイントからなる第2組のデータに基づいて識別される。
【0048】
上述のように、a)習慣的食事の推定時間ポイントが判明していることが必須条件である。
当日の食後グルコース値を求める方法は、次のステップb)〜e)に従って実行することができる:
b)前記第2組のデータを検索して、a)当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする期間に行われたインスリンの大量瞬時投与の一又は複数の時間ポイントを求めるステップ、
c)当日に行われたインスリンの大量瞬時投与の一つの時間ポイントをb)から選択するステップであって、前述のように、インスリンの大量瞬時投与が複数回行われた場合は最大投与量の投与が行なわれた時間を、等しい最大投与量で2回のインスリン大量瞬時投与が行われた場合は習慣的食事の前記時間に最も近い投与時間ポイントを、又はインスリンの大量瞬時投与が1回だけ行なわれた場合はその時間ポイントを選択するステップ、
d)当日に一組のグルコース測定を行なうステップであって、対応する一又は複数の時間ポイントにおいて1回以上のグルコース測定を行うステップ。
e)当日の習慣的食事の食後血糖値がある場合、習慣的食事の一又は複数の食後血糖値を、それぞれc)よりも後の一定期間内に行われたd)のインスリンの大量瞬時投与の時間を基準とする時間、すなわち当日におけるインスリンの大量瞬時投与の前記選択された時間ポイントと共に求め、よって当日の食後グルコース値を求めるステップ。
【0049】
e)が求まると、前記第1組のデータを更新して過去及び当日に関するデータを次のステップに従って維持することができる。
f)e)において求めた値を前記第1組のデータに加えることにより、前記第1組のデータは、前記過去1日以上並びに当日の食後グルコース測定値を含む。
【0050】
図5〜8には、データ、すなわち図5及び6の食後グルコース測定値が前記第1組のデータとして示されており、すなわち前記過去1日以上、この実施例では月曜日以降の食前グルコース測定値が示されている。従って、値を求めるステップe)は、火曜日を当日とした食後グルコース測定に関連している。
前記第1組のデータは、過去1日以上(例えば月曜日以降)の食後グルコース測定値、並びに当日(火曜日)の食前グルコース測定値を含むので、平均値又は中央値を計算することができ、次にこのデータを表示することができる。この方法は全ての食事に適用することができる、すなわち3つの平均値又は中央値が得られ、各平均値又は中央値は、対応する3回の習慣的食事の後のグルコース測定値に関連付けられる。
【0051】
好適な実施形態では、当日のインスリン大量瞬時投与の前記選択時間ポイントの後の前記期間は、前記選択された時間ポイントからその約3時間後までの期間である。
別の好適な実施形態では、当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする前記期間は、前記習慣的食事の前記推定時間の2時間前から2時間後までの期間である。
【0052】
「正規分布」又は正規分布曲線という用語は、観測値が一定の範囲に均等に分散するのではなく、特定の値を中心として積み重なる傾向を示す特定の方法を指す。この方法は連続データに最も一般的に適用され、元来パラメータ統計(例えば、ANOVA、tテスト、回帰分析)に関連する。グラフを使って、正規分布は「ベル型」曲線として最も良く表現される。この曲線は、高さが最大となる点(「平均」)、及びその広がり(「標準偏差」)といった観点から描かれる。
予測される正規分布に対して観測頻度(例えば棒グラフ)をプロットすると、これら2つが大雑把に相関しているかどうかが分かる。
【0053】
分布の正規性を評価する最も簡単な方法は、頻度分布棒グラフを観察することである。観察すべき最も重要な点は、曲線の対称性及びピークである。加えて、曲線が2つ以上のピークを示している場合、これは二峰性分布を示し、よって正規分布と見なすことができないので注意する必要がある。
視覚判定は、分布を示すためだけに使用して、その後は更に良好な方法を使用する必要がある。エクセルのウィザート機能に含まれるスキュー及びカートシス(それぞれSKEW及びKURT)の値は、正規分布の別の良好な表示手段であるが、データの正規性との一致度に関しては過度に楽観的である場合がある。高性能コンピュータ及び統計プログラムが出現する前は、ユーザは冗長な計算を避けるように努めなくともよかった。現在はそれらの両方を利用することができ、且つ使用が非常に容易であることから、正規性(及び分散の均一性)のテストを統計の最良の実行手段として行なうことができる。SPSS及びMinitabは、Kolmogorov−Smirnovテストを含む。このテストは正規且つ均一なデータセットの適合度テストとして優秀とされている。別の方法として、エクセル及びUNISTATは、データが正規分布しているかを判断する機能を提供する。
上記テストでは、同じ仮説Hを使用する。
HO:データセットの分布と正規分布との間に差が無い。
HA:データセットの分布と正規分布との間に差がある。
0.05未満のときにHOが否定される場合、SPSS又はMinitabによってP値が供給される。
【0054】
図9はプランディールデイビューを示している。プランディールデイは、モダルデイ表示の一変形例である。モダルデイでは、数日間の血糖値を1日の時間に対して示す。モダルデイは、血糖値が食事とどのように関連するのかが分からないという不具合を有する。本発明によるプランディールデイでは、血糖値が、当該時間の近くの主食事を基準とする時間で示される。
本発明によって、プランディール形式で患者データを表示すること、すなわち7ポイントアルゴリズムによって平均血糖値又は中央血糖値を推定することが容易になる。糖尿病の場合、7ポイントアルゴリズムを使用して血糖値を制御することができる。グルコース値(平均値又は中央値)の7ポイントとは、各主食事、すなわち朝食、昼食、及び夕食の前と後、及び就寝時である。血糖値について計算されたこれらの平均値又は中央値は、表中水平な太線で示され、医師が指定するこれらの7ポイントの血糖測定における目標値と比較することができる。図は、通常日課の特定のイベントの近くで、すなわち朝食時、昼食時、夕食時、及び就寝前に注入されるインスリン単位それぞれの値を示している。これに対応して、且つ前記注入インスリン単位に関連して、血糖測定器が示す値がプロットされ、プランディールデイビューに表示されている。プランディールデイによって、標準化された時間における食前及び食後血糖値を詳細に知ることができる。例えば、食後血糖、すなわち全ての食事の2時間後の血糖値が、糖尿病治療の制御を行なうための重要な指標となる。
【0055】
図は、データセットのプランディールプロットを示している。水平の黒線はグルコースの食前及び食後の平均値又は中央値を示している。第1軸の下に記された時間は、1日の、朝食時、昼食時、夕食時、及び就寝時インスリンの注射時間であるので、朝食時、昼食時、及び夕食時インスリン投与が、朝食、昼食、及び夕食のそれぞれの時間ポイントに対応している。
患者、医師、又はいずれかの関係者は、上のグラフを読み取って患者の習慣及びそれが患者の血糖値に及ぼす影響を判断することができる。その後、そのような分析を使用して、患者の間違った習慣及び/又は望ましくない習慣を全て矯正することができる。
一定の期間に渡って行なわれる分析では、習慣について更に深く考察することができるような他の図を作成することができる。そのような2つの図を以下に説明する。
【0056】
a)移動窓:
図10は、移動窓による患者データの表示を示す。この場合、データを見るための時間窓を選択することができる。好適な実施形態のデフォルトは1ヶ月である。ユーザは時間窓をドラッグし、プランディールデイプロットの時間範囲のデータを見ることができる(白地の黒ドットが血糖に対応し、他のドットがインスリンに対応する)。ユーザは黒三角の位置で「playを押す」こともでき、時間窓が段階的に1日ずつ進む。選択された時間窓のデータは瞬時にプランディールデイプロットに表示される。
本発明は、糖尿病患者に対して情報を表示する方法、及び前記方法を実行及び適用できる医療装置に関する。
【0057】
本発明は、いわゆるプランディールデイに関する。この考え方は、ユーザに、時間と共に変化するBG(血糖)及び/又はインスリンのパターンを識別するためのツールを提供する。例えば、ユーザは、金曜日の夜のBGが高い傾向にあるが、これは夏季のみであることを自認することができる。
本発明は、インスリン投与量及び血糖(BG)測定値、並びにそれらの時間を記録する医療装置に関する。本装置は、ドーサ、BG測定器、PC、PDA、又は携帯電話機とすることができる。
【0058】
プランディールデイはモダルデイの変形である。モダルデイでは、数日間のBG値を1日の時間に対して表示する。モダルデイは、日によって様々に異なる時間に行われる食事と、BG値がどのように関連しているかが分からないという不具合を有する。
プランディールデイを図11に示す。この場合、BG値は、近くの主食事を基準とする時間で示される。投与時間は食事時間の代わりの指標として使用される。プランディールデイによって、標準化された時間における食前及び食後BGを詳細に知ることができる。例えば、食後2時間の食後BGは、治療を制御するために重要である。本発明によって、各主食事の前及び後、並びに就寝時における平均BGを、いわゆる7ポイントアルゴリズムに従って容易に推定することができ、これらの7つの値は図の水平な太線により表示される。医師はこれらの7つの値それぞれの目標値を指定することができ、プランディールデイはこの値の好適な制御方法である。
本発明は、ドーサ、注射器、吸入器、ポンプなどの医療装置に適用することができ、これらの装置の全ては何らかの処方で糖尿病患者にインスリンを供給する機能を備える。
【0059】
図11はプランディールデイビューを示す。この図は、通常日課の特定のイベントの近くで、すなわち朝食時、昼食時、夕食時に、及び就寝前にそれぞれ注入されるインスリン単位の値を示している。これに対応し、且つ前記注入インスリン単位に関連して、血糖測定器が示す値がプロットされ、プランディールデイビューに表示される。
前記値のそれぞれは、プランディールプロットルーチン用の次の擬似コードに従って入力することができる:
・朝食習慣、昼食習慣、夕食習慣、及び就寝習慣を発見するか、又は手動で1日のうちのこれらの習慣の時間を入力する。
・各日について
〇習慣的な時間を中心に±2時間の時間窓の範囲内の速効型注入を検索する。複数回の速効型注入が行なわれている場合、習慣的な時間に最も近い速効型注入を使用する。
〇−1時間〜+3時間の時間窓の範囲内の関連BG測定を見付け出す。
〇1回のBG測定が食事と食事の間に行なわれる場合、当該BG測定は後の方の食事に関連付けて1回だけ使用する。
〇朝食、昼食、及び夕食に関して:BG測定と速効型注入との間の時間差を計算する。相対時間を使用してBG測定値を3つのプランディールプロットにプロットする。
〇就寝時に関して:絶対時間を使用してプランディールプロットにBG測定値をプロットする。
・7つの平均値を計算し、7つの平均値をプロットする。
この図は、FSデータセットのプランディールプロットを示している。黒の水平線は、食前及び食後の平均を示している。第1軸の下の時間は、検出された、1日の内の朝食時、昼食時、夕食時、及び就寝時のインスリンの注射時間である。
【0060】
図12は移動窓による表示を示す。この場合、データを見るための時間窓を選択することができる。デフォルトは1ヶ月である。ユーザは時間窓(ピンク)をドラッグし、プランディールデイプロットの時間範囲のデータを見ることができる(白地の黒ドットがBGに対応し、他のドットがインスリンに対応する)。ユーザは黒三角の位置で「playを押す」こともでき、時間窓が段階的に1日ずつ進む。選択された時間窓のデータは瞬時にプランディールデイプロットに表示される。
図13はウィークビューによる表示を示す。ウィークビューは基本的なプランディールプロットの変形である。ウィークビューは、1日の全ての食事ではなく、1週間の朝食、昼食、及び夕食を表示する。ここでも同じように、移動窓のアニメーションを実行することができる。この場合も、目的は、ユーザにパターンを識別するためのツールを提供することにある。ウィークビューは、例えば(図には示さない)、ユーザには日曜日の朝食の前及び後に低い値を示す傾向があるが、他の曜日の朝食についてはそのような傾向はないことを示すことができる。(更に、全体として、朝食ではなく、ユーザの土曜日の過ごし方に問題があることを示唆することができる)。
