説明

糖脂質誘導体、その製造方法並びにそれを有効成分とする医薬

【課題】抗腫瘍剤、免疫賦活剤として有用α−S−グルコシド結合を有する糖脂質誘導体及びその製造方法、並びにこれを有効成分とする薬剤を提供する。
【解決手段】次式の一般式(I):
【化1】


[式中、Wは炭素数9〜17の飽和又は不飽和炭素鎖であり、更に水酸基を含む場合もある。Xは炭素数11〜25の飽和又は不飽和炭素鎖であり、更に水酸基を含む場合もある。Yは−S(O)0〜2CH―を表す。Zは−CO−又は−SO−を表す。Rは−CHOH、−COH、−COOCHCOH又は−CHOSOH基を、Rは−OH、−NH又は−NHAc基を表す。]
によって示される化合物又は薬学的に許容し得る塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗腫瘍剤及び免疫賦活剤として有用な新規糖脂質誘導体、その製造方法並びにそれを有効成分とする医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
糖脂質は細胞の分化、増殖、神経細胞の成長等に重要な役割を担っている(非特許文献1、非特許文献2)。また、α−ガラクトシルセラミドは強力な抗腫瘍活性や免疫賦活活性を有することが報告されている(非特許文献3、非特許文献4)。更に、α−ガラクトシルセラミドは、β−ガラクトシルセラミドに比べ、その抗腫瘍活性や免疫賦活活性が強力であることが報告されている(非特許文献5、非特許文献6)。
【0003】
しかし、ガラクトシルセラミドを医薬として体内投与するとリソゾーム等に存在するガラクトシダーゼなどの酵素により、グルコシド結合が加水分解されることが予想される(非特許文献7)。グルコシダーゼ代謝に安定な糖誘導体として、グルコシド結合の酸素を炭素に変換したC−配糖体が知られている。(非特許文献8、非特許文献9及び非特許文献10)更に、グルコシド結合の酸素原子を硫黄原子に置換したS−配糖体(非特許文献11、非特許文献12)や、グルコシド結合の酸素原子を窒素原子に置換したN−配糖体(非特許文献13)も知られている。
【0004】
現在までに、ガラクトシルセラミドのグルコシド結合の酸素を炭素に変換した、C−配糖体合成としては、β−C−ガラクトシルセラミド(β−体)の合成が報告されているのみである(非特許文献14)。しかしながら、α−C−ガラクトシルセラミド(α−体)の合成は報告がない。α−C、N、S−グルコシド結合を有するα−体である糖脂質誘導体合成は、α−ガラクトシダーゼにより分解されるα−O−ガラクトシドよりも有用性が期待される。すなわち、強力な抗腫瘍活性や免疫賦活作用を有し、更にグルコシダーゼ代謝、酸・塩基に安定で、且つ室温で長期保存できる等である。
【0005】
【非特許文献1】Hakomoriら,Annu.Rev.Biochem.1981,50,733〜764.
【非特許文献2】Morita,Glycosphingolipids.1985,59〜82, Elsevier Science Publishing Co., New York.
【非特許文献3】Moritaら、J.Med.Chem.1991,38,2176.
【非特許文献4】Kawanoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 1998,95,5690.
【非特許文献5】Kawanoら、Sience.1997, 278,1626〜1629.
【非特許文献6】Sakaiら、J.Med.Chem.1999,42,1836〜1841.
【非特許文献7】Chenら、Biochem.Biophys.Acta.1993,1170,53〜61.
【非特許文献8】Linhardtら、Tetrahedron.1998,54,9913〜9959.
【非特許文献9】Levyら著、「The Chemistry of C-Glycosides.」Pergamon: Oxford,1995.
【非特許文献10】Postemaら著,「C-Glycoside Synthesis. 」CRC Press:Boca Raton,1995.
【非特許文献11】Rahmanら、In Studies in Natural Products Chemistry. Elsevier:New York,1991;vol.8,pp315〜357.
【非特許文献12】Defayeら,J.Carbohydr.Chem.(UK)1998,30,159〜166.
【非特許文献13】Stunkelら,Prog.Leukocyte Biol.1989,9,575〜579.
【非特許文献14】Dondoniら,J.Org.Chem.1991,64,5557〜5564.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、強力な抗腫瘍活性や、免疫賦活作用を有し、グルコシダーゼ代謝、酸・塩基に安定で、且つ室温で長期保存できるα−S−グルコシド結合を有する糖脂質誘導体を、すなわち、既知化合物に比べ高い抗腫瘍活性や免疫賦活作用を有し、且つ室温で長期保存することができ、更に長時間作用持続型の新規糖脂質誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、新規糖脂質誘導体について抗腫瘍剤、免疫賦活剤の創製を目的に研究を行った結果、一般式(I)で示される新規誘導体が優れた抗腫瘍作用、免疫賦活作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は次式の一般式(I)
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、Wは炭素数9〜17の飽和又は不飽和炭素鎖であり、更に水酸基を含む場合もある。Xは炭素数11〜25の飽和又は不飽和炭素鎖であり、更に水酸基を含む場合もある。Yは−S(O)0〜2CH―を表す。Zは−CO−又は−SO−を表す。Rは−CHOH、−COH、−COOCHCOH又は−CHOSOH基を、Rは−OH、−NH又は−NHAc基を表す。]
で示される化合物又は薬学的に許容し得る塩で示される化合物である。また、本発明は、上記一般式(I)で示される化合物又は薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤又は免疫賦活剤である。
また本発明は、
次式の一般式(h):
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、R1、R5は前記と同じであり、Aは−SH基を表す。)
で示される化合物と次式の一般式(i):
【0012】
【化3】

