説明

糖類高含有ソース類の製造方法、及び糖類高含有ソース類

【課題】スプレッド性と口溶け感に優れた糖類高含有ソース類の製造方法を提供する。
【解決手段】糖類を30%以上含有する糖類高含有ソース類であって、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有し、卵白及び乳清の蛋白質がそれぞれ一部凝集し重合体を形成しており、比重0.3〜0.7、粘度(20℃)10〜90Pa・sである気泡入り加工食品と、糖類とを70℃以上で加熱混合して糖類高含有ソース類を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレッド性と口溶け感に優れた糖類高含有ソース類の製造方法、及び糖類高含有ソース類に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャム、カラメルソース、フルーツソース等の糖類高含有ソース類は、砂糖等の糖類を高濃度に含有させ加熱して煮詰めることで、濃厚な甘味が付与される他、水分活性を低くすることで細菌の増殖を抑えて長期間の保存が可能とされた伝統的な食品である。
【0003】
しかしながら、糖類高含有ソース類は、粘性が高く曳糸性が強いため、容器に付着して取り扱いにくく、容器から取り出してパンなどの食品に塗布する場合にも、拡げにくくスプレッド性の問題があった。
【0004】
また、上記糖類高含有ソース類は、口の中で甘味がいつまでも残り、口溶けの悪いものであった。
【0005】
このような問題に対して、特開2008−142047号公報(特許文献1)には、低粘性ガラクトキシログルカンを含有する高糖度食品の流動性改善剤が提案されている。また、本出願人も、特開2010−213623号公報(特許文献2)には、乳酸発酵卵白を含有することで、ボディー感があり、かつ口どけのよい加熱済高糖度ソースが得られることが開示されている。
【0006】

特許文献1の方法によれば、スプレッド性が改善された糖類高含有ソース類が得られるが、口溶け感を改善することができなかった。また、特許文献2の方法によれば、口溶けのよい糖類高含有ソースが得られるが、スプレッド性については検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−142047号公報
【特許文献2】特開2010−213623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来技術に対し、本発明は、スプレッド性と口溶け感が改善された糖類高含有ソース類を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有するスラリーがメレンゲ様に泡立ち、かつ卵白と乳清の蛋白質がそれぞれ一部凝集し重合体を形成している気泡入り加工食品は、卵白を泡立てたメレンゲのような優れた口溶け感を有し、また、耐熱性も有し、加熱してもその泡を維持し、優れた口溶け感を維持すること、そして、この気泡入り加工食品を糖類高含有ソース類の主原料として追加することにより、スプレッド性と口溶け感が改善された糖類高含有ソース類が得られることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、糖類を30%以上含有する糖類高含有ソース類の製造方法であって、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有し、卵白及び乳清の蛋白質がそれぞれ一部凝集し重合体を形成しており、比重0.3〜0.7、粘度(20℃)10〜90Pa・sである気泡入り加工食品と、糖類とを70℃以上で加熱混合する糖類高含有ソース類の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、糖類を30%以上含有する糖類高含有ソース類であって、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有し、卵白及び乳清の蛋白質がそれぞれ一部凝集し重合体を形成している気泡入り加工食品と、糖類とから成る糖類高含有ソース類を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の糖類高含有ソース類で使用する気泡入り加工食品は、卵白と乳清と増粘多糖類を含有するスラリーが泡立ったメレンゲ様のものであり、比重0.3〜0.7と嵩高く泡立っており、口溶け感に優れている。この泡は、卵白蛋白質と乳清蛋白質の双方がそれぞれ一部凝集し重合体を形成しているために泡の安定性が高く、冷凍耐性及び耐熱性を有する。本発明の糖類高含有ソース類では、この気泡入り加工食品が、糖類等の糖類高含有ソース類の主原料と70℃以上で加熱混合されているため、製した糖類高含有ソース類は、スプレッド性及び口溶け感が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施例1の糖類高含有ソース類に使用する気泡入り加工食品の原料スラリーの前後のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)による電気泳動写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