【0061】
図14及び15は注入インスリン量及びBG測定値のプロットを示し、図15の太い直線は注入インスリン量及びBG測定値の平均値を示している。
本発明の好適な実施形態では、糖尿病患者に対して情報を表示する方法が用いられ、本方法は、
注入インスリンの関連値及び血糖測定値を記録するステップ、及び
前記注入インスリン関連値及び血糖測定値をグラフィカル形式で表示するステップ
を含む。
本発明の好適な実施形態では医療装置が用いられ、前記装置は、
注入インスリンの関連値及び血糖測定値を記録する手段、及び
前記注入インスリン関連値及び血糖測定値をグラフィカル形式で表示する手段
を備える。
【0062】
図16はプランディールプロットを示す。
図17はスクロールバー付きのプランディールプロットを示す。糖尿病患者は、パターンサーチのスクロールバーを使用することにより、プランディールビューデータをスクロールダウンすることができる。糖尿病患者が高い又は低い食前血糖値を示す場合に何が起こるかを知ることができるという利点がある。例えば、患者が高い食前血糖値を示す場合、この考え方によって即座に、食後グルコース値が全体的に高い(恐らくインスリンがほとんど消費されていないことを示す)か、又は高低にばらつくか、或いは全体的に低いかどうかを提示することができる。この考え方では原則的に、糖尿病患者はスクロールバーを使用して、プランディールビューグラフにどの食前血糖値を表示するかを(又は、クリックにより、単一のグラフに該当するタイムスロット、例えば朝食のビューを)選択する。例えば、ユーザが9.5mmol/l(正常範囲は例えば5〜8mmol/l)を選択すると、9.5mmol/l以上の範囲の食前値のみが、リンク先の食後値と共に表示される(これらの値と食後値の値に関係なく表示され、リンク先は、選択される食前値に関連する食後値、例えば選択されたプレプランディールビューから2時間後の値を指す)。一般論として、7組の血糖測定値、すなわち朝食の前及び後、昼食の前及び後、夕食の前及び後、並びに就寝時の各々に一つのスクロールバーが設けられる。ユーザがスクロールバーで一つのポイント(例えば昼食前)を選択すると必ず、昼食前のデータのみが、前述のように表示される。他の6つのプロットに関しては、同じ日に測定されるデータのみが(昼食前プロットに現時点で表示されているデータと同じように)表示される。ユーザが、昼食前プロットに非常に多くの高い値が測定されているが、これらの日に何が起こっているのか、という質問を行なうと、スクロールバーにより選択される新規のプロットが結果を正確に表示する。
【0063】
別の構成では、スクロールバーを一つだけ設け、スクロールバーを適用するプロットの部分をクリックする。また別の構成では、スクロールバーを一つだけ設け、プロットが任意の食事の前の高いグルコース測定値、及びそれに対応する食後の測定値を示すようにする。この構成の方が簡単であるが、ユーザは重要度が低い可能性のある食後の値の組を排除する選択を行なうことができない。
スクロールバーの考え方は、インスリン注入に適用することもできる。インスリンスクロールバーを上下にスライドさせると、プランディールプロットは該当する日に行なわれた測定値のみを示す。例えば、昼食インスリンスクロールバーを基礎インスリンの7単位の位置に合わせると、プランディールプロットは、ユーザが昼食時に基礎インスリンを7単位以上摂取した日の血糖測定値のみを示す。
【0064】
図18は、強調表示された値を含むプランディールプロットを示し、ユーザがプランディールプロットの血糖測定値又はインスリン注入値をクリックすると、その日の値がモダルプロットの場合と同様に強調表示される。ユーザが、血糖測定値に高い値が見られるが、他の血糖測定値を考慮すると該当日に何があったのか、という質問を行う。図中の強調表示は、単純に当該日のこれらの測定値がどのように関連付けられるかを示す。
【0065】
上述の説明では、本発明の種々の実施形態の一部を示しただけであり、本発明の技術範囲及び技術思想から逸脱せずに変形及び/又は変更を加えることが可能であり、記載した実施形態は例示であって限定的なものではない。糖尿病を中心テーマとして使用して本発明について説明したが、本発明は決して糖尿病の分野に限定されるものではない。中心となる実施例の使用は、説明を明瞭にし、且つ統一性を持たせるためである。本発明は、一般的な健康モニタリング(この場合も同様に限定的な意味でない)を含む他の同様の適用例においても同じように効果的である。これまでに示した図及びその説明は例示であって、説明のみを目的とし、本発明を明瞭に説明するための例及び助けとして使用したもので、いかなる意味でも本発明を制限するものでなく、又は請求の範囲に特に記載される本発明の本質を縮小するものでない。
コンピュータで読み取り可能な媒体は、磁気テープ、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD又はCD−ROM)、ミニディスク、ハードディスク、フロッピーディスク、スマートカード、PCMCIAカード、ラムスティックなど、又はコンピュータシステムに指示/命令の実行方法に関する情報を提供する他のいずれかの種類の媒体とすることができる。
本明細書に引用する刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献については、各文献が個々に且つ特定の形で参照により本明細書に包含されるとして示され、且つその内容全体が本明細書に開示されたように、参照によりそれと同じ範囲が本発明の開示に含まれる。
【0066】
上述の要素の全ての可能な変形例における任意の組み合わせは全て、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明に含まれる。
本発明を説明するために使用された名詞、及び同様の表現は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を含むものとする。
【0067】
本明細書における値の範囲の記載方法は、本明細書において特に記載しない限り、単に当該範囲に含まれる各個別の値を個々に指すための省略法として用いているものであり、各個別の値は、当該値が本明細書において個々に列挙されるのと同じように本明細書に取り込まれる。特に断らない限り、本明細書において与えられる全ての明確な値は対応する近似値を表わす(例えば、特定の係数又は測定値に関して示された例示のための明確な値は、必要に応じて「約」で修飾される対応する近似値も表示すると考えられる)。
本明細書に記載する全ての方法は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、適切な任意の順番で実行することができる。
【0068】
1又は複数の要素に関して、「からなる」、「有する」、又は「含む」などの表現を使用した本発明のいずれかの態様又は実施形態についての本明細書における記述は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、そのような1又は複数の特定の要素「から構成される」、「基本的に〜からなる」、又は当該特定の要素を「実質的に含む」本発明の同様の態様又は実施形態を意味する(例えば、本明細書において特定の要素を含むものとして記載される組成は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、当該要素からなる組成を表わすものとしても解釈される)。
本発明は、本明細書において提示される態様の中で列挙される特許発明の主題の全ての変形物及び均等物を、準拠法によって許される最大の範囲を限度として含む。
本明細書に引用する刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各文献が個々に且つ特定の形で参照により本明細書に包含されるとして示され、且つその内容全体が本明細書に開示されたように、参照によりその内容全体及び同じ範囲が(準拠法によって許される最大の範囲を限度として)本発明の開示に含まれる。
【0069】
本明細書に使用する全ての見出しは、便宜上使用したものであり、いかなる意味でも本発明を制限するものではない。
本明細書で使用されたあらゆる実施例、又は例示表現(例えば「〜などの」)は、単に、本発明を理解し易く説明するたに用いたのであり、特に断らない限り、本発明の技術範囲を制限するものではない。本明細書におけるいかなる表現も、特許請求されない要素を本発明の実施に必須のものとして示すものではない。
【0070】
本明細書における特許文献の引用及び包含は、単に便宜上行なわれるのであり、このような特許文献の有効性、特許性、及び/又は強制力の概念を反映するものではない。
本発明は、請求の範囲に記載される主題のあらゆる変形例及び均等物を、準拠法によって許される範囲を限度として含む。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】A及びBは日記データのモダルデイビューを示す。
【図2】本発明を実施できる汎用コンピューティングデバイスのブロック図である。
【図3】一つのイベントの影響を表すガウス関数型分布を示す。
【図4】複数のイベントの影響を表すガウス関数型分布を示す。
【図5】糖尿病患者の月曜日の行動を示す。
【図6】糖尿病患者の月曜日の行動を、食前及び食後のグルコース値で示す。
【図7】月曜日の行動を含め、糖尿病患者の火曜日の行動を食前及び食後のグルコース値で示す。
【図8】グルコース値を相対時間で示す。
【図9】日記データのプランディールデイビューを示す。
【図10】本発明による情報の「移動窓」による表示を示す。
【図11】日記データのプランディールデイビューを示す。
【図12】本発明による情報の「移動窓」による表示を示す。
【図13】ウィークビューによる表示を示す。
【図14】摂取インスリン及びBG測定値のプロットを示す。
【図15】摂取インスリン及びBG測定値のプロットを示す。
【図16】プランディールプロットを示す。
【図17】スクロールバー付のプランディールプロットを示す。
【図18】強調表示値を含むプランディールプロットを示す。
【発明の開示】
【0001】
技術分野
本発明は健康管理、特に自己治療及び処置の分野に関する。詳細には、本発明は糖尿病患者に関連するデータを表示する機能を備えた装置に関する。
【0002】
発明の技術
ヒトの健康上の問題は大まかに2つのカテゴリー、すなわち急性症及び慢性症に分類することができる。急性症は身体に急激に生じる疾患であり、この種類の疾患の治療方法は確立されており、治療後には患者は元の正常な生活を送ることができる。
これとは異なり、慢性病は、代謝機能不全に起因してヒトが体験する疾患である。これらの種類の問題は治療が難しく、或る種類のコントロールを必要とする。定期的な薬物治療及び他のヘルスケア療法とは別のこのコントロールは、患者によるライフスタイル管理も必要とする。
【0003】
糖尿病はこのような種類の慢性病の一つであり、継続的な医療ケア及び患者による自己管理の教育を行なって合併症を起こさないようにする必要がある。糖尿病も慢性病に分類される。体内のインスリン(膵臓が分泌する)が欠乏すると、血糖値が上昇し、すると過度の喉の渇き、頻尿、血液中のケトン体の衰弱及び過剰等の種々の影響が現れる。
1型糖尿病患者、及び多くの2型糖尿病患者又は妊娠性糖尿病患者(妊娠性糖尿病は、女性の体が妊娠中に必要な量のインスリンを分泌できない場合に発症する)が、糖尿病治療計画の一部としてインスリンを投与される。
【0004】
糖尿病治療に使用される2つの主要なインスリン投与法は、インスリンの大量瞬時投与及びバックグラウンド投与であり、後者は基礎インスリン投与とも呼ばれる。インスリンの大量瞬時投与ではインスリンが大量に供給され、これは普通食事の前に、又は食事に関連して行われる。インスリンの大量瞬時投与には、速効型及び短時間作用型の2種類がある。速効型大量瞬時投与は迅速に作用し、すぐに身体から抜ける。短時間作用型大量瞬時投与は、それよりも体内に留まる時間が長い。
基礎インスリン投与又はバックグラウンド投与は、日中及び夜間に渡って少量のインスリンを供給し続ける。3種類のバックグラウンドインスリン投与には、中間型、持続型、及び長期持続型がある。3つの異なるバックグラウンドインスリン投与の内、長期持続型インスリンは、体内に留まる時間が最も長い。
