説明

糖衣錠およびその製造方法

【課題】吸湿性が高い物質を核錠として用いても糖衣層のひび割れが少ない糖衣錠およびその製造方法を提供する。
【解決手段】温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時に、水分含有割合が9重量%以上となる核錠(A)例えばスピルリナ等の藻類を含有してなる核錠上に、下塗り層(B)とシェラック層(C)と糖衣層(D)とが、(A)/(B)/(C)/(D)の順で積層されていることを特徴とする糖衣錠。温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時に、水分含有割合が9重量%以上となる核錠(A)例えばスピルリナ等の藻類を含有してなる核錠表面に、下塗り層(B)を被覆した後乾燥し、該下塗り層(B)の上にシェラック層(C)を被覆した後乾燥し、さらに、該シェラック層(C)の上に糖衣層(D)を被覆した後乾燥することを特徴とする糖衣錠の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖衣層にひび割れが生じ難く、その表面が長期に渡って平滑に維持される糖衣錠およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖衣錠とは、核錠の味、特異臭などを抑制して飲み込み易くするために、核錠の表面を糖製品で被覆して糖衣層を形成した錠剤である。核錠となるものとしては、粒ガムなどの一般の健康食品、スピルリナなどの健康食品や医薬品などが挙げられる。
【0003】
このような糖衣錠の製造において、例えば、温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置すると、水分含有割合が9重量%以上となるような吸湿性の高い核錠の表面を糖製品で被覆した糖衣錠では、糖衣層にひび割れが生じるという問題がある。
【0004】
糖衣錠の糖衣層のひび割れを防止する方法としては、例えば、核錠の表面にシェラックアルコール溶液を塗布、乾燥してシェラック層を形成した後、糖衣層を形成する方法がある(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、この方法を用いても吸湿性の高い核錠を用いた場合には、シェラックアルコール溶液が核錠に吸収され、乾燥工程においても、形成されたシェラック層の存在により、吸収されたシェラックアルコール溶液を核錠から除去し難く、核錠内に封止されてしまう。そのため、糖衣層を形成した後に、核錠に吸収されたシェラックアルコールが蒸発して糖衣層にひび割れが生じることがあり、例えば、製造した糖衣錠の半数以上という高頻度で糖衣層にひび割れが生じることがある。
【0005】
【非特許文献1】
内藤俊一著「錠剤」廣川書店、平成2年7月31日、p.55−56
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、吸湿性が高い物質を核錠として用いても糖衣層のひび割れが少ない糖衣錠およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、上記したような核錠の表面にシェラックアルコール溶液を塗布、乾燥してシェラック層を形成した後、糖衣層を形成する方法において、シェラック層を形成する前に下塗り層を形成した糖衣錠は、シェラック層を形成する際に用いるシェラックアルコール溶液が核錠に吸収されないため、糖衣層にひび割れが生じないこと、また、該糖衣錠は、吸湿率が高い核錠表面に、下塗り層を被覆した後乾燥し、その上にシェラック層を被覆した後乾燥し、さらに、その上に糖衣層を被覆した後乾燥する工程からなる製造方法により容易に得られることなどを見出し本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時に水分含有割合が9重量%以上となる核錠(A)上に、下塗り層(B)とシェラック層(C)と糖衣層(D)とが、(A)/(B)/(C)/(D)の順で積層されていることを特徴とする糖衣錠を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時に水分含有割合が9重量%以上となる核錠(A)表面に、下塗り層(B)を被覆した後乾燥し、該下塗り層(B)の上にシェラック層(C)を被覆した後乾燥し、さらに、該シェラック層(C)の上に糖衣層(D)を被覆した後乾燥することを特徴とする糖衣錠の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で用いる核錠(A)は、温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時に水分含有割合が9重量%以上となる核錠であり、例えば、藻類を含有してなる核錠、ロイヤルゼリーなどの動植物エキス含有デキストリンを含有してなる核錠などが挙げられる。核錠(A)としては、藻類を含有してなる核錠が好ましい。藻類を含有してなる核錠には、香料、クエン酸などの酸味料、有胞子性乳酸菌、ビタミンやミネラルなどの栄養強化剤などの添加剤を含有していてもよいが、藻類の含有量としては、50重量%以上が好ましく、75重量%以上がより好ましく、95重量%以上が特に好ましい。
