説明

糞便又は経血が皮膚に付着するのを制限するローション組成物を含む基材

おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、女性用衛生製品などの吸収性物品の身体に面する表面に適用されるローション組成物は、ローション組成物を含む吸収性物品が使用されて着用者から取り外された後の糞便又は経血の除去のしやすさを改善する。ローション組成物は、拭き取り用品に適切に適用されてもよい。ローション組成物は、高速であっても、有利に容易に加工可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、又は女性用衛生製品などの吸収性物品に含まれる、又はそれを形成する、又はその製造に使用される基材に堆積されたローション組成物は、糞便又は経血がヒトの皮膚に付着するのを低減するために使用され得る。吸収性物品に含まれる、又はそれを形成する、又はその製造に使用される基材に堆積されたローション組成物は、製造方法に悪影響を及ぼさず、望ましい流体処理特性を基材に付与する。ローション組成物は、拭き取り用品として又は拭き取り用品に使用される基材上に望ましく堆積されてもよい。
【背景技術】
【0002】
着用者の皮膚に皮膚効果を送達するローションを含むトップシートを有する、おむつ及び生理用ナプキン等の使い捨て吸収性製品が知られている。ここ数年、その焦点は、例えば植物成分又は薬剤成分をローションに添加することによって、更なる皮膚効果をもたらすローションを生理用ナプキン及びおむつに供給することであった。様々な種類のローションは、おむつかぶれの予防又は治療等の、様々な皮膚効果をもたらすことも知られている。これらのローションは、吸収性物品のトップシートに適用することができ、また、使用中に着用者の皮膚に移転可能である。吸収性物品のトップシートへのローションの添加は、皮膚上で糞便又は経血をより簡単に片付けられるといった効果をもたらすことも既知である。例えば、米国特許第5,968,025号(Roeら)、国際公開第97/05908号、同第97/05909号、及び米国特許出願公開第2006/140924号では、皮膚への糞便の付着を低減するためのローション付きトップシートを有する吸収性物品が記載されており、このローション組成物は主に疎水性である。米国特許第3,489,148号(ダンカン(Duncan)ら)は、疎水性でかつ疎油性のトップシートを備えたおむつを教示しており、前記トップシートの一部分は、油性材料の不連続フィルムでコーティングされている。Duncanらの参考文献に開示されているおむつ、及び疎水性ローションで処理された他のおむつの不利な点は、疎水性及び疎油性トップシートが、内在する吸収性コアへの尿の移動を促進することが遅いという点である。疎水性ローション組成物はまた、油っぽい又は滑りやすいといった望ましくない感触を皮膚に残す傾向がある。親水性ローションは、これらの欠点の多くを克服している。国際公開第05/035013号、同00/64500号、同00/64501号、米国特許出願公開第2002/120241号、及び米国特許第6,756,520号は、皮膚の磨耗の軽減のため、皮膚の健康の改善のため、皮膚のバリア機能の向上のため、並びに皮膚の炎症の防止及び緩和のための、湿潤又は潤滑の改善など、様々な用途のための疎水性ローション組成物を有する吸収性物品を記載する。欧州特許第1992366A1号及び欧州特許第1992367A1号は、皮膚に移動し、糞便又は経血が皮膚に付着するのを制限する(固着防止性)、親水性ローションを有する吸収性物品を記載している。しかしながら、糞便又は経血が皮膚に付着するのを制限するそれらの親水性ローション組成物のいくつかは、特に高速方法において方法上の問題を招く場合がある。それらの親水性ローションのいくつかは、常に効果的に送達されるわけではないため、その効率が低減する。先行技術の親水性組成物を液状で高温方法条件にて加工する際、それらの組成物は、基材に堆積された後、かなりの期間液状のままであり得るため、製造方法に悪影響を及ぼす。方法上の問題に加えて、ローション組成物が長く液状のままであるほど、ローション組成物が物品内に転移する可能性が大きくなり、その結果、使用中、より少ない量が皮膚への移動に利用できるか又は皮膚と吸収性物品の皮膚に接触する表面との間に残ったままである。いくつかの親水性ローション組成物に関連した方法上の問題が、知られている。米国特許第6,515,029号は、吸収性物品に堆積された後、ローション組成物が固化するのに必要な時間を低減させるための、加工助剤の使用を教示している。しかしながら、提供された解決法は、糞便及び経血の着用者の皮膚への付着を低減するのを目的とする親水性ローション組成物には満足のいくものではなく、提供された先行技術の解決法は、それら特定の親水性ローション組成物の性能を低減し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,968,025号
【特許文献2】国際公開第97/05908号
【特許文献3】国際公開第97/05909号
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/140924号
【特許文献5】米国特許第3,489,148号
【特許文献6】国際公開第05/035013号
【特許文献7】国際公開第00/64500号
【特許文献8】国際公開第00/64501号
【特許文献9】米国特許出願公開第2002/120241号
【特許文献10】米国特許第6,756,520号
【特許文献11】欧州特許第1992366A1号
【特許文献12】欧州特許第1992367A1号
【特許文献13】米国特許第6,515,029号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、高速であっても容易に加工可能であり、効率的に皮膚に移動して糞便及び経血の付着を効果的に低減する親水性ローションを含む基材を、例えば吸収性物品の身体に面する表面に含む拭き取り用品、おむつ、生理用ナプキンなど、皮膚に適用される又は着用者により着用される吸収性物品を提供するという、満たされないニーズが存在する。
【0005】
したがって、本発明の目的は、高速であっても容易に加工可能であると同時に、皮膚への経血又は糞便の付着を効果的に低減する、移動可能なローション組成物を含む吸収性物品又は拭き取り用品に含まれる、又はそれを形成する、又はその製造に使用される基材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高速で容易に加工可能でありかつ経血又は糞便が皮膚に付着するのを効果的に低減するローション組成物を含む基材を提供する。このローション組成物は、
a)25℃で液体であり、液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、液体多価アルコール、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのエチレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのプロピレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、約20〜約80重量%の1つ以上の化合物Aと、
b)25℃で固体であり、固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリプロピレングリコール誘導体、固体アルコキシル化非イオン性界面活性剤、固体グリセロールエステル、固体ソルビタン及び誘導体、固体スクロースエステル及びその誘導体、固体グルコースエステル及びその誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、約5〜約50重量%の1つ以上の化合物Bと、
c)C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、固体脂肪石鹸、並びにカルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、レゾワックス、イソパラフィン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるワックス、から成る群から選択される、約1〜約40重量%の1つ以上の結晶化促進剤Cと、
を含み、化合物Aと結晶化促進剤(C)との重量比は、3:2〜10:1である。
【0007】
本発明は更に、糞便又は経血がヒトの皮膚に付着するのを低減するための方法を提供する。本方法は、
(i)上記で開示されたローション組成物を提供する工程と、
(ii)有効量の前記ローション組成物を、吸収性物品の製造に使用される、又は吸収性物品として使用される、又は吸収性物品内に使用される基材の身体に面する表面に適用する工程であって、吸収性物品が、着用者により着用される物品である、工程と、
(iii)着用者の皮膚を前記吸収性物品と接触させる工程と、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】温度(℃)に対するローション組成物の熱流の曲線(W/g)の実例である(冷却データ曲線)。
【図2】温度(℃)に対するローション組成物の熱流の曲線(W/g)(冷却データ曲線)を、温度に対する熱流の一次導関数の曲線(W/g.℃)と重ね合わせた実例であり、これは、ローション組成物の結晶化の開始温度を決定するのに使用される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用するとき、「吸収性物品」とは、身体から排出される様々な排泄物を吸収及び収容するために着用者の皮膚に対して着装されることを意図するデバイスを指す。吸収性物品の例として、乳児用又は成人用おむつ、トレーニングパンツなどのパンツ式おむつ、おむつホルダー、失禁用パッド等の、失禁用物品が挙げられる。吸収性物品の更なる例は、生理用ナプキン及びパンティライナーなどの女性用衛生製品である。本発明の好ましい実施形態において、この吸収性物品は、おむつ、パンツ式おむつ、生理用ナプキン及びパンティライナーである。
【0010】
本明細書で使用するとき、「パッドタイプアプリケータ」とは、ローション組成物を皮膚などの表面に適用することを目的としたデバイスを指す。例えば、パッドタイプアプリケータは、分注されるローション組成物でコーティングされた表面を有するアプリケータのパッド部分、及び直立つまみ部を有し得る。
【0011】
本発明において有用な基材
本明細書で使用するとき、「基材」という用語は、通常、吸収性物品のトップシート及び/又はレッグカフ及び/又はバリアカフ及び/又はサイドフラップ及び/又はサイドパネル、及び/又はウィングに含まれる、又はそれらを形成する、又はそれらの製造に使用される材料を指す。基材は、拭き取り用品の製造に好適な、又は拭き取り用品として、若しくは拭き取り用品に好適な材料であってもよい。
【0012】