【0005】
血糖値を抑制するために、糖尿病患者は定期的にインスリンを投与される。しかしながら、これは治療ではなく、治療の一部に過ぎない。糖尿病健康管理プログラムは通常、規則的な運動、食物摂取モニタリングなどの他の要素を含む。食物摂取と運動などとの間のバランスを維持して、正常な体に出来るだけ近い状態で体を機能させる必要がある。
糖尿病の分野に対する関心が高まったことにより、薬剤が改良され、優れた方法が開発されてインスリンの自己投与が容易になった。健康管理の重要性が認識され、共同チーム及びピアグループネットワークが構築された。患者がどのように快適に生活を営み、快適且つ健康な生活を送るのに役立つ種々のパラメータをどのように制御しているかについて追跡を続けるために、普通、患者はログブック又は糖尿病日記をいわゆる日記データを使用してつけ続ける。このログブックには、食物摂取(すなわち、体内で糖をつくる炭水化物)、運動、血糖値、注入インスリンなどの種々のパラメータが記録される。これらのパラメータを、患者及び患者のヘルスケアチームが維持及び分析することにより、好ましくない習慣、又は生体データの望ましくない変化の全てを検出する。
【0006】
技術の進歩により、これらの日記はコンピュータ化され、患者はパーソナルコンピュータ、ラップトップ、携帯型機器などのコンピューティングデバイスにデータを保存し始めた。高性能のソフトウェア及びコンピューティングデバイスの導入により、患者は、自分自身のデータの分析、レポートの作成、及び種々の行動の備忘録作成を自動で行うこともできるようになっている。
通信技術の進歩と技術の融合により、これらの機器を全て相互接続できる。その結果、今や患者が自身のデータ及び備忘録システムにいつでもアクセスすることができるという非常に便利な状況になっている。患者のデータには、患者の担当医師及び健康管理チームも容易にアクセスすることができる。
【0007】
特に糖尿病における疾患の自己管理に関する飛躍的な進歩は、携帯型自己操作式薬剤投与装置の導入によりもたらされたものである。これらの装置は使い易いだけでなく、安全でもある。例えば、インスリン注入用(糖尿病患者用)装置の場合、吸入器(喘息患者に使用される、又は糖尿病患者にも使用される)、血液試料採取装置、例えば血糖測定器などは市場から広く調達することができる。これらの装置は、患者薬剤投与を行うだけでなく、患者のデータを記録して日記データを作成し、患者のための備忘録をつけるといった高性能機能を内蔵するという二重の目的を有する。この装置は、アラームシステム、並びに記録データを分析する表示手段を備えることができるか、又は何らかの通信チャネルを介して処理機能の高い外部コンピューティングデバイス及び/又は大型表示手段にデータを転送することができる。国際公開番号WO 00/32088、国際公開番号WO 03/005891、及び国際公開番号WO 03/015838は全て、このような医療装置、ネットワーク、及び装置の操作方法について、この分野において使用可能な手段の内の幾つかと一緒に記載している。これらの文献は、参照のため、その文献の内容全体を本明細書に包含する。
種々の統計手段を用いることにより、患者データを分かり易く表示し、データを正確且つ有用に分析できる。例えば、1日の様々な時間における患者の血糖値を表示し、望ましくない値の高低の全てを示すレポートを作成することができる。同様に、患者の食物摂取に関するレポートを作成することができる。これらのレポートはテキスト表示、又は棒グラフ、円グラフ、ヒストグラムなど種々のグラフィカル表示とすることができ、これらの表示を使用して結果を一層判り易く示すことができる。
【0008】
このような有用なレポートの1つは、モダルデイ(modal day)レポートである。この種類の表示では、数日間のデータを1日の時間に対して表示して、複数の日のデータを重ねて表示することができ、これによってユーザはデータの中にパターンを見付け出すことができる。モダルデイについては、本出願人による同時係属中のデンマーク国特許出願PA 2004 01040に説明されている。
モダルデイビューは、以下に挙げるような複数の種類の日記データについて表示することができる。
1.血糖(濃度、ミリモル/リットル又はmM)
2.インスリンの大量瞬時投与(IU又はインスリン単位)
3.食事(グルコース量/食事量)
4.運動(強度及び継続時間)
【0009】
この毎日のトレンドをプロットすることによって、患者の日々の活動と関連付けながら血糖をコントロールすることが容易になる。モダルデイプロットでは、ユーザ(患者/分析者/医師)は期間の範囲、すなわち日、週、月、4半期、年などを分析対象のデータポイントとして選択することができる。目標/所望の範囲を決定し、これらのポイントを考慮しながらデータポイントの分析を行なうことができる。このソフトウェアは統計的要約レポートを生成することもできる。
これに類似のソフトウェアは本技術分野で公知であり、広く調達することができる。DIABASS mobil for Palmtop, MiniMed’s MMT−7311, SAS Insightを、記録、分析、アラーム生成などに関する前述の機能を備えたパッケージの例として挙げることができる。
しかしながら、これらの装置/ソフトウェアによって提供されるデータ表示は、特に、食事の摂取が行われる時点が毎日様々に異なるために、血糖値がどのように食事に関連しているかをユーザが見ることができないという不具合を有する。
【0010】
本発明は、前記装置が、
グラフィック、テキスト、及び/又はこれらの組み合わせを表示するディスプレイ、及び
前記ディスプレイにインターフェース接続されるプロセッサ
を備え、前記プロセッサはディスプレイに図の形式で表示を行なわせ、この図は、糖尿病患者の習慣的食事時間を基準とした時間を示す時間軸、血糖値の単位を示す第2の軸、及び次の項目、即ち:
a)習慣的食事の時間ポイントを示す表示であって、例えばライン、垂直ライン、記号、又はナイフ及びフォーク、カップ又はグラスなどの絵文字で示される表示、
b)通常[mmol/l]で表示される、食前血糖値の平均値又は中央値、及び/又はd)一組の食前血糖測定値、並びに
c)やはり通常[mmol/l]で表示される、食後血糖値の平均値又は中央値、及び/又はe)一組の食後血糖測定値
を含む。
【0011】
項目a)の表示とは別に、前記装置は、項目a)の表示を含む前記項目を、本発明の次の9つの実施形態において表示することができる。
1)d)及びc)、すなわち一組の食前血糖測定値、及び食後血糖値の平均値又は中央値、
2)b)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値、
3)b)及びc)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、及び食後血糖値の平均値又は中央値、
4)d)及びe)、すなわち一組の食前血糖測定値、及び一組の食後血糖測定値、
5)b)、d)及びc)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、一組の食前血糖測定値、及び食後血糖値の平均値又は中央値、
6)b)、d)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、一組の食前血糖測定値、及び一組の食後血糖測定値、
7)b)、d)、c)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、一組の食前血糖測定値、食後血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値、
8)b)、c)及びe)、すなわち食前血糖値の平均値又は中央値、食後血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値、及び
9)d)、c)及びe)、すなわち一組の食前血糖測定値、食後血糖値の平均値又は中央値、及び一組の食後血糖測定値。
【0012】
糖尿病患者は、前記実施形態の内のどの実施形態をディスプレイに表示すべきか、どの食事に関して表示すべきかを決定することができる。
一実施例として、実施形態3)では、糖尿病患者は、食前血糖値及び食後血糖値の平均値又は中央値を見ることができるので、食事の前後に自身の血糖平均値又は中央値を確認することができる。次に、ヘルスケア担当者(医師又は看護師など)は、食事前後のこれらの値に基づいて、将来時点におけるインスリンの大量瞬時投与による治療に関して患者にアドバイスすることができる。例えば、血糖値が非常に高い場合には、インスリンの量を増やすように処方し、逆の場合には大量瞬時投与するインスリンの量を減らすように処方する必要がある。
【0013】
別の実施例として、実施形態5)では、糖尿病患者は、共に食前の、血糖値の平均値又は中央値、及び一組の血糖測定値を共に値を見ることができ、更に食後血糖値の平均値又は中央値を見ることができる。一組の血糖測定値と比較して、食前又は食後の平均値又は中央値を表示することにより、前記一組の測定値は、平均値又は中央値を基準として値がどのようにばらつくかを示す。このとき、ヘルスケア担当者は糖尿病患者を問診して、患者の血糖値が何故このようにばらつくのかを問いただし、次に当該患者に対し、(当該患者に適する血糖値と比較して)血糖値を下げるか又は上げるように、或いは単に安定させるように努力するようアドバイスすることができる。更に、問診において、食後血糖値の平均値又は中央値について患者と話し合うことができ、再度、患者が食後に示すべき適切な血糖値と平均値又は中央値を比較することができる。従って、ヘルスケア担当者からのアドバイスを得ることができ、患者は確実に治療計画に従った処置を採ることができる。
別の実施例として、実施形態7)では、糖尿病患者は、特定の食事に関するb)、d)、c)、及びe)を同時に見ることを選択できる。従って、本発明のこの実施形態では、糖尿病患者は更に多くのデータ項目、すなわち前記食事の前後の、平均値又は中央値、及び一組の食事関連血糖測定値を見ることができるので、選択した食事の時間ポイントにデータ項目を関連付けることができる。前記食事の前と後両方の一組の血糖測定値と比較して平均値又は中央値を表示することにより、この場合も前記セットは、特定の食事の前後で、特定の食事の前後それぞれの平均値又は中央値を基準として値がどのようにばらつくかを示すことができる。次に、ヘルスケア担当者はこの場合も、糖尿病患者を問診して、患者の血糖値が何故このようにばらつき、事実とすれば何故食事前後にこのような高い値になったのかを問いただし、次に当該患者に対し、血糖値を下げ、且つ更に安定させるように努力するようアドバイスすることができる。例えば、患者に対し、大量瞬時投与すべきインスリンの量をどのくらいにするか、前記特定の食事に対していつ投与するか、例えば食事の前及び後に投与すべきかについて提案することができる。
【0014】
本発明の利点は、装置を使用する糖尿病患者とヘルスケア担当者との間の問診ツールとして使用可能なことである。更に、糖尿病患者は、表示データを患者の疾患を自己管理する手段として使用することができる。
前述のように、先行技術においては、患者が摂取する食事に関連付けた血糖の評価を助ける方法が無い。血糖値及び患者に投与すべきインスリンの量は、患者が摂取する食事の時間及び種類に直接依存するので、患者のデータを表示する際にこの要素を考慮することが非常に重要である。食事摂取の時間ポイントと血糖値に対応する時間ポイントとの間の相関が求まると、この相関を使用して投与すべき適切なインスリン量を決定することができる。
【0015】
一般的に、これらの実施形態のいずれかを、糖尿病患者と患者の医師又は看護師との間の問診として使用することができ、更に患者自身が、例えば将来時点におけるインスリンの大量瞬時投の時期及び量を考慮するなどして、例示の実施形態に基づいて措置を講じることができる。
インスリン投与を行うに当たって、考慮すべき最も重要な要素の一つは、インスリン投与の時間ポイント近くの食事摂取である。インスリン投与の結果であるグルコース値の減少量は、摂取した食事/摂取する予定の食事、前の食事の時間、次の食事、及び他の関連要素を考慮に入れて注意深く計算する必要がある。柔軟且つ効果的な糖尿病治療計画では、正しいグルコース値が得られるように、大量瞬時投与されるインスリンの適正量に適合するように食物摂取を注意深く行う必要がある。