【0011】
藻類としては、例えば、クロレラ(Chlorella)属、スピルリナ(Spirulina)属、アファニゾメノン(Aphanizomenon)属、フィッシェレラ(Fisherella)属、アナベナ(Anabaena)属、ネンジュモ(Nostoc)属、シネコキスチス(Synechocystis)属、シネココッカス(Synechococcus)属、トリポスリクス(Tolypothrix)属、スイゼンジノリ(Aphanothece)属、マスティゴクラディス(Mastigoclaus)属、プルロカプサ(Pleurocapsa)属などが挙げられるが、中でも、工業的規模で生産され、その安全性が確認されているスピルリナ属に属するものが望ましい。
【0012】
核錠(A)の形状は特に限定されないが、角がなく、外面全面が曲面をなしている形状が好ましい。このような核錠(A)としては、例えば、碁石状の核錠、球形状の核錠などの他、糖衣錠を製造するのに通常用いられる糖衣用の核錠などが挙げられる。
核錠(A)の大きさも特に制限されないが、飲み込み易さから、直径4〜9mmの大きさのものが好ましい。
また、核錠(A)は、種々の製造方法で得られたものを使用可能であり、特に制限されないが、中でも圧縮法という製造方法で得られたものが好ましく使用される。
【0013】
本発明の製造方法に用いる核錠(A)の含有する水分の割合は少ないほど糖衣のひび割れが生じ難く好ましいが、現実的なことから、7重量%以下が好ましく、2〜7重量%がより好ましい。
【0014】
核錠の水分含有割合が7重量%を超えている核錠を用いる場合、例えば、この核錠を60℃に設定した熱風乾燥機に入れて、その水分含有割合が7重量%以下になるまで乾燥すれば良い。また、温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時の水分含有率の測定は、前記水分含有割合が7重量%以下の核錠を、例えばAG−227型(アドバンテック社製の低温恒温恒温器)などの恒温恒温器に温度25℃で相対湿度が80%の条件で14時間放置したのち取り出して、水分含有率を測定する。
【0015】
下塗り層(B)の形成に用いられる化合物(以下、「化合物(b)」とする。)としては、核錠(A)の表面に下塗り層(B)を形成したとき、被膜として核錠(A)の表面に存在し、シェラックアルコール溶液が核錠(A)内に浸透するのを防ぐことができる化合物であれば特に制限されないが、水と混合したときにゲル化する化合物が好ましい。水と混合したときにゲル化する化合物としては、例えば、ゼラチンなどの水溶性蛋白質や、アラビアガム、プルランなどの水溶性多糖類などが挙げられる。これらの中でも、化合物(b)としては、水溶性蛋白質が好ましく、この水溶性蛋白質の中でも、特にゼラチンが好ましい。
【0016】
下塗り層(B)を核錠(A)の表面に形成する方法としては、種々の方法を採用することができるが、以下のような2つの方法を例示できる。
一例として、丸型手動糖衣機(型式:16C−125、菊水製作所社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣機内のパンに核錠(A)50kgを仕込み、16〜25rpmでパンを回転させる。ここで、化合物(b)の水溶液を、満遍なく核錠(A)の表面に散布し、必要に応じて手動による補助攪拌を行って核錠(A)を攪拌し、水溶液を均一に核錠(A)の表面に塗布する。水溶液が均一に核錠(A)の表面に塗布されたのを確認してから、乾燥助剤の粉末を満遍なく核錠(A)の表面に散布し、必要に応じて手動による補助攪拌を行って核錠(A)を攪拌し、乾燥助剤の粉末を均一に核錠(A)の表面に散布する。その後、乾燥助剤の粉末が均一に核錠(A)の表面に散布されたことを確認して、給気温度50〜70℃、給気量1〜3m/minの温風をパン内に送風し、乾燥する。この一連の操作を1〜5回行って膜厚を調整し、所定の膜厚の下塗り層(B)を形成する。
他の例として、通風式自動糖衣パン(型式:150N型、フロイント社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣パン内に核錠120kgを仕込み、8〜11rpmでパンを回転させる。ここで、化合物(b)の水溶液を満遍なく核錠(A)の表面に散布する。水溶液が均一に核錠(A)の表面に塗布されたのを確認してから、乾燥助剤の粉末を満遍なく核錠(A)の表面に散布する。その後、乾燥助剤の粉末が均一に核錠(A)の表面に散布されたことを確認して、給気温度60〜80℃、給気量20〜25m/minの温風をパン内に送風し、乾燥する。この時、手動モードにより、パン内静圧を170〜230hpa程度に下げて、余分な乾燥助剤の粉末をパン外に排出する。この一連の操作を1〜5回行って膜厚を調整し、所定の膜厚の下塗り層(B)を形成する。
このように、下塗り層(B)を核錠(A)の表面に形成するには、化合物(b)の水溶液を核錠(A)の表面に被覆した後、乾燥助剤の粉末を散布し、乾燥させるのが、核錠(A)への水分の浸入を防ぐ理由から好ましい。