好適な材料には、織布材及び不織布材(典型的には繊維の織布ウェブ若しくは不織布ウェブを含むウェブ材料)、ポリマーウェブ材料(例えば(孔あき成形)熱可塑性フィルム、(孔あき)プラスチックフィルム、ハイドロフォーミングされた熱可塑性フィルム、多孔質発泡体、網状発泡体、網状熱可塑性フィルム及び熱可塑性スクリム)、ティッシュペーパー、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0013】
その他の基材には、パッド様アプリケータのパッド部分を構築するのに好適な材料、例えばアプリケータにより分注されるローション組成物と反応を起こさない可撓性で弾力的な高分子発泡体を挙げることができる。代表的な弾力的材料には、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどが挙げられる。
【0014】
本明細書で使用するとき、「不織布材」は、摩擦及び/又は凝集及び/又は接着により接合された、配向性繊維又は不規則に配向された繊維で製造されたウェブを指し、紙と、更なるニードル加工の有無を問わず、結合糸若しくは長繊維を組み込んだ織り製品、編み製品、タフテッド製品、ステッチで結合した製品、又は湿式粉砕によるフェルト製品と、を除く。
【0015】
本明細書における好ましい基材は、不織布ウェブ材料であり得るか、又は前記不織布ウェブ材料を含み得、不織布ウェブは、数多くの既知の技術によって製造され得る。この技術の非限定的な例には、スパンボンド、カード、ウェットレイド、エアレイド、メルトブローン、ニードルパンチング、機械的交絡、熱機械的交絡、水流交絡、カレンダーボンディング、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0016】
好適な基材には、例えば天然繊維若しくは合成繊維又はこれらの組み合わせを含むウェブ材料(例えば、織布ウェブ又は不織布ウェブ)が挙げられる。天然繊維の実施例は、広葉樹源、針葉樹源、又はその他の非木材植物からの繊維など、セルロース天然繊維を含んでもよい。天然繊維は、セルロース、デンプン、及びこれらの組み合わせを含んでもよい。合成繊維は、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシアルカノエート、多糖類及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるがこれらに限定されない、任意の材料であることができる。更に、合成繊維は、単一構成成分(即ち、単一合成材料又は混合物が繊維全体を構成する)、2構成成分(即ち、繊維は領域に分けられ、領域は2つ以上の異なる合成材料又はその混合物を包含し、かつ共押出繊維及びコア・シース繊維を包含する場合がある)、及びこれらの組み合わせであることができる。これらの2構成成分繊維は、ウェブ材料の成分繊維として使用することができ、及び/又はウェブ材料中に存在するその他の繊維の結合剤として作用するために存在してもよい。合成繊維のいずれか又は全ては、繊維のいずれかの望ましい性質を変えるために、製造の前、製造の間、又は製造後に処理されてもよい。
【0017】
本発明に有用な基材は、2つ又はそれ以上の不織布ウェブの積層体ウェブであってよく、又はこれを含み得る。積層体ウェブは、スパンボンド層(S)、及び/又はメルトブローン層(M)、及び/又はカード層(C)を含み得る。好適な積層体ウェブには、SS、SSS、SMS又はSMMSが含まれるがこれらに限定されない。本発明に有用な基材は、約5〜100g/mの坪量を有し得る。この基材が、吸収性物品のトップシート、レッグカフ及び/又はバリアカフ及び/又はサイドフラップ及び/又はウィングに含まれるか、又はこれらを形成するか、又はこれらの製造に使用される場合、この基材は例えば、約5〜100g/m、又は約10〜40g/m、又は約10〜30g/mの坪量を有し得る。この基材が、拭き取り用品として使用されるか、又は拭き取り用品に使用される場合、この基材は例えば、約15〜100g/m、又は約30〜95g/m、又は約40〜85g/m、又は約45〜75g/mの坪量を有し得る。
【0018】
本発明に有用な基材は、吸収性物品のトップシートに含まれ得、又はこれを形成することができ、又はこの製造に使用することができる。トップシートは、着用者の身体に向かって配置され、身体に接触して、流体がトップシートを通って着用者の皮膚に逆流することなく、排泄物がそれを通って迅速に浸透できるようにする。トップシートは、好ましくは、トップシートを通過し、吸収性コアに収容される液体から着用者の皮膚を隔離するため(即ち、再湿潤を防ぐため)に、疎水性材料で作られ得る。
【0019】
吸収性物品のトップシートに含まれるか、又はそれを形成するか、又はその製造に使用される基材は、替わりに又は更に、孔があけられてもよく、即ちトップシートは少なくとも約0.2mmの開口寸法を有する複数の孔を有してもよい。トップシートは、少なくとも約10%の開口領域(全ての孔の合計)を有することができる。この開口領域は、PCT国際公開特許WO 95/05139号に開示されている手順によって決定され得る。
【0020】
基材は、1つ又は複数の開口部を有するトップシートに含まれ得、又はこれを形成することができ、又はこれの製造に使用することができる。典型的には、この開口部は、糞便又は経血を、前記トップシートの下にある空隙へと通過させるのに十分な大きさであり、これはアナルカフ又はバジナルカフ(vaginal cuff)とも呼ばれる。例えば、米国特許出願第2006/0058766 A号(2005年9月13日出願)は、トップシートが糞便物を受容するよう適合させた少なくとも1つの開口部を備えた、吸収性物品を開示している。そのようなトップシートは、液体不透過性材料で製造されてよく、又は液体不透過性材料を含んでいてよく、ゆえに、基材は液体不透過性材料であり得る。
【0021】
本発明に有用なローション組成物
本発明に有用なローション組成物は、ヒトの皮膚への糞便又は経血の付着を低減する。一実施形態では、これらは、前記ローション組成物を含む吸収性物品が使用され着用者から取り外された後の糞便又は経血の除去の容易さを改善することができる。理論に束縛されるものではないが、ローション組成物は、汚れ又は滲出物と皮膚表面との間の付着力を低減することができ、これは、付着力が汚れ又は滲出物内の凝集力より小さくなり得るためであり、その結果(例えば拭うことにより生成される)剪断力の適用により汚れ又は滲出物が皮膚表面から分離できるようになると考えられる。
【0022】
吸収性物品に含まれるか、又はそれを形成するか、又はその製造に使用される基材に適用されると、ローション組成物は、通常の接触、着用者の動き(したがって摩擦を生成する)、及び/又は体温により着用者の皮膚に移動可能となり得る。
【0023】
拭き取り用品に使用される基材、又は拭き取り用品として使用される基材に適用されると、あるいはパッド様アプリケータのパッド部分に含まれる基材に適用されると、ローション組成物は、比較的低い力を基材に適用する(例えば、拭き取り用品で肛門周囲の領域の皮膚などの表面を拭く、又は製品適用表面、即ちパッドタイプアプリケータのパッド部分で肛門周囲の領域の皮膚を擦る)ことにより、容易に基材から皮膚に移動できる。
【0024】
ローション組成物の投与及び/又は堆積のための皮膚上へのローション組成物の移動又は転移は、安全かつ有効な量のローション組成物が適用される結果となり得る。身体に移動又は転移するローション組成物の安全かつ有効な量は、適用されるローション組成物の種類、ローション組成物が適用される基材の身体に面する表面の部分、及びローション組成物を投与するのに使用される吸収性物品の種類、といった要因に依存し得る。一実施形態において、有効な量とは、ローション組成物を有さない吸収性物品と比較して、吸収性物品を着用している着用者のヒトの皮膚への糞便又は経血の付着の低減をもたらす量である。吸収性物品に対するローション組成物の本発明による有効量は、約0.0015mg/cm(0.01mg/in)〜約100.5mg/cm(100mg/in)、好ましくは約0.003mg/cm(0.02mg/in)〜約12.4mg/cm(80mg/in)、好ましくは約0.02mg/cm(0.15mg/in)〜約7.75mg/cm(50mg/in)であり得る。少なくとも約0.00015mg/cm(0.001mg/in)〜約15.5mg/cm(100mg/in)、好ましくは約0.0006mg/cm(0.004mg/in)〜約11mg/cm(72mg/in)、より好ましくは約0.005mg/cm(0.03mg/in)〜約6.2mg/cm(40mg/in)のローション組成物が、吸収性物品を1回、典型的には約3時間使用する間に身体に移動するよう、安全かつ有効な量の本発明のローション組成物が吸収性物品に適用される。ローション組成物を含有する吸収性物品の使用中に、着用者の身体に移動する本明細書に記載のローション組成物の量を決定するには、任意の好適な方法を使用することができる。ローション組成物の移動量を計算する方法の例には、生体内皮膚類似物質の分析を伴うガスクロマトグラフ分析手順とその他の定量的分析手順とが挙げられる。好適なガスクロマトグラフ手順は、PCT国際公開特許WO 99/45973、ドナルドC.ロー(Donald C. Roe)らに1999年9月16日公開、により詳細に記載されている。
【0025】
本発明に有用なローション組成物は、適切な方法状態、例えば50℃超、又は60℃超、又は80℃超、又は所望により100℃超では流動性である(例えば、液体)が、25℃、即ち室温では通常、非流体、即ち固体である。ローション組成物は、好ましくは、45℃以上であり得る、「負担のかかる」潜在的保存状態を超える最終融点(100%液体)を有する。
【0026】
本明細書で使用するとき、非流体、即ち固体とは、15cmの直径を有する丸いガラスプレートの中央に設置される1gの材料が、25℃及び50%の相対湿度の条件下にて、ガラスプレートが45°に傾けられたときに、1分間以内にガラスプレートから流れ落ちないことを意味する。ローション組成物の稠度は、稠度を測定するための透過度計の使用を伴うASTM D5試験方法により測定することができる。
【0027】
好ましくは、ローション組成物は、本質的に非水性である。非水性とは、ローション組成物が水を全く含有しないか、又は水を5重量%未満又は更には1重量%未満など、少量のみ含有するかのいずれかであることを意味する。しかしながら、これらの量は、吸収性物品が製造された時点、即ち、ローション組成物が吸収性物品上に適用された時点のローション組成物について言及する。本発明のローション組成物は、かなりの吸湿性を有することがあり、したがって、特に相対湿度の高い環境において、周囲雰囲気から有意な量の水分を吸収することがある。したがって、吸収性物品が、数ヶ月、又は数年など、比較的に長い期間貯蔵されると、ローション組成物に含有される水の量が、5重量%超まで増加する可能性がある。
【0028】
本発明に有用なローション組成物は、