【0016】
上述のように、血糖値の平均値又は中央値を一組の血糖測定値とともに各食事の前後で表示することができる。従って、本発明の利点は、本発明を使用して患者の血糖値を患者の食事摂取に関連させて表示することができることである。これを次の実施例に示す。実施例:午後1時に高い血糖値が測定される場合、生じる疑問は、この高血糖値が昼食前の値か、又は昼食後の値かである。これが昼食前の値である場合、この高血糖値は朝食に関連付けられるので、朝食に関連するインスリンを調節する(増やす)必要があり、一方昼食後の値である場合、調節する必要があるのは昼食に関連するインスリンである。このことから分かるように、高血糖値が朝食に関連する場合、朝食に関連するインスリンを調節する必要があり、逆に前記高血糖値が朝食ではなく昼食時の食物摂取に関連する場合、昼食の近くで投与されるインスリンを調節する必要がある。
従って、1日の時間及び血糖値は必ずしも食事に関連付けることができないのであるから、糖尿病患者の血糖値を、1日の時間ではなく、食事摂取の時間ポイントを基準として考察すると有利である。
【0017】
本発明の別の利点は、1日3回の様々な食事の時間ポイントに対応するように患者の血糖値を表示できること、並びに、前記データを使用することにより、食事摂取に関連する血糖値、すなわち3回の食事の各々の前及び後に関連するグルコース値に基づき、ユーザによる修正措置の実行を支援及びガイドできることである。修正措置は、インスリン投与又は運動とすることができる。
このように、本発明は、血糖測定値が1日の3回の食事摂取に対して表示される日記データの高機能表示を可能にする。この種類の表示は、ユーザの習慣を自動的に検出し易くするか、又はデータにパターンを見出し、修正措置を採るための助けとなる。例えば、食事の2時間後のグルコース値は、糖尿病治療計画の有用な指標となる。
【0018】
装置の一実施形態では、プロセッサは更に、習慣的食事の際に大量瞬時投与されるインスリンの用量平均値又は用量中央値をディスプレイに表示させることができ、例えば、該当する2回の食事に関して6、7、及び8.4を表示することができる。
装置の一実施形態では、プロセッサは更に、習慣的食事の時間ポイント、及び任意で食事の性質を示す情報、例えば3回の食事に対応する7:30、12:30、及び18:45という時間ポイント、及び食事の性質として朝食、昼食、及び夕食をそれぞれ表示することができる。
【0019】
糖尿病患者は、2回又は3回の異なる食事に関して前記項目を表示させることを選択することができ、また糖尿病患者はどの食事(複数回の食事)について項目を表示させるかを決定することができる。
装置の一実施形態では、プロセッサは更に、就寝時グルコース値の平均値又は中央値をディスプレイに表示させる。
【0020】
装置の一実施形態では、前記装置は薬剤投与装置とすることができる。
装置の一実施形態では、前記装置は血糖測定器とすることができる。
【0021】
本発明を理解するための前提条件及び背景として、前記薬剤投与装置に実施された本方法又は前記薬剤投与装置を使用する糖尿病患者は、1日の間の次の行動に基づいてインスリン投与及び血糖測定を記録する:
6:30−目覚まし時計が鳴る。
***6:32−朝食前の血糖検査。
患者が自分で血糖を検査するとき、すなわち患者の皮膚を針で刺して血糖測定用の血液試料を採取するとき、情報を薬剤投与装置に自動的に保存するか又は手動で入力することができる。
****6:35−朝食時近くのインスリンの大量瞬時投与、例えば大量瞬時注入又は吸入。
これらのデータは薬剤投与装置に自動的に保存される、すなわちインスリンの量及び種類(例えば)が保存される。
簡易型の薬剤投与装置では、データを手動で入力することができる。
【0022】
6:40−シャワー
6:50−朝食
7:15−出勤
***8:45−朝食後の血糖検査。
患者が自分で血糖を検査するとき、すなわち血糖測定値を求めるとき、情報を薬剤投与装置に自動的に保存されるか又は手動で入力することができる。
9:30−会合にて間食。
***11:45−昼食前の血糖検査。
患者が自分で血糖を検査するとき、すなわち血糖測定値を求めるとき、情報を薬剤投与装置に自動的に保存するか又は手動で入力することができる。
****11:47−昼食時近くのインスリンの大量瞬時投与、例えば大量瞬時注入又は吸入。
これらのデータは自動的に保存される、すなわちインスリンの量及び種類が保存される。
簡易型の薬剤投与装置では、データを手動で入力することができる。
【0023】
12:15−昼食
****14:50−昼食後の血糖検査。
このグルコースデータポイントは薬剤投与装置に自動的に転送されるか、又は手動で保存される。
16:00−退社
****18:30−夕食前の血糖検査。
血糖値は薬剤投与装置に自動的に保存することができる。
****18:35−夕食時近くのインスリンの大量瞬時投与、例えば大量瞬時注入又は吸入。
この場合も、これらのデータは薬剤投与装置に、自動的に又は手動で、すなわちインスリンの量及び種類として保存される。
【0024】
19:00−夕食
20:30−コーヒー
****21:30−夕食後の血糖検査。
この情報は薬剤投与装置に自動的に保存されるか、又は手動で入力することができる。
****23:30−就寝前の血糖検査。
この情報は薬剤投与装置に自動的に保存されるか、又は手動で入力することができる。
****23:35−インスリンの大量瞬時投与、例えば夜の前の長期持続型インスリンの注入又は吸入。
この場合も、これらのデータは薬剤投与装置に自動的に又は手動で、すなわちインスリンの量及び種類(長期持続型)として保存される。
グルコース値及び摂取インスリンの両方に関して、対応するタイムスタンプ(年、月、日、時間、分)がデータポイントと共に保存される。
【0025】
****のマークが付されたデータ項目は、モダルデイを使用する前に、本発明を実施するために注目する項目であり、これらの項目は何らかの方法によって入力されるか、又はデータベースが無線受信する。続いて、これらのデータ項目は、本発明による分析を行なうために前記薬剤投与装置から取り出すことができる。
***のマークが付された上記データ項目は記録され、この記録は通常複数日に渡って行なわれ、数日間に渡るユーザの日記データを構成する。
【0026】
本発明に従ってプランディールデイ(prandial day)を実施することは、モダルデイ表示の一変形例である。食事の時間は不明であり、ユーザが報告することを前提としない。インスリンの大量瞬時投与と食事の開始との間の時間が毎日ほぼ同じであると仮定し、食事時間ではなく、インスリンの大量瞬時投与の時間ポイントを使用する。ユーザが同じ種類の速効型インスリンを毎日のインスリン大量瞬時投与として使用するという仮定は、非常に妥当な仮定である。
患者は、インスリンを摂取する直前と、食事から2時間後に、血糖を測定しなければならない。患者がこれを行う場合、(実際には稀であるが)、次のスケジュールが想定される:血糖測定、インスリンの大量瞬時投与、食事、2時間経過、血糖測定、数時間経過、血糖測定、インスリンの大量瞬時投与、例えば速効型インスリンの注入、食事、2時間経過などである。実際には、上のスケジュールよりも少ない回数の血糖測定が行なわれる。少ない回数の血糖測定は本発明にとって問題とはならない。単に、分析し、続いてプロットすることができるポイントが少ないというだけのことである。
【0027】
いずれにせよ、数日間の日記データとして前記データ(3回の食事のタイムスタンプを除く)を利用して、すなわち一つの方法として本発明を実施することができ、当該方法が前記薬剤投与装置で実施されることが前提である。
薬剤投与装置は、種々の濃度でインスリンの注入を行なうためのドーサとすることができ、この装置は表示機能を備える電動式注射器のような簡易な構造とすることができる。例えば、米国特許第6540672号、同第6656114号、米国特許出願US2002/010432、及び同US2003/032868は全て、高性能薬剤投与装置を開示しており、これらの特許文献の内容全体を参照として本明細書に包含する。本発明は、本技術分野で一般に既知の、インスリンを種々の濃度で注入する機能も備えたポンプ式薬剤投与装置で実施することもできる。
【0028】
別の構成として、薬剤投与装置は吸入器とすることができる:液体エアロゾル又は乾燥エアロゾル粉末の、患者の肺への注入を助ける種々の吸入器が存在する。例えば、米国特許第5888477号(この特許文献の内容全体を参照として本明細書に包含する)は、インスリン投与に使用できる頑丈な機能を備えた吸入器を開示している。Smith等による米国特許第5785049号(この特許文献の内容全体を参照として本明細書に包含する)は、粉末製剤投与に適する装置を開示している。
従って、本文では、「薬剤投与装置」という用語は、液体薬剤(小滴の形態を採ることができる)の個別投与量を送達するための注射型装置(ペン型注射器又はジェット式注射器など)、液体薬剤の連続注入用の薬剤ポンプ、吸入器、又はスプレー、或いは、気化、「分子化(atomized)」又は粉砕された薬剤の個別投与又は連続投与を行うための同様の装置を指す。本発明は、携帯情報端末、携帯電話機、又は血糖測定器などの電子機器上で実施することもできる。
【実施例】
【0029】
次に、添付の図を参照しながら本発明について説明するが、これは本発明の技術範囲を制限するものではない。
図面の詳細な説明
前述のように、糖尿病患者は、自分の生活様式をモニタリングするために日記をつけ続け、この日記に患者の生活習慣及び現在の健康状態を把握するために重要となる種々のパラメータを記録する。例えば、血糖測定値、インスリン投与量などの明白な項目の他に、食事/炭水化物の消費量、実行した運動量/カロリー消費量なども記録することができる。これらのパラメータの内の一つ以上と、これらのパラメータの分析結果とを組み合わせることにより、健全な生活に期待されるレベルからの望ましくない逸脱を全て検出することができる。
上述のように、ユーザによる自己データの入力を助け、レポートを生成し、その後の分析を行なうための種々のツールが市販されている。各々が特定のニーズを満たす種々のタイプのレポートを生成することができる。このようなレポートの1つが、先述のモダルデイレポートである。このレポートでは、血糖、インスリンなどのデータが、1日の時間の特定期間中に対して示される。これによって、測定値のパターン(良い又は悪い)を検出し、採るべき修正措置を決定し易くなる。
【0030】
図1A及び1Bは、日記データのモダルデイビューを示す。すなわち、これらの図は、2002年2月8日〜2002年5月18日に亘る期間の血糖(mmol/l又はmM)及びインスリンの測定値を、1日の時間(時刻)を2時間間隔で表わすx軸に対して表したモダルデイグラフを示している。このようなグラフ分析法及び他の分析は通常、コンピュータを用いる方法である。
図2は、本発明によるプランディールデイを実施できる汎用コンピューティングデバイスのブロック図である。前記デバイスは、薬剤投与装置とすることができるか、又は血糖測定器とすることもできる。コンピュータを用いるこの方法は、図に示すようないずれかの汎用コンピューティングデバイス/コンピュータシステムで実行することができ、この図はデバイスの内部構造を示している。コンピュータシステム(210)、例えばデバイスは、システムバス(220)を援用して相互に接続された種々のサブシステムから構成される。マイクロプロセッサ(230)は他のサブシステムと通信し、これらのサブシステムの機能を制御する。メモリ(240)は、命令及びデータ、例えば日記データ及び食事に関して決定されるタイムスタンプ、実行中に求められる食前及び食後グルコース値を保存することにより、マイクロプロセッサ(230)が機能するのを助ける。固定ドライブ(250)を使用してこれらのデータを、例えばデータベース構造に保持し、オペレーティングシステム及び他のプログラムのような恒久的な性質の命令を保持する。ディスプレイアダプター(260)は、システムバスと、通常モニター又はディスプレイである表示装置(270)との間のインターフェースとして使用される。すなわち、ディスプレイとのインターフェース接続は前記プロセッサによって行なわれ、この場合、プロセッサはディスプレイに、種々のデータをグラフィック、数字テキスト、及びこれらのいずれかの組み合わせで表示させることができる。このディスプレイを使用して、日記データ、食事に関して決定されるタイムスタンプ、測定される食前及び食後グルコース値、及び他の注目データを表示することができる。ネットワークインターフェース(280)を使用してコンピュータをネットワーク上の他のコンピュータに有線手段又は無線手段を介して接続する。ネットワーク上のこれらのデバイスも薬剤投与装置とすることができる。先行技術文献において説明されるこれらの薬剤投与装置は、薬の用量、食事に関して決定されるタイムスタンプ、血糖値などの患者関連データを保存する機能を備える。これらの装置は、種々の通信媒体を使用してコンピューティングデバイスと通信する。通信手段は、TCP/IP、SSLなどの種々の通信プロトコルを使用するケーブル、RS232、Bluetooth、赤外線などの有線手段又は無線手段とすることができる。コンピュータシステムはサウンドカード(290)を含むこともできる。システムは、キーボード(292)及びマウス(294)のような種々の入力機器、及びプリンタ(296)のような出力機器に接続される。これらのサブシステムの種々の構成を用いることができる。ここでまた、本発明を実施するシステムが使用できるサブシステムの数が、上記より少なくても多くてもよいことに留意されたい。