【0017】
化合物(b)の水溶液中の化合物(b)の濃度は、下塗り層(B)を均一に形成し易いこと、核錠(A)の吸水を防止し後述の糖衣層がひび割れするのを防止できることから、1.0〜6.0重量%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜4.0重量%である。この水溶液中の化合物(b)の濃度が1.0重量%未満では、下塗り層(B)を平滑に形成することが困難となり、一方、6.0重量%を超えると、核錠(A)が必要以上に吸水するのを防止することができず、糖衣錠製造後に後述の糖衣層にひび割れを生じる原因となる。
【0018】
また、化合物(b)の水溶液には、アラビアガム、マルチトールなどの糖類を必要に応じて添加してもよい。これらの糖類を添加すれば、下塗り層(B)をより平滑に形成することができる。
【0019】
化合物(b)の水溶液は、化合物(b)の溶解性を向上するためや水溶液を殺菌するために、温度80〜90℃で攪拌、溶解する。そして、化合物(b)を核錠(A)の表面に散布する際には、核錠(A)の表面への均一なる延展性を考慮して温度35〜50℃に冷却した水溶液を使用する。
【0020】
化合物(b)の水溶液の全使用量は、乾燥し易いこと、下塗り層(B)を均一に形成し易いことから、核錠(A)100重量部に対して0.5〜4重量部が好ましく、1〜3重量部がより好ましい。化合物(b)の水溶液の全使用量が、核錠(A)100重量部に対して0.5重量部未満では、下塗り層(B)を平滑に形成することが困難となり、一方、4重量部を超えると、乾燥に時間を要する。
【0021】
化合物(b)の全使用量は、核錠(A)の表面積1cm当たりの化合物(b)の使用量が7〜50μgであることが好ましく、14〜42μgであることがより好ましい。化合物(b)の全使用量が上記の範囲内であれば、下塗り層(B)を平滑に形成し、核錠(A)が吸水するのを防止することができる。
【0022】
下塗り層(B)を形成した後の核錠(A)の乾燥では、核錠(A)の水分含有量を、下塗り層(B)を被覆する前の核錠(A)の水分含有量以下にすることが望ましい。
【0023】
下塗り層(B)の膜厚は、膜の均一性を保持でき、シェラック(shellac)層(C)を形成する際に用いられる溶液の核錠(A)内への浸入を防ぐこと、作業時間も短いことなどから、10〜150μmが好ましく、30〜130μmがより好ましく、40〜80μmが特に好ましい。ここで、膜厚とは、下塗り層(B)の断面を顕微鏡観察にて測定した際のエッジ部の厚さをいう。下塗り層(B)を形成する場合、エッジ部が特に薄く形成されやすいのでエッジ部の厚みを管理することにより、目的とする下塗り層(B)を形成することができる。
【0024】
乾燥助剤としては、微粉末で吸水性であり、水に不溶の物質であれば特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ドロマイト、微細二酸化ケイ素、結晶セルロースなど、あるいは、これらを1種以上含む混合粉末などが挙げられる。これらの中でも、乾燥助剤は、微細二酸化ケイ素が好ましい。
【0025】
乾燥助剤の粉末の使用量は、化合物(b)の水溶液を被覆した核錠(A)の表面に満遍なく散布できる量であれば特に制限されないが、取扱い易さなどの理由から、化合物(b)の水溶液を被覆した錠剤(A)100重量部当たり1〜10重量部が好ましく、1.5〜5.5重量部がより好ましい。
【0026】
乾燥助剤の粉末の粒径は、下塗り層(B)の膜厚と後述するシェラック層(C)の膜厚との和より小さいことが、シェラック膜(C)にピンホールが発生せず、シェラック膜(C)の防水性を良好に保てることから好ましい。具体的には、乾燥助剤の粉末の粒径は、2〜100μmが好ましく、2〜30μmがより好ましい。
【0027】
シェラック層(C)は、下塗り層(B)が形成された核錠(A)(以下、「核錠(A´)と略すこともある。」の表面に、核錠(A)の防水などを目的として形成される。
シェラック層(C)を下塗り層(B)の表面に形成する方法としては、種々の方法を採用することができるが、以下のような2つの方法を例示できる。
一例として、丸型手動糖衣機(型式:16C−125、菊水製作所社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣機内のパンに核錠(A´)を所定量仕込み、16〜25rpmでパンを回転させる。ここで、所定量計量したシェラック層(C)を形成するための溶液(以下、「溶液(c)」と略すこともある。)を、満遍なく核錠(A´)の表面に散布し、必要に応じて手動による補助攪拌を行って核錠(A´)を攪拌し、溶液(c)を均一に核錠(A´)の表面に塗布する。その後、溶液(c)が均一に核錠(A´)の表面に散布されたことを確認して、給気温度60〜80℃、給気量1〜3m/minの温風をパン内に送風し、30〜50min乾燥する。この一連の操作を1〜5回行って膜厚を調整し、所定の膜厚のシェラック層(C)を形成する。