【0015】
本発明の糖類高含有ソース類は、特定の気泡入り加工食品と糖類等の従来の糖類高含有ソース類の主原料とを加熱混合したものである。前記気泡入り加工食品に特徴を有することから、説明上、まず本発明で用いる気泡入り加工食品を中心に詳述する。
【0016】
本発明の糖類高含有ソース類に用いる気泡入り加工食品は、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有するスラリーがメレンゲ様に泡立ち、卵白蛋白質及び乳清蛋白質の双方が加熱により一部凝集し重合体を形成しているものである。
【0017】
本発明で使用する気泡入り加工食品の中でも2−メルカプトエタノール等の還元剤で処理することなく行ったSDS-PAGEにより、卵白の主要な蛋白質であるオボアルブミン(分子量約45,000)と乳清の主要な蛋白質であるβラクトグロブリン(分子量約18,000)が検出され、かつ分子量21万以上の高分子量の重合体が検出されることが好ましい。オボアルブミンとβラクトグロブリンの全てが凝集し重合体を形成すると、即ち、SDS-PAGEにおいてオボアルブミンとβラクトグロブリンの位置にバンドが観察されなくなると、口溶け感が低下し、得られる糖類高含有ソース類も口溶け感が低下する。
【0018】
卵白蛋白質は、卵白蛋白質全体の50〜60%を占めるオボアルブミン(分子量約45000)に加え、オボトランスフェリン(分子量約78000)、リゾチーム(分子量約14300)等からなり、乳清蛋白質は、乳清蛋白質全体の40〜50%を占めるβラクトグロブリン(分子量約18000)に加え、αラクトアルブミン(分子量約14000)、血清アルブミン(分子量約66300)等からなる。このように、オボアルブミンとβラクトグロブリンは、それぞれ卵白及び乳清の蛋白質の約半分を占める主要な蛋白質であるため、これらの全てが凝集して重合すると口溶け感が低下し、得られる糖類高含有ソース類の口溶け感も低下するものと考えられる。
【0019】
なお、凝集していない卵白及び乳清の蛋白質の3次構造は、疎水基同士の疎水結合により、蛋白質の疎水基を内側にしまい込む形で折り畳まれた構造を有している。そして、加熱等の凝集が生じる処理を施した場合、蛋白質の疎水基が外側に露出し、別の蛋白質と疎水結合やジスルフィド結合を形成することにより重合体が形成される。本発明において、卵白及び乳清の蛋白質がそれぞれ一部凝集し重合体を形成しているとは、例えば、オボアルブミンの一部と血清アルブミンの一部が上述の重合体を形成し、残りの蛋白質が重合体を形成していない状態を指す。
【0020】
卵白蛋白質の一部と、乳清蛋白質の一部とが凝集し重合体を形成していることは、下記2種類の分析方法のいずれかを行なうことにより、確認することができる。
【0021】
<分析方法A>
分析試料として、本発明の気泡入り加工食品を形成するスラリーの加熱前と加熱後のものを用意し、これらを2−メルカプトエタノール等の還元剤で処理せずに分析に供する。分析方法は、後述するSDS−PAGEの手順に従う。以下、1)〜3)の全ての条件を満たす場合、本発明で使用する気泡入り加工食品に該当する。
1)加熱後の試料は、卵白の少なくともオボアルブミンのバンドが検出され、かつオボアルブミン、オボトランスフェリン及びリゾチームの少なくとも一つのバンドが加熱前に比して薄く観察される。
2)加熱後の試料は、乳清の少なくともβラクトグロブリンが検出され、かつβラクトグロブリン、αラクトアルブミン及び血清アルブミンの少なくとも一つのバンドが加熱前に比して薄く観察される。
3)加熱前の試料は、分子量21万以上のバンドが観察されないのに対し、加熱後の試料は、分子量21万以上のバンドが検出される。
なお、1)、2)より、卵白及び乳清の両方の蛋白質のバンドが薄くなっていることから、加熱後の試料に観察される分子量21万以上のバンドは、卵白及び乳清の薄くなったバンドの蛋白質からなる重合体であると考えられる。
【0022】
<分析方法B>
分析試料として気泡入り加工食品を2−メルカプトエタノール等の還元剤で処理したものと処理していないものを用意する。分析方法は、後述するSDS−PAGEの手順に従う。以下、1)〜3)の全ての条件を満たす場合、本発明で使用する気泡入り加工食品に該当する。
1)還元剤処理をしていない試料は、卵白の少なくともオボアルブミンのバンドが検出され、かつオボアルブミン、オボトランスフェリン及びリゾチームの少なくとも一つのバンドが、還元剤処理した試料に比して薄く観察される。