【0031】
薬剤投与装置とコンピューティングシステム−これらの両方に対して本発明を実施することができる−との間のこの構成は、これらの2つの間の1対1のリンクに基づいた単純なものにすることができる。しかしながら同時に、この構成は、効率的な患者−医師−親類−ピアネットワークを構築するための必要性に応じて拡張及びカスタマイズすることができる。例えば、コンピューティングシステムは、定期的にローカルエリアネットワーク又はインターネットにログオンして、リモートデータベースサーバ上のユーザ測定値を転送することができ、これにより患者の医師、親類などの異なるコンピューティングシステムからのレポートを生成することができる。これらのコンピューティングデバイスは、汎用デスクトップ、又はラップトップ、携帯電話機、PDAなどの他の異なる機器とすることができる。本方法は、コンピュータシステムが実行するソフトウェアの命令などによって、前述のコンピューティングデバイスに取り込まれる。ここでも、ソフトウェアは、本方法のステップを実行する一つ以上のモジュールとして用いることができる。
詳細には、本ソフトウェアは、記憶装置を含むコンピュータで読み取り可能な媒体に保存することができるか、或いは、インターネット又は別のネットワークロケーション又はサイトとのインターフェース及び通信チャネルを介して離れた位置からダウンロードすることができる。コンピュータシステムは、コンピュータで読み取り可能な媒体を含み、当該媒体にソフトウェアコード又はプログラムコードが記録されていることにより、ソフトウェア又はプログラムコードの命令を実行することができる。好適には、コンピュータシステムの使用により有用な装置に作用して、コンピュータプログラムの実行時間記号のテーブルを本発明の実施形態に従って構成する。
【0032】
コンピュータシステムは例示のために設けられているのであって、本発明の技術範囲及び技術思想から逸脱することなく他の構成を用いることができる。上述は、本発明の実施形態を実施することができるコンピュータ又はコンピュータシステムの種類の単なる例示に過ぎない。通常、これら実施形態のプロセスは、コンピュータで読み取り可能な媒体としてハードディスクドライブに記録されるソフトウェア又はコンピュータで読み取り可能なプログラムコードの形で常駐し、制御モジュールを使用して読み出され、制御される。プログラムコード及び取り込まれる全てのデータは、可能であれば記憶装置と協働させてメモリを使用することにより中間保存することができる。
一部の例では、プログラムは、CD−ROM又はフロッピーディスク(両方ともに記憶装置と称する)に符号化してユーザに供給することができるか、或いはコンピュータに接続されるモデム機器を介してネットワークから読み込み可能である。更に、コンピュータシステムは、他のコンピュータで読み取り可能な媒体からソフトウェアを読み込むことができる。他のコンピュータで読み取り可能な媒体には、磁気テープ、ROM又は集積回路、光磁気ディスク、コンピュータと別のデバイスとの間の無線又は赤外線伝送チャネル、PCMCIAカードのようなコンピュータで読み取り可能なカード、及びeメール送信を含むインターネット及びイントラネット、インターネットサイトに記録される情報などが含まれる。上述は、関連するコンピュータで読み取り可能な媒体の単なる例示である。本発明の技術範囲及び技術思想から逸脱せずに、コンピュータで読み取り可能な他の媒体を用いることができる。
実行ステップは一つのコンピュータシステムに集中化して実行することができるか、又は異なる要素を複数の相互接続されたコンピュータシステムに分散させて実行することができる。本明細書におけるコンピュータプログラム手段又はコンピュータプログラムは、情報処理機能を備えるシステムに、直接に、又はa)別の言語、コード、又は表記への変換、及び/又はb)異なる形式での再生の後に、特定の機能を実行させる一組の命令の、いずれかの言語、コード又は表記によるあらゆる表現を意味する。
【0033】
図3は一つのイベント、例えば1回の食事の影響を表すガウス関数型分布を示す。プランディールデイアルゴリズムの第1ステップでは、3回の主食事、及びこれらの食事に対応し、アルゴリズムが3つの時間窓として指定する朝、昼、及び晩に行なわれるインスリン投与の形態に観察される習慣を見つけ出す。次のステップでは、投与時間がこれらの窓に含まれている事例の全てを集め、これらの事例に関して、インスリンの大量瞬時投与前1時間以内、且つ投与時間後3時間以内に行なわれた血糖測定の全て、すなわち前記食事の各々の前及び後それぞれのグルコース測定を選択する。
実際には4つのプロットが1つになっている。投与時間、すなわちインスリンの大量瞬時投与の時間を時間ゼロとする4つの時間軸を設け、これらの時間軸を使用して食事時間を推定する。ユーザは通常、インスリン投与前と食後の2時間後に血糖を測定することになっているので、時間軸は食事を中心にして−1〜+3時間に亘る。注目する期間の血糖値を、食事時間/インスリンの大量瞬時投与時間を基準にしてプロットする。このようなプロットについては図9を参照されたい。
通常の食事時間は次のようにして判明する:通常の食事時間、すなわち8:00、13:00、及び18:30は次に説明する3つの選択肢を使用して推定される。各食事に関する4時間の時間窓の範囲内で、実際の代表的な食事時間の検索を行なう。検索は、ガウス関数で平滑化の処理を行なった後、極大値を求めることにより行なう。この方法では、各イベントを、当該イベントを中心としてガウス「関数型」分布に、アルゴリズムのパラメータである幅標準偏差により関連付ける。24時以降の時間を確実に零時以降の時間に表示し直すように注意しなければならない(0時より小さい時間についても同様)。これを図に示す。図は、23時におけるイベントの影響を標準偏差=1時間で示している。
【0034】
図4は、更に多くのイベント、すなわち更に多くの回数の食事の影響を表すガウス関数型分布を示している。全てのイベントの影響を蓄積することにより、曲線が得られる。4つの極大値が観察される。最初の3つは、予測される食事時間の時間窓の範囲内に位置する。これらの3つの極大値の時間ポイントは、対応する3回の食事の最も代表的な時間と考えられる。
ここでガウスの公式を示す:
ys=exp(−(ts−t)^2/(2*標準偏差^2))/sqrt(2*pi)/標準偏差
ys:合算された寄与率をガウス関数で表わしたもの。
標準偏差:幅を制御するパラメータ−1時間に設定することができる。
【0035】
各食事の極大値は、プロットに習慣的食事の時間ポイントとして示される。これについては図9を参照されたい。この時間は、プランディールデイプロットの該当部分に対応する食事時のインスリンの大量瞬時投与が行われる最も普通の時間と考えられる。インスリンの大量瞬時投与の時間ポイントからなる所定の時間窓の範囲内の中央値を計算して習慣的食事の時間ポイントを求めることもできる。ガウス分布していないデータに関しては、中央値は標準であるものを示唆し、一つの異常に高い又は低い値は、平均値が標準から離れるように作用する。別の方法では、所定の時間窓の範囲内で計算により求められる平均値を使用して、習慣的食事の時間ポイントを求めることができる。プロットの就寝時部分は、インスリンの大量瞬時投与時間の観点から定義されるのではなく、大量の血糖として定義され、更に通常就寝時の基礎インスリン投与が行なわれる。ガウス関数で平滑化の処理を行なった後の極大値の時間は、「就寝時」の下に、この場合は22:50が表示される。別の方法として、基礎インスリン投与の就寝時インスリン時間ポイントを「就寝時」の表示手段として使用することができる。
ガウス関数で平滑化の処理を行なった後の極大値によって、最も代表的な時間−最大値に対応する時間を選択することができる。
【0036】
プランディールデイは血糖測定データを表示するための一つの方法である。モダルデイとは異なり、プランディールデイでは、1日の絶対的な時間ではなく、習慣的食事時間を基準として測定値を表示する。
プランディールプロットルーチンの擬似コード:
・朝食、昼食、夕食、及び就寝の習慣の時間ポイントを検出するか、又は1日のこれらの時間ポイントを、初期設定値又はデフォルト値、例えば8:00、12:00、及び18:00に基づいて取得する。
・各日について:
0.食事毎に:
1.習慣的な時間を中心として±2時間の時間窓の範囲内に、インスリンの大量瞬時投与を見付け出す。複数回の投与が行われた場合、最大投与量の時間を選択する。等しい最大投与量の投与が2回行われた場合、習慣的な時間に近い方の投与を選択する。
2.その日に行われた血糖測定のうち、インスリンの大量瞬時投与の1時間前から、投与時間ポイントを含め投与時間ポイントまでに行なわれた血糖測定を見付け出す。これらの測定は、対応する食事の前(すなわち、昼食前)に行なわれたものである。
3.その日に行われた血糖測定のうち、インスリンの大量瞬時投与の時間ポイント(当該投与時間ポイントを含まない)から、インスリンの大量瞬時投与の3時間後までの血糖測定を見付け出す。これらの測定は、対応する食事の後(すなわち、昼食前)に行なわれたものである。
4.(1回の血糖測定が食事と食事の間に行なわれる場合、当該血糖測定は後の方の食事に関連付けて1回だけ使用する。)
5.その日の当該食事に関連する血糖測定と、その日のインスリンの大量瞬時投与との間の時間差を計算する。
○就寝時に関して:絶対時間を使用してプランディールデイプロットに血糖測定値をプロットする。
・7つの平均値又は中央値を計算する。
・7つの平均値又は中央値をプロットする。(図9参照)
インスリン投与、すなわち朝食時のインスリンの大量瞬時投与、昼食時のインスリンの大量瞬時投与、及び夕食時のインスリンの大量瞬時投与それぞれのインスリン投与時間ポイントに基づいて3回の食事(朝食、昼食、及び夕食)を求める。通常、これらの3回の機会には、インスリンの大量瞬時投与が行われるが、この場合、就寝時前の基礎インスリン投与が行なわれる。
【0037】
食前グルコース値の平均値を推定する方法は、以下の擬似コードステップに従って実行することができる:
過去1日又は複数日の習慣的食事について食前グルコース値を推定するステップ、
前記食前グルコース値の個数nをカウントするステップ、
食前グルコース値の和を、食前グルコース値の個数nで除することにより食前グルコース値の平均値を計算するステップ。
食前グルコース値の中央値を推定する方法は、次のステップに従って実行することができる:
前記食前グルコース値を昇順又は降順に並べるステップ、
前記食前グルコース値の個数nが奇数である場合、(n/2+1/2)番目の食前グルコース値を食前グルコース値の中央値とするステップ、及び
前記食前グルコース値の個数nが偶数である場合、食前グルコース値の中央値を、食前グルコース値の(n/2)番目と(n/2+1)番目の値の平均値とするステップ。
【0038】
同様に、食後グルコース値の平均値及び中央値の推定手順を次のステップにより実行することができる:
過去1日又は複数日の習慣的食事について食後グルコース値を推定するステップ、
