説明

糖質コルチコイド感作物質としてのプロゲストーゲンの使用方法

1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病又は症状を治療するために、コルチコステロイド感受性の回復又は糖質コルチコイド非感受性の逆転、又は糖質コルチコイド感受性の亢進のための糖質コルチコイド感作物質としてのプロゲステロンを投与する方法及びキットが提供される。例えば、これらには、徴候の月経前又は月経後の悪化、例えばアトピー性皮膚炎の月経前悪化、又はぜんそくの月経前悪化のような月経周期関連悪化又は、自己ホルモン特にプロゲステロンに対するアレルギーの履歴が無く、かつ糖質コルチコイド治療に対し比較的又は完全に難治性応答、例えば糖質コルチコイド抵抗性を発現する被験者において、糖質コルチコイド非感受性を逆転する方法を含む。この方法及びキットは、コルチコステロイド依存性又はコルチコイド抵抗性又はコルチコステロイドに対する非応答性又は不耐性の被験者への性ホルモン投与を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
糖質コルチコイド非感受性は、糖質コルチコイドで治療される疾病/症状において治療が効果的でないため重大な管理問題を提供する。本発明は、1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病又は症状を治療するための、糖質コルチコイド感作物質としてのプロゲストーゲンを投与しプロゲストーゲンの感受性を回復し、又はプロゲストーゲンの非感受性を逆転させ、又は糖質コルチコイド感受性を亢進させる方法及びキットに関する。
例えば本発明は、月経前又は月経後の症状悪化、例えば、アトピー性皮膚炎の月経前悪化、又はぜんそくの月経前悪化、及び糖質コルチコイド治療に対する相対的又は完全な難治性反応、例えば糖質コルチコイド抵抗性のような、月経周期関連増悪、自己ホルモン特にプロゲステロンに対するアレルギーの履歴が無い被験者において、糖質コルチコイド非感受性を逆転させる方法に関する。
本発明の方法及びキットは、コルチコステロイド(副腎皮質ホルモン)依存性、又はコルチコイド抵抗性又はコルチコステロイドに対し非応答性又は不耐性の被験者への性ホルモンの投与を提供する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の参照)
本出願は2010年2月8日出願の特許文献1に対する優先を主張し、この文献はここに参照として採り入れられる。
【0003】
糖質コルチコイドは種々の免疫炎症性及びアレルギー性疾病に対し第一線の治療剤である。例えば自己免疫疾病は全米人口の5%が罹患する70以上の慢性疾病を含み、またシェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、自己免疫性甲状腺疾患(橋本病及びグレーブス病)及び強皮症などの殆ど女性(80%超)に発症する疾病、又は関節リウマチ、多発性硬化症及び重症筋無力症などの比較的女性に多い(65−70%)疾病、;又はサルコイド及び炎症性腸疾患などの男女ほぼ同比率で発症する疾病を含む。
【0004】
糖質コルチコイド非感受性はステロイドで治療される疾病/症状において重大な管理問題を提供し、そして20−40%の被験者は疾病の制御に失敗する。糖質コルチコイド非感受性は、糖質コルチコイド治療に対する相対的又は完全な難治性;糖質コルチコイドに対する非応答性又は不耐性;コルチコステロイドの適切な導入投与に対する非応答性;当初はコルチコステロイド対し応答性であるが退薬又は薬量の漸減の後すぐに再発する(コルチコステロイド依存);コルチコイド抵抗性、例えば高薬量治療を必要とする;又は「治療困難」または重症。例えば、重症なかつステロイド抵抗性のクローン病の被験者の20−30%はステロイド治療に対し応答しない(非特許文献1)。
【0005】
糖質コルチコイド非感受性に関連する疾病/症状は以下を含む:難治性炎症性腸疾患、例えば難治性潰瘍性大腸炎や小児劇症クローン病、コルチコステロイド難治性ぜんそく、又は糖質コルチコイド抵抗性ぜんそく、又は症候性コルチコステロイド依存性ぜんそく、コルチコステロイド難治性剥離性間質性肺炎、難治性炎症性筋原性疾患、難治性重症筋無力症、難治性尋常性天疱瘡、メトトレキサート難治性関節リウマチ、成人性難治性ネフローゼ症候群、コルチコステロイド依存性全身性エリテマトーデス(SLE)、初期シェーグレン症候群、全身性血管炎及び多発性筋炎、慢性移植片対宿主病、コルチコステロイド依存性又は難治性多発性硬化症、難治性熱帯性下痢様疾患、ステロイド抵抗性サルコイドーシス、尋常性天疱瘡の難治性粘膜病変、難治性シュニッツラー症候群、頭部及び首部の抵抗性皮膚炎、劇症難治性アトピー性皮膚炎、難治性特発(性)血小板減少性紫斑病、難治性眼窩筋炎、難治性又は再発性リンパ腫、敗血症又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)又は副腎機能不全による重篤患者、コルチコステロイド依存性症状(例えば、酒さ、リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、川崎病症候群、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、多巣性運動神経障害、全身強直症候群、他)。
糖質コルチコイド非感受性は重大な健康的、社会的そして経済的コストを要する。例えばぜんそくの被験者の少数(5−10%)は多くの場合応答に失敗する重症なコルチコステロイド難治性症状を有するが、これら被験者は全ぜんそく医療費の50%超を占める。
【0006】
糖質コルチコイドは、主として抗炎症遺伝子の活性化と炎症亢進性遺伝子の抑制の両方の結果として炎症を抑制する。抗炎症遺伝子発現の活性化は、糖質コルチコイドが細胞基質の糖質コルチコイド受容体(GR)と結合することによって始まり、それは活性化し細胞核に移動する。それは一度細胞核において糖質コルチコイド応答エレメント(GRE)及び転写コアクチベーター分子と結合し、そしてコアヒストンのアセチル化を引き起こし、それは抗炎症遺伝子の発現につながる。炎症刺激は、サイトカイン、ケモカイン、接着分子、炎症性酵素、及び受容体を核内因子κB(NFκB)及びアクチベータータンパク質1などの炎症亢進性転写要素経由で符号化する多重の炎症性遺伝子のスイッチを入れ、そしてコリプレッサー分子を動員する。活性化した糖質コルチコイド受容体は細胞核内のコアクチベーターと結合しヒストンアセチル化酵素(HAT)活性を直接抑制し、そしてヒストン脱アセチル化酵素2(HDAC2)を動員し、このことは活性化した炎症性遺伝子の抑制につながる。
【0007】
糖質コルチコイド抵抗性の幾つかの可能な分子メカニズムが発見され、それには遺伝的感受性、糖質コルチコイド受容体(GR)に対する結合の不存在又は欠陥的結合及び転位、GR発現の減少、コリプレッサー活性の不存在、又は炎症性経路の活性の亢進を含む。例えば糖質コルチコイド受容体は幾つかのキナーゼ(例えば、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、c−Jun N端末キナーゼ、及び細胞外シグナル制御キナーゼ)によりリン酸化され、それは欠陥的結合、安定性の変化、細胞核への転位、DNAへの結合、及び他のタンパク質との相互作用をもたらす。転写因子アクチベータータンパク質1の過度の活性化は糖質コルチコイド受容体(GR)の糖質コルチコイド応答エレメント(GRE)との結合を防止でき、又は核内因子κBを抑制する;窒素酸化物(NO)は糖質コルチコイド受容体(GR)上のチロシン残渣をニトロ化する;糖質コルチコイド受容体(GR)はまたユビキチン化可能であり、このことはプロテアソームによるGRの分解;ヒストン脱アセチル化酵素2(HDAC2)発現の減少、マクロファージ遊走抑制因子の増加、及びP−糖タンパク質−媒介薬物排出をもたらす。(非特許文献2)
【0008】
ステロイド依存性の臨床的及び生物学的メカニズムはステロイド抵抗性に比べてよく判っていない。ステロイド依存性及びステロイド抵抗性は共通の固有のメカニズムを幾つか共有するが、他のメカニズムは単に臨床的又は薬理学的である。
【0009】
糖質コルチコイド非感受性の影響を寛解させるために多くの試みがなされた。一般的な方法は、免疫抑制又は免疫調節剤(例えばシクロスポリン、メトトレキサート、金、6−メルカプトプリン、静脈内免疫グロブリンのような生物由来物質及びメポリズマブ)及びカルシニューリン抑制剤(例えばシクロスポリン、タクロリムス)などの薬効の広い抗炎症性治療薬を使用することである。糖質コルチコイド抵抗性を逆転するため種々のアプローチが提唱、開発された。それらは、p38MAPキナーゼ抑制剤、JNK抑制剤(API減少)、ステロイド抵抗性ぜんそくにおけるビタミンD(調節性T細胞の増加)、MIF抑制剤、ヒストン脱アセチル化酵素2アクチベーター、テオフィリン、ホスホイノシチド−3−キナーゼ−δ抑制剤、抗酸化剤、iNOS抑制剤、及びP−糖タンパク質抑制剤である。糖質コルチコイド抵抗性の逆転のためのプロゲステロンの使用は今までどこでも議論されず、また発表されていない。そして本発明は従来技術からの重大な驚くべき予想外の優位性を示した。
【0010】
糖質コルチコイド非感受性の管理の他の方法による成功例は限られる。ある薬はある病状に効果を示すが他の病状には効果を示さない。メトトレキサートはリウマチ性関節炎に薬効があるが、P−糖タンパク質発現の増加に起因する糖質コルチコイド抵抗性炎症性腸疾病には効果がない。同様に、カルシニューリン抑制剤は糖質コルチコイド抵抗性炎症性腸疾病の被験者には有用であるが、糖質コルチコイド抵抗性ぜんそくに効果が有ると証明されていない。さらに、これら薬剤の使用はしばしば重大な有害事象を伴う。被験者の大多数(60−70%)は有害事象のためメトトレキサートによる治療に失敗する。慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び炎症性症状に対するホスホジエステラーゼ4抑制剤は、吐き気、下痢、頭痛などの有害事象を持ち、それが使用量を制限する。重大な毒性及び有害事象によりp38MAPキナーゼ抑制剤及びNFκBキナーゼの抑制を阻害する選択的抑制剤(IKKβ)/NFκBの薬剤開発プログラムが妨げられた。(非特許文献2)
【0011】
自己免疫性、アレルギー性、及びリンパ球増殖性の疾病の被験者のかなりの割合が糖質コルチコイド治療にたいして難治性であり、かつ多くの異なる炎症性疾病が類似の分子メカニズムを共有すると仮定すると、ステロイド非感受性を逆転する一般的な治療方針を開発する方法に対して現在まで充足されない要求が存在する。本発明に基づくプロゲステロンの使用は、コルチコステロイド非応答又は不耐性又はコルチコステロイド依存性及び抵抗性の疾病/症状を有する被験者を助ける驚異的な、予期せぬかつ実際的な方法を提供することが発見された。
【0012】
プロゲストーゲン製剤は広範囲の生殖性の疾病/症状に60年以上広く使用され、そして抗炎症性効果を有することが知られて来た。炎症性応答に対する大多数の研究が妊娠関連のモデルにおいて行われた。プロゲステロン/PRは抗炎症性作用を経由して子宮休止を維持する(非特許文献3)。ゲラーセン(Gellersen,2009)は非遺伝子的プロゲステロン作用を広く研究してプロゲステロン抗炎症性作用の可能なメカニズムを集約した。それには、プロゲステロンが部分的にシクロオキシゲナーゼ(COX−2)発現を抑制することにより妊娠した子宮内でのプロスタグランジン生成に対抗すること;G−タンパク質活性化及びKチャネル抑制を経由したヒトT−リンパ球における免疫調整機能;プロゲステロン起因性遮断因子(PIBF)はホスホリパーゼA2酵素に作用し、アラキドン酸代謝に干渉し、Th2バイアス免疫応答を誘発し、NK活性を制御することにより抗早産作用を及ぼす。(非特許文献4)
【0013】
チャリーズ(Challies,2009)による他の研究は他のメカニズムの可能性を示唆している;プロゲステロンがマイトジェン刺激リンパ球増殖を遮断し、抗体生成を調節し、単球の酸化バーストを減少させ、細菌性製剤に応答してマクロファージにより炎症亢進性サイトカインの生成を減少させ、T−細胞クローンのサイトカイン分泌を好IL−10生成に変化させ、Toll様受容体4(TLR−4)発現を増大させ、子宮内組織感染に対するTLR−2応答を抑制し、早産に関して防御的役割を果たす結果となり、基底及びサイトカイン促進性マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)−1及びMMP−3の培養脱落膜細胞内発現を抑制し、それは早産に対する保護を示す(非特許文献5)。プロゲステロンの糖質コルチコイド非感受性を保持するための使用は、いままでどこにも開示、教授、示唆、議論、発表されていないため、本発見は従来技術からの重大なかつ予期せぬ進歩を意味する。
【0014】
一般的病状の月経周期関連の悪化は周知の減少であり、それは偏頭痛、てんかん、ぜんそく、過敏性腸症候群、自己免疫プロゲステロン皮膚炎及び口内炎、および糖尿病を含む。悪化は月経周期のホルモン変化に影響される。これら作用の大部分は月経周期の黄体期と月経期に起こる。例えば、月経前ぜんそくとは、月経直前及び/又は月経中のぜんそく徴候の悪化をいう。徴候の月経カレンダーへの正確な記載は、疾病活性の周期的変化を有する女性の識別を可能にする。女性性ステロイドホルモンは重要な役割を果たすが、具体的なメカニズムはいまだ未知である。これらの月経周期関連作用を説明する理論が幾つか存在する。これらの理論は、性ステロイドレベルの増減、免疫システムの周期的変化、気道過敏症、月経前症候群にみられるような、月経前の気分の変化に起因する疾病重篤性の知覚の変化、及び自己ホルモン、特にプロゲステロンに対するアレルギーを含む。月経周期関連の悪化はプロゲステロンの補給によって回復可能である(非特許文献6−8)。
【0015】
糖質コルチコイド非感受性はしばしば、糖質コルチコイド治療に対し相対的又は完全な難治性応答に寄与すると信じられている他の要因と関連する。これら要因には、上述の種々のリスク要素、例えば遺伝子易罹患性、糖質コルチコイド受容体遺伝子の異常、ウィルス感染、及び酸化ストレスがある。例えば酸化DNA損傷は置換変異プロセスの主要な原因であり、加齢、癌、及び他の疾病の主要原因であることが知られている。その理由は、DNAを構成し、生命の遺伝子コードを形成する4つの基本ヌクレオチドの一つであるグアニンが、特に酸化ダメージにたいし敏感であり、遺伝子置換変異の多くはグアニンにリンクしているからである。従って従来技術において、これらリスク要素に伴う糖質コルチコイド非感受性関連症状(例えば、難治性ぜんそく、難治性リュウマチ性関節炎、難治性炎症性腸炎、慢性閉塞性肺疾患及び急性呼吸窮迫症候群)の発生を減少させる方法の必要性が存在する。
【0016】
ぜんそくの悪化に対して月経リズムが文書化されており、それは重症性ぜんそくの被験者に対し重要な臨床的関連性を有する。ベイノン(Beynon、1988)氏他は筋肉内プロゲステロンで治療されたぜんそくの重症性月経前悪化の3つのケースを報告している。被験者は高投与量のコルチコステロイド治療を含む従来技術の治療法には応答しなかった。全てのケースで月経前のピーク流量の落ち込みがみられた。筋肉内プロゲステロンの追加(2つのケースでは100mg/日及び1つのケースで週に2回600mg)をレジメンに追加したところピーク流量の月経前下落が無くなり、プレドニゾロンの一日投与量は3人の患者で減少された。この研究及び結果は非特許文献7に記載されている。
【0017】