a)25℃で液体であり、液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、液体多価アルコール、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのエチレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのプロピレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、ローション組成物の総重量の約20〜約80重量%、又は約30〜約70重量%、又は約40〜約60重量%の1つ以上の化合物(本明細書では化合物Aと呼ぶ)と、
b)25℃で固体であり、固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリプロピレングリコール誘導体、固体アルコキシル化非イオン性界面活性剤、固体グリセロールエステル、固体ソルビタン及び誘導体、固体スクロースエステル及びその誘導体、固体グルコースエステル及びその誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、ローション組成物の総重量の約5〜約50重量%、又は約10〜約30重量%、又は約15〜約25重量%の1つ以上の化合物(本明細書では化合物Bと呼ぶ)と、
c)C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、固体脂肪石鹸、並びにカルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、レゾワックス、イソパラフィン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるワックス、から成る群から選択される、ローション組成物の総重量の約1〜約40重量%、又は約3〜約25重量%、又は約5〜約20重量%の1つ以上の結晶化促進剤(本明細書では化合物C呼ぶ)と、
を含み、化合物Aと結晶化促進剤(C)との重量比は、3:2〜10:1である。
【0029】
本発明で有用な実施形態では、ローション組成物は、液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、液体多価アルコール、及びこれらの混合物から成る群から選択される、約20〜約80重量%、又は約30〜約70重量%、又は約40〜約60重量%の1つ以上の化合物Aを、上記に開示される1つ以上の化合物B及び1つ以上の結晶化促進剤Cと組み合わせて含み得る。
【0030】
本発明で有用な更なる実施形態では、ローション組成物は、固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテル、及びこれらの混合物から成る群から選択される1つ以上の化合物Bを、上記に開示される1つ以上の化合物A及び1つ以上の結晶化促進剤Cと組み合わせて含む。
【0031】
本発明で有用な更なる実施形態では、ローション組成物は、
a)液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、液体多価アルコール、及びこれらの混合物から成る群から選択される、ローション組成物の総重量の約20〜約80重量%、又は約30〜約70重量%、又は約40〜約60重量%の1つ以上の化合物Aと、
b)固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテル、及びこれらの混合物から成る群から選択される、ローション組成物の総重量の約5〜約50重量%、又は約10〜約30重量%、又は約15〜約25重量%の1つ以上の化合物Bと、
c)C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、ローション組成物の総重量の約1〜約40重量%、又は約3〜約25重量%、又は約5〜約20重量%の1つ以上の結晶化促進剤Cと、
を含み、化合物Aと結晶化促進剤(C)との重量比は、3:2〜10:1である。
【0032】
本発明の更なる実施形態では、ローション組成物は、
a)化合物Aとして、ローション組成物の総重量の約20〜約80重量%、又は約30〜約70重量%、又は約40〜約60重量%のポリエチレングリコール化合物と、
b)化合物Bとして、ローション組成物の総重量の約5〜約50重量%、又は約10〜約30重量%、又は約15〜約25重量%のポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテルと、
c)結晶化促進剤として、ローション組成物の総重量の約1〜約40重量%、又は約3〜約25重量%、又は約5〜約20重量%のC14〜C22脂肪族アルコール化合物と、
を含み、ポリエチレングリコール化合物と結晶化促進剤との重量比は、3:2〜10:1である。
【0033】
化合物A、B、及びCは、本明細書において以下に更に詳述される。
【0034】
25℃で液体の化合物(化合物A)
本発明で有用なローション組成物は、以下に説明されるように、25℃で液体の1つ以上の化合物Aを含む。いくつかの実施形態では、ローション組成物は、25℃で液体の1つの化合物Aを含み得る。いくつかの実施形態では、ローション組成物は、25℃で液体の化合物の混合物を含んでもよい。
【0035】
前記化合物A又は前記化合物Aの混合物の量は、ローション組成物の総重量の約20〜約80重量%、又は約30〜70重量%、又は約40〜60重量%を占める。
【0036】
液体化合物Aは、液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、多価アルコール、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのエチレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのプロピレン単位を含む液体脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される。
【0037】
液体ポリエチレングリコール
液体ポリエチレングリコールは、25℃で液体である。これは、少なくとも3単位のエチレングリコールから作製され、一般式HO−(CH2−CH2−O)−Hを有し、式中、xは3〜15、又は8〜12の数である。ダルトンで表される分子量(重量平均)は、100〜720未満、好ましくは350〜700である。典型的な液体ポリエチレングリコールは、PEG−4、PEG−6、PEG−7、PEG−8、PEG−9、PEG−10、PEG−12、及びPEG−14として公知である。好適な商業製品は、例えば、380〜410の平均分子量を有するClariantのPolyglykol 400、又は570〜630ダルトンの平均分子量を有するPolyglykol 600である。
【0038】
液体ポリエチレングリコール誘導体
液体ポリエチレングリコール誘導体は、25℃で液体である。液体ポリエチレングリコール誘導体は、モノ−若しくはジ−エステル又はエーテル末端保護ポリエチレングリコールである。末端保護基は、メチル基、エチル基、及び/又はプロピル基であり得る。好適な液体ポリエチレングリコール誘導体には、Polyglykol M400としてClariantから入手可能であるようなポリエチレングリコールモノメチルエーテル、又はSigma−Aldrichから入手可能であるような500ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
【0039】
液体ポリプロピレングリコール
液体ポリプロピレングリコールは、25℃で液体である。これは、少なくとも3単位のプロピレングリコールから作製される。いくつかの液体ポリプロピレングリコールは、PPG−9、PPG−17、PPG−20、PEG−26及びPPG−30として知られている。
【0040】
液体ポリプロピレングリコール誘導体
液体ポリプロピレングリコール誘導体は、25℃で液体である。液体ポリプロピレングリコール誘導体は、モノ−若しくはジ−エステル又はエーテル末端保護ポリプロピレングリコールである。末端保護基は、メチル基、エチル基、プロピル基、及び/又はブチル基であり得る。好適な液体ポリプロピレングリコール誘導体には、Dow Chemicalから商品名Dowanol DPnBで入手可能なPPG−2ブチルエーテルが挙げられる。
【0041】
液体多価アルコール
液体多価アルコールは、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも2つのアルコール性ヒドロキシ基を有し25℃で液体である有機化合物である。その例は、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルプロパンジオールなどである。
【0042】
少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのエチレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル
好適な液体エチレングリコール脂肪酸エステルは、例えば、1つ以上のエチレングリコール単位の、及び1つ又は2つの脂肪酸の、エステルである。これらは、一般式R−(OCH2CH2)O−Rを有し、式中、R及びRは、例えば6〜30、又8〜22の炭素原子を有する水素又は脂肪酸残基であり、両方が水素ではないという条件で同じであっても異なっていてもよく、mは少なくとも1の数字である。いくつかの実施形態では、R及びRは異なっており、mは1、2、又は3である。典型的なエチレングリコールエステルは、例えば、ジエチレングリコールジエチルヘキサノエート/ジイソノナノエート、ジエチレングリコールジイソノナノエート、ジエチレングリコールジラウレート、ジエチレングリコールジオクタノエート/ジイソノナノエート、及びジエチレングリコールジステアレートとして公知である。エチレングリコールエステルを含有する好適な市販製品の混合物は、例えば、DERMOL MO又はDERMOL 489である。
【0043】
少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのプロピレングリコール単位を含む、液体脂肪酸エステル
好適な液体プロピレングリコール脂肪酸エステルは、例えば1つ以上のプロピレングリコール単位及び1つ又は2つの脂肪酸のエステルである。
【0044】
25℃で固体の化合物(化合物B)
本発明で有用なローション組成物は、以下に説明されるように、25℃で固体の1つ以上の化合物Bを含む。本明細書で使用される固体化合物とは、化合物が少なくとも約30℃、又は少なくとも約35℃、又は少なくとも約40℃の平均融点を有することを意味する。いくつかの実施形態では、ローション組成物は、1つの固体化合物Bを含み得る。いくつかの実施形態では、ローション組成物は、固体化合物Bの混合物を含み得る。
【0045】
前記化合物B又は前記化合物Bの混合物の量は、ローション組成物の総重量の約5〜約50重量%、又は約10〜40重量%、又は約15〜30重量%を占める。
【0046】