前記食後グルコース値の個数mをカウントするステップ、
前記食前グルコース値の和を、食後グルコース値の個数mで除することにより、前記食後グルコース値の平均値を計算するステップ、
前記食後グルコース値を昇順又は降順に並べるステップ、
前記食後グルコース値の個数mが奇数である場合、(m/2+1/2)番目の食後グルコース値を食後グルコース値の中央値とするステップ、
前記食後グルコース値の個数mが偶数である場合、食後グルコース値の中央値を、食後グルコース値の(m/2)番目と(m/2+1)番目の値の平均値とするステップ。
例えば、グルコース値が8mM、7mM、15mM、18mM、及び19mMである場合、すなわち奇数個(5)の値である場合、前記グルコース値の中央値は、中心値又は中間値の15mMである。前記グルコース値の平均値は(8mM+7mM+15mM+18mM+19mM)/5となる。
例えば、食後グルコース値が8mM、7mM、15mM、18mM、19mM、及び20mMである場合、すなわち偶数個(6)の値である場合、前記食後グルコース値の中央値は(15mM+18mM)/2となる。前記食後グルコース値の平均値は(8mM+7mM+15mM+18mM+19mM+20mM)/6となる。
【0039】
大きなデータ集合(1人の)に基づいて、習慣的食事の時間が7:30、12:30、及び18:45と計算されている。習慣的就寝時間は23:00である。毎日のインスリン大量瞬時投与の時間ポイントに応じて、習慣的食事のこれらの時間ポイントが少しだけ変化するが、次の4つの図に示す実施例では、習慣的食事の時間ポイントは固定されている。
図5は、月曜日の糖尿病患者の行動を示している。
月曜日には、朝食時のインスリンの大量瞬時投与は7:00に行なわれ(棒グラフで示す)、昼食時のインスリンの大量瞬時投与は12:30に行なわれ、夕食時のインスリンの大量瞬時投与は19:00に行なわれる。血糖測定は6:00(10mM)、7:15(9mM)、8:00(6mM)、12:00(5mM)、14:00(9mM)、18:45(8mM)、20:00(6mM)、及び23:00(6mM)に行なわれる。
血糖測定は次のように整理される:
図6は、月曜日の糖尿病患者の行動を、食前及び食後の血糖値によって示している。
6:00(10mM)−朝食前
7:15(9mM)、8:00(6mM)−朝食後
12:00(5mM)−昼食前
14:00(9mM)−昼食後
18:45(8mM)−夕食前
20:00(6mM)−夕食後
23:00(6mM)−就寝時
【0040】
翌日は次のようである。
図7は、火曜日の糖尿病患者の行動を、食前及び食後の血糖値によって示し、これに月曜日の行動を含めて考えている。朝食時のインスリンの大量瞬時投与は8:30に行なわれるので、7:00の血糖測定はその日の朝食時間窓の範囲外で行なわれる。昼食時を中心にして、2回のインスリンの大量瞬時投与が行なわれる;これらの大量瞬時投与は、11:00に3単位、13:00に4単位行なわれる。13:00の4単位の投与が最大投与量であり、他方の単位(少ない方)の投与は無視される。12:00の血糖測定は昼食前としてカウントされる。夕食時間の近くにはインスリンの大量瞬時投与が行なわれないので、18:00及び21:00の血糖測定は分類されない。
平均値は次のようにして計算される:
朝食前:10mM/1=10mM
朝食後:(9mM+6mM+3mM)/3=6mM
昼食前:(5mM+3mM)/2=4mM
昼食後:(9+8)mM/2=8.5mM
夕食前:8mM/1=8mM
夕食後:6mM/1=6mM
就寝前:(6mM+8mM)/2=7mM
同様に、中央値を計算することができる。
【0041】
次の図は、月曜日及び火曜日のデータに基づいたプランディールデイプロットを示す:
図8は、食事を基準とする時間に対応させてグルコース値を示す。7つの平均値を水平な黒線で示す。別の方法として又は追加する形で、対応する7つの中央値を水平な黒線で示す。丸印は血糖測定値であり、ここでこれらの測定値は、インスリンの大量瞬時投与の時間ポイント対して示されており、習慣的食事の時間ポイントにほぼ対応していることが多い。例えば、月曜日6:00の10mMの血糖測定値が、朝食プロットの−1時間の時点に描かれている。月曜日の7:15(9mM)の測定値は、朝食時のインスリンの大量瞬時投与後の0.25時間経過時点に描かれる。しかしながら、この投与は習慣的朝食時、すなわち生活習慣朝食の0.25時間前に行なわれている。
これまでの図から、習慣的食事の食前グルコース値が、1日以上の過去のデータ、及び当日のデータ(すなわち、食前グルコース値)から構成されることが明らかである。
【0042】
過去1日以上の前記データは、1)食前グルコース測定の時間ポイントからなる第1組のデータとして表すことができ、各時間ポイントはインスリンの大量瞬時投与の時間ポイントを基準とし、各データは前記過去1日以上の食前グルコース測定値を有する。
これに対し、当日のデータは、2)当日の患者によるインスリンの大量瞬時投与の一又は複数の時間ポイントからなる第2組のデータから求められる。
【0043】
上述のように、a)習慣的食事の推定時間ポイントが判明していることが必須条件である。
当日の食前グルコース値を求める方法は、次のステップb)〜e)に従って実行することができる:
b)前記第2組のデータを検索して、a)当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする期間に行われたインスリンの大量瞬時投与の一又は複数の時間ポイントを求めるステップ、
c)当日に行われたインスリンの大量瞬時投与の一つの時間ポイントをb)から選択するステップであって、インスリンの大量瞬時投与が複数回行われた場合は最大投与量の投与が行なわれた時間を、等しい最大投与量で2回のインスリン大量瞬時投与が行われた場合は習慣的食事の前記時間に最も近い投与時間ポイントを、又はインスリンの大量瞬時投与が1回だけ行なわれた場合はその時間ポイントを選択するステップ、
d)当日に一組のグルコース測定を行なうステップであって、対応する一又は複数の時間ポイントにおいて1回以上のグルコース測定を行うステップ。
e)当日の習慣的食事の食前血糖値がある場合、習慣的食事の一又は複数の食前血糖値を、それぞれc)よりも前の一定期間内に行われたd)のインスリンの大量瞬時投与の時間を基準とする時間、すなわち当日におけるインスリンの大量瞬時投与の前記選択された時間ポイントと共に求め、よって当日の食前グルコース値を求めるステップ。
【0044】
e)が求まると、前記第1組のデータを更新して過去及び当日に関するデータを次のステップに従って維持することができる。
f)e)において求めた値を前記第1組のデータに加えることにより、前記第1組のデータは、前記過去1日以上並びに当日の食前グルコース測定値を含む。
【0045】
図5〜8には、データ、すなわち図5及び6の食前グルコース測定値が前記第1組のデータとして示されており、すなわち前記過去1日以上、この実施例では月曜日以降の食前グルコース測定値が示されている。従って、値を求めるステップe)は、火曜日を当日とした食前グルコース測定に関連している。
前記第1組のデータは、過去1日以上−この例では月曜日以降−の食前グルコース測定値、並びに当日、すなわち火曜日の食前グルコース測定値を含むので、平均値又は中央値を計算することができ、次にこのデータを表示することができる。この方法は全ての食事に適用することができる、すなわち3つの平均値又は中央値が得られ、各平均値又は中央値は、対応する3回の習慣的食事の前のグルコース測定値に関連付けられる。
【0046】
好適な実施形態では、当日のインスリン大量瞬時投与の前記選択時間ポイントの前の前記期間は、前記選択時間ポイントの約1時間前から前記選択時間ポイントまでの期間である。
別の好適な実施形態では、当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする前記期間は、前記習慣的食事の前記推定時間の2時間前から2時間後までの期間である。
従って、これまでの図から、習慣的食事の食後グルコース値は、過去1日以上のデータ、及び当日のデータ(すなわち、食後グルコース値)からなることも明らかである。
【0047】
過去1日以上の前記データは、1)食後グルコース測定の複数の時間ポイントからなる第1組のデータと表すことができ、各時間ポイントはインスリンの大量瞬時投与時間ポイントを基準とし、各データは前記過去1日以上の一つの食後グルコース測定値を有する。
それに対して、当日のデータは、2)当日行われた患者へのインスリン大量瞬時投与の一以上の時間ポイントからなる第2組のデータに基づいて識別される。
【0048】
上述のように、a)習慣的食事の推定時間ポイントが判明していることが必須条件である。
当日の食後グルコース値を求める方法は、次のステップb)〜e)に従って実行することができる:
b)前記第2組のデータを検索して、a)当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする期間に行われたインスリンの大量瞬時投与の一又は複数の時間ポイントを求めるステップ、
c)当日に行われたインスリンの大量瞬時投与の一つの時間ポイントをb)から選択するステップであって、前述のように、インスリンの大量瞬時投与が複数回行われた場合は最大投与量の投与が行なわれた時間を、等しい最大投与量で2回のインスリン大量瞬時投与が行われた場合は習慣的食事の前記時間に最も近い投与時間ポイントを、又はインスリンの大量瞬時投与が1回だけ行なわれた場合はその時間ポイントを選択するステップ、
d)当日に一組のグルコース測定を行なうステップであって、対応する一又は複数の時間ポイントにおいて1回以上のグルコース測定を行うステップ。
e)当日の習慣的食事の食後血糖値がある場合、習慣的食事の一又は複数の食後血糖値を、それぞれc)よりも後の一定期間内に行われたd)のインスリンの大量瞬時投与の時間を基準とする時間、すなわち当日におけるインスリンの大量瞬時投与の前記選択された時間ポイントと共に求め、よって当日の食後グルコース値を求めるステップ。
【0049】
e)が求まると、前記第1組のデータを更新して過去及び当日に関するデータを次のステップに従って維持することができる。
f)e)において求めた値を前記第1組のデータに加えることにより、前記第1組のデータは、前記過去1日以上並びに当日の食後グルコース測定値を含む。
【0050】
図5〜8には、データ、すなわち図5及び6の食後グルコース測定値が前記第1組のデータとして示されており、すなわち前記過去1日以上、この実施例では月曜日以降の食前グルコース測定値が示されている。従って、値を求めるステップe)は、火曜日を当日とした食後グルコース測定に関連している。
前記第1組のデータは、過去1日以上(例えば月曜日以降)の食後グルコース測定値、並びに当日(火曜日)の食前グルコース測定値を含むので、平均値又は中央値を計算することができ、次にこのデータを表示することができる。この方法は全ての食事に適用することができる、すなわち3つの平均値又は中央値が得られ、各平均値又は中央値は、対応する3回の習慣的食事の後のグルコース測定値に関連付けられる。
【0051】
好適な実施形態では、当日のインスリン大量瞬時投与の前記選択時間ポイントの後の前記期間は、前記選択された時間ポイントからその約3時間後までの期間である。
別の好適な実施形態では、当日の前記習慣的食事の推定時間ポイントを中心とする前記期間は、前記習慣的食事の前記推定時間の2時間前から2時間後までの期間である。
【0052】
「正規分布」又は正規分布曲線という用語は、観測値が一定の範囲に均等に分散するのではなく、特定の値を中心として積み重なる傾向を示す特定の方法を指す。この方法は連続データに最も一般的に適用され、元来パラメータ統計(例えば、ANOVA、tテスト、回帰分析)に関連する。グラフを使って、正規分布は「ベル型」曲線として最も良く表現される。この曲線は、高さが最大となる点(「平均」)、及びその広がり(「標準偏差」)といった観点から描かれる。
予測される正規分布に対して観測頻度(例えば棒グラフ)をプロットすると、これら2つが大雑把に相関しているかどうかが分かる。
【0053】
分布の正規性を評価する最も簡単な方法は、頻度分布棒グラフを観察することである。観察すべき最も重要な点は、曲線の対称性及びピークである。加えて、曲線が2つ以上のピークを示している場合、これは二峰性分布を示し、よって正規分布と見なすことができないので注意する必要がある。