他の研究では、ラッセル氏他(Russel,2007)が、月経前ぜんそくは自己ホルモン特にプロゲステロンに対するアレルギーを伴うという仮説を舌下のプロゲステロン希釈液を気管支拡張薬として使用することにより検証した。重症性ぜんそくを過去に診断され、そして噴霧治療依存性の16人の女性がその研究に選択された。これら被験者には肺活量測定が実施された。研究結果では、1秒間の努力呼気肺活量(FEV1)、努力肺活量(FVC)及びピーク呼気流量(PEF)について3つの時点(1)治療前(2)舌下の基準食塩水治療後(3)舌下のプロゲステロン治療後で計測した結果に経時変化が見られた。舌下のプロゲステロン治療後では16人の被検者中12人(75%)がFEV1とFVCのいずれかで気管支拡張薬効果を得た(12%超の増加)。8人(50%)がFEV1とFVCの両方で増加した。8人(50%)がPEFで27%以上の増加をえた。この研究及び結果は(非特許文献8)に記載されている。
【0018】
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の活性化はマイトジェンシグナル伝達において重大な事象である。ルジッキー(Ruzycky,1996)は17ベータ−エストラジオールとプロゲステロンの効果をマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)発現及び活性化について判定した。MAPK発現及び活性化はエストラジオール−17ベータのみ又はエストラジオール−17ベータ及びプロゲステロンで前処理されたラットからの子宮平滑筋で検査された。MAPK活性はミエリン基礎タンパク質のMAPK特異性ペプチド配列のリン酸化の計測により検知された。ステロイド治療は細胞膜及び細胞基質断片に細胞外シグナル制御キナーゼ(erk)−1及び2発現の緩やかな(20%)減少をもたらした。エストロゲン及びプロゲステロンの両方はMAPKチロシンのリン酸化及び膜結合性MAPK活性を増大させた。ステロイド治療は細胞基質MAPKチロシンのリン酸化を増大させたが、酵素活性は増大させなかった。この研究及び結果は(非特許文献10)に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Michetti P,Mottet C,Juillerat P,Felley C,Vader J−P,Burnand B,Gonvers J−J,Froehlich F共著:「重症及びステロイド抵抗性クローン病」、Digestion 2005;71:19−25
【非特許文献2】Peter J Barnes,Ian M Adcock共著:「炎症性疾病における糖質コルチコイド抵抗性」、Lancet 2009;373:1905−17
【非特許文献3】Carole R,Mendelson著:Minireview「妊娠における胎児母体のホルモン信号及び分娩分子内分泌学」23:947−954,2009
【非特許文献4】Gellersen B他著:「女性生殖における非遺伝子性プロゲステロン作用」、Human Reproduction Update,Vol.15,No.1 pp.119−138,2009
【非特許文献5】Challis JR他著:「炎症及び妊娠」Reproductive Sciences 2009;16;206
【非特許文献6】Allison M. Case及びRobert L.Reid共著:「一般的病状に対する月経周期の作用」、Journal Comprehensive Therapy Issue,第27巻、No1、2001年3月
【非特許文献7】Beynon HL.著:「ぜんそくの劇症性月経前悪化:筋肉内プロゲステロン作用」、Lancet,1988年8月13日、2(8607):370−2
【非特許文献8】Roby,Russel R他著:「女性ぜんそく患者における気管支拡張剤としての舌下プロゲステロン希釈液」、World Allergy Organization Journal,2007年11月、Volume−Issue−pS148
【非特許文献9】Ruzycky他著:「ラット子宮平滑筋における17ベータ−エストラジオール及びプロゲステロンのマイトジェン活性タンパク質キナーゼ発現及び活性に対する作用」、Eur J Pharmacol.1996年4月11日;300(3):247−54
【非特許文献10】Kam,J.c.他著:「IL−2及びIL−4の組合せが糖質コルチコイド受容体結合の結合性及び糖質コルチコイドに対するT細胞応答を減少させる」、J.Immunol 1993,151:3460−3466
【非特許文献11】Irusen,E他著:「p38マイトジェン活性タンパク質キナーゼ誘発糖質コルチコイド受容体リン酸化はその活性を減少させる:ステロイド非感受性ぜんそくにおける役割」J.Allergy Clin.Immunol 2002.109:649−657
【非特許文献12】Creed TJ他著:「デキサメタゾンによるリンパ球増殖の抑制に対するサイトカインの効果」J.Immunol 2009;183;164−171
【発明の概要】
【0020】
本発明のある実施形態は、コルチコステロイド感受性を回復し、又は糖質コルチコイド非感受性を逆転し、又は糖質コルチコイド感受性を亢進する方法に向けられる。
【0021】
本発明の他の実施形態は、ステロイドホルモンを含む医薬組成物を月経周期関連の病状悪化の履歴がなく、1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を患う被験者に投与する方法に向けられる。糖質コルチコイド非感受性関連症状は、例えば、コルチコステロイドに対し治療が、効果なく、又は不耐性、又は依存性、又は非応答、又は難治性になった場合にステロイドで治療される一定範囲のコルチコイド抵抗性疾病及び免疫性炎症性障害、及びその組合せ、を含む。
【0022】
ある実施形態では、本発明の方法はステロイドホルモンからなる医薬組成物を月経周期関連悪化の履歴の無い被験者に投与するステップを含み、ここで被験者は酸化ストレスへの暴露に起因して糖質コルチコイド非感受性を発現するリスクがある。
【0023】
さらに他の実施形態は、コルチコステロイド感受性を回復し、又は糖質コルチコイド非感受性を逆転し、又は糖質コルチコイド感受性を亢進し、そしてコルチコイド抵抗性疾病、コルチコステロイド難治性、コルチコステロイド依存性免疫性炎症性障害、及びそれらの組合せからなるグループから選択される1つ以上の症状を治療することに向けられる。ある例示的な糖質コルチコイド抵抗性症状は、限定されないが、糖質コルチコイド抵抗性ぜんそく、難治性リウマチ性関節炎、難治性炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、急性呼吸促迫症候群、間質性肺線維症、及び嚢胞性線維症を含む。ある例示的な糖質コルチコイド難治性症状は、限定されないが、難治性潰瘍性大腸炎、小児劇症クローン病、コルチコステロイド難治性ぜんそく、コルチコステロイド難治性剥離性間質性肺炎、難治性炎症性筋原性疾患、難治性重症筋無力症、難治性尋常性天疱瘡、メトトレキサート難治性関節リウマチ(RA)、難治性ネフローゼ症候群、難治性多発性硬化症、難治性熱帯性下痢様疾患、ステロイド抵抗性サルコイドーシス、尋常性天疱瘡の難治性粘膜病変、難治性シュニッツラー症候群、頭部及び首部の抵抗性皮膚炎、劇症難治性アトピー性皮膚炎、難治性特発性血小板減少性紫斑病、難治性眼窩筋炎、難治性又は再発性リンパ腫、敗血症又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)又は相対的副腎機能不全による重篤患者を含む。ある例示的な糖質コルチコイド依存性症状は、限定されないが、酒さ、リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、川崎病症候群、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、多巣性運動神経障害、全身強直症候群、コルチコステロイド依存性全身性エリテマトーデス、コルチコステロイド依存性多発性硬化症、症候性コルチコステロイド依存性ぜんそく、初期シェーグレン症候群、全身性血管炎、多発性筋炎、臓器移植、移植片対宿主病、及び糖質コルチコイド依存性癌を含む。
【0024】
本発明のさらなる実施形態は、キットであって、医薬組成物と、前記組成物はステロイドホルモン及び1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、及び、医薬組成物を月経周期関連悪化の履歴のない被験者に投与するための説明書と、を含み、ここにおいて被験者は1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を発現する、ことを特徴とするキットに向けられる。糖質コルチコイド非感受性関連症状は、例えば、治療がコルチコステロイドに対し非有効又は不耐性又は依存性又は非応答性又は難治性、及びそれらの組合せになった場合に糖質コルチコイドで治療される一定の範囲のコルチコイド抵抗性疾病及び免疫−炎症性障害を含む。
【0025】
他の実施形態では、本発明のキットは、キットであって、医薬組成物と、前記組成物はステロイドホルモン及び1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、及び、医薬組成物を月経周期関連悪化の履歴のない被験者に投与するための説明書と、を含み、ここにおいて被験者は1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を発現する、ことを特徴とするキットを含む。
【0026】
本発明のさらなる実施形態は、キットであって、(i)医薬組成物と、前記組成物はステロイドホルモン、1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、及び、(ii)前記医薬組成物を、コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または抵抗性、コルチコステロイドの低投与量による有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、ステロイド投与が減量又は退薬された場合、又はコルチコステロイドの連用の後の被験者または患者の最適免疫機能、容易な応答の達成、日和見感染、骨量減少、病的骨折、糖尿病、白内障、及びそれらの合併症のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現のリスクの低減、の効果を達成するために、糖質コルチコイド感作物質として投与するための説明書と、を含む、ことを特徴とするキットに向けられる。
【0027】
上記の実施形態は本発明の代表的な実施形態であり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでは決してない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1−12は本発明の実施形態を示す幾つかの事例の結果のグラフ表現であるが、しかし本発明の範囲を制限するものではない。
【図1】ベースライン、PHA刺激後及びデキサメタゾンによる投与量依存IL−2抑制後のIL−2レベルを示すグラフである。
【図2】IL−2とIL−4の追加がステロイド抵抗性を誘発することを示すグラフである。
【図3】低投与量デキサメタゾン(10−10モル)下での17HPC、P4、及びMPAを比較したステロイド抵抗性の逆転におけるプロゲステロン効果(%Imax)を示すグラフである。
【図4】高投与量デキサメタゾン(10−6モル)下での17HPC、P4、及びMPAを比較したステロイド抵抗性の逆転におけるプロゲステロン効果(%Imax)を示すグラフである。
【図5】17HPCがコルチコステロイド感受性を回復することを示すグラフである。
【図6】17HPCがステロイド抵抗性を逆転すること及び個人別応答パターンを示すグラフである。
【図7】17HPCの投与後、11人中9人が最大デキサメタゾン抑制を10%以上改善したことを示すグラフである。これは図6の結果と一致する。
【図8】17HPCに類似の天然プロゲステロンの投与後、8人中6人が最大デキサメタゾン抑制を10%以上改善したことを示すグラフである。
【図9】MPA治療が全く異なる応答パターンである「スプリット」応答を示すことを表わすグラフである。
【図10】喫煙者におけるIL−2抑制の測定により、デキサメタゾン感受性に対する17HPCの効果を示すグラフである。(表1も同様)17HPCの追加的効果はステロイド感受性の改善であることを示す。
【図11】17HPCの追加により治療応答性が改善することを示すグラフである。デキサメタゾンの最大抗炎症性効果は、10−6モルにおいてPHA誘発IL−2生成の78%抑制である。17HPCの追加治療は、有意により良好な応答性を生成し、PHA誘発IL−2生成のほぼ100%を抑制する。
【図12】17HPCとデキサメタゾンの組合せがデキサメタゾン効果を25−37%改善するというシナジー効果を示すグラフである。この組合せは継続してデキサメタゾンの抗炎症性効果を増大させ、個別に使用した場合より良い結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここにはコルチコステロイド依存性又はコルチコイド抵抗性又はコルチコステロイド非応答性又は不耐性の被験者において、コルチコステロイド感受性を回復し、糖質コルチコイド感受性を促進し、及び/又は糖質コルチコイド非感受性を逆転するのに適した本発明に基づく好適な方法、組成物及びキットが記載されている。糖質コルチコイド非感受性関連の症状は、例えば、コルチコステロイドに対し治療が、効果なく、又は不耐性、又は依存性、又は非応答、又は難治性になった場合にステロイドで治療されるある範囲のコルチコイド抵抗性疾病及び免疫炎症性障害、及びその組合せ、を含む。詳細には、本発明に基づく好適な方法、組成物及びキットは、コルチコイド依存性被験者においてステロイドを節約する糖質コルチコイド感作物質作用、コルチコステロイドに対するより良好な応答性又は抵抗性、コルチコステロイドの少量使用による有効性の達成、抗原暴露、感染、運動又は刺激物質に応答してコルチコステロイド難治性応答、又は抵抗性、又は悪化を発症するリスクのある個人を防御し、ステロイド投与が漸減し又は休薬される時の被験者又は患者にとって最適な免疫機能、より容易な応答を達成し、或いはコルチコステロイドの連用において日和見感染、骨量減少のようなコルチコステロイド関連有害事象の発症リスクの低減、及びそれらの組合せを達成するのに有効である。より詳細には、糖質コルチコイド非感受性関連症状は、糖質コルチコイド抵抗性、糖質コルチコイド難治性応答、コルチコステロイド依存性及びコルチコステロイド不耐性に伴う及び/又は起因する種々の症状/障害を含む。糖質コルチコイド非感受性を発症する主要なリスク因子は酸化ストレスである。
【0030】
糖質コルチコイド非感受性の重大な結果にも拘わらず、糖質コルチコイド抵抗性、糖質コルチコイド難治性応答、コルチコステロイド依存性及びコルチコステロイド不耐性に伴う及び/又は起因する種々の症状/障害を患う被験者の治療において限定した成功しか得られなかった。カルシニューリン抑制剤及びメトトレキサートは2−3の選択された症状に対して有効であり得るが、他の殆どの糖質コルチコイド非感受性関連症状では効果がなかった。さらに、有意の有害事象がそれらの使用に伴った。有意の細胞毒性及び有害事象によりp38MAPキナーゼ抑制剤、NKκBキナーゼの抑制を遮断する選択的抑制剤、及びホスホジエステラーゼ4抑制剤の薬剤開発プログラムが妨げられた。大部分の糖質コルチコイド非感受性疾患は月経周期と関係がなく、そして糖質コルチコイド非感受性疾患を患う被験者の殆どはプロゲステロンに対するアレルギーを含む月経周期関連の症状悪化を経験しない。本発明によれば有利なことに、ここに詳述される方法は、好適には月経周期関連症状悪化の履歴の無い被験者のコルチコステロイド感受性を有意に回復する。本発明の治療と方法は驚くべきことに、糖質コルチコイド抵抗性、糖質コルチコイド難治性応答、コルチコステロイド依存性及びコルチコステロイド不耐性に伴う及び/又は起因する少なくとも1つの症状/障害を患う被験者において糖質コルチコイド非感受性を逆転し、及び/又は糖質コルチコイド感受性を亢進させると判定されて来た。