化合物Bは、固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリプロピレングリコール誘導体、固体アルコキシル化非イオン性界面活性剤、固体グリセロールエステル、固体ソルビタン及び誘導体、固体スクロースエステル及びその誘導体、固体グルコースエステル及びその誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択され得る。
【0047】
固体化合物Bは、好ましくは少なくとも10の親水性−親油性バランス値を有し得る。
【0048】
固体ポリエチレングリコール誘導体
固体ポリエチレングリコール誘導体は、少なくとも16単位のエチレングリコール、例えば16〜220単位のエチレングリコールから作製される。固体ポリエチレングリコール誘導体は、モノ−若しくはジ−エステル又はエーテル末端保護ポリエチレングリコールである。末端保護基は、メチル基、エチル基、及び/又はプロピル基であり得る。
【0049】
ダルトンで表される分子量(重量平均)は、720超、又は720〜100000であり得る。典型的な固体ポリエチレングリコール誘導体は、Crodaから入手可能なBrij 700及びMyrj 59として知られている。
【0050】
固体ポリプロピレングリコール誘導体
固体ポリプロピレングリコール誘導体は、何単位かのプロピレングリコールから作製される。固体ポリプロピレングリコール誘導体は、モノ−若しくはジ−エステル又はエーテル末端保護ポリエチレングリコールである。末端保護基は、メチル基、エチル基、及び/又はプロピル基であり得る。
【0051】
アルコキシル化固体非イオン性界面活性剤
好適なアルコキシル化固体非イオン性界面活性剤には、例えば固体ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテルなどの固体ポリアルキレングリコール脂肪族アルコールエーテルが挙げられる。ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテルは、一般式R(O−CH2−CH2)OHを有し、式中、Rは、例えば8〜30又は12〜22の炭素原子を有するアルキル基又はアルキル基の混合物を表す。平均エトキシル化度は、2〜200、好ましくは少なくとも10、少なくとも20、又は少なくとも30であり得る。好ましくは、ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテルは、少なくとも10、又は少なくとも12、例えば13〜17の親水性−親油性バランス値を有する非イオン性界面活性剤であり得る。好適な商業製品は、例えば、BRIJ 76、BRIJ 78、及びBRIJ 700である。その他の好適なアルコキシル化固体非イオン性界面活性剤は、例えばエトキシル化アルコール、エトキシル化脂肪酸、及びエトキシル化脂肪族エステルである。
【0052】
結晶化促進剤(化合物C)
本発明で有用なローション組成物は、以下に説明されるように、1つ以上の結晶化促進剤Cを含む。いくつかの実施形態では、ローション組成物は、1つの結晶化促進剤Cを含む。いくつかの実施形態では、ローション組成物は、結晶化促進剤Cの混合物を含む。
【0053】
前記結晶化促進剤C又は前記結晶化促進剤Cの混合物の量は、ローション組成物の総重量の約1〜約40重量%、又は約3〜30重量%、又は約5〜20重量%であり得る。前記結晶化促進剤C又は前記結晶化促進剤Cの混合物の量は、ローション組成物の総重量の約1〜約40重量%、又は約3〜30重量%、又は約5〜20重量%を占める。
【0054】
結晶化促進剤Cは、C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、固体脂肪石鹸、並びにカルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、レゾワックス、イソパラフィン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるワックス、から成る群から選択される。いくつかの実施形態では、結晶化促進剤Cは、C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、及びこれらの混合物から選択され得る。
【0055】
脂肪族化合物
脂肪族化合物は、固体脂肪族アルコール、固体脂肪酸、及び/又は固体脂肪石鹸から成る群から選択される。脂肪族化合物は、25℃で固体である。
【0056】
一実施形態では、脂肪族化合物は、C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、固体脂肪石鹸、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0057】
好ましい脂肪族化合物は、飽和の直鎖脂肪族化合物である。固体脂肪酸の例は、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸又はベヘン酸である。
【0058】
好ましい固体脂肪族アルコールは、少なくとも14の炭素原子を有する直鎖の不飽和1−アルカノールである。固体脂肪族アルコールの例は、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール又はベヘニルアルコールである。
【0059】
固体脂肪石鹸は、金属石鹸であって、脂肪酸の金属塩である。脂肪石鹸の脂肪酸成分は、上記と同じものである。好適な金属カチオンは、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ジルコニウム、セリウム、亜鉛、コバルト、又はバナジウムである。カルシウム塩又はマグネシウム塩、例えばステアリン酸カルシウムなどの、低水溶性の金属石鹸が好ましい。
【0060】
ワックス
ワックスは、カルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、レゾワックス、イソパラフィン、並びにその他の既知の採掘された蝋(mined wax)及びミネラルワックス、から成る群から選択される。
【0061】
驚いたことに、本明細書に開示されるローション組成物は、加工性及び固着防止の点で優れた性能を発揮することがわかった。実際に、上記に開示される1つ以上の化合物Aと上記に開示される1つ以上の化合物Bとの特定の組み合わせ、及び上記に開示される1つ以上の結晶化促進剤Cとの特定の組み合わせが、化合物Aと結晶化促進剤Cとの重量比が3:2〜10:1であることを前提として、高速(1分間当たり400超の吸収性物品)であっても容易に加工可能であり得、皮膚への糞便又は経血の付着を効果的に低減することができる(固着防止性能)ローション組成物をもたらすことが意外にもわかった。それらの条件を満たさないローション組成物は、望ましい固着防止性能を呈さず、及び/又は吸収性物品の製造方法での使用に適切であるとみなされるほどは十分に速く固化しないことがわかった。
【0062】
ローション組成物は、高速で容易に加工可能であるとみなされ、基材上に溶融状態で堆積された後、急速に固化して、吸収性物品又は拭き取り用品の製造方法の後続工程において基材を迅速に処理することができる。試験方法の部分に開示されている示差走査熱量測定法に従ってローション組成物の結晶化開始温度を測定することは、実施中のローション組成物の性質、即ち基材に適用された後どれほど速く結晶化して、高速方法における使用に対するローション組成物の適合性をよく表示するかを理想的に表すことがわかった。本発明によるローション組成物は、高速でのローション組成物の容易な加工可能性を表す結晶化開始温度を呈する。
【0063】
上述したように、本明細書に開示されるローション組成物は、望ましい固着防止性能を呈する。通常、ローション組成物が効率的であるほど、透明フィルム上の残留ABMの割合が小さい。試験方法の部分で説明される方法により測定して10%未満の平均的残留ABMは、特に優れた固着防止性能を表わしている。
【0064】
その固着防止性のため、本明細書に開示されるローション組成物は、糞便又は経血がヒトの皮膚に付着するのを低減するための方法において適切に使用され得る。したがって、ヒトの皮膚への糞便又は経血の付着は、上述のローション組成物を調製し、有効量のローション組成物を、着用者により着用される吸収性物品の製造に使用される、又は吸収性物品として使用される、又は吸収性物品内に使用される基材の身体に面する表面に適用し、着用者の皮膚をその吸収性物品に接触させることにより低減することができる。通常の接触、着用者の動き、及び/又は体温により、ローション組成物は皮膚に移り、糞便又は経血の付着を制限する。
【0065】
加えて、更なる効果として、開示される基材湿潤性能を、本発明で有用なローションが疎水性及び親水性基材上で呈することもわかった。実に、ローション組成物は、適用した際に疎水性又は親水性基材上で望ましく湿潤/広がり、したがって、更なる加工中に基材から離れ落ちたり擦れ落ちたりする可能性が少ない。
【0066】
更に、本発明で有用なローション組成物は、その好ましい親水性の性質のため基材に望ましい湿潤性をもたらすことが述べられるべきである。特に、基材がおむつなどの吸収性物品に使用されるときに、基材の湿潤性を確実にすることが重要であり、トップシートとして、又はトップシートに使用される基材に堆積されたローション組成物は、液体(例えば、尿)が迅速にトップシートを通って移動するのを確実にするために十分に湿潤性であり得る。これにより、排泄物が吸収性コアに吸収されるというよりもローションのコーティングから流れ去る可能性が低減する。
【0067】
任意成分
粒子材料
いくつかの実施形態では、ローション組成物は、皮膚への糞便又は経血の付着を更に軽減するために、少なくとも1つの微粒子物質を更に含む。本明細書で使用するとき、用語「微粒子物質」とは、室温及び方法条件、例えば50℃超、又は60℃超、又は80℃超、又は100℃超においてローション組成物内にて不溶性で非分子分散性のローション組成物の構成成分を指す。したがって、微粒子物質は、ローション組成物の加工温度を超える融解温度を有し、それゆえに、上記に開示される基材に適用される間、微粒子のままである。微粒子物質は、皮膚と接触しているとき、及び/又は尿、経血若しくは糞便と接触しているとき、微粒子のままであり得る。したがって、微粒子物質は、非水溶性であり得る。
【0068】
微粒子物質は、1ナノメートル〜2mm、好ましくは1ナノメートル〜500マイクロメートル、更に好ましくは0.1マイクロメートル〜2mm、更に、なお好ましくは50ナノメートル〜1マイクロメートル、又は本明細書に記載されたいずれかの範囲、若しくはいずれかの範囲内の個々の値のうちいずれかの平均粒径を有していてもよい。好ましくは、最小平均粒径は、少なくとも0.1マイクロメートル又は好ましくは少なくとも1マイクロメートル、又は好ましくは少なくとも10マイクロメートル、又は更に好ましくは少なくとも20マイクロメートル、好ましくは最大約500マイクロメートル、又は一部の実施形態では最大約100マイクロメートル、更にその他の実施形態では、最大約30マイクロメートルである。一実施形態において、適用されるローション組成物及び/又は適用されたコーティングは、粒子の25%未満が100マイクロメートルより大きい等価直径を有する粒子を含み得ることが好ましい場合がある。いくつかの実施形態では、適用されるローション組成物及び/又は適用されたコーティングが、粒子の25%未満が5マイクロメートル未満の等価直径を有する粒子を含むことが好ましいことがある。更に別の実施形態において、適用されるローション組成物及び/又は適用されたコーティングは、粒子の25%未満が100マイクロメートル未満の等価直径を有する粒子を含み得ることが好ましいことがある。