視覚判定は、分布を示すためだけに使用して、その後は更に良好な方法を使用する必要がある。エクセルのウィザート機能に含まれるスキュー及びカートシス(それぞれSKEW及びKURT)の値は、正規分布の別の良好な表示手段であるが、データの正規性との一致度に関しては過度に楽観的である場合がある。高性能コンピュータ及び統計プログラムが出現する前は、ユーザは冗長な計算を避けるように努めなくともよかった。現在はそれらの両方を利用することができ、且つ使用が非常に容易であることから、正規性(及び分散の均一性)のテストを統計の最良の実行手段として行なうことができる。SPSS及びMinitabは、Kolmogorov−Smirnovテストを含む。このテストは正規且つ均一なデータセットの適合度テストとして優秀とされている。別の方法として、エクセル及びUNISTATは、データが正規分布しているかを判断する機能を提供する。
上記テストでは、同じ仮説Hを使用する。
HO:データセットの分布と正規分布との間に差が無い。
HA:データセットの分布と正規分布との間に差がある。
0.05未満のときにHOが否定される場合、SPSS又はMinitabによってP値が供給される。
【0054】
図9はプランディールデイビューを示している。プランディールデイは、モダルデイ表示の一変形例である。モダルデイでは、数日間の血糖値を1日の時間に対して示す。モダルデイは、血糖値が食事とどのように関連するのかが分からないという不具合を有する。本発明によるプランディールデイでは、血糖値が、当該時間の近くの主食事を基準とする時間で示される。
本発明によって、プランディール形式で患者データを表示すること、すなわち7ポイントアルゴリズムによって平均血糖値又は中央血糖値を推定することが容易になる。糖尿病の場合、7ポイントアルゴリズムを使用して血糖値を制御することができる。グルコース値(平均値又は中央値)の7ポイントとは、各主食事、すなわち朝食、昼食、及び夕食の前と後、及び就寝時である。血糖値について計算されたこれらの平均値又は中央値は、表中水平な太線で示され、医師が指定するこれらの7ポイントの血糖測定における目標値と比較することができる。図は、通常日課の特定のイベントの近くで、すなわち朝食時、昼食時、夕食時、及び就寝前に注入されるインスリン単位それぞれの値を示している。これに対応して、且つ前記注入インスリン単位に関連して、血糖測定器が示す値がプロットされ、プランディールデイビューに表示されている。プランディールデイによって、標準化された時間における食前及び食後血糖値を詳細に知ることができる。例えば、食後血糖、すなわち全ての食事の2時間後の血糖値が、糖尿病治療の制御を行なうための重要な指標となる。
【0055】
図は、データセットのプランディールプロットを示している。水平の黒線はグルコースの食前及び食後の平均値又は中央値を示している。第1軸の下に記された時間は、1日の、朝食時、昼食時、夕食時、及び就寝時インスリンの注射時間であるので、朝食時、昼食時、及び夕食時インスリン投与が、朝食、昼食、及び夕食のそれぞれの時間ポイントに対応している。
患者、医師、又はいずれかの関係者は、上のグラフを読み取って患者の習慣及びそれが患者の血糖値に及ぼす影響を判断することができる。その後、そのような分析を使用して、患者の間違った習慣及び/又は望ましくない習慣を全て矯正することができる。
一定の期間に渡って行なわれる分析では、習慣について更に深く考察することができるような他の図を作成することができる。そのような2つの図を以下に説明する。
【0056】
a)移動窓:
図10は、移動窓による患者データの表示を示す。この場合、データを見るための時間窓を選択することができる。好適な実施形態のデフォルトは1ヶ月である。ユーザは時間窓をドラッグし、プランディールデイプロットの時間範囲のデータを見ることができる(白地の黒ドットが血糖に対応し、他のドットがインスリンに対応する)。ユーザは黒三角の位置で「playを押す」こともでき、時間窓が段階的に1日ずつ進む。選択された時間窓のデータは瞬時にプランディールデイプロットに表示される。
本発明は、糖尿病患者に対して情報を表示する方法、及び前記方法を実行及び適用できる医療装置に関する。
【0057】
本発明は、いわゆるプランディールデイに関する。この考え方は、ユーザに、時間と共に変化するBG(血糖)及び/又はインスリンのパターンを識別するためのツールを提供する。例えば、ユーザは、金曜日の夜のBGが高い傾向にあるが、これは夏季のみであることを自認することができる。
本発明は、インスリン投与量及び血糖(BG)測定値、並びにそれらの時間を記録する医療装置に関する。本装置は、ドーサ、BG測定器、PC、PDA、又は携帯電話機とすることができる。
【0058】
プランディールデイはモダルデイの変形である。モダルデイでは、数日間のBG値を1日の時間に対して表示する。モダルデイは、日によって様々に異なる時間に行われる食事と、BG値がどのように関連しているかが分からないという不具合を有する。
プランディールデイを図11に示す。この場合、BG値は、近くの主食事を基準とする時間で示される。投与時間は食事時間の代わりの指標として使用される。プランディールデイによって、標準化された時間における食前及び食後BGを詳細に知ることができる。例えば、食後2時間の食後BGは、治療を制御するために重要である。本発明によって、各主食事の前及び後、並びに就寝時における平均BGを、いわゆる7ポイントアルゴリズムに従って容易に推定することができ、これらの7つの値は図の水平な太線により表示される。医師はこれらの7つの値それぞれの目標値を指定することができ、プランディールデイはこの値の好適な制御方法である。
本発明は、ドーサ、注射器、吸入器、ポンプなどの医療装置に適用することができ、これらの装置の全ては何らかの処方で糖尿病患者にインスリンを供給する機能を備える。
【0059】
図11はプランディールデイビューを示す。この図は、通常日課の特定のイベントの近くで、すなわち朝食時、昼食時、夕食時に、及び就寝前にそれぞれ注入されるインスリン単位の値を示している。これに対応し、且つ前記注入インスリン単位に関連して、血糖測定器が示す値がプロットされ、プランディールデイビューに表示される。
前記値のそれぞれは、プランディールプロットルーチン用の次の擬似コードに従って入力することができる:
・朝食習慣、昼食習慣、夕食習慣、及び就寝習慣を発見するか、又は手動で1日のうちのこれらの習慣の時間を入力する。
・各日について
〇習慣的な時間を中心に±2時間の時間窓の範囲内の速効型注入を検索する。複数回の速効型注入が行なわれている場合、習慣的な時間に最も近い速効型注入を使用する。
〇−1時間〜+3時間の時間窓の範囲内の関連BG測定を見付け出す。
〇1回のBG測定が食事と食事の間に行なわれる場合、当該BG測定は後の方の食事に関連付けて1回だけ使用する。
〇朝食、昼食、及び夕食に関して:BG測定と速効型注入との間の時間差を計算する。相対時間を使用してBG測定値を3つのプランディールプロットにプロットする。
〇就寝時に関して:絶対時間を使用してプランディールプロットにBG測定値をプロットする。
・7つの平均値を計算し、7つの平均値をプロットする。
この図は、FSデータセットのプランディールプロットを示している。黒の水平線は、食前及び食後の平均を示している。第1軸の下の時間は、検出された、1日の内の朝食時、昼食時、夕食時、及び就寝時のインスリンの注射時間である。
【0060】
図12は移動窓による表示を示す。この場合、データを見るための時間窓を選択することができる。デフォルトは1ヶ月である。ユーザは時間窓(ピンク)をドラッグし、プランディールデイプロットの時間範囲のデータを見ることができる(白地の黒ドットがBGに対応し、他のドットがインスリンに対応する)。ユーザは黒三角の位置で「playを押す」こともでき、時間窓が段階的に1日ずつ進む。選択された時間窓のデータは瞬時にプランディールデイプロットに表示される。
図13はウィークビューによる表示を示す。ウィークビューは基本的なプランディールプロットの変形である。ウィークビューは、1日の全ての食事ではなく、1週間の朝食、昼食、及び夕食を表示する。ここでも同じように、移動窓のアニメーションを実行することができる。この場合も、目的は、ユーザにパターンを識別するためのツールを提供することにある。ウィークビューは、例えば(図には示さない)、ユーザには日曜日の朝食の前及び後に低い値を示す傾向があるが、他の曜日の朝食についてはそのような傾向はないことを示すことができる。(更に、全体として、朝食ではなく、ユーザの土曜日の過ごし方に問題があることを示唆することができる)。
【0061】
図14及び15は注入インスリン量及びBG測定値のプロットを示し、図15の太い直線は注入インスリン量及びBG測定値の平均値を示している。
本発明の好適な実施形態では、糖尿病患者に対して情報を表示する方法が用いられ、本方法は、
注入インスリンの関連値及び血糖測定値を記録するステップ、及び
前記注入インスリン関連値及び血糖測定値をグラフィカル形式で表示するステップ
を含む。
本発明の好適な実施形態では医療装置が用いられ、前記装置は、
注入インスリンの関連値及び血糖測定値を記録する手段、及び
前記注入インスリン関連値及び血糖測定値をグラフィカル形式で表示する手段
を備える。
【0062】
図16はプランディールプロットを示す。
図17はスクロールバー付きのプランディールプロットを示す。糖尿病患者は、パターンサーチのスクロールバーを使用することにより、プランディールビューデータをスクロールダウンすることができる。糖尿病患者が高い又は低い食前血糖値を示す場合に何が起こるかを知ることができるという利点がある。例えば、患者が高い食前血糖値を示す場合、この考え方によって即座に、食後グルコース値が全体的に高い(恐らくインスリンがほとんど消費されていないことを示す)か、又は高低にばらつくか、或いは全体的に低いかどうかを提示することができる。この考え方では原則的に、糖尿病患者はスクロールバーを使用して、プランディールビューグラフにどの食前血糖値を表示するかを(又は、クリックにより、単一のグラフに該当するタイムスロット、例えば朝食のビューを)選択する。例えば、ユーザが9.5mmol/l(正常範囲は例えば5〜8mmol/l)を選択すると、9.5mmol/l以上の範囲の食前値のみが、リンク先の食後値と共に表示される(これらの値と食後値の値に関係なく表示され、リンク先は、選択される食前値に関連する食後値、例えば選択されたプレプランディールビューから2時間後の値を指す)。一般論として、7組の血糖測定値、すなわち朝食の前及び後、昼食の前及び後、夕食の前及び後、並びに就寝時の各々に一つのスクロールバーが設けられる。ユーザがスクロールバーで一つのポイント(例えば昼食前)を選択すると必ず、昼食前のデータのみが、前述のように表示される。他の6つのプロットに関しては、同じ日に測定されるデータのみが(昼食前プロットに現時点で表示されているデータと同じように)表示される。ユーザが、昼食前プロットに非常に多くの高い値が測定されているが、これらの日に何が起こっているのか、という質問を行なうと、スクロールバーにより選択される新規のプロットが結果を正確に表示する。
【0063】
別の構成では、スクロールバーを一つだけ設け、スクロールバーを適用するプロットの部分をクリックする。また別の構成では、スクロールバーを一つだけ設け、プロットが任意の食事の前の高いグルコース測定値、及びそれに対応する食後の測定値を示すようにする。この構成の方が簡単であるが、ユーザは重要度が低い可能性のある食後の値の組を排除する選択を行なうことができない。
スクロールバーの考え方は、インスリン注入に適用することもできる。インスリンスクロールバーを上下にスライドさせると、プランディールプロットは該当する日に行なわれた測定値のみを示す。例えば、昼食インスリンスクロールバーを基礎インスリンの7単位の位置に合わせると、プランディールプロットは、ユーザが昼食時に基礎インスリンを7単位以上摂取した日の血糖測定値のみを示す。
【0064】
図18は、強調表示された値を含むプランディールプロットを示し、ユーザがプランディールプロットの血糖測定値又はインスリン注入値をクリックすると、その日の値がモダルプロットの場合と同様に強調表示される。ユーザが、血糖測定値に高い値が見られるが、他の血糖測定値を考慮すると該当日に何があったのか、という質問を行う。図中の強調表示は、単純に当該日のこれらの測定値がどのように関連付けられるかを示す。