他の例として、通風式自動糖衣パン(型式:150N型、フロイント社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣パン内に核錠(A´)を所定量仕込み、8〜11rpmでパンを回転させる。ここで、溶液(c)を加熱して、給気温度60〜80℃、給気量12〜18m/min、液供給量250〜350ml/minの条件で連続噴霧し、核錠(A´)に溶液(c)を塗布する。その後、溶液(c)が均一に核錠(A´)の表面に塗布されたことを確認して、給気温度70℃、給気量16〜23m/minの温風をパン内に送風し、8〜12min乾燥し、所定の膜厚のシェラック層(C)を形成する。
【0028】
シェラック層(C)を形成するための溶液としては、例えば、シェラックをエタノールに溶解した溶液を用いられる。この溶液中のシェラックの濃度は、シェラック層(C)の膜厚を一定に形成する理由から5〜30重量%が好ましい。
【0029】
シェラックの被覆量は、糖衣錠を飲み込んだ後の体内における崩壊時間の設定にもよるが、糖衣層(D)のひび割れを防ぐ目的では、下塗り層が形成された核錠(A)の表面積1cmあたり1mg以上が好ましく、1.2〜1.8mgがより好ましい。シェラックの被覆量が上記の範囲内であれば、糖衣錠に通常要求される崩壊時間を満たしながらも、糖衣層(D)のひび割れを防ぐことができる。
【0030】
前記の量のシェラックを被覆するには、例えば、下塗り層(B)が形成された核錠(A)100重量部に対して、5重量%シェラック溶液を14〜42重量部用いてシェラック層(C)を形成させると良い。
【0031】
シェラック層(C)の膜厚は、糖衣層(D)のひび割れを防止する理由から5μm以上が好ましく、糖衣錠の崩壊性を考慮すると10〜15μmがより好ましい。
例えば、直径8mm、200mgの核錠(A)の表面に、シェラック層(C)を2.0〜3.0mg/粒(厚みに換算すると10〜30μm)形成すれば、核錠(A)の崩壊時間から15〜50min崩壊時間が延長される。
【0032】
糖衣層(D)は、シェラック層(C)と下塗り層(B)とが形成された核錠(A)(以下、「核錠(A´´)と略すこともある。」の表面に、核錠(A)の味、特異臭などの抑制、艶出し、ひび割れの防止などを目的として形成される。
例えば、糖衣層(D)は、下掛け層(d1)、中掛け層(d2)、仕上げ層(d3)、艶出し層(d4)から構成されている。下掛け層(d1)は、不溶性の粉末を含む糖からなり、白い不透明層を形成し核錠(A)の色を隠すために形成される。この不溶性の粉末としては、澱粉、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタンなどが用いられる。中掛け層(d2)は、糖を主成分としたものからなり、下掛け層(d1)を被覆して糖衣錠を滑らかにする目的で形成される。仕上げ層(d3)は、糖および着色剤を主成分としたものからなり、糖衣錠の着色を目的として形成される。仕上げ層(d3)は、糖衣錠を着色しない場合、省いてもよい。艶出し層(d4)は、カルナウバロウやミツロウを主成分としたものからなり、被覆に艶を出すために形成される。
【0033】
下掛け層(d1)を形成する方法としては、種々の方法を採用することができるが、以下のような2つの方法を例示できる。
一例として、丸型手動糖衣機(型式:16C−125、菊水製作所社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣機内のパンに核錠(A´´)を所定量仕込み、16〜25rpmでパンを回転させる。ここで、所定量計量した下掛け用糖溶液を、満遍なく核錠(A´´)の表面に散布し、必要に応じて手動による補助攪拌を行って核錠(A´´)を攪拌し、下掛け用糖溶液を均一に核錠(A´´)の表面に塗布する。その後、下掛け用糖溶液が均一に核錠(A´´)の表面に散布されたことを確認して、糖の結晶粉末を核錠(A´´)の表面に散布し、手動による補助攪拌を1〜3min行い、給気温度60〜80℃、給気量1〜3m/minの温風をパン内に送風し、30〜50min乾燥する。この一連の操作を、下掛け層(d1)の重量が目的とする糖衣重量の60〜80%となるまで繰り返し、所定の膜厚の下掛け層(d1)を形成する。この方法は、ソフト被覆糖衣と呼ばれるものであり、糖の結晶粉末を被覆しなければハード被覆糖衣になる。どちらの方法でも糖衣可能である。
他の例として、通風式自動糖衣パン(型式:150N型、フロイント社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣パン内に核錠(A´´)を所定量仕込み、8〜11rpmでパンを回転させる。このとき、以下の工程を通風式自動糖衣パンの糖衣モードで行う。下掛け用糖溶液を核錠(A´´)の表面に噴霧し、ポーズ1(核錠の攪拌)を1〜3min、ポーズ2(糖衣パン内の余分な粉末などの集塵)を10〜30secとし、乾燥工程を給気温度60〜80℃、給気量20〜30m/minの温風をパン内に送風し、8〜12min行う。この一連の操作を、下掛け層(d1)が形成された核錠(A´´)の重量が目的とする糖衣重量の60〜80%となるまで繰り返し、所定の膜厚の下掛け層(d1)を形成する。ポーズ1の際に、必要に応じて手動による補助攪拌を行って核錠(A´´)を攪拌し、下掛け用糖溶液を均一に核錠(A´´)の表面に塗布する固定を追加すれば、ソフト被覆糖衣の形成も可能になる。
