説明

糖尿病治療用又は予防用のジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤としての二環系ピリミジン

本発明はジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(“DPP−IV阻害剤”)であり、糖尿病、特に2型糖尿病など、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用な新規置換二環系ピリミジンに関する。本発明はまたこれら化合物を含有してなる医薬組成物、及びジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患などの予防又は治療におけるこれら化合物及び組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(“DPP−IV阻害剤”)であり、糖尿病、特に2型糖尿病など、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用な新規置換二環系ピリミジンに関する。本発明はまたこれら化合物を含有してなる医薬組成物、及びジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患などの予防又は治療におけるこれら化合物及び組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は複数の原因因子に由来し、経口ブドウ糖負荷試験に際しての絶食状態又はグルコース投与後における血漿グルコースの上昇又は高血糖を特徴とする疾患過程をいう。持続性の、又は制御できない高血糖症は、増大する早期の罹患率及び死亡率に関連している。度々異常となるグルコース恒常性は、脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化、及び他の代謝血行導体性疾患と直接、間接に関連している。従って、2型糖尿病の患者は、冠状動脈性心疾患、脳卒中、抹消血管疾患、高血圧、腎症、神経障害及び網膜症を含む、大血管及び微小血管の合併症を発症する危険性が極めて高くなる。従って、糖尿病の臨床管理及び治療においては、グルコースのホメオスタシス、脂質代謝及び高血圧を治療によって管理することが非常に重要である。
【0003】
糖尿病には一般に認知された2つの形態がある。1型糖尿病、すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者がグルコースの利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんど、又は全く産生しない。2型糖尿病、すなわちインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)では、非糖尿病の被験対象と比較した場合、患者の血漿インスリンレベルが同じであることが多く、また、上昇している場合さえある。しかし、これらの患者では、主要なインスリン感受性組織である筋肉、肝臓及び脂肪組織中でのグルコース及び脂質代謝へのインスリンの刺激効果に対する耐性が生じており、血漿インスリンレベルが上昇しているにもかかわらず、著しいインスリン抵抗性を克服するには十分ではない。
【0004】
インスリン抵抗性は、インスリン受容体数の減少が主たる原因ではなく、未だ理解されていないインスリン受容体結合後の欠陥が原因である。インスリン応答性に対するこのような抵抗性は、インスリンによる筋肉内でのグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵のインスリンによる活性化が不十分になり、脂肪組織における脂肪分解と肝臓におけるグルコース生産・分泌の不適切なインスリン抑制を生じる。
【0005】
2型糖尿病の利用可能な治療法は、長年実質的に変わっておらず、限界が認識されている。運動と食事のカロリー摂取削減が劇的に糖尿病の症状を改善する一方、この治療に患者が従う確かさは非常に乏しい;その理由は、堅固に確立し定着したライフスタイルと過剰な食物消費、取分け多量の飽和脂肪を含む食事のためである。より多くのインスリンを分泌するように膵臓のβ−細胞を刺激するスルホニルウレア(例えば、トルブタミド及びグリピジド)又はメグリチニドの投与による血漿インスリンレベルの上昇、又はスルホニルウレア又はメグリチニドが無効になった場合のインスリン注射によるインスリンレベルの上昇は、インスリン耐性の著しい組織を刺激するのに十分な高さのインスリン濃度とすることができる。しかし、危険なほど血漿グルコースレベルが低くなることがインスリン又はインスリン分泌促進薬(スルホニルウレア又はメグリチニド)の投与のために生じることがあり、さらに高い血漿インスリンレベルのためにインスリン耐性レベルの上昇を招くこととなる。ビグアニドはインスリン感受性を上昇させ、高血糖症を幾分矯正する。しかし、2種のビグアニド、フェンホルミンとメトホルミンは乳酸酸性症と吐き気/下痢を誘発し得る。メトホルミンはフェンホルミンよりも副作用が少なく、2型糖尿病の治療のためにしばしば処方される。
【0006】
グリタゾン類(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)はごく最近開示されたクラスの化合物であり、2型糖尿病の多くの症候を改善する効力を有する。これらの薬剤は2型糖尿病の数種の動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織でのインスリン感受性を実質的に増大させ、高血糖症を起こさずに上昇したグルコース血漿レベルを部分的に又は完全に改善する。現在市販されているグリタゾンはペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、主としてPPAR−ガンマサブタイプのアゴニストである。PPAR−ガンマ・アゴニストは一般にグリタゾンで観察される改善されたインスリン感作を招来すると信じられる。II型糖尿病の治療について試験中であるより新しいPPARアゴニストは、アルファ、ガンマ又はデルタサブタイプ、又はそれらの組み合わせのアゴニストであり、多くの場合、グリタゾンとは化学的に異なっている(すなわち、それらはチアゾリジンジオンではない)。重大な副作用(例えば、肝臓毒性)がグリタゾンの一部のもの、例えば、トログリタゾンで起こっている。
【0007】
該疾患のさらなる治療法はなお研究中である。最近導入された、又はなお開発中の新しい生化学的方法は、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボーズ)及びタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤による治療である。
【0008】
ジペプジルペプチダーゼーIV(「DPP−IV」)酵素の阻害剤である化合物は、糖尿病、取分け2型糖尿病の治療に有用であり得る薬物として研究中である。様々な構造のDPP−IV阻害剤の説明については、以下の文献に言及されている:国際特許公開:WO97/40832;WO98/19998;WO01/68603;WO02/38541;WO02/076450;WO03/000180;WO03/000181;WO03/024942;WO03/033524;WO03/035057;WO03/035067;WO03/037327;WO03/074500;WO03/082817;WO04/007468;WO04/018467;WO04/026822;WO04/032836;WO04/037181;WO04/041795;WO04/043940;WO04/046106;WO04/050022;WO04/058266;WO04/064778;WO04/069162;WO04/071454;米国特許USP5,939,560;6,011,155;6,107,317;6,110,949;6,166,063;6,124,305;6,303,661;6,432,969;6,617,340;及び6,699,871;Bioorg.Med.Chem.Lett.,6:1163−1166(1996);及びBioorg.Med.Chem.Lett.,6:2745−2748(1996)。2型糖尿病の治療におけるDPP−IV阻害剤の有用性は、DPP−IVがインビボでグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及び胃阻害性ペプチド(GIP)を容易に不活性化するという事実に基づいている。GLP−1及びCIPはインクレチンであり、食事消費の際に産生される。インクレチンはインスリンの産生を刺激する。DPP−IVの阻害はインレチンの不活性化低下につながり、それが次いで膵臓によるインスリンの産生を刺激する際にインクレチンの有効性を増大させる。従って、DPP−IV阻害は血清インスリンレベルの上昇につながる。有利なことは、インクレチンが食物消費の際にのみ身体により産生されるので、DPP−IVの阻害は不適切な時間、すなわち極度に低い血糖(低血糖症)に導き得る食事間でのインスリンレベルの上昇は予期されないことである。従って、DPP−IVを阻害することは、インスリン分泌促進剤の使用に伴う危険な副作用である低血糖症のリスクを増大させることなく、インスリンを上昇させると期待される。
【0009】
また、DPP−IV阻害剤は本明細書で考察するように、他の治療用途をも有する。DPP−IV阻害剤は糖尿病以外の用途についてこれまで広く研究されてこなかった。糖尿病及び潜在的な他の疾患と症状のために改善されたDPP−IV阻害剤を見出すためには、新規な化合物が必要である。2型糖尿病治療のためのDPP−IV阻害剤の治療効力については文献で考察されている:D.J.Drucker,Exp.Opin.Invest.Drugs,12:87−100(2003);K.Augustyns,et al.,Exp.Opin.Ther.Patents,13:499−510(2003);C.F.Deacon,et al.,Exp.Opin.Investig.Drugs,13:1091−1102(2004)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素の阻害剤(「DPP−IV阻害剤」)であり、糖尿病、特に2型糖尿病など、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患の治療又は予防に有用な新規置換二環系ピリミジンに関する。本発明はまたこれら化合物を含有してなる医薬組成物、及びジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素が関与する疾患などの予防又は治療におけるこれら化合物及び組成物の使用にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はジペプチジルペプチダーゼ−IVの阻害剤として有用な置換二環系ピリミジンに関する。
本発明化合物は、式I:
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
各nは、独立して、0、1、2、又は3であり;
AはN又はCRであり;
及びWは独立してH又はC1−4アルキルであるか、あるいは、
及びWはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、3ないし6員の炭素環を形成し;
Zはフェニル又はピリジルであり、それらは各々、1個ないし5個のR置換基で置換されており;
及びRはそれぞれ独立して、
(1)水素
(2)C1−10アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR
(e)S(O)1−2
(f)SONR
(g)NR
(h)NHSO
(i)N(C1−6アルキル)SO
(j)NHCONR
(k)N(C1−6アルキル)CONR
(l)NHCO
(m)N(C1−6アルキル)CO
(n)OCONR
(o)CN、
(p)COH、
(q)CO1−6アルキル、
(r)CONR、及び
(s)フェニル(該フェニルは、置換されていないか、又はハロゲン、CN、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)フェニル(該フェニルは、置換されていないか、又はハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(4)(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(5)(CH)n−へテロシクリル(該ヘテロシクリルは置換されていないか、またはオキソ、ハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(6)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されているか、あるいは、該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)、
(7)ヒドロキシ、
(8)OR
(9)SR
(10)S(O)1−2
(11)SONR
(12)NR
(13)NHSO
(14)N(C1−6アルキル)SO
(15)NHCONR
(16)N(C1−6アルキル)CONR
(17)NHCO
(18)N(C1−6アルキル)CO
(19)OCONR
(20)CN、
(21)COH、
(22)CO1−6アルキル、
(23)CONR、及び
(24)ハロゲン;
からなる群より選択されており;
又はR及びRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5ないし6員の芳香族、ヘテロアリール、炭素環、又はヘテロ環を形成し(該環は、置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており、また、該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている);
各Rは独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)C1−6アルコキシ(該アルコキシは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(6)O(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)からなる群より選択され;
は置換されていないC1−6アルキルであるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;及び
及びRはそれぞれ独立して、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また、該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている);及び
(4)(CH)n−フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されているか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)からなる群より独立して選択され;
又はR及びRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンから選択されるヘテロ環を形成し;該へテロ環は置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩に関する。
【0014】
本発明化合物の一態様は、式Ia:
【0015】
【化2】

で表されるように、AがNである化合物である。
【0016】
この態様の一つのクラスは、W及びWがHであり、R及びZは上記定義のとおりである。
【0017】
このクラスのサブクラスは、
Zが2個ないし5個のR置換基で置換されたフェニルであり;
各nが独立して0、1、2、又は3であり;
が、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR、及び
(e)NRから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)OR
(6)SR、及び
(7)NR;からなる群より選択され;
各Rが独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)C1−4アルコキシ(該アルコキシは置換されていない、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(6)O(CH)n−へテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)からなる群より選択され;
がC1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基でされている)であり;
及びRがそれぞれ独立して、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−4アルキル、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)からなる群より選択されるか、
又はR及びRがそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンから選択されるヘテロ環を形成する。
【0018】
本発明化合物の第二の態様は、式Ib:
【0019】
【化3】

で表されるように、AがCRである化合物である。
【0020】
この態様の一クラスにおいて、W及びWはHであり、R、R、及びZは上記定義のとおりである。
【0021】
このクラスのサブクラスは、
Zが2個ないし5個のR置換基で置換されたフェニルであり;
各nが独立して0、1、2、又は3であり;
が、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR、及び
(e)NRから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)OR
(6)SR、及び
(7)NR;からなる群より選択されるものであり;
が、
(1)水素、
(2)C1−10アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR
(e)S(O)1−2
(f)SONR
(g)NR
(h)NHSO
(i)N(C1−6アルキル)SO
(j)NHCONR
(k)N(C1−6アルキル)CONR
(l)NHCO
(m)N(C1−6アルキル)CO
(n)OCONR
(o)CN、
(p)COH、
(q)CO1−6アルキル、
(r)CONR、及び
(s)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、CN、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)から独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、R、OH、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(5)(CH)n−へテロシクリル(該ヘテロシクリルは置換されていないか、又はオキソ、ハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(6)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)、
(7)ヒドロキシ、
(8)OR
(9)SR
(10)S(O)1−2
(11)SONR
(12)NR
(13)NHSO
(14)N(C1−6アルキル)SO
(15)NHCONR
(16)N(C1−6アルキル)CONR
(17)NHCO
(18)N(C1−6アルキル)CO
(19)OCONR
(20)CN、
(21)COH、
(22)CO1−6アルキル、
(23)CONR、及び
(24)ハロゲン;からなる群より選択されるか、
又はR及びRがそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5ないし6員の芳香 族、ヘテロアリール、炭素環、又はヘテロ環を形成し;
各Rが独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)C1−4アルコキシ(該アルコキシは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(6)O(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)からなる群より選択され;
が置換されていないC1−6アルキルであるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
及びRが独立して、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−4アルキル、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)からなる群より選択されるものであるか、
又はR及びRがそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンから選択されるヘテロ環を形成する。
【0022】
本発明化合物のさらなる態様は、W及びW20がHであって、
式Ic:
【0023】
【化4】