【0069】
微粒子物質は、(ローション組成物の重量を基準として)0.05重量%〜25重量%、好ましくは0.05重量%〜15重量%、更に好ましくは0.05重量%〜5重量%、0.1重量%〜25重量%、又は更に好ましくは0.25重量%〜20重量%の濃度であるが、典型的には、0.5重量%〜10重量%、又は更には最大5重量%の濃度でローション組成物に存在してよい。
【0070】
適切には、微粒子物質は、約0.5グラム/cm〜約2.5グラム/cmの粒子密度を有し得る。好ましくは、密度は、約0.5グラム/cm〜約2.0グラム/cm、更に好ましくは0.8グラム/cm〜約1.5グラム/cmである。一実施形態において、この密度は、粒子沈殿を最少化するために、好ましくは約1グラム/cm未満であり得、この密度は、粒子物質を最少化するために約0.8グラム/cmより大きい。
【0071】
一実施形態において、ローション組成物は、ケイ酸アルミナ、ケイ酸塩、シリカ、雲母、及び/又はタルクなどの、無機微粒子物質を含んでもよい。また、粘土を使用してもよい。しかしながら、本発明において、微粒子物質は有機材料であることが好ましい場合がある。好ましくは、微粒子物質は、非活性及び/又は非反応性の物質である。微粒子物質の粒子は、多孔質であっても無孔質であってもよい。粒子はどの形状を有してもよいが、好ましくは平滑面を有し、球状又は板状の粒子であるのが好ましい場合がある。粒子は、例えば、親水性などの特性を変更するために、例えば、界面活性剤などの、表面上又はその一部にコーティング剤を含んでもよい。特に、粒子は、オレフィンである場合には、当該粒子の製造中に添加される溶融添加剤を包含していてもよい。
【0072】
好適な微粒子物質には、ポリスチレン粒子、ポリプロピレン及び/又はポリエチレン(コ)ポリマー粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子、ポリメチルシルセスキオキサン粒子、ナイロン粒子が挙げられるが、これらに限定されない。好適な市販の微粒子物質としては、Honeywell International(Morristown,NJ)から商標名ACUMISTとして入手可能であるポリエチレン粒子、KOBO(South Plainfield,NJ)からBPAとして入手可能なポリメチルメタクリレート粒子(微小球)、KOBOからBPDとして入手可能なラクトンクロスポリマー粒子(微小球)、KOBOからNYLON SPとして入手可能なナイロン12粒子(微小球)、KOBOからTOSPEARLとして入手可能なポリメチルシルセスキオキサン粒子(微小球)、KOBOからCELLO−BEADSとして入手可能なセルロース粒子(微小球)、Micro Powders,Inc.(Tarrytown,NY)からMICROSLIPとして入手可能なポリテトラフルオロエチレン粉末、Micro PowdersからMICROCAREとして入手可能な天然ろうと微紛化ポリマーとのブレンド、及びExpancel,Inc.(Duluth,GA)からEXPANCELとして入手可能な塩化ビニリデンと、アクリロニトリルと、メチルメタクリレートとのコポリマーの粒子、が挙げられるが、これらに限定されない。また、MICROEASEとしてMicro Powdersから入手可能な微紛化ワックスを組み込んでもよい。好ましいのは、Equistar Chemical Corp.(Houston,TX)からMICROTHENEとして入手可能なポリオレフィン粒子(粉末)である。特に好ましいのは、EquistarからのMICROTHENE FN510−00である。
【0073】
着用者への利益を高める任意成分
着用者への利益をより高めるために、追加の成分を、本発明に有用なローション組成物に含めることができる。例えば、使用することができる成分の部類及びそれらに対応する利益には、消泡剤(加工中に発泡する傾向を低減する)、抗菌活性物質、抗真菌活性物質、防腐活性物質、酸化防止剤(製品統合性)、収れん剤−化粧品(引き締める感覚又はヒリヒリする感触を皮膚に引き起こす)、収れん剤−薬物(皮膚又は粘膜に適用されたときに、滲出、分泌、又は出血を確認し、凝固タンパク質により作用する薬品)、生物学的添加物(製品の性能又は消費者アピールを高める)、着色剤(製品に色を付ける)、消臭剤(いやな臭いを低減又は除去し、身体表面に悪臭が生じるのを防ぐ)、外用鎮痛薬(皮膚の感覚受容器を弱めることにより局所的鎮痛効果、麻酔効果、又は鎮痒効果を有する局所適用薬物)、芳香剤(消費者アピール)、保湿剤(皮膚の上層の含水量を増大させる)、天然保湿剤(NMF)及び当該分野において既知のその他の皮膚保湿成分、乳白剤(製品の透明さ又は透き通って見える外観を低減させる)、及び皮膚コンディショニング剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明のローション組成物を含む吸収性物品
本発明のローション組成物は、吸収性物品に含まれる、又はそれを形成する、又はその製造に使用される基材に適用することができる。通常、ローション組成物は、基材の、身体に面する表面に適用される。
【0075】
おむつ
以下に、吸収性物品の一実施形態として、おむつについて記載する。しかしながら、当業者には周知のように、本明細書で以下に記載するほとんどの構成要素及び材料は、トレーニングパンツ又は成人用失禁製品など他の失禁用製品に対しても応用可能である。
【0076】
おむつには、長手方向軸及び横断方向軸がある。おむつは更に、身体に面する内側表面、及び内側表面の反対側の衣類に面する外側表面を有する。
【0077】
おむつの一方の端部は前側腰部領域(物品の前側3分の1であり、物品の長さの3分の1を有する)として構成され得る。反対側の端部は、おむつの後側腰部領域(後側3分の1)として構成され得、物品の長さの3分の1を有する。おむつの中間部分は股領域(中央3分の1)として構成され得、これは、前側腰部領域と後側腰部領域との間で長手方向でに延在し、これも物品の長さの3分の1を有する。股領域は、おむつを着用した際に、一般に着用者の脚の間に位置するおむつの部分である。
【0078】
おむつのシャーシは、おむつの本体を構成する。シャーシは通常、トップシートを含み、これは液体透過性であり得、本発明の目的のために、本明細書に記述されるローション組成物を含む基材を含むか、又はそのような基材で製造され得る。シャーシは通常、バックシートも含む。シャーシは、トップシートとバックシートとの間に入れられた吸収性コアを更に含む。前記バックシートは、当該技術分野において知られているような、通常は液体不透過性バックシートであってもよい。一実施形態では、液体不透過性のバックシートは、約0.01mm〜約0.05mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムを含む。好適なバックシート材料は通常、吸収性物品から蒸気を逃がすものの、排泄物がバックシートを通過することを防止する、通気性の材料を含み得る。好適なバックシートフィルムとして、Terre Haute,INのTredegar Industries Inc.より製造され、商品名X15306、X10962、及びX10964で販売されているものが挙げられる。バックシート又はそのいずれかの部分は、一方向以上に弾性的に延伸性であってもよい。上述の吸収性コアは、一般に圧縮性であって、快適で、着用者の皮膚に対して非刺激性であり、尿などの液体及び他の排泄物を吸収して保持できる、任意の吸収性材料をも含んでもよい。
【0079】
吸収性コアは、多種多様の大きさ及び形状(例えば、方形、砂時計形、「T」字形状、非対称形など)で、エアフェルトと呼ばれることがある粉砕木材パルプなど、使い捨ておむつ及び他の吸収性物品に広く使用されている多種多様の液体吸収性材料から製造することができる。他の好適な吸収性材料の例としては、縮みセルロース詰め物、コフォームを包含するメルトブローンポリマー、架橋されたセルロースファイバー、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、超吸収性ポリマー、吸収性ゲル材料、又はあらゆる同等の材料若しくは材料の組み合わせが挙げられる。吸収性コアの構成及び構造も多様であり得、例えば、吸収性コアは、様々なキャリパーゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、若しくはより低い平均密度及びより低い平均坪量の獲得領域を有していてもよく、又は1つ以上の層又は構造を含んでもよい。吸収性コアの全体的な吸収能力は、しかしながら、おむつの設計負荷及び意図される用途に適合しなければならない。更に、乳児から成人にまで及ぶ着用者に対応するように、吸収性コアの寸法及び吸収能力を変更してもよい。
【0080】
おむつは、レッグカフ及び/又はバリアカフを有してもよく、これらは、本発明の目的のために、本明細書に記載のローション組成物を含む基材を含んでもよく、又はその基材から製造されてもよい。典型的に、おむつは対向する一対の(伸縮性)レッグカフ(いわゆるサイドパネルなど)、及び/又は対向する一対の(伸縮性)バリアカフを有し得、これらによって液体及び他の排泄物の封入性が改善される。一対のレッグカフは、物品のY軸(長手方向軸)において互いの鏡像であってもよい。好適なカフは、例えば、米国特許第3,860,003号、同第4,808,178号、同第4,909,803号、同第4,695,278号及び同第4,795,454号に記載されている。
【0081】
更に、おむつは、当該技術分野において既知のように、典型的にはウェストバンドに接合される、前側及び後側のウェストバンド及び/又は締着装置を含んでいてもよい。締結装置は、締結タブが、おむつの後側区域に取り付けられ又は接合され、ランディング領域が、おむつの前側区域の一部分である、締結タブ及びランディング領域を含み得る。
【0082】
使い捨て吸収性物品を構築及び構成するための、おむつを組み立てる方法は、当該技術分野において既知の従来の技術を含む。例えば、バックシート及び/又はトップシートは、接着剤の均一な連続層、接着剤の模様付き層、又は接着剤の別個の線、螺旋、若しくは点の配列により、吸収性コアに結合させるか、又は互いに結合させることができる。満足のいくものであることが判明した接着剤は、H.B.Fuller Company(St.Paul,Minnesota)により、HL−1258又はH−2031の名称で製造されている。
【0083】
女性用衛生製品