【0013】
(式中、R2、Wは前記と同じであり、Bはメタンスルホニルオキシ基、ハロゲン等の脱離基、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基を表す。)
で示される化合物を塩基存在下グリコシデーション反応させ、次式の一般式(j):
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、R1、R2、R5、Wは前記と同じであり、Qは−S−を表す。)
で示される化合物となし、次いで脱Boc化した後、アミド化又はスルホニル化を行い、さらに脱保護基を行うことを特徴とする次式の一般式(k):
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、R0、X、Z、W、Qは前記と同じである。)
で示される化合物の製造方法である。
また本発明は、次式の一般式(l):
【0018】
【化6】

【0019】
(式中、R0、X、Y、Z、Wは前記と同じである。)
で示される化合物に2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル酸化(TEMPO酸化)、スルホン化又はカルボキシメチル化を行うことを特徴とする一般式(m):
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、R0、X、Y、Z、Wは前記と同じである。R6は−CO2H、−CH2OCH2CO2H又は−CH2OSO3H基を表す。)
で示される化合物の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の新規糖脂質誘導体は高い抗腫瘍活性や免疫賦活作用を有し、グルコシダーゼ代謝、酸・塩基に安定で、且つ室温で長期保存できる。そして、悪性腫瘍の予防、治療剤として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、それ等の化学構造式と分析値を表1〜3に示す。
(1)(3’S,4’S,5’R)−3’−N−ヘキサコサノイルアミノ−4’,5’−ジヒドロキシ−ノナデカン−α−C−D−ガラクトピラノシド(化合物1)
(2)(3’S,4’S,5’R)−3’−N−ヘキサコサノイルアミノ−4’,5’−ジヒドロキシ−1’−(E/Z)−ノナデカン−α−C−D−ガラクトピラノシド(化合物2)
(3)(3’S,4’S,5’R)−3’−N−ペンタコサン スルホニルアミノ−4’,5’−ジヒドロキシ−ノナデカン−α−C−D−ガラクトピラノシド(化合物3)
(4)(5’S,6’S,7’R)−6’,7’−ジヒドロキシ−5’−N−(ヘキサコサノイルアミノ)−(E/Z)−ヘニコス−3’−エニル α−C−D−ガラクトピラノシド(化合物4)
(5)(5’S,6’S,7’R)−6’,7’−ジヒドロキシ−5’−N−(テトラコサノイルアミノ)−(E/Z)−ヘニコス−3’−エニル α−C−D−ガラクトピラノシド(化合物5)
(6)(5’S,6’S,7’R)−6’,7’−ジヒドロキシ−5’−N−(ヘキサコサノイルアミノ)−ヘニコサン−α−C−D−ガラクトピラノシド(化合物6)
(7)(5’S,6’S,7’R)−6’,7’−ジヒドロキシ−5’−N−(テトラコサノイルアミノ)−ヘニコサン−α−C−D−ガラクトピラノシド(化合物7)
(8)(2’S,3’S,4’R)−3’,4’−ジヒドロキシ−2’−N−(ヘキサコサノイルアミノ)−オクタデカン−1’−チオ−イル−α−S−D−ガラクトピラノシド(化合物8)
(9)(3’S,4’S,5’R)−3’−N−ヘキサコサノイルアミノ−4’,5’−ジヒドロキシ−ノナデカン−α−C−D−(6−O−スルホン酸)−ガラクトピラノシド(化合物9)
(10)(3’S,4’S,5’R)−3’−N−ヘキサコサノイルアミノ−4’,5’−ジヒドロキシ−ノナデカン−α−C−D−(6−O−メチレン カルボン酸)−ガラクトピラノシド(化合物10)
(11)(3’S,4’S,5’R)−3’−N−ヘキサコサノイルアミノ−4’,5’−ジヒドロキシ−ノナデカン−α−C−D−ガラクツロン酸(化合物11)
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
以下に本発明の化合物(I)の製造方法の例を説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、各符号は前記と同じである。
(A)セラミド部の合成
I.セラミド前駆体(A-1)はD−Galactoseを出発原料としてSchmidtらの方法(Liebigs Ann.1995,755〜764)により得られる。
化合物(A-1)の一級水酸基をトリチル化、続いて二級水酸基をベンジル化して化合物(A-2)とする。
【0028】
【化8】