【0031】
従って本発明の方法は、コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または抵抗性、コルチコステロイドの低投与量による有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、ステロイド投与が減量又は退薬された場合、又はコルチコステロイドの連用の後の被験者または患者の最適免疫機能、容易な応答の達成、日和見感染、骨量減少、及びそれらの合併症のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現のリスクの低減のようなコルチコステロイド関連有害事象の発症リスクの低減を達成するのに適している。好適には、本発明の方法は糖質コルチコイド非感受性に伴う少なくとも1つのリスク要因又は基底をなすメカニズムを有意に無効にするのに適している。従って本発明の種々の実施形態は、好適には月経周期関連症状悪化の履歴が無く、かつ1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を患う被験者において糖質コルチコイド非感受性を逆転する方法に向けられている。これらのそして他の種々の実施形態において治療される被験者は男性又は女性で年齢は問わない。他の多くの実施形態は、繰り返し疾患攻撃を初めて又は既体験として受ける被験者を、月経周期関連症状悪化なく治療することに向けられる。
【0032】
プロゲステロンは抗炎症性効能を有するが、リュウマチ性関節炎などの炎症性疾患に対するプロゲステロンの治験は、一般的に効果的で再現性のある症候制御、又はよりよい臨床結果のための方法を示すのに失敗している。糖質コルチコイド抵抗性又は難治性応答を示す被験者は疾病集団のサブ集団であり、しかし明確に定義された「治療困難」サブ集団である。例えば、重症かつステロイド抵抗性のクローン病被験者はステロイド治療に反応しない。本発明の好適な目的の1つは、コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または抵抗性、コルチコステロイドの低投与量による有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、ステロイド投与が減量又は退薬された場合、又はコルチコステロイドの連用の後の被験者または患者の最適免疫機能及び容易な応答の達成、日和見感染、骨量減少のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現リスクの低減、及びそれらの組合せ、を達成するのにプロゲステロンを使用することである。
【0033】
さらに、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)活性化はコルチコステロイド非感受性につながる極めて重要な事象である。プロゲステロンがMAPK活性を増大させることが報告されている(非特許文献9)。特定の理論に縛られることなく、現在では当業者はMAPK活性が糖質コルチコイド受容体(GR)の細胞核転位置及び機能喪失の誘引となることを期待すると信じている。繰り返しになるが、特定の理論に縛られることなく、現在では当業者はプロゲステロンによる増大したMAPKがコルチコステロイド非感受性を悪化させると予想すると信じられている。しかし本発明によれば、驚くべきことにかつ予期せずに、プロゲステロンによる増大したMAPKの分子効果は糖質コルチコイド抵抗性又は難治性症状の治療におけるプロゲステロンの有効性に干渉しないことが発見された。またさらに驚くべきことにかつ予期せずに、17アルファ12カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(17−HPC)のようなプロゲステロンの糖質コルチコイド抵抗性又は難治性又はコルチコステロイド依存性症状をもつ被験者への投与は、ステロイド節約のような糖質コルチコイド感作物質効果をもたらすことが発見された。従って本発明により現在では、プロゲステロン(例えば17−HPC)の投与はコルチコステロイド感受性を有意に回復し、糖質コルチコイド感受性を亢進させ及び/又は糖質コルチコイド非感受性を逆転することが可能であると信じられている。
【0034】
プロゲステロンの抗炎症性効果に対する使用に比較して、本発見は驚くべきことにプロゲステロンの新機能及びその使用法、即ちコルチコステロイド非感受性の逆転、を識別し、そして明確に定義された治療から利益をうける被験者集団、即ちコルチコステロイド抵抗性、コルチコステロイド依存性、コルチコステロイド難治性応答及び/又はコルチコステロイド不耐性を発現する被験者を明確に識別した。殆どの糖質コルチコイド非感受性関連症状は月経周期関連症状悪化の履歴の無い被験者に起こるため、本発見は従来技術からの大きな進展である。
【0035】
(定義)
前述のように糖質コルチコイドは種々の免疫/炎症性及びアレルギー性疾病に対し第一線の治療である。しかし30%の被験者は耐えられる全身薬剤投与量では疾病制御に失敗し、そして臨床的結果が乏しいまま増大する免疫性応答を受け続ける。糖質コルチコイド非感受性は多くの疾病の病理発生と予後において重要な要因である。それは医療サービスに対する有意の管理問題とコスト負荷を意味する。
「糖質コルチコイド非感受性」とはここでは、限定されないが、コルチコステロイド抵抗性、コルチコステロイド依存性、コルチコステロイド難治性応答、コルチコステロイド不耐性、及び他のタイプのコルチコステロイド非有効性を意味する。幾つかの明確な分子メカニズムが糖質コルチコイドの抗炎症性効果の減少に貢献していることが判っている。異なる炎症性疾病が類似の分子メカニズムを共有し、そして単一の疾病がメカニズムの異種性を有する可能性が有る。
【0036】
「コルチコステロイドの抗炎症性効果に対するコルチコステロイド抵抗性」とは、高投与量の糖質コルチコイドによる治療の後に臨床的改善が見られないこととして定義される。
「コルチコステロイド依存性」は当初コルチコステロイドに応答したが退薬又は投与量が減少すると速やかに再発する状態として定義される。
「コルチコステロイド難治性応答」は、コルチコステロイドの適量の誘発投与量に対して応答しない状態として定義される。それは糖質コルチコイド治療に対する相対的又は完全な難治性応答を含み、そして多くの場合追加的治療による制御が必要となる。
他のタイプのコルチコステロイド非有効性には、非常に高投与量の治療の必要性である「治療困難」、「良好な応答なし」又は重症な症例、及び生体外及び生体内応答性障害を含む。
「コルチコステロイド不耐性」は、治療の毒性、及び/又は、日和見感染、骨量減少などのコルチコステロイド関連有害事象を発現するリスクとして定義される。
【0037】
「糖質コルチコイド感作物質」は、コルチコステロイド感受性の回復、糖質コルチコイド感受性の亢進、糖質コルチコイド非感受性の逆転、糖質コルチコイド感受性の喪失の防止に機能を有する薬剤及び医薬品として定義され、そして糖質コルチコイド非感受性に伴う疾病(例えば、コルチコステロイド依存性又はコルチコイド抵抗性又はコルチコステロイドに対する非応答性又は不耐性)または障害の1つ以上の症候の治療、防止、又は軽減に使用される。糖質コルチコイド感作物質の使用の治療的効果は限定されないが、コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または抵抗性、低投与量のコルチコステロイドによる有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、ステロイド投与が減量又は退薬された場合、又はコルチコステロイドの連用の後の被験者または患者の最適免疫機能及び容易な応答の達成、日和見感染、骨量減少、病的骨折、糖尿病、白内障のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現リスクの低減、及びそれらの組合せを含む。
【0038】
「治療する」又は「治療」とは、例えば、疾病又は障害の発症を抑制又は遅延させ、徴候又は症状の完全又は部分的な緩和を達成し、及び/又は疾病又は傷害及び/又は症候を軽減、緩和、減少又は回復させるように設計された応答的及び予防的手段を含む。「治療」はまた糖質コルチコイド非感受性関連疾病又は障害又は症状の治療のための使用のような本発明の組成物のいかなる医薬的使用をも含む。本発明の特定の化合物又は医薬組成物の投与による特定の障害の症候の緩和は、その組成物の投与に起因する又は伴ういかなる軽減、永久又は一時的に関わらない、永続的又は暫定的な軽減を意味する。
「被験者」はここでは動物、典型的にはヒトを含む哺乳類として定義される。「患者」は、ここではヒト及び動物の被験者を含む。
【0039】
本発明の方法を実施するにあたり、非経口的、経口的、又は静脈注射又は肺性の送達を含む全身送達、又は局部的又は外用に処方される、治療的に有効な濃度の化合物を含む有効な量のプロゲステロン化合物又は組成物は、以下の糖質コルチコイド非感受性関連疾病又は障害又は症状の治療に使用可能である:糖質コルチコイド抵抗性症状(例えば、糖質コルチコイド抵抗性ぜんそく、難治性リウマチ性関節炎、難治性炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、急性呼吸促迫症候群、間質性肺線維症、嚢胞性線維症);糖質コルチコイド難治性症状(例えば、難治性潰瘍性大腸炎、小児劇症クローン病、コルチコステロイド難治性ぜんそく、コルチコステロイド難治性剥離性間質性肺炎、難治性炎症性筋原性疾患、難治性重症筋無力症、難治性尋常性天疱瘡、メトトレキサート難治性関節リウマチ、難治性ネフローゼ症候群、難治性多発性硬化症、難治性熱帯性下痢様疾患、ステロイド抵抗性サルコイドーシス、尋常性天疱瘡の難治性粘膜病変、難治性シュニッツラー症候群、頭部及び首部の抵抗性皮膚炎、劇症難治性アトピー性皮膚炎、難治性特発(性)血小板減少性紫斑病、難治性眼窩筋炎、難治性又は再発性リンパ腫、敗血症又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)又は相対的副腎機能不全による重篤患者);コルチコステロイド依存性症状(例えば、酒さ、リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、川崎病症候群、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、多巣性運動神経障害、全身強直症候群、コルチコステロイド依存性全身性エリテマトーデス、コルチコステロイド依存性多発性硬化症、症候性コルチコステロイド依存性ぜんそく、初期シェーグレン症候群、全身性血管炎、多発性筋炎、臓器移植、及び移植片対宿主病);及び他の炎症性疾患、自己免疫性疾患、過剰増殖疾患、及び糖質コルチコイド非感受性が関係する場合の他のこれらの病気を含む。これら疾患の事例は、狼瘡、変形性関節炎、副鼻腔炎、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、アレルギー性鼻炎、じん麻疹, 遺伝性血管浮腫、腱炎、滑液包炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、硬変症、移植拒絶反応、乾癬、皮膚炎、悪性腫瘍(例えば、白血病、骨髄腫、リンパ腫)、急性副腎機能不全、リウマチ熱、肉芽腫性疾患、免疫増殖/アポトーシス、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸抑制及び調整、高コルチゾール血症、Th1/Th2サイトカインバランスの調整、慢性腎臓病、脊髄損傷、脳浮腫、血小板減少症、リトル病、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、ぶどう膜炎、尋常性天疱瘡、鼻ポリープ、敗血症、感染症(例えば、バクテリア、ウィルス、リケッチア、寄生虫による)、II型糖尿病、肥満症、メタボリックシンドローム、うつ病、統合失調症、気分障害、クッシング症候群、不安症、不眠症、記憶及び学習増強、又は糖質コルチコイド誘発緑内障、アトピー性皮膚炎、薬物過敏症応答、血清病、ヘルペス状水疱性皮膚炎、接触性皮膚炎、剥脱性紅皮症、菌状息肉腫、天疱瘡、非化膿性甲状腺炎、交感性眼炎、ぶどう膜炎及び外用ステロイドに非応答性の眼性炎症性症状、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、適切な化学療法と同時使用された場合の劇症性又は播種性肺結核症、過敏性間質性肺炎、器質化肺炎を伴う突発性閉塞性細気管支炎、特発性好酸球性肺炎、特発性肺線維症、既に適切な抗生物質による抗PCP治療を受けているHIV(+)感染者に発症する低酸素血症を伴うニューモシスティスカリニ肺炎(PCP)、特発性、又はエリテマトーデスに起因する尿毒症を伴わない腎炎症候群における利尿又はタンパク尿症の寛解、強直性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症、乾癬性関節炎、再発性多発性軟骨炎、神経性又は心筋性合併症のある旋毛虫症、及び結核性髄膜炎。
【0040】
一般的に本発明に基づきここに記載される糖質コルチコイド非感受性関連疾病又は障害又は症状の治療方法は、ステロイドホルモンからなる医薬組成物の投与から構成される。標準的に、親油性生殖腺ステロイドホルモンはプロゲステロンである。プロゲステロンは天然型プロゲステロン又は合成プロゲステロン(即ちプロゲスチン)でよい。本発明に従って使用可能なプロゲステロンは以下のカテゴリーに分類される:プロゲステロン、レトロプロゲステロン、プロゲステロン誘導体、17α−OHプロゲステロン誘導体(プレグナン及びノルプレグナンの両方)、19−ノルプロゲステロン誘導体、19−ノルテストステロン誘導体(エストランジェ(estranges)及びゴナンの両方)、及びスピロノラクトン誘導体。一般的に本発明に従って使用されるプロゲステロンはプロゲステロン及びその誘導体又は活性代謝物から選択される。本発明の方法及びキットで使用可能なプロゲステロンの特定の例は、限定されないが、17アルファHPC(カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン)、天然プロゲステロン、ジドロゲステロン、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、カプロン酸ゲストノロン、酢酸ノメゲストロール、デメゲストン、プロメゲストン、ネストロン、トリメゲストン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチステロン、リネストレノール、2酢酸エチノジオール、ノルゲストレル、レボノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル(3−ケトデソゲストレル)、ゲストデン,ノルゲスチメート,ノルエルゲストロミン(17−デアセチルノルゲスチメート)、ジエノゲスト、ドロスピレノン、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル、19−ノルテストステロン、ジエノゲスト、ノルエチノドレル、酢酸シプロテロン、チボロン、19−ノルプロゲステロン、及びドロスピレノンを含む。