下記では、女性用衛生製品(例えば生理用ナプキン又はパンティライナー)について記述する。女性用衛生製品は、本発明の目的のため、本発明のローション組成物を含む前記基材を含むか又はこの基材から製造され得るトップシートと、バックシートと、そのトップシートとバックシートとの間に配置される吸収性コアと、を含み得、各構成要素は、身体に面する表面及び衣類に面する表面を有する。トップシートは、本明細書に記載される本発明のローション組成物を含む基材で製造され得る。バックシートは任意の既知の又は他の有効なバックシート材料であることができ、バックシートは女性用衛生物品に吸収され、収容された排泄物が外部に漏れるのを防止する。バックシートとしての使用に好適な可撓性材料としては、生理用ナプキン、パンティライナー等のような女性用衛生物品を作製する分野で周知のような、織布材料及び不織布材料、積層組織、ポリエチレン及び/若しくはポリプロピレンの熱可塑性フィルムのような高分子フィルム、フィルムコーティングされている不織布材料のような複合材又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
女性用衛生製品は、吸収性コアを含み得る。吸収性コアは典型的には、トップシートとバックシートとの間に配置される。吸収性コアの寸法及び形状は、吸収能力要件に適合するように、並びに、着用者/ユーザーに快適性を提供するように変更することができる。本発明に用いるのに好適な吸収性コアは、液体吸収性材料が吸収能力要件を満たすように構成又は構築されることができるという条件で、吸収性物品に用いられる、当該技術分野において既知の任意の液体吸収性材料であることができる。吸収性コアとして使用するのに好適な液体吸収性材料の非限定的な例としては、生理用ナプキン、パンティライナー等のような女性用衛生物品を製造する分野で周知である、一般的にエアフェルトと称される粉砕木材パルプ、捲縮セルロース塊、ヒドロゲル形成ポリマーゲル化剤のような超吸収性ポリマーを含む吸収性ゲル化材料、化学的に硬化、変性又は架橋されたセルロース繊維、コフォームを含むメルトブローンポリマー、捲縮ポリエステル繊維を含む合成繊維、ティッシュラップ及びティッシュラミネートを含むティッシュ、毛管路繊維、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、合成ステープルファイバー、ピートモス、若しくはいずれかの同等の材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0085】
女性用衛生製品はウィングを含んでもよく、これが着用者の下着への取り付けを可能にし得る。ウィングは、本明細書に開示されるローション組成物を含む基材で製造されてもよく、又はその基材を含んでもよい。本明細書において、生理用ナプキン及び/又はパンティライナーは、バックシート及び/又はウィングに含まれる締着手段を含んでもよい。少なくともバックシートにある、又はバックシートに取り付けられる接着取り付け手段であることが好ましい。
【0086】
本発明のローション組成物を含む拭き取り用品
以下では拭き取り用品について記述する。拭き取り用品は、上記で本明細書に記載されるローション組成物を含む不織布基材で製造され得る。例えば、ローション組成物は、Suominen(Tampere,Finland)から入手可能な、40%のビスコース繊維と60%のポリプロピレン繊維とのブレンドを含む58グラム/mの不織布であるFibrella 3160などの基材と接触し得る。
【0087】
特定の用途に制限されるものではないが、基材が、拭き取り用品(例えばウェットタオル)の製造に使用される場合は、身体、特に排便後の肛門周辺領域、並びに/又は乳児、幼児及び大人の排尿後の外性器領域の清浄を目的とし得る。拭き取り用品の形態の場合、この基材の用途の他の例としては、女性用衛生拭き取り用品が挙げられる。
【0088】
本開示は、吸収性物品の組み合わせ、例えば本明細書に記載されるもの(例えば、本明細書に開示のローション組成物を含む基材を含むトップシートを含むおむつ)と本発明のローション組成物を含む拭き取り用品との組み合わせも包含する。
【0089】
この組み合わせ品には、組み合わせ使用又は組み合わせ販売が含まれる。本明細書に記載のローション組成物を含む基材を含む吸収性物品は、1つ以上の拭き取り用品とパッケージ化されることができる。一実施形態において、1つ以上の拭き取り用品を第1パッケージ内に梱包することができ、1つ以上の吸収性物品を第2パッケージ内に梱包することができる。この第1及び第2パッケージは、一緒に梱包することができ、又は任意の方法で集合体内にこれらを保持することができる。別の一実施形態において、1つの吸収性物品と1つ以上の拭き取り用品とを1つの個別パッケージとして梱包することができ、これは、1つの吸収性物品と1つ又はそれ以上の拭き取り用品のみを持ち運ぶことが望ましい旅行中のユーザーにとって特に便利である。吸収性物品及び拭き取り用品は、一緒に市販することもでき、例えば一緒に販売及び/又は使用されるよう設計及び/又は広告することができる。
【0090】
本発明のローション組成物を基材に適用するための方法
本明細書に開示されるローション組成物は、ローション組成物を基材上に分配するための既知の又は他の有効な技術により基材に適用することができる。ローション組成物は、その溶融物から、吸収性物品の、トップシート及び/又はレッグカフ及び/又はバリアカフ及び/又はウィング及び/又はサイドフラップに含まれる、又はそれらを形成する基材に、あるいは拭き取り用品として、又は拭き取り用品に使用される基材に、適用することができる。これはパッド様アプリケータのパッド部分に適用されてもよい。
【0091】
ローション組成物は、周囲温度よりも高い温度で融解するので、通常は加熱ローション組成物として基材に適用され得る。典型的には、ローション組成物は、基材に適用される前に、約40℃〜約100℃、又は50℃、又は60℃、又は更に90℃から、約100℃の範囲の温度まで加熱される。次いで、ローション組成物が、トップシート及び/又はレッグカフ及び/又はバリアカフ及び/又はウィング及び/又はサイドフラップに含まれる、又はそれらを形成する基材に、あるいは拭き取り用品として又は拭き取り用品に使用される基材に適用されると、急速に冷却及び固化させて、固化されたコーティングを基材の表面上に形成することができる。ローション組成物の再固化は、チルロールなどの外部冷却手段の必要なしに、ほぼ瞬時に起こり得る。しかしながら、再固化を更に加速させることが望まれる場合は、チルロールなどの外部手段を溶融物の適用の前又は後に使用することができる。ローション組成物を基材に適用する方法の非限定例としては、噴霧、印刷(例えばフレキソ印刷)、コーティング(例えば接触スロットコーティング及びグラビアコーティング)、押出成形、又はこれらの適用技術の組み合わせが挙げられる。ローション組成物は、吸収性物品のトップシート及び/又はレッグカフ及び/又はバリアカフ及び/又はウィング及び/又はサイドフラップに含まれるか、又はこれらを形成するか、又はこれらの製造に使用される基材に、直接適用することができ、あるいは、別の材料又は構成要素に適用してから、それを吸収性物品の望ましい部分に接着させることができる(例えばカレンダーロールなど)。
【0092】
ローション組成物を、基材の身体に面する表面に、均一に又は不均一に適用することができる。本明細書で使用するとき、基材の身体に面する表面とは、使用中に着用者の皮膚と接触している基材の外側表面(単数又は複数)を意味する。不均一とは、本明細書では、ローション組成物の量及び/又は分配パターンが基材全体にわたって変化していることを意味し、例えば、本明細書の基材の処理された表面の1つ以上の部分が、ローション組成物を含まない表面の部分など、その他の1つ以上の部分より多い量のローション組成物を有することができる(例えば、ある部分は他の部分よりも高い、例えば少なくとも10%又は少なくとも20%高い、坪量のローション組成物を含む)実施形態が挙げられる。そのような部分は、例えば下に定義されるような任意の寸法を有し得る。一実施形態では、ローション組成物は、糞便又は経血などの排泄物の付着を制限するので、例えば、トップシート又はカフに含まれるか、トップシート又はカフを形成するか、又はトップシート又はカフの製造に使用される基材のこれらの部分において含まれていてよく、これらの部分は着用者の皮膚領域に隣接し、この皮膚は通常、糞便及び経血で汚染されている。よって、ローション組成物は、例えば、使用中に着用者の臀部及び/又は陰部溝全長に隣接する部分(好ましくは更に生殖器の領域)に含まれ得る。適用されるローション組成物の量は、物品の後側3分の1(即ち、後側腰部区域におけるシャーシ外側縁部から始まる、吸収性物品の長手方向の延びの3分の1)、物品の中央3分の1、物品の前側3分の1において、同じであり得る。あるいは、適用されるローション組成物の量は、吸収性物品の後側3分の1、中央3分の1、及び前側3分の1にて異なっていてもよい。
【0093】
ローション組成物が不均一に適用される場所では、断続的、即ち不連続的に適用され得る。本明細書において上述のように、ローション組成物を含む部分のパターンなどの任意のパターンを利用してもよく、これには例えば、小さな液滴のパターン(又はその形状を有する部分のパターン)(例えば噴霧によって得られる)、任意の形状又は大きさの個別の図形、例えば円形、楕円形、長方形、三角形、星形、ハート形、又は動物の形(例えばグラビア印刷によって得られる)、物品の長手方向又は横方向に配置される交互の縞などが挙げられる。また、基材は異なる形状及び/又は異なる大きさの図形を含むことができる。交互の縞とは、ローション組成物が縞状に適用された部分が、ローション組成物が適用されていない部分により分離されていることを意味する。
【0094】
この部分、縞及び/又はその他の個別の図形及び/又は液滴は、0.1mm〜約50mm、0.1〜約30mm、0.5mm〜約50mm、約0.5mm〜約40mm、2mm〜約40mm、2mm〜約20mm、2mm〜約15mm、又は5mm〜約20mmの幅を有し得る。ローション組成物が適用されていない縞の間の空隙部分は、0.1mm〜約100mm、約0.1mm〜約50mm、0.1〜約30mm、0.5mm〜約50mm、約0.5mm〜約40mm、2mm〜約40mm、2mm〜約20mm、2mm〜約15mm、又は5mm〜約20mmの幅を有し得る。縞及び/又は個別の図形及び/又は液滴の形での部分は、少なくとも0.5mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも5mmの長さを有し得る。一実施形態において、ローション組成物を含む部分が、縞の形状であるとき、この縞は基材の一方の縁部から反対側の縁部まで延在し得る。この縞は、基材の後側腰部領域に、臀部及び/又は陰部溝全長の大半をも覆うように延在し得る。ローション組成物が図形の形状で適用される場合、図形の密度及び/若しくは図形の大きさ、並びに/又はその図形に含まれるローション組成物の坪量は、典型的に皮膚に対して広がる糞便の影響がある領域に接する部分(例えば、吸収性物品の中央3分の1及び後側3分の1)において、例えば10%、又は20%高くなり得る。