【0029】
(式中、W1は炭素数8〜16の炭素鎖であり、不飽和部を含む場合もある。)
化合物(A-2)のアジド基を接触還元又はトリフェニルホスフィンと水により、還元してアミノ化合物(A-3)とし、
【0030】
【化9】

【0031】
生じたアミノ基を塩基存在下、アミド化又はスルホニル化することにより、各々化合物(A-4)、(A-5)を得る。また、(A-3)を縮合剤(例えば、1−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライド等)の存在下でアミド化することにより化合物(A-4)を得ることもできる。
【0032】
【化10】

【0033】
化合物(A-4)、(A-5)に酸を作用させ、トリチル基を脱保護して化合物(A-6)、(A-7)とし、生じた一級水酸基を酸化(例えばスワン酸化(J.Org.Chem.1978,43,2482)等)することでアルデヒド化合物(A-8)或いは(A-9)を得る。
【0034】
【化11】

【0035】
II.化合物(A-2)に酸を作用させ、トリチル基を脱保護した後、アジド基を還元(例えばPPh3/H2O等)することで化合物(A-10)を得る。化合物(A-10)のアミノ基をBoc基で保護し、次いで一級水酸基を酸化(例えばスワン酸化(J.Org.Chem.1978,43,2482.等)することでアルデヒド化合物(A-11)を得る。
【0036】
【化12】

【0037】
III.化合物(A-12)の一級水酸基をメタンスルホニル化又はブロム化し、化合物(A-13)を得る。
【0038】
【化13】

【0039】
(B)糖部の合成
文献既知のα−ガラクトシルシアノ体(B-1)をLopexら(J.Carbohydr.Chem.1987,6,273〜279.)の製法によりシアノ基を還元してアルコール化合物(B-2)を得る。但し、化合物(B-2)の合成はこの方法に限らない。
【0040】
【化14】

【0041】
化合物(B-2)の一級水酸基をトルエンスルホニル化、続いてヨウ素化を行い、化合物(B-3)とした後、トリフェニルホスフィンと反応させ化合物(B-4)を得た。
【0042】
【化15】

【0043】
化合物(B-4)に塩基(例えばブチルリチウム、フッ化カリウム等)を作用させ、化合物(B-5)を得た。
【0044】
【化16】

【0045】
(C)糖部とセラミド部とのカップリング反応
I.(A)で得られたセラミド化合物(A-8)と(A-9)を(B)で得られた化合物(B-5)とウィテッヒ反応させ、化合物(C-1)又は(C-2)とした後、液体アンモニア中、ナトリウムを作用させ化合物(C-3)又は(C-4)とする。さらに続いて接触還元し、化合物(C-5)又は(C-6)とするか、もしくは化合物(C-1)或いは(C-2)を直接接触還元し、化合物(C-5)又は(C-6)を得る。
【0046】
【化17】

【0047】
【化18】

【0048】
II.(A)で得られたセラミド化合物(A-11)と、(B)で得られた化合物(B-5)をウィテッヒ反応させ化合物(C-7)とした後、液体アンモニア中、ナトリウムを作用させ化合物(C-8)をとする。更に続いて接触還元し、化合物(C-9)とするか、もしくは化合物(C-7)を直接接触還元し、化合物(C-9)を得る。
【0049】
【化19】

【0050】
化合物(C-8)又は(C-9)に酸を作用させ脱保護基し、化合物(C-10)或いは(C-11)とした後、アミノ基を塩基存在下でアミド化、又はスルホニル化して化合物(C-3)又は(C-4)或いは(C-5)又は(C-6)とする。
【0051】
【化20】

【0052】
【化21】

【0053】
III.(A)で得られたセラミド化合物(A-13)と、糖誘導体(C-12)或いは(C-13)とを例えばCs2CO3のような塩基の存在下で、グルコシデーション反応させ、化合物(C-14)或いは(C-15)とする。
【0054】
【化22】

【0055】
化合物(C-14)或いは(C-15)を脱保護基し化合物(C-16)或いは(C-17)とした後、アミノ基を塩基存在下でアミド化、又はスルホニル化して(C-18)、(C-19)或いは(C-20)、(C-21)とした後、場合により(C-18)或いは(C-19)は酸化を行い、(C-22)或いは(C-23)とする。
【0056】
【化23】

【0057】
【化24】

【0058】
(D)糖部の一級水酸基の修飾
I.請求項1記載の一般式(I)で示される化合物において、Rが−CH2OSO3Hの時には、化合物(D-1)に対し、ピリジン溶液中、SO3・Pyを作用させ、化合物(D-2)とする。
【0059】
【化25】