【0024】
[式中、
各nは独立して0、1、2、又は3であり;
AはN又はCRであり;
はクロロ又はメチルであり(メチルは置換されていないか、又は1個ないし3個のフッ素原子で置換されている);
は、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)C1−6アルコキシ(該アルコキシは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(5)ヒドロキシ、
(6)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(7)O(CH)n−へテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている);からなる群より選択され;
は、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR、及び
(e)NRから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)OR
(6)SR、及び
(7)NRからなる群より選択され;
は、
(1)水素、
(2)C1−10アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR
(e)S(O)1−2
(f)SONR
(g)NR
(h)NHSO
(i)N(C1−6アルキル)SO
(j)NHCONR
(k)N(C1−6アルキル)CONR
(l)NHCO
(m)N(C1−6アルキル)CO
(n)OCONR
(o)CN、
(p)COH、
(q)CO1−6アルキル、
(r)CONR、及び
(s)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、CN、OH
、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO
、SONR、NR、CONR、COH、及びCO1−6アル
キルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)から独
立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、R、OH、OR 、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、N R、CONR、CN、COH及びCO1−6アルキルから独立して選択 される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又は ハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、S O、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、 (5)(CH)n−へテロシクリル(該ヘテロシクリルは置換されていないか、又は オキソ、ハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及び CO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されてい る)、
(6)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)、
(7)ヒドロキシ、
(8)OR
(9)SR
(10)S(O)1−2
(11)SONR
(12)NR
(13)NHSO
(14)N(C1−6アルキル)SO
(15)NHCONR
(16)N(C1−6アルキル)CONR
(17)NHCO
(18)N(C1−6アルキル)CO
(19)OCONR
(20)CN、
(21)COH、
(22)CO1−6アルキル、
(23)CONR、及び
(24)ハロゲンからなる群より選択されるか;
又はR及びRがそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5ないし6員の芳香族、ヘテロアリール、炭素環、又はヘテロ環を形成する]で表される化合物である。
【0025】
DPP−IV阻害剤として有用である本発明化合物を例示すると、以下の構造のもの、及びその医薬的に許容される塩であるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
6−(アミノメチル)−5−メシチル−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0027】
【化5】

【0028】
6−(アミノメチル)−5−メシチル−3−メトキシピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0029】
【化6】

【0030】
6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0031】
【化7】

【0032】
6−(アミノメチル)−2−シクロプロピル−5−メシチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0033】
【化8】

【0034】
6−(アミノメチル)−5−メシチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2,7−ジアミン;
【0035】
【化9】

【0036】
6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2,7−ジアミン;
【0037】
【化10】

【0038】
6−(アミノメチル)−5−(2,4,6−トリクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2,7−ジアミン;
【0039】
【化11】

【0040】
6−(アミノメチル)−5−メシチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0041】
【化12】

【0042】
6−(アミノメチル)−5−(2,4,6−トリクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0043】
【化13】

【0044】
6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジメチルフェニル)−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0045】
【化14】

【0046】
6−(アミノメチル)−3−メチル−5−(2,4,6−トリクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0047】
【化15】

【0048】
6−(アミノメチル)−5−メシチル−2,3−ジメチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0049】
【化16】

【0050】
6−(アミノメチル)−5−(2,4,6−トリクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0051】
【化17】

【0052】
[7−アミノ−6−(アミノメチル)−5−メシチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−2−イル]メタノール;
【0053】
【化18】

【0054】
6−(アミノメチル)−5−メシチル−2−(メチルチオ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン;
【0055】
【化19】