【0034】
中掛け層(d2)を形成させる方法としては、種々の方法を採用することができるが、以下のような2つの方法を例示できる。
一例として、丸型手動糖衣機(型式:16C−125、菊水製作所社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣機内のパンに下掛け層(d1)を形成した核錠(A´´)を所定量仕込み、16〜25rpmでパンを回転させる。ここで、所定量計量した中掛け用糖溶液を、満遍なく下掛け層(d1)を形成した核錠(A´´)の表面に散布し、必要に応じて手動による補助攪拌を行って下掛け層(d1)を形成した核錠(A´´)を攪拌し、中掛け用糖溶液を均一に下掛け層(d1)を形成した核錠(A´´)の表面に塗布する。その後、中掛け用糖溶液が均一に下掛け層(d1)を形成した核錠(A´´)の表面に散布されたことを確認して、給気温度60〜80℃、給気量1〜3m/minの温風をパン内に送風し、30〜50min乾燥する。この一連の操作を、中掛け層(d2)の重量が目的とする糖衣重量の10〜20%となるまで繰り返し、所定の膜厚の中掛け層(d2)を形成する。
他の例として、通風式自動糖衣パン(型式:150N型、フロイント社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣パン内に下掛け層(d1)を形成した核錠(A´´)を所定量仕込み、8〜11rpmでパンを回転させる。このとき、以下の工程を通風式自動糖衣パンの糖衣モードで行う。中掛け用糖溶液を核錠(A´´)の表面に噴霧し、ポーズ1(核錠の攪拌)を1〜3min、ポーズ2(糖衣パン内の余分な粉末などの集塵)を10〜30secとし、乾燥工程を給気温度60〜80℃、給気量20〜30m/minの温風をパン内に送風し、3〜5min行う。この一連の操作を、中掛け層(d2)の重量が目的とする糖衣重量の10〜20%となるまで繰り返し、所定の膜厚の中掛け層(d2)を形成する。
【0035】
仕上げ層(d3)を形成させる方法としては、種々の方法を採用することができるが、以下のような2つの方法を例示できる。
一例として、丸型手動糖衣機(型式:16C−125、菊水製作所社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣機内のパンに中掛け層(d2)を形成した核錠(A´´)を所定量仕込み、16〜25rpmでパンを回転させる。ここで、所定量計量した仕上げ用糖溶液を、満遍なく中掛け層(d2)を形成した核錠(A´´)の表面に散布し、必要に応じて手動による補助攪拌を行って中掛け層(d2)を形成した核錠(A´´)を攪拌し、仕上げ用糖溶液を均一に中掛け層(d2)を形成した核錠(A´´)の表面に塗布する。その後、仕上げ用糖溶液が均一に中掛け層(d2)を形成した核錠(A´´)の表面に散布されたことを確認して、給気温度60〜80℃、給気量1〜3m/minの温風をパン内に送風し、30〜50min乾燥する。この一連の操作を、仕上げ層(d3)の重量が目的とする糖衣重量の10〜20%となるまで繰り返し、所定の膜厚の仕上げ層(d3)を形成する。
他の例として、通風式自動糖衣パン(型式:150N型、フロイント社製)を用いる方法が挙げられる。この糖衣パン内に中掛け層(d2)を形成した核錠(A´´)を所定量仕込み、8〜11rpmでパンを回転させる。このとき、以下の工程を通風式自動糖衣パンの糖衣モードで行う。仕上げ用糖溶液を中掛け層(d2)を形成した核錠(A´´)の表面に噴霧し、ポーズ1(核錠の攪拌)を1〜3min、ポーズ2(糖衣パン内の余分な粉末などの集塵)を10〜30secとし、乾燥工程を給気温度60〜80℃、給気量20〜30m/minの温風をパン内に送風し、3〜5min行う。この一連の操作を、仕上げ層(d3)の重量が目的とする糖衣重量の10〜20%となるまで繰り返し、所定の膜厚の仕上げ層(d3)を形成する。
【0036】
艶出し層(d4)を形成させる方法としては、種々の方法を採用することができる。例えば、艶出し用キャンバスパンに仕上げ層(d3)を形成した核錠(A´´)を所定量仕込み、20〜40rpmでパンを回転させる。ここで、ポリッシングワックス(フロイント社製)を、満遍なく仕上げ層(d3)を形成した核錠(A´´)の表面に散布する。その後、ポリッシングワックスが均一に仕上げ層(d3)を形成した核錠(A´´)の表面に散布されたことを確認して、給気温度60〜80℃、給気量1〜3m/minの温風をパン内に送風し、パン内を加温する。この状態で、糖衣錠の温度が30〜50℃となるようにし、パンの回転を10〜30min継続して艶出しを行う。
【0037】
糖衣層(D)の形成に用いられる糖としては、例えば、ショ糖、パラチノース、ソルビトール、マルチトールなどが挙げられる。これらの中でも、マルチトールが低カロリーでかつ、糖衣層(D)の表面を平滑にし易いために好ましい。