【0060】
II.請求項1記載の一般式(I)で示される化合物において、Rが−CH2OCH2CO2Hのときには、化合物(D-1)に対し、NaOH存在下BrCH2CO2Hを作用させ化合物(D-3)とする。
【0061】
【化26】

【0062】
III.請求項1記載の一般式(I)で示される化合物において、Rが−CO2Hの時には、化合物(D-1)の一級水酸基を酸化剤(例えばTEMPO=2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、フリーラジカル等)によりカルボン酸へ酸化することで化合物(D-4)とする。
【0063】
【化27】

【0064】
本発明の一般式(I)で示される化合物又はその薬理学的に許容し得る塩は、1種又は2種以上を有効成分として、ヒト又は哺乳動物に投与することができる。また、本発明の化合物は、そのままで或いは公知の製剤技術により、注射剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、トローチ、ドライシロップ、リポゾーム製剤などに製剤化されることができる。具体的な本発明化合物の投与量、投与回数は患者の症状、年齢、体重等により適量が決定されなければならない。
【0065】
(試験例)
以下に抗腫瘍活性、免疫賦活活性についての薬理試験例を挙げる。
1.リンパ球混合培養反応
BALB/cマウスの脾臓より取り出した脾臓細胞を10%FCSを含むRPMI1640培養液を用いて各々2×106個/mLに調整した。96穴プレートを用い上記両細胞浮遊液各100μL/well及びサンプル(10μL/well)を加え、3日間37℃,5%CO2の条件下で培養を行った後、3H−チミジン(3H−TdR)0.5μCi/wellを加えた。そして6時間後に細胞のハーベストを行い、液体シンチレーションカウンターにより3H−TdRの取り込みを測定した。すなわち、マウス脾臓リンパ球DNA合成を測定した。その結果を次表に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
2.B16マウスメラノーマ細胞肺転移抑制作用
7週令のC57BL/6マウスに経代培養したB16マウスメラノーマ細胞(5×105cells)を尾静脈から注射した。翌日、各種濃度に調製した化合物溶液を尾静脈から注射し、B16マウスメラノーマ細胞注射14日後に麻酔下にて肺を摘出した。肺に形成された結節数を計測し、化合物を投与しない対照と比較して、転移抑制作用を評価した。その結果を次表に示す。
【0068】
【表5】

【実施例】
【0069】
以下、実施例及び参考例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
参考例1
(2S,3S,4R)−2−アジド−1−O−トリフェニルメチル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物15)の製造例
【0070】
【化28】

【0071】
(2S,3S,4R)−2−アジド−1,3,4−オクタデカントリオール491mgをピリジン15mLに溶解し、トリフェニルメチルクロライド439mg、ジメチルアミノピリジン5mgを加え、70℃で8時間撹拌する。反応液に酢酸エチルを加えて希釈し、酢酸エチル層を水洗い、飽和炭酸ナトリウム、飽和食塩水で洗い、芒硝で乾燥後溶媒を留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して(化合物15)421mgを得る。
Mass (ESI) m/z : 609 [(M+Na+H)+].
IR (neat、cm~1) : 3412、2908、2848、1449、1215、1071.
1H-NMR (CDCl3):0.88(t、3H、J=7.32、6.35Hz)、1.24〜1.56(m、26H)、1.81(d、1H、J=5.37Hz)、2.35(d、1H、J=5.37Hz)、3.40〜3.66(m、5H)、7.23〜7.48(m、15).
参考例2
(2S,3S,4R)−2−アジド−1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物16)の製造例
【0072】
【化29】

【0073】
(2S,3S,4R)−2−アジド−1−O−トリフェニルメチル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物15)586mgをジメチルホルムアミド5mLに溶解し、0℃で撹拌する。そこへ水酸化ナトリウム105mgを加え、室温で40分間撹拌する。次にベンジルブロミド0.25mLを滴下し、室温で18時間撹拌する。反応液を氷水にあけ、酢酸エチルで抽出する。抽出液を水洗い、飽和食塩水で洗い、芒硝で乾燥後溶媒を留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製して(化合物16)を574mg得る。
Mass (ESI) m/z : 783 [(M++H2O+H+-1)+].
IR (neat、cm~1) : 2914、2848、 1449、1086、1029、744.
1H-NMR (CDCl3):0.88(t、3H、J=7.32、6.35Hz)、1.23〜1.54(m、26H)、3.34〜3.76(m、5H)、4.41〜4.58(m、4H)、7.07〜7.45(m、25H).
参考例3
(2S,3S,4R)−2−アミノ−1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物17)の製造例
【0074】
【化30】