【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本明細書にて使用する場合、以下の定義を適用する。
【0057】
「アルキル」ならびにアルコキシ及びアルカノイルなど、接頭辞「アル」の付く他の語群は、炭素鎖に他の定義がなければ、直鎖又は分枝鎖及びその組み合わせである炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどである。
【0058】
用語「シクロアルキル」とは、特定した炭素原子数をもつ1個の環からなる飽和の炭化水素をいう。シクロアルキルの例は、シクロプロピル(cPr)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどである。シクロアルキル基は、他に断りのない限り、単環である。シクロアルキル基は、他に断りのない限り、飽和である。
【0059】
用語「アルコキシ」とは、特定の炭素原子数(例えば、C1−10アルコキシ)又はその範囲の炭素数の直鎖又は分枝鎖のアルコキシドをいう[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]。
【0060】
用語「アルキルチオ」とは、特定の炭素原子数(例えば、C1−10アルキルチオ)又はその範囲の炭素数の直鎖又は分枝鎖のアルキルスルフィドをいう[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]。
【0061】
用語「アルキルアミノ」とは、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルアミノ)又はその範囲の炭素数の直鎖又は分枝鎖のアルキルアミンをいう[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]。
【0062】
用語「アルキルスルホニル」とは、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルホニル)又はその範囲の炭素数の直鎖又は分枝鎖のアルキルスルホンをいう[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]。
【0063】
用語「アルキルオキシカルボニル」とは、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はその範囲の炭素数の本発明化合物のカルボン酸誘導体の直鎖又は分枝鎖のエステルをいう[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル、又はブチルオキシカルボニルなど]。
【0064】
「アリール」とは炭素環原子を含む単環又は多環状芳香族環系を意味する。好適なアリールは単環又は多環の6〜10員の芳香族環系である。フェニル及びナフチルが好適なアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0065】
用語「ヘテロシクリル」とは飽和又は不飽和の非芳香族環又は環系をいい、O、S及びN、さらに酸化型イオウ、すなわち、SO及びSOから選択される少なくとも1個のへテロ原子を含む。ヘテロシクリルの例は、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン、ピロリジノン、オキサゾリジン−2−オン、イミダゾリジン−2−オン、ピリドンなどである。
【0066】
「ヘテロアリール」とは、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環へテロ原子を含む芳香性又は部分的芳香性のヘテロ環を意味する。また、ヘテロアリールは他の種類の環、例えば、アリール、シクロアルキル及び芳香族ではないヘテロ環に縮合したヘテロアリールを包含する。ヘテロアリール基の例は、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、2−オキソ−(1H)−ピリジニル、(2−ヒドロキシ−ピリジニル)、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンゾオキサゾリル、4−オキソ−3H−キナゾリニル、3−オキソ−[1,2,4]−トリアゾロ[4,3−a]−2H−ピリジニル、5−オキソ−[1,2,4]−4H−オキサジアゾリル、2−オキソ−[1,3,4]−3H−オキサジアゾリル、2−オキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾリル、3−オキソ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリミジニル、イミダゾ[1,5−a]ピリミジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−a]ピリミジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−a]ピリミジニル、[1,2,3−トリアゾロ][1,5−a]ピリミジニル、ピラゾロ[1,5−b]ピリダジニル、イミダゾ[1,5−b]ピリダジニル、イミダゾ[1,2−b]ピリダジニル、[1,2,4−トリアゾロ][4,3−b]ピリダジニル、[1,2,4−トリアゾロ][1,5−b]ピリダジニル、ピリド[2,3−b]ピラジニル、ピリド[3,2−d]ピリミジニル、ピリド[2,3−d]ピリミジニルなどである。ヘテロシクリル及びヘテロアリール基の場合、3〜15個の原子を含む環及び環系が包含され、1〜3個の環を形成する。
【0067】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素をいう。塩素及びフッ素が一般に好適である。ハロゲンがアルキル又はアルコキシ基に置換している場合、フッ素が最も好適である(例えば、CFO及びCFCHO)。
【0068】
本発明化合物は1つ以上の不斉中心を含み、従って、ラセミ体、ラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。さらなる不斉中心は分子上の様々な置換基の性質に依存して存在し得る。かかる不斉中心はそれぞれが独立に2つの光学異性体を生じ、混合物中の、及び純品又は部分的に精製した化合物としての可能な光学異性体及びジアステレオマーはすべて本発明の範囲に含まれるものとする。本発明はこれら化合物のかかる異性体形状のすべてを含む。
【0069】
本明細書に記載した化合物の一部のものは、オレフィン二重結合を含み、特に断りのない限り、E及びZ幾何異性体の双方を含むものとする。
本明細書に記載した化合物の一部のものは、互変異性体として存在し得る;この異性体は1つ以上の二重結合のシフトに伴って、水素の結合点が異なっている。例えば、ケトンとそのエノール型は、ケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体ならびにその混合物は、本発明化合物に包含される。
【0070】
これらジアステレオマーの独立した合成又はそれらのクロマトグラフィーによる分離は、本明細書に開示した方法の適切な改変により、技術上既知のものとして実施し得る。それらの絶対立体化学は結晶性産物のX線結晶解析又は、要すれば、既知絶対配置の不斉中心を含む試薬により誘導化される結晶性中間体のX線結晶解析により決定し得る。
【0071】
所望により、該化合物のラセミ混合物を分離し、個々のエナンチオマーを単離することもできる。分離は技術上周知の方法、例えば、ラセミ化合物の混合物をエナンチオマーとして純粋な化合物にカップル結合し、ジアステレオマー混合物を形成し、次いで、個々のジアステレオマーを標準的な方法、例えば、分別結晶又はクロマトグラフィーなどにより分離する。カップル結合反応はしばしば、エナンチオマーとして純粋な酸又は塩基を用いる塩の形成による。ジアステレオマー誘導体は、次いで、付加したキラル残基を切断することにより、純粋なエナンチオマーに変化することができる。該化合物のラセミ混合物は、キラル固定相を利用するクロマトグラフ法により直接分離することもできる;この方法は技術上周知である。
【0072】
別法として、エナンチオマー化合物はいずれも技術上周知の方法により、既知の立体配置の光学的に純粋な出発原料又は試薬を用い、立体選択的合成により入手し得る。
理解し得ることは、本明細書にて使用する場合、構造式Iの化合物を参照することは、医薬的に許容される塩が含まれ、さらに医薬的に許容されるものではない塩であっても、遊離の化合物もしくはそれらの医薬的に許容される塩への前駆体として、又は他の合成操作に使用される場合に含むこともできる。
【0073】
本発明化合物は医薬的に許容される塩の形状で投与し得る。「医薬的に許容される塩」という用語は、無機もしくは有機の塩基及び無機もしくは有機の酸を含む医薬的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩をいう。用語「医薬的に許容される塩」の範囲に包含される塩基性化合物の塩は、遊離の塩基と適当な有機又は無機の酸との反応により一般に調製される本発明化合物の非毒性塩をいう。本発明の塩基性化合物の代表的塩は、限定されるものではないが、以下のとおりである:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、二酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフト酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン・アンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボ酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スバセチン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクラン酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及びバレリアン酸塩。さらに、本発明化合物が酸性部分を担持する場合、適切な医薬的に許容されるその塩は、限定されるものではないが、無機塩基、例えば、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第一鉄、第二鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などから誘導される塩である。取分け好適なのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウム塩である。医薬的に許容される有機非毒性塩基由来の塩は、一級、二級、及び三級アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂の塩、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどである。
【0074】
また、本発明化合物にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、医薬的に許容されるカルボン酸誘導体のエステル、例えば、メチル、エチル、もしくはピバロイルオキシメチル、又はアルコールのアシル誘導体、例えば、酢酸エステルもしくはマレイン酸エステルが採用され得る。持続性放出又はプロドラッグ製剤として使用するために、溶解性又は加水分解特性を改変するための技術上既知のこれらエステル及びアシル基が包含される。
【0075】
溶媒和物、取分け構造式Iで示される化合物の水和物は同様に本発明に包含される。
【0076】
本発明を例証するものとしては、実施例及び本明細書に開示した化合物の用途がある。
【0077】
対象化合物は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素を阻害することの必要な哺乳動物などの患者において、かかる酵素の阻害方法であって、該化合物の有効量を投与することを特徴とする方法において有用である。本発明はジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤として本明細書に開示した化合物を使用することを目的とする。
【0078】
ヒトなどの霊長類に加えて、様々な他の哺乳動物を本発明方法により治療し得る。例えば、哺乳動物としては、限定されるものではないが、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラット又はその他のウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、げっ歯類(マウスなど)などの動物種を治療し得る。しかし、本発明は他の種、例えば、鳥類(例;ニワトリ)にも実施し得る。
【0079】
本発明はさらにヒト及び動物におけるジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性を阻害するための医薬の製造方法であって、本発明化合物と医薬的に許容される担体又は希釈剤とを組み合わせることを特徴とする方法に関する。より詳しくは、本発明は哺乳動物における高血糖症、2型糖尿病、肥満、及び脂質障害からなる群より選択される症状の治療に使用する医薬の製造に、構造式Iで示される化合物を使用することを目的とする;該脂質障害は、異常脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、及び高LDLからなる群から選択される。
【0080】
本方法にて治療される被験対象は一般に哺乳動物であり、好ましくはヒトの男性又は女性であって、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性を阻害することが望ましいものである。用語「治療有効量」とは、研究者、獣医師、医師又はその他の臨床家が探索している組織、システム、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を惹き出す対象化合物の量を意味する。
【0081】
本明細書にて使用する場合、「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含有してなる産物、ならびに特定量の特定成分の組み合わせから直接又は間接的に生じる産物を包含するものとする。医薬組成物に関連するかかる用語は、該有効成分と、担体を構成する不活性成分を含有してなる産物、ならびに2種以上の成分の組み合わせ、複合体形成もしくは凝集から、又は1又は2種以上の成分の解離から、又は1又は2種以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から直接又は間接的に生じる産物を包含するものとする。従って、本発明の医薬組成物は、本発明化合物と医薬的に許容される担体とを混和することにより作製された組成物を包含する。「医薬的に許容される」とは、その担体、希釈剤又は添加剤が製剤の他の成分と調和し、その受容者に有害であってはならないことを意味する。
【0082】
化合物「の投与」又は化合物を「投与すること」という用語は、治療を必要とする個体に、本発明化合物又は本発明化合物のプロドラッグを提供することを意味すると理解すべきである。
【0083】
本発明による化合物のジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性阻害剤としての用途は、技術上既知の方法により証明し得る。阻害定数は以下のように決定する。連続蛍光測定アッセイを基質Gly−Pro−AMCと共に採用する;該基質はDPP−IVにより切断され、蛍光AMC脱離基を放出する。この反応を記述する動力学的パラメーターは以下のとおりである:K=50μM;kcat=75s−1;kcat/K=1.5x10−1−1。代表的な反応では、総反応容量100μl中、約50pM酵素、50μM−Gly−Pro−AMC、及びバッファー(100mM−HEPES、pH7.5、0.1mg/mlBSA)を含む。AMCの遊離は96穴プレート蛍光光度計中、励起波長360nm及び発光波長460nmにて、連続的にモニターする。これらの条件下、25℃、30分で、約0.8μMのAMCが産生される。これらの研究で使用した酵素は、バキュロウイルス発現系(Bac−To−Bac;ギブコBRL)で産生した可溶性(膜貫通ドメインと細胞質伸張は排除)ヒトタンパク質であった。Gly−Pro−AMC及びGLP−1の加水分解の動力学的定数はもとの酵素の文献値に一致することが判明した。化合物の解離定数を測定するために、阻害剤のDMSO溶液を、酵素と基質(最終DMSO濃度は1%である)含有の反応液に加えた。実験はすべて上記の標準的反応条件下、室温で実施した。解離定数(Ki)を決定するために、競合阻害用のミカエリス−メントン等式に非直線回帰により反応速度を適合させた。解離定数再現性の誤差は一般に2倍未満である。
【0084】
特に、以下の例の化合物は、上記のアッセイ法において、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素を阻害する活性を有し、そのIC50は約1μM未満である。このような結果は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害剤としての使用における化合物固有の活性であることを物語っている。
【0085】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素(DPP−IV)は細胞表面タンパク質であり、広い範囲の生物学的機能に関係している。このものは広い組織分布(腸、腎臓、肝臓、膵臓、胎盤、胸腺、脾臓、上皮細胞、血管内皮、リンパ系細胞と骨髄細胞、血清)と、顕著な組織及び細胞型発現レベルを有する。DPP−IVはT細胞活性化マーカーCD26と同一であり、多くの免疫調節性ペプチド、内分泌ペプチド、及び神経性ペプチド類をインビトロで切断することができる。このことは、ヒト又は他の種におけるさまざまな疾患過程におけるこのペプチダーゼの潜在的な役割を示唆している。
【0086】
従って、対象化合物は以下の疾患、障害及び症状を予防又は治療する方法に有用である。
II型糖尿病及び関連する障害:
インクレチンGLP−1及びGIPがDPP−IVによってインビボで急速に不活性化されることはほぼ確立されている。DPP−IV(−/−)−欠損マウスでの研究と予備的臨床試験は、DPP−IVの阻害がGLP−1及びGIPの定常状態濃度を増大させ、その結果、グルコース耐性が改善されることを示している。GLP−1及びGIP同様に、グルコースの調節に関わる他のグルカゴンファミリーペプチドもまたDPP−IVにより不活性化されると思われる(例えば、PACAP)。DPP−IVによるこれらペプチドの不活性化は、グルコースの恒常性に役割を果たし得る。従って、本発明のDPP−IV阻害剤は、II型糖尿病の治療に、またII型糖尿病にしばしば伴う多くの症状、例えば、症候群X(メタボリック症候群としても知られる)、反応性低血糖症、及び糖尿病性異常脂肪症などの予防及び治療に用途を有する。以下に考察する肥満はもう一つの症状であり、この症状は本発明化合物による治療に応答し得るII型糖尿病と共にしばしば見出される。
【0087】
以下の疾患、障害及び症状は2型糖尿病に関連し、従って、本発明化合物での治療により、治療又は制御可能であり、ある場合には予防し得る:(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性大腸症候群、(15)クローン病と潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)膵臓炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多のう胞性卵巣症候群)、及びインスリン抵抗性が原因となるその他の障害。X症候群(メタボリック症候群としても知られる)においては、肥満がインスリン抵抗性、糖尿病、異常脂肪血症、高血圧、及び増大した心臓血管のリスクを増進すると考えられる。従って、DPP−IV阻害剤はこの症状に関連する高血圧の治療にも有用であり得る。
【0088】
肥満:
DPP−IV阻害剤は肥満の治療に有用であり得る。これはGLP−1及びGLP−2の食物取込と胃の空になることに対し観察された阻害作用に基づくものである。ヒトにおいてGLP−1を外部から投与すると、食物取込が有意に低下し、胃の空になるのが遅くなる(Am.J.Physiol.,277:R910−R916(1999))。ラットとマウスにおけるGLP−1のICV投与は食物取込に十分な効果を示す(Nature Medicine,2:1254−1258(1996))。この摂食阻害はGLP−1R(−/−)マウスでは観察されず、これらの作用が脳のGLP−1受容体を介して仲介されることを示している。GLP−1同様に、GLP−2もまたDPP−IVにより調節されると思われる。GLP−2をICV投与するとやはり食物摂取を阻害し、GLP−1で観察された作用に類似している(Nature Medicine,6:802−807(2000))。さらに、DPP−IV欠損マウスでの研究が、これらの動物が食餌誘発肥満及び関連する病態(例えば、高インスリン血症)に耐性であることを示唆する。
【0089】
心臓血管系疾患:
GLP−1は急性心筋梗塞後の患者に投与するとき、左心室機能が改善され、かつ一次血管形成術後の死亡率を低下させる有益性のあることが示されている(Circulation,109:962−965(2004))。GLP−1の投与は拡張型心筋症と虚血性誘発左心室機能不全をもつイヌでの左心室収縮期機能不全の治療にも有用であり、心不全患者の治療に有用であることを示している(US2004/0097411)。DPP−IV阻害剤は内在性GLP−1を安定化するその能力を介して同様の作用を示すと期待される。
【0090】
成長ホルモン欠失:
DPP−IVの阻害は成長ホルモン欠失の治療に有用である;これは下垂体前葉からの成長ホルモンの放出を促進するペプチド、成長ホルモン放出因子(GRF)がインビボでDPP−IV酵素により切断されるという仮説に基づいている(WO00/56297)。以下のデータはGRFが内在性基質であるという証拠を提供する:(1)GRFはインビトロで効率的に切断され、不活性産物GRF[3−44]を生成する(BBA1122:147−153(1992));(2)GRFは血漿中で急速にGRF[3−44]に分解される;これはDPP−IV阻害剤・ジプロチンAによって防止される;及び(3)GRF[3−44]はヒトGRF遺伝子導入ブタの血漿中に見出される(J.Clin.Invest.,83:1533−1540(1989))。従って、DPP−IV阻害剤は、成長ホルモン分泌促進剤について考えられている同じスペクトルの適応に有用であり得る。
【0091】
腸傷害:
腸傷害の治療にDPP−IV阻害剤を使用することの可能性は、おそらく内在性のDPP−IVの基質であるグルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)が腸上皮に向性作用を示し得るということを示す研究結果により示唆される(Regulatory Peptides,90:27−32(2000))。GLP−2の投与はげっ歯類の小腸質量を増大させることとなり、また大腸炎と腸炎のげっ歯類モデルにおいて腸傷害を減弱する。
【0092】
免疫抑制:
DPP−IVの阻害は免疫応答の変調に有用であり得るが、これはT細胞活性化とケモカインのプロセシングにおけるDPP−IV酵素の関与についての研究及びインビボ疾患モデルにおけるDPP−IV阻害剤の有効性に基づくものである。DPP−IVは活性化された免疫細胞の細胞表面マーカーであるCD26に一致することが示されている。CD26の発現は免疫細胞の分化と活性化の状況により調節される。CD26はT細胞活性化のインビトロモデルにおいて同時刺激分子として機能することが一般に受け容れられている。多くのケモカインは末端の1つ前の位置にプロリンを含み、多分、非特異的アミノペプチダーゼによる分解からそれらを保護している。これらの多くはDPP−IVによりインビトロで処理加工されることが示されている。いくつかの事例(RANTES、LD78−ベータ、MDC、エオタキシン、SDF−1アルファ)で、走化性とシグナル伝達アッセイにおいて、切断が活性を変化させている。受容体の選択性もまた一部の事例(RANTES)で改変されていると思われる。多くのケモカインの多数のN−末端切断型が、DPP−IV加水分解の想定産物を含め、インビトロ細胞培養系で同定されている。
【0093】
DPP−IV阻害剤は動物の移植モデルと関節炎モデルにおいて、効率的な免疫抑制剤であることが示されている。DPP−IVの不可逆性阻害剤であるプロジピン(Pro−Pro−ジフェニル−リン酸)は、ラットにおいて、同種心臓移植の生存率を7日から14日へと2倍にすることが示された(Transplantation,63:1495−1500(1997))。DPP−IV阻害剤はラットにおけるコラーゲン及びアルキルジアミン−誘発関節炎について試験され、このモデルにおいて後肢足蹠の膨潤を統計的に有意に減弱させることが示されている(Int.J.Immunopharmacology,19:15−24(1997)及びImmunopharmacology,40:21−26(1998))。DPP−IVは多くの自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、グレーブス病、及び橋本甲状腺炎などにおいてアップレギュレーションを受ける(Immunology Today,20:367−375(1999))。
【0094】
HIV感染症:
DPP−IVの阻害はHIV感染症又はAIDSの治療又は予防に有用であり得る;その理由は、HIV細胞の侵入を阻害する多くのケモカインがDPP−IVの有力な基質であるからである(Immunology Today 20:367−375(1999))。SDF−1アルファの場合、切断は抗ウイルス活性を低下させる(PNAS,95:6331−6(1998))。従って、DPP−IVの阻害によるSDF−1アルファの安定化は、HIVの感染力を低下させることが期待される。
【0095】
造血:
DPP−IVの阻害は、DPP−IVが造血に関与しうるため、造血の治療又は予防に有用であり得る。DPP−IV阻害剤、Val−Boro−Pro、はシクロホスファミド−誘発好中球減少症のマウスモデルにおいて、造血を刺激した(WO99/56753)。
【0096】
神経細胞障害:
DPP−IVの阻害は、様々な神経細胞障害又は精神医学的障害の治療又は予防に有用であり得る;その理由は多様な神経細胞プロセスに関わる多くのペプチドが、DPP−IV によりインビトロで切断されるからである。従って、DPP−IV阻害剤は神経細胞障害の治療に治療的有益性を有し得る。エンドモルフィン−2、ベータ−カソモルフィン、及びサブスタンスPはすべてDPP−IVのインビトロ基質であることが示されている。すべての事例で、インビトロの切断は高効率であり、そのkcat/Kは約 10−1−1以上である。ラットの電気ショックジャンプ鎮痛テストモデルにおいては、DPP−IV阻害剤が外来性エンドモルフィン−2の存在に関係なく有意な作用を示した(Brain Research,815:278−286(1999))。DPP−IV阻害剤の神経保護作用及び神経再生作用は、興奮毒性細胞死から運動ニューロンを保護する阻害剤の能力、MPTPと同時投与されたときに、ドーパミン作動性ニューロンの線条神経支配を保護する能力、及びMPTP処置後に治療方式で投与されたときの線条神経支配密度の回復を促進する能力によっても証明された[参照:Yong−Q.Wu,et al.,“Neuroprotective Effects of Inhibitors of Dipeptidyl Peptidase−IV In Vitro and In Vivo,(インビトロ及びインビボにおけるジペプチジル・ペプチダーゼ−IVの阻害剤の神経保護作用)”Int. Conf.On Dipeptidyl Aminopeptidases:Basic Science and Clinical Applications,September 26−29,2002(Berlin,Germany)]。
【0097】
不安
DPP−IVを本来欠失するラットは抗不安表現型を有している(WO02/34243;Karl et al.,Physiol.Behav.2003)。DPP−IV欠失マウスはポーソルト及び明/暗モデルを用いる抗不安表現型を有する。従って、DPP−IV阻害剤は不安と関連障害の治療に有用であることを証明し得る。
【0098】
記憶及び認知:
GLP−1アゴニストはデュアーリングら(During et al.Nature Med.9:1173−1179(2003))が証明しているように、学習モデル(受動回避、モリスの水迷路)及び神経細胞傷害モデル(カイニン酸誘発神経細胞アポトーシス)において活性である。結果は学習と神経保護におけるGLP−1に対する生理学的役割を示唆している。DPP−IV阻害剤によるGLP−1の安定化は同様の効果を示すことが期待される。
【0099】
心筋梗塞:
GLP−1は急性心筋梗塞後の患者に投与した場合に有益であることが示されている(Circulation,109:962−965(2004))。DPP−IV阻害剤は内在性GLP−1を安定化する能力を介して同様の効果を示すことが期待される。
【0100】
腫瘍侵入及び転移:
DPP−IVの阻害は腫瘍の侵入と転移を治療又は予防するために有用であり得る;その理由は、DPP−IVを含む数種の外表ペプチダーゼ発現の増減が、正常細胞の悪性表現型への転換に際し観察されているからである(J.Exp.Med.,190:301−305(1999))。これらタンパク質のアップ−及びダウン−レギュレーションは組織及び細胞型特異的であると思われる。例えば、増大したCD26/DPP−IVの発現はT細胞リンパ腫、T細胞急性リンパ芽球白血病、細胞由来甲状腺癌、基底細胞腫、及び乳癌に観察されている。従って、DPP−IV阻害剤はかかる癌腫の治療に用途を有する可能性がある。
【0101】
良性前立腺肥大:
DPP−IVの阻害は、良性前立腺肥大症の治療に有用であり得る;その理由は、BPH患者の前立腺組織にDPP−IVの活性が認められたからである(Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,30:333−338(1992))。
精子の運動性/男子避妊:
DPP−IVの阻害は、精子の運動性を変化させること、及び男子避妊にとって有用であり得る;その理由は、精子運動にとって重要な精液中の前立腺部位、前立腺由来細胞小器官が非常に高いレベルのDPP−IV活性を有するからである(Eur.J.Clin.Chem.Clin.Biochem.,30:333−338(1992))。
【0102】
歯肉炎:
DPP−IVの阻害は、歯肉炎の治療に有用であり得る;その理由は、DPP−IV活性が歯肉嚢液中に見出され、またある研究では、それが歯周病の重症度と相関したからである(Arch.Oral Biol.,37:167−173(1992))。
骨粗しょう症:
DPP−IVの阻害は、GIP受容体が骨芽細胞に存在するので、骨粗しょう症の治療又は予防に有用であり得る。
【0103】
幹細胞移植:
マウスにおいてドナーの幹細胞上のDPP−IVを阻害すると、その骨髄ホーミング効率と移植率が増強されて、生存率が上昇することが示されている(Christopherson,et al. Science,305:1000−1003(2004))。従って、DPP−IV阻害剤は骨髄移植に有用であり得る。
【0104】
本発明化合物は以下の症状又は疾患の治療又は予防に用途を有する:(1)高血糖症、(2)低耐糖能、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)異常脂肪血症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症とその続発症、(13)血管再狭窄、(14)過敏性大腸症候群、(15)クローン病と潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、(16)他の炎症性症状、(17)膵臓炎、(18)腹部肥満、(19)神経変性疾患、(20)網膜症、(21)腎症、(22)神経障害、(23)X症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多のう胞性卵巣症候群)、(25)II型糖尿病、(26)成長ホルモン欠乏、(27)好中球減少症、(28)神経細胞障害、(29)腫瘍転移、(30)良性前立腺肥大、(31)歯肉炎、(32)高血圧、(33)骨粗しょう症、及びDPP−IVの阻害により治療又は予防し得るその他の症状。
対象化合物はさらに他の薬剤と組み合わせることで、上記の疾患、障害及び症状を予防又は治療する方法において有用である。
【0105】
本発明化合物は1又は2種以上の他の薬物と組み合わせ、式Iで示される化合物又は当該他の薬物が用途をもつ疾患又は症状の治療、予防、抑制又は改善に使用し得る;この場合、薬物の組み合わせがそれぞれの薬物単独よりもより安全で、より有効であることを要する。かかる他の薬物はそれを通常使用する経路と用量で、式Iで示される化合物と同時に、又は連続して投与し得る。式Iで示される化合物を1又は2種以上の他の薬物と同時に使用する場合、かかる他の薬物と式Iで示される化合物とを含有する単位用量投与形態の医薬組成物が好ましい。しかし、組み合わせ療法には、式Iで示される化合物と1又は2種以上の他の薬物とを異なる重なり合ったスケジュールで投与する療法も含まれる。さらに考え得ることは、1又は2種以上の他の有効成分と組み合わせて使用する場合、本発明化合物と他の有効成分は、それぞれを単独使用する場合よりも低用量で使用し得ることである。従って、本発明の医薬組成物は式Iで示される化合物に加えて、1又は2種以上の他の有効成分を含む組成物を包含する。
【0106】
式Iで示される化合物と組み合わせて投与可能であって、別々に投与するか、又は同じ医薬組成物中で投与する他の有効成分の例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:
(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;
(b)インスリン感作物質、例えば、(i)PPARγアゴニスト、例えば、グリタゾン類(例:トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)及びその他のPPARリガンド、例えば、PPARα/γ二重アゴニスト、例えば、KRP−297、ムラグリタザール、ナベグリタザール、テサグリタザール、TAK−559、PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)、及び選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM)、例えば、以下に開示されたもの:WO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408、及びWO2004/066963;(ii)ビグアニド類、例えば、メトフォルミン及びフェンフォルミン、及び(iii)タンパク質チロシン・ホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(c)インスリン又はインスリン類似体;
(d)スルホニルウレア類及び他のインスリン分泌促進剤、例えば、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、及びメグリチニド類、例えば、ナテグリニド及びレパグリニド;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトールなど);
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト、例えば、以下に開示されたもの:WO97/16442;WO98/04528、WO98/21957;WO98/22108;WO98/22109;WO99/01423、WO00/39088、及びWO00/69810;WO2004/050039;及びWO2004/069158;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は類似体、及びGLP−1受容体アゴニスト、例えば、エクセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、及び以下に開示されたもの:WO00/42026及びWO00/59887;
(h)GIP及びGIP類似体、例えば、WO00/58360に記載されたもの、及びGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP類似体、及びPACAP受容体アゴニスト、例えば、WO01/23420に開示されたもの;
(j)コレステロール低下剤、例えば、(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、及びロスバスタチン、及びその他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)、(v)PPARα/γ二重アゴニスト、例えば、ナベグリタザール及びムラグリタザール、(vi)コレステロール吸収阻害剤、例えば、ベータ−シトステロール及びエゼチミベ、(vii)アシルCoA:コレステロール・アシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アバシミブ、及び(viii)抗酸化剤、例えば、プロブコール;
(k)PPARδアゴニスト、例えば、WO97/28149に開示されたもの;
(l)抗肥満化合物、例えば、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY1又はY5アンタゴニスト、CB1受容体逆アゴニスト及びアンタゴニスト、β3アドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、取分け、メラノコルチン−4受容体アゴニスト、ゲーレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(例えば、ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト)、及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト;
(m)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(n)炎症症状に使用することを目的とする薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アズルフィジン、及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;
(o)抗高血圧用剤、例えば、ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリリル、タンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、及びエプロサルタン)、ベータブロッカー及びカルシウムチャンネル遮断薬;
(p)グルコキナーゼ活性化因子(GKA)、例えば、以下に開示されたもの:WO03/015774;WO04/076420;及びWO04/081001;
(q)11β−ヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ1型の阻害剤、例えば、以下に開示されたもの:USP6,730,690;WO03/104207;及びWO04/058741;
(r)コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)の阻害剤、例えば、トルセトラピブ;及び
(s)フルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤、例えば、以下に開示されたもの:USP6,054,587;6,110,903;6,284,748;6,399,782;及び6,489,476。
【0107】
構造式Iで示される化合物と組み合わせ得るジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤は以下に開示された阻害剤である:USP6,699,871;WO02/076450(2002.10.3);WO03/004498(2003.1.16);WO03/004496(2003.1.16);EP1258476(2002.11.20);WO02/083128(2002.10.24);WO02/062764(2002.8.15);WO03/000250(2003.1.3);WO03/002530(2003.1.9);WO03/002531(2003.1.9);WO03/002553(2003.1.9);WO03/002593(2003.1.9);WO03/000180(2003.1.3);WO03/082817(2003.10.9);WO03/000181(2003.1.3);WO04/007468(2004.1.22);WO04/032836(2004.4.24);WO04/037169(2004.5.6);及びWO04/043940(2004.5.27)。特異的DPP−IV阻害剤化合物は、イソロイシン・チアゾリヂド(P32/98);NVP−DPP−728;ビルダグリプチン(LAF237);P93/01;及びサキサグリプチン(BMS477118)である。
【0108】
構造式Iで示される化合物と組み合わせ得る抗肥満化合物は、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY1又はY5アンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト又は逆アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、取分け、メラノコルチン−4受容体アゴニスト、ゲーレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト、及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストである。構造式Iで示される化合物と組み合わせ得る抗肥満化合物についての概説は、以下の文献を参照:S.Chaki et al.,“Recent advances in feeding suppressing agents: potential therapeutic strategy for the treatment of obesity(摂食抑制剤の最近の進歩:肥満治療の有力な治療戦略),”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);D.Spanswick and K.Lee,“Emerging antiobesity drugs(抗肥満薬の出現),”Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003);and J.A.Fernandez−Lopez,et al.,“Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity(肥満の薬理学的治療方法),”Drugs,62:915−944(2002)。
【0109】
式Iで示される化合物と組み合わせ得る神経ペプチドY5アンタゴニストは、USP6,335,345(2002.1.1)及びWO01/14376(2001.3.1)に開示されたアンタゴニストである;具体的化合物はGW59884A;GW569180A;LY366377;及びCGP−71683Aとして確認される。
【0110】
式Iで示される化合物と組み合わせ得るカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストは、以下に開示されたアンタゴニストである:PCT公開WO03/007887;USP5,624,941(リモナバントなど);PCT公開WO02/076949(SLV−319など);USP6,028,084;PCT公開WO98/41519;PCT公開WO00/10968;PCT公開WO99/02499;USP5,532,237;USP5,292,736;PCT公開WO03/086288;PCT公開WO03/087037;PCT公開WO04/048317;PCT公開WO03/007887;PCT公開WO03/063781;PCT公開WO03/075660;PCT公開WO03/077847;PCT公開WO03/082190;PCT公開WO03/082191;PCT公開WO03/087037;PCT公開WO03/086288;PCT公開WO04/012671;PCT公開WO04/029204;PCT公開WO04/040040;PCT公開WO01/64632;PCT公開WO01/64633;及びPCT公開WO01/64634。
【0111】
本発明において有用なメラノコルチン−4受容体(MCR4R)アゴニストは、限定されるものではないが、以下に開示されたアゴニストである:US6,294,534、US6,350,760、6,376,509、6,410,548、6,458,790、US6,472,398、US5837521、US6699873(これらはその全文を参照により本明細書の一部とする);米国特許出願公開番号US2002/0004512、US2002/0019523、US2002/0137664、US2003/0236262、US2003/0225060、US2003/0092732、US2003/109556、US2002/0177151、US2002/187932、US2003/0113263(これらはその全文を参照により本明細書の一部とする);及びWO99/64002、WO00/74679、WO02/15909、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、WO2004/024720、WO2004/089307、WO2004/078716、WO2004/078717、WO2004/037797、WO01/58891、WO02/070511、WO02/079146、WO03/009847、WO03/057671、WO03/068738、WO03/092690、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/085925、WO03/004480、WO03/009850、WO03/013571、WO03/031410、WO03/053927、WO03/061660、WO03/066597、WO03/094918、WO03/099818、WO04/037797、WO04/048345、WO02/018327、WO02/080896、WO02/081443、WO03/066587、WO03/066597、WO03/099818、WO02/062766、WO03/000663、WO03/000666、WO03/003977、WO03/040107、WO03/040117、WO03/040118、WO03/013509、WO03/057671、WO02/079753、WO02/092566、WO03/−093234、WO03/095474、及びWO03/104761。
【0112】
糖尿病治療のための安全で効果的なグルコキナーゼ活性化因子(GKA)の潜在的な用途については文献に考察されている:J.Grimsby et al.,“Allosteric Activators of Glucokinase:Potential Role in Diabetes Therapy(グルコキナーゼのアロステリック活性化因子:糖尿病治療における潜在的役割),”Science,301:370−373(2003)。
本発明化合物を1又は2種以上の他の薬物と同時に使用する場合には、本発明化合物に加えてかかる他の薬物を含有する医薬組成物が好適である。従って、本発明の医薬組成物は本発明化合物に加えて、1又は2種以上の他の有効成分をも含有する組成物を包含する。
【0113】
本発明化合物と第二の有効成分との重量比は、変化し得るものであり、各成分の有効用量に左右される。一般に、それぞれの有効用量を使用する。従って、例えば、本発明化合物を別の薬剤と組み合わせる場合、一般に、本発明化合物と他の薬剤との重量比は、約1000:1ないし約1:1000、好ましくは約200:1ないし約1:200の範囲である。本発明化合物と他の有効成分との組み合わせは、一般に上記の範囲であるが、各事例において各有効成分の有効用量を使用すべきである。
【0114】
かかる組み合わせにおいて、本発明化合物と他の活性薬剤は別々に、又は一緒にして投与し得る。さらに、一成分の投与は他の薬剤の投与の前、それと同時に、又は引き続いて行い得る。
【0115】
本発明化合物は経口的又は非経口的に(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内の注射もしくは注入、皮下注射、又は移植)、吸入スプレー、鼻腔、膣、直腸、舌下、もしくは局所などの投与経路により投与し得る;また、単独又は合体して、各投与経路に適切な常套の非毒性の医薬的に許容される担体、佐剤及び媒体を含む適当な投与単位製剤に製剤化し得る。温血動物、例えば、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどに加えて、本発明化合物はヒトでの使用に有効である。
【0116】
本発明化合物の投与のための医薬組成物は、簡便には投与量単位の形状で提供し得るものであり、薬学技術上周知の方法で調製することができる。すべての方法が有効成分を1又は2種以上の補助成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、医薬組成物は均一にまた緊密に有効成分と、液状担体又は微細化した固体担体又はその両方とを会合させ、要すれば、次いでその産物を所望の剤形に形状化することにより調製する。医薬組成物において、活性目的化合物は疾患の過程又は症状に対し所望の効果をもたらすために十分な量包含させる。本明細書にて使用する場合、「組成物」という用語は、特定の成分を特定の量含有してなる産物、ならびに特定量の特定成分の組み合わせから直接又は間接的に生じる産物を包含するものとする。
【0117】
有効成分を含有する医薬組成物は経口使用に適した形状、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、ハードもしくはソフトカプセル、又はシロップもしくはエリキシルとすることができる。経口使用を企図する組成物は、医薬組成物製造のための技術上既知の方法に従い調製し得る;またかかる組成物は医薬的に洗練された口当たりのよい製剤とするために、甘味剤、芳香剤、着色剤及び保存剤からなる群より選択される1又は2種以上の薬剤を含み得る。錠剤は錠剤の製造に適する非毒性の医薬的に許容される添加剤と混合して有効成分を含有する。これらの添加剤は、例えば、不活性の希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;顆粒化及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム;及び滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクなどである。該錠剤は裸錠でもよいし、あるいは胃腸管での崩壊及び吸収を遅延させ、それによって長時間の持続作用を提供するために、既知の技法により被覆剤としてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延物質を採用してもよい。これらは文献(USP4,256,108;4,166,452;及び4,265,874)記載の技法により被覆して、制御放出用浸透圧治療錠剤を形成してもよい。
【0118】
経口使用の製剤はハードゼラチンカプセルとして提供してもよく、その場合、有効成分は不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合するか、あるいはソフトゼラチンカプセルとしてもよく、その場合には、有効成分は水又は油状媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン又はオリーブ油と混合する。
【0119】
水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適した添加剤と混合して活性物質を含む。かかる添加剤は、懸濁化剤、例えば、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアゴムである;分散もしくは湿潤剤は天然産のホスファチド、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールなどの脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物、又は脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでもよい。該水性懸濁液はまた1又は2種以上の保存剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルもしくは n−プロピル、1又は2種以上の着色剤、1又は2種以上の芳香剤、及び1又は2種以上の甘味剤、例えば、スクロース又はサッカリンなども含有し得る。
【0120】
油性懸濁液は有効成分を植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナッツ油に、又は鉱油、例えば、流動パラフィンなどに懸濁させることにより製剤化し得る。油性懸濁液は増粘剤、例えば、ミツロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールを含み得る。上記例示の甘味剤、及び芳香剤を添加して、口当たりのよい経口製剤とすることもできる。これらの組成物はアスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して保存することができる。
【0121】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散もしくは湿潤剤、懸濁化剤及び1又は2種以上の保存剤と混合した有効成分を提供する。適切な分散もしくは湿潤剤、及び懸濁化剤はすでに上記したものが例示となる。さらなる添加剤として、例えば、甘味剤、芳香剤及び着色剤も存在し得る。
【0122】
本発明の医薬組成物は水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は植物油、例えば、オリーブ油もしくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば、流動パラフィン、又はこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は天然産のガム類、例えば、アラビアゴム又はトラガカントガム、天然産のホスファチド、例えば、ダイズ、レシチン、及び脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されるエステルもしくは部分エステル、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、及び当該部分エステルとエチレンオキシドとの縮合産物、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどである。該エマルジョンは甘味剤及び芳香剤を含有し得る。
シロップ及びエリキシルは甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースで製剤化し得る。かかる製剤は緩和薬、保存剤、及び芳香剤と着色剤をも含有し得る。
【0123】
該医薬組成物は無菌注射用の水性又は油性懸濁液の形状であってもよい。この懸濁液は上述した適切な分散もしくは湿潤剤及び懸濁化剤を用いて、既知技術に従い製剤化し得る。無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口投与可能な希釈剤又は溶剤中の無菌注射用溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール溶液としてもよい。採用し得る可能な媒体及び溶剤は、特に、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油が常套的に溶剤又は懸濁化媒体として採用し得る。この目的のために、無刺激性の不揮発性油、例えば、合成モノ−又はジ−グリセリドを採用し得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は注射用製剤に使用し得る。
【0124】
本発明化合物は薬物を直腸投与するための坐剤の形状でも投与し得る。これらの組成物は、適当な非刺激性の添加物であって、常温では固体であるが、直腸温度では液状であり、従って、直腸内で融解して薬物を放出する添加物と該薬物を混合することにより調製し得る。かかる材料はカカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0125】
局所使用の場合には、本発明化合物を含有するクリーム、ゼリー、溶液又は懸濁液などが採用される。(この適用のために、局所適用には口腔洗浄剤及び含漱剤を含む)
【0126】
本発明の医薬組成物及び方法はさらに上記の病理学的症状の治療に通常適用される本明細書記載の他の治療的に活性な化合物を含み得る。
【0127】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性の阻害を必要とする症状の治療又は予防において、適切な投与量レベルは一般に1日につき患者の体重1kgあたり約0.01ないし500mgであり、これを1回で又は多数回に分けて投与し得る。好ましくは、投与量レベルは1日につき約0.1ないし約250mg/kg;より好ましくは約0.5ないし約100mg/kg/日である。適当な投与量レベルは約0.01ないし250mg/kg/日、約0.05ないし100mg/kg/日、又は約0.1ないし50mg/kg/日である。この範囲内で、投与量は0.05ないし0.5、0.5ないし5又は5ないし50mg/kg/日である。経口投与の場合、該組成物は好ましくは、有効成分1.0ないし1000mgを含有する錠剤、取分け、治療すべき患者に対症的に投与量を調節するために、有効成分1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、及び1000.0mgを含有する錠剤の形状で提供される。該化合物は1日に1〜4回の投与計画、好ましくは1日1回又は2回投与し得る。
【0128】
糖尿病及び/又は高脂血症又は高トリグリセリド血症又はその他の本発明化合物が適応とする疾患を治療又は予防する場合、一般に満足すべき結果を得るには、本発明化合物を動物の体重1kgあたり、1日約0.1mgないし約100mg、好ましくは1日1回の用量、又は1日2〜6回の分割用量で、又は持続性放出の形状で投与する。殆どの大型の哺乳動物の場合、1日あたりの総投与量は約1.0mgないし約1000mg、好ましくは約1mgないし約50mgである。70kgの成人の場合、1日あたりの総投与量は一般に約7mgないし約350mgである。この投与量計画は最適の治療応答を提供するために調整することができる。
【0129】
しかし、理解されるべきことは、いずれの特定の患者についても、具体的な用量レベルと投与回数は変更し得るものであり、採用する具体的化合物の活性、その化合物の代謝安定性と作用時間、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与様式と時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定症状の重症度、及び治療を受ける宿主などに左右されることである。
【0130】
本発明化合物を調製するための合成方法について、以下の反応工程図及び実施例にて説明する。出発原料は市販品として入手可能であるか、又は技術上既知の方法にしたがって、又は本明細書に説明するように作製し得る。
【0131】
本発明化合物は種々の改変方法により、式IIで示されるアミノへテロ環状中間体及び一般式IIIで示されるようなα,β−不飽和ニトリル中間体から出発して製造し得る。これら中間体の調製及び式Iで示される化合物への変換について、以下の反応工程図にて説明する。
【0132】
【化20】