【0038】
下掛け層(d1)の形成に用いられる下掛け用溶液は、固形分を水に溶解した水溶液であり、固形分濃度を50〜80重量%にすることが好ましい。固形分の成分としては、糖を主成分とし、不溶性の不透明物質として、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタンなどの粉末、またはこれらを1種以上含む混合物、増粘剤としてアラビアガム、ゼラチン、プルラン、またはこれらを1種以上含む混合物などが用いられる。
【0039】
中掛け層(d2)の形成に用いられる中掛け用溶液は、固形分を水に溶解した水溶液であり、固形分濃度を50〜70重量%にすることが好ましい。固形分の成分としては、糖を主成分とし、増粘剤としてアラビアガム、ゼラチン、プルラン、またはこれらを1種以上含む混合物などが用いられる。
【0040】
仕上げ層(d3)の形成に用いられる仕上げ用溶液は、固形分を水に溶解した水溶液であり、固形分濃度を50〜70重量%にすることが好ましい。固形分の成分としては、糖を主成分とし、各種着色剤が添加されたものなどが用いられる。
【0041】
下掛け層(d1)、中掛け層(d2)および仕上げ層(d3)を形成する糖を含有する溶液の使用量は、溶液のシェラック層(C)と下塗り層(B)とを被覆した核錠(A)に対する付着性、水分の乾燥し易さなどからシェラック層(C)と下塗り層(B)とを被覆した核錠(A)100重量部に対して、溶液塗布1操作当たり、0.5〜1.5重量部が好ましい。
糖の使用量は、糖衣層(D)のひび割れを防ぐ目的では、シェラック層(C)と下塗り層(B)とを被覆した核錠(A)の表面積1cm当たり70mg以上が好ましく、糖衣層(D)のひび割れを防止し、糖衣錠の高カロリー化を防ぐためには80〜100mgがより好ましい。
【0042】
糖衣層(D)の膜厚は、糖衣層(D)のひび割れを防止する理由から250μm以上が好ましく、糖衣錠の高カロリー化を防ぐためには300〜500μmがより好ましい。
【0043】
なお、本発明の糖衣錠の製造方法においては、糖衣機として、手動または、自動パン被覆糖衣機を適宜使用することが出来る。
【0044】
【実施例】
次に、具体的な実施例および比較例を示して本発明の効果を明らかにする。
【0045】
(実施例1)
スピルリナ・プラテンシスを85重量%含む核錠(直径8mm、質量200mg/粒、硬度10kg核錠、水分含有割合5.0重量%、該核錠を温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置したときの水分含有割合は10.6重量%)50kgを、手掛け糖衣パン(16C−125丸型パン、菊水製作所製)に仕込み、糖衣パンを23rpmで回転させた。この状態で、ゼラチン含有水溶液(ゼラチン濃度4.0重量%)500gを加えて核錠の表面に散布した。錠剤の表面全体にゼラチン含有水溶液が塗布されたことを目視で確認し、糖衣パン内に乾燥助剤として、炭酸カルシウム1000gを加えて、核錠の表面に均一になるよう散布し、糖衣パンの回転を120sec維持した後、給気温度70℃の温風を糖衣パン内に送風し、核錠を40min乾燥した。この操作を2回実施し、平均質量218mg/粒の、表面にゼラチン層からなる下塗り層が形成された核錠を得た。下塗り層の膜厚は、80μmであった。
【0046】
下塗り層が形成された核錠が入った糖衣パンを23rpmで回転させながら、25重量%濃度のシェラックエチルアルコール溶液1000gを糖衣パン内に加えて、核錠の表面に散布した。核錠の表面全体にシェラックエチルアルコール溶液が塗布されたことを目視で確認し、給気温度70℃の温風を糖衣パン内に送風し、核錠を20min乾燥した。この操作を2回実施し、平均質量223mg/粒の、表面にシェラック層が形成された核錠を得た。シェラック層の膜厚は、8〜15μmであった。
【0047】
シェラック層が形成された核錠が入った糖衣パンを23rpmで回転させながら、マルチトール(商品名:レシス、東和化成工業社製)68重量%、アラビアガム(商品名:アラビックコールSS、三栄薬品貿易社製)2重量%および水30重量%からなる下掛け用糖水溶液700gを糖衣パン内に加えて、手動による補助攪拌を行い、核錠の表面に下掛け用糖水溶液を均一に散布した。核錠の表面全体に下掛け用糖水溶液が均一に塗布されたことを目視で確認して、マルチトール微粉末(商品名:レシス、東和化成工業社製)5重量%および炭酸カルシウム(食品添加物グレード)95重量%からなる混合粉末1000gを糖衣パン内に加えて、核錠の表面に散布した。このとき、手動による補助攪拌を行った。核錠の表面全体にこの混合粉末が散布されたことを目視で確認し、給気温度70℃、給気量2m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を40min乾燥した。この操作を15回繰り返し平均質量271mg/粒(100粒平均)の、表面に下掛け層が形成された核錠を得た。