【0041】
本発明の方法及びキットで使用可能な他の薬剤は、例えば、医薬的に受容可能なプロゲステロン誘導体、即ち17アルファHPC、天然プロゲステロン、ジドロゲステロン、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、クロルマジノン、シプロテロン、カプロン酸ゲストノロン、酢酸ノメゲストロール、デメゲストン、プロメゲストン、ネストロン、トリメゲストン、ノルエチステロン、ノルエチステロン、リネストレノール、2酢酸エチノジオール、ノルゲストレル、レボノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル(3−ケトデソゲストレル)、ゲストデン,ノルゲスチメート,ノルエルゲストロミン(17−デアセチルノルゲスチメート)、ジエノゲスト、ドロスピレノン、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル、19−ノルテストステロン、ジエノゲスト、ノルエチノドレル、シプロテロン、チボロン、19−ノルプロゲステロン、及びドロスピレノンの誘導体を含む。
それぞれのプロゲステロンはここに記載のように対応する塩、エステル、エノールエーテル又はエステル、酸、塩基、溶媒和化合物、水和物又は製剤前のプロドラッグとして誘導体化可能である。
【0042】
代表的な医薬的に受容可能な塩は、限定されないが、アミン塩、限定されないが例えば、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミン及び他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、Nメチルグルカミン、プロカイン、ジエチルアミン及び他のアルキルアミン、ピペラジン及びトリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン;アルカリ金属塩、限定されないが例えば、リチウム、カリウム、ナトリウム;アルカリ土金属塩、限定されないが例えば、バリウム、カルシウム及びマグネシウム;遷移金属塩、限定されないが例えば、亜鉛、アルミニウム;及び他の金属塩、限定されないが例えば、リン酸水素ナトリウム、リン酸二ナトリウム;またさらに、鉱酸塩、限定されないが例えば、塩化水素及び硫化水素塩;有機酸塩、限定されないが例えば、酢酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩及びフマル酸塩を含む。例えば有機酸の酢酸は多く使用され、例えば、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、カプロン酸ゲストノロン、酢酸ノメゲストロール、酢酸シプロテロンである。
【0043】
本発明の方法及びキットで使用可能な追加の薬剤は、例えば、限定されないが以下のプロゲステロン活性代謝物を含む:17アルファHPC、天然プロゲステロン、ジドロゲステロン、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、カプロン酸ゲストノロン、酢酸ノメゲストロール、デメゲストン、プロメゲストン、ネストロン、トリメゲストン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチステロン、リネストレノール、2酢酸エチノジオール、ノルゲストレル、レボノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル(3−ケトデソゲストレル)、ゲストデン,ノルゲスチメート,ノルエルゲストロミン(17−デアセチルノルゲスチメート)、ジエノゲスト、ドロスピレノン、ノルエチノドレル、ノルゲストレル、デソゲストレル、エトノゲストレル、19−ノルテストステロン、ジエノゲスト、ノルエチノドレル、酢酸シプロテロン、チボロン、19−ノルプロゲステロン、及びドロスピレノンの活性代謝物。
例えばプロゲステロン活性代謝物はアロプレグナノロン及び5アルファプレグナン−3,20−ジオン活性代謝物を含む。17−HPCの活性代謝物は、M13モノヒドロキシ;M12,モノヒドロキシ;M19,モノヒドロキシ;M7,ジヒドロキシ;M16,モノヒドロキシ;を含む。
【0044】
本発明に基づく種々の実施形態において、炎症プロセスを抑制する他の1グループのステロイドホルモン、糖質コルチコイドが天然型ステロイドホルモン、又は合成ステロイドホルモンから選択される。糖質コルチコイドの特定の例は限定されないが、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、パラメタゾン、フルチカゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)、フルプレドニゾロン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、及びトリアムシノロンアセトニドを含む。
【0045】
本発明の方法を実施するにあたり、治療的に有効な化合物濃度を含む有効な量の化合物又は組成物は、非経口的、経口的、又は静脈注射又は肺性の送達を含む全身送達、又は局部的又は外用に処方に対して好適には処方される。例えば医薬組成物は、皮下、静脈内、腹腔内、動脈内又は筋肉内注射;直腸経由;経皮送達;経膣送達;舌下;又は経口送達により投与可能である。皮下又は筋肉内注射により投与される場合、ステロイドホルモンはステロイドホルモンの長期間の徐放が可能なように蓄積製剤として適切に処方される。膣内送達を含む外用投与された場合、送達は好適には、例えば、溶液、懸濁液,エマルジョン、またはその類似形態をとり、そして好適にはクリーム、ジェル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、泡、エアロゾル、洗浄、スプレイ、坐薬、絆創膏、皮膚パッチ、又は他の経路に適した製剤として処方される。吸入投薬経路が使用される場合は、送達は好適には、例えば、エアロゾルスプレイ又は圧力容器内の粉との混合又は噴霧器又は吸引器を経由する。
【0046】
投与の頻度に関しては、所望の結果(即ち、コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または抵抗性、低投与量のコルチコステロイドによる有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、ステロイド投与が減量又は退薬された場合、又はコルチコステロイドの連用の後の被験者または患者の最適免疫機能と容易な応答の達成、日和見感染、骨量減少及びそれらの合併症のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現のリスクの低減)が得られるいかなる頻度も使用可能である。投与の頻度は好適には少なくとも部分的にはステロイドホルモン及び/又は投与形態により決定される。種々の実施形態では、医薬組成物は好適には一日一回又は週一回を越える間隔で投与される。例えば、医薬組成物は2週間に一回、月一回、2か月に一回、又は3カ月に一回投与される。他の種々な実施形態では医薬組成物は週一回、又は1週間より短い間隔(例えば毎日又は2日に一度)投与される。例えば、ステロイドホルモンが17アルファ12カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(17−HPC)の場合、毎日、週一回、又は2週間に一回、又は月に一回又は3カ月に一回が適している。本発明で使用される医薬組成物の投与経路及び投与頻度が、特定のステロイドホルモン、送達形態、治療対象組織、治療対象の年齢及び性別、生体外及び生体内データ、および特定の患者の要望に対する専門的判断を含む種々の要因に依存することを当業者は理解しよう。ここに記載される投与頻度は例示目的のためだけであり、製剤の範囲又は実行を制限する意図ではない。
【0047】
当業者はまた、ステロイドホルモンの適切な投与はステロイドホルモン、投与経路及び製剤形態、投与頻度、治療対象疾病、代謝安定性とその化合物の活性期間、被験者の種、年齢、体重、一般的健康度、及び食餌、排泄速度、薬剤組合せ、及び特定の症状の重篤度に依存することを理解するであろう。ここに提供されるステロイドホルモンの効果的な投与量は、当業者により決定可能であり、そして哺乳類に対する例示的な投与量である約0.001−100mg/体重Kgの経口投与される活性化合物の一日当りの投与量を含む。例えば、子宮内膜及び抗性腺刺激効果を獲得するため(即ち排卵抑制のための投与)、経口投与で0.15mg/日のレボノルゲストレル又はデソゲストレルが好適には望ましい。一方で酢酸メドロキシプロゲステロンでは5−10mg/日又はプロゲステロンでは200−300mg/日と必要投与量はそれよりはるかに多い。
【0048】
当業者はまた、プロゲステロンが性ホルモンであるためステロイドホルモンの適切な投与は性別に依存することを理解するだろう。プロゲステロンは主として卵巣の顆粒膜細胞及び黄体から分泌される。妊娠期間中プロゲステロンの主要供給元は胎盤である。男性はプロゲステロンを副腎及び精巣で生成する、それはこれがテストステロンの前駆体であるからである。女性では月経周期の排卵前期の間はプロゲステロンのレベルは比較的低く、排卵後立ち上がり、黄体期の間上昇する。プロゲステロンレベルは排卵前で2ng/ml未満で、排卵後5ng/ml超となる傾向が有る。妊娠した場合プロゲステロンレベルは、最初は黄体期レベルを維持する。プロゲステロン維持の黄体−胎盤移行の始まりと共に、レベルはさらに上昇を始めそしてその期間に100−200ng/mlにも達する。成人男子におけるプロゲステロンレベルの参照レンジは0.13−0.97ng/mlである。成人男子のレベルは月経周期の卵胞期の女性及び閉経後の女性のレベルと類似している。明らかに女性は規則的にプロゲステロン濃度の17倍の変化を月経周期において経験し、或いは妊娠において100倍の増加を経験する。
【0049】
このようにプロゲステロン治療の耐性、又は最大投与量、又は最小有効投与量は男性より女性が高い。例えば、ステロイドホルモンが17アルファ12カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(17−HPC)である場合、女性保健関連指標における一般投与量は週150−500mg注射である。コルチコステロイド感受性の回復に対するプロゲステロンの幾つかの重要な効果が、異なる分子的生物的活性モードにより非遺伝子的に媒介される(機能がプロゲステロン活性に関係しない)と見做されると仮定すると、このことは薬力学的な可変性結果をもたらす。プロゲステロン(例えば17−HPC)のこれよりはるかに低い又は高い投与量も選択可能であり、また男性被験者には異なる投与量レベルが選択可能である。ここに記載される投与量レベルは例示目的のみであり、ここに提供される処方の範囲と実行を制限することを意図しない。
【0050】
好適には、本発明の医薬組成物は、1)生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、又は賦形剤、又はそれらの組合せ;及び2)ここに記載された1つ以上のステロイドホルモンを含む。組成物は単一薬剤投与又は多重薬剤投与として処方される。ステロイドホルモンを0.005%−100%の範囲で含み、残余が非毒性キャリアからなる薬剤形態又は組成物が準備される。例えば、医薬組成物は1つ以上の希釈剤、1つ以上のキャリア、1つ以上の結合剤、1つ以上のコーティング、1つ以上の潤滑剤、1つ以上の溶剤、1つ以上のバッファ、1つ以上の保存剤、1つ以上の香料、1つ以上の染色剤、及び/又は1つ以上の吸収促進剤、及び/又は1つ以上の生物分解性ポリマーを含んでよい。医薬組成物に含まれる特定の賦形剤は特定のステロイドホルモン及び投与形態に依存し、当業者はステロイドホルモン及び投与形態が選択されると容易に適切な選択することが可能である。例えば、経口投与には医薬的に受容可能な非毒性組成物が、通常使用される賦形剤、例えば医薬的グレードのマンニトール、乳糖、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、タルカン、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ショ糖、炭化マグネシウム、又はサッカリンナトリウムの組み入れにより形成可能である。
【0051】
このような組成物は好適には、溶液、懸諾液、錠剤、カプセル、粉、及び限定されないがインプラント及びマイクロカプセル化された送達システムのような徐放剤形、及びコラーゲン、エチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、他のような生物分解性、生体適合性ポリマーを含む。他の事例では従来技術の注射液が従来技術の形態、液体溶液又は懸諾液、溶液又は懸諾液に適した注射前の液体内の固形、又はエマルジョンで調製可能である。適合する賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセリン、マンニトール、1,3−ブタンジオール、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液、またはエタノールである。他の実施形態では、適切な液体キャリア、懸濁化剤、などを使用して注射可能な懸諾液が調製される。ある注射用医薬組成物はユニット投与形態、例えば、アンプル又は多重薬剤コンテナで提供される。ある注射用医薬組成物は油性の又は水性の媒体内の懸諾液、溶液、又はエマルジョンであり、薬剤を懸濁化させ、安定化させ、及び/又は分散させるような製剤化剤を含んでよい。ある注射用医薬組成物に適した溶媒は、限定されないが、親油性溶媒及びゴマ油のような脂肪酸、オレイン酸エチル又はトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル、及びリポソームを含む。
【0052】
本発明の方法は、プロゲステロンホルモンの投与に加えて、糖質コルチコイド非感受性関連疾病又は障害又は症状の治療を目標とする1つ以上の追加的治療を含んでもよい。1つ以上の追加的治療は、例えば、糖質コルチコイド(例えば、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、パラメタゾン、フルチカゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、フルプレドニゾロン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、及びトリアムシノロンアセトニド)、アンドロゲン(例えば、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA))、エストロゲン(例えば、エストラジオール)、免疫抑制又は免疫調節剤(例えばシクロスポリン、メトトレキサート、金、6−メルカプトプリン、インフリキシマブ、エタネルセプト及びアダリムマブのような生物由来物質及び静脈内免疫グロブリン及びメポリズマブ)、及びカルシニューリン抑制剤(例えばシクロスポリン、タクロリムス)、p38MAPキナーゼ抑制剤、JNK抑制剤(AP1減少)、ビタミンD、MIF抑制剤、ヒストン脱アセチル化酵素2アクチベーター、テオフィリン、ホスホイノシチド−3−キナーゼ−δ抑制剤、ロイコトリエン調節剤、長時間作用型β刺激剤、抗酸化剤、iNOS抑制剤、及びP−糖タンパク質抑制剤、及びそれらの組合せを含む。上記の他の医薬的薬剤はここに記載された薬剤と組み合わせて使用される場合、例えば医師用添付文書集(PDR)に示される量、或いは当業者により決定される量で使用可能である。