【0133】
(ただし、式中、A、R、及びZは上記定義のとおりである;YはCN又はC(S)NHであり、XはH又は脱離基である)
【0134】
【化21】

【0135】
式IIで示される化合物は市販品として入手可能であるか、文献上既知であるか、又は当業者が熟知する様々な方法により簡便に調製することができる。AがNである場合のIIへの一般的ルートを反応工程図1にて説明する。アミノグアニジン(1)を酸又は酸誘導体2(ただし、Lは脱離基である(例えば、R(CO)Lがカルボン酸、エステル、酸無水物、又は酸塩化物である))又はイミノエーテル3(Rは典型的にはメチル又はエチルである)と加熱下に反応させアミノトリアゾールIIとする。この変換に有用な文献は以下のとおりである:F.Kurzer and L.E.A.Godfrey,Angew.Chem.,75,1157(1963);S.C.Bell,USP4,347,362(1982);C.A.Lipinski et al.,J.Med.Chem.,28,1628(1985);V.V.Kiseleva et al.,Izv.Akad.Nauk SSSR,Ser.Khim.,2075(1990);A.A.Abdel−Hafez et al.,Arzneim.−Forsch.,52,833(2002);及びT.Akbarzadeh et al.,Bioorg.Med.Chem.,11,769(2003)。
【0136】
【化22】

【0137】
反応工程図2に図示するように、式II(A=N)で示されるアミノトリアゾール(ただし、RはRO−、RS−、又はRN−である)は簡便にはヒドラジンと適切なN−シアノアゾメチン4(ただし、Xはメトキシ、エトキシ、又はメチルチオなどの脱離基である)との反応により合成し得る[B.T.Heitke and C.G.McCarty,J.Org.Chem.,39,1522(1974)]。
【0138】
【化23】

【0139】
式IIで示される中間体(ただし、AはCRである)への一般的ルートを反応工程図3に示す。構造5のニトリル誘導体を適当な強塩基(例えば、カリウムtert−ブトキシド、ブチルリチウム、ナトリウムアミド、又は水素化ナトリウム)で処理してアニオンを形成させ、次いでエステル6(又は関連誘導体)で処理してアシル化産物7とする;これはエノール型8と平衡にある。続いて、例えば、エタノール中、還流下にヒドラジンと反応させ、構造IIで示されるアミノピラゾールとする。この変換の有用な文献は以下のとおりである:E.L.Anderson et al.,J.Med.Chem.,7,259(1964);K.Takahashi et al.,Synthesis,794(1985);E.Lunt et al.,J.Med.Chem.,30,357(1987);D.Fouque et al.,Synth.Commun.,25,3443(1995);T.Honma et al.,J.Med.Chem.,44,4628(2001);N.Sato et al.,J.Med.Chem.,46,666(2003)。エノールエーテル又はエナミン類似体を経由する8への同様の合成もまた周知である[例えば、H.Baganz et al.,Chem.Ber.,98,(1965);E.Alcade et al.,J.Heterocycl.Chem.,11,423(1974);K.M.Dawood et al.,J.Chem.Res.(S),208(1998);及びV.N.Belov et al.,Eur.J.Org.Chem.,551(2003)]。
【0140】
【化24】

【0141】
反応工程図4に示すように、マロン酸ニトリル(9)とアルデヒド10との縮合は、一般にアルコール溶媒中でピペリジンなどの触媒の存在下に実施し、中間体III(X=H、Y=CN)を得る[参照例:M.Boehringer et al.WO03/068757(2003);A.M.Shestapalov et al.,Chem.Heterocycl.Compd.(Engl.Transl.of Khim.Geterotsikl.Soedin.),38,1345(2002);A.J.Fatiadi,Synthesis,165(1978);R.F.Silver et al.,Can.J.Chem.,45,1001(1967)]。同様に、9と2−シアノチオアセトアミド(11)との縮合はIII[X=H、Y=C(S)NH]を生じる[J.S.A.Brunskill and A.De,J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,629(1978)]。N,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミンの存在下、9と酸クロリド12との反応は付加体13を生じる;このものはジアゾメタン又は(トリメチルシリル)ジアゾメタンでメチル化して、III[X=OMe、Y=CN]とする[参照例:G.C.Hirst et al.US2002/0156081;T.Aoyama et al.,Chem.Pharm.Bull.,32,3759(1984)]。脱離基X=SMe又はNRである類似体III(Y=CN)も調製し得る[参照例:Y.Tominaga et al.,Heterocycles,26,613(1987);Y.Tominaga et al.,J.Heterocycl.Chem.,27,647(1990)]。
【0142】
【化25】