【0065】
上述の説明では、本発明の種々の実施形態の一部を示しただけであり、本発明の技術範囲及び技術思想から逸脱せずに変形及び/又は変更を加えることが可能であり、記載した実施形態は例示であって限定的なものではない。糖尿病を中心テーマとして使用して本発明について説明したが、本発明は決して糖尿病の分野に限定されるものではない。中心となる実施例の使用は、説明を明瞭にし、且つ統一性を持たせるためである。本発明は、一般的な健康モニタリング(この場合も同様に限定的な意味でない)を含む他の同様の適用例においても同じように効果的である。これまでに示した図及びその説明は例示であって、説明のみを目的とし、本発明を明瞭に説明するための例及び助けとして使用したもので、いかなる意味でも本発明を制限するものでなく、又は請求の範囲に特に記載される本発明の本質を縮小するものでない。
コンピュータで読み取り可能な媒体は、磁気テープ、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD又はCD−ROM)、ミニディスク、ハードディスク、フロッピーディスク、スマートカード、PCMCIAカード、ラムスティックなど、又はコンピュータシステムに指示/命令の実行方法に関する情報を提供する他のいずれかの種類の媒体とすることができる。
本明細書に引用する刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献については、各文献が個々に且つ特定の形で参照により本明細書に包含されるとして示され、且つその内容全体が本明細書に開示されたように、参照によりそれと同じ範囲が本発明の開示に含まれる。
【0066】
上述の要素の全ての可能な変形例における任意の組み合わせは全て、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、本発明に含まれる。
本発明を説明するために使用された名詞、及び同様の表現は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を含むものとする。
【0067】
本明細書における値の範囲の記載方法は、本明細書において特に記載しない限り、単に当該範囲に含まれる各個別の値を個々に指すための省略法として用いているものであり、各個別の値は、当該値が本明細書において個々に列挙されるのと同じように本明細書に取り込まれる。特に断らない限り、本明細書において与えられる全ての明確な値は対応する近似値を表わす(例えば、特定の係数又は測定値に関して示された例示のための明確な値は、必要に応じて「約」で修飾される対応する近似値も表示すると考えられる)。
本明細書に記載する全ての方法は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、適切な任意の順番で実行することができる。
【0068】
1又は複数の要素に関して、「からなる」、「有する」、又は「含む」などの表現を使用した本発明のいずれかの態様又は実施形態についての本明細書における記述は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、そのような1又は複数の特定の要素「から構成される」、「基本的に〜からなる」、又は当該特定の要素を「実質的に含む」本発明の同様の態様又は実施形態を意味する(例えば、本明細書において特定の要素を含むものとして記載される組成は、本明細書において特に記載しない限り、又は文脈上明らかに矛盾しない限り、当該要素からなる組成を表わすものとしても解釈される)。
本発明は、本明細書において提示される態様の中で列挙される特許発明の主題の全ての変形物及び均等物を、準拠法によって許される最大の範囲を限度として含む。
本明細書に引用する刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各文献が個々に且つ特定の形で参照により本明細書に包含されるとして示され、且つその内容全体が本明細書に開示されたように、参照によりその内容全体及び同じ範囲が(準拠法によって許される最大の範囲を限度として)本発明の開示に含まれる。
【0069】
本明細書に使用する全ての見出しは、便宜上使用したものであり、いかなる意味でも本発明を制限するものではない。
本明細書で使用されたあらゆる実施例、又は例示表現(例えば「〜などの」)は、単に、本発明を理解し易く説明するたに用いたのであり、特に断らない限り、本発明の技術範囲を制限するものではない。本明細書におけるいかなる表現も、特許請求されない要素を本発明の実施に必須のものとして示すものではない。
【0070】
本明細書における特許文献の引用及び包含は、単に便宜上行なわれるのであり、このような特許文献の有効性、特許性、及び/又は強制力の概念を反映するものではない。
本発明は、請求の範囲に記載される主題のあらゆる変形例及び均等物を、準拠法によって許される範囲を限度として含む。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】A及びBは日記データのモダルデイビューを示す。
【図2】本発明を実施できる汎用コンピューティングデバイスのブロック図である。
【図3】一つのイベントの影響を表すガウス関数型分布を示す。
【図4】複数のイベントの影響を表すガウス関数型分布を示す。
【図5】糖尿病患者の月曜日の行動を示す。
【図6】糖尿病患者の月曜日の行動を、食前及び食後のグルコース値で示す。
【図7】月曜日の行動を含め、糖尿病患者の火曜日の行動を食前及び食後のグルコース値で示す。
【図8】グルコース値を相対時間で示す。
【図9】日記データのプランディールデイビューを示す。
【図10】本発明による情報の「移動窓」による表示を示す。
【図11】日記データのプランディールデイビューを示す。
【図12】本発明による情報の「移動窓」による表示を示す。
【図13】ウィークビューによる表示を示す。
【図14】摂取インスリン及びBG測定値のプロットを示す。
【図15】摂取インスリン及びBG測定値のプロットを示す。
【図16】プランディールプロットを示す。
【図17】スクロールバー付のプランディールプロットを示す。
【図18】強調表示値を含むプランディールプロットを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフィック、テキスト、及び/又はこれらの組み合わせを表示するディスプレイ(270)、及び
前記ディスプレイにインターフェース接続されるプロセッサ(230)
を備えた装置(210)であって、プロセッサは、ディスプレイに図形式で表示を行なわせ、この図が、糖尿病患者の習慣的食事時間を基準とする時間を示す時間軸と、血糖値の単位を表示する第2の軸と、次の項目、即ち:
a)習慣的食事の時間ポイントの表示、
b)食前血糖値の平均値又は中央値、及び/又はd)一組の食前血糖測定値、及び
c)食後血糖値の平均値又は中央値、及び/又はe)一組の食後血糖測定値
を含む、装置。
【請求項2】
プロセッサが更に、ディスプレイに次の項目、すなわち
習慣的食事の際に大量瞬時投与されるインスリンの用量の平均値又は中央値
を表示させる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
プロセッサが更に、ディスプレイに次の項目、すなわち
習慣的食事の時間ポイント
を表示させる、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
プロセッサが更に、ディスプレイに次の項目、すなわち
食事の性質を示す情報
を表示させる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記項目が2つの異なる食事に関して表示される、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記項目が1日に関して表示される、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
糖尿病患者が、前記項目を表示させる1又は複数の食事を決定する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
プロセッサが更に、就寝時グルコース値の平均値又は中央値をディスプレイに表示させる、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が薬剤投与装置である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が血糖測定器である、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項1】
グラフィック、テキスト、及び/又はこれらの組み合わせを表示するディスプレイ(270)、及び
前記ディスプレイにインターフェース接続されるプロセッサ(230)
を備えた装置(210)であって、プロセッサは、ディスプレイに図形式で表示を行なわせ、この図が、糖尿病患者の習慣的食事時間を基準とする時間を示す時間軸と、血糖値の単位を表示する第2の軸と、次の項目、即ち:
a)習慣的食事の時間ポイントの表示、
b)食前血糖値の平均値又は中央値、及び/又はd)一組の食前血糖測定値、及び
c)食後血糖値の平均値又は中央値、及び/又はe)一組の食後血糖測定値
を含む、装置。
【請求項2】
プロセッサが更に、ディスプレイに次の項目、すなわち
習慣的食事の際に大量瞬時投与されるインスリンの用量の平均値又は中央値
を表示させる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
プロセッサが更に、ディスプレイに次の項目、すなわち
習慣的食事の時間ポイント
を表示させる、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
プロセッサが更に、ディスプレイに次の項目、すなわち
食事の性質を示す情報
を表示させる、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記項目が2つの異なる食事に関して表示される、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記項目が1日に関して表示される、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
糖尿病患者が、前記項目を表示させる1又は複数の食事を決定する、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
プロセッサが更に、就寝時グルコース値の平均値又は中央値をディスプレイに表示させる、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が薬剤投与装置である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が血糖測定器である、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2007−535974(P2007−535974A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504253(P2007−504253)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000145
【国際公開番号】WO2005/093629
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.フロッピー
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000145
【国際公開番号】WO2005/093629
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.フロッピー
【出願人】(596113096)ノボ・ノルデイスク・エー/エス (241)
【Fターム(参考)】
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