【0053】
非経口経路で使用される薬量は好適には経口薬剤の対応する生理食塩水濃度レベルに基づいて又は治療対象被験者の症状の緩和に十分な量の活性化合物を含んで決定される。ここで提供される方法では、このような他の医薬組成物がここに提供される化合物の投与の前、同時又は後に投与されてもよい。糖質コルチコイド感作物質の使用の治療的効果は、限定されないが、同時使用治療医薬の投与量の節約、同時治療医薬にたいする応答性又は耐性の改善、低使用量の同時治療薬剤による有効性の達成、個人が同時治療医薬の難治性応答、又は抵抗性を発現するリスクの防止、同時治療医薬が減量又は退薬された場合、又は同時治療医薬の連用の後の最適免疫機能、容易な応答の達成、医薬関連有害事象の発現リスクの低減、およびそれらの組合せを含む。
【0054】
実施形態1−2はステロイド感受性及びステロイド抵抗性、即ち、健康な男性喫煙被験者からのヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるPHA誘発IL−2形成及びIL−2/4誘発ステロイド抵抗性を評価する研究モデルの確立を示す。
実施形態3,4及び5は、プロゲステロンがステロイド抵抗性症状(即ちIL−2/4誘発)の下でコルチコステロイド抵抗性を逆転しそしてコルチコステロイド感受性を改善することを示す。
実施形態6,7及び8はプロゲステロンが非−ステロイド抵抗性症状(即ちIL−2/4を追加しないPHA誘発IL−2形成)の下でコルチコステロイド感受性を改善することを示す。
【0055】
本発明によれば、驚くべきことに、糖質コルチコイド感作物質の使用の治療的効果は限定されないが、コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または耐性、低投与量のコルチコステロイドによる有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、ステロイド投与が減量又は退薬された場合、又はコルチコステロイドの連用の後の被験者または患者の最適免疫機能と容易な応答の達成、日和見感染、骨量減少、病的骨折、糖尿病、白内障、及びそれらの合併症のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現のリスクの低減、を含むことが発見された。
【0056】
(生体外スクリーニング材料及び方法)
(概論)
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるIL−2/4誘発ステロイド抵抗性は、ステロイド抵抗性及び感受性の可能な修飾因子を評価する周知の研究モデルである。(非特許文献10−12参照)デキサメタゾンによるリンパ球増殖の抑制及びサイトカインアッセイは炎症性疾病の患者のステロイド治療の結果と良く相関する。健康な志願者におけるデキサメタゾンによるサイトカイン分泌抑制はステロイド感受性とステロイド抵抗性の変化を測定するために使用される。生体外において、マイトジェンフィトヘマグルチニン(PHA)によるPBMC刺激の後、サイトカイン分泌レベルとステロイド抵抗性及びステロイド感受性との間に強い相関性がある。IL−2、IL−4及びTNFはステロイド感受性を減少させる。
【0057】
ある研究の目的は、IL−2及びIL−4誘発ステロイド抵抗性モデルにおいて、PHA誘発IL−2放出を抑制するデキサメタゾンの能力の増大により計測される、コルチコステロイド抵抗性を逆転する化合物の効果を評価することであった。
その化合物の効果は、IC50改善により測定されるコルチコステロイド感受性の改善、ステロイド節約、低投与量のコルチコステロイドの使用による類似の抗炎症性有効性の達成、応答性の改善、及び末梢血単核細胞(PBMC)におけるPHA誘発IL−2放出シナジー効果の組合せにおいて評価された。
【0058】
(物質)
末梢血単核細胞(PBMC)分離システム:GEヘルスケアバイオサイエンスAB(US)社からのAccuspin system−Histopaque;HyClone(中国、北京)社からのRPMI−1640培養液、シグマ社(US)からのジメチルスルホキシド(DMSO)、シグマ社(US)からの17α−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(17HPC)(CAS番号:630−56−8)、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(CAS番号:71−58−9)、天然プロゲステロン(P4)(CAS番号:57−83−0)、デキサメタゾン(CAS番号:50−02−2)、及びPHA;PeproTechからの遺伝子組換え型IL−2及びIL−4,ExCell Biology(中国、上海)からのIL−2免疫吸着剤検定キット(IL−2用ELISA);R&Dシステム(US)からの抗ヒト、抗CD3及び抗CD28。
【0059】
(PBMCの単離)
末梢血単核細胞(PBMC)は地域血液センターから提供されたヒト血液バフィーコートより単離された。男性ドナーからの無作為バフィーコート細胞は臨床使用用に処理された血液の副産物であり、喫煙以外の詳細(即ち、個人の識別及び背景)は提供されなかった。殆ど全ての男性ドナーはたばこ喫煙者であった。PBMCは多孔性高密度ポリエチレン隔壁(GEヘルスケアバイオサイエンスAB(US)社からのHistopaque)を使用して分離された。各チューブ内の血液サンプルを遠心分離した後(800xg、室温(RT)で35分間),PBMCは集められ、ハンク緩衝生理食塩水溶液(HBSS)で2度洗浄された。PBMCは10%ウシ胎仔血清(FCS)及び15mMグルタミンを含むRPMI−1640培養液内で再懸濁され、そして細胞は検数され、培養皿に蒔かれた。
【0060】
(細胞の培養液)
PBMC(2x10)はIL−2(13ng/ml)とIL−4(6.5ng/ml)を含み又は含まず、10%ウシ胎仔血清(FCS)及び2mMグルタミンを含むRPMI−1640培養液内で48時間培養された。PBMCはデキサメタゾン治療前の12時間の17α−カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(17HPC)、プロゲステロン(P4)、及び酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)を含み又は含まない刺激の前に検数され10セル/mlで培養皿に再度蒔かれた。IL−2とIL−4に刺激されたPBMCもまた10セル/mlの濃度で96ウェルの培養皿に蒔かれ、サイトカイン放出のPHA(15μg/ml、24時間)刺激及びELISAによる検出の準備が完了する。
【0061】
(サンドイッチELISA(酵素結合免疫吸着検定法))
PBMC細胞(10セル/ml)は96ウェルの培養皿に蒔かれ、そしてデキサメタゾン(10−12M−10−5M)を含み又は含まないで1時間刺激され、その後96ウェル培養皿内の細胞を37℃、5%COのもとでPHAを含み又は含まないで24時間トランスファーさせた。対照標準とPBMC上清の段階希釈が酵素結合免疫吸着検定法により計測され、IL−2がベースライン及び17HPC,P4及びMAP治療後のレベルにおいて判定された。光学密度が450nmで計測され、550nmで補正された。IL−2の濃度は標準曲線を使用し、そして使用した上清希釈を考慮して計算された。IL−2の検出限界は4.0pg/mlである。
【0062】
(統計的分析)
データは平均値±標準偏差で表現される。医薬治療の有効性は対応のあるt検定で分析された。3つ以上の適合グループの比較には変数の一方向分析が使用され、グループ差異を示すために95%信頼区間(CI)が実行された。全てのグラフはPHA刺激IL−2の結果の平均値又は%抑制を示す。50%抑制濃度(IC50)はS状結腸モデル(BioDataFit)を使用して計算された。0.05未満のp値は統計的に有意であると見做された。
【0063】
(結果)
(PBMC(10セル/ml)におけるステロイド感受性の刺激測定)
糖質コルチコイド感受性を同時に測定するため、PBMC(10セル/ml)が96ウェルの培養皿に蒔かれ、そしてデキサメタゾンの段階希釈(10−12M−10−5M)を含み又は含まないで1時間刺激され、そしてPHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%CO2の下で刺激された。IL−2レベルがELISAを使用して定量化された。図1に示す結果は、ベースライン、PHA刺激後、及びデキサメタゾンによる投与量依存IL−2抑制におけるIL−2レベルを示す。PBMCにおけるIL−2レベルは、健康な男性喫煙者(n=11)のベースラインで19±25pg/ml,PHA刺激後(n=20)で677±447pg/ml、デキサメタゾン10−12M(n=11)で371±447pg/ml、デキサメタゾン10−10M(n=14)で287±313pg/ml、デキサメタゾン10−8M(n=17)で293±338pg/ml、そしてデキサメタゾン10−6M(n=17)で144±157pg/mlであった。デキサメタゾン及び17HPC治療は基礎IL−2レベル(データ非図示)においては有意の効果を示さなかった。図1はこのようにベースライン、PHA刺激後のIL−2レベル、及びデキサメタゾンのPHA刺激IL−2生成に対する効果(n=20)(p<0.001)を示す。デキサメタゾンはIL−2生成に対する有意の、投与応答性抑制を示す(図1)。
【0064】
(実施形態1:IL−2及びIL−4の追加が男性喫煙者においてステロイド感受性を減少させ、又はステロイド抵抗性を誘発する)
末梢血単核細胞(PBMC)におけるIL−2/4誘発ステロイド抵抗性は、周知の研究モデルであり、潜在的ステロイド抵抗性及び感受性を評価するのに使用された。健康な喫煙者からPBMCが採取された。コルチコステロイド非感受性又は抵抗性はIL−2及びIL−4を健康な男性喫煙者(n=11)からの末梢血単核細胞(PBMC)に追加することにより誘発された。IL−2(13ng/ml)及びIL−4(6.5ng/ml)を含む又は含まないで刺激されたPBMC(10セル/ml)が96ウェル培養皿内で48時間培養され、そしてその後デキサメタゾンの段階的希釈(10−10M、10−8M、10−6M)に1時間晒され、そしてその後PHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%COの下で刺激された。IL−2レベルはELISAを使用して定量化された。PHA誘発IL−2生成の抑制の%は次の式で計算される;
抑制%=1−(デキサメタゾンを含むIL−2/デキサメタゾンを含まないIL−2)
【0065】
結果は図2に示す通り、男性喫煙者においてデキサメタゾンのPHA誘発IL−2生成の抑制能力は、IL−2及びIL−4の追加により有意に減少した。例えば、抑制%は低投与量デキサメタゾン10−10Mでは完全に失われた:52%に対し抑制無しであり、高投与量デキサメタゾン10−6Mでは:87%に対し21%であった。IL−2及びIL−4の追加は男性喫煙者、有効なステロイド抵抗性モデル/症状においてステロイド感受性を減少させ、又はステロイド抵抗性を誘発する。
【0066】
(実施形態2.プロゲステロンは男性喫煙者においてコルチコステロイド感受性を改善し、又はコルチコステロイド抵抗性を逆転する)
コルチコステロイド非感受性又は抵抗性は薬理学的に逆転可能である。我々はステロイド抵抗性を逆転する機能については現在未知のプロゲステロン薬剤クラスの効果を調査し、17アルファカプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(17−HPC)、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)、及び天然プロゲステロン(P4)のプロゲステロン薬剤について、健康な男性喫煙者からの末梢血単核細胞(PBMC)における糖質コルチコイド感受性を改善する効果を試験した。
【0067】
IL−2(13ng/ml)及びIL−4(6.5ng/ml)で刺激されたPBMC(10セル/ml)が96ウェル培養皿内で48時間培養され、そしてその後17HPC(10−10M、10−7M、10−5M)又はP4又はMPA(10−10M、10−8M、10−5M)に12時間刺激され、そしてその後低投与量及び高投与量のデキサメタゾン(10−10M、10−6M)を含み又は含まずに1時間晒され、そしてその後PHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%COの下で晒された(17HPC+デキサメタゾンのグループはn=11)。IL−2レベルはELISAを使用して定量化された。ステロイド抵抗性症状における最大デキサメタゾン抑制(Imax)の10%増加は有意の臨床的改善を意味する。(非特許文献12参照)
【0068】
図3−4に示す結果は、低投与量のデキサメタゾンが使用された場合、プロゲステロンが全ての3つのプロゲステロン薬剤(17HPC、P4及びMPA)により一貫してコルチコステロイド非感受性を改善することを示す。Imaxは9%−33%改善する。
図3はプロゲステロンのステロイド抵抗性逆転効果(Imax%)を示す:低投与量のデキサメタゾン(10−10M)において17HPC、P4及びMPAを比較している。
図4はプロゲステロンのステロイド抵抗性逆転効果(Imax%)を示す:高投与量のデキサメタゾン(10−6M)において17HPC、P4及びMPAを比較している。
【0069】
コルチコステロイド抵抗性の逆転の効果は高投与量のデキサメタゾンが使用された場合に観察される(図4)。それぞれのプロゲステロン薬剤は独自の投与量−応答パターンを持っている。これら3つの薬剤の中で、17HPCは最大の治療効果、即ち最高改善率(18%)を有し、また全ての投与量レベルにおいて一貫性(16−18%)を有している。
【0070】
プロゲステロン(例えば、17HPC、P4及びMPA)はこのように、喫煙者において糖質コルチコイド抵抗性を逆転し、そして糖質コルチコイド感受性を改善するという驚くべきかつ予期せぬ効果を有する。従ってプロゲステロンは、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような既治療喫煙誘発糖質コルチコイド抵抗性疾病に使用可能である。
【0071】
(実施形態3.17HPCは男性喫煙者においてコルチコステロイド抵抗性を逆転する)
IL−2(13ng/ml)及びIL−4(6.5ng/ml)で刺激されたPBMC(10セル/ml)が96ウェル培養皿内で48時間培養され、そしてその後17HPC(10−10M、10−7M、10−5M)に12時間刺激され、そしてその後3つの投与量のデキサメタゾン(10−10M、10−8M、10−6M)を含み又は含まずに1時間晒され、そしてその後PHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%COの下で晒された(n=11)。IL−2レベルはELISAを使用して定量化された。
【0072】