【0143】
反応工程図5に示すように、式IIで示されるアミノへテロ環を式IIIで示されるα,β−不飽和ニトリル(X=H、Y=CN)と反応させ、構造14で示される縮合ジヒドロピリミジン(又は互変異性体)を先ず得る[J.J.Vaquero et al.,Synthesis,33(1987);W.Ried and S.Aboul−Fetouh,Tetrahedron,44,7155(1988)]。一般にこの反応はピリジン又はN,N−ジメチルホルムアミドなどの高沸点溶媒中、還流下に実施する。通常、14は単離しない。その代わりに、空気中で加熱を続けると、芳香族へテロ環15への同時酸化が一般に起こる[参照例:A.M.S.Youssef et al.,J.Korean Chem.Soc.,45,448(2001);A.A.Hassanien et al.,J.Chinese Chem.Soc.,47,1273(2000);F.M.Abdelrazek,J.Prakt.Chem.,331,475(1989);S.A.S.Ghozlan and A.Z.A.Hassanian,Tetrahedron,58,9423(2002);M.H.Elnagdi et al.,Collect.Czech.Chem.Commun.,54,1082(1989);A.Al−Enzy et al.,J.Chem.Res.(M),116(1997)]。空気酸化が満足し得るほどに進行しない一部の事例では、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)などの酸化剤を加え、その混合物を外気温で攪拌する[J.J.Vaquero et al.,Synthesis,33(1987)]か、又は加熱して酸化を完結させる。15のシアノ基は分子内の官能基の適合性に応じて、種々の方法でアミノメチルに還元し得る。反応工程図5はボラン−テトラヒドロフラン複合体による簡便な還元を示す。メタノールと過剰の濃塩酸水により、必要により加熱しながら処理すると、得られるアミン−ボラン複合体からアミンが放出される。これにより式Iの産物が生成する。IIと酸化状態のより高いIII(X=OMe、SMe、又はNHなど)とを同様の条件下で反応させると、直接15を生じる[参照例:Y.Tominaga et al.,Chem.Pharm.Bull.,33,962(1985);W.Ried and S.Aboul−Fetouh,Tetrahedron,44,7155(1988);A.G.A.Elagamey and F.M.A.−A.El−Taweel,J.Prakt.Chem.,333,333(1991)]。しかし、殆どの場合に、反応工程図5に示すように、15(ただし、Zはアリール又はヘテロアリールである)が卓越した収率で、III(X=H)を使用することにより得られる。また、マロン酸ニトリル由来のIII(X=H;Y=CN)の代わりに2−シアノチオアセトアミド由来のIII(X=H;Y=C(S)NH)を使用すると、一般構造15の中間体が得られる[S.M.Hussain et al.,Tetrahedron,44,241(1988);S.M.Hussain et al.,Indian J.Chem.,27B,421(1988)]。
【0144】
留意すべきことは、IIとIIIの縮合が1種を超える位置異性体産物を生じ得ること、また15が常に主要な異性体であるとは限らないことである。このタイプの反応においては、位置異性についての観点と構造帰属のスペクトル分析法が文献にて考察されている:参照例:A.M.S.Youssef et al.,J.Korean Chem.Soc.,45,448(2001);A.A.Hassanien et al.,J.Chinese Chem.Soc.,47,1273(2000);M.H.Elnagdi et al.,Collect.Czech.Chem.Commun.,54,1082(1989)。さらに、式IIで示されるアミノトリアゾール出発原料の場合、縮合反応の際に形成される1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリミジン異性体が、引き続くボラン還元の酸性処理の際に、一般的により安定な1,2,4−トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン異性体(すなわち、式I、A=N)に転移し得る。かかる転移反応は文献上よく知られている[D.J.Brown and T.Nagamatsu,Aust.J.Chem.,30,2515(1977);H.S.El Khadem et al.,Heterocycles,28,239(1989)]。
【0145】
【化26】

【0146】
反応工程図6は式Iで示される化合物(ただし、W及び/又はW=C1−4アルキル)の代表的な、合成法を図示するが、これに限定されるものではない。15の一級アミノ基を完全に保護することが第一に有利である。これはジメチルスルホキシド又はN,N−ジメチルホルムアミドなどの無水の極性溶媒中、15を水素化ナトリウムと過剰のハロゲン化アリールメチル16(例えば、塩化4−メトキシベンジル又は臭化ベンジル)で処理することにより実施し得る[類似のアルキル化反応についての参照例:S.Kataoka et al.,Chem.Pharm.Bull.,38,3147(1990);G.B.Evans et al.,J.Org.Chem.,69,2217(2004)]。あるいは、17は異なるルートで調製してもよい;その場合、アミノ基は保護した形状で導入する。従って、シアノ酢酸エチルを反応工程図4におけると同様の条件でアルデヒド10と縮合させ、付加体19とする。反応工程図5のような、II及びIII(X=H)からの15の合成と同様に、19は空気の存在下に式IIで示されるアミノへテロ環と縮合させ、縮合ピリミジノール20とすることができる[参照例:M.H.Elnagdi et al.,Collect.Czech.Chem.Commun.,54,1082(1989);F.M.Abdelrazek,J.Prakt.Chem.,331,475(1989);F.M.Abdelrazek et al.,Egypt.J.Chem.,42,75(1999);A.A.Hassanien et al.,J.Chinese Chem.Soc.,47,1273(2000)]。20をオキシ塩化リンで処理(通常、上昇温度で、選択肢としてN,N−ジメチルアニリンなどの三級アミンの存在下)して、クロロへテロ環21とする[参照例:類似調製の報文:W.A.Kleshick and J.Bordner,J.Heterocycl.Chem.,26,1489(1989);Y.Tominaga et al.,Chem.Pharm.Bull.,33,962(1985);T.Novinson et al.,J.Med.Chem.,25,420(1982);J.S.Bajwa and P.J.Sykes,J.Chem.Soc.Perkin Trans 1,3085(1979)]。次いで、21のクロロ基をビス(アリールメチル)アミン22[例えば、ビス(4−メトキシベンジル)アミン、ビス(2,4−ジメトキシベンジルアミン)又はジベンジルアミン]と置き換えて17とする[類似反応についての参照例:V.Mesguiche et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,13,217(2003);M.J.Krische et al.,Helv.Chim.Acta,81,1921(1998);G.Berecz et al.,J.Heterocycl.Chem.,39,703(2002);Y.Tominaga et al.,Chem.Pharm.Bull.,33,962(1985);T.Novinson et al.,J.Med.Chem.,25,420(1982)]。
【0147】
グリニャール試薬WMgBr、WMgCl、又はWMgIを17のニトリル基に付加し、次いで、中間体イミンをメタノール中、水素化ホウ素ナトリウムで還元[E.Leclerc et al.,J.Org.Chem.,67,8928(2002)]することにより、隣接する炭素にモノアルキル置換基を有するアミン23を得る。17と3当量の二塩化アルキルセリウムWCeCl[アルキルリチウムWLi(例えば、メチルリチウム)を乾燥塩化セリウム(III)に低温度添加することにより反応液中で調製]との反応は、gem−ジ置換誘導体24を生じる[同様の参照例:E.Ciganek,J.Org.Chem.,57,4521(1992);V.Fedij et al.,Tetrahedron:Asymmetry,5,1131(1994);V.Fedij et al.,USP5,347,017(1994)]。また、チタニウム・テトライソプロポキシドの存在下に17と臭化エチルマグネシウムを反応させ、次いで、三フッ化ホウ素・エーテル複合体で処理すると[P.Bertus and J.Szymoniak,J.Org.Chem.,67,3965(2002);P.Bertus and J.Szymoniak,Synlett.,265(2003)]、1−アミノシクロプロピル誘導体25が生じる。関連するジエチル亜鉛を用いての1−アミノシクロプロピル誘導体の合成[S.Wiedemann et al.,Org.Lett.,5,753(2003)]も採用し得る。最後に、中間体23〜25を脱保護して式Iで示される化合物とする。一部の類似の脱保護反応は以下のように行う:(1)60℃でトリフルオロ酢酸使用[Ar=4−メトキシフェニルの場合:V.Mesguiche et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,13,217(2003)];(2)濃塩酸とメタノールの混合物を還流[Ar=4−メトキシフェニルの場合:G.B.Evans et al.,J.Med.Chem.,46,5271(2003)];(3)2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)[Ar=2,4−ジメトキシフェニルの場合:M.J.Krische et al.,Helv.Chim.Acta,81,1921(1998)];又は(4)ジクロロメタン中40℃でトリフルオロメタンスルホン酸[Ar=フェニルの場合:D.L.Boger et al.,J.Org.Chem.,57,4333(1992)]。
【0148】
式Iで示されるアミンは要すれば、再結晶、粉砕、分取薄層クロマトグラフィー、文献(W.C.Still et al,J.Org.Chem.,43,2923(1978))記載のシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィー、又はHPLCなどにより望ましくない副産物から精製する。HPLCにより精製される化合物は対応する塩として単離し得る。中間体の精製は同じ方法で実施し得る。
【0149】
中間体又は最終産物は、例えば、R及び/又はR置換基の操作によりさらに修飾することができる場合もある。これらの操作は限定されるものではないが、還元、酸化、アルキル化、アシル化、及び加水分解反応などであり、当業者が常識とするものである。これらの変換の二三の例を下記反応工程図7及び8にて説明する。
【0150】
【化27】

【0151】
官能基変換の一例を反応工程図7に示す。このように、26のメチルチオ置換基はm−クロロ過安息香酸により対応するスルホン27に酸化し得る。中間体26及び27は次いで反応工程図5に示すように、それぞれ個々に還元して、目的化合物I−c及びI−dとする。
【0152】
【化28】

【0153】
反応工程図8はニトリルの還元に際し、どのようにいくつかの置換官能基をさらに変換し得るかを示す。従って、ピラゾロ部分にエステル置換基を有する28は、ボラン還元により、未変化のエステルI−e、ヒドロキシメチルI−f、及びメチルI−gなどの複数の生成物を生じ得る。同様に、29の結合したピラジン環と30の縮合ピリジン環は、ニトリルとして同時に還元され、それぞれI−h及びI−iを生じ得る。
さらなる種々の官能基について操作することが可能であり、それらは当業者の承知するところである。
【0154】
前記反応工程図を実施する順番を変えて、反応を容易にしたり、又は望ましくない反応産物を回避することができる場合もある。以下の例は本発明をより完全に理解してもらうためのものである。これらの例は説明のためのみのものであり、いかなる方法でも本発明を限定しようとするものではない。
【0155】
【化29】

【0156】
(2,4−ジクロロベンジリデン)マロン酸ニトリル
本物質は文献(M.Boehringer et al.、WO03/068748)記載の方法に従って、マロン酸ニトリルと2,4−ジクロロベンズアルデヒドから調製した。
【0157】
【化30】

【0158】
(2,4−ジメチルベンジリデン)マロン酸ニトリル
本物質は文献(M.Boehringer et al.、WO03/068748)記載の方法に従って、マロン酸ニトリルと2,4−ジメチルベンズアルデヒドから調製した。
【0159】
【化31】

【0160】
(メシチルメチレン)マロン酸ニトリル
文献(M.Boehringer et al.,WO03/068748)記載の方法と同様に、25g(169mmol)のメシトアルデヒド(2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド)、13.5g(204mmol)のマロン酸ニトリル及び70mLのn−ブタノールからなる溶液を室温で1時間攪拌し、次いで、0.4mLのピペリジンを滴下処理した;色が変化し、沈殿が生じた。5時間後に混合物をフリーザー(−20℃)で10分間冷却し、次いで濾過した。固形物を冷n−ブタノールで3回洗浄し、次いで乾燥して標題化合物を白色固体として得た。LC−MS197(M+1)。本物質は同様の方法で作製されるとの報告がある[A.M.Shestapalov et al.,Chem.Heterocycl.Compd.(Engl.Transl.of Khim.Geterotsikl.Soedin.),38,1345(2002)]。
【0161】
【化32】

【0162】
[(3,5−ジクロロピリジン−2−イル)メチレン]マロン酸ニトリル
中間体3に使用した方法により、3,5−ジクロロピリジン−2−カルバルデヒド(R.Bonjouklian et al.,WO02/081482)及びマロン酸ニトリルを反応させて、標題化合物を暗緑色粉末として得た。LC−MS224(M+1)。
【0163】
【化33】

【0164】
(2,4,6−トリクロロベンジリデン)マロン酸ニトリル
中間体3に使用した方法により、2,4,6−トリクロロベンズアルデヒド(S.Banfi et al.,J.Chem.Soc.Perkin Trans.2,871(2000))及びマロン酸ニトリルを反応させて、標題化合物をピンク色固体として得た。LC−MS257(M+1)。
【0165】
【化34】