【0075】
(2S,3S,4R)−2−アジド−1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物16)153mgをテトラヒドロフラン3mLに溶解し、0℃で撹拌し、そこへリチウムアルミニウムハイドロライド11mgを加え30分間撹拌し、室温まで昇温し2時間撹拌する。反応液に氷水を加え、セライトろ過する。ろ液を酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗い、芒硝で乾燥後、溶媒を留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、(化合物17)104mgを得る。
Mass (ESI) m/z : 739 [(M++H+1)+].
IR (neat、cm~1) : 3052、3022、2914、1737、1449.
1H-NMR (CDCl3):0.88(t、3H、J=6.83、6.89Hz)、1.24〜1.63(m、(CH2)13)、3.13〜3.14(m、2H)、3.46〜3.66(m、3H)、4.39〜4.67(m、4H)、7.10〜7.42(m、25H).
参考例4
(2S,3S,4R)−2−(ヘキサコサノイルアミノ)−1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物18)の製造例
【0076】
【化31】

【0077】
セロチン酸56mgをジメチルホルムアミド4mLに溶解し、そこへ1−ハイドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールモノハイドレイト21mg,N−エチルモルホリン0.02mL,1−〔3−(ジメチルアミノ)プロピル〕−3−エチルカルボジイミドハイドロクロライド27mgを加え室温で1時間撹拌する。そこへ(2S,3S,4R)−1−アミノ−1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物17)104mg加え、室温で4時間撹拌した後、60℃にて2時間撹拌する。反応液に酢酸エチルを加えて希釈し、5%塩酸、水洗い、5%水酸化ナトリウム、水洗い、飽和塩化アンモニウム、飽和食塩水で洗い、芒硝で乾燥後、溶媒を留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して、(化合物18)135mgを得る。
Mass (ESI) m/z : 1157 [(M+K+H)+].
IR (neat、cm~1) : 3022、2902、2848、1656、1494、1452.
1H-NMR (CDCl3):0.88(t、6H、J=6.83、6.84Hz)、1.24〜1.57(m、72H)、1.92(t、2H、J=7.81、7.33Hz)、3.29(dd、1H)、4.28(m、1H)、3.46〜3.49(m、2H)、3.83(dd、1H、J=6.84、2.93Hz)、4.99〜4.80(abq+S、4H、J=11.71、11.72Hz)、5.58(d、1H、J=8.79Hz)、7.20〜7.38(m、25H).
参考例5
(2S,3S,4R)−2−(ペンタコサンスルホンアミド)−1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物19)の製造例
【0078】
【化32】

【0079】
(2S,3S,4R)−2−アミノ−1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物17)514mgをCH2Cl2(6mL)に溶解し、0℃に冷却してトリエチルアミン0.15mLとペンタコサニルスルホニルクロリド314mgを加えて室温に戻し、12時間撹拌する。反応液に水を加えてクロロホルム抽出(50mL×2)して芒硝で脱水する。ろ過し、濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して(化合物19)530mgを無色油状物として得る。
IR (neat、cm~1) : 3274、2908、1452、1323、1215、1140、1068、753.
1H-NMR (CDCl3):0.88(6H、t、CH3)、1.18〜1.65(72H、m、CH2)、2.80(2H、m、CH2)、3.42(2H、d、CH2)、3.62(1H、m、CH)、3.79〜3.80(2H、m、CH)、4.41〜4.71(5H、m、ベンジル位、NH)、7.22〜7.39(25H、m、芳香環).
参考例6
(2S,3S,4R)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物20)の製造例
【0080】
【化33】

【0081】
(2S,3S,4R)−2−(ヘキサコサノイルアミノ)1−O−トリフェニルメチル−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物18)117mgをメタノール1.5mLに溶解し、トルエンスルホン酸10mgを加え室温で3時間撹拌する。反応液に酢酸エチルを加えて希釈し飽和重槽水に注ぐ。有機層を分取し、水洗い、乾燥後、溶媒を留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製して(化合物20)58mgを無色結晶として得る。融点67−68℃
Mass (ESI) m/z : 877 [(M+H+1)+].
IR (neat、cm~1) : 3460、2908.
1H-NMR (CDCl3):0.88(t、6H、J=6.84,6.35Hz)、1.25〜1.69(m、72H)、1.97〜2.02(m、2H)、3.05〜3.07(m、1H)、3.59〜3.62(m、2H)、3.68〜3.72(m、2H)、3.98〜4.01(m、1H)、4.14〜4.16(m、1H)、4.45〜4.72(abq、2H、J=11.71、11.23Hz)、4.64(abq、2H、J=11.23、11.24Hz)、6.04(d=1H、J=8.31Hz)、7.28〜7.39(m、10H).
参考例7
(2S,3S,4R)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−ジベンジルオキシ−オクタデカナール(化合物21)の製造例
【0082】
【化34】