次いで、マルチトール(商品名:レシス、東和化成工業社製)64重量%、アラビアガムアラビアガム(商品名:アラビックコールSS、三栄薬品貿易社製)1重量%および水35重量%からなる中掛け用糖水溶液650gを糖衣パン内に加えて、手動による補助攪拌を行い、核錠の表面に中掛け用糖水溶液を均一に散布した。核錠の表面全体にこの中掛け用糖水溶液が塗布されたことを目視で確認し、給気温度70℃、給気量2m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を40min乾燥した。この操作を15回繰り返し平均質量295mg/粒(100粒平均)の、表面に中掛け層が形成された核錠を得た。
次いで、マルチトール(商品名:レシス、東和化成工業社製)63重量%、色素粉末2重量%および水35重量%からなる仕上げ用糖水溶液650gを糖衣パン内に加えて、手動による補助攪拌を行い、核錠の表面に仕上げ用糖水溶液を均一に散布した。核錠の表面全体にこの仕上げ用糖水溶液が塗布されたことを目視で確認し、給気温度70℃、給気量2m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を40min乾燥した。この操作を15回繰り返し平均質量318mg/粒(100粒平均)の、表面に仕上げ層が形成された核錠を得た。
その後、仕上げ層が形成された核錠を艶出しパンに移動し、ポリシングワックス(フロイント社製)で艶出しを行い、製品として79.5kgの糖衣錠を得た。この糖衣錠を糖衣錠1とした。
【0048】
得られた糖衣錠1のうち500錠を14号規格ガラス瓶に詰めて、ゴム引き金属キャップを締め、温度40℃の恒温槽内で1週間保存した後、糖衣層(糖衣錠表面)にひび割れが生じた糖衣錠の数を数えた。その結果を表1に示す。
【0049】
(実施例2)
実施例1で用いた核錠120kgを、自動糖衣パン(ハイコーター150N型、フロイント社製)に仕込み、糖衣パンを9rpmで回転させた。この状態で、ゼラチン含有水溶液(ゼラチン濃度3.0重量%)1500gを加えて核錠の表面に散布した。錠剤の表面全体にゼラチン含有水溶液が塗布されたことを目視で確認し、糖衣パン内に乾燥助剤として、炭酸カルシウム2000gを加えて、核錠の表面に均一になるよう散布し、糖衣パンの回転を120sec維持し、余分な炭酸カルシウム粉末を排出した後、給気温度60℃、給気量25m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を10min乾燥した。この操作を3回実施し、平均質量220mg/粒の、表面にゼラチン層からなる下塗り層が形成された核錠を得た。下塗り層の膜厚は、75〜100μmであった。なお、この下塗り層の形成を、手動で行った。
【0050】
下塗り層が形成された核錠が入った糖衣パンを9rpmで回転させながら、ハイコーターの設定を、フィルム被覆モードに設定し、10重量%濃度のシェラックエチルアルコール溶液を糖衣パン内に400ml/minで噴霧しながら、給気温度50℃、給気量20m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を乾燥した。シェラックエチルアルコール溶液の噴霧と乾燥工程を20min行い、その後、シェラックエチルアルコール溶液の噴霧を止め、糖衣パンの回転を間欠運転(条件3回転5sec/停止3min)にし、給気温度40℃、給気量20m/minの温風で、30min乾燥した。この操作により、平均質量222mg/粒(100粒平均)の、表面にシェラック層が形成された核錠を得た。シェラック層の厚さは、10〜15μmであった。
【0051】
シェラック層が形成された核錠が入った糖衣パンを9rpmで回転させながら、ハイコーターの糖衣被覆モードで、マルチトール(商品名:レシス、東和化成工業社製)66重量%、アラビアガム(商品名:アラビックコールSS、三栄薬品貿易社製)2重量%、炭酸カルシウム2重量%および水30重量%からなる下掛け用糖水溶液を、糖衣パン内に1000ml噴霧し、核錠の攪拌(ポーズ1)を2min、糖衣パン内の余分な粉末などの集塵(ポーズ2)を20sec、給気温度60℃、給気量25m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を4min乾燥した。この操作を10回繰り返した後、下掛け用糖水溶液の液量を1300mlにし、他の条件は変えずに同様の操作を10回繰り返した。この操作により、平均質量272mg/粒(100粒平均)の、表面に下掛け層が形成された核錠を得た。
次いで、マルチトール(商品名:レシス、東和化成工業社製)63重量%、アラビアガムアラビアガム(商品名:アラビックコールSS、三栄薬品貿易社製)2重量%および水35重量%からなる中掛け用糖水溶液を糖衣パン内に1200ml噴霧し、練り(ポーズ1)を2min、集塵(ポーズ2)を20sec、給気温度60℃、給気量25m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を4min乾燥した。この操作を7回繰り返した後、中掛け用糖水溶液を1100mlにし、他の条件は変えずに同様の操作を6回繰り返した。この操作により、平均質量298mg/粒(100粒平均)の、表面に中掛け層が形成された核錠を得た。