【0166】
(4−クロロ−2−メトキシベンジリデン)マロン酸ニトリル
工程A:4−クロロ−2−メトキシベンズアルデヒド
文献記載の一般法(R.A.Miller and R.S.Hoerrner,Org.Lett.,5,285(2003))に従い、4−クロロ−2−メトキシベンジルアルコール(2.5g、14.1mmol、97%純度に基づく)及びトルエン(35mL)の溶液を水(35mL)と重炭酸ナトリウム(3.54g、42.3mmol)で処理した。得られる2相混合物を外気温で攪拌し、これにヨウ素(7.2g、28.2mmol)を加え、次いで2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ・フリーラジカル(TEMPO)(0.223g、1.41mmol)を加えた。3日後、暗色の混合物を5℃に冷やし、亜硫酸ナトリウム(1.8g)/水(18mL)を加えて失活させた。この混合物を酢酸エチルと水に分配した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で、次いで食塩水で洗った。有機層を次いで無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。上澄みを約5mLの容量まで濃縮し、5℃に1時間保持した。分離した固体をフィルター上に集め、少量の冷却トルエンで2回洗い、減圧乾燥して標題化合物を白色固体として得た。LC−MS171(M+1)。
【0167】
工程B:(4−クロロ−2−メトキシベンジリデン)マロン酸ニトリル
中間体3に使用した方法により、工程Aからの4−クロロ−2−メトキシベンズアルデヒドをマロン酸ニトリルと反応させて、標題化合物を黄色固体として得た。LC−MS219(M+1)。
さらなる置換ベンジリデンマロン酸ニトリル誘導体(表1)を、中間体1〜6について上に記載した方法により調製した。
【0168】
【表1】

【0169】
【化35】

【0170】
5−(トリフルオロメチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−アミン
標題化合物は文献(V.A.Lopyrev and T.N.Rakhmatulina,J.Gen.Chem.USSR(Engl.Transl.of Zh.Obshch.Khim.),53,1684(1983))記載の方法により調製した。
【0171】
【化36】

【0172】
(3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル)メタノール
標題化合物は文献(N.Bru−Mahniez et al.,USP5,387,747(1995))記載の方法により調製した。
【0173】
【化37】

【0174】
5−ピラジン−2−イル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−アミン
標題化合物は文献(H.L.Yale and J.J.Piala,J.Med.Chem.,9,42(1966))記載の一般的方法により調製した。
【0175】
【化38】

【0176】
5−アミノ−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−オール)
標題化合物は文献(L.E.A.Godfrey and F.Kurzer,J.Chem.Soc.,3437(1960))記載の方法により調製した。
【0177】
【化39】

【0178】
4−(メチルスルホニル)−1H−ピラゾール−3−アミン
標題化合物は文献(E.Lunt et al.,J.Med.Chem.,30,357(1987))記載の方法により調製した。
【0179】
【化40】

【0180】
4−ピリジン−4−イル−1H−ピラゾール−3−アミン
標題化合物は文献(M.E.Fraley et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,2767(2002))記載の方法により調製した。
【0181】
【化41】

【0182】
4−ピリジン−3−イル−1H−ピラゾール−3−アミン
標題化合物は文献(M.E.Fraley et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,2767(2002))記載の方法により調製した。
【0183】
【化42】

【0184】
4−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾール−3−アミン
標題化合物は文献(M.E.Fraley et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,2767(2002))記載の方法により調製した。
【0185】
【化43】

【0186】
4−(4−メチル−1,3−チアゾール−2−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン
標題化合物は中間体18〜20と同様に、文献(M.E.Fraley et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,2767(2002))記載の方法により調製した。
【0187】
【化44】

【0188】
4,6−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−アミン
4−シアノテトラヒドロチオフェノン(1.00g、7.86mmol)とエタノール(6mL)からなる懸濁液に、氷酢酸(0.275mL、286mg、4.76mmol)、次いでヒドラジン水和物(0.475mL、489mg、9.77mmol)を加えた。得られた澄明な溶液を窒素下で80℃の油浴で加熱しながら一夜攪拌した。次いで、冷却した反応混合物を酢酸エチルと飽和重炭酸ナトリウム水溶液に分配した。水層を追加量の酢酸エチルで再抽出した。併合した有機フラクションを飽和塩化ナトリウム水溶液で洗い、次いで、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、濃縮してシロップとした。この油を少量(3%未満)のメタノールを含有するジクロロメタンで摩砕処理し、結晶化させた。この懸濁液を数分間おだやかに加熱還流し、次いで冷却した。固体を濾取し、少容量のジクロロメタンで洗って、標題化合物を殆ど無色結晶として得た。LC−MS142(M+1)。
【0189】
【化45】

【0190】
5−メトキシ−1H−1,2,4−トリアゾール−3−アミン
標題化合物は文献(B.T.Heitke and C.G.McCarty,J.Org.Chem.,39,1522(1974))記載の方法により調製した。
【0191】
【化46】

【0192】
4−メトキシ−1H−ピラゾール−3−アミン
標題化合物は文献(T.Okazaki et al.,USP5,475,114(1995))記載の方法により調製した。
【実施例1】
【0193】
【化47】

【0194】
6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程A:7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリル
157mg(1.87mmol)の3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、417mg(1.87mmol)の(2,4−ジクロロベンジリデン)マロン酸ニトリル(中間体1)及び4.7mLの無水ピリジンからなる溶液を空気の存在下、22時間還流攪拌し、次いで、冷却、減圧濃縮した。残渣を5%クエン酸溶液と酢酸エチル/テトラヒドロフラン(1:1)混合物に分配した。有機層をクエン酸溶液でもう一度洗い、次いで(追加量のテトラヒドロフランを添加した後)飽和塩化ナトリウム水溶液で洗った。併合した水性フラクションを酢酸エチル/テトラヒドロフラン(2:3)混合物で再抽出した。併合した有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィー(2〜3%メタノール/ジクロロメタンでの勾配溶出)により精製し、標題化合物を琥珀色のガラス状物として得た;これをさらに精製することなく使用した。LC−MS305(M+1)。
【0195】
工程B:6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程Aからの7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリル(73.2mg、0.24mmol)と1.2mLの無水テトラヒドロフランとの溶液を窒素下、外気温で攪拌し、これに1.2mL(1.2mmol)の1Mボラン−テトラヒドロフラン複合体をシリンジから約10分間で滴下した。7時間後、混合物に0.36mL(4.32mmol)の濃塩酸を注意深く滴下して不活性化し(ガス発生)、次いで1.2mLのメタノールを添加した。外気温で一夜攪拌した後、溶液を封管に移し、80℃の油浴中で加熱しながら6時間攪拌した。次いで、この溶液を蒸発乾固した。残渣を分取HPLC(C18逆相カラム、0.05%トリフルオロ酢酸含有2〜75%アセトニトリル/水での勾配溶出)により精製して、標題化合物をガラス状物として得た。LC−MS309(M+1)。
【実施例2】
【0196】
【化48】

【0197】
6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルチオ)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程A:7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルチオ)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリル
実施例1、工程Aの方法に従い、市販の5−(メチルチオ)−1H−1,2,4−トリアゾール−3−アミン及び(2,4−ジクロロベンジリデン)マロン酸ニトリル(中間体1)を反応させ、標題化合物を暗褐色固体として得た。LC−MS351(M+1)。
【0198】
工程B:6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルチオ)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
本質的に、実施例1、工程Bの方法により、工程Aからの7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルチオ)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリルを標題化合物に変換して、黄色固体とした。LC−MS355(M+1)。
【実施例3】
【0199】
【化49】

【0200】
6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルスルホニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程A:7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルスルホニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリル
実施例2、工程Aからの7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルチオ)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリル(36mg、0.103mmol)、3−クロロ過安息香酸(56mg、0.25mmol、純度77%に基づく)、及びジクロロメタン(2mL)からなる混合物を外気温で6.5時間攪拌した。溶液を濃縮し、残渣をシリカゲル上の分取薄層クロマトグラフィー(95:5ジクロロメタン/メタノールで展開)により精製して、標題化合物を黄色固体として得た。LC−MS383(M+1)。
【0201】
工程B:6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルスルホニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
標題化合物は、工程Aからの7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(メチルスルホニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリルを本質的に実施例1、工程Bの方法により還元して入手した;ただし、ボラン還元は外気温で超音波浴中での音波処理により実施した。LC−MS387(M+1)。
【実施例4】
【0202】
【化50】

【0203】
6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−ピペラジン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程A:7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−ピラジン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリル
実施例1、工程Aの方法同様に(ただし、精製には5〜10%メタノール/ジクロロメタンによる勾配溶出を使用)、5−ピラジン−2−イル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−アミン(中間体15)及び(2,4−ジクロロベンジリデン)マロン酸ニトリル(中間体1)を反応させ、標題化合物を暗赤橙色固体として得た。LC−MS383(M+1)。
【0204】
工程B:6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−ピペラジン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程Aからの7−アミノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−ピラジン−2−イル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−6−カルボニトリルを実施例3、工程Bの方法に従ってボラン還元することにより、標題化合物を淡黄色固体として得た。LC−MS393(M+1)。
【実施例5】
【0205】
【化51】

【0206】
3−(アミノメチル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−4−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程A:4−アミノ−2−(2,4−ジクロロフェニル)ピリド[2’,3’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリル
市販の1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン−3−アミン及び(2,4−ジクロロベンジリデン)マロン酸ニトリル(中間体1)を実施例1、工程Aの方法に従い反応させ、粗製産物を分取HPLC(C18逆相カラム、0.05%トリフルオロ酢酸含有10〜80%アセトニトリル/水にて勾配溶出)により精製して、標題化合物を黄色固体として得た。LC−MS355(M+1)。
【0207】
工程B:3−(アミノメチル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−7,8,9,10−テトラヒドロピリド[2’,3’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−4−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程Aからの4−アミノ−2−(2,4−ジクロロフェニル)ピリド[2’,3’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリルを実施例3、工程Bの方法に従って、ボラン還元し、標題化合物を得た。LC−MS363(M+1)。
【実施例6】
【0208】
【化52】

【0209】
7−アミノ−6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
工程A:7−アミノ−6−シアノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル
市販の3−アミノ−4−カルベトキシピラゾール及び(2,4−ジクロロベンジリデン)マロン酸ニトリル(中間体1)を実施例1、工程Aの方法に従い反応させ、粗製産物を分取HPLC(C18逆相カラム、0.05%トリフルオロ酢酸含有30〜80%アセトニトリル/水による勾配溶出)により精製して、標題化合物を赤みがかった橙色固体として得た。LC−MS376(M+1)。
【0210】
工程B:7−アミノ−6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
工程Aからの7−アミノ−6−シアノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチルを実施例1、工程Bの方法に従って、ボラン還元し、[副生物から分離した後(実施例7参照)]標題化合物を淡黄色固体として得た。LC−MS380(M+1)。
【実施例7】
【0211】
【化53】

【0212】
[7−アミノ−6−(アミノメチル)−5−(2,4−ジクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−イル]メタノール・トリフルオロ酢酸塩
実施例6、工程Aからの7−アミノ−6−シアノ−5−(2,4−ジクロロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチルを実施例1、工程Bの方法に従って、ボラン還元し、[副生物から分離した後(実施例6参照)]標題化合物を淡黄色固体として得た。LC−MS338(M+1)。
【実施例8】
【0213】
【化54】

【0214】
7−アミノ−6−(アミノメチル)−5−メシチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
工程A:7−アミノ−6−シアノ−5−メシチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル
3−アミノ−4−カルベトキシピラゾール(155mg、1mmol)、(メシチルメチレン)マロン酸ニトリル(196mg、1mmol)及び無水ピリジン(3mL)からなる溶液を空気中、還流下に3日間攪拌し、次いで冷却し、減圧濃縮した。LC−MSが相当量のジヒドロ中間体の存在を示したので、2,3−ジクロロ−5,6−シアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(112mg、0.49mmol)とイソプロパノール(3mL)を残渣に加えて、その混合物を外気温で1時間攪拌した。混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィー(2%メタノール/ジクロロメタンで溶出)により精製し、標題化合物を橙色固体として得た。LC−MS350(M+1)。
【0215】
工程B:7−アミノ−6−(アミノメチル)−5−メシチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル・トリフルオロ酢酸塩
工程Aからの7−アミノ−6−シアノ−5−メシチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチルを実施例1、工程Bの方法に従って、ボラン還元し、[実施例9に相当する副生物から分離した後]標題化合物を褐色固体として得た。LC−MS354(M+1)。
【実施例9】
【0216】
【化55】