【0083】
オキザリッククロライド0.45mLを塩化メチレン3mLに溶解し、−78℃で冷却する。次にジメチルスルホキシド0.15mLを加え、20分間撹拌する。そこへ(2S,3S,4R)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−ジ−O−ベンジル−1,3,4−オクタデカントリオール(化合物20)263mgの塩化メチレン溶液2mLを滴下し、1時間撹拌する。次に−78℃でトリエチルアミン0.42mLを滴下し、室温まで昇温させ、室温で30分間撹拌する。反応液を氷水中にあけ、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチル層を水洗い、飽和食塩水で洗い、芒硝で乾燥後、溶媒を留去する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して(化合物21)189mgを得る。
Mass (ESI) m/z : 875 [(M+H+1)+].
IR (neat、cm~1) : 3382、2902、1710、1499、1048、741.
1H-NMR (CDCl3):0.88(t、6H、J=6.83,6.35Hz)、1.25〜1.71(m、72H)、1.99〜2.02(m、2H)、3.60(q、1H)、3.92(dd、H、J=5.37、2.44Hz)、4.49〜4.61(2abq、4H)、4.93(dd、1H、J=7.32、2.44Hz)、6.04(d、1H、J=7.32Hz)、7.26〜7.36(m、10H)、9.66(S、1H).
参考例8
(化合物22)の製造例
【0084】
【化35】

【0085】
(化合物16)1.48gの塩化メチレン/水(2:1)溶液12mLに、p−トルエンスルホン酸380mgを加え、室温で16時間撹拌する。反応液を酢酸エチル30mLにて抽出、水洗、脱水、芒硝にて乾燥後、減圧濃縮する。残渣をテトラヒドロフラン/水(5:1)15mLに溶解し、トリフェニンホスフィン700mgを加え、加熱還流2時間行う。反応液を減圧濃縮し残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)にて精製し(化合物22)を520mg得る。
Mass (ESI) m/z : 497 [M+].
1H-NMR (CDCl3):0.88(3H、t、J=11.8Hz)、1.18〜1.36(24H、m)、1.42〜1.73(2H、m)、3.40〜3.65(5H、m)、4.27〜4.70(4H、m)、7.21〜7.38(10H、m).
参考例9
(化合物23)の製造例
【0086】
【化36】

【0087】
(化合物22)1.0gのテトラヒドロフラン溶液10mLに、氷冷撹拌下トリエチルアミン0.33mL、ジ−t−ブチルジカルボネート)0.55mLを加え、4時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル30mLにて抽出、水洗、脱水、芒硝にて乾燥後、減圧濃縮する。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し(化合物23)を960mg得る。
Mass (ESI) m/z : 585 [(M+H)+].
1H-NMR (CDCl3):0.88(3H、m)、1.26〜1.30(24H、m)、1.43(9H、s)、1.64〜1.70(2H、m)、2.80(1H、bs)、3.64〜4.05(5H、m)、4.53〜4.75(4H、m)、5.10(1H、m)、7.27〜7.38(10H、m).
参考例10
(化合物24)の製造例
【0088】
【化37】

【0089】
ジメチルスルホキシド0.77mLの塩化メチレン溶液10mLに−78℃撹拌下、2Mオキザリルクロリドの塩化メチレン溶液4.0mLを滴下する。15分間撹拌した後、(化合物23)1.17gの塩化メチレン溶液10mLを滴下し、30分間撹拌する。これにトリエチルアミン2.1mLを滴下し、室温まで昇温する。反応液を氷水中にあけ、酢酸エチル30mLにて抽出、水洗、脱水、芒硝にて乾燥後、減圧濃縮を行い、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)にて精製し(化合物24)を680mg得る。
Mass (ESI) m/z : 583 [M+].
1H-NMR (CDCl3):0.87(3H、m)、1.27〜1.31(24H、m)、1.44(9H、s)、3.64〜4.08(5H、m)、4.55〜4.72(4H、m)、7.27〜7.40(10H、m)、9.83(1H、s).
参考例11
(2S,3S,4R)−3,4−ベンジルオキシ−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−メタンスルホニルオキシ−オクタデカン(化合物25)の製造例
【0090】
【化38】

【0091】
(2S,3S,4R)−3,4−ベンジルオキシ−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−オクタデカントリオール(化合物23)100mLをピリジン2mLに溶解し、室温にてメタンスルホニルクロリド15μLを加えて3時間撹拌する。酢酸エチル50mLで希釈し、飽和硫酸銅水溶液で2回洗浄して、芒硝で脱水する。ろ過し、濃縮してシリカゲリカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、(化合物25)108mgを無色油状物として得る。
Mass (ESI) m/z : 676 [M+H]+.
1H-NMR (CDCl3):0.88(3H、t、)、1.26〜1.68(35H、m)、2.88(3H、S)、3.59(1H、m)3.67(1H、m)、4.05(1H、m、)4.43(2H、m)、4.51〜4.82(5H、m)、7.29〜7.36(10H、m).
参考例12
α−(2,3,4,6−テトラベンジルガラクトピラノシル)メチルホスホニウムヨーダイドの製造例(化合物B−4)
【0092】
【化39】