図5に示す結果はIL−2及びIL−4の追加がステロイド感受性を3つのデキサメタゾン濃度全てで有意に減少させたことを示す。PHA誘発IL−2放出のデキサメタゾン抑制の改善は17HPCを追加することにより達成された。17HPCは投与量−応答パターンにおいて糖質コルチコイド非感受性を逆転する。17HPCは従ってコルチコステロイド感受性を回復する。例えば、17HPCが無い場合のデキサメタゾン10−10MでのPHA誘発IL−2レベルは2364pg/mLであったが、17HPCを10−10M、10−7M、10−5M追加した場合はそれぞれ2119,1805及び1595pg/mLとなりサイトカイン抑制を有意に改善した(17HPCが10−7M、10−5Mのグループにおいて共にp<0.05)。
【0073】
図6は高投与量デキサメタゾン10−6Mが投与された場合の17HPC治療前後の個別応答を示す。17HPC治療後に被験者11人中10人が10%以上の改善(最大デキサメタゾン抑制%で)を示し、そして1人の被験者(#6)のみが改善を示さなかった(全ての17HPC投与量グループに対しカイ二乗検定でp<0.05)。17HPCは従ってステロイド抵抗性及び個々の応答パターンを逆転する。
【0074】
(実施形態4.3つのプロゲステロン薬剤:17HPC、P4及びMPAに対する個人の応答パターン)
上記の実施形態3は男性喫煙者においてプロゲステロンがコルチコステロイド抵抗性を逆転することを示した。図7−9は3つのプロゲステロン薬剤:17HPC、P4及びMPAに対する個人の応答パターンを同じデキサメタゾン10−10M投与量の下で比較した図である。
【0075】
図7に示す結果は11人の被験者の内9人が17HPCの1回の投与後、最大デキサメタゾン抑制の10%以上の改善を示し、それは図6の結果と一貫性を有している。
図8に示す結果は8人の被験者の内6人が17HPCに類似の天然プロゲステロンの1回の投与後、最大デキサメタゾン抑制の10%以上の改善を示したことを示す。
図9に示す結果はMPA治療が全く異なる応答パターン:「スプリット」パターンを示すことを図示する。1つのサブグループは最大58%の改善を示し、一方他のサブグループはコルチコステロイド感受性の悪化を示し、減少は88%に達した。
【0076】
(実施形態5.プロゲステロンが非ステロイド抵抗性の症状の下でコルチコステロイド感受性を改善する)
糖質コルチコイド抵抗性に対する17HPCの追加的治療の効果を同時に判定するため、PBMC(10セル/ml)が96ウェル培養皿内で48時間培養され、そしてその後17HPC(10−11M−10−5M)に12時間刺激され、そしてその後デキサメタゾンの段階的希釈液(10−12−10−6M)を含み又は含まずに1時間晒され、そしてその後PHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%COの下で晒された。IL−2レベルはELISAを使用して定量化された。50%抑制濃度はS状結腸モデル(BioDataFit)を使用して計算された。負の対照(即ち、デキサメタゾン又は17HPCを含まない細胞+PHA)からの値(IL−2=734の)は、デキサメタゾン50%抑制濃度及び17HPC50%抑制濃度を計算する場合、S状結腸モデルに適合させるため人為的にデキサメタゾン−18M、又は17HPC−17M(即ち医薬品濃度がほぼ0M)と設定された(N=14)。
【0077】
喫煙者におけるIL−2抑制で測定されるデキサメタゾン感受性に対する17HPCの効果は、表1及び図10に示される。
図10は17HPCの追加的効果がステロイド感受性の改善であることを示す。17HPCは、側に低濃度において、デキサメタゾン50%抑制濃度で測定されたステロイド感受性を有意に亢進し、それは50%抑制濃度=7.5から10.2−12.0まで改善した(分散分析においてp=0.0052)。17HPCの高投与量(17HPC10−5M)はごく小さな効果を示し又は全く効果を示さなかった。
【表1】

【0078】
(実施形態6.プロゲステロン(例えば17HPC)が有意のステロイド節約効果を有する)
糖質コルチコイド節約に対する17HPCの追加的治療の効果を同時に判定するため、PBMC(10セル/ml)が96ウェル培養皿に蒔かれ、そして17HPC(10−11M−10−5M)に12時間刺激され、そしてその後デキサメタゾンの段階的希釈液(10−12−10−6M)を含み又は含まずに1時間晒され、そしてその後PHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%COの下で晒された。IL−2レベルはELISAを使用して定量化された。PBMCにおける17HPC及び/又はデキサメタゾンによるIL−2(ng/mL)のPHA刺激の抑制%が計算された。負の対照(即ち、いかなる薬剤治療も無い細胞+PHA)からの値(IL−2=734.7)はゼロ%抑制と設定され、そして他の全ての抑制%値が次の計算式から導出された(N=14):
(1−(治療IL−2レベル/714.5))x100%
(注:714.5ng/mL(PHA誘発IL−2)は14人の被験者からの平均値である。)
【0079】
17HPCの追加は低投与量のコルチコステロイドの使用により類似の有効性を達成する(表2参照)。10−6M高投与量デキサメタゾンによるIL−2放出の抑制比率(Imax)は健常喫煙者で78%である。17HPCの「追加的」治療はデキサメタゾンに対する必要投与量を有意に減少させる。表2は低投与量17HPC(10−11M又は10−10M)の追加は、デキサメタゾン(10−6M)と比較した場合、即ち最初のデキサメタゾン投与量の1/1000−1/100,000を使用することにより同様の抗炎症性効果(≧78%のIL−2抑制)を得、したがって有意のステロイド節約効果が得られることを示す。従って17HPCの追加は、個人がコルチコステロイドに対する難治性応答又は抵抗性又は悪化又は耐性を発現するリスクを防止し、また安全プロフィールを改善する。
【表2】

【0080】
(実施形態7.プロゲステロン()の追加はより良好な治療応答につながり、17HPCとデキサメタゾンの組合せはシナジー効果をもたらす)
糖質コルチコイド節約に対する17HPCの追加的治療の効果を同時に判定するため、PBMC(10セル/ml)が96ウェル培養皿に蒔かれ、そして17HPC(10−11M−10−5M)に12時間刺激され、そしてその後デキサメタゾンの段階的希釈液(10−12−10−6M)を含み又は含まずに1時間晒され、そしてその後PHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%COの下で晒された。IL−2レベルはELISAを使用して定量化された。PBMCにおける17HPC及び/又はデキサメタゾンによるIL−2(ng/mL)のPHA刺激の抑制%が計算された。負の対照(即ち、いかなる薬剤治療も無い細胞+PHA)からの値(IL−2=734.7)はゼロ%抑制と設定され、そして他の全ての抑制%値が次の計算式から導出された(N=14):
(1−(治療IL−2レベル/714.5))x100%
【0081】
図11を参照して、デキサメタゾンの最大抗炎症性効果は10−6MにおいてPHA誘発IL−2生成の78%抑制である。17HPCの追加治療は有意により良い応答性を生成し、PHA誘発IL−2をほぼ100%抑制する。図11は従って17HPC追加によるより良い治療応答を示す。
さらに、17HPCとデキサメタゾンの組合せは一貫してデキサメタゾンの抗炎症性効果を増大させ、そしてそれらを個別に使用した場合より良い結果をもたらす。
図12は、組合せがシナジー効果をもたらし、デキサメタゾン有効性に25−37%の改善をもたらすことを示す。図12は従って17HPCとデキサメタゾンの組合せのシナジー効果を示す。
【0082】
(実施形態8.他のプロゲステロン化合物(例えば、P4及びMPA)の追加は糖質コルチコイド感受性の亢進において同様の効果を示す)
糖質コルチコイド節約に対する酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)及び天然プロゲステロン(P4)の追加的治療の効果を同時に判定するため、PBMC(10セル/ml)が96ウェル培養皿に蒔かれ、そしてP4又はMPA(10−10M、10−8M、10−5M)に12時間刺激され、そしてその後デキサメタゾン(10−11−10−8M)を含み又は含まずに1時間晒され、そしてその後PHA(15μg/ml)で24時間、37℃、5%COの下で晒された(P4又はMPA+デキサメタゾンに対しn=6)。IL−2レベルはELISAを使用して定量化された。PBMCにおけるP4又はMPA及び/又はデキサメタゾンによるIL−2(ng/mL)のPHA刺激の抑制%が計算された。負の対照(即ち、いかなる薬剤治療も無い細胞+PHA、n=25)からの値(IL−2=765)はゼロ%抑制と設定され、そして他の全ての抑制%値が次の計算式から導出された:
(1−(治療IL−2レベル/765))x100%
【0083】
表3及び表4はP4とMPAが共に糖質コルチコイド感受性の亢進において、ステロイド節約及び組合せのシナジー効果などの同様の効果を有することを示す。例えば、MPA10−8Mが追加された場合10−8MデキサメタゾンによるIL−2放出の抑制%は67%から96%に改善される(対応のあるt検定でP=0.035)。P4又はMPAの低投与量(10−10M)の追加は、デキサメタゾン(10−6M)と比較した場合、即ち最初のデキサメタゾン投与量の1/100を使用することにより同様の抗炎症性効果をもたらし(≧86%IL−2抑制)、有意のステロイド節約効果である。
【表3】

【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルチコステロイド依存性、又はコルチコイド抵抗性、又はコルチコステロイドに対する非応答性又は不耐性を患う被験者において、コルチコステロイド感受性を回復し、糖質コルチコイド感受性を亢進し、又は糖質コルチコイド非感受性を逆転して糖質コルチコイド非感受性を治療する方法であって、
ステロイドホルモン(プロゲストーゲン)を糖質コルチコイド感作物質として含む医薬組成物を1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を発現する前記被験者に投与するステップを有し、
ここにおいて前記被験者は月経周期関連悪化の履歴が無く、また更に、
前記糖質コルチコイド非感受性関連症状は、治療が疾病制御の到達に失敗し、又は有効でなく、又はコルチコステロイドに不耐性又は依存性であり、及びそれらの組合せである場合にステロイド治療される一定の範囲の免疫−炎症性障害/疾病を含む、
ことを特徴とする糖質コルチコイド非感受性を治療する方法。
【請求項2】
糖質コルチコイド非感受性関連疾病、又は障害、又は症状を治療する方法であって、
ステロイドホルモン(プロゲストーゲン)を糖質コルチコイド感作物質として含む医薬組成物を、糖質コルチコイド非感受性を発現する前記被験者に投与するステップを有し、
ここにおいて前記糖質コルチコイド非感受性はコルチコステロイド依存性又はコルチコイド抵抗性、又はコルチコステロイドに対する非応答性又は不耐性を含み、また、
前記被験者は月経周期関連悪化の履歴が無い、
ことを特徴とする糖質コルチコイド非感受性関連疾病、又は障害、又は症状を治療する方法。
【請求項3】
前記糖質コルチコイド感作物質の投与の効果は、限定されないが、コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または耐性、低投与量のコルチコステロイドによる有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、減量又は退薬可能なステロイドの容易な投与、又はコルチコステロイドの連用に対する不耐性の低減、日和見感染及び骨量減少のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現のリスクの低減、及びそれらの組合せを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
治療が非有効、又はコルチコステロイドに対し不耐性又は依存性又は非応答性又は難治性、及びそれらの組合せとなった場合に糖質コルチコイドで治療される一定の範囲のコルチコイド抵抗性疾病及び免疫−炎症性障害からなるグループから選択される1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を治療するため、コルチコステロイド感受性を回復し、又は糖質コルチコイド非感受性を逆転し、又は糖質コルチコイド感受性を亢進する方法であって、
前記方法は、ステロイドホルモンを含む医薬組成物を月経周期関連悪化の履歴が無い前記被験者に投与するステップを有し、
ここにおいて前記被験者は、糖質コルチコイド抵抗性ぜんそく、難治性リウマチ性関節炎、難治性炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、急性呼吸促迫症候群、間質性肺線維症、嚢胞性線維症、難治性潰瘍性大腸炎、小児劇症クローン病、コルチコステロイド難治性ぜんそく、コルチコステロイド難治性剥離性間質性肺炎、難治性炎症性筋原性疾患、難治性重症筋無力症、難治性尋常性天疱瘡、メトトレキサート難治性関節リウマチ(RA)、難治性ネフローゼ症候群、難治性多発性硬化症、難治性熱帯性下痢様疾患、ステロイド抵抗性サルコイドーシス、尋常性天疱瘡の難治性粘膜病変、難治性シュニッツラー症候群、頭部及び首部の抵抗性皮膚炎、劇症難治性アトピー性皮膚炎、難治性特発(性)血小板減少性紫斑病、難治性眼窩筋炎、難治性又は再発性リンパ腫、敗血症又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)又は相対的副腎機能不全による重篤患者、酒さ、リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、川崎病症候群、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、多巣性運動神経障害、全身強直症候群、コルチコステロイド依存性全身性エリテマトーデス、コルチコステロイド依存性多発性硬化症、症候性コルチコステロイド依存性ぜんそく、初期シェーグレン症候群、全身性血管炎、多発性筋炎、臓器移植、及び移植片対宿主病、炎症性疾患、自己免疫性疾患、過剰増殖疾患、狼瘡、変形性関節炎、副鼻腔炎、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、アレルギー性鼻炎、じん麻疹, 