2)還元剤処理をしていない試料は、乳清の少なくともβラクトグロブリンのバンドが検出され、かつβラクトグロブリン、αラクトアルブミン及び血清アルブミンの少なくとも一つのバンドが還元剤処理をした試料に比して薄く観察される。
3)還元剤処理をしていない試料は、分子量21万以上のバンドが観察されるのに対し、還元剤処理をした試料は、分子量21万以上のバンドが観察されない。
【0023】
さらに、上述の分析方法A,Bにおいて、分子量21万以上の蛋白質が、卵白蛋白質と乳清蛋白質の双方に由来することは、ウエスタンブロット法により、分子量21万以上のバンドが、卵白及び乳清にそれぞれ抗原抗体反応を示すことから確認することができる。また、卵白蛋白質のオボアルブミン(分子量約45000)をはじめとして、SDS-PAGEにおける特定のバンドが特定の蛋白質のバンドであることは、分子量マーカーにより分子量を確認する他、そのバンドを常法によりアミノ酸配列分析することにより確認することができる。
【0024】
卵白、乳清及び増粘多糖類を含有するスラリーにより形成された泡において卵白蛋白質及び乳清蛋白質の双方が一部凝集し重合体を形成していることにより、泡は安定性が向上し、口溶けの良いものとなる。そのため、得られる糖類高含有ソース類は、スプレッド性及び口溶け感の良好なものとなる。これに対し、卵白及び乳清の双方の蛋白質が全く凝集せずに重合体を形成していない場合、即ち、上述の<分析方法A>の加熱後の試料において、分子量21万以上のバンドが観察されない場合、又は<分析方法B>の還元剤で処理しなかった試料において分子量21万以上のバンドが観察されない場合には、泡の安定性が低く、泡に耐冷耐熱性を付与することができない。そのため、得られる糖類高含有ソース類は、スプレッド性及び口溶け感に優れたものが得られにくい。反対に、上述の<分析方法A>の加熱後の試料において、分子量21万以上のバンドは検出されるが、卵白の主要な蛋白質であるオボアルブミンのバンドが検出されないか、又は乳清の主要な蛋白質であるβラクトグロブリンのバンドも検出されないことにより、卵白蛋白質の全て又は乳清蛋白質の全てが凝集していると評価できる場合には泡が硬くなり、ふわっとしたメレンゲ様の食感と口溶けを得ることができない。そのため、得られる糖類高含有ソース類の口溶け感も低下してしまう。
【0025】
また、この気泡入り加工食品ではスラリーに卵白及び乳清が含まれていることにより、スラリーが比重0.3〜0.7に嵩高く泡立っている。そのため、この気泡入り加工食品を混合した本発明の糖類高含有ソース類は、ふわっとした食感のソースとなる。
【0026】
気泡入り加工食品のスラリーの材料となる卵白としては、常法により、鶏卵を割卵して卵黄と分離することにより得られた液卵白、冷凍卵白を解凍したもの、乾燥卵白等が挙げられる。
【0027】
乳清としては、生乳や脱脂粉乳からチーズや酸カゼイン、レンネットカゼインを製造する際に副生する酸ホエイ、スイートホエイを原料とし、これを精製したものを使用することができる。精製した乳清の他に、市販の乳清に濃縮、希釈、ペースト化、乾燥等の処理を行ったものも使用することができる。なお、一般に、乳清蛋白質はカゼインを実質的に含まないが、乳蛋白と称されるものはカゼインを主成分として含む点で乳清蛋白質と異なる。また、乳清に代えて全粉乳や脱脂粉乳を使用すると、カゼインを含むためか泡の安定性が損なわれて、得られるソースのスプレッド性及び口溶け感が損なわれるため、好ましくない。そのため、カゼインの含有量は乳蛋白質全体の5%以下が好ましく、カゼインを全く含まないものがより好ましい。
また、本発明で使用する気泡入り加工食品において、カゼインの含有量は1%以下が好ましく、カゼインを全く含まないものがより好ましい。
【0028】
気泡入り加工食品において、卵白と乳清の好ましい含有量は、それぞれ固形分換算で1〜5%とすることが好ましく、さらに卵白と乳清の含有量比を1:5〜5:1とすることがより好ましい。卵白が少なすぎると泡の安定性が低下し、これを用いて得られる糖類高含有ソース類は、スプレッド性及び口溶け感が損なわれる。反対に多すぎると泡が硬くなり過ぎてはんぺん様となり、糖類等の糖類高含有ソース類の主原料と混合しにくくなり、得られるソースの口溶け感が低下する。一方、乳清が少なすぎると泡立ちが不十分となり、比重が大きくなってふわっとしたメレンゲ様にならず、糖類等のソース主原料と混合しにくく、また、得られるソースのスプレッド性及び口溶け感も低下する。乳清が多すぎても泡が硬くなりやすいため、糖類等の主原料と混合しにくく、得られるソースの口溶け感が低下する。
【0029】
一方、本発明で使用する気泡入り加工食品において、増粘多糖類は、スラリーの泡立ちを向上させると共に、泡の押圧に対して潰れにくくするために含有されている。増粘多糖類としては、アルギン酸ナトリウム、発酵セルロース、キサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラギナン、タラガム、ジェランガム、タマリンドシードガム等を使用することができる。中でも、スラリーの撹拌時の剪断抵抗を減少させて泡立ちを向上させる点からシュードプラスチック性を有するキサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギナン、タラガム、ジェランガム等が好ましく、特にキサンタンガムが好ましい。
【0030】
気泡入り加工食品において、増粘多糖類の含有量は、0.3〜2%とすることが好ましい。増粘多糖類が少なすぎると泡と液状部分とが分離する場合があり、多すぎると口溶けが悪く、ねとねとした粘稠性の食感が強くなる。
【0031】
また、本発明で使用する気泡入り加工食品としては、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有するスラリーを好ましくは加熱する前、より好ましくは泡立てる前に、このスラリーに添加されたアルギン酸アルカリ金属塩と水溶性カルシウム塩によるアルギン酸カルシウムを含有するものが好ましい。ここで、アルギン酸アルカリ金属塩とは、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等を挙げることができる。また、水溶性カルシウム塩とは清水への溶解度(25℃)が1%以上のものをいい、塩酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等をあげることができる。中でも、気泡入り加工食品にメレンゲ特有の口溶けの良さに加え、風味も向上し、得られる糖類高含有ソース類の口溶け感も向上することから、乳酸カルシウムが好ましい。
【0032】
スラリーにアルギン酸アルカリ金属塩と水溶性カルシウム塩を添加して泡立て、泡立ったスラリー中でアルギン酸カルシウムを生成させると、泡の安定性を高め、増粘多糖類特有の粘稠性の食感を抑制し、メレンゲ特有の口溶けの良さを向上させることができる。これにより、得られる糖類高含有ソース類は、スプレッド性に優れ、口溶け感に優れたものとなる。なお、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有するスラリーを泡立て、卵白及び乳清の蛋白質をそれぞれ一部凝集させて重合体を形成させた後にアルギン酸カルシウムを添加しても、泡の安定性を高めたり、増粘多糖類特有の粘稠性の食感を抑制したり、口溶けの良さを向上させたりすることはできない。そのため、得られる糖類高含有ソース類は、スプレッド性及び口溶け感が損なわれたものとなる。
【0033】
また、アルギン酸カルシウムは増粘多糖類ではなく、粘稠性を示さないことから、スラリー中にアルギン酸アルカリ金属塩が添加されていても、水溶性カルシウムも添加されることにより、水溶性カルシウム塩と反応してアルギン酸カルシウムを生成した分については、アルギン酸アルカリ金属塩は増粘多糖類として作用しない。よって、本発明で使用する気泡入り加工食品を形成するスラリー中には、アルギン酸アルカリ金属塩と水溶性カルシウム塩を添加すると共に、前述の増粘多糖類を添加することが好ましく、特に、アルギン酸ナトリウムと水溶性カルシウム塩とキサンタンガムを併用することがより好ましい。
【0034】
スラリーにおけるアルギン酸アルカリ金属塩と水溶性カルシウム塩との添加量は、アルギン酸アルカリ金属塩0.1〜1%、水溶性カルシウム塩0.1〜1%とすることが好ましい。アルギン酸アルカリ金属塩と水溶性カルシウム塩の含有量が少なすぎるとアルギン酸カルシウムの生成が十分に行われず、泡の安定性が損なわれ、また粘稠性の食感を抑制できない。そのため、得られる糖類高含有ソース類には、優れたスプレッド性、及び口溶け感が得られにくい。反対に、これらの含有量が多すぎるとアルギン酸カルシウムの生成が過剰となって苦みが感じられ、食品の風味が損なわれるので好ましくない。
【0035】
気泡入り加工食品には、さらに、pH調整材及び糖類を含有させることが好ましい。pH調整材は、気泡入り加工食品のpHを4.5〜6とするために使用する。pHが低すぎると蛋白質の酸変性により泡立ちが悪くなり、pHが高すぎると泡が柔らかくなり、泡の安定性が劣る場合がある。上述のpH4.5〜6の範囲の中でも、特に卵白蛋白質の等電点4.6及び乳清蛋白質の等電点4.9の近傍(pH4.5〜5.0)が泡の安定性が向上し、スプレッド性及び口溶け感に優れた糖類高含有ソース類を得る点から好ましい。
【0036】
pH調整材としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸等の有機酸、リン酸等の無機酸、レモン、オレンジ、リンゴ等の果汁、食酢、ヨーグルト等の酸性発酵食品等が挙げられる。
【0037】
気泡入り加工食品に用いる糖類は、スラリー中のジスルフィド結合を抑制する効果があることから、加熱により、スラリー中の蛋白質の全てが凝集するという過度の熱変性が生じないようにするために使用する。
【0038】
気泡入り加工食品に用いる糖類としては、グルコース、フラクトース等の単糖類、マルトース、シュークロース、トレハロース等の二糖類、オリゴ糖等の構成糖の重合度が10個以下の小糖類であり、これらの混合物、これらに水素添加した還元糖類である。中でも、蛋白質の過度の変性を抑制する点から還元水飴及びトレハロースが好ましい。
【0039】
気泡入り加工食品において、糖類の含有量は、少なすぎると泡の安定性が低下し、得られる糖類高含有ソース類は、スプレッド性が損なわれたものとなり、反対に多すぎると泡立ちが低下し、得られる糖類高含有ソース類にふわっとした食感が得られにくいことから、還元水飴2.5〜20%及びトレハロース2.5〜20%を含有させることが好ましく、糖類の合計として5〜50%とすることが好ましい。
【0040】
本発明で使用する気泡入り加工食品には、以上の各成分の他、必要に応じて、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アスパルテーム等の高甘味度甘味料、クエン酸カルシウム、フマル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等の有機酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、レシチン、ポリソルベート等の乳化剤、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK等のビタミン類、鉄、マグネシウム等の各種ミネラル類、香料、着色料、調味料及び保存料等を含有することができる。
【0041】
気泡入り加工食品において、泡立ちは、比重が0.3〜0.7、好ましくは0.3〜0.6となる程度である。比重がこれよりも小さいと泡の安定性が低く、これを用いて製造した糖類高含有ソース類は、スプレッド性が損なわれやすい。反対に比重が大きいと泡立ちが足りず、これを用いて製造した糖類高含有ソース類がふわっとした食感が得られにくい。
【0042】
また、気泡入り加工食品の粘度は、粘度(20℃)10〜90Pa・sであり、好ましくは、30〜80Pa・sである。これにより、糖類等のソース主原料と混ぜやすいものとなる。なお、本発明において粘度は、BH型粘度計を用い、回転数:4rpm、ローター:No.6、品温:20℃の測定条件で、2回転後の示度から換算した値である。
【0043】
気泡入り加工食品は、上述した卵白、乳清及び増粘多糖類、その他必要に応じて含有される各成分を混合してスラリーとし、そのスラリーを撹拌や気体の吹き込みなどにより泡立て、品温75〜85℃で0.5〜5分加熱し、必要に応じて冷凍することにより製造することができる。この場合、スラリーの泡立ては、加熱後の比重が0.3〜0.7となるように適宜調整する。過度に加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くしたりすると、卵白中の蛋白質の全て、又は乳清中の蛋白質の全てが凝集してしまい、メレンゲ様のふわっとした口溶け感が損なわれ、これを用いて製造した糖類高含有ソース類も口溶け感が損なわれる。反対に、加熱温度が低すぎたり加熱時間が短すぎたりすると卵白及び乳清の凝集が不十分となり、泡の安定性が低くなり、耐冷耐熱性を得にくくなる。そのため、得られる糖類高含有ソース類は、スプレッド性が損なわれてしまう。スラリーの泡立てと加熱後には、それを冷凍保存しておき、解凍して使用することができる。
【0044】
気泡入り加工食品のより具体的な製造方法としては、例えば、上述のスラリーを形成する各成分を脱気機能付き撹拌ミキサーに入れ、脱気撹拌してスラリーを得る。次に、このスラリーに空気、窒素ガス等の気体を吹き込みながらこのスラリーを撹拌して泡立て、次いでチューブ式熱交換器に通し、加熱する。これによりメレンゲ様の気泡入り加工食品を得ることができる。
【0045】
本発明の糖類高含有ソース類への上述した気泡入り加工食品の含有量は、ソース主原料の組成などに応じて定めるが、気泡入り加工食品が少なすぎると、スプレッド性と口溶け感を改善しにくく、多すぎるとソース本来の味が過度に希釈化される。そこで、糖類高含有ソース類における気泡入り加工食品の含有量は5~40%とすることが好ましく、10〜35%がより好ましい。
【0046】
本発明の糖類高含有ソース類は、糖類を30%以上含有するものであり、前記気泡入り加工食品と、糖類とを加熱混合して得られるソースである。ここで、気泡入り加工食品と混合する糖類は、前記気泡入り加工食品を製造する際に使用する糖類とは別に用意する。
【0047】
ここで、本発明の糖類高含有ソース類を製する際に、前記気泡入り加工食品と混合する糖類は、グルコース、フラクトース等の単糖類、マルトース、スクロース、トレハロース等の二糖類、オリゴ糖等の構成糖の重合度が10個以下の少糖類であり、これらの混合物、これらに水素添加した還元糖類等である。一般的に糖類高含有ソース類に使用される糖類を甘味の質や強さを考慮しソースの味付けにあわせて適宜選択して用いればよい。
【0048】
また、本発明の糖類高含有ソース類を製する際に、前記気泡入り加工食品と加熱混合する糖類の含有量は、糖類高含有ソース類に対して固形分換算で好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。これにより、糖類高含有ソース類に、濃厚な甘みを付与したり、水分活性を低くして細菌の増殖を抑えたりする効果が充分に得られ易い。一方、糖類を多く含有しすぎても口あたりが悪くなる傾向があるから、糖類の含有量は85%以下である。
なお、糖類高含有ソース類の糖類の含有量は、気泡入り加工食品を製する際に使用する糖類の量を含む。
【0049】
このような本発明の糖類高含有ソース類としては、例えば、ジャム、カラメルソース、フルーツソース、シロップ等が挙げられる。
【0050】
本発明の糖類高含有ソース類においては、上述した気泡入り加工食品、及び糖類の他に、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて種々の食材や添加剤等を含有することができる。このような原料としては、果汁、果肉、ココア、チョコレート、コーヒー、茶類、ナッツ類、香辛料、香料、着色料等が挙げられる。
【0051】
気泡入り加工食品と、糖類等のソースの主原料との混合に際しては、加熱混合して得られる本発明の糖類高含有ソース類が、好ましくは比重0.6〜0.9、より好ましくは比重0.7〜0.9となるように、それらの組成を調整することがふわっとした食感で口溶けのよい糖類高含有ソース類を得る点で好ましい。
【0052】
気泡入り加工食品と、糖類等のソース主原料との混合撹拌及び加熱の方法としては、それらを常法により混合撹拌しながら、品温70℃以上、より好ましくは品温80℃以上に加熱することが好ましい。加熱温度は、あまり高すぎても風味が悪くなる場合があるから、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。
【実施例】
【0053】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1〜7及び比較例1〜9
(1)気泡入り加工食品の製造
表1に示す組成で各原料を脱気機能付き撹拌ミキサーで攪拌混合し、真空度0.1MPaで脱気撹拌を行い、スラリーを得た。
このスラリーを攪拌ミキサーに投入し、空気を吹き込みながら攪拌し、泡立てた。次いで、チューブ式熱交換器に通し、次いで、80℃で3分間加熱した。こうして得られた気泡入り加工食品を室温に冷却した。
【0054】
(2)糖類高含有ソース類の製造(カラメルソース)
本発明のカラメルソースを製する。
まず、鍋に、スクロース55%、清水20%を投入し火にかけて煮詰め、焦げ色が付いたら湯を投入して混合し、カラメル(固形分55%)を得た。続いて、バキュームニーダーに表1に示す組成に従って、還元水飴(固形分70%)、ソルビトール(粉末)、スクロース(粉末)、実施例1の(1)で製した気泡入り加工食品、前記得られたカラメル(固形分55%)、清水を投入し、品温90℃まで加熱混合し、冷却して本発明の糖類高含有ソース類であるカラメルソースを得た。なお、得られた実施例1〜7の本発明のカラメルソースは、糖類を固形分換算で72%含有するものであった。
【0055】
(3)評価
(1)で得られた気泡入り加工食品、又は(2)の糖類高含有ソースを試料とし、それらの性状を次のように測定し、評価した。これらの結果を表1に示す。
【0056】
(3-1)比重
(1)で得られた気泡入り加工食品、又は(2)で得られた糖類高含有ソースについて、品温20℃にて90mlメスシリンダーに空気を抱き込まないように各試料を満注して、質量を測定した。メスシリンダーの容積(90ml)および測定した試料の質量から比重(水に対する試料の質量比)を算出した。
【0057】
(3-2)粘度
(1)で得られた気泡入り加工食品について、BH型粘度計を用い、回転数:4rpm、ローター:No.6、品温:20℃の測定条件で2回転後の示度から換算した値を採用した。
【0058】
(3-3)蛋白質の一部凝集
(1)で得られた気泡入り加工食品について、加熱前後の気泡入りスラリーを試料としてドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)分析をLaemmli法に基づき、以下の測定条件で行った。この場合、試料は、蛋白質のジスルフィド結合を切断する還元剤で処理することなく、電気泳動分析に供した。また、比較のために生卵白と乳清も同時に展開した。
【0059】
SDS-PAGEの測定条件
ポリアクリルアミドゲル(SDS-PAGE mini,4−20%(テフコ(株)製)):4〜20%のグラジエントゲル、分子量の検出範囲6500〜205000
試料の蛋白質濃度:1mg/ml
染色液:クマシーブリリアントブルーG250(CBB)染色液濃度:1g/L
染色時間:40rpm 1時間
脱色時間:40rpm 6時間
【0060】
実施例1で得られた気泡入り加工食品について、SDS-PAGEの泳動写真を図1に示す。
加熱前後の泳動パターンの対比から蛋白質の一部が凝集し重合体を形成しているかを確認した。なお、この泳動パターンにおいて、ポリアクリルアミドゲルの最上部に位置するバンドは、ポリアクリルアミドゲルの検出範囲を超えた分子量21万以上の蛋白質ということになる。
【0061】
また、実施例1については、加熱後の気泡入りスラリーを試料とし、上述と同様の電気泳動分析を、試料を予め2−メルカプトエタノールで処理して行った。その結果、分子量21万以上の蛋白質は観察されなかった。また、2−メルカプトエタノールで処理した場合に比して、2−メルカプトエタノールで処理しない場合には、分子量約45000〜78000のバンドが薄かった。
【0062】
(3-4)泡安定性
(1)で得られた気泡入り加工食品を−20℃に冷凍した。そして、冷凍前の気泡入り加工食品の比重と、冷凍した気泡入り加工食品を5℃で解凍し、5℃にて1週間放置した後の比重とを比較して、次の基準で泡安定性を評価した。
【0063】
〔評価基準〕
◎:冷凍前の気泡入り加工食品の比重と比較して、比重の変化率が10%未満の場合
○:冷凍前の気泡入り加工食品の比重と比較して、比重の変化率が10%以上20%未満の場合
比重が若干高くなっていた。
×:冷凍前の気泡入り加工食品の比重と比較して、比重の変化率が20%以上の場合比重が高くなっていた。
【0064】
(3-5)スプレッド性
(2)で得られた糖類高含有ソースを、ナイフを使用してトーストに塗った際のスプレッド性について、次の基準で評価した。
【0065】
〔評価基準〕
A:糖類高含有ソースが滑らかに拡がり、塗り易かった。
B:糖類高含有ソースが若干拡がりにくかったが、問題ない程度である。
C:糖類高含有ソースが拡がりにくく、塗りにくかった。
【0066】
(3-6)食感
(1)で得られた気泡入り加工食品を−20℃に冷凍後、5℃で解凍し、喫食して次の基準で口溶け感を評価した。
〔評価基準〕
◎:メレンゲ特有の口溶けの良さに優れ好ましい。
○:メレンゲ特有の口溶けの良さを有している。
×:メレンゲ特有の口溶けの良さが損なわれていた。
【0067】
(2)で得られた糖類高含有ソースを喫食し、食感を次の基準で評価した。
〔評価基準〕
A:口溶け感に優れたソースであった。
B:若干口溶けが損なわれているが、問題ない程度であった。
C:口溶け感が損なわれていた。
【0068】
【表1】




【0069】
図1の電気泳動写真から、以下1)〜3)の点を確認できた。従って、実施例1で使用した気泡入り加工食品は、段落番号[0020]の<分析方法A>の1)〜3)の全ての条件を満たしていることが理解できる。
1)加熱後の試料では、オボアルブミンのバンドが検出され、かつオボアルブミン、オボトランスフェリン、リゾチームのバンドが加熱前に比して薄く観察された。
2)加熱後の試料では、βラクトグロブリンのバンドが検出され、かつ血清アルブミンのバンドが加熱前に比して薄く観察された。
3)加熱前の試料では、分子量21万以上のバンドが観察されないのに対し、加熱後の試料では、ポリアクリルアミドゲルの最上部に位置するバンド、即ち分子量21万以上のバンドが検出された。
【0070】
図1の結果は、実施例1の加熱後の気泡入りスラリーを2−メルカプトエタノールで処理した試料のSDS-PAGEでは分子量21万以上の蛋白質が観察されず、2−メルカプトエタノールで処理しなかった試料のSDS-PAGEでは、2−メルカプトエタノールで処理した場合に比して分子量約45000〜78000のバンドが薄くなり、分子量21万以上の蛋白質が観察されたことと整合する。
【0071】
なお、加熱前後の泳動パターンにおける各バンドの特定の蛋白質への帰属は、対照として泳動させた卵白及び乳清の泳動パターンとの対比により行った。バンドが薄くなっていることが認められる卵白のオボトランスフェリン、オボアルブミン、及び乳清の血清アルブミンは熱に弱い蛋白質であると考えられる。また、一部凝集した蛋白質の多くは卵白蛋白質に由来していることから、実施例1の気泡入り加工食品の泡の安定性には、卵白蛋白質の一部凝集が大きく寄与していると考えられる。
【0072】
表1の結果から、実施例で使用した気泡入り加工食品は、いずれも卵白、乳清及び増粘多糖類を含有し、蛋白質が一部凝集して重合体を形成していること、これら気泡入り加工食品は泡安定性に優れており、気泡入り加工食品を用いて製造した糖類高含有ソースは、優れたスプレッド性及び口溶け感を有していること、これに対し気泡入り加工食品を使用せずに製造した比較例9の糖類高含有ソースは、スプレッド性及び口溶け感に劣っていることがわかる。さらに、乳清を含有しない気泡入り加工食品(比較例1)や、卵白を含有しない気泡入り加工食品(比較例2)や、増粘多糖類を含有せず加熱処理もしていない気泡入り加工食品(比較例3)や、増粘多糖類は含有するが加熱処理をしていない気泡入り加工食品(比較例7)は泡安定性が低く、これらを使用して製造した糖類高含有ソースは、スプレッド性が劣っていることがわかる。また、過度の加熱処理により蛋白質が完全に凝集している気泡入り加工食品を使用した場合には(比較例8)、スプレッド性に優れているが、口溶け感が損なわれていた。