【0093】
α−2,3,4,6−テトラベンジルガラクトピラノシルメタノール(B−2)5.2g4Aモレキュラーシーブス10gのベンゼン溶液120mLにトリフェニルホスフィン3.7g、イミダゾール1.9g、ヨウ素3.6gを加え、室温にて1時間撹拌する。反応液にエーテル150mLを加えろ過、ろ液を減圧濃縮、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、α−(2,3,4,6−テトラベンジルガラクトピラノシル)メチルヨーダイド2.7gを得る。これとトリフェニルホスフィン1.57gのアセトニトリル溶液20mLを18時間加熱還流する。反応液を減圧濃縮、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)にて精製し、(化合物B−4)2.7gを得る。
Mass (ESI) m/z : 944 [M+H2O].
IR (neat、cm~1) : 3004、2914、1584、1452、1357、1215、1026、915.
1H-NMR (CDCl3):3.30(1H、t、J=8.2Hz)、3.42(1H、dd、J=8.2、2.8Hz)、3.97〜4.83(15H、m)、7.17〜7.86(35H、m).
実施例1
化合物26の製造例
【0094】
【化40】

【0095】
α−(2,3,4,6−テトラベンジルガラクトピラノシル)メチルホスホニウムヨーダイド(B−4)520mgのテトラヒドロフラン:ヘキサメチルホスホリックトリアミド(2:1)溶液30mLに、4Aモレキュラーシーブス500mgを加え、−40℃で撹拌下、n−BuLiヘキサン溶液0.35mLを滴下し、30分間撹拌する。これに(2S,3S,4R)−2−ヘキサコサノイルアミノ−3,4−ジベンジルオキシ−オクタデカナール(化合物21)490mgのテトヒドロフラン溶液4.0mLを滴下し、−10℃まで昇温する。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液中にあけ、酢酸エチル30mL×2回抽出する。水洗い、脱水乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、(化合物26)110mgを得る。
Mass (ESI) m/z : 1397 [M++1].
1H-NMR (CDCl3):0.89(6H、t、J=7.2Hz)、1.10〜1.82(76H、m)、1.58〜1.65(2H、m)、3.40(1H、dd、J=4.8、8.2Hz)、3.52〜3.64(2H、m)、3.88(1H、dd、J=4.6、10.2Hz)、3.80〜5.10(14H、m)、6.09(1H、d、J=8.8Hz)、6.63(2H、m)、7.11〜7.36(30H、m).
実施例2
(3’S,4’S,5’R)−3’−N−ヘキサコサノイルアミノ−4’,5’,−ヒドロキシノナデカン−α−C−D−ガラクトジラノシド(化合物1)の製造例
【0096】
【化41】

【0097】
(化合物26)110mgのエタノール溶液10mLに、20%水酸化パラジウム20mg、4−メチルシクロヘキセン1.0mLを加え、水素気流下6時間加熱還流を行う。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=5:1)にて精製し、(化合物1)2.1mgを得る。
Mass (ESI) m/z : 855 [M+-H].
実施例3
化合物5の製造例
【0098】
【化42】

【0099】
50mLのナス型フラスコに液体アンモニアを取り、(−78℃冷却)そこへ(化合物27)(100mg/Ether2mL)5mL入れる。次にNaを加え、青色になるまで加え、そのまま1時間−78℃で撹拌する。塩化アンモニウムの粉末を加え、室温で放置する。THF30mLを加えろ過し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=10:1)で精製し、(化合物5)を35mg(収率54.3%)得る。融点=44−46℃
IR (neat、cm~1) : 3400、2930、2860、1638、1100.
実施例4
化合物7の製造例
【0100】
【化43】

【0101】
50mLのナス型フラスコに(化合物5)25mg、THF2mL、5%パラジウム−炭素1mgで水素気流下、室温で40分撹拌する。反応液をろ過し、濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3:MeOH=10:1)で精製して(化合物7)10mg(収率40%)を白色結晶として得る。融点=142−144℃
Mass (ESI) m/z : 855 [M+-2].
IR (neat、cm~1) : 3352、2902、1593、1467、1206.
参考例13
化合物28の製造例
【0102】
【化44】

【0103】
2,3,4,6−テトラ−0−アセチル−1−チオ−α−D−ガラクトピラノース(C−7)70mgをDMF5mLに溶解し、室温で炭酸セシウム63mgとメタンスルホニル体(化合物25)108mgを加えて80℃にて3時間撹拌する。酢酸エチル50mLで希釈し、水で洗浄(2回)して、芒硝で脱水する。ろ過し、濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、(化合物28)28mgを無色油状物として得る。
Mass (ESI) m/z : 944 [M+H]+.
IR (neat、cm~1) : 3370、2914、1746、1497、1368、1224、1164、1053、750.
1H-NMR (CDCl3):0.88(3H、t)、1.26〜1.64(35H、m、CH2)、1.99〜2.09(12H、m)、2.88〜3.12(2H、m)、3.56〜5.67(15H、m)、7.26〜7.36(10H、m).
参考例14
化合物29の製造例
【0104】
【化45】