遺伝性血管浮腫、腱炎、滑液包炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、硬変症、移植拒絶反応、乾癬、皮膚炎、悪性腫瘍、白血病、骨髄腫、リンパ腫、急性副腎機能不全、リウマチ熱、肉芽腫性疾患、免疫性増殖/アポトーシス、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸抑制及び調整、高コルチゾール血症、Th1/Th2サイトカインバランスの調整、慢性腎臓病、脊髄損傷、脳浮腫、血小板減少症、リトル病、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、ぶどう膜炎、尋常性天疱瘡、鼻ポリープ、敗血症、バクテリア感染症、ウィルス感染症、リケッチア感染症、寄生虫感染症、II型糖尿病、肥満症、メタボリックシンドローム、うつ病、統合失調症、気分障害、クッシング症候群、不安症、不眠症、記憶及び学習増強、糖質コルチコイド誘発緑内障、アトピー性皮膚炎、薬物過敏症応答、血清病、ヘルペス状水疱性皮膚炎、接触性皮膚炎、剥脱性紅皮症、菌状息肉腫、天疱瘡、非化膿性甲状腺炎、交感性眼炎、ぶどう膜炎、外用ステロイドに非応答性の眼性炎症性症状、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、適切な化学療法と同時使用された場合の劇症性又は播種性肺結核症、過敏性間質性肺炎、器質化肺炎を伴う突発性閉塞性細気管支炎、特発性好酸球性肺炎、特発性肺線維症、既に適切な抗生物質による抗PCP治療を受けているHIV(+)感染者に発症する低酸素血症を伴うニューモシスティスカリニ肺炎(PCP)、特発性又はエリテマトーデスに起因する尿毒症を伴わないネフローゼ症候群における利尿又はタンパク尿症の寛解、強直性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症、乾癬性関節炎、再発性多発性軟骨炎、神経性又は心筋性合併症のある旋毛虫症、及び結核性髄膜炎、からなるグループから選択される1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病、障害又は症状を発現する、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記被験者が1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病、障害又は症状を発現するか否か評価するステップを更に有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ステロイドホルモンがプロゲステロンである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記医薬組成物が、前記疾病又は障害の発症を抑制又は遅延させ、再発のリスクを軽減し、症候又は病状の全面的又は部分的軽減を達成し、そして前記疾病、障害又は症候を緩和、寛解、軽減、又は治癒するように設計される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記被験者は、年齢不問でかつ1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病、障害又は症状を発現する男性又は女性である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬組成物が毎日投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記医薬組成物が、1週間未満、週1回、週1回より長い投与間隔からなるグループから選択される投与レジメンに従って投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記投与間隔は、1日1回、1日2回、1日3回、1日24回まで、及び持続投与からなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記投与間隔は、2週間に1回、月1回、2カ月に1回、及び3カ月に1回からなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記医薬組成物が月に1回投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記医薬組成物が、非経口、静脈内、肺性、経口、直腸、舌下、経皮、経膣送達、局部適用、外用適用、蓄積注射、皮下、腹腔内、動脈内及び筋肉内注射からなるグループから選択される方法により全身に投与され又は局部に送達される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記経皮送達はパッチ、クリーム、ジェル、及びスプレイからなるグループから選択される剤形により投与される、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記経膣送達は坐剤、ジェル、及びクリームからなるグループから選択される剤形により投与される、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記肺性送達は医療用噴霧剤及び吸入用送達装置からなるグループから選択される剤形により投与される、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記プロゲストーゲンはプロゲスチンである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記プロゲストーゲンは、プロゲステロン、レトロプロゲステロン、プロゲステロン誘導体、17α−OHプロゲステロン誘導体(プレグナン及びノルプレグナンの両方)、19−ノルテストステロン誘導体(エストランジェ(estranges)及びゴナンの両方)、スピロノラクトン誘導体、及びそれらの組合せ、からなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記プロゲステロンは、17アルファヒドロキシプロゲステロン又はその誘導体、天然プロゲステロン、ジドロゲステロン又はその誘導体又は代謝物質、メドロゲストン又はその誘導体又は代謝物質、メドロキシプロゲステロン又はその誘導体又は代謝物質、メゲストロール又はその誘導体又は代謝物質、クロルマジノン又はその誘導体又は代謝物質、シプロテロン又はその誘導体又は代謝物質、ゲストノロン又はその誘導体又は代謝物質、ノメゲストロール又はその誘導体又は代謝物質、デメゲストン又はその誘導体又は代謝物質、プロメゲストン又はその誘導体又は代謝物質、ネストロン又はその誘導体又は代謝物質、トリメゲストン又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチステロン又はその誘導体又は代謝物質、リネストレノール又はその誘導体又は代謝物質、エチノジオール又はその誘導体又は代謝物質、2酢酸、ノルゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、レボノルゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、デソゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、エトノゲストレル(3−ケトデソゲストレル)又はその誘導体又は代謝物質、ゲストデン又はその誘導体又は代謝物質,ノルゲスチメート又はその誘導体又は代謝物質,ノルエルゲストロミン(17−デアセチルノルゲスチメート)又はその誘導体又は代謝物質、ジエノゲスト又はその誘導体又は代謝物質、ドロスピレノン又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチンドロン又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチノドレル又はその誘導体又は代謝物質、ノルゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、ドロスピレノン又はその誘導体又は代謝物質、エトノゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、19−ノルテストステロン又はその誘導体又は代謝物質、ジエノゲスト又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチノドレル又はその誘導体又は代謝物質、シプロテロン又はその誘導体又は代謝物質、チボロン又はその誘導体又は代謝物質、19−ノルプロゲステロン又はその誘導体又は代謝物質、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記プロゲステロン誘導体はアミン塩、アルカリ金属塩、遷移金属塩、他の金属塩、無機酸塩、有機酸塩、エステル、エノールエーテル又はエステル、酸、塩基、溶媒和化合物、水和物又は製剤前のプロドラッグ、からなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記17α−ヒドロキシプロゲステロンの誘導体は17α−ヒドロキシプロゲステロンのカルボキシル酸エステルである、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記メドロキシプロゲステロンの誘導体は酢酸メドロキシプロゲステロンであり、前記メゲストロール誘導体は酢酸メゲストロールであり、前記クロルマジノン誘導体は酢酸クロルマジノンであり、前記シプロテロン誘導体は酢酸シプロテロンであり、前記ゲストノロン誘導体はカプロン酸ゲストノロンであり、前記ノメゲストロール誘導体は酢酸ノメゲストロールであり、前記ノルエチステロン誘導体は酢酸ノルエチステロンであり、前記エチノジオール誘導体は2酢酸エチノジオールである、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記プロゲストーゲンは糖質コルチコイドの投与の前、同時、又は後に投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記糖質コルチコイドは、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、パラメタゾン、フルチカゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン(DOCA)、フルプレドニゾロン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、及びトリアムシノロンアセトニドからなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
糖質コルチコイド非感受性を治療するため、コルチコステロイド感受性を回復し、糖質コルチコイド非感受性を逆転し、又は糖質コルチコイド感受性を亢進するためのさらに1つ以上の追加的治療を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記さらに1つ以上の追加的治療はアンドロゲン、エストロゲン、免疫抑制又は免疫調節剤、カルシニューリン抑制剤、p38MAPキナーゼ抑制剤、JNK抑制剤、ビタミンD、MIF抑制剤、ヒストン脱アセチル化酵素2アクチベーター、テオフィリン、ホスホイノシチド−3−キナーゼ−δ抑制剤、抗酸化剤、iNOS抑制剤、及びP−糖タンパク質抑制剤、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プロゲストーゲンは、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、エストラジオール、シクロスポリン、メトトレキサート、金、6−メルカプトプリン、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、静脈内免疫グロブリン、メポリズマブ、シクロスポリン、タクロリムス、p38MAPキナーゼ抑制剤、JNK抑制剤、ビタミンD、MIF抑制剤、ヒストン脱アセチル化酵素2アクチベーター、テオフィリン、ホスホイノシチド−3−キナーゼ−δ抑制剤、抗酸化剤、iNOS抑制剤、P−糖タンパク質抑制剤、及びそれらの組合せ、からなるグループから選択される薬剤の投与の前、同時、又は後に投与される、ことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物は.経口摂取により被験者に投与され、さらに前記組成物は1日当り経口投与される約0.001−100mg/体重kgのプロゲストーゲンを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項30】
キットであって、
医薬組成物と、
前記医薬組成物はステロイドホルモン及び1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、及び、
前記医薬組成物を月経周期関連悪化の履歴のない被験者に投与するための説明書と、を含み、
ここにおいて前記被験者は1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を発現する、
ことを特徴とするキット。
【請求項31】
キットであって、
医薬組成物と、
前記医薬組成物はステロイドホルモン及び1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、及び、
前記医薬組成物を糖質コルチコイド感作物質として糖質コルチコイド非感受性を発現する被験者に投与するための説明書と、
を含み、
ここにおいて前記被験者は月経周期関連悪化の履歴がない、
ことを特徴とするキット。
【請求項32】
キットであって、医薬組成物を含み、
前記医薬組成物は、
ステロイドホルモンと、
1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤と、及び、
コルチコステロイド依存性の被験者におけるステロイド節約、コルチコステロイドに対するより良好な応答性または抵抗性、コルチコステロイドの低投与量による有効性の達成、個人が抗原への暴露、感染、運動、又は刺激物に応答して難治性応答、又は抵抗性又は悪化を発現するリスクの防止、ステロイド投与が減量又は退薬された場合、又はコルチコステロイドの連用の後の被験者または患者の最適免疫機能、容易な応答の達成、日和見感染、骨量減少、病的骨折、糖尿病、白内障、及びそれらの合併症のようなコルチコステロイド関連有害事象の発現のリスクの低減の効果を達成するために、前記医薬組成物を糖質コルチコイド感作物質として投与するための説明書と、
を含む、ことを特徴とするキット。
【請求項33】
キットであって
医薬組成物と、
前記医薬組成物はステロイドホルモン及び1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、及び、
治療がコルチコステロイドに対し非有効又は不耐性又は依存性又は非応答性又は難治性、及びそれらの組合せになった場合に糖質コルチコイドで治療されるコルチコイド抵抗性疾病及び免疫−炎症性障害からなるグループから選択される1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連症状を治療するため前記医薬組成物を被験者に投与するための説明書と、を含み、