【0217】
6−(アミノメチル)−5−メシチル−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程A:7−アミノ−6−シアノ−5−メシチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル
実施例8、工程Aの変法として、3−アミノ−4−カルベトキシピラゾール(5.69g、36.7mmol)、(メシチルメチレン)マロン酸ニトリル(中間体3)(6.00g、30.6mmol)及び無水ピリジン(34mL)からなる溶液を空気中、還流下に6日間攪拌した。暗色の溶液を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィー(20〜50%酢酸エチル/ヘキサンによる勾配溶出)に付し、他の位置異性体の混入する粗製産物を暗色固体として得た。この物質を少量の酢酸エチルを含有するジエチルエーテルに溶解した。ヘキサンを加え、暗色の粘つく固体を沈殿させた。この半固形物を集め、ジクロロメタン/メタノール(9:1)に再溶解した。ヘキサンを加えて沈殿させた。沈殿を濾取し、標題化合物を黄色固体として得た。LC−MS350(M+1)。
【0218】
工程B:6−(アミノメチル)−5−メシチル−3−メチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン・トリフルオロ酢酸塩
工程Aからの7−アミノ−6−シアノ−5−メシチルピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸エチル(1.05g、3mmol)と無水テトラヒドロフラン(12mL)との溶液を窒素下、外気温で攪拌し、これに1Mボラン−テトラヒドロフラン複合体/テトラヒドロフラン(12mL、12mmol)をシリンジからゆっくり加えた。この混合物を超音波浴中、音波処理により一夜攪拌した。次に、混合物に3.6mLの濃塩酸(43mmol)を注意深くゆっくりと加えて不活化し(ガス発生)、次いでメタノール約50mLを加えた。得られる溶液を還流下に2時間攪拌し、次いで蒸発乾固させた。残渣の泡状物を分取HPLC(C18逆相カラム、0.05%トリフルオロ酢酸含有5〜37%アセトニトリル/水による勾配溶出)により精製し、標題化合物を白色固体として得た。LC−MS296(M+1)。
【実施例10】
【0219】
【化56】

【0220】
3−(アミノメチル)−2−メシチル−7H,9H−チエノ[3’,4’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−4−アミン
工程A:4−アミノ−2−メシチル−7H,9H−チエノ[3’,4’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリル
4,6−ジヒドロ−1H−チエノ[3,4−c]ピラゾール−3−アミン(中間体21)(284mg、2.01mmol)、(メシチルメチレン)マロン酸ニトリル(中間体3)(395mg、2.01mmol)及び無水ピリジン(5mL)からなる溶液を空気中、還流下に一夜(硫酸カルシウム乾燥管により湿気遮断)攪拌し、次いで冷却、減圧濃縮した。残渣を20mLのメタノール中で攪拌し、濾過して一部の不溶物を除き、不溶物はさらに5mLのメタノールで洗浄した。併合した濾液と洗浄液を濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィー(5〜15%酢酸エチル/ヘキサンによる勾配溶出)により精製し、標題化合物を固体として得た。LC−MS336(M+1)。
【0221】
工程B:3−(アミノメチル)−2−メシチル−7H,9H−チエノ[3’,4’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−4−アミン
工程Aからの4−アミノ−2−メシチル−7H,9H−チエノ[3’,4’:3,4]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリル(81mg、0.24mmol)及び無水テトラヒドロフラン(1.2mL)の懸濁液を窒素下に超音波浴中で攪拌し、これに1Mボラン−テトラヒドロフラン複合体/テトラヒドロフラン(1.2mL、1.2mmol)をシリンジからゆっくり加えた。この混合物を断続的音波処理により一夜攪拌した。次に、混合物に0.36mLの濃塩酸(4.32mmol)を注意深くゆっくりと加えて不活化し(ガス発生)、次いでメタノール約1.2mLを加えた。得られる溶液を封管中、80℃の油浴中で4時間加熱攪拌した。この溶液を蒸発乾固し、メタノールから2回再濃縮した。残渣を予め洗浄したSCXイオン交換カートリッジを通して、遊離塩基の形状に変換した。カラムにメタノールをさっと流し、トリフルオロ酢酸を除去した後、1Mアンモニア/メタノールで溶出して粗製産物を得た。さらにシリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール/濃水酸化アンモニウム(98:2:0.4)による溶出)により精製し、標題化合物を得た。LC−MS340(M+1)。
【0222】
本質的に実施例1〜10に概説した方法に従い、表2及び3に掲載した化合物を本明細書に記載した中間体から調製した。
【0223】
【表2】

【0224】
【表3】

【0225】
【表4】

【0226】
【表5】

【0227】
【表6】

【0228】
医薬製剤例
経口医薬組成物の具体的態様として、1錠100mgの効力の錠剤は、実施例1〜10のいずれか100mg、微結晶セルロース268mg、クロスカルメロースナトリウム20mg、及びステアリン酸マグネシウム4mgから構成される。有効成分、微結晶セルロース及びクロスカルメロースを先ず混合する。次いで、この混合物をステアリン酸マグネシウムで滑沢化し、錠剤に圧縮する。
【0229】
本発明について、その一部の特定態様を参照しながら記載、説明したが、当業者はその方法及びプロトコールの種々の適応、変更、修飾、置換、削除、又は追加が、本発明の精神と範囲を逸脱することなくなし得ることを認識しよう。例えば、本明細書にすでに示した特定の投与量以外の有効な投与量も、上記本発明化合物の適応のために治療すべき哺乳動物の反応性の多様性の結果によっては適用し得る。観察される具体的な薬理学的反応は、選択した特定の活性化合物に応じて、またそれに左右されて、あるいは医薬担体が存在するかどうか、ならびに製剤のタイプ及び採用した投与形態により変わり得るものであり、このように予測される結果の多様性又は差異は本発明の目的と実践に応じて考慮されるものである。従って、本発明は上記の請求項の範囲によって規定されるべきであり、またかかる請求項は合理的な範囲で限りなく広く解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
各nは、独立して、0、1、2、又は3であり;
AはN又はCRであり;
及びWは独立してH又はC1−4アルキルであるか、あるいは、
及びWはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、3ないし6員の炭素環を形成し;
Zはフェニル又はピリジルであり、それらは各々、1個ないし5個のR置換基で置換されており;
及びRはそれぞれ独立して、
(1)水素
(2)C1−10アルキル(ここで、該アルキルは、置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR
(e)S(O)1−2
(f)SONR
(g)NR
(h)NHSO
(i)N(C1−6アルキル)SO
(j)NHCONR
(k)N(C1−6アルキル)CONR
(l)NHCO
(m)N(C1−6アルキル)CO
(n)OCONR
(o)CN、
(p)COH、
(q)CO1−6アルキル、
(r)CONR、及び
(s)フェニル(該フェニルは、置換されていないか、又はハロゲン、CN、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)から独立して選択される1ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)フェニル(該フェニルは、置換されていないか、又はハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(4)(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(5)(CH)n−へテロシクリル(該ヘテロシクリルは置換されていないか、またはオキソ、ハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、およびCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(6)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されているか、あるいは、該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)、
(7)ヒドロキシ、
(8)OR
(9)SR
(10)S(O)1−2
(11)SONR
(12)NR
(13)NHSO
(14)N(C1−6アルキル)SO
(15)NHCONR
(16)N(C1−6アルキル)CONR
(17)NHCO
(18)N(C1−6アルキル)CO
(19)OCONR
(20)CN、
(21)COH、
(22)CO1−6アルキル、
(23)CONR、及び
(24)ハロゲン;
からなる群より選択されており;
又はR及びRはそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5ないし6員の芳香族、ヘテロアリール、炭素環、又はヘテロ環を形成し(該環は、置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており、また、該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている);
各Rは独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)C1−6アルコキシ(該アルコキシは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(6)O(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)からなる群より選択され;
は置換されていないC1−6アルキルであるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;及び
及びRはそれぞれ独立して、
(1)水素、
(2)C1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また、該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている);及び
(4)(CH)n−フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されているか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)からなる群より独立して選択され;
又はR及びRはそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンから選択されるヘテロ環を形成し;該へテロ環は置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)で表される化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
式Ia:
【化2】

で表されるように、AがNである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
及びWがHである請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Zが2個ないし5個のR置換基で置換されたフェニルであり;
各nが独立して0、1、2、又は3であり;
が、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR、及び
(e)NRから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)OR
(6)SR、及び
(7)NR
からなる群より選択され;
各Rが独立して、
(1)ハロゲン、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)C1−4アルコキシ(該アルコキシは置換されていない、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(6)O(CH)n−へテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)からなる群より選択され;
がC1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基でされている)であり;
及びRがそれぞれ独立して、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−4アルキル、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)
からなる群より選択されるか、
又はR及びRがそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンから選択されるヘテロ環を形成する、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
式Ib:
【化3】

で表されるように、AがCRである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
及びWがHである請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Zが2個ないし5個のR置換基で置換されたフェニルであり;
各nが独立して0、1、2、又は3であり;
が、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR、及び
(e)NRから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)OR
(6)SR、及び
(7)NR;からなる群より選択されるものであり;
が、
(1)水素、
(2)C1−10アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR
(e)S(O)1−2
(f)SONR
(g)NR
(h)NHSO
(i)N(C1−6アルキル)SO
(j)NHCONR
(k)N(C1−6アルキル)CONR
(l)NHCO
(m)N(C1−6アルキル)CO
(n)OCONR
(o)CN、
(p)COH、
(q)CO1−6アルキル、
(r)CONR、及び
(s)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、CN、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)から独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、R、OH、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(5)(CH)n−へテロシクリル(該ヘテロシクリルは置換されていないか、又はオキソ、ハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(6)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)、
(7)ヒドロキシ、
(8)OR
(9)SR
(10)S(O)1−2
(11)SONR
(12)NR
(13)NHSO
(14)N(C1−6アルキル)SO
(15)NHCONR
(16)N(C1−6アルキル)CONR
(17)NHCO
(18)N(C1−6アルキル)CO
(19)OCONR
(20)CN、
(21)COH、
(22)CO1−6アルキル、
(23)CONR、及び
(24)ハロゲン;からなる群より選択されるか、
又はR及びRがそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5ないし6員の芳香族、ヘテロアリール、炭素環、又はヘテロ環を形成し;
各Rが、
(1)ハロゲン、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)C1−4アルコキシ(該アルコキシは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(6)O(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)からなる群より独立して選択され;
が置換されていないC1−6アルキルであるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されたC1−6アルキルであり;
及びRが、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−4アルキル、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)からなる群より選択されるものであるか、
又はR及びRがそれらが結合する窒素原子と一緒になって、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、及びモルホリンから選択されるヘテロ環を形成する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
式Ic:
【化4】

[式中、
各nは独立して0、1、2、又は3であり;
AはN又はCRであり;
はクロロ又はメチルであり(メチルは置換されていないか、又は1個ないし3個のフッ素原子で置換されている);
は、
(1)水素、
(2)ハロゲン、
(3)C1−6アルキル(該アルキルは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)C1−6アルコキシ(該アルコキシは置換されていないか、又はハロゲン、ヒドロキシ、及びC1−4アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(5)ヒドロキシ、
(6)O(CH)n−アリール(該アリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、及び
(7)O(CH)n−へテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、メチル、ヒドロキシ、及びメトキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている);からなる群より選択され;
は、
(1)水素、
(2)C1−4アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR、及び
(e)NRから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)ヒドロキシ、
(5)OR
(6)SR、及び
(7)NRからなる群より選択され;
は、
(1)水素、
(2)C1−10アルキル(該アルキルは置換されていないか、又は
(a)ハロゲン、
(b)ヒドロキシ、
(c)OR
(d)SR
(e)S(O)1−2
(f)SONR
(g)NR
(h)NHSO
(i)N(C1−6アルキル)SO
(j)NHCONR
(k)N(C1−6アルキル)CONR
(l)NHCO
(m)N(C1−6アルキル)CO
(n)OCONR
(o)CN、
(p)COH、
(q)CO1−6アルキル、
(r)CONR、及び
(s)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、CN、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)から独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(3)フェニル(該フェニルは置換されていないか、又はハロゲン、R、OH、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されている)、
(4)(CH)n−ヘテロアリール(該ヘテロアリールは置換されていないか、又はハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(5)(CH)n−へテロシクリル(該ヘテロシクリルは置換されていないか、又はオキソ、ハロゲン、OH、R、OR、NHSO、N(C1−6アルキル)SO、SO、SONR、NR、CONR、CN、COH、及びCO1−6アルキルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されている)、
(6)(CH)n−C3−6シクロアルキル(該シクロアルキルは置換されていないか、又はハロゲン、OH、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシから独立して選択される1個ないし5個の置換基で置換されており;また該アルキル及び該アルコキシは置換されていないか、又は1個ないし5個のハロゲンで置換されている)、
(7)ヒドロキシ、
(8)OR
(9)SR
(10)S(O)1−2
(11)SONR
(12)NR
(13)NHSO
(14)N(C1−6アルキル)SO
(15)NHCONR
(16)N(C1−6アルキル)CONR
(17)NHCO
(18)N(C1−6アルキル)CO
(19)OCONR
(20)CN、
(21)COH、
(22)CO1−6アルキル、
(23)CONR、及び
(24)ハロゲンからなる群より選択されるか;
又はR及びRがそれらが結合する炭素原子と一緒になって、5ないし6員の芳香族、ヘテロアリール、炭素環、又はヘテロ環を形成する、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
【化5】

【化6】

【化7】

からなる群より選択される請求項1記載の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
請求項1記載の化合物及び医薬的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物における高血糖症、2型糖尿病、肥満、及び脂質障害からなる群より選択される症状の治療に使用する医薬の製造における請求項1記載の化合物の使用。
【請求項12】
当該脂質障害が、異常脂肪血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、及び高LDLからなる群より選択されるものである請求項11記載の使用。
【請求項13】
さらにメトホルミンを含有してなる請求項10記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−527011(P2008−527011A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551474(P2007−551474)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/001660
【国際公開番号】WO2006/078676
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】