【0105】
(化合物28)28mgをTHF2mLに溶解し、10%塩酸水溶液1mLを加えた後、5%パラジウム−炭素20mgを加えて水素気流下、室温で6時間撹拌する。触媒をセライトろ過にてろ別した後、THFで洗浄し、ろ液を芒硝で脱水する。ろ過し、濃縮して(化合物29)16mgを淡黄色油状物として得た。
得られた化合物をそのまま次の反応に用いた。
実施例5
化合物8の製造例
【0106】
【化46】

【0107】
(化合物29)16mgをTHF2mLに溶解し室温で10%水酸化カリウム水溶液1mLを加えて1時間撹拌する。反応液を0℃に冷却した後、酸クロリド(化合物30)0.4mLを加えて15分撹拌する。THF10mLで希釈し、芒硝で脱水した後、ろ過し、濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=5:1)で精製し、(化合物8)7mgを無色結晶で得た。
Mass (ESI) m/z : 875[M+H]+.
実施例6
化合物9の製造例
【0108】
【化47】

【0109】
(化合物1)14mgのピリジン溶液0.5mLに三酸化イオウピリジン錯体7.6mgを加え、室温で16時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、残渣をカラム(水:メタノール=98:2)にて精製し、(化合物9)を8mg得る。
Mass (ESI) m/z : 925[M+H]
実施例7
化合物10の製造例
【0110】
【化48】

【0111】
(化合物1)1.6mgのテトラヒドロフラン溶液1.0mLに氷冷撹拌下水素化ナトリウム1mgを加え、室温にて30分間撹拌する。これにブロモ酢酸1mgを加え、60℃まで加湿し、4時間撹拌する。反応液に飽和塩化アンモニア水200mLを加え、反応液を減圧濃縮する。残渣をショートカラムにて精製し、(化合物10)を0.8mgを得る。
Mass (ESI) m/z : 914[M+H].
実施例8
【0112】
【化49】

【0113】
(化合物1)4.5mgのアセトニトリル溶液1mLに氷冷撹拌下、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO),次亜塩素酸ナトリウム、臭化カリウムを加え、室温で2時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、ショートカラムにて精製し、化合物11を2.8mg得た。
Mass (ESI) m/z : 869[M+H]+.
1H-NMR (CDCl3):0.90(6H,m),1.19〜1.42(76H,m),1.58(4H,m),1.70(2H,m),3.48〜4.33(8H,m)
実施例9
(化合物2)は実施例3に従い、合成することができる。
実施例10
(化合物3)は参考例5、6、7、及び実施例1、2に従い、合成することができる。
実施例11〜12
(化合物4)及び(化合物6)は、実施例1、2、3に従い合成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の一般式(I):
【化1】

[式中、Wは炭素数9〜17の飽和又は不飽和炭素鎖であり、更に水酸基を含む場合もある。Xは炭素数11〜25の飽和又は不飽和炭素鎖であり、更に水酸基を含む場合もある。Yは−S(O)0〜2CH―を表す。Zは−CO−又は−SO−を表す。Rは−CHOH、−COH、−COOCHCOH又は−CHOSOH基を、Rは−OH、−NH又は−NHAc基を表す。]
によって示される化合物又は薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
次式の一般式(h):
【化2】

(式中、R1、R5は前記と同じであり、Aは−SH基を表す。)
で示される化合物と次式の一般式(i):
【化3】

(式中、R2、Wは前記と同じであり、Bはメタンスルホニルオキシ基、ハロゲン等の脱離基、Bocはt−ブチルオキシカルボニル基を表す。)
で示される化合物を塩基存在下グリコシデーション反応させ、次式の一般式(j):
【化4】

(式中、R1、R2、R5、Wは前記と同じであり、Qは−S−を表す。)
で示される化合物となし、次いで脱Boc化した後、アミド化又はスルホニル化を行い、さらに脱保護基を行うことを特徴とする次式の一般式(k):
【化5】

(式中、R0、X、Z、W、Qは前記と同じである。)
で示される化合物の製造方法。
【請求項3】
次式の一般式(l):
【化6】

(式中、R0、X、Y、Z、Wは前記と同じである。)
で示される化合物に2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル酸化(TEMPO酸化)、スルホン化又はカルボキシメチル化を行うことを特徴とする一般式(m):
【化7】

(式中、R0、X、Y、Z、Wは前記と同じである。R6は−CO2H、−CH2OCH2CO2H又は−CH2OSO3H基を表す。)
で示される化合物の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の一般式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有する抗腫瘍剤。
【請求項5】
請求項1記載の一般式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を有効成分として含有する免疫賦活剤。

【公開番号】特開2009−62381(P2009−62381A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263962(P2008−263962)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【分割の表示】特願2000−175320(P2000−175320)の分割
【原出願日】平成12年6月12日(2000.6.12)
【出願人】(592086318)壽製薬株式会社 (24)
【Fターム(参考)】