次いで、マルチトール(商品名:レシス、東和化成工業社製)63重量%、色素粉末2重量%および水35重量%からなる仕上げ用糖水溶液を糖衣パン内に800ml噴霧し、核錠の攪拌(ポーズ1)を3min、糖衣パン内の余分な粉末などの集塵(ポーズ2)を20sec、給気温度50℃、給気量25m/minの温風を糖衣パン内に送風し、核錠を4min乾燥した。この操作を20回繰り返し平均質量319mg/粒(100粒平均)の、表面に仕上げ層が形成された核錠を得た。
その後、糖衣パンの回転数を10rpmとし、ポリシングワックス(フロイント社製)100gを仕上げ層が形成された核錠の表面に散布し、2min回転した後、給気温度50℃、給気量25m/minの温風で加温し、20min艶出しを行った。そして、製品として、197kgの糖衣錠を得た。この糖衣錠を糖衣錠2とした。この糖衣錠2に関して、実施例1と同様の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0052】
(比較例1)
ゼラチン含有水溶液を用いてゼラチン層からなる下塗り層を形成しなかった以外は実施例1と同様にしてシェラック層と糖衣層の形成を行い、糖衣錠を製造した。得られた糖衣錠を比較例1とする。この比較例1に関して、実施例1と同様の評価を行った。その結果を第1表に示す。
【0053】
【表1】



【0054】
表1の結果から、糖衣錠1および糖衣錠2は、糖衣層にひび割れが生じ難く、その表面が長期に渡って平滑に維持されることが確認された。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の糖衣錠は、糖衣層にひび割れが生じ難く、その表面が長期に渡って平滑に維持される糖衣錠である。
また、本発明の糖衣錠の製造方法によれば、吸水性の高い核錠を用いても、糖衣層にひび割れが生じ難い糖衣錠を容易に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時に水分含有割合が9重量%以上となる核錠(A)上に、下塗り層(B)とシェラック層(C)と糖衣層(D)とが、(A)/(B)/(C)/(D)の順で積層されていることを特徴とする糖衣錠。
【請求項2】
前記核錠(A)が、藻類を含有してなる核錠である請求項1記載の糖衣錠。
【請求項3】
前記核錠(A)が、水分含有率7重量%以下の核錠である請求項2記載の糖衣錠。
【請求項4】
前記下塗り層(B)が、水と混合したときゲル化する物質を含有する層である請求項1記載の糖衣錠。
【請求項5】
前記下塗り層(B)が、ゼラチンを含有する層である請求項1記載の糖衣錠。
【請求項6】
前記下塗り層(B)が、ゼラチンと乾燥助剤を含有するものである請求項1記載の糖衣錠。
【請求項7】
前記下塗り層(B)の膜厚が、10〜150μmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の糖衣錠。
【請求項8】
前記糖衣層(D)が、マルチトールからなる糖衣層である請求項6記載の糖衣錠。
【請求項9】
温度25℃で相対湿度80%の条件下に14時間放置した時に水分含有割合が9重量%以上となる核錠(A)表面に、下塗り層(B)を被覆した後乾燥し、該下塗り層(B)の上にシェラック層(C)を被覆した後乾燥し、さらに、該シェラック層(C)の上に糖衣層(D)を被覆した後乾燥することを特徴とする糖衣錠の製造方法。
【請求項10】
前記核錠(A)を、藻類を含有してなる核錠とする請求項9記載の糖衣錠の製造方法。
【請求項11】
前記核錠(A)を、水分含有率7重量%以下の核錠とする請求項9記載の糖衣錠。
【請求項12】
前記下塗り層(B)を、水と混合したときゲル化するものを用いて形成する請求項9記載の糖衣錠の製造方法。
【請求項13】
前記下塗り層(B)を、ゼラチンを用いて形成する請求項10記載の糖衣錠の製造方法。
【請求項14】
前記下塗り層(B)を、前記核錠(A)表面にゼラチンを含有する溶液を被覆した後、乾燥助剤粉末を散布し、次いで、乾燥して形成する請求項12または13記載の糖衣錠の製造方法。
【請求項15】
前記下塗り層(B)を、10〜150μmの膜厚になるように前記核錠(A)表面に被覆する請求項9ないし14のいずれか1項に記載の糖衣錠の製造方法。
【請求項16】
前記糖衣層(D)を、マルチトールで形成する請求項9記載の糖衣錠の製造方法。

【公開番号】特開2004−123578(P2004−123578A)
【公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−288034(P2002−288034)
【出願日】平成14年9月30日(2002.9.30)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【出願人】(300052349)バイホロン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】