ここにおいて被験者は月経周期関連悪化の履歴がなく、かつ糖質コルチコイド抵抗性ぜんそく、難治性リウマチ性関節炎、難治性炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、急性呼吸促迫症候群、間質性肺線維症、嚢胞性線維症、難治性潰瘍性大腸炎、小児劇症クローン病、コルチコステロイド難治性ぜんそく、コルチコステロイド難治性剥離性間質性肺炎、難治性炎症性筋原性疾患、難治性重症筋無力症、難治性尋常性天疱瘡、メトトレキサート難治性関節リウマチ(RA)、難治性ネフローゼ症候群、難治性多発性硬化症、難治性熱帯性下痢様疾患、ステロイド抵抗性サルコイドーシス、尋常性天疱瘡の難治性粘膜病変、難治性シュニッツラー症候群、頭部及び首部の抵抗性皮膚炎、劇症難治性アトピー性皮膚炎、難治性特発(性)血小板減少性紫斑病、難治性眼窩筋炎、難治性又は再発性リンパ腫、敗血症又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)又は相対的副腎機能不全による重篤患者、酒さ、リウマチ性多発筋痛症、巨細胞性動脈炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、川崎病症候群、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、多巣性運動神経障害、全身強直症候群、コルチコステロイド依存性全身性エリテマトーデス、コルチコステロイド依存性多発性硬化症、症候性コルチコステロイド依存性ぜんそく、初期シェーグレン症候群、全身性血管炎、多発性筋炎、臓器移植、及び移植片対宿主病、炎症性疾患、自己免疫性疾患、過剰増殖疾患、狼瘡、変形性関節炎、副鼻腔炎、結節性多発性動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、巨細胞性動脈炎、アレルギー性鼻炎、じん麻疹, 遺伝性血管浮腫、腱炎、滑液包炎、自己免疫性慢性活動性肝炎、硬変症、移植拒絶反応、乾癬、皮膚炎、悪性腫瘍、白血病、骨髄腫、リンパ腫、急性副腎機能不全、リウマチ熱、肉芽腫性疾患、免疫性増殖/アポトーシス、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸抑制及び調整、高コルチゾール血症、Th1/Th2サイトカインバランスの調整、慢性腎臓病、脊髄損傷、脳浮腫、血小板減少症、リトル病、アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、ぶどう膜炎、尋常性天疱瘡、鼻ポリープ、敗血症、バクテリア感染症、ウィルス感染症、リケッチア感染症、寄生虫感染症、II型糖尿病、肥満症、メタボリックシンドローム、うつ病、統合失調症、気分障害、クッシング症候群、不安症、不眠症、記憶及び学習増強、糖質コルチコイド誘発緑内障、アトピー性皮膚炎、薬物過敏症応答、血清病、ヘルペス状水疱性皮膚炎、接触性皮膚炎、剥脱性紅皮症、菌状息肉腫、天疱瘡、非化膿性甲状腺炎、交感性眼炎、ぶどう膜炎、外用ステロイドに非応答性の眼性炎症性症状、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、適切な化学療法と同時使用された場合の劇症性又は播種性肺結核症、過敏性間質性肺炎、器質化肺炎を伴う突発性閉塞性細気管支炎、特発性好酸球性肺炎、特発性肺線維症、既に適切な抗生物質による抗PCP治療を受けているHIV(+)感染者に発症する低酸素血症を伴うニューモシスティスカリニ肺炎(PCP)、特発性、又はエリテマトーデスに起因する尿毒症を伴わない腎炎症候群における利尿又はタンパク尿症の寛解、強直性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症、乾癬性関節炎、再発性多発性軟骨炎、神経性又は心筋性合併症のある旋毛虫症、及び結核性髄膜炎、からなるグループから選択される1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病、障害、又は症状を発現する、
ことを特徴とするキット。
【請求項34】
前記被験者が前記1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病、障害、又は症状を発現するか否か評価する説明書を更に含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項35】
医薬組成物と、
前記組成物はステロイドホルモン及び1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含み、及び
前記医薬組成物を被験者に投与するための説明書と、
を含むことを特徴とするキット。
【請求項36】
前記ステロイドホルモンがプロゲステロンである、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項37】
前記医薬組成物が、前記疾病又は障害の発症を抑制又は遅延させ、再発のリスクを軽減し、症候又は病状の全面的又は部分的軽減を達成し、そして前記疾病、障害又は症候を緩和、寛解、軽減、又は治癒するように設計される、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項38】
前記被験者は、年齢不問でかつ1つ以上の糖質コルチコイド非感受性関連疾病、障害又は症状を発現する男性又は女性である、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項39】
前記説明書は、前記医薬組成物が毎日投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項40】
前記説明書は、前記医薬組成物が1週間未満、週1回、週1回より長い投与間隔で投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項41】
前記説明書は、前記医薬組成物が1日1回、1日2回、1日3回、1日24回まで、及び持続投与からなるグループから選択される前記投与間隔で投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項42】
前記説明書は、前記医薬組成物が2週間に1回、月1回、2カ月に1回、及び3カ月に1回からなるグループから選択される前記投与間隔で投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項43】
前記説明書は、前記医薬組成物が月に1回投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項44】
前記説明書は、前記医薬組成物が、非経口、静脈内、肺性、経口、直腸、舌下、経皮、経膣送達、局部適用、外用適用、蓄積注射、皮下、腹腔内、動脈内及び筋肉内注射からなるグループから選択される方法により投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項45】
前記説明書は、前記医薬組成物が、パッチ、クリーム、ジェル、及びスプレイからなるグループから選択される剤形により経皮送達で投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項44に記載のキット。
【請求項46】
前記説明書は、前記医薬組成物が、坐剤、ジェル、及びクリームからなるグループから選択される剤形により経膣送達で投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項44に記載のキット。
【請求項47】
前記説明書は、前記医薬組成物が、吸入された医療用噴霧剤及び吸入用送達装置からなるグループから選択される剤形により肺性送達で投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項44に記載のキット。
【請求項48】
前記プロゲストーゲンはプロゲスチンである、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項49】
前記プロゲストーゲンは、プロゲステロン、レトロプロゲステロン、プロゲステロン誘導体、17α−OHプロゲステロン誘導体(プレグナン及びノルプレグナンの両方)、19−ノルテストステロン誘導体(エストランジェ(estranges)及びゴナンの両方)、スピロノラクトン誘導体、及びそれらの組合せ、からなるグループから選択されることを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項50】
前記プロゲステロンは、17アルファヒドロキシプロゲステロン又はその誘導体、天然プロゲステロン、ジドロゲステロン又はその誘導体又は代謝物質、メドロゲストン又はその誘導体又は代謝物質、メドロキシプロゲステロン又はその誘導体又は代謝物質、メゲストロール又はその誘導体又は代謝物質、クロルマジノン又はその誘導体又は代謝物質、シプロテロン又はその誘導体又は代謝物質、ゲストノロン又はその誘導体又は代謝物質、ノメゲストロール又はその誘導体又は代謝物質、デメゲストン又はその誘導体又は代謝物質、プロメゲストン又はその誘導体又は代謝物質、ネストロン又はその誘導体又は代謝物質、トリメゲストン又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチステロン又はその誘導体又は代謝物質、リネストレノール又はその誘導体又は代謝物質、エチノジオール又はその誘導体又は代謝物質、2酢酸、ノルゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、レボノルゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、デソゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、エトノゲストレル(3−ケトデソゲストレル)又はその誘導体又は代謝物質、ゲストデン又はその誘導体又は代謝物質,ノルゲスチメート又はその誘導体又は代謝物質,ノルエルゲストロミン(17−デアセチルノルゲスチメート)又はその誘導体又は代謝物質、ジエノゲスト又はその誘導体又は代謝物質、ドロスピレノン又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチンドロン又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチノドレル又はその誘導体又は代謝物質、ノルゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、ドロスピレノン又はその誘導体又は代謝物質、エトノゲストレル又はその誘導体又は代謝物質、19−ノルテストステロン又はその誘導体又は代謝物質、ジエノゲスト又はその誘導体又は代謝物質、ノルエチノドレル又はその誘導体又は代謝物質、シプロテロン又はその誘導体又は代謝物質、チボロン又はその誘導体又は代謝物質、19−ノルプロゲステロン又はその誘導体又は代謝物質、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項51】
前記プロゲステロンは対応するプロゲステロンのアミン塩、アルカリ金属塩、遷移金属塩、他の金属塩、無機酸塩、有機酸塩、エステル、エノールエーテル又はエステル、酸、塩基、溶媒和化合物、水和物又は製剤前のプロドラッグ、からなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項52】
前記17α−ヒドロキシプロゲステロンの誘導体は17α−ヒドロキシプロゲステロンのカルボキシル酸エステルである、ことを特徴とする請求項51に記載のキット。
【請求項53】
前記メドロキシプロゲステロンの誘導体は酢酸メドロキシプロゲステロンであり、前記メゲストロール誘導体は酢酸メゲストロールであり、前記クロルマジノン誘導体は酢酸クロルマジノンであり、前記シプロテロン誘導体は酢酸シプロテロンであり、前記ゲストノロン誘導体はカプロン酸ゲストノロンであり、前記ノメゲストロール誘導体は酢酸ノメゲストロールであり、前記ノルエチステロン誘導体は酢酸ノルエチステロンであり、前記エチノジオール誘導体は2酢酸エチノジオールである、ことを特徴とする請求項51に記載のキット。
【請求項54】
前記説明書は、前記プロゲストーゲンが糖質コルチコイドの投与の前、同時、又は後に投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項55】
前記糖質コルチコイドの誘導体は、ヒドロコルチゾン(コルチゾール)、酢酸コルチゾン、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、パラメタゾン、フルチカゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、フルプレドニゾロン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、及びトリアムシノロンアセトニドからなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項54に記載のキット。
【請求項56】
前記説明書は、糖質コルチコイド非感受性を治療するため、コルチコステロイド感受性を回復し、糖質コルチコイド非感受性を逆転し、又は糖質コルチコイド感受性を亢進するためのさらに1つ以上の追加的治療を含むための説明書を有する、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項57】
前記さらに1つ以上の追加的治療はアンドロゲン、エストロゲン、免疫抑制又は免疫調節剤、カルシニューリン抑制剤、p38MAPキナーゼ抑制剤、JNK抑制剤、ビタミンD、MIF抑制剤、ヒストン脱アセチル化酵素2アクチベーター、テオフィリン、ホスホイノシチド−3−キナーゼ−δ抑制剤、抗酸化剤、iNOS抑制剤、及びP−糖タンパク質抑制剤、及びそれらの組合せからなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項56に記載のキット。
【請求項58】
前記説明書は、前記プロゲストーゲンが、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、エストラジオール、シクロスポリン、メトトレキサート、金、6−メルカプトプリン、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、静脈内免疫グロブリン、メポリズマブ、シクロスポリン、タクロリムス、p38MAPキナーゼ抑制剤、JNK抑制剤、ビタミンD、MIF抑制剤、ヒストン脱アセチル化酵素2アクチベーター、テオフィリン、ホスホイノシチド−3−キナーゼ−δ抑制剤、抗酸化剤、iNOS抑制剤、P−糖タンパク質抑制剤、及びそれらの組合せからなるグループから選択される薬剤の投与の前、同時、又は後に投与されるための説明書を含む、ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項59】
ステロイドホルモン及び1つ以上の医薬的に受容可能な賦形剤を含む医薬組成物と、
前記医薬組成物を経口投与で前記被験者に投与するための説明書と、を含むキットであって、
前記医薬組成物は.経口摂取により被験者に投与され、さらに前記組成物は1日当り経口投与される約0.001−100mg/体重kgのプロゲストーゲンを含み、
非経口経路に使用される投与量は、経口薬剤の対応する血清濃度レベル、又は治療対象被験者の症候を緩和するのに十分な量の活性化合物の量を含むことに基づいて決定される、
ことを特徴とする請求項30に記載のキット。
【請求項60】
少なくとも1つのプロゲステロンを投与するステップを含む、ことを特徴とする喫煙誘発糖質コルチコイド抵抗性疾病を治療する方法。
【請求項61】
前記プロゲステロンは17HPC、P4及びMPAからなるグループから選択される、ことを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記疾病は慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、ことを特徴とする請求項60に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−518908(P2013−518908A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552135(P2012−552135)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2011/023917
【国際公開番号】WO2011/097571
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(512200402)プレーリー ファーマシューティカルズ、エルエルシー (1)
【出願人】(313002498)
【Fターム(参考)】