【0095】
ローション組成物を基材に適用して、有効量を皮膚に移動させる、即ち望まれるローション組成物の利益を付与することができる。例えば、ローション組成物を基材、例えば、吸収性物品のトップシートなど、吸収性物品の製造に、又は吸収性物品として、又は吸収性物品に使用される基材の身体に面する表面に、約0.0015mg/cm(0.01mg/in)〜約100.5mg/cm(100mg/in)、又は約0.003mg/cm(0.02mg/in)〜約12.4mg/cm(80mg/in)、又は約0.02mg/cm(0.15mg/in)〜約7.75mg/cm(50mg/in)の範囲の量で適用することができる。
【実施例】
【0096】
以下の溶融した(即ち液体の)構成成分を共に混合することによって、以下のローション組成物を調製した(表1)。
【0097】
それらの固着防止の性質は、以下に説明される人工便ローションを用いて以下に説明される固着防止試験法に従って調査された。結果を表1に要約する。ローション組成物の効果が高いほど、透明フィルム上の残留ABMの割合が低くなる。10%未満の平均残留ABMは、特に優れた固着防止性能を例証する。
【0098】
以下のローション組成物の結晶化開始温度を、以下に説明する示差走査熱量測定法に従って測定した。ローション組成物を、ポリプロピレンで作製された基材に適用した。結果を表1に要約する。
【0099】
【表1】

本開示によるものではないローション組成物
Sasol North America(Houston,TX)により供給; Croda Inc.(Edison,NJ)により供給; Procter & Gamble(Cincinnati,OH)により供給; Procter & Gamble(Cincinnati,OH)により供給。
【0100】
試験方法
固着防止法(固着防止性能)
この方法は、透明フィルム上にローション処理を適用した後に透明フィルム上に残った残留人工糊様便(「ABM])の割合を定量化することにより、基材への汚れ又は排泄物の付着を評価するのに使用することができる。ABMは、実際の幼児のBMと同様に、凝集せず、ABMの一部は透明フィルム上に残りABMの一部は除去されるという結果が生じる。ローション組成物の効果が高いほど、透明フィルム上の残留ABMの割合が低くなる。
【0101】
使用される透明フィルムは、Corporate Express(Broomfield,CO)により供給される部品番号CEB00559のTransparency Film For Copiersである。透明フィルムのシートを、テーブル又は作業台などの平らな水平表面上に置き、接着テープを用いてそのフィルムを上部及び底部でその水平表面に固定する。
【0102】
テンプレート及び先の細いマーカーを使用して、個々の透明フィルムシート上に12個までの3cm×3cmの部位、即ちフィルム1シートあたり最高12個の部位を印付ける。試験される各ローション組成物に関して、3つの透明フィルム部位をローション組成物で処理する。3つの部位はまた、固着防止処理を受けず、即ち陰性対照としての役割を果す。固着防止処理を受けていない部位など、様々な処理の位置は、透明フィルム上の部位の中で無作為に選択されてよい。処理される各部位について、既定量の、200〜400μg/cmのローション組成物が、West Chester PAのVWR Scientificから入手可能であるようなカタログ番56613−413号の粉末のついていない指サックを使用して、部位の中央に適用される。適用したローション組成物は次に、粉末のついていない指サックを使用して、指サックを剤又はローション組成物の上部に置き、10秒の合計経過時間の間、数回の左右及び上下動作を使用して皮膚表面全体にわたって指サックを軽く擦ることにより、部位全体にわたって(その境界はテンプレートを使用して作製される印により画定される)広げられる。斜角から部位を調べるとき、試験官は、部位の区域全体にわたって均一な被膜が形成されていることを確実にする必要がある。被膜は、その後の工程に進む前に、空気に曝されたまま、触られずにおよそ1分間放置される。
【0103】
室温のABMを充填され及び気泡がない1mLの注射器、例えばペンシルベニア州ウェストチェスター(West Chester)のVWRサイエンティフィック(VWR Scientific)から入手可能であるようなカタログ番号BD−309628は、風袋秤量4桁化学天秤(tared four-place analytical balance)上に設置される。重量が記録される。ABMの入った注射器を、透明フィルム上の試験部位の中央の上方に、透明フィルムの表面からおよそ2mmのところに保持し、プランジャを押すことにより及び注射器上で少しずつ移行していくのを観察することにより、およそ0.2mLのABMを透明フィルム上に分注する。ABMは、均一である凝縮された盛り上がりを試験部位の中央に形成するはずである。注射器は、化学天秤上で再秤量され、及び重量が記録される。透明フィルムに送達されたABMの量を、第1から第2の重量を引くことにより計算する。
【0104】
VWR Scientific(West Chester,PA)から入手可能であるようなカタログ番号12578−201の、4cm×4cmの秤量紙片が、4桁化学天秤上で風袋を秤量され、透明フィルムの試験部位上のABMの盛り上がりの上方に中心を定め、鉗子を使用してABM上に静かに降ろす。秤量紙は指先で触ってはならないが、これは油をその表面上に移す場合があるためである。次に、およそ0.5psiの下向きの力を及ぼす500gのボトル形状のおもり、例えば、VWR Scientific(West Chester,PA)から入手可能なカタログ番号12766−518を秤量紙の上に、秤量紙の下のABMの盛り上がりがおもりの下のおよそ中心にくるように設置する。30秒が経過した後、500gのおもりをゆっくりと上げる。1つの鉗子を使用して、秤量紙が試験部位からゆっくりとかつ静かに剥がす。鉗子が秤量紙の下側右隅に設置され、及び秤量紙は秤量紙の上側左隅方向に向かって、上向きにゆっくりと剥がす。秤量紙を除去するのには、およそ1〜2秒必要である。一旦除去されたら、秤量紙は、その風袋が秤量された化学天秤上に戻され、そして除去されたABMの量を決定するために重量が記録される。
【0105】
上記の工程、即ち、ローション組成物の適用、ABMの適用、秤量紙の適用、おもりの適用、及び秤量紙の除去から成る工程は、透明フィルムの全部位が試験されるまで繰り返される。未処理の対照について、薬剤又はローション組成物の適用は省かれ、ABMはに直接、透明フィルムに適用される。処理後の透明フィルム上に残った残留ABMの重量パーセント(%)は、等式((適用されたABM−除去されたABM)/適用されたABM)×100に従って重量測定値から計算される。
【0106】
残留ABMの平均値及びその平均の標準誤差が、各ローション組成物に関して計算される。方法が正しく実行されるとき、処理のない対照は、典型的に、およそ30%〜50%の残留ABMをもたらす。再現可能な結果を確実にするために、固着防止スクリーニング法(Anti-Stick Screening Method)は、21℃±2℃の室温、及び30〜50%の相対湿度で実行されるべきである。
【0107】
人工糊様便(Artificial Pasty Bowel Movement)(ABM)の調製
次の機器が必要とされる:
−±0.001gまでの精度の化学天秤
−成分を均質になるまで攪拌することができるホモジナイザー、例えばIka−Werke GmbH and Co.KGから入手可能な、Ika Labortechnik(商標)T25ベーシック又は等価物。
−ホモジナイザーと共に使用されるべきホモジナイザープローブ、例えばドイツ、Staufenのka−Werke GmbH and Co.KGから入手可能であるようなカタログ番号S25N 25F。
【0108】
次の試薬が必要とされる:
−Feclone(商標)粉末#4、SiliClone Studio(Valley Forge,PA)からカタログ番号BFPS−4として入手可能。
−Feclone(商標)粉末#6、SiliClone Studio(Valley Forge,PA)からカタログ番号BFPS−6として入手可能。
−Feclone(商標)粉末#7、SiliClone Studio(Valley Forge,PA)からカタログ番号BFPS−7として入手可能。
−Carbopol(商標)981、Noveon(Cleaveland,OH)から入手可能。
−脱イオン水
【0109】
上記の試薬の次の量が必要とされる:
【表2】

【0110】
ABMを調製するための手順は次の工程からなる:
A.Carbopol(商標)溶液の調製
1.78.78g±0.01gの脱イオン水を250mLのビーカーに秤量する。
2.0.900g±0.001gのCarbopol(商標)を秤量紙上に秤量する。
3.ビーカーを磁性攪拌器上に載せ、速度を400rpmに設定する。
4.Carbopol(商標)粉末を約5分間にわたってゆっくりと水に加える。Carbopol(商標)を加えながら、攪拌速度を600rpmまでゆっくりと上げる。
5.Carbopol(商標)粉末が水に加えられたら、ビーカーを覆い、混合を600rpmにて15分間継続させる。Carbopol(商標)粉末は、完全に分散されなければならない、即ち塊のない透明なゲルでなければならない。
6.ホットプレートを150℃に設定する。Carbopol(商標)溶液をホットプレート上に載せ、溶液が81℃〜83℃に加熱されるまで、600rpmにて混合を継続させる。
【0111】
B.ABM混合物の調製
1.それぞれが6.600g±0.01gのFeclone#4、#6、及び#7粉末をビーカーに秤量し、よく混ぜる。
2.ホモジナイザープローブを有するT25ベーシック又は等価のホモジナイザーを使用して、Carbopol(商標)溶液を8000rpmにて約30秒間、工程3に進む前に攪拌する。
3.攪拌されているCarbopol(商標)溶液に、1回に総量の約4分の1のFeclone(商標)粉末混合物をゆっくりと加える。Feclone(商標)粉末混合物が、添加中にホモジナイザープローブに引き込まれること、即ち形成しているペースト状ローション組成物に完全に混和することを確実にする。必要であるなら、スパチュラを使用してFeclone(商標)粉末混合物をローション組成物に組み込むのを円滑にする。
4.Feclone(商標)粉末混合物の全てが加えられた後、スパチュラを使用してペースト状のローション組成物をホモジナイザーのプローブに向けて押し、ホモジナイザーで8000rpmにて更に5分間混合を継続させる。ローション組成物は完全に混合されて均質に見える必要がある。
【0112】