【0073】
さらに、実施例1、4から、糖類高含有ソースに優れたスプレッド性及び口溶け感を与えるには、気泡入り加工食品として、アルギン酸アルカリ金属塩と水溶性カルシウムを増粘多糖類と併用したものを使用するのが有効であること、さらに実施例1、3から、糖類高含有ソースのスプレッド性を一層改善するには、気泡入り加工食品として、増粘多糖類にキサンタンガムを使用することにより泡安定性を高めたものを使用するのが好ましいことがわかる。
【0074】
実施例1、5、6、及び比較例4、5、6から、気泡入り加工食品を比重が0.3〜0.7となるように泡立てることにより、それを用いた糖類高含有ソースのスプレッド性及び口溶け感が改善されることがわかる。
【0075】
気泡入り加工食品の製造において、実施例1に対して脱脂粉乳を5%使用した実施例7は、脱脂粉乳の使用により気泡入り加工食品中にカゼインを1.4%含有することとなり、実施例1よりも気泡入り加工食品自体の泡安定性が低くなっていることから、食感は実施例1ほど優れてはいない。気泡入り加工食品の泡安定性をより高めて糖類高含有ソースのスプレッド性及び口溶け感を向上させるには、カゼインを含有しない気泡入り加工食品が好ましいことがわかる。
【0076】
〔実施例8〕
本発明の糖類高含有ソースである、イチゴジャムを製する。
つまり、鍋に、下記配合表に従って、イチゴの果肉、スクロース(粉末)、(1)で得られた気泡入り加工食品、LMペクチン、クエン酸、清水を投入し、加熱混合しながら30分間煮熟し、糖類高含有ソースであるイチゴジャムを得た。なお、得られたイチゴジャムは、固形分換算で37%含有するものであった。
【0077】
〔配合表〕(イチゴジャム)
イチゴの果肉 35%
スクロース(粉末) 35%
気泡入り加工食品 20%
LMペクチン 0.6%
クエン酸 0.3%
清水 残余
―――――――――――――――――――――
合計 100%
【0078】
実施例8で得られたイチゴジャムを、(3-5)及び (3-6)に記載の評価基準に従って、スプレッド性及び口溶け感について評価を行った。
その結果、得られたイチゴジャムは、滑らかに拡がり、塗り易くスプレッド性に優れており、喫食したところ、口溶け感に優れており、好ましかった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類を30%以上含有する糖類高含有ソース類の製造方法であって、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有し、卵白及び乳清の蛋白質がそれぞれ一部凝集し重合体を形成しており、比重0.3〜0.7、粘度(20℃)10〜90Pa・sである気泡入り加工食品と、糖類とを70℃以上で加熱混合することを特徴とする糖類高含有ソース類の製造方法。
【請求項2】
気泡入り加工食品が、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有するスラリーを泡立て、75〜85℃で0.5〜5分間加熱した請求項1記載の糖類高含有ソース類の製造方法。
【請求項3】
糖類を30%以上含有する糖類高含有ソース類であって、卵白、乳清及び増粘多糖類を含有し、卵白及び乳清の蛋白質がそれぞれ一部凝集し重合体を形成している気泡入り加工食品と、糖類とから成ることを特徴とする糖類高含有ソース類。
【請求項4】
気泡入り加工食品が、アルギン酸アルカリ金属塩及び水溶性カルシウム塩の添加により生成したアルギン酸カルシウムを含有する請求項3記載の糖類高含有ソース類。
【請求項5】
気泡入り加工食品が、該気泡入り加工食品を還元剤で処理することなく行ったドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)で分析することにより、少なくとも卵白蛋白質のオボアルブミン、乳清蛋白質のβラクトグロブリン、及び分子量21万以上の重合体が検出されるものである請求項3又は4記載の糖類高含有ソース類。
【請求項6】
気泡入り加工食品の増粘多糖類がキサンタンガムである請求項3乃至5のいずれかに記載の糖類高含有ソース類。

【図1】
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【公開番号】特開2012−100560(P2012−100560A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250009(P2010−250009)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001421)キユーピー株式会社 (657)
【Fターム(参考)】