完成されたABMは、West Chester,PAのVWR Scientificから入手可能であるようなカタログ番号14233−954のような容器の中に設置されてもよく、及び30日間まで冷蔵庫の中で保管されてもよい。30日後には、新しいサンプルが更なる実験ために調製される必要がある。容器は、ABMからの乾燥を避けるために、しっかりと封止されなければならない。固着防止スクリーニング方法においてABMを使用する前に、ABMは冷蔵庫から取り出され及び調整されて室温まで戻されなければならない。これを達成する簡単なやり方は、10mLの注射器、例えばWest Chester,PAのVWR Scientificから入手可能であるようなカタログ番号BD301604を冷たいABMで充填し、次いで注射器をカウンター台の上で室温に平衡化させることである。平衡化は典型的には、約15分間かかる。次いで、10mLの注射器を使用して、固着防止法で説明された1mLの注射器を充填することができる。
【0113】
示差走査熱量測定法による結晶化の開始
ローションの結晶化開始温度は、示差走査熱量測定器(DSC):冷蔵冷却付属装置及びオートサンプラー(窒素パージを伴う)が取り付けられたTA Instruments Q2000(TA Instruments,New Castle,Delaware)を使用して測定される。DSCパン及びそれに適合する蓋を予め秤量し、重量を0.1mg単位で記録する。DSCパンの直径よりわずかに小さいダイを使用して、2〜4層の物品のトップシートから成るサンプルを、ローションを含む領域から型に切り取る。サンプルの重量は2.0±0.5mgで少なくとも0.5mgのローションを含んでいるべきである。予め秤量されたDSCパンにサンプルを入れ、重量を±0.1mgまで記録する。圧着プレス(TA Instruments,Wilmington,DE)を使用し、蓋をDSCパンに慎重に圧着させて、確実に密閉しパンの外側の汚染物質がないようにする。同様に、参照パンとして使用するために、サンプルが入っていない、蓋付きの空のパンを準備する。両方のパンを機器のオートサンプラーに、サンプルはサンプルスロットに、参照物は参照スロットに、入れる。
【0114】
DSCが20℃/分にて80℃(又は、ローションの溶融温度より少なくとも20℃高い温度)まで上昇するようにプログラムし、次いでその温度で15分間等温に保ち、次いで20℃/分にて25℃まで戻す。運転を開始し、加熱及び冷却サイクルに関するデータを収集する。
【0115】
結晶化の開示温度を冷却データの曲線から計算する(即ち、第2のサイクル)。冷却データの曲線の例が、図1に示されている。分析用ソフトウェアを使用して、熱流の曲線と、温度に対する熱流の一次導関数の曲線と、を重ね合わせる。図2は、2つの曲線の重なりを示す。開始機能により、第1のピークが始まる前に熱流曲線の基線上に点1を選択する。第1の熱流のピークの上向きの傾斜に点2を選択するが、そこで熱流の導関数(derivative heat flow)は、ピークに関連した最小値をもたらす。図2は、選択された点の適切な配置の例を示す。次いで、ソフトウェアは、選択された点で曲線に対して接線を引いて、開始温度を計算する。
【0116】
ローションがつけられたトップシートを3つ複製し、平均した結晶化開始温度を0.1℃の単位で報告する。
【0117】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0118】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0119】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローション組成物を含む基材であって、前記ローション組成物が、
a)25℃で液体であり、液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、液体多価アルコール、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのエチレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのプロピレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、約20〜約80重量%の1つ以上の化合物Aと、
b)25℃で固体であり、固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリプロピレングリコール誘導体、固体アルコキシル化非イオン性界面活性剤、固体グリセロールエステル、固体ソルビタン及び誘導体、固体スクロースエステル及びその誘導体、固体グルコースエステル及びその誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、約5〜約50重量%の1つ以上の化合物Bと、
c)C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、固体脂肪石鹸、並びにカルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、レゾワックス、イソパラフィン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるワックス、から成る群から選択される、約1〜約40重量%の1つ以上の結晶化促進剤Cと、
を含み、
化合物Aと結晶化促進剤(C)との重量比が、3:2〜10:1である、基材。
【請求項2】
前記ローション組成物が、
a)約30〜約70重量%の前記1つ以上の化合物Aと、
b)約10〜約30重量%の前記1つ以上の化合物Bと、
c)約3〜約25重量%の前記1つ以上の結晶化促進剤Cと、
を含む、請求項1に記載の基材。
【請求項3】
前記1つ以上の化合物Aが、液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、液体多価アルコール、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の基材。
【請求項4】
前記1つ以上の化合物Bが、固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテル、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基材。
【請求項5】
前記1つ以上の結晶化促進剤Cが、C14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基材。
【請求項6】
前記ローション組成物が、化合物Aとしての液体ポリエチレングリコールと、化合物Bとしてのポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテルと、結晶化促進剤CとしてのC14〜C22脂肪族アルコールと、を含む、請求項1に記載の基材。
【請求項7】
前記結晶化促進剤Cが、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の基材。
【請求項8】
前記ローション組成物が、少なくとも1つの微粒子物質を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基材。
【請求項9】
前記基材が不織布ウェブを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の基材。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の基材を含む、吸収性物品。
【請求項11】
前記吸収性物品が、おむつ、トレーニングパンツ、女性用衛生製品、及び成人用失禁製品から成る群から選択される、請求項10に記載の吸収性物品。
【請求項12】
請求項1〜9に記載の基材を含む、拭き取り用品。
【請求項13】
糞便又は経血が皮膚に付着するのを制限するローション組成物を含む吸収性物品の製造方法であって、溶解物から請求項1に記載の有効量のローション組成物を、噴霧、印刷、コーティング、押出、又はこれらの方法の組み合わせにより、前記吸収性物品のトップシートを形成する基材の前記身体に面する表面に適用する工程と、前記ローション組成物を再固化して、固化されたコーティングを前記基材の前記身体に面する表面に形成する工程と、を含む、方法。
【請求項14】
糞便又は経血がヒトの皮膚に付着するのを低減する方法であって、
(i)
25℃で液体であり、液体ポリエチレングリコール、液体ポリエチレングリコール誘導体、液体ポリプロピレングリコール、液体ポリプロピレングリコール誘導体、液体多価アルコール、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのエチレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、少なくとも1つの脂肪酸単位及び少なくとも1つのプロピレングリコール単位を含む液体脂肪酸エステル、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、約20〜約80重量%の1つ以上の化合物Aと、
25℃で固体であり、固体ポリエチレングリコール誘導体、固体ポリプロピレングリコール誘導体、固体アルコキシル化非イオン性界面活性剤、固体グリセロールエステル、固体ソルビタン及び誘導体、固体スクロースエステル及びその誘導体、固体グルコースエステル及びその誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、約5〜約50重量%の1つ以上の化合物Bと、
14〜C22脂肪族アルコール、C12〜C22脂肪酸、固体脂肪石鹸、並びにカルナウバ、オゾケライト、蜜蝋、キャンデリラ、パラフィン、セレシン、エスパルト、レゾワックス、イソパラフィン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるワックス、から成る群から選択される、約1〜約40重量%の1つ以上の結晶化促進剤Cと、を含み、
化合物Aと結晶化促進剤(C)との重量比が、3:2〜10:1である、ローション組成物を提供する工程と、
(ii)有効量の前記ローション組成物を、吸収性物品の製造に使用される、又は吸収性物品として使用される、又は吸収性物品内に使用される基材の前記身体に面する表面に適用する工程であって、前記吸収性物品が、着用者により着用される物品である、工程と、
(iii)前記着用者の皮膚を前記吸収性物品と接触させる工程と、
を含む、方法。
【請求項15】
吸収性物品の高速製造方法におけるローション組成物の適合性を評価するための、本明細書に記載される示差走査熱量測定法の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−504408(P2013−504408A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529855(P2012−529855)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048838
【国際公開番号】WO2